櫻子「ねえ、なんでみんなあかりちゃんを無視してんの?」 (25)

中学入ってからの一年は覚えることがいっぱいでとても早く通り過ぎていった

初めての中学校、初めての生徒会

私はバカだったからいろんなことが初めてで間違える事も多くて...

でも、みんなのおかげで何とか頑張ってこれた。

二年生になってからあかりちゃんやちなつちゃん、向日葵と違うクラスになって

向日葵以外の二人と疎遠になってはいたけど、それでも私にとっては大切な友達だった

だから、だからあの時、あの光景を見るまでは楽しみにしてたんだ。

三年生になってまた四人で同じクラスになるのを



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三年生になってから向日葵とは別々に登校してた。仲が悪くなったとかじゃなくて、互いに仕事で忙しいから。

やっぱり生徒会長ともなれば色々やることもあるから早めに学校にきて職員室に向かわなくてはいけない

私は副会長だからやることも少なく昨日のうちにパパッと原稿は終わらせて来たら普通に登校だ。

だからちなつちゃんやあかりちゃんと久々に会うのは私だけだった。

不安や緊張もあるけどそれ以上に単純に再開できることが嬉しかった。

「変わってるよなー」とか「大人びてるよなー」って当たり前の事をのんきに考えて教室に入った。

だけど現実私が思ってるほどのんきじゃなかった。

櫻子「何だよ...コレ」

目の前に広がった光景は私にはあまりにも衝撃的な光景だった

まだ誰も来てない空白の席に花瓶おいたり落書をしてりと女生徒が二、三人集まってしていたのだ

クスクス...とクスクス...と笑い落書きを続けている、私は腹の底が熱くなった。

誰の席だか知らないが、あまりにも腹が立つ。

私はいじめという現場を見たことがない。

小学生から今まで一度たりとも見たことがない。

気付いたらその場へ一歩歩き出していた。

もしかしたら、次のいじめの標的は自分になってしまうのではないかとか、そんなことも思ったが。

こういう時に助けられるように生徒会に入ったのだと、勇気を振り絞り一歩...また一歩と

この時手を掴まれ私は立ち止まった。

ちなつ「ダメだよ、櫻子ちゃん」

その子は良く知った顔だった。

櫻子「ちなつ...ちゃん?」

櫻子「なんで?あんなの見せられて何も言わないの?おかしいじゃん!」

ちなつ「でも...だめ...」

久々にみたちなつちゃんの様子はどこかおかしかった。

櫻子「あれっていじめでしょ?止めなきゃ!」

ちなつ「だめ...だめなの...」

櫻子「なんで!?」

声を荒げて言う私の横をまた、見知った顔が通る

櫻子「あかりちゃん...」

あかり「・・・」

そうだ、あかりちゃんなら、私が何かと失敗したとき助けてくれたあかりちゃんなら、優しいあかりちゃんなら

こんな状況許すわけない

そう思うと私はとっさにあかりちゃんに同意を求める

櫻子「ねえ、あかりちゃん見てよ!あれ!それに止めようとしたらちなつちゃんが!」

でも現実は悲惨だった。あかりちゃんは私の同意には答えなかった。

そして無言のまま歩いて

その席へと座ったのだ

櫻子「あかり.....ちゃん....?」

ちなつ「っ......櫻子ちゃん!!こっち来て!!」

あまりの衝撃で力の抜けた私をちなつちゃんは女子トイレへと連れて行った

女子トイレへ着くとしばしちなつちゃんの乱れた息の音だけの静かな時間が流れる

その空白を打ち破ったのは私だった

櫻子「ねえ、あれ何?」

ちなつ「・・・」

何も答えないちなつちゃんに、今度は少し強めに私は問いかけた。

櫻子「なんで、あかりちゃんがあんなことされてるの!?」

ちなつ「....それが」

どもるような声でちなつちゃんは説明しだした

ちなつ「櫻子ちゃんは....去年別のクラスだよね」

櫻子「うん」

ちなつ「そのときにね...あったの、いじめに...」

櫻子「その時にあかりty「違うの!!」

ちなつちゃんが強い口調で私の言葉を遮る

ちなつ「私が...いじめにあったの...」

櫻子「え?」

その言葉を振り絞るように吐き出すとその場に顔をうずめて座り込んでしまった。

ちなつ「ごめん....なさい....ごめんなさい...」プルプル

状況は私の思ってるほど単純ではなかった

その時のちなつちゃんは私の知ってるちなつちゃんとはあまりにもかけ離れていた

震え、怯え、恐怖していた。

なぜだ、誰だ、どうしてだ、こんなにも彼女らは変わっているのだ。

怒りと共に疑問が込み上げてくる。

そして、一番簡単な答えが浮かんできた。

櫻子「向日葵...」

そうだ、向日葵なら、向日葵なら何か知ってるかもしれない。

取りあえず、うずくまってるちなつちゃんを教室へ連れて行こう。

私たちはトイレを後にした。

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