【総合タワーリシチ】 君が朝に弱いのは (19)

前回 悠と神奈
【総合タワーリシチ】キス、とかそれ以上がしたい?
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今回 都とちはや



「ちーちゃん、寝ないの?」

「先、寝ていいよ」

「明日、休みだからって夜更かしはよくないよー?」

わかってるちゅーに。心配性だな、みゃあは。
ほとんど閉じられた瞼で、みゃあは布団の中であたしを手招きする。

「このボス、この時間帯しか出てこねえんですの。今、村人達がボスのせいで働き口が無くなって、ボスの配下の高利貸しに追いかけまわされて、困ってるの。ここで行かなきゃ女じゃないっしょ」

「そっかあ、人助けのためかー……じゃあ、しょうがないねえ」

でしょでしょ。
あ、なんか遠くの方で神奈様の怒声が聞こえたような気がするけど、気のせいかな。

「都さん」

「んー……」

なかなか、このボス手ごわいなあ。
回復薬足りるかな。

「あたしが困ったら、場所とか時間とか関係なく助けにきてくれるかい?」

自分の行為を正当化するために、
純粋培養のみゃあにそう問いかけた。

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「ちーちゃん~……」

「うん……ッ!?」

あ、相棒がやられた!
やべえ!
どうする? どうすんの、これ?!
スイッチ切っちゃう?! 
でも、セーブポイントから離れ過ぎてるしッ!!
でも死んじゃったら、相棒に経験値はいんないしッ!

「私、ちーちゃんがいる所になら、どこにだって飛んで行くよ……」

「そっか、ありがと」

「ふふ……呼ばれなくても、走っていくから」

「宇宙とかどうすんのそれ」

あ、黄泉返り薬あったわ。

「行くよ」

「うっそでー……ん?」

おおおお!
イベント始まった!
胸熱じゃん。今まで助けてやった村人たちからのメッセージが届いてる!

――サンキュー、ちっは!
――がんばれ、ちっは!
――見守ってるぜ、ちっは!

適当だなおうおう。
他人事かよ。

「……ちーちゃんは、来てくれる? 私に何かあったら」

目を擦りながら、みゃあが言った。

「何かって、例えばどんなことー?」



眠いのでここまで
続きは明後日になりそうです

「それはねー」

みゃあは布団に顔を半分入れながら、

「……あ、私が結婚するってなった時とか」

あまりの衝撃に、ゲーム機を取り落としてしまった。
そして、それが足の小指に当たった。

「あいた!? いた! めっちゃ痛い!」

「だ、大丈夫!?」

「都さん、あなた! 結婚すんの!?」

「ぶっ……驚き過ぎだよっ……ぷくく……もお、例えばだって。それより、足、大丈夫?」

都はベッドから出て、しゃがみ込んで私の足をなでる。

「わ、赤くなってる。冷やしたほうが……」

「そっか、例えばか……」

「ちーちゃ……」

ひどい冗談だ。まったくもーだよ。まったくもー。

「良かった……」

そりゃ、相手がいるのは、いいことだし、祝福しなくちゃいけないんだろうけど。
今じゃなくてもええやんけ。
いやあ、なんだこの気持ちは。
ほっとしちゃったわ。

「ちーちゃんはさ、私が誰かと結婚したらいや?」

「え、人類の平和と繁栄のために、おおいに奨励するけど」

「それどこのゲームの台詞なの

↑間違えた

「ちーちゃんはさ、私が誰かと結婚したらいや?」

「え、人類の平和と繁栄のために、おおいに奨励するけど」

「それどこのゲームの台詞なの?」

「今、やってる奴」

みゃあの肩がずっこける。

「みやこ君は、もしかして私に餅を焼かせるつもりなのかね?」

「?」

「だから、私に嫉妬して欲しいのかってこと」

「え え え!?」

なんじゃその驚き方は。

「違うの?」

「……そんな風に思ってたわけじゃ。でも」

「でも?」

「そうなのかな……そうなのかも」

真っ赤になって、私を見上げて、
みゃあは照れくさそうに笑った。

「ほお、お主誘っておるのかな。可愛い顔をしておるじゃないか」

いつも青臭いことを言って、
私を辱しめるから良い機会ですな。
ここいらで、こらしめてやるわい。
なあ、介さん、角さんや。

「もおやだなあ。可愛いのは私じゃなくて、ちーちゃんだよ」

「ぐっはあ!?」

寝る寸前で朦朧としているのにも関わらず、
この破壊力。
心に入ってくる。
ぴょんぴょんして持っていかれるううう。

「う……」

私は頭を垂れた。

「おじょうさん、どうしたん?」

「精神攻撃を受けた」

「おおげさだなあ」

仕返ししてやるわい。

「みやこって、誰にでも可愛いって言ってるの?」

「え」

「まさか、天然タラシ系暁君と同じ属性?」

「ち、違う! 私、ちーちゃん以外にそんな風に思ったことない!」

「へ、へえそうなんすか」

「そうっす!」

「じゃあ、私が一番可愛いってこと?」

「そう!」

自爆した。

「だって、私小さい頃は、ちーちゃんの子ども産みたいって思ってたもん」

「うっひょおお?! それ、なに、プロポーズ!? すげえ!!」

「む、昔のことだからね!」

みゃあってば大胆なんだから。
おかんに聞かれてたらどうすんの。
卒倒しちゃうよ。
私も、今、倒れそうになったけどね!
でも、スルーするからね!

「僕のために、毎日お味噌汁を作ってくれ! あさりの赤だしの味噌汁を!」

私は小声で言った。

「喜んで」

みゃあは頷く。
いや、待てよ。
台所に立たせるのはまずい。

「ごめん、やっぱり今のナシ」

「しょんなー」

「そんなしょぼんせんでもええんやで。私が変わりに作るから。海よりも濃く深みのある味噌汁を作ったる」

「血圧上がりそうだねー」

「たしかにねー」

あー、朝の弱いみやこをこんなに遅くまで引っ張っていいのかな。
ちょっと心配になってきた。
てか、私なんで起きてたんだっけ。
と、視界の隅に全滅した仲間達が映った。

「ああ!?」

「ど、どうしたの!?」

「希望の光が……失われた……」

「わ、私のせいだ

「みゃあのせいじゃないよ……」

ぐすん。
もう、明日再挑戦しよ。

「もう寝よっか、みゃあ」

「い、いいの?」

「いいの。私がいる限り、希望は生まれ続けるから」

「くすくす……ゲームし過ぎだよっ」

「えーから、布団入るぜー」

みゃあを蹴り入れながら、
私もごろんと隣に並んだ。
いつからだったかな。
こうやって寝るようになったの。
昔は、みゃあが私よりも泣き虫で、
そばにいて欲しいって泣きついてたのにな。

なのに、今はウサギと亀みたい。
みゃあの気持ち、知ってるのにさ。
知らないフリして、いつまでも甘えてるの。
ひっでえ話だ。
可愛そうな亀を待っていたら、
いつの間にか追い越されてるのな。
こっちは何にも成長してないのに。
可愛そうなのはウサギだったって話。

「ちーちゃん、電気消してー」

「ほいほい」

部屋は一瞬で真っ暗になった。
みやこの穏やかな息遣いに、
耳を傾ける。
いつもなら、瞬寝するのに。

「ちーちゃん、私ね」

背中を向けて、そう言ってきて、

「子どもが無理なのは分かってるからね。さっきのは冗談。ちーちゃんみたいな可愛い子が産みたいなって話」

笑って、こちらを振り向いた。
あたぼーよ。
どっかの国ではそういうのも可能になってるみたいだけどさ。

「本気ならびっくりです」

私も笑いながら答えた。
みやこの腕が、すっと私の体を抱きしめた。

「でも、私の気持ち……気づいてるよね?」

耳元で言われて、
太ももの近くがひゅんとなった。

「みゃあって、ほんとに私のこと好きな」

「うん、大好きだよー。ちーちゃんといると、お日様みたいにぽかぽかする」

「ありがと」

まーた、性懲りもなく言っちゃうのねこの子は。
ありがと。
いつも一生懸命で、
触れたものはなんでも破壊しちゃうくらい、
遠慮なくぶつかっていくくせに、
人の気持ちは繊細に扱ってくれちゃうんだから。
冗談で済まなくなっちゃうんだよ?

みやこの手が、私の頬に触れた。
熱いって?
知ってるよ。

「おやすみ」

私は言った。

「おやすみー」

みゃあの手のひらの温もりが離れていく。
こりゃ、明日の朝は知らんで。
私はやれやれと瞼を閉じた。



おわり

この二人も暁とりかちゃんも好きだけど書くとなると難しい
お粗末さまでした

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