海未「何ですか、それ?」 (395)



第1話:嘘発見器
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日曜日
穂乃果部屋

いつものように集まっているいつもの三人。



海未「何ですか、それ? 嘘発見器?」

穂乃果「そうだよ、嘘発見器!」

ことり「どうしたの、それ?」

穂乃果「ゲームセンターの景品で当てたんだよ」

海未「ゲームセンターって・・・。穂乃果。あなたはもっと他にやるべきことがあるでしょう。例えば(ry」

穂乃果「い、いや~・・・・えへへ」

ことり「まあまあ、海未ちゃん。たまにある休日に遊んでストレス発散することも大事だから。ね。」

海未「それは、まあ、そうですが。・・・はあ。全く、ことりは穂乃果に甘すぎです」

穂乃果「うんうん! それじゃあ、海未ちゃんの理解を得られたところで! 早速この嘘発見器を使ってみよう!」

海未「理解したと誰が言ったのですか。もう」



ことり「どうやって使うの?」

穂乃果「ちょっと待ってね。今説明書を読んでみるから」




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1450446266


穂乃果「えーっと。まずは、」

“乾電池を入れてください。”

穂乃果「付属のやつがあったから入れよう」ガチャ

穂乃果「次は・・・」

“スイッチをONにしてください“

穂乃果「ここのボタンかな」カチ

“端子の部分を嘘発見の対象の人に握ってもらってください”

穂乃果「はい、海未ちゃん。ここ握って」

海未「私がやるんですか?」

穂乃果「うん」

海未「はあ・・・あのですね。穂乃果。私は園田道場の娘ですよ。嘘などつくはずがないでしょう。そんな胡散臭い機械など無意味です」

ことほの(カッコいいこと言ってるけど、海未ちゃん嘘つくとすぐ顔に出るもんねえ・・・)

ことり「まあまあ海未ちゃん。ただのおもちゃだからさ」

海未「まあ、構いませんが。ここを握ればいいんですね」ギュ

穂乃果「うんうん。次はっと」

“質問をしてください。嘘をつくと音が出ます”

穂乃果「だって」

穂乃果「それじゃあ第一問目! デデン!」

海未「それは質問ではなく、問題では・・・?」

穂乃果「あなたの名前は園田海未である」

海未「はい」

嘘発見器「」シーン

穂乃果「音でないね」

海未「当たり前でしょう・・・」アキレ

穂乃果「第二問目! デデン!」

穂乃果「あなたは音ノ木坂学院の生徒である」

海未「はい」

嘘発見器「」シーン

海未「なんですか穂乃果。さっきから当たり前のことばかりじゃないですか」

穂乃果「えへへ。どうやったら海未ちゃんに嘘つかせられるか思いつかなくて・・・」

海未「そんなことはできません。さっきも言ったように私は嘘をつきませんから」


ことり「うーん。ねえねえ穂乃果ちゃん。こんな質問はどうかな?」コソコソ

穂乃果「なになに」コソコソ

海未「なんですか。二人でコソコソと」

穂乃果「それだ! 面白そう! さすがことりちゃんだね!」

ことり「ふふ♪」

穂乃果「海未ちゃん、三問目だよ!」

海未「はいはい。今度は何ですか」

穂乃果「あなたは高坂穂乃果に抱き着かれるのが大好きだ」

海未「は・・・ぃぃぃぃいい?!///」

嘘発見器「ビビー」

ことり「あ、音鳴ったよ」

穂乃果「え・・・。抱き着かれるのが大好きなのが嘘・・・・ってことは嫌い。そうだったんだ海未ちゃん・・・。ごめんなさい今まで・・・」シュン


海未「え?! いえ! 違います! 決してそんなことは ・・・・!」

嘘発見器「ビビー」

ことり「あれ? また音鳴っちゃったよ」

穂乃果「んん??? 海未ちゃんは私に抱き着かれるのが大好きなのが嘘で嘘ってこと? なんかよくわからなくなってきた」

ことり「う~ん。もしかしたら矛盾してるかも」

海未「そ、そうです! 矛盾しています! やっぱりこの機械はおかしいのです!」

穂乃果「うーん・・・。もう一個質問してみよ」

穂乃果「あなたは高坂穂乃果にちゅーされたい?」

海未「なっ!?/// うっ/// い、いい加減にしなさい穂乃果! 私になんてことを言わすのですか!」

嘘発見器「ビビー」

ことり「あれ? 今度は答えてないのに音鳴っちゃったよ」

穂乃果「何か使い方間違っているのかなあ。もう一回説明書読んでみよ」ペラッ

穂乃果「あ、最後の方にまだ何か書いてあった」

“質問には全て「はい」で答えるように決めた上で質問をすると嘘を発見しやすくなります”

穂乃果「だって」

海未「うっ///」


穂乃果「んー・・・」

穂乃果(もっと質問したいけど、そろそろ海未ちゃんがかわいそうになってきたなあ。顔真っ赤だし)

穂乃果「よし! 今度はことりちゃんがやってみよう!」

ことり「え? 私? うん、いいよ」

海未「ほっ・・・。はい、ことり、交代です」

ことり「うん」

穂乃果「ことりちゃん。全部“はい”で答えてね!」

ことり「はーい♪」

穂乃果「まずは一般的なことを聞こうかな。それじゃあ第一問目! デデン!」

穂乃果「あなたの名前は南ことりである」

ことり「はい♪」

嘘発見器「」シーン

海未「一般的すぎでしょう・・・そんな当たり前のことを・・・」

穂乃果「えへへ。なんとなくね」

穂乃果「第二問目! あなたはUTX高校の生徒である」

ことり「はい♪」

嘘発見器「」シーン

ほのうみ(・・・・あれ?)

穂乃果「えっと・・・・? まあ、いいや、第三問目」

穂乃果「あなたは高坂穂乃果に抱き着かれるのが大好きだ」

ことり「はい♪」

嘘発見器「」シーン

穂乃果「えへへ。ありがとー、ことりちゃん」ダキツキ

ことり「ふふ♪」ギュー

海未「///」モジモジ

穂乃果「海未ちゃんも、ギューッ」

海未「あ! ちょ、ちょっと穂乃果/// もう///」ギュ

穂乃果「二人ともあったかい」



---------------

穂乃果「よーし、次の質問だよ」

ことり「はーい」

海未「はいはい///」

穂乃果「第四問目! あなたは園田海未ちゃんにちゅーされたい?」

ことり「はい♪」

嘘発見器「」シーン

海未「え?!///」


穂乃果「いいなあ、海未ちゃん」

海未「何を言っているんですか、ど、どうせまた機械の不調でしょう/// 全く、とんだ不良品です///」

ことり「うみちゃぁん」ウットリ

海未「こ、ことり?///」

ことり「おねがぁい」ズズイ

海未「ど、どうしました? ち、近いですよ///」タジタジ

穂乃果「わわ、すごい。私の目の前で私の海未ちゃんが取られちゃう。しゅらばだ」ドキドキ

海未「っうう/// ほ、穂乃果! 私にもことりに質問させてください! いいですね! ことりもいいですね!」アトズサリ

ことり「ああん、海未ちゃああん」

穂乃果「あ、逃げた。ぶーぶー。海未ちゃんのヘタレー。金返せー」

海未「な、なんとでも言いなさい///」

ことり「うん、いいよ。ことり、海未ちゃんになら何されてもいいよ///」

海未「別に何もしません! 質問をするだけですって///」

海未「はぁ、はぁ・・・/// 何で私はこんなに疲れているのでしょう・・・・」

海未「気を取り直して・・・・それでは、ことり、質問です」

ことり「うん!」

海未「えー、コホン。あなたは約束通り次の衣装は丈の短いスカートにしていないですね?」

ことり「はい♪」

嘘発見器「」シーン

海未「・・・本当ですか? あなたは前科がありますからね」

ことり「今回はホントに作ってないよ~」

海未「穂乃果、この前作りかけの衣装を見たと言っていましたね。」

穂乃果「うん。見せてもらったよ」

海未「本当に丈の短いスカートではなかったですか?」


穂乃果「あー・・・・・確かに丈の短いスカートではなかったよ」

海未「そうですか。よかったです」ホッ

穂乃果(ことりちゃんが作っていたのは海未ちゃんが妄想で着ていたチャイナドレスだよ。確かにあれは丈の短い“スカート”ではないよね。ことりちゃんは嘘ついてないよ)

ことり(海未ちゃんが着られるように一見普通のチャイナドレスにしてあるけど、踊り始めてからスリットが深くなるように小細工してあるよ♪)



海未「それにしても、この嘘発見器はよく分かりませんね。嘘を吐いているのに反応しないときもありましたよ」

穂乃果「そうだね~。ことりちゃんは一回も音ならなかったね。でも、面白かったし、もっと他の人にも使ってみたいなあ」







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翌日、放課後 練習前
部室前廊下


穂乃果「結構来るの遅れちゃったね」

海未「そうですね。みんなを待たせては悪いです。急ぎましょう」




「それじゃあ真姫ちゃん、いってみよう!」

「ヴェェェ?! 私もやるの?!」




穂乃果「お、凛ちゃんと真姫ちゃんの声だ。もうみんな来てるのかな?」



---------------
部室


ガチャ


穂乃果「みんなー!お待たせー」

海未「すいません。掃除が長引いてしまって」

花陽「穂乃果ちゃん。海未ちゃん。あれ、ことりちゃんは?」

海未「ことりには最後のゴミ出しに行って頂きました。すぐに来ますよ」

穂乃果「絵里ちゃんたちは?」

花陽「3年生はまだ来てないよ」

凛「そう! だからみんなが来るまでモノマネ大会をしてました!」

穂乃果「面白そう!」


凛「というわけで・・・次は真姫ちゃんの番です。どうぞっ!」

穂乃果「」ワクワク

花陽「」ワクワク

真姫「ヴ,ヴェェ・・・。そ、そんなこと急に言われても・・・困ルヤン?・・・」

花陽「希ちゃん?」

凛「ああー! ダメダメ! それはダメだよ真姫ちゃん!」

真姫「何でよ!」

凛「いーい?、真姫ちゃん? 一度使ったネタを二度も三度も使いまわすのはエンターテイナーとして破滅への片道切符を準備しているのと同義だにゃ!」

真姫「別に私エンターテイナーじゃないし・・・」

凛「何言ってるの! アイドルだって立派なエンターテイナーだよ!!」

真姫「うう、そんなに言うなら・・・凛、お手本を見せてみなさいよ」

凛「ふふーん。まかせるにゃ」

花陽「おおー。それでは凛ちゃん・・・どうぞっ!」

穂乃果「」ワクワク

真姫「・・・・・」

海未「・・・・・」

凛(むふふ、注目されてる、期待されてる・・・この瞬間が好きだにゃあ)

凛「えー、コホン・・・それじゃいくよー」


凛「鬼丸美輝-!!! 俺と勝負するにゃー!!!」

真姫「え、なに? 鬼丸・・・? 誰?」

穂乃果「ほえー」

海未「・・・・・・?」

花陽「凛ちゃん・・・。それはモノマネとはちょっと違うような・・・。あはは・・・」


凛「にゃあああ! この微妙な空気! エンターテイナーとして最大の屈辱だにゃああ!」

凛「ごめんなさい真姫ちゃあああん」ドゲザー

真姫「別に、そんな大げさに謝らなくてもいいけど・・・」


海未「はい、それではそろそろ練sy」
穂乃果「ねえねえ! 次はこれを使ってみよう!」

凛「なになに! それ?!」

穂乃果「これはねー。なんと嘘発見器!」

凛「うおー! 面白そう!」

海未「・・・・・。はあ、穂乃果―――」

海未(学校にそんなおもちゃを持ち込んできて・・・・。ここは注意しなければなりませんね)

海未(―――・・・でも、待ってください。今思えば、この機械のせいで昨日は私ばっかりが恥ずかしい思いをしました。・・・・不公平です。・・・他の方達も・・・)


穂乃果「どうしたの? 海未ちゃん?」

海未「あっ・・・い、いえ・・・、えーと・・・それ、昨日うまく動作しなかったじゃないですか」


真姫「ふーん。ねえ、それちょっと見せてみて」

穂乃果「いいよ」

海未「昨日も私と穂乃果とことりで使ってみたのですが、明らかに嘘を言っているのに反応しないことがありました」

真姫「なるほどねえ。これは嘘だけを見抜く機械じゃなさそうね」

海未「どういうことですか?」

真姫「ここの端子を手で握って使うんでしょ」

海未「ええ、そうです。よく分かりましたね」

真姫「ここで手の発汗を検知しているみたいね」

穂乃果「???」

真姫「ほら、よく手に汗握るっていう表現するじゃない。緊張したり焦ったり動揺したりすると、人って汗をかくものだから、それを機械が読み取るわけ」

海未「なるほど・・・。それで、必ずしも嘘をついているから反応するというわけではないのですね」

真姫「そういうこと」

穂乃果「そうかあ。だから恥ずかしがり屋の海未ちゃんには何度も反応したんだ」

海未「うっ・・・。そのことには触れないでください・・・・」

穂乃果「ということは・・・・。逆に、ことりちゃんにどんな質問しても反応がなかったのは・・・?」

真姫「へえ、ことりには全然反応しなかったのね。多分それは、何も考えていなかったということでなければ、・・・相当な狸ってことね」

海未「狸ですか・・・なんとなく納得できます。なんだか少し怖くなってきましたね・・・」

穂乃果「ことりちゃんトランプ強いもんねー」


ガチャ


ことり「遅れてごめんなさーい」

海未「!!」ビクッ

穂乃果「すごいなー」ジー

まきりんぱな「・・・」ジー

ことり「え? え? 何? そんなにみんなに見つめられたら、ことり恥ずかしいよお///」テレ

穂乃果「でも、大丈夫だよ真姫ちゃん!」

真姫「え、何が?」

穂乃果「なんと、この嘘発見器はロボット部の人たちに頼んで改造してもらったものなの!」

海未「いつの間に・・・」

真姫「そういえば、授業中にフラックスの焼ける臭いがしてたけど、ロボット部の子がこれいじってたのかしら・・・」




穂乃果「よし、さっそく使ってみよう」

穂乃果「まずはコンセント差してー」

海未「え?? 乾電池式じゃありませんでしたか、それ?」


穂乃果「花陽ちゃん、手だして」

花陽「うん?」

穂乃果「ベルトで固定してー」ガシッ,ガチャン

海未「えっ? ベルトなんてありましたっけ?」


穂乃果「スイッチを入れて、準備OK!」

海未「昨日と比べて随分と仰仰しくなりましたね・・・」


凛「かよちんの嘘を発見するの?」

凛(かよちんは嘘吐くと指を合わせるから、そんな機械使わなくてもすぐ分かるんだけどなあ)


穂乃果「花陽ちゃん、私の質問に対して全部“はい”で答えてね。それじゃあ、まずは第一問目! デデン!」

海未「またそのくだりから入るんですね・・・」

穂乃果「あなたの名前は小泉花陽である!」

海未「そして、やっぱり名前から聞くんですね」

花陽「えっと、・・・はい」

嘘発見器「」シーン

穂乃果「・・・よし! 次!」

穂乃果「あなたは今日の朝食で、ごはん3杯食べた?」

花陽「えっ?!」

花陽(そ、そんなこと、正直に言ったら、食べ過ぎだって海未ちゃんに怒られれちゃうよぉ・・・)オドオド

花陽(でも、今は嘘でも“はい”って言えばいいんだよね?)モジモジ

花陽「・・・・・・は、はい」ピタ

凛(あ、指合わせた)


嘘発見器「」ビリッ

花陽「いたっ! ・・・え、何?」

凛「どうしたのかよちん?」

花陽「なんか、急に針に刺されたみたいな痛みが・・・」

真姫「まさか・・・。発汗を検知したら電撃を与えるようになってるの? 物騒ねえ」

海未「昨日は音が鳴るだけだったのですが」

真姫「何やってんのよロボ部の連中・・・」

凛「かよちん、大丈夫なの?」

花陽「うん。ほんの一瞬だけで、弱かったから大丈夫だよ」

穂乃果「よかった。ところで、花陽ちゃんが食べたご飯は3杯じゃなかったってこと?」


花陽「う・・・・うん」ウツムキ

穂乃果「おお、すごい! ちゃんと嘘発見してるよ」

海未「まあ、普通に考えたら女子高生が朝っぱらからごはんを3杯も食べられる訳がありませんよね」

花陽「え、えへへ」メソラシ

凛(かよちんは少なくとも朝は3合は食べるもんね)



ことり「ねえねえ、穂乃果ちゃん。次から私が質問を考えてもいいかな?」

穂乃果「うん、いいよ」

海未(ことり? ものすごく嫌な予感がしますが・・・)


ことり「ふふん♪」カキカキ

穂乃果「何書いてるの?」

ことり「うふふ。・・・できたっ。凛ちゃん、凛ちゃん」

凛「なーに?」

ことり「この紙に書いたこと読んでみて」

凛「えーっと、なになに」



凛「“かよちんの、すっごく綺麗だね!”」

嘘発見器「」ビリビリビリ

花陽「ひゃああああ!」

真姫「え、な、なに? ・・・まさか、発汗量に比例して電撃も強くなるのかしら・・・・・無駄に高度な技術ね・・・・」

凛「ことりちゃん。これ、かよちん“の”じゃなくてかよちん“は”じゃないの?」

ことり「あれれ~? 本当だ~。一文字間違えちゃった♪」

真姫「・・・・・」ジトー

海未「・・・・・///」

穂乃果「・・・・・?」クビカシゲ


ことり「さあさあ、凛ちゃん次だよ。次読んで♪」

海未「まだあるんですか・・・」

真姫「・・・・というか、明らかに強い電撃が与えられるように見えたけど、花陽、大丈夫なの?」

凛「えーっと・・・次の文章は」



凛「“かよちん? どんどん溢れてくるよ?”」

嘘発見器「」ビリビリビリビリビリ

花陽「ダ、ダ、ダ、ダタレレレレレ、カ、タタタスケ」ビクビク


真姫(さっきからこれのどこが質問なのよ・・・。花陽も全然答えてないじゃない・・・。絶対最初から嘘発見器の仕組み知ってたでしょ、ことり)

凛「溢れるって何だろう? 排水溝が壊れて溢れちゃってるのかなあ?」

ことり「う~ん。飲む所だから、どっちかっていうと蛇口かなあ?」ニコニコ

凛「あらら。どんどん溢れてビショビショになっちゃってるね」

海未「なっ?!/// 凛! いい加減にしなさい! 破廉恥ですよ!?」

凛「にゃ?」

ことり「ん~??? 海未ちゃん。どこらへんが破廉恥なの?」ニコニコ

海未「えっ!・・・うぅ、それは・・・///」

ことり「凛ちゃん、次言ってみよ♪」

凛「うん。えーと」



凛「“かよちんのすっごく甘くておいしいよ。凛が全部飲んじゃうね!”」

嘘発見器「」バリバリバリバリバリバリィィッ!!

花陽「ン゛ギ゛モ゛ヂ゛イ゛イ゛イ゙゛イ゛ノ゛ォォォォオ゛」ビクビクビク

凛「甘いのがかよちんの蛇口から出てきたのかな? ねえねえ、ことりちゃん。甘い飲み物ってなあに? レモンティーとか?」

ことり「ん~? 桃の天然水かな♪」


嘘発見器「」バリバリバリバリバリバリバッバッバッ....

嘘発見器「・・・もう無理っす、勘弁してください・・・」バツン

穂乃果「あれ? 急に止まっちゃった」

真姫「ブレーカーが落ちたみたいね」

穂乃果「ん? ああ! 海未ちゃんが鼻血噴出して倒れてる!! 真姫ちゃん先生助けて!」

真姫「あら本当。でも、ごめんなさい。馬鹿に付ける薬は持ってないの。手遅れね」カミノケクルクル

穂乃果「わーん! 海未ちゃんが馬鹿になっちゃった! 目を覚ましてー!」

海未「」グッタリ



花陽「」ビクンビクン

真姫「良かったわね、花陽。その端子を握っていたのが左手だったら、あなた死んでたかも」



嘘発見器「」プスン....

真姫「・・・ことりのせいで、ただのムッツリスケベ発見器になってたわね、この胡散臭い機械。本当にくだらない」カミノケクルクル





希「・・・・」

希(なんやこれ・・・? ちょっと来るの遅れて部室入ったら、海未ちゃんは血まみれで倒れてるし、穂乃果ちゃんは泣きながら海未ちゃん抱きかかえているし、花陽ちゃんは恍惚した表情で白目剥いとるし・・・)

希(ホンマ、なんやこれ・・・?)







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翌日、放課後
希部屋



希「今、お相撲さんを想像した人、正直に言いな」

希「希カースをたーっぷり注入したげる」

絵里「ちょっと神経質すぎじゃない? 希」

希「あはは、そうかもね。それはさておき、今日は何飲む?」

絵里「うーん、そうねえ・・・」

希「カモミールとかどう?」

絵里「あ、うん! それがいいわ」

希「ほな、ちょっと待ってな。お湯沸かすから」ジャー

絵里「・・・」ニコ

希「どうしたん絵里ち。なんや嬉しそうやな」

絵里「うん、ちょっとね。やっぱり、希と二人きりでいるときが一番気楽でいられるっていうか、なんか落ち着くなあって改めて思って」

希「えっ・・・/// そ、そう?・・・ありが、と///」ウツムキ



---------------

希「温めたポットにお湯を注いで」トポポ

希「お花を入れてっと」

希「よし。もうちょっと待ってな。これから4分程蒸らすから」

絵里「ええ。・・・・ねえ、希。隣に座って一緒に待ちましょ」

希「ええよ」ストン

....ユラユラ

絵里「ん? ・・・あら、綺麗ね」

希「せやろ。やっぱりティーポットはガラス製がいいんよ。お花が広がっていく様子なんかを目で見られるし」

希「飲むだけじゃなくて、こうやって見るのもお茶の楽しみ方の一つだとウチは思うんよ」

絵里「ええ、本当にキレイだわ・・・」ジーー



---------------

絵里「・・・・・」ジー

希「・・・・・」

希(お茶を蒸らす時間。ティーポットのお湯の中でゆらゆら揺れるお花を、二人で見つめてる)

希(ウチと絵里ち。特に話すこともなく、静かで、ゆったりとした時間が流れている)

希(なんか、ええなあ)

希(絵里ちがさっき言ってた“落ち着く”って、こういうことかあ)



希(んー・・・・ん? あ、あれ? え? 絵里ち? お花見てるかと思ってたら・・・)

希「えっと・・・絵里ち・・・? なんでこっち見とるん?」

絵里「何かおかしいかしら?」ジー

希「い、いや・・・別にいいけど///」

希(い、いつからウチの方を見てたのかな・・・/// なんか、恥ずかしいなあ///)



希「えっと・・・/// そろそろお茶もいいかな。カップに注ぐね」

絵里「ん、ありがと」

コポコポ

絵里「わあ、いい匂い」

希「ええよね、カモミールの香りって。これにはリラックス効果があってな、寝る前に飲んだりするんよ」

絵里「へー。いいわね」


コト

希「ほい、熱いから気ぃつけてな」

絵里「ありがとう、頂くわ」


---------------

希「温めたポットにお湯を注いで」トポポ

希「お花を入れてっと」

希「よし。もうちょっと待ってな。これから4分程蒸らすから」

絵里「ええ。・・・・ねえ、希。隣に座って一緒に待ちましょ」

希「ええよ」ストン


....ユラユラ


絵里「ん? ・・・あら、綺麗ね」

希「せやろ。やっぱりティーポットはガラス製がいいんよ。お花が広がっていく様子なんかを目で見られるし」

希「飲むだけじゃなくて、こうやって見るのもお茶の楽しみ方の一つだとウチは思うんよ」

絵里「ええ、本当にキレイだわ・・・」ジーー



---------------

絵里「・・・・・」ジー

希「・・・・・」

希(お茶を蒸らす時間。ティーポットのお湯の中でゆらゆら揺れるお花を、二人で見つめてる)

希(ウチと絵里ち。特に話すこともなく、静かで、ゆったりとした時間が流れている)

希(なんか、ええなあ)

希(絵里ちがさっき言ってた“落ち着く”って、こういうことかあ)



希(んー・・・・ん? あ、あれ? え? 絵里ち? お花見てるかと思ってたら・・・)

希「えっと・・・絵里ち・・・? なんでこっち見とるん?」

絵里「何かおかしいかしら?」ジー

希「い、いや・・・別にいいけど///」

希(い、いつからウチの方を見てたのかな・・・/// なんか、恥ずかしいなあ///)


希「えっと・・・/// そろそろお茶もいいかな。カップに注ぐね」

絵里「ん、ありがと」

コポコポ

絵里「わあ、いい匂い」

希「ええよね、カモミールの香りって。これにはリラックス効果があってな、寝る前に飲んだりするんよ」

絵里「へー。いいわね」


コト

希「ほい、熱いから気ぃつけてな」

絵里「ありがとう、頂くわ」


絵里「んー・・・」ゴクッ

希「どお?」

絵里「ふぅ。本当にいい匂いで落ち着くわ。心無しか甘く感じる。砂糖か何か入れてるの?」

希「ううん。何にも入れてへんよ」

絵里「そうなの。てっきり甘い媚薬でも入れてくれてるのかと思った」

希「は? なに言っとるん」

絵里「だって、希がいつもより可愛く見えるんだもの。この甘い香りのせいかしら」

希「なっ/// た、ただのカモミールの香り・・・なんだから・・・・///」


絵里「ふふっ、どうしたの? 希」

希「えっ? どうしたって・・・?」

絵里「関西弁が抜けてるわよ」

希「えっ?! そ、そんなことなっ・・・あ、あらへん!///」

絵里「あら、戻っちゃった。可愛いのに」

希「っ~~!!///」プイッ


希(さっきからなんなの、もう・・・///)モジモジ

希(絵里ちはヘタレぽんこつだから普段はこういうこと言えないはずなのに・・・・)

希(なんだろ、無意識で言ってるのかなあ・・・・)



---------------

絵里「ふう・・・。おいしかったわ、ありがとう希」

希「お粗末様です」

絵里「なにかおいしく淹れるコツなんてあるのかしら?」

希「うーん。大したことはしとらんけど。ティーポットを事前に温めといて、ちゃんと時間を測って蒸らし過ぎないように注意するくらいかなあ」

希「後は当たり前かもしれへんけど、茶葉にも気を使ってるんよ。百貨店にあるお茶の専門店でちょっといいやつを選んだりかな」

絵里「へえ。色々気を使ってるのね」

希「まあね。プロがやろうとしたら、もっと色々手順があるかも知れへんけど」



絵里「フフ///」

希「ん? なんや絵里ち。いきなり一人笑いしだして。気味悪いで」

絵里「いえね、ちょっと素晴らしいことを思い付いちゃって」

希「なんなん。聞かせて」

絵里「あのね」




絵里「都会から離れた静かで落ち着いた街の片隅に、少し洋風な佇まいの小さな喫茶店があるとして」

希「ふんふん」

絵里「その喫茶店は一日にお客さんはあまりたくさんは来ないんだけど、その分静かで穏やかな毎日が訪れるの。店員さんは二人だけ」

希「ええやん。のんびりしてて良さそうやな」

絵里「その二人の店員さんはとっても仲良し。その内の一人はお茶を淹れるのが上手で、それから手作りのチョコタルトがとってもおいしいの」

絵里「もう一人の方は・・・・んー・・・・」

希「もう一人は?」

絵里「そうねえ・・・。淹れてくれたおいしいお茶を飲むのが好き」

希「なんやそれ、怠け者さんやなあ」

絵里「あっ、そうだ。お茶だけじゃなくて、占いもやってくれる喫茶店なんてどうかしら」

希(・・・・ん?)

絵里「お茶を楽しむ傍らで占いもしてくれる所なんて他にないでしょ。我ながらなかなか斬新でいいアイディアね」

希「・・・・・」

絵里「それと、お店の内装にキルトやそれで作った小物やアクセサリを置いたりしたら素敵だと思わない? 全体的に落ち着いた雰囲気を残しながらも、少しだけ華やかな感じにするの」

希「な、なあ・・・絵里ち。その二人の店員さんって、もしかして一人は金髪でもう一人は関西弁だったりする?」

絵里「ふふ。さあ、どうかしら?」

希「そ、そう・・・・。にしても、絵里ちはどうして急にその喫茶店のことを思いついたの・・・?」

絵里「どうしてかしら? んー・・・・・」

絵里「多分、最近目まぐるしい日々だから。かしら?」

希「・・・・?」

絵里「生徒会を引き継いだとは言え、穂乃果達の手伝いもやってるし、μ’sの活動だってたくさんあるし」

絵里「もちろんそれが辛いってことじゃないの。本当に自分がやりたいって思っていることだもの。その事に全力に取り組めて、毎日がとっても充実しているってはっきり言える」

絵里「・・・・でも、それも後数カ月。高校を卒業して、そしていずれは社会人になって・・・。そうしたら今よりもっと大変な毎日になったりするのかな」

希「・・・・・・」

絵里「でもね、このお茶を飲み終わった時に、ふと考えたの。―――いつの日か、毎日が大変なんじゃなくて、毎日が穏やかな日々がやってくるとしたら、どんな感じだろうなって」

希「なるほどなあ。それで、さっきの喫茶店の話になったんやね」

絵里「そういうこと☆ 希はどう思った?」


希「えっと・・・ま、まあ、悪くはない・・・とは思ったけど///」

絵里「そう、良かった♪」ニコッ

希「っ~///」

希(な、なんだろ、これ///)カァ

希(さっきからおかしいよ絵里ち/// 最近ちょっとひと肌恋しいウチに、二人きりになった途端、急にそういうことペラペラ言い出したら・・・・。ウチ勘違いしちゃうよ・・・?///)ウツムキ

希(ホント、今日の絵里ちなんかおかしいよ。調子狂うなあ・・・)




希(あっ、そうだ! 仕返しに、あれ使ったろ)ニシシ

希「なあ、絵里ち。ちょっとこれで遊んでみーひん?」

絵里「なにそれ?」

希「嘘発見器らしいよ。嘘を見抜く機械やって」

絵里「へえ! そんなすごいものどうしたの?」

希「こんなおもちゃを学校に持ち込んだ不届きな生徒が昨日おってな、元生徒会として没収しといたんよ」

絵里「そういうのは先生方か穂乃果や海未の仕事じゃないの?」

希「ふふ、本当はそうなんやけどねえ」

絵里「?」

希(絵里ちが穂乃果ちゃんを生徒会長に推薦した手前、先生には黙っといたほうがいいね。穂乃果ちゃんには罰としてワシワシMAXしといたし、もちろん、注意せんかった海未ちゃんも同罪にしといたで♪ これに懲りて二人とも次からはちゃんとするやろ)



希「せっかくやから、ちょっと絵里ちに試してみようかな思って」

絵里「えっ、わ、私?」

希「なんや絵里ち。見抜かれたら困るような嘘でも持ってるん?」ニヤニヤ

絵里「そ、そんなのあるわけないじゃない」

希「ほな、決まりやな。絵里ち、ここん所ちょっと握ってな」

絵里「うう・・・分かったわ」ギュ

希「それじゃあ、いくつか質問するけど、全部“はい”で答えてな?」

絵里「“はい”で答えることが間違ったことであっても?」

希「そうそう」

絵里「ええ、分かったわ」

希(ちなみに、嘘発見器の仕様はロボット部の人達に戻してもらっておいたよ)






希「さーって。何から聞こうかな~」

絵里「お、お手柔らかにね」

希(まずは動作テストもかねて・・・・)

希「あなたは、音ノ木坂学院の現生徒会長である」

絵里「はい」

嘘発見器「ビビー」

希「お、すごいやん。本当に嘘発見したよ」

絵里「ハラショー。こんなすごい機械が一般人でも持てるなんて、日本の技術はすごいのね」

希(さーて、音が鳴ることを確認したところで、そろそろ本題にいこうかな♪)



希「次の質問は・・・」

希「あなたには今、恋人がいる?」

絵里「いないわよ・・・・・・あ、違った。はい、います」

嘘発見器「ビビー」

希「そうなん絵里ち? 意外やわ~。それほどの美貌とスタイルがあるんやから恋人の一人や二人おるかと思ってた」

希(まあ、知っとったけど)

希(でも、こうやって確認できて、ホッとしたような・・・・)

希(ウチがただの友達としか思われてないんのがちょっとキズついたような・・・)

希(さっきだってあんな思わせぶりなセリフたくさん言ってたのになあ。もしかしたら、ああいうのも、ウチ以外に言うんは絵里ちにとっては普通のことなんかな・・・? なんか複雑な気分や)

希(むー・・・。少なくとも、ウチが友達の中じゃ一番よね・・・?)

絵里「残念ながらね。私ってとっつきにくい性格だから、家族以外で本当に気軽に話せるのはμ’sのみんなくらいよ。・・・・って、こんなこと希が一番よく知ってるでしょ」

希「まあまあ、そんなことはこっちに置いといて、次の質問は・・・・」



希(・・・・なんとかして絵里ちが考えていることを引き出したいなあ・・・・)


希「質問は・・・・・」

絵里「希? どうしたの?」


希(・・・・・よしっ、これでいこう・・・!)

希「ううん。なんでもないんよ。次の質問は、」

希「あなたには恋人がいないということですが、恋人にしたいと思う人も全くいない?」

絵里「うっ・・・・。は、はい」

嘘発見器「ビビー」


希「おおー!! それって、気になる人がおるってことやん! 片想いってことなんよね??」

絵里「ううっ/// まあ、そのなんというか・・・・」

希(ふふっ。これウチのことやろ!)


希「お相手は誰なの? 教えて?」

絵里「そ、そんなこと言えるわけないでしょう///」

希「あれあれ~。絵里ち、今どういう状況か、分かってないん?」

絵里「状況って? ・・・・あっ」

希「そうそう、この嘘発見器の前では隠し事はできんよ~」

絵里「ね、ねえ希? そろそろお茶のおかわり頂けないかしら~・・・・?」

希「だーめ。次の質問ね♪」

絵里「そんな~・・・」

希(そんなに暴かれるのが嫌やったら、嘘発見器を手放せばいいのに。ほんと、いい子やな、絵里ちは)

希(これは思ったより上手くいきそうや♪)

希(それに、なんか面白くなってきちゃった。ヘタレな絵里ちが可愛いし♪ 根掘り葉掘り質問して、意地悪してみよ♪ さっきの仕返しや!)

希「さてさて、どんどん聞いちゃうよ。その恋人にしたい人は学外の人ですか?」

絵里「はい・・・」

嘘発見器「ビビー」

希「ほー。ウチらの学校に男の先生なんてそんなにおらんから、今ので大分絞れたなー」

絵里「えーっと。あはは・・・」

希「念のため、確認しとこうかな」

絵里「えっ?」

希「恋人にしたい人は本当に先生?」

絵里「うっ?! え、えーと・・・・。はい・・・・」

嘘発見器「ビビー」

希「なんと! 先生じゃないってことは、生徒。ウチらの学校は女子高やから、つまり、お相手は女の子なんやな!」

絵里「い、いいでしょ!こういうのはロシアでは普通なの!」

希「そうなん? あっ、そういえば、少し前にロシアの女の子二人組の歌手ユニットが、愛し合ってるっぽいのを売りにしていた子達がいたよね」

絵里「そ、そうよ! 日本でも人気あったでしょ!」

希「外国じゃ同性婚ができる国も少なくないし、別におかしくないんやない?」

絵里「そうよね!」


希「ということは、絵里ちの恋人候補もμ’sの子達ではないってことね」

絵里「うんうん!・・・はっ!」

嘘発見器「ビビー」

希「ほほー」

絵里「しまった・・・・」

希「早速8人に絞れたねー」

絵里「そ、そうね・・・・」


希「だれかな~? やっぱり海未ちゃんかな? 絵里ちがμ’sに入る前から絵里ちに熱心にアプローチしてたもんね~。海未ちゃんでしょ?」

絵里「えっと・・・はい」

嘘発見器「ビビー」

希「え? ちがうん? それじゃあ・・・ 穂乃果ちゃんだ。なんだかんだで絵里ちをμ’sに引っ張り込んでくれた子やし、なにより絵里ちにすっごく懐いているし。穂乃果ちゃんやろ?」

絵里「うう・・・はい」

嘘発見器「ビビー」

希「あら、穂乃果ちゃんも違うの」

希「じゃあ、次は~」



絵里「ね、ねえ希? 私、ちょっとお手洗い借りてもいいかしら・・・? さっき飲んだ紅茶でもよおしてきちゃったみたい・・・」

希「ふーん。ホントに?」

絵里「ホントよ、ホント。ほら、紅茶って利尿作用あるって言うじゃない?」シドロモドロ

嘘発見器「ビビー」

絵里「あう・・・」

希「あんなー絵里ち。ウチらがさっきまで飲んでたんは、紅茶じゃなくてカモミールティーよ」

希「それと、利尿作用って言っとったけど、それってカフェインが原因であって、カモミールティーはカフェインを含んでないんよ」

絵里「へ、へー・・・。さすが希ね・・・・」アセアセ

希(ふふ、困ってる、困ってる。ヘタレ絵里ち本当に可愛いなあ。このままウチのことが好きって言わしたる♪)

希「次は~・・・・・」ハッ



希(・・・・・えーっと。よく考えたら、これってまずくない? このまま絵里ちの想い人を聞きだしたとして、もし・・・・・いや、多分大丈夫やろうけど、万が一・・・・・)

希(それが、ウチじゃなかったら・・・・・)ッブル

希(な、なに? 急に寒気が・・・・・・・)ブルブル


希(・・・・・・・そうだよね。ウチの事が一番好きって証拠どこにもないし・・・・・)


希(はぁ。もうやめとこ。絵里ちも困ってるし。親しき仲にも礼儀ありってね。・・・・・結局ウチもヘタレやね。人の事言えんね。絵里ちごめんね・・・・)



希(とりえず、今はなるべくとぼけた感じで誤魔化しとこ)


希「・・・・・な~んてね! 絵里ちはμ’sのみんなことが大好きなんは、ウチ良く知ってるよ」ニコッ

絵里「・・・・・」

希「やから、今日はこのくらいで勘弁してあげよか♪」


絵里「・・・・・」

希「ん・・・・・・?」

希(あれ? 絵里ち黙ってどうしたんやろ? 無表情やし)

希(あ・・・・もしかして、怒ってる? それはアカン。アカンって。とぼけんと、ちゃんと謝らな)

希「あ、あの? 絵里ち? ごめんなさい、ちょっとふざけすぎちゃったかな・・・?」



絵里「・・・・・」

希「えりt」

絵里「希!!!」ガタッ!

希「わっ・・・・ど、どしたん? 急に立ち上がって」

ガバッ

希「きゃ!?」

絵里「希! 希! 希!!!」ガタガタッ!

グイッグイッ

希「ちょ、ちょっとそんな押さんといて?! ・・・・あっ、ちょ、倒れ・・・・!」

ガタンッ!

希(椅子が倒れて、次は私が倒れちゃう! え? え? こんな力任せになるほど、怒ってるの?)

希(・・・・・こ、怖い・・・・こんな絵里ち初めてで・・・・怖い。μ’s入る前でもこんな怖い時なんてなかった)ウル

ドン!

希「いたっ」

絵里「・・・・」

希「え、絵里ち・・・」ウルッ

希(倒されちゃった・・・・こ、怖いよ・・・・。絵里ちずっとウチのこと見下ろしてるけど・・・・顔怖い。とにかく謝らなきゃ・・・・)ポロポロ

希「本当に・・・・ごめ・・」

絵里「希!」

希「ひっ!」







絵里「私はあなたが一番好き!」

嘘発見器「ビビー」


絵里「私はあなたことを世界で一番愛しているの!」

嘘発見器「ビビー」


絵里「私が恋人にしたい人は希なのおおおおおおっ!!!!」

嘘発見器「ビビー」


絵里「はぁ、はぁ・・・・・・・・・・・・・・・は?」

絵里「・・・・・・・・・・・・今、音鳴ってた?」

希「・・・・・・・・・・・・・・ぅん」



絵里「ち、違うの! い、いや違くない!! 私は本当に希が好きでっ・・・・!」

嘘発見器「ビビー」


絵里「もう! なんなのこれ!!」バシーン

嘘発見器「ビ,ビィ・・・・・」プスン...ボロッ



希「ぷっ」

絵里「の、のぞみ・・・?」

希「ぷっ、あははは」

希「も、もう絵里ちったら。乱暴なんだから。おかしい。おかしくて涙とまらないよ」ゴシゴシ

希(本当に涙が止まらないよ・・・・・ウチ、馬鹿だったね。絵里ちを少しでも疑って)

絵里「希、私は本当に・・・!」

希「とりあえず、起きてもいーい?」

絵里「あ、そうね。乱暴してごめんなさい・・・手貸すわね」スッ

希「ありがと・・・・・よっと。 ふう」ギュ

希(立ち上がる気力が無くて、そのまま床に女の子座りしたよ)

希(・・・・さて、何を話そう。もう・・・・嬉しすぎて頭の中の考えがまとまらないよ。涙もなかなか止まらへんし)ポロポロ


絵里「本当に・・・ごめんなさい」スッスッ

希「んんっ・・・」

希(絵里ち優しいなあ・・・。ウチの涙をハンカチで拭ってくれて・・・)

希(んっ・・・。このハンカチ、絵里ちの匂いがするなあ。落ち着く・・・)スンスン

絵里「あ、あの・・・・希、笑わないで聞いて頂戴! これは冗談じゃないの。あんな機械は嘘って言ってたけど、私は本当にあなたのことが・・・!」

希「・・・・絵里ち」

絵里「・・・・・?」

希「真姫ちゃんやロボット部の人から聞いたんやけど」

絵里「え? 真姫? ロボ? ・・・う、うん?」

希(いきなり関係無い人の名前が出てきて、少し混乱してるね)

希「あの機械なんやけど。あれって、ただ単に嘘を見抜く機械じゃないんだって」

絵里「えっ? どういうこと?」

希「詳しいことはよく分からんけど、嘘をついたときに限らず、感情が昂った時に音が鳴るんだって」

絵里「そう・・・・だったんだ」

希「だからね、絵里ちの思っていること、十分にウチに伝わったよ」

絵里「なら、よかったわ。・・・・・・・・希、ごめんなさい。こんなこと思っていて。気持ち悪いわよね。本当にごめんなさい。どうか私のことは気にしないで。今回のことも忘れて・・・」


希(肝心な時にまたヘタれてるやん・・・・まあ、そこがきっと絵里ちのいいところやね。そんなかわいい絵里ちがウチも大好きよ)

希(でも、それはウチから言わないよん♪ ウチをあんなに怖がらせた罰や。タダでは起き上がらんもんね)



希「そんなにウチの事が好きだったら、どうしてさっきは急にあんなに乱暴になったの?」

希(それだけウチへの愛が重かったっていうことやろうけど。それをちゃんと自分から言わなきゃね♪ ウチにこんな助け舟出させるなんて、出血大サービスなんよ?)

絵里「それは・・・・」

希「それは?」

絵里「私がずっと大事にしてきた言葉を取られちゃいそうだったから・・・・」

希「言葉?」



絵里「・・・・・・・」

絵里「私ね、肩肘張って生きてきた。バレエにしろ、オトノキを守ることにしろ、おばあ様の期待に応えようって、子供の頃からずっと頑張ってた」

絵里「休まず自分を律して、頑張ってた。だから、本当はすごく疲れていたと思う。だけど、疲れていると言うことが何なのか分からず、ずっと休まないで生きていたと思う。目的のため、本当にやりたい事から目を背けていた・・・」

絵里「それを希が変えてくれたの」

希「・・・・・」

絵里「一年生の時に、希が私に勇気を出して話しかけてくれて、本当に良かったと思う・・・・。その時の私は、希の事を変な子としか見てなかったけど、そう思っていた当時の私を叱りつけたいわ」

希「絵里ち・・・」

絵里「それとね」

希「んっ?」

絵里「私ね、希に『絵里ち』って呼ばれるのすごく好き。多分、私が初めて『絵里ち』って呼ばれたその時、今までずっと張っていた肩肘をゆるくできたと思う」

絵里「こんなに親しげに私のことを呼んでくれて・・・。たったそれだけの事だけど、私の世界が変わったわ。希に『絵里ち』って呼ばれると、私が勝手に張りつめさせていた空気が柔らかくなるの。今まで知らなかった、とても安らげる感覚」

絵里「『絵里ち』って呼ばれる度に、それが癖になって、何度でも呼ばれたくって、とにかくいつでも希の傍に居たいと思うようになったの」

絵里「それだけじゃない。μ’sという形で、ダンスで人を魅了して、オトノキの廃校を防いだ。それはつまり、当初私が思っていたやり方とは違うけど、おばあ様の期待にも応えられたということ」

絵里「今までどんなに一人で頑張ってもできなかった目的を、私が本当にやりたいことをやりながら叶える事ができた」

絵里「それができたのは、希が私を導いてくれたから」

絵里「・・・・本当に私にとって、希は大きな存在なの。私が道を踏み外したら、正しい方向へと導いてくれる。私には希が必要。希の勇気と優しさに包まれながら、私は楽しい日々を過ごしてきた。希と一緒の時が心安らいで一番落ち着く。そんな希との時間をこれからもずっと続けたいって思った」

絵里「この素敵な時間は高校を卒業しても失いたくないって思った。でも、それはきっと、友人に抱く以上の深く尊い感情なんだって、ある時気が付いて・・・・」

絵里「・・・いつかはちゃんと伝えなきゃって思っていたの。だからといって、希にいきなり言ってしまたら、気持ち悪がれそうだし、それはどうしても避けたかった。だから、ゆっくりと時間をかけて伝えようとしてたの」


絵里「私、毎日のようにたくさん言葉を考えていたの。希に知って欲しい私の気持ちを伝えるために。希への大事な大事な想いをたくさん込めた言葉をずっと探してた・・・」

絵里「・・・ゆっくりと、慎重に、私の気持ちを伝えようって心に決めてたの。決めてたのに・・・・・」

希「決めてたのに?」

絵里「さっき、希に色々質問されているときに、あのままもたついていたら、私の大事な気持ちを伝えるという機会が、あの嘘発見器に取られてしまう気がして・・・・」

絵里「その前に、私が・・・・・絢瀬絵里がちゃんと言わなきゃ! ってすごく焦ってしまって、それで、つい乱暴に・・・・・・」

希「気持ちだけが先走ったんやね」

絵里「・・・・・ごめん・・・・・なさい」

希「全くもう」

絵里「・・・・・・・」シュン

絵里「・・・・・・・」



絵里「本当に、ごめんなさい。希に対してこんな重苦しい感情を抱いていて。希は女で、私も女なのにね・・・」

絵里「あんなに乱暴もはたらいて、幻滅したわよね。軽蔑するわよね、私の事。ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・。私なんて目障りよね・・・。近くに居られたら気持ち悪いわよね・・・。迷惑だったら、これからは希とは距離を置くようにすrっんむぐっ?!」口抑えられ

希「もう、絵里ちは本当にヘタレぽんこつやなあ」

絵里「・・・・・・?」モゴモゴ

希「今回はあんな機械に追いつめられてやっと言えた感じみたいやから?」

絵里「・・・・・・??」モゴッ

希「まあ、60点てところかな? ぎりぎり及第点や」

絵里「プハッ え?・・・・それって?」

希「女の子同士は、ロシアじゃ普通なんやろ?」

絵里「・・・・・・・の、のぞみー!」ギュギュ-!

希「はいはい、よしよし」ナデナデ

絵里「希っ! 希っ!」ギュー

希「絵里ちはたまーに無理するからね。だから、ウチがちゃんと支えたげる」

絵里「うんっ、うんっ! 私には希パワーが必要なの!」

絵里「これからもたくさん、たくさん『絵里ち』って呼んで」

希「絵里ち。絵里ち。えーりち♪ ウチにも絵里ちのパワーが必要なんよ」

絵里「のぞみーっ」ギュゥ



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絵里「ねえ、希?」

希「ん?」

絵里「さっきの60点なんだけど、後の40点はどこに?」

希「ああ、それね。まあ、一言で言うと、ぽんこつすぎんよ、絵里ちは」

絵里「ぽ、ぽんこつ・・・?」

希「まずは乱暴すぎなのがダメやったね」

絵里「・・・・・・・そうね・・・・・」シュン...

希「ウチ、本当に怖かったんよ?」

絵里「ごめんなさい・・・・・返す言葉もないわ・・・・」



希「後な、絵里ち」

絵里「・・・・?」

希「ちょっと餃子臭いで」

絵里「・・・・・ごめん」


希「次に告白の言葉。なんなんあれ? 好きだとか愛してるとか何のひねりもない言葉をただ叫んでるだけやん。青春映画の男子中学生じゃあるまいし。ご近所迷惑やん」

絵里「・・・・・さっきも言ったけど、本当は色々と言葉を考えてたの。でも、希に告白するって思うと、頭が真っ白になっちゃって・・・・・」

希「ほーん。じゃあ、その考えていた言葉、今ちゃんと聞かせてよ」

絵里「えっと・・・その・・・。ま、またの機会に・・・」アセアセ

希「そうやってヘタれんのもあかんなー」

絵里「・・・・・・」ウツムキ





希「コホン・・・まあ、ええわ」

希「それと、ウチを好きになった理由。ウチと一緒だと落ち着くって言っとったけど、それじゃあまるで熟年夫婦やん。ロマンチックの欠片もない。恋人やったらドキドキするとかじゃないん?」 

絵里「そうかしら? でも、私、今すごくドキドキしているんだけど」

希「ふーん。そうなんや。実はウチも今はすごくドキドキしてる。心臓が飛び出そう」

絵里「夫婦になった後に恋人になっちゃた?」

希「ふふっ。なんや、ウチら順番があべこべやね」クスクス

絵里「あはは、そうね。おかしい」クスクス



絵里「・・・・ねえ、希」

希「なあに。絵里ち」

絵里「私たち。ずっと一緒にいてもいいのよね」

希「ん。そやね」

絵里「・・・・もう一回抱き着いていい?」

希「ん。今度は優しくね」

絵里「分かってるわよ・・・それじゃ。ん」ギュ

希「ん」ギュ

絵里「ふふ、幸せ」

希「ウチも」

絵里「これからもよろしくね」

希「うん! いつか、二人で占い喫茶店できたらええね」

絵里「もう、希ったら。ふふ。きっとね」離れ

希(あっ・・・もう、離れちゃうん・・・? もうちょっとくっついていたかったけど)シュン



絵里「・・・・」希の手取り

希「ん? 絵里ち? ウチの手に何か付いてるん?」

絵里「ええ、これから付けようかと思っているのだけど、いいかしら」スッ

希「へっ?!/// そ、それ・・・?/// 指輪?//」

絵里「ええ、キルトを指して作ったの。布製だからちょっとおもちゃみたいで子供っぽいかしら?」

希「ううん!/// キルトのお花すごく可愛いと思うよ?/// さすが絵里ちやね。こんな可愛いのを手作りできちゃうなんて」

絵里「ふふ、ありがとう。付けてもいいかしら?」

希「ぅ、ぅん・・・どうぞ///」

絵里「はい、それでは失礼して」スッ....

希「っ?!////」ドキンッ

希(な、なんのためらいもなく、左手の薬指に・・・!///)ドキドキ

絵里「付け心地はいかがですか、姫様」

希「姫って/// う、うん。とっても可愛いと思う・・・よ///」

絵里「お気に召しまして、光栄です」チュ

希「っ~~~~?!!!!!!///////」

希(手の甲にキスされた!!///)バクバク




絵里「・・・・♪」ニコッ

希(んなっ?! 何それ! 何それぇ~?!///)ドキンッ

希(その目! 澄んだ青い瞳でウチの事見つめるの、反則!)ドキドキ

希(その髪! ちょっと顔傾けて綺麗なサラサラの金髪揺らすの、反則!)ドキドキ

希(その顔! その本当に幸せそうな笑顔!! ・・・ウチより身長高いくせに、下からウチの事見上げるように、その笑顔って・・・反則!!!)ドキドキ


希(・・・・いきなりの指輪とか・・・反則だって・・・///)ドキドキ

希(ヘタレぽんこつだと思った矢先にこれだもん・・・。賢すぎるやろ、もう・・・絶対100点だよ、こんなの・・・////)ドキドキ バクバク




絵里「希」

希「ひゃい?!///」ドキンッ


絵里「・・・・今はこんな手作りな物しか用意できないけど、いつか必ず・・・永遠に残るしっかりした指輪を用意するわ。その時にまた、受け取ってもらえるかしら?」

希「・・・・!」





希「・・・・・・・は、はい」コクン

絵里「ふふ//」

希「あはは///」










おわり



第2話:片メガネ
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穂乃果部屋

いつものように集まっているいつもの三人。



海未「何ですか、それ? 片メガネ?」

ことり「未来的というか・・・なんか斬新なデザインだね」

穂乃果「これはねー、妹力スカウターだよ」

ことり「どうしたの、それ?」

穂乃果「ロボット部の人にもらった」

海未「妹力・・・?」

穂乃果「妹力っていうのは、妹らしさの度合いの事。ちなみに妹とは、

・兄から見て、恋愛対象になるくらい可愛い。
・年齢が1つ若いだけでも、まるで子供のように若々しい。
・血がつながっていないのが本当の妹であると以前はされていたが、最近は実妹もOKになったようである。
・男性を「お兄ちゃん」と呼ぶ同い年の同居人はこれに定義されるかどうかは微妙である。
・アグミオン。
・都市伝説の一種とされることもある。(主に三次元に生息する兄からの意見)
・ふすま一枚へだてて眠っていることもある。
・「早く街に ガスや電気や電話や水道が つくといいな」と木琴を叩きながら言ったりもする。
・ある日突然12人の妹ができ、しかも全員がお兄様を慕ってきた事例が存在する。(トミタケ・プリンセス)。
・注意して取り扱わないと爆発する恐れがある。
・20000体の妹達が生産されているとか・・・
・暇になると、バルサミコ酢~!!!と叫びたくなるようである。

のことだよ。※『妹(いもうと)とは』、出典:アンサイクロペディア」


ことり「ば、爆発・・・?」

海未「ちょっと何言ってるか分からないです」

穂乃果「つまり、妹力が高ければ高い程、健気で姉思いで、守ってあげたくなっちゃうような可愛さがあるって事だよ!」

海未「は、はあ・・・。それで、その妹力スカウター? と何の関係があるんですか?」

穂乃果「この妹力スカウターで、調べたい人の妹力が分かるんだよ」

穂乃果「例えば、海未ちゃんの妹力は」ピピ

穂乃果「5だね」

海未「それは高いんですか? 低いんですか?」

穂乃果「5が一般的な数値だって教えてもらったよ。ことりちゃんも見てみよう」ピピ

穂乃果「12だね」

海未「ちょ、ちょっと待ってください。実際に妹である私が一般的な数字っておかしくないですか? それにことりと比べて2倍以上も離されているなんて・・・・」

穂乃果「実際に妹であるかどうかは重要じゃないんだよきっと。さっきも言った通り、守ってあげたくなっちゃうような可愛さを調べる機械だから」

ことり「海未ちゃんは守ってあげたくなっちゃうというより、守ってくれそうな格好よさがあるもんね♪」

海未「は、はあ・・・。いまいち腑に落ちないですが」




ガチャ、


雪穂「お姉ちゃーん。お茶淹れてきたよー」

穂乃果「ありがとー」

ことり「ありがとう雪穂ちゃん♪」

海未「いつもお世話掛けます雪穂」ニコ

雪穂「べ、別にこれくらい・・・///」テレ

ことり「雪穂ちゃんはかわいいなあ・・・あ、そうだ! ねえねえ、穂乃果ちゃん。雪穂ちゃんの妹力はいくつかな?」

穂乃果「あっ! それ気になる」スチャ

雪穂「な、何なのそのけったいなメガネは」

穂乃果「雪穂の妹力は・・・」ピピ

穂乃果「322! すごい高い!」

海未「322?! ・・・ま、まあ、雪穂なら納得できなくはない数字ですね」

ことり「そうだね~。雪穂ちゃんはしっかり者だし、お姉ちゃんのこと大好きだもんね」

雪穂「な?!/// 何言ってるんですかっ!?///  べ、別にお姉ちゃんのことなんか、そ、そんなに好きじゃないし・・・///」ボソボソ

穂乃果「え・・・・雪穂・・・私のこと嫌いだったの・・・?」ウルッ

雪穂「ちがっ・・・!」オロッ

穂乃果「違うのっ?!」パァ

雪穂「うっ・・・。か、かっ、勘違いしないでよね! お姉ちゃんみたいなだらしない人なんか―――」



穂乃果「ん? こ、これは・・・?!」ピピ↑

海未「穂乃果? どうしたんですか?」



雪穂「―――ベッドの上でお菓子食べたり、ゴロゴロしながらパン食べたり、お風呂沸かすときにタイマー付け忘れるし、ゴミをすぐにゴミ箱に捨てなかったり―――」ゴニョゴニョ



穂乃果「1020・・・1030・・・・まだ上がる?!」ピピ↑

穂乃果「雪穂の妹力がどんどん上がってる?!」ピピ↑



雪穂「―――と、とにかく、別にお姉ちゃんのお世話するのが嫌いってわけじゃないってだけなんだからねっ!///」タッ



バタンッ


ことり「あ、雪穂ちゃん行っちゃった。意地悪し過ぎちゃったかな」

穂乃果「す、すごい・・・。1330だ。でも、まだ上がりそうだったよ・・・」

海未「1330・・・。私が5だったのに比べると物凄い妹力ですね。というか妹力って簡単に変わるものなんですか?」

穂乃果「ううん。基本的には地道にトレーニングを積まない限りは妹力は上がらないはずだよ。でも、雪穂みたいに一瞬であれだけ急激に上がるのはツンデレ族だからかもしれない」

海未「ツンデレ・・・?」

ことり「ツンデレっていうのは、好きな子に対して普段はツンツンと素っ気なくしちゃうんだけど、ふとしたことがきっかけでデレデレと甘えちゃう子のことだよ」

海未「なるほど。要は素直ではないということですね。では、雪穂がツンデレ族であるのに間違いはなさそうですね」


穂乃果「そうだねー」


穂乃果「この妹力スカウター、面白いからもっと他の子にも使ってみたいなー」







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翌朝 部室


ガチャ


穂乃果「おはようございまーす」

凛「穂乃果ちゃん! おっはよー!」

花陽「おはようございます」

穂乃果「あちゃー、今日は早く起きられたから一番乗りかと思ったのに」

凛「えっへへー。早さならだれにも負けないよ!」

ガチャ

海未「おはようございます。凛、そんなこと言って、どうせ花陽に起こしてもらいに来たとかじゃありませんか?」

凛「ぎくぅ!」

ことり「おはよー」

花陽「おはよう、海未ちゃん、ことりちゃん」

穂乃果「他の人はまだ来てない?」

花陽「うん、まだだよ」

穂乃果「そういえば、練習の時間までちょっとあるね。・・・よし、それまであれを使ってみよう!」

花陽「あれって?」

穂乃果「じゃーん、妹力スカウターだよ」

凛「うおー! ・・・? なにそれー? 変な形―」

海未「なっ! 穂乃果! またそんな勉学に不要な物を学校に持ち込んで・・・・! この前、希にさんざん怒られたではありませんかっ!」

穂乃果「うっ・・・。で、でも! これは全部ロボット部の人が作った・・・えーっと・・・そう、作品だよ! 図工で作った作品を学校に展示しているのと同じだよ!」

海未「また、そんな屁理屈を・・・」

穂乃果「屁理屈じゃないもん! 穂乃果が使い心地を調査しているの! 後でロボット部の人達にちゃんと報告する!・・・・ということで、早速二人を測定しちゃうよ!」

海未「あ、ちょっと! ・・・もう、いいです・・・」

海未「・・・・・私もちょっと興味ありますし・・・」ボソッ

穂乃果「二人とも可愛いから期待できそう、まずは花陽ちゃん」ピピ

花陽「ふぇ?」キョトン


穂乃果「4000だ!! すごいよ!! 雪穂より全然高い!」

ことり「ふふ、私の自慢の妹だもん♪」

花陽「あ、あの・・・ことりちゃん、それは秘密って・・・///」モジモジ

海未「おお、4000ですか、すごいですね。しかし、まだ分かりませんよ。雪穂はツンデレ族ですからね。新の妹力を秘めているに違いません」

凛「む~・・・。凛は? 凛はっ?!」グイグイ

穂乃果「ちょっと待ってねー。凛ちゃんは」ピピ

穂乃果「うっそぉ!!? 18000!!!」

海未「ふふ、さすがです凛。こっちへいらっしゃい」

凛「う、うみちゃん・・・・てへへ」スリスリ

海未「リボンが曲がっていますよ。直してあげます。全くなっていませんね」

凛「ご、ごめんなさい」

凛(直してもらいたくてわざと適当に付けて来たなんて言えない///)デレデレ


ガチャ


にこ「にこにー、にっこにー、にっこにこにー。みんな~? 待った~?」

穂乃果「あっ、にこちゃんおはよー」

にこ「おはよ・・・って、なんなのよあんた、その変な片メガネ」

穂乃果「これはねー、妹力スカウターだよ」

にこ「はぁ?」

穂乃果「妹みたいにかわいい子ほど妹力が高いの。その妹力を調べられる機械だよ。ちなみに今の所のトップが凛ちゃんの18000だよ」

にこ「ふーん。それじゃあ~、にこみたいに~、かわいい子は~、10万ぐらいの妹力があるってこと~?」キャルン

海未「そうですね。にこみたいなちんちくりんは案外高い妹力かもしれません」

にこ「あんた喧嘩売ってる?」

穂乃果「にこちゃんの妹力はー」ピピ

穂乃果「1だよ」

にこ「は?」

穂乃果「1」

海未「ぷ、くくっ・・・私より低い・・・!」クスクス

にこ「くっ! なんか腹立つわね。それ壊れてるんじゃないの?」


ガチャ


絵里「おはよう、みんな」

穂乃果「おはよう、絵里ちゃん!」

絵里「あら? 穂乃果。それ妹力スカウターじゃない」

穂乃果「絵里ちゃん知ってるの?」

絵里「ええ、私もロボット部の人にもらったから。穂乃果はみんなの妹力を測ってたの?」

穂乃果「うん! 海未ちゃんが5でー・・・」

絵里「5ってことは一般的な値ね。まあ、海未だったらそれくらいかしら」

穂乃果「ことりちゃんが12でー・・・」

絵里「12ねえ。確かにことりは可愛いらしさはあるけれど、妹っていうより優しいお姉さんって感じだものね」



穂乃果「花陽ちゃんが4000、凛ちゃんが18000だった!」

絵里「あらなかなかね。ちなみに亜里沙の妹力は24000だったわ」

海未「なっ!?」

凛「そんにゃ~・・・負けた」

穂乃果「あー確かに亜里沙ちゃん、かわいいもんねー」

絵里「当然ね。私の妹よりかわいい妹はいないわ。この前だって、暗くて怖いからって涙ぐむもんだから、仕方なく一緒におトイレ行ってお風呂入って同じベッドで寝たもの。全くもう・・・・これから高校生なんだからもう少し賢くなって欲しいと思うのだけど」デレデレ

凛「それ絶対、絵里ちゃんと亜里沙ちゃん逆だにゃ~・・・」

海未「なんと見苦しい・・・」



絵里「・・・・・」

絵里「・・・・穂乃果?」

穂乃果「ん?」

絵里「ち、ちなみに。ゆ、雪穂さんの妹力はいくらだったのかしら・・・?」チラッチラッ

穂乃果「雪穂は、1330だったよ」

絵里「ま! あ~ら~。1330~? まあ、低くは無い方じゃないかしら~?」フフン

海未「絵里。あまり調子に乗らないでください。雪穂はツンデレ族ですよ」

絵里「な、なんですって?! ツンデレ族は感情の揺らぎによって瞬時に妹力を大きく変化させることができると聞くわ・・・・めったにないタイプなんだけど・・・油断できないわね・・・!」



にこ「なんなのよ、あんたたち・・・」

絵里「そういえば、にこはいくつだったの?」

穂乃果「1だったよ」

にこ「ぐっ・・・」

絵里「いち?! ぷっ」

にこ「なんで笑うのよ!」

絵里「ぷっくく・・・ごめんなさい。でも、姉力だったら、かなり高いんじゃないかしら?」

穂乃果「姉力?」

絵里「あら? 穂乃果は知らないの? 姉らしさの度合いの事よ。ちなみに姉とは、

・腐女子含有率・腐女子発症率が異常に高い。特に男兄弟がいない場合、腐女子含有率・腐女子発症率は格段に高くなる。
・エクストリームスポーツの「エロ本隠し」においては、母親に次ぐ実力を持つ。
・弟に対しる半端ない権力とコンプレックスを持っている。つまり、ブラコンである。
・妹に対する嫉妬およびコンプレックスを持っている。これはただのリア充への嫉妬である。
・指導力や統率力の面で優れ、尊敬される者もいる。ただし、この場合はしばしば「姐さん」と表記され、血縁では無関係なことも多い。
・上記とは全く逆で、美貌、ほのぼの、おっとり、ドジ、天然ボケ、巨乳、長身などを備えるタイプも極々稀に存在する。
・これについて「妹同様、空想上の生物である」という説がある。
・女子校などで、先輩・後輩関係の発展系として(血縁に関係なく)姉妹関係を結ぶ場合も見られる。この場合は上記とは異なり上下関係がはっきりしている。また、最終的にラブラブな関係になることも少なくない。
・ただし、この場合における「姉」は「お姉さま」とも呼ばれ、「妹同様、空想上の生物である」という説がある。

のことよ。※『姉(あね)とは』、出典:アンサイクロペディア」



ことり「凛ちゃんは、海未ちゃんのことをこっそりお姉さまって呼んでるよね?」

凛「にゃ?! なんでそのことを・・・///」

海未「ちょ、ちょっと何言ってるか分からないですね///」

絵里「要は、姉力とはその名の通り、賢くて、可愛くて、面倒見が良くて、優しさと厳しさを金揃えて包容力のある人の度合いの事よ!」

絵里「穂乃果、その妹力スカウターに付いているボタンを押すと姉力スカウターに切り替えられるわ」



穂乃果「え、本当? 知らなかった。ここを押すんだね」ポチ

絵里「ええ。使ってて思ったけど、機能を切り替えるのにいちいちボタンを押さなきゃいけないのがちょっと面倒だけどね」


穂乃果「よし、試しに海未ちゃんの姉力を測ってみよう」ピピ

海未「あら。どうです?」

穂乃果「うわあ! すごい! 22000だよ!」

ことり「海未ちゃんは面倒見が良くて厳しいけど優しいもんね。納得の数値だね!」

海未「そ、そうですか? ふふ///」テレテレ

穂乃果「ことりちゃんはー」ピピ

穂乃果「23000!」

海未「ぐっ、負けましたか・・・! 悔しいですが・・・・ことりは優しさと包容力の塊のような方ですからね。不思議ではありません」

ことり「ふえぇ、恥ずかしい///」

花陽「さすがことりお姉ちゃん・・・です///」ボソ

凛(凛の中では海未ちゃんが一番のお姉さまだよ///)



絵里「ふふん。二人ともまだまだね!」

海未「絵里・・・・そういうあなたの姉力はいくらなんですか?」

絵里「私? 私の姉力が知りたいの? 賢くて可愛い私の姉力を? しょうがないわね~。教えてあげてもいいけど~~?」

海未「いえ、やっぱり結構です」キッパリ

絵里「私の姉力は12万よ!」

海未「はあ・・・」

凛「本当かな~。あやしい」

穂乃果「さすが絵里ちゃん!!」

絵里「ふふん」ドヤァ


穂乃果「それじゃあ、にこちゃんの姉力は、いくつかな?」ピピ

にこ「ちょっと勝手になにやってんのよ」ムスッ


穂乃果「うわぁ!?!!!」ボンッ!! プスプス....

にこ「え?! な、なに、壊れたの?」

海未「大丈夫ですか穂乃果?!」

穂乃果「う、うん、私は大丈夫だけど・・・」

にこ「やっぱり不良品じゃない。私の妹力1ってのもデタラメね」

絵里「い、いや・・・穂乃果のスカウターは旧型だから、多分、オーバーレンジだったのかも」

絵里「私の持っている姉力スカウターを使ってみるわ。これは最新式だから」ピピ


絵里「!!!」


にこ「な、なによ? いくつだったわけ?」

絵里「ごっ、53万・・・」

海未「53万!!!?」ビクッ

ことり「う、うそ・・・私の20倍以上なんて・・・」ガクブル

にこ「ちょ、ちょっとなんなのよ・・・。にこをバケモノみたいに見ないでよ」

絵里「信じられない・・・・・いや、でも、よく考えてみれば・・・・」

海未「そうです。にこは実際に姉ですし、三人の妹と弟の面倒を母親に代わってしています。それでいて妹と弟にとても好かれていますので、十分な優しさと包容力があると言えるでしょう・・・・」

花陽「それににこちゃんはアイドルの意識もすっごく高いです! 厳しいけど、アイドルについての知識や心構えとか色々な事をちゃんと教えてくれます!」

ことり「うん! にこちゃんはちょっと言葉が厳しいこともあるけど・・・衣装のアイディアはすごく参考になるの!」

凛「それだけじゃないにゃ! お料理もすっごく上手なんだよ! この前にこちゃんが作ってくれたラーメン! すっごくおいしかったにゃ~・・・」ジュル

海未「きっとおいしいだけではないでしょう。安くて栄養のある食材を選んで揃えたり、小さい子達に配慮した調理もしているんでしょう」

穂乃果「さすがにこちゃん! 文句のつけようがない姉力だね!」

絵里「参ったわ、にこ・・・・あなたが最高の姉よ・・・」

にこ「な、なによ/// あんたたち急に・・・。そんなに褒めたって何にも出ないわよ///」プイッ

絵里「・・・・!! こ、これは!」ピピ↑

穂乃果「どうしたの絵里ちゃん?!」

絵里「にこの姉力が・・・・さ、さらに上昇している・・・!!?」ピピピピ↑↑

海未「ど、どういうことですか!? ま、まさかにこは・・・」

絵里「そう、そのまさかね・・・・にこは・・・・」ピピピピピピピ↑↑↑

ことり「通常時に53万の姉力を持ちながら・・・」ゴクッ...

絵里「さらにツンデレ族・・・きゃあ!!」ボンッ!! プスプス...

穂乃果「絵里ちゃん!」

絵里「私は大丈夫よ、安心して。だけど、最新式姉力スカウターまでもが壊れてしまった・・・・。ちなみに、にこの姉力は120万までは見えたわ・・・」

穂乃果「にこちゃんの姉力は120万以上・・・・」

海未「にこ、あなたはもはや神の領域にいます」


ガチャ


真姫「にこちゃんが神様? なにをバカなこと言っているのあなたたち」

希「遅れてごめんなー」

絵里「真姫、希・・・。」

海未「ああ、もうこんな時間ですか。練習始めましょう」





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翌日 ロボット部



絵里「失礼しまーす」ガチャ

穂乃果「しまーす」




http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira096952.png



睦月「おお、君たちか。よく来たね」

穂乃果「こんにちはー」

絵里「ごめんなさいね。せっかく頂いた妹力スカウター壊してしまった上に直してもらって」

睦月「なに、気にすることは無い。むしろ感謝しているくらいだ。研究者というのは失敗を経験し、それに対応して、改良して、そうやって日々進歩するのだ! 失敗は成功の元なのだ!」

睦月「そんな失敗を提供してくれた君たちは素晴らしい! やっぱり君たちに吾輩の発明品を託して正解だった! カッカッカッ!」

穂乃果「睦月ちゃんカッコイイ!」

絵里「ふふっ。頼もしいわ」

睦月「むふふ! そうだろうそうだろう!」

睦月「さて、スカウターの方だが。ほれ、約束通り直しておいたぞ」

穂乃果「おおっ。ありがとう!」

睦月「それにしても、最新型のスカウターもオーバーレンジで壊れてしまうとは驚いたのだ。矢澤にことか言ったか? その桁外れの姉力を備えていたのは」

絵里「ええ。確かに姉っぽさでは、随一の子ね」

睦月「ふむふむ。世の中には面白い人間がいるのだ」

穂乃果「またこれで遊ばせてもらうけど、また壊しちゃったらごめんね」

睦月「何も恐れることはないぞ、少女よ!」

睦月「そのスカウターは失敗を踏まえて改良したからな」

穂乃果「改良? なになに??」


睦月「それはなんとー! 高感度オートレンジ機能を搭載したのだ! これで理論的には無限大まで妹力・姉力が問題なく測れるぞ」

穂乃果「無限大?! すごい!」


睦月「それだけではない! 従来の機能である、妹力・姉力に加え、この改良型には母力測定機能も搭載したのだ!」

絵里「へえ。機能拡張したのね」


睦月「まだまだあるぞ! 改良前は妹力・姉力の測定には、いちいちボタンを押して機能を切り替えるのが面倒だと言っていただろう。だからこの改良型は、ボタンを押さなくても、妹力・姉力・母力が同時測定され、同時表示されるようにしたのだ!」

絵里「あら、いいわね。これで随分使い勝手が良くなるわ」

睦月「なーに。的確な意見を提供してくれる君たちが優秀なモニターと言えるからだよ」

穂乃果「ありがとう! ありがとう! さっそく使ってきてもいい?」

睦月「ああ、そうしたまえ」

睦月「もし壊してしまったら、また持ってくるのだ! 何度でも直して、何度でも改良するのだ!」

絵里「ええ、ありがとう」







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穂乃果「すごいねー。睦月ちゃん」

絵里「ええ、本当にすごいわ。・・・短時間にこれだけのことをやれる技術があるのに、なんで書類審査で落選するのかしら、我が校のロボット部は・・・」

穂乃果「努力の方向性を導いてくれる人がいないからだよ、きっと」

絵里「そうね・・・無秩序なのは良くないわ。ちゃんとした顧問が必要なんだろうけど・・・。かといって、オトノキは女子高な上に元々音楽学校なわけで、工学の知識がある先生なんているかしら・・・」

穂乃果「う、うーん・・・。物理の先生とか? 今度聞いてみるよ」

絵里「それがいいわ」



穂乃果「あっ、そうだ」

穂乃果「ねえねえ、絵里ちゃん。さっき睦月ちゃんが言ってた母力ってなに?」

絵里「母力とは、母らしさの度合いの事よ、ちなみに母とは

・古より、慕われる者の代表であった雰囲気がある。「母さん」「おふくろさん」などといった歌謡曲が沢山あることがその象徴である。ただし、勝手に歌詞を変えたり付け加えたりすると作詞者から「もう歌ってくれるな」と言われてしまったりもする。
・ただその権力が膨大になりすぎ、それなしでは行動できなくなる、いわゆる依存症になってしまう者が後を絶たない。
・エロ本隠しや答案隠しといったエクストリーム・スポーツにおいても最強のプレーヤーの1人である。
・非常に強引で人の話を全く聞かない上、議論中に運よく追い詰めても「飯抜き」や「ゲーム禁止」等の奥義を使われ逆転負けする。母との口喧嘩は絶対に勝てないイベントバトルだと割り切って挑もう。

のことよ。※『母(はは、まざあ)とは』、出典:アンサイクロペディア」


穂乃果「そうそう。うちのお母さんも話良く聞いてくれない事しょっちゅうあるよー」

絵里「大分個人差があるような気もするけど」


絵里「さて、妹力スカウターが直ったから、まずやるべきは」

穂乃果「希ちゃんと真姫ちゃん、まだ測ってないよね」

絵里「ええ、特に真姫。恐らくあの子は・・・」

穂乃果「うん、私もそう思う。真姫ちゃんはツンデレ族だよね」

絵里「ええ、昨日はにこの姉力でびっくりしてしまったけど、妹力は今の所は亜里沙がトップ。亜里沙より高い妹力なんて認めるわけにはいかないわぁ」

絵里「真姫になんとかツンデレを発動させた状態で、妹力を測って、亜里沙がNo.1妹ってとこを証明したいわね」

穂乃果「でもツンデレってどうやって発動させるの?」

絵里「それは、簡単よ。私に考えがあるから大丈夫」

穂乃果「そっかー。それと、希ちゃんの母力と姉力も気になるよね」


絵里「そうね。でも、それより、気になることがあるの、私」

穂乃果「え?」

絵里「もう一人いるじゃない。ちゃんと妹力測ってない子が」

穂乃果「え? だれ?」

絵里「あなたよ。穂乃果」ピピ

絵里「えーっと・・・母力:5、姉力:8000、妹力:24000」



穂乃果「・・・・・」

絵里「・・・・・」



絵里「ど・・・どーいうことよ!これは!」

穂乃果「知らないよ! 穂乃果の方こそ納得いかないよ! 私実際にお姉ちゃんなのに、姉力が海未ちゃんの半分以下! なんで?!」

絵里「そこじゃないわよ! なんで妹力が亜里沙と同点なの?!」


ギャーギャー







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放課後 アイドル研究部 部室



ガチャ


真姫「にこちゃん、来てあげたわよ」

真姫「・・・・なによ、誰もいないじゃない。人を呼び出しておいて遅れるなんてどういうことよ」




部室窓外・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

穂乃果「真姫ちゃん来た」コソコソ

絵里「にこにはしばらく後に来るように言ってあるわ」コソコソ

穂乃果「とりあえず、真姫ちゃんを測ってみよう」ピピ

穂乃果「母力:5、姉力:206、妹力:206」

絵里「大した妹力じゃないわね。だけど・・・」

穂乃果「うん。ツンデレが発動してからが本番だよね」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




真姫「ま、いいわ、座って待ってましょ」ストン

真姫「・・・・ん? これは何?」




部室窓外・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

絵里「気が付いたわね真姫。さあ、それを手に取って読むのよ」

穂乃果「ねえ、あの本なに?」

絵里「ふふ。詳しくは言えないけど、まあ、起爆剤とでも言っておきましょうか」

穂乃果「ふーん?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




真姫「誰の本かしら・・・?」ペラッ




『いずみ様・・・』
偶然にも、鍵のかかった生徒会室に二人きりになってしまった。
実際は偶然ではなく、いずみの根回しによる結果である事など、りほは知る由もない。
いずみの魅惑的な容姿や優雅な所作。それらから溢れ出る色香が密室の空間に満たされる。それに晒されたりほが精神を自制できなくなるのに時間はかからなかった。
りほは、徐々に気持ちが昂り、顔や体赤く染め上げていく。
『さぁ、自分でスカートを脱ぎなさぁい。しっかり見ていてあげるから~』
いずみはマダムを思わせるセクシーな声色で、語尾を伸ばす特徴的なしゃべり方をする。それを耳にするだけでりほは頭がクラクラするような感覚に陥る。
いずみは生徒会長のために用意されている豪奢な椅子に腰を掛け、脚を組んでいる。細く長い脚がスカートから惜しげもなく露出され白く輝いているように見える。
いずみは机の上に肘をついて頬杖をしながらりほを眺めている。
大人っぽい妖艶な雰囲気を醸し出しながらりほに舐めるよな視線をやる。
『は、はい』
いずみの命令に素直に従うりほ。
いずみの声、視線、佇まい。それだけでりほはすっかりいずみに支配されてしまっていた。こうなってしまったら、もはや抗うことは決してできない。
りほはまるで糸で吊るされた操り人形のようにスカートのホックに手を掛ける。
しかし緊張で手が震えて上手くホックが下がらない。
『あ・・・えっと』
もたもたしていたらいずみ様に嫌われてしまう。そんな考えがりほの頭に駆け巡るが・・・。
『うふふ~』
いずみはりほを急かさなかった。むしろ、焦るりほを眺めながら、それを楽しんでいるようだった。
『あっ・・・』
りほが震えた手でホックをガチャガチャしていると、ストンっと、予想しないタイミングでスカートが落ちてしまう。
『あら?』
『ううっ』
ひまわりの花柄がプリントされたショーツ。
子供っぽい趣味だと思われる事の羞恥心もあったが、それより言いつけを破った事に対する罪悪感に苛まれて、りほは思わず顔を両手で隠してしまう。
『貴女、なんでパンツを履いているのかしら? 私がパンツ嫌いなの知っているでしょ?』
『こ、これは違うんです・・・! あのっ、そのっ、・・・この前友達の家に泊まりに行ったとき、借りたもので・・・』
『へぇ? しかも、私の許可なしに外泊をしたのかしらぁ?』
『あっ・・・・えっと。本当に親しい友達で、家族みたいな子だから・・・』
『ふーん。私に言い訳をしているの?』
『そ、そんなことは・・・』
『おしおきが、必要ねぇ』
いずみは組んでいた脚をほどき、立ち上がってりほに近づく。
片手でりほの頬に軽く触れ、もう片方の手で、りほの手を握りしめ、指を絡める。
『あっ・・・いずみ・・・様・・・』
いずみは長髪で長身の持ち主。更にレースクィーンのようなスラッっとした体躯だ。いずみ程、美人という言葉が合う人間もそうそういない。
そんないずみに見下ろされ、微笑を含んだ目に見つめられ、りほは意識が遠のくような感覚に陥る。

ガチャガチャ―――
鍵が掛けられている生徒会室のドアに鍵が差し込まれる音がした。
『あらあら? 誰かしら?』
『えっ・・・・?』
りほは誰かが入ってくることに戸惑う。
それに対して、いずみは、生徒会室を開けられるのは生徒会の役員だけであることを知っているので、冷静であった。
二人はドアを見つめて誰が入ってくるのかを待った。
バンッ
『りほ!』
鍵が解除されて勢いよくドアが開かれる。入ってきた人物はりほの名前を強い声で呼んだ。
『あっ・・・すずこ先輩・・・?』
『あらあら。すーちゃんじゃないの』
入って来た人物に少しだけ意表を突かれるいずみ。すずこは生徒会の役員ではない。
他の役員から鍵を借りたのであろう。
意表は突かれたものの、すずこもいずみにとっては後輩だ。冷静な態度は崩さなかった。
『どうしたのかしら、そんなに慌てて。お茶あるから、これでも飲んで落ち着いて。このお茶は海外から取り寄せたお茶で、とある美人声優さんが書いてる“橘田いずみのザ・餃子”っていう本に紹介されているから是非皆さん見てください。Amazonでもお求めでき』
『りほ!? 大丈夫っ?!』
『え、あ・・・きゃあ!』
りほはスカートを降ろした状態だ。それを思い出したりほは、思わずその場に屈んでしまう。
『いずちゃ・・・いずみさん! あなたという人はっ! 私だけでなく、そら、みこい、そして今度はりほですかっ!!? 私の部の子にまで手を出すなんて一体何を考えているんですかっ!!?』
同じ部の大事な後輩であるりほが痴態に晒されている。その現場を見たすずこは怒りがこみ上げ、声を荒げ、いずみを鋭い目で睨みつける。
『うふふ。いずみさんって何? いつも通りいずちゃんて呼んで』
『とぼけないでください!』
『もう、なんでそんなに怒っているのぉ?』
いずみはそう言うと、屈んでいるりほを両手で抱きかかえ、軽々と持ち上げてしまう。
『ひゃ?! い、いずみ様、一体何をっ?!』
突然のことに、すずこは呆然としてしまう。いずみは一体なにをするつもりなのか。
いずみはりほを抱きかかえたままソファーに腰を掛ける。
『ねえねえ。すーちゃん。もしかして、ヤキモチ妬いてる?』
『なっ?! ちがっ・・・・・? うぅ・・・』
“違う”。すずこは、反射的にはっきりとそう言って否定するつもりが、何故か途中で言葉が詰まってしまう。
違う”。そんな短い言葉なのに、どうして言えなかったのだろう。すずこは自分のことが理解できずに、頭が混乱してくる。
すずこは大事な後輩であるりほを守りたいという気持ちがある反面、今までのいずみとの付き合いを思い出してしまって、考えがまとまらなくなっていた。
いずみはしょっちゅうすずこにちょっかいを出していた。
人前であろうが手を握ってきたり、腕を組んで来たり、頬を摺り寄せてきたり、お尻を撫でてきたり、
無理矢理すずこの口にポッキーを突っ込んで、すかさず反対側から食べ進むポッキーゲーム(強制)をしてきたり、
肩甲骨の写真を撮られたかと思ったら、それを額縁に飾って眺めていたり、
一緒のお風呂に入った時にはお尻をジロジロ見てきたり、
おいしくてヘルシーな餃子の作り方を教えてくれたり、
百合漫画を使ってあっち側に引き込もうとしたり。
あまりの過剰なスキンシップにすずこも嫌々になり、その度に『やめてください』と拒絶していた。それが返っていずみを喜ばせているのか、いずみのすずこに対するスキンシップは日に日に増える一方だった。

『私は・・・』
今までのことなど関係ない。そら、みこい、そしてりほ―――大事な後輩達に手を出したいずみのことなど嫌いだ。すずこは頭の中でそう自分に言い聞かせる。しかし、その考えがスムーズに口から出ない。いずみを否定する言葉を声に出せないすずこは、『なんでなんで』と頭の中で自問自答する。
逡巡をしているすずこを見たいずみは、一言をすずこに投げかける。
『すーちゃんは。私と一緒にいたら嬉しいでしょ?』
『っ!!』
すずこの頭の中で考えていた事と真逆の事を言われ、そんなことはありえないと思いつつ咄嗟に声は出すものの、それは言葉ならず、ハッキリと言い返すことができなかった。
いずみと一緒にいられたら嬉しい―――それは、すずこが胸の奥底に無理矢理押しこんでいた気持ちだった。自問自答で得られなかった回答を、ずばりといとも簡単にいずみに言い当てられてしまい、すずこはどうすることもできずに放心する。
すずこは思い返す。『やめてください』と口では何度も言いつつも、すずこは自分からいずみと距離を取ろうとしたことなどは一度も無かった。
だから、いずみの言うことは間違っていない。
すずこはそれを理解した瞬間に、視界がグラグラと揺れ始める。
『すーちゃん。私は可愛い女の子が好きなだけ。みこちゃんも、そらも、りっぴーも。みんな好き。そしてもちろん、すーちゃんも大好き』
『・・・・』
『ほら、見て見てすーちゃん』
『・・・・!』
いずみが袖を捲り、肘を曲げる。すずこはいずみの露わになった腕に視線が釘付けになる。
『この力こぶ、すごいでしょ? ほら、手首の所も筋ができたの。すーちゃんのためにビリーで鍛えたんだよ』
いずみは筋肉質な腕を見せつけるように、自分の太ももに座らせているりほの頭を片手で抱き寄せ、自身の頬とりほの頬を合わせる。
りほは、いずみのフェロモンに直に触れてしまい羞恥を通り越して放心している。目の焦点が合わず、虚ろの表情を浮かべている。
そして、いずみは空いているもう片方の手をすずこの方に向けて伸ばす。
『すーちゃん。おいで』
甘い、甘い。はちみつのような甘い声。しかし、その表情は、妖艶な女王の微笑。
それらは重なり合い、強力な催眠術となり、あっという間にすずこの精神を支配してしまう。決して抗えない誘惑。
すずこはフラフラと、無意識にいずみの方へ歩みを進める。

※この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件などには一切関係ありません。




真姫「・・・・なにこれ? 意味わかんない」




部室窓外・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

絵里「あら? 思ったより反応が薄いわね」

穂乃果「ねえねえ。やっぱり気になるよお。あの本なんの本? マンガ?」

絵里「だから穂乃果は気にしなくていいの」

穂乃果「うー・・・」

絵里「それはそうと、本番はまだよ。さあ、真姫。しおりが挟まっている所を読みなさい」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




真姫「ん? しおりが挟まってるわね。読みかけなのかしら」ペラッ








『あ・・・あの。えりこ先輩、やっぱり恥ずかしいです・・・』
『そら。今から私は医者よ。私の事は先生と呼びなさい』
えりこはどこからか持ってきた白衣を身に纏い、そらをベッドに横たわらせる。
『はい・・・えりこ・・・先生』
『ふふ。いい子ね、そら。・・・ううん、そらちゃん。それでは触診を始めるわね』
えりこは、おもむろにそらのパジャマに手を掛けようとする。そらは、最近気にしている上腕二頭筋を思わず両の手のひらで隠す。胸の前で手を交差させるようなポーズになり、恥ずかしがるそら。そんな女の子な姿を前に、えりこは欲情を掻き立てられる。

当初は、友人として、また役になりきって遊ぼうというえりこの提案を、そらは嬉しく思ったが、まさかお医者さんごっこだとは想定外であった。
友人との距離感が未だ上手く掴めていないそらは、人前で肌を晒することに抵抗感がある。
『そらちゃん。そんなに恥ずかしがられてしまっていたら、いつまでたっても治らないわよ』
『うう・・・』
運動が苦手なそらが、圧倒的な歌唱力を持つえりこに敵うはずもなく、されるがままとなる。
そらは精一杯の抵抗のつもりか、弱々しく首をフルフルと左右に振る。
最近はおしゃれに気を使うようになったそらは、今日は黒髪のツインテールがチャームポイントだった。そのツインテールがユラユラと揺れる。




真姫(ふーん。えりこって人は女医になりきるつもなのかしら)

真姫(それに、そらって子は黒髪でツインテールなのね)

真姫(・・・・それって、まるで・・・)



真姫「・・・・・」

真姫(・・・もうちょっと読んでみよう)




えりこはそらの抵抗を気にせず、そらの着ているパジャマのズボンを降ろそうとする。
そらは運動音痴だが、力だけはある。しかし、相手は尊敬と信頼を寄せている先輩だけに、その力を発揮できず、十分に抵抗することができない。
『さ、そらちゃん。足、少し上げて』
『は、はい・・・』
そらは抵抗が無意味だと思い始め、えりこの言葉に素直に従う。
そらは、基本的に引きこもりで根暗な性格もあって、家族の前でも肌を晒すことはほとんどない。
だから、慕っているえりこに自分の体を見られるのは、羞恥以外の何物でもない。行き場のない羞恥は体の内側からどんどんと湧き上がり、赤面という形で表面に溢れ出てくる。
『ふふ。いい子ね。はあ・・・キレイだわ・・・』
なすすべもなく、そらのズボンは、スルスルと脱がされていき、遂にズボンが完全に取り払われてしまった。
そして、純白のショーツと、それに負けず劣らない白くて細い大腿が露わになる。インドア派を象徴するかのような日焼けしていない肌。
えりこは、まるで美しい宝石でも目の当たりにしたかのように、感嘆のため息を漏らす。
『ううっ・・・。えりこ・・・せんせ・・・。ボク、本当に、キレイ・・・ですか?』
そらは幼少の頃より、体を洗うときはタオルで強くこするよう母親から教えられてきたので、肌の頑丈さは自身があるものの、その反面、繊細できめ細かい肌であることには自信が無かった。
しかし、最近は体を整える事に関しては熱心に指導してくれる人いたので、そらは自分の体に密かに自信はあったのだった。しかしながら、そのせいで逆にムキムキマッチョなモリモリ筋肉が全身に付いてしまい、それがコンプレックスに感じてもいた。
『気にすることないわ。本当にキレイなんだから。・・・余計なものは何もない・・・』
えりこのことをすっかり信頼しているそらは、えりこは嘘をつかないと確信している。そんなえりこが、そらの体をキレイと言った。褒められて、そらは素直に嬉しくなる。自信が無くてコンプレックスを感じてた自身の体が、少し好きになった。

えりこの目には、そらの体が穢れを知らない純白の宝石に見えている。その純白の宝石が徐々に薄ピンク色に染まっていくのを目の当たりにしたえりこは、それに無意識のままに手を伸ばしてしまう。
『ひゃぅん! え、えりこせんせ・・・! くすぐったいですっ』
そらの膝から股の付け根にかけて、一回、二回、とえりこの手が往復する。
『我慢なさい。これは触診なの』
『は、はい』
そらは形容したがたい感覚に身じろぎする。くすぐったいのは間違いないが、なにより恥ずかしいという気持ちがたくさん。それと、えりこが筋肉も含めてキレイと言ってくれたことに対する嬉しい気持ちもたくさん。
恥ずかしさと嬉しさという気持ちが心の中で混ざり合って大きくなり、大きくなり、それがある一定ラインを越えたところで、そらの体に異変が起こる。
『あ・・・ん』
『どうしたの? そらちゃん。痛いの?』
えりこはそう言いながらも、手を止めない。触診というには多すぎる回数を、マッサージというには弱すぎる力で、空の大腿を撫で続ける。
それでもこれは医療行為だと、自分を正当化するつもりでもいるのか、えりこはわざとらしくそらを気遣う。
『い・・・え。いたくは・・・ないです・・・』
『そ』
痛くないのだったら関係ない。そんな態度を如実に表すように、えりこは、素っ気ない返事だけをして、再びそらの大腿を撫で始める。
『ん・・・んん』

そらはよく分からない感覚になんとか抗おうとする。目をギュッと閉じ、手や脚をモジモジと動かす。
それこそえりこの思う壺だった。えりこはそらの大腿を撫でながら、身じろぎするそらの全身を眺める。えりこはだんだんと気分が高揚してくる。
えりこはそらの大腿を堪能しているだけでも、異様に脳髄が刺激され、昂るが、だんだんとそれだけでは満足できなくなってくる。
『さあ、そろそろ、こちらの方も触診しましょう』
『ううっ』
えりこの言葉を聞き、そらは、思わずギュッと内股を閉じる。
『こーら。そらちゃん。力を抜いて。これは大事な触診なの。ちゃんと、毎日経過を確認しなきゃいけないのよ』
そらは、ツインテールに付けている赤いリボンと同じくらい、顔が染まっていく。それでも、心の奥底では、体を、全身の全てをえりこに見てもらいたいという気持ちがわずかに芽生える。
そらは想像した。自分の全部を見てもらって、それでまた、えりこにキレイと言われることを。
そして、えりこにキレイと言われたいと切望する気持ちは、瞬く間に大きくなっていく。
そらは無自覚のまま、内股の力を弱めてしまった。


※この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件などには一切関係ありません。






真姫「・・・・・・・・」ムラムラ

真姫「・・・・・ふふ//」

真姫「悪くないじゃない//」ペラッ

真姫「・・・・・・・・」ヨミヨミ



真姫「っ~~!!??!?///」バッ


真姫「ハァハァ///」チラッ

真姫「フゥフゥ///」ジロジロ



真姫「・・・///」キョロキョロ

真姫「誰も居ないわね///」

真姫(・・・・・・もうちょっと読もう///)ペラッ



ガチャ


にこ「にっこにっこにー! まっきちゃーん♪ 用事ってなーに?」

真姫「う”ぇぁぁあ”あ”!!!」ガタガタンッ!

にこ「ひゃあ! ちょ、ちょっと! 真姫ちゃん大丈夫?!」

真姫「あ、イタタ・・・」ヨロッ




部室窓外・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

絵里「あ、あら・・・。今度は思った以上にすごい反応。真姫、大丈夫かしら?」

穂乃果「うへえ。真姫ちゃん痛そう・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




真姫「え、ええ。大丈夫・・・」

にこ「本当に大丈夫なの? アイドルなんだからアザとか作っちゃダメなんだからね」

真姫「一応医者志望なんだから、そんなことにはならないわよ」

にこ「そう? ならいいんだけど・・・。ほら」スッ

真姫「ん、ありがと。にこちゃん」ギュ

にこ「どーいたしまして」グイッ


ポロッ


にこ「・・・・ん? なんだろこの本?」

真姫「あ」

にこ「英語のタイトル? 真姫ちゃんこれ読んでたの?」

真姫「い、いいえ! 読んでなんかないわ! これっぽっちも! ぜんっぜん! 読んでなんかないわ!!」ササッ

にこ「んん? なんで隠しちゃうの?」

真姫「なんでもいいでっしょ! それじゃ、私はこれで」タッ


にこ「待ってよ真姫ちゃん!」ガシッ

真姫「な、なに?! これから触診しなきゃならないから、忙しいんだけどっ!」

にこ「しょくしん? なにそれ?」

真姫「それは内股の・・・って何言わすのヨッ?!/// いいから離して! じゃないとにこちゃんを触診しちゃうわよ!」

にこ「??? 別にいいよ」

真姫「えっ! いいの?!///」ドキッ

にこ「うん。よく分からないけど、真姫ちゃんだったらにこに痛い事しないでしょ?」

真姫「!!!///」バクバク ドキドキ



真姫「じゃ、じゃあ、お言葉に甘えて・・・///」ソロ~

にこ「ん」




ガチャ


希「ちょっと、ちょっと。にこっちと真姫ちゃん」

にこ「希?」

真姫「ヴェェ!」バッ




部室窓外・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

絵里「げっ。まずい、希だわ」

穂乃果「ちょうどいいじゃん。今のうちに希ちゃんの母力測定しちゃおうっと」ピピ

穂乃果「希ちゃんは・・・母力:300万、姉力:9万、妹力:5」

絵里「さ、300万ってどういうことよ・・・」

穂乃果「さすが希ちゃん。μ’sのお母さんだもんね」

穂乃果「・・・・それよりも、私、希ちゃんよりも姉力低い・・・。私、そんなにお姉ちゃんっぽくないのぉ・・・」シクシク

絵里「8000も十分高いと思うけどね」

絵里「まあ、気になるなら、とりあえず、ベッドの上でお菓子を食べることを雪穂さんに注意されないようにすることから始めたらどうかしら」

穂乃果「うっ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




希「どうしたんよ? 声が廊下まで響いてたよ」

真姫「そう・・・ごめんなさい」

希「ん? 真姫ちゃん、その本」

にこ「あっそうだ! 希! 聞いてよ! 真姫ちゃんが読んでた本をにこに見せてくれないんだよ」

真姫「・・・希、この本知っているの?」

希「それ、Person Of Insideっていう本やろ?」

真姫「えっと・・・」

真姫「“Person Of Inside”・・・ええ、そうみたいね。この本、希の物?」

希「ううん。違うよ。もしかして、それ、所々ちょっとふやけてない?」

真姫「え? ・・・・そうね、角の所とかが少しシワシワでカピカピになってるけど・・・お茶でもこぼしたのかしら?」



希「ああ、やったら、その本、絵里ちのやわ。この前、絵里ちの部屋に遊びに行ったんやけど、その時に絵里ちのベッドの下に落ちてたのを見つけたから、絵里ちのだと思って絵里ちの机に置いてあげたんやけど、絵里ちが学校に持ってきたみたいやね。絵里ち」

真姫「エリーの?」

真姫「っていうか! なんでこんな本を学校に持ち込んでるのよ!? エリーは!!!」

希「ホンマやね。元生徒会長とあろう者が何考えてんやろな?」

にこ「????」キョトン




部室窓外・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

絵里「」ダラダラ

穂乃果「え、えりちゃん? どうしたの? 顔が真っ青だよ。具合悪そう」

絵里「私のだってばれないよう、後でこっそり回収するつもりだったのに・・・」

絵里「・・・・そういえば、あの本、私の部屋に隠していたのが、今朝気が付いたら机の上に置いてあったのよね・・・。変だとは思ってたけど、あまり気に留めず持ってきちゃったけど・・・ま、まさか、希が見つけていただなんて・・・」ダラダラ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




希「ん? 外に誰かおるん?」




部室窓外・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

絵里「気付かれたっ?! 逃げるわよ!」ダッ

穂乃果「うんっ! もう真姫ちゃんも妹力スカウターで測ったから、大丈夫だよ!」ダッ

絵里「さすが穂乃果ね!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







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中庭



絵里「はぁはぁ」タッタッタッ

穂乃果「はあ、ふう・・・。ここまで来れば、もう大丈夫だよね」

絵里「そうね。ふう・・・」

穂乃果「あれ? でも、なんで穂乃果達は逃げる必要があったの? 真姫ちゃんのツンデレを解放するために隠れていたけど、それが終わったのなら別に顔を出しても良かったんじゃ?」

絵里「それはっ、その・・・。居た堪れなくって・・・。まあ、色々あるのよ・・・。詮索しないで頂戴・・・」

穂乃果「うーん? まあいいや、分かったよ」



海未「あら。絵里に穂乃果じゃないですか」


ことり「どうしたの二人とも? そんなに息切らして」

絵里「ああ、海未とことりね・・・・。ちょうどよかったわ」

海未「?」

穂乃果「今ね、真姫ちゃんの妹力を測りに行ってきたの!」

絵里「ええ、それもツンデレ解放状態でね」

ことり「本当?! いくつだった? 4000より大きい? 小さい?」

海未「18000よりかは小さいとは思いますが、教えてください!」

絵里「まあ、落ち着きなさい。今言うから。真姫の妹力は」

穂乃果「23000だったよ!」

絵里「ちょほのか、私のセリフ」

ことうみ「「まけたぁ~~」」ガックシ

絵里「ふん。まあいいわ。いずれにせよ、天下一妹は私の亜里沙ってことが証明されたわね」フフン

海未「くっ! 口惜しいです・・・」

ことり「クヤシ-!」

絵里「4000と18000は私にひれ伏しなさい」ドヤチカァ

海未「調子に乗ってますね・・・。はらわた煮えくり返るほど憎たらしい・・・!」

ことり「ぐぬぬ!」


海未「こうなったら・・・穂乃果!」

穂乃果「へ? な、なに?」

海未「雪穂に協力を仰いでください! せめて・・・! せめて、雪穂のツンデレを全解放して、絵里の鼻を明かしてください!」

穂乃果「え・・えー? 雪穂が嫌がらなければやってもいいけど・・・。ツンデレ解放って具体的に何をするの? 真姫ちゃんと同じ方法?」

絵里「それはダメよ! 絶対ダメ!!」

海未「・・・? 何の話ですか?」

絵里(あの本のことが厳しい海未に知られたら、私が成敗される・・・! なんとか誤魔化さないと・・・!)アセアセ

絵里「そ、それは・・・・えーっと。ツ、ツンデレにも色々と種類があるから、真姫と同じ方法は雪穂さんに通じないと思う・・・の」シドロモドロ

海未「そうなんですか? 奥が深いんですねツンデレとは」

絵里(誤魔化せたかな)ホッ

海未「でしたら、一体何をすれば雪穂のツンデレを解放できるのでしょう・・・」

ことり「ツンデレには押せ押せが一番だよ!」

海未「押せ押せ・・・ですか? それは一体?」

ことり「とにかく、雪穂ちゃんにたくさん優しくして、たくさん甘えさせればいいの! 押す人がたくさんいればいるほど、同時に優しく攻められるから効果倍増間違いなし!」

海未「なるほど。では、私とことりと穂乃果」

穂乃果「えっ、私もやるの?」

海未「それと絵里。もちろん手伝って頂けますよね?」

絵里「ええ、構わないわ。どうせ何をしたって亜里沙には勝てないのだから、この際、ハッキリと証明しておきましょう」

海未「くっ! 随分と余裕ですね・・・! 今に雪穂の新の力を目の当たりにさせて吠え顔をかかせてやります!」

絵里「できるもんならやってみなさい! ふふーん!」



海未「さあ! みんな、穂むらに急ぎますよ!」

ことほのえり「「「おー」」」







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穂むら



穂乃果「ただいまー」

ほの母「おかえりなさい」

穂乃果「ねえ、お母さん、雪穂いるー?」

ほの母「部屋にいると思うけど。って、あら?」


海未「お邪魔致します」

ことり「おじゃましま~す♪」

絵里「お邪魔します」


ほの母「あらあら。いらっしゃい。どうぞ上がって」







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雪穂部屋



コンコン


穂乃果「ゆきほー? いるー?」

雪穂「いるよー。どした?」


ガラッ


穂乃果「えっと・・・ちょっといいかな?」

亜里沙「あ! 穂乃果さん! お邪魔してます!」

穂乃果「亜里沙ちゃん来てたんだ。いらっしゃい」

雪穂「お姉ちゃん? どうし・・・えっ?」


ゾロゾロ


海未「雪穂」

ことり「雪穂ちゃん♪」

絵里「雪穂さん」



雪穂「な、・・・なにごと?」

亜里沙「海未さんっ!!!」パァ

亜里沙「ことりさんも! あっ、お姉ちゃんもいるんだ。何しに来たの?」キョトン

雪穂「亜里沙、亜里沙。海未ちゃん推しなのは分かるけど、そんな露骨に態度を変えるのは良くないよ。大人になろうね」

亜里沙「そうなの? 分かった!」







海未「ふふっ。亜里沙。いつも応援ありがとうございます」ニコッ

亜里沙「?!/// はぅぅ/// 海未さん素敵・・・///」ウットリ

雪穂「・・・・まあ、いっか」ポリポリ



海未「おや、雪穂は宿題をやっていたのですか?」

海未はさりげなく雪穂の隣に密着するように座る。


雪穂「えっ?!」ドキッ

雪穂「あっはい/// 亜里沙と一緒に///」ドキドキ

雪穂(わー///わー///海未ちゃんがこんなに近くに・・・。髪が長くて凛々しくて美人で・・・さすが大和撫子/// そ、それに// 触れてみてよく分かる・・・細いけどしっかりした体つき・・・///すごいなあ、うらやましいなあ)


絵里「あら? 数学じゃない。私、結構得意なのよ。教えてあげるわ」

絵里はさりげなく雪穂の隣に密着するように座る。


雪穂「ええっ?!/// えっと、あの// あ、あああ、ありがとうございましゅ」ドキドキ

雪穂(今度は絵里さんが反対側の隣に/// 金髪に青目に白い肌・・・そして何よりこの胸! ちょ、ちょっとあたってます////)ムニュ



雪穂(μ’sでも特にカッコよくて人気の二人に私が挟まれちゃってる!!/// なんなのこれー!?)ドキドキ



亜里沙「ムッ」

亜里沙「お姉ちゃん! ユキホは私と一緒に宿題するのっ」ギュ

雪穂「あ、ありさっ?///」

雪穂(今度は亜里沙が絵里さんの向こう側から手を握ってきた! もしかして妬いてるの?/// か、かわいいなあ・・・//)キュン



ことり「ゆーっきっほ、ちゃん♪ 肩、お揉みましょうかー?」ガバッ

雪穂「わぁ!/// こ、ことり、ちゃん?」バクバク

雪穂(今度はことりちゃんが後ろから抱き着いてきたっ! な、何なのぉ?// あ・・・なんか、お菓子みたいに甘くていい匂いが・・・)スンスン

雪穂(ことりちゃん、ふわふわ、ぷわぷわで、柔らかいなあ・・・。触られてるだけで、気持ちいいよお///)ポワワ



穂乃果「ゆきほー! お茶淹れてきたよー」

雪穂「え? あ、ありがとう。ど、どうしたの? 珍しいね」

穂乃果「うん! いつもやってもらってるから、たまにはお返ししないとね!」ニコ

雪穂「っ!!?///」

雪穂(お、おおお姉ちゃんの笑顔! はぅ~・・・これを見る度に生きてるって気がする/// 私、雪だからお姉ちゃんの太陽みたいな笑顔で、溶かされちゃうのお~!///)ビクンビクン

穂乃果「ゆきほっ。はいっ! これあげる!」スッ

雪穂「へ? こ、これは・・・?」

穂乃果「なにって、ホワイトチョコレートだよ」

雪穂「え! 私それ大好き! た、食べていいの・・・?」ジュル

穂乃果「もちろんだよ!」


雪穂「まさか餡子が入ってたり・・・?」

穂乃果「そんなことないよ~。はい、あ~ん」

雪穂「アーン??!!!///」ビクッ

穂乃果「そうだよ! ほーら。あ~ん、して?」ニコ

雪穂「ううっ・・・あ、あ~///」アー

穂乃果「召し上がれ♪」スッ

雪穂「んっ///」パクッ モグモグ

雪穂(なんかドキドキしすぎて味わかんない・・・・・けど、別にいいや///)



海未「もう、穂乃果。ずるいですよ、自分ばっかり雪穂にあ~んしてあげるなんて」ギュ

絵里「そうよ。ねえ雪穂さん。私、ロシアの珍しいチョコを持ってるの。次は私から食べて」ギュ ムニュ

亜里沙「あっ! ユキホッ! ユキホッ! 亜里沙のチョコも食べてっ!」グイグイ


雪穂「あっ/// えっと///」オタオタ



ことり「だめだよ~みんな。“あ~ん”はね、好きな人からやってもらわないといけないっていう東京都条例が昨日から施行されてるんだよっ」ムニュ

雪穂「~~?!!」

雪穂(私の背中にことりちゃんの胸がっ/// 絵里さんのと合わせてカルテットおっばいのMuNyu-MuNyu Sensation! がぁ~!!?///)

絵里「そういえばニュースでやってたわね。ねえ雪穂さん。雪穂さんが好きな人はだあれ?」ムニュン

雪穂「ひゃ!/// 」

雪穂(え、えりさんっ。更にむ、むねを押し付けてきて・・・私の腕が埋まっちゃってます///)

海未「雪穂。もちろん私ですよね」ボソッ

雪穂「んっ//」

雪穂(海未ちゃんっ。そんな耳元で囁かれたら/// な、なんか変な気分にっ///)ビクンッ

亜里沙「ユキホ~・・・」ウルウル

雪穂(あ、ありさ。そんな目で見ないでぇ~///)キュンキュン



穂乃果「ねえねえ! 穂乃果もチョコ食べたいよ~。 誰か食べさせてっ」

雪穂「!!」


絵里「もう、今忙しんだけど。まあ、しょうがないから私があげるわ。ほら、あ~ん」スッ

穂乃果「絵里ちゃん♪ あ~」

雪穂「待って!・・・ください」

絵里「どうしたの? 雪穂さん?」キョトン

雪穂「あっ、すいません・・・なんでも、無いです・・・」



穂乃果「早く食べたいよ~」


海未「少し落ち着きなさい。穂乃果。仕方ないから私が食べさせてあげます」スッ

穂乃果「やった! 海未ちゃん♪ あ~」

雪穂「あっ! ま、待って、ください」

海未「どうしました? 雪穂?」キョトン

雪穂「うっ・・・えっと・・・なんでも、ないです」



ことり「うふふ♪ いいよ、穂乃果ちゃん♪ ことりが食べさせてあげますっ」スッ

穂乃果「わ~い! ことりちゃん♪ あ~」

雪穂「あっ! ダメっ・・・」

ことり「ん? 雪穂ちゃん? どうして?」

雪穂「あ、いえ、ダメじゃ・・・ないかも、です・・・」

ことり「そう? じゃあ、続けるね。あ~・・・・」



雪穂「うう・・・」

ことり「あ~・・・あーっ!」

穂乃果「ほうひたの、ほといはん?(どうしたの、ことりちゃん?)」アー


ことり「私、裁縫をしているときに手が滑って自分の指同士を縫い付けちゃってたから、チョコ持てないやー」

海未「そうなんですか? そういえば私も、先ほどトイレから出てきてから、うっかり手を洗い忘れてしまったので、食べ物を手に持つのはよくありませんね」

絵里「あら、そうなの? そういえば私も、さっき、うっかり手が滑って亜里沙のパンツの中に手を突っ込んじゃったから、先に穂乃果に舐められるのは嫌だわ」ペロペロ チュパチュパ




雪穂「・・・・・」ソワソワ

穂乃果「あ゙-だれか早くヂョコだべざせてー。よだれでノド詰まらせて窒息しぞー」アー

えりことうみ「「「ああ、大変。誰か早く穂乃果(ちゃん)にチョコを食べさせないと。どうしよー」」」(棒)



雪穂「・・・・・・」ウズウズ

亜里沙「??? じゃあ、ありさg」雪穂「私が、食べさせます!」クワッ

えりことうみ「「「どうぞ、どうぞ」」」

穂乃果「雪穂! ホント?! 早く! 早く!」ピョンピョン

雪穂「っ!!///」(そんなにはしゃないでよぉ!//)



雪穂「お、おおお、お姉ちゃん! ほ、ほら・・・あ~ん//」フルフル

穂乃果「あ~・・・んっ!」パクッ,チュ

雪穂(!!! ゆ、ゆゆ指! ちょっとだけ指咥えられちゃったっ///)ドキドキ

穂乃果「ん~~っ!!! おいひい!」モキュモキュ

ことり「ふふ♪ 穂乃果ちゃん、嬉しそう♪ 雪穂ちゃんのことが大好きなんだね♪」

穂乃果「うん♪ 大好きな雪穂から食べさせてもらったんだから、穂乃果、1年の懲役または5万円以下の罰金を科せれられなくて済むよねっ?」

ことり「もちろんだよ♪」

雪穂「っ~~!!??///」ウツムキ

穂乃果「雪穂のおかげだよ、ありがとう!」ニコッ








雪穂「うっ、えっと・・・・か・・・か、かっん///」

海未(お?)

絵里(遂に?)

ことり(出るか? 出るか?)





雪穂「勘違いしないでよねっ!/// べっ、別にお姉ちゃんのことが好きであ~んしてあげたんじゃないんだからねっ!//」

雪穂「お姉ちゃんが逮捕されないために、仕方なくしてあげただけなんだからねっ!///」



絵里(はい、頂きました~)

ことり「絵里ちゃん早く早く」ボソッ

絵里「ええ、分かってるわ」スチャ←妹力スカウター装着!

海未「さぁ、いくつですか?! ツンデレ解放状態の―――」

ことり「雪穂ちゃんの妹力はっ!?」

絵里「17000・・・19000・・・21000・・・まだ上がる!!」ピピ↑

絵里「!!!」









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晶平橋付近
絢瀬姉妹の帰り道



亜里沙「もうっ! お姉ちゃん、ユキホのこといじめちゃダメなのっ!」プンプン

絵里「ごめんなさいね。別にいじめるつもりじゃなかったのだけれど、雪穂さんがあまりも可愛かったから」

亜里沙「うう。確かにユキホはかわいいけど~・・・・むー」プクー

絵里「亜里沙は本当に雪穂さんのことが好きなのね」

亜里沙「!!/// うう///」テレテレ

絵里「そんなに恥ずかしがらなくてもいいのよ。ふふ。でもね、亜里沙。がんばらないと大変よ?」

亜里沙「?」キョトン

絵里「ライバルは強敵でしょ?」

亜里沙「! ら、らいばる・・・。亜里沙がんばる!」グッ

絵里「ふふ。応援してるからね」ナデナデ

亜里沙「あ、ありがとう/// お姉ちゃん/// ・・・ね、ねえ? 手、繋いでもいーい?」

絵里「ええ、いいわよ」ギュ

亜里沙「えへへっ///」ギュ


絵里(ああ、やっぱり亜里沙が一番可愛いわ。妹力は高坂姉妹と同点だったけど、誰が何と言おうと、私の中では亜里沙が一番の妹ね。妹力なんてどうでも良くなってきたわ)






にこ「」テクテク





絵里「ん?・・・あれは」

亜里沙「にこさんだっ!」

絵里「スーパーの買い物袋を持ってるけど、買い物帰りかしら」






こころ「あー! お姉さまー!」タッタッタッ

にこ「あら、こころじゃない、今帰るところ?」

こころ「はい! お姉さま、今日もお疲れ様です!」ダキッ

にこ「わっ、ちょっと。そんなに勢いよく抱き着いてこないで。危ないでしょ」

こころ「あっ、ごめんなさい・・・」シュン

にこ「いいのよ。元気があるってことだから。今度からもっと優しくしてね」ヨシヨシ ナデナデ

こころ「はい! えへへっ///」ニコニコ







絵里「にこの妹のこころちゃんね」

亜里沙「ええっ?! あの子、にこさんの妹さんなの?! かわいいー!!」

絵里「そうね、素直で純粋で、かわいい子なのよねえ」


絵里「・・・・・・・・・」

絵里「こころちゃんって、にこの妹で、ここあちゃんの姉なのよね」

絵里「・・・・・まさかとは思うけど・・・」

絵里「いや・・・そんなはずはない・・・」

絵里「いやいや、そもそも、私にとって妹力なんて、もはやどうでもいいの。亜里沙が一番なのに変わりは無いんだからっ」

絵里「・・・・・・・・」

亜里沙「・・・? お姉ちゃんどうしたの?」



絵里「・・・で、でも、一応測ってみよう」ピピ











絵里「こころちゃんは・・・母力:8400万、姉力:100億、妹力:∞」















絵里「( ;゚;ж;゚;)゙;`;:゙;;゚;ブッ」







ここあ「あ! にこお姉ちゃんとこころお姉ちゃん!」タッタッタッ

にころ「「ここあ!」」

ここあ「わーい♪」ダキッ

こころ「きゃ。もう、ここあ! 抱き着くときは優しくなさい!」

ここあ「ごめんねー♪」

にこ「ふふ。さ、二人とも帰りましょ」

こころ「はい!」

ここあ「うん!」








絵里「」orz

亜里沙「あ、あれっ?! お、お姉ちゃーん? どうしたのー?」オロオロ







おわり






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\\家猫☆凛ちゃん!//

凛ちゃんは花陽の大切なお友達です。



ガチャ


花陽「ただいまー」

凛「にゃーん♪」

花陽「わあ、凛ちゃん、ただいま♪」

花陽(外から帰ってきたとき、花陽の足音が聞こえると、凛ちゃんは玄関に駆けつけて来てお出迎えしてくれるの)



花陽「いつもお出迎えありがとっ」ナデナデ

凛「にゃ~ん///」ゴロゴロ

花陽(喉元を撫でてあげると、凛ちゃんはとっても喜びます。だから、花陽も嬉しくていつまでも撫でてあげちゃう)ナデナデ



凛「にゃ~ん」スリスリ

花陽「あははっ、くすぐったいよぉ」

花陽(凛ちゃんはお返しに花陽に体を擦り寄せてくれます。嬉しいっていう気持ちを精一杯入れているつもりか、体重を掛けてスリスリしてくれる。でも、凛ちゃんは小柄だから、全然重たくないんだけどね)



---------------

花陽「凛ちゃん。遊ぼっ」ゴソゴソ

凛「にゃ!」

花陽(凛ちゃんは遊ぶのが大好き。特に紐がお気に入り。花陽は紐をポケットに入れているんだけど、凛ちゃんは花陽がポケットに手を入れた瞬間に目の色が変わります)



花陽「ほ~ら、紐だよ~」チョンチョン

凛「にゃー・・・・!」キッ

花陽(花陽が紐を振ってあげると、凛ちゃんは陸上の短距離走選手がスタートする瞬間みたいに、真剣な眼差しになって飛びつく体勢を整えるの)



凛「にゃー・・・・」ジリジリ

凛「・・・・・」フリフリ

花陽(紐に飛びつく直前の凛ちゃんは、お尻を左右に振るの。この時の姿はとっても可愛い♪ でも、なんでお尻を振るんだろう? って思って調べてみたら、飛び出す前の準備運動なんだって)



花陽「それっ!」

凛「・・・・にゃ!!」バッ!

花陽「そーれ」サッサッ

凛「にゃにゃにゃにゃ!」ダダダダダ 

花陽(飛びついてきた凛ちゃんに紐が取られないように紐を引っ張ると、物凄い勢いで追いかけてくるの。紐を不規則に素早く動かしても、凛ちゃんは爪を絨毯に食い込ませて、華麗なフットワークで追いかけます。本当に凛ちゃんはいっつも元気いっぱい♪)


凛「にゃー!」勿...

花陽(たまに二足歩行で紐を追いかけます。変なの)




花陽「そおれっ!」ブンッ

凛「にゃーんっ!!!」ダンッ!!

花陽(花陽の頭の高さまで紐を上げると、凛ちゃんはジャンプで追っかけます。花陽の身長は156cmだけど、凛ちゃんは助走なしでこれくらい難なくジャンプしちゃいます。小柄で細い体なのに物凄い運動神経です。花陽は走り高跳びでも1m跳べないのに・・・・)



花陽「はいっ。今日はお終い」サッ

凛「にゃあー・・・・」トントン

花陽(遊ぶ時間は5分と決めてます。凛ちゃんは紐を仕舞わない限り、どんなに疲れていても延々と遊んじゃいます。それは体に良くないんです)



凛「にゃーん・・・・」トントン

花陽(遊び足りない凛ちゃんは名残惜しく、花陽の足を叩いてきます。肉球の感触が気持ちいな♪)



凛「にゃー!」ガバッ ガサガサ

花陽(花陽が相手しなくても、凛ちゃんは紙袋に飛びついたりして、一人遊びしています)

花陽(はっ?! ・・・一人遊びって、なんかえっちだなあ///)



---------------

花陽「うーん? この漢字難しいなあ。しっかり書いて覚えないと」

凛「にゃっ」ペロペロ

花陽(花陽が勉強している時、凛ちゃんは机に上がってきて、花陽の手を舐めます)



花陽「はぅぅ/// お米炊けたぁ///」ホカホカ

凛「にゃ」ペロペロ

花陽(花陽が立っている時は、花陽の足を舐めてきます)



花陽「ぐー・・・」zzz

凛「にゃん」ペロペロ



花陽(花陽が掛け布団を掛けて寝ているときは、花陽の髪を舐めてきます)

花陽(凛ちゃんはとにかく、花陽の布で隠れていない部分の体をよく舐めてきます)

凛(凛ちゃんの舌はザラザラしているから、舐められるとちょっと痛いんだけど、凛ちゃんなりの愛情表現だと思うと、いくらでも舐められたいって思っちゃう♪)



---------------

花陽(ある日の晩のお話です)



花陽「はぅー/// センターの子可愛いなあ///」ウットリ

凛「すー・・・」zzz

花陽(翌日が休日ということもあって、花陽はちょっと夜更かししてアイドルのDVDを見ていました。その間凛ちゃんは花陽の膝の上で寝ていました)



花陽「あっ。もうこんな時間。そろそろ寝ようかな」スクッ

凛「にゃ・・・」ズルッ


花陽「あっ! ご、ごめん、凛ちゃん。花陽の膝の上で寝てたのに、花陽が立っちゃったから落ちちゃったね。ごめんね」ナデナデ

凛「にゃ」ペロペロ

花陽「もうっ、凛ちゃんったら///」

花陽(凛ちゃんを撫でたら、いつものように凛ちゃんは花陽の手を舐めてきました)


凛「にゃー」ペロペロ

花陽「凛ちゃんは可愛いなあ・・・」ウットリ

花陽「・・・・」


トクン


花陽(家族も寝静まっているであろう時刻です。テレビを消して、寝ようと思っていたので、照明も暗くしています)

凛「にゃん」ペロペロ

花陽「・・・・・・」


トクントクン


花陽(少し前に可愛いアイドルの子を見ていたからでしょうか)

凛「にゃ」ペロペロ

花陽「・・・・・・・・・・・・」

トクントクントクン

花陽(気持ちが高まってきました)


凛「にゃにゃん」ペロペロ

花陽「・・・っ」ムラッ

花陽(花陽も、もう高校生です。その・・・・たまには、一人遊びをしたりします。凛ちゃんが一人遊びが大好きなように、花陽も一人遊びが大好きです。ただし、使うのは紙袋ではなくて、自分自身の指ですけど)

花陽(そういう時は、いつもは静かで暗い部屋で一人っきりの時にします)

花陽(今はその状況に似ていて、今までしてきたことを思い出して、そんな気になってきちゃったんです)



凛「にゃー」ペロペロ

花陽「・・・・・・・・」ムラムラッ

花陽(でも、今は凛ちゃんがいます。凛ちゃんと私。二人っきり。一人じゃないのに気持ちはどんどん高ぶってきます)



凛「にゃにゃーん」ペロペロ

花陽「」スッ

凛「にゃ? にゃん」ペロ

花陽(右手を舐められているときに右手を隠します。そして左手を出すと、左手を舐められます)

花陽「」スッ

凛「にゃ? にゃん」ペロ

花陽(左手を舐められているときに両手を隠します。そして膝をズボンから出すと、膝を舐められます)




花陽(凛ちゃんは、とにかく、差し出された花陽の体だったら、どこでも舐めてくれます)



花陽(凛ちゃんのザラザラな舌。舐められるとちょっと痛いくらいの刺激)

花陽(いつもお世話になっている花陽の指は、普通の指。これらを見比べて)




凛「にゃー」ペロペロンペロンチョ

花陽「・・・・・・・!!!!!」

花陽(花陽は閃きました)

花陽(この、ザラザラな舌。きっとすごいに違いありません。実行せざるを得ません。新世界の扉を前にして、好奇心には勝てるはずがありません)

花陽(花陽は膝立ちになって、おもむろにパンツを降ろし















第3話:演技
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西木野邸に集まった9人


海未「何をやるんです? 演技?」

絵里「そうよ! ヤケド・・・じゃなかった。演技のおじか~ん!!」

りんぱな「「わー」」パチパチ


ことり「えっと、どうして演技・・・?」

にこ「アイドルには表現力が必要不可欠。それを養うための特訓にこ!」

海未「は、はあ・・・」


希「ほな、尻込みせんとちゃっちゃといこ。まずはみんな一人ずつクジ引いてな。役が書いてあるから」

絵里「ありがとう希。私からクジ引くわね」ヒョイ

絵里「えーっと・・・・あら、おじいちゃんだって」

希「ウチは~・・・おばあちゃん? うーん。何か複雑な気分だわ」

にこ「くっふふふwww 絵里がおじいちゃんで希がおばあちゃんだって! あんたたちちょっと精神的に老けてるからぴったりなんじゃない?」

希「にこっち~?」<ワシワシの構え>

にこ「ご、ごめんって」タジタジ


穂乃果「ねえねえ。これって、要はおままごとみたいなものなんだよね?」

絵里「まあ、簡単に言えばそうね」

穂乃果「だったら私お母さんやりたいなー」

ことり「! ほ、ほのかちゃんがお母さんならことりはお父さんがいいなぁ///」モジモジ


穂乃果「よーし、引くよ! お母さんが来ますようにっ!」グッ

穂乃果のくじ→[お父さん]


穂乃果「あちゃ~お父さんだった」

海未「あ、私がお母さんです」ヒョイ

穂乃果「ホントっ! 海未ちゃんをお嫁さんにしちゃった! よろしくねっ!」ダキ

海未「え、ええ」

ことり「そんなぁ・・・」シュン


穂乃果「ことりちゃんはなんの役?」

ことり「うん・・。えっと、私は・・・・・」ヒョイ

ことり「ふえっ? お父さんの不倫相手? だって」

にこ「はぁ? くふふwww 何よ不倫相手って? 家族じゃないじゃんw」

ことり「ま、まあ・・・これでも、別にいいかな///」ボソッ




花陽「つ、次はわたしが・・・・」オソルオソル

花陽のくじ→[次女]


凛「凛も引くにゃー」

凛のくじ→[末っ子]


花陽「次女です」

凛「ホント? 凛は末っ子だよ。だから、かよちんはお姉ちゃんだね! よろしくね! かよ姉ちゃん!」ダキッ

花陽「うんっ」ニコ


にこ「ってことは~。にこが~。長女ってわけね~」←営業ボイス

にこ「いや~ん。私ぃ~。本当の長女なんですぅ~。だから~すっごく演技に自信がありますぅ~」クネクネ

真姫「早く引きなさいよ、鬱陶しい」カミノケクルクル

にこ「うぐっ、分かったわよ・・・」ヒョイ

にこのくじ→[長女が可愛がってる猫]


にこ「え、ええ?! 猫??! 人間ですらないじゃない!! どういうことよこれ!!! こんなクジ作ったの誰よ?!」

希「あっはははwww にこっち小さいしぴったりやん!」

にこ「あんたね希! 覚えてなさい!!」

真姫「私が長女ね」ヒョイ



希「みんなくじ引き終わったね~」



凛「がんばろうね、かよ姉ちゃん!」イチャコラ

花陽「うんっ!」イチャコラ

にこ「・・・・・ね、ねえ、凛? ちょっとさ、・・・・私とくじ交換しない? あんた普段からにゃーにゃー言ってるから猫にぴったりだと思うんだけど」

凛「え、やだ」

にこ「・・・・あ、そう・・・」

希「にこっち~。不正はアカンよ~」




配役整理
おじいちゃん:絵里
おばあちゃん:希
お父さん:穂乃果
お母さん:海未
長女:真姫
次女:花陽
三女:凛
猫:にこ
お父さんの不倫相手:ことり

監督:絵里
脚本:希




希「ほな、みんなー台本配るよ~。ちなみにアドリブは大歓迎やからね!」

にこ「むしろアドリブがメインのつもりでやりなさい! MCとか突然の機材トラブルとかスタッフの急な無茶振りだって珍しくないんだから。アイドルらしく可愛く場を繋げるようになるための特訓でもあるのよ!」



絵里「はい、それじゃ、お父さんがべろんべろんに酔っぱらって不倫相手に肩を貸してもらいながら帰宅するシーンからね」

にこ「え、ちょ、はぁ? いきなりなんちゅうドロドロなシーンからやんのよ」

真姫「物語における感情の推移を全く考慮されていないのね。企画の浅慮さが見て取れるわ」カミノケクルクル

絵里「そこっ、うるさい」

絵里「いくわよ。コホン・・・。アクションッ!」カチンッ




☆★☆*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*
シーン:修羅場


~~登場人物~~

お父さん:穂乃果
お母さん:海未
不倫相手:ことり
長女:真姫
猫:にこ
*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*☆★☆




ガチャ


ことり「すいませーん」

穂乃果「ふぃ~、ヒック。おまえら~、帰ったぞー」フラフラ

海未「あ、あ、あ、あ・・・ナ・・・・たたた・・・おかおか、お帰りなさい・・・っ」モジモジ←エプロン姿

穂乃果「おー、今日も接待で残業で上司の教育が大変だったぞー」

海未「ごはんにします・・・? お風呂にします・・・? それとも、わ、わ、わタ・・・・わタ・・・わっー! やっぱりこんな破廉恥なこと私には言えませんっ!」ガバッ

ことり「わっ、海未ちゃん。よしよし、これはただのおままごとだから、大丈夫だよ~」ナデナデ

海未「そうですけどぉ・・・」グスグス

ことり「それにね? 海未ちゃん。海未ちゃんは優しくてお淑やかでお料理も上手だから、絶対お母さん役にぴったりだよ。本当は私がお嫁さんにしちゃいたくらい♪」

海未「こ、ことり/// あっ、ありがとうございます///」キュン

海未「や、やさしいんですね///」モジモジ


にこ「ちょ、ちょっとちょっと。台本には、お母さんと旦那の不倫相手が会っちゃって『このっ! 泥棒鳥!!』って叫んで修羅場になるって書いてあるわよ。いくらアドリブOKだからって、いきなり台本とやってること大分違うけど、いいの? 脚本さん?」




希「あっははは! お父さんの不倫相手がお母さん口説いてどうすんねん! それにお母さんもときめいちゃアカンやろwww」

希「右手にお父さんで左手にお母さん抱えて不倫相手の一人勝ちやん! そんなんありかい! ひー、お腹痛いw そんな笑わかせんといてーなっ」ゲラゲラ



にこ「・・・・」

真姫「いいらしいわね」カミノケクルクル



穂乃果「えへっ! よーし、今夜は二人とも可愛がっちゃうよっー!」ガバッ

海未「わぷっ。穂乃果///」

ことり「や~ん♪ 穂乃果ちゃんったら♪」ヤンヤン




真姫「なにやってんのよ、娘がいる家で」

にこ「本当よ。それに元の、娘がいる家で修羅場っていう時点で色々無理有り過ぎでしょ、この脚本」



希「にこっちにこっち、それと真姫ちゃん、そんなこと言わんと、ほらほら」

真姫「あ、ああそうね。次は、不倫相手とお母さんが修羅場になっている所に、長女が帰宅するんだったわね。・・・・っていうか、既に修羅場じゃないんだけど、どうすんの?」

希「そこはアドリブでよろしくぅ!」

真姫「ゔぇぇ・・・・」

にこ「いきなりの無茶振りね・・・。まあ、やってやろうじゃない!」




ガチャ


真姫「タ、タダイマー。今日ハ、部長会議デ、遅レチャッタワー」

希「真姫ちゃん棒読みすぎんよ~」

真姫「う、うるさいっ!」



にこ「ニ・・・にゃー・・・・」トコトコ

にこは猫耳尻尾(Dancing stars on me!の衣装)を装備中



にこ(うっ・・・この格好で四つん這いって、思ったより恥ずかしい・・・)


真姫「にこちゃん、今日モ、御出迎エ、アリガトー」


にこ「にゃー・・・・」スリスリ ゴロゴロ

真姫の脚にすり寄るにこ


真姫(あっ・・・にこちゃんのほっぺ、あったかくて、やわらかい・・・まるで、プリンのようなマシュマロのような・・・っていうかネコにこちゃん可愛いすぎる・・・!)ドキドキ

にこ(やだっ・・・真姫の脚、ちょうスベスベなんですけどっ。・・・・ちょっと舐めてみようかな・・・・真姫、どんな反応するかな? 怒るかな? でもその時は、猫なんだからこれくらい普通でしょって言えば誤魔化せるよね・・・? 早速アドリブよ・・・・んっ?)

ふと上を見るにこ


にこ「なっ?! 黒っーー!!?////」

真姫「!!!??!/// ちょ!! ちょっと何見てんのよ?!!!」バッ

慌ててスカートを抑える真姫


にこ「み、見てないって!」

真姫「絶対見た!!」

にこ「本当、見てないわよ! 何も!」

真姫「嘘! だったら何が黒だったわけ?!」

にこ「だって、ちょっと前まで中学生だった子が黒って・・・」

真姫「ほら! やっぱり見てる!」

にこ「あ、あんたがそんなの履いてるからいけないんでしょ! 私たちスクールアイドルなんだから・・・・」

真姫「じゃあにこちゃんのも見せてよ!」グググッ


にこ「ちょ?!//// なんでそうなるの?!!///」ジタバタ

真姫「スクールアイドルの先輩がどんなの履いているのか参考にするだけよ! 何もおかしくないでしょ!」グググッ

にこ「待って! 待って! 落ち着いて真姫ちゃん!!」

真姫「ついでに上も見せなさいよっ!!」グググッ,プチ

にこ「上? 上って何よ?! まさか真姫ちゃん上も黒?! って服のボタン外さないでっ!!」

真姫「ああっ! もうっ! うるさいわねっ! 私も脱げばいいんでしょ!」ヌギッ

にこ「へ? いいって、脱がなくていいって!!」ガシッ

真姫「なによ! 私には魅力が無いって言いたいわけ?!」

にこ「魅力が無い訳ないじゃない! こんないい脚持ってて・・・ちょっと脚舐めさせなさいよ!」

真姫「はぁ?!/// 変態っ!/// 気持ち悪い!/// にこちゃんこそ、ほっぺた舐めさせなさいよっ!!」



ギャーギャー



絵里「はあ、あなたたち、落ち着きなさいよ・・・・練習着に着替える時とか、合宿でお風呂入る時に下着なんていくらでも見合った仲じゃない・・・」

希「まあまあ、意中の相手に見られたらあんなもんやって」ニシシ







----------------------------------------


絵里「はい、カット―! カット、カット」バンバン

絵里「あーもうっ! みんなしっかりしてよっ。いくらアドリブOKだからって限度ってもんがあるでしょ!」

絵里「次のシーン、次女と三女がおじいちゃんとおばあちゃんの肩を叩いているシーンからちゃんと仕切りなおすわよ!」

8人「はーい」


絵里「全く・・・はい、それじゃあ行くわよ」

絵里「アクション!」パチコンッ...ササ ←急いで座布団に座る



にこ「ねえ、そのカチンてするやつ、無理にやらなくてもいいんじゃ・・・」

真姫「面倒な人」カミノケクルクル




☆★☆*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*
シーン:肩叩き


~~登場人物~~

おじいちゃん:絵里
おばあちゃん:希
次女:花陽
三女:凛
*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*☆★☆




凛「おばあちゃん気持ちいー?」トントン

希「うんうん気持ちいよー」

凛「そっかー。しっかり叩いてあげねっ」

希「ありがとなー。ウチって、なんだか知らんけど肩が凝りやすいんよー」

凛「」ヒキツリ

希「なんでかなー?」デンッ←胸下で腕を組む


凛「・・・・・それじゃあ、肩こりの原因を直接マッサージしてやるにゃー!!」ワシワシモギュ!

希「ひゃあ!!/// 凛んちゃ、ん、ん///ちょ、そんな・・・/// ちょっとちょっと、タンマ///」

凛「おわー! 指がっ! 指が沈む!」モギュッムギュ

希「だ、だれか、たすけっ・・・!」

凛「・・・・触る、ちゅーことはー?」

希「へ?///」

凛「触られる、覚悟があるってことにゃー!!」

凛「それっ! いつものお返し」ワシワシFull Max!

希「あっーー!!」



花陽(凛ちゃん楽しそうだなー)

絵里(ほら、花陽)ボソッ

花陽「えっ? あ、そっか・・・」

花陽「あ、あのぅ。おじいちゃんも肩叩いてほしい?」ウツムキ モジモジ

絵里(あ、あら。かわいいわね、花陽)

絵里「ええ、お願いするわ・・・じゃなった、・・・お願いするかのう」

花陽「うん!」ニコ

絵里(うっ、か、かわいい・・・/// なんというか、にことは違って自然体というか・・・天然ものの可愛いの結晶ね、花陽は)

花陽「とんとん、どうですかー?」トントン

絵里「ええ、とっても気持ちいいわ・・・」

花陽「♪」トントン

花陽「・・・・・・」

花陽「・・・・・・」ウズウズ

花陽「・・・・・・」スンスン


絵里「ひゃっ!? は、はなよ?」

花陽「あっ・・・! ご、ごめんなさい」


絵里「私の髪、嗅いでいたの? ちょっと恥ずかしいわね。変な臭いしなかった?」

花陽「そんなことありませんっ!」ドンッ

絵里「あたっ」

花陽「とってもフルーティでしたっ! ・・・あっ! ご、ごめんなさい、痛かったよね・・・」オロオロ

絵里「ん、大丈夫よ。・・・おっと。コホン―――これこれ、年寄りは労わらんかい。なんちゃって」


花陽「あ、あっ・・・・本当にごめんなさい・・・何度も・・・」シュン

絵里「花陽? いいのよそんなに落ち込まなくて」

花陽「はい・・・・」トントン

絵里(んー。やっぱり落ち込んでいるのかしら? 本当に痛くないし、髪を嗅がれるのも別に嫌じゃないから、気にしなくていいのに。どうしましょう)

花陽「・・・・・・」トントン


絵里(そうだっ)

絵里「花陽、ちょっといいかしら」

花陽「え、あ、うん?」

絵里「ちょっと待っててね」シュルシュル ファサァ

花陽「あっ、髪をほどいて、広がった・・・。綺麗な金色・・・」ウットリ

絵里「よかったら、頭皮マッサージも一緒にしてもらおうかしら? うふふ♪」

花陽「ええっ?!」

絵里「嫌なら無理にとは言わないけど」

花陽「・・・・や、やりたい・・・ですっ・・・!」

絵里「本当にいいの?」

花陽「やらせてください! 絵里ちゃんの髪触りたいです!」

絵里「そう? じゃあ、お願いするわ」

花陽「し、失礼します・・・!」ドキドキ


ギュ モミモミ


絵里「・・・・んっ、いい感じね」

花陽「本当? そう言ってもらえると、嬉しい・・・です」ホワー

絵里(ふふ、真面目ね、花陽は。やっぱり可愛いわ)






凛「ほらほらー! ここがえんのんかにゃー!?」ワシワシ

希「んっ/// も、ちょっと・・・優しく・・・///」





花陽「ど、どうですか? ここがいいですか?」モミモミ

絵里「んっ。いいわ、気持ちいい。もうちょっと強くてもいいわよ」





にこ「何なのこの温度差」

真姫「監督と脚本さんが率先してアドリブを実施してるんじゃない。結構なことなんじゃない?」カミノケクルクル



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☆★☆*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*
シーン:エクストリームスポーツ! <ルール説明>


~~登場人物~~

おじいちゃん:絵里
おばあちゃん:希
次女:花陽
*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*☆★☆



希「次からは家族でエクストリームスポーツをするで!」

希「まずはルール説明から」



・プレイには2人以上必要で、プレイヤーは隠匿者と捜索者に分かれる。
・捜索者で最も多いのは「母」。「兄弟・姉妹」「彼女」「悪友」「いじめっ子」「息子・娘」「嫁」「愛人」「執事」「メイドさん」「祖母・祖父」「大家の娘」も こちらに回ることがある。稀に「ぬこ」が参加することも。あまりにもブツが幼女物すぎると「警察」も参加。「父」は高確率で二重スパイ。
・まずは隠匿者がエロ本を自室に隠匿し、その後 捜索者が捜索を行う。
・隠匿者は複数の隠し場所を使用しても良い。
・隠匿者は隠し場所を何度変更しても良い。
・答案隠しと異なり、時効は相当長いか、無いとも言える。
・隠匿者が得られる得点は、本の内容に影響される。
・もちろん冊数が多ければ多いほどスコアは増加する。
・隠匿者が勝利条件を達成するか、捜索者がエロ本を発見後に繰り出す技にてラウンド終了。

※出典:『エロ本隠し(エロぼんかくし)とは』アンサイクロペディア



希「つまりっ。このスポーツがどういうものかと言うとぉー・・・!」

希「隠匿者の社会的名誉の失墜の可能性をはらんでいる危険極まりない競技・・・・」

希「まさにエクストリームと呼ぶに相応しいスポーツ・・・・!」

希「命がけの駆け引き、圧倒的緊張感、そして恐怖・・・・それこそがぁ!!」



希「エロ本隠しやぁぁぁぁあああ!!!!!」クワッ!!



希「.....」スンッ

希「さて、ルールは大方こんなもんやな」

希「早速、前回プレイヤーの引退式および、新規プレイヤーへの引継式に進もか」








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花陽(えっと、次のシーンは、最初に私がおじいちゃんから本を受け取るって、台本に書いてあるけど)

花陽(本って何の本かな?)


絵里「花陽。ちょっとこっちに」チョイチョイ

花陽「あっ、おじいちゃん? どうしたの?」トコトコ

絵里「ふふ。貴女に面白い本をあげる」

花陽「へーなんだろう。あれ? 英語の本・・・? “Person Of Inside ”?」




絵里「安心して。中身は日本語だから。部屋で一人の時にじっくり、ねっとり読むこと。約束よ?」

花陽「??? はい、よく分かんないけど・・・そうするね」

絵里「私は惜しくも敗れてしまったから・・・貴女に託すわ。健闘を祈る!」

花陽「敗れる? 健闘?」キョトン







----------------------------------------
西木野邸 空き部屋(現在は花陽の部屋という設定)



花陽(今、この部屋だったら花陽が一人。さっきおじいちゃんからもらった本を読んでみよう)ペラッ




キーンコーンカーンコーン
授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響く。
いつもはりほが先にゆりかに話しかける。しかし、ゆりかは朝からりほの様子に違和感を感じていたので、心配になり珍しくゆりかからりほに声を掛ける。
『りっぴー。一緒に帰ろう』
『・・・・・』
りほからの返事が無い。
りほは俯き、開いたままのノートや教科書を見つめている。
『ねえ、りっぴーったら! 聞いてる?』
ゆりかは少し強めに声を掛ける。
『わっ! し、しかちゃん? あ、あれ? 授業は?』
りほは辺りを見回す。周りは帰り支度をする者、部活に向かう者、雑談をする生徒達がいる。
『もう終わったよ。今日は部活も無いし、この後特に何もなければ一緒に帰ろうよ』
『あ、うん。そうだね。一緒に帰ろうか』
りほは親しい友人からの申し出を特に断る理由も無かったので、同意する。
りほは急いで帰り支度を初める。
それから、階段を下りて下駄箱に向かう。靴に履き変えて、帰り道を歩く。
それらのりほの動作が妙に鈍いことにゆりかは気が付く。何か行動をするたびに、周りをキョロキョロと見回して、慎重になっているように見える。まるで警戒心の強い野生の猫の様である。
やっぱり今朝から何か違和感がある。ゆりかは改めてそう思った。
更に、今日のりほは口数が少ない。いつもは明るい性格のりほがゆりかに話題を振ることが良くあるが、今はゆりかから話しかけない限りは静かである。
さすがに心配になってゆりかはりほに原因を尋ねようとするが、聞きづらい。もともと口数の少ないゆりかは、人に話しかけるのが苦手な上に、今のりほは、なんだか話しかけづらい雰囲気を纏っている感じがする。
それでもなんとかりほの力になりたいと考えたゆりかは、どうすればりほから事情を聞き出せるか思案した。
その結果、まずは二人だけの空間に行くべきだという考えに至った。無理に聞き出そうとしたら、今は屋外にいるので、誰かに話を聞かれてしまう。
『ねえ、りっぴー。今日は家でちょっと遊んで行かない?』
『・・・・。えっ、あ、うん。いいよ』
一呼吸反応が遅れた後に、りほから了承の回答を得た。




花陽「ゆりかさんは引っ込み思案な人なのかな?」

花陽「それに、りほさんは普段は明るい性格で、ゆりかさんと仲のいい友達なんだ。でも、何かあって落ち込んでいるみたい」

花陽「・・・・なんだか、他人事に感じない気がする・・・」



花陽「・・・・・・・・」

花陽「続き、読まなきゃ」シンケン




ゆりかの自室に到着した二人。
りほとゆりかはお互い大変仲が良いので、どちらかの家が、またはカラオケボックス等で二人っきりでおしゃべりするのは良くあることだった。話す内容としては、発声のコツや振付の確認やネタ合わせ等だった。今日はそれらの話はせず、早速ゆりかはりほの様子がおかしい原因を聞くことにした。
『なんだか、今日変だよ。何かあったの?』
『えっ、そ、そうかな・・・。昨日あんまり眠れていなくて』
『そうなんだ』
気の利いた人であれば、何故眠れなかったのかをさりげなく聞く所だが、話を弾ませる経験が浅いゆりかは、そこで納得してしまった。
りほは、ゆりかのベッドに腰を掛けて、どこか心ここにあらずと言った具合で体を脱力している。
唯一、あだ名で呼びあえる友人であるくらいに、ゆりかにとってりほは大切な友人だ。だから、ゆりかはいつものりほに戻って欲しくてなんとかしようとする。
ゆりかはあまり話の引き出しが多くないので、トーク以外でこの空気を変えなくてはならない。ゆりかは、必死に考え、一つの行動に出る。
ゆりかは、スケッチブックを取り出し、さらさらと手慣れた手つきで何かを描いた。それをりほに見せる。
『ねえねえ、りっぴー。私、アルパカ描いたよ、見て見て』

                                               
                        _   _                    
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  ゚゙ll|''”`   ,、       .,广    ”   ゙┓     .゙q      .,l`         
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          `い、     .゙゙'━l'゙°         ll゙`              ゙i、     
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『こっちは穂乃果ちゃん』


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                          ,F     .,lilllilr・''''''“゙゙“┴━x,       
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                         ,l゚,|ll",lな゜  .}               ト    
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『次はマーライオン』

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        』  ___,,,,,,,_        ,,ll∠           ,ll゙llll″    '゙’      .゚ル  .゙N,_        
        』 r ̄ ̄゛: ゙゙゙┓     ..,l°         : ″`             '゙l,,   ゙゙fi,、      
        ゙l          廴    .,l゜                              ゙!l,,,   ゙゙li,、     
         ゙l,       ,l'     』                                ゙゙'ll,,,,,〟 廴     
         '゙‐     ,タ     ,l:                                   ゙l〟    
               ,,タ     ,l                                 ━ゥi,,,  'l,    
              ,,lケ     .,l′  .._、                                ゚゙t,, ゙l    
             ,il″     .,,タ  .,ll ̄             ,_                '━ll,, ゙l, .“    
                      ,l″.,,,,f″            l゚依                     ゙゙l,,゙l、    
            .,       ,,l゙″,l                 lll                       ゙lli    
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            ,l       .,l゜  .l: ,,,wr━''"   '° llll゙lll" ll,l    ゙゙''''゙゙lllllll+            言゙s  
    : :        il       ,l   ,ll゙″           :・|鹿.i゙,l         ゙鹿ll゙,            』`   
 'l''゙゚゙゙””       ll         $ .,ll゙】                ,ll゙i、           ″           ,l    
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   ”         l|        'l、: `                 ゙゙'l,!                 'l,     
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『うん。上手だね』
『・・・・・・・・』
ゆりかは、自分の持ち芸である“模写”活かした一発ネタを披露する。
相変わらず、見ただけで魂を吸われてしまいそうな妖怪を“模写”するゆりかであるが、りほは本当に魂が吸われてしまったかのように、反応が薄かった。
ゆりかはそらと共に『私達はりっぴーを笑顔にするためだけに存在する』と過去に誓い合ったことがあるが、自分一人ではそれは叶わず、ゆりかは己の無力を心の中で嘆く。
ゆりかは万策尽きたと言った感じで項垂れて、床の上で女の子座りをする。
ふと、視線を上げると、ベッドに腰掛けているりほの細く綺麗な太ももが、すぐ目の前にあった。ゆりかは胸が高鳴るのを感じたが、ゆりかの中の天使が警告をしたので、それに従い慌てて視線を逸らそうとする。
しかし、首を10°だけ右に回転させたその直後、もっと見るべきだと、ゆりかの中の悪魔が囁く。ゆりかの首が止まって、目だけが左に10°回転した。
まずはりほの膝を眺める。程よく色づいて柔らかそうで大福の様だと思う。それから、徐々に上の方に視線を動かす。
ゆりかは、りほの細く健康的な大腿を大変魅力的だと思ったが、今はそれどころではなかった。なぜなら、
りほのパンツが見たい。
りほのパンツの色が知りたい。
りほのパンツ。
りほのパンツ。
りほのパンツ。
りほのパンツ。
りほのパンツ。
りほのパンツ。
りほのパンツ。
りほのパンツ。
りほのパンツ。
りほのパンツ。りほのパンツ。
りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。
りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。
りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。
りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。
りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。
りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。
りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。
りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。
りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。りほのパンツ。
りっぴーのおぱんちゅっちゅ
現在の位置関係であれば、そのお宝を拝める好機だった。
この好機は逃す訳には行かない。りほに気付かれぬよう、ゆりかはゆっくりと前屈みになり、慎重に視線を上げていった。
しかし、パンツの色を知ることは物理的に不可能だった。
『えっ? あれ? りっぴー、パンツ履いてないの?!』
ゆりかはヴェール(vail:被り物)から解放されている御神体に歓喜して崇めるのを忘れて、あまりの事実に思わず声を上げてしまった。ゆりかの声で我に返ったりほは慌ててスカートを上から手で押しつけてしまった。もったいない。
『あっ! こ、これは違うの! ちょっと忘れて・・・アハハ』
ゆりかにとっては昨日ぶりに聞いた、りほの弾むような明るい声だった。ゆりかは少し気分が良くなる。
『そんな大事なものを忘れるなんて・・・。あや先輩じゃあるまいし・・・』
ゆりかが呆れた声を出す。

りほは、スカートの中を見られまいと、一日中周りを警戒していたが、ゆりかの部屋に来たことで気を緩めてしまっていた。
『そういえばパンツで思い出したけど、この前家に泊まりに来たことがあったよね。あのときに貸したパンツって返してもらってたっけ?』
『あっ・・・返してない。今日返そうと思って、持って来たんだった』
りほはカバンを開けて、ひまわり柄がプリントされたショーツを取り出す。
『ありがとう。・・・って。パンツ持ってるじゃん。なんで履かないの?』
『カバンに入れていたのも忘れてて・・・あはは』
『・・・・・』
りほが今日の朝起きて、借りたパンツを返そうとカバンに入れたが、りほ自身はパンツを履くのを忘れる―――そんなことがあり得るだろかと、ゆりかは疑問に感じる。
パンツをわざと履かなかったと仮定して、その理由を考えてみる。
ありそうなのが、いじめ。しかし、りほがいじめられる要素があるとは、とても思えない。普段のりほは、明るく元気が良く、友達も多い。誰からも恨まれるような事など無い。・・・と、ゆりかは信じている。でも、そんな非の打ちどころが無いようなりほだからこそ、それを嫉妬している人がいるのかもと考える。
いじめ以外の他の理由は・・・・ゆりかには思いつかなかった。
やっぱり誰かにいじめられていると仮定して、最近何か変わったことがなかったかと、ゆりかは記憶を巡らす。
そういえば、先日、ライブの告知を生徒会に協力してもらった。
生徒会の事は、なんとなく知っていた。ゆりかと同じ部で仲の良い先輩のよしのが生徒会を兼任しているからだ。
その告知の時に、生徒会のいずみとりほが会っていた。その際、いずみは『レアキャラのりっぴーと初めて絡めてうれしー』と、はしゃいでいたのに対し、ゆりかは、軽々しくりほの事をあだ名で呼んでいたことが気に入らないと感じていた。
―――いずみ。
他に思い当たる人物がいないので、試しに口に出してみる。
『まさか・・・・いずみさん?』
りほは、明らかに顔色が変わった。やはりいずみが関わっている。ゆりかはそれでほぼ確信する。
いずみ・・・。ゆりかが初めて直接会ったのは最近だが、それ以前からいずみのことは知っていた。
なぜなら、部室で部員達が談笑している時に、先輩のすずこが頻繁に、いずみの話をしていたからだ。話の内容は、『いずちゃんにおいしい餃子屋さんに連れて行ってもらった』とか、『いずちゃんに料理を教えてもらった』とか、『青の子に冷蔵庫を譲ってもらった』とか、『いずちゃんはネットで最安値のトイレットペーパーとか詳しい』とか、『いずちゃんとクリスマスを二人で過ごした』とか。すずこはとても嬉しそうにいつも話していた。それだけだったらいずみは特に問題は無い人だと思えるのだが、それ以外にも、色々と良くない話は耳に入っていた。ゆりかはそれをりほに言ってみる。

『あの人さ・・・・・・
そらの頭にハンガーをたくさん挟んで遊んだり、
すずこ先輩に自分の汗の匂いを嗅がせて喜んだり、
そらの鼻の穴にポッキーを突っ込んで写真撮影したり、
あいな先輩に目隠しさせて溶けたチョコを塗ったいなり寿司を食べさせたり、
そらが楽しみにしていたミルクレープの一番上を勝手に食べちゃったり、
えみ先輩の誕生日に脇の下で挟んでしっとり温めた牛タンをプレゼントしたり、
そらが餃子をおかずにご飯を食べようとしたら、ご飯の存在を叱りつけたり、
そらのことを南房総のヤンキーって呼んだり・・・・・・
そんな事した人なんでしょ?』
知っていることだけを言ったつもりだったが、改めて考えるといずみは予想以上にいじめっ子だった。典型的なサディストである。

ゆりかが言ったいずみという人間を、りほは否定しない。ゆりかは更にりほを問い詰める。
『それと同じような感じで、りっぴーにノーパンを強要したの?』
『えっと・・・その』
りほは狼狽えるものの、やっぱり否定はしなかった。
『そんなの立派ないじめだよ! 誰かに相談してやめさせないと―――』
ゆりかが珍しく声を荒げて主張する。
『それはっ!・・・いいんだよ・・・』
しかし、ゆりかがしゃべり終わる直前に、りほが割って口出しする。ゆりかは理解ができずに、理由を尋ねる。
『どうして? 今日だって朝からパンツ履いてなかったんでしょ? それでずっとそわそわしてたじゃん。それのどこがいいの?』
『良いことではないかもしれないけど・・・・』
『だったら、なんで?』
『・・・・いずみ様は嫌がることを強要するような人じゃないから』
りほがいずみに“様”を付けたことに、ゆりかは更に問い詰めたかったが、重要なのはそこではなかった。
『ちょっと待ってよ! その言い方だと、まるでりっぴーが、いずみさんの理不尽な命令に従うのが嫌じゃないって聞こえるんだけど』
りほは俯いたまま、険しい顔をして、黙っている。
早く否定してほしい。もしくは、なにか特別な理由があったのなら説明して欲しい。ゆりかは心の底からそう願ったが、いくら待っても、りほは沈黙だった。
それはつまり、肯定という意味。
いずみとりほは既に深い仲のようだ・・・。このまま何もしなかったら、りほは自分の傍からいなくなってしまうのではないか。ゆりかはそう思った。
その次の瞬間、足元から目に見えない恐怖心が這い上がってくるのを感じた。それは瞬く間にゆりかの全身を覆う。ゆりかの体は硬直する。頭の中では重油のようなドロドロした気持ち悪い何かが這いずり回って、次から次へと考えたくもない、嫌な事を想起をさせる。

一人ぼっちのゆりかを周りの人間は嘲笑い、時には偽善で同情の目で見る。誰も手を差し伸ばそうとはせず、勉強、行事、練習、あらゆる場面でゆりかは一人取り残される。たまたまゆりかと隣り合わせになった人は、気まずい顔をして避けようとする。無口であることがそんなにも罪なことなのかと、ゆりかは自分自身を憎む。
そんな過去のゆりかは、ある時、りほと出会った。りほは嘲笑うの“あ”の字も知らないような天真爛漫で無邪気な子だった。だから、ゆりかは、りほを変に勘ぐる必要もなく、醜いと感じているありのままの自分を晒しても、何の抵抗も無かった。初対面の時から気まずい空気になったことなど一度も無かった。
りほのような仲の良い友人が一人いれば、自分を責めるようなことはなくなる。
自分を憎むあの日々にはもう戻りたくない。
りほはゆりかにとって心の支えで、心の拠り所だ。
りほは、その日あった面白い事や楽しかったことを、おしゃべりで共有できる人だ。
それまでのゆりかは基本的に家に引きこもっていた。家で本を読んだり壁を撮影したりする等の暗い行動が多い。たまに外に出ても、札束を握りしめて『おかえりなさい』を言ってもらうために一人でメイド喫茶に行ったり。
りほはそんなゆりかの暗い毎日に彩りを与えた。
りほ程に仲良くできる友達が今後も現れることなど想像できなかった。
りほは唯一の親友。りほは絶対に手放したくない。りほを誰にも渡したくない。





花陽「ゆりかさんすごく焦ってる・・・」

花陽「私も、凛ちゃんに昔から助けてくれてもらってた・・・」

花陽「もし、凛ちゃんがいなかったら、学校でのグループ決めのときとか、放課後とか、私、毎日どうやって過ごしていたんだろう・・・?」

花陽「・・・・想像するだけでも怖い・・・」

花陽「ゆりかさんの気持ち、すごくよく分かるなあ・・・」





りほの傍にずっといたい。
ゆりかはその強い想いを声に出してりほに理解にしてもらいたかったが、語呂と常識が少なく考えを言葉にするのが苦手なゆりかにそれは難しかった。それでも、りほを失いたくない想いは大きくなっていく。その想いは、口の代わりに、恐怖でガチガチに固まっていた体を動かした。
ゆりかは立ち上がり、りほの肩を掴む。
項垂れていたりほは、少し驚いて、ゆりかの顔を見上げる。肩口で切り揃えられている髪が、後ろに垂れ下がる。
今のゆりかの目には、りほしか入らない。
りほの真ん丸の目。童顔で可愛らしい。少し赤く染まった頬。瑞々しいピンク色の唇。髪が左右に分かれて露出された綺麗な額が僅かに光を反射している。肌はアウトドア派らしく、全体的に薄く日に焼けていて、健康的な印象を強くする。
ゆりかはそんなりほを見下ろしている。肩を掴んで動けないようにしている。そんな状況を認識したゆりかは、りほを支配していると錯覚しだしてしまう。
そして、触れてみてよく分かる。りほの体は細いが、健康的に程よく肉付いている。
ゆりかの中から、徐々に劣情が湧き上がってくる。りほの傍にずっといたいという気持ちと混ざり合って、りほの肩を掴んでいる手の力が強くなっていく。
りほの傍に居たい、りほに触れたい、どこかに行ってしまわないよう、抱え込んでしまいたい。
ゆりかの頭はりほの事しか考えられなくなる。
ゆりかの手の力はすぐに最大に到達するが、握力が弱いため、りほが痛がる事はなかった。
それでも止めどなく湧き上がる劣情は、体を動かし、りほに体重を掛ける。
スカートを上から手で押さえていたりほは、後ろ手に体を支えることができず、簡単にベッドに倒されてしまう。
ゆりかのことを信頼しきっているりほは、無抵抗に押し倒されてもなお、警戒心を微塵にも抱かず、どうしたんだろうと思いながら、そのあどけない少女の瞳でゆりかを見返す。
内面的にも外面的にも反則級な可愛らしいりほの姿を前にしたゆりかは体の芯からゾクゾクと打ち震え、興奮して頭の中に電気が走り、思考は情欲の炎に支配され、最後に残った一滴の理性を完全に焼き尽くす。

ゆりかは人見知りでおとなしい性格だ。だから、普段はなるべく部屋の隅でカーディガンを羽織って小説を一人で読んで目立たないようにしている。しかし、そんな佇まいが美少女として周りからの評判は高いが、本人は気が付いていない。
りほも、ゆりかが美少女だと思っている内の一人だった。りほの眼前に、そのゆりかの顔が迫ってくる。ショートカットの髪が揺れているのが見えて、相変わらず似合っている髪型で可愛い・・・・などと、悠長なことを考えていたら、りほは押し倒されていた。
今度はゆりかの豊満な胸がりほの視界を埋め尽くす。いずみやすずこには無いそれは、とてもインパクトがある。グラビアモデルと言われても疑いようがない。その性欲を刺激する体つきを前にして、りほは、思わず生唾を吞む。
いつものゆりかでは考えられない積極的な姿勢とセクシーな雰囲気を前にしたりほは恥ずかしすぎて、全身が熱くなっていくのを感じた。
『りっぴー。りっぴー。りっぴー』
ゆりかは壊れたラジカセのようにりほ名前を繰り返し呼ぶ。
『りっぴーの声好き。りっぴーの肌綺麗。りっぴーの髪触りたい。りっぴーの何かに触れたい。りっぴーと一緒に暮らしたい。私、もっとりっぴーと仲良くなりたい。いずみさんよりもずっとずっと。いいよねいいよね?』
ゆりかの甘い声。ゆりかの早く荒い吐息。ゆりかの少し膨れ上がった桃色の唇。ゆりかの垂れ下がった細目。ゆりかの上気した頬。ゆりかの汗ばんだ額。ゆりかの乱れた前髪。ゆりかのお気に入りの香水の匂い。ゆりかの豊満な胸が視界を埋め尽くす。
それらが組み合わさり、普段では考えられない程に、ゆりかから異常に濃厚な色気が発せられる。それに当てられたりほは、長風呂で上気したように頭が回らなくなる。声が出せず、ゆりかの事を肯定も否定もしなかった。
少なくとも、抵抗はしなかった。できなかった。







花陽「ほわあぁぁああぁぁあああ//」ドキドキ

花陽「・・・・・・///」ヨミヨミ

花陽「す、すごい・・・!」ムラムラ


ペラッ


花陽「ぴゃぁぁぁぁああ!!!!///」ドクンッ

花陽「おっぱい」

花陽「むふー/// むふー///」

花陽「こ、これは・・・!!」

花陽「ぐふふ」ハァハァ



花陽「はぅぅぅ! 素晴らしいです!//」ハァハァ

花陽「それから、どうなっちゃうノ゙ォ?」シンケン





『りっぴー? りっぴーってば』
ゆりかが声を掛けるが、返事が返ってこない。代わりに聞こえてきたのは寝息だった。
『すー、すー』
『あ、眠っちゃったの? ・・・・昨日あんまり眠れてないって言ってたもんね。無理させちゃってごめんね』
寝不足による疲労と、ゆりかとの行為によって限界に達したりほは、眠ったというより気絶したように意識を無くす。
りほからは規則正しい小さな寝息が聞こえてくる。
ゆりかは眠っているりほの顔を眺める。
『・・・・・私の前で無防備に寝ちゃったってことは、それだけ、私がりっぴーにとって気兼ねない存在って考えていいのかな』
普段はマイナス思考の多いゆりかであったが、珍しくポジティブな考えをする。りほと友人になってからは、りほの影響を受けてか、ゆりかの性格も徐々に変化が表れている。
『りっぴー。やっぱり可愛いなあ』
ゆりかは、りほの髪を撫でる。それでも起きる様子はない。
りほは深い眠りについている。今なら何を言っても、りほには聞こえない。
ゆりかがその認識を固めると、自分の胸の内に秘めていた想いを口から声で吐露したい気分になった。
『・・・・どうして私じゃだめなの?』
ゆりかはりほに話しかけるが、りほに意識は無いので、その声は届かない。
『やっぱり、私みたいな根暗じゃ、明るいりっぴーには不釣り合いかな? だったら・・・・りっぴーが本当に一番好きな人はだあれ? やっぱり、いずみさん? 理不尽な命令に従っちゃうくらいだもんね・・・。それとも、すずこ先輩? りっぴーって、すずこ先輩をよく目で追ってるよね。すずこ先輩はアイドル界で一番の変顔使いだから、憧れるのも分かるよ。それに、お笑いユニットのリリホワでも一緒だもんね。だけど・・・。ねえ、りっぴー・・・いずみさんが一番好きな人は・・・・多分、すずこ先輩じゃないかなあ・・・・? 探偵コスプレ部で付き合いも長いだろうし・・・・分からないけど。そして、すずこ先輩が一番好きな人も、多分・・・・。だから、りっぴーがいずみさんやすずこ先輩に目を向けても、辛いだけだよ・・・! 少なくとも、いずみさんは誰でもいいんだよ! りっぴーもその内の一人で、いずみさんには暇つぶし感覚でいいように遊ばれているだけ・・・!』
ゆりかはりほに叱りつけるように声を出しているが、その実は自問自答である。それを繰り返すうちに、ゆりかはだんだんと感情が溢れてきて、目からは涙が流れてきた。
『だから・・・! だから、りっぴー・・・・。私を・・・・私を選んでよ・・・ぐすっ。私だったら、いずみさんみたいに、色んな女の子に手を出さないよ。 すずこ先輩みたいに人気物じゃないから、ずっとりっぴーの傍にいてあげられるよ。 私、りっぴー以外で話せる人、そんなにいないから・・・。だから、お願い・・・・りっぴー・・・・。私だけを見てよ・・・。私と一緒に暮らしてよ・・・。ひっく』
りほからは寝息しか返ってこない。
『・・・・なんて、りっぴーにちゃんと言えたらいいのに・・・あはは』
寝ている人に話しかけても、何の意味もないと、ゆりかは乾いた声で自分を嘲笑う。そして、変わらない状況に悲観する。
『はあ・・・・。せめて、いずみさんがりっぴーを諦めてくれたらいいのに・・・。すずこ先輩がちゃんといずみさんを躾けて欲しんだけどなあ・・・。だけど、すずこ先輩はいつも一歩引いている感じだし・・・』
ゆりかは別の先輩になんとかしてもらうようお願いできないかと思案する。
ゆりかの知ってる先輩の中ではよしのが最年長でいずみと同い年。
『よしの先輩・・・。最近私と遊んでくれないんだよねえ・・・。あいな先輩とばっかり・・・。よしの先輩と私は仲がいいって思っていたのは、私だけだったのかなあ・・・』
ゆりかとよしのは結構な年齢差があるにもかかわらず、何故か仲が良かった。しかし、よしのとあいなが花園コンビと呼ばれ始めた頃から、よしのとゆりかの関わり合いは少なくなっていた。それを悪い方向に捉えてしまい、ゆりかはネガティブな思考が強くなり、よしのに相談することを諦めてしまう。
『他につよそうな先輩は・・・・』

つよそうな先輩ということで、ゆりかは真っ先にえみのことを思い浮かべる。えみは元気な笑顔が印象的で、優しくて、相談事は親身になって聞いてくれる人―――というのがゆりかの認識だ。
しかし、先日悲劇があったことを思い返す。
えみは、軽い気持ちで腕相撲を挑んできたあいなの肩を軽々と外し、更に、それを見て怯えるよしのを強引にリングに引っ張り上げ、ついでによしのの腕もへし折って、夫婦仲良く病院送りにしていた。その時のえみは楽しそうに高らかと笑い声をあげていた。
えみは確かにつよい。よしのよりずっとつよい。アームレスリングチャンピオンのそらよりも間違いなくつよい。実際すごいつよい。えみの豪腕をもってすれば敵はいない。強靭で無敵で最強だ。
しかも、えみはいずみとも親睦があるので、えみは警戒されることなくいずみに接近できる。
それでいて、えみは後輩にはとても優しく面倒見が良い。だから、ゆりかが頼めばえみはいずみを懲らしめることができるだろう。
懲らしめる・・・それはつまり、下手をしたらいずみを病院送りに・・・―――いや、いくらなんでもそれはやりすぎではないか。そこまでの罪がいずみにあるだろうだか―――ゆりかは考える。
原点に振り返る。いずみの罪とはなんだったか。それは、りほのパンツを奪い、りほの心を奪い、ゆりかからりほを奪った。
『だめ。だめだめだめ! やっぱりだめ。いずみさんは許せない。見逃せない。だって、私りっぴーがいないとダメなの。いずみさんは許せない。りっぴー行かないで。お願い。私はりっぴーだけの人になれるから。りっぴーも私だけの人になって。いずみさんは許せない。りっぴーは私だけの人。りっぴーのひまわりパンツは私の物。私はりっぴーだけ見てる。りっぴーも私だけ見ていればいい。りっぴーは私が好き。私もりっぴーが好き。好き。好き。好き。好き好きぷわぷわ。許せない。許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない。だから、いずみさんいずみさん。だからいなくなればいい。いなくなっちゃえばいい。いなくなっちゃえ。そうだ。いずみ・・・? 誰? え? 誰だっけ? いずみ? いなくなっちゃった? いなくなっちゃったの? いなくなっちゃうのぉ? いなくなるんだ。りっぴーと私だけ。そうだえみ先輩。えみ先輩。いずみを懲らしめてください。二度とりほに手を出す気を起こさせないようにしてください。二度とりほに手を出せないような体にしてください。いずみを病院送りにしてください。いっそのこと棺桶に送っちゃってください。ミナゴ○シ。えミナゴ○シぷわぷわーお―――・・・』
いずみの罪とりほへの想いを考えていたはずが、いつの間にか支離滅裂な事をブツブツとつぶやき始めるゆりか。まるで呪詛のようである。
呪詛を唱える度、いずみへの怨恨が強くなる。嫉妬の炎を燃えたぎらせる。
普段の根暗な性格が油となって、嫉妬の炎は激しく勢いを増す。もはや理性では抑えきれない。
例え、えみが手を貸さなくても、ゆりかは得意の“模写”でいずみの魂を吸い尽くしかねない。
いずみはとんでもない悪魔を敵に回してしまった。
『りっぴーを・・・りっぴーを・・・りほは誰にも渡さない。目の前のりほは。りっぴーは・・・――――――えっ? あっ・・・』

ゆりかの意識が完全に悪魔に支配されかかったその時、りほの顔が目に入る。それを見た瞬間、ゆりかは思わず小さく声を出し、思考が止まった。
ゆりかのベッド、ゆりかの毛布、ゆりかの枕。それに包まれて幸せそうに眠っているりほ。とても身近に感じる。いつも抱いて一緒に寝ているヌイグルミのようだ。
りほの綺麗な肌が、カーテンからかすかに差し込んでいる夕日を淡く反射している。
その姿は純粋無垢な赤子のよう。苦悩や争い事なんか感じたことも見たことも無いかのような穢れ無きオーラを発している。
この世のどんな悪でさえ近づく事ができずに清められて浄化してしまうような、穏やかで美しい光景。
小さい寝息は冬が過ぎた最初の暖かいそよ風のよう。
天国を自由に飛び回る鳥が遊び疲れて羽休めしているような愛くるしい姿。
今のりほを一言で言い表すのなら―――

『マジ天使』
それを目のあたりにしたゆりかは、己の中に溜まりに溜まった憎悪や加虐欲と言った毒念が一瞬にして邪悪消滅してしまった。
ゆりかは頭を振って理性を整える。ゆりかは自分の中にいる悪魔を退治してくれた目の前に天使に感謝をして、手加減のできない霊長類最強の存在であるえみを味方につけるのは思いとどまった。
しかし、いずみをなんとかしなければならないという問題は残っている。ゆりかはりほとの時間が少なくなることは到底耐えられない。だからいずみとりほの仲を裂かなければならない。それも、できるだけ穏便に。それにはゆりか一人の力ではどうしようもない。他に協力者が必要である。
ゆりかは、自分が話しかける事ができて、かつ穏便な人物がいないかと、知り合いを一人一人思い浮かべる。
『そらは既に負けてるし。えりこ先輩とあや先輩は・・・なんかちょっと怖いから話しかけ難いし・・・。あいな先輩に下手に話しかけたらよしの先輩から恨み買いそうだし・・・。はあ、だめか・・・』
人に話しかける事が苦手で交友関係が狭いゆりか。知っている人物は少なく、考え事はすぐに終わってしまった。
『はぁ・・・。あっ・・・。あの人なら・・・』
ゆりかが諦めかけてため息を吐いたところ。もう一人、頭の中で引っかかった人物がいた。それに、わずかな希望を見出し、表情が若干明るくなる。
『普段からお世話してるし。ご飯あげたりお水あげたり掃除してあげたり撫でててあげたらいつも喜んでくれるし。人語を使わなくてもお話しできるし。それに、あの人は真面目で優しいし、私とも年近いし・・・だから私のお願いでも聞いてくれるかな・・・? いずみさんとすごく仲良くなって、他の子に手を出さないよう躾けてくださいって。・・・・でも、もしそれが実現したら・・・・』
ゆりかは大事な親友のためにすぐに決意を固めようとするが、一人の先輩の事が気になり、迷ってしまう。
『すずこ先輩・・・・・』
すずこが本当にいずみのことを慕っているとすれば、ある意味その仲が引き裂かれてしまう事になる。そんな事をするのは罪深いことだ。
しかし、ゆりかはこのままじゃ居ても立ってもいられなかった。なんでもいいから行動がしたかった。
このまま何もしなければりほが傍からいなくなってしまう。ゆりかはその不安で頭が一杯だ。
ゆりかは大切な友人と先輩の二人を天秤にかける。その結果天秤は拮抗しなかった。

『・・・ごめんなさいすずこ先輩。りっぴーのためなんです。・・・・でも、すずこ先輩も悪いんですよ? いつまで経っても自分に素直にならないんですから』
ゆりかはりほをいずみから引き離すために、とある人物に協力を依頼すると決めた。先輩一人を犠牲にすることを覚悟に。
考えがまとまったゆりかは一呼吸を挟み、もう一度りほの天使の寝顔を見つめる。
そして事が全て上手くいった時のことを妄想する。
『・・・・・いつかは・・・・。大勢の人に祝福されている中を、私とりっぴー、二人腕を組みながら一緒にヴァージンロードを歩きたいな・・・。りっぴーはマジ天使だから絶対に純白のドレスだね。そしたら、私がタキシードになっちゃうのかな。それもいいよね・・・。いつか、きっと』
ゆりかはそんな願いを込めて優しくりほの手を握りしめる。

※この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件などには一切関係ありません。






花陽「うぅ・・・・。悲しいお話でした・・・」

花陽「大事な人を取れないようにするためには、ゆりかさんみたいに強い決意が必要なんだなあ・・・」


花陽「そういえば最近、凛ちゃんは、海未ちゃんと仲良いよね・・・」

花陽「・・・・・・」

花陽「うぅ。この後ゆりかさんはどうなるんだろう・・・? 知りたい・・・」


花陽「あっ、もうこんな時間。行かないと」


花陽(と、とりあず、この本、隠さなきゃ・・・)

花陽(どこに隠そうかな?)キョロキョロ

花陽(・・・よしっ、ここに隠しておこう・・・)ゴソゴソ




別室・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

希「随分熱心に読んだ後、早速隠しおったで」

絵里「ふふふふ。さすが花陽ね。私の見込んだ通り」

希「せやね。よ~し。今から、試合開始や!」

絵里「ちなみに、この様子は私と希が別室からモニタリングしていくわ。花陽の部屋は丸見えよ☆」

希「おっ、えっちやなあ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







☆★☆*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*
シーン:エクストリームスポーツ! <vsお父さん>


~~登場人物~~

隠匿者:花陽
捜索者:穂乃果
実況:希
解説:絵里
*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*☆★☆



花陽の部屋


ガチャ


穂乃果「次のシーンはお父さんがこっそり娘の部屋でお酒を飲むんだって」

穂乃果「そういえば、穂乃果のお父さんも昔はしょっちゅう、お母さんに隠れて、穂乃果か雪穂の部屋でお酒飲んでたなあ」

穂乃果「ある時お母さんに見つかって無茶苦茶怒られてからは、もうやってないけど」

穂乃果「あの時の感じみたいにやればいいよね? よしっ、やるったらやる!」



穂乃果「・・・・コホンッ」

穂乃果「花陽~いないのか~?」

穂乃果「部屋借りるぞー」イソイソ




別室・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

希「さて、始まりました、エクストリームスポーツ:エロ本隠し!」

希「実況はウチ、一人暮らしだからエロ本隠しとは無縁の希です。解説は絵呂ちさんでお送りします」

絵里「よろしく―――ちょ、ちょっと待ってよ! 今私のこと、エロちって呼ばなかった?! ねぇ、ねえ?! エロちって呼んだわよね?! 違うわよ! 私の名前は絵里よ!」

希「おっと、ちょっと間違えちゃった。失敬、失礼」

絵里「も、もう・・・」

希「絵里ちさんは、前回対戦でブツを同級生に発見され、更にそのエロ本の所持を後輩にバラされるという大敗を経験しております」

絵里「・・・・あの時はよくも恥をかかせてくれたわね」

希「くだらん事を考えている絵里ちがいけないんや」


希「そんなことより、早速ですが絵里ちさん」

絵里「はい」

絵里「注目すべき、最初の対戦相手はお父さん。この勝負どう見ますか?」

絵里「そうですね。この競技においてお父さんは消極的な存在の場合が多いので、面白い展開はあまり期待できないでしょう」

希「なるほど、最初の試合だから軽くといった所ですね」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





穂乃果「全く・・・母さんは厳しすぎるんだよ。一日2杯は少なすぎだって」

穂乃果「たまにはたくさん飲みたい時だってあるんだぞ。だから、今日は一升瓶開けちゃうもんねー」ストン

穂乃果「まずは一杯目」トクトク←[日本酒(ノンアルコール)]




別室・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

希「あらあら、随分リアルな演技なんはいいんやけど。椅子に座らず、床にあぐらで座って、一升瓶とコップも直接床に置いて、お酒注いでるやん」

絵里「海未に見つかったら、はしたないってガツンと怒られそうね」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




穂乃果「ごくごく・・・・ぷはぁー。しみわたるー」←[日本酒(ノンアルコール)]

穂乃果「もう一杯・・・」


穂乃果「んー・・・。なんか寂しいなー」

穂乃果「テレビとかないし。何か他にないかなー?」キョロキョロ

穂乃果「うーん・・・・おっ」

穂乃果「ベッドの下にえっちな本があったりして」ムフフ

穂乃果「なーんて。そんなことあるわk」チラッ


“Person Of Inside”


穂乃果「・・・・・・・」

穂乃果「い、いや・・・・。まだえっちな本とは限らないよね。英語のタイトルってことは、英語の参考書かもしれないし」

穂乃果「どれどれ」ヒョイ ペラッ





『脱がす・・・ね』
『ん。いいよ』
なおが緊張しながらも、えみの服をするすると脱がしていく。
えみは肌が露出すると、自信満々に腕を広げてアピールをする。
『これを見て。どう思う?』
『わ、わあ・・・・。すごく・・・太いよ・・・』
えみの筋骨隆々の腕が露わになり、なおは思わず感嘆の息を漏らす。
『ふふ。ありがとう』
『お姉ちゃんはまるでArgentinosaurus(アルゼンチノサウルス)のような逞しい腕を持っているのに、Arm wrestling champion(腕相撲の王者)がそら先輩だなんて・・・・信じられないよ』
『そらもすごい子なんだよ。格闘一家の娘さんだからね』
『ううん。それでもやっぱり、お姉ちゃんの方がすごいと思うよ。でも・・・仕方ないよね。お姉ちゃんの力はマジすぎて事務所NGなんだから。階級が違うから勝負にならないのと同じだよね』
『も~照れちゃうなあ。本当は人前で腕を出すのもなるべく控えているんだけど・・・・なおは特別だよ?』
『う、うん。嬉しい・・・』
『それじゃあ。早速・・・・』
『きゃ』
えみの丸太のような腕がなおを抱きかかえ、それからなおがベッドに投げ出される。
『ふふふ。頂きまスピノサウルス~。グルル』
えみがやたらとリアルな恐竜の鳴き声を喉から出しつつ、なおに覆いかぶさろうとする。
『きゃー。ワニのように水辺に生息し、魚食性で、さらにあの有名なT.rex(ティラノサウルス)を凌ぐ巨体を持っていたとされる地球史上最大級の肉食恐竜に捕食されちゃうー』
なおは叫び声を上げながらも、嬉々とした表情で、えみの背中に手を回して、一緒にベッドに倒れ込んだ。

※この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件などには一切関係ありません。






穂乃果「あふぅ/// や、やっぱり、英語じゃなくて保健の参考書だったぁ//」ドキドキ 

穂乃果「も、もう。しょうがないなあ、花陽ちゃんは」

穂乃果「花陽ちゃんも高校生だし、こういうのにも興味が湧いたんだねえ」

穂乃果「大人に一歩近づいて、お父さん嬉しいよ」シミジミ

穂乃果「・・・・よし、もっと読んじゃおう」ジロジロ

穂乃果「ふむふむ」クイッ グビグビ ←[日本酒(ノンアルコール)]

穂乃果「ぷはー。・・・・ほー。なおちゃんって子は可愛いなあ。英語もペラペラ。しっかり者だなあ」

穂乃果「こんな真面目そうな子が、こんなに乱れちゃうなんて・・・/// しかも姉妹でだなんて・・・///」ハァハァ


ガチャ


穂乃果「ん?」クルッ

花陽「」

穂乃果「やっほー花陽ちゃん。お部屋借りてるよ。ごくごく」←[日本酒(ノンアルコール)]

花陽「あ、あの・・・・それ」プルプル

穂乃果「ぷはー。ああ、これ? 面白い本だね!」

花陽「ご、ごめんなさい!!」ガバッ

穂乃果「わわ。どうしたの、いきなり土下座して」

花陽「未成年でありながらそんな本を持ってて・・・!」ドゲザー

穂乃果「えー? 別にいいんじゃない? 雪穂もこの本と同じような感じので、仲良し姉妹の少女漫画、隠し持ってるし」

花陽「え? そうなの?」

穂乃果「うん。雪穂、誰にも見つからないように机の引き出しの裏に隠してるんだよね。穂乃果にはすぐ分かっちゃったけど」

穂乃果(本当は雪穂から色えんぴつ借りようとして、机の引き出しを開けた時に、引っかかって偶然見つけちゃっただけなんだけど)



花陽「確か、雪穂ちゃんって中学生だよね・・・・?」

穂乃果「そうだよ。だから本人の名誉のために、穂乃果は誰にも言わないようにしてあげてるの」

花陽「そ、そうなんだ・・・・あはは」

穂乃果「ねえねえ! 花陽ちゃん。 この本面白いから、また穂乃果にも読ませてよ」

花陽「う、うん。いいよ」コクッ

穂乃果「やった! それとね、花陽ちゃん。隠し場所としてベッドの下は定番過ぎて、危ないよ?」

花陽「そうかな?」

穂乃果「うんうん。現にこうやって簡単に穂乃果に見つかっちゃったもん」

花陽「そっか・・・。それじゃあ、どっか別の場所に隠さないと。どこがいいかなあ」キョロキョロ

穂乃果「やっぱり、こういうときは、忍の『木を隠すなら森の中』の教えに基づく技があってね―――」コソコソ

花陽「な、なるほど! さすが穂乃果ちゃんです! ―――」コソコソ

穂乃果「それほどでも」テヘ






別室・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

希「あらあら。お父さんは捜索者側のはずなのに、ブツを見て裏切っちゃったやん」

絵里「今後は花陽との共同戦線になるわね。まあ、概ね予想された展開よ。いずれにせよ、これはお父さんの試合放棄と見なして、花陽の勝ちね。花陽が勝ったら、試合は相手を変えて続行よ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




花陽「ありがとう穂乃果ちゃん!」

穂乃果「いやいや、どういたしまして」

穂乃果「そろそろおやつの時間だから、行こっか?」

花陽「うん!」


ガチャ、バタン




別室・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

希「二人とも嬉しそうに部屋を出て行っちゃった。秘密を共有する仲間ができて楽しかったんかな?」

絵里「ええ。しかも、穂乃果が花陽にアドバイスしちゃったから、隠し方が高度になったわね」

希「次の捜索者のプレイ難易度が上がってもうた」


絵里「そうね。あら?」

希「ん? ・・・・・誰か部屋に入って来おったで」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




ガチャ


にこ「はあ・・・疲れた。ちょっと休憩」

にこ「ここ、誰の部屋だったかしら?」キョロキョロ

にこ「まあいいわ。ちょっとくつろがせてもらうわよ」

にこ「ん? あの本の山なんだろう? ・・・・あ、アイドル雑誌がたくさん」

にこ「花陽が持ってきたのかしら? 勉強熱心で感心だわ」

にこ「ちょっと読ませてもらうわね」ゴソゴソ

にこ「むむむ・・・。この肉球手袋付けていたらうまく持てないなあ・・・」ゴソゴソ


バサッ


にこ「あっ」

バサバサ

にこ「ああ・・・。本の山が崩れちゃった。ごめん花陽」

にこ「んっ? アイドル雑誌に埋もれて、ちょっと変わった本が一冊あるけど。なんだろうこれ? どこかで見たような気もするけど・・・」

にこ「うーん・・・・」






にこ「あっ! 思い出した! この前真姫ちゃんが部室で読んでいた本だ」

にこ「結局あの時、この本読ませてくれなかったんだよね」

にこ「今、誰も居ないし読んじゃおうかな・・・・?」

にこ「・・・・真姫ちゃんがあんなに熱心に読んでいたんだからすごく気になる」

にこ「別にいいよね。減るもんじゃないし・・・・読んじゃおうっと」プニ ←肉球手袋

にこ「むっ。むむむ」プニプニ ←肉球手袋

にこ「ページが開けない・・・」プニプニ ←肉球手袋



「にこちゃーん? どこにいるのー? ご飯だけどー」



にこ「あっやばっ。真姫ちゃんの声だ」

にこ「・・・・・この散らばった本、どうしよう。この手じゃ元に戻せないよ」プニ ←肉球手袋



「にこちゃーん???」



にこ「えっと・・・・ごめん! 花陽!」タッ


ガチャ、バタン




別室・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

希「おやおや・・・」ニヤッ

絵里「これはこれは」ニヤッ

希「にこっち、花陽ちゃんがエロ本隠したアイドル雑誌の山を崩して部屋から出ちゃったで」

絵里「ふふふ。これは予想外ね。イレギュラーが舞い込んできて、面白くなってきたわ」

希「はてさて、次の試合にどう影響するんかな?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・










☆★☆*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*
シーン:エクストリームスポーツ! <vs妹>


~~登場人物~~

隠匿者:花陽
捜索者:凛
実況:希
解説:絵里
*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*☆★☆




ガチャ


凛「かよ姉ちゃーん! あそぼー!」

凛「あれ? いない?」キョロキョロ

凛「ん? あらら。本が散らばってる。珍しいなあ。かよちんがこんなに散らかすなんて」

凛「何の本だろう?」ヒョイ

凛「あっ、これかよちんの家にあったアイドル雑誌だ。かよちんが持ってきたんだ」

凛「・・・ん? この本だけ見覚えがないけど」

凛「なんだろう、この本?」ペラペラ

凛「ちょっと読んでみよう」ペラッ






『ダーリン♪ 今日は何をするの?』
『うん。私って妄想っ子でしょ? あやねるに付き合って欲しいなあって思って。あやねる、一緒に妄想してくるかい?』
『するするするするする!』
『おおっ! めっちゃ前のめりで!』
『するするする! 妄想好き好き! 何するの?』
『うん。あやねるにときめかせてもらいたいなあ、って思って。いいかな?』
『やるやるやるやるやる!!』
『ホント?! でも、まだきっかけくらいしかなくて、ちゃんとした妄想ネタが無いの。あやねる。何か、とっときのある? とっときの』
『とっときの? ん~・・・。今、流行ってるやつがあるじゃん』
『流行ってるやつ? なんだろう?』
『あの辺をうまい事ミックスしてやりたいなあ。でも、これって基本的は受け身だから、きっかけは、なおから欲しいな』
『おっ。じゃあ、ちょっと大胆に頑張るよ』
『うん! おねがい!』
なおが一呼吸を入れて、小芝居を始め出す。
『あやね~♪』
『ぶふっ!』
なおが急に甘ったるい声を出し、その突然のギャップに、あやねは思わず吹き出してしまう。
『私達、付き合って一年になるじゃない?』
あやねは呼吸を整え、なおの小芝居に合わせる。
『ああっ、もうそんなになる?』
『うん。最近、あんまり、なんか・・・イチャイチャしてくれなくなったよね』
『そんなことないよ』
『そんなことあるー! なお、ちょーさみしい!』
『えー、なに?』
あやねはなおの体を押し、壁まで追いやる。
『わあ?! ヤダヤダ! ふわわ?! あ、あやね?! あやねー?! ふわっ』
あやねは、ドンッ、っとわざとらしく音を立てながら、なおの後ろの壁に手を付く。
そして、なおを見つめる。
『こうされたかったの?』
なおは急な事に驚く。それと同時に、あやねの真剣な表情と、普段聞きなれない作られた低い声に、心奪われ動揺を隠せない。
『あっ、ち、ちかい・・・・・・』
『うん』
『・・・・あ、あのね?』
『うん』
『あやねぇ・・・』
『うん』
想像以上にノリノリなあやねに、なおは心乱され、言葉がゆっくりになる。
あやねはなおの一言一言に優しく相槌を打つ。
いつもと違った紳士的なあやね。それは妄想好きななおが憧れている人物像そのままだった。そんなあやねの姿になおは動揺して、見惚れてしまい、今のこの桃色な雰囲気にどっぷり陶酔する。
しかし、欲を出したなおは、さらに次の段階へと踏み込もうとする。
『なお・・・壁ドンの次にドキドキするやつをあやねと一緒に探したいの』
『なにがいいの?』
『一緒に一杯試そう?』
『うん。それじゃあ・・・・顎クイッかな』
『あ、あやね・・・うん・・・。して?』
なおは鼓動を高鳴らせて、あやねが提案した魅力的なシチュエーションに胸を高鳴らせる。
『あはは。クイッってする必要が無いくらい、顎、既に上がってるよ? なおは積極的だなあ』
『だ、だって、あやねの方が背が高いんだもん・・・』
なおがあやねに目線を合わせようとすると、自然と顎が上がってしまう。
『なおはちっちゃいなあ。本屋さんに行ったら中学生に間違われちゃうぞ』
『あやねるもなおも一応中学生なんだけど・・・』
『ちっちゃくてかあいーなー。ボクの事、お姉ちゃん、って呼んで』
『なおの方が年上なんだけど・・・』
『ちゅ♪』
『ぷわー!! ちゅー!? デコちゅー?! いきなり、なんでー?!』
『ちょうどいい位置におデコがあったから、つい♪』
『わー! わー! おわり! おわり! はー! はー・・・ふー・・・』
『ふふっ。どうしたの、なお? 顔、真っ赤だよ。チーク足した?』
『終わりなのー!』
あやねがなおから一歩引いて、いつもの声に戻り、小芝居を終える。
『あはは! どう? ドキドキした? ときめいた?』
『したした! めっちゃドキドキした』
『やっぱりデコちゅーだよね! デコちゅーこそが、最高の百合シチュエーションだね』
『最高をそんな簡単に使っていいの?』
『全然いい! なおだったら何杯でもデコちゅーのおかわりしたい! だからなお! ボクにもデコちゅーちょうだい!!』
『え、ええっ?!』
『何その反応?! なおはボクの事嫌いなの?! そんなことないよねえ? ボクの事好きだよねえ? ボク達ラブラブだよねえ? ねえ、ねえねえ?!』


『ちょ、ちょ、あやねる怖い怖い。怖いし重いよ~』
『そんなのどうでもいいの! なおはボクの事好きなの?』
『そりゃー・・・。あやねるのことは・・・好きだけど・・・』
『じゃあ、デコちゅーしてよ!』
『うん・・・・。あやねるは・・・私でいいの?』
あやねは先ほどの小芝居の時と同じように、目を鋭くさせ、含み笑いをしながら、低い声を作る。
『大事なのは、君の気持ちさ』
『きゃー。もう、あやねるったらー』
『聞かせてくれるかい? 君の気持ちを』
『うん。あやねるは大好きだよ』
『どこら辺が?』
『どこが好きって、全部が大好き。すごく柔らかくて抱きしめると最高で、髪の毛ツヤツヤでナチュラルガールだから好き』
『っしゃああああ!!! うえーい!! ひゃー! WHOOOOOO!!!!!! ナチュラルガールだって! やっぱり髪は伸ばさないで化粧なんてしないで毎朝20分で家出るのが正解なんや! 見たか輩先! 告白ですわ! これは告白されましたわ!! 相思相愛ですわ! 同棲しちゃう!? 結婚しちゃう?! ボク達相思相愛だね! デコちゅーかな? もしかしてデコちゅーきちゃうの?! さあ、カモン! デコちゅーカモンヘイ!!』
あやねが突如奇声をあげる。あやねが自分の世界に陶酔して壊れる事はよくある事なので、なおは特に気に留めない。
その代り、なおは別の事を考えていた。なおは、普段からあちこちで遊び呆けて好き勝手やっているあやねを心良く思っていない。
それに、今回の小芝居も途中からあやねに主導権を握られてしまった。
―――あやねるのくせに生意気だ。
なおはだんだんと気に食わない想いが強くなってくる。
この際、はっきり分かってもらうしかない。
―――あやねるをちゃんと躾とかないと。
なおはすぐに行動に出る。
『ねー。あやねるー』
『なんだいデコちゅー?』
『なおね。ずっと前から思ってたんだけど』
『うんうんデコちゅー?』
『あやねるってさ、なおより年下のくせして、なおのこと呼び捨てにするし、なおより背が高いし、なおよりおっぱい大きいし、生意気だよね』
『えっ? デコちゅー?』
『そういうの覆したいなあって』
いつもと違う雰囲気のようやく気が付いたあやね。しかし、時すでに遅し。あやねに逃げ場は無かった。
いつも好き勝手やっている自由奔放なあやね。妄想や百合シチュエーションと称して、小芝居をあちこちでやるのが大好きだった。それに付き合わされた相手はいつも振り回されっぱなしだ。しかし、所詮は茶番なので、あやねが満足した所でいつも終わる。
そのため、茶番より先の経験がないあやねは、今のなおのように相手が少しでも本気を出してしまうと、反撃の仕方が全く分からず、ひっくり返された亀のようにオタオタする事しかできない。
あやねは普段からたくさん本を読む。そのため知識が豊富で、それに対する持論もしっかり熱く述べる事ができ、周りの大人たちはしばしば感心というか苦笑いさせられる。しかしてその実態は、知識を持っているだけで使ったことが無い、所詮は穢れを知らない純粋なお子様なのだ。
あやねが驚き怯んでいる間に、なおは容赦なくあやねとの距離を詰める。
『デコちゅええ?! ふっへー?! ちょ、ちょっと待って! ごめん! 分かった! 呼び捨てはごめん! 謝るから、なおちゃん待って!! デコちゅーだよね?! なおちゃん今デコちゅーしようとしるんだよね?! ふぇあああ?! 違うの?! 落ち着こう! 一旦落ち着こう! 百合の限界はデコちゅーまでだよ?! それ以上あ、あああ。あーーーっ!!! хорошо!!!!』
巻き舌を効かせた見事なロシア語の発音を最後に、あやねはなすすべもなく、なおに身を任せる。




凛「・・・・にゃ//」ビクッ

凛「ふむふむ///」

凛「・・・・・・・・・」ドキドキ

凛「わっ/// なんだかちょっと・・・、えっちな感じになってきた・・・//」ドキドキ


凛「へ、へー/// 」

凛「あそこってそうするとそうなるんだ・・・/// 知らなかった///」

凛「保健の授業で言ってたことって、こういうことだったんだあ/// なんだか、参考書を読んでる気分だにゃ」


凛「さて、続きはっと・・・ふむふむ」ペラッ

凛「・・・・」ヨミヨミ


凛「なんか・・・・いいかも///」ドキドキ

凛「続きは・・・・」ペラッ

凛「・・・・・・」ヨミヨミ

凛「えっ?! これより先があるの・・・? 凛知らないよ。どうなるのかな・・・///」ドキドキ


ペラッ

凛「にゃああ!!!?///」ブワッ←毛が逆立つ

凛「こ、これは・・・・!!///」

凛「凛にはまだ早いにゃ!」バタンッ

凛「・・・・・//」ドキドキ

凛「・・・・・//」モンモン

凛「・・・・・」チラッ


凛「・・・・・もうちょっとだけ」

凛「これは参考書、これは参考書、勉強のため、勉強のため。なんだから」ブツブツ

凛「・・・・・ふにゃあ///」ハァハァ

凛「こんなんなっちゃうんだあ・・・///」ドキドキ

凛「・・・・・・」ヨミヨミ




『うっ、うっ・・・。大人になっちゃった・・・。お嫁に行けない・・・』
泣きながらベッドに崩れ落ちるあやね。毛布一枚だけを体に包む。
そんなあやねが漏らした一言に、なおが噛みつく。
『どの口が言ってるの!!』
『はあ?! どういう意味だし!?』
『だって、あやねるって浮気しまくりじゃん。お嫁さんだってたくさんいるんでしょ!』
『ふへっ?! そ、そんなことないですー!』
『そう? なお以外の人にも壁ドン・ハグ・袖クイッ・頭撫で撫で・おっぱいタッチ・下着贈呈・口説き落とし・口説き落とされ・ほっぺにちゅーその他もろもろしてるのはなんで?』
『はーっ??! なお以外の誰にしたって言うの?!』
『例えば、かなさんとか、りえさんとか、かおりんさんとか、ひさこさんとか、ゆいちゃんとか、いのりちゃんとか、まないさんとか、かやのんさんとか、あやっぷぇさんとか、輩先さんとか、やおいさんとか―――おろっ? 指が10本じゃ足りないぞっ』
『な、なおが一番だし!』
震え声。
『そーお? それじゃあ聞くけど、あやねるは、なお派? かな派?』
『うっ?! そ、それは・・・。えっと・・・。えーと・・・・・。つまんねーこと聞くなよ!』
『そっか・・・。なおの事は遊びだったんだね』
『あっあっ違うの! 本当になおが一番なの! ボクにとってはなおだけが癒しなんだから』
『へえ? じゃあ今言った人たちはあやねるにとって何なの?』
『うっ・・・。ほ、ほら、それは、えっと・・・。あっ! そう! その人達はボクにとっての憧れなの! 例えばすずこさんだよ!』
『なんですずこさんの名前が急に出てくるわけ? まさかあんな有名なアイドルにも手を出したの?』
『できる訳ないよ! だって、すずこさんって言ったらボク達から見たら雲の上の人でしょ?』
『そうだね』
『超売れっ子顔芸アイドル! そんなトップアイドルに憧れるのと同じなの! だからなんもやましい事はないから! はあーあ! なおはうらやましいな! なおのお姉ちゃんはすずこさんと仲が良くって! しょっちゅう会えるんでしょ?』
『そうだけど・・・・。ねえ。なんか論点すり替えようとしてない?』
『ぎくっ!』
『・・・・もうっ。まあ、でも、いいよ。あやねるは百合を取ったら他になんにも残んないボッチ喪女だもんね。大目に見てあげる』
『そ、そこまで言わなくていいじゃんかよお・・・。傷つくなあ・・・』

『あっ、そうそう。すずこさんで思い出したけど、すずこさん、彼女できたらしいよ』
『・・・・・はあ?』
『怖い怖い。あやねる怖いよ。その低い声と、ギョロって目ん玉むき出す真顔やめてよ。ホント、相変わらずあやねるの愛は重いなあ』
『聞き捨てならない! こんな顔にもなるよ!』
『そういえば、あやねるってすずこさん推しなんだよね。この前すずこさんの出待ちしてたし。あの時会えたの?』
『うん! 会えた。応援ありがとうございますって言ってくれた! もうほんっと素敵な笑顔だったなあ・・・。流石の顔芸職人! お姉ちゃんが撮ってくれたすずこさんの動画も毎日見てるし。うへへじゅるるり。アイポッドに入れてるからいつでもどこでもすずこさんと一緒なんだ、んひひひへへじゅるる。すずこさんの写真集だって持ってるよ。うぇふっふぐへふふ。綺麗なお姉さんの夢が見たいなあ、って思った時にぃ、んひゅっひゅっ! 枕の下にすずこさん写真集置いてるの。ぐぇひゅっひゅっひゅっうふひゅうひゅじゅるる! すずこさんって髪サラッサラッで!!  面白くって!!! ダンス上手くてカッコよくて!!! ロリ声もセクシー大人声もできるし!!! とにかく声も御姿も美人で!!! もう!! 本当に好き!!! 大好きなの!!!! わあああああ!!!!!!!』
『あやねるうるさい。下衆な笑い方しながらの涎の音とか、女の子としてだめだよ色々。きもい』
『おっと、つい。じゅる。・・・で? そんなボクの素敵なアイドルすずこさんを、ボクから奪おうとしているのは誰?』
『生徒会のいずみさんだって』
『へえ・・・・。あの人かあ・・・』
『あやねるっていずみさんと会ったことあったっけ?』
『うん、まあ。いつも遠くから見るだけで、めっちゃスタイルいいわぁ・・・お酒吞んだらエロくなったらいいなぁ・・・って思ってるだけだったけど、この前服屋さんで偶然会ったよ。それはそうと、あの人とはいずれちゃんと話し合って決着をつけなきゃならないって思ってたんだよねえ・・・』
『決着って、何の決着? いずみさんとあやねるって趣味が合いそうな気がするんだけど。類は友を呼ぶ的なあれで』
『そんなことない! あの人とは思想が全然合わないの!』
『し、思想・・・?』
『そう! ボクはプラトニック派だからね。百合の本質はプラトニックにあり、それこそがこの世の真実なの。だけど、あの人は・・・その・・・ちょっと違う・・・あれの方で、各方面に布教しているんだよ! そんな間違った思想を百合として広めるなんて許しがたい!』
『ふーん。よく分かんないけど百合解釈の思想の違いで対立するなんて、なんだか宗教戦争みたい』
『そう! これは戦争だよ! そしてボクが勝ってすずこさんを取り戻す!』

『あのね・・・。やめなよ、あやねる。経緯はどうであれ、お互い同意の上で付き合っている人達の仲を裂こうとするの』
『そこも気に入らないんだよねぇ』
『どういうこと?』
『・・・・この前、女子落語部でお姉ちゃんと話していたんだけど』
『よしのさんと? 何を話したの?』
『例えばさ、クリスマスで腕を組みながらカップルしている人達って気に入らないよねってね。目の前でイチャイチャされると腹立たしいというか。そういう人達の仲を裂きたいよねー、って』
『趣味悪いよっ!』
『くひひひっ! そういうことだから、いずみねーさん。首を洗って待っていてくださいよ・・・!』
『・・・・ねえ、あやねる。知ってると思うけど、いずみさんって危ない人だよ。今のあやねるも薄ら笑いが気持ち悪い危ない人だけど、いずみさんはもっとすごいよ、色んな意味で。だから、あやねる、返り討ちになるのオチだよ』
『いんや! ボクだって今までたくさんのお嫁さんを迎えた実績があるもん! その調子でやるよ!』
『あのね、あやねる。いずみさんもね、あやねるに負けないくらいお嫁さんがたくさんいる人なんだよ』
『へえ、相手に不足は無いよ。ちなみに、どんな人がいずみさんのお嫁さんなの?』
『この前、いずみさんが言ってたんだけど「すーちゃんに、そらに、みこちゃんに、あいみと、あやさと、ニータと、くっすんと、りっぴーと、みかしーと、大野さんと、まややん、んんっ? 指が10本じゃ足りないわぁ」だって』
『ぶっ?! ぶヴぇゃああああああああああ!!?! ボクのまれーたそが取られちゃったのおおおおああああうううううあうあうあう!!!!?』
『あっ。まあやさんはあやねるのお嫁さんでもあったんだっけ。なんかね、いずみさん「雪国出身のみこちゃん並みの白い肌がちょー女の子で素敵♪」って、まあやさんの事絶賛してたみたいだよ』
『あああああ!!! もう許せない!! ボクは怒ったよ! 百合マスターとして今こそ立ち上がる時! いずみねーさんのひん曲がった思想を絶対に直してやるううう!!!!』
『え~・・・。本当にいずみさんにちょっかい出すの? どうなっても知らないよ・・・』


次巻予告:
プラトニック派を掲げるあやねにとって、形振り構わないいずみのやり方は前々から気に入らなかった。そこに、あやねがお気に入りのアイドルであるすずこや、自称お嫁さんのまあやがいずみに誑し込まれたという情報が入り、堪忍袋の緒が切れたあやね。いずみに挑むことを決意する。
いずみを負かして服従させ、百合マスターとしての地位を確固たるものにするべく、また、あわよくばすずことお近づきになりたいと言う邪な気持ちを持ちつつ、生徒会に単身で奇襲を仕掛ける。
自信満々で生徒会室の扉を開いたあやねを待ち構えていたのは、両手にあいみとあやさの二人を抱え込んでいるいずみであった。
その二人はあやねと同じ中等部在籍で、羽の様に可憐で可愛らしいと評判の良い美少女である。
それを前にしたあやねは『しまった、ボクもちゃんゆいといのすけ連れてくれば良かった』と後悔する。
いきなり3対1となってしまい出鼻をくじかれたあやねではあったが、己が信ずる真実の百合を説くため、ひるまず一歩を踏み出した。

プラトニック派の百合マスターあやねると肉食系ドS女王のいずみ!
その二人が遂にぶつかる!
かくして戦いの火ぶたは切って落とされた!
はたしてどちらが先に膝を付くのか!?
全く予想できない展開!
あやねの貞操はどうなる?!
ちなみにすずこの彼女はいずみだけじゃないぞ!
がんばれあやねる!
乞うご期待!

発売日:1月23日予定

※この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件などには一切関係ありません。






凛「あっ。次のページは奥付だ」ペラッ

凛「これで終わりかぁ・・・。うー・・・続きが気になる・・・」


花陽「凛ちゃん?」


凛「にゃあああ!!」ビクッ

花陽「それ」

凛「ふにゃ?! かよちんいつの間にっ?! ・・・・あ、これは違うにゃ! なんでもないよ!!」ササッ

花陽「読んじゃったの?」

凛「ううん!」ブンブン

花陽「読んだんでしょ?」ズイッ

凛「全然! 人の本を勝手に読んだりなんk」

花陽「したんだよね?」ズズイ





凛「にゃ?! かよちん怖いにゃ~・・・」ビクビク

花陽「しょうがないなあ。凛ちゃんは」

凛「ごめんなさい・・・」シュン

花陽「誰にも言っちゃダメだよ?」

凛「で、でも、こういう本って、大人じゃないと読んだらいけないんじゃ・・・?」

花陽「ダメだよ?」

凛「えっと・・・」オロオロ

花陽「凛ちゃんも読んだんだから同罪なんだよ?」

凛「えっ」

花陽「凛ちゃん、分かった?」

凛「あの・・・」

花陽「り・ん・ちゃ・ん?」ゴゴゴ...

凛「ひっ」ビクッ

花陽「誰にも見られなければ、いつでも読んでいいから」ニコ

凛「了解しましたにゃ!」ビシッ




別室・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

希「おやおや、強引に凛ちゃんを篭絡しちゃったよ、花陽ちゃん」

絵里「ブツは見つけらたけど、今回も花陽の勝ちね」

希「穂乃果ちゃんの時もそうやったけど、見つかっても隠匿者が勝ちの場合もあるんよね」

絵里「そうね。もちろん、見つからないのが一番いいんだけどね。もし見つかっても、その時の駆け引きで勝負をひっくり返せるのが、このスポーツの面白いところね。見つかったからと言って慌てないことが重要よ」

希「なるほど。エロ本が公になって隠匿者が誰かからも蔑んだ目で見られることが無ければ、隠匿者の勝ち、ということやんな」

絵里「そうね」

希「ということは、エロ本の所持を真姫ちゃんにバラされたときに、慌てて逃げ出ちゃってボロ負けした絵里ちは、駆け引きも碌にできひん、小心者のヘタレクソ雑魚ぽんこつってことやんな」

絵里「・・・・そうね」シュン...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・






花陽「はあ・・・。木を隠すなら森の中と思って、アイドル雑誌の山の中に隠したけど、凛ちゃんに見つかっちゃったね・・・・」

凛「うん。なんか、凛が部屋に入った時に、偶然見つけちゃった。やっぱり隠すなら外から目に付かない所の方がいいんじゃないかな?」

花陽「そっかあ。もっと別な隠し場所にしないとだね。どうしよっかなあ」キョロキョロ

凛「机の引き出しの中なんてどうかな?」

花陽「そこじゃあ、もし何かの拍子に、引き出しを開けられた瞬間に見つかっちゃうよ。引き出しの裏側に張り付けるっていう方法もあるらしいんだけど・・・」

凛「引き出しの裏側?! すごい! そこなら目に付かないからいいんじゃないかな??」

花陽「うーん。雪穂ちゃんもそこに隠しているらしんだけど、穂乃果ちゃんは簡単に見つけちゃったって言ってたし」

凛「そうなんだ。うーん・・・」キョロキョロ


凛「それじゃここならどうかな? ―――」コソコソ

花陽「おお! ここなら絶対に見つからないよ! さすが凛ちゃん!」コソコソ

凛「にゃん♪ にゃん♪」



別室・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

希「おー。なかなかいいところに隠すやん」

絵里「でも、次のプレイヤーはなかなかの実力者よ。面白くなりそうだわ」ニヤッ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・









☆★☆*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*
シーン:エクストリームスポーツ! <vs姉>


~~登場人物~~

隠匿者:花陽
捜索者:真姫
実況:希
解説:絵里
*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*☆★☆


真姫「花陽、入るわよ」


ガチャ


真姫「あら? いない。台本には長女が次女に宿題を教えるって書いてあるのに。遅れるなんてどういうことよ」

真姫「ま、いいわ。座って待ってましょ」ストン

真姫「ん? 何かしら、この本の山は?」

真姫「これは、・・・アイドル雑誌?」ヒョイ

真姫「花陽が持ってきたのかしら」ペラッ

真姫「ふーん。曲についても結構詳しい事書いてあるじゃない」

真姫「花陽、他にも色々な本を持ってきたのかしら?」ヒョイ ヒョイ

真姫「アイドル雑誌ばっかりね。・・・・花陽って結構むっつりスケベだから、いかがわしい本の一つや二つ持ってきているかと思ったけど・・・」


真姫「でも、仮に持ってきていたとしても、こんな目に付くところに置く程、花陽も馬鹿じゃないわよねえ。穂乃果だったら分からないけど」

真姫「そうね・・・。花陽は人の言う事にちゃんと耳を傾ける素直で真面目な、良い子だけど、悪く言えば単純すぎるから、何か隠すときはセオリー通りに、ベッドの下とかに隠しそう」

真姫「んー・・・」チラッ

真姫「さすがに無かったわ」

真姫「後、隠すとしたら、机の引き出しの裏とかかしらね」ガラガラ, ゴソゴソ

真姫「ここだったら、外からは目に付かない上に、取り出しやすい・隠しやすいの利点だらけだから、ここ隠せていたのならかなりレベルは高いのだけれど・・・」ガラガラ, ゴソゴソ

真姫「・・・・どの引き出しにも無かったわね」ガラガラ, バタン

真姫「っていうか・・・そもそも、花陽がいかがわしい本を持ってきているなんて確証はないじゃない」

真姫「だから、ゴソゴソとこんな風に探し回るのは花陽に失礼ね」

真姫「やめましょう。ま、後考えられるのは机と壁の間とかだけど、誰かに掃除されたときに簡単に見つかってしまうような、そんな凛みたいな間抜けが考えそうな場所に隠す訳―――」チラッ


“Person Of Inside”


真姫「―――ないs・・・・・・」

真姫「・・・・・・・」

真姫「・・・・・・・」

真姫「・・・・・・・」

真姫「・・・・・・・」ヒョイ

真姫「・・・・・・・」ペラッ





―――シャン♪シャン♪
―――シャン終わらないわよ!シャン、ジン、バンッ
部室で一人、携帯ゲームでも興じて気分を紛らわそうとするそら。しかしミスが目立つ。
―――ジン、シャン、チン、シャン、ジン、ジン、バンッ、バンッ、チン、バチンッ・・・
―――力不足よね
やはり、今はとても調子が悪い。朝の寝起き一発目のプレイのようだ。
これ以上プレイを続けても失敗するだけだ。そらはプレイをやめ、画面の向こうにいるお気に入りのキャラクターを指で突き始めた。
―――何よ、なんか用・・・?
―――きゃっ!・・・な、何よ!!
―――っ・・・次は許さないんだから・・・
そらは言い知れぬ背徳感に内心ニヤニヤしながらキャラクターを幾度となく突く。
いつものように、そらの一人寂しい不毛な時間が過ぎていく。
『暇ね。何か面白いことやってよ』
・・・・・?
『何よ、なんか悩みがある訳? 仕方ないわね。私が聞いてあげる』
・・・・あれ、こんなセリフあったっけ?
何度も聞いた声だが、今のセリフには聞き覚えがない。いつの間にかゲームのアップデートで音声が追加されたのだろうか・・・。そらはそう思い、もう一度キャラクターを突こうとする。
『そらと仲がいいのかって? ・・・・別に腐れ縁みたいなものよ』
おかしい。まだ突いてないのにキャラクターがしゃべった。
『あなたは私がいないとだめなんだから』
『・・・・・・・・』
さすがにおかしい。なんだか声が綺麗すぎる。それに、背後から気配を感じる。
『にっこにっこにー。ホントはこんなことやりたくないけど・・・・今日だけ特別なんだから』
そらはまさかとは思いつつ、恐る恐る後ろを振り向く。
『ん・・・? おわぁ!!?』
そらの背後にえりこがいた。そのツンデレなセリフとは裏腹に楽しそうにポーズを決めている。
『え、ええええ、えーりこせンパイ?! い、いつからそこに・・・?』

『さっきから』
『えっと、あの、ああ、そ、そうですか・・・』
『なーに? その芸人にあるまじき平凡なリアクション』
『うっ・・・・・。えっと・・・・。か、買うーピン!』
そらは頬にある五つのほくろを手で強調する。
『ふ~ん? なにそれ? 別に何にも掛ってないよね?』
『あ、あはは・・・・』
部活動が終わり閑散とした部室。そらとえりこが二人きり。

『らしくないよ、そら』
『面目ないです・・・・』
『声は綺麗で可愛いかったんだけどねー。まるで声優さんみたいだったよ。・・・・ねぇ。そら』
『はい?』
『何かあって、元気ないんじゃないの?』
『えっ? い、いえ、そんなことは・・・。大丈夫ですから・・・』
そらは歯切れの悪い言葉でえりこに返事をする。それからどうしたらいいか分からなくなり、顔を逸らして動かなくなる。
『本当に? 今日のゆりかとりほとのコント、いつもよりちょっとキレが悪かったみたいだよ』
『えっと・・・』
『悩みがあるなら、お姉さんになんでも話してごらん』
いつものそらならここで適当に理由を付けて逃げ出すところだが、えりこがやたらと食いついてくるので、そらはそうしなかった。

そらは、芸人アイドル研究部では二番目に学年が低い。
先輩達には遠慮がちで、親睦はまだ深い方ではないと感じている。
最初こそは精一杯元気よく挨拶はしたものの、慣れない事だから空振りをして皆からは気持ち悪いと思われている―――と、そらは思っている。
しかしながら、メンバーの中でもゆりか、あいな、あやと言った面々は、根暗な性格は自分に似ていると思っていて勝手に仲間意識を持っていた。芸人としてもアイドルとしても、確かな実力はあるけれど、性格はあんまり向いていなさそうな人達が何故、この部に入ったのだろうという事に、疑問を感じたこともあったが、それは自分にも言えることなので、あまり気にしていなかった。
それとは逆に、なかなか仲間意識を持てない人物もいた。それが今目の前にいるえりこである。
えりこは、日本人離れしている凛とした顔立ちでどこか人を寄せ付けない高貴な雰囲気を纏っていた。また、歌唱力もすさまじく、十分プロで通用するほどの歌声を持っている。さらに、三か国語を操る程に学もある。
なんでこんなにも完璧なルックスと歌唱力を持ち、学もある才女が自分と同じ部にいるのだろうという疑問は今まで解消できなかった。
だから、自分は根暗でオタクで、麻雀がやりたくてもメンツを集められないようなボッチだと自覚しているそらは、えりことは住んでいる世界が違うという感覚も払拭できずにいた。高貴な人は、電器店のカードをたくさん持ってるケチで卑しい小市民なオタクのことなんか蔑んだ目で常々見下しているんだろうと、勝手に思い込んでいた。
そんなえりこが何故、これ程までに自分に執着してくるのか。そらは、理解できなかった。ただの暇つぶしか、隠し事をしているのが先輩として気に入らないのか。

えりこは、静かにじっとそらの目を見つめて、そらの言葉を待っている。そらは他に目のやり場が無く、思わずえりこの顔を見返してしまう。
・・・よくよく見ると、えりこの顔は、とてもじゃないが誰かを貶めたり嘲笑うような邪悪な意思は全く感じられない。
そんな眼差しで見つめられ続けていると、そらの心の奥底ではもう一つの考えが湧き上がっていた。
―――もしかしたら、えりこ先輩は本当に親切な人で、心の底からボクの事を心配しているんじゃあ・・・、と。
いずみのように隠そうともしない下心丸出しの欲なんかは微塵にも無い。
えりこの笑顔。この高貴な顔立ちも、近くでよく見れば、とても女性らしい優しい目をしていた。
その目は、こう語っている。
―――貴女の力になりたい。
そらが徐々にそう確信していく。えりこ先輩だったらなんとかしてくれるかもという気持ちが強くなっていく。
強くなった気持ちは、そらの重たい口をゆっくりとこじ開ける。
『あの・・・・。ちょっと悩みというか・・・良かったら、聞いてもらえますか?』

『ふふっ。いいよ』
やっと心開いてくれた。嬉しい―――言葉にせずとも、そんな考えが、表情を崩したえりこの顔から簡単に読み取れた。そらは少し気恥ずかしかった。

えりことそらは、椅子に座り、楽に話をする体勢を取った。
そらは悩んでいる原因をいきなり話す前に、まず自分自身のことを知ってもらいたかったので、それを前置きとして、話し始める。

そらは芸人やアイドルのライブによく行く。行くだけではなく、スタッフの目を盗んでサイリウムをバルログ持ちして一心不乱にヲタ芸を披露するようなガチオタクだ。また、あの舞台上に立っている芸人やアイドルにとても憧れていて、自分もああなりたいという夢があった。だから、芸人の勉強しつつ、学校もおろそかにせず頑張っていた。そんなある時、探偵コスプレ部の存在を知った。探偵コスプレ部は舞台上でコントをメインにやり、アイドルみたいなこともたまにやったりする部だとも知る。お笑いやアニメやゲームが好きで更にコスプレも好きなそらはとても興味が湧いた。そして、ある時、意を決して、緊張しながらも探偵コスプレ部の戸を叩いた。
先に探偵コスプレ部にいたのは、よしのといずみとすずこであった。特にいずみとすずこはモデルのような美人で、そらの目には、とても眩しく見えた。それに対し、そらは不摂生な生活を送っていたので、体はみすぼらしく、着ている服も一目見て引きこもりと分かってしまうようなみっともない物だった。分不相応な場所に足を踏み入れてしまったと、そらは慌てたが、探偵コスプレ部の三人はそらを快く向かい入れた。
先輩達三人は本当にモデル経験があるだけでなく、そらが憧れている舞台上の経験もある人達だった。まさにそらが目指す目標が具現化した存在だった。三人は、すぐにそらの尊敬の対象になる。
探偵コスプレ部としての活動が始まり、先輩達によるそらへの指導が始まる。
よしのはお菓子をそらによく与えていた。そらはよしのがくれるお菓子が好きで、それですっかり餌付けされてしまい、よしのに懐く。
いずみとすずこは、そらにメイクやファッション、リンパマッサージ等を教えた。特にいずみは『ここにリンパが集中しているから』という理由で、そらへのリンパマッサージの時は執拗に鎖骨や肩甲骨を撫でていた。そらは恥ずかしかったが、それによって、自分がみるみるみるきぃうちに女の子らしく変身していくのに驚いた。
毎日引きこもってばっかりのそらは、コスプレは好きだけども衣装が似合う程に自分自身可愛くなるのは半ば諦めていた。しかし、それが先輩達の指導によって女の子らしく可愛くなれたことが本当に嬉しく、感激した。そらはひたすらいずみとすずこに感謝をした。尊敬を深めた。
いずみは、そらが可愛くなればなるほど、可愛い可愛いと口癖のように言いつつ、そらに抱き着いたり撫でたりして溺愛した。
友達の少ないそらは、いきなりのいずみのスキンシップに多少は戸惑ったが、可愛いと言ってくれることの嬉しさが勝った。
いずみはそらとの親睦を深めることに大変積極的だった。一緒にお茶したり、一緒に遊んだり、一緒に外食したり。
友達付き合いの基準というものが分からないそらは、いずみとの触れ合いで、困惑している表情を見せることもあった。その時は、いつもすずこが間に入って止めていたが・・・。
昨日の事である。すずこがたまたま居ない時だった。いずみがいきなり『お泊り会をしましょう』と言い出したのだ。そらは急な申し出に戸惑うが、いずみと仲良くなりたいと言う気持ちもあったがために、いずみにそこを付け込まれ、そらはあっさり負けて頷いてしまう。
そして、いずみの部屋へと足を踏み入れるそら。
そらにとっては人生で初めてのお泊り会だった。おいしい夕食を用意してくれたり、お部屋で楽しくおしゃべりしたりするのはどれも新鮮で感動だった。
そして就寝時、いずみが『一緒に寝ようよ』と提案する。今まで人と物理的に長時間接近することがなかったそらには抵抗があった。だから、一緒に寝ることは物凄くハードルが高かった。
一瞬は断ろうかとも思った。しかし、いずみは、先輩として一緒に寝る事を強要しているようにも思えた。こういう時、先輩の言うことは絶対に逆らってはいけない暗黙のルールがあるのかもしれないと深読みしてしまう。まだ入ったばかりの部なのだから、逆らったりせず、今後の活動を円滑に進めるためにも、断らずに一緒に寝ないといけないのだろうかと考えた。とにかく、いずみに嫌われて今後相手にされなくなるようなことだけは絶対に避けたかった。そらはいずみの事を尊敬していて、まだまだ教えて欲しい事がたくさんある。いずみに見捨てられたくない。そのためには、いずみの言うことには何であろうと嫌でも従わなければならないという義務感に苛まれる。
でも、やっぱり恥ずかしいものは恥ずかしい。すぐに結論が出なかったそらは、とりあえずトイレに逃げ込んだ。
トイレから戻ってきたそらは、さりげなく、別の布団に入る。これで特に何も言われなければ、何事も無い。なんとも姑息な手段だったが、そらなりにトイレにいる短い時間で必死に考えた最善策だった。
いずみは少しだけ寂しそうな顔をしたが、何も言わなかった。そらは心が痛んだ。
しかし、そらは薄々頭の中では気が付いていたのだ。今日までのいずみの行動から性格を察するに、いずみは、こんな程度で有耶無耶にできる程、奥ゆかしい女ではないことを。



『あー・・・・。もう、大体分かったよ』
そらがこの先言い難いと感じていた部分まで話が差し掛かるが、そこでえりこが話を聞かずに察してくれた。
『要は、そらは友達がというものがよく分からずも、いずみさんとは仲良くはしたかった。だけど、いずみさんが一気に距離を詰めてきたものだから、何が何だか分からず混乱していたのね』
『その通りです・・・』
『全く、困った人だね。とんだ問題児だね。いずみさんって確か生徒会もやってたよね。生徒の模範であるべき人が率先して風紀を乱してどうすんのよ。よしの先輩やすずこ先輩も大変だろうねえ』
『・・・・関係ないけど、朝ごはんはバナナと納豆だったし・・・』
『何それ、意味わかんない』

そらが話したかったことは、えりこは全て理解した。
そらは昨日からずっと、いずみにされたことが頭から離れない。嫌な事ではなかったけれども、決してすごく良かった経験だったとも言い切れない。そんなことよりも、変に抵抗してしまったから、嫌われて今後いずみに相手にされなくなったりしないだろうかという不安が強い。逆に、今以上に迫られたらどうやって向き合えばいいかも分からなかった。
そらはオタクで、その度合いは、一般人から『車買える・・・』と言われてしまうような携帯ゲームの重課金兵士オタクである程だ。そんなオタクだから、あまり深く関わられても、ちゃんと通じ合えるイメージが湧かない。
深く関わりあう事ができそうにないと思うと、そらは自分の事を、なんと劣った人間なのかと責めてしまう。
昨日のことはなんだったのか、これからどうなるのか。そらはいくら一人で考えても結論は出なかった。考えている間、不安な気持ちが強くて、体は無意識にそわそわしていた。

ふと、えりこの方を見る。
そらの話を聞き終えたえりこは、静かに冷静に何か考え事をしている。
その姿は知的で優雅で、そらは思わずえりこに見惚れてしまう。それだけでえりこが大きな存在に見えて、そらは安心感を覚える。そらはえりこの意見に期待をした。
えりこは考えがまとまったようで、それをそらに伝える。
『そうね・・・。そらはいずみさんの事どう思ってる? 嫌い?』
えりこに見惚れていたそらは、我に返って返答する。
『いえ! 嫌いって事はありませんよ! そりゃあ、
ドSだったり、
自分勝手だったり、
本番中に打ち合わせの内容を忘れちゃったり、
本番前に緊張して泣き出したから抱きしめてなだめてあげたら、実は抱きしめられるのが目的で泣いてたり、
いずみ様の言うツンデレって言うのは、男性に対してツンツンで、女性に対してデレデレなんですよ。だから、近くにいる男性ファンには目もくれず、一目散に女性ファンに走り寄ってべたべたするんですよ。もう、あの態度の違いはいっそ清々しいとすら言えますし、
昭和な事を嬉しそうに話題に出してすずこ先輩と盛り上がっちゃって、みこいとボクは付いていけないし、
いずみ様は事ある毎にしょっちゅう顔を近づけてきて、その度にちゅーされそうで凄くドキドキするっていうか・・・
告知の時にサンプルの商品を勝手にいじってスタッフさんを困らせたりしてますけど・・・。
あっ、本番とか告知で思い出したんですけど、マジかボケか分からないネタをトーク中によく振って焦らせてくれるんですよ。例えば―――
 文学部卒業なのに、ことわざ全然知らないし、漢字読めないし、
 梅干しは塩分濃度が高い程甘いとか言い出すし、
 アヒルを飼ってニワトリにするとか、
 山手線の全周を車両で繋げちゃえば、乗る時に待たなくていいとか、
 いつも無茶苦茶なタイミングで餃子の本を宣伝したり、
 ボクが死んだふりをしていると、上から覆いかぶさって、顔を近づけてちゅーしようとしたり、ボクの両脚の間に脚を入れてモゾモゾしたり・・・ 
 ボクが温泉に入ろうとすると、『そらの裸みたーい』って言ったり・・・
 電車とかエレベータでの女性のパンチラについて真剣に持論を語り出したり・・・
 カブトムシがお題でお絵描きをしたら、どう見ても、角が生えた射精中の男性器の絵を描いちゃうし(※下記参照)、
いつもどうやってさばけばいいのか困っちゃって・・・。冷や汗かいちゃうんですよ。逆にこっちのボケは拾ってくれない事が、ちょっとたまによくあるし・・・。そういう時はみこいがいつも笑ってくれるから本当に助かってて・・・』

お絵描き
お題:カブトムシ

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そらまる先生 作

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いずみ画伯 作



              :                       
             ,r'~゙'-,、                   
            .〆   `''-,,、                 
           ,l°     .`'-,、               
              l°           `'-,              
             ,,i´        : .__,,,,,丿             
             ~---:┐ |`゙゙ ̄`                
              :|  |                   
              :|  |                  
              |、|                  
             ._,,,,,,,--ヾ'''''''冖''''ー-v、,,,、            
        .,,-'": ,r、  ,xッ   ,,/i、  `゙'┐          
       .,r’,lト .,,i´!  ,i´ l゙  .,//゜ ,,,:   \         
      ,i´ ,l゙ | │.:,i´,i° l .,r" l゙ .,i'゙l゜   .゙゙l         
     .,i´| / .l゙ ,! .| ,l゙  .:|.,r" ,l゙ ,,l゙.,″ .,r|  ヽ        
    .,r′| i、 ,!.l゙ .7,"  .,,/  〔,,i´/: : ,,i´ l   ゙l,      
   .,/′ |,! ..|.l゙  |,|  .,,il \,_:  :| ,,/   |   .ヽ      
    ゚'-, F |,l゙  : _,/l ‐'"゙゙゚\,.゙‐'゜   ″ ._,,,ノ      
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     ."  `"''"`._,,-・彡'"`_,,,,,xャ=l,〟  |         
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     .|   ."_,/.,,-'彡'"″._,,-=″ ._,,,,.,。゙l          
     │  ,/゜.,,/ン'" ._,,-'"._,,,-ー'''',ン''"゙_,,,゙l         
     ゙l、   ナ′ .,,-',ン‐"^: ,,,-''彡-ニ,'〃 |         
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『ちょ、ちょっと落ち着いて、そら。やっぱりいずみさんの事は本気で嫌いなのかな・・・?』
『いえ! なんだかんだでいつもリードしてくれるのはいずみ様ですから、いずみ様は尊敬できる先輩です!』
『ふふ。そらならそう言うと思った! そういうことなら、分かったわ。とりあえず、いずみさんの方はなんとかしてみるから』
『え・・・? なんとかって?』
えりこの言った“なんとか”があまりにも漠然過ぎて、理解が追いつかなかった。
『いずみさんって、そらだけじゃなくて、他の芸人アイドル研究部員にも色々意地悪しているみたいだしね。私も仲間としてこれ以上は黙っていられないわ。・・・出る杭は打たれるというものね。うふふ』
えりこが自信に満ちた表情を浮かべながら微笑する。
そらはしばらくえりこの言った意味を考える。えりこは、黙っていられないと言った。それはつまり、えりこ自身がいずみに対して何かしらの行動をするということ。
『えっ・・・まさか?! だ、ダメです、えりこ先輩! いくらえりこ先輩でも、いずみ様には敵いません! すずこ先輩だってひどく手を焼いているのに・・・』
『あら、心配してくれるのね。ありがとう、そら。でも大丈夫、安心して。私は自分の手を汚さない主義だから』
『えっ・・・・・?』
『毒を以て毒を制す・・・ってね。本当はこの手は使いたくはないんだけど・・・。でも、そらのためだもん。仕方ない。とにかく、いずみさんの件はもう心配しなくていいわ。私に任せて頂戴。そらはこれからも探偵コスプレ部と芸人アイドル研究部、両方とも絶対上手くいくようになるから。それより今はそら自身の方が大事』
えりこは直接いずみと対峙するつもりはないと、そらは分かったが、それでもえりこが具体的に何をするつもりかは分からない。
そらがしばらく思案していると、その間にえりこは隣に座っているそらに近づく。肩と肩が少しだけ触れ合う。そらは驚き、考え事が頭から飛んでしまう。しかし、しばらく経っても不思議と緊張や不安を感じることは無かった。人と接する機会の少ないそらはいずみにセクハラされる時は緊張しっぱなしなのに。
えりこは少しだけそらに目線をやって、優しい静かな声で言った。
『今日私の家でお泊り会、しましょ?』
急な申し出にそらはデジャブを感じる。昨日あんなことがあったそらは未だちゃんと気持ちの整理ができていないので、思わず首を左右に振ってしまう。
『大丈夫だから。お泊り会って、本当はすごく楽しんだよ? 今のままだと、そら、昨日の事をいつまでも引きずってトラウマになっちゃいそう。そんなのもったいない。私はそらのこと大切にするから。約束する』
『えっと・・・その・・・』
『同じ部の先輩の言うことは信じられない?』
芸人になりたい。アイドルになりたい。そらは自分が持つ、夢の内二つを同時に叶えてくれるであろう、この部が大好きだった。それと同じ考えを持つであろう、同じ部の人達は、まぎれもなく自分の仲間だ。そんな仲間の言葉が信じられない訳が無かった。
なにより、そらはえりこの傍にいると不思議と緊張しなかった。相手がいずみでなくても、元々人付き合いの経験が少ないそらは、傍に誰かがいるのが苦手なはずだった。しかし、えりこだけは別だ。傍に居てくれて安心感がある。その安心感とは、そらの事を気遣い、そらの悩みを親身になって話を聞いてくれたえりこの包み込んでくれるような優しから来るものだった。
えりこの傍は居心地が良い。そらは、今まであまり感じた事がなかったその居心地の良さに惹かれる。純粋に、えりこの傍にもっと居たいと思えていた。
そらはゆっくりと頷いた。

※この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件などには一切関係ありません。









真姫「最初にこの本を見たときは、しおりが挟まってた情事のシーンをいきなり読んじゃったけど・・・///」

真姫「今まで近づきがたい存在だと思っていたえりこが、そらちゃんに手を差し伸べる・・・・このシーン、やっぱりいいわね」

真姫「思わずもう一回読んじゃった」

真姫「この後の、一緒のベッドに入りながら、夢を語らうシーンなんて最高なんだから・・・///」

真姫「そういえば、そらちゃんってゆりかやりほといるときは結構態度が大きいのよね。だけど、いずみやえりこが相手だとオドオドしていることが多いみたい」

真姫「後輩や同級生相手だと態度が大きい・・・・まるでにこちゃんみたい。そうすると、格上と接する時のにこちゃんも、こんな感じでオドオドしちゃうのかしら・・・?」

真姫「・・・・・ふふふ/// 見てみたい///」

真姫「オドオドしているそらちゃんに、えりこのような格上で、かつ高貴な美貌を持っている人が包み込んで優しく接してあげる・・・・。なんだか、こういう関係性ってすごくいいわ。キュンキュン恋しちゃう//」

真姫「ふふふ/// やっぱり、えりこ × そら こそが最高ね・・・///」ウットリ



真姫「・・・・こんなに可愛い可愛いそらちゃんに、いずみは手を出したんだっけ?」

真姫「腹立たしいわね」ムカムカ

真姫「でも、えりこのセリフを見る限り、いずみをしばく策があるみたいだけど、何かしら・・・・?」



ガチャ


花陽「あっ、真姫お姉ちゃん。先にいたんだ」



真姫「あら、花陽。遅かったわね」

花陽「待たせちゃったの? ごめn―――・・・・ピャ!!?」プルプル

真姫「どうしたの? なんかプルプル震えているようだけど?」

花陽「あの・・・その本・・・・」

真姫「ああ、これ? 面白いわよね」

花陽「はわわわわわわ」

真姫「な、何? 本当にどうしちゃったのよ」

花陽「あ・・・あの! このことは誰にも言わないでくださいっ!!」

真姫「このことって、本の事? まあ、言って欲しくなければ言わないけど」

花陽「本当?! ありがとう真姫ちゃん!!」




別室・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

希「ありゃりゃ。真姫ちゃん、それじゃ試合放棄になっちゃうよ」

絵里「真姫はこの前、あのエロ本を熱心に部室で読んでたからね」

希「そっか。真姫ちゃんを捜索者として設定したんはミスキャストやったかなー」

絵里「いずれにしても、穂乃果と同じパターンだから今回も花陽の勝ちね」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




真姫「それより、こんな安直な場所に隠したんじゃだめよ」

花陽「ふぇ?」キョトン

真姫「外から目に付かないようにするという発想はよかったんだけどね」

真姫「自然な場所に置きつつ、パッと見で目に入りにくいようにカモフラージュをしないと」

花陽「かもふらーじゅ?」

真姫「木を隠すなら森の中って言うでしょ?」

花陽「あっ、うん・・・。そう思ってさっきはアイドル雑誌の山の中に隠したんだけど、凛ちゃんに見つかっちゃって・・・」

真姫「あらそうなの? でも、それは完璧なカモフラージュとは言い切れないわ」

花陽「と、言いますと?」

真姫「いい? まず、アイドル雑誌という時点で良くないわ。アイドルってすごく人気があるジャンルだから、誰もが興味をもつ可能性があるでしょ?」

花陽「そっか。アイドル雑誌が目に入ったら、ちょっと読んでみようって思って手に取っちゃって、その拍子に見つかっちゃうかも・・・」

真姫「その通り。だから、誰もが興味を示されないタイトルに偽装させるの。例えば、ここに医学書があるんだけど、こうやって・・・―――」コソコソ

花陽「おお! さすが真姫ちゃん! これなら絶対に見つからないよ!」コソコソ

真姫「フフン」カミノケクルクル









別室・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

希「これも穂乃果ちゃんと同じパターンで、真姫ちゃんが花陽ちゃんにアドバイスしとる」

絵里「ええ。確かに、真姫は穂乃果と同じようなアドバイスをしているけど、違うのは、隠し方がかなり高度に洗練されているところね。穂乃果の超強化版って感じね」

希「せやね。普通に考えたらあんな隠し方されたら絶対に見つからんで。やっぱり、真姫ちゃんは頭がいいなあ。別格や。隠匿者にしたら最強やん」

絵里「まあ、いずれにせよ今の試合が最後だから花陽の全勝という結果ね」

希「ノンノンのんちゃん。絵里ち。実はもう一試合あるんよ」

絵里「えっ?」

希「お次のお方はすごいで! なんたって正真正銘、本競技における最強の捜索者がいよいよラスボスとしてお出ましやからね!」

絵里「まだあるの? これで終わりと思ってたんだけど」

希「最強の盾と、最強の矛がぶつかるんや! 楽しくなってきた!」ワクワク

絵里「誰・・・?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・










☆★☆*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*
シーン:エクストリームスポーツ! <vsお母さん>


~~登場人物~~

隠匿者:花陽
捜索者:海未
実況:希
解説:絵里
*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*☆★☆




花陽の部屋


海未「脚本には花陽の部屋を掃除するとありました。真姫の家でもありますから、使わせて頂いているお礼も込めて念入りに掃除しましょう」

海未「ふふ。いいですね。掃除こそまさにお母さんの仕事という感じです」

海未「~♪」ゴシゴシ

海未「~♪」サッサッ

海未「~♪」キュッキュッ


海未「へーいーきー、大丈夫よ~♪―――・・・・・ムッ!」ピンッ!

海未「臭います・・・・。臭いますねえ。破廉恥の臭いが・・・!」クンクン

海未「こういうのは大体ベッドの下と相場は決まっています!」バッ

海未「ふむ・・・・何もありませんでした」

海未「気にし過ぎでしたかね。・・・・・・んっ?!」ビンッ

海未「あの本の山・・・怪しいですね」ギロッ

海未「どれ・・・・・」ゴソゴソ



別室・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

希「早速探しとるなあ。なんのヒントも無しに、探しとる場所も的確やし。穂乃果ちゃんや真姫ちゃんが味方してなかったら、もう試合終わってたで。あの鋭い勘は恐ろしいとしか言えへんわ」

絵里「」ダラダラ

希「怖いわぁ・・・。絶対に敵に回したくないわぁ・・・・。想像以上やね・・・。この調子やったら見つかるのも時間の問題かも?」

絵里「・・・・う、うそでしょ・・・・。海未が参加するなんて聞いてないわよ!」ガクブル

希「何をそんなにびびっとん。なんか不都合があるんの?」

絵里「だって、あの本もともと私のよ?! それがバレたら『破廉恥です!』って怒鳴られるわ・・・。それに絶対それだけじゃ済まないわ・・・。私、海未に何をされるか・・・!」ヒヤヒヤ

希「ああ、なるほどなあ。正義感の強い海未ちゃんやし、確かにそれはあるなぁ。合宿でまくら投げしたときの修羅海未ちゃんがお出でなさるかもなあ」

絵里「」サー...

希「そんな青ざめんでもさすがに取って食ったりせえへんやろし、大丈夫やって。邪念を取り払うってことで、でっかい道場の雑巾がけとか、竹刀で素振り1000回とか、座禅2時間とか、滝行とかそんな程度のことをせいぜい一か月くらいやれば許してくれるんやないの」

絵里「」チーン

希「とりあえず見つからんように神様に祈っとけばいいんとちゃうの」



希「お・・・? 誰かきたで?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




穂乃果「くるっと♪ くるっと♪ くるっと♪」テクテク クルクル

穂乃果「回ろう~♪ ん? あれ、海未ちゃんだ。花陽ちゃんの部屋で何やって...ぇぇえええ?!!!!」





海未「これは・・・アイドル雑誌? これも、こっちも」ヒョイヒョイ

海未「本当にアイドルが好きなんですね。花陽らしいです」

海未「私もいくつか読ませてもらって勉強したいですね」ヒョイ




穂乃果「ま、まずい・・・あの中には・・・・! あの本、私まだちゃんと読んでないのにっ! 海未ちゃんに見つかったら絶対に没収される! その前に何とか阻止しないと!」ダッ




穂乃果「うみちゃーん!!」

海未「穂乃果? どうしました?」

穂乃果「う、ううん。特に何でもないんだけど・・・・」アセアセ

海未「そうですか? では」ヒョイ

穂乃果「う、海未ちゃんは何してたの!?」

海未「部屋の掃除ですが」

穂乃果「そ、そうなんだ・・・」アセアセ

海未「穂乃果? 何をそんなに焦っているのですか?」

穂乃果「えっ?! あ、あせせせってててなんかないよっ?!」オドオド

海未「焦りすぎです。・・・・・なんか怪しいですね」ジロッ

穂乃果「あーっと、うーっと・・・・そうだ! 穂乃果が掃除するから海未ちゃんはゆっくりしてていいよ!」

海未「そうですか? それではお言葉に甘えて」

穂乃果「ほっ・・・・」




海未「一緒に掃除しましょう」

穂乃果「ええええ?!」

海未「だから何故、いちいちそんなに大げさなんですか? 私が掃除しちゃいけない理由でもあるんですか?」

穂乃果「ううん!」ブンブン

穂乃果「よし! 一緒に掃除しよう! とりあえず、その雑誌の山は私が整理するから」

海未「そうですか? 分かりました。私は掃除機をかけますね」

穂乃果「うんうん! ・・・・よしっ!」バッ

海未「~♪」カチッ, ゴー

穂乃果「今の内に回収しないと・・・・!」ゴソゴソ

穂乃果「あ、あれ・・・・? ない? 別の場所に移動したのかな」ゴソゴソ

海未「移動? 何の話ですか?」

穂乃果「ううん! なんでもない!」ブンブン

海未「何なんですか、さっきから」

穂乃果「気にしないでっ! えーっと、次はどこ掃除しよっかな~・・・」シドロモドロ

海未「ハタキで狭いところのホコリを払ってもらえますか」

穂乃果「うん、分かった!」

穂乃果(とにかく、海未ちゃんが、あの本を見つけないように警戒しないと・・・)ハタハタ

穂乃果(海未ちゃんが偶然見つけちゃうかもしれないから・・・。その前に穂乃果が先に本を見つけて確保できれば一番いいんだけど・・・)ハタハタ

穂乃果(それか、絶対に見つからないような場所に花陽ちゃんが隠していてくれているよう祈らないと・・・・)ハタハタ

海未「んっ。ここ、狭くて掃除機がうまく入りませんね」

穂乃果「・・・・えっ?」

穂乃果(机と壁の間・・・・? あっ、穂乃果だったらあそこに隠しちゃうかも・・・・。もしかしたら・・・・!)

穂乃果「う、ううう海未ちゃん! そこは私がやるから!」

海未「そうですか? お願いします。・・・・・いや、待ってください」ギロッ

穂乃果「ど、どうしたの?!」オロオロ

海未「実は、この部屋に入ってからしばらく、破廉恥な臭いがしていたのです」

穂乃果「へっ?! な、なにそれ・・・・・?」

海未「詳しいことは分かりませんが・・・花陽にとって教育上よろしく無い物がこの部屋にある気がするのです」

穂乃果(うみちゃん?!! なんでそんなに勘が鋭いのおお!!?)


穂乃果「え、えー・・・? 花陽ちゃん真面目な子だから、そんなもの無いと思うけどなー?」

海未「確かにそうです。しかし、それだけに誰かにそそのかされたと言うことも考えられます」

穂乃果「いやいやいやいや! みんなすごくいい子だよ? そんな変なことはしないよっ!」

海未「うーむ・・・。それもそうですね」

穂乃果「うんうん! それとも、海未ちゃんはみんなを信じないの?」

海未「あっ、いえ・・・決してそのようなことは・・・」

穂乃果「そうだよね! だって、みんなラブライブ出場っていう大きな目標のために一丸となってダンスや歌の練習をがんばってるし、勉強が苦手な子も赤点取らないよう一生懸命勉強してるし、今だって表現力を身に付けるためにみんなで家族の演技をしてるでしょ? みんなで協力し合ってここまで来た仲間だよ。変な事考えている暇なんてないよ」

海未「穂乃果の言う通りですね・・・。最近調子に乗っている絵里や、いたずら好きの希だったら、花陽に何かくだらないことを吹き込みそうだと少し怪しく思っていたのですが・・・」

穂乃果「それこそ一番ありないよ。だって、あの二人は元生徒会だよ? 生徒の模範であるべき二人だよ? 真面目が服着て歩いているようなもんだよ?」

穂乃果「その証拠に、同じ生徒会の海未ちゃんだって物凄く真面目で誠実だし、万が一にも花陽ちゃんをそそのかすようなことはしないでしょ?」

海未「そ、それもそうですかね///」テレテレ 





別室・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

希「あぁ・・・耳とか胸とか色々痛いわぁ・・・」チクチク

絵里「そんなことより穂乃果が上手く海未の捜索を撹乱してるわ!」

希「絵里ちにはプライドってもんがないんか。ウチにはないけど」ケロッ


希「それにしても、穂乃果ちゃんはエロ本の場所が分からないなりに、がんばってるみたいやね。しかしまあ、よぉあれだけ口が回るもんやなあ。普段の穂乃果ちゃんからは想像できへんわ。追いつめられると強いんやなあ」

絵里「さすが穂乃果ね! その調子よ! 海未を追っ払って!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





穂乃果「第一、お父さんである穂乃果が気が付かない訳ないよ! もし変な事があったら絶対に許さないんだからっ!」

海未「ふふっ。さすが穂乃果です。頼もしいですね」

穂乃果「ありがとっ! だから誰かを疑うようなことはもうやめよう?」

海未「分かりました」

穂乃果「それじゃ、結構綺麗になったし後は穂乃果が残っているホコリを取っておくから海未ちゃんは終わっていいよ?」

海未「そうですか? ありがとうございます」



海未(穂乃果の言うことはもっともですが・・・。それでも何か引っかかるのです。一応、それとなく探してみますか・・・。まずは、机の引き出しの中を)ガラガラ

穂乃果(海未ちゃん、納得したようなことは言ってるけど・・・・。あの目、まだ疑ってるよ、絶対。・・・あっ。机の引き出し開けてる。やっぱり・・・さりげなく探してる。あそこは隠し場所として良くないって、花陽ちゃんには言ってあるから大丈夫だよね)

穂乃果(でも勘が鋭い海未ちゃんのことだから他の場所を探し始めた時にいずれ見つかっちゃう! なんとしても私が先に見つけて安全な場所に移動しないと! きっと花陽ちゃんは穂乃果のアドバイスを聞いているだろうから机の引き出しにじゃなくて、多分ここに・・・・)ゴソゴソ

海未(穂乃果・・・・? 何やら本棚を漁っているようですが。・・・・ふむ、怪しいですね)ジロッ


海未「穂乃果、何をしているのですか?」

穂乃果「えっ?! あっ、こ、これは・・・。そう! 本棚にあるホコリを取ってるの」ハタハタ

海未「そうなんですか」ニコッ

穂乃果「そうそう。そういう海未ちゃんこそ何をやっているの? 床の掃除機掛けは終わったんでしょ? さっきも言ったけど、後は穂乃果がやっておくよ?」ニコッ

海未「やはり、穂乃果一人だけ掃除をやらせてしまうというのは、なんだか申し訳ない気がしまして。それに掃除と言ったら、お母さんの仕事でしょう? むしろ、今は穂乃果がお父さん役なのですから積極的に掃除をする必要はないと思いますよ? お仕事で疲れているでしょうから、ゆっくり休んでいてください」ニコニコ

穂乃果「そんなに遠慮しなくっていいって!」アセアセ

海未「穂乃果・・・・?」ギロッ

穂乃果「ひっ?!」

穂乃果(ま、まずい・・・。あの怖い目は完全に穂乃果のことを疑ってる! 昔からあの目に睨まれたら碌なことが無い・・・。だけどここは絶対に引き下がる訳にはいかないよ!)

穂乃果(ここで無理に海未ちゃんを遠ざけようとしたら返って墓穴を掘っちゃうね。よしっ、だったら・・・!)

穂乃果「そ、そっかあ! だったら、やっぱり、一緒に掃除しよっか? 私達仲のいい夫婦なんだから、別におかしくはないよね?」

海未(不倫相手持ちが何をいいますか・・・。それに、急に素直になって余計に怪しいです。昔っから何か隠し事をしようとするときはいつもあんな感じでした。ふむ、ますます怪しい・・・・後ろめたいことがあるのは確定的ですね。ですから、ここは絶対に引き下がる訳には行かなくなりましたよ!)

海未「そうですね」ニコッ


穂乃果「それじゃあ、海未ちゃんは窓を拭いてもらっていいかな? 他は汚れている所なんてないでしょ?」ニコッ

海未「ぐっ・・・・」ヒキツリ

海未「ゴホンッ。いえ、窓はそれほど汚れていないようです」スタスタ

穂乃果(んっ、海未ちゃん、歩いてどこに・・・? はっ! 押し入れを開けた?! あそこはまずいかも・・・?!)

穂乃果「う、うみちゃーん? そここそ、あんまり汚れていないんじゃないかなあ?????」オロオロ

海未「そうかもしれませんが、少しでも整理して収納スペースを確保しておこうかと思いまして」

穂乃果「そ、そうなんだ? だ、だったら、穂乃果がやっておくよ?」

海未「そうですか? では、交代して、私が本棚の整理をしましょうか?」ニコッ

穂乃果「くっ・・・!」ヒキツリ

海未「どうかされましたか????」ニコニコ

穂乃果「ううん! なんでもないよ、続けるね!」ニコッ

穂乃果(大丈夫・・・。ブツがあるのはこっちのはず・・・・!)ガサゴソ

海未(穂乃果・・・・。私が押し入れの戸を開けた時に狼狽えましたね。一瞬でしたが私には分かりましたよ。ここを重点的に探します・・・!)ガサゴソ

穂乃果(えっと・・・・“脳血管治療”? “脳治療・看護”? “脳腫瘍レントゲン”? “脳外科”? “シカでも分かる頭の中のかっ捌き方”? 他はよく分からない漢字とか英語の本・・・。難しい本ばっかりだなあ)

穂乃果(あのえっちな本、本当にこの中に隠してあるかなあ? こんな難しそうな本に囲まれてたら返って目立ちそうだけど・・・。やっぱり海未ちゃんが探している押し入れの方にあったりして・・・)オロオロ

穂乃果(ちなみにここの本どんなことが書いてあるんだろう?)ヒョイ、ペラ

穂乃果「ほー・・・・? うーむ・・・・?」ペラペラ



穂乃果「・・・・わっ! 裸だっ!」

海未「なんですって?!」ガタッ

海未「それをこっちに見せなさい!」グイッ

穂乃果「あっ」

海未「むっ! こ、これは・・・! なんと露出が多い!」

穂乃果「って! これ裸は裸でも理科室とかにある人体の図解だよっ! 確かに露出が多いけど、内臓とか骨まで丸見えだよ!!」

海未「そ、そうですね・・・。すいません・・・。お医者様のご自宅なのですからこういった本があるのは当たり前ですよね・・・。すみません、本当に・・・」


海未「はぁ・・・なんだか破廉恥だとか考えていた自分が情けなくなってきました」

穂乃果「まあまあ。でも本当にすごいよねえ。穂乃果には何が書いてあるのかさっぱり分からないよ」

海未「ええ、とてもじゃないですが私にも理解が及ばない内容ですね」

海未「でもこういうことちゃんと理解してくれる人がいるからこそ、私達が病気になった時にちゃんと治療を受けられるのですよね」

穂乃果「そうだよねえ。これを一生懸命勉強している真姫ちゃんは本当にすごいよ。頭が上がらないなあ。私も真姫ちゃんの一割でも勉強ができればなあ・・・・。ん? これは」ヒョイ

海未「なんです?」

穂乃果「“これ一冊で丸分かり! 偏差値30のおバカ女子高生でも時間をかけずに8か月で脳神経外科医になれるラクラク勉強法”・・・・? この本だったら穂乃果でもちょっとは理解できるかな?」ペラ


穂乃果「ほえー。こっちも図解付き・・・・だっ?!///」ドキンッ

海未「へー、そうなんですか?」チラッ

海未「ふむふむ、二人の人が寄り添っているように見えます・・・がっ!?///」ドキッ

海未「あの・・・// こ、これも医学書なんでしょうか・・・?//」

穂乃果「えっと・・・/// 多分、患者の看護の仕方なんかを解説しているんじゃないかな・・・?///」ペラッ







『すずー・・・』
『んー? なーに。おっ? 今日は随分と甘えんぼさんだね』
仕事終わりにとある喫茶店に立ち寄った二人。夜も更けていたので店内は閑散としていて他の客はいない。
カウンター席に隣同士並んで座り、えみはすずこの肩に頭を置く。
『だってー・・・・。私達一緒に仕事する事はよくあるけど、二人っきりって最近なかなかないじゃん』
『そうだね。昔は二人でいることがほとんどだったけど』
『あの時は、・・・・時間だけはたくさんあったから、すずとしょっちゅう二人っきりでお茶してたよね』
『・・・・うん。お仕事増えるといいねーなんて話してたっけ』
すずこは妙に感傷的になっているえみに少し違和感を感じながらも、話を合わせることにする。
『懐かしいねー・・・・。今は、本当に・・・・。毎日が目まぐるしい・・・・。ねえ、すず』
『うん?』
『すずはさ。モデルに歌手に色々やっててさ、最近はドラマもやってるんでしょ。すごく忙しそう。ちゃんと寝てる?』
『そういうえみつんも忙しそうだよ。最近色んな現場でえみつんの名前を見るし聞くよ。それにここ数か月で何本アルバム出したの? ラジオもたくさん受け持ってるみたいだし、ヤケドのお仕事でたくさん体も動かしてるみたいだし』
『すず程人気者じゃないもん。そんなんでもないよ、私は。その点すずはいいなー。そのサラサラで長い黒髪と美人な顔に細い体。うらやましいなあ。ダンスも上手だし、人気者になるのも当然だよ。選り取り見取り。私なんてお饅頭みたいな体で、すぐに転んじゃうドジだし・・・。すずはすごいなあ』
えみが言っていることはあまりまとまりがない。要はえみは自身をすずこと比較して自虐しているようである。
いつものすずこであれば、そんなこは無いとえみを励ますか、あるいは冗談で貶すように肯定して笑いを取りに行く。
でも、今のすずこはどちらもしなかった。いつも元気なえみとは違う、メランコリックなえみに投げかける言葉が思いつかなかった。
すずこは黙った。
店内に静かに流れている切ない音色のジャズのBGMだけが、二人の鼓膜を優しく揺らしている。
オレンジ色の温かみと茶色の落ち着いた色が混じりあったような弱い照明が二人を照らしている。
えみは、手元にあるアールグレイが入っているカップをじっと見つめている。
すずこは、自身の肩に乗せられているえみの顔を横目で見る。眉毛は垂れ下がり、その表情は哀愁が漂う。
えみが見ているのはアールグレイではなく、どこか遠く―――過去か未来のような何かを夢想している。すずこはそう感じた。
しばらくの沈黙を破ったのはえみだった。
『すず。ありがと。人気が出てからでも、私と一緒に居てくれて。すずと一緒にやってこれて、本当によかった。右も左も何にも分からない時でも、同い年の子が一緒にがんばってるって思うだけで、すごく勇気付けられたよ』
その言葉を聞いたすずこは少し不安を覚える。今のえみは感傷的になりすぎている。雰囲気の良い店内がそうさせているのか。えみはまるで、今際の際に走馬灯を見て、言い遺したい言葉を連ねているかのようだった。
えみは目を細めて、ゆっくりとアールグレイに口を付ける。
徐々に暗くなっていく空気。
すずこは遂に耐えられなくなる。
『ねえ、えみつん、こっち見て』
『んー?』
えみは頭を上げてすずこに目線を合わせる。



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『ぶっーー!!!! あっははははは! すずー!! そういうのはっ・・・! いきなりはやめてってヴァ!』
すずこは、目ん玉を剥き出し、猪八戒のように鼻を上げ、ねずみ男のように前歯を主張する。
三森の十八番である美人+顔芸の合わせ技を、突然目の前で披露されたえみは、たまらずアールグレイを噴出して、しばらく笑い続けてしまう。
すずこはえみの噴出したアールグレイをハンカチで拭きながら言った。
『まいったか。んー・・・やっぱり、私、えみつんの笑顔が好きだなあ』
『へっ?! ・・・も、もう、すずったらー。不意打ちで笑わせてから、そんな優しい事言うなんて・・・思わずときめいちゃうじゃん』
未だ笑いが収まらないえみは、涙目になりながらも、楽しそうにすずこと会話を続けた。
いつもの笑顔のえみを見られたすずこは一安心する。
すずこは一度、静かに深く呼吸して頭を切り替える。
そして、えみが感傷的になっていた理由がなんとなく分かっていたすずこは、ゆっくりと、えみに言葉を紡いでいく。
『私ね、えみつんの太陽みたいに明るい笑顔が好き。見てるだけで元気になるから』
『ありがとう。こんな感じ?』
えみはいつもと同じように笑顔をすずに向ける。しかし、その笑顔を前にしたすずこは、嬉しそうでも悲しそうでもない、真面目な表情になってえみを見返す。
えみの笑顔が好きだと言っておきながら、無反応のすずこに戸惑うえみ。
『どうしたの、すず? 私なんか変?』
『・・・・・・。えみつんはずっとがんばってきたよね。ファンの前、スタッフの前、仲間の前。えみつんは、ずっと笑顔。いつも元気』
『う、うん?』
『えみつんの笑顔は好きだけど・・・。だけどね、私の勘違いだったらごめんね。もし・・・・。えみつん・・・・。もし、疲れていたら・・・・。私の前だったらね、笑顔を休めてもいいんだよ。元気じゃなくてもいいんだよ。私は、笑顔以外のえみつんのことも、好きだから。だから、無理して体を壊しそうだったら、絶対に、私の傍で休んでね。弱音を吐いてね。そして、本当の意味で元気になるまで、私がえみつんのお世話してあげる』
『なぁに、それ? すずの方こそ疲れてるんじゃないの?』
『私は結構割り切ってやってるから。でもえみつんは違うでしょ。どんな些細な事までも妥協しない。後輩やファン、周りの人達を心底愛して大切にしてる。しかもそれを本当に楽しんでる。私には真似できない芸当だよ。私はえみつんに憧れてる、尊敬している、すごい人だと思う。そんなすごい人と駆け出しの頃からずっと一緒にやってこれたんだって思うと、なんだか運命感じちゃう。だから、私はこれからもえみつんを誰よりも一番に大切にしたい。えみつんの役に立ちたい』
『す、すず・・・・。そんなこと言われたら・・・・。私、惚れちゃうよ?』
『“惚れ直す”の間違いでしょ?』
『・・・・もう、すずったら。どうせ私以外の子にもそんなこと言ってるんでしょ? この、女タラシめっ』







穂乃果(す、すごい大人な雰囲気・・・・/// どきどきしちゃう)ドキドキ

穂乃果(それに・・・)



海未(えみさんって・・・。お饅頭みたいな体型でよく転ぶドジ。相方のすずこさんとは同い年で長い付き合い・・・・。それに、見ているだけで元気になるような太陽みたいに明るい笑顔・・・・。それって、まるで・・・・)チラッ



穂乃果(すずこさんって・・・。サラサラの黒くて長い髪のすごい美人で、顔芸達者の人気者・・・・。そして大切にしている人のことは良く見てて、言葉がなくても心境を察して、気遣ってくれて・・・・。この人の前だったら気にせず弱音を吐けそうな、そんな人。・・・・それって、まるで・・・)チラッ



穂乃果「・・・・・!///」ドキッ

穂乃果(海未ちゃんと目が合っちゃった///)


海未「・・・・・・!///」ドキッ

海未(なんで、穂乃果はこっちを見てるんですかっ?!///)


穂乃果(ううぅ/// 目のやり場がないよぉ)

穂乃果(・・・・・・・・・もうちょっと読んでみよう)ペラッ







店員が二人の元へ歩み寄り『ラストオーダーのお時間です』と告げる。二人は追加の注文をしなかった。
『すず、明日仕事あるの?』
『知ってるくせに』
『これから、すずの家に泊まりにいっていい?』
『最初からそのつもりだったくせに』
『えへへっ。朝ごはんはどうする? 作れる? すず、タイ料理以外のレパートリー、少しは増えた?』
『まあね。教えてくれる人がいたから』
『そっか』
『あっ、えみつんの歯ブラシとか下着とか、まだ家にそのまま置いてあるからね』
『そうなんだ。ありがと。変な事に使ってないよね?』
『ば、ばかっ! 使ってないよ! ・・・・少ししか』
『ふーん?』
『もうっ! とにかく! 今夜はたくさん筋肉触らせてよね』
二人は喫茶店の会計を済ませて、夜の街を抜けて行った。

※この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件などには一切関係ありません。







海未(こ、これから二人はどうするんですか・・・?///)ドキドキ

穂乃果(すずこさんの部屋に入って・・・)

海未(き、着替えてっ・・・?)

穂乃果(そ、それから、そのままっ?!///)ドキンッ

海未「!!!!!///」カァ



海未「あ、あの・・・・この本は・・・・?///」ドキドキ

穂乃果「・・・・はっ!」

穂乃果「あ、ああ! うん! 海未ちゃんの言う通りだね! きっと、術後で動けない患者さんの介助について解説してある本だよこれは!」


海未「私はそんなこと一言も言っていませんが」

穂乃果「うん! そうだね! もう掃除は終わったね! それじゃ私はこれでっ! オツカレ!」ササッ ダッ


ガシッィィイ!!


穂乃果「ひぃいいい!!」ビクッ

海未「待ってください」ギチギチギチ

穂乃果「あ・・・あはは。う、うみちゃーん? それ以上力を入れられたら、穂乃果の腕、ちぎれちゃうよー・・・?」ヒリヒリ


海未「・・・・・・」ワナワナ

穂乃果「えっとぉ・・・?」

穂乃果(海未ちゃん俯いて、長い髪が前に掛ってるから表情が見えない・・・。ホラー映画みたいで余計に怖いよ!)ビクビク


海未「・・・・・・お話があります・・・・」ユラァ.....

穂乃果「・・・・うぅ・・・」

穂乃果(だめ・・・。観念しよう・・・)ガックシ



穂乃果(ごめん、花陽ちゃん・・・)

穂乃果(それにしても・・・。まさかカバーだけ偽装していたとは思わなかったよ・・・。余計なことしちゃって本当にごめん花陽ちゃん・・・)







別室・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

希「あちゃー。遂に見つかってもうた」

希「穂乃果ちゃんが偶然入ってきて、捜索を撹乱してくれたのは良かったんやけど。こればっかりは運が悪かったとしか言いようがないね」

希「後は海未ちゃんがどう行動するかで勝敗が決まるんやけど・・・」

希「さすがに今回は花陽ちゃん、詰んだかな?」

希「海未ちゃんは融通が効かない厳格な人やから、穂乃果ちゃんや真姫ちゃんみたいに、エロ本に魅了されて裏切ってくれるようなこともないやろうし」

希「ましてや凛ちゃんの時みたいに篭絡しちゃうことなんか、もっとできへんやろうし」

希「はてさて、どうなることやら」



「ノゾミー, エリ- チョットイイデスカー」



希「ん? 海未ちゃんが呼んどるな。ほな、絵里ち行ってみよ」

絵里「えりちかお家帰る」

希「行くで」グイグイ

絵里「イヤー・・・」ズルズル

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・








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西木野邸 リビング



海未「・・・・・」ゴゴゴゴ...

穂乃果「・・・・」

絵里「」ダラダラ

希「・・・・・」

真姫「・・・・・」

凛「・・・・・」


花陽「・・・・ウゥ,ダレカタスケテー」ビクビク




希(うひゃー。海未ちゃん、家族全員集めて家族会議なんて始めてしまうとか、えげつないことしよるなあ)

希(本来なら、これでかなりの高得点を狙えるんやけど・・・・・)

希(・・・・でも、もしかしたら)



絵里(はなよー・・・。頼むから私の名前出さないでねー・・・)ビクビク

絵里(い、いや・・・。先輩として後輩に罪を着せるのはどうなのよ? ここは潔く名乗り出て花陽をかばうべき・・・?)




海未「花陽。このような本で医学のお勉強ですか? 図解付きで、大変分かり易そうですね?」(#^ω^)ビキビキ

花陽「え、っと。あはは」ビクビク


海未「未成年でありながら、こんな・・・こんな破廉恥な本を所持するなんてっ!」バンッ

花陽「ぴゃあ!」ビクッ

絵里「!!!」ビクッ

穂乃果「ま、まあまあ。海未ちゃん落ち着いて。花陽ちゃんだってもう高校生なんだし」

海未「共犯者が何を言いますかっ!!!」ババンッ!

穂乃果「ひぃ!!」ビクッ

希(おー、こわ)

絵里(無理無理無理。おとなしく黙ってましょ)ヒヤヒヤ



海未「穂乃果・・・・。掃除の時に、『花陽ちゃんは真面目だから変な事はしない』とか、『信じられないの?』とか、色々ご高説を垂れていたのは、一体なんだったのですかっ!」

海未「それで、私の味方である振りをしながら、あれやこれやをして私を遠ざけようとして・・・! まるで二重スパイですねっ!? あたはそれでも父親ですかっ?!」

穂乃果「いやー・・・・あはは」ポリポリ

海未「学生の身分でありながら、このようなものに、うつつを抜かすなど信じられません」

海未「気のたるみは、体にも悪影響を及ぼします。穂乃果、花陽。あなた達の体重増加はこれに起因しているのではないのですか?」

穂乃果「えー・・・・・」

花陽「・・・・・・」

海未「その邪念を取り払うために、我が道場にて、雑巾がけと、竹刀で素振り1000回と、座禅2時間と、滝行を一か月間続ける事を提言します。その歪んだ性意識を叩きなおしてさしあげます。そうすれば、こんな書物にうつつを抜かさぬ事が無い健全な肉体と精神が宿ることでしょう」

海未「真姫、凛。あなた達は決して、このような下賤な書物に手を出すことが無いよう注意してくださいよ。穂乃果と花陽が悪い例です」

真姫「・・・・・・・」

凛「・・・・・・」

海未「何故、こんな物が世の中に出回っているでしょう。不思議で仕方ありません。破廉恥極まりない。日本の汚点です。教育上なんの利点もありません。下品なだけです」クドクド

花陽「・・・・・・」フルフル

絵里(な、何もそこまで言わなくたって・・・)モヤモヤ



花陽「そんなこと・・・・ないですっ・・・」ボソッ

海未「なんですって?!」バンッ!

花陽「ひっ・・・・・。だって、だって・・・」

花陽「一途な好きって想いが強くなって、こういうことをしちゃうんだって・・・誰よりもその子のためになんとかしようって行動に出て・・・悲しい恋のお話の所は、読んでいて不思議な気持ちになったし・・・・。自分にもあり得そうで、やり方とか参考になったし・・・。この、気持ち、上手く言えないけど・・・きっと、花陽にとって大切な物だって、そう思えるから・・・」

海未「言っている意味が分かりません。ちゃんと頭の中を整理して発言してください。とりあえず今のは聞かなかったことにしてあげます」



花陽「ううっ・・・・」



真姫「・・・・花陽の言う通りね」

海未「はい? 今なんと言いました・・・?!」キッ

真姫「エロ本だからってだけで、そうやってすぐに否定するのはどうなのかしら?」

海未「なっ?! それはどういう意味ですか?! まさか、真姫まで・・・」

真姫「ベッドで抱き合いながら夢を語らうシーンなんか、すごく感動できるのに」

海未「なっ!!?」

凛「凛だって・・・。この本を読んで、学校の授業だけじゃ分からなかったことが、分かったし・・・」モジモジ


訂正
>>114

4行目

×:三森
○:すずこ


海未「り、凛?! あなたもですかっ?! ダメです! 惑わされては! それは誤った知識です! ちゃんとした正しい教育で正しい知識を身に付けなさい!」

真姫「正しい正しいって・・・・貴女ねぇ・・・。海未。その教育的理想に疑問を禁じ得ないわ」

海未「どういう意味ですかっ?!」

真姫「じゃあ、逆に聞くけど。貴女はこの本をじっくり読んだのかしら?」

海未「よ、読むわけがないでしょう!///」

海未(えみさん・・・//)モジモジ

真姫「ふーん? それで、読んでもいないのに、なんで誤った知識だなんてことが言えるわけ? そもそも誤った誤ってないの境界線は何かしら? それを論じる事が出来るのは内容を読んで考察した人間だけじゃない? 考察どころか本を読んですらいない貴女がなにを根拠にそんな批判しているの? 私には、海未はただ単に偏った先入観にとらわれているようにしか見えないけど? 一方的に自分の意見を大声で言うことしかできないその思慮の浅さは残念な脳みそとしか言いようがないわね。まずは映画のキスシーンから目を逸らさないようになってから発言してほしいわね。その先を描写しいなと表現できない素晴らしい物語だってあることを知らないでしょ」

海未「うっ・・・」タジタジ

絵里(そうだ! そうだ! もっと言ってやれ!)

海未「し、しかし、内容がどうであれ、こういった書物を積極的に求める事自体が性意識の歪みと言えます! そう意味で読んでいいはずがありません!!」

真姫「読んでもいない本に対する意見を言っちゃう自称文学好きさんのために、私の考えを理解してもらえるよう、人間の三大欲求である食欲を例にとって話をしてあげるわね。貴女、ダイエットダイエットって言って、徹底的に穂乃果と花陽に食事制限を強制しているじゃない? 少しでも余計な食事をしたら、海未が怒る・・・そんな事が続いたら、怒られている側はいずれ“食事を求める=悪”と思い込んでしまわないかしら? でも、それは間違ってるでしょ? だって食べないと死んじゃうんだもん。だから、死なないように人は自分から積極的に食事を求めるの。もちろん、食欲を過剰に満たす事は問題よ。だから、ダイエット自体を否定するつもりはない。それを踏まえた上で、性欲に置き換えるけど、食欲と同じで性欲を満たすためにエロ本を積極的に求める事は、人として至って正常な行動だと思わない? ただし、これも食欲と同じで、過剰に性欲を満たすたす事は問題ね。例えば、エロ本をいつでもどこでも見境なく読み耽っていたら、それはモラルが欠落していると言えるわね。だけどその点において、凛と花陽は、普段はエロ本を隠して、そして誰にも見られないように時と場所を選んでこっそりと読んでいたの。そうやってコソコソしている分には、それは過剰に性欲を満たしているとは言えないでしょ? それとも海未は人間の生存本能である性欲そのものを否定したいのかしら?」


海未「うくっ・・・わ、分かりました。真姫の意見は分かりました・・・。では、そんなに言うのであれば、この本が内容的に明らかに誤った性意識へと導かないと言い切れる理由を言葉で説明してください!」

真姫「ええ、構わないわ。いくらでも語ってあげる」

真姫「主要キャラクターは9人の少女? 達なんだけど、そのみんながアイドルに関する部に所属しているの。私達と境遇が似ているから、参考にできる部分も多いと思う。まずそれが言えるわね」

海未「ほ、ほう・・・。し、しかしそれだけでは」

真姫「次に、キャラクター自身がとても魅力的ね」

真姫「特に可愛いのにそらちゃんという子がいてね。もう、とにかくこの子が一番可愛い/// おしゃれ好きだけど、基本オタクで根暗で友達もいないような貧相な子だけど、精一杯努力して夢を叶えようとしている姿が素敵って言うか?/// 一緒にいて楽しそうっていうか?/// 人を笑顔にしようとすることに一生懸命な所がカッコイイっていうか?/// と、とにかく、そらちゃんみたいな子を優しく包み込むようにして、励ましたり勇気付けたりして、甘えさせたいわ///」ハァハァ

海未「は・・・はぁ?」


絵里「むっ! 真姫、それは、違うわ! 誰が何と言おうと一番可愛いのはあやねよ! なんというか、妹みたいな可愛さがあるでしょ! ムフフ・・・あやね・・・///」グフフ

海未「え、えりっ?!」



絵里「凛と花陽もそう思うわよねえ!」クルッ

花陽「ぴゃ?! あ・・・えっと・・・。い、いいえ! 一番可愛いのはりほさんです!」

凛「にゃ?!//」ドキンッ


絵里「ほう? それは何故かしら?」

花陽「普段は明るくて天真爛漫で元気がいいけど、攻められちゃうと真っ赤になっておとなしくなっちゃうネコさんな所が可愛すぎて辛抱なりません! それに、アイドルらしく引き締まった体が最高です! ああっ、りほさんみたいな人に抱かれたいです・・・いやっ! むしろ抱きたいですぅ///」ハァハァ

凛「てへへ///」モジモジ

真姫「ん?? 凛、なんであなたが照れてるのよ?」

凛「え、えっと・・・・/// なんでかな・・・? わかんにゃい//」テレテレ


花陽「凛ちゃんが一番可愛いと思うのは誰? もちろんりほさんだよね?」

凛「んー・・・。凛はゆりかさんが一番可愛いいと思うにゃ」

花陽「ピャ?!////」ドキンッ

凛「性格は人見知りでおとなしくて控えめだけど、好きな物が目に入ると途端に興奮する所が好き。一度仲良くなった友達のためなら勇気を出して頑張る所も好き。勇気を出し過ぎてヤンデレな感じもいいにゃ。それにショートカットの美少女でグラマラスぼでぃがたまらんにゃ/// そんなゆりかさんみたいな人に、凛も病まれるくらいに愛されてみたいにゃあ///」ニャニャ

花陽「そ、そんな//」テレテレ

真姫「?? 今度は何で花陽が照れてるのよ?」

花陽「あ、えっと・・・/// そうだよね、なんで照れちゃうんだろう?」テレテレ


凛「それと、えりこさんも可愛いよね」

真姫「っ?!//」ドキンッ

花陽「ああ、分かるよ凛ちゃん。えりこさんは可愛いっていうよりセレブな美人だよね。それでいて歌がとても上手くて、憧れちゃうなあ・・・」ウットリ

凛「そーにゃ、そーにゃ。第一印象はお嬢様っぽい雰囲気が強くてとっつきにくい人かな? って思ったけど、実は優しくて、気軽に話せちゃうような人柄が良いよね! さらに頭が良くて美人で優しいなんて! 完璧すぎるにゃ!」

真姫「ふ、ふーん?///」カミノケクルクル


絵里「もう! あなた達! 一番可愛いのはあやね! 明るくて元気がよくて、その反面ちょっと世間知らずな所もあるけど、そんな姿が健気で可愛いでしょ! ロシア語の発音もなかなかだしね!」

真姫「巻き舌を使ったロシア語の発音は確かにすごいわよね。カタカナで発音しているどっかのクォーターさんと違って」

絵里「な、なんのことかしら・・・?」メソラシ

真姫「それに・・・。あやね、ねぇ・・・・。確かに絵里の言う通りなんだけど、あやねは、結局は実戦経験なんか全然無くて、本から得た知識だけで張り切ってる耳年増の芋女、って印象を受けたけど」

絵里「実戦経験が無い生娘ちゃんだからこそ、お姉さんが手取り足取り腰取り実技で色々教え込んであげたいわぁ」

真姫「まあ、そんなあやねも、次でいずみに落とされちゃいそうだけどね。だって、あやねもいずみの前じゃただのおとなしい小娘になっちゃうと思うの。経験の差が違いすぎるし」

絵里「そう! そこが心配なの! あやね大丈夫かしら・・・」

絵里「・・・・そもそも、いずみって一体何なの? あちこちで女の子を食い散らかして、許せないわ」

花陽「そうです! いずみさんは私も許せません! はぁ・・・りほさんは早くゆりかさんとくっつけばいいのに・・・」グスン

真姫「私も同感。そらちゃんをいじめてくれちゃって・・・! ゆるせないっ! そらちゃんをいじめていいのはえりこだけよっ!」ムカムカ


絵里「やっぱり花陽と真姫もそう思うのね! いずみみたいなのは一回痛い目を見ないといけないのよ」

絵里「そうすると、いずみを屈服させることができるのは・・・・・・・同年代のよしのくらいかしら?」

真姫「えー? よしの? 確かに経験値は高そうだけど、いずみとじゃ体格差がありすぎて勝負にならないでしょ。大人と子供よ。それに、よしのはあいなの事以外には興味もなさそうだし」

真姫「いずみをひれ伏さすことができるのは、やっぱりえりこじゃない? えりこには何か策があるみたいだし」

花陽「えりこさん、毒を持って毒を制すって言ってたよね。どういう意味かな? やっぱり別の誰かに協力してもらうのかな?」


凛「ねえねえ。それと、ゆりかさんがいずみさんからりほさんを引き離すため誰かに協力してもらうって言ってたよね」

真姫「あっ、そういえばそんなこともあったわね。えりこが考えている策と、ゆりかが協力をお願いする人とはきっと別よね」


絵里「ふむ・・・。ゆりかに、えりこに、あやね・・・、多方面からいずみ打倒に向けて事が動いているようね・・・・。興味深い」

凛「なるほど・・・。一体これからどんな展開になるんだろう・・・? 続きがすっごく気になるにゃあ・・・」

絵里「そうね。女王いずみを超える者が登場するのかしら? 続刊が出たらすぐに読みたいわね」

花陽「うううっ! 続きが早く読みたいですっ!」ワクワク





希「あはは。花陽ちゃん生き生きしとるなあ」

凛「うん! そうだねっ! 凛はこっちのかよちんも好きにゃー」





ワイワイ、ガヤガヤ





海未「あ、あの・・・みなさん・・・?」ポツン...


穂乃果「海未ちゃん」ポンッ

海未「ほ、ほのか・・・?」

穂乃果「海未ちゃんの負けだよ」フッ←同情の目

海未「ううっ・・・・。未成年なのになんで・・・? 私の一体何が間違っているのでしょう・・・?」シクシク



希(あはは。やっぱりこうなったかー。他のみんながみんな花陽ちゃんの味方をしてもうた)

希(エロ本が見つかった時点で海未ちゃんの勝ち確定かと思うたけど・・・)

希(これはまさかの花陽ちゃんの逆点満塁サヨナラホームラン! 完全勝利やね)

希(真姫ちゃんと海未ちゃんの舌戦はすごかったなあ。絵里ちも、凛ちゃんと花陽ちゃんが話しに入れるきっかけも作ってあげたし)

希(花陽ちゃん自体は弱々しい子かもしれへんけど、たくさんの人を味方に引き込めことができる魅力が花陽ちゃんの最大の武器やったってことやね。さすがの海未ちゃんが勝てへんかったのも、納得や)

希(んー! おもしろかった!)



希(ちなみにウチがエロ本隠すんやったら天袋の戸の裏側に張り付けよかな?)

希(ま、ウチは一人暮らしだから隠す必要なんてないんやけど)







☆★☆*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*
シーン:バレンタインチョコを作ろう!


~~登場人物~~

お母さん:海未 → ことり
長女:真姫
次女:花陽
三女:凛
*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*☆★☆




ことり「あれ? 私がお母さんになるの?」

希「うん。海未ちゃんお菓子作りに自信がないって言うから」

海未「すみません、西洋伝来の事は私にはどうも・・・・。ことり、お願いできないでしょうか?」

ことり「うん! もちろん、いいよ! 任せてっ♪」

海未「ありがとうございます」

希「ここら辺は脚本とかないんで、適当に仲良し親子な感じでやってくれればええよ」

ことり「分かった! ちょっと色々準備してくるね」







----------------------------------------
西木野邸キッチン


ことり「というわけでっ! 今日はチョコレートを作ります!」

りんぱな「「わー!」」パチパチ

真姫「よろしく」カミノケクルクル



絵里(チョコレート!)ワクワク

希「絵里ち。絵里ちの出番はないで。おとなしくこっちで待ってよな」

絵里「う、うん」ソワソワ



凛「どんなチョコレート作るの?」

ことり「トリフチョコにしようかと思ってるけど、どうかな?」

花陽「えええっ?!」

真姫「と、トリフチョコ・・・・」

ことり「だめなの?」

花陽「とんでもありません! だけど・・・」

真姫「トリフチョコって言ったら、中がふわっと、とろっとしてる、あのトリフチョコよね?」

ことり「うん。ガナッシュだよ」

真姫「私、今回のチョコレート作りって、てっきりチョコレートを溶かして、適当な形にして固めて終わりかと思っていたんだけど・・・・」

花陽「私もそう思ってた。中と外で食感の違う二層のチョコレートって作るの難しそう・・・」

凛「言われてみればそうにゃ・・・。トリフチョコは高級なお菓子ってイメージがあるよ。・・・凛にも作れるかな・・・?」

ことり「本格的にやろうと思ったら大変だろうけど、トリフチョコだったら、意外と簡単にできる方法もあるよ。だから、大丈夫! みんな、絶対においしくできるよ!」



花陽「本当?!」パァ

凛「たくさん作ってたくさん食べたいにゃー!」

真姫「ちゃんと教えてよね」カミノケクルクル

ことり「うん! 任せて!」



ことり「最初にちょっと説明するね」

ことり「材料はこんな感じ」


1.クーベルチュールチョコレート
2.生クリーム
3.はちみつ


ことり「とりあえず、最低限はこれだけかな」

真姫「あら、意外と少ないのね」

ことり「アレンジするなら他にも色々使うけど、追々説明するね」

凛「クーベルチュールチョコレートって?」

ことり「カカオ由来以外の脂肪を含まないチョコの事なんだけど、簡単に言えば、製菓用に適しているちょっと高級なチョコのことかな。百貨店や製菓材料屋さんで買えるよ」

花陽「ガーナで手作りバレンタイン♪ っていうCM見たことあるけど、そのチョコじゃダメなの?」

ことり「ダメじゃないけど、お勧めはしないよ。ガーナとかは、そのまま食べる用に作られているから、カカオバター以外の油脂とか色々な添加物が入ってて製菓用には向かないんだよ。だけど、それを抜きにしても風味や味はクーベルチュールチョコの方がずっといいよ」


ことり「ということで、今回はカカオ60%のクーベルチュールチョコレートを用意しました」

真姫「カカオ60%だと、ちょっと苦みがあるビターな感じかしら」

ことり「んー・・・。みんな、とりあえず、ちょっとそのまま食べてみて」

パクッ

真姫「ん。悪くないチョコレートね」

花陽「うんっ。しつこくなくて、さっぱりしていて、しっとりと舌に広がる上品な甘さ。そして柑橘系に似たほのかな酸味といい香り。こんな味、初めてです!」

凛「おいしいにゃ!」パクパク

真姫「ちょっと、凛。あんまり食べるんじゃないの」

ことり「ふふふ。それがクーベルチュールチョコレートだよ。カカオ由来以外の油脂を含まない、チョコ本来の風味が味わえるの。その分、いいお値段なんだけどね・・・」


ことり「それからカカオマスも用意してるよ」

凛「こっちもチョコ? いただくにゃ!」ヒョイ, パク

ことり「あっ、凛ちゃん」

凛「んにゃ! 苦い~・・・」

真姫「そりゃそうでしょうよ。チョコじゃなくてカカオそのものなんだから」ヒョイ, パクッ

真姫「あら、結構いけるじゃない。いい香り。この渋味がいいわね。コーヒーに入れたらおいしそう」ヒョイ, パクッ

花陽「真姫ちゃん、食べてる食べてる」

真姫「はっ・・・。つい」



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ことり「カカオマスの苦みはポリフェノールだよ。カカオは美容と健康にいいの」

凛「そうなんだ! チョコってカカオからできてるんでしょ? おやつは毎日チョコにしようかな」

ことり「それはお勧めしないよ凛ちゃん。市販されているチョコの多くは半分以上が砂糖だからね」

凛「うぇ・・・。気を付けよう・・・」

真姫「カカオ80%とかのチョコならいいってことかしら?」

ことり「う~ん・・・。高カカオだとその分カカオバターが多いからね。結局それはカロリーになるから、摂り過ぎは体に良くないよ」

真姫「なるほどね・・・。覚えておくわ」


ことり「話がずれちゃったね。今回カカオ60%のクーベルチュールチョコレートを用意したのは、味を調整しやすいようにするためだよ。これにこのカカオマスを入れるとビターで濃厚な味になるし、逆に甘くしたい場合はお砂糖を足して甘くするよ」 

真姫「私はビターにしたいわ」

凛「凛は甘い方がいい」

ことり「うん、分かった。作る時に調整しようね」



ことり「続いて生クリームは生乳のみで作られている無添加で脂肪分42%のものを用意しました」



花陽「無添加とか脂肪分の割合はチョコにどう関係してくるの?」

ことり「生乳由来以外の植物性の脂肪分やその他の添加物が含まれている生クリームを使ってもいいんだけど、やっぱり生乳のみで作られている生クリームの方が口溶けが良くてコクもあるからお勧め。それにチョコと混ぜた時に分離しにくくて作りやすいし」

ことり「それと、生クリームの脂肪分だけど、脂肪分は高い程、味が濃厚になるけど、それが人によってはしつこく感じるみたい。特に、カカオバターと合わさって、脂肪分が強くなると、おっさんには胃がきつくて、糖や脂肪の吸収を穏やかにする健康茶がないと食べられないんだって」

ことり「逆に脂肪分が低いと味はさっぱりして、作る時にチョコと生クリームが分離しにくくなる利点があるけど、チョコが固まりにくくなる場合もあるから分量は注意が必要だね」

ことり「生クリームの乳脂肪分は、砂糖、カカオマス等、何かを加えると薄まっていくから、それを考慮して、今回は色々と調整しやすいであろう、脂肪分42%の生クリームを用意したよ」




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ことり「それじゃあ、作っていく流れなんだけど―――」


1. 生クリームを鍋に入れて温める
2. 温まった生クリームにチョコレートとはちみつを入れて溶かし、混ぜ合わせてガナッシュクリームを作る
3. ガナッシュクリームを冷蔵庫に一晩入れて、冷やし固めてガナッシュにする
4. ガナッシュを丸めて、トリフの外側のチョコレートをコーティングする


真姫「手順が少ないのね。意外と簡単にできそう」

ことり「うん。色々注意することはあるけど、それはやりながら説明するね」


ことり「それじゃあ、早速作っていきましょう。まずは服を脱ぎます」

真姫「生クリームを温めるのよね。鍋に入れて火にかければいいのかしら」

ことり「うん」

ことり「生クリームの量は200mlね。グツグツと煮えないように弱火にかけつつ、注意しながら見ててね」


ことり「生クリームを温めている間にはちみつ15グラムを入れて、かき混ぜましょう。はちみつを入れる事によって、風味と口どけが良くなるし、チョコと生クリームが分離しにくくなるよ」

ことり「ちなみに、はちみつの代わりに水あめを使ったり、生クリームの代わりに葛や片栗粉、豆腐を使う人もいるよ」

真姫「豆腐・・・・? どれもチョコとは大分イメージがかけ離れている和食な気がするけど」

ことり「アレンジの仕方が色々あるってこと♪」

ことり「あっ、それと、大人な味のトリフチョコにしたい人は、温まった生クリームにインスタントコーヒーの粉末を入れて溶かすと、オシャレな風味になるよ♪」

真姫「へえ。私、やってみたいわ。どれくらい入れればいいの?」

ことり「それは人それぞれお好みだから何とも言えないけど・・・。この後クーベルチョコを250グラム入れるから、その全体の10%くらい入れればほんのりコーヒーの風味が出るかなぁ」

真姫「そう。45グラム入れてみるわ」パラパラ

凛「凛は甘い方がいいからやめておく」

ことり「チョコは生クリームと混ぜるから多少はまろやかな味になるけど、それでも甘い方が好きな人はお砂糖を生クリームに溶かすといいよ。さらに、バニラエッセンスを加えると香りも甘くなって良くなると思うよ」

凛「それやりたい! お砂糖とバニラエッセンスはどれくらい入れればいい?」

ことり「さっきも少し説明したけど、チョコの内50%くらいがお砂糖だと市販されている一般的なチョコと同じくらいの甘さになるよ。今回は60%カカオのチョコ250グラムを入れるから、50グラムのお砂糖を生クリームに入れて溶かしてみよっか。バニラエッセンスはラベルに100グラムあたり3~5滴って書いてあるから、15滴くらい入れてみて」

ことり「あっ、そうそう。お砂糖は普通のグラニュー糖でもいいんだけど、てんさい糖を使った方がいいよ。美容と健康にいいからね☆」

凛「こっちの茶色方のお砂糖? 分かったにゃ」サー, パッパッ

ことり「うんうん。これでみんな違う味になるね。こうやって味に個性を出せるのが、手作りお菓子の醍醐味だよ♪」

花陽「はい! 面白いですっ」

真姫「メープルシロップを入れてもよさそうね」

ことり「おおっ。さすが真姫ちゃん! 発想がオシャレ♪」

真姫「そ、それほどでもないけど?///」



ことり「生クリームの方は温まってきた?」


グツ...グツ...


凛「あっ。鍋の端っこから少し泡が出て来た」

ことり「うん。それくらいでいいよ。火を止めて。あんまり温度が高くなると、チョコと生クリームが混ざりにくくなるから気を付けてね」

ことり「次は、温めた生クリームが入っている鍋に、クーベルチュールチョコを250グラム入れましょう」

ことり「真姫ちゃんはビターにしたいんだよね。カカオが多い程ビターになるよ」

真姫「そうよね。だけど分量がいまいちピンとこないわ」

ことり「初めてだもんね、しょうがないよ。それじゃあ、今回はチョコを180グラムに減らして、カカオマスを70グラム入れてみよっか」

ことり「板チョコを使う場合は、チョコはある程度包丁を使って細かくする必要があるんだけど、今回使うチョコはタブレットタイプだから、そのまま入れて溶かせるよ」

ことり「それじゃあ、チョコレートを生クリームに入れましょう」


サー、パラパラ


ことり「4~5分程は何もせずそのままにして。生クリームの温度をチョコに馴染ませます。そうすることで、チョコと生クリームが一体化しやすくなるよ」



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凛「ん~・・・。なんだか全体的に白色が多くて、チョコって感じがしないにゃ・・・。生クリームが多すぎるってことはない?」

ことり「大丈夫だよ凛ちゃん。混ぜたらちゃんとチョコの色になるから」

ことり「それに、これでも生クリームの量は今回少なめにしてあるよ」

凛「え、そうなの?」

ことり「うん。チョコと生クリームの比率は1:1でもいいくらい。生チョコとして食べるのだったら、2:1くらいで固めにするけど、トリフ用の生チョコは柔らかくていいからね」

真姫「今回生クリームを少なめにしたのは固めにするってこと?」

ことり「うん。冷蔵庫で冷やして固めた時に、もし固すぎたら、もう一度溶かして生クリームを足すことで柔らかくできるんだよ。最初から生クリームを多く入れちゃうと、後戻りができないからね」

真姫「なるほど、そうやって柔らかさを調整するのね」





---------------------------
5分後


ことり「それじゃあ、泡だて器を使ってかき混ぜてみて」

花陽「はいっ」

シャカシャカシャカ

ことり「あっ、花陽ちゃん、そんなに一所懸命やらなくてもいいよ」
 
花陽「えっ? 卵を泡立てるつもりでやっていたけど、ダメだった・・・?」

ことり「ごめんね、説明が足りなかったよね。ボールの中心で、小さい円を描くように、優しく混ぜてね。激しくかき混ぜちゃうと、温度が急激に下がって、生クリームとチョコが良く混ざらなくなっちゃうかもしれないの。それに空気が入るのもあまり良くないから」

花陽「はいっ」クルン クルン

ことり「そうそう。いい感じ。鍋の端に寄ったチョコは中心に戻しつつ、混ぜてね」


クルン クルン


真姫「ねえ、ことり。三人でそれぞれ違う鍋で作ってるけど・・・。これ、できあがったら結構な量になっちゃうんじゃないの?」

ことり「全行程を自分の手でやらないとちゃんと身に付かないよ? それに、9人もいるんだし、全部食べられるよ。それでも余ったら、家に持ち帰ってもいいし。冷蔵庫に入れておけば、3~4日は日持ちするよ」

真姫「それもそうね」

ことり「・・・・あっ、うふふ」ニコニコ

真姫「なに?」

ことり「やっぱり大丈夫だよ。たくさん食べたそうな人もいるいるみたいだし♪ 作り過ぎくらいがちょうどいいんじゃないかな?♪」チラッ

真姫「えっ?」チラッ




キッチン壁際・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

絵里「チョコ食べたい」ソワソワ

にこ「お菓子好き」ワクワク

穂乃果「和菓子以外ならなんでも!」ジュルリ


海未「穂乃果! あなたは食べられませんよ」

穂乃果「ええっ!?」

海未「さっきおやつを食べたじゃありませんか。私は穂乃果の栄養管理を毎日しているのです。わがままを言わないでください」

穂乃果「鬼! 悪魔! ふぁぁぁん!」シクシク

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・






花陽「あはは、期待されちゃってるね」

凛「これは失敗できないにゃー」

真姫「も、もう/// 面倒な人達っ///」プイッ


ことり「ふふ。チョコはどんな感じになってきたかな」



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凛「すごいよ! ことりちゃんの言う通り、ちゃんとかき混ぜたら綺麗なチョコの色になった! ミルクとチョコのいい匂いがする!」

花陽「うん! トローンとしてます」

ことり「全体的にとろんちょになって、艶のある茶色になったら混ぜるのは終わり」

真姫「もう、既においしそうね」トローン

ことり「それが、ガナッシュクリームっていう状態だよ」

ことり「ちなみに、ここで、洋酒を小さじ一杯入れると大人な味になるよ」

花陽「お酒・・・? でも、私達、未成年だよ?」

ことり「少しだけだから、料理酒みたいなものだと考えていいと思うけど。でも、気になるなら今回は入れないようにしよっか」




凛「・・・・」

凛「・・・・」

凛「・・・・」ウズウズ

凛「・・・・」キョロキョロ

凛「・・・・」コソッ

ペロッ

凛「・・・・・!」パァ



真姫「凛・・・。あなた、ガナッシュクリーム舐めたでしょ」

凛「えっ?! し、してないよっ?!」ブンブン

真姫「口元にチョコ付いてるんだけど」

凛「ふにゃあ!//」ゴシゴシ

ことり「あははっ。味見も大切だよっ♪ ことりにもちょっとちょーだい」ヒョイ, ペロ

凛「あっ、ことりちゃん。ど、どうかな・・・? 凛、失敗してない・・・?」

ことり「大丈夫♪ いい感じだよ♪」

花陽「こ、ことりちゃん! 花陽のも味見してくださいっ」

真姫「・・・・私のも、お願い」

凛「任せるにゃ!」ヒョイ, ペロ

真姫「ちょっと! 凛、あなたじゃないわよっ!」

凛「んー・・・・。ちょっと苦い・・・けど、おしいよ!!」ニコッ

真姫「っ?!// マッタクー、しょうがないわねー」

ことり「それじゃ、ことりも失礼して。んー・・・」ペロ ペロ

ことり「みんな大丈夫だよ♪ おいしかった。順調、順調」

花陽「良かった・・・です」ホッ

真姫「当然ね」

ことり「それじゃあ、次にガナッシュクリームを、ラップを敷いたトレーに流し込みましょう」



トローン

ことり「パレットナイフを使って、平らに均一に伸ばしてね」

花陽「わあ。ツヤツヤして綺麗」

ことり「上手にできている証拠だよ。トレーに入れ終わったら、冷蔵庫で一日冷まします」

ことり「続きは明日だから、後片付けしよっか」

花陽「はいっ。ああ、手に結構チョコが付いちゃった」

凛「凛が取ってあげる!」ペロペロ チュパ

花陽「ぴゃ/// 凛ちゃん・・・///」

真姫「普通に水道で洗いなさいよ。小学生じゃあるまいし」ジャー

凛「ああっ。真姫ちゃんの指もペロペロしたかった」

真姫「結構よ」

ことり「うふふ。お湯を使うとチョコが落ちやすいよ」




---------------
翌日


ことり「さて、そろそろガナッシュクリームが冷え固まって取り出してもいい頃だね。見てみよっか」

パカッ

花陽「わっ。昨日はあんなにトロっとしてたのに、固まってる」

凛「ホントだ」

ことり「柔らかさはどう?」

花陽「プニっとしてます」プニッ

ことり「どれどれ」プニプニ

花陽「あ・・・えっ・・・あの・・・」

ことり「おお!! なんという素晴らしいぷにぷに感! こんなの初めてです!!」プニプニプニプニ

凛「それはかよちんのほっぺたです」プニプニプニプニプ

花陽「うぅ、ぷにぷにしないでー・・・・」


真姫「・・・・それで? このガナッシュは成功なの? 失敗なの?」

ことり「大成功だよ! チョコを溶かす温度が高すぎだったり、混ぜ方が弱かったり、材料が悪かったり、分量を間違ってたりしたら、ちゃんと固まらず失敗しちゃってた所だったけど、今回は大丈夫だったね」

ことり「それと、逆に固すぎたら、もう一度溶かして生クリームを足すんだけど、このくらいの柔らかさだったら必要なさそうだね」

ことり「それじゃあ、ラップを持ち上げて、ガナッシュをトレーから取り出して」

ことり「包丁を使って一口サイズに切りましょう。包丁はお湯で温めておくことで、綺麗に切れるようになるよ」

凛「本当だ。軽い力で包丁が入って、なんだか気持ちいい」スッ、スッ

ことり「切り終えたら、手を使って丸めるよ」

ことり「だけど、ガナッシュは体温で溶けちゃうから、手は事前に氷水に付けて冷やしておこうね」

チャプ

凛「ちめたい・・・」ブルッ

ことり「我慢、我慢♪」


ことり「手を冷やしたら、ガナッシュを丸めてみよう」

コネコネ

真姫「このガナッシュの感触、なんか良いわね」コネコネ

花陽「触っているだけで楽しいかも」コネコネ

凛「むー・・・。上手く丸められないよお・・・」コネコネ

ことり「凛ちゃん、そんなに気にしなくてもいいよ。トリフチョコって世界三大珍味のきのこのトリフみたいな形だからそう言うの。トリフって結構ごつごつした丸い形だから、綺麗に丸めない方が、実は正しい形なんだよ」

凛「へー、そうなんだ」

凛「そうだっ! どうせならすっごく大きな奴作ってみよう!」コネコネ


コネコネ

コネコネ

真姫「ちょっと凛・・・。大きすぎ。それじゃあ、おにぎりみたいじゃない」

凛「えっへん。贅沢チョコボールにゃ」

花陽「おにぎり・・・!?」ピキーン

真姫「花陽? 貴女、まさか・・・」

花陽「おにぎりおにぎりおにぎり」コネコネコネコネ

真姫「ヴェェェ....。す、素早い・・・。本当にやったわね・・・」

凛「さすがかよちん!」

ことり「あははっ。丸めの三角形で本当におにぎりみたい♪ ホワイトチョコレートをベースにしてたら、もっとリアリティ出てたかも」

花陽「えへへ//」ウットリ

ことり「好きな形にできて楽しいよね。あっ、そうだ。家からクッキーの抜き型いくつか持ってきてたんだった。よかったら使ってみて」

真姫「ありがとう。へぇ、色々な形があるのね。犬、星、ダイヤ。それと、これは雪の結晶かしら? オシャレね」


真姫(あっ、これは・・・・・)

真姫(・・・よしっ)コソコソ

凛「真姫ちゃんはどんな形にしているの?」ノゾキ

真姫「ちょっと! ミナイデヨ!」

凛「ハート型だ! かわいい!!」

ことり「や~ん♪ 真姫ちゃん、お・と・め☆」

真姫「うぇぇ///」

花陽「誰にあげるの??」ドキドキ

真姫「べ、別に/// 自分用よ!」

ことり「ふふふ♪」

凛「よ~し。凛は星空だから、星作ろうっと。ことりちゃん、星型の抜き型借りるね」

ことり「どうぞー」




---------------

ことり「みんな、ガナッシュの形作りは終わったね」

ことり「それじゃ、とりあえず、ガナッシュは冷蔵庫に入れておいて」

ことり「トリフチョコの外側用のチョコをテンパリングして作りましょう」

花陽「テンパリングって?」

ことり「一度溶かしたチョコを固めるときにやる作業のこと。温度を調整しながら混ぜ込むから、調温とも言うよ。これをやらないとチョコが綺麗に固まらないんだ」

真姫「へえ・・・・。ただ単に溶かして冷やして固めるんじゃだめなのね。奥が深いのね、チョコって」

ことり「うん。その温度変化させる流れを説明すると―――」


1.チョコをボールに入れて湯せんで40℃まで温めて溶かす。
2.ボールを冷水につけて、チョコを26℃まで冷ます。
3.もう一度湯せんしてチョコを30℃まで温める。


ことり「一つ一つの工程ではチョコ全体の温度と油分を均一にするために、しっかりゴムべらでかき混ぜつつ、慎重に温度調整する必要があるよ。温度が高すぎたり低すぎたり温度変化が急すぎると、上手くいかないからね」

ことり「だから、温度を小まめに知るために温度計を使うのが一般的。非接触の温度計だとやりやすいね」

ことり「それと、室温は20℃前後くらいがいいかな」

ことり「ちなみに、調整する温度は、チョコに含まれるカカオの含有量で変える必要があるよ。適切な温度より低かったり、高かったりすると失敗しちゃう。後、作業時間も大事。長すぎてもダメだし、短すぎてもダメ」

真姫「随分ややこしいわね」

凛「難しそう・・・・」

ことり「そうだね。テンパリングはパティシエの人以外はあんまりやらないかもね。それに、結構手間がかかるから、お店ではテンパリング専用の機械を使ってそれで自動的にやることが多いみたい」

花陽「その作業をしないで、ただ溶かして冷やし固めたらどうなるの?」

ことり「カカオに含まれる脂肪が綺麗に結晶化しなくなるの。具体的にどうなるかというと、固めた時に艶がなくなったり、変な白い模様ができちゃったりで、見た目が悪くなっちゃう」


真姫「なるほど。何にしても、難しそうね。私達にできるかしら・・・・」

凛「・・・・」

花陽「・・・・」

ことり「だから、どうしよっか。今回はテンパリングは無しにする? 単純に溶かしたチョコをガナッシュに塗って、ココアパウダーをまぶして完成させる方法もあるけど」

凛「・・・・やだ」

ことり「凛ちゃん?」

凛「やだやだ! 凛は最後までちゃんとやりたい! がんばりたい!」

花陽「・・・うん! ここまできたら妥協したくないよね!」

真姫「散水」

ことり「その意気だよ! ことりもゆっくり教えるから、がんばって挑戦してみよう。テンパリングはちゃんとやれば、見た目が良くなるだけじゃなくて、舌触りがなめらかになっておいしくなるよ」

真姫「分かったわ。とにかく温度調整が大事なのよね。とりあえず、エアコンの設定温度を20℃にするわ」ピッ

真姫「後は、温度計あったかしら・・・」

ことり「真姫ちゃん。今回はことり流のテンパリングをやってみるから、温度計は無くてもいいかなって思ってるの」

真姫「あら、そうなの」


ことり「それじゃあ、やってみよ。まずは、湯せんで使うお湯を鍋で沸かします。お湯の温度は50度くらいにします。あったかい缶コーヒーの温度も50℃くらいだから、唇に付けて飲めるくらいの温度だね。強火にすればすぐだよ」

フツフツ

凛「小さい泡がちょっと出るくらいまで温まったよ。一瞬だったら指で触れるくらいの熱さ」

ことり「うん。お湯はそれでいいかな。火を止めて。次に、そのお湯に空のボールを浸して、1~2分そのままにしてボール自体を温めます。ボールの中にお湯が入ったらダメだから、作業性を考えて、なるべく大き目のボールを使いましょう」

ことり「ボールが温まったら、その中に昨日と同じタブレットタイプのクーベルチュールチョコレートを300グラム入れます。ゴムべらでかき混ぜながら溶かしましょう」



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真姫「板チョコ6枚分ね。結構使うのね」

ことり「トリフチョコに全部は使わないかも知れないけど、量が少ないと上手くテンパリングできないからね。最低でも300グラムはあった方がいいよ」

ことり「余ったら、牛乳と合わせてチョコレートフォンデュにしよっか」

花陽「チョコレートフォンデュ! 私、それ好きです!」

真姫「花陽。分かってると思うけど、チョコレートフォンデュっていうのはパンや果物を浸して食べる物だからね」

花陽「も、もちろんです!」

ことり「そのまま食べてもおいしいよ♪」

花陽「え、えへへっ。ことりちゃん、次はどうすれば?」アセアセ


ことり「ボールの中のチョコをゴムべらでかき混ぜて溶かします」

真姫「量が結構あるから、全部溶かすのは大変そうね」

真姫「電子レンジで一気に温めて溶かしたらだめなの? 板チョコ使った場合でも刻む手間が省けるような気がしてよさそうけど」

ことり「それでもいいよ。部屋で湯せんするとどうしても、空気中の湿気がチョコに入っちゃって良くないから、そういった意味では電子レンジの方がいいかも」

ことり「でも、電子レンジは温めすぎちゃう可能性があるの。温めすぎるとチョコが冷えても固まらなくなったり、最悪焦げるから、あまりお勧めしないよ」

真姫「へえ。チョコは温めすぎるとダメになるのね」

ことり「うん。特にテンパリングは慎重に温度を調整する必要があるからね」

ことり「さて、湯せんしてるチョコの方は溶けてきた?」

ザラザラ・・・・サラサラ
トロー・・・

凛「結構溶けてきたかも」

ことり「チョコの原型が完全になくなるまでかき混ぜ続けてね。残っている粒をボールの内壁に押しつけるように混ぜると溶けやすいよ」

混ぜ混ぜ

混ぜ混ぜ


ドローン



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ことり「うん、そろそろいいかな。チョコの入ったボールをお湯から離して」

ことり「別の容器に水道水を張って、そこにボールを浸します」

ことり「ここでまた、溶けたチョコをゴムべらでしっかりかき混ぜましょう。かき混ぜる時はさっきと同じように、ボールの中に水が入らないよう十分注意してね。水が入っちゃうと失敗だから散水しちゃだめだよ」

真姫「・・・・? なんで私の方を見てるの?」


凛「どれくらいかき混ぜ続けていればいいの?」

ことり「ゴムべらを動かすのに必要な力がちょっと強くなったかな? って感じるまで」

真姫「結構アバウトな指標ね。大丈夫かしら・・・」

ことり「ずっと同じようなかき混ぜ方をしてれば、なんとなく分かるよ。ちょっとゴムべら貸して」

真姫「ええ」

ことり「凛ちゃんと花陽ちゃんもちょっと見てて。テンパリングでは、しっかりとかき混ぜて、チョコ内部の油分と温度を均一にすることが大事なの」

ことり「こんな風に、ゴムべらは、なるべくボールの端の円周に沿うように動かして、かつボール自体も、ゴムべらとは逆方向に回転させるように―――」


グルッ グルッ―――

グルン グルン グルン


凛「おおっ、カッコイイ!」

花陽「す、すごいです・・・。素早く、それでいて危なげない手つき」

真姫「本当に手慣れているわね。パティシエみたい」

ことり「そ、そんなことないよぉ///」テレテレ

ことり「さ、みんな、こんな感じでやってみよう。チョコをこぼさないようゆっくりでもいいよ」

クルン クルン

ことり「うんうん。そんな感じ」




---------------

花陽「ん・・・? ちょっとチョコの粘度が高くなったような・・・? それにチョコの色の艶が少し弱くなった気もします」

ことり「うん。それくらいでいいよ。一応、これでテンパリングは終わり」

ことり「だけど、最後に少しだけチョコの温度を上げるよ。今の状態だとすぐに固まっちゃって、扱いにくいからね」

ことり「温度の上げ方はさっき沸かしたお湯にもう一度ボールを浸して、その状態でチョコを10秒くらいかき混ぜて」

グルグル

ことり「これでチョコの温度が大体30℃くらいになっているはず」

真姫「本当に微妙な調整が必要な作業なのね。テンパリングって」

ことり「うん、そうだね。だから失敗するのも珍しくないから最後にテンパリングが成功したかどうか確認するね」

ことり「確認の仕方は、どこか平らで水気の無い所に少しだけチョコを垂らして、それで1~2分程度で艶のある固まり方をしたら成功だよ」

花陽「平らで水気の無い所かあ。ここに垂らしてみるね」

タラーン

ことり「・・・・・・・・・・・・」

凛「上手くいってるかなあ・・・」ドキドキ



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ことり「うん、水っぽい光沢が無くなって綺麗に固まったね。これでもし5分以上も固まらなければ、やり直しが必要だったけど、今回は成功したね」

凛「やったあ!」

真姫「テンパリングってすごくややこしい作業かと思ってたけど、案外なんとかなるものね」

ことり「えへへ。実は今回のことり流なんちゃってテンパリング術の成功率は50%くらいかなと思ってたけど、上手くいってよかった」

真姫「成功率50%・・・?」

ことり「プロのパティシエじゃない人は、感覚に頼らずにちゃんと温度計を使おうね☆」

真姫「まあ・・・。上手くいったから深く追求はしないわ・・・」

ことり「それでは、次にテンパリングしたチョコを、さっき形を作ったガナッシュに垂らしましょう」

トロトローン

ことり「そしたら冷蔵庫で30分冷やしましょう」


バタン


ことり「これで冷え固まったら、一応はトリフチョコの完成なんだけど、やっぱり模様があった方がいいと思うから、冷やしている間に、コルネを作ろうっか」

凛「コルネ?」

ことり「デコレーションに使う道具のことだよ。簡単に言えばチョコペンのことかな」

真姫「道具まで手作りしちゃうのね」

ことり「ふふ、面白いでしょ」

ことり「まずは水を通しにくいクッキングペーパーを用意します」

ことり「三角形に切って、底辺の中心を先端にして、円錐状にくるくるって丸めて、口が大きい方を少し折り返して、テープで形を固定します」



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ことり「ね、簡単でしょ?」

花陽「はい、折り紙みたいで楽しいです」オリオリ

ことり「次はデコレーション用のホワイトチョコレート。これは湯せんで溶かすだけでいいよ。固まったら使えないから、お湯に浸したままにしておこうね」

ことり「この溶かしたホワイトチョコレートをさっき作ったコルネに入れて、チョコペンみたいに使って模様を付けられるよ」

ことり「それじゃ、後は冷蔵庫のトリフチョコ本体が固まるのを待とうね。ちょっと一息入れましょう」



花陽「ふう・・・」

真姫「それにしても、ことり。本当にお菓子作りに詳しいのね。どうやって勉強したの?」

ことり「大したことはしてないよ。本を読んだり、インターネットで調べたり。あっ、でも一番勉強になったのは、ケーキ屋さんの店員さんに教えてもらったときかな。やっぱりプロの職人さんから直接話を聞くのが一番だよ」

凛「ことりちゃん、弟子入りしたの?」

ことり「そこまでじゃないよお。ケーキを買ったついでに、ちょっと教えてもらうの」

真姫「へえ、親切なケーキ屋なのね」

ことり「うん、そうなの。個人経営の小さなお店なんだけど、それだけ地域密着って感じだから、聞きに行くたびにいつも親身になって教えてくれたよ」

花陽「穂乃果ちゃんのお家みたいな感じ?」

ことり「うんっ! それが最も的確な例えかも♪」

真姫「なるほどねえ。納得したわ。私達も以前、穂むらで和菓子の作り方教えてもらったわよね」

花陽「うんうん。覚えてるよ。あの時はすごく綺麗な和菓子ができて感動したよね」

凛「凛も覚えてる! がんばって作ったにゃ!」

ことり「ことりもあの時は楽しかったよ」

ことり「・・・・最近はなんでもスーパーで買えちゃうけど・・・。お菓子を売る以外に、穂乃果ちゃんのお家みたいなお店でしかできないことって、たくさんあると思うんだ」

真姫「そうね。街にあるそういったお店は大事にしたいわね。私も積極的に利用するわ」




---------------

真姫「30分経ったわ。もういいんじゃない?」

ことり「そうだね。トリフの外側のチョコは固まってるかな?」

チョン

真姫「ええ。指で触っても、チョコが付かないわ」

ことり「うん、しっかり固まってるね。それじゃあ最後にデコレーションですっ」

凛「どんな感じでやったらいーい?」

ことり「ちょっとだけことりがやってみるね」

ことり「コルネにさっき溶かしたホワイトチョコレートを入れて、縞々の模様をつけたり」シャシャ



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ことり「こんな風に、絵を描いても面白いよ」ニュルニュル

ことり「それと、粉砂糖を振りかけたり、金箔をちりばめると高級感が出るよ」パラパラ



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※この後、スタッフがほのわんペロペロしました。




花陽「ほわあ・・・。綺麗・・・」ウットリ

ことり「おいしいお菓子にするには、見た目を良くすることも大事なんだよ♪」

凛「す、すごいにゃあ・・・。お店で売ってるみたい・・・」

真姫「い、いや・・・。それ以上よ・・・。五つ星ホテルのデザートに出てくるチョコレートじゃないのこれ? ことり、家でパティシエとして働かない?」

ことり「ふぇぇえっ?!/// 大げさだよぉ///」テレテレ

ことり「それにこのチョコレートはみんなが作ってきたやつだよっ。さ、続きやってみよ」

凛「よーし! 凛も綺麗なチョコにしたい!」

真姫「私は真姫ちゃんらしく気品溢れるチョコにしたいわね」

花陽「がんばりますっ!」

ことり「うん! あ、そうそう。コルネから出したホワイトチョコレートは、結構早く固まっちゃうから、慎重にね」

ニュー、ヌリヌリ
サッサッ
フリフリ


花陽「む~・・・」ヌリヌリ

ことり「わあ♪ 猫さんだ!」

花陽「えへへ。凛ちゃんをイメージしたの」

凛「かよちん///」テレテレ

真姫「へえ、チョコが丸いから、それが凛の髪型っぽいわね。花陽やるじゃない。器用ね」

花陽「えへへ。私、絵を描くのが好きだから」

真姫「まあ、でも、今のネコはにこちゃんだけど」


真姫(にこちゃん・・・か。私が作ったチョコ食べたら、なんて言うかしら・・?)


ヒョコ  希「ちなみに、猫にチョコは毒だからあげたらだめなんよ」

真姫「の、希っ?! なによ! にこちゃんには関係ないでしょ?!」

希「ウチは豆知識を独り言しただけで、にこっちの話なんてしとらんやん」ニヤニヤ

真姫「~~~っ!?///」グニャ

真姫「あっ、変に力入れちゃってトリフチョコの形崩れちゃった」

真姫「まあいいや、捨てるのもったいないし、これはお父さんにあげましょ」ポイッ

花陽「ま、真姫ちゃん・・・」

凛「あっ、粉砂糖と間違えてお塩振りかけちゃった。まぁいいや、捨てるのもったいないしこれはお父さんにあげちゃお」ポイッ

花陽「凛ちゃん・・・」

ことり「あ、あはは・・・」




---------------

凛「ふう・・・。凛は全部デコレーションしたよ」

真姫「私も。こんなところかしら」

花陽「こ、ことりちゃん・・・。どうかな・・・?」

ことり「はい。これで完成です。みんな、お疲れ様でした♪」

真姫「結構大変だった。でも、なんだか充足感あるわ」


花陽「うん! すごく勉強になったし、楽しかったよね」

凛「ね、ねえ。食べてみてもいいよね?」

ことり「そうだね。早速試食しよっか」

花陽「うぅ! ようやくここまで来れました! どきどきです」

凛「初めてのチョコ作り。おいしくできてるかな・・・」

真姫「そうね・・・。それじゃあ・・・」

まきりんぱな「「「いただきます」」」パクッ


もぐもぐ


ことり「おいしい?」

真姫「・・・・」モグモグ

花陽「・・・・」モグモグ

凛「・・・・・」モグモグ

ゴクン

ことり「どう? どう?」

真姫「・・・・・・・・・」

真姫「・・・・ちょっと信じられないわね・・・。色々と」

ことり「ふぇ?」

真姫「口に入れた瞬間は、確かに歯ごたえのあるチョコなんだけど、それを噛んだ瞬間に、中のガナッシュが溶けて・・・」

花陽「すごく甘くていい香りが、あっという間に口の中で広がったんです・・・。それに、この食感・・・たまりません。信じられない程のおいしさです・・・!」

ことり「おいしかったんだ。良かったね! みんな♪」

凛「うん・・・。今まで食べたお菓子の中で最高だにゃあ・・・。凛、お料理苦手なのに、こんなに綺麗に作れて・・・。これ、本当に凛が作ったのかな? なんだか涙が・・・」ウルッ

ことり「わわ、凛ちゃん、大げさだよお。がんばって作ってたんだから、当然のことだよ」ヨシヨシ

凛「ことりちゃん、嬉しいよお! ありがとうー!」

ことり「うんうん♪ せっかくだし、他の人と食べさせあいっこしない?」

凛「それはいい考えだにゃ! かよちんのチョコおいしそうだし!」

花陽「ありがとう♪ 凛ちゃんおひとつどうぞ。あーん、して」スッ

凛「ありがとにゃ! あ~」

凛「んっ」パクッ モグモグ

花陽「どうかな・・・?」ドキドキ

凛「うん! かよちんの味がする!」

花陽「そ、そう? えへへ///」テレテレ

凛「はいっ! かよちんも、あ~ん」スッ

花陽「あ~・・・んっ」パクッ, モグモグ

凛「どう? どう?」

花陽「えへへっ。凛ちゃんの元気な味がするよ」

凛「かよち~ん///」

凛「真姫ちゃんも、凛のチョコ召し上がれっ。あーん」スッ

真姫「えっ?! わ、私はいいわよ・・・」

凛「いらないの・・・?」シュン...



真姫「うっ・・・。しょ、しょうがないわねー! んっ!」パクッ

凛「真姫ちゃん!」パァ

真姫「んぐんぐ」モグモグ

凛「どうかな? どうかな?」ドキドキ

真姫「そうね・・・。バニラの香りが良いアクセントになってるわね。でも、ちょっと甘すぎるかしら?」

凛「そうなんだ・・・」シュン...

真姫「あっ、ちがっ。おいしくないってことじゃないの! わ、私はたまたまビターなチョコを作っていたから、口の中がたまたま苦いのに慣れていただけだからっ。だから、その・・・」オロオロ

真姫「とにかく凛のチョコはすごくおしかったんだから!!」アセアセ

凛「真姫ちゃん・・・!」パァ

凛「真姫ちゃん、真姫ちゃん、真姫ちゃん、まっきちゃーんっ!!」ダキッ, スリスリスリスリスリ

真姫「ゔぇぇ!?」

花陽「真姫ちゃん」

真姫「花陽? どうしたの」

花陽「あ~・・・」

真姫「は、はなよ・・・? どうしたの、口開けて・・・?」

凛「分かるでしょ、真姫ちゃん! ほらほら」

真姫「や、やらないわよ・・・///」アセアセ

花陽「うぅ・・・」ウルウル

凛「真姫ちゃん、ひどい・・・」

真姫「ぐっ。・・・・しょ、しょうがないわねー! ほら! あーん、しなさい!」スッ

花陽「真姫ちゃん♪ あ~・・・・んっ」パクッ, モグモグ

真姫「ど、どうかしら・・・?」ドキドキ

花陽「うん! 大人な味。真姫ちゃん! って感じだよ。すごく美味しい、ですっ!!」グッ

真姫「そ、そう・・・/// 当然ね」

凛「凛もっ! 凛にもちょうだいっ!」ピョンピョン

真姫「うっ、わ、分かったわよ。ほら、あーん」スッ

凛「あ~・・・んっ」パクッ

真姫「お、おいしいでしょ・・・?」カミノケクルクル

凛「んー・・・」ングング ゴクン

凛「真姫ちゃん、真姫ちゃん、真姫ちゃん、まきちゃーん!!」スリスリスリスリ

真姫「ゔぇぇ//」

真姫「もういいでしょ、凛・・・。そろそろ離してよ・・・」

凛「やーだ」ギュー

真姫「もう・・・・///」メソラシ, カミノケクルクル

花陽「ふふ。三人とも違う味で、おいしいね♪」


凛「うんっ!! それじゃあ、早速みんなに食べてもらおうよ!」


ドタドタ!


絵里「遂に!」

にこ「食べられるのね」

真姫「どっから湧いてきたのよあなたたち・・・」


ことり「あれ? 穂乃果ちゃんは?」

希「海未ちゃんがどっかに連れて行ったで」

ことり「そ、そっか・・・あはは」

絵里「そんなのいいじゃない。さ、凛、食べてもいいかしら?」ワクワク

凛「うん! 食べて食べてっ」

絵里「うーん! すごくおいしそうだわ!」ヒョイ

ことり「ふふ、一番楽しい瞬間だね―――あっ! 待って!」

絵里「えっ?」ピタッ

凛「どうしたの?」

ことり「ねえ、みんなぁ。大事な事忘れてなぁい?」ニコニコ

まきりんぱな「?」

ことり「今まで作ってたのはぁ~、バレンタインチョコなんだよぉ~? バレンタインチョコってぇ~、好きな人にあげるんだよぉ~?」ニコニコ

花陽「うん・・・?」

凛「凛はμ’sのみんなのこと、だーいすきだよ?」

ことり「そうじゃなくって! 好きな人にあげるんだよ。恋愛的な意味を込めてね♪」

真姫「っ///」ピクッ

花陽「恋愛・・・///」ソワソワ

凛「・・・・恋愛?」キョトン

にこ「ちょっと、ちょっと、ことり。何言ってんのよ、あんた。アイドルは恋愛禁止なんだからね」

ことり「分かってますっ。だから、今は、ごっこをしようよ」

にこ「ごっこ・・・・・? どういうこと?」

ことり「恋愛ごっこ! 具体的に言うと、チョコを食べたい人がアピールをして、チョコを作った人を好きにさせることができたら、チョコを食べられるゲーム♪」

にこ「ああ、ゲームなのね。要は私と絵里があんたたちを萌えさせればいいんでしょ。アイドルとしては重要なスキルだし、まあ、それだったらいいんじゃないの? いいトレーニングにもなりそうだし」

ことり「ありがとう、にこちゃん! さぁ、みんな! 部長の許可ももらったし、やってみよう!」

花陽「ふ、ふぇぇ/// 恥ずかしい///」

真姫「ふーん。面白そうじゃない」カミノケクルクル


凛「えっと・・・? ごめん・・・凛、ちょっとよく分からなかった・・・」

ことり「そう? それじゃあ、とりあえず私が実演してみよっか」

ことり「真姫ちゃん、ちょっといい?」

真姫「私? 別にいいけど」

真姫「でも、言っておくけど、私、そんなに軽い女じゃないから。誰も私のチョコは食べられないかもね」フフン



ことり「あっ、シャツのボタン取れかけてます」ズイッ

真姫「えっ、ちょ、ことり・・・?///」ドキッ

ことり「付けるから動かないでくださいね?」

真姫「え、ええ/// お願い///」メソラシ

ことり「~♪」

真姫「っ///」(こ、ことり・・・)チラッ

ことり「ん?」

真姫(あっ、目が合った・・・)

ことり「えへへっ」ニコッ

真姫「っ!///」メソラシ

ことり「はいっ。ボタン、付けましたよ♪」

真姫「あ、ありがと///」

ことり「あっ、おいしそうなチョコですね。食べてもいいですか?」ニッコリ クビカシゲ

真姫「っ!!!///」チョローン

真姫「・・・一個だけよ」ボソッ

ことり「ありがとっ♪」パクッ, モグモグ

ことり「うん♪ コーヒーが効いてて、風味がいい! おいしい♪」



にこ「ほほう。スムーズに気遣い、かつ献身的になって、さりげなく微笑みかける。自然な流れでチョコをゲットしたわね。ふん。ことり、なかなか分かってるじゃない」

希「さすがやね、ことりちゃん。なんたって、伝説のメイドさんやもんね」

花陽「すごいです! 完璧です! パーフェクトです! 参考になりますっ!」

凛「真姫ちゃん、ちょろいにゃー」

絵里「様式美ね」

真姫「くっ・・・!」ワナワナ

ことり「ふふ♪ こんな感じで上手にアピールできた人が食べられるの♪ 凛ちゃん、できそう?」

凛「うん! 面白そう!」

絵里「ええ、私もよく分かったわ。そういう訳で、凛。いいかしら?」

凛「絵里ちゃんが、凛のチョコ食べたいの? よしっ! バッチこいにゃー!」

絵里「任せなさい。凛を惚れさせるなんて楽勝よ。私のナンパで息の根を止めてあげるっ☆」

希(あ、これダメなやつやな)



絵里「凛。こちらへいらっしゃい」

凛「うん」トト

絵里「リボンが曲がってるわ。直してあげる。全くなっていないわね」

凛「え、うん。ありがとう」

絵里「ふふ。あら、おいしそうなチョコがあるじゃない。頂くわね」スッ

凛「え? ダメだよ」ブロック

絵里「え・・・?」

凛「え・・・? って。今ので終わり?」

絵里「そうだけど」

凛「そうなの? ぜっんぜん、これっぽちも、何とも思わなかったにゃ。だからダメ」

絵里「ど、どうして?」

凛「さあ?」

絵里「そ、そんな~。のぞみ~・・・」シクシク


希「はぁ・・・。そんなん知らんわ、ぽんこつ」

にこ「あのね、絵里・・・。展開が急すぎるのよ。せっかくの王道のセリフを全く活かせてない。単純すぎ。もっと雰囲気を作ってからじゃなきゃだめね」

花陽「最近同じようなセリフを聞いたことがあったような・・・?」

真姫「っていうか、流れがほとんど、ことりの丸パクリじゃない。オリジナリティがないのよ」

ことり「あはは・・・。恋愛映画で寝ちゃう凛ちゃんを相手にするのは難易度が高かったかも・・・」


絵里「うう、猛烈なダメだし・・・」ガックシ

ことり「ん~・・・。ねえねえ、絵里ちゃん、絵里ちゃん。希ちゃんと二人っきりの事を思い出しながら、凛ちゃんに言葉を掛けてあげてみたらどうかな?」ニコニコ

希「えっ、ちょ、こ、ことりちゃん?! 何言っとん?!」アセアセ

絵里「希と二人っきりの時? ふむ・・・。あ、そういえばあれがあったわ」

希「あれ・・・?」

絵里「ことり、ありがとう。やってみる」グッ

希(絵里ち~・・・・。変な事やらんといてよぉ・・・?)ヒヤヒヤ

絵里「凛。これ、プレゼント」

凛「わ、ネックレス? 可愛い!」

絵里「ええ。キルトを指して作ったの」

にこ「え?! うそっ。それ手作りなの?」

ことり「すごい・・・・。繊細で鮮やかで、色とりどりのお花がたくさん。お店でもそんなにきめ細かいのは、なかなか置いてないよ」

希「ことりちゃんがそう言うんなら、相当なモンやろうね。ウチの素人目にも、すごく綺麗に見えるし」

絵里「ふふ。本当は希に付けてあげようかと思ってたんだけど、明るい色をたくさん使っちゃったから、希には少し派手かなって。だけど、凛なら似合いそうでしょ」

真姫「そうね。凛みたいに活発な子には結構合うかもね」

花陽「うんうん! 凛ちゃん、絶対似合うよ!」


凛「そ、そうかな? で、でも・・・・。凛、女の子っぽくないし・・・。こんなにたくさんのお花は凛には可愛すぎるような気もする・・・」

花陽「そんなこt 絵里「そんなことないわ」ギュ

花陽「へ・・・?」ボーゼン

凛「え、えりちゃん?」

絵里「ほら、貸して。付けてあげる。後ろ向いて」

凛「う、うん」

絵里「ふふ♪」

凛「うう/// なんか、くすぐったい・・・///」モジモジ

絵里「―――可愛いうなじね・・・・♪」チュ

凛「ひゃ! え、えりちゃん?」ドキッ

絵里「付けたわよ」

凛「あ、ありがとう。どんな感じかな?」

絵里「スマホで写真を撮って見てみましょうか」スッ

凛「う、うん・・・」

絵里「さ、あっち向いて」ギュ

凛「ひゃ//」

凛(絵里ちゃん・・・。凛の後ろから、凛のお腹を片手で抱きしめて、もう片方の手を伸ばしてスマホを構えてる・・・。そして、背の低い凛に合わせて少し屈んで、顎を凛の肩の上に乗っけて・・・。近いよ///)ドキドキ

絵里「あら?」スンスン

凛「えりちゃん?」

絵里「凛、いい匂い。私が好きな香りね」頬スリスリ

凛「へっ// そ、それは・・・チョコ作ってて・・・えっと・・・絵里ちゃんも知ってるでしょ///」シドロモドロ

絵里「あら、ホント。口の端にちょっとチョコが付いてるわよ」

凛「えぇ!? は、はずかしい・・・・///」モジモジ

絵里「ンフ」ペロッ

凛「にゃ!///」ビクッ

パシャ

凛「・・・・えっ! 今ので撮っちゃったの?! 凛、絶対変な顔してるよー・・・」

絵里「そうかしら」スッスッ

絵里「ねえ、この写真見て」

凛(わわ/// 凛、絵里ちゃんとくっついてる・・・・//)

絵里「恥ずかしそうに顔を赤らめて、お花のネックレスを付けている、小柄で可愛らしい子。おまけに、チョコの甘い香りもする。これのどこが女の子っぽくないのかしら?」キリッ

凛「うぅ・・・・///」

凛「その、あの・・・。ネックレス・・・ありがとう、絵里ちゃん///」

絵里「ふふ、どういたしまして。やっぱり、このネックレス、凛に似合うわね。似合わない訳がないわ」

絵里「だって、一糸、一糸、凛の事を考えながら私が丹精込めて編んでいったんだもの」イケボチカ

凛「そ、そうにゃんだ・・・///」テレテレ



真姫「エリー・・・。貴女さっき、最初は希のためにって言ってなかった?」

ことり「まあまあ♪」





絵里「この写真、待ち受けにしておくわね」

凛「ええっ! や、やめてよ~・・・。恥ずかしい・・・」

絵里「だって、こんなに可愛いんだもの。毎日でも見ていたいわ」

凛「いじわるぅぅ・・・///」モジモジ

絵里「ウフフ。あら、これが凛の作ったチョコね。どれも可愛らしいわ。さすが凛ね」

凛「えっと、そ、そうかな・・・? 綺麗に丸められなかったのもあったりするんだけど・・・」

絵里「そんなことないわよ。どれも味のある形をしているわよ」

絵里「ねえ、凛。私を惚れさせるために作った媚薬入りのチョコはどれかしら?」

凛「そ、そんなのないよお///」

絵里「きっとこの星形のチョコね」ヒョイ

凛「あっ」

絵里「なーに? 食べちゃダメなの? こんなにおいしそうなのに。可愛い凛の作った可愛いチョコ。食べたいわぁ。いいでしょ?」イケメンチカウィンク

凛「にゃ!/// あっ、えっと・・・あっ、う、うん/// こんなに素敵なネックレスももらっちゃたし/// だからっ、凛のチョコ・・・たくさんっ、たべてっ・・・くださいっ!///」

絵里「ふふっ。ありがとう♪ 頂きます」パクッ, モグモグ

凛「ど、どうかな?」

絵里「ん~♪ 凛のチョコはー。甘くて、おっいしっいな~♪」

凛「///」ウツムキ




花陽「わあ// 素敵でしたぁ///     そろそろ離れて」キッ

ことり「や~ん♪ かわいい♪ やっぱり凛ちゃんはネコさんだね♪」 

にこ「な、なんていうか・・・。言葉にならないわ・・・。ガチすぎて・・・」

真姫「希・・・エリー・・・。貴女達、二人の時はずっと、こんなことやってるわけ・・・?」

希「あーー!!/// もーー!!/// 絵里ちのばかぁああ! アホー!! うわーん!」←しゃがみガード

絵里「えっ? の、のぞみー、どうしたの?」オロオロ



真姫「やれやれ・・・。 で? 次はにこちゃん?」

にこ「私の出番ね!」ズイッ

にこ「大本命のスーパーアイドルにこにーの悩殺萌え萌えアピールを目ん玉かっぽじって良く見ていなさい、一年坊主共!」

凛「凛は坊主じゃないよ」

絵里「悩殺とか目ん玉かっぽじってとか言ってるいるのが、既にアイドルじゃなくておじさんっぽい」

真姫「まあ、とりあえず黙って見ててあげなさいよ」カミノケクルクル

希「期待してるで、オチ担当」

にこ「いちいち余計な言葉多いのよあんたたち! ・・・・まぁ、いいわ。今に吠え面かかせてやるんだからねっ!」

花陽「楽しみですっ・・・!」ワクワク

にこ「ちょっと待ってなさい」頭プニプニ←肉球手袋

にこ「あ、あれ・・・?」頭プニプニ←肉球手袋

花陽「にこちゃん? どうしたの?」

にこ「むむむ。花陽、ちょっと手、貸して」

花陽「は、はい。何をすればいいの?」

にこ「にこのリボン外して」

花陽「うん」シュル シュル


ファサ

花陽「これでいい?」

にこ「おっけー。ありがと」

にこ「コホン。それじゃいくわね」


・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
*・゜゚・*:.。..。.:*・゜・*:.。. .。.:*・゜゚・*・゜゚・*:.。..。.:*・゜・*:.。. .。.:*・゜゚・*

希「「え? なんなん? このキラキラと白ぼかしの背景」」

希「「んん? それと声にエコーもかかってるやん」」




にこ「「どうしたんですか~? こんな所に呼び出して~」」キョトン

にこ「「えっ? 渡す物があるんですか~? なんだろ~。どきどき」」

にこ「「わあ。チョコレート! にこ、お菓子好きなんです! いつも応援ありがとうございますっ!」」

にこ「「えっ? 応援じゃないって? そ、それじゃあ、そのチョコはもしかして・・・」」

にこ「「きゃあ! どぅめ、どぅめです~・・・。にこにーは、みんなのものだから・・・」」クネクネ




真姫「・・・・・」ジト目

希「・・・・」ジト目

絵里「・・・・」ジト目

ことり「「いいなあ、そのネックレス。凛ちゃんすごく似合ってるよ~」」マジマジ

凛「てへへ///」




にこ「「でも、実は・・・」」キリッ

にこ「「にこ・・・ううん、私って・・・。本当は、前からあなたの事が好きだったんです」」

にこ「「あっ・・・わ、私ったら・・・」」バッ ←顔を両手で覆う

にこ「「・・・ギャラクティックラブリーにこにこにこぷりてぃアイドルにこにこにーの私だけど・・・」」モジモジ


にこ「「・・・あなたの、その特別なチョコ・・・。すごく欲しい・・・」」

にこ「「だから、受け取っちゃおうかな・・・・?」」ウワメ


後ろ向いて、上半身振り返り、両手を後ろに前屈み
ネコミミ髪ファサ


にこ「「・・・なんてねっ! えへへ」」ニッコリ






凛「「希ちゃんも、凛のチョコ食べる?」」

希「「お、ええの? いっただきまーす」」パクッ, モグモグ

*・゜゚・*:.。..。.:*・゜・*:.。. .。.:*・゜゚・*・゜゚・*:.。..。.:*・゜・*:.。. .。.:*・゜゚・*
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・



希「おー! いけるやん!」

にこ「ちょっと! あんたたち! こっち見てなさいよ!」

真姫「気持ち悪い」カミノケクルクル

にこ「なんでよ! むきー!」ジタバタ

花陽「あはは・・・・。にこちゃん、花陽のチョコ食べる?」スッ

にこ「頂くわ」パクッ

にこ「んー! お店で売ってるやつより全然おいしいじゃない。もう一個頂戴」

花陽「えへへ、どうぞ」スッ


真姫(あっ・・・。な、なによっ。にこちゃん、花陽のチョコばっかり食べて・・・)


にこ「んぐんぐ・・・ゴクン。本当においしいわ。びっくりした」

花陽「たくさんあるから、良かったらこころちゃん達にもあげてください」

にこ「いいの? 絶対喜ぶわ、あの子達。ありがと」


真姫「! ・・・・・ダッタラ,ワタシノモ...」ボソボソ


花陽「あっ、でも、凛ちゃんが作ったチョコの方が甘くしてあるから、小さい子にはそっちの方がいいかも」

真姫「あっ・・・・・」シュン...

にこ「そうなの? 凛、ちょっともらって持って帰ってもいい?」

凛「いいよ~」

ことり「持ち帰るときは、途中で溶けちゃうといけないから、チョコを入れる箱に保冷剤を入れてね」

にこ「分かったわ。真姫ちゃん、帰る時保冷剤借りてもいい?」

真姫「え、あっ・・・。うん。いいわよ、あげるわよ」



絵里「ねえみんな、もうそろそろいいでしょ、好きなだけ食べたいわ」

ことり「チョコレートフォンデュも作ってあるんだよ。紅茶も淹れて、チョコお茶会しよっ♪」

凛「楽しそう!」

希「ええやん!」

絵里「賛成♪」

花陽「チョコレートフォンデュ! ごはんにかけたらおいしいかな?」ジュル

にこ「私はこれくらいでやめておくわ。おいしんだけど、お菓子の食べ過ぎは美容の大敵だからね」


真姫(にこちゃん・・・・・・・・・もういいわよ・・・。ふんっ)クスン


希(あらあら? 真姫ちゃん、にこっちにチョコあげるタイミング逃しちゃったんかな)

希(しゃーないなー。まあ、こんなこともあろうかと、仕込みは万全なんやけどね♪ 楽しみにしててね♪)







----------------------------------------
お茶会後


ことり「みんなおいしいって言ってくれたね♪」

花陽「は・・・はい!」ニコッ

凛「凛があんなにおいしいお菓子作れるなんて、感動したにゃ! すっごく! すっっっごく楽しかったよ!!!」

真姫「そうね。ガナッシュを丸めたり、デコレーションするところなんか、つい夢中になっちゃった」

花陽「うんうん! それに、食べた人がおいしいって言ってくれると、なんだか幸せな気持ちになれるよねっ」

真姫「そ、そうね、まあ、悪い気はしなかったわね」カミノケクルクル

凛「なんだかライブやった後みたいな気持ちだにゃ~」

真姫「なにそれ? どういう意味?」

凛「だって、ライブは一生懸命練習して、その成果をお客さんに見てもらうでしょ。それで一杯拍手をもらった時の気持ちに似てるなって思って。凛が一生懸命作ったお菓子を食べた人がおいしいって言ってくれて」

真姫「ああ、そういう意味。まあ、なんとなく分かるわ」

花陽「花陽もそう思います! こんな気持ちを経験できてすごく嬉しいです! ことりちゃん! ありがとうございました」ペコッ

ことり「ふふっ、どういたしまして♪」

凛「ありがとうにゃ!」ペコッ

ことり「ううん! 私もみんなに教えてて楽しかったからお相子様だよ♪」

真姫「ありがとう、ことり」

ことり「ふぇ?! ま、まきちゃん///」テレテレ

真姫「なっ、なによ・・・? なんで照れてるわけ?」

ことり「う、うん・・・。なんでだろう? 真姫ちゃんから素直にお礼言われたら、なんだか恥ずかしくて///」

凛「凛、知ってるよ。真姫ちゃんはツンデレさんだからね。ツンデレさんの素直なお礼の威力は絶大なんだよ! マンガで見たにゃ」

真姫「な、何よそれ!」

花陽「あははっ♪」





☆★☆*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*
シーン:爪切り


~~登場人物~~

おばあちゃん:希
長女:真姫
猫:にこ
*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*☆★☆


希「こしょこしょー」サスサス

にこ「ごろごろー」
希の膝の上に上半身を乗っけているにこ。にこの喉を指で撫でている希。


真姫(いいなあ・・・。私もやりたい。ネコにこちゃん、ちっちゃくてやわらかいから、膝の上に乗せたい。ギュって抱きしめたい)モンモン

真姫(そういえば、私の次のシーンはどんなことやるんだったっけ? 台本確認しましょ)ペラッ

真姫(ふむふm・・・!?/// えっ?! ちょ?! えっ?/// ホントにこれやるの??///)

真姫(・・・・・ま、まあ。台本にそう書いてあるのだから、し、仕方ないわよね。にこちゃんが相手なのは不本意だけど?)


希「あら? にこっち、ちょっと爪伸びて来たねー」

にこ「にゃん?」

希「とがった爪をどこかに引っかけると、イタイイタイだから、切らないとねー」

真姫(今ねっ!)ダッ

真姫「じゃ、じゃ、ジャア・・・ワタシ、ガ、キッテあげるわ// いつもやってるし?」カミノケクルクルクルクルクル

希「ほな、にこっち。真姫ちゃんに爪切ってもらい」

にこ「にゃん」ヒョイ

真姫「ほ、ほら、こっち来なさい」ハァハァ//

にこ(真姫ちゃん、ちょっと息荒いけど、どうしたんだろう?)チョコン

真姫「クフフ///」ギュ

真姫(にこちゃん、私の膝に乗って・・・/// やっぱり、ちっちゃくて可愛い///)キュン

にこ(わっ・・・/// 真姫ちゃんの太ももって、むちむちしてるっ・・・。お尻はおっきいって思ってたけど、太もももなかなか・・・・/// なんか癖になりそっ)

真姫「さっ、にこちゃん、爪見せてっ///」

にこ「にゃ」(はい)プニッ←肉球手袋

真姫「・・・・・・・」


真姫「これ、爪無いじゃない! 希! さっき言ってた『ちょっと爪伸びて来たねー』ってどういう意味よ!!」

希「あははっ。手袋取って本当の爪切ってあげたら?」

真姫「ふんっ。ま、まあ、そういうことだから、にこちゃん・・・」

にこ「にゃー」(でも、私、爪短いよ。小まめに切ってるからね)

真姫「そうなの? へー意外ね。にこちゃんおしゃれ好きだから、ネイルとか色々やりたがるイメージがあったけど」

にこ「にゃー」(だって、爪長いと家事炊事がやりにくいでしょ)

真姫「それもそうね」

真姫「あっ、でも、これじゃ爪切りできないじゃない。どうすんの?」

希「ええよ。次のシーン行こ」

真姫「そ、そう。分かったわ・・・・///」




絵里「えっ」

絵里(私が監督なのに・・・)シュン...





にこ「にゃー?」(そういえば、次のシーンは何やるんだったっけ?)

希「うへへへ」ニヤニヤ

真姫「くっ///」

にこ「・・・・?」



希「ほーら。真姫ちゃんっ。早く早く」ニヤニヤ

真姫「分かってるわよ!///」

にこ「にゃ?」(真姫ちゃん?)

真姫「に、にこちゃん・・・・。そ、その・・・チョコ・・・あげるわよっ///」カァ

希「おわぁ。ハート型やん。愛情たっぷりやなあ」

真姫「うぅ/// その、あの。にこちゃん・・・。嫌かも知れないけど、しょうがないデッショ! 台本にそう書いてあるんだから! 仕方なくよ! 仕方なく! だから我慢してよネッ!」

にこ「にゃ? にゃー」(さっき作ってたチョコ? そういえば真姫ちゃんのだけまだ食べて無かったから、食べたい)

真姫「っ!?/// しょ、しょがないわねー!!///」

にこ「にゃ」(それじゃ、頂くわね)プニ←肉球手袋

真姫「う、うん・・・。あっ、にこちゃんはネコなんだから、手を使って食べないでしょ」

にこ「にゃー・・・・にゃ」(そんなー・・・・。しょうがない、行儀悪いけど、お皿から直接食べようかな)

真姫「そんな食べ方ダメよ」

にこ「にゃあ?」(えっ、それじゃどうやって食べるのよ?)

真姫「こ、ここっ、こうすれば食べられでっしょ!///」カァ

にこ「にゃー?」(ん? 真姫ちゃん、手にチョコを持って差し出してるけど、どういうこと?)

真姫「もー! 鈍感!///」プルプル

にこ「????」クビカシゲ


希「にこっち、にこっち。ここは、あ~ん、してもらうとこやで」ニヤニヤ

にこ「!!!?」ビクッ

真姫「なあっ?! 希!!」

にこ「・・・・」ソワソワ

希「あれー? ウチ、台本にそう書いたつもりやったけど、違ってたん? ごめんなー、何か勘違いしてもうたかな?」ニヤニヤ

真姫「べ、別に違っては無いけど・・・」

希「だったらええやん。はよはよ」

にこ「にゃぅぅ//」

希「何をそんなに尻込みしとるん? にこっち、さっき花陽ちゃんに食べさせてもらってたやん? 同じようにしたらええんよ」ニヨニヨ

にこ「・・・・ゴクッ」


希「はよはよ」

真姫「・・・・・。にこちゃん困ってるじゃない」

真姫「はぁ・・・。もう、いいわよ、にこちゃん、手袋はずs―――」

にこ「・・・・にゃ~・・・・」アー...

にこ「んっ///」パクッ

真姫「ゔぇぁ!? にこちゃ・・・!//」ドキドキ

希「お~。にこっちダイダンやなぁ」ニヤニヤ

にこ「んぐんぐ///」

真姫「もうっ! 勝手に・・・。べ、別にいいけどっ?///」

真姫「そ、それで・・・。味はどうかしら?」ソワソワ, カミノケクルクルクルクルクル, チラッチラッ

にこ「んぐんぐ」

真姫「ま、まあ? 私だって初めてのチョコ作りだから・・・・多少は上手くはいかなかった・・・ってこともあるかもしれないけど・・・」ソワソワ, チラッ

にこ「にゃは///」パァ

真姫「っ!!//」ドキッ

にこ「にゃん! にゃん!」

真姫「へっ、へえ~??/// カカオ多めでコーヒーも入れて大人の味にしたんだけど、にこちゃんにもこのおいしさが分かるんだ?/// 意外ね~?///」テレテレ, モジモジ

にこ「にゃ~・・・」

真姫「っ!!// も、もう、しょうがないわねー! 食いしん坊なんだから/// ほらっ! あ~ん///」 スッ

にこ「♪ にゃ~」アー


希(真姫ちゃんすごい嬉しそうやな。でも、手間かけて一生懸命作ったチョコをあんな顔されて食べてくれたら、嬉しくならない訳がないか)

希(にこっちもデレデレやん。花陽ちゃんに食べさせてもらったときはそんなでもなかったのに)

希(それにしても、すごいなあ。にこっち、役に慣れてからはずっと、にゃーしか言っとらんのに、真姫ちゃんと意思疎通できてるんやね)ニヤニヤ






絵里「私・・・監督・・・」イジイジ





☆★☆*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*

ネタ切れ!

*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*☆★☆



希「あかん。そろそろネタ切れや」

絵里「どうすんのよ・・・・」

希「あっ、そういえばこんなこともあろうかと、ロボット部の人達に面白い機械作ってもらってたんよ」

絵里「ああ、そういえばそんなものがあったわね」

希「それにしてもロボット部の人達は、良く言って変人、悪く言って変態さんの集まりなんよねえ」

絵里「確かにね。色々見過ごせない事もやってたわね。この前なんか、コンテストが近いって言って、無許可で数日間学校に寝泊りしてたし」

希「あー、あったあった。あっ、そういえば、この前変なことやってたで」

絵里「どんなこと?」

希「なんかごっつい靴、安全靴って言ったかな? それ履いて、廃棄物置き場を、ゴソゴソと漁っとったんよ。あん時、なんか呪文みたいのをブツブツと呟きながらで気味悪かったし、しかも、なんか目つきも怖かったで」

絵里「気持ち悪いわね」

絵里「そういえば覚えてる? いつだか、生徒会で各部活の部活動調査でロボット部の部室を見せてもらったじゃない」

希「あー・・・。あん時のな。グルグル回るでかい機械を動かしてて、部室入る前から騒音がめっちゃうるさかったし。そんで、部室入ったら、油臭いし、床は鉄くずみたいんのがたくさん転がってたし」

絵里「あんまり汚いから部費減らわよって脅したら、その翌日は、道具や工具類はきちんと整理整頓されてて、床は無駄にピカピカでキレイになってたわよね」

希「ホンマにね。ちゃんと掃除できるんなら、教室も同じくらい真面目に掃除せぇっちゅうの」

希「そんなんで作った機械はすごいんけど、何の役に立つか分からもんばっかり。機械の知識は豊富なんは間違いないんやけど、何故か学校の成績は理数系も含めて、からっきしで、毎度留年ギリギリやし」

絵里「なんなのかしらね? ロボット部の人って。よく分からないわ」

希「ホンマあん人らは訳わからんわ。普段何を考えて生きてんのやろね」

絵里「いずれにせよ、オトノキはクリエイティブな雰囲気に包まれた学校だもの。できるかぎり自由にさせてあげないとね」


希「せやね。まあ、何はともあれ、今回そんなロボット部の人達に面白い機械を作ってもらったんよ」

絵里「お前らさんのアイディアから生まれた機械らしいわね」

希「ホント、お前らさんのぶっ飛んだ発想には毎度驚かされっぱなしやで」

絵里「この後のシーンが終わったら早速みんなに使ってみましょう」










絵里「ところで、お前らさんのアイディアってどんなやつだったかしら?」チラッ

希「そりゃあ・・・あれやん」チラッチラッ

絵里「ああ、あれね。・・・・下の方を向いていれば見られるんだったかしら?」チラッチラッ

希「うん。そのはずなんやけどね」チラッチラッチラッ

絵里「う~ん・・・見えるかな~・・・」チラッチラッチラッ

希「どうやろな~・・・・。しばらく待っていれば見えてくるんとちゃう?」チラッチラッチラッ

絵里「そうね! しばらく待ってみましょうか!」チラッチラッチラッチラッ

希「せやね! 次のシーンが終わる頃には、一つくらいあるやろ!」チラッチラッチラッチラッ

絵里「も、もっ、もし・・・よ? 一つも無かったら・・・?」

希「そんときはそんときや」

絵里「そ、そう・・・。大丈夫かしら・・・」

悪人退治銃。
古賀亮一さんのマンガであったやつ。

賢くなる機械。

のんたんが広島弁になる。


絵里「希! 見て! さっそく三つも出て来たわよ!」

希「せやね。だけど、なんでやろ。なんか、ものすっごく虚しい気分なんやけど」

絵里「奇遇ね。私も虚しい気分だわ。虚しすぎて賢者の気持ちが分かる気がする」





希「もっと他にないもんかなあ・・・」チラッ

絵里「そうねぇ・・・。もっと他にあったらいいのだけれど・・・」チラッ


☆★☆*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*
シーン:お父さんの扱い


~~登場人物~~

お父さん:穂乃果
お母さん:海未
長女:真姫
次女:花陽
三女:凛
猫:にこ
*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*☆★☆


真姫「ちょっとお母さん!」

海未「どうしました真姫?」

真姫「私の洗濯物と、お父さんの洗濯物一緒に洗わないでって言ってるでしょ!」

穂乃果「ええっ?!」

海未「あらあら、ごめんなさい。ついうっかり」

穂乃果「真姫・・・」ガーン

穂乃果「どうしてお父さんの服と一緒に洗っちゃいけないんだい?」グスグス

真姫「男臭いんだもん」カミケクルクル

穂乃果「ううぅ。そんなこと言って、昔はよく一緒にお風呂入ったじゃないか・・・。お父さんの体洗ってくれただろう・・・?」

真姫「そうだったかしら?」カミノケクルクル

穂乃果「どうだ、今日もひさしぶりに一緒にお風呂入ろう。な? 昔みたいに。な?」

真姫「 イ ヤ! 」

穂乃果「シクシク じゃあ、花陽、一緒にお風呂入ろう。な?」

花陽「えっと・・・ちょっと恥ずかしいかな」

穂乃果「ううぅ~・・・。凛・・・一緒にお風呂n」

凛「かよ姉ちゃんと一緒に入るの!」

穂乃果「しくしく・・・。じゃあ、にこちゃn」

真姫「さ、にこちゃん、私がお風呂入れてあげるわ///」

にこ「にゃー」

穂乃果「うぅ」トボトボ....

真姫「あっ、お父さん。私のシャンプー勝手に使わないでよね。何度言ったら分かるの?」

穂乃果「ええっ? シャンプー何てどれも同じだろう」

真姫「そんなことないんだから。こないだ、すごい良いヘアケアアイテム見つけたの。ユニリーバから好評発売中の“Clear”!!」 ジャン!

穂乃果「どれどれ・・・? シャンプー、コンディショナー、トリートメントって・・・普通のヘアケアじゃん」

真姫「いやいや、Clearには頭皮をケアするための重要な美容補給成分、ビタミンE誘導体、ビタミンB6、コラーゲンが配合されているんです」

真姫「ただ、配合されているだけでは植物で言う所の根っこまでしっかり届かないの」

穂乃果「そーなんだー」

真姫「うんっ。しかし、このClearは、毛髪科学と皮膚科学の融合によって頭皮の奥三層までしっかりと浸透します」

穂乃果「奥三層?」

真姫「うんっ。頭皮には角質層があるのですが、この角質層内の上・中・下層全てに浸透するっ、ということです」

穂乃果「全体にしっかり浸透していく、ってことだね?」

真姫「うんっ、分かりやすく言えば、そういう事です」


真姫「革新ブランドくりあを使うことで、コシがあって中身がぐっとつまった髪本来の強さを持つ美しい髪へと導かれるんです!」メガネクイッ

穂乃果「できる女はやっぱり髪も美しくないとねっ!」髪ファサ

真姫「そうですよ」髪ファサ

穂乃果「じゃあ、さっそく髪を洗ってこようかn―――」スクッ

真姫「ああっ! ちょっと待って! もう一つ見せたいものがあるんです」

穂乃果「小出しにするね~」

真姫「それがコチラ! スパークリングエステです」

穂乃果「何それ? スプレー?」

真姫「穂乃果、スプレーではなくて、この上の部分を、頭皮に押し当ててこのような泡を出しまーす」

ジュワー

穂乃果「おおー」

真姫「パチパチ、って音聞こえる?」

パチパチ....

穂乃果「ああっ、聞こえる!」ニコッ

真姫「このはじける泡が頭皮まで届いて、血行を促進させ、さらに強くて美しい髪へと導いてくれるのです」

穂乃果「ってことは、この三製品と一緒に使うといいのね?」

真姫「うんっ。シャンプー、コンディショナー、トリートメント。そして、このスパークリングエステの、ふぉーラインアップによって! 強く美しい髪をトータルにサポートしてくれるのです」

穂乃果「真姫ちゃん、今日は丁寧に説明してくれてありがとう」

真姫「うんっ」

穂乃果「それじゃあ今日はこれ使うね」

真姫「ああっ! ちょっと待って。男性用もあるんだから」

穂乃果「男性用?」

真姫「そう。それがコチラ。タウリンを2倍配合した強く美しい髪をサポートするシャンプーをはじめとして、コンディショナー、スパークリングトニックのラインナップがあります」

穂乃果「そっか、穂乃果はお父さんだからこれを使えばいいんだね?」

真姫「そういうこと」カミノケクルクル

真姫「だから私のシャンプーは勝手に使わないでよね」カミノケクルクル

花陽「あ、あの・・・・お父さん・・・」モジモジ

穂乃果「おっ、花陽、どうした? やっぱりお父さんとお風呂入るか? ん? どうだ? な? 入るか?」

花陽「入らない」

花陽「・・・えっと。今日、学校から帰る時、家の鍵、落として無くしちゃって・・・。ごめんなさい・・・」シュン

穂乃果「そうなの? 別にいいよ、そんなこと気にしないで」

花陽「それで・・・。ちょっと怖いから家のドアの鍵変えて欲しいなって」

穂乃果「えっ? どうして?」

花陽「だって、花陽が落とした鍵を誰かが拾って、その人がこの家の鍵を開けちゃうかもしれないでしょ?」

穂乃果「そんなの大丈夫だよー。だって鍵に住所が書いてある訳じゃないんだから。何にもしなくても問題ないよ」

花陽「ううっ・・・」

真姫「・・・・・花陽の言う通りね」

穂乃果「真姫?」

真姫「言うまでも無いけど、この家、お父さんがいない間、女の子しかいないんだからね。その時を狙って、花陽が落とした鍵を偶然拾って、住所も偶然知ってしまった不審者が家に入って来たらどうするの?」

穂乃果「そんなこと起こらないよー」

真姫「100%起こらないとは限らないでしょ! だから鍵変えて!」

穂乃果「ひっ?! わ、分かった分かったよお・・・。明日会社帰りに新しい鍵買ってきて、ドアに付け替えてあげるからぁ・・・」ビクビク


真姫「頼むわよ」


海未「あなた」

穂乃果「ああ、母さん。母さんがいれば不審者なんて簡単に退治できそうだけどなー」

海未「何か言いました?」ニコッ

穂乃果「たっ、確かに、か弱い母と娘だけの家じゃあ不用心だから、頑丈な鍵に変えなきゃな~・・・って言ったの」ビクビク

海未「そうですね」ニコッ

穂乃果「あっ、そうだ。母さん、どうだい? ひさしぶりに一緒にお風呂に」

海未「私はもう入りました。それとあなたが最後だから、あがったら保温切って、カビが生えないように湿気を拭いといてくださいね」

穂乃果「」

海未「後、これ、今月のお小遣いです」 ⊃ [子供銀行いちまんえん]

穂乃果「」


☆★☆*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*
シーン:愚痴を聞きますよ


~~登場人物~~

お父さん:穂乃果
不倫相手:ことり
*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*☆★☆




穂乃果「はぁ・・・・」

ことり「どうしたんですか、穂乃果さん? 元気なさそうですよ」

穂乃果「うん、ちょっとね・・・」

ことり「とりえず飲んでください。お話聞きますよ~」トクトク←[日本酒(ノンアルコール)]

穂乃果「ととと」

穂乃果「ありがとう・・・」クイッ←[日本酒(ノンアルコール)]

穂乃果「ぷはあぁー」

ことり「ふふ。いい飲みっぷりですね。それで、どうしたんですか? お仕事大変なんですか?」

穂乃果「そう・・・。大変なの・・・。経営層がさあ・・・」

ことり「また穂乃果さんをいじめてるんですか?」

穂乃果「今度のプロジェクトさ、外国の会社に下請け出せって命令されてさ・・・。昔から付き合いのある新宿の会社に出した方がお互い仕事やり慣れてるから、そっちの方が絶対いいのになあ・・・」

ことり「絶対にいいってことは経営層さんには言ったんですよね」

穂乃果「言ったよぉ・・・・。だけど、その外国の会社は見積金額が安すぎてさ・・・。それで、我々は営利企業なのだから情に流されず利益を考えなさいって言われちゃって。全く、これだから事務上がりのお偉いさんは・・・」グチグチ

ことり「世知辛い世の中ですねえ」

穂乃果「そう! 世知辛い! 世知辛いんだよ!! はあ・・・。こうやって安さに負けて、いい仕事をする日本企業は衰退してい行くんだなあ・・・」グチグチ 

穂乃果「文句言った所で何も変わらないんだけどさ・・・。この調子じゃあ・・・。僕、来月くらい、海外出張だろうなあ・・・」

ことり「でも、穂乃果さん、出張に行く時いつもあんまり辛そうに見えませんけど?」

穂乃果「・・・まあね。なんだかんだ言って、出張は大変だけど、出張中は気が楽だよ。だって、事務所にいる方が返ってまいっちゃうんだもん・・・」

ことり「あはは。この前、電話とメールと会議と来訪者対応だけ一日が終わって自分の仕事ができないって泣いてましたよね。それがまだ続いてるんですか?」

穂乃果「そうなの・・・。それだけならまだしも、最近は若いやつらの不満が大きくなってきてねえ・・・。パソコンが上手く使えない働きの少ない年配社員をクビにして外注入れろって言うんだよ・・・。若いやつらはすぐ人を動かせって言うけどさ、人ってそう簡単に動かすもんじゃないのになあ・・・」

ことり「そうなんですか? なんかだお話し聞いてると、その若い人の方が正しい気もしますが」

穂乃果「そんなことないよ。年配の人は、表面上は働きが少ないように見えるけど、やっぱり長く勤めてるだけあって、顔が広いから、各部署の調整業務を不安なく頼めるんだよ。あの立ち回りの良さは若いやつや外注には真似できないよ」

穂乃果「という風に、若いのには説明しているんだけど、中々納得してくれなくてねえ・・・」グチグチ

穂乃果「毎日なだめて、職場の雰囲気を悪くさせないのが大変だよ・・・」

ことり「経営層さんからいじめられて、若い子の不満をなだめて。中間管理職って大変ですねえ」

穂乃果「そうなの・・・・」パクッ

穂乃果「あっ。この蛸わさおいしい」モグモグ

ことり「私が作りました♪」

穂乃果「さすがことりちゃん! 料理が上手でやさしくて可愛いなんて、理想の女の子だよー。それに!」サワッ


ことり「きゃ」

穂乃果「お肌もすべすべだねー、ぐへへ」サワサワ

ことり「もー。穂乃果さんのえっちー」

穂乃果「良いではないか、良いではないか。はー、癒される。ことりちゃんが愚痴聞いてくれるだけで仕事の疲れなんか無くなっちゃうよお」

ことり「えへへ。ことりも穂乃果さんのお話し好きですよ」

穂乃果「んー! 穂乃果もことりちゃん大好き!」ギュ

ことり「きゃ、えへへ」ギュ

穂乃果「ことりちゃん好き好き! ことりちゃんみたいなお嫁さんが欲しい!」

ことり「っ?!///」ドキッ

ことり「スー、ハー.... フー.............ヨシ」


ことり「な、何言ってるんですか。穂乃果さんには、もうお嫁さんがいるじゃありませんか」

穂乃果「うちの嫁さんかー・・・。はぁー・・・」

ことり「あれれ。うまくいってないんですか?」

穂乃果「厳しいんだもん・・・。色々と・・・」

ことり「確かに、穂乃果さんの奥さん、なんていうか隙が無いですもんね」

穂乃果「嫁さんだけじゃないんだよ・・・最近家族の風当たりがなあ・・・・」

ことり「良くないんですか?」

穂乃果「仕事から疲れて帰ってきても、御出迎えしてくれるのは、にこちゃんだけでさあ・・・」

ことり「お利口な猫ちゃんですね♪」

穂乃果「それはいいことなんだけど・・・」

穂乃果「最近は残業が多くてさ。たまに早く家に帰ってくると、娘たちが嫌な顔するんだよ・・・。お父さんが帰ってくるとテレビが見られないって。いいじゃん、ニュースぐらい見させてよ・・・」

ことり「あらら」

穂乃果「はあ・・・末っ子が赤ちゃんの頃は、嫁と娘たち4人が笑顔で御出迎えしてくれてたのになあ・・・・あの頃が懐かしい」

穂乃果「それと、最近はお風呂も誰も一緒に入ってくれないし・・・。最後に入ると、お風呂場の湿気を取らされるし・・・」

ことり「一家の大黒柱と言ったら一番風呂が普通ですよねえ。御出迎えの件といい、なんて扱いがひどいんでしょう」

穂乃果「それだけじゃない。お小遣いだって、一万だよ? 部下と数回飲みに行ったらもうなくなっちゃう・・・」

穂乃果「・・・本当は部下に全額おごってやってカッコイイところみせたいんだけどなあ・・・。若いやつにさ、『私よりお給料もらってるのになんで割り勘なんですか?』って言われると、もう・・・なんていうか、居た堪れなくて・・・」

ことり「うーん。会社にしろご家庭にしろ、穂乃果さん毎日こんなにがんばってるのに、なんで報われないんでしょう・・・」

穂乃果「はあ・・・・ごくごく」←[日本酒(ノンアルコール)]

ことり「あ、あはは・・・ため息にとっても重みがありますね・・・。大変ですよね。おつぎしますよ」トクトク←[日本酒(ノンアルコール)]

穂乃果「ありがとう・・・・・・・ふっ」ニヘヘ



ことり「あら、どうしました?」

穂乃果「でもね、この前いいことがあったんだよねー♪」

ことり「本当ですか? どんなこと?」

ことり(あれ? こんなセリフあったっけ。こっからアドリブなのかな?)

穂乃果「真姫ちゃんと凛ちゃんが、バレンタインチョコをくれてね///」デヘッ

ことり「あっ・・・・」(察し)

穂乃果「本当は海未ちゃんにお菓子に止められていたんだけど、あの二人こっそりくれんだよ♪」

ことり「・・・・・」

穂乃果「ふふ/// ちょっと形が変だったり、ちょっとしょっぱかったけど、慣れない料理をしながらも、がんばって作ってくれたんだなあって思うと/// いやー、いつも素っ気ない態度なのに、本当はお父さん愛されてるなって!」デッヘヘ

ことり「・・・・・」

ことり(やっぱりそうだ・・・。それ、真姫ちゃんが手を滑らせて形が崩れちゃったやつと、凛ちゃんが粉砂糖と間違えてお塩振りかけちゃったやつだ・・・)

ことり(失敗したからお父さんにあげるって言ってたけど、本当にあげちゃったんだ・・・)

穂乃果「だから、嬉しくてついたくさん食べちゃった。全く、素直じゃないんだからぁ/// ごでぃばのチョコよりおいしかったなあ。でへへ、こういうことがあると、もっと頑張ろうって気になっちゃう。お父さんも悪くないね!」

ことり「あ、あはは・・・・。よかったね・・・・」

















----------------------------------------

穂乃果「あれ? この先台本が真っ白だよ」

希「ああ、それな。面白いモンがあるから、これからはそれ使って全部アドリブや!」

真姫「なんて無計画なの・・・」

にこ「不安しかないわね・・・」





海未「それで、そこにあるガラクタの山がそうですか?」

ゴチャア....

ことり「たくさんあるね・・・」

希「ガラクタなんて言ったらアカンよ。ロボット部の人達の発明なんやから」

海未「へえ、そうなんですか。どれどれ」

海未「ん? このオモチャの鉄砲みたいな形の機械は何でしょう。ちょっと壁の方に向けて撃ってみますか」カチャ

希「ああ、それはな、レズ退治銃って言ってな。それを撃つと一番近くにいるレズをやっつける光線銃なんやって」


海未つ銃 →光線→ |壁   <ビビビビビ!
海未つ銃 ←←光線⊃|壁   <ビビビビビ!


海未「え、ちょ」

海未「GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!」バリバリバリバリバリバリバリバリ

凛「ww汚ねぇww花火wwだにゃwwwww」

海未「ぬふぅ・・・」バタッ

ことり「海未ちゃん、大丈夫? 動ける? 結婚する?」サワサワモミッ




凛「ねえねえ、このヘアバンドは?」

花陽「猫の耳? が付いてるね」

希「これは可愛くなるヘアバンドなんよ。凛ちゃん、ちょっと付けてみ」凛にスチャ

凛「にゃ。ど、どうかにゃ?」

希「おお、ええやん!」

穂乃果「かわいいいいいい!!!」

花陽「ぶひいいいいいいいいいいいいいいい!!」

ことり「まずは服を脱ぎます」

凛「え、えへへ//」テレテレ




ことり「んっ? この白い布で覆われた、大きな物はなんだろう? 布取るね」ファサ

ことり「!!!?! ファノケチュアン!?!」

穂乃果「え? ホントだ、私だ!」

希「あー、それはな、等身大穂乃果ちゃんアンドロイドなんだって」

穂乃果「アンドロイド???」

希「要するにロボットやな」

ことり「すごい!!! ・・・・起動スイッチはどこかな~///」・・・つ  (胸 

希「背中にあるんよ」ポチッ

ことり「そ、そう・・・」シュン...

ウィーン....

ほのロボ「・・・・オハヨウゴザイマス」

穂乃果「おお! 動いた! しゃべった!」

ことり「ん~・・・? でも、ちょっと違和感があるような」


希「ああ、それはPVとか公式で見られるデータだけを元に作ってて、それ以外の細かい部分は想定でやってるから、穂乃果ちゃんと身近な人が見たら違和感があるかもって言ってたよ」

ことり「へ~」

希「詳細なデータがあればもっとリアルに作れるのになー、とも言ってたなあ」

ことり「!!!」ガタッ

穂乃果「あれ? ことりちゃん、採寸の記録をまとめたノートとiPod持ってどこに行くの?」

ことり「ちょっと用事ができたちゅん! 今日はこれにて失礼するちゅん!」ガチャ, ダダダダッ

穂乃果「行っちゃった」

ほのロボ「ファイトダヨッ!」



にこ「このヘルメットみたいなやつは何?」

希「それは~・・・確か、賢くなる帽子やったかな?」

絵里「そうね。だから元々賢い私が装着しても変化はないでしょうね。ちょっと被ってみるわね」スチャ

にこ「ふ~ん。ねえ、絵里。今日の晩御飯は何食べたい?」

絵里「え? ん~と、ん~と。希の作ったおうんどんさん!」

にこ「なによ、いつもと変わらないじゃない。故障?」

希「あ、間違った。賢くなる帽子はこっちやった。絵里ちが今被ってるんは、ぽんこつになる帽子やったわ」

にこ「ああ、なるほどね。別に故障じゃないってことね」

真姫「それじゃあ、その賢くなる帽子はにこちゃんが被れば、劇的な変化があるってことね」カミノケクルクル

にこ「それどういう意味よ」ムスッ

希「やってみたら分かる事やん」にこに装着

にこ「あっ、ちょっと何勝手に―――・・・」

にこ「・・・・・」スンッ

真姫「にこちゃん? なんか急におとなしくなったわね。大丈夫なの?」

希「よぉ分からんけど、何か質問してみたら?」

真姫「分かったわ。ねえ、にこちゃん。トマトが3個あったとします。その内1個を真姫ちゃんが食べました。残りのトマトはいくつ?」

にこ「2個」

真姫「あら、すごい。本当に賢くなってるじゃない」

希「なんや、普通に答えてつまらんなあ。もっと難しい質問してみーひん?」

真姫「そうね・・・。それじゃあ、にこちゃん。トキソプラズマについてと、それが人に感染した場合、どのような症状が現れるか説明して」

にこ「トキソプラズマとは寄生虫の一種。人を含むほとんどの温血脊椎動物に感染する可能性がある。主な宿主は猫。猫から猫への感染はネズミを介することが多い。ネズミに感染したトキソプラズマは、ネズミの脳をコントロールすることによって、警戒心を薄れさせたり、反応速度を低下させるなどの行動をネズミに起こさせ、猫に捕食されやすくなるよう働きかける。人への感染経路は、飼い猫のトイレの手入れや加熱が不十分な食肉の経口感染等がある。人が感染した場合は、健康な成人であれば症状が現れることはほとんどないが、妊婦が感染すると、流産のリスクが高まる。また、幼児やエイズ感染者のような免疫抑制状態の人が感染した場合は、神経系が犯され、重篤化し、時には死に至ることもある。また、ネズミと同様に警戒心が薄れる症状が人に現れると、車のクラクションで恐怖心を感じなくなって、交通事故に遭う確率が上昇するともいわれている。予防としては、食べ物の調理は常に清潔を心がけ、食肉は十分な加熱行い、飼い猫に対しては、外に出さない・トレイの手入れはゴム手袋を着用・人が口移しでエサを与える等の過度な接触を避ける事等があげられる」

希「なにそれこわい」

真姫「・・・・賢い可愛いにこちゃんね」





凛「このマイクは何? 歌が上手くなるのかな???」

希「それは漫才が上手くなるマイクやね」

凛「面白そう! かよちん一緒にやろう!」

花陽「ええ!? 花陽、漫才やったことないよぉ・・・。できるかなぁ・・・」

凛「なんとかなるにゃ!」グイグイ

花陽「あ、り、りんちゃん・・・」ヒッパラレ



凛「テケテンテケテンテケテケテン♪」

凛「はいっ! 皆さんどうもー!」テテテ

花陽「ど、どうもー」テテテ



希「いよっ! 待ってました!」パチパチ

絵里「ひゅー! ひゅー!」←口笛吹けてない

真姫「・・・・・」カミノケクルクル



凛「りんでーす!」

花陽「は、はなよです・・・・」

凛「二人合わせてー!」

りんぱな「「りんぱなですっ!」」



希「そのまんまやないかーい!」ワハハ

絵里「りんぱなー!」

真姫「・・・・・」カミノケクルクル




花陽「えっと、早速なんですが」

凛「はいはい、なんでしょう」

花陽「この前ご飯屋さんに行ったんですよ」

凛「ほうほう」

花陽「店内で食べられところだったので、席について、どれ頼もうかなーって思いながらメニューを眺めててね」

凛「なるほどなるほど」

花陽「その時は練習が終わった後だったから、体も疲れててお腹減ってたから、一杯食べたいなあって思ったの。それで注文が決まったから、店員さんを呼んで」

凛「ほほう。何を頼んだの? 大盛りエビフライ定食とか?」

花陽「ちょっとやってみますね」

凛「はいはい」


花陽「『すいませーん』」クルッ

花陽「『ご注文お決まりですか?』」クルッ

花陽「『とりあえず生』」

凛「ビールぅぅぅぅううう??!!」バシッ



希「あっはははww ええぞー!」

絵里「認められないわー!」

真姫「・・・・・」カミノケクルクル



凛「かよちんは高校生でしょ!」

花陽「『あっ、それと、あん肝もお願い』」

凛「渋いなおいっ!」バシッ

花陽「『それと、ホッケも』

凛「かよちんはおっさんなのっ?!」

花陽「もう、なんですかー。お腹減ってたんですよ」

凛「もっと女子高生らしいのがあるでしょ!」

花陽「女子高生らしいって、なーに? ちょっとやってみてくださいよ」

凛「いいよー。見ててね」コホンッ


凛「『すいませーん』」クルッ

凛「『はい、ご注文お決まりですか?』」クルッ

凛「『とりあえず、現ナマ』」

花陽「お金ナ゙ノ゙ォ!?!?!?」ビシッ



希「どわっあっはははははwwwww お腹い痛いわーwww」バンバンッ

絵里「wwwwwwwww」

真姫「・・・・・」カミノケクルクル



花陽「お金の話はやめようよー。それこそ高校生らしくないよ」

凛「そうだね、ごめんにゃ」

花陽「それでは、お話は変わりまして」

凛「ほうほう」

花陽「この前、お父さんが運転する車に乗っている時なんだけど、給油しようと思って、ガソリンスタンドに入ったんですよ」

凛「なるほどなるほど」

花陽「いつも支払いはクレジットカード機能が無い会員カードで払っているんですけど、入ったガソリンスタンドはその会員カードに対応していなくってですね」

凛「あー、あるにゃあるにゃ。ガソリンが少なくなってきたら、入るガソリンスタンドは選んでられないもんね。それで支払はどうしたの?」


花陽「『オーライ! オーライ! はいストップ―! いらっしゃいませー。レギュラーですか? ハイオクですか?』」クルッ

花陽「『現金満タン、レギュラーで』」

凛「結局お金っかい!!!」ビシッ

凛「空の財布を出して『現金満タンでお願いします』って言ったのかな!? お札一杯詰めてくれるのかな?! そんなガソリンスタンド行列できちゃうよ!!」



希「wwwwwwwww」

絵里「wwwwwwwww」

真姫「・・・・・クスッ」



凛「はいっ!! 次はモノマネやりまーす!」

花陽「や、やりまーす・・・」

希「おー? おいおい、それは聞き捨てならんなあ。そういうのは漫才やのうて、コントっていうんや!」ブー、ブー

絵里「亜里沙のモノマネやってー!」

真姫「・・・・・」カミノケクルクル





凛「・・・・・」カミノケクルクル

花陽「に・・・にっこにっこにー! 青空もー! にこっ!」



希「おっ? なんかそれ最近見たでー。ネタの使いまわしかー? お笑いなめんなー」ブー、ブー

絵里「変よー!」

真姫「っ・・・・」カミノケクルッ



花陽「真姫ちゃーん。パンツ貸してにこー」

凛「ショーガナイワネー」カミノケクルクルクル



希「あはは! 仲ええなあ!」

絵里「にこまきー!」

真姫「っ・・・・」ワナワナンダ



花陽「あれれ! 真姫ちゃんのパンツ、にこのお尻から落っこちゃうにこー」

凛「面倒な人」カミノケクルクルクル



希「真姫ちゃんのお尻でっかいもんなー」

絵里「にこは小さいしね」

真姫「いい加減にしなさいよ!!」クワッ



凛「はい! お後がよろしいようで! ありがとうございましたー! さらばにゃ!」タタッ

花陽「あ、ありがとうございました・・・」ペコッ


真姫「待ちなさい! 凛! こらー!」ダッ


にこ「花陽」ポンッ

花陽「ピャ!」

にこ「ちょーっと。お話があるにこー」←賢くなる帽子は外した

花陽「はわわわわわ」ガクガク




絵里「あはは。はー。面白かった」

希「絵里ち。お茶淹れたで。一服しよ」

絵里「ありがとう。今日は何かしら?」ズズッ

希「ほうじ茶にしてみたよ」ズズッ

絵里「ふー。この香ばしい風味、いいわね。落ち着くわ」



 <リンー!! マチナサーイ!! マキチョップ!!
 <ニ゙ャ! マキチャン イタイニャー...
 <カクドガチガウノヨ! 
 <ナルホド! φメモメモ...






絵里「相変わらず、一年生の若い子らは元気ねえ」シミジミ

希「せやねえ」ズズッ



真姫「そこっ! 縁側でお茶をすすりながらナチュラルに熟年夫婦してんじゃないわよ!」

にこ「ねえ! にこも一年生で一括りにしてない?!」




凛「イタタ...。次いくにゃあ・・・。ねぇ、希ちゃん、この小さい木刀みたいなやつはなーに?」

希「ああ、それは身に付けると広島弁になるんよ」

凛「へ~。希ちゃんやってみて!」

希「え? ウチ? まあ、ええけど」スチャ

凛「どう? どう?」

希「ん~。どぉ、言われてものぉ」

絵里「えっ、な、なに・・・・? なんかしゃべり方とか声色がちょっと怖いんだけど・・・」

にこ「広島かぁ。今日の夕飯は広島風お好み焼きにしようかしら」

希「おぅおぅ。そこのちっこいの。今のもういっぺん言ってみぃ? おぉん?」

にこ「は? ちっこいってなによ、ちっこいって。広島風お好み焼きが食べたくなっただけよ」

希「わりゃ! なにいうとんのじゃー!!!!」ダンッ!!

にこ「ひゃああ?!!」ビクン

にこ「な、なんなのよ?!」オドオド

希「広島風なんちゅうお好み焼きはこの世に存在せんのじゃ!!! お好み焼きは広島が発祥の地なんじゃ!! お好み焼き言うたら広島のお好み焼きのことを指すんじゃ!! ワレ!!」

にこ「そ、そうなの・・・? 悪かったわよ・・・」ビクビク

俺「紙屋町の飲み屋でお好み焼き頼んだら、関西風のお好み焼きが出てきたんだけど?」

希「そんな店あるわけないじゃろが! おどりゃあ!!! 死にさらせ!!」ドスッ

希「これだから東京モンは・・・。おい、ちっこいの。ワシがホンマモンのお好み焼き食わしたるさかい。ヘラと鉄板とオタフク好みソースは持っとるんかいのぉ?」

にこ「ちっこいって言わないでよ・・・。気にしてるんだから・・・」

希「なんじゃい。それは悪かったのぉ!」バンッ バンッ

にこ「いたっ! いたっ! 肩叩かないで!」
 
希「ほれ、もみじまんじゅう食えっ。大きくなれよー」グッ

にこ「んぐっ?!・・・・んっ? んぐんぐ」モグモグ ゴクン

にこ「おいしい」

希「じゃろ? じゃろ? 気に入ったのなら宮島きんしゃい。めっちゃスピリチュアルスポットじゃけんのお」



絵里「あっ、そういえば目覚まし時計が壊れてたんだ。後で電器店まで行って買いに行かないと」

希「じゃったら、デオデオ行ったらええのお。一緒に行ったるさかい」

絵里「でおでお? なにそれ。アキバのヨドバシに行こうかと思ってたんけど」

希「よどばし? なんじゃそれ?」




真姫「口が悪くて怖いのに、妙に優しい所があるのね」

ダーリンダーリン♪

真姫「あ、メール。パパからだ」スマホポチポチ


真姫「ん~・・・」

花陽「真姫ちゃんどうしたの?」

真姫「パパがね、新しい車買うんだけど、どの色がいい? って。花陽だったらどれがいい? ちょっと見てよ」

花陽「うん。そうだねー。あっ、ピンクもあるんだ。可愛いけど、うーん・・・」

真姫「車にピンクは派手すぎない?」

花陽「だよね。目が疲れそう・・・。かといって黒だと、なんだか重たいし」

希「ほぅ。ワシにも見せてみぃ」

真姫「うん。お願い」

希「どれどれ・・・・。!! なんじゃい! これは!!」ブワッ!!

真姫「きゃっ?! なによ、びっくりするじゃない。それと、唾飛ばすのやめて」

希「クラウンやないかい!!」ブワァ!!

真姫「な、なによ・・・。普通の車じゃないの?」フキフキ

花陽「確か、すっごい高級車だよね」

真姫「それが気に入らない訳・・・? 別にいいじゃない・・・」

希「ちゃう! 金があるならアテンザ乗らんかい!!」

真姫「あ、あてんざ・・・?」

希「そうじゃ! エコなんじゃ! 広島の技術なめんなや!! 戦艦大和も広島が生みだしたんじゃあ!! 広島は世界遺産が二つもあるんじゃああああ!!!」ブワワッ

真姫「・・・・?」フキフキ



絵里「おっ、坂本、今日は3本も打ったわよ! 調子取り戻してきたじゃない。これで内野も鉄壁だし、来年こそ巨人黄金時代の復活ね!」

希「何言うとんのじゃ! わりゃ!!! クソ巨人なんぞ赤ヘル軍団が血に染めたるわあああ!!!」ガンガンガン!!

絵里「ひぃぃ?!! ごめんあさいいいい」ビクビク

希「全く・・・緒方は何考えとんのじゃ・・・」ブツブツ




----------------------------------------
一方その頃
西木野邸 外


ツバサ「ここがあの女のハウスね!」

英玲奈「ああ、確かに、μ’s全員分の生体反応がここに集中してる」

あんじゅ「ほんとーに行くのぉ?」カミノケイジイジ

ツバサ「当たり前よ! 貴女達も分かるでしょ。このままじゃ私達足元すくわれるわよっ。何としても、こんな短期間であれだけ成長できた原因を探るのよ! 負けたくないでしょ!」

あんじゅ「そんなこと言ってぇ、本当はただ遊びたいだけでしょぉ?」カミノケイジイジ

ツバサ「ちっ、違う!」

英玲奈「ツバサの考えには同意見だが、我々自らがこうやって行動していることにそもそも問題があるのだが。一応はスクールアイドルのトップという位置付けなのだからな」

ツバサ「知らないわよそんなの」

英玲奈「しかしだなあ・・・」

ツバサ「ああもう! ごちゃごちゃうるさい! だったら、トップアイドルらしく威勢よく飛び込めばいいんでしょ!」

英玲奈「いや、意味が分からん」

ツバサ「行くわよっ!」ダッ


英玲奈「あ、ちょ・・・・。はぁ・・・」アタマカカエ



バンッ!


ツバサ「みーずー!!  ごようだー!!」

にこ「あ? あっ・・・?! あっ、あああっ!!! あらっあらっ・・・!?」ビクッ

花陽「いっ z―――」プルプル



希「なんじゃい! カチコミかぁ?!! お前らチャカもてえええええええ!!!!」クワッ!!



ツバサ「ひっ?!」ビクッ ジョロ

あんじゅ「あらあら、かっんぜんにノーペアね」カミノケイジイジ

英玲奈「申し訳ない。家を間違えた。失礼する」クルッ


ガチャ、バタン


にこ「」

花陽「あ、あああ・・・A-RIZEの皆さん・・・」シクシク

凛「かよちんかわいそう・・・。よしよし」ナデナデ

希「なんじゃい。口ほどにもないのぉ」ペッ




---------------

すぐに追いかけて誤解を解きました。


にこぱな「「すいませんすいませんすいません」」ペコペコ

希「あはは、かんにんなー」
 
ツバサ「別にいいわよー。気にしてないからー。あははー」ヨタヨタ

ツバサ(ちょっとチビった・・・)モジモジ


絵里「広島怖い広島怖い広島怖い広島怖い・・・」ガクガク



英玲奈「・・・・それで、これは一体何をやっている所なんだ?」

希「ああ、これなー。演技力を高めるってことで、みんなで家族のお芝居をしてたところなんよー」

凛「えっ? そうだったの?」

にこ「あんたねえ・・・。まあ、にこも忘れかけてたけど」

ツバサ「ふーむ・・・。なるほど、こういう所に何か秘密が隠されているのかも・・・」ブツブツ

あんじゅ「そうかしらぁ?」カミノケイジイジ

ツバサ「ねえ! 私達も混ぜてもらってもいいかしら?」

希「ウチはええけど。絵里ち、どうする?」

絵里「広島怖い広島怖い広島怖い広島怖い・・・」ガクガク

希「ええみたいね。穂乃果ちゃんは?」



穂乃果「お手!」

ほのロボ「ワン!」スッ





あんじゅ「あら、あそこに英玲奈のお仲間がいるじゃない」

英玲奈「・・・・どういう意味だ」



希「穂乃果ちゃんもええらしいな。ほな、やろっか」

にこ「ちょっと! 部長はにこなんだけど!」

希「ほーん。にこっちはA-RIZEの皆さんを追い出したいん?」

にこ「そんな訳ないでしょ! ばっかじゃないの?! サインください!!」

希「決まりやな。A-RIZEの皆さん、よしなに」

ツバサ「よろしくね。それじゃあ、とりあえず何をしたらいいかしら?」

希「今な、そこに転がってる機械を使って遊んでたとこなんよ」

にこ「遊びじゃないわよっ!」

希「どれか気になったのがあったら、使ってみて」

ツバサ「へー。色々な機械があるのね」

ツバサ「おっ、このネクタイ、なかなかセンスがいいじゃないの。これも機械なの?」

希「ほー。それに目を付けるとは、さすがA-RIZEのリーダーさんやなあ。それはな、身に付けるとカリスマになるネクタイなんよ!」

ツバサ「かりすま! すごいじゃないそれ! 早速付けてさせてもらうわね」シュルシュル

希「あー、まってまって、ツバサっち」

ツバサ「えっ? どうして?」



にこ「希! あ、あ、あんたねぇ・・・! なんて呼び方してんのよ!」

花陽「はわわわわわわ」ビクビク オロオロ



希「そのネクタイはな、普通のネクタイじゃなくてな、ヘッドネクタイと言って、首じゃなくて頭に付けるんよ」

ツバサ「ヘッドネクタイ? 聞いたことも見たことも無いわね。本当なのそれ?」

希「ホントやって。・・・なー、あんじゅちゃん?」チラッ

あんじゅ「んっ?」

あんじゅ(・・・・・あー、そういうことー・・・。ふふっ)ニヤッ

あんじゅ「何言ってるのツバサぁ。ヘッドネクタイって割と一般的よ」カミノケイジイジ

ツバサ「えっ、そうなの?」

希「そうそう。もとは暑い国で、日差しを避けるのが目的やったんやけど、それを見たパリのファッションデザイナーが気に入って、持ち帰ってな」

ツバサ「ふむふむ」

あんじゅ「それを使ったドレスが、なんとパリコレで大絶賛。大体10年くらい前のことね。もちろん日本にも輸入されたわ」

希「確かにアキバじゃまだあんまり見んけど、それ以外の街じゃ結構メジャーやで? 会社員さんなんかに人気なんよ」

あんじゅ「そうそう。特に、毎月25日を過ぎた最初の金曜日の夜の新宿で、そのヘッドネクタイをしている人が多く見受けられるわね」

希「せやせや。もう多くの人には浸透してるんやで。今流行ってないんはアキバくらいなもんや。せやから、もうそろそろアキバでも周りから押されてヘッドネクタイが流行り出すはずやで」

あんじゅ「そういう訳だから、私もそろそろこのヘッドネクタイ、衣装に取り入れようかな、って思ってた所だわ」

ツバサ「そうだったの・・・」

希「なんや、ツバサっち。スクールアイドルのトップたるもんが、こんな大流行中のファッション知らなかったん?」

ツバサ「むっ! そんなことないわよ! 当然知ってたわよ! 首に付けるのと同様に、頭に付ければいいんでしょ!」モソモソ

あんじゅ「そうそう。分かってるじゃない」ニヤニヤ


希「当然よなぁ」ニヤニヤ

英玲奈(あんじゅ・・・。また適当な事言ってツバサで遊びよって・・・)

英玲奈(それにしても、東條希・・・・こいつ、なというか・・・包容力というより、相当にキモが座っているな)

英玲奈(・・・なるほど、μ’sの強さの秘密が少し分かった気がした)



にこ「ああ・・・・もう見てられない・・・」オロオロ

花陽「はわわわわわわ」ビクビク オロオロ



ツバサ「これでよしっと」キュ

ツバサ「どうかしら? かりすまになったかしら?」キリッ


http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira097903.png


あんじゅ「プッw.....ええ、とっても、クッw...似合ってる・・・わよ」クスクス

希「クッフッw......あのな、ツバサっち。フフッw....それで終わりじゃないんよ」

ツバサ「どういうこと?」


あんじゅ「フフッw....そうよ、それで歌うの」

希「そうなんよ。クッw....ノリノリの演歌歌手みたいにな!」

ツバサ「えっ、そうなの。分かったわ・・・・コホン」


ツバサ「わちゃどぅ~~~♪ わちゃどぉぅぇぇぇえええええ!!!」ヽ(´Д` ) 三 ( ´Д`)ノ


希「どわはっはっははははww カリスマや! カリスマがおるでwww!!!」ゲラゲラ

あんじゅ「紛うことなきカリスマだわ!!!!wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

ツバサ「そ、そうかしら?/// ふふっ///」テレテレ




あんじゅ「ねえ、希ちゃん。あれって、本当にカリスマになるネクタイなの?」コソコソ

希「んなわけないやろw 普通のネクタイやww」コソコソ

あんじゅ「そうよねー! 希ちゃん最高!」コソコソ



英玲奈「・・・・・・・・・はぁ」頭抱え

英玲奈「μ’sの皆。申し訳ないが、このことは口外しないよう願いたい・・・・・」



にこ「」白目気絶

花陽「」白目気絶



凛「英玲奈さん! これ付けてみてっ!」スチャ←英玲奈に可愛くなるネコミミヘアバンドを装着

英玲奈「わっ?! きゅ、急になにをするっ?!」

英玲奈「うっ?!・・・・こ、これは・・・・///」

                                                     ,,,lll,,、                                               
                                                       ,ll゙:::::゙ll,、                                              
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荒らしその1「ターキーは鶏肉の丸焼きじゃなくて七面鳥の肉なんだが・・・・」

信者(荒らしその2)「じゃあターキーは鳥じゃ無いのか?
ターキーは鳥なんだから鶏肉でいいんだよ
いちいちターキー肉って言うのか?
鳥なんだから鶏肉だろ?自分が世界共通のルールだとかでも勘違いしてんのかよ」

鶏肉(とりにく、けいにく)とは、キジ科のニワトリの食肉のこと。
Wikipedia「鶏肉」より一部抜粋

信者「 慌ててウィキペディア先生に頼る知的障害者ちゃんマジワンパターンw
んな明確な区別はねえよご苦労様。
とりあえず鏡見てから自分の書き込み声に出して読んでみな、それでも自分の言動の異常性と矛盾が分からないならママに聞いて来いよw」

>>1「 ターキー話についてはただ一言
どーーでもいいよ」
※このスレは料理上手なキャラが料理の解説をしながら作った料理を美味しくみんなで食べるssです
こんなバ可愛い信者と>>1が見れるのはこのスレだけ!
ハート「チェイス、そこのチキンを取ってくれ」  【仮面ライダードライブSS】
ハート「チェイス、そこのチキンを取ってくれ」  【仮面ライダードライブSS】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1450628050/)


>>1を守りたい信者君が取った行動
障害者は構って欲しいそうです
障害者は構って欲しいそうです - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1451265659/)

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http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira097904.png


にこ「!」ピクッ

花陽「!」ピクッ


英玲奈「むっ・・・/// こ、こういうのは私には似合わない。にゃあ」

あんじゅ「ん~~?? にゃあ?????」ニヨニヨ

英玲奈「コホン...い、いや。にゃ―――なんでもない。・・・・にゃ」

あんじゅ「ふ~ん?」ニヨニヨ



にこ「・・・・・・・・」

花陽「・・・・・・・・」



あんじゅ「ねえ、えれなぁ~」

英玲奈「にゃ―――なんだ」

あんじゅ「その姿の英玲奈。とっても可愛いわよ♪」ニコッ←普通の女の子スマイル

英玲奈「にゃ?!/// そんにゃ訳・・・・///」モジモジ

あんじゅ「とっても女の子らしくって。す・て・き♪」ニコッ←普通の女の子スマイル

英玲奈「そ、そうにゃのか・・・・///」テレッ



にこ「きゃああああああ!!!! エレナさまあああああ!!!」

花陽「ごふっ!!!」ブシャァア



凛「ああっ?! かよちんが鼻血と涎とかその他色々噴出して倒れたにゃ!」

花陽「」グッタリ

凛「もう手遅れにゃー! わあああ!!」



あんじゅ「うふふ。私も何か使いたいわぁ。何かないかしら」ゴソゴソ

あんじゅ「んっ? ・・・・・おやぁ、これは」


あんじゅう「ねえ、希ちゃん。これはなーに?」

希「そのムチはな、装備すると偉くなれるムチなんよ」

あんじゅ「へえ」ニヤッ←悪魔スマイル

あんじゅ「面白そう・・・・うふふ」スチャ

にこ「あああ! あんじゅ様! 素敵です! ムチ持ちの姿、最高に似合ってます!」

あんじゅ(ムチ持ち)「うふふ、ありがとぉ。・・・さーて。誰から叩かれたいのかしら?」ビュン!  ビュン!

にこ「!!! にこを! このにこを! にこを叩いてくださいいいいい!!!」

真姫「ちょ?! にこちゃん何言ってるの?!!」

あんじゅ(ムチ持ち)「なあに? それが叩かれたい人の態度かしらぁ? 叩かれたかったら、まずはひざまづきなさい。そして懇願なさ~い」ニヤァ←女王様スマイル

にこ「あ! あ! あああ!!! このにこのーーー」



希「ちなみに、そのムチはアルパカの毛で作られとるからモコモコしてて、人をひっぱたいてもケガせんから安心なんよ」





にこ「にこの恥骨をひっぱたいてください!!」

真姫「にこちゃん! 正気に戻って!」ユサユサ

あんじゅ(ムチ持ち)「ほら! 貴女もひれ伏すのよ!」ビィン! ビィン!

真姫「はぁ?! 誰があんたなんかに! ・・・・あ、えっ?」膝を付く

真姫「なっ?! なんで?! 体が勝手に・・・」ガクッ

あんじゅ(ムチ持ち)「お~っほっほっほ! いい気味ねえ!!」

真姫「くっ・・・! 屈辱! この高貴な真姫ちゃんさまがっ!」フルフル

あんじゅ(ムチ持ち)「ほら! そっちの雌猫から叩いてあげる!」

あんじゅ(ムチ持ち)「どう?! 気持ちいかしらぁ!!?」バシン! ビシン! ←アルパカのモコモコ

にこ「ありがとうございます! ありがとうございます!」

あんじゅ(ムチ持ち)「叩かれてお礼を言うなんてこの変態! うふふ! でも、正直な子は好きよ!!!」バシュ! バシッ! ビシッ!  ←アルパカのモコモコ
 
真姫「くっ!! 何とかしてあのレズ女を止めないと・・・!」



海未「ぬふぅ・・・」つ銃



真姫(・・・あっ! あれは!)

真姫「・・・・・よしっ!」グッ

真姫「ねえっ! そこのクソレズビッチカミノケイジイジ女!」

あんじゅ(ムチ持ち)「ああん? 今なんて言った?」カミノケイジイジ

真姫「このレズ退治銃でぶっとばしてあげるわ! 喰らいなさい!!!!」カチッ


真姫つ銃 →光線→    あんじゅ   <ビビビビビ!
真姫つ銃 ←←光線⊃   あんじゅ   <ビビビビビ!


真姫「え、ちょ」

真姫「VEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!!!!!」バリバリバリバリバリバリバリバリ

あんじゅ(ムチムチ)「あっはっはっはっは! 自滅かい? 憐れねえ!! 綺麗な花火だったわよ!」










真姫「ヴェヘェ.....」パタッ

にこ「あんじゅ様//// あんじゅ様///」スリスリ

英玲奈「にゃ、にゃん・・・・か。・・・・・ふふっ/// そうか、可愛いのか・・・///」モジモジ

花陽「」グッタリ

凛「かよちん目を覚ましてにゃー!!!」

ツバサ「しりた~~~い♪ しりたぁぁぁぁぁぁあああああああい!!!」ヽ(´Д` ) 三 ( ´Д`)ノ

絵里「広島怖い広島怖い広島怖い広島怖い・・・」ガクガク

海未「ぬふぅ・・・・」グッタリ





希「ああもう、無茶苦茶やなあ。どないしよ、これ」












ガチャ

ことり「ああ、これから一体どうすれば・・・」




ムクッ

海未「どうすれば・・・」






のぞえり「どうすればいいの?」









穂乃果「・・・・・・・・・・・・・」



穂乃果「・・・・・・・・・・・・・」





穂乃果「だってー かのーせーかんじたんだ♪」



穂乃果「そーだー・・・ススーメー♪」



穂乃果「こーかい したーくない目の前に 僕らの 道があるーーーー・・・・・・」



チャチャン♪
デゥーン♪




りんぱな「「レッツゴー! どぅー! あーい! どぅー! あーい! らいぶイエスどぅー!」」



にこのぞえり「「「あーい! どぅー! あーい! らいぶ!」」」



A-RIZE「「「Let’s Go! Let’s Go! Hi!!」」」




ダダンッ!
ジャジャジャンジャン♪
ジャジャジャンジャン♪




ことほのうみ「「「わん、とぅー、すりー、ふぉー!!」」」」





テレッテテッテレテ♪
テーテーテー、ダダダン♪



















真姫「・・・・ミュージカルオチなんてサイテー」カミノケクルクル











おわり





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\\家猫☆凛ちゃん!//

凛ちゃんは花陽の大切な友達です。




花陽「いってきまーす」

凛「んにゅー・・・」ガシッ

花陽「きゃ。もうー。凛ちゃんったら」


花陽(花陽が外に出かけるとき、凛ちゃんはいつも、寂しそうな声を出しながら花陽の脚にしがみつきます)




凛「にゃー・・・・にゃー・・・・」ウルウル

花陽「可愛いなあ/// もう///」ナデナデ

花陽(そのまま遊んじゃったりして、しょっちゅう遅刻しそうになります・・・)




---------------

凛「にゃん」プイッ

花陽「もー。なんで食べないのー? 色々食べないと栄養が偏っちゃうんだよ」


花陽(凛ちゃんはお魚が嫌い。一般的にはすごく好きそうっていうイメージがあるのに、凛ちゃんは全然お魚を食べてくれません。その代り・・・)




花陽「やっぱりこっちが食べたいの?」

凛「にゃ♪ にゃん♪」ハグハグ

花陽(凛ちゃんはラーメンが大好き。変わってるなあ。一度茹でて塩分を薄めてるから、体には毒じゃないと思うんだけど・・・)




---------------

花陽「凛ちゃん。じっとしててね」ジャー

凛「ほんにょぇぇええおおおおぅぅぉぉお~~~~・・・」


花陽(一年に一回くらいは、凛ちゃんをお風呂に入れてあげます。だけど凛ちゃんはお風呂が大嫌い。お湯を掛けるととっても情けない声を出すんだけど、それが可愛いの♪)




凛「ふにゅ~・・・」ソロー...

花陽「まだだよー。しっかり泡を落とさないとね」ガシッ


花陽(さりげなくお風呂場から逃げ出そうとするけれど、花陽は逃がしません♪)




凛「にゃー・・・・」グテー

花陽「そうそう。じっとしててね


花陽(しばらくすると凛ちゃんは観念しておとなしくなります。この間に体を洗っちゃいます)


---------------

花陽「凛ちゃーん///」モフモフ

凛「んにゃ?」


花陽(花陽は凛ちゃんのお腹が大好きです。オレンジ色の短くて細い毛は、とっても柔らかくてふわふわもこもこなの♪ 特にお風呂上りは・・・もう最高♪ 凛ちゃんのお腹に顔を埋めている時がとっても幸せです♪)




花陽「幸せー・・・」スンスン

凛「にゃー・・・・」グテー


花陽(お腹を触られるのは、凛ちゃんは少し嫌そうですけど、おとなしく撫でられてくれます。いい子だね♪)



---------------

花陽(ある日の晩のお話です)


花陽「ぐー・・・」zzz


・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・

花陽「・・・・ん? あれ? ここどこ?」

花陽「・・・・学校かな」


花陽(明晰夢というのでしょうか。自分が今夢を見ているということを、夢の中の自分が認識している状態です)




花陽「・・・・・」ボー

花陽「んー・・・。ちょっと歩いてみよう」テクテク


花陽(クラスメイトがちらほらと目に入ります。今の所は、現実の学校と同じ感じです。だけど、すぐに不思議な事が起こります)




花陽「・・・・・えっ?」

花陽「こ、これは、もしかして・・・?!」ワナワナ

花陽「う、魚沼産コシヒカリ!!?」ズバーン 

花陽「ほわー!! なんという艶なんでしょう!!! 匂いだけでお腹いっぱいです!!!」ホカホカ


花陽「・・・・・んっ? あっちのは・・・・」

花陽「あ、あれは、もしかして・・・?!」ワナワナ

花陽「伝伝伝のDVDボックス・・・・?!」

花陽「え、いや・・・・。似たようなのが10個並んでいるけど、これは・・・?」ジー

花陽「!!!? 伝伝伝DVDボックス第1巻から第10巻が並んでるノ゙ォ!!?」ズババーン

花陽「え? えっ? ど、どういうことなノォ?! ただでさえ伝説なのに・・・シリーズ化されてたなんて全然知らなかったよ!!」

花陽「し、しかも・・・・! これって全部花陽の物なのぉ!!!?」

花陽「はぅぅぅ!!! なんという幸運でしょう!!!」


花陽(夢というのは大抵現実ではありえない支離滅裂な内容です。それが明晰夢となると、自分にとって都合の良い事を意図的に起こすことができます)





花陽「はぅぅ! 幸せ~・・・」

花陽「どんなことでも、なんでも自由なんだぁー・・・・」



花陽「自由・・・・なんだ・・・・・・・」

花陽「・・・・・・・」

花陽「・・・・・・・」


トクン


花陽(そう。夢の中で夢だと気が付いたら、なんでも自分の自由です。思うがままです。空だって飛ぶことができます)



花陽「なんでも・・・」


トクントクン


花陽「・・・・・・」

花陽「・・・・・・」

花陽「・・・・・・・・・・・」ムラッ



花陽(花陽も、もう高校生です。その・・・・たまには、一人で慰めることもあったりします・・・)

花陽(だけど・・・。相手がいた方がいいに決まってます。一人のときだって・・・相手がいる事を想像しながらですし・・・・。もちろん、現実に相手を作ることなんてできるわけがありません。人見知りで引っ込み思案な花陽は、そんなことができるきっかけすら起こりません)



花陽(・・・・・・・でも、)

花陽(でも、今なら、なんでも自由です。どんなに自分勝手な事をやっても、現実の人には何の迷惑もかかりません)

花陽(それが分かったのなら、やることなんて一つです)



花陽「・・・・・・誰かいないかな?」キョロキョロ


花陽「・・・・・・ちょっと歩こう」フラフラ


花陽「・・・・・・・・」フラフラ テクテク


ガラッ


花陽「・・・・ここは・・・。家庭科室・・・かな」


花陽(たどり着いた先は家庭科室でした。そこに居たのは・・・)


ポロン♪ ポロン♪


真姫「・・・どう? こんな感じかしら」

海未「うーん・・・。そうですねえ・・・。ここは元気な印象を持たせたいので」

真姫「そう。じゃあ、これはどう?」

タララン♪




海未「あっ、いいですね。これでいきましょう」

絵里「みんなー。ペリメニ焼けたわよー」ジュー


花陽(言わるゆるソルゲ組の皆さんでした。μ’sでも特にスタイルが良くてクールでカッコイイ雰囲気を持っている人達です。自分の体型にコンプレックスを持っている花陽にとっては、憧れの人達です)

花陽(なんで、海未ちゃんと真姫ちゃんが家庭科室で作曲しているのか、なんで家庭科室にピアノがあるのか。それは分かりません。夢というのは支離滅裂なものです。ちなみにペリメニは焼くものではありません)


花陽「真姫ちゃん、海未ちゃん、絵里ちゃん・・・」

花陽「・・・・・・・・」

花陽「・・・・・・・・」ムラムラッ


花陽(心臓が大きく鼓動しています。花陽の頭の中は常識外な事でいっぱいです。今は夢の中で、ここで何をしても現実の人には誰にも迷惑がかからない。その状況を理解しているから、理性が働くことなどあるはずもありません。・・・・おぼつかない足取りで歩みを進めます)


花陽「ふーっ、ふーっ」フラフラ


花陽(興奮で呼吸が荒くなっています。もう我慢の限界でした。頭を支配しているリビドーを今すぐ解き放って快楽の海に溺れたい。そんな気持ちが、三人にたどり着く前にはち切れそう)

花陽(我慢の限界。・・・・・・・その時でした)





凛「にゃ?」

花陽「・・・・り・・・んちゃん?」


花陽(花陽の足元にいつもの小さな凛ちゃんがいました)

凛「にゃーん」スリスリ

花陽「・・・・・・・・」

花陽(凛ちゃんは人間に換算するとおおよそ15歳です。もう良いお年頃です。しかも運動が好きな凛ちゃんはソルゲ組の皆さんに負けないくらいとても綺麗でスリムな体つきです)


花陽「・・・・・」グイッ ガバッ

花陽(我慢の限界だった花陽は、戸惑うことなく、凛ちゃんを押し倒し、仰向けに寝かせます)


凛「にゃにゃ??」キョトン


花陽(凛ちゃんはW字開脚となってお腹が無防備に晒されます。花陽の大好きな凛ちゃんのお腹)

花陽(凛ちゃんのふわっふわっでもこっもこのオレンジ色の短い毛)


花陽(花陽は膝立ちになって、おもむろにパンツを降ろし







第4話:伏線回収
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えりこは着替えを持って浴室に向かう。
そらは恥ずかしそうにえりこの後を追った。
『ん? そら、どうしたの?』
『えっ? 今、お風呂に入るって・・・?』
『一緒に入るの? それはちょっと恥ずかしいわね』
そらは、戸惑うえりこの姿を見て、疑問に感じた。そらは自分の知っている作法を話した。
そらは初めての友人とのお泊り会の相手がいずみだった。
いずみは、お泊り会の時は、一緒にお風呂に入らないといけない決まりがあるとそらに教え込んでいた。
それで、そらは今回も同じようにしないといけないと思っていた。
『あははっ! そら、そんな決まりはないよ』
えりこに笑われ、恥ずかしさで俯いてしまう。
『すいません、変なこと言ってしまって・・・』
『別に変なことでは無いと思うよ。本当に仲の良い友達同士なら、一緒にお風呂に入ることもあると思うよ』
一緒にお風呂に入ることはそらも恥ずかしかったので、そらはそれを聞いて少し安心するが、逆に、一緒にお風呂に入ろうとして戸惑われたことが、私達まだ仲が良くないでしょ、と言われた気がして、少し落ち込む。
そんな矛盾する考えを持っている事が面倒くさくてそらは自分に嫌悪感を覚える。
えりこはそんなそらを見て、言葉をつないだ。
『でも、そらだったら、一緒に入ってもいいけど』
『あっ・・・えっと・・・・。ボ、ボクは後でいいですっ』
そらは、急に羞恥心に頭を支配され、反射的に断ってしまった。
断ってから、えりこの気遣いを無駄にしてしまったことを後悔する。
『そう、残念。それじゃ、またの機会にね』
“また”という言葉を聞いて、次があるんだと、そらは嬉しくなった。その時までに、もっと仲良くなっておきたいと、そらは思った。
そらはえりこが浴室にいる間、特に何もしなかった。旅行に行っているお隣さんの預かっている飼い猫のようにおとなしくしていた。
こういうとき、そらが今まで読んだ漫画や、見てきたアニメでは、ベッドの下や押し入れの中を調べたり、タンスを開けて下着の趣味チェック等、持ち物検査をするというシーンがあった。
しかし、そんなことを実行する勇気は、当然そらには無い。おとなしく待った。おとなしくえりこの部屋の匂いを堪能した。
えりこはバスローブを羽織って浴室から出て来た。露出度はそんなに高くないはずなのに、どこかエロチックを感じたそらは、そのいやらしい考えを悟られる前に、慌ててえりことすれ違って浴室に向かった。
そらが体を洗い終え、浴室から出ると、えりこはベッドに腰を掛けて何かを手に持っていた。何かの冊子の様である。
えりこはその冊子を手に持って、読まずに表紙を眺めている。何か見覚えのあるような気がする。そらは思った。
浴室から出て来たそらの存在にえりこが気が付くと、顔を上げてそらを見る。
『ウフフ。持ち物検査したら、面白そうな物が出てきちゃった』
えりこの発言を瞬時に理解できず、放心するそら。しかし、本当はえりこの言った意味をちゃんとすぐに理解していた。理解できなかったのではなく、正しくは、理解したくなかったのだ。
そらができなかった持ち物検査を、えりこは実行したようである。そらのカバンを勝手に漁ったことを悪びれもせず、そのことをえりこは素敵な笑顔で自ら白状した。
『ち、ちがうんです、それ、弟が描いたやつで』
しかし、その事実を未だ受け入れることができないそらは、咄嗟に嘘をつく。
『表紙にそらの名前が書いてあるよ』
『・・・・』
もはや言い訳のしようもない。そらは居た堪れなくなって、その場に立ち尽くす。
えりこが持っているのは、そらがカバンに入れていた自分が描いたマンガであった。戸棚の奥に封印しておくつもりが、ノートか何かと間違えてカバンの中に紛れ込んでしまったようである。
そらが恐る恐る尋ねる。
『よ、・・・読みました?』
『まだ。読んでもいい?』
とんでもないと思ったそらは、すぐに断ろうと思った。
しかし、ある考えが頭の中で引っかかって、声が唇の手前で止まる。

えりこが手に持っているマンガは、普段の自分の一人ぼっちの日常を自虐ネタにして描いた物だった。ギャグマンガのつもりで描いたが、後で自分で読み返してみると、なんと根暗で、痛々しくて、稚拙で、絵も下手くそで、一体どこに笑える要素があるのだろうと疑問だらけの内容で、早々に黒歴史認定したマンガだった。
でも、本当は誰かに読んでほしいと、心の奥底では思っていた。

そらは、普段はネタを色々なとこから仕入れる。天から舞い降りたようにネタがふと頭に湧き上がることもあれば、日常の生活の中から面白いことを見つけることがある。そういう時はすぐにメモに書き込んだりする。一旦ネタを描き起こすと、寝るのも忘れ夢中になって進めてしまう。描いているときは本当に楽しく、途中で読み返してみたら、面白くて自分で笑ってしまう程だ。もしかしたら自分には天性のギャグセンスがあるのではなかろうかと、思い上がることもある。誰かに読んでもらって、すごく面白いと言われるところを想像すると、更に筆が進んだ。
描き終えて一晩経って、細かいところを直す。やっぱり面白いと感じる。読み返してみて、また一晩経って細かいところを直す。それを数日間繰り返す。ある時、ふと、自分のマンガに対する感想が、面白いから酷い内容というものに置き換わる。数日前には確かに誰かに読んでもらいたいと思っていたはずが、いつの間にか自分ですら読みたいと思わなくなる。そうなったマンガは戸棚の奥にしまい込む。
そらは、そんなことを過去に何十回と繰り返して、今に至る。戸棚にしまったマンガは、今となっては手に取るのすら抵抗がある。



自分ですら手に取るのに抵抗があるそんなマンガが、今はえりこの手にある。
えりこは柔らかい表情をしながら、そらの返事を待っていたが、なかなか返事が無いそらに対して言葉を掛ける。
『そらってさ、』
えりこに何か言われる。そらは緊張した。身構えた。
やはり、マンガを一人でにコソコソと自己満足で描いている事を、根暗な趣味だと憐みの目で見られるのか。あるいは、マンガがえりこに見つかった時に、そらが咄嗟に『弟が描いたもの』と嘘を吐いたことを非難されるのか。それとも、お泊り会での作法で、そらがまだ知らない何かで粗相をしてしまったのか。
ネガティブな考えがぐるぐるとそらの頭の中で迷走する。
そらは固唾を吞んでえりこの言葉に耳を傾ける。
『絵が上手だね』
えりこは、そらのことを憐みの目で見ることも無ければ、非難することも無かった。ただ、表紙の絵を改めて見て、思った事を言った。
『そう・・・ですかね・・・?』
『うん、上手だよ。絵を描くのが得意なんだね』
やはり、マンガを描き始める以上、そらは、自分が描く絵には、それなりに自信はあったのだ。それを素直に褒められ、嬉しくない訳が無かった。そらは得意な気分になる。
『はい・・・。少しくらいは・・・得意かもしれません』
『全然、少しじゃないよ。そらは得意だよ。絵がね』
『そんなに得意でしょうか・・・? ボク』
『うん。そらは得意だと思うよ』
『ありがとう・・・ございます。そう言われるとボク、結構、得意な気がしてきました』
『うんうん。絵が、得意なそら、なんだよ。だから、マンガも得意だよね、きっとね。期待しちゃうなあ。それじゃあ、そらが得意だと分かったところで、中を読んでもいいよね。ね?』
マンガは見られたくない。どうせ面白い訳がない。自分がそう思っているのだから、他人だってそう思うはずだ。つまらないと言われるのが怖い。
そもそも、このマンガは根暗でオタクな日常を描いた物だ。それに対してえりこは、美人で教養があり、バレエの経験もあり、おっぱいも意外と大きく、それこそ毎日充実した日々を送っていそうな女性だ。そんな人がこんなマンガを読んだら、気持ち悪がって蔑むに決まっている。怖い。
怖い。
怖いはずなのに。怖いという感情越しにえりこを見ると、怖くなくなる。そらの中ではえりこという人間に怖いという感情がどうやっても結びつかない。
コミュニケーションが苦手なそらは、対人するときにどうしても緊張してしまうが、不思議とえりこの前だと、そうはならない。えりこを見ていると、えりこの傍に居ると、何故だがとても安心感があって、気持ちが安らぐのだ。えりこと言葉を交わす度、そら自身の中にある陰鬱で消極的な考えがどんどんと希釈されていく。そうすると、そらの中にある本当の願いが頭を出す。
誰かに自分の描いたマンガを読んでもらいたい。
マンガを描き始める動機はいつだって、面白いと思ったからだ。更に、誰かとその面白さを共有できたら、どんなに楽しい事だろう。特に、その誰かがえりこだったら、どんなに素晴らしい事なんだろう。

そらは、マンガを読むのも描くのも、本当に好きだった。だから、真面目に漫画家になりたいという夢も持っている。そのために、生まれてきてからずっと何度も描き続けてきたマンガ。長きに渡って、漫画家になるべく歩んで来た道。あるところで壁にぶつかった。描いたはいいが、誰かに見てもらいたいけど、見せたくない。気軽に見てもらえるような親しい友人もいなかったせいで、今までずっと壊せなかった壁。その壁を前にしたら、何もせず、いつも引き返していた。今回も引き返そうとした。

しかし、そらは何度もマンガを描いていくうちに、絵も上手くなっていくし、ネタも洗練され続けていた。その度に、誰かに見てもらいたいと言う気持ちは大きくなり、壁はそれを抑えきれずに亀裂が入っていたのだ。そして、その亀裂に、今ようやく気が付いた。ならば、やることは一つ。
『・・・・・はい・・・。読んで・・・ください』
その壁を、今夜えりこに背中を押されて、ようやく壊すことができた。

えりこは、吐息と一緒に小さな笑みを零し、そらのマンガに目を落とす。
えりこが表紙を捲る。人生で初めて創作物を人に見られたそらは、緊張する。でも、えりこの傍にいると緊張しない。矛盾した心境だ。
そらの心臓がドキドキと激しく鼓動し、冷や汗が出てくる。やっぱり緊張している。
そらは立っているだけなのに、心身ともに疲労が勢いよく溜まっていく。しかし、脳はそんなことは構っていられなかった。今は、えりこの最初の言葉がそらにとって最も重要な事だ。
二十数ページの内容なので、全て読むのに数分はかかる。えりこの感想を聞けるのは、それからだ。そらは、そう思った。
『ぷっ。あははっ。面白い』
そらの予想に反して、えりこは、数ページ読んだところで声を出して笑っていた。
『あー! これ、あるある! 分かる!』
そらは目を見開き、えりこに顔を向ける。
えりこは、美人で教養があり、バレエの経験もあり、おっぱいも意外と大きく、それこそ毎日充実した日々を送っていそうな女性だ。そんな人がこんなマンガを読んだら、気持ち悪がって蔑むに決まっている。こんな根暗でオタクなマンガに共感してくれるわけがない―――そう考えていたが、現実はマンガを読んで笑っている。えりこは確かに笑っている。
そらの中では、えりこは普段の所作や容姿、ファッションセンスから見て分かるように、気高く気品が溢れる女性という印象が強い。それに反して、今のえりこは、悪く言えば少しだらしないくらいに表情を崩して笑っていた。
本当に笑ってくれているののか信じられなかったそらは、目をギュッと閉じて、一呼吸入れる。あんなに笑っているえりこは、普段の姿からは想像できない。だから、見間違いかもしれない。
目と脳を休ませ、もう一度えりこの顔を見直す。
『いやいや、筋肉もりもりじゃん! さすがにそれはないっしょ! あははっ』
やっぱり笑っていた。時折、頭や上体を少しのけ反らせて、笑っている。
筋肉もりもりという言葉を耳にして、自分が面白いと思ったネタの所でえりこが笑ってくれているのがよく分かった。
自分のマンガがウケている。間違いない。
そう確信したそらは、とにかく嬉しかった。それと、今までの苦労が無駄じゃなかったと分かった安堵、また、その他形容しがたい高揚とした色々な気持ちで胸がいっぱいになり、それが涙となってと目から溢れ出る。
そらはえりこの笑い声を聞きながら、静かに涙を流し続けた。


『ふふふっ。面白かったよ、そら。すごい・・・って。ど、どうしたの、そら!?』
えりこが最後のページを閉じて、そらに顔を向ける。泣いているそらに気が付く。
えりこはそらのマンガを机に置き、それから慌てて立ち上がり、そらに寄り添う。
そらはえりこに無駄な気遣いをさせたくないと思い、すぐに涙を止めようとした。しかし、止まらなかった。代わりに口で大丈夫だと伝えようとした。しかし、口から出てくるのは嗚咽ばかりだった。無力な自分が嫌になってくる。
『どこか痛いの? 気分が悪いの?』
えりこはそらに具合を聞いた。そらは声で返事はできなかったが、これだけはちゃんと答えねばと、必死に首を左右に振った。
『そう・・・』
えりこはそらの体が不調でないことを知って、ひとまず安心した。
『とりあえず、座ろう?』
えりこはそらの両肩に優しく触れて、ベッドまで誘導して、並んでベッドに腰かけた。
『やっぱり、マンガ読まれるの嫌だった? 私も結構強引に、読ませてって迫っちゃったしね』
えりこは心配そうに尋ねる。
それだけは絶対に違うと、そらはもう一度首を左右に振る。
『そう? んー・・・。それじゃあ、もしかして笑うような作品じゃなかったのかな? ごめん、私、鈍感だから・・・』
えりこは申し訳なさそうに謝る。
それも違う・・・そらはその気持ちを込めて、また首を左右に振って答えようとする。しかし、それではさっきとやっていることが全く同じだ。泣き虫な自分が嫌になる。
このまま続けていたら、どんどんえりこを落ち込ませてしまいそうだった。
それだけは絶対に嫌だと、そらは力を振り絞って声を出す。
『ち・・・ちっ・・違うんです! ボ、ボク・・・えりこ先輩にマンガ読んでもらえてすごく嬉しかったんです!』
普段の声量だと、言いたいことが嗚咽に埋もれてしまいそうだったので、そらはできるかぎり大きな声で、自分の気持ちを声でえりこに伝えた。
えりこはそらの急な大声に少し驚く。そらの顔を見ると、まだ目元は涙で濡れていた。
『・・・・そっか』
えりこはそらの頭に手を伸ばし、優しく髪を撫でた。
そらはえりこに触れられて、体から毒気が抜けていくのを感じた。心が穏やかになり、嗚咽や涙は勢いを弱くしていく。
そらの表情が少し落ち着いたのを見たえりこは、話しを続ける。
『私の方こそ、ありがとう。なんだか、久しぶりに笑った気がするから』
何のひねりも無いお礼。ひねりが無いからこそ、直接そらの心に届いた。
やっぱり面白かったんだと、再認識する。嬉しさのあまり、そらは自然と笑みを零す。だらしない顔だろうから、見られないようにと、顔を俯ける。
『ふふっ。そら、嬉しそうだね』
隠していたつもりの笑顔を見られてそらは体をビクッっとさせる。顔は既に真っ赤になっている。手を膝の上でギュッと握りしめる。
『でも、そんなに嬉しいものなの? 私、本当に読んだだけだよ? こんなに面白いマンガだったら、他にも笑っちゃう人、たくさんいたでしょ?』
『いえ・・・。えりこ先輩が・・・初めてです・・・。読んでくれたの』
『えっ? そうなの? そらのマンガ面白いのに。もったいない』
『ほとんど自己満足で終わっちゃってた物だから・・・。それに、誰かに見せたら、批判されるのも怖くて・・・』
『ふーん。そうなんだ。それはもったいないよ。このマンガ本当に良かったから。ギャグも笑えるし、それに絵も可愛かった。特に主人公の女の子がいいよね。変身した後がすごく可愛かったし。そらみたいだった』
主人公はそらが自分を投影したキャラクターだった。マンガの中の変身とは、毎日のように引きこもって不健康な生活を送っていたそらが、探偵コスプレ部に入って、いずみとすずこというモデル二人の手ほどきで美しくなった様を表現したものだった。
可愛い可愛いと、いずみは何度もそらに直接言っていたが、マンガの主人公が可愛いと言われるのは、そらにとって直接可愛いと言われるより数倍恥ずかしくて、数百倍嬉しかった。なぜなら、『主人公の女の子が可愛い』と言う言葉は、そらが描いたマンガとそら自身を同時に褒めていることだったからだ。それを心惹かれているえりこに言われたのだったら、なおさらだ。
『面白いって言ってくれてありがとうございます。初めて読んでもらった人がえりこ先輩で本当に良かったです・・・』


そらは改めて言葉でえりこにお礼を言った。
『ふふ。私がそら先生のファン一号だね』
えりこにマンガを見てもらったこと。笑ってくれたこと、面白いと言ってくれたこと。主人公が可愛いと言ってくれたこと。そして、ファンだと言ってくれたこと。
次から次へと発せられるえりこの言葉に、そらは、嬉しくて楽しくて、頭がおかしくなりそうだった。
そらの中で、えりこは友達以上のとても大きな存在になっていく。
『ねえねえ。他にも描いたマンガってあるの?』
『は、はい・・・一応』
『読みたいなあ』
『えっと・・・・。さっき読んでもらったやつより、面白くは無いかもしれませんけど・・・』
『読みたいなあ』
『わ、分かりました・・・・・』
『ふふ。絶対だよ』
そらはすっかりえりこに心を許していた。今まで描いたマンガは絶対に人に見せたくないと思っていた負の感情は、えりこの前であれば、ほんとど払拭できていた。それによって、マンガをえりこに見せる約束をできた。
『それにしても、そらがマンガ描く人なんて全然知らなかった。前々から、そらは絵が上手いなあとは思ってたけど。いつ頃からマンガ描いてたの?』
『小さい頃からずっとです。生まれた時から漫画家になりたいって思ってたから』
『へー! 道理で上手な訳だ。でもさ、漫画家になりたいって思ってたのなら、漫画研究部とかに入った方が良かったんじゃないの?』
『そうなんですけど。でも、中学生の頃から芸人にもなりたって思って。それから高校生の頃からアイドルにもなりたいって思って』
『すごいなあ、そらは。夢がたくさんあって。しかもどれも全部がんばって活動しているもんね。芸人アイドル研究部に、探偵コスプレ部に、学校だっておろそかにしてないし・・・そらは本当に努力家なんだね』
そらのことをよく理解しているえりこは、そらの具体的な努力を的確に口にする。
それに照れつつ、えりこに気を許したそらは、あまり人に話さなかった想いを語り出す。
『あれやこれやと、優柔不断かもしれないけど・・・。でも、テレビや漫画で活躍する人を見るたびに、ボクも何か努力をして、それで誰かを楽しませたい、笑わせたい、元気付けたい・・・そうやって、夢のような時間を人に与えたい。強くそう思えるんです。だから、漫画家、芸人、アイドル。どれも本当にやりたくて・・・。でも、現実的に考えたら全部はいっぺんにできないでしょうけど・・・。運動だって苦手だし・・・』
『ううん。そらはすごいもん。一生懸命だし絶対全部できる。だって、そらは人を楽しませる才能があるよ。その証拠に、ただこうやってお話しているだけで、私、すごく面白いもん。それと、運動苦手っていうけど、ダンスが他の人より遅れてる所も、それはそれで面白くて可愛いよ』
『そ、そうですかね・・・?』
えりこはそらの夢とそれに対する想いを聞き、共感し、肯定し、そして応援した。そらは照れて、自然とはにかむ。
えりこの言葉を受けて、そらは自分の夢を叶える決意を更に固めた。
『うん。そら、カッコいいよ。・・・・私、そらのこと好きになっちゃったかも』
『えっ?! と、突然どしたんですかっ。ボ、ボク何もしてないですよ・・・。マンガ読んでもらっただけで』
『そうだっけ? でも、私って結構チョロくてドMだから、それだけで好きになっちゃう』
えりこは表面上は冗談っぽくそう言って誤魔化すが、実はそれは照れ隠しで、本当は一途な想いが込められている―――そらがそうなんじゃないかと考えた途端、えりこの今の一言の方がそらの感情を大きく高ぶらせた。その感情の高ぶりは、今までにいずみに言われていた『好きだ』とか『可愛い』だとか『お尻見せて』とか言われた時の事全部を足し合わせても、上回っていた。
『・・・・。なんかごめんね。そらに楽しんでもらうために、今日招待したのに、私ばっかり楽しんじゃって』
『そんな! ボクも楽しいですから』
そらにとっても、今日の夜が一生忘れらない事になるくらいには、楽しいお泊り会になっていた。
『そう? それならいんだけど。でも、やっぱり私だけそらのこといっぱい聞いて、そらのこといっぱい知っちゃったら、不公平だよね。そらは私に何か聞きたいことある?』
『えっ? そ、そうですねえ・・・』
『根ほり葉ほりとことん聞いてよ! なんでも答えるからさ』
そらは高揚している頭を落ち着けて、えりこについて知りたいことを考える。
そして、えりこについて前々から思っていたことを思い出す。
えりこは類まれない程の美貌と美声を持ち、更に三か国語を操るほどの才女であり、絶対領域が最高にエロい。根暗で引き込もりなそらとは対照的で次元が違う人物。そんな女性として完璧な人が何故、芸人アイドル研究部にいるのだろうか。
芸人というのは、悪く言えば道化だ。人に笑われるのが仕事だ。完璧な女性であるえりこが、何故、わざわざそんな道化の世界に足を踏み入れたのだろう。他にもっと良い選択肢があるだろうに。
それが分からず、そらの目にはえりこがどこか不気味に写っていて、今までなんとなく避けていた。
しかし、そらは今日えりことたくさん言葉を交わした。そうしている間に、えりこはとても優しく、話しやすく、庶民的で、そらと同レベルの重課金兵士で、キャストなのにライブ会場を間違えちゃうようなドジッ子だと、そらは知ることができた。少なくとも、昨日まで感じていた次元の違う人間という認識は今日だけでかなり変化していた。えりこはとても身近で親しみやすい存在だと思えていた。そらはえりこという人間についてもっと知りたくなっていた。

>>185
30行目

>>186
12行目
16行目
30行目

>>202
29行目

×:A-RIZE
○:A-RISE


ご指摘ありがとうございました。


先程そらはえりこに自分の夢を語った。えりこはその夢を共感してくれた。
そらもえりこの夢が気になった。そらもえりこの夢で共感したかった。
えりこの夢は何か・・・?
それを教えてもらえれば、えりこという人間についてもっと知ることができる。
夢を語り合った同士として、えりこともっと深く分かり合える。
その夢は、もしかしたら芸人アイドル研究部入った理由に繋がっているかもしれない。そらと同じように。
そらは、その想いを胸に、おずおずと質問する。
『あのっ・・・・。えりこ先輩の“夢”は何ですか?』
『・・・・。私の“夢”かあ・・・』
えりこは先程『なんでも聞いて』と意気揚々と言っていたが、そらが質問した途端、明らかに声のトーンが下がった。そして、言葉が途切れた。
さっきまで楽しく会話していたのが嘘のように、部屋は静かになる。
そらは、何かいけない事を聞いてしまったのかと、少し不安になる。えりこの方を見ると、えりこは黙って上を見上げていた。
そらは、その視線の先に何かあるのかと思い、見上げるが、天井には照明器具しか見当たらない。
そらは視線を降ろしてもう一度えりこを見る。
えりこはベッドに腰を掛けている。両手はベッドの端を軽く握っていて、左右の足を交互に振り子のよう動かしている。バスローブの短い裾から見えている大腿がとてもセクシー。恥ずかしくなったそらは慌てて視線を上げる。
えりこの口は閉じていて、開く気配はないが、えりこの表情は不機嫌なようには見えない。むしろ、とてもリラックスしているようである。だから、言葉に詰まって考えごとをしているという訳でもなさそうである。
えりこは相変わらず上を見上げている。ただ単に天井を見ているのではなく、その佇まいには何か深い意味があるように感じさせる。
―――まるで手の届かない美しい月を見上げているかのような目つき。
―――まるで古い故郷に想いを馳せるているときのような目つき。
えりこは儚く穏やかな気持ちになりながら遠くにある目に見えない何かを見つめている―――そらはそう感じた。そう感じたら、そらは不安な気持ちなど、どうでもよくなってきた。
美人なえりこの儚げなその姿は、清らかでとても美しく、まるで聖女のようで、思わず息をのむ。
えりこの部屋はしばらく静かになるが、そらは居心地の悪さを感じることはなかった。
『そらはさ―――』
しばらくの静寂の後、ゆっくりと音がフェードインするように、えりこは小さな声を出す。柔らかいその声に、そらは特に驚くことなく耳を傾ける。
『芸人アイドル研究部の人達の事、どう思ってる?』
そらの『えりこ先輩の夢は何ですか?』という質問とえりこの今の質問がどのように関係するのかそらは分からなかったが、そらは素直にえりこの質問に答えることにする。
『そうですね。みんなそれぞれ個性があって、すごくて、憧れの人達です』
『ふーん。個性があって、すごい・・・ねぇ。それって具体的にどういう感じに思ってる?』


『はい、例えばすずこ先輩。あの変顔のレパートリーだけは真似できそうにもないですし。それと歌もダンスもすごく上手で。運動音痴なボクにもいつもゆっくり教えてくれるんですよ』
『そうだね。黙ってれば美人だし。いつも私たちにダンス教えてくれるし素敵な先輩よね。すずこ先輩、私、一番好っ・・・だいっ・・・大の仲良しなんですわ』
『いいですよね、すずこ先輩。それと、ゆりかですけど、ゆりかは変な顔、変な声、変な振り付け、変な絵、根暗芸、世間知らず芸・・・・色々できてうらやましいし』
『ああ、ゆりかね。確かに芸達者だよね。そらとの根暗ボッチ漫才も面白いし』
『うっ・・・ま、漫才と言えば、よしの先輩とあいな先輩の夫婦漫才は鉄板ですよね!』 
『同感。あいなのお茶目な天然ボケとよしの先輩の素早い突っ込みは、相性抜群よね。しかもそれを事前のネタ合わせ無しでアドリブでやってのけているのが、驚きよね』
『りほは明るくてピュアで天真爛漫な性格が好きです。それと、芸歴も長くて、ファンサービスにも積極的な姿勢。ボクも見習わないといけない所が多いと思ってます』
『うんうん。あの子、純粋でマジで天使みたいな子だよねー。それに、私達の中で一番若くて元気もいっぱい。妹みたいな可愛さがあるよねえ』
『えみ先輩は優しくて、気遣いが上手で、笑顔がとても素敵な方で、見ているだけで元気になります。そして何より、あの怪力芸』
『ええ。朗らかな笑顔のまま、真夏の満員電車を倒したり、ティラノサウルスをやっつけたり、人よりでかいハサミを持つ巨大カニを素手で狩って食べちゃったりね。あの恐竜パワーはびっくり人間も真っ青ね』
『笑顔はあや先輩も素敵です。全体的にほんわかした雰囲気は、見ているだけで癒されます。長身で細見のスタイルは見惚れちゃいます。えみ先輩が隣に立つとすごい際立ちます。給水芸は可愛いし。脳を液体にされても生きていけるって分かりましたし。gdgdMCも可愛いし。抜群のタイミングで突然見せるgdgdゴリ押し一発芸や天然ボケで一気に場の笑いをかっさら姿を見ると、やっぱりうちの部のエースなんだなって感じます。そしてなにより、多分この部に掛ける想い入れが一番強いのがあや先輩です。何をするにも誰よりも一所懸命で、そんな姿が格好良くて・・・そのとても深い愛にいつも敬服しちゃいます』
『魔法少女(笑)』

『本当にみんなすごい人で・・・』
芸人であり、同じ部の仲間の人達について、思っている事を口にすることが、思いのほか楽しく、そらは饒舌になる。えりこも楽しそうにそれに答える。会話は盛り上がり、つい先ほどの静寂が嘘のようである。
『あら、そらもなかなかの芸達者じゃない。絵はネタじゃなくて上手だし、物真似っていう正統派な芸もこなすし、学があって頭の回転が早くて即興の質は高いし、柔軟な考えで色々なアイディアをすぐ出すこともできてるじゃない。ライブのMCでは「えー? きこえなーい!」とか言ってお客さんを煽るのも上手だし。それは裏ですごい努力してる結果なのよね。お笑いの動画たくさん集めて色々勉強してるんでしょ? 熱心だよね』
『えっと・・・そ、そうですね・・・。あ、あ、あり、ありがとうございましゅ』
自然な流れでえりこがそらを褒める。今までそらがえりこのことを避けている間にも、えりこはよくそらの事を見ていたのだ。気にかけてくれていたえりこのことをそらはますます好きになっていった。
そらは自分ばっかり良い気分になっていてはいけないと思い、えりこについて思っていることも言う。
『そして、えりこ先輩です! えりこ先輩は美人です。すずこ先輩とは少し違った、日本人離れした美人です。役になりきりる芸もすごいですし。アドリブに強いって言うか。絵もとっても乙女で可愛いし。あっ、それから、イミワカンナイ芸もいいですよ! あの手の動きと声が最高にキュートです! それとそれと! ライブの時は本当に楽しそうに歌って踊っている姿がとっても素敵です!』

そらは語ることが楽しく夢中になっていて、当初の自身がした質問を忘れかけている。
『そう! そしてなんといっても歌が凄いです! 綺麗な声なのに、力強さが伴っていて。歌っている時のお姿もその力強い声に負けないくらいカッコイイですし! それを見ていると、聞いていると、上手く言葉にできないんですけど、なんか、こう・・・えりこ先輩の声には奥行があって感情が乗っているっていうか、不思議な深い気持ちになってきて、涙が出ちゃうこともあるんです』
えりこは少し恥ずかしそうに微笑み、自身の足元を見ながらそらの声に耳を傾けている。
そこでそらは我に返って、自分が本来の目的から外れてしゃべりまくっていることに気が付く。
そらは慌てて謝り、えりこの夢について話を戻そうとするが、先にえりこが声を出す。
『そらは・・・・。この部のこと―――芸人アイドル研究部のこと、好き?』
『はい、とても』
脈絡もなく、えりこはそらに問いかける。単純明快な質問にそらは他の事を考える必要もなく、即答する。
そらにとっての芸人アイドル研究部とは―――
芸人になりたい、
アイドルになりたい、
マンガを描いていて鍛えた画力も芸に活かしたい、
それらの願いを叶えてくれる場だった。疑いようもなくとても好きで大事な場だ。

―――ぎゅ。
えりこがそらを抱きしめる。えりこの着ているバスローブがそらの事を優しく包み込む。
突然の事にそらは理解が追いつかないで放心する。
『ごめんね。試すような事聞いちゃって。私、本音をしゃべるのって、ちょっと恥ずかしくて・・・ごめんね。だから、そらが私と同じ気持ちかどうか知りたかったの。私も、この部の事が好き。私を受けて入れてくれたこの部が好き。みんな親切で、みんな面白い人ばっかり。毎日が楽しい。そんなみんなと一緒に歌うのが、すごく気持ちがいい。・・・・ここでなら、私は歌える。歌を聞いてくれる人がいる』
普段は張りのあるイキイキとした声をしているえりこが、今は少しだけ悲しげに聞こえた。
『ちょっとだけ、昔話をしてもいいかな』
そらはえりこの胸の中でもぞもぞと首を縦に動かす。
『ありがとう。・・・・私はね―――』
そらの耳元でささやかれるように語られ始めるえりこの過去。
『歌うのが好きなの。そらが漫画家に憧れていたみたいに、私も子供の頃から歌手になりたいって思ってた。ずっとずっと歌っていたいって思ってて、歌えればなんでも良かった。でも、現実は厳しかったの。満足に歌える機会がビックリする程少なくて・・・。なんでも良かったなんていい加減に思ってたのがいけなかったのかな。場数を踏めば踏む程、どんどん自分の理想とかけ離れていくのを感じた。もう、色々嫌になって・・・・何も手に付かないこともあった。そんなとき、ずっと私の面倒見てくれていた人がこの部の事を紹介してくれたの。最初は芸人って聞いて、なんなのそれ? って思ったよ。私がなりたいのは芸人じゃなくて歌手なのにってね。でも、その当時の私は既に何度もデビューを繰り返してて、結構自暴自棄になってて・・・どうでもいいやって思いも少しあって、それで、ここで上手くいかなかったらもう歌うのを諦めようとしてた。ダメ元の最後の悪あがきのつもりだった』
今でこそえりこの歌唱力は圧倒的で、それに魅了される人は非常に多い。だから、えりこがそんな苦労を過去にしていたのが、そらは思いもしなかった。
また、話すえりこの声色からは深みが感じられ、えりこが話した内容以上にえりこは大きな苦労を重ねている―――そらはそんな気がした。
『・・・・そんな今までの私を振り返って見て、ただ歌手になるって漠然と思ってるだけじゃ上手くいかない、って気がしてきてね。もっと、何か、具体的なイメージが必要だって思った』
次々と語られるえりこの過去。えりこの想い。
そらは、えりこが自分自身について話してくれることが嬉しく、もっとえりこについて知りたくなる。もっともっとえりこの声が聞きたくなる。
そらは静かに耳を傾ける。
『その時にね、何気なく身近にあったタオルで体を包んでみたの。そうすると、暖かくて柔らかくて気分が落ち着くなあって思ったの。それで分かった。これが自分が目指すべき姿かなって。タオルって、誰にとっても身近にあるものでしょ。だからそのタオルの心地よさが誰からも愛される姿かなって。この心地よさを、私の歌で表現できたら素晴らしいなあって思った』
そらはえりこの話をもっと聞きたかった。そして話を聞き終えたら語り合いたかった。共感したことを口にしたかった。しかし、そらはだんだんとえりこの話に集中できなくなっていた。
そらは、バスローブのタオル生地越しにえりこに包まれている。
全身に渡るふわふわな感触。
暖かく、柔らかく、気分が落ち着いていく。
えりこに抱きしめられている時間が長くなればなる程、春先の穏やかな日差しに包まれたように、そらの体温は心地よい暖かさまで徐々に上昇していった。それと同時に意識も微睡んでくる。
そんなそらの状況を悟ったかのか悟ってないのか、えりこは話を続ける。
『そんな、タオルみたいに包み込んでくれるようなアーティストになりたい・・・・それが私の夢』
遂に語られたえりこの“夢”。


えりこは、夢を叶えようと一生懸命に努力しているそらを抱きしめて、今までの自分と照らし合わせていた。
えりこは今まで理想と現実の差に泣かされていた。泣きながら理想を追い続けた。その中で挫折して、夢を諦めようとして、何も手に付かないこともあった。
それでもえりこの可能性を信じた人がいて、えりこを助けた。えりこを支えた。えりこにチャンスを与えた。そうして、何度もデビューを繰り返し、今のえりこがいる。
誰からも愛されるアーティストになりたい。一度は捨てかけた夢だった。しかし、ふと気が付いたら、応援してくれる人が大勢いた。その事を知ったえりこは、決意を新たに再び前を見据えて歌い始めた。
夢を叶えたい。もう二度と歌を失いたくない。ステージ上のえりこの姿はその強い想いと決意が体現している。生半可じゃない本気のその姿に、感動し心奪われる人はさらに増えた。
えりこを支えた人達、えりこを応援する人達。そういった人達のために、これからもえりこは活躍していくのだろう。これからもアーティストを続ければ、決して楽ではない人生なのだろうと、えりこは覚悟している。
―――タオルみたいに包み込んでくれるようなアーティストに。
えりこが語ったその夢は、自分の理想であり、目指すべきアーティスト像であり、えりこの想いが一杯詰められていたものだった。

えりこの夢を知ることができたそら。
しかし、知ることができたのは夢だけではなかった。夢を叶えるため、えりこは辛い過去を乗り越えて、今の淀みのない優しい人格者になったのだと感じ取った。えりこが発する言葉やその時の雰囲気から、今日までの道のりは決して楽しく輝かしい道のりだけではなかったことが、窺い知れた。だからこそ、えりこはとても大人びていて、傍に居てとても安心感が得られる芯の強い女性なんだと確証を持てた。
辛い過去を土台としているからこそ、大人びた優しさを持つえりこ。そんな優しいえりこであったから、元気が無さそうにしているそらを放っておけず、今日お泊り会を提案したのだろう。
当初のそらは、えりこは近づきがたい存在だと感じていたが、それは完全に間違いだったと悟った。

えりこは抱きしめているそらを見る。そらに自分の夢を知ってもらいたくて、文字通り全身にタオルを身に纏い、そら包み込んだ。
包まれているそらは、とてもリラックスしているように見えた。その姿はとても可愛らしくて、自然と慈しむ気持ちが湧いてくる。
歌を聞いた人が今のそらみたいに魅了されてしまう・・・そんなアーティストになりたい。えりこの夢は、蕩けた表情のそらを見て、より具体化できたように感じられた。そのおかげで、もっと高みへと登れそうな気がした。
自分が目指すべき姿を、その身を使って見させてくれたそらにお礼も込めて、今できる最高の自分を、そらにもっと感じて欲しい・・・。
そんな想いを喉に込めて、えりこはゆっくりと口を開く。
『・・・・・・・愛してるばんざーい♪ ここでよかったー♪ ―――』
小さく囁くように歌う。その歌声には愛する赤子を寝かしつける時のように、豊かな慈愛の気持ちが詰まっている。

そらはえりこの虜になる。
そらはえりこ以外の事が考えられなくなる。
最高の歌が今は自分のためだけに歌われている。至高の贅沢。
えりこの穏やかな子守唄と、暖かく優しいえりこと、えりこの柔らかいバスローブに包まれた環境は極めて良質なヒーリング効果をもたらし、そらの脳は自然と副交感神経が大きく働く。
石鹸なのか、えりこ自身の匂いか分からないが、微かなローズの香りがそらを包む。
そらは完全にリラックス状態に嵌り、眠る体勢に入りつつあった。
そらは普段、眠るときにぬいぐるみを抱いて眠る。そのいつもの癖でえりこを抱き返す。

そらは最近あった悩み事や、消極的で一人ぼっちな自分が情けないと感じていた事等が、えりこの慈愛に包まれて、頭の中からどこか遠くに飛んで行ってしまった。
そらは眠りに付く直前の幸せな夢心地になり、心ここにあらず。
その前に、そらはここまで尽くしてくれたえりこに対し、何かをしなきゃならないと思った。何かお礼をしなければならないと思った。しかし、半分以上眠っている今の状態では、大した事はできない。
それならば、せめて言葉だけでも。
夢の世界に落ちる直前、そらは、感謝の気持ちを精一杯言葉に詰めて、それを声に出す。
『おっぱいる、ふかふかです』



※この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件などには一切関係ありません。





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\\賢い! 可愛い♪ エリーチカ☆//


次の日曜日は希とデート。
その時のために、着ていく服を買いに来たエリーチカ。




絵里(このフリルがたくさんの服は可愛いすぎるわね・・・。にこなら似合いそうだけど)

絵里(こっちのワンピースはシンプルだけど、清楚すぎるわね・・・。ことりなら似合いそうだけど)

絵里「ふーむ・・・。悩ましい・・・」ブツブツ

絵里(もっと、こう、私らしいと言うか、賢そうな服は無いかしら)

絵里(せっかくの希とのデートなんだし、ちゃんとリードしてあげたいし)

絵里「賢い・・・。リードしたい・・・」

絵里(そうだ! 思い切ってカッコイイ服を探してみようかしら)

絵里(そうと決まったら、もっと広い視野でお店を周ってみよう)

テクテク

絵里「ふーむ」キョロキョロ

絵里(カッコイイかあ・・・。ダメージジーンズとかかしら?)

絵里(でも、元生徒会長としては、そういう路線は避けたいわね)

絵里(カッコよく、かつ、真面目で誠実な印象を持たせてくるような服は・・・・)キョロキョロ


絵里「・・・・・あっ」

絵里「あれだ!!」クワッ

絵里(あの服ならカッコイイし、誠実な印象もあるし。これなら間違いないわ!)

絵里(ふふっ。この服を着た私にリードされたら、きっと、希もますます私に夢中になるわね!)



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日曜日 朝

デート用に買った服を着て、鏡台の前に立つエリーチカ。


絵里「ふっ」キリッ

絵里「やっぱりカッコイイわ。さすが私ね」

絵里「ちょっと亜里沙に見せてみようかしら」







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亜里沙の部屋



コンコン


絵里「亜里沙。入るわよ」ガチャ

亜里沙「ぐー・・・」zzz

絵里「こーら、亜里沙。いくら日曜日だからって、こんな時間まで寝ていたらだらしないわよ、起きなさい」ユサユサ


亜里沙「おはよー・・・」ムクッ ゴシゴシ

亜里沙「んー・・・あれ? どうしたのお姉ちゃん。その服?」

絵里「今日希とデートなのよ。どう? カッコイイかしら?」キリッ

亜里沙「あー、そういえば今日だっけ。頑張って!」

絵里「ありがとう。それで、どうかしら? この服は?」

亜里沙「うん。確かにカッコイイよ。お姉ちゃんスタイルいいし、タイトスーツがすごく似合ってる」

絵里「ふふっ、そうでしょ! 今日はこれで紳士的に希をリードしてあげるんだから!」

亜里沙「へー」

絵里「あら! もうこんな時間。それじゃ行くわね!」ガチャ

亜里沙「いってらっしゃーい」フリフリ


亜里沙(あっ、そういえば)

亜里沙(亜里沙もちょっと前までスーツ姿に憧れていたけど、雪穂に聞いたら、私服でスーツを着る女の子ってほとんどいないよって教えてくれたっけ)

亜里沙(OLさんも、通勤中はカジュアルな服を着ていて、会社に入ったら、更衣室でスーツに着替える人が多いんだって)

亜里沙(だから若い人が外でスーツ着たら、なんだか就活で面接に行く人みたいになっちゃうんだって)

亜里沙「・・・・・・」

亜里沙「ふぁー・・・」ネムネム

亜里沙「まあ、いっかー。お姉ちゃん満足してるみたいだし」

亜里沙「もう一眠りしよっと」モゾモゾ




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駅前

スーツを着て希との待ち合わせ場所まで来たエリーチカ。



絵里(希はまだ来てないわね)

絵里(ふふふ。それにしても、今日の私はカッコイイわね)

絵里(心なしか、ここに来るまでに歩いていて視線を感じるし)

絵里(私自身も、普通に歩いているつもりが、いつもより気持ちがしっかりして、背筋なんかも真っ直ぐなっている気がするし)

絵里(やっぱり、スーツっていいわね。できる女って感じ)

絵里(小さい頃は賢いかわいいエリーチカ、なんて呼ばれていたわ)

絵里(これだと、賢いかっこいいエリーチカ! ね。ふふふ)

絵里(キリッと立ったら、宝塚みたいに見えるかしら)キリッ

絵里(うふふ。男女問わずナンパされてしまいそうだわあ)

絵里(そうなったら、どうしましょう。ふふっ)ドヤーチカ



通行人「あのー」

絵里「えっ?」



絵里(あらやだ?! 本当にナンパされちゃうの?!)

絵里(嬉しい! ・・・じゃなかった! どうしようどうしよう)オロオロ

絵里(私には希がいるの。どうやって断れば・・・)オロオロ

絵里(この人はきっと勇気をもって私に声を掛けてくれたし、私もちゃんと誠実に対応しないと)


絵里(えっと、えっと)オタオタ

通行人「襟の後ろになんか付いてますよ」

絵里(ここはストレートに、『私にはもう彼女がいます』で、いいかしら―――・・・・えっ?)

絵里「何にかが付いてる・・・・?」キョトン

通行人「とってあげますね」

絵里「えっ、あっ、はい」

ペリッ

通行人「はい、取れましたよ」

絵里「これは・・・」



      つ [M]   ←服のサイズのシール



絵里「・・・・・・・・・・・・」


絵里「・・・・・・・・・・・・」


絵里「・・・・・・・・・・・・」


絵里「・・・・・・・・・・・・ありがとうございます」

通行人「どういたしまして。それでは」




絵里「・・・・・・・・・・・・」

絵里「・・・・・・・・・・・・」

絵里「・・・・・・・・・・・・」

絵里「・・・・・・・・・・・・は」

絵里(はずかしいいいいいいいいいいい)カァァ///

絵里(えっ、えっ、わ、私・・・。家から出てずっとこのシールつけっぱなしだったの?!!)[M]

絵里(歩いてて視線を感じてたのはこのせいだったの!?!!)[M]

絵里(サイズのシールを貼ってあるのに気が付かないで、スーツを着た私は『ナンパされそう』とかいい気になってたの!!? ただのアホじゃない!)アホーチカ

絵里(しかも、よりにもよって教えてくれたのが見ず知らずの人って!!)[M]

絵里「うわぁーん! もう今日はやる気なくなった!!」[M]

絵里「うう・・・・」ガックシ

絵里「もうやだぁ・・・・」イジイジ

絵里「・・・・・・はぁ」[M]



希「おーい、絵里ちー!」タッタッタッ

希「お待たせ―」

絵里「・・・・・」イジイジ

希「おっ? 絵里ちスーツやんか! しかもパンツスーツ! 絵里ち分かっとるなあ! かっこええなあ! イケメンやなあ! 今日はちゃんとリードしてくれそうやん」

絵里「・・・・・」イジイジ

希「でも、絵里ちみたいな若い人がスーツ着てると、なんだか就活生か新人の保険のお姉さんみたいやなあ。あはは」

絵里「・・・・・」イジイジ


希「確かに女の子は普段あんま着ない服やけど、やっぱりスーツはええとウチは思うよ。だって、スーツってどこに行っても恥ずかしくない格好やし。おっ、もしかして、これから高級レストランとかに連れて行ってくれたりするんかな? なんちゃって。あはは」

絵里「・・・・・」イジーチカ 小石蹴飛ばし コツン _...。 コロコロ

希「どうしたん? 絵里ち元気ないなあ」

絵里「・・・エリチカ、おうちに帰る」[M]

希「んっ? おうちデートにするん? ええよ」







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あやせ家

いじけてお家に帰ってきたエリーチカ。



絵里「ただいまー・・・」トボトボ

亜里沙「ふぁー・・・・。あれっ? お姉ちゃん? どうしたの? デートは?」

希「おじゃましまーす」

亜里沙「あっ! 希さん! いらっしゃい! どうぞ上がってください」

希「うん。ありがとな」





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絵里の部屋



ガチャ

絵里「さあ、どうぞ」

希「んっ、ありがとな」

希(絵里ち、ドアを開いて、先にウチを部屋に入れてくれるんやな。こういうさりげない気遣いは嬉しいなあ)


希「なー、絵里ちー。聞いてよー。この前にこっちがなー」

絵里「ええ・・・」カチャカチャ, コトッ

希「神社に来てな、神の愛を―――・・・えっ?///」キュン

希(絵里ち、腕時計を外して机の上に置いただけなのに・・・。なんかドキッっとした/// な、なんで・・・?///)


絵里「・・・・・」グイッ

希「あっ・・・ああ///」トゥンク

希(次はネクタイを外そうと、結び目を引っ張った/// あの仕草、本当にイケメンやなあ///)


絵里「・・・・・」ヌギッ

希「あっ、上着・・・ハンガーにかけてあげる」

絵里「ん」スッ

希「・・・・」ウケトリ スチャ

希「・・・・はっ?!///」

希(ウチ、奥さんみたい・・・///)ドキドキ


絵里「それで?」

希「えっ?」


絵里「にこが神社に来てどうしたの?」ヌギヌギ

希「あ、ああ! えっとね」

希(ウチの話、ちゃんと聞いてくれてるんだ・・・・//)

希「えっと、・・・・・あれ? なんだっけ。忘れてもうた」

絵里「クスッ 変な希」モソモソ

希「あ、あはは///」

希(あっ、スーツを脱いだらダボ着に着替えるんやね・・・・・んんっ?///)トゥンク

絵里「はー・・・」ドサッ

希(わぁ/// 今までスーツ着てキリッとしてた絵里ちがダボ着に着替えて、リラックスした体勢になった瞬間、なんかときめいちゃった///)

絵里「ねえ。希、聞いてよ。さっきね―――」

希(なんでこんなだらしない姿でときめいちゃうんだろう・・・? 多分、ウチ、絵里ちだったら、なんでもいいんやろな・・・//)ドキドキ

希(学校じゃいつも凛々しい絵里ちが、ウチの前でこんな無防備になってくれて嬉しい///)



絵里「―――そしたら、それが剥がし忘れたシールだったの・・・・・。はぁ。・・・・って希? 聞いてる?」[M]

希「えっ? あ、あっ、うん。聞いてるよ。それは災難やったなあ」

絵里「本当よ。恥ずかしかった・・・」[M]

希「次からは、新しい服を買ったら、とりあえず着て亜里沙ちゃんに確認してもらわなあかんね」

絵里「一応今朝見てもらったんだけどね・・・。その時の亜里沙、寝起きだったからちゃんと見てなかったのかも・・・」[M]

希「あはは、日曜日やもんね。ウチはそもそも見てもらう人もおらんからなあ」


希「あっ、そうそう、ウチも似たようなことあったで。この前な―――」

絵里「―――えっ、そうなの。ふふっ。おかしい」

希「あははっ///」



希(おうちデート・・・ええなあ///)



絵里「あっ、ごめんなさい。何にも無しに話しこんじゃって。お茶とか持ってくるわね」[M]

希「おっ、ありがとな~」

絵里[M]「ふふっ、ちょっと待っててね」


ガチャ、バタン


希「なんかウチばっかりドキドキしっぱなしやなあ///」

希「お礼じゃないけど、なんか絵里ちにしてあげたいなあ。うーん・・・」

希「そうだ、ちょっとお掃除でもしてあげようかな」

ゴソゴソ

希「んっ? なんやろこれ? ベッドの下になんか・・・?」


第2話へ






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1月23日 Person Of Inside No.2



生徒会室の前まで辿りついたあやね。
いずみの思想を正すべく立ち上がったプラトニック派の百合マスターあやね。
決戦を前にして、あやねはいずみ対する敵対心を心の中でメラメラと燃えたぎらせる。
深呼吸をして気を整え、意を決したあやねは勢いよくドアを開けた。
『たのもー!』
『んっ? あら~。あやね嬢じゃないの。今ちょうど餃子焼いてたの。一緒に食べましょ』
『えっ! いずみねーさんの手作り餃子が食べられるんですかっ!?  おいしそー―――・・・って違います! いずみねーさん! 今日は決闘を申込みに来ました!』
『クスクス。決闘ってなーに? 私達お友達でしょ。仲良くしましょ。ほら、ここに百合本と“橘田いずみのザ・餃子”もあるわよ。特にこの餃子本はお勧めで、餃子評論家である橘田いずみさんが全国津々浦々、おいしい餃子屋さ』
『あーっ! 倉田嘘さんの“百合男子”じゃないですか! ボク、雑誌の一話から追っかけているくらい好きなんですよ!』
『あら、そうなの。私もちょー好きなの。この百合男子は撮影中もずっと読んでたくらい好きだわ』
『いいですよね! 百合というテーマにおいて男性キャラがメインになるってことで、面白い作品になるんだろうなーって連載前から思ってたけど、本当に面白いですよね! 特に作中にて語られる百合に対する熱い想いは共感されっぱなしで』
『そうそう。―――最近話題に上がるのは日常だのハーレムもどきばっかり。進撃に女子同士の恋愛に向き合った作品が全然評価されない』
『ゆるゆりばっかりプッシュしすぎ! 売れればそれでいいのか! ・・・とまあ、そんな魂の籠ったたくさん詰まったセリフがたくさんあるのが、“百合男子”の良い所ですよねー―――・・・・ってそうじゃないんです!! 今日はいずみねーさんに物申す事があって来たんです!』
『あら、物申す事って何? 素敵な百合シチュエーションでも思いついたのかしら?』
『あっ! そうなんですよ! 例えば、命の危険が迫っている女の子に手を差し伸べて助けて下さるカッコイイお姉さま・・・なんてどうです!? きゃー!』
『いいわね、それ。私、結構助けてあげたい願望あるの。だから、雨の日、傘も無く自動販売機の横でしゃがんで泣いている女の子いないかな~、よく探しているんだけど』
『そうなんですか?! ボクはむしろ助けられたい願望ありますけど!』
『本当? それじゃあ、ちょっと私の家の近くの自動販売機でしゃがんでてくれない?』
『はい! しゃがんでいずみねーさんのこと待ちます!』
『そんなところにいたら濡れちゃうよ。うちすぐそこだから、休んでいく? って声掛けるから』
『最初はちょっと突っぱねますね。ほら、色んな嫌な事があって人を警戒している感じで』
『いいわね。初対面はツンツンで、ゆっくりと心通わせて最終的にデレデレになるの。最高だわ。あ、それと、助けるときは、雰囲気出すためにBGMが欲しいわね。よしのさんの歌がいいわあ。よしのさんの歌はずっと聞いていたいって思うもの』
『お姉ちゃんの歌が好きなんですか? 嬉しいです! 澄んだ声が染みわたるんですね~・・・。自販機の横で泣いている時にお姉ちゃんの歌を聞いていたいですねー』
『“ありふれた悲しみの果て”はどうかしら?』
『それだー! ・・・・―――遠い記憶に変わるのはいーつだろーう♪・・・時間は過ぎたー♪、君は去ったー』
『―――問かけーをー♪・・・繰りかーえーすー♪・・・。heartbreak!』
『うん! この胸を締め付けられるような哀しい歌詞に、途中から激しくなるメロディーは胸の奥に秘めた熱い想いを感じさせて・・・・・せつない雰囲気にぴったりじゃないですか!!』
『ふふっ、それじゃあラジカセも持っていくわ』
『ラジカセ? ラジカセってなんですか?』
『あっ・・・今はラジカセってないのか・・・。えっと、MP3プレイヤーで流すの』
『いいですね! いつでも何度でも聞けますね! お姉ちゃんの歌で雰囲気を出して、それからいずみねーさんはどうするんですか?』
『ここにいたら危ないよ、って優しく声を掛け続けてあげるの』
『ひゅー! いいですねー! そんなことされたら、キュン! ってなっちゃいます!』
『ダメよ、まだ心開いちゃ。こういうのは駆け引きが重要なの』
『おっと、そうですよね!』
『あやね嬢自らが動いてくれるまで、私はずっと傍にいるから。そして、さりげなく傘に入れてあげるの』
『きゃー!!! 優しいです! 素敵です! カッコイイです! イケメンです! 最高の相合傘ですねっ!! それから? それからっ!?』
『続きはWebで』
『ええっ?! レイニー止めですかあ?! 雨だけに! 気になりますう!! ・・・ってぇ!!! だから違うんですってばあ!!』
『もう、なんなのさっきから』
『今日はいずみねーさんに正しい百合を説きに来たんです!』
『さっきから私達百合について語ってるじゃない』
『そーですけど! 違うんです! いいですか、いずみねーさん』
『なあに?』
『そもそも百合とは何か? その定義についていずみねーさんは説明できますか?』


『愚問ね。百合(ゆり)とは、
神が人類に与えたもうた至高にして究極の愛の形。それはつまり普遍の真理であり、生命あるもの全てが目指すべき不変の未来である。神の暖かな優しさに満ち溢れた百合は、その愛を育むものたちだけでなく、単なる傍観者にさえ無上の幸福と安らぎをもたらす。漢字一文字で書くと「𠷡」。
女の子と女の子が仲睦まじくキャッキャウフフしている様子は、もはや言葉では表現できないほどに美しく、さながら天界で戯れあう女神のごとしである。そのなんとも名状し難い女の子同士の恋愛こそが百合であり、この一幅の絵画のように耽美なる神の御業を目の当たりにした時、人は、内より溢れ出る感動を抑えることもできずにただ咽び泣く。

しかし残念なことに、これは全ての人間が共有する感情ではない。澄明にして優雅な百合の愛に身を委ねることができるのは、ごくごく少数の女の子だけである。また、彼女らの崇高なる美の世界を見て胸が締めつけられるような憧憬に駆られるのは、男(特に男子校に行ってた奴)と一部の選ばれた女のみに限られる。
なお、最も神に祝福されたこの至高の愛の境地に達するのは非常に困難で、例えばアメ公が、まるで言わなきゃいけないみたいに何かってーとほざきやがる安っぽい愛などは超絶論外、唾棄すべきものだ。真実の百合とは、淡く切なく艶かしく、あるはずもない華やかな永遠を誓い合わずにはいられないような刹那の愉悦に満ちていなければならない。なおかつ、見るものを甘酸っぱく薫染するほどの柔らかな光を放ってこそである。それは、電柱が二本立ってるだけで劣情を醸し出すような性的興奮とはわけが違うのである』

※百合(ゆり) 出典:アンサイクロペディア

『さすがいずみねーさんです。教科書通りの回答ですね』
『常識じゃない』
『失礼しました。釈迦に説法でしたね。ですが、ボクといずみねーさんは対立すべき存在なのです・・・。その理由は、
百合とレズとはよく似ている。時には同一視されるほどのものだが、やはり多くの百合主義者が、それらを似て非なるものとして区別している。両者を概観的に比較、相対化するならば、百合は精神的で萌え系、レズは肉体的で生々しいと言えるだろう。しかし、両者の違いは繊細かつ複雑であるため、線引きは実に難しい。同胞であるはずの百合主義者達の間でも、完全な意見の一致を見ていないほどである。神の最後の奇蹟とも呼ばれる百合をより多く享受せんと欲し、彼らは百合とレズの違いを巡って、太古の昔から宗教戦争を繰り返してきた』

※百合(ゆり) 出典:アンサイクロペディア


『へえ・・・。そーいうことー・・・。そういえばあやね嬢。貴女、プラトニック派を公言していたわよねー・・・』
今まで楽しそうに話してたいずみであったが、表情が曇り、声のトーンが下がる。
『そうです! 分かって頂けましたか?! いずみねーさんが言っている百合は百合ではありません!』
『いいえ。百合よ。天使と天使がじゃれあい、絡み合い、混じりあうその姿こそがこの世で最も美しい情景。それこそが百合の根幹』
『違います! 触れるか触れないかギリギリのラインでせめぎ合うもどかしさの中で、せつない好意がお互いの中で繊細に交わされつつも感情は激しく揺り動かされる、そんな心理描写を表現したものこそが百合の本来あるべき姿です!』

『強情ねえ・・・』
『ぐぬぬ・・・』
二人はにらみ合いながら議論は平行線を辿る。
『・・・ねえ。にらみ合ってても仕方ないわ。もっと具体的な事例をもって議論をしたらどうかしら?』
『いいですよ。何についてです?』
『それはもちろん。にこまきは最高よね、って話』
『はいそれありえませんー! にこまきなんて二次創作人気に乗っかって公式がゴリ押ししてるだけで、本来二人の接点なんて微塵もありませんからー!』
『分かってないわねえ。接点が無いからこそ、にこまきは輝いているのよ。よく考えなさい? 方や一般家庭で母親に代わって家事・育児をこなす家庭的女子、方や大病院経営者の一人娘でお嬢様、方や身長もおっぱいもお尻もメンバーで最下位で、方やメンバーの中でルックスもスタイルも抜群によいモデル体型、方や勉強のできないのを隠している超ぶりっこで、方や成績上位者でクールな性格。と、こんな感じで確かに接点は無いわ。だけど、どう考えてもにこちゃんの方が劣勢なのに、アイドルに対しては誰よりも強い信念持ちアイドル研究部を立ち上げる程の行動力があるにこちゃん。そんな真っ直ぐなで、面倒見も良いにこちゃんに心惹かれる真姫ちゃん。だから、いざその時になると、年齢の差もあってにこちゃんがモデル体型の真姫ちゃんをリードする・・・。そんなアンバランスな所ががなんと新しく美しい事か。やっぱり、にこちゃんが攻めで真姫ちゃんが受けよねぇ』
『だーっ!! 百合に受けとか攻めという概念は無いんですよ!!! ほの×うみという表記はありますけど、厳密にはどっちでもいいんですよ! そう! 穂乃果と海未は幼馴染で鉄板! つまり最高なんですよ! ですから、ほの×うみ≫≫≫≫≫にこ×まき が常識なんです! あれですか? にこまきとか言っちゃういずみねーさんはにわかですか? 新参ですか? SSの数は他とくらべて圧倒的にほの×うみが多くて一番なことを知らないんですか! そもそもほの×うみは原作者であるゴッド自らが執筆なされた聖書ともいえるSIDにてしきりに語られているんですよー!』
『はっ! 寝言は寝ている時だけにして欲しいわ。お腹の中にいたときからの幼馴染? 世界中が敵になっても穂乃果の味方でいる? 笑わせるわ。夫婦感が強すぎて、もはや倦怠期に入っちゃってて全然ときめかないのよ! 海未ちゃんは穂乃果ちゃんじゃなくて、希ちゃんと絡むべきね!』
『はー?! のぞ×うみなんてもっとあり得ないですー! そんなカップリング、アニメはおろかSIDや漫画にも存在してませんからー! はい論破―!』 
『この公式カップリング厨があ! ドラマCDじゃ結構絡んでるし、そもそも重要なのは公式かどうかじゃなくて、萌えるかどうかなのよ! いい? 希ちゃんと海未ちゃんは同じユニットだから自然に絡ませることができるわよね? 規律に厳しい海未ちゃんに、いたずらっ子な希ちゃん。普段は海未ちゃんが一方的に怒っている日常だけれども、星座や野草、英会話能力等々、ふとした時に見せる希ちゃんの豊富な知識に海未ちゃんは感心するの。そして、いざって時、希ちゃんの母性溢れる包容力が発揮されて、海未ちゃんはそれに強く惹かれていくの。ほら! アンバランスのように見えて、実は上手くはまっているじゃない!』
『そんなのこじつけです! それと! ボクのことを公式カップリング厨といいましたか!? 聞き逃せません! いいですか? ボクの中のユリライブでは亜里沙ちゃんがキーキャラクターなんです。当て馬にもなれるし、当て馬かと思えば、他の本命の子ができて、その子ともくっつくのもありだし。いずみねーさんなら分かりますよね? 百合の中じゃ鉄板の設定ですよね?』

『そうかしら? 亜里沙ちゃんて結構幼いから、そういうのから外れそうだけど』
『いいえ。亜里沙ちゃんって外見的には幼くて世間知らずなようで、実は中身的には世界の真理を知っていますよね。その裏付けとして、例えばμ’sに入る前の絵里がつまらない演説で廃校を阻止しようとしている時「これがお姉ちゃんのやりたいこと?」っと言って諌めましたし。それと、三年生が卒業する前、今後のμ’sをどうするかで迷っていた穂乃果に正しい決断をさせるきっかけを作ったり、とにかく亜里沙ちゃんはリーダー格のキャラをさりげなく正しい道へ導く力を持っているんです。これって百合的には使いどころの良いキャラなんです。例えば、穂乃果と海未が幼馴染で、なかなか一線を越えられない所にいるっていうのに、そこへ、海未に亜里沙ちゃんが興味を持って、亜里沙ちゃんが「海未さん! 海未さん!」って言って、穂乃果を嫉妬させる訳。で、そこから二人に恋心を自覚させて、程よい所で、亜里沙が身を引けば、いい当て馬キャラになるじゃないですか。人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて見たいな、そういう感じで。でも、それで亜里沙ちゃんは自分自身で納得しているという設定でもありだし、でも実は自分が本当に好きになれる人を探し回っているというのもありだと思うし。そこで、亜里沙も当て馬ばっかりの人生だったけど、本当に自分が事を好きになってくれる人を探してて、それが例えば雪穂ちゃんだったりするわけです』
『ふーん。まあ、一理あるわね』
『そうですよね! 亜里沙ちゃんは明るくて割と暗い所が少ないから、誰とでもまんべんなく絡める可能性秘めている、つまり、誰とも組み合わせやすいということなんです。だからやっていて本当に楽しいですよ!』
『はいはい、よく分かりましたっ』
『ええっ?! 流された―!? ボクの話、理解できてます? ついてこれなくなったら言ってくださいね。一から説明しますから!』
『いいわよ、長くなるから』


『ということは! いずみねーさんもようやくプラトニック派になって頂けると言うことですね!』
『・・・・ねえ、あやね嬢。貴女、一つ勘違いしているようだから教えてあげるのだけど、私は元々プラトニック派よ?』
『えっ! そうなんですか!? なーんだ、だったら最初からボク達が争う必要は無かったんですね! ・・・あれ? でも、それならどうしてさっきはボクに反論したんですか?』
『それはね・・・。正確に言うと、私は“プラトニック派でもある”だからなの。あやね嬢にはもっと広い意味での百合を知ってもらいたいなぁ、と思って』
『へっ? あっ・・・・』
いずみは、自分はナンパスキルが高いと自称する。それは決して自惚れではなく、確かな実力だ。
いずみはシャツのボタンを三つ程開け、あやねとの体の距離を詰める。そして、低いイケメン声と爽やかなイケメンスマイルを作る。
いずみがそうやって、可愛い人の前でカッコつけ始めたのなら、それがナンパモード開始の合図だ。
こんな風にカッコつけるのは、あやねも何度もやったことがある。ただし、それはあくまで小芝居の中だけの話だ。
それに対していずみは年季の入ったこの手法を実践して何人もの女性を口説いてきた。そんな実績のあるガチのナンパに対抗する術を、あやねは知らない。あやねにとって、お遊びの小芝居の経験、または書籍から得られる知識以上の事は未知の領域なので、今みたい真面目に口説かれると、殻をひん剥かれたウニのように、ガードができず、非常に弱い。
『ねえ、前から気になってて聞きたかったことがあるんだけど』
『はっ、はひっ・・・』
いずみは自分の顔を、あやねの顔に近づけて、目を覗き込む。
背の高いいずみは、自然とあやねを見下ろす形になる。それに伴い、いずみの長い髪が重力に従い、前に出る。
長い髪が前に出てしまうのは良くあることで、いずみはいつものように髪を手に取って耳に掛ける。
なんてことはない、いずみの癖のような動作だが、それを見たあやねは胸を高鳴らせる。
長い髪を手に取る―――
細く長く白い綺麗な指が、美しく小さい耳を撫でる―――
あやねにとって、その動作は女性の仕草の中でも、特に好きなものだった。
あやねは、もう、いずみから目を離すことができない。
『あやね嬢はどうして“あやねる”って呼ばれてるの?』
『あっ・・・うっ・・・。えと・・・寝るのが好きだから・・・です』
『あらあら。寝るのが好きだなんて、あやね嬢も意外と肉食系なのね』
『え・・・? はっ! あ、あの・・・そ、そういう意味じゃ・・・うぅ・・・』
あやねが信奉するプラトニックを冒涜するような下ネタが発せられる。いつものあやねであれば、己が持論を展開して、相手が『お、おう・・・』と納得というか呆れられるまでひたすらマシンガントークを続ける場面ではあるが、それができない。
いずみのナンパスキルにすっかりやられてしまい、今まで饒舌でハツラツだったあやねは、急に言葉が少なくなった。
あやねは、小芝居の中では、己が妄想力を存分に発揮して相手を一方的に振り回すが、いつものそれが嘘のように何もできない。ただの乙女ねるになってしまう。
『あやね嬢は、百合が好きなんでしょ?』
『ええ、まあ・・・』
あやねがいずみのナンパに狼狽える。緊張と恥ずかしさで体を強張らせることしかできない。
その間にもいずみは徐々に距離を詰めてくる。いずみはあやねの髪、頬、肩甲骨を優しく撫でる。
いずみの指は、細く長く白い。そして柔らかい。その指に触れられたあやねは、妙に気分が高揚してきて、頭がくらくらする。無抵抗のあやねはおとなしく撫でられるしかできない。
『それじゃあ、“あやねる”は間違いだよね。正しくは―――・・・』
『あっ・・・』
あやねはいずみ見惚れながら、いずみの甘くて低い色っぽい声に聞き入る。
『“あやゆり”、よね』
『・・・・えっ?! いっ、いやいや、それこそ百合じゃなくって・・・レ ふっへ?! あっ、あっ、ちょ、あっ、あのー! ふっへー?! 待っ・・・百合の限界はデコちゅーまでですからっ?! それ以上あ、あああ。あーーーっ!!! хорошо!!!!11★★☆♀♀☆★★*・゜゚・*:.。..。.』
巻き舌を効かせた見事なロシア語の発音を最後に、あやねはなすすべもなく、いずみに身を任せる。







花陽「ぴゃ/// いずみさんの捕食シーン///」

絵里「ああっ・・・・。私のあやねが・・・・」

真姫「まっ、予想されたオチね」カミノケクルクル






※この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件などには一切関係ありません。







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『はあ・・・・』
よしのは一人生徒会室の生徒会長の座にて、ため息をつく。
よしのには悩みがあった。相方のあいなが最近とてもイキイキしているのだ。
よしのは思う。元気なのはいいことだ。

あいなは入部当初はどちらかというとおとなしい方だった。いつも少し緊張気味でありながらも何事にも一生懸命な姿が健気だった。
そんなあいなをよしのは先輩として優しく接しながら、よりよい芸人になれるよう手解きしていった。そうすると徐々にあいなは緊張がほぐれて、明るくなっていった。
あいなの緊張が薄れていくと、今度はお茶目でイタズラ好きな一面が顔を見せてくる。その姿も大変可愛らしく、よしのはあいなを溺愛した。あいなもよしのにとても懐いていった。
よしのは若い頃は引っ込み思案で全然モテていなかっただけに、こんなに素直な好意を寄せられることが嬉しかった。
数多くの実績を築いているよしのの事を、あいなは畏怖しており、呼びかけるときは緊張しながらいつも『よしの先輩』と呼んでいた。それが、最近はあだ名で呼んでくれるようになった。よしのは有名になってからは、あいなに限らず常に周りから畏怖を持たれていたので、あだ名で呼ばれることが新鮮だった。
こんなに親しげに名前を呼んでくれて・・・。たったそれだけの事だけれど、よしのの世界が変わった。あいなにあだ名で呼ばれると、よしのの周りの空気が柔らかくなった。今まで知らなかった、とても安らげる感覚。
あだ名で呼ばれる度に、それが癖になって、何度でも呼ばれたくって、とにかくいつでもあいなの傍に居たいと思うようになった。
そして二人で活動することが多くなっていき、いつしかファンの間で花園コンビと呼ばれるくらいに、二人は定番になっていった。よしのはあいなと過ごせる毎日が楽しかった。
あいなが頻繁によしのの事をあだ名で呼び始めると、周りもそれにつられて、よしのの事をあだ名で呼ぶ人が多くなっていった。色んな人からあだ名で呼ばれると、よしのは10歳くらい若返った錯覚に陥って、更に気を良くしていった。そんなきっかけを作ってくれたあいなのことを、よしのは純粋に好きだった。

よしのは改めて思う。好きなあいなが元気で明るい性格になったのはいいことだ。元気になって社交的になって他の人との交流が増えるのもとてもいいことだ。しかしそれがよしのを悩ませる。

あいなは最近楽しそうにお出かけした時の話をする。『箱根に行ったよ』とか、『ライブに行ったよ』とか、『銚子に行ったよ』とか、『初詣で神田明神に行ったよ』とか。最初、それは一人なんだと思い、自分も誘ってくれればいいのにとよしのは少しだけ残念に感じる。しかし、話をよく聞いていると、どうやら友達と一緒に行っているらしい。
それに反して、よしのとあいなが思いついた時に行きたい所を書き溜めている“約束ノート”の内容は全然消化できていないのに。

よしののあいなに対する初対面の印象は、おとなしい子だった。そんな子が花園コンビの相方を差し置いて、毎回違う友達と一緒にお出かけするなんて意外だと、よしのは思った。
少なくとも、あいなはある特定の人物と仲が良くなり、その人と一緒にお出かけに行っている訳ではない。多分。
そういえば、最近えみとあいなが嬉しそうに腕を組んでいるところをよく見るが、それは関係ないことだとよしのは考える。
自身にそう言い聞かせているよしのであったが、先日不幸なことに、あいなの失言を聞いてしまい、それがさらによしのを不安にさせる。

よしのとあいな二人が話している時だった。あいなが『この前食べたうなぎ、おいしかったよね』と言った。よしのは身に覚えがなく、また、最近あいなの不審な行動が脳裏から離れないこともあり、反射的に『だれとの話をしているのよ!』と声を荒げた。逆上したよしのは、その後のあいなの言い訳が耳に入らなかった。

それからというもの、よしのは気が気ではない。もちろん、あいなが色々な友達と程よく遊んでいるのは、社交性があっていいことだ。あいなをここまで育てることができたよしのには喜ばしいことだ。

少なくとも、あいなは、決してある特定の人物と物凄く仲が良くなって、その人と一緒に過ごしている時間が多い訳ではないのだから、別にやましいことは何もないではないか・・・よしのは自身に言い聞かせる。
しかし、不思議だ。こんな短時間で一緒に旅行に行く程、仲の良い友達を何人も作れるものだろうか。
そういえば、最近あいなとえみが、アイスやらポップコーンやらのお菓子の食べさせ合いをよくしているが、きっとそれは関係ないことだと、よしのは考える。
晴れの日はあいなとえみが、港町で周りにいる子供の目を気にせず仲睦まじそうに追いかけっこしていたり、雨の日はまるでカップルのように相合傘をしているのも見た気がするが、それは気のせいだと、よしのは考える。
あいなにとって一番の存在は自分である。と、よしのは考える。


・・・・―――あいなの普段の様子から推理して容易に導き出される真実から必死に目を背けているよしの。真実と向き合わない限り、よしのの支離滅裂な自問自答は終わらない。苦悩はこれからも続く。
しかし、それも無理もない。よしのはえみの事を思い出すと、過去にへし折られた腕が痛む。あの時のえみは、無邪気で悪意が無く、ただ単にじゃれ合いたかっただけだ。遊びたくてしょうがない土佐犬の子犬のようなものだった。そのことを、よしのは良く理解している。それでいて、えみは今もなお、よしののことを変わらず尊敬を寄せている。だから、痛みとは関係なく、よしのはえみを強くたしなめる事が出来ない。
また、あいなの好意がえみに向いてしまうのは気が気ではないが、よしのは会長としてメンバーのまとめ役として、そんな私情を挟んで浮足立ってはいけないと思っている。
だから、よしのは真実から目を背けて苦悩するしかできない。







絵里「よしの・・・・苦労しているのね・・・」

真姫「本当にね。なんか、この芸人アイドル研究部って一見華やかなようで、実際は相当闇が深いわよね」

花陽「うん・・・。よしのさんは、とにかくあいなさんが好きだけど、ゆりかさんも好きそうだし。あいなさんは、えみさんがすっごく好きそうだし。えみさんはすずこさんとあやさんが好きそうだし。あやさんは妹さんが好きだし。すずこさんは、いずみさんが好きなようで実は何も考えてなかったり。そんなすずこさんに、えりこさんは片想いしてるみたいだし。・・・ああっ、なんだか頭がこんがらがってきちゃった・・・・」

真姫「・・・・深く考えたら負けよ」








―――コンコン
よしのが一人で苦悩を続けていると、生徒会室の扉にノックの音が響いた。
ノックをするということは生徒会役員ではない人物である。よしのは考え事をやめ、扉に視線を向けて入室を促す。
『どうぞ』
『し、失礼します』
『あら、あんなさんじゃない。珍しいね、なにか用?』
緊張した面持ちで入室してきたのは、あんなだった。





真姫「あら? ここに来て新キャラ?」

花陽「う、うん。そうみたい」

絵里「どんな人なのかしら」





『あっ、どうも、こんにちは、よしの先輩』
『こんにちは。ふふっ、先輩なんてつけなくていいわよ。もっと気楽に ね?』
『えっと、ここって生徒会室ですよね?』
『そうよ』
『いずみさんはおられないですか?』
『いずみ? 今は席はずしてるけど』
『そうですか・・・』
『全く、仕事があるのに、あの子一体どこほっつき歩いているのかしら・・・。まあ、いいわ、あんなさんはいずみに用があるの? 伝言か何かだったら私の方から伝えるけど』
『ありがとうございます。でも、私が直接やらないといけませんので』
『直接“やる”?』
『はい、ゆり―――あっ、す、すいません・・・なんでもないです』
『・・・? 何か手伝えることはある?』
『い、いえ・・・大丈夫です』
『ふーん・・・?』
よしのは、いずみとあんなに何か関係性があったかと、記憶を巡らす。
そういえば、いずみはたまにあんなに会いに行っているみたいだった。この前は、『あんなさんは他校の生徒にも意外と人気があるんですよ』と、いずみが珍しく他人を高く評価していた。
そんな二人が会うのであれば、何の不思議でもないが、今のあんなの様子は少しおかしく感じた。あんなは途中まで言いかけた言葉を止めてしまうし、狼狽えて視線を彷徨わせている。緊張しているようにも見える。
よしのは不思議に感じて、勘ぐる。
あんなはいずみに直接何か用がある。
かといって、生徒会関係で何か用事があるわけでもなさそうだ。
普段のあんなは前向きで元気な人。そしてかなり真面目な人だ。そんな真面目な人が今は緊張している。なにかを隠している。
真面目な人というのは嫌な事でも無理してでもこなそうとする。だから緊張しているのではなかろうか。
真面目な人が隠しながらも無理してでもやろうとする事なんて、大抵は録でもない事だ。例えば、誰かに何かを強要されるているとか。いじめとか。罰ゲームとか。

生徒会員でもあり、芸人アイドル研究部員でもあり、探偵コスプレ部員でもあり、女子落語部員でもあり、スケベゲーム製作委員でもあり、更にいずれのメンバーの中において最年長のよしのは、どのチームもとても大事に思っていて、これからもどんどん活躍して発展すべきだと考えている。
だから、仲間であるメンバーが何かしがらみを抱えているようであれば、それを取り除かなければならない。最年長として、みんなのまとめ役として、よしのはあんなの肩の荷を軽くするため協力したい。おせっかいかもしれないが、よしのはあんなに深く関わりたいと考える
しかし、あんなから事情を直接的に聞き出そうとしても、隠している以上、簡単に言いそうにない。
よしのは世間話をする体で、少しだけいずみに関する話をし、あんなの心情を探ることにした。
『ねえ、あんなさん。いずみがどんな人間か知ってる?』
『はい、美人で・・・・えーっと、面白い人』
『そうね。要は、女にだらしのないバカ女。そう思ってない?』
『えっと、まあ、はい、そういうお話はよく聞く―――・・・ような、聞かないような・・・。でっでもですね! 時々私の所に来て遊んで頂いていますが、犬を飼われているという事もあってか、優しい人だとは・・・思っていますけど・・・えっと、まあ、その、はい・・・』
『そんなにかしこまらなくていいわよ。半分は誤解なんだから』
『あっ、やっぱりいずみさんってカマトトだったんですね』
『ううん。バカなのは本当』
『あっ、ということはやっぱり百合営業だったんですね』
『ううん。マジの彼女持ちでドSでガチなのは本当』
『えっ、それじゃあ、何が誤解・・・?』
よしのがいずみの話を始めたら、あんなはその話を良く聞いて興味を持っている。これからいずみに会って何かをしなければならないので、そのためにいずみの情報が欲しいのだろう―――よしのはそう思慮した。
よしのは話を続ける。
『世間一般に誤解されているのは、女にだらしないってところ。いずみって、実は結構消極的で繊細な子なのよねー』
『せん・・・さい?』

あんなはいずみとはたまに会う程度だが、ドSでガチで女王としての噂はよく耳にするので、本音はとてもおっかない人なんだと思っている。
しかし、よしのはいずみのことを“せんさい”と言った。
あんなは“せんさい”の意味を必死に頭で考える。
千才―――不老不死?・・・それならあの美貌も納得。
浅才―――さっき言った通り。
先妻―――よしののめかけ?
『いずみはね、相手がどんなに可愛い女の子だろうと必要以上に距離を詰められるのが苦手らしいの。知ってた?』
よしのの更なる理解不能な説明に、あんなは頭の上に大量のクエスチョンマーク並べる。


この話をすると、大体の人間は混乱する。よしのはよく知っているので、いずみが繊細の理由を詳しく述べる。
『あの子、昔は親からも心配されるほどに自分はデブでブサイクだったと自虐しているの。それと、姉がいるんだけど姉は子供の頃から美人らしくて、それが周りから比較されて強い劣等感があったみたい。だから、それに落ち込んで子供の頃はとても物静かな子だったんだって』
『そうなんですか。意外ですね。今のあの御姿や立ち振る舞いからは想像もつきません』
『そうでしょ。そんで、どうして今のようなになったかなんだけど。いずみは自分に劣等感を持っていた最中、おばあちゃんだけはいずみの事を“絶対に将来は美人になるよ”って信じていて、いずみのことをいつも励まして元気付けていたみたい。・・・そして成長したいずみがどうなったか。一目見ればわかるよね』
『はい。黒く艶のあるストレートヘア。スラッとした体に、高い身長。とにかくスタイルが良くって、それに、いつも楽しそうで自信に溢れた表情。女の子だったら誰もが憧れる美人です』
『うん。そんな過去があって、いずみは大のおばあちゃん子らしいの』
『そうだったんですね。物静かでおばあちゃん子っていうことは、甘えんぼさんだったんでしょうね。なんだか可愛らしいです。よしの先輩が言われた消極的で繊細ってのもなんとなく分かった気がします』
『先輩じゃなくてよしのんって呼んでもいいのよ。・・・意外でしょ、そんなもんだからいずみは実は人見知り。だから波長が合って仲良くできると思った人にしか心を開かないの。そして、可愛い女の子かどうかは関係なく、心を開いた人以外には近づこうとしないし、近づかれるのも苦手。女の子なら誰でもいいって訳じゃないの。その一例として私がいる。私とはあまり波長が合わなかったみたい。生徒会と探偵コスプレ部で付き合いが長いはずの私だけど、いずみとはあまり触れ合うことが無いの。背が低い女性には興味が無いとも言ってたわね。あっ、そのせいか・・・』
『そうなんですか・・・・』
よしのはあんなにいずみの人柄を理解させ、いずみに取り入る事は難しいと印象付ける。そうやって不安を煽り、あんな自らよしのに協力を申し出るように導くのがよしのの思惑。
『ちなみに、あんなさん。今まで何度かいずみと会っていたみたいだけど、その度にいずみにグイグイと結婚を迫られたりした?』
『い、いいえ・・・』
『そう。こんなこと言っちゃあなんだけど、そんないずみにあんなさん自身が直接何か働きかけるのは、すごく大変なことじゃないかしら? 本当に大丈夫? あんなさん?』
『少し・・・自信が無くなってきました・・・』
『ねえ、教えてあんなさん。貴女のしようとしていることは何? おせっかいかもしれないけど、あんなさんに悩み事があるなら、私は協力したいの。そりゃあ、さっき言った通り私はいずみとあまり深く関わる事はできないけれど、それができるえみやすずこに事情を話したりして、周りに働きかける事は私だったらやれる。味方を増やせる』
『・・・・・』
『大丈夫。知られたくない事があれば、それは周りには絶対に言わないから』
『・・・・・』
あんなは苦悩な表情を浮かべて黙って立ち尽くしている。葛藤しているのが良く分かる。
よしのはそれを見て、もうひと押しする。真面目な人にとても効果的な一言。
『大事な仕事なんじゃない? 失敗したくないでしょ? 私はあんなさんが上手くやれるよう協力したいだけ』
『・・・・・』
あんなは何かを言いたげに、自身の足元とよしのの方とで視線が行ったり来たりしている。
これがトドメだと言わんばかりに、よしのはさらに畳み掛ける。
『それとも、私では頼りにならないと思ってる?』
よしのは歌手として、アイドルとして、芸人として、落語家として、スケベ声職人として輝かしい経歴といくつもの肩書きを持っている。しかも芸歴が長いこともあって、ファンも多い。だから、よしのの後輩達のほとんどはよしのを尊敬している。よしのが周りに与える影響は大きい。
そんな人間が頼りにならないという事はあり得ない。よしのは自身の実力をよく理解している上で、それを武器に更にあんなに本音を言わせようと煽ったのだった。
『・・・・・あ、ありがとうございます、よしの先輩。・・・・も、もし、良ければ事情だけでも聞いて頂けないでしょうか・・・? 』
『ええ、喜んで』
よしのはあんなを落ち着かせるように、大人な笑顔を向ける。
『だけど、先輩はやめましょ? あんなさんって確か、えりこと同級生でしょ。だったら、私達、実質同年代じゃん?』






花陽「す、すごい・・・。まるで凄腕刑事の誘導尋問みたいでした」

絵里「ほら見なさい! ほら見なさい! やっぱりよしのは賢いのよ! さすがまとめ役! みんなのお姉さん! さすがよしのね!」ドヤチカァ

真姫「まあね。少し見直したわ、よしののこと。体格差ではいずみの方が圧倒的有利だけど、この冷静な態度と知能と人望やらなんやらでいずみとまともに渡り合えそうね」







―――いずみさんとすごく仲良くなって、他の子に手を出さないよう躾けてください―――
『はぁ? なんなのそれ。意味が分からないわ。何考えてんの、ゆりか。何がしたいのかさっぱり分からない。そこら辺なんか言ってた?』
『さ、さあ・・・? なんだかとっても思い詰めている様子でしたが・・・』
『思い詰める? 喧嘩でもしたのかしら? そもそも、あの二人あんまり接点無かった気がするけど』
『うーん・・・。人づてに聞いた話ですけど、いずみさんって、芸人アイドル研究部の人達に色々意地悪しているとか。ゆりかさんはそれを気にされていたんじゃ・・・?』
『確かに、そらとか、すずことか、そらとか、あいなとか、そらとか、えみとか、そらとかそらに、色々ちょっかい出しているみたいね。でも気にする必要はないよ。遊んでるだけなんだから。やられてる方も別に嫌がってないから』
『は、はあ。そうなんですか』
『そうなの。あー・・・。なんとなく分かってきた。そういえば最近、いずみはりほにもちょっかい出してたわね。そんで悩んでんのね、ゆりか』
『ああ・・・そういう・・・』
『・・・・・いずみは一体は何をやらかしたのかしら。この前、すずこが慌てた感じで生徒会室の鍵を貸してって言ってきたけど、なんか関係あるのかしら・・・・。まあ、いいわ。いずみには自重するよう私が伝えておく。あの子も一応は子供じゃないから分かってくれるでしょ。多分ね。少なくとも生徒会長の言うことはむげにはしないでしょ』
『そうですよね。やっぱり生徒会長のよしの先輩の方から言って頂いた方がいいと思います』
あんなの悩み事の解決策が確立され、二人はひとまず安心した。
しかし、よしのには一つ引っかかることがあった。
『・・・私、ゆりかと結構仲が良かったと思ってたけど・・・。なんであんなさんに頼んだのかしら。私より話しかけ易かったのかしら。あんなさんってゆりかと仲良いの? ・・・・後、もっと親しみを込めて、私には先輩をつけなくてもいいのよ?』
『ええ! ゆりかさんにはとっても良くして頂いていますよ! おいしいご飯やお水とかよく頂きますし、掃除をしてもらったり、それから撫でてくれたりして、とても嬉しいんです! いつも楽しく遊んでくれますし! しかも、ゆりかさんだったら人語で話さなくても意思疎通ができるんですよ! すごいですよね! ゆりかさんは本当に良い人です!』
『そうね、ゆりかって、自分の事を根暗だとかボッチとか卑下してるけど、ファーストライブの頃から毎回、お客さんに対して怪我しないようにって呼びかけて気遣ってあげるくらい良い子なのよね。っていうか・・・えっ、ちょっと待って、そんなことより、ゆりかってあんなさんにそんなことしてたの・・・? 人語で話さなくても意思疎通? 普通に意味分からないんだけど・・・。第一、あんなさんはそんな扱いでいいの? なんだか、聞いてると、まるで飼育されている動物みたいに聞こえるんだけど・・・』
『えへへ、そうですかあ? 照れちゃいますよお』
『あっ、いや、別に褒めたつもりは・・・』
『そうなんですか? でも、私の業界では褒美です! 動物みたいって言われるのは!』
『ま、まあ・・・。お互い嫌な思いをしてなければ、なんでもいいけど・・・』
『はいっ! いいんです!』
『そ、そう・・・分かったわ。・・・でも、良かったわ。・・・ふぅ。なんだか拍子抜けしちゃった。あんなさんが神妙な顔して来るんだもん。もっとやっかいな事かと思っちゃってた。あんなさん、ちょっと真面目すぎじゃない? ゆりかが言った変な事を真に受けちゃってさ』
『す、すみません・・・』
『別に謝らなくてもいいわよ』
『はい・・・』
よしのは自分の発言を後悔した。―――“ちょっと真面目すぎなんじゃない?” 
特に深い意味はなく、軽い気持ちで言ったはずなのに、あんなはそれを文字通り真面目に受け取り、反省している。申し訳なさそうに項垂れている。
よしのは改めて思った―――あんなは本当に真面目だ。ちょっと面倒くさいくらいに。
少しだけ気まずい空気。
よしのはばつが悪そうに、脚を伸ばして椅子に深く座る。そうしたら上半身がほとんど机の下に隠れてしまった。

椅子に深く腰掛けるよしの。
―――少女のように小柄で愛くるしい体の持ち主による、可愛らしい仕草・・・のはずなのに、妙に風格があって萌えないのはなんでだろう。反省中のあんなはそんな雑念を必死で振り払う。
『ねえ、あんなさん。ムギの声やってよ』
よしのが気分転換にと話題を変える。それを聞いて、あんなも頭を切り替える。動物の鳴き声芸はあんなの十八番だ。
『ムギちゃんですか・・・。すいませんが、私直接会ったことが無いので、特徴など教えてくれますか』
『特徴かあ・・・。うーん、そうだねえ・・・。うーん・・・。あっ! えっとね、ムギはすごく可愛いよ』
よしのが熟慮して出したムギの特徴が“すごく可愛い”の一言。
あんなは戸惑う。そんなどんな猫にも言えるような曖昧な特徴だけ与えられてどうやって演じるのだと。
しかし、そんな難しい条件が返ってあんなの役者魂に火をつけた。
―――相手は芸人として確かな実力を持つよしの先輩。尊敬する先輩。・・・・私は試されているのでは・・・? そうだ、こんなこともできずに何が役者だ。役者として全力を尽くして・・・演じきって見せる・・・!!
あんなの心中はそんな想いで一杯になり、表情が一変する。
そして睨めつけるように、よしのの顔を見る。
よしのはムギの声を聞かせてくれると思い、期待に満ちた目をしている。
―――あの目は・・・・可愛いムギを抱きしめて、世話をして・・・そして鳴き声を聞いている時に見せる目だ。あの目に写るムギを演じればいい・・・!
あんなはよしのの目の中に答えを見つけた。
その瞬間、確かにムギが空間を超えてあんなに憑依する。

『・・・・フンニュゥァァアア~~~~~ンニュ』
『ああっ! ダメダメっ! ムギ! そこでトレイしちゃ~~・・・・・ハッ!? あ、あれ?! ムギじゃない?!』
『よ、よしの先輩・・・・・・?』
『うわー ビックリしたわー。マジで今ここにムギいたよ。後、私は先輩じゃなくてよしのんでいいからね』
あんなは改めてよしのの実力を目の当たりにして戦慄する。自分が演じていたつもりが、気が付いたら、コントをしていたのはよしのだった。やはり、真に実力のあるプロ芸人は違う。あんなは、また一つ大事な事を学ばせてくれた先輩に感謝を込めてお礼をする。
『ありがとうございます!』
『んぇ? なんでそんなに気合い入れてお礼してんのよ?』
『・・・・はっ!』
ここであんなは大事な事に気が付く。よしのがボケたのだ。だったらそれに対してツッコミをしなければならない場面だったのだ。そんな単純な事もすぐに気が付いて対応できなかった。あんなは自分の対応力の未熟さを思い知らされる。
『ん~? よく分かんないけど、まあいいや。ねえ、他にも何かできる?』
他の芸を促される。よしのは再度チャンスを与えてくれたのだと、あんなは思った。あんなは気を取り直してよしのに向き合う。
『はっ、はい! そうですね。犬、馬、鶏、アルパカ等々はやらせて頂いたことがあります』
『あ、アルパカ・・・? アルパカって、あのモコモコした動物よね。あの子って鳴くの?』
『私も最初はそう思いましたよ。オスとメスの場合がありますので、ちょっと両方やってみますね』
『うん。やって、やって』
『まずは、オスです。この子は結構愛嬌があって人懐っこい子です。・・・・ンメェェ~』
『あら可愛い。すっごいリアルね。羊みたい』
『次はメスです。この子はちょっと強面だけど、本当は遊ぶのが大好きな良い子なんです。・・・・ンゴヴォ゙ォ゙オ゙オ゙オ゙エ゙エ゙エ゙』
『えっ・・・? な、なに・・・? 進化したメカトロンの断末魔みたいな異次元な声。今の低音、本当にあんなさんが出したの・・・?』
『はい!』
『うそでしょ・・・。一体どういう発声練習したらそんな声が身に付くの・・・?』
『えっと、動画を繰り返し何度も見て真似したりしましたよ。それと、動物園に何度も通ってエサをあげてさせてもらいながら近くで見て、動物の声帯や鼻の形を勉強して、それから自分の声を録音して聞いたり、そんなこんなで鳴き声を身に付けました。とにかく動物と気持ちを通わせて、成りきることが第一ですね!!』





真姫「そんな簡単に動物と気持ちを通わせることなんてできるのかしら? どうなのよ、アルパカ使いの花陽?」

花陽「そんなに難しくないよ。ご飯あげて、水あげて、小屋を掃除して、体を撫でて。そうやって普通にお世話してあげていたら、自然と心を通わせることができるようになると思うよ。私なんか、この前夢の中でアルパカさんとお話ししてすごく楽しかったよぉ」

絵里「花陽(かよ)だけに心を通(かよ)わせる・・・ってね!」ドヤチカァ

花陽「でもあんなさんがやっているのはただのお世話というより、もはや研究の域に入っているような」

真姫「そうよね。解剖図とか読んで研究しているのかしら。たかが動物の鳴き真似だからってバカにできないわね。どんなジャンルにせよ、プロになるって、こういうことよね」

絵里「・・・・・・・・・・」







『・・・本当に真面目で、熱心よね、あんなさんって』
『そうでしょうか・・・?』
『たった一つの仕事のために、普通そこまでしないわよ』
『・・・・でも、私は手を抜けません。だって、エンターテイメントって、キャストや監督が作り上げていく印象がありますけど、実際は、ファンの人達どころか私達キャストが見えないところでも、音響さん、照明さん、作画さん、CG製作さん、お客さんの誘導してくれるスタッフさんに至るまで・・・キャストの時間以上に色んな人が作品に時間を注ぎ込んでいるんです。皆さん、友達や家族や恋人・・・そういった大切な人と過ごしたい人生の時間の一部を使って、そして協力しあって、一生懸命作り上げているんです。そういう人達の輪の中に自分がいると思うとすごく幸せなんです! だから一所懸命な他の人達の事を想うと私は手を抜けません! 私にできることが少しでもあるのであれば、それに全力投球したいんです!!』
静かにあんなの熱弁に耳を傾けていたよしの。少し俯けていた頭をそのままに、あんなに語りかける。
『・・・・・・ねえ。あんなさん』
『はい?』
『芸人アイドル研究部がここまで大きく成長できたのはどうしてだと思う?』
『えっ? それは皆さん実力があったからだと思いますけど』
『ううん。今でも、歌もダンスも素人レベルだって評価されることも少なくないの、私達』
『ええっ?! えりこさんの歌やすずこさんのダンスは一流だと思いますけど・・・』
『あくまで私達の中ではね。逆に、その私達の中にはダンスどころか運動が苦手な子さえいる。だから、本当にコアなアイドルファンからすれば大したことないように見えるみたい。私だって、当初はこんなコンテンツはすぐに終わると思ってたし』
『でも! 皆さんは芸人としての活躍もあります! 芸人にアイドル。これらを複合的に合わせたコンテンツなんて全く新しいじゃないですか。きっとファンの人達はそこが好きなんですよ。私はそう思います』

『そうね。それも一つあると思う。それと、ここまで来た道のりは決して楽じゃなかった。誰にも見向きされない時期もあった。デビューシングルの売り上げも散々だったし。そんな過去があったことをドラマチックだと見てくれる人もいる。だけど、それらだけのいい点じゃあ、アイマスのパクリだの、魅力が理解できないだのと批判の声が少なくない中、現実には大勢のファンがいてくれる理由が説明できない』
『そうでしょうか・・・』
『歌もダンスもルックスだって、それら全部が私達より優れている人は世の中にはたくさんいる。なのに、どうしてここまで成長できたのか。正直言って、私にもよく分からない。ただ、一つ言えるのは、ファンが見たいのは私達キャストじゃなくて、私達が出演するエンターテイメントなの。そしてそのエンターテイメントはキャストだけでは絶対に成り立たない。あんなさんが言う通り、キャストやお客さんが見えないところでも努力している人達あってこそ。芸人アイドル研究部の成功は、そんな人達の連携が奇跡的に上手く噛みあいつつ、そしてなにより、コンテンツが腐りかけてもみんな諦めなかったから・・・ってなんとなく思ってる。・・・だから、あんなさん。あんさんのその情熱的な信念、大事だと思う。辛くても忘れずにがんばってね。応援してる』
『・・・はいっ! がんばります!』






花陽「よしのさんの言う通りですっ!!」クワッ

真姫「わっ。ちょっと、びっくりするじゃない。急に吠えないでよ」

花陽「今のアイドルに一番足りないのは、あんなさんのような信念です!」

絵里「ええ、分かるわ。私達μ’sのライブもヒデコさん、フミコさん、ミカさんがいないと成り立たないもの。誰も居なかったファーストライブからずっと支えてもらっているものね」

花陽「そうなんです! それなのに、最近の国民的超人気アイドルの中には、厳しい審査に通っただけでうぬぼれて、ちやほやされるのに慣れて、慢心する人も少なくないから・・・」

真姫「ふーん。まあ、言われてみればそんな印象を受けるわね。私、μ’sに入るまでアイドルにはあんまり興味なかったけど、それでも新聞やニュースでたまにプロアイドル達のスキャンダルは目にしてたわね。自意識過剰じゃない? って思ってたわ」

花陽「そうなんです! 人気が出るほどにファンサービスがぞんざいになったり、本来ヒエラルキーの厳しい芸能界の先輩にも態度が大きくなったり、病気を理由に休業していたにもかかわらず別の大きな仕事に勝手に参加していたり・・・。ひどいのになると、グループが大きくなって影響力が強くなったのをいいことに、CDの売上調査会社に数字をねつ造するよう圧力をかけたりなんて話もあるくらいです・・」 

絵里「人気が出て、関わる人も多くなっちゃうと、どうしてもそうせざるを得ない事情とかもあるんでしょうけど」

真姫「なんだか、それだけを聞くとプロのアイドルってあんまり良い印象を持てないわね」

花陽「そんなことないです! 本当に素晴らしいプロのアイドルもいます! 例えばこんなお話があります」

花陽「とあるアイドルグループが大勢のお客さんを集めたライブ中に、突然の機材トラブルで音楽が止まってしまったことがあるのですが・・・」

絵里「うわっ・・・いやだわね、そんなトラブル・・・」

真姫「曲がなきゃ踊れないじゃない。どうしたのその時? 中断したの?」

花陽「いえ! そのアイドル達は、一瞬は戸惑いはしたものの、すぐにメンバー同士目くばせで連携を取って、アカペラやボイスパーカッションで最後まで歌って踊りきったのです! その姿を見たお客さん達は一気に盛り上がり、終わった時には拍手と歓声の大喝采でした! どうせ口パクだってバカにしてた人達もこれを見て、何も言えなくなってました!」

絵里「それはすごいわね。メンバー同士の信頼関係の高さや普段の練習の積み重ねがあってこそ成せる技って感じね。感動できるわ、そういうの」

真姫「この前にこちゃんがアイドルにはアドリブ力が大事みたな事を言ってたけど、そういうことね。確かにそんなトラブルでも乗り越せるほどのアドリブ力・・・というか、なんとかしようっていう懸命な姿を見せられたら、応援したくなるわ」

花陽「そうなんです! そこなんです! メンバー同士の信頼関係! 応援したくなっちゃうような懸命なす・が・た!! それが本来あるべきアイドルの理想の形なんです! そして、その理想の形になるにはっ! にこちゃんが言うようにですねっ! 常日頃からお客さんを笑顔にさせるんだと言う気持ちをっ・・・だからっ、えっと、わたっシ・・・た、ち・・・も同じ・・・よう・・・に・・・・」モゴモゴ ボソボソ

真姫「花陽? ちょっと、ちょっとー。何なのよ。せっかくいい事言ってるのに、なんで途中から自信無くなってきてんのよ」

花陽「うっ・・・。ご、ごめんなさい・・・」シュン

花陽「なんか、私なんかが、すっごく偉そうな事言っちゃってる気がして・・・・」モジモジ

花陽「私なんか・・・・。背も小さくて、声も小さくて、人見知りで、得意なものも何もないのに・・・」ウツムキ



真姫「はぁ・・・・。マッタクー」ポン

花陽「ま、真姫ちゃん?」キョトン

絵里「花陽」ギュ

花陽「ぴゃ///」ドキッ

花陽「え、えりちゃん・・・?」ドキドキ

絵里「自信を持ちなさい。花陽の言っていることは正しい。花陽を含めた9人のμ’sの今までの実績がその証拠よ」

真姫「アイドルへの想いなら誰にも負けない。貴女、自分でそう言ってたじゃない。それでいて、花陽は本当に正しい思想を持っていると思う。そんな花陽に私達は支えられて、μ’sはここまでこれたんだから」

花陽「絵里ちゃん・・・真姫ちゃん・・・」ウルッ

花陽「・・・うん・・・。うんっ! ありがとう・・・。ありがとう・・・!」

真姫「まあ、だから、その・・・・。まあ、なんていうか・・・」モゴモゴ

花陽「真姫ちゃん・・・?」

真姫「こ・・・こっ、これから、ちゃんと、ワッ、私たちを導いてよネッ・・・//」

花陽「・・・・・!」パァ



花陽「うんっ!」

絵里「ふふっ」ヨシヨシ

絵里(眩しいわ。・・・・・一年生がこれなら、もう、私やにこがいなくても、アイドル研究部は大丈夫ね)

絵里(確かに嬉しいんだけど、頼られる必要が無いなんて、なんかちょっと寂しくもあるわね)





よしのに応援されて、あんなは決意を新たに気合いを入れて前を見据える。
しかしそんなあんなを見て、よしのは少し不安を感じた。あんまりにもがむしゃらになってしまうと、全てが台無しになりかねないことを、よしのは良く知っている。
『・・・・日々がんばるのはもちろん大事だけれど、一番大事なのは体よ。体調管理とか、休息とかちゃんと取っているの?』
『いや~・・・。レギュラーの数もお仕事の数も少なくて、生活もぎりぎりでなかなか・・・。お父さんにもそんなんでやっていけんのかって、心配されちゃって。実は家にある家具ももらいものばっかりなんですよ。あはは』
あんなは苦笑いをしながら頬を軽く指でなぞる。
『そう・・・・。なんか、思い出すわ。私も昔、お腹が減ってコンビニに入ったはいいけど、お弁当どころかカップラーメンすらも買えなくて、泣きながらお店を出たことがあるよ』
『はー。よしの先輩にもそんな時期があったのですねえ。やっぱり、売れるまでって大変なんですね』
『今は全然大丈夫になったけどね。でも、あんなさん、生活ギリギリってことは、まだバイトしているの? そろそろ先輩はずさない?』
『はい。4つほどかけもちしてます』
『よっつて・・・。そんなに掛け持ちしていたら融通し難くなるじゃない。急に仕事が入った時なんかどうするの?』
『その時は・・・バイト先まで走って行って、直接頭を下げてお休みをもらいに行っています』
『ふーん。電話で済まさないのね。随分律儀ね』
『・・・バイト先の方にはいつも無茶なお願い聞いて頂いている身なので、こちらも誠意をもってお願いすることが大事かと思ってます』
『そうだけど・・・。バイトに仕事に、それにレッスンだってあるでしょ。・・・毎日辛くない?』
『辛くないと言えば嘘になります・・・。時には厳しいお言葉を頂戴することもありますし。・・・・でも、私思うんです。お仕事やバイトの方達はもちろんそうですが、お仕事とは直接関係ない人達・・・例えば、昔お世話になったウナギ屋さんの大将や、よく行く美容院のお姉さんや、練習に付き合ってもらってる近所の犬さんや猫さん、お仕事で使う舞台やマイクといった物に至るまで・・・・そういった一つ一つの出会いって奇跡だと思うんです。その奇跡は大切にしたい。大事にすることが幸せです。そうして、いつか、出会った周りの人達が私を一人では絶対に行けない素晴らしい世界へと導いてくれると思うんです! その時のために、私は日々精進です! だから辛いなんて言ってられません。お金は絶対に必要ですけど、目標じゃありません。気が付いたら普通に生活できるくらいのお金が手元に集まってくれていたらいいな、くらいに考えています』
あんなの曇りなき眼。足元に障害がたくさんあるにもかかわらず、自分がなりたいもの、自分が目指すべき場所をしっかりと見据え、ゆっくりながらも確かに前進している。
『ああっ、眩しい。夢を追い続けるその生き方、目的もなく毎日会社に行ってただお金を稼いでいる人達や目的もなく毎日部屋に籠ってネトゲをしている人に、あんなさんの生き方を知って欲しいわね。あれ、なんか胸が痛い』
『ありがとうございます。・・・これからも私はもっと練習して上手くなります。動物の声に感情を乗せるのは普通じゃできないことですから。それをやれるのが私の自慢です』
『確かに、その芸は他の人はできないアドバンテージよね。それに、あんなさんは舞台の経験もあるものね。それに関しては、えりこやすずこと同じような境遇だし、きっと大成するわよ』
『よしの先輩にそう言って頂けると本当に嬉しいです! 私、ダンスレッスンも頑張っているんです! 成長して・・・いつか・・・いつか、よしの先輩と一緒のステージに立ちたいです! バックダンサーでいいから!』
『・・・そうね』
笑顔であるものの、少しだけ悲しげに見えるよしのの表情。
それを見たあんなは慌てて取り繕う。
『あっ・・・。ご、ごめんなさい! 私みたいな未熟者がよしの先輩と同じステージに立つなんて・・・』
『ううん。そうじゃないの。あんなさんは本当に実力も経験も十分。ギャグセンスはまだまだだけど。私もできることなら・・・・』
『あっ・・・。次のステージは―――・・・』
よしのが言いよどむ理由を察したあんなは、思わず途中で言葉を止めてしまう。
惜しまれる声が多くある中、芸人アイドル研究部がFinal Liveと銘打っているステージの日が近づいている。
『・・・・やっぱり、本当なんですね』
『ごめんなさい。色々理由はあるのだけれど、その一つは、私が無理しすぎていたせいもあるから・・・。別のコンテンツで一緒になることも難しいかもしれない』
『よしの先輩・・・。そうですか・・・。すいません、なんか・・・』
よしのが諸事情を抱えていることは公表しているので、その内容はもちろんあんなも知っていた。
国民的大舞台に参加することも決定していたよしのだったが、欠場を余儀なくされている。
あんなは掛ける言葉が見つからずに、口ごもる。
『でも、これでいいの。私って、本当は人前に出るのって苦手なの。ちょっと前まで人前に出ちゃうと、ホント、声が出なくなっちゃうくらい内気な女の子だった。この業界に入ったのも、そんな自分を変えるきっかけになればいいな、程度に考えていたんだけど、いざやってみると、想像していた以上に、なんというか・・・・・まさかこんなにたくさん人前に出されるなんて思ってもみなかった。本音を言うとずっと緊張しっぱなしだった。だから、これからは、内気な頃の女の子にちょっと戻るだけ。それでネトゲができる時間が増えたらいいなあー。・・・なんてねっ、あはは。こんなこと言ったら本当にがんばってやってるえみ達に軽蔑されそう。・・・・まあ、とにかく、私なんてこんな程度の人間だからさ、変に気負わないで。ね』
『よしの先輩・・・・』

よしののその目は悲しげに見えた。
よしのは確かに、遥か昔は人前に出るのが苦手な少女だったかも知れないが、長年の間、仕事を選ばずに努力を積み重ねてきた人物だ。だからこそ、幅広い層のファンがたくさんいるし、よしのを尊敬する仲間も多くいる。女子落語部の最年長姉御として、探偵コスプレ部の古老として、芸人アイドル研究部の長老として、よしのの名は知れ渡っている。その中でステージに立つことは何度もあった。人前でしゃべることは何度もあった。本当は内気な性格であっても、それでも逃げずに今日までやってきたのは・・・・。
人前に出て、大勢から喝采を浴びる事が、本当は楽しかったはずだ。お客さんと一体となって、心の奥底から骨の髄まで打ち震える程の興奮が湧き上がって、それが全身を巡り巡って頭のてっぺんから抜けていくような感覚を何度も何度も経験したはずだ。あの感覚は、一度経験したら忘れられない。あの経験は何度だって味わいたいはずだ。よしの程の規模では無いにせよ、ステージに立った経験があるあんなは、その気持ちを良く知っている。
よしのは、口ではステージに立てなくなることを気にしてない風に言ってはいるが、その実は悔しい気持ちでいっぱいのはずである。だからよしのは今、悲しげな目をしているのだ。
それが分かったところで、あんなは、先輩であるよしのに掛けてあげる言葉は見つからない。気負わなくて良いと言われたが、気負わずにはいられない。
あんなは、ただただ難しい表情を作るしかできなかった。

―――パンッパンッ!
あんなが黙ってしまい、しばらく生徒会室に沈黙が続いた後、よしのが手を叩いた。
『はいはいっ。この話はお終い。あんなさん。こんな所で油売っている時間があるなら、トレーニングしなきゃ』
よしのは年季の入った大人な笑顔になって、冗談っぽくそんなことを言った。
あんなは虚をつかれて放心する。そして、よしのが気遣ってくれたとすぐに理解する。
・・・・・ごちゃごちゃ考えたって仕方がない。こんなの私らしくない。今は、素直によしのの言う通りにするしかない。あんなはそう考え、気持ちを改めた。それを象徴するかのように、自然と目は鋭くなり、若々しい情熱溢れる表情になる。そんな顔を上げてよしのを見据える。
『はいっ!!』
『ふふっ、いい返事ね』
よしのの目には先程の悲しげな曇りは無く、未来の大役者を見守る優しい目をしていた。
『あっ、そうだ。だけどね、あんなさん。最後にこれだけは言わせて』
『・・・・はっ、はい! なんでしょう?!』
大先輩であるよしのが『これだけは言わせて』と言ってあんなを引き留める。
一体、なんだろう。どれほどの含蓄があって、そして重要な言葉なのだろう。
あんなは耳を澄ませながらも、緊張で体を強張らせて、よしのに意識を集中する。
『さっきもちょっと言ったんだけど。体を一番大切にしてね。ほんの少しでも体がおかしいな? って思ったら、仕事があろうがなかろうが、とにかく迷わずお医者さんに行くこと! いいね?』
ありふれた注意事ではあるが、よしのが言うと非常に説得力があった。よしのの今の一言はあんなの胸に深く刻み込まれる。
『はいっ!! ありがとうございますっ!!! よしの先輩!!!!』

『あっ、それとね・・・・・・』
『はい?』











『先輩禁止なのおおおおおおおおおおおお!!!!!!!』



※この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件などには一切関係ありません。







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絵里「よしのがいずみに話を付けるとは言っていたけれど、結局は今の所いずみ対しては直接的にまだ何も進展が無いわね」

真姫「えりこがなんとかするって言ってたのも、まだ分からないし」

花陽「そうだねえ・・・。次はどんなお話なんでしょう」




『ん~? あれはー・・・?』
いずみが生徒会室に行く途中の廊下を歩いていると、餃子の形をしたアクセサリーを見つけた。思わず手に取ってまじまじと見つめる。
『かわいー! 欲しいなあ、これ。誰のだろう? どこで売ってるのか教えてほしいなあ』
いずみはアクセサリーを落し物置き場に持って行こうと思い、手に持って立ち上がると、数歩先に写真が置かれているのに気が付いた。気になって、生徒会室に向かう廊下から外れて、そちらの方へ歩みを進める。
『ん~? これはー・・・。わぁ。すーちゃんの写真だー。しかも超満面の笑み! かわいー。変な事に使われないように、私が持っておこっと。決して私が変な事に使うとかじゃないよ?』
いずみが写真を懐に入れて再び立ち上がると、数歩先に写真が置かれているのに気が付いた。
『ん~? これはー・・・。わぁ。みこちゃんの写真だー。腰に手を当てて、ほっぺた膨らませてプンプンしてる! かわいい!!! 枕の下に入れて使おっと』
いずみが写真を懐に入れると、生徒会室に行くのを忘れて上機嫌で再び歩き出す。そして数歩先に写真が置かれていた。
『ん~? これはー・・・。わぁ。またすーちゃんの写真だー。えっと、この顔は・・・? 囚人服着て、殺し屋の顔真似してる時のやつかな。あんまかわいくないー・・・』

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               :;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;",,  !''''" ̄~ ̄`''!   ;;;;;;;;;;;;;;;;;;:             
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http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira098060.png


いずみが写真を懐に入れて再び歩き出すと、とある部屋に行きついた。
『あれ? ここどこだっけ? ん~? あっ! あそこにも写真がある。今度は誰だろー』

―――ガラガラ、ピシャ!
いずみが写真に釣られて部屋に入ると、部屋の扉が閉じられた。
いずみはそんなのお構いなしに、写真へと歩み寄る。
『ん~? これはー・・・。わぁ。そらの写真だー。あっかんべーしてる。寄り目まるかわいーなー。そらの可愛くて変なアヒル唇好きだなー。べろちゅーしちゃおっと』
いずみが濡れた写真を懐に入れると、後ろから声が掛けらる。
『元気~? いずみちゃん』
『えっ? あっ・・・え、えっと、どなた、でしょうか・・・?』
いずみが振り向くと、そこには見慣れない女性が一人。
背が高く、髪が長く、優雅な印象がある女性。その姿は、いずみが普段から理想と考えている容姿を完璧に具現化した女性であった。
更に女性の笑いしわが目に入った瞬間、しわ好きのいずみは一目惚れしてしまい、柄にもなく、顔を赤らめて緊張で声を上ずらせる。
『あらあら、うふふ。私の事、分からないのー?』
女性は背が高く、綺麗なストレートロングの髪が印象的で細見でスタイルの良い美人。表情は柔らかく優しそうなお姉さんだ。
特徴が所々でいずみと似ている。
『えっと・・・どこかで・・・?』
いずみは目の前の女性と過去に会ったような気がして、顔を傾けて記憶を巡らす。

女性は、佇まいを正し、胸の下で腕を組む。
次の瞬間、風が吹き、女性の長い髪が靡く。部屋の窓は空いてない。
そしてブルーのオーラがどこからともなく発せられ、女性を包み込む。
女性は目を細め、いずみを見下ろす。
誰の目から見ても、ただ者でないと分かるその雰囲気に、いずみは圧倒される。
女性は凛とした声で言った。
『探偵って、女に向いてる職業だから』
『えっ・・・? あっ・・・も、もしかして・・・・。ご先祖様・・・?』
『あらあら、うふふ。ご先祖様じゃなくて“お姉ちゃん”って呼んでほしいわあ』







真姫「・・・・・」


花陽「すごい美人さんが出てきました」

絵里「すずこみたいな美人とはまた違ったタイプよね。いずみに近いわね。だけど、優しそうで、なんていうか、それだけじゃなくって。貫禄がある感じ。あっ、そういえば優しそうっていう点では、えりこに似てない? えりこの母性を強くした感じ」

花陽「ああ、確かにそんな感じするよね。それより大丈夫でしょうか、この人・・・?」

絵里「そうよね。なんか、いずみ相手に喧嘩売ってるみたいだけど・・・」

真姫「・・・・・」


花陽「あ、あれ・・・? この人、結構グイグイ行ってるよ。え、ちょ・・・。あっ、 ああ///」

絵里「お~。やるわね。随分慣れた手つきね」

花陽「しゅ、しゅごい・・・///」ムフー

絵里「なんていうか。大人の色気ってやつかしら。未知の世界だわ。ムンムンのムレムレね」

花陽「いずみさんって確か、相手がどんな美人だろうと面識の無い人から触られるのがすっごい苦手らしいど・・・」

絵里「なんか、すごく嬉しそうにやられてるわよね」

花陽「あのバリダチいずみさんが、かわいいかわいいネコちゃんですねえ///」

絵里「いずみって逆に攻められちゃうと、てんでダメなのね。それにしたって、この大人の女性、すごすぎでしょ。ベテランって言うか、隙が全く無い。あのいずみと比べても、まるで像と蟻ね。何者なのかしら」

花陽「ぴゃあ/// スタイルがいい同士の絡み・・・/// お互いに長い髪を乱して、長い手足がヘビのように絡み合って・・・すごっ、ぴゃああ///」

絵里「おっ、いずみも反撃に・・・って、ダメだったわね。さっきからやられっぱなしね」

花陽「ぴゃ!/// いずみさん、パンツ履いてない///」

真姫「・・・・・・・・」

真姫(なんでかしら・・・。エロシーンなのに全然興奮しない・・・。むしろ目を背けたい・・・気まずい・・・・)

真姫「・・・・・・・・」

真姫「・・・・あっ、ここで終わりね。さ、次のシーンにいきましょ。あら、次はえりことそらちゃんが出てくるみたい。早く見たいわ」

花陽「ええっ? もうちょっとじっくり見たかった・・・」








『あ、あの、えりこ先輩・・・?』
『ん?』
『えりこ先輩の指定された空き教室にいずみ様が入るよう、エサを撒いておきましたけど・・・』
『うん。ご苦労様』
『えっと・・・。ボクは行かなくていいんでしょうか?』
『うん、大丈夫。今そこにはいずみさんを懲らしめる人がいるから、そらは行かなくてもいいよ』
懲らしめる人がいる。
えりこは以前、『毒を持って毒を制す』と言っていたが、それはえりこが誰かに協力を依頼したということだった。
しかし、そらには懲らしめるという言葉が不可解だった。
いずみは、餃子と女性関係に関してのみ、異常にカリスマ性があって、自分のやりたいように事を運んでしまえるような人物だ。だからいずみに狙わらわれたら、何人たりとも、抗うことも逃れることも出来ない。
そらは、そんないずみが懲らしめられる場面など想像できない。自分のせいで、また新たな犠牲者を増やしてしまい、更にえりこの好意を無駄にしてしまいそうになり、そらは罪の意識に囚われてしまう。
罪の意識に囚われたからと言って、それを何とかしようとしても、今さらなにか行動を起こせるわけでもなく、ただただ不安な表情で項垂れるしかできなかった。
そんなそらの心境を悟ったえりこは、そらに声を掛ける。
『気になるなら、私と一緒にちょっと見に行く?』

いずみを呼び出した場所への道すがら、そらはえりこに尋ねた。
『あの、えりこ先輩。いずみ様を懲らしめる人がいると言っていましたけど、一体どんな人なんですか?』
『知りたい?』
『・・・・え、ええ、まあ』
えりこはやけに落ち着いている。
その姿を見て、やはり、いずみを懲らしめる人がいるんだと、そらは期待に胸を膨らませる。
そらはいずみを懲らしめられるような人物像を色々想像してみる。
・・・・・・・・ところが、どうやってもそんな人物は頭の中で創り出せない。女王いずみの美貌に見惚れずに、いずみの妖艶な雰囲気に吞まれないようなタフ人間など存在するのだろうか。普段から不真面目でちゃらんぽらんで飄々として色んなことに無関心で妄想ばっかりしてて人の話を全然聞かないあのみもばあですら、今やいずみにちょっかいを出されたくていつも年甲斐も無くソワソワしている。
そらも同じようなところがある。しかし、自分を客観的に見る事が出来るそらは、いずみの様子をチラチラと伺う様子は格好が悪いと思っている。そんな姿を探偵コスプレ部の後輩達に見られたくなく、思い切っていずみに反抗を企てたことがある。
後輩たちに良い所見せようと、バレンタインの時にいずみに壁ドンをしたことがある。いずみを壁に追いやって、そらは壁に勢いよく手を付いた。そしていずみの目を見つめて『好きだよ』と囁いた。
いずみは屈んだ姿勢から上目でそらを見た。いずみの眼差しは真剣そのものだった。その瞳は“そらだったら、なんでも受け入れるよ”という何かをされる期待を確かに含んでいた。その途端そらは急に恥ずかしくなって、『うそうそ、蚊がいたんです!』と誤魔化した。いずみはクスクスと笑っていた。その余裕の笑みを見せられたら、やっぱりいずみより優位に立つことなんてできないと、そらは改めて認識させられた。
いずみの強さを象徴するエピソードはこれだけではない。過去に、長身のいずみに見下ろされながら手を握られ、7秒間見つめられただけで恋に落ちてしまった女の子がいたり、女性の若い新入社員を丸め込んで、歓迎会の席でいきなり結婚してしまったことすらある。
また、こんなエピソードもある。いずみは過去にハンマー殴り合い大会で優勝した経験がある。
その時の勝利者インタビューでは、大勢の報道陣に囲まれた。ガンマイクが取り付けられたブームを掲げる音声担当、メモを取る記者等々、本格的な報道を前に、『どんな訓練をしているのですか?』という質問に対していずみはこう答えた。
『一日百人、男性を雇って毎日人を殴る練習をしています。腕力、スピードと瞬発力を鍛えています。やっぱりプロとして相手を喜ばせるぶち方、そういうのも大事なので。ぶたれた方も「ちょっといいかも」と思っているのでは?』
インタビュー中も、いずみは質問している記者をしきりにぶっており、また、ぶたれている記者も終始嬉しそうな笑顔だった。


http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira098064.png

※画像と本文は関係ありません。


やはり、いずみという女は、本当に餃子と女性関係にのみとてつもなくカリスマ性がある。
ドS女王いずみを懲らしめるなんてできない。えりこはいずみという人物を甘く見ている。
そらはだんだんと怖くなってくる。
そらは、ある意味いずみを騙して人気の無い空き教室に呼び出している。その事にいずみが気が付いたら、あまり快く思わないだろう。だから、そこにえりこが近づいたら、えりこに協力をした人とそら自身も含めて、いずみに三人共々食い散らかされてしまうのではなかろうか。
そんな最悪な事態だけは避けなければならない。これ以上被害を芸人アイドル研究部の人達に及ばせてはならない。いずみに弄ばれるのは自分とすずこだけでいい。だから、えりこには帰ってもらって、そら自身だけがいずみの元へと行き、そしてひたすら謝るのが最善策だと、そらは考え始める。

えりこが今回いずみを懲らしめる人物について話し始める。
とりあえず、えりこの話を聞こうと、そらは耳を傾ける。
『上には上がいるって言葉があるように、世の中にはすごい人がたくさんいるの。例えば珍獣と呼ばれる人がいるんだけど』
『ち、ちんじゅう・・・?』
『そう。つい最近まで謎の生物として人々から恐れられていたけれど、その珍獣の正体は超音波を武器とする最終人型決戦兵器』
『人型決戦兵器・・・!!!』
えりこの口から次々と突拍子のない単語が繰り出されるが、その中の“人型決戦兵器”という存在により、そらはオタクモードにスイッチが入り、心躍らせる。 防御壁を展開したり、時には暴走しちゃったりするのだろうかと、そらは勝手に妄想を膨らませる。
『兵器といっても、別に誰かを物理的に傷つけるような物騒な人じゃないよ』
『えっ、なんだ・・・あっ、そ、そうですよね!』
『ただし、その珍獣は精神的に人をおかしくさせることに特化しているの』
『超音波が武器なんですよね? それで精神的におかしくしちゃうんですか?』
『ええ。その珍獣の真の力が発揮されるのは、会話している時。過去に会話でこんな発言をしたことがあるわ―――


・「私も歴史に残る言葉を“発明”したいと思います」
・「マスクつけると暖かいんですよ、だから泥棒とかはマスクしてるのかなって」
・「早起きは三文の毒」
・「ガチャピンってあれだよね? あの、黄色い方だよね?」
・「え!? 今年戌年なの!? じゃあ私戌年初めてかもしんない!」
・「北京の首都ってどこ?」
・「今年はノロウィルスが流行ってるからその辺のものを食べないように気をつけてる」
・(「イクラは何の卵でしょうか?」との問いに)「しか」
・「牛タン食べた?」「ううん、でも牛タンのスモークサーモン食べたの☆」
・「ぶた肉が好き」→(豚肉の美味しい店で注文)「ラザニア」
・(「熊が馬乗りして暴れた」というニュースを見て)「熊だったら熊乗りじゃないのかなぁ?」
・「かたつむりとなめくじって、どこが違うの??おうちがあるかないかの違い??かたつむりもおうちがとれちゃってなくなっちゃったら、なめくじになるの??」「最近なめくじはよく見るけど、かたつむりは見ないなぁ~やっぱり不景気だから?」
・(紅茶を注文した際「ミルクにしますか?レモンにしますか?」と聞かれて)「メロン!」」
・(「数の子は何の子供?」との問いに)「カズ」
・「雪だるまの雪うさぎがすごく上手にできたことがあるの」「雪だるまの雪うさぎ・・・?」
・(「マイケルジャクソンのモノマネ(ポゥ!)をしてと言われて」)甲高い声で「ア゙ッー!」
・「木村拓哉さんの世界に一つだけの“坂”」
・(伝記の話題にて)「キュウイ婦人とか。あれ、キュウイ婦人でいいんだっけ? キュウリ婦人?」 
・(俳句の話題にて)「松岡子規さんじゃなくって、なんだっけ?」「正岡子規さん!」(その5秒後)「松岡ゆきさん」
・(餃子の皮の作り方をセクシーに説明するというお題にて)「私の手作り餃子の皮は小麦粉100%、あなたへの愛情も100%♪・・・・。に対して水45%・・・・。食塩1%。あなたへの不満とおんなじ数字☆」
・(高校生の演技がピカイチと言おうとして)「愛ちゃんはね、でもね、やっぱりね、コッチョケ」「wwwwなんですか?! 韓国の調味料ですかwwww」
・(好みの男性のタイプは?)「聖徳太子さんですねえ! あの方はですねえ。一時はですねえ。5000円札と10000円札を制覇した方なんですよ、おさつー。お札のあのー、絵柄をですねえ。聖徳太子さんは10000円札と5000円札両方になったことがあるんですよ一時期ね。まあ、そんなね、あの、わたくしのあの、将来の夢はですね。あの、お金になる事なんでよ! お金になる事なんですよ! お金だーいすき! お金の中に入りたい! お金の中に入りたいんですよ、わたくし。ですからね、将来は、あのー、樋口一葉―――」→その後俳優と結婚
・(恋愛について討論するコーナーで『モテる女はトイレが早い』という意見に賛成する側で)「私はトイレがぁ・・・トイレがぁ・・・。分かった! 私と未祐ちゃんはトイレ声優じゃないですか! トイレにそんなに籠ってちゃいけないんですよ! いい女は。トイレの臭いが付いちゃう! トイレ! ウ○チ臭くなっちゃうんですよ、要は! だから! トイレは臭い所だからっ!!!」→その後俳優と結婚


―――まあ、こんなのが一部なんだけど。・・・って、そら、大丈夫?』
『うぅ・・・。なんだか頭が痛いです・・・。なんでしょう・・・この、言いようのない違和感は・・・。とにかく突っ込みたくてしょうがないです・・・』
『芸人のそらにはちょっと刺激が強かったかな。実際はこんな会話を超音波声でされるんだよ。よしの先輩は過去にこれをまともにくらっちゃたことがあって、その時は腹筋を破壊されてお弁当を消化できずにリバースしちゃったらしいの』
『あのよしの先輩がですか・・・? なるほど、よく分かりました。精神的におかしくさせるという意味が』
『ええ、しかも彼女はフルマラソンを4時間未満で完走する程の体力があるとか。それだけじゃなくて、お酒を飲むと更に手が付けられないらしいわ。そうなったらもう最後。どんな強面のおじさんが相手だろうが、まともに会話しようとしたら頭が狂って、正気を失っちゃうの』

※参考記事:『金田 朋子(かねだ ともこ)』アンサイクロペディア



『恐ろしいですね・・・。その珍獣さんが創る空間に放り込まれでもしたら、たとえいずみ様でもひとたまりも無いでしょう・・・。でも、その方はOGでしょうか?』
『ううん。まだ幼稚園児』
『えっ・・・?』
結婚やお酒と言ったワードが出て来たので、珍獣は自分よりずっと年上だとそらは思っていた。
しかし、幼稚園児らしい。そらは頭が混乱してくる。
『今回いずみさんを懲らしめる事に協力してもらう人は、珍獣に“この人には絶対に敵わない”と言わせた人だよ。ちなみにその人はまだ高校生』
高校生ということは、少なくとも、その人はいずみよりは年下だ・・・とそらは理解した。年下でありながら、ドSのいずみより優位に立つなどできるとは思えない。
えりこは顔を逸らして『三週目だけどね』と小さく呟いて付け足していたが、そらに耳には届いていなかった。

『そんな人間、この世にいる訳―――』
そんな人間この世にいる訳がない。そらがそう言おうとしたその時だった。

―――ああ~ん! おねえちゃーん! お花畑が~! お花畑~~!!!
『えっ・・・ええっ?! い、今のいずみ様の声ですか?!』
『うっ。なんか嫌な予感がする・・・。やりすぎてないでしょうね・・・?』
気が付いたら、いずみを誘い出した場所に近づいていた。
そこから聞こえてきたのは、普段の余裕綽々な態度からは考えられないほどの、いずみの乱れた声だった。そらは自分の耳を疑った。あんな声を出すほどにいずみが追いつめられるなんて、今まで想像すらできなかった。
『とりあえず入ってみましょうか』
えりこは扉に手を掛ける。この扉の向こうは一体どうなっているのだろう?
いずみが屈服している姿・・・。
いずみにあんな声を出させるまでに追い詰めた人物・・・。
そらにはどれも信じられなく、とても現実に起こり得る事だとは思えない。
事実が、真相がこの扉の向こうにある・・・。この目で見れば全てがはっきりする。
そらは固唾を吞んで扉の向こうの光景を待った。

ガラガラッ
『ん? あらー、えりこちゃん。元気~?』
『あ~、にこまきまきにこだ~』
そらは耳に引き続き、今度は自分の目を疑った。
いずみは服をはだけさせ、地面に這いつくばっている。這いつくばりながら、すぐ傍で立っている女性の脚にしがみ付きながら、頭を撫でられている。なんとも情けない姿を晒しているいずみ。えりこやそらに見られていると言うのに、お構いなしだ。
女性は、背は高く、髪は綺麗なストレートロング。体のスタイルも物凄く良い。顔は垂れ下がった目が印象的で、とても優しそうな雰囲気がある。また、泣きホクロがあり、それが妙に色っぽく感じる。
そらはその女性にどこか親近感を感じる。友達すら碌にいないそらは、初対面の人に親近感を感じるなど、とても珍しいことだ。そら自身も、その原因がよく分からなくて不思議に思ったが、初対面という感覚があまりなかった。
大人の魅力が溢れる美人。優雅で穏やかで、なんだか包み込んでくれそうな優しさも感じる。そらは女性を一目見て、一声聞いただけで、そういったことを思っていた。






絵里「あのいずみが、まるであどけない少女ね。いいざまだわ」

花陽「うんうん。すごかったよねえ・・・。でも、この女性、なんかどこかで見たような・・・?」ハテ

真姫「花陽! あなたもそう思う? 私もこんな人が身近にいるような気がして・・・。それも頻繁に、毎日のように会っているような・・・? なんなのかしら、このデジャブ」

花陽「真姫ちゃんも? 私は、何度か会ったような気がする程度なんけど・・・。どこだっけ? 特に、この泣きぼくろとか、普段は温和だけどたまにお茶目な一面見せそうなとことか、全体的にほわほわして優しいお姉さんっていう雰囲気なところが引っかかるんだよね」

真姫「そう、そこよ! それにおせっかい焼きな感じもするのよのね。・・・そもそも、なんでこんなに具体的にイメージできるのかしら? そんな特徴の人間なんてそこら辺にゴロゴロいないと思うんだけど」

絵里「んー? ・・・・そう言われれば、私もどこかで少しだけお会いしたような気もする」

真姫「エリーも? あとそれと、何なのこれ。変な感情が沸き起こるみたい。これは・・・恥ずかしい・・・なのかしら? なんか、こう・・・初詣で着物を着せてくれたり、来なくていいって言ってるのに、他のママ達を引きつれてライブに行こうとしたり・・・嬉しいと言うか、なんというか・・・。ああもう! 自分のことなのによく分からない! 何なのこれ!」モヤモヤ

絵里「まあ、落ち着きなさい、真姫。続き見るわよ」

真姫「・・・そうね。ごめんなさい」






そらが立っている女性に見惚れていると、その横でえりこが驚いたように口を出す。
『えっ、ちょ、ええ!? いずみさんに一体何をしたの!? そりゃあ、懲らしめてとは言ったけど、ちょっと説得するだけでいいって言ったでしょ!』
『あら、そうだったかしらー? だって、いずみちゃん可愛いんだもーん』
『ああ、もうっ! やっぱりこうなちゃった・・・。こうなるんじゃないかと少し思ってたから、頼みたくなかったのに・・・』
『いいじゃなーい。はー♪ 本当に女に生まれて良かった♪ 触り放題なんだもん♪ おっぱい大好き!』
『そういうのが余計なのっ!!』
そらにとって衝撃な事が次々と起こっている。
いずみが手なずけられ、いずみが“ちゃん”付けで呼ばれ、いずみでも言わないようなセクハラ発言を耳にする。更に、普段温和なえりこが声を荒げて抗議をしている。
しかし、声を荒げていたえりこは女性の柔和な態度に負けて、諦めたように頭を抱えてため息を吐いている。

えりこは一呼吸入れて気を取り直し、本来の目的の結果を確認する。
『はぁ・・・。それで、いずみさんはどうなの・・・?』
『そうねー。どうかしらー。ねえ、いずみちゃん。もうオイタしない?』
女性はいずみの方へ向き直り、聞いた。
『お姉ちゃんお姉ちゃんおねえさ~ま~。お姉ちゃんの笑顔見るだけで元気になります~~。素晴らしい人です~~。お姉ちゃんはほわーっと。お姉ちゃんがぶち撒いた幸せオーラに包まれるの大好きです~~。お姉ちゃんの歩いたあとはお花が咲き乱れています~~。お花お花お花~~。お姉ちゃんのような大人になりたいです~~。お花畑な~のぉぉぉぉおお!』
『あらあら、うふふ。嬉しいわあ』
女性は上品に笑いながらいずみの頭を撫でている。
それに対していずみは全然質問に答えてない。人の脚にしがみ付いて訳の分からない事を喚いている。やけに甘ったるい声で、しかもオペラ調で。
一体いずみはどうなってしまったのか。なんなのだあれは。意味が分からない。いつもの2倍絡みづらい。そらはそう思った。
えりこも困惑していたが、とりあえず目的は達成したと考えているようだ。
『そ、そう・・・よく分からないけど・・・。ありがと。そ、それじゃあ、そら。あんな状態じゃあ、いずみさん、もう何にもできないでしょ。行こっ』
えりこがそらの手を取り、部屋から出ようとする。
『えー? ねえ、待って欲しいわあ、えりこちゃん。そっちの子はそらちゃんなの? お話ししたいわあ』
そらは呼び止められてしまい、出ていいのか留まったらいいのか分からなくなってしまう。
えりこの顔を伺うと、少し焦っているように見える。
・・・いや、焦っているというよりは、恥ずかしそうに見える。少し顔を赤らめて視線を下に向けている。
あちらの女性とえりこは一体どのような関係なのだろうか。先程からえりこが珍しく声を荒げたりしているが、少なくとも仲が悪いようには見えない。女性は年上の人だろうが、えりこは特に敬語も使わず話している。それでもお互いの会話のトーンからは緊張感はない。
その様子を例えるなら、久しぶりに友達を家に連れて来たけど、それに母親が喜んじゃって、そんな母親が恥ずかしくて友達に見られたくない・・・そんな親子のほほえましい一面を見たかのようだ。
『あなた、そらまめちゃんでしょー?』
『え、あ、は、はい! あっ、そらまる・・・いえっ! はいっ! そらまめです! なんでもいいです!』
女性は全体的に落ち着いた雰囲気で、しゃべり方も、とてもおっとりしていて、近くに居ても全然警戒心を持たなくていいような人だった。
しかし、そらはなんとなく、女性の事をただならぬ者だと認識していて、緊張で声を上ずらせて返事をする。
えりこはこの場から離れたそうだが、おとなしく女性の言葉には従い、待っている。
『いつもえりこちゃんから話は聞いてるの。とても可愛い友達ができたって。良かったわ。高校に入ってから友達一人遊びに来ないから、ちょっと心配してて。あっ、チョコあるけど食べるー?』





真姫「ヴぇえええ!///」ガタンッ

花陽「真姫ちゃん? どうしたの?」

真姫「わ、分からないわよ・・・・/// 分かんないけど、急にあなたたちに見られたくないような気がして・・・」ソワソワ

絵里「なんでよ。チョコくれるなんて、とてもいい人じゃない」

真姫「そ、そうなんだけど・・・なんだか、とても居た堪れないの・・・」

絵里「ふーん? とりあえず、続き読んでもいいかしら?」

真姫「え、ええ・・・」





『そんな、ボクもえりこ先輩にはとてもお世話になりっぱなしで・・・。あっ、チョコください。お菓子好きなんです』
『どうぞー。チョコはいつも持ち歩いているのー』
そらは女性からチョコを受け取り、頬張る。チョコの中はクッキーのようなスナックになっていて、食べやすく美味しかった。
えりこの方を見ると、更に居心地が悪そうに壁の方を向いて俯いている。本当に恥ずかしがっているのだろうか。

『あ~~。お姉ちゃん、私にもチョコくださぃぃぃいいい』
そらがチョコを食べているのを見て、いずみもチョコをねだる。
『あらあら、うふふ。どうぞ、はい、あ~ん』
いずみは嬉しそうに女性の手からチョコを食べた。更に、『いい子いい子』されて大層ご満悦な表情だ。あれじゃあ飼われている犬だ。貴女は飼う方じゃなかったのかと心の中でそらは突っ込む。
女性といずみがイチャついてる間に、そらは女性の事についてえりこに尋ねてみた。
『あの、えりこ先輩。あちらの方はどちら様なのでしょうか?』
『え? ああ。言ってなかったっけ。あの人はママだよ・・・・私の』
『・・・・・・・・・・・。ええええ?!! おかおかおか、え、えりこ先輩のお母さん?!!!』
そらは5秒ほど硬直した後に、あまりの衝撃に声を荒げる。しかし、それはおかしいとそらはすぐに気が付く。
そらは、部屋に入る前にえりこから聞いていたことがあったので、それを確認する。
『あちらの方が珍獣さんよりすごい人ですよね・・・? でも、確かその人は高校生だって・・・???』
答えられるけど言いたくない。えりこはそんな心境を抱えているかのように難しい表情をしている。落ち着きが無く、視線を彷徨わせている。
そうしている間に、そらの声が聞こえていた女性がそらの方を向いて代わりに答える。
『そうでーす! 今年、娘と同い年になりましたー!』
この女性はえりこの母親。であれば、間違いなくここにいる中では最年長。それに、いずみは女性の事を“お姉ちゃん”としきりに呼んでいる。いずみよりは年上だ。絶対に。
しかし・・・それにしては、若々し過ぎる。えりこの年齢を考えたら、その親の年齢は40歳を超えているくらいが妥当だし、むしろ50歳を過ぎていても不思議ではない。だが、どうだろう。経産婦だというのに、あの体はスタイルが良すぎる。ドモホルンリンクルのCMに出ているモデルさんより綺麗な人だ。
確かに、お母さんというよりは、お姉ちゃんだ。いずみが連呼したがるのもよく分かる。
それはそうとして・・・。えりこの母親は、えりこと同い年。
とつもない矛盾。事実が噛みあわない。
そらは混乱する。そらは今知ったことを必死に頭の中で色々組み合わせて、どうやったら辻褄が合うか考える。

そして、必死に考えた結果、矛盾が解消する一つの仮説を導き出す。
『あ、ああ。あの・・・えりこ先輩って、養子・・・でしたか・・・?』
そらは恐る恐るえりこに尋ねる。
そらは、声に出してから、ちょっと聞いてはいけないことを聞いてしまったかと、少し後悔するが・・・。
そらの質問にはえりこの母親が答えた。
『ちがいまーすよー。正真正銘血の繋がった親子でーす』
それを聞いたえりこはトマトのように顔を赤くし、苦虫を噛み潰したような表情をして、小刻みに体を震わせる。だけども、血の繋がった親子というのは否定しない。
矛盾はさらに深まる。
そらは更に悩んで考える。
そして、矛盾を解消するもう一つの仮説が思い浮かぶ。
とある魚の名前が頭の中をよぎったその瞬間、そらの生存本能が全力で働く。それを象徴するかのように、恐怖で背筋が凍るような感覚がした。
そらは顔を引きつらせて、もう一度、ゆっくりと、えりこの母親の方を見る。
笑っていた。優しく大人らしい落ち着いた笑顔である。
しかし、その笑顔を見たそらの生存本能はこう言っている。
そらがたった今立てた仮説を考えれば考える程、そらの明日が来なくなる確率が死すう関数的に上がっていくだろうと。
怖くて怖くてしょうがない。どうやったら生き延びられるか。生き延びるために、そらは必死に次の立ち回りを考えた。
思慮深く、ことわざの知識も多いそらは、馬と鹿の話を咄嗟に思い出した。
昔々、絶対的な権力を持つ王様が、家来を集めた場に鹿を連れてきた。それで、こいつは馬だよなぁ? と言って、家来たちに同意を求めた。王様の言う通りこれは馬ですなぁ、と賛同した家来は何事もなく、どう見たって鹿だろうがと反論した家来は、後日全員謎の死を遂げたという話だ。
今はその状況に似ている。えりこの母親の言い知れぬ威圧感を無視して、『えりこのお母さんの年齢はxx歳ですよね?』と発言したとする。
・・・・そんな馬鹿な真似をしたら、確実に命を落とす。
若く将来を楽しみにしているそらは、まだまだ死にたくないと思った。とにかく死にたくない。死にたくない。死にたくない。
そらは恐怖で全身に冷や汗が流れ、ガチガチと体を震えさせる。
様子がおかしいそらを見たえりこの母親ががそらに声を掛ける。
『どーしたの? そらちゃん?』
『くぁwせdrftgyふじこlp!!?』
そらは驚きと恐怖で変な声を出しながら飛び上がってしまう。
どうしたの? えりこ母親から発せられたその声は、そらの事を気遣うとても優しい声だった。だが、そらは確かに感じたのだ。その優しい声に込められた意思を。それは・・・“それ以上詮索するな”と。
相手がどんなに恐ろしい人物かを、そらは改めて認識させられた。
あの、えりこの母親の柔らかい笑顔と優しい声から発せられる力は計り知れない。この力はなんだろう。この強大で得体のしれない力の正体はなんだろう。そらは考える。
柔らかい笑顔の雰囲気はえりこに似ている。えりこは芯のしっかりした人で、普段から落ち着きがある。それは、辛い過去を乗り越えたからである。だからこそ、思い悩んでいるそらを元気付ける程の包容力も備えている。しかし、えりこの芯の強さが、母親を前にしている今は、ちっぽけに感じる。それはえりこの母親からえりこ以上に非常に太く大きな芯を感じられるからだ。えりこの母親は、一見したら、たれ目の笑顔が可愛らしいフワフワした雰囲気があるが、その実は人間的にとても安定感があり、強い女性であることは間違いない。
つよい女性・・・。
そらはつよいと思っている人として、いずみとえみがいる。
いずみは、精神攻撃が得意だ。例えば、疑っている相手に対して、抱き付いて耳元で『信じているよ』とささやいて動揺を誘う色仕掛けを交えた高度な精神攻撃を得意とする。
えみは言わずもがな、ステロイドを使わず一般女性の10倍の太さがある腕から繰り出される100万馬力を扱えるからだ。
しかし、精神攻撃とか怪力なんてありきたりな能力はえりこの母親を前にしたら霞んで見える。えりこの母親は別次元の力を有している。文字通り、その気になれば時空さえ操りそうである。それはもはや人知を超えた力だ。
・・・人知を超えた力・・・。そうだ。これがえりこの母親の強大な力の正体だ。
そらは、その答えに確信を持つ。
時空を操る力があれば、同い年の実の娘が居ても不思議ではない。
そこまで考えて、一つの結論を導き出す。
そう、この力を持つことができる存在は・・・
神。

ああ、女神様なんだ。この人は・・・

触らぬ神に祟りなし。
長い物には巻かれろ。
女王だろうがゴリラだろうが、神には勝てない。
何人たりとも抗えない。
鯖は関係ない。

そらは精いっぱいの笑顔を作って言った。
『こんにちは。えりこ先輩のお母さん。ご趣味はなんですか?』
そらは賢い。頭の回転が早い。それは、頭がお花畑ないずみが唐突に作った気まずい状況を幾度となくさばいてレベル上げをしてきたおかげだ。
そんなそらによる見事な話題逸らし。何気ない世間話を始める。それは、そらの生存本能が繰り出した最大限の処世術でもあった。
『私の趣味はねー。コスプレ!』
えりこの母親は、そらの唐突な世間話になんの疑問も持たずに、会話を始める。
そらの処世術が功を奏し、そらの寿命が延びた瞬間だった。
『えっ! そうなんですか! ボクもコスプレ好きなんですよ!』
そらは、初公開のアニメの映画を見に行く時にキャラクターのコスプレをしちゃうようなオタクな子である。そんな事に付き合える友達もごく少数。付き合えるのはせいぜいオタク仲間のゆりかくらいなものである。
だから、コスプレが趣味と聞いて思わず喜びの声を上げてしまう。
『そうなのー? ねえ、今度、そらまもるちゃんのライブの衣装の着させてくれない?』
『はい! どうぞ! どうぞ! 是非着て欲しいです!』
『本当? うれいしいわあ。私ってね、コスプレする時っていつもすっごく慎重になっちゃうの。だって、勝手にやったら申し訳ないし。だからこっちからコスプレしていい? ってお願いしに行くんだけど、それもやりにくくてねー・・・。だからそうやって勧められとすごく嬉しいの』
『そうなですか、えへへ』
『そらちゃんは他にも趣味はあるの? スポーツとか』 
『うーん・・・。ボク運動音痴で・・・』
『スポーツ全部だめなの?』
『そうですねー・・・。あ、いえ。泳ぐのはできます。ボク重力が苦手なんです。でも、泳ぐなら重力はないから、力任せでなんとかなる水泳は好きです』
『あら、そうなのー? 私もお魚の生まれ変わりかなって思っちゃうくらい泳ぐのが好きなの。だから、マンボウってあだ名があるの~』
『あはは! マンボウなんですか? 可愛いです!』
のんびりな雰囲気があるえりこの母親。そらは、マンボウというあだ名はとても的を射たあだ名だと思った。

『そうなのー。ノン子さんが付けてくれたの~。あっ、ノン子さんって知ってる?』
『知ってますよ! あや先輩のお母さんですよね。私と同じ部のえみ先輩がのりこさんのモノマネがすごく上手なんですよ!』
『えみちゃんが? あらあら、うふふ、それは知らなかったわ~。あ、そうそう、知ってる~? ノン子さんて昔は物凄く魔法少女に憧れてたんだよ』
『ああ。だからあや先輩は魔法少女(笑)やってるんだ』
『そうそう。親子で可愛いよねー・・・・。もちろん、そらちゃんも可愛いわよー』
『そ、そうですか? ありがとうございます』
相手が女神だということもあり、若干緊張していはいるが、趣味が合うし、そらは楽しく会話ができていた。可愛いと褒められ、恥ずかしいけれども、純粋に嬉しかった。
それに、そらはいずみの欲情を煽り立てるようなしゃべり方で話しかけられるのに慣れているので、えりこの母親のフワフワした包み込むような優しいしゃべり方が心地良かった。
この人は、本当に母性の塊のような人だ。えりこの時と同じで、そらはえりこの母親の事も好きになっていく。
母性に溢れ、品があって、優しくて柔らかい物腰で、ほんわかした笑顔―――
『ほんとーに。可愛いわぁ・・・・・・・・!』
―――それが豹変した。
ギラリと鋭い眼光。
その目で見られた瞬間、そらは、血に飢えたアナコンダに睨まれたアマガエルのように身動きが取れなくなってしまう。
獲物に狙いを付けて舌舐めずりをする人妻。
とてつもなく色っぽいながらも有無を言わさない圧倒的な威圧感。その様は、まさに魔性の女。
魅惑的な微笑を含み、細いタレ目でそらを見下ろす。目の下にあるは、泣きホクロ。それが官能的な印象を強くする
アラサ―程度の小娘がいくらキャピキャピしようが決して真似することなどできない美熟女の艶やかで濃厚な色気。
そらとの距離を詰める。そして、愛おしそうにそらの頬に触れた後、細長い人差し指で、そらのとんがった唇を優しく撫でる。
『えりこちゃんに、いずみちゃんに、そらちゃんに・・・。若くて可愛い子がいっぱいでお花畑みたーい。うふふ、全部まとめてゲットしちゃいたいわ~』
お花畑を前にして喜ぶ女王蜂。その毒針に刺されたら、正気を失い、きっと下僕にされるてしまうのだろう。いずみのように。
神の力を前にしたそらは、恐怖を感じる間もなく、抗うことはおろか、逃げ出すことすらも諦める。そう、相手は時空を操る程の力を持つ女神なのである。その気にさせてしまったのなら、何をしたところで無意味だ。試合が始まった瞬間に勝敗が決してしまう。
しかし、場の空気が変わったのを敏感に感じ取ったえりこは、強引に母親とそらの間に立ち入って声を上げる。
『!? ママ! もういいでしょ! そら、行こう!』
えりこにかばってもらい、そらは金縛りから逃れる。
えりこはそらの手を引いて外へ出ようとする。
えりこの母親は娘の必死な姿を見て、牙をしまう。魔性の女ではあるけれども、まるで半世紀以上に渡る長き歴史を生き抜いたかのような貫禄が伴っており、慈悲と常識はちゃんとある。
『あらあら、うふふ。そらちゃん。ひと肌が恋しくなったらいつでもおいで』
えりこの母親は手を振って、おとなしくえりことそらを見送る。
そらはえりこに手を引かれながらも、えりこの母親との会話が楽しく、また母性が心地良かったのも確かなので、少しだけ名残惜しいと思っていた。
そんな名残惜しい気持ちがあったので、そらは最後に質問をする。
『あ、あの。お名前をうかがってもいいですか?』
えりこの母親は満面の笑顔で答えた。
『きくこ! じゅうななさいで~す♪』






えりまきぱな「「「おいおい」」」



※この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件などには一切関係ありません。












おわり




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††懺悔室YAZAWA††



にこ「ここは懺悔室にこ」人

にこ「己の罪を反省し、悔い改めたい罪深き仔羊が懺悔して神の許しを請う場所にこ」人


にこ「懺悔に来た子羊を、ラブにここと、このにこにーが神の愛(ラブ)を伝えるにこ」人

にこ「なお、子羊が自分の罪を言いやすいよう、子羊とにことの間は衝立があって、誰が来ているのかは分からないにこ」人

にこ「なむ・・・」人



にこ「早速子羊が来たようだにこ」


ガチャ


???「・・・・・・・」


にこ「座りなさい」


ストン


???「・・・・・・・」

にこ「私からはあなたの顔は見えません。誰か分かりません。ですから臆さず、話しなさい」

???「・・・・・はい」

???「・・・・・私を罪を犯しました」

???「神は許してくれますか?」

にこ「あなたの罪とは?」


???「・・・・・・・」

???「・・・・・・・」

???「私には大切な友達がいます。その友達に酷い事をしました」

にこ「酷い事とは?」

???「その友達はとても恥ずかしがり屋さんなんです。だから、なかなか短いスカートを履いてくれません。・・・とっても綺麗な脚を持ってるのに・・・」

にこ「ふむ」

???「でも! 私はどうしても可愛い彼女の姿が見たかったんです! 彼女の太ももが見たかったんです! あわよくば恥ずかしがる海未ちゃんを見たかったんです!」バンバン

にこ「落ち着きなさい」

???「あっ・・・ごめんなさい」

にこ「あなたという人が良く分かりました。確かにあなたは欲にまみれた罪深き人ですね。欲に囚われる人に神は手を差し伸べません。しかし、今懺悔をしたことによって」

???「話はまだ終わってません」

にこ「ごめんにこ」

???「そこでは私は一計を案じました」

???「うm・・・・彼女はチャイナドレスに密かに憧れていたんです」

にこ「ふむ」

???「私は閃きました」

???「私は一見普通のチャイナドレスを作りました。彼女はとても素晴らしい衣装だと言ってくれて、喜んで着てくれました」

???「しかし、私はそのチャイナドレスのスリットの部分はわざと弱く縫っていました」



???「そして彼女がチャイナドレスを着てステージに立って踊った時。私の思惑通り、スリットが深くなりましたっ!」

???「ピへへぇ/// じわりじわりと露わになる海未ちゃんの太もも! 最高のエロス! ことりはもう、その太ももから目を離せませんでした! そして、ようやくスリットに気が付いた海未ちゃん! 慌ててその場にへたり込んで顔は真っ赤に染めて恥ずかしがる海未ちゃん!」

???「スリットの部分を手で隠して 『ことりー! 助けてくださいー!』って! マケミちゅーん!! たくさんの写真とフルHD動画を撮って、その夜はたくさんちゅんちゅんしちゃった! 今日もするちゅん!」

???「海未ちゃん海未ちゃんんみちゅぅぁん!!」ピヘェピヘェ

にこ「ラブにこアタック!」ドゴォ

???「ぢゅん!?」

にこ「これが神の応えにこ」




にこ「次の子羊が来たようだにこ」


カチャ


??「・・・・・・・」


にこ「座りなさい」


ストン


??「・・・・・・・」

にこ「聞きましょう」

??「私には大切な友達がいます」

にこ「ふむ」

??「その友達はとにかく人を舐めるのが好きなんです。手だろうが足だろうが、差し出せばすぐに舐めてくれるんです」

にこ「変わった人だにこ」

??「そこで私は閃きました」

??「花陽は膝立ちになって、おもむろにパンツを降ろし

にこ「ラブにこキ~ック!!」ドゴォ

??「パナ゙ァ?!」





にこ「次。入れにこ」

ガチャ

??「私には大切な後輩がいるんです」

にこ「ふむ」

??「その後輩にエロ本を読ませました」

にこ「ラブにこ百烈脚!」ドゴォ

??「ヂカァ?!」



にこ「次」

?「チョコ作ってる時に粉砂糖と間違ってお塩を振りかけちゃったんだけど、捨てるのもったいないからお父さんに食べさせたにゃ。バレンタインだったからとっても喜んでたにゃ」

にこ「ラブにこビ~ム!」ドゴォ

?「に゙ぁ!!」




?「なー、にこっち。やっぱり神の愛とか、そういうのウチの役目やない?」

にこ「ラブにこタックル!」ドg...ポヨヨン  にこ「!!??」

?「なんでやねん」




???「おまんじゅう飽きた」

にこ「ラブにこ漢字テスト!」怒号

???「おこる・・・ごう・・・?」




??「大切なお友達を無理矢理押し倒し、花陽は膝立ちになって、おもむろにパンツを降ろし

にこ「ラブにこ置きっぱなし式ブレーンバスター!」ドゴォ




にこ「家族を騙して自分が超人気アイドルって言ってて・・・」

にこ「ラブにこスルー!」ニ゙ゴォ




??「大好きな先輩がいるんだけど素直になれなくって・・・」カミノケクルクル

にこ「らっ、らぶにこキッス・・・///」チュ




??「えっ? 私ですか? う~ん・・・。懺悔するようなことは特にありませんが・・・」

にこ「ラブにこアローシュート!」バーン


保守

なんか話の展開がハート&ボディの人っぽいけど本人?

でもどちらにせよ続きをお願いします

保守

>>251
違うと思いますが、潮騒の音色をお聞かせください。


?「近所の大きなホームセンターの駐車場の2階がグレーチング構造(格子状の鋼鉄)の床になっています。日曜日の朝早くに車でそのホームセンターに行き、1階に車を停めて、早々と買い物を済ませて車に戻り、シートを倒してのんびりとガラス越しに上を眺めます。日曜なのですぐに駐車場が一杯になります。すると2階に駐車して車から降りてきた人のs

にこ「・・・・・・」ドゴォォオオおおオオンン!!!!!!!110







?「中学生の頃、音楽の授業で自分のリコーダーを机の中にしまっていたのを忘れていて、席を外していた隣の女子のリコーダーを自分のと間違えて手に取って、その後隣の女子が戻ってきてリコーダーが無いことに気が付いて、先生に言って、すぐに先生が生徒全員に向かって『○○さんのリコーダー知りませんか?』って言ったんだけど、その時に自分のリコーダーが机に中にある事を思い出して、自分が今手に持ってるリコーダーが隣の女子のリコーダーだと気が付いたけど、みんなが見てる中言い出せなくて、そのまま家に持って帰っちゃって、厳かにp

にこ「・・・・・・」オシテポチリ


                               ヽ`
                              ´
                               ´.

                           __,,:::========:::,,__
                        ...‐''゙ .  ` ´ ´、 ゝ   ''‐...
                      ..‐´      ゙          `‐..
                    /                    \
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にこ「良い子はこんなの見てないで、さっさと寝ろにこ」



メモ帳




ラブライブ!
 ・・・生徒会Aを演じる橘田いずみ

橘田いずみオフィシャルブログ「いずの餃子」
 ・・・橘田いずみの "女王" という呼称

ミルキィホームズの特別授業
 ・・・徳井青空が腕相撲対決で優勝
 ・・・橘田いずみが三森すずこのお尻をガン見した話
 ・・・温泉旅館で徳井青空の裸を見たがる橘田いずみ
 ・・・撮影中にも関わらず、百合漫画"百合男子"を読み耽る橘田いずみ
 ・・・死んだふりをしている徳井青空に覆いかぶさる橘田いずみ
 ・・・徳井青空に精神攻撃を仕掛ける橘田いずみ
 ・・・ハンマーゲームで優勝した橘田いずみ
 ・・・カブトムシの絵を描く橘田いずみと徳井青空
 ・・・体を洗うときはタオルで強く擦るように母親に教えられた徳井青空
 ・・・文学部卒業なのに、ことわざクイズで全問不正解の橘田いずみ
 ・・・電車やエスカレーターで女性のスカートの中が見える見えないについて語る橘田いずみ

燃えろ!ミルキィホームズ
 ・・・三森すずこの口にポッキーを突っ込んで、片方を咥える橘田いずみ
 ・・・徳井青空の頭にハンガーを挟んで遊ぶ橘田いずみ
 ・・・徳井青空の鼻の穴に突っ込んだポッキーを三森すずこに食べさせる橘田いずみ

【Blu-ray発売記念】特番!浦安鉄筋家族〜アニメ一挙放送もあるよ〜
 ・・・楠田亜衣奈の目を手で覆い、チョコレートフォンデュに付けた稲荷寿司を食べさせる橘田いずみ

鷲崎健の2h
 ・・・橘田いずみから冷蔵庫を譲り受けた話をする三森すずこ

ワタモテRADIO
 ・・・橘田いずみのクリスマスの過ごし方について

ラブライブ! μ's広報部 ~にこりんぱな~
 ・・・徳井青空の一人称「ボク」
 ・・・徳井青空と久保ユリカは飯田里穂を笑わせるためだけに存在すると語る久保ユリカ
 ・・・久保ユリカのプライベート「部屋で一人で雑誌読んでる」「壁の写真を撮った」「お帰りなさいって言って欲しくて一人でメイド喫茶に行ってた」等
 ・・・飯田里穂、久保ユリカ、徳井青空が自身の財布の中に入っている電器店のポイントカードを数えた所、徳井青空が一番多く、そのことについて久保ユリカに「そらはオタクだからたくさん持ってるんだよ」と言われる
 ・・・為替レートにあまり詳しくない久保ユリカ
 ・・・エヴァンゲリオンの映画にコスプレして行く徳井青空と久保ユリカ

ラブライ部 ニコ生課外活動 〜ことほのうみ〜
 ・・・小学校から中学生にかけて、友人とお笑い芸人を目指していた徳井青空
 ・・・マーライオンを描く久保ユリカ
 ・・・アルパカを描く久保ユリカ

μ’s全員集合ニコ生特番
 ・・・穂乃果を描く久保ユリカ

「橘田いずみのザ・餃子出版記念」~餃子は我が人生! 生まれる前から好きでした~
 ・・・徳井青空がご飯と一緒にギョウザを食べようとすると、橘田いずみが不機嫌になる

ニコ生ラブライブ!アワー えみつんファイトクラブ
 ・・・(仮想)の巨大生物や電車に対して、圧倒的なパワー見せる新田恵海
 ・・・生放送なのにパーソナリティである新田恵海が体調を崩してしまい、出演はするもしゃべれなくなってしまう。代わり司会進行を務めたのがゲストのはずの久保ユリカ

ニセコイラジオ
 ・・・東山奈央に壁ドンをする佐倉綾音
 ・・・佐倉綾音(年下)の東山奈央(年上)への呼び方「なお」

なれる!SE ~萌えるSE相談所~
 ・・・東山奈央の佐倉綾音に対する印象「全部が好き」等

もじゃ先輩とさくら君
 ・・・百合雑誌の中で百合のマニア度をランク付けするコラムがあり、その中の最高ランクである "百合マスター" の条件をクリアしていた佐倉綾音。利根健太朗「あやねるは百合マスターよりもっとすごいと思うけどな」
 ・・・佐倉綾音「百合の限界はデコちゅー」
 ・・・佐倉綾音の東山奈央に対する印象「なおちゃんにならデコちゅーできる! 何杯でもいける!」「相思相愛ですよ! なおちゃんとは『ダーリン♪』『ハニー♪』と呼び合う関係ですよ!」等。利根健太朗「それは、なおちゃんの方は友達同士くらいにしか思ってないんじゃ?」 佐倉綾音「えっ・・・?(絶句) ・・・今度確認します。私の事どう思ってるの?! って」

こえバナ!~女性声優だらけの大忘年会~
 ・・・東山奈央「あやねる、私の事なんて呼んでたっけ?」 佐倉綾音「ダーリン!」 東山奈央「うそだー。初めて聞いたー」

矢作紗友里・東山奈央のRADIO:XBLAZE
 ・・・22歳の東山奈央が「一日10分程度でできるドリルありませんか」と本屋の店員に尋ねた所、中学生のコーナーに通され、「高校受験かな?」と聞かれた。東山奈央は中3でちょうどいいやと思って、そのまま中学3年生5科の10分間基礎ドリルを購入

ラジオ シドニアの騎士~綾と綾音の秘密の光合成~
 ・・・洲崎綾「あやねるのブラジャー付けてみたり」
 ・・・洲崎綾「急なお泊りだったから下着とか無くて、あやねるからすっごい綺麗なパンツをもらった。もっときったないあやねるのパンツないの?」
 ・・・佐倉綾音「アタシの下着入れずーっと探ってるの」 洲崎綾「もしサイズが合ってるのあったら持って帰ろうと思って見てた」


ラジオどっとあい 佐倉綾音のかけだし、さくら前線。
 ・・・浴衣を着た花澤香菜のうなじを想像して発作を起し、奇声をあげる佐倉綾音
 ・・・百合について熱く語りまくって、周りの大人たちを苦笑いさせる佐倉綾音 
 ・・・佐倉綾音が "花澤香菜のひとりでできるかな?" を聴いている際に、自身の名前が出てきたという話をした所、佐倉綾音が興奮し、奇妙な笑い声を上げて、キモいと言われる
 ・・・CDが売れ始めてポニーキャニオンに対してお寿司をごちそうしてもらえることを期待した佐倉綾音「じゅるじゅる」

矢作・佐倉のちょっとお時間よろしいですか
 ・・・女性リスナーから「寒い時に女性の先輩からブレザーを掛けられてトゥンクした」というお便りを受け取り、それに対して矢作紗友里の「ブレザーは薄いからマフラーの方が良かった」という意見に、佐倉綾音は「違いますー! 布の厚みじゃないんですー! 先輩の顔の紅潮とかで温まちゃうんですー! 論破ー!」
 ・・・身だしなみを整える時間が一般的な女性より遥かに短い佐倉綾音

じょしらく
 ・・・佐倉綾音「つまんねーこと聞くなよ!」

女子落語協会一門の女子トーーーク!
 ・・・クリスマスでイチャつくカップルにイライラするというトークを繰り広げる南條愛乃と佐倉綾音

佐倉綾音 Ayane*LDK
 ・・・佐倉綾音の橘田いずみに対する印象「めっちゃスタイルいいわぁ・・・」等
 ・・・女性が髪を耳に掛ける仕草が好きと語る佐倉綾音

橘田いずみ ツイッター
 ・・・洋服屋で佐倉綾音に偶然出会う橘田いずみ

ガンガンGAちゃんねる
 ・・・佐倉綾音「綺麗なお姉さんの夢を見るにはどうすればいいのだろう? → 写真集を枕の下に置いて寝たらいいんじゃない? 三森すずこさんとか」

ご注文はラジオですか?
 ・・・佐倉綾音と水瀬いのりがお互いの好きな所を交互に言い合うというテーマで、水瀬いのりが「笑顔!」と言った所、佐倉綾音が悶絶して紅潮し、水瀬いのりが「佐倉さんチーク濃くなってきた?」と指摘
 ・・・佐倉綾音が中学生の頃、一人称が "ボク" なのをクラスメイトにバカにされ、だんだんと変わっていったという話

ご注文はうさぎですか??
 ・・・佐倉綾音の咆哮(`0言0́*)<ヴェアアアアアアアア

花澤香菜のひとりでできるかな?
 ・・・佐倉綾音が花澤香菜に対して花澤香菜の魅力を教えるというテーマで佐倉綾音が話し始めるが、その際の花澤香菜の反応が「やだやだ! 気持ち悪いこの人!」「怖いよー!」「なんなのあやねるは! どうしたいんだ私を!?」「重いよー! 愛が重いよー!」と言いつつも嬉しそう

麻雀最強戦2012
 ・・・徳井青空「友達いない」「メンツ集められない」
 ・・・徳井青空が言った「買うーピン」というダジャレ

魔法少女★自宅ちゃん
 ・・・徳井青空のマンガ

PileちゃんのチャンネルPile
 ・・・Pileの三森すずこに対する印象「大の仲良しなんですわ」
 ・・・出演するお渡し会の会場を間違えるPile

魔法笑女マジカル☆ウッチー
 ・・・28歳の内田彩が自身の事を "少女" だと主張し、魔法少女に変身する


三省堂 大辞林
しょう じょ せうぢよ [1] 【少女】
①年若い女の子。普通,七,八歳から一五,六歳くらいまで。おとめ。 → 少年
②律令制の年齢区分で,一七歳以上二〇歳以下の女子の称。



Pileオフィシャルブログ「☆きらきら まいにっち☆」
 ・・・Pileの過去

百合男子 ドラマCD オーディオコメンタリー
 ・・・百合漫画 "百合男子" について語る佐倉綾音

百合魂-ゆりイズム-
 ・・・百合漫画 "百合男子" について語る橘田いずみ
 ・・・三上枝織から「7秒間見つめられると恋に落ちる」と聞き、実践する橘田いずみ

東京レイヴンズDVD オーディオコメンタリー
 ・・・ "雨の日に自販機の横で泣いている女の子" について語る橘田いずみと佐倉綾音
 ・・・佐倉綾音の橘田いずみへの呼び方「いずみねーさん」

【ガールズ落語ラジオ】じょしらじ
 ・・・登場キャラクターの百合カップリングの妄想について熱心に語る佐倉綾音


RADIOアニメロミックス ラブライブ!~のぞえりRadio Garden~
 ・・・メカトロン(ボイスチェンジャーを使った楠田亜衣奈の変な声)
 ・・・南條愛乃と楠田亜衣奈が鎌倉へ遊びに行った帰り、都内で文房具屋へ行く → 約束ノート
 ・・・回を重ねるごとに、楠田亜衣奈が南條愛乃のあだ名(なんちゃん)を呼ぶ回数が多くなり、丁寧語が少なくなっていく
 ・・・南條愛乃と楠田亜衣奈との腕相撲対決で、圧倒的なパワー見せる新田恵海
 ・・・年齢を意識させられるから「先輩」と呼ばれたくない南條愛乃
 ・・・楠田亜衣が、新田恵海と共に、神田明神、ライブ、銚子、箱根に行った話しをする
 ・・・楠田亜衣奈と一緒にうなぎを食べに行ったのを忘れていた南條愛乃
 ・・・南條愛乃のPileに対する初対面の印象「セレブ感半端ねえ」
 ・・・南條愛乃の久保ユリカに対する初対面の印象「隅っこの方でカーディガンを肩からかけて、小説みたいのを読んでた。すげえ美少女がいるけど、ちょっとしゃべりかけられないなあ」
 ・・・ラブライブについて、当初は「こんなにさあ、長くなるコンテンツだと思ってなかった」と語る南條愛乃
 ・・・南條愛乃「硝子の花園やる前日の夕食、くっすんとめっちゃ近くなるのに、『くっすんごめんね』って言いながら餃子とニラ入ってるあんかけの何かを一杯食べちゃった」
 ・・・「ハラショー」という発音はカタカナで構わないと指示を受けていた南條愛乃だったが、それに対して佐倉綾音は本来のロシア語を真似て巻き舌を効かせた「ハラショー」を発音していたという

ニコ生ラブライブ!アワー のぞほの☆バラエティボックス
 ・・・大変仲が良い新田恵海と楠田亜衣奈
 ・・・過去に新田恵海が骨折してしまった時の話。自転車に乗っている時に、遠くにいる友人に手を振ったところ、バランスを崩して、畑に落ちて脚の骨を折った新田恵美

今日もいい天気だよ。
 ・・・南條愛乃が飼っている猫について
 ・・・徳井青空にお菓子を与えて餌付けする南條愛乃

南條一間
 ・・・南條愛乃「貧乏だったよ。コンビニ弁当買えなくて、カップ麺も買えなくて、ひもじくてコンビニで泣いたよ」

麦穂あんな 公式ブログ*O CHI RA TO*
 ・・・仕事に対する真摯で誠実な姿勢を書き綴る麦穂あんな
 ・・・デジモンの声優になりたい麦穂あんな
 ・・・島根県出身の麦穂あんな
 ・・・うなぎを提供するお食事処の大将と交流のある麦穂あんな
 ・・・『チベット犬物語~金色のドージェ~』犬と人間が対等な立場で描かれている作品。麦穂あんなが出演
 ・・・声優の志望理由について書き綴る麦穂あんな
 ・・・自身のプロフィールに犬と書いている麦穂あんな

ラブライブ! μ's First LoveLive!
 ・・・久保ユリカが観客の事を気遣い「ケガをしない、させない」との注意喚起をする。以降ライブがある毎に同じ注意喚起を行う

ラブライブ! μ's New Year LoveLive! 2013
 ・・・ "Mermaid Festa Vol.2, Passionate" にて、タオルを振り回しながら歌う新田恵海と飯田里穂

ラブライブ! μ's 3rd Anniversary LoveLive!
 ・・・リボンを付ける忘れる内田彩
 ・・・二名ずつのカップリングを組む "WILD STARS" にて、一人余った三森すずこがセンターを務める。内田彩「穂乃果ちゃんはことりが取っちゃったから」
 ・・・ "まほうつかいはじめました!"  にて、メガホンを持ちながら歌う徳井青空

ラブライブ! μ's Go→Go! LoveLive! 2015 〜Dream Sensation!〜
 ・・・腕を組んで歩く久保ユリカと飯田里穂

みるみるミルキィ
 ・・・徳井青空が初めて橘田いずみの家にお泊りした際、色々戸惑ってしまった話しをする
 ・・・自身の著書を宣伝する橘田いずみ
 ・・・梅干しは、塩分濃度が高い程甘いと誤解していた橘田いずみ
 ・・・バレンタインデーの企画の中で、徳井青空が橘田いずみに壁ドンをする

ふじびじインフォMAX
 ・・・ヘアケアアイテム "CLEAR" を紹介する新田恵海とPile

放課後ラブライブ!
 ・・・三森すずこのデューク東郷の顔真似

ブシナビ
 ・・・ヴァンガードの初心者講習会の打ち上げ及び新入社員の歓迎会の席にて、ブシロード関西地区営業担当 大野祐佳 に対し、橘田いずみが寄り添い「私達、結婚しました。私、こちらの新入社員の大野さんの事がお一目惚れしまして―――」

探偵オペラ ミルキィホームズ
 ・・・橘田いずみが演じるコーデリア・グラウカのご先祖様役を演じる井上喜久子

探偵オペラ ミルキィホームズDVD 映像特典
 ・・・食器を片づける橘田いずみに対し、徳井青空「早く洗ってくんなぁい?」 橘田いずみ「元ヤン怖い。南房総市怖い」

2.5次元てれび
 ・・・金田朋子のトークが面白すぎて、南條愛乃「お弁当吐きそう」

ヴァンガードラジオG
 ・・・橘田いずみの井上喜久子に対する印象「ほわーっと、いつも幸せオーラをぶち撒いている」「歩いた跡はお花が咲き乱れている」等
 ・・・橘田いずみが自分の汗を三森すずこに嗅がせる話
 ・・・橘田いずみが新田恵海の誕生日に牛タンをプレゼントする
 ・・・橘田いずみの新田恵海への呼び方「ニータ」


井上喜久子 魅惑のおしゃべりメロン
 ・・・井上喜久子が "そらまる" を「そらまめ」と言い間違えそうだと語る
 ・・・女性の肩甲骨が好きで、三森すずこの肩甲骨を写真に収めたと話す橘田いずみ
 ・・・橘田いずみに「お姉ちゃん」と呼ばせる井上喜久子(17)
 ・・・橘田いずみと三森すずこを前にして「スタジオがお花畑みたい」と喜ぶ井上喜久子
 ・・・三森すずこが井上喜久子に対して、橘田いずみの事を「いず様はちょっとドSな所があって」と紹介する
 ・・・橘田いずみ「ツンデレは、男性にツンツン、女性にデレデレする言葉だと広めたい」
 ・・・徳井青空「埼玉スーパーアリーナではヲタ芸を禁止されているんですけど、関係者席は割とスペースがあったので、サイリウムをバルログ持ちして思いっきり楽しみました」 佐々木未来「後ろ姿が完全にガチオタクでした」

It's a Voiceful World〜ラジオショーへようこそ!〜
 ・・・日高のり子が子供の頃に魔法少女に憧れていた時の事を語る

ブシモのテレビ
 ・・・スクールアイドルフェスティバル内の称号を考えるというテーマで "にこまきまきにこ" 、 "のぞうみうみのぞ" を提案する橘田いずみ

金朋声優ラボ
 ・・・妹が親友の内田彩
 ・・・パンツが嫌いな橘田いずみ
 ・・・可愛い人の前でカッコつける橘田いずみ
 ・・・背の高い女性にしか興味が無い橘田いずみ
 ・・・他人の目尻等のしわが好きな橘田いずみ
 ・・・日高のり子のモノマネが上手な新田恵海「メイのバカッ!」
 ・・・金田朋子「井上喜久子さんは私が唯一つっこめる声優さんですから」


明日は明日の朋ちゃんねる
 ・・・気軽に買えるお勧めのお菓子はなんですか? という質問に対して、井上喜久子「ちっちゃいチョコレート系の100円くらいで売ってるのは大体バックに入ってる。色んな種類が好きだけど、特に中がサクッとなってるチョコレートが好き」

ああっ女神さまっ
 ・・・女神のキャラクターを演じる井上喜久子。コスプレもこなす

トランスフォーマー アドベンチャー
 ・・・人の精神を乗っ取る女王蜂のキャラクターを演じる井上喜久子



最終話:赤い糸
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穂乃果部屋

いつものように集まっているいつもの三人。



海未「何ですか、それ? 赤い糸?」

穂乃果「そう! これはねー、夢の赤い糸なの!」

ことり「夢の赤い糸?」

穂乃果「自分と相手、お互の指をこの夢の赤い糸で結ぶの。すると先に眠った人が未来の夢を見るんだって! そして、後に寝た人が先に寝た人の夢に入り込むことができるの!」

ことり「未来が見られるの?! すごい!」

海未「いやいや、すごいってもんじゃないですよ、それ。競馬とか株目的で使用したらどうなるんですか」

穂乃果「あー、違うよ。そういう感じで使えるんじゃなくってね」

穂乃果「未来ってほんの些細な事で無限に分岐するから、未来というよりは、その人が今、将来叶えたいと思っている“夢”を夢として見るようなものなんだって」

海未「なるほど。それはそれで面白そうですね」

ことり「例え見られるのが“夢”だとしても、将来実際に叶う事だってあり得るし、やっぱり未来を見られる機械だよ! でも、どうしたのそれ? またロボット部の人が作ったの?」

穂乃果「うん」

海未「私思うんですけど、我が校のロボット部の方々は、コンテストの書類審査云々より、そろそろノーベル賞の2~3個はもらって教科書に載ってもいいんじゃないでしょうか」



穂乃果「それじゃあ、早速、今夜海未ちゃんとことりちゃんの未来を穂乃果が見てもいい?」

海未「ええ、構いませんよ」

ことり「うん! 見て見て! 未来の私がどんなか知りたい!」

穂乃果「ありがとう! 楽しみ!」

海未「でも、穂乃果。そんなこと言って先に寝てしまったりしませんか? 未来を見させてもらうのは私の方かもしれませんね」クスクス

穂乃果「うっ・・・。こ、コーヒーたくさん飲むもんね!」

ことり「穂乃果ちゃん、おねしょしちゃうよ・・・」



---------------
夜10時


海未「すー、すー・・・」zzz

穂乃果「コーヒー飲むまでも無かったよ」

ことり「あはは・・・。海未ちゃん、いつも朝5時にはもう剣道の朝稽古してるもんね」


穂乃果「それじゃあ、早速海未ちゃんの小指と、穂乃果の小指を、この夢の赤い糸で結んでっと」キュ

穂乃果「これでよし!」

ことり「なんか/// 運命の人同士みたい・・・///」



穂乃果「あっ/// い、言われてみれば・・・///」

穂乃果「えっと/// と、とにかく横になろっと」

穂乃果「この糸、あんま長くないから、くっついて寝ないと」

穂乃果「海未ちゃん、しつれいしま~す」ゴソゴソ

海未「すー、すー・・・」zzz

穂乃果「それじゃ、おやすみー」

ことり「はい、おやすみ~」


・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ジャジャン―――
ジャン, ジャン―――

穂乃果「・・・・・・」ポワー

穂乃果「三味線の・・・・音・・・?」ポワー

穂乃果「はっ! こ、ここはっ?」キョロキョロ

穂乃果「あー、海未ちゃんちの道場だった」




『しーほーにぃーめぐーぅるぅーうーうーうーぅぅ』~♪

ジャジャジャジャジャン―――

『おーーーうぅぅぎぃいいーいーのーとぉぉもぉぅうえぇ』~♪




穂乃果「歌・・・? 日舞の曲かな・・・?」



海未「・・・・・・・・」スー、スー...クルッ.....



穂乃果「あっ、海未ちゃんいた。・・・あれっ? あの人、う、海未・・・ちゃん? だよね?」

穂乃果「舞ってるけど、海未ちゃんあんなに大人っぽくないよね。それじゃ、あの人は海未ちゃんのお母さんかな」



海未「・・・・・・・・」スー、スー――バッ....



穂乃果「でも、海未ちゃんの気がするんだけど・・・」

穂乃果「それにしては、なんか・・・扇子持って舞ってる姿が、すごく、優雅っていうか・・・・・・落ち着いてて、かっこよくて・・・」ポー




ジャン, ジャン,ジャン,ジャン―――

『ふぅううーーーぐぅぅーーううるぁぁああまぁのぉおおおーーー ゆぅううるしーのーーおー いーぉぉおろぉー もー きーぃのーぉぉ きょぉぉぉおおーうう』~♪


海未「・・・・・・・・」スー、スー――....




穂乃果「ほわー・・・・きれー・・・」ポー...



---------------


『いーーーくぅよぉお↑のぉおお はぁぁぁぁああああるぅぅぅぅううううぅぅぅ、』~♪


海未「・・・・・・・・」スー、スー――


『やあぁぁあ、あーーーーぁぁああああーー、にーほーーぉおおおおふぉぉぉ』~♪


海未「・・・・・・・・」....スー.... クルッ,サッ


『ルァらーーーーーんーーーーんんーーーーイヨッ!』ポコンッ


海未「・・・・・・・・」ペコリ




穂乃果「ほわー・・・・」ポワー....タラン....

海未「ふぅ・・・」ムクリ

海未「・・・んっ? なんですか穂乃果、だらしないですよ。涎が垂れてます」

穂乃果「ほー・・・・・・・ふぇあ?!」ジュル,ゴシゴシ

穂乃果「あっ! やっぱり海未ちゃんだった!」

海未「やっぱりとはなんですか、やっぱりとは」

穂乃果「だって最近はみんなとスクールアイドルの明るい曲ばっかり歌って踊ってるから、そっちのイメージが強くなっちゃってて」

穂乃果「でも! こっちが本当の海未ちゃんなんだよね。それに、なんかいつもより大人っぽくて、なんだか海未ちゃんのお母さんみたいだったよ! すごかった! きれーだった!」パチパチパチ

海未「そ、そうですか・・・/// しかし、穂乃果もおかしなことを言うのですね。私達がスクールアイドルをしていたのは、最近じゃなくて、もう随分昔の事じゃないですか」

穂乃果「へっ? 昔・・・? あっ、そうか、今これって海未ちゃんの未来なんだった」

穂乃果「ほえー。海未ちゃんて、将来こんな人になるんだ。でも、想像通りって感じ! 小さい頃からずっと長い黒髪で、可愛くてかっこいいままで、大人になってる! 美人! 凛々しい! やまとなでしこ!」

海未「も、もう/// なんで穂乃果はいつもそうやってなんの戸惑いも無く素直に人を褒められるんですか・・・///」

穂乃果「思ってること言ってるだけだよ~」

海未「・・・その、嬉しいですけど/// ・・・道場内でそのような発言は控えてください」

穂乃果「どうして?」

海未「道場内では規律と礼節が大事です。それに、私も弟子達にとって見本となるべき身ですから、そんな私が浮足立ってしまうと弟子達に示しがつきませんので・・・」

穂乃果「弟子? 海未ちゃんが海未ちゃんのお母さんの弟子じゃないの?」

海未「数年前に私が家元を受け継いだじゃないですか・・。穂乃果? 熱でもあるんですか?」

穂乃果「・・・えっ? あっ! ああ、そっか! うんうん、そうだよね! ちょっとうっかりしちゃってたよ!」


穂乃果(ほえー。海未ちゃん日舞のお師匠さんになるんだ)

穂乃果(海未ちゃんの未来は、美人な日舞のお師匠さんかあ。うん! ぴったりだね!)

穂乃果(でも、なんか想像通り過ぎるというか、意外性が無さすぎて、ちょっとあっけないなー)

穂乃果(海未ちゃんらしいといえば、海未ちゃんらしいなあ。ずっと堅実にしっかりと生きいくんだろうなあ)

穂乃果(それはそれで簡単な事じゃないよね。やっぱり海未ちゃんはすごいなー)

穂乃果(いずれにせよ・・・・なるほど。これが海未ちゃんの未来か。よく分かった!)



海未「そろそろ行きましょうか」

穂乃果「ほぇ? どこに?」

海未「どこって・・・。いつものお稽古の後は一緒に食事をしているじゃないですか」

穂乃果「へっ? 穂乃果と? そうなんだ。分かった! 行こう!」



---------------
園田家 居間


ことり「あっ! ご主人様! おかえりなさいませ!」ニコッ

穂乃果「あれっ? ことりちゃん、メイド服着て何やってるの?」

ことり「えっ・・・・?」

海未「なにやってるって・・・。ことりは私の専属でご奉仕頂いているメイドではありませんか・・・。穂乃果? 今日は一体どうしたのですか」

穂乃果「ええっ!?! ことりちゃんが海未ちゃんのメイドさん?!!! なんでええ?!」

ことり「なんでって・・・。あ、あのっ・・・」オロオロ

ことり「私、何か粗相をしてしまったでしょうか・・・。申し訳ございません・・・・」シュン

穂乃果「あっ! 違うの! 違うの! ことりちゃんはいつものことりちゃんだよ!」アセアセ

穂乃果「おかしいのは穂乃果の方だから! ごめんね!」ペコッ

ことり「ああっ! そんな、頭を下げていただくなんてもったいないです!」オロオロ

海未「いいのですよ、ことり。私のことりを不安にさせた穂乃果に非があるのです」

ことり「で、でもぉ・・・」オロオロ

海未「気にしなくていいです。それより、食事の方は」

ことり「あっ! はい! 只今お持ちいたします!」タタッ

海未「はい、お願いしますね」


海未「全く・・・。穂乃果、何があったのか分かりませんが、あまりことりを悲しませないでください」

穂乃果「う、うん。ごめんね」


穂乃果(ほえー・・・。びっくりしたなー・・・。海未ちゃん、将来はことりちゃんを専属メイドさんにしちゃうんだ)

穂乃果(一体どういう経緯でメイドさんになったんだろう。気になるなあ)

穂乃果(それにしても、和風なお家の海未ちゃんちだけど、洋風なメイド服のことりちゃんが働いていると、ちょっとアンバランスな気もするけど・・・まあ、いいか)

穂乃果(あっ、そういえば、ことりちゃんの雰囲気は、いつものことりちゃんだったなあ。海未ちゃんは大人だったのに。穂乃果もいつも通りだし。未来の姿になるのは夢を見ている本人だけなのかな)


ことり「お待たせいたしました! チャーハンと餃子、それと穂むらのおまんじゅうですっ!」トン トン トン

穂乃果「お、おお・・・・・! 黄金色のチャーハン! これ、海未ちゃんが作るチャーハンじゃない?」ジュルリ....

ことり「はいっ! ご主人様から教えて頂いたレシピ通りに作りました!」

穂乃果「それと・・・うちのおまんじゅう、かあ」

海未「これがとてもおいしいんです」ヒョイ, パク

穂乃果「うーん・・・そうかなあ・・・もう食べ飽きたよ・・・」ヒョイ, パク

穂乃果「んんんんっ?!!」ビクッ

穂乃果「なにこれっ?!! めっちゃうまい!!」

海未「ええ。昔から変わらないこの味、本当に絶品です」

穂乃果「うちのおまんじゅうってこんなにおいしかったんだ・・・毎日食べてるけど知らなかった・・・」


穂乃果「あ、いやいや、それはおかしいって。これ本当にうちのおまんじゅう?」モグモグ

ことり「穂むらのおまんじゅうですよ~」

穂乃果「うーん・・・。確かに、この餡子の煮加減、砂糖の量、皮の厚さと柔らかさ。それに、材料も全部国産だね。この作り方は間違いなくお父さんだなあ」モグモグ

穂乃果「お父さん頑固だから、ほむまんだけは絶対に作り方を変えないはずだけど・・・。なんでこんなにおいしくなってるんだろう?」

穂乃果「・・・あ、多分、今は海未ちゃんの夢の中だから、これが海未ちゃんがいつも感じてるうちのおまんじゅうの味ってことなのかなあ?」

穂乃果「これだけおいしく感じてたら、海未ちゃんがうちのおまんじゅう好きって言いたくなる理由も分かるなあ」



海未「さっきからなにをブツブツ言っているのですか」

穂乃果「あ、ううん、何でもない」

海未「ところで穂乃果。昔に約束した、これを超える新作の和菓子の進捗はどうですか?」

穂乃果「あ、ああ・・・うん・・・。えっと・・・結構難しくって、もうちょっと待っててね・・・えへへ」

海未「はい。楽しみです。いつまでも待ちます」

穂乃果「う、うん。ごめんね」

穂乃果(まいったなあ・・・。海未ちゃん、お父さんが作るうちのおまんじゅうがこんなにおいしいって感じていたなんて、想定外すぎる・・・。これを超えるなんてできるのかなあ・・・)

穂乃果(でも、約束だもんね。がんばらなきゃ・・・!)グッ



穂乃果「あっ、海未ちゃんに釣られて、ついおまんじゅうを先に食べちゃってた」

穂乃果「ね! ね! チャーハンと餃子の方も食べてもいいよね!」ジュルル

海未「はい。頂きましょう」

穂乃果「やった! いただきまーす!」

ことり「はいっ。召し上がってください♪」




海未「あの、ことり。ちなみに、こちらの餃子は・・・」コソッ

ことり「はいっ。もちろん、奥様の栄養管理を考慮して、細かくしたピーマンを入れてありますよっ」コソッ

海未「そ、そうですか、ありがとうございます・・・///」




穂乃果「ングング ムシャムシャ」

穂乃果「んー! やっぱり海未ちゃんのチャーハンだ! おいしー!」

ことり「ご主人様の味を再現できて良かったです/// ありがとうございます///」テレテレ

海未「ふふっ。穂乃果がおいしそうに食べる姿は見てて癒されますね」


穂乃果「こっちの餃子は」モグモグ

穂乃果「おおっ! この前食べた餃子だ! あれ、おいしいと思ってたんだよねー!」

海未「最初にこの餃子を作った時は私の分まで食べられてしまって驚きましたが・・・」

穂乃果「うっ、ご、ごめんね」

海未「ま、まあ・・・あんなに夢中になって食べてくれて、悪い気はしなかったですから・・・//」


海未「それにしても・・・穂乃果がこれを食べていると思い出しますね・・・///」ポッ

穂乃果「ふぁにお?(何を?)」モグモグ

ことり「あっ! 知ってますよ! 奥様がご主人様にプロポーズした時の事ですよね!」


海未「こ、ことり!/// そ、そんなはっきり言わなくても・・・///」モジモジ

穂乃果「・・・・・?」モグモグ

穂乃果「・・・・・・・・・・・」モグモ...

穂乃果「・・・・・・・・・・・」シーン

穂乃果「・・・・・・・・・・・」


穂乃果「・・・・・・・・・・・」


穂乃果「・・・・・・・・・・・」


穂乃果「・・・・・・・・・・・!!??!」

穂乃果「ゴホッ! ウッ! ゴホッゴホッ!」

海未「ほ、ほのかっ?! 大丈夫ですか?!」

ことり「あわわわわ」オロオロ

穂乃果「ゴホッ・・・。う、うん・・・・ごめんね。大丈夫だよ」

海未「もう・・・。動揺しすぎです・・・///」

ことり「あはは! いつになってもらぶらぶですねっ♪」

海未「こ、ことり!///」


穂乃果「あ、あはは・・・・」ヒクヒク



穂乃果(海未ちゃん・・・けっ、けけ、けっこん・・・してたの・・・・・・?!)

穂乃果(今まで海未ちゃんと毎日会って何気なく過ごしてたけど・・・結婚なんて考えたことも無かったのに・・・)

穂乃果(・・・・・・・・・・でも)

海未(そっか。海未ちゃんが結婚かあ・・・)


ズキッ


穂乃果(ま、まあ・・・。大人になってたら結婚してるのも不思議じゃないかあ・・・)

穂乃果(相手は誰なんだろう・・・?)

穂乃果(いつ頃から付き合い始めたのかなあ・・・・?)

穂乃果(少なくとも高校卒業してからだろうなあ・・・。だって、今は、海未ちゃんがお稽古してないときは、穂乃果かことりちゃんがずっと傍に居るし・・・。だから、そんな感じの人の影は今の所全くないし・・・)

穂乃果(海未ちゃん、いつも忙しいから、海未ちゃんのお母さんに『お稽古減らさないと、海未ちゃんはスキがなさすぎて彼氏もできないから跡継ぎだってできないですよ~』って言おうと思ってたけど・・・。そんなことするまでもなく海未ちゃんは・・・)




ズキズキ




穂乃果(・・・・・・・・・・・・・・) 

穂乃果(・・・・・ことりちゃん、奥様がご主人様にプロポーズしたって言ってたよね)

穂乃果(ってことは、海未ちゃんからプロポーズしたんだ・・・・)

穂乃果(相手は海未ちゃんがプロポーズしちゃいたくなるような人なんだ・・・。あの恥ずかしがり屋の海未ちゃんが・・・・? 信じられないなあ・・・・。プロポーズされた人、ちゃんとした人かな・・・・? 海未ちゃんが選んだ人だもん。ちゃんとした人なんだと思うけど・・・・)

穂乃果(そんなちゃんとした人と結婚したのなら幸せだろうなあ・・・)


穂乃果(実際、今目の前にいる海未ちゃん。すっごく幸せそうだし・・・)




ズキンズキン




穂乃果(でも・・・・なんでだろう・・・・)モヤモヤ

穂乃果(海未ちゃん、幸せなはずなのに・・・・なんか・・・すっきりしない・・・。なんか複雑な気分・・・・・・)



キュゥ



穂乃果(ううっ・・・。なんか・・・胸の中が気持ち悪い・・・)



・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・


穂乃果「・・・・・・・あっ」パチッ

ことり「すー、すー」zzz

海未「すー、すー」zzz


穂乃果「起きた」ムクッ

穂乃果「真っ暗・・・」



穂乃果「ふぅ・・・・・」

穂乃果「・・・・・・・」

穂乃果「・・・・・・・」ジワッ

穂乃果「あ、あれ? なんで涙が・・・・」

穂乃果「・・・・・・・」

穂乃果「・・・・・・・ううん!」ブンブン

穂乃果「こんなの穂乃果じゃない! ファイトだよっ!」グッ

海未「んっ・・・・」モゾッ

穂乃果「おっと、静かにしないと」

穂乃果「海未ちゃん起こすと怖いから・・・」ヒヤヒヤ



穂乃果「海未ちゃん・・・・・」ジー

海未「すー、すー」zzz


穂乃果「・・・・・・少なくとも、高校生の間なら、穂乃果がずっと傍にいてもいいよね」

穂乃果「海未ちゃん・・・」ギュ

海未「すー、すー」zzz

穂乃果「・・・・・・」ギュー


海未「すー・・・ふふっ」ニコ....zzz

穂乃果「海未ちゃん幸せそう・・・」

穂乃果「この、幸せそうな海未ちゃん・・・・」

穂乃果「誰にも渡したくない・・・・」ギュゥ


穂乃果「はっ?!」バッ

穂乃果「な、なに考えてるの私!」ブンブン

穂乃果「海未ちゃんには海未ちゃんの人生があるんだから・・・」

穂乃果「・・・・・・・・」モヤモヤ

穂乃果「あーもうっ・・・!」

穂乃果「他のこと考えようっ」



ことり「すー、すー」zzz


穂乃果「あっ、そうだ、ことりちゃんの未来も見ないと」

穂乃果「今が寝てる、チャンス!」

穂乃果「この夢の赤い糸を結んで、っと」キュ

穂乃果「よしっ、後はもう一度寝るだけ」

穂乃果「おやすみー」




・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・


穂乃果「・・・・・・」ポワー

穂乃果「んっ・・・」

穂乃果「ことりちゃんの夢の中に入ったかな」

穂乃果「ここ、どこだろう? なんか見覚えがある場所だけど」キョロキョロ

穂乃果「あれ? また海未ちゃんちかな?」


海未「ことり・・・・」


穂乃果「あっ、海未ちゃんまた出て来た。いつもの海未ちゃんだ」

海未「また出て来た? どういう意味ですか」

穂乃果「ううん。なんでもない。それより、ことりちゃんどこ?」

海未「それが、まだファッションデザイナーの仕事から帰ってこないのです・・・・」

穂乃果「あっ、ことりちゃんファッションデザイナーやってるんだ」

海未「ああっ、心配です・・・。やっぱりことりを一人にするべきではありませんでした・・・。私が片時も離れず守っていないといけないのに・・・」オロオロ

穂乃果「う~ん・・・? ちょっと過保護すぎじゃない? ことりちゃんも子供じゃないんだし」

海未「そんなことありません! ことりはか弱い女の子なんですよ!」


穂乃果「それはそうだけど・・・」

海未「それだけではありません!」

穂乃果「ふぇっ?」ビクッ

海未「キラキラした綺麗な髪、柔らくて白い肌、スラッとしていて女性らしい体、大変な仕事でも文句を一切言わず人知れずこなしてくれる優しさ・・・・ことりは素晴らしい女性なんです! 私の大切な妖精さんなんです!」

穂乃果「よ、妖精・・・? う、うん・・・?」タジタジ

穂乃果(海未ちゃんどうしたんだろ・・・? 海未ちゃんこんなキャラだっけ・・・?)

海未「ああっ! 私の妖精さん・・・。ことりの美しい姿に劣情をたぎらせて不埒な行為を考え巡らす下劣な生物がことりに近づいてしまわないかと思うと・・・。気が気じゃありません!」

穂乃果「・・・・・・・・・」




ことり「やんやん♪ 遅れちゃいました~」




穂乃果「あっ、ことりちゃん来た」

穂乃果「大人のことりちゃんだあ」

穂乃果(大人の海未ちゃんは海未ちゃんのお母さんみたいになってたから、ことりちゃんもことりちゃんのお母さんみたいに理事長らしいしっかりした感じの大人の女性になるかと思ってたけど・・・)

穂乃果(ちょっと理事長とは雰囲気違うなあ。大人っぽくはあるんだけど、優しそうなタレ目はそのままで、ちょっとお茶目そうな大人の女性って感じ)

穂乃果(ことりちゃんのお母さんがメイド服着てたら、ちょっときついけど、大人のことりちゃんだったらメイド服が良く似合ってる)

穂乃果(・・・・それより、海未ちゃんの中の未来のことりちゃんに続いて、ことりちゃんの中の未来のことりちゃんもメイド服だけど・・・。なんでだろう?)



海未「ことり!」タタッ

ことり「わわっ、どうしたんですか-?」



海未「どうしたではありません! もう心配で心配で・・・。大丈夫ですか? 何も無かったですか?」オロオロ

ことり「はい♪ ことりは大丈夫ですよ♪ ご安心ください、お嬢様♪」

海未「良かったです・・・」ホッ

海未「もう! 心配したんですよ! 私の傍から離れないでください!」

ことり「はいっ・・・。申し訳ございません、お嬢様・・・」シュン

海未「あっ! い、いえっ、すいません・・・きつく言ってしまいました・・・」

海未「私の方こそすいません・・・。私はことりが傍に居て頂かないと、ダメダメになってしまって・・・」

ことり「大丈夫ですよ! 海未ちゃんはことりがしっかりサポートしますからっ♪ お任せください♪」

海未「はいっ! ずっと傍に居てくださいね」

ことり「えへへ///」







海未「あら? ことり、リボンが付いていませんね」

ことり「あっ、急いでいたから、リボン付け忘れちゃいましたー」

海未「慌てん坊さんですね。どうせなら服も付け忘れちゃって良かったのですよ。私の妖精さん♪」

ことり「や~ん♪ 海未ちゃんのえっち☆」

海未「えっちなのはどっちですかね~? ん~? そんなこと言っていることりこそ、妄想ばっかりしていたんでしょう?」ズズイ

ことり「わわっ/// 妄想なんてしてないですよー!」

海未「ふふ、相変わらず、メイド服が似合っていますね」サワッ

ことり「きゃ。今、何をしようとしたんですかー?」

海未「さて、何でしょう?」サワサワ

ことり「やっ/// くすぐったいですよ~///」

海未「全く、年を重ねるごとに魅力が増していくんですから。ハレンチですね」サワサワモミ

ことり「ふわっ/// ふあー///・・・そんなことされたら・・・///」

海未「そんなことを? されると? どうなっちゃうんでしょうねぇ? ん~?」サワサワミモミモ

ことり「ちょ、ちょっとここでは・・・・・ふぁ/// 我慢してください///」

海未「何故です? ここは私の家ですよ? なんで我慢する必要があるのでしょう?」サワサワサワペロッ



穂乃果「・・・・・・・・・」

穂乃果「・・・・・・・・・」

穂乃果「・・・・なっ、なにこれ?///」ドキドキ



ことり「ふあ//// ・・・こ、これ以上は妄想の中だけにしてくださいっ///」バッ

海未「ふふっ。それでは今夜に、ですね・・・♪」ウィンク

ことり「//////」カァ

ことり「そっ、それよりお嬢様っ! 今はあのお約束、守ってくださいよ~っ」

海未「うっ、あれですか・・・。ほ、本当にやるんですか・・・?」

ことり「もちろんですっ♪」

海未「わ、分かりました・・・約束してしまいましたし・・・」

ことり「ありがとうございますお嬢様♪ それじゃあ早速―――」


ことり「はいっ、オスカル様の衣装ですっ! 着てくださいっ♪」スッ

海未「おおっ! 中世ヨーロッパの衛兵の軍服ですね。・・・でっ、ですが・・・いくらなんでも格好良すぎますっ! やっぱり私には荷が重いですよ!」

ことり「着てくれないのぉ・・・?」ウルッ

海未「うっ・・・・」タジッ

ことり「・・・・そっかぁ・・・。カッコイイ海未ちゃんが見たくって・・・。海未ちゃんにはオスカル様の衣装が絶対似合うって思ってがんばって作ったけど・・・・」

海未「あ、あの・・・ことり」オロオロ

ことり「・・・・うん、分かった。海未ちゃんが嫌がることはしたくないから、ことり、我慢するね」涙目ニコォ


海未「!!!!」

海未「いっ、いえ! 嫌なんて事は決してありません! 一武人として、この軍服! 喜んで着こなしてみせます!!」

ことり「ほんとお? やったあ!」ケロッ

ことり「それから、はいっ! 穂乃果ちゃんはアンドレ様の衣装ねっ♪」スッ

穂乃果「えっ、えっ? 穂乃果も? それより、こんな立派で大きな衣装、ことりちゃんどこから出してるの?」

ことり「メイド服は収納がたくさんできて形も崩れない素晴らしい服なんですよっ!」

穂乃果「すごーい。四次元ポケットみたい」 

海未「着替えましょう。穂乃果、こっちです」オズオズ

穂乃果「あ、海未ちゃん待って~・・・」タッ



---------------

ことり「まだかな~」ワクワク


ガチャ


ことり「あっ、きたっ!」


海未「・・・・・・・・・///」モジモジ

オスカル様の衣装を着た海未ちゃん。
※海未ちゃんSID 51ページ参照

ことり「やぁぁぁぁぁん! 海未ちゃんかっこいい!」

海未「そっ、そうですか・・・?/// あ、ありがとうございます・・・///」テレテレ

ことり「はぁぁぁぁあああぁぁぁあああん!! 隊長さまああああああ!! 守られたぁぁぁぁああああぁぁぁああい!!!」

海未「恥ずかしいですが・・・。ことりにそこまで喜んで頂けたら、私も嬉しいです・・・///」

ことり「うんうん! やっぱり海未ちゃんはオスカル様の衣装が絶対似合うって思ってた!」


海未「・・・・・・・・・・・コホン」

海未「・・・・・・・・・・・・・」キリッ

ことり「海未ちゃん?」

海未「・・・・・・・・・・・・ことり」ダキッ ギュ

ことり「ひゃ?!/// うっ、海未ちゃん・・・?//」ドキッ

海未「『ことり、色んなことがあったな。色んなことが・・・』」イケボ

ことり「海未ちゃ・・・?」ドキドキ

海未「『こうしていると、色んなことが走馬灯のように思い出される。初めてお前が来た日など、昨日の事のように』」イケボ

ことり「んみちゃ・・・」ドキドキ

海未「『ことり、私はお前に礼を言わなければならぬ』」イケボ


ことり「んみちゅぅぇあ・・・? どうしたの・・・あらたまって・・・」ドキドキ

海未「『お前は、理事長に連れられて初めてこの屋敷に来たときからずっと、いつも私をかばってくれた。考えてみれば、今日まで私が生きてこられたのは、お前のおかげだ。ことり・・・・ありがとう・・・。改めて、礼を言うぞ』」ニッコリ

ことり「!!?///」トゥンク

海未「『ことり、私はお前が必要なんだ。これから先もずっと私のそばにいてくれ・・・。どこへも行かないと約束してくれ・・・・!!』」

ことり「は、ひゅ///」ドキドキ

海未「・・・・・」キリッ ジー

ことり「あ・・・えっと・・・・」ドキドキ

ことり「・・・・・・・・・・ど、どこへ? 海未ちゃん・・・。わたしの いくところが ほかにもあると おもってるの・・・?///」

海未「『ことり?』」


ことり「しんぱい しないでください。しぬまで そばに います・・・///」ドキドキ

海未「『ありがとう・・・・。それ程、お前は、私が好きか?』」

ことり「・・・・すっ、すきですっ・・・!///」ドキドキ

海未「『愛しているか?』」

ことり「あっ、あいして、まっ・・・す!///」ドキドキ

海未「『私の存在など、巨大な歴史の歯車の前では無にも等しい。誰かにすがりたい・・・。誰かに支えられたいと・・・。そんな心の甘えを、いつも自分に許している人間だ。それでも愛してくれるか? 私だけを一生涯、愛し抜くと誓うか?』」

ことり「ちかう・・・。ちかい・・・ますっ!」

海未「『ことりっ!』」


ことり「千の誓いが ほしい ですか・・・? 万の誓いが ひつよう ですか・・・!? 命を懸けた言葉をもう一度 いえというのですかっ?」


ことり「・・・・私の言葉はただ、ひとつ・・・です」



ことり「愛している・・・。愛していますとも・・・!」

海未「『ことり・・・・。私を抱け・・・・』」

ことり「うみちゃ?!!」ドキンッ

海未「『愛しているなら何故抱かぬ?』」

海未「『お前の愛がどんなものか・・・・。さあ・・・私に見せてくれ・・・!!!』」

ことり「いっ、いけません・・・。うみちゃ、は、園田道場の跡取り娘で・・・。わ、わたしは ただのメイド・・・です・・・。身分がちがいすぎ ます、から・・・。私は、愛すだけ・・・ですっ」

海未「私のことり!!」

ことり「はひっ?!」

海未「忘れてください今は! 私が園田道場の跡取り娘であることを!」ギュゥゥ!

ことり「ふぇぇあ!/// ・・・えへへ/// 海未ちゃん好き・・・///」ギュ


ガチャ


ことり「あっ! 穂乃、か・・・チャ....?」ポカーン

穂乃果「ど、どうかな・・・?」ダルーン...

海未「うーん・・・・・。随分とぶかぶかですね。男性であるアンドレの服ですからそうなってしまうのでしょう」

穂乃果「そっか・・・。やっぱり穂乃果には似合わなかったね・・・たはは・・・」シュン


ことり「・・・・・・・・・・・・・」

ことり「・・・・・ホノカチャン....脱いで」

穂乃果「へっ?」

ことり「いいから脱いで!」グイグイ


穂乃果「えっ、あ、ちょ/// あ~れ~~」

ことり「胸下からお腹に掛けてバスタオル巻いて、その上からコルセットで胸ごと強引に抑えつける! これでくびれが無くなるから!」マキマキ,グイッ,ギュム!

穂乃果「ぐぇ」

ことり「それから、肩パッド付けて肩幅広くしてっ」

穂乃果「ほ~」

ことり「ズボンは、ベルトをかなり上の方で止めて、それから底の厚いブーツ履いてっ。これで脚が長く見えるからっ」

穂乃果「へ~」

ことり「髪もといて、後ろで束ねて」

穂乃果「うん」ファサ, キュ

ことり「これで上を着てくださいっ!」

穂乃果「はーい」モソモソ


                                               ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;              
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                                         ;;;;;;;;;;;;: ;:   ;;;;;;;;:   .__: : ;;;;;;;;;;;:                  
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                                         ;:::::;;;:      ,    : :: :,r″                 
                                           ::: l,、         ,r”`                   
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http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira103667.png



ことり「!!!!!!!!」

穂乃果「ど、どうかな・・・?」ドキドキ

海未「おおっ! とても凛々しくて良いですよ」

穂乃果「そ、そう・・・?///」テレテレ

海未「それに、体つきが本当に男性の様ですね。手足が長くて背が高くなって、肩幅も広くなってますし」

穂乃果「ありがと/// ことりちゃん、どうかな・・・?」



ことり「・・・・・・・・」ポー



海未「ことり? どうしました?」

穂乃果「ことりちゃーん?」



ことり「・・・・・・・・」ポー



穂乃果「・・・・・?」

穂乃果「そうだっ」ピコン


穂乃果「・・・・・・・・・・・コホン」

穂乃果「・・・・・・・・・・・・・」キリッ


穂乃果「『俺は・・・・』」イケボ

ことり「!!?」ドキン

穂乃果「『和菓子屋の娘として・・・』」

穂乃果「『子供の頃よりことりだけを見つめてきた。さながら―――』」グッ



マントバサッ!


壁ドンッ!



ことり「ちゅん!!?///」

穂乃果「『ふたご座のカストルとポルックスのように、お前はいた、お前はいた』」イケボ

ことり「!!?!!?!?//////」キュゥゥゥゥン

顎クイッ
顔近づけ

穂乃果「『また、光と影のように寄り添ってきた』」イケボ

ことり「はぅぅ/////////////////////」クラクラ



海未「『くっ!』」イライラ


海未「『穂乃果! いい加減にことりから離れろ!』」

穂乃果「『何故貴族の海未が出てくる?! ことりだって平凡な女性としての幸せを欲しいと思っているはずだ!』」

海未「『愛は、愛おしい人の不幸せを望まないものだ! 身分の違いなど関係ない!』」

穂乃果「『なんと身勝手な考えだ・・・!』」

海未「『引けっ! 穂乃果! ・・・だが、私にも、妻を慕う召使いを妻のそばにおいてやるくらいの心の広さはあるつもりだ。君さえよければ―――・・・あっ!!』」


穂乃果「『その餡子が熱くなかったのを幸いに思え!』」

海未「『何をする!?』」

穂乃果「『お前に・・・・! お前にことりを掛けて決闘を申し込む!』」シャキン

海未「『ほう・・・。穂乃果なら相手にとって不足は無い! ・・・この海未、見事に受けてたとう!』」ジャ シャキン

穂乃果「『くっ! 良く言う! お前から一本取った事は一度もないが・・・。それでも引くつもりは、一切ない!』」

海未「『・・・・お前と剣を交えるのは一年ぶりか』」ジリッ

ことり「やめてっ! 私のために争わないで!」

海未「『ことり! この戦闘が終わったら結婚式だ!』」

穂乃果「・・・・・・」ジリッ

海未「・・・・・・・」ジリッ

ことり「・・・・・・」オロオロ








ことほのうみ「・・・・・・プッ」




ことほのうみ「「「あははっ!」」」



海未「ふふっ。全く、ことりはなんと罪深いメイドさんなんでしょう」

穂乃果「ホントホント! ことりちゃん、にくいね~。このっこのっ」肘ツン

ことり「そんなっ///」テレテレ

穂乃果「それに、海未ちゃん! オスカル様がはまり役すぎだよっ」

海未「そういう穂乃果もノリノリだったじゃないですか」

ことり「あははっ、二人ともすっごく似合ってた!」

穂乃果「いや~。今さらだけど、ことりちゃんが一番似合ってると思うなあ!」

海未「そうですね。ことりが一番メイド服を着こなせていますもんね。そこで穂乃果と私がこれを着たものですから、全員中世ヨーロッパの服装で統一されて、役に入りやすかったと言いましょうか」

穂乃果「そうそう、楽しかった! ことりちゃん、衣装着させてくれてありがとう!」

ことり「ううん/// こっちこそ、穂乃果ちゃん、海未ちゃん、衣装を着てくれてありがとう///」


穂乃果「あっ、そういえばさ、穂乃果がこんな風に男役やってると、“WILD STARS”を踊っている時のこと思い出すよねえ」

ことり「あっ! それじゃ、穂乃果ちゃんのカップリングはことりだっ!」

海未「えっ・・・。それでいくと私は・・・・」←“WILD STARS”ではセンター(カップリング無し)

ことり「きまっぐぅれなひーかーりでー♪ あなったをーみつけーる よー♪////」ギュ

穂乃果「わっ。えへへ、みつけられちゃった」ヨシヨシ

海未「ちょ、ちょっと! ことり!」

ことり「ごめんね、海未ちゃん。穂乃果ちゃんはことりが取っちゃったから☆」

海未「もうっ。しょうがないですね」

にこ「海未ちゃんやさしー!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・





「ホノカチャン.....ホノカチャン....」



穂乃果「・・・・んんっ?」ムニャムニャ



「穂乃果っ!」ユサユサ



穂乃果「ほぇ・・・?」

海未「やっと起きましたか。もう朝ですよ」

穂乃果「ふあー・・・・」コシコシ

ことり「おはよう♪ 穂乃果ちゃん」

穂乃果「おはよー・・・・」

ことり「穂乃果ちゃん。昨日は私達の未来見られたの?」

穂乃果「あっ! うん! ばっちり見られたよ!」

海未「そうですか。では、聞かせてもらえますか? 私、夢を見ていたという記憶はあるんですけど、具体的にどんな夢を見ていたのか、起きた瞬間に忘れてしまって・・・」

ことり「私もー。なんか楽しい夢を見てたというのはなんとなく覚えてるんだけど、起きたらわかんなくなっちゃった」

穂乃果「そうなんだ。夢ってそんなもんだよねー。でも! 見させてもらった穂乃果はちゃんと覚えてるよ!」

ことり「教えて教えてっ。楽しかったこと思い出したい♪」

海未「はい。私も気になります」


穂乃果「うん。まずは海未ちゃんなんだけどね」

穂乃果「最初に大人になった海未ちゃんが出て来たよ!」

海未「大人の私ですか。どんな風になってました?」

穂乃果「そりゃあもう想像通りというか。今の海未ちゃんのお母さんに似てたよ!」

海未「母のようにですか・・・/// なんか、恥ずかしいですね・・・///」

ことり「大人の海未ちゃんは何してたの?」

穂乃果「日舞のお師匠様をやってたよ!」

海未「そうなんですか。今でも武道家になろうか迷っているのですが、結局日舞の方に進んでいましたか。やはり、μ’sでの活動で音楽や踊りが好きになっているからでしょうか。・・・・ちょっとだけ、父に申し訳ないような・・・」

穂乃果「海未ちゃん、日舞を舞っていたんだけど、もうね! すごかった!」

海未「すごい・・・とは?」

穂乃果「美人でね! 凛々しくてね! かっこよくてね! とにかくきれーだった!」

海未「そ、そうですか・・・///」テレッ

ことり「今の海未ちゃんでも日舞を舞っている時はすごく綺麗だけど、将来はもっと綺麗になるんだ。楽しみ♪」

穂乃果「あっ! それとね! それとね! なんと、びっくりすることにね・・・」

海未「なんですか。もったいぶらずに教えてください」

穂乃果「海未ちゃんちで、ことりちゃんをメイドさんとして雇ってた!」

ことうみ「!!!!!??///」ビクッ

穂乃果「礼儀正しくて、お料理が上手で、とっても献身的で。ことりちゃんらしかったなあ」


ことり「・・・・・・///」モジモジ チラッ

海未「・・・・・・///」モジモジ チラッ

ことうみ「!!///」ビクッ



穂乃果「一体どういう経緯でことりちゃんが海未ちゃんのメイドさんになったんだろう? ねえ、今の海未ちゃんとことりちゃんに分かる?」

ことり「え、えへへ/// 実はnんむぎゅ?!」口抑えられ

海未「こっことり!///」グイッ

ことり「んー」モゴモゴ






海未「何言おうとしてるんですかっ! 二人きりの時だけと約束したじゃないですかっ!///」ボソボソ

ことり「ぷはっ。え~? だって見せたのは海未ちゃんの方じゃん」ボソボソ

海未「そ、それはそうですが・・・。で、ですがっ! 今はまだあくまで夢の話ですからっ! 現実じゃありませんから!」ボソボソ

ことり「む~・・・。分かりましたっ・・・」

海未「・・・・・ことりは、私だけのメイドなんですからっ。他の人に知られて、万が一にも取られたくないんですからねっ・・・・///」ボソッ

ことり「!!! うん!」






穂乃果「何話してるの?」

海未「あっ! い、いえっ! なんでもないですっ」

穂乃果「?」キョトン

海未「あっ・・・。あのっ! ほ、穂乃果! 他には? 他には何かありませんでしたかっ?」アセアセ

穂乃果「他はね~。あっ、そうだ! 海未ちゃんがけkk―――・・・あっ、えっと・・・」シュン

海未「私が? なんです?」

穂乃果「・・・・・・・・・・」

海未「穂乃果? どうしました?」

穂乃果「・・・・・・・・・ううん。ごめんなんでもない」

穂乃果「私が見た海未ちゃんはこんな感じかな」

海未「そうですか。ありがとうございます。絶対の未来ではないにしても、将来の自分が知れて、面白かったです」

ことり「海未ちゃん! ことりのこと大事にしてねっ!」

海未「え、ええ//」

ことり「ねえねえ、穂乃果ちゃん。ことりの夢の中の未来はどうだった? やっぱり海未ちゃんのメイドさんになってた?」

穂乃果「あっ、うん! やっぱりことりちゃんは海未ちゃんのメイドさんやってたよ!」

ことり「えへへっ/// そっかぁ/// ことり、将来“も”海未ちゃんのメイドさんになっちゃうんだぁ////」

海未「こ、ことりっ/// ・・・もうっ・・・///」

穂乃果「それでね、大人のことりちゃんはね、ことりちゃんのお母さんみたいに、しっかりした感じの大人になってるかと思ってたんだけど、ちょっと違くてね、大人っぽくはあるんだけど、優しそうなタレ目はそのままで、ちょっとお茶目そうな人になってたよ!」

海未「なるほど、今と同じ、可愛らしいまま成長するんですね。容易に想像できます」

穂乃果「うんうん! 大人になってもメイド服がすごく似合ってた!」

ことり「そ、そう・・・?///」テレテレ

ことり「ねえ、穂乃果ちゃん。他にはなにかあった?」

穂乃果「他にはねえ。海未ちゃんがオスカル様の衣装着て、穂乃果がアンドレ様の衣装を着て、色々遊んだよ!」

海未「はぃぃぃいい?!///」

ことり「それ本当?!!」ガタッ

穂乃果「うん。貴族の海未ちゃんとメイドのことりちゃんが身分違いの恋をしたり、穂乃果と海未ちゃんが、ことりちゃんを取り合って決闘したりしたよ~」


ことり「何それ?!! 詳しく!!!」ガタガタ!

穂乃果「あわあわ」ガクガク

海未「やめてくさいっ!/// 私がオスカル様の衣装なんて・・・。絶対に似合いませんっ///」

ことり「そんなことない! ことり、ずっと前から思ってた! 海未ちゃんはオスカル様みたいにカッコよくて凛々しいの! だから絶対似合う! 今度オスカル様の衣装作るから着て見せて!」

海未「着ませんっ!///」

ことり「着てよっ!!」

穂乃果「あれ~? でも、海未ちゃんはオスカル様の衣装を着るって、ことりちゃんと約束したって言ってたけど」

ことり「!!!! したしたしたしたした約束した!!!」

海未「そんな約束はしてませんっ!!」

ことり「したよ! 約束した! 誓約書も書いたよね?!」

海未「確かに、ネコミミを着用する誓約書は書きましたが・・・。オスカル様の衣装の件はないですよっ!! ねつ造しないでくださいっ!!」

ことり「じゃあ今書いて! ほら書いて! さあ書いてええ!!! オスカル様の衣装着るのお!!」グイグイ!

海未「ちょっとことりっ?!」

ことり「“園 田 海 未 は オ ス カ ル 様 の 衣 装 を 着 用 し ま す” ・・・!!」グギギギギ

海未「ええっ!!? 無理矢理私にペンを持たせて強引に何を書かせてるんですかっ!!」

ことり「“オ ス カ ル 様 に な り き っ て セ リ フ を た く さ ん 言 い ま す” ・・・・!!!」グギギギギギギギギ

海未「ちょぉお?!!/// ついでに何書いてるんですかっ?!!// 恥ずかし過ぎて私にオスカル様のセリフなんて言える訳ないですよおお!!!」

ことり「“決 し て 嫌 が っ て 逃 げ 出 し た り し ま せ ん” ・・・やったあ!! これで絶対にオスカル様になってくれるよね!!!? ンミチュゥァァァァアアアアアアアア!!!!!」

海未「なぜですかぁっーー!」







穂乃果「二人の未来を見られて面白かったな~。他の人の未来も見たいな~」







----------------------------------------



~~中略~~




クルクルクルクル....

絵里「がっっっっしゅくよ!」ババーン




~~中略~~



----------------------------------------
西木野邸 別荘



8人「すー、すー・・・」zzz

穂乃果「こんばんは~・・・・。高坂穂乃果ですっ!」コソコソ

穂乃果「こっそりみんなの未来を見ちゃうもんね~」


穂乃果「きっと、みんな未来の中で輝いてるよね」

穂乃果「早速いこう。まずは~」



花陽「くー、すー・・・」zzz



穂乃果「よしっ、花陽ちゃんからだっ」

穂乃果「穂乃果と花陽ちゃんの小指を、この夢の赤い糸で結んでっと」キュ

穂乃果「よしっ、後は寝るだけ」

穂乃果「おやすみー」

花陽「くー、くー・・・」zzz





・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・


穂乃果「・・・・・・」ポワー

穂乃果「んっ・・・」

穂乃果「花陽ちゃんの夢の中に入ったかな」

穂乃果「ここは・・・」キョロキョロ

穂乃果「学校? ・・・アルパカ小屋の近くだ」



花陽「ふわふわ・・・もこもこ・・・ふわふわ・・・えへへ」



穂乃果「あっ! 花陽ちゃんみっけ。アルパカに抱き着いてる。行ってみよう」タッ





穂乃果「お~い、花陽ちゃーん」

花陽「穂乃果ちゃん! こんにちは」

アルパカ「こんにちは」

穂乃果「こんにちは。アルパカのお世話してたの?」



穂乃果(あれれっ? 花陽ちゃん、いつもの花陽ちゃんだ)

穂乃果(海未ちゃんとことりちゃんは大人になってたのに。なんでだろ)



花陽「うんっ。でも、今終わったところで、アルパカさんに触らせてもらってたの」

アルパカ「毛がフカフカして気持ちいいでしょう?」

穂乃果「嫌がられずに触れるなんて、やっぱり花陽ちゃんはアルパカ使いだね~」

花陽「えへへ。それほどでも」

アルパカ「花陽さんになら、いくら触られても構いませんよ。むしろ触られて嬉しいです。それなのに、いつも世話までして頂いて、本当にありがとうございます」

花陽「いえいえ。私、飼育委員ですし」

穂乃果「すごいな~花陽ちゃん。アルパカと会話してるみたい」

花陽「アルパカさんはしゃべれないよー。でも、もし本当におしゃべりできたら、いっぱいお話ししてみたいなあって思ってるの。すっごく楽しいだろうなあ」


穂乃果「そうだねー。ねぇ、花陽ちゃん。花陽ちゃんはアルパカさんとお話しができるとしたら、どんなお話がしたい?」

花陽「う~ん。どこか行きたいところはありますか? って聞いてみたいかも。いつも小屋の中に居てもらって、お散歩も校庭の周りだけだから。行きたいところがあれば、そこまで連れて行ってあげたい」

穂乃果「おおー。優しいねえ、花陽ちゃん」

アルパカ「湖に行ってみたいです」

花陽「そうですか。ここからだったら、上野の不忍池(しのばずのいけ)が一番近いですね。都心にありながら、のどかな場所です。せっかくなので行きましょうか」

アルパカ「ありがとうございます。穂乃果さんも一緒に行きませんか?」

穂乃果「そうだねー。天気もいい・・・しっ・・・?」

アルパカ「はい、今日はいいお天気。春は過ごしやすい季節ですね」

穂乃果「あわあわあわわ」ガクガク

花陽「穂乃果ちゃん、どうしたの?」

アルパカ「・・・・? 私の顔に何か付いていますか?」

穂乃果「あっ、あっ」パクパク

花陽「んっ?」

アルパカ「・・・・・?」




穂乃果「アルパカがしゃべってるうう?!!」




花陽「・・・・? あっ、そういえば、アルパカさん。さっきからしゃべってますね」

アルパカ「はい? 私は初めて花陽さんにお会いしたその日からずっとしゃべっていますけど」

花陽「ごめんなさい。全然気が付きませんでした」

アルパカ「気が付いていなかったんですか。それは意外です。花陽さんはいつも、私のして欲しい事をしてくれているので、私の言っていることを理解してくれる数少ない人だと思ってました」

花陽「そうですか」

アルパカ「そうなんです」



穂乃果「はわわわわわわわ! しゃべるアルパカ! これは大発見だあ・・・・!」

穂乃果「ああ・・・・いやいやいやいやいや待て待て待て・・・」

穂乃果「今は花陽ちゃんの未来を夢の中で見てるんだから・・・。これは夢・・・。えっ? だけど、夢は夢でも、未来を見てる夢なんだから・・・、ということは、未来のアルパカはしゃべれるってこと・・・? いや、そんなまさか・・・。でも、もしかしたら・・・」モンモン

穂乃果「ううぅ・・・頭痛くなってきた」

アルパカ「穂乃果さん大丈夫ですか? あなたはあまり頭が良くないのですから、深く考えるだけ無駄ですよ」

穂乃果「・・・・・・そっか・・・うん・・・・そうだね  穂乃果  考える  やめる」

花陽「アルパカさんははっきりと物を言いますね」

アルパカ「私は人間ではありませんから、社交辞令というものが分かりませんので」

花陽「そうですか」

アルパカ「そうなんです」





花陽「ねえねえ。アルパカさん、アルパカさん。アルパカさんにお名前はありますか?」

アルパカ「ぽちって呼んでください」

花陽「ぽち? 犬みたいですね」

アルパカ「私、実は犬なんです」

花陽「そうですか」

アルパカ「そうなんです」

穂乃果「ええっ?! そうだったの?!」

アルパカ「はい。よろしくお願いします。ワンワン」

穂乃果「ほえぇ~・・・。うちにも犬いるけど、いつかはこんなに、ふわふわ、もこもこになって、お馬さんくらいの大きさにまで成長するんだあ・・・・・・」


花陽「アルパカさんに趣味はありますか?」

アルパカ「お散歩が好きです。日向ぼっこが好きです」

花陽「そうですか。いつも小屋の中に居てもらってすいません・・・」

アルパカ「気にすることはありません。いつも校庭をお散歩させてもらってますし。それ以外で出たいときは勝手に出させてもらっていますから」

花陽「そういえば、そうですね。でも、突然出られてしまうと、学校の人達は大慌てになってしまうのです」

穂乃果「そうなんだよ。アニメ一期一話でも、さりげなく脱走してたよね。スクフェスでは神社まで逃げてたし。・・・あっ! 思い出した! そういえばその時、穂乃果のお弁当食べちゃったよね?!」

アルパカ「その節はどうも、お弁当ありがとうございました。葉っぱ、とてもおいしかったです」

穂乃果「もー! あの時は大変だったんだからね! ぷんぷん!」

アルパカ「食べ物の話をしていたら、なんだかお腹すいてきませんか?」

穂乃果「えっ? んー・・・。そうだねー。何か食べたくなってきたかも」

花陽「それでは、お弁当を持って湖へ行って、そこで食べませんか?」

アルパカ「それは良い考えです」

穂乃果「おおっ、やろうやろう!」

花陽「アルパカさんは好きな食べ物はありますか?」

アルパカ「うな重が好きです」

穂乃果「へっ?! うな重て・・・・あんた・・・」

花陽「困りました。ウナギは手元にありません」

アルパカ「でしたら、ウナギ抜きのうな重でもいいですよ」

花陽「それなら作れそうです。花陽の得意料理です」

アルパカ「はい。お願いします。あっ、山椒は欲しいですよ」

花陽「もちろん。山椒は欠かせないですよね」

アルパカ「そうですよね」

花陽「そうですね」

花陽「作って来ますので、少し待っていてください」

アルパカ「はい。ありがとうございます」

穂乃果「ウナギ抜きのうな重・・・? うう~ん・・・」アタマカカエ

アルパカ「穂乃果さん。先程考えるだけ無駄と申しましたよね。もう忘れたのですか。ニワトリ以下のミジンコ脳みそですね。脳みその大部分はお母さんのお腹の中に置いてきちゃたんですか? 代わりにその頭の中には脳みそじゃなくて餡子でも詰まってるんですか? その頭はアンパンなんですか? 取り換えたら元気100倍になるんですか?」


穂乃果「ううっ・・・・。ほのか かんがえない」

アルパカ「それでいいのです」



穂乃果「ねえねえ、アルパカさん。聞いてもいい?」

アルパカ「はい、なんでしょう」

穂乃果「この前ことりちゃんがアルパカさんにお手をやってもらおうとがんばってたけど、結局やってくれなかったよね。なんでやってあげなかったの?」

アルパカ「私犬じゃないんすよw見ればわかるっしょww芸なんて覚えられる訳ないじゃないですかwwwバカなんすかwwwwwww死ぬんすかwwwwwwwwwww」プークスクスw

穂乃果「えっ。さっき犬って言ってなかった・・・? あっうん、いや、別に何でもないよ。 穂乃果   考えないもん」

花陽「アルパカさん、お手はしてなかったけど、代わりに舐めてばっかりでしたよね。つまり、できないことをやらせようとすることりちゃんのことを、アルパカさんは“嘗めて”舐めていたんですね」

アルパカ「お上手ですね。でも、そんなつもりじゃないですよ。ことりさんは可愛いくて柔らかそうでいい匂いがする女性として大変魅力的でしたので普通に純粋に甘そうな桃を目の前にした時のようなそこはかとない欲求に従って舐めただけです」

穂乃果「そ、そうなんだ・・・。そんなに事細かく心情を語られると、なんだか急に変態さんに見えてきちゃった・・・」

アルパカ「私が変態さん? ハハッ、御冗談を。私はただのビーストですよ。そんな高級な嗜好は持ち合わせていません。ことりさんprpr。穂乃果さんもprprしますね」

穂乃果「えっと、あはは・・・・」アトズサリ



穂乃果「おっ、そういえば花陽ちゃん、お弁当できたんだ」

花陽「はい。これです」

穂乃果「おおっ。立派な重箱だあ。中身は」

花陽「ウナギ抜きのうな重です」

穂乃果「わーいたのしみだなー」



花陽「それじゃあ、湖まで行きましょうか」

アルパカ「宜しければ、私の背中に乗って行きませんか」

穂乃果「えっ?! いいの!? すっごく乗りたい!!」

花陽「!! わ、わたしも乗りたいですっ!!」

穂乃果「花陽ちゃんもかあ。・・・・分かった、じゃあ、花陽ちゃん乗せてもらいなよ」

花陽「えっ、いいのっ?」

穂乃果「うん! 私先輩だもんね! 譲っちゃう」エッヘン

花陽「ありがとうっ・・・!!」

アルパカ「そんなご遠慮なさらず。お二人一緒に乗ってください」

穂乃果「ええっ! 二人も乗せられるの?」

アルパカ「女の子二人くらいどうってことないですよ。大丈夫です」

穂乃果「イェーイ! やったね花陽ちゃん!」ハイタッチ

花陽「うんっ!」ハイタッチ


穂乃果「それじゃ、乗させてもらうね」

アルパカ「はい、どうぞ」

穂乃果「あっ、花陽ちゃん前でいいよ」

花陽「ホント!?」パァ

穂乃果「おっけ、おっけ」v

花陽「穂乃果ちゃん、ありがとう!」



花陽「それでは失礼して・・・」フサッ

花陽「わぁ・・・。アルパカさん、モコモコ、フワフワ・・・。幸せ・・・」ギュ

穂乃果「花陽ちゃん。アルパカさんの背中に乗って、首に抱き着いてる。気持ちよさそう」

アルパカ「お気に召して頂いたようで、光栄至極でございます」

穂乃果「アルパカさん。次に穂乃果も乗るけど、大丈夫?」

アルパカ「楽勝よ、バッチこいや、てやんでい」

穂乃果「ん、それじゃ乗るね。よっと」

穂乃果「わぁ、フワフワだあ。でも、アルパカさん本当に大丈夫? 重くない?」

花陽「そうです・・・私、最近食べすぎちゃってて・・・」

穂乃果「そ、そうなんだよね・・・。実は、私達μ’sの中でも・・・」

アルパカ「あれ? お二人共もう乗ってるんですか? 産毛の小鳥達が私の背中で羽休めしている時くらいの重さしか感じないんですけど」

穂乃果「やだなにこのイケメン////」

花陽「アルパカさん力持ちですね! さすが南米のアンデス山脈のご出身です」

アルパカ「恐縮です」


アルパカ「それでは、動きますけど、お二人ともしっかりと掴まっててくださいね」

花陽「はいっ」ギュ

穂乃果「穂乃果は花陽ちゃんに抱き着くね」ギュ

花陽「どうぞっ」





アルパカ「行きますよ・・・!」グッ

┏( ^o^)┓ドコドコドコドコ┗( ^o^)┛ドコドコドコドコ

アルパカ「コケコッコー! パカラッ パカラッ」ノソノソ...





花陽「わー。アルパカさんに乗って移動するなんて夢みたいです」

穂乃果(・・・・・意外と遅い)




アルパカ「気分がいいですね。歌でも歌いましょう」

穂乃果「おおっ。そういえばアルパカさんはことりちゃんとの特訓でタカラモノズが歌えるようになったよね」

アルパカ「Rollin', rollin', rollin'♪」

穂乃果「ろーれん?」

アルパカ「牛を追いかける時の掛け声ですよ」

穂乃果「へー、そうなんだ。どういう歌なの?」

アルパカ「西部開拓を歌った歌ですよ。人を乗せたのが久しぶりで、つい思い出してしまいました」

アルパカ「懐かしいですねえ。あの頃は蒸気機関車が出始めた頃で、まだまだ動物に乗るのが人の主な移動手段でした。私もよく鞭で叩かれ牛を追いかけたものです」

花陽「アルパカさんも御苦労されていたのですね・・・」

アルパカ「ええ。確かに血の気の多い人ばかりでしたけど、今より人と動物の触れ合いが多かったのも事実ですから、花陽さんみたいな人もたくさんいましたよ」

穂乃果「へー」




アルパカ「Rollin', rollin', rollin'♪」

花陽「ろーれん♪」

穂乃果「ろーれん♪」

アルパカ「Rollin', rollin', rollin'♪ Rawhide!」

アルパカ「Keep rollin' rollin' rollin' Though the streams are swollen―――」





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上野
不忍池(しのばずのいけ)




アルパカ「Hi-yo Silver!」

アルパカ「到着です」

花陽「お疲れ様です」

穂乃果「ありがと! アルパカさん。・・・よっと」タッ

穂乃果「ここ、この前ツバサさんと来たっけ」

アルパカ「のどかな場所ですね」カシャ, カシャ

穂乃果「えっ!? アルパカさん何やってるのっ?」

アルパカ「何って、写真を撮ってるだけですよ。ブログにうpするんです」

穂乃果「へ、へぇー・・・。急に二足歩行になったかと思ったら、前足でバズーカみたいなカメラ構えてるもんだからびっくりしちゃった・・・。意外と器用だね・・・」

アルパカ「ダンスも得意ですよ」

アルパカ「やっ、ほっ」フリフリ

花陽「歌って踊れるなら、アイドル研究部に入りませんか?」

アルパカ「舎に持ち帰って検討致します」

穂乃果「アルパカさん・・・。なんかもう、なんでもありだね・・・。そろそろ変形合体して空でも飛んじゃうんじゃない?」

アルパカ「変形合体はしませんが、デジモンみたいに進化したりデジクロスはしたいですね」

穂乃果「でじもん?」

アルパカ「デジモンですよデジモン。デジタルモンスターの略」

穂乃果「???」

アルパカ「最近の若い子、それも女の子は知らないでしょうねえ。デジモンになることが私の夢なんですが」


穂乃果「あっそうだ! 夢で思い出した!」

穂乃果「花陽ちゃん。花陽ちゃんの“夢”ってなに?」

花陽「夢?」

穂乃果「うんうん。花陽ちゃんが将来叶えたいと思っている“夢”」

花陽「“夢”・・・・。うーん・・・・。なんだろう・・・?」

穂乃果「やっぱりプロのアイドルになりたいの?」

花陽「ええっ?!! いやいや! 花陽がプロのアイドルなんて恐れ多いよお!!」ブンブン

穂乃果「えっ? どうして? 花陽ちゃんアイドル大好きでしょ?」


花陽「好きだけど・・・。プロのアイドルなんて花陽には無理だよぉ!」

穂乃果「そうかなあ? 今だって、すっごく可愛くて、踊れるし、歌も綺麗だし」

花陽「それは、スクールアイドルだからやれているだけで・・・。プロは本当に残酷な格差社会だから・・・」

穂乃果「それでも花陽ちゃんならやれるはずだよ! ファイトだよ!」

花陽「そ、そんなあ! 無理なのおお」ブンブン

穂乃果「“夢”は叶える物だよ! 諦めちゃだめ!」

花陽「うっ、うぅぅ。無理だってばあ! 誰か助けてー!」


アルパカ「ちょっと待っててください。まずは穂乃果さん。落ち着いてください。“夢”は他人から強制されるものではありませんよ」

穂乃果「強制って・・・そんなつもりじゃないんだけど・・・」

アルパカ「花陽さんも落ち着いてください」

花陽「う、うん・・・・」


アルパカ「落ち着いて考えてみてください。“夢”とはつまり、 “やりたい” と思っている事です」

花陽「やりたい・・・?」

アルパカ「それから“夢”は100人の人がいれば、100の形があるんです。みんな自由な“夢”を持っていていいんです」

花陽「みんな・・・自由な“夢”・・・」


花陽「あの・・・・・アルパカさんの“夢”を聞いてもいい?」

アルパカ「はい。私の“夢”は、デジモンになることです」

花陽「・・・・デジモン? ・・・・その理由も聞いていい?」

アルパカ「デジモンになりたいと思っているのは、恩返しをしたいという想いから来ています」

花陽「恩返し?」

アルパカ「はい。恩返しです。私は色々な人のお世話になりました。学校で手厚く保護して頂いている理事長様。毎日欠かさず水や食事を持ってきて、掃除をして下さる飼育員の方々。風雨を防ぐ小屋を建ててくださった大工様。牧草を栽培してくれる農家の方々。安全な水を生産してくださる水道局の職員様」

アルパカ「私は色々な人達から恩を受けました。もちろん、花陽さんもその内の一人です」

穂乃果「すごい・・・。そんなこと考えもしなかったけど、言われてみれば、私にも同じことが言えるなあ」

花陽「恩返しなんて・・・。私は、アルパカさんはそこに居てくれるだけで嬉しいよ」

アルパカ「ありがとうございます。でも、私の “やりたい” は、居るだけの事ではないんです」

アルパカ「そこでデジモンです。デジモンは、最初の内は弱々しい存在ですが、人からの愛や情熱、人との友情や信頼、そういったものの積み重ねで成長し、進化して、大きな力を身に付けます」

アルパカ「人から支えられえて成長し、身に付けた力で人を支えたい。支え、支えられて、さらには色んな人の力を借りて、一緒に輝ける何かを築いていきたい。誰かの心を動かす何かに、少しでいいから貢献したい」

アルパカ「それができるデジモンになりたい。私の“夢”です」


花陽「・・・・・・」

穂乃果「・・・・・・びっくりしちゃった。アルパカさん。すごくしっかりした考えを持っているんだね」


アルパカ「さて、私の“夢”は語り終えました。今度は花陽さんの番です。花陽さんの“夢”をお聞かせください」

花陽「う、うん・・・そうだね・・・」

アルパカ「“夢”というと、どうしても大層な物をイメージしてしまいがちですが、そうである必要はありませんよ。ただ、単純に “やりたい” と思っていることで構いません」

花陽「 “やりたい” かあ・・・・」

アルパカ「特技や好きな事ですよ」

花陽「好きな事・・・。私は、絵を描くのが、好きかな」

穂乃果「絵! それなら画家かな?!」

アルパカ「穂乃果さん。結論を急ぐのは良くないですよ。花陽さん。画家になった自分をイメージしてください。それで、心が興奮して躍動するのを感じますか?」

花陽「画家もいいけど・・・う~ん・・・・・」


アルパカ「それじゃあ、今、何か描きたい絵はありますか?」

花陽「描きたい絵・・・・」


花陽「・・・・・・・・・」



花陽「アルパカさんが、描きたい」

アルパカ「はい。描いてみてください」

花陽「うん」

花陽「アルパカさん」サラサラ....



---------------

花陽「描けました」

穂乃果「ホント! 見せて見せて」

アルパカ「拝見させていただきたく候」

花陽「ちょっと、恥ずかしいですけど・・・ど、どうぞ」オズオズ

穂乃果「おおっ。穂乃果と花陽ちゃんが笑顔でアルパカさんに乗ってるよ!」

アルパカ「クレヨンで描かれたのでしょうか。とても温かみがあって可愛らしい絵ですね」

花陽「えへへ。照れちゃいますよぉ//」

穂乃果「うん! すごく可愛い絵!」



穂乃果「あっ! いいこと思いついちゃった! こういう絵をもっとたくさん描いて、絵本にしたらどうかな?」



アルパカ「おっ、それいいですねぇ。私が穂乃果さんと花陽さんを乗せて、色々な所を冒険する・・・そんなストーリーを添えたら面白そうですね」

花陽「・・・・!」パァ

花陽「うん、うん! 私ももっとアルパカさんと色々な所へ行きたいです! 行ってみたいです!」

アルパカ「賛成です。私、他にも行きたいところがたくさんあるんです。・・・海の向こうや雲の上、ピラミッド、アマゾンの大森林の奥地。そして我が故郷である島根の砂丘etc...。私の羽毛や肉は島根の原住遊牧民の方々にとても重宝されたんですよ。人と力を合わせて―50℃の厳寒を耐えたものです。そういった人々の触れ合いや助け合いも織り込まれた心温まるいストーリーだと素晴らしいと思うんですけど、どうでしょうか」

花陽「はいっ!! すごくいいですっっ!!!」

穂乃果「おおっ。夢がひろがるねぇ」

アルパカ「夢・・・。“夢”・・・・。あの、花陽さん。できれば動物と人が対等な立場で描かれている作品して頂けないでしょうか・・・。動物と人が対等、そんな世界が私にとっての理想で、それもまた、私の“夢”でもあるんです」

花陽「もちろんです! 花陽は動物が大好きですから!!」

アルパカ「ありがとうございます」

花陽「早く描かなきゃ! 描きたい!!」

花陽「まずは・・・・・そうだっ。まずはアルパカさんがアルパカ小屋にいる時の絵を描こう! ここが物語のスタートにしたいのっ」カキカキ


穂乃果「花陽ちゃんイキイキしてるねぇ。楽しそう。本当に絵を描くのが好きなんだね」





花陽「~~♪」カキカキ スラスラ .....スー



穂乃果「・・・・・? えっ、あ、あれ・・・・?」



花陽「~~♪」.....スー



穂乃果「気のせいかな・・・? 穂乃果の目が疲れてるのかな」ゴシゴシ



花陽「~~♪」.....スー



穂乃果「花陽ちゃん。絵を描きながら・・・・」



花陽「~~♪」.....スー



穂乃果「ちょっとづつ姿が成長してるような・・・?」



花陽「~~♪」.....スー



穂乃果「・・・・・やっぱり。見間違えじゃない。既に20歳は超えたくらいの見た目になってる」


穂乃果「すごく優しそうなお姉さんだ。でも、本人は何事も無かったかのように、夢中で絵を描き続けてる」


穂乃果「これは・・・どうして・・・?」



アルパカ「――――――穂乃果さんが今まで見ていたのは、彼女の未来でもなく、彼女の叶えたい“夢”でもなく、ただの普通の夢だった」

穂乃果「えっ?」

アルパカ「未来の可能性は叶えたいと思っている“夢”で決まります。ですから、“夢”が明確に決まっていない人は、明確な未来がありません。明確な未来とはつまり、発生確率の高い未来の事です。ある一定以上の発生確率がある未来がないと、夢の赤い糸は正確に機能しません」

穂乃果「う、うん・・・?」

アルパカ「でも、今の彼女を見てください。あれは未来の彼女の姿です」

穂乃果「そう・・・だよね・・・? 花陽ちゃんの未来は決まってないのに、あの花陽ちゃんは未来の花陽ちゃんなの・・・?」

アルパカ「彼女は子供の頃に絵本作家になりたいという“夢”を、漠然としてではありますが、持っていました。しかし、それは、高校生に至るまでに、徐々に薄れてしまっていたようです」

アルパカ「その薄れてしまった“夢”を、蘇らせる出来事が、今日たまたま起こりました。それは、夢の中で私の背中に乗り、その様子を絵に描くというものです。さらに決め手となったのが穂乃果さんの一言」


アルパカ「“絵本にしたらどうかな?”」


アルパカ「そのおかげで、彼女は忘れかけていた“夢”を思い出したのでしょう」

アルパカ「彼女の“夢”が蘇り、そして発生確率の高い未来が生まれました」

アルパカ「そして、穂乃果さんが見ている今の景色は、夢の赤い糸の機能により、彼女の夢から“夢”・・・つまり、未来に変わったのです」


穂乃果「ほー・・・?」

穂乃果「そ・・・っか。分かったような・・・分かんないような・・・。少なくとも、あれが未来の花陽ちゃんなんだよね?」

アルパカ「そうですよ」

穂乃果「そっか。それなら良かった。花陽ちゃん。あんなに楽しそうに、絵を描いてるんだもん。輝いている。幸せに生きていけるって分かっただけでも、穂乃果は嬉しいな」


アルパカ「穂乃果さんは優しいのですね。そんな貴女だから、多くの人が貴女を慕うのです。これからもその性格は大切にしてくださいね」

穂乃果「・・・? えっと、うん」



穂乃果「ああっ! そうだっ!」

アルパカ「どうしました急に?」

穂乃果「さっきまで見えていたのは花陽ちゃんの普通の夢なんだよね? でも今のこれは、花陽ちゃんの未来なんだよね?」

アルパカ「はい」

穂乃果「・・・・今まで考えないようにしていたけど・・・・」

アルパカ「なんです?」

穂乃果「・・・・・・・・アルパカさん、やっぱりしゃべってるよね?」

アルパカ「夢の赤い糸の機能で未来の姿になるのは、使われている人に限られるのでしょうね。ですから、その人の周りは、割と適当なんですよ。多分。そういうことにしておいてください」

穂乃果「ああっ・・・そういうこと。まあ、そう言われれば、海未ちゃんとことりちゃんの未来を見ている時も、本人以外はいつも通りだったし」

アルパカ「そういうことです。夢の赤い糸を使えど、所詮は私は花陽さんの夢の中の存在です。夢というのは大抵は支離滅裂な内容なものです」

穂乃果「うん。そうだね。アルパカさんがしゃべる訳ないし」



アルパカ「いいえ、その認識は間違ってますよ」

穂乃果「えっ?」

アルパカ「穂乃果さん、ロボット部の人に言われましたよね。『未来とはほんの些細な事で無限に分岐する』・・・と」

穂乃果「そうだけど・・・。だからってアルパカさんがしゃべるようになるとは思えないけど・・・」

アルパカ「穂乃果さんは無限の意味を正しく理解していますか?」

穂乃果「無限? それは・・・・あれ? えっと、無限ってなんだっけ・・・? 限りがない・・・?」

アルパカ「そうですね。例えば10個のサイコロを同時に振って全てが1の目になる確率はいくつだと思いますか?」

穂乃果「うーん・・・。すごく低い・・・?」

アルパカ「(1/6)^10=1/60466176です。穂乃果さんの言う通り、これは物凄くすごく低い確率です。限りなく0に近いです。しかし0ではない」

アルパカ「0でなければ、無限回数だけサイコロを振れば、確実に全ての目を1にすることができます」

穂乃果「そうなの・・・・?」

アルパカ「では、この世は無限と有限、どちらだと思いますか?」

穂乃果「えっ? うーむ・・・」

アルパカ「地球から460億光年の範囲の外、つまりObservable Universeより先の宇宙を人類が観測することは物理的に不可能ですが、それより先には無限の宇宙が広がっています。もっと言ってしまえば宇宙の数も一つではありません」

穂乃果「えっ、えっ? 宇宙の、数・・・?」

アルパカ「宇宙と宇宙は隔絶されておらず、それらはブラックホールで繋がっています。そう言った意味で、この世は無限です。無限であるから、どんなに確率が低い事象でも発生し得ます。10個のサイコロを同時に振って全ての目が1になることもあり得れば、さらに、穂乃果さんと同一の原子配列を持った物体、つまり穂乃果さんと全く同じ人間が複数人、この世には存在し得ます」

穂乃果「穂乃果と・・・? えっ???」

アルパカ「よって、人語をしゃべるアルパカがこの世に居ても、なんら不思議ではないのです」


※参考記事:Newton 2016年3月号 『宇宙空間が膨張するとは,どういう意味か』



穂乃果「ええっ?! そうなの?? とにかく、なんか、よく分からないんだけど・・・。つまり、なんでアルパカさんはしゃべれるの・・・? そんな訳ないのに・・・。無限? だと? あーもう! わかんないよお! あうー・・・頭痛くなってきた・・・」プシュー

アルパカ「ですから最初に考えるだけ無駄だと申し上げたのですが」

穂乃果「うん・・・」



穂乃果「・・・・・・・・」

穂乃果「ね、ねえ・・・・」

アルパカ「今度はなんですか」

穂乃果「ちょっと気になってさ・・・・」

穂乃果「無限とかさ、宇宙がどうのこうのって、穂乃果には訳が分かんなかったけど・・・・」

アルパカ「そうですね。それについて真面目に考えるのは物理学者だけで十分ですよ」


穂乃果「アルパカさんは花陽ちゃんの夢の中のアルパカさんなんだよね?」

アルパカ「はい」

穂乃果「さっき、夢は支離滅裂な内容って言ってたけどさ・・・。それにしたって、花陽ちゃんが知らない事は、夢の中では出てこないんじゃない?」

アルパカ「・・・・・・」

穂乃果「アルパカさんが話してくれたような難しい事を、花陽ちゃんが普段から考えているとは思えないんだけど・・・・」

アルパカ「・・・・・・」

穂乃果「アルパカさん、実は花陽ちゃんの夢の中のアルパカさんじゃない、ってことはない?」


アルパカ「・・・・・・」


穂乃果「ねえ、教えて。アルパカさんは一体何者? あなたはどこから来たの?」


アルパカ「・・・・・・・」


アルパカ「・・・・・・・」



アルパカ「・・・・・そうですね。それは―――」

穂乃果「それは・・・・」ゴクリ




アルパカ「おっと、そろそろ、お別れの時間の様です」

穂乃果「えっ? ええっ?!!」

アルパカ「いずれ、じっくりお話しできる機会があるといいですね」

穂乃果「ちょ、ちょ、ちょっとまってよー!」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・





穂乃果「うぅ・・・・まってぇ・・・」

穂乃果「う~ん・・・・・はっ?!」ガバッ

穂乃果「ああっ、起きちゃった・・・」

穂乃果「・・・・・・・アルパカさん、一体何者・・・?」

穂乃果「うん、やめよう。深く考えちゃダメだよね」

穂乃果「なんかずっとアルパカさんと訳の分からないお話しをしてた気がするけど・・・一番の目的は花陽ちゃんの未来を見る事だったんだし」



花陽「すー・・・」zzz



穂乃果「花陽ちゃん。もし明日起きて、さっき見た夢を忘れちゃってても、穂乃果がちゃんと教えてあげるからね」

穂乃果「だから、絵本作家を目指してね」

花陽「すー・・・」zzz




穂乃果「さ~って、次は誰の未来を見よっかなー」



凛「にゃー・・・すー・・・にゃー・・・」zzz



穂乃果「おっ、凛ちゃんが隣にいた」

穂乃果「凛ちゃん、君に決めたっ!」

穂乃果「凛ちゃん、可愛いお洋服が好きな女の子だもんね。きっと可愛いお洋服が似合うような可愛い女性に成長しているだろうなあ」


穂乃果「早速、夢の赤い糸を結んで・・・」キュ

穂乃果「できたっ。そんじゃ、おやすみ~」モソモソ



・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・



穂乃果「よっと」

穂乃果「よし、凛ちゃんの夢の中に入ったかな」

穂乃果「はてさて、未来の凛ちゃんはどこだ~」キョロキョロ

穂乃果「この場所はどこ? 外で、えーっと、見覚えがあるけど・・・」

穂乃果「あっ、分かった。花陽ちゃんちの近くだ」




凛「かよちんは歩道側歩いてね」

花陽「うん。ありがとう、凛ちゃん」




穂乃果「あっ! 凛ちゃん発見! 花陽ちゃんと一緒だ」

穂乃果「近くで見よっと」タタッ





凛「にゃ、木の枝が道にはみ出てる」

凛「凛が抑えてるから、かよちん通って」

花陽「うん。ごめんね」

チャリンチャリン

凛「自転車が来たにゃ。かよちん、凛の後ろに入るにゃ」

花陽「うん、ありがとう。いつもごめんね」





       <ブォーン....
   / ̄ ̄\__
  └-○--○-┘  __水たまり__ 
 


凛「かよちん危ない!」バッ

花陽「えっ?」


ビシャー


花陽「凛ちゃん大丈夫?! 水が跳ねたよ?!」

凛「凛は兵器にゃ。かよちんは水掛ってない?」

花陽「花陽は大丈夫だけど・・・」オロオロ

凛「良かったにゃ」ニコッ

花陽「良くないよっ! 早く着替えないと風邪引いちゃうよぉ」オロオロ

凛「大げさだよ~。ズボンにちょっとかかっただけだもん」


穂乃果「ほえー・・・。凛ちゃん、花陽ちゃんを守るボディガードみたい」

凛「あっ! 穂乃果ちゃんだ!」

花陽「穂乃果ちゃん! こんにちは」

穂乃果「こんにちは」

穂乃果「んんっ? 凛ちゃん、いつもの凛ちゃんだね」

穂乃果(ってことは、凛ちゃんには今の所将来叶えたいと思ってる“夢”が無いのかな)

凛「にゃ? 凛はいつもの凛だけど」

花陽「えっと・・・・? とりあえず、私タオル持ってるから、とりあえず、これで軽く拭いて」

凛「ありがとにゃ」フキフキ

花陽「それから、早く着替えないと」

穂乃果「あ、そっか、ごめんね引き留めちゃって。凛ちゃん早く家に帰った方がいいよ」

凛「大丈夫なんだけどなー」

花陽「ダメなの! 凛ちゃんは女の子なんだから!」

凛「む~・・・。分かったにゃ。かよちんがそこまで言うなら・・・」

花陽「真っ直ぐ帰ってね」

凛「うん。それじゃ、かよちん、穂乃果ちゃん、じゃーねー。かよちん、タオル洗って返すねー」タタッ

穂乃果「ばいばい」

花陽「またね」




穂乃果「凛ちゃんと別れちゃった。うーん・・・。結局凛ちゃんの“夢”は分からなかったなあ・・・」

穂乃果「あっ、そうだ。花陽ちゃんなら分かるかも」

花陽「うん?」

穂乃果「凛ちゃんが将来叶えたいと思っている“夢”って、花陽ちゃん知ってる?」

花陽「凛ちゃんの“夢”? うーん・・・。子供の頃はサッカー選手になりたいって言ってたけど」

穂乃果「サッカー選手! すごいねえ! かっこいい! なでしこジャパン!」

花陽「でも、中学生くらいの頃からあんまり言わなくなったから、今は別の“夢”があるかも」

穂乃果「そうなの? 花陽ちゃんも分からない?」

花陽「うーん・・・。μ’sに入る前は、凛ちゃん陸上部に入ろうとしてたけど」

穂乃果「凛ちゃん、運度神経いいもんねえ。それじゃあ、今は陸上選手になりたいのかなあ」

花陽「μ’sに入ってくれた時点でそれは無いかなあ・・・」

穂乃果「陸上選手も違うの? それじゃあ・・・花陽ちゃんのボディガードとか?」

花陽「えっ///」

穂乃果「さっきも一所懸命に花陽ちゃんのこと守ってたからさ」

花陽「た、確かに凛ちゃんはいつも花陽の事を守ってくれてるけど・・・///」

花陽「それは、将来の“夢”とはちょっと違うんじゃないかなあ・・・?」

穂乃果「そう?」

穂乃果(どっちにしろ、さっきの凛ちゃんは、いつもの凛ちゃんで、大人になってなかったし)

穂乃果「そっかあ。じゃあ、凛ちゃんの“夢”ってなんだろう・・・?」

花陽「私いつも凛ちゃんの傍にいるけど、言われてみると、凛ちゃんの“夢”知らないなあ・・・」

穂乃果(やっぱり凛ちゃんには“夢”が無いのかなあ)

穂乃果(どうしよ。このまま起きたんじゃつまんないなあ。う~む・・・)


穂乃果「そうだっ」

花陽「?」

穂乃果「私、ちょっと凛ちゃんの跡つけてみるね」

花陽「えっ、どうして?」

穂乃果「ふふふ。ちょっとねー」

花陽「??」

穂乃果(しばらく凛ちゃんの夢の中で凛ちゃんを見ていたら、その間に、アルパカさんに乗った花陽ちゃんみたいに、夢の中で“夢”ができるかも知れないもんね)

花陽「あの、私も付いて行っていい? 凛ちゃんまっすぐ帰るかちょっと怪しいから・・・」

穂乃果「いいよー。一緒に凛ちゃんを尾行しよう!」

花陽「うん! 探偵みたい」




---------------

凛「くるっと♪ くるっと♪ くるっと♪」テクテク タオルクルクル

凛「回ろう~♪」テクテク タオルクルクル


 ...∞ ヒラヒラ


凛「にゃ! あれはアサギマダラだ!!」タタッ

凛「まってにゃー!」



凛後方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

穂乃果「わわっ? 凛ちゃん急に走り出したよ?」

花陽「え? え? ちょっと凛ちゃんどこに行くの~?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




---------------

凛「む~・・・見失ったにゃ~・・・・」

凛「おっと、今の内にメモしておこっと」

凛「“珍しい渡り蝶のアサギマダラを見つけたにゃ! でも逃げられちゃった~・・・” これでよしっ!」メモメモ



凛後方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

穂乃果「ふぅ・・・・。やっと追いついた・・・。あれ、凛ちゃん、何か書いてる」

花陽「はぁ・・・ひぃ・・・」ヨタヨタ

穂乃果「あっ、花陽ちゃん大丈夫? 凛ちゃん足速くて追いかけるの大変だよねえ・・・」

花陽「う、うん・・・」ゼェハァ

穂乃果「花陽ちゃんの言った通りだよ。凛ちゃん真っ直ぐ家に帰らない・・・。注意する?」

花陽「そう・・・だね・・・」ゼェゼェ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



ニャー


凛「あっ! あの猫ちゃんかわいい!! まってにゃー!!」ダダッ


ニャ?!
 
タタッ

凛「にゃ! にゃ! にゃ!」ダンッ, タッ, ピョン





凛後方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

花陽「りんちゃ?!」

穂乃果「ほぇぇ・・・・。凛ちゃん。塀に上って壁の向こうに逃げた猫ちゃんを追っかけていっちゃった。あの身のこなし。すごいなあ。凛ちゃんが猫ちゃんみたい・・・」

花陽「りんちゃーん・・・・。待ってよー・・・。おぇ」グッタリ

穂乃果「大丈夫花陽ちゃん? 歩いて回り道しよっか」

花陽「・・・・うんっ」ヨロヨロ

穂乃果「ゆっくりでいいから、行こう」

花陽「ごめんなさい・・・」

穂乃果「謝ることは無いよ。真っ直ぐ帰らない凛ちゃんが悪いんだから」

花陽「ううん。あれでいいの。凛ちゃんはいつも元気であちこち跳ね回っているのが、一番凛ちゃんらしいから」

穂乃果「そりゃあ、元気があるのはいいことだけど・・・」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




---------------



   ニー
 ニュー   フニョー
  にゃー♪
 ニィニィ  ナォー
    ンォー




花陽「あっちから猫ちゃんの声がたくさん聞こえるよ」

穂乃果「行こうっ!」タタッ




凛「あははっ♪ くすぐったいにゃー♪」




穂乃果「やっと見つけたー。あの木の近くで、凛ちゃん、猫ちゃん達に囲まれて遊んでる」

花陽「あっ、あの椿の木は・・・・・」

穂乃果「いち、に、さん、し、ご、ろく! 六匹の猫ちゃんに囲まれてるよ。凛ちゃんモテモテだねー」

花陽「凛ちゃん・・・・」


穂乃果「うらやましい! 穂乃果も混ぜてもらおう!」

花陽「あっ! 待って!」

穂乃果「えっ?」

花陽「・・・・・あの猫ちゃん達と凛ちゃんだけで・・・たくさん遊ばせてあげて」

穂乃果「うん? 分かった」



スリスリ

凛「にゃっ。このー、お返しだー。こちょこちょ」ナデナデ

ゴロゴロー

凛「気持ちいのー? もっと触ってあげるっ」ナデ゙ナデ



穂乃果「あれっ? そういえば凛ちゃん、猫アレルギーじゃなかったっけ?」

花陽「うん。凛ちゃんは猫アレルギーだよ」

穂乃果「そうだよね・・・・。凛ちゃん大丈夫かな・・・」オロオロ

花陽「大丈夫だよ。あの子達なら、アレルギーにならないと思う」

穂乃果「えっ? どうして?」



花陽「・・・・・・・・」


花陽「・・・・・・・・」


穂乃果「花陽ちゃん?」

花陽「・・・・それはね」

花陽「・・・・・まず、さっきから凛ちゃんの指をチロチロ舐めてる2匹の小さい猫ちゃんを見て」

穂乃果「あの白い猫ちゃんと、ぶち模様の猫ちゃん? 小さくて可愛いね」


花陽「あの二匹はモモちゃんとナナちゃん」

穂乃果「可愛い名前だね。花陽ちゃんと凛ちゃんが付けたの?」

花陽「うん。それから、あれを見て。椿の木の根本」

穂乃果「んー? 木の板が二枚並んで立ててあるね。あれは?」

花陽「あれはね・・・・・。お墓なの」

穂乃果「お墓・・・・?」

花陽「そう・・・・。モモちゃんとナナちゃんのお墓・・・・」

穂乃果「えっ・・・・?」

花陽「・・・・あの猫ちゃん達の中で一番大きい白い猫ちゃんがチロちゃんという名前。他の5匹は、モモちゃんとナナちゃんを含めて、みんなチロちゃんの子供」

穂乃果「親子・・・・・?」

花陽「うん。・・・・チロちゃんの子供達は、私と凛ちゃんが小学生の頃、冬で雪が降っているとても寒い日に、花陽の家の物置小屋で産まれたの」

花陽「その日は本当に寒くて・・・・。このまま日も照らない寒い寒い物置小屋にいたら死んじゃうから、凛ちゃんが助けたの。温かい家に入れて、ホットミルクを飲ませたりしてお世話をしたんだけど・・・・」

穂乃果「・・・・・・・」

花陽「まだ目も開いてない程小さかったモモちゃんとナナちゃんは助からなくて・・・・・」

穂乃果「・・・・・・・」

花陽「凛ちゃんと私はすごく悲しくて悲しくて、たくさん泣いて・・・。そしてあの椿の木の根本に埋めて、お墓を作ったの」

穂乃果「・・・・・・・そう・・・だったんだ」

花陽「他の3匹は助かって、凛ちゃんが『この子たちのママになる!』と言ってくれたんだけど、その後で凛ちゃんが猫アレルギーだって分かって・・・・」

花陽「それで花陽の家で飼おうと思ったけど、既に文鳥を飼ってたから、ダメで・・・」

花陽「結局、ここから遠い郊外に住んでる花陽の親戚の人にもらわれたの」

穂乃果「・・・・・・・」

花陽「凛ちゃん、もらわれていった3匹の猫ちゃん達のこといつも気にしてた」

花陽「凛ちゃんは本当に猫ちゃんが好きで。だから、いつか絶対猫アレルギーを治すって言ってた。猫アレルギーを治して、猫と暮らしたいって」





ニャー

ニャァアア

凛「にゃははー♪」





穂乃果「・・・・亡くなったはずの猫ちゃんと遊んで、もわれた猫ちゃんと会って、猫アレルギーを治す・・・・それが凛ちゃんの“夢”だったのかな」

花陽「うん。そうかも・・・・だから、今だけは、凛ちゃんは思いっきりあの猫ちゃん達と遊んでほしい」

穂乃果「そうだね。凛ちゃん、とても楽しそう。邪魔しないようにしないと」









ゴロゴロー♪

凛「にゃーん♪」





花陽「ふふっ」

穂乃果「花陽ちゃん?」

花陽「えっとね。違くて、もしかしたら、凛ちゃんの“夢”は猫ちゃん達と遊ぶことじゃなくて、猫そのものになることかなあ。・・・・なんてっ ちょっと思っちゃった」

穂乃果「あははっ。確かに、今の凛ちゃん、本当の猫みたいだもんね」

花陽「そうだよねっ」

穂乃果「でも、凛ちゃんらしいなあ」

花陽「もし凛ちゃんが本当に猫ちゃんになったら、家猫としてうちで一緒に暮らしたいな♪」

花陽「家猫☆凛ちゃん!」





凛「にゃー♪」尻尾ニョキ





穂乃果「ん? んんっ?!」





凛「にゃ♪」ネコミミニョキニョキ






穂乃果「え? え!? 凛ちゃんにネコミミと尻尾が生えてきたぁあ!?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・



穂乃果「・・・・わっ?!」ガバッ

凛「すー・・・にゃー・・・」zzz


穂乃果「あ、凛ちゃん、尻尾とネコミミ生えてない・・・」

穂乃果「当たり前か・・・」

穂乃果「だけど、最後の方、確かに尻尾とネコミミが生えていたような・・・?」

穂乃果「凛ちゃん、もしかしたら、将来本当に猫になっちゃうってこと・・・?」

穂乃果「花陽ちゃんの夢を見ていたときも、花陽ちゃんは途中から姿が変わっていったけど・・・・」




穂乃果「いや、そんなまさか・・・」


穂乃果「・・・・・・・・・」




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

アルパカ「彼女は忘れかけていた“夢”を思い出したのでしょう」

アルパカ「彼女の“夢”が蘇り、そして発生確率の高い未来が生まれました」

アルパカ「そして、穂乃果さんが見ている今の景色は、夢の赤い糸の機能により、彼女の夢から“夢”・・・つまり、未来に変わったのです」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



穂乃果「・・・・・・・・・・」

穂乃果「・・・・・まさかね」

穂乃果「凛ちゃんが見ていたのはただの夢だよね・・・」

凛「んにゃ・・・」zzz



穂乃果「つ、つぎっ!」

穂乃果「よしっ、次に行こう。絵里ちゃんにしよっと」キュ

穂乃果「絵里ちゃん、しつれいしまーす」モゾモゾ


絵里「すー・・・」zzz


・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・

穂乃果「よしっ。絵里ちゃんの中に入った」

穂乃果「ここは・・・?」キョロキョロ


ンモー

メェー

ブヒブヒ


穂乃果「動物がいる。牧場なのかな」

穂乃果「あっ、思い出した。確か、ここはオトノキの新聞部の企画でBiBiが来たところだったっけ」

穂乃果「緑が多くてのどかな所。んー」ノビー



ブモォォォオオオ

ウンメェェエエエ

ブヒィィイイイン



穂乃果「元気いっぱいだねえ」

穂乃果「お世話している人がいいのかな?」

穂乃果「牧場で働いてる皆さん。お疲れ様です」ペコリ



穂乃果「さて、絵里ちゃんは、この牧場のどこかにいるのかな」キョロキョロ

穂乃果「あっ、あそこになんかおしゃれな建物がある。行ってみよう。」トコトコ


---------------



穂乃果「ここは・・・・喫茶店?」

穂乃果「お店の名前は」


“ ~Cafe~  Old Cherry Tree ”


穂乃果「古い? 木?」

穂乃果「なんにしても、ここ、喫茶店だよね。入ってみよう」


ガチャ

チリン チリン


絵里「いらっしゃいませ」

穂乃果「えっ・・・わわっ!?///」ドキッ

絵里「あら、穂乃果じゃない。久しぶりね」

穂乃果「う、う、う、う、う、ううう・・・・!」

絵里「う?」



穂乃果「うううぅぅぅぅえりちゃぁぁぁぁああん!?//」

絵里「はーい。絵里よ」ニコッ

穂乃果「わわっ///」ドキンッ

絵里「クスクス。どうしたの? おかしな穂乃果ね」ニコッ

穂乃果「っ/// 」ドキドキ

穂乃果「・・・・あ、あのね!」

絵里「んっ?」ニコリ

穂乃果「!!/// 絵里ちゃん! え、えっとね/// ・・・すっごい美人になったね!! パリコレのモデルさんかと思ちゃったよ~」

絵里「あら? もしかして、私口説かれてるのかしら?」クスッ

穂乃果「へっ!?/// えっと、そんなつもりは・・・///」ドキドキ



希「おー? それは聞き捨てならんなあ」



穂乃果「あっ! 希ちゃんも!」

希「ふふ。いらっしゃい穂乃果ちゃん。ゆっくりしていき」

穂乃果「うん! ありがとう」


穂乃果「いやー。それにしてもシックでオシャレなお店だね~」キョロキョロ

絵里「ありがとう」

絵里「内装は赤茶色を基調にして、なるべく自然の光を取り入れるようにしているの」

穂乃果「へえ」キョロキョロ

穂乃果「わあ、あの飾ってある食器、綺麗だねー。他にも色々見慣れない小物があって、なんだか新鮮!」


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撮影:北海道庁旧本庁舎


絵里「ロシアのあばあ様から頂いたロシアの民芸品なの。だけど、一番見てもらいたいのはキルトのアクセサリや小物かしら」

穂乃果「キルトの小物?」

絵里「例えば、あの壁に掛けてある花とか、テーブルの上に置いてあるコースターとか。私が手編みで作ったのよ」

穂乃果「ええっ!? 絵里ちゃんの手作り! すごーい!」

絵里「その日の天気や気分で色々変えたりもするの」

穂乃果「へえ! 色とりどりで華やかでいいねえ!」

絵里「ふふっ、ありがとう」


穂乃果「ねえねえ、ここって希ちゃんと二人でお店やってるの?」

絵里「ええ、そうよ」

穂乃果「大変じゃない? こんなに素敵な場所だったら、たくさん人が来そうだし。うちでも、雪穂とお母さんと三人で店番やってても手が足りない時があるんだよ。古いばっかりで華やかさの欠片もない上に、和菓子しか扱ってない店なのに」

絵里「随分と穂むらに対してネガティブなのね・・・。私はそういう風には思えないわよ。穂むらには歴史、味、信頼があるじゃない」

穂乃果「そうかなー?」

絵里「それと、素敵な看板娘もいるしね☆」ウィンク

穂乃果「看板娘? ・・・・・あっ///」

絵里「ふふっ、そんな穂むらに比べたら私のこの店なんて、足元にも及ばないわ。だから、希と二人だけで大丈夫よ。大丈夫どころか、むしろ、のんびりしてることが多いわね。いつも希がおいしい物を作ってくれるから、それを頂きながら優雅に毎日を過ごしてるわ。ふふっ」

穂乃果「ええっ。いいなー」

絵里「いいでしょー」


希「こらー、絵里ちー。よくないやろ-。ちゃんと働きー」


絵里「あら、怒られちゃった。はい、これがメニューね」

穂乃果「あはは。ありがとう」

絵里「牧場から分けてもらった取れたての牛乳を使ったメニューもあるの。よかったらどうぞ」

穂乃果「本当!? おいしそう!」ペラッ


穂乃果「ええと、なになに。紅茶、ほうじ茶、カモミールティ、・・・和風なのか、洋風なのか・・・なんか統一性が無いような・・・」

穂乃果「んっ? ほうじ茶が有料なの? うちは和菓子を店内で召し上がるお客さんには無料でお出ししてるけど」

絵里「あ、あら、そうなの・・・? ちょっと考えなすわね」アセアセ


穂乃果「それから、グランマの故郷のペリメニ、ごろごろ野菜のボルシチ、おうどんさん・・・んんっ? これじゃ喫茶店じゃなくて定食屋さんみたい・・・」

穂乃果「他には、“希手作りチョコタルト?!” わお! おいしそう!」

穂乃果「あっ。“取れたて牛乳から作ったクレープ”・・・・?!!!」

穂乃果「これ! 絵里ちゃん! これ! これ食べたい! 絶対おいしいでしょ!! お願い! ください!」

絵里「あらあら、穂乃果ったら。クスクス」

希「ふふふ。そう言うと思って準備してあるで。ほい、召し上がれ」

穂乃果「おおっ! さすが希ちゃん! いただきますっ!」

絵里「はい、召し上がれ」

穂乃果「あ~~・・・・んっ」パクッ

穂乃果「んー! おいしー―――・・・・・」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・




穂乃果「―――い・・・・・い?」パチッ

穂乃果「・・・・・・・・え。起きちゃっ・・・・た?」ムクッ

穂乃果「・・・・・・・・・・」


絵里「すー、すー・・・・」zzz


穂乃果「そ、そんなー・・・・」ガビ-ン

穂乃果「それはないよー・・・ぅえりちゃーん・・・」グスン

穂乃果「ううっ・・・、食べたかった・・・・」


絵里「すー、すー・・・・」zzz


穂乃果「・・・・・・・でも」

穂乃果「まあ、いっか」

穂乃果「だって、あれは絵里ちゃんの未来なんだから、いずれ、現実でも食べられるってことだよね」

穂乃果「むふふ。だから、絵里ちゃん。穂乃果、楽しみに待ってるからね! そのときは! 今度こそ! 絶対に食べさせてよね!」


絵里「すー、すー・・・・・んんー・・・すー・・・」zzz


穂乃果「さって、どんどん、いくよ。次は希ちゃん」キュ

希「すー、すぴー、りー・・・・」zzz

穂乃果「おやすみ~」



・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・


穂乃果「ほっ、と」

穂乃果「希ちゃんの中に入ったね」

穂乃果「ここはどこかなー」キョロキョロ


ザザ-ン......


穂乃果「どこかの住宅街かな・・・・?」


ザザ-ン.......


穂乃果「昼間だけど、周りは家に囲まれてるから薄暗いし、道路も狭いから、なんだか窮屈な場所・・・」

穂乃果「あっ、あそこに交差点がある。名前がある。なになに、」

穂乃果「・・・”星の井通り”って言うんだ。きれいな名前」


ザザ-ン.......


穂乃果「んっ? 波の音・・・?」

穂乃果「あっ! 向こうの方は明るい! それに・・・・何かがキラキラ光ってる。行ってみよう」トコトコ


ザザーン......


穂乃果「わぁ・・・・・・」パァ



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穂乃果「あったかい太陽に照らされて、青い海がキラキラ光ってる。昼間なのに星を見ているみたい。きれい・・・・」

穂乃果「まるで、穂乃果と海未ちゃんみたい・・・」

穂乃果「へっ?!/// やだ、歌詞担当でもないのに、私、なに言ってるんだろう・・・・////」

穂乃果「あっ! 海未ちゃんで思い出した。ここ、鎌倉の海岸だ。オトノキの校内新聞に載った場所だっけ。それに、うた∽かたとか、青い花とか、ハナヤマタとか、TARI TARIの舞台なんだよねえ」

穂乃果「東京駅から横須賀線一本でここに来られるんだよね。東京から一番近い天然の砂浜! サーファーの聖地! こんなにいい場所なのに、来やすくていいよねー」


ザザーン......


穂乃果「広い青空、爽やかな潮風の香り、穏やかな湘南の海・・・」

穂乃果「素敵な場所だなー」

穂乃果「んー・・・・」ノビ-

穂乃果「すー・・・・、はー・・・・」

穂乃果「ふぅ・・・。落ち着く」


穂乃果「少し歩いてみよう」タッ


穂乃果「ん~・・・」トコトコ

穂乃果「清々しくてきもちーなー・・・」

穂乃果「砂浜もきれい。桜貝探したりしたいなー。それから走ったり、泳いだりもしたい」

穂乃果「湘南の砂浜を走るのって、すごく青春って感じ!」


穂乃果「どこか喫茶店にでも入ってゆっくり満喫したいなあ」


穂乃果「おっ・・・・?」キョトン

穂乃果「あれなんだろう・・・?」

穂乃果「真っ黒い大段幕みたいなのに覆われた建物・・・。あっ、看板が立て掛けてある。なになに?」


“ ~喫茶~ SPIRITUAL ”


穂乃果「・・・・・」

穂乃果「希ちゃんがすごく好きそうな雰囲気・・・」

穂乃果「あっ! 忘れてた、私、未来の希ちゃんを見に来たんだ」

穂乃果「この中に入れば何か分かるかな。入ってみよう」


ガチャ

チリンチリン


穂乃果「おじゃましま~す・・・」オソルオソル

穂乃果「うっ、薄暗くて不気味・・・・」

穂乃果「ここ、本当に喫茶店なのかな・・・? 勝手に入って大丈夫だったかな・・・?」ビクビク




「いらっしゃい・・・・」




穂乃果「ひっ?!」ビクッ

黒ずくめの衣装を身に纏いフードを目深に被った謎の女性 「・・・・・・」水晶玉スリスリ



穂乃果「えっと・・・・?」

謎の女性 「・・・・・・」水晶玉スリスリ

穂乃果「・・・・?」オロオロ ビクビク


絵里「いらっしゃいませ。どうぞお掛けください」キリッ


穂乃果「あっ! ぅ絵里ちゃん!」

穂乃果「んんっ? 絵里ちゃん、なんでタイトスーツ着てるの?」

絵里「・・・・」ニコリ

謎の女性 「ふふふ・・・・賢そうやろ?」ニヤリ

穂乃果「う、うん。かっこいいけど・・・」

絵里「お冷やです。ごゆっくりどうぞ」キリッ コトッ

穂乃果「えっ。お冷やだけでゆっくりしていいの?」

絵里「あっ///・・・・こ、こちらがメニューになります。お決まりになりましたらお呼びください」ペコリ ササッ

謎の女性「ふふふ・・・・ぽんこつやろ」水晶玉スリスリ

穂乃果「うん」ペラ


穂乃果「開運カモミールティー、招福ハーブティー、商売繁盛ローズヒップティー、良縁爆発レモングラスティー。おおっ、接頭語を指で隠せば、絵里ちゃんのお店よりまともそうなメニューだ」

穂乃果「う~ん。どれにしようなー・・・」チラッ

謎の女性 「・・・・・・」水晶玉スリスリ

穂乃果「・・・・・」ソワソワ チラッ


謎の女性 「・・・・・・」水晶玉スリスリ

穂乃果「・・・・・」ソワソワ チラッ


穂乃果「あの・・・・」

謎の女性 「・・・・なんや?」水晶玉スリスリ

穂乃果「の、のぞみ・・・ちゃん? だよね?」

謎の女性 「・・・・・」水晶玉スリスリ

穂乃果「よかったら、そのフード取ってくれない? 今のままだと口元しか見えないんだもん。未来の希ちゃんがどんな大人になってるか見たいんだけど・・・」

謎の女性 「ふふふ・・・・・」水晶玉スリスリ

穂乃果「あ、あの、えっと・・・」オロオロ

謎の女性「・・・・・・・・」水晶玉スリスリ


穂乃果「えっと・・・・」ソワソワ

穂乃果「・・・の、のぞみちゃんはどうしてここに喫茶店を開こうと思ったの?」アセアセ


謎の女性「それはな・・・」水晶玉スリスリ

穂乃果「う、うん」



謎の女性「鎌倉はな・・・」水晶玉スリスリ

穂乃果「うん・・・」ゴクリ



謎の女性「スピリチュアルやからなんよ」水晶玉スリスリ

穂乃果「う、うん・・・?」



謎の女性「 ―――古寺のくち木の梅も春雨にそぼちて花もほころびにけり」


穂乃果「?????」キョトン


謎の女性「・・・・・・・・」


謎の女性「オススメのメニュー教えたろか」水晶玉スリスル

穂乃果「えっ? あ、う、うん」


謎の女性「ズバリ、のんちゃんスピリチュアルブレンドティーやで」

穂乃果「ほー。どんなお茶なの?」

謎の女性「まずはルイボスを丸一日かけて淹れるんや。その一日の間は、2~3時間毎に沸騰させる。そして最後の沸騰後、火を止めて、仕上げにレモングラスを加えて、5分蒸らす」

穂乃果「おおっ、なんか手間かかってる」

謎の女性「そうやで。舌触りが良くて、ルイボスの香ばしい匂いとレモングラスの甘酸っぱい匂いがお互いを殺さず、同時に楽しめて、なおかつ、ミネラルを豊富に含んでいながら、砂糖やカフェインは入っていない・・・スピリチュアル健康茶なんよ!」

穂乃果「へえ! すごそう! それじゃそれでお願いします」

絵里「かしこまりました。少々お待ちくださいませ」ペコリ ササッ


謎の女性「今のうちに運勢を占ってあげる」水晶玉スリスリ

穂乃果「本当? お願いっ!」ワクワク

謎の女性「ほな・・・」ゴトッ シャッシャッシャッ

穂乃果「えっ、タロットカード? さっきまで意味ありげに触ってた水晶玉は脇に置いちゃったけど、そっち使わないの?」


ピラッ


謎の女性「あーなるほどなー」

穂乃果「ど、どう? 穂乃果の運勢は」

謎の女性「遠くない未来に、穂乃果ちゃんに辛いことがありそうやね」

穂乃果「えっ?! 辛いこと・・・・?」

謎の女性「いや・・・待ち。正確には穂乃果ちゃんの身近な人に辛いことが起こる」

穂乃果「み、身近なひと? 誰だろう・・・? 家族かな? それとも友達?」

謎の女性「むっ、これは・・・」

穂乃果「ど、どうしたの?」

謎の女性「違う・・・。その人は・・・もう既に辛く、苦しんでいる・・・」

穂乃果「えっ・・・・」

謎の女性「一人でもがき苦しみ続けている。一見は何にもないように見えるかもしれへんけど、その実は、迫り来る恐怖に怯え、苦しみ続けている。けれども、何とかする手段がなく、どうすることもできずにいる・・・」

穂乃果「や、やだ・・・怖い・・・・」

謎の女性「・・・恐怖に抗うこと半ば諦めていて、苦しみ続けることを受け入れようとしている・・・・」

穂乃果「そ、そうなの?! だれなのっ?! 早く助けないと・・・!!」アセアセ

謎の女性「まあ、落ち着き」


穂乃果「うう・・・・」

謎の女性「その人は・・・・。ほぅ・・・相当深い闇を抱えておるなぁ・・・」

謎の女性「これじゃあ、助けようとしても、穂乃果ちゃんじゃ力不足やな」


穂乃果「えっ・・・・・」

穂乃果「そん・・・・な・・・・」

謎の女性「・・・・・・」

穂乃果「ううっ・・・・」

穂乃果「ねえ、希ちゃん・・・・。穂乃果はその人をなんとかして助けたい・・・! どうしたらいい?! 教えて! お願いっ!!」グイッ

謎の女性「・・・・・・・」

穂乃果「希ちゃん・・・・。お願い・・・」



謎の女性「・・・・・・・」

謎の女性「・・・・・・・」

謎の女性「・・・・穂乃果ちゃんが何かをせんでも」

謎の女性「・・・・・良かれ悪かれ、いずれは時間が解決する」

穂乃果「それは・・・・・。そうかもだけど・・・・」

謎の女性「やったら、穂乃果ちゃんは、何も関わらん方がええんやない?」

穂乃果「えっ?」

謎の女性「穂乃果ちゃんの近くに、辛くて苦しんでいる人がいたとしても、放っておくんや。穂乃果ちゃんじゃどっち道力不足なんやから」

謎の女性「二人が苦しむより、一人が苦しんでいた方が、全体的にはマイナスが少ないやろ」

穂乃果「・・・・・・・」

穂乃果「そう・・・なのかな・・・・」ウツムキ

穂乃果「・・・・・・・」

謎の女性「・・・・・・・」


シ-ン.....


謎の女性「・・・・・占いはこんなもんやな」

穂乃果「・・・・・・・」


穂乃果「・・・・・・・」


穂乃果「・・・・・・・!!」 フルフル.....!




絵里「お待たせしました。のんちゃんスピリチュアルぶれんd




穂乃果「やっぱりダメぇええ!」ダンッ

絵里「チカっ?!」ビクッ

穂乃果「ダメったらダメ!」

謎の女性「・・・・・・」


穂乃果「穂乃果じゃ力にならなくても・・・・」

穂乃果「それでも・・・・!!! 家族や友達だったら放っておくなんてできないよ!!!」

穂乃果「だって・・・。少し前に・・・・私、自分の事ばっかりで周りが見えていなくて・・・。それで悩んで、苦しんで、辛い思いをしていることりちゃんの事を気が付いてあげられなかった・・・・。早くに助けらなかった・・・・!」

謎の女性「・・・・・・」

穂乃果「もう二度と同じことは起こさせない!」


穂乃果「私は・・・・穂乃果はっ! 力不足で助けにならなくてもっ! 大切な人とは一緒に苦しむ! 一緒に悩む! そして、少しでも楽しいこと見つけて、一緒に楽しむ! そうやって少しでも苦しみを和らげる!」

謎の女性「・・・・・・」

穂乃果「だから・・・・・。だから・・・! お願い希ちゃん! その人が誰か教えて!!」

謎の女性「・・・・・・」


穂乃果「はっ、ふぅ」ゼェハァ

謎の女性「・・・・・・」

謎の女性「苦しむんは結構やけど・・・。それはうぬぼれやないかな」

穂乃果「うぬぼれ・・・?」

謎の女性「そうやって、何でもかんでも背負おうとする。やればなんでもできると思ってる。自分の力を過信している」

穂乃果「そ、そんなつもりは・・・」

謎の女性「確かに穂乃果ちゃんは大きな力を持っている」

謎の女性「いつも明るく元気なんが穂乃果ちゃんのええところや。ウチはそんな穂乃果ちゃんが好きやし、きっとみんなそうや」

穂乃果「えっ、そ、そうかな・・・・?」テレッ

謎の女性「それに、想いを同じにする子達を強引にでもかき集めて、そして、みんなを引っ張っていくカリスマ性がある」

穂乃果「か、かりすま・・・えへへ///」テレテレ

謎の女性「バカでドジで間抜けだから、いつも思いつきで行動して、それでみんなを振り回す。いつも後先を考えず突っ走っては誰かに迷惑をかける」

穂乃果「えへへ/// バカで/// ドz/・・・えっ、ド、えっ。ま、まぬ・・・・」

謎の女性「穂乃果ちゃんは爆弾みたいに危なくって、関わると、思っても無いことまでさせられちゃう」

穂乃果「・・・・・・・う、うん」

謎の女性「いっつも海未ちゃんや雪穂ちゃんに、おーんなじことで怒られとるおバカさん」

穂乃果「はい、そうです・・・・・・」シュン


謎の女性「だけどな、そんな大きな力を持ってるんは穂乃果ちゃんだけじゃないんよ」

穂乃果「えっ・・・?」

謎の女性「穂乃果ちゃんがみんなを結びつけるよりずっと前から・・・ずっと、ずっと、長い間強い想いを胸に秘めて・・・暑い夏も、寒い冬も、仲間を全て失っても、ずっと耐え続けて・・・・。そして、その想いが、才能として、この世の誰より大きく、美しく、力強く、花開こうとしている子がおる」

穂乃果「そんなすごい子が・・・?」

謎の女性「人と人を繋ぐ穂乃果ちゃんの力とは少し種類が違うけど、それでもとてつもなく大きな力や」

謎の女性「・・・・そんな風に。穂乃果ちゃんの周りには、穂乃果ちゃんが繋げてくれた力で大きく成長できた子がたくさんおる。そういった子らは、穂乃果ちゃんの仲間や。・・・やから、仲間たちは穂乃果ちゃんと同じ気持ちだと言うことを自覚せな」

穂乃果「えと、えっと? ごめん・・・なんかよく分からなくなってきちゃった・・・。確かにμ’sのみんなはすごいけど・・・。具体的に、穂乃果はどうすれば・・・? 何もせず誰かに頼るって事・・・?」



謎の女性「・・・・・」

謎の女性「穂乃果ちゃんは、近い未来に出会うであろう、辛くて苦しんでいる子の存在に気がついたら・・・・。穂乃果ちゃんは優しいから、放っておけず、助けようとする。でも、力不足でなんにもできへん」


穂乃果「う、うん・・・・・」

謎の女性「どうしたら、助けられるだろうって、 最初のうちは色々考えちゃって、考え過ぎて、それでも答えは出なくて、なんにもできへんやろうな。悩んじゃうやろうな」

穂乃果「・・・・・」


謎の女性「でもな、」


謎の女性「そんなの、穂乃果ちゃんらしくないやん」


謎の女性「さっき言った通り―――」


謎の女性「穂乃果ちゃんはバカなんや。考えたところで、答えなんか出えへん。だから、いつも通り、後先考えないで、やりたいと思ったことで突っ走ったらええ」

穂乃果「・・・・・・・・・ううん」フルフル

穂乃果「それは、違うよ・・・・」

穂乃果「確かに今までの穂乃果はそうだった・・・・。そのせいでことりちゃんは・・・」

謎の女性「ことりちゃんがどうなった?」

穂乃果「だから、ことりちゃんは、留学するかどうかでずっと悩まされてて・・・・」

謎の女性「それから?」

穂乃果「えっ?」

謎の女性「悩んでいたことりちゃんは、その後どうなった?」

穂乃果「・・・・? 私に相談できなかったことりちゃんは留学を決めて、海外に・・・」

謎の女性「行ってないやん」

穂乃果「そ、それは・・・・海未ちゃんにわがままを通せって言われて、穂乃果が、空港まで追いかけて、強引にことりちゃんを引き留めて―――」

謎の女性「ほら、おったやん」

穂乃果「えっ?」

謎の女性「頼れる仲間が」

穂乃果「あっ・・・・・」

謎の女性「海未ちゃんは、穂乃果ちゃんと同じ気持ちだったから、穂乃果ちゃんの背中を押したんとちゃう?」

穂乃果「う、うん。そう、だと思う」

謎の女性「色々あったかもしれへんけど、その結果、今のことりちゃんは、悩んでいるのを乗り越えたやろ? μ’sの活動を毎日楽しそうにしているんとちゃう?」

穂乃果「・・・・・・うん」

謎の女性「今のことりちゃんは、いっぱい、いっぱい笑ってるんとちゃう?」

穂乃果「・・・・・・・・・うん。うん!」


謎の女性「確かに、穂乃果ちゃんは、後先考えず突っ走って、正しい道から足を踏み外すこともあるかも知れへん。そのせいで、ことりちゃんが遠くの存在になりかけて、海未ちゃんにぶん殴られて・・・そんなことがあった穂乃果ちゃんやから、今は何をするにも、慎重になりたくなる気持ちは、よぉ分かる」

謎の女性「でも、穂乃果ちゃんの周りには、穂乃果ちゃんに正しい道を指し示す人がおる。それでも道を踏み外した時は、正してくれる仲間が絶対におるんや。海未ちゃんみたいにな」


謎の女性「穂乃果ちゃんは、そんな周りの人の事をもっと信頼せな。・・・・・それがちゃんとできたのなら・・・それが・・・・」


穂乃果「それが・・・・?」


謎の女性「それが、穂乃果ちゃんにとっての最高や」


穂乃果「・・・・・!」



謎の女性「そんな最高の穂乃果ちゃんが行き着いた先が、最善の答えや」



謎の女性「やから。穂乃果ちゃんは、いつでも、やりたいことやって、突っ走って、みんなを引っ張りまわすんが、正解なんよ」ニコッ


穂乃果「・・・・・・」

穂乃果「―――誰かが立ち止れば、誰かが引っ張る。誰かが疲れたら、誰かが背中を押す・・・・」


謎の女性「ええ事言うやん」


穂乃果「・・・・・・そっか」



穂乃果「いつでも、無理に悩まないで、穂乃果は、穂乃果らしくいればいいってことなのかな・・・」

謎の女性「せや」

穂乃果「・・・・・・うん」

穂乃果「うん! わかったよ希ちゃん!」

穂乃果「だって、穂乃果はそれしかできないもん! 穂乃果はバカだもん!」

謎の女性「せやね」

穂乃果「穂乃果は、テストの点数だって、海未ちゃんとことりちゃんに一杯勉強を教えてもらって、やっとギリギリ赤点取らないくらいのバカだもん!」

謎の女性「せやね」

穂乃果「穂乃果は自転車に乗ってる時に、離れたところに居た海未ちゃんに手を振ったら、転んで畑に落ちて骨折しちゃうドジだもん!」

謎の女性「せ、せやの・・・?」

穂乃果「穂乃果はトークイベントがあるのに風邪引いちゃって、ミッフィーマスクを付けさせられちゃって、ゲストのはずの花陽ちゃんに司会と告知の全部をやってもらっちゃう間抜けだもん!」

謎の女性「せ、せなんや・・・・・・難儀やったな・・・」


穂乃果「ありがとう希ちゃん!」

謎の女性「きばりや」水晶玉スリスリスリ

穂乃果「それにしても希ちゃんすごいや! 占いしてる時の希ちゃんかっこいい!」
 
謎の女性「まあ、占いなんてそれっぽい雰囲気出して、当たり障りの無いことを言っとけば、大体なんとかなるもんやけどね」水晶玉スリスリスリ

穂乃果「ええっ・・・・。そんな身も蓋もないこと言わないでよ・・・・。穂乃果の決意を返して・・・・」



謎の女性「さあ、そろそろお別れの時間や」

穂乃果「そうなの? ・・・・なんだか不思議な時間だったよ」

謎の女性「ふふふふふ・・・・。スピリチュアルやね」

穂乃果「何年先になるか分からないけど、また来るからね! その時に、もう一度穂乃果のこと、インチキでもなんでもいいから、占ってね!」

謎の女性「ふふふ。まかしとき。待っとるで」



謎の女性「おっ、そうや。最後に餞別や。受け取っとき」


穂乃果「え、なになに?」ワクワク

謎の女性「まずは立ち上がって」

穂乃果「うん」スクッ

謎の女性「背中をこっちに向けて」

穂乃果「こう?」クルッ

謎の女性「ほな、いくでぇ・・・・!」

穂乃果「えっ、ああっ・・・・! こ、これはまさか?!」

謎の女性「スピリチュアル! パワー! たーっぷり ちゅーにゅー!!」ガシッ

穂乃果「はひぃぃっ!?」

謎の女性「はーい! ぷしぁわしわしわしわしわし!」ワシワシワシワシワイ

穂乃果「んぎゃー?!////」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・


ワシワシワシワシワシ


穂乃果「あっ/// んん//// ・・・・・はっ?!」ガバッ

希「すー、すぴー・・・・」ワシワシワシワシワzzzワシワシワシzzzワシワシワシワシワシzzzz

穂乃果「ちょおお?!// 希ちゃん寝ながらなにやってるのおお?!///」グイッ

希「すぴー・・・」zzz

穂乃果「もうっ・・・///」


穂乃果「でも・・・・・。穂乃果、元気出たよ。穂乃果、自分の思う通りに頑張るからね!」

希「すぴー・・・」zzbz


穂乃果「ふふっ、みんな違った“夢”を持ってるから、見させてもらうの楽しいなあ」


穂乃果「よしっ、あと二人。次は~」

真姫「すぅ、すぅ・・・・」

穂乃果「真姫ちゃんにしよっと」

穂乃果「真姫ちゃんは医者になりたいって言う“夢”を持ってたから、きっとお医者さんになってるよね」

穂乃果「そして、きっとすっごい美人な女医さんだろうなあ! 今でもこんなにスタイルが良くて美人なんだもん」

穂乃果「未来の真姫ちゃん、楽しみっ!」


穂乃果「それじゃ早速~」キュ

真姫「すぅ・・・・んっ・・・・」

穂乃果「おやすみ~」モソッ



・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・


穂乃果「・・・・・・」ポワー

穂乃果「ふぅ」

穂乃果「真姫ちゃんの夢の中に入ったね」


穂乃果「ここは・・・」キョロキョロ

穂乃果「どこだろ? 広くて白い建物の中で、椅子がたくさんある」

穂乃果「うーん・・・?」

穂乃果「まあいいや。真姫ちゃんどこかな」キョロキョロ



ピンポーン


『高坂さーん。高坂穂乃果さーん』



穂乃果「えっ?! あっ、はい!」起立


『レントゲン室までお入りくださーい』


穂乃果「えっ? えっ? なんでですか?」

穂乃果「あっえっと・・・」オロオロ

穂乃果「と、とにかく呼ばれてるから行かないと。待たせちゃ悪いよね」



---------------
しばらくして
再び待合室


穂乃果「う~ん・・・・。なんで穂乃果はレントゲンを撮ったんだろう・・・?」キョトン



『高坂さーん。高坂穂乃果さーん』

『13番診察室までお入りくださーい』



穂乃果「あっ、また呼ばれた」

穂乃果「はーい、今行きますよー」トコトコ



---------------
13番診察室


穂乃果「しつれいしまーす・・・」オズオズ

真姫「はい、こんばんは。今日はどうされましたか」

穂乃果「あっ! 真姫ちゃんみっけ!」

真姫「え? あら、穂乃果じゃない。貴女何しに来たの? ここは病人が来る場所よ。バカの貴女が病気になる訳無いんだから」

穂乃果「ええ?! どういうことー! 穂乃果おこっちゃうよー! ぷんぷん!」

真姫「ほら、健康じゃない」

穂乃果「うん! 穂乃果は元気だよ!」


真姫「マッタクー。まあ、いいわ。レントゲン撮ったのよね。一応見てあげる」ペラッ

穂乃果「うん。どうっ? どうっ? 穂乃果、異常ない?」

真姫「ふむ・・・・。むっ!」

穂乃果「えっ!? な、なに?!」ドキッ

真姫「ふーむ・・・」

穂乃果「大丈夫だよね?!」ドキドキ

真姫「心臓が・・・・」ムムム

穂乃果「えっ? 心臓!? もしかして穂乃果の心臓が動いてないとか?!」ドキドキ

真姫「この影は・・・」

穂乃果「影!? 影って何?! もしかしてパンの食べ過ぎで、パンが心臓に引っかかってるとか?!」



真姫「穂乃果の心臓に・・・・」ゴクッ

穂乃果「穂乃果の心臓に・・・・?」ゴクッ
















真姫「・・・・・・毛が生えてる」


穂乃果「それめっちゃ強くていいやつだから!!!」






真姫「そういうことよ」

穂乃果「もー真姫ちゃん、びっくりしたじゃんー!」

真姫「どうでもいいけど、忙しいんだから冷やかしに来ないでよ」

穂乃果「えへへ。ごめんね。真姫ちゃんを一目見たくって」

真姫「ここはアイドルの握手会場じゃないのよ。・・・・ま、まあ、私の美貌を一目見たくなるその気持ちは分かるけど?」カミノケクルクル

穂乃果「あははっ。真姫ちゃんらしい」

真姫「どういう意味よ。・・・・まあいいわ。今日はもう貴女で終わりだから、この後どっか食事にでも行く?」

穂乃果「うんうん! 行こうっ! 真姫ちゃんとお話ししたい」











----------------------------------------
どっかのイタリア料理店



真姫「ここ、パスタがおいしいのよ」

穂乃果「へー!」

真姫「特にタッリアテッレを使った、トマトパスタは食べごたえがあってお勧めね」

穂乃果「ホント?! それ食べたい!」

真姫「そう。注文するわね」




穂乃果「さてさて。真姫ちゃん、最近どう? もうかりまっか? なんちゃって」

真姫「医者は儲からない方がいいのよ」カミノケクルクル

穂乃果「あはは。確かにそうだね」


真姫「まあ、そうねえ・・・・」

真姫「脳神経外科医になって問診を受け持つようになったんだけど―――」

・・・・・・・・・・・・・

真姫「関係ない症状で診察に来る人が多くて多くて・・・。『慢性的に頭が痛いんです』だの、『脳卒中かもしれなくて怖いんです』だの・・・。本当に大変な病気なら、病院まで歩いてこれないし、会話だってまともにできないってのにね」

・・・・・・・・・・・・・

真姫「だから、患者のほとんどが、脳神経外科じゃなくて、心療内科の分野なわけ。心的原因をなんとかしてくれないと、内科に何かを求められても何にもできないの」

・・・・・・・・・・・・・

真姫「まあ、万が一という事もあるから、診察に来る人を拒むつもりは無いし、MRIとMRAはやってあげるんだけど、それにしたってもっと良い仕組みづくりできないかしら。軽い気持ちで来られると医者の労力と医療財政を圧迫するんだから」

・・・・・・・・・・・・・

真姫「具体的にこういう症状だったら来てください、って広めたらどうって? それはできないわね。脳卒中のような大変な病気の具体的な症状を広めちゃったら、変に不安を煽ってしまう可能性があるもの。だから、テレビのバラエティ番組でやっているような病気に関する放送は、医者から見ると、正直言って迷惑なのよね」

・・・・・・・・・・・・・

真姫「やたらと薬をよこすよう言う人もいるんだけど。薬は用法容量を守らないと危ないのよ。よくドラマや映画なんかで、睡眠薬を多量に服用して自殺するシーンがあるけど、あれ、別に睡眠薬でなくも、風邪薬とかでも多量に服用したら死んじゃうんだから」

・・・・・・・・・・・・・




穂乃果「へ、へぇ・・・大変だねー・・・」

穂乃果(ど、どうしよ・・・。真姫ちゃんのお話難し過ぎて全然分からない・・・)

穂乃果(な、なにかないかな・・・? 話題を変えたい・・・)キョロキョロ






テレビ『にっこにっこにー!』






穂乃果「あれ?! ねえ真姫ちゃん! テレビ見て! あれにこちゃんじゃない?!」

真姫「あら、ホント。最近やっと売れ出したって言ってたから」

穂乃果「へー。テレビに映るなんてにこちゃんすごいなあ」

真姫「高校卒業してしばらくは、アキバ地下のライブ会場で細々と活動してたみたいだけど、最近はちょくちょく地上波でも写るようになってきたみたいね」

穂乃果「そっかあ。にこちゃん、アイドルに物凄く憧れて、頑張ってたもんね」

真姫「そうね。プロのアイドル・・・そんなことが本当にできるのかなって、私ちょっと疑ってたわ。プロのアイドルになることに疑いの目を向けていたのは私だけじゃなかったと思うけど、にこちゃんはそんな周りの疑いに惑わされず、ひたすらに努力を続けてきたものね。すごいわ」

穂乃果「うんうん。にこちゃん、もっと活躍できるといいね」



穂乃果「ところで真姫ちゃん」

真姫「何?」

穂乃果「真姫ちゃんには将来の“夢”ってないの?」

真姫「はあ? 何言ってるのよ貴女。私の夢は子供の頃から医者になる事よ」

真姫「そして、その夢は今叶って、実際医者として仕事してるの。貴女だってさっき見たでしょ」

穂乃果「ふーん?」

真姫「なによ」

穂乃果「それ、ウソだよね」

真姫「・・・・どういう意味?」

穂乃果「だって、今の真姫ちゃん、いつもの真姫ちゃんなんだもん」

真姫「いつもの私? ますます意味が分からないわ」

穂乃果「今のままじゃ、真姫ちゃんお医者さんになれないよ」

真姫「だから、意味が分からないんだけど。さっきまで私、診察室で医者として仕事してたでしょ。何回も言わせないで」

穂乃果「・・・いや。真姫ちゃんは頭がいいし、お医者さんになれると思う。・・・だけど、それでも真姫ちゃんはお医者さんになるべきじゃない」

真姫「穂乃果、貴女頭大丈夫? もう一度診察してあげましょうか?」

穂乃果「もしかしたらだけど、真姫ちゃんはお医者さん以外の何かになりたい そういうの あるんじゃない?」


真姫「・・・・・何が言いたいの?」


穂乃果「例えばさ、真姫ちゃんはピアノがとても上手だよね。ピアニストになりたいって思ったこともあったんじゃない?」

真姫「それはもう終わったの。やめて」

穂乃果「μ’sの活動を通じて、あのテレビに映っているにこちゃんみたいになりたいって思ったことは無い?」

真姫「やめて」

穂乃果「あのね。真姫ちゃんて、なんとなく海未ちゃんに似ているなって思うことがあるの。海未ちゃんも結構箱入り娘で、子供の頃から園田道場の跡取り以外の事を考えない人だったんだけど」

真姫「・・・・・・・・・・・・」

穂乃果「海未ちゃん、高校生になって、μ’sをやって、世界が広がったみたい。色んな自分の可能性が見えて、本当に楽しそうなの。それは真姫ちゃんも一緒だよね?」



真姫「・・・・・・・・・・・・」


穂乃果「そんな似た者同士の海未ちゃんと真姫ちゃんだけど、大きく違う点がある」


真姫「・・・・・・・・・・・・」


穂乃果「それは、世界が広がって、色んな自分の可能性を感じた海未ちゃんだけど、それでも海未ちゃんは自分の意思で園田道場の跡を継ぎたいって思ってるよ。だけど、真姫ちゃんはどう?」


真姫「・・・やめて」


穂乃果「確かに真姫ちゃんの子供の頃の“夢”はお医者さんになる事だったかも知れない。だけど、μ’sとしての今を過ごして、今でもその気持ちは一緒?」


真姫「・・・・・・・・・・・・やめてよ」


穂乃果「真姫ちゃんは美人だしスタイルだっていいし、歌も上手くてピアノも弾けて、作曲もできる。音楽の才能は本当にすごい。真姫ちゃんはそのことに自信を持ってるでしょ。それを活かしたいって思ってるでしょ」




真姫「・・・・・・・・・・・・・・ヤメテ」



穂乃果「やめないよ」

穂乃果「だって。“夢”は叶えなきゃ」

穂乃果「 だから  真姫ちゃん 」

穂乃果「本当の“夢”を思い出して」

穂乃果「花陽ちゃんは自分の“夢”を思い出して未来の姿を穂乃果に見せてくれたよ」



穂乃果「それと同じように、穂乃果に未来の真姫ちゃんを見せて」

真姫「!!!?」ドクンッ



穂乃果「大丈夫。真姫ちゃんなら、きっとできるよ」

真姫「はー・・・・ふぅー・・・・」タラタラ...




穂乃果「さあ・・・“夢”を抱きしめて」



真姫「・・・・・・・・・・・んっくっ?!」ビクン



穂乃果「そうしたら、真姫ちゃんの世界が 大きく変わるよ」



真姫「・・・・・・・・うっ、くっ」ギリッ   スー....





穂乃果「そのまま。本当の自分を取り戻して」

穂乃果「変わることを恐れないで。だって、真姫ちゃんは一人じゃないから」

穂乃果「そう、 “夢” を叶えるのはみんなの勇気」

穂乃果「一緒に頑張ろう。負けない心で明日へ駈けよう」ニコッ





真姫「・・・・・・・・・・・くぅ、ううぅ」スー....





真姫「はぁー・・・! ふぅー・・・!」スー...スス

真姫「・・・・・・・・っ!!」スー....シュン




穂乃果「あっ・・・もどちゃった・・・」



真姫「・・・!!!」ワナワナッ

ガタンッ!!!

穂乃果「!?」ビクッ



真姫「だからやめてって言ってるでしょ!!!」

穂乃果「ま、真姫ちゃん・・・・・?」

真姫「いい加減にしてよ! 私の夢は医者になる事! 私のやるべきことは医者! パパの後を継がなきゃいけないの! それ以外は何もないの!」

穂乃果「・・・・ “夢” は他人から強制されるものじゃないんだよ。“やるべきこと” とか “ならなきゃいけない” って、それは真姫ちゃん自身が決めたこと?」

真姫「っ・・・!!」フルフル

真姫「仕方ないでしょ!! 私にはこれしかないの!!! 他の何かをやりたいって思ってもその先に道は無いの!!! だって私が医者以外になることを、パパは絶対に認めてくれない!」

穂乃果「・・・・・」

真姫「毎日やりたいことやって生きてっ! 好きな事で頑張れる貴女にっ!! この気持ち分からないでしょうね!!!」

穂乃果「っ・・・・・」ズキッ



真姫「はぁ・・・はぁ・・・」



真姫「はぁ・・・はぁ・・・。うっく・・・」ウルッ


真姫「 “夢” を叶えるのはみんなの勇気・・・ね」

真姫「高校生の間のμ’sの活動だって、本当は禁止されてるの。貴女も知ってるでしょ。だけど、みんなでパパを説得して、やっと許してもらった・・・・・・。そのみんなの勇気には驚いたし、そのおかげで、私はμ’sをやりたいっていう夢が叶った。本当に感謝している。心の底からありがとうって言いたい」

真姫「だけど・・・・・・・。ううん だから それ以上は・・・ それ以上を願うのは・・・・無理なの。だって、私はもう、子供じゃないの。わがままを言っちゃいけないの・・・。うぅ・・・ぐすっ・・・」



真姫「高校を卒業したら―――」

穂乃果「・・・・・・」ズキズキ

真姫「医者を目指す」

穂乃果「・・・・・・」ズキズキ


真姫「お願い・・・分かって・・・。余計な事を言って、私を悩ませないで・・・」



穂乃果「真姫ちゃん・・・・」



真姫「私に・・・ “夢” を思い出させないで・・・」ポロポロッ




・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・



穂乃果「・・・・あっ」ムクッ

穂乃果「・・・・・・・」

穂乃果「・・・・・・・はぁ」


穂乃果(真姫ちゃん・・・)



真姫「・・・・・・」zzz ツー...

穂乃果(真姫ちゃん・・。涙が出てる・・・・)スイッ

真姫「んっ・・・・」モゾッ



穂乃果(真姫ちゃんの本当の“夢”ってなんだったんだろう・・・・)

穂乃果(仮にそれが分かったところで、穂乃果に何ができるんだろう・・・)

穂乃果(・・・・・・・・・・)

穂乃果(・・・・・・・・・・)

穂乃果(・・・・・・何も思いつかないや)



穂乃果「叶え。みんなの夢・・・か」ボソッ



穂乃果(・・・・・・・・)


穂乃果「はぁ・・・」

穂乃果(“夢”を叶えるって何・・・? それができる根拠って何なの・・・?)

穂乃果(分かんないよ・・・。分かんない・・・)

穂乃果(私って、本当に無責任。無責任で・・・無力だなあ・・・)

穂乃果(真姫ちゃんを支えられる力も無いくせに、真姫ちゃんが誰にも触られたくないと思っている領域に土足で踏み込んで―――)



穂乃果(真姫ちゃんに辛い思いさせた・・・・)



真姫「・・・・んん」zzz

穂乃果(真姫ちゃん・・・辛かったよね・・・)

穂乃果(ごめんね。ごめんね・・・)



穂乃果(本当にごめん・・・なさい・・・・)



穂乃果(こんな辛い思いをさせちゃうなんて思いもしなかった・・・・。軽々しい気持ちで人の未来は見ちゃいけなかったのかな・・・・)

穂乃果(・・・そうだよね、だって輝かしい未来だけとは限らないから・・・。知られたくないと思っている事があるかもしれない・・・。それだけじゃない。あまりにも辛すぎて、知らなきゃよかったなんて事もあるかもしれない・・・)


穂乃果「はぁー・・・・・」ウツムキ


にこ「すー、くー・・・」zzz


穂乃果「あっ・・・・・」

穂乃果(まだにこちゃんだけ未来を見てなかった・・・・)


穂乃果「・・・・・・・・」

穂乃果(でも、にこちゃんはアイドルになりたいっていう“夢”を絶対に持ってるよね)

穂乃果(にこちゃんにはアイドルになっているという輝かしい未来が持ってるよね)



穂乃果(よね・・・・?)



穂乃果「・・・・・・・」


穂乃果(にこちゃん・・・。アイドルに対する想いはだれよりも強い。だから、アイドルになるためには、どんな努力だってする人・・・。だと思ってるけど・・・)

穂乃果(花陽ちゃんが言ってた『アイドルは残酷な格差社会』・・・それは、努力したからって、必ずしも報われるとは限らない、という意味だよね・・・)

穂乃果(生まれつきの才能とか、体のスタイルとか、可愛さとかがあるからかな・・・)

穂乃果(その点にこちゃんはどうかな)

穂乃果(才能は・・・。どうなんだろう・・・? 才能と言われて真っ先に思い浮かぶのは、凛ちゃんと花陽ちゃんだなあ。凛ちゃんはバネと運動神経が全国レベルで、花陽ちゃんは声がすっごく綺麗で。にこちゃんは・・・うう~ん・・・)

穂乃果(体のスタイルは・・・。これもやっぱり、絵里ちゃんや希ちゃんの事が真っ先に思い浮かんじゃうなあ・・・。絵里ちゃんや希ちゃんと、にこちゃんを比べると・・・・・・ううう~~~んん・・・・)

穂乃果(可愛さは・・・かわいい。うん! にこちゃんはかわいい!)

穂乃果(他にもきっと何かあるよね)

穂乃果(え~っと、例えば。例えば。・・・た、たとえば・・・・?)

穂乃果(・・・作詞は海未ちゃん、衣装はことりちゃん、作曲は真姫ちゃん・・・・・)

穂乃果(にこちゃん・・・にこちゃん・・・。ううう~~~ん・・・)アタマカカエ


穂乃果「・・・・・・・・」

穂乃果「・・・・・・・・」

穂乃果(にこちゃんに負けないくらいアイドルが好きな花陽ちゃんは、アイドルになることより、絵本作家になることを選んだ・・・・)

穂乃果(好きなだけじゃだめなんだよね・・・・。アイドルが大好きで、アイドルについて良く知っている花陽ちゃんだけど、プロのアイドルではない別の道に行くことを考えている)

穂乃果(プロのアイドルはスクールアイドルとは違って、きっと茨の道・・・。それは、アイドルに関しては一番詳しいにこちゃん自身が一番良く知っている事だよね・・・」

穂乃果(だから・・・。もしかしら、にこちゃんも・・・・)

穂乃果(アイドルが大好きで大好きで、プロのアイドルになることの難しさと現実を知っているにこちゃんだからこそ・・・)

穂乃果(プロのアイドルになりたいとういう、本当の“夢”を押し殺して、辛い想いをしている・・かも・・・・)

穂乃果(―――真姫ちゃんと同じように・・・・・・)



穂乃果(花陽ちゃんには、絵本作家っていう、プロのアイドル以外の“夢”があったから良かったけど・・・)

穂乃果(にこちゃんには他に何かあるのかな・・・・?)

穂乃果(もし何も無かったら・・・・)


穂乃果「・・・・・・・・・・・」


穂乃果(未来のにこちゃんは見たい・・・・・・・)

穂乃果(だけど・・・。叶えたい“夢”があるけど、叶えられない・・・もし、にこちゃんがそんな辛い想いを抱えていたとして、それを私が知って、私に何か助けてあげられるかな・・・? 真姫ちゃんに何にもしてあげられない私なのに・・・)

穂乃果(だから・・・もしかしたら、にこちゃんに辛い想いを思い出させちゃうかもしれない・・・・)



穂乃果(そんなことになるくらいなら・・・)




穂乃果(もう、やめておこうかな・・・・)




穂乃果「・・・・・・・・・・・・」



穂乃果「・・・・・・・」ウツムキ







シーン.....



















希「クチュン!」






穂乃果「!!?」ビクッ


希「んん~・・・・・。すぅ~・・・・」zzz


穂乃果「のぞみちゃん・・・・」








~~~~~~~~~~~~~~~~


謎の女性「やから。穂乃果ちゃんは、いつでも、やりたいことやって、突っ走って、みんなを引っ張りまわすんが、正解なんよ」ニコッ


~~~~~~~~~~~~~~~~





穂乃果「・・・・・・・・・・・・」



穂乃果「・・・・・・・そっか」

穂乃果「ついさっき教えてもらったこと、もう忘れてたよ。バカだなぁ私・・・」




穂乃果「・・・・・というわけで。にこちゃん」ジリッ...



にこ「すー・・・・」zzz



穂乃果「もんどうむようだよ!」キュ

バサッ

穂乃果「おやすみっ!」





・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・



穂乃果「入った・・・。もう後戻りはできないよ」



穂乃果「どんなにこちゃんが出てきても、穂乃果は全力でぶつかるからね!! 覚悟しててね!」



穂乃果「・・・・・と、思ったけど」

穂乃果「ここ、なんか薄暗くって、何がなんだかよく分かんない・・・・」

穂乃果「ここどこだろう? にこちゃんどこかな」キョロキョロ

穂乃果「おっ? 暗くてよく分からないけど、正面にステージみたいなのが見える気がする」

穂乃果「暗い・・・ステージ・・・」

穂乃果「そういえば、真姫ちゃんが、にこちゃんはアキバの地下ステージで活躍してたって言ってたっけ。ここがそうなのかなあ?」

穂乃果「そうだとしたら・・・。あはは・・・」

穂乃果「お客さん全然いないじゃん・・・・」



穂乃果「・・・・・ううん!」グッ

穂乃果「穂乃果一人だけでも、精一杯声で出して応援するもんね!」




穂乃果「それにしても暗いなあ・・・。周りが良く見えないよ」

穂乃果「照明もうちょっと強くできないのー?」クルッ





穂乃果「・・・」


穂乃果「・・・・・」



穂乃果「・・・・・・・」




穂乃果「・・・・・・・・・」





穂乃果「・・・・・・・・・・・」





穂乃果「・・・・・・・・・・・・・」













穂乃果「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えっ?」


















http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira103765.jpg


Star-Forming Region S106.

Distance from the Earth : 2000 light years
Constellation : Cygnus

NASA, ESA, and the Hubble Heritage Team (STScI/AURA)・HST WFC3/UVIS・STScI-PRC11-38








穂乃果「・・・・・・・・・・・・な、なに・・・・あ れ・・・?」

穂乃果「天井の・・・・模様・・・?」


穂乃果「・・・・・・・・・・・・だけど、」



穂乃果「それにしては・・・・・・・」



穂乃果「奥行があって・・・・」



穂乃果「・・・神秘的で・・・・・壮大で・・・」



穂乃果「あんな造形がこの世にあるなんて・・・・信じられない・・・・」




穂乃果「吸い込まれそう・・・・」ポー....




モゾッ....




穂乃果「わっ?」

穂乃果「何か体に当たった気がする」

穂乃果「んんっ・・・・?」ジー



   モゾモゾ...         モゾモゾ...       モゾモゾ...
 モゾモゾ... モゾモゾ...    モゾモゾ...     モゾモゾ...
         モゾモゾ...      モゾモゾ...
     モゾモゾ...     シコシコ...      モゾモゾ...
                モゾモゾ... モゾモゾ...
モゾモゾ...       モゾモゾ...    モゾモゾ...           
    モゾモゾ...        モゾモゾ...     モゾモゾ...
  モゾモゾ...     モシモシ...       モゾモゾ...
     モゾモゾ...
 モゾモゾ...         モゾモゾ...      モゾモゾ...
    モゾモゾ...     モゾモゾ...




穂乃果「あれれっ?」ジー

穂乃果「薄暗いからよく分からなかったけど・・・。良く見たら」ジー

穂乃果「なんか周りが、全体的にちょっと動いているような・・・?」


パッ!


穂乃果「うわっ?! 急に強い光が・・・?!」目閉じ

穂乃果「眩しい!! 何だろう・・・?」オソルオソル




((ドドドド))

(((ドドドドド))


穂乃果「えっ、わっ?!」



(((ドドドドドドド ド ド ド )))


((((ドドドドドドド ド ド ド ┣¨┣¨┣¨ ┣¨・┣¨・┣¨))))



(((((ドドドドドドド ド ド ド ┣¨┣¨┣¨ ┣¨・┣¨・┣¨)))))




((((((ドドドド ド ド ド┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ ┣¨・┣¨・┣¨))))))





(((((((ドド ド ド ド ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨・┣¨・┣¨)))))))






((((((((┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨・┣¨・┣¨))))))))







(((((((((┣¨・┣¨・┣¨・┣¨・┣¨・┣¨・┣¨・┣¨・┣¨・┣¨・┣¨・┣¨)))))))))







穂乃果「わっ?! わっわっわわわわ??!!!」ビクッ



穂乃果「な、なに?!! この地響き!!? 地震!!!?」








にこにこ♪ にこぷり♪








穂乃果「!!!?」

穂乃果「ああっ!! ステージに・・・・!!!」



















にこ『『大銀河スーパーアリーナのみんなああ!!!』』



\\うおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!//






にこ『『そして、ライブビューイングのみんなあああああ!』』



\\わあああああああああああ!!!!!!!!//




穂乃果「うわわわ!?」耳塞ぎ

穂乃果「すっごい声!!」

穂乃果「すごい・・・すごい!!」

穂乃果「それに、ここって、よく見たら・・・・・・!!!」キョロキョロ




穂乃果「ムチャクチャ でっっっっかい ライブ会場だぁぁあああ!?!!」






にこ『『はーい!!』』

にこ『『今年一番可愛い声で、一緒に言ってくださいね!』』

にこ『『いきますよー』』

にこ『『それではみなさんご一緒に!』』

にこ『『にっこにっこにー!』』







こころ「にっこにっこにー!」

ここあ「にっこにっこにー!」

にこママ&虎太郎「にっこにっこにー!」 にー」

真姫「にっこにっこにー!」

穂乃果「えっ!? あっあっ、えっとえっと、・・・に、にっこにっこにー!」

希「にっこにっこにー!」

絵里「にっこにっこにー!」

ロシア人「にっこにっこにー!」

トルコ人「にっこにっこにー!」

ギリシャ人「にっこにっこにー!」

金星人「にっこにっこにー!」

火星人「にっこにっこにー!」

エウロパ星人「にっこにっこにー!」

エンケラドゥス星人「にっこにっこにー!」

グリーゼ667Cc星人「にっこにっこにー!」

ケプラー438b星人「にっこにっこにー!」

ケプラー186f星人「にっこにっこにー!」

アンドロメダ星人「にっこにっこにー!」

WISE J224607.57-052635.0星人「にっこにっこにー!」

MACS0647-JD星人「にっこにっこにー!」

その他どっかの星人×100兆「にっこにっこにー!」




にこ『『えー? きこえなーい!』』




観客「すぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう・・・・・・・・・!!」

酸素濃度 21% → 19%































にっこ






































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  .,lllllllllllllllllllll`                                                                : 'iillllliii,,,              ,illlllllllllll!゙:           ,,illllllllllllllト              .,,,,,,、     
  llllllllllllllllllll°  .,,,,iiiiiiiiiiiiilllllllllllllllllliiiiiiiii,,,,,,、                                                ,,lllllllllllll!"         ,,iillllllllllll!゙゜:          ,,iilllllllllllll!゙°              ,llllllllii,,     
  ,lllllllllllllllll!°  :lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll゙:                                                  ,,illlllllllll!゙’:         ,,iilllllllllll!゙°            ,,,iilllllllllllll!゙°              ,,,illlllllllllllllii、   
 ,llllllllllllllll!°   ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙llllllllllllllllllllllllllllllll!゜                                     ,,iiiii,,,,            ,,illlllllllll!゙゜:         ,,,iilllllllllllll゙゜:         ,,,,iillllllllllllllll°           ,,,iillllllllllllllll!!゙゜    
: ,lllllllllllllll!゜       .'l!llllllllll!!!゙゙`   ゙゙゙゙゙                                      ,,llllllllll!″         ,,illllllllllll゙°          ,,,iilllllllllllllllllll::        .,,,,iillllllllll!!llllllllll″         ,,,,iiilllllllllllllll!!゙゙゜      
: lllllllllllllll° ,,       ゙゙゙゙°                                        ,,illllllllll!゙:       .,,,iillllllllllllllll゜       ,,,iiillllllll!!゙`llllllllll|:      ,,,,iiilllllllll!!l゙゙゜::lllllllllll:       ,,,,,iiiillllllllllllllllllllllll::        
: llllllllllllll゜ ,,,illlli,、                                                 ,,illllllllll゙°     .,,,iillllllll!l゙llllllllll|:      ,,iiilllllll!!゙゙°  lllllllllll:      ゙゙!!!l゙゙゙’   lllllllllll:     : lllllllllllll!!!!l゙゙゙゜lllllllllll:        
: llllllllllllll,,iilllllllllll':                                      .,illliii,.     .,,iilllllllllll′    ,,,iilllllll!!゙゙’: :llllllllll|:     `゙ ゙゙″    llllllllll|:              lllllllllll:       ゙゙”`     lllllllllll:        
: :lllllllllllllllllllllllll゙: : iiiiiiiii,:                                    ,,illllll!゙`   .,,,iillllll!lllllllll′   : lllllll!!゙゙°   lllllllllll:             ,llllllllll|:             lllllllllll、            lllllllllll:        
: ::llllllllllllllllllll!゙:  :'lllllllllli,,,                        ,,、     ,,iilllll!゙゜   ,,,iilllll!!゙゙゜:lllllllll:             lllllllllll:             ,lllllllllll:             :,lllllllllll:              lllllllll|:        
 : ゙lllllllllllllllll,:   `!llllllllllllllliiiii,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,iiiiiiii,,      ..,ilii,、   .,,lllllil    ,,,iillllllllll′  .:'l!l!!!゙゙゜   lllllllll::           : lllllllllll:             '゙゙゙゙゙゙゙゙′            ゙”゙゙゙゙゙゙              lllllllllll:        
  : '!llllllllllllllllii、  `゙!llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll,、   .,,iilll!゙′  .,,iilllll!゙’: .,,,,iill!!!゙’lllllll:          :lllllllll|:           : l!!!!!!!l:                                              ゙゙!!!!!ll:        
  : :゙゙!!!llllll!゙゜   ゙゙!!!llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll,、 .,,,iil!lllll:  ,,,,iiil!!llllll:   `゙゙゙゜   lllllll:          lllllllll::                                                                
              ゙゙゙゙゙゙゙!!!!!!!!!!!!!!!!!!゙゙゙゙゙゙’ .:゙゙゙’:lllll: : .゙゙゙゙゜ lllll|:       llllll|:           ゙゙゙゙”″                                                                     
                              :lllll:     .:l!!!l:         ̄゛                                                                                  


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にこ『『大銀河宇宙~~???』』










観客「すぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう・・・・・・・・・!!」

酸素濃度 19% → 17%











                                                                                             、.、.-、              
                                                                                         、..、ヽ`´;;;;;;;;'、              
                                                                                     、.、、丶′;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙、             
                                                                                     、ヽ''`;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙.             
                                                                                 : ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙、            
                                                                                : ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ            
                                                                              : ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;'、           
                                                                            : ,: ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;'、           
                                                                               ,、、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ          
                                                                      、.、丶;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;'、         
                                                                      ...、丶;`;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;_,,,,,iiiiilllllli,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;'、         
                                                                   : ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;_,,,,,iiiiilllllllllllllllllllllli、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙.        
                                                                   ;;;;;;;;_,,,,,iiiiilllllllllllllllllllllllllllllllllllllll,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙、       
                                                                    liillllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllli、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙i、       
                                                                       llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ      
                                                                    lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll!!!!!lllllllli,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙、     
                                                                       ゙llllllllllllllllllllllll!!!!!゙゙゙゙″  'llllllllll、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙.     
                                                                        !llll!!!!!゙゙゙゙″        'llllllllll、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;'、    
                                                                     `                 ゙lllllllll,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ    
                                                                                      ゙llllllllll,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙、   
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                            : : ;`゙`'ヽ、                                                       ゙llllllllll,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.,,,,,,iiiiillllllllllll!′  
                           : ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゜〟                                                  ゙llllllllll,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;_,,,,,,iiiiilllllllllllllllllllllllll゙    
                          : ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙li,,                                                  ゙llllllllll,;;;;;;;;;;,,,,,,,iiiiilllllllllllllllllllllllllllllllllllll゙`    
                         : ;;;;;;;;;,,,iiii,,;;;;;;;;;;;;;;;;;゙lllii,,                                                 lllllllllli,iiiiilllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll′    
                        : ;;;;;;;;,,illllllllllli,;;;;;;;;;;;;;;;;'llllllli,、                                                'lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll!!!゙      
                       : ;;;;;;;,,lllllllllllllllll、;;;;;;;;;;;;;'llllllllli,                                                   llllllllllllllllllllllllllllllllllllllll!!!!!゙゙゙゙″        
                、      .;;;;;;;;;,illlllllllllllllll!゙;;;;;;;;;;;;;;;;'lllllllllli,                                                   ゙llllllllllllllllllll!!!!!゙゙゙゙″             
               : ;;lllii,,,_    : ;;;;;;;;,lllllllllllllllll!°;;;;;;;;;;;;;;;lllllllllllll:                                                    '!l!!!!l゙゙゙゙’                  
              ,;;;;;;;llllllllllliii  : ;;;;;;;;,lllllllllllllllll′ ;;;;;;;;;;;;;;;;lllllllllllll|                                                                       
             : ;;;;;;;;lllllllllllllll  : ;;;;;;;;;,llllllllllllllll° : ;;;;;;;;;;;;;;;llllllllllllll         : : 丶`"'`‐、                                                        
             : ;;;;;;;;lllllllllllllll  ;;;;;;;;;;;;lllllllllllllll″ ;;;;;;;;;;;;;;;;,llllllllllllll!       : ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;li,,                                                       
             : ;;;;;;;,llllllllllllll! ;;;;;;;;;;;;;lllllllllllllll:   ;;;;;;;;;;;;;;;;,lllllllllllllll!       ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.,llllli,、                                                     
             ;;;;;;;;;;lllllllllllllll : ;;;;;;;;;;;lllllllllllllll  : ;;;;;;;;;;;;;;;,llllllllllllllll゜      ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.,,illllllllllli,                                                     
        : ,,、   : ;;;;;;;;lllllllllllllll  ;;;;;;;;;;;;;llllllllllllll: : ;;;;;;;;;;;;;;;;,illlllllllllllll!       : ;,,、;;;;;_,,,,iiillllllllllllllllll:                                                      

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     : ;;;;;;llllllllli,;;;;;;;;;;;;;;;;;llllllllllllllll      ゙゚゙゙l!!lllllllllllllllllllll!!゙゙゜                                                                            
     : ;;;;;,llllllllllli,;;;;;;;;;;;;;;.lllllllllllllll"           ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙″                                                                              
     ;;;;;;;.lllllllllllllll;;;;;;;;;;;;;llllllllllllllll                                                                                            
    : ;;;;;;llllllllllllllll: ,,,,iiiiilllllllllllllllll                                                                                            
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    .,,,iiiilllllllllllllll"                                                                                                   
     `゚゙゙゙゙゙゙゙゙゙’                                                                                                    
                                                                                                              


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                             ,,ll广  `゙'ly                                   
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                          l        ::liii     ゚゙iiii,,、           ,l`     .,l゙         
                          ]        .l:        ゙゙゙゙゙e,,,,,,,,,,,,,      ,l゜     ,ll゜         
    _,,,,,,,_,,,,,,,,,,__,,_                 ,f゙i、       :l,:            ゙゚゙llll,,、  .ll      ,l°         
   ,,ll゙゙°     `゙゙゙iiil,,,,、          ,l °      :゙:l:               ゙゙l,,,,,il゙ll      :,l″          
  .,l゙′          `゚゙゙llli,,_       .l″        :,l`                 ,l°    .,l゜           
  .l,、              ゙゙゙lli,,,     ll          ,l′       .,゙        ,l°    ,l°           
  '゙l,,、               ゙゙゙fli,,,,,_、,,l"          il         ,l:        .,l°    ,l            
   ゙゙゙゙ii,,,,,,、              `゙゚゙゚ll°         ,ill|           il          ll      l′           
      ゙゙'━w.,,,,,_                       :,l:         l:        il:      』             
           ゙゚゚゙'━e,,,                  : :ll            ll       ll:     l|             
                ゙゙''=,,,                 l:            』       .'l     :ll             
                     ゙'*,,               ::l|         .l!      : ::,l′    .,l°            
                    ゙n,              廴       : .,l′    : : :,il′   ,il°            
                     ^i              : ゙y      : : ,l゙      :,,l゙    :,ll°             
                      ゙┓            ゙l,      ,,l°     ,,,l゙′   :,ll°              
                       ゙n            `゙l,,,,_   .,,,lll,,_     :,,,ll゙゜    ,,ll°              
                           ゚!l,,、          ,,,,゙゙゙゙゙゙゙″ ゙゙゙゙゙゙'゙゙゙'゙゙゙’     :,,ll゙°               
                            ゙ni,,,、    : _,,,,,,,,,,,ii'゙゙゙゙゙'゙゙li,,,,,_        :,,,,,lll゙’                 
                               ゙”'゙'''''''゙゙゙゚ ̄        : ゙゙゚゚'゙゙'''゙゙'''゙゙'゙゙゙”`                   
                                                                      
                                                                      



http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira103773.png





にこ『『ありがとうございます!』』

にこ『『矢澤にこでーす!!』』


\\ FOOOOOOOOOOOO //

\\ くぁいいよおおおおおおおおおお!!!!! //

\\うおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!//

\\にこにー! にこにー! にこにー! にこにこにー!!!!//

\\にこにこにこにこにこにこにこにこにこにこにこにこにこにこに//

\\\ 宇 宙 の Y A Z A W AAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!! ////

   \\\ S P A C E ☆ Y A Z A W A ////

          \\\ S T A R ////
        \\\ Y A Z A W A ////







穂乃果「ほわあ・・・・」

穂乃果「すごい人・・・すごい声・・・」ポー

穂乃果「鼓膜破れそうだった・・・・」ポー


穂乃果「だけど・・・・・・」ポー


穂乃果「なんだか・・・・」ポー



穂乃果「みんなで大きな声を合わせるのって・・・・」ポー



穂乃果「ちょー、きもちいい・・・・」ポー






---------------





にこ『『たっん じゅん でっしょ?』』 ~♪

\\ えいっ! //



にこ『『つぅーぎぃーのじゅもんー』』 ~♪



にこ『『えーがーおーのじゅもーん』』 ~♪



にこ『『みんなでーしあーわせにー』』 ~♪



にこ『『にっこりーのじゅもんー』』 ~♪



にこ『『えーがーおーのじゅもーん』』 ~♪



にこ『『きょーぉもー あーしたもー』』 ~♪



にこ『『にっっこ にっっこ にっこにこーだーよー』』 ~♪

\\ にっこ にっこ にっこにこーだーよおおおおおおお!!! //




にこ『『 ほ・ら!  嬉しく なぁったー?』』 ~♪

\\ ドキッ! //



ギター < ジャーン ジャーン ジャ- ジャ, ジャ, ジャーン ジャーン ジャ- ジャ, ジャ~~♪

ギター < ジャッジャジャラッララララ ジャッジャジャラッララララ ~~♪





\\ おーっはい!//






\\ おーっはい! //







穂乃果「おーっはい!」彡

穂乃果「なにこれ! すごく楽しい!!」

穂乃果「すごい盛り上がり!」




穂乃果「そういえば、私ってアイドルのライブを観客として生で見に行ったことなかったっけ」

穂乃果「観客側も、アイドルがこんなに楽しかったなんてもっと早く知りたかった」

穂乃果「にこちゃんと花陽ちゃんがはまるわけだ」

穂乃果「せっかくだし、もっと全体の雰囲気を知っておこうかな」キョロキョロ




\\ おーっはい!//





\\ おーっはい! //






穂乃果「みんなピンクのサイリウムを持ってる」

穂乃果「手が無い人は、サイリウムを口で咥えてたり、髪で持ってたり、目に突っ込んで首を振ってたり、超能力で浮かしてブンブンしてる」

穂乃果「身分も国境も関係なくて、にこちゃんのライブを見たい人が集まって全力で楽しんでいるんだ」

穂乃果「声出して、体を動かして、ピンクのサイリウムを振って。全身でにこちゃんのライブを楽しんでる」

穂乃果「辺り一面がピンクの草原で、それが無限に広がっているみたい・・・・」




\\ おーっはい!//





\\ おーっはい! //







穂乃果「あっ、そういえば、叫ぶのに夢中で、にこちゃんの事ちゃんと見てなかった」

穂乃果「大人のにこちゃんはどんな風になってるかな?」



穂乃果「んん・・・。にこちゃんすごい遠くて見えないな」

穂乃果「あっ、あっちの巨大スクリーンでアップで写ってる」



穂乃果「いつものにこちゃんと変わらない・・・?」

穂乃果「・・・・いや。違う」

穂乃果「顔も身長もおっぱいも変わってないけど、あれは大人のにこちゃんだ」

穂乃果「努力で高校生の頃のにこちゃんを維持している・・・。穂乃果には分かるよ」

穂乃果「すごい・・・」



穂乃果「にこちゃん・・・・」

穂乃果「お腹の底から声を出して・・・」

穂乃果「お客さんとの息もぴったりで・・・・」

穂乃果「一生懸命踊って・・・」

穂乃果「あんなに汗を飛び散らせて・・・」

穂乃果「それでいて、本当に心の底から嬉しそうな表情・・・」

穂乃果「光に包まれながら、歌って、踊って・・・・。きれい・・・」

穂乃果「可愛いを通り越して・・・なんだか―――」

穂乃果「神々しい・・・・神秘的・・・・・」



穂乃果「物凄く盛り上がっている会場にいるわたし・・・」

穂乃果「なんだろう・・・この気分・・・。周りは物凄く騒がしい筈なのに、気持ちよくって・・・・体がふわーってして・・・・・不思議な感覚・・・・・」



穂乃果「にこちゃん・・・・・」



穂乃果「世界と穂乃果の境目があやふやになっていくような・・・」

穂乃果「にこちゃんを中心に、世界が渦を巻きながら吸いこまれているような・・・・」



穂乃果「すごい・・・・・・」


穂乃果「ほー・・・・・・・・」ポー



穂乃果「・・・・・・・・」ポー



穂乃果「・・・・・・・・」ポー





\\ おーっはい!//


\\ おーっはい! //


\\ おーっはい! //


\\ おーっはい! //


\\ おーっはい! //






にこ『『はいっ! はいっ! はいっ! はいっ! はいっ!』』


\\ ( ゚∀゚)o彡°ハイ!( ゚∀゚)o彡°ハイ!( ゚∀゚)o彡°ハイ!( ゚∀゚)o彡°ハイ! //







ギター < トッロルロルロルロルロルロルロルルルルルルウィ~~~―――♪






にこ『『それじゃ、いっくよー!』』



みんな「すぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう・・・・・・・・・!!」


酸素濃度 17% → 15%


















きゃんばれーーー!!!!



















http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira103776.png



NGC 2841.
Unbarred spiral galaxy.

Distance from the Erath : 46 million light years
Constellation : Ursa Major

NASA, ESA, and the Hubble Heritage (STScI/AURA)-ESA/Hubble Collaboration








穂乃果「・・・・にこちゃん」


穂乃果「・・・・・・・・・・・かっこいい」ホワー---.....



キュン




穂乃果「!!!!?////」ドキッ

穂乃果「なにいまの!?!///」ドッキンドッキン

穂乃果「・・・・・・はぅ////」バックンバックン クラッ

穂乃果「あ、あれ?」クラクラ

穂乃果「はっ////、はっ、はっ、はっふぅ///。息がっ、はっ、ふっ」スーハー

穂乃果「めまいがして・・・。体が熱くて・・・・////」クラクラ カァ

穂乃果「胸がドキドキして・・・頭がクラクラする・・・・なんで・・・」ドキドキ クラクラ



穂乃果「これって、もしかして・・・・」ドキドキ クラクラ スーハー





にこ『『えがおのまほうつぎのまほう』』 ~♪

\\ 笑顔の魔法次の魔法! //



にこ『とどけまほうみんなをしあわせに』』 ~♪

\\ 届け魔法みんなを幸せに! //



にこ『『えがおのまほうつぎのまほう』』 ~♪

\\ 笑顔の魔法次の魔法! //



にこ『とどけまほうみんなを し・あ・わ・せ・にーーー・・・・・・・・・・』』 ~♪

\\ 届け魔法みんなを幸せにぃぃぃぃいいいい! //





穂乃果「これは・・・・」ドキドキ クラクラ ハァハァ

穂乃果「・・・・穂乃果、笑顔の魔法にかかっちゃったのかな///」ドキドキ クラクラ  ← ※酸欠の症状


穂乃果「・・・・・・にこちゃん///」バクバク





にこ『『いえー!』』


\\ Y E A H ! ! ! ! //








穂乃果「かっこいいよおお///////」キュキューン バクバクバク


穂乃果「ハァ・・・ハァ・・・ハァ、ハァハァ」



穂乃果「にこちゃん・・・・///」フラフラ

穂乃果「にこちゃん・・・」

穂乃果「にこちゃん」


穂乃果「にこちゃん」


穂乃果「にこちゃん」



穂乃果「にこちゃん」




穂乃果「もっと・・・・近くで・・・///」フラッ



穂乃果「にこちゃぁぁああん///////」フラフラ



のしっ


・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・



(・8・)<チュンチュン




「・・・ほの・・・!」ユサユサ


穂乃果「・・・・・んっ」


「・・・・・のか!」ユサユサ


穂乃果「んぇ・・・?」パチ


にこ「さっさと起きなさい!」ペチペチ


穂乃果「・・・・・・・???」ポー

にこ「はぁ、やっと起きた」




海未「穂乃果、そんなうつぶせで寝ていて息苦しくないんですか」

希「にこっちのおっぱいまくらじゃ寝心地悪そうやしな~」

にこ「どういう意味よ!!」





穂乃果「にこちゃん・・・・ ?」ポー

にこ「にこよ」ムスッ

穂乃果「えっ・・・?」

にこ「ねえ、早くそこからどいてくれる? 重たいんだけど」

穂乃果「はれ? にこちゃん、なんでこんなに近くに? さっきまであんなに遠くにいたのに・・・・?」プワプワー

にこ「はあ?! 何寝ぼけてんのよ! あんた、私の上に乗っかってんのよ! どんだけ寝相悪いのよ!」

穂乃果「ほぇっ・・・・・???」ポー



にこ「はぁーあ・・・。すごく良い夢を見てた気がするんだけど、途中からアルパカに押し潰される夢に変わって、それしか覚えてない・・・・・・」

穂乃果「・・・・・・・夢?」ポワー

にこ「ああもう! あんたのせいよ! さっさとどきなさい!!」ゲシゲシ



穂乃果「・・・・・・・・はっ?!」ガバッ

ダダダッ

チョコン

にこ「な、なによ・・・・? 飛び起きたと思ったら、部屋の隅っこまで走って壁の方に向かって正座しちゃって」

穂乃果「////////」ドキドキ ウツムキ

穂乃果(さっきまであんなに遠かったにこちゃんが・・・・!/////)ドキドキ ウツムキ

穂乃果(すごくかっこよかった大銀河宇宙No.1スーパーアイドルのにこちゃんが・・・・!/////)ドキドキ ウツムキ

穂乃果(穂乃果みたいな一般人なんかが、あんなに近づいちゃって・・・!/////)ドキドキ モジモジ



穂乃果(・・・・)チラッ



にこ「????」キョトン



穂乃果(!!!!!///)ドキンッ

穂乃果(ま、ま、まっ、まだ、あんなに近くにいるよぉぉお!?/// しっしかもこっち見てるいらっしゃるぅぅう?!//// どうしよどうしよどうしよどうしよどうしよどうしy)ドキドキドキバクバク



にこ「穂乃果??」キョトン

穂乃果「はんっ!!?//////」ビクンッ

穂乃果(ほっ、ほっ、ほほほ穂乃果の名前呼んだぁぁあ?!///)バクンバクン


海未「・・・・・・・・?」

ことり「(・8・)?」


にこ「なんなの? まあいいいわ。朝ごはん作るわね」ムクッ スタスタ


穂乃果「・・・・・・・////」チラチラッ

穂乃果(にこちゃ・・・・////)ドキドキ



希「お~? なんや、なんや~穂乃果ちゃん。恋する乙女みたいに顔赤らめちゃって」ニヤニヤ

凛「ああ~。これはメスの顔ですわにゃ~」ニヤニヤ

希「かわいいやん」ニヤニヤ


海未「・・・・・・・・」 .....ギリッ

ことり「 (・8・) 」



---------------
食卓


花陽「ごはん炊けたよ~!」ホカホカ

凛「かよちんの炊いたごはん!」

にこ「アジの開き、納豆、ひじき煮、豚汁・・・まあ、適当に作ったから好きに食べて」

海未「んっ、焼けた魚の香ばしい匂いが良いです。とても美味しそうです。さすがにこですね」

穂乃果「わわっ/// にこちゃの手料理だぁ・・・/// しゅ、しゅごい・・・///」モジモジ

希「んん~? 穂乃果ちゃん、パンの方がいいとか言わんの~?」ニヤニヤ

にこ「なによっ、文句あんの?」ムスッ

穂乃果「とととっと、とんでもない!!」ブンブン

穂乃果「にこちゃんが作った料理だよ!!! ちょープレミアじゃん!」

真姫「なにそれ、意味分かんない」カミノケクルクル

にこ「プレミアって・・・。そんなハードル上げられても困るわよ。簡単に作ったものばっかりだし」

絵里「なんでもいいわ、早くいただきましょう」




いただきま~す

もぐもぐ

このひじき、煮すぎやない? 歯ごたえがないんやけど

豚汁もちょっと薄味な気がする

消化によいヘルシー重視なのよ! アイドルは食事にも気を使わなきゃダメでしょうが! あんたらアイドルとしての自覚あんの?!

にこちゃんの料理すごくおいしいよ! 特にこの納豆!

あ、いや、それは普通の市販のやつ・・・




海未「そういえば、穂乃果」

穂乃果「ふぁぁに? (なーに?)」モグモグ

海未「朝起きたとき、布団の横に夢の赤い糸が落ちていましたが、昨晩は誰かの未来を見ていたのですか?」

穂乃果「あっ、うん! みんなの見せてもらったよ!」

海未「みんな? ということは夜中に何度も起きたと言うことですか」

穂乃果「う、うん・・・、そ、そうなるかな~?」

ことり「夜更かしはだめですよ~。早寝早起きが健康の秘訣ですっ」

穂乃果「えへへ。ごめん」



凛「なんの話してるの~?」

穂乃果「えっとね。ロボット部の人に夢の赤い糸っていう機械をもらったの。それを使うと、使われている人の未来を夢として見ることができるの」

凛「未来が見られる?! すげーにゃ!!」

真姫「またとんでもない物を作ったわね・・・」

花陽「みんな? ・・・ということは、は、花陽の未来も見ちゃったの・・・? は、恥ずかしい・・・」

海未「そうですよ穂乃果。本人の許可もなく夢を見るなど、プライバシーの侵害ですよ」

穂乃果「そ、そっか・・・・。うん、そうだよね。ごめんね、みんな・・・。それに、軽々しく未来を見るのってよくないこともあるんだよね・・・・・」

海未「・・・・? 何かあったのですか?」

穂乃果「あっ・・・えっと、別に・・・・」

花陽「で、でも未来は気になるよ! 私って引っ込み思案でなかなか決断できないから、将来ちゃんとやっていけるか不安だし・・・」

花陽「ねえ! 穂乃果ちゃん教えて、未来の花陽はどうなってた?」

穂乃果「あっ、うん! 花陽ちゃんは大丈夫だよ! 絵本作家さんになってた!」

花陽「ええっ?! 絵本作家にナッチャウノ゙ォ゙」

凛「絵本作家! かよちん昔なりたいって言ってたよね!」

花陽「えっ、えっ・・・。で、でも、花陽なんか・・・・」ウツムキ

ことり「 "なんか" なんて言っちゃダメ! 花陽ちゃん絵が上手だし、ぴったりだよ!」

にこ「そうね。この前花陽が家に来た時、絵を描いたり折り紙を折ったり色々して楽しそうにチビ達と遊んでくれてたし。絵本作家なら、そんな風に子供の視点で物事を見られるのって大事じゃない? 」

絵里「そうそう。それに花陽は、凶暴なアルパカも手なずけられるものね」

真姫「凶暴・・・? それは単にエリーが嫌われてるだけでしょ。っていうか、それはあんまり関係ないんじゃない?」

穂乃果「ううん! それが関係あるんだよ! 花陽ちゃんの夢の中の出来事なんだけど、花陽ちゃんと穂乃果が、アルパカさんの背中に乗ってお散歩したんだよ!」

花陽「アルパカさんの背中に!!?」パァ

ことり「わぁ、素敵♪」

希「ええなあ。楽しそうやん」

穂乃果「うんうん。すごく楽しかったよ。それでね、アルパカさんは花陽ちゃんを背中に乗せて、世界中の色々な場所に行って色々な人と触れ合いたい、って思ってて、じゃあそれを絵本にしようってことになったの! あっ! それと、人と動物が対等な世界が良いとも言ってたよ!」

真姫「アルパカの背中に乗った花陽の世界旅行記ってとこかしら? なによそれ、物凄く面白そうなんだけど」

絵里「ええ、本当にそんな絵本があったのなら、今すぐにでも読みたいわ」

ことり「私も読みたい♪ 世界中の色んな景色を背景に、その国々の色んな人々と動物が楽しくお話ししたりする心暖まる優しい物語になるんだろうなあ♪」

希「世界中の色んな景色を見て回るお話かあ。 そうしたら、まずは花陽ちゃん自身が世界旅行しないとだね。何か必要な事があったら、ウチが全力でバックアップしてあげるよ」

凛「かよちん!! どこか行くときは凛も連れて行ってね! 一緒に絵本作りたいにゃー!」

海未「楽しみですね。花陽が描いた絵本、出版されたらすぐに買わせて頂きますね」

花陽「・・・・・・」ズモモモモモ......

海未「んっ・・・? 花陽どうしましたか?」

花陽「・・・・・・・!!」グワッ

海未「きゃ?! は、はなよ・・・?」


花陽「ああああ!! インスピレーションが止まりませんんん!!!」

花陽「紙とペン! 紙とペン! 誰か! 誰かあ! 誰か紙とペン貸してぇぇええ!!」

凛「凛持ってるよ。自分の夢をメモしようと思って持ってたやつ。これ使って」

花陽「ありがとう凛ちゃん!!!」ズバババ

希「ありゃりゃ、花陽ちゃんスイッチ入っちゃった」

凛「凛はこっちのかよちんも好きにゃー」

絵里「は、花陽・・・。程ほどにね。今、朝食中なんだから」

花陽「う、うん! ごめんね! 少しだけだから!」ズババババ


凛「ねえ、ねえ、穂乃果ちゃん。凛の夢も見たの?」

穂乃果「あっうん! 見たよ!」

凛「そうなんだ。凛ね、いっつも見た夢を起きた瞬間に忘れちゃうんだ。でもね、覚えておきたいから、忘れないように夢の中にメモ帳とペンを持って行こうって決めてるんだけど、朝起きたら、やっぱりメモは真っ白なんだにゃー」

穂乃果「ああ、そういえば夢の中の凛ちゃんもメモ帳とペン持ってたなー」

真姫「それで? 未来の凛はどうなってるの?」カミノケクルクル

穂乃果「うん、凛ちゃんはね。・・・・あー。凛ちゃんはねー・・・」

真姫「なによ? なんか歯切れ悪いわね。悪いやつにでもなってたの?」

凛「ええ?! そうなの穂乃果ちゃん?!」

穂乃果「ううん!」ブンブン

穂乃果「そんなことは無いんだけど・・・」

穂乃果「凛ちゃんはね・・・えっと、花陽ちゃんと一緒にいてね」

凛「うん! 凛はかよちんといつも一緒にゃ!」

穂乃果「それと・・・・凛ちゃんは花陽ちゃんのことを守ってあげてて」

凛「うん! かよちんを守るのが凛の生き甲斐だにゃ!」

真姫「花陽のことばっかりね。他には何かなかったの?」

穂乃果に「他にはねー・・・・。えーっと・・・」シドロモドロ

凛「他には?」ワクワク

穂乃果「・・・・猫ちゃんと遊んでたかな」

凛「本当?! 凛は猫ちゃんが大好きにゃー!」

穂乃果「そ、そうだよね。よかったよね・・・・・・」

真姫「・・・・・・。それで、未来のりn
穂乃果「あっ! つ、次はね! 絵里ちゃんの未来を見たの!」

絵里「あら本当? 未来の私は何をしてた?」

真姫「・・・・・・・・」カミノケクルクル


穂乃果「あのね、すっごくおしゃれな喫茶店やってた!」

絵里「いいじゃない! 実は希と一緒に喫茶店開きたいなーって思ってたの」

希「ちょ// え、絵里ち・・・/// 」

絵里「私がキルトのアクセサリーを編んでそれを飾ったり。あっ、そうだ! おばあさまからロシアの民芸品を送って頂いて、それも飾りたいわね。それから、店内はなるべく明るくして、ロシアン喫茶みたいにしたいわね」

希「ちょっと絵里ち。明るいロシアン喫茶でもええと思うけど、占いもできる喫茶店にしたいって言ってたやろ」


絵里「そうだけど。ロシアン喫茶に何か問題でも?」

希「別に、問題って程じゃないんやけど・・・。なんちゅーかなぁ・・・」

穂乃果「あっ、そうそう。希ちゃんの未来も見させてもらったよ。希ちゃんも喫茶店やっててね」

希「ほう。どんな雰囲気だった?」

穂乃果「えーっと、ね・・・・。なんだか店内が薄暗くって・・・。こんな事言ったら失礼かもだけど・・・。不気味だった・・・」

希「おおっ! それでいいんよ!」

絵里「なんでよ! 薄暗くて不気味な喫茶店なんて聞いたことないわよ! 」  

希「そっちの方がスピリチュアルパワーが集まるんよ!」

絵里「スピリチュアルパワー?!」

希「開運グッズもぎょうさん置いて運気上昇、商売繁盛間違いナシやな!」

絵里「ちょっと! 変な物置かないでよね!」

希「なんでや!」

絵里「だって不気味な雰囲気にしたら、なんだか怪しい宗教施設みたいじゃない! その内、ご利益があるとか言って、木魚とか鈴(りん)を持ち出して『チーン』って鳴らしながら接客するつもりじゃないでしょうね!?」

希「なんでや! 阪神関係ないやろ!」

絵里「関係ないわよ!」


穂乃果「ま、まあまあ、二人とも・・・。お店の内装は絵里ちゃんの方が、穂乃果は良かったと思うし、メニューの内容は希ちゃんの方がまともそうだったよ。だからさ、今度落ち着いて話し合ってさ、二人の意見の良い所を組み合わせたらいいじゃないかな・・・?」

絵里「んん・・・」

希「むう・・・・」

穂乃果「ほ、ほらっ、穂乃果の家も、一応喫茶店みたいな事もやってるからさ! 何かあったら穂乃果に相談してよ!」

絵里「・・・・・そうね」

希「まあ、穂乃果ちゃんがそういうなら、今回はこの辺で勘弁しといたる」




穂乃果「じゃ、じゃあ、次に・・・」

穂乃果「次に見たのは、真姫ちゃん!」

真姫「ふーん」カミノケクルクル

穂乃果「真姫ちゃんはね―――・・・・あっ、えと・・・」

真姫「何よ? 医者になってたでしょ」

穂乃果「えー・・・っとね・・・・」シドロモドロ

穂乃果(ど、どうしよう・・・・。真姫ちゃんは、本当はお医者さんになりたくないと思ってる・・・ってそんなことみんなの前で言っちゃだめだよね・・・)

穂乃果(どうしたらいいんだろう・・・・)

穂乃果(真姫ちゃんにとって正しい将来ってなんだろう・・・)

真姫「穂乃果?」

穂乃果「あっ、そのっ、あのっ」アセアセ

穂乃果(とっ、とにかくに、何か言わなきゃ・・・)アセアセ

穂乃果(で、でも、何を言えば・・・・)アセアセ





希「穂乃果ちゃん。でっかい病院の待合室まで行けたはよかったけど、診察室がたくさんあり過ぎて、どこに真姫ちゃんいるか分からんかったんとちゃう?」


穂乃果「へっ?  ・・・・あっ! うっ、うん! いやー、実はそうなんだよねー! 100室くらい診察室があってさー・・・!!」シドロモドロ

真姫「何よその病院。パパの病院でもそんなに診察室無いわよ」

穂乃果「そうだったっけー? いやー・・・それでも未来の真姫ちゃん見つけられなくって・・・・ごめんね、たはは・・・」アセアセ

真姫「まあ、なんでもいいわよ。私は医者になる以外ないんだから」

穂乃果「うー・・・・んむ・・・・」ウツムキ

真姫「そういえば、希はどうして穂乃果の見た夢の内容を知っているの?」

希「スピリチュアルやろ」

真姫「・・・?」



穂乃果「えっと・・・! つ、次は誰だっけ!」キョロキョロ

にこ「・・・・・・・」モグモグ

穂乃果「次は・・・・はっ?!///」

にこ「・・・・・・・」ズズッ ゴクッ



穂乃果「あーっと、うーっと・・・・///」チラッチラッ

にこ「・・・・・・ふー」コトッ  ...イライラ




希「なんや、穂乃果ちゃん、難しい顔してたと思ったら、今度はやけに嬉しそうな顔になって。忙しいなあ」ニヤニヤ

凛「ああ~。このメスイヌ発情してますわにゃ~」ニヤニヤ

穂乃果「えっ// そ、そうかな?///」モジモジ

海未「・・・・・・・・・・・」

ことり「 ┌(┌^8^)┐ 」ホノォ



穂乃果「・・・・えっと///」モジモジ

にこ「・・・・・・」イライラ



穂乃果「・・・・・/////」ウツムキ モジモジ

にこ「・・・・・・」イライラ


穂乃果「・・・・・・」チラッ

にこ「・・・・・・」イライラ

穂乃果「!!///」バッ ウツムキ

穂乃果「//////」ドキドキ

にこ「ちょっと!」


穂乃果「ひんっ!///」ビクッ

にこ「にこはどうだったのよ?!」

穂乃果「に、にこちゃんは・・・・・//」ドキドキ

にこ「にこの未来も見たんでしょ!」

穂乃果「・・・・・ぅん//」モジモジ

にこ「だったら教えなさいよ! そりゃあ、アイドルにはなってるだろうけどさ! 念のため、一応! あんたが見た私の未来を聞いておいてやってもいいって言ってるの!」

穂乃果「そ、そうなんだ・・・・///」ドキドキ モジモジ

にこ「大人のにこにーはどんなアイドルだったの!? 教えなさい!」

穂乃果「うん・・・・。すごく、かっこよかった・・・///」ポッ

にこ「やっぱりねー。にこのイケメンスマイルで老若男女問わずメロメロに~・・・って! かっこいいって何よ! にこは可愛いでしょ!」

穂乃果「かっこよかった・・・//」ポー

にこ「もうっ! まあ、それもでいいわ。それで、お客さんは何人くらいいた?」

穂乃果「えっと・・・お客さんは・・・・///」

真姫「いいとこ10人くらいでしょ」カミノケクルクル

にこ「そんな訳ないでしょ!」

にこ「どうなの?! 穂乃果!!」ズズイ

穂乃果「!!!?!////// にこちゃ、ちかぃちかぃちかぃ////」ドキドキドキドキドキドキ

海未「・・・・・にこ。すこし はなれて ください ほのか が 怖がってます」

にこ「なんでにこが怖いのよ!」

にこ「なんでもいいから教えなさいよ! にこの集客力を! 穂乃果あ!」ガクガク

穂乃果「あふぅ///」ドキドキ



穂乃果「・・・・・・・・・・ひゃく」ボソッ

にこ「えっ! 100人?!」

真姫「ふーん。まあまあ多い方じゃない? よかったわね、にこちゃん」

にこ「ぬぅぁんでよ! にこはそんな程度の器じゃないわよ!」

にこ「ねえ! 穂乃果! もっといたでしょ! ちゃんと教えて!」

穂乃果「・・・・・・・・・・ちょう////」ボソッ


にこ「えっ? ちょう???」

真姫「超ってこと? 100超? 100人とちょっとってこと?」

穂乃果「ううん////」フルフル

にこ「じゃあ、どういう事よ?」キョトン



穂乃果「100兆人くらい・・・いたよ///」



にこ「100兆!!!?!!」ズババーン

絵里「あはは・・・それは穏やかじゃないわね」

希「ぶっとんでるな~」

凛「凛知ってるよ。地球の全体人口は70億人くらいなんだよ」

花陽「凛ちゃんはかしこいね。よしよし」ナデナデ

凛「にゃ~ん/// ゴロゴロ」

真姫「そうよ。微生物じゃあるまいし、100兆なんて人間どっから湧いてくるのよ。仮に居たとしても、集まれる場所が無いじゃない」カミノケクルクル


穂乃果「・・・・・・・いたもん」ウツムキ

にこ「なんだっていいわよ! にこは絶対に100兆人集めるスーパーアイドルになってやるんだから!!!」


海未「100兆人かどうかはさておき・・・。にこはプロのアイドルを目指すのですか。しかし、色々大変ではありませんか? いつだか、花陽が『アイドルは残酷な格差社会』だと言っていましたが」

ことり「そうだよねえ・・・。世間一般で活躍しているプロのアイドルと言ったら、早くて小学生くらいの頃からデビューしている子が多いってイメージがあるし」

にこ「年齢が何よ!! 今どきのアイドルに年齢は関係あるようでないわよ! 50歳過ぎてからも、露出の多いコスプレして歌ってる人だっているんだからね!」

真姫「っ?!」ビクッ

花陽「にこちゃん。それはそうだけど・・・・。プロのアイドルのオーディションはね、数万人の応募があって、合格するのはたった数人・・・。不合格だった人はほとんどがアイドルを諦めてしまう・・・。仮に合格しても人気が出るかどうかは別問題。人気が無くてアイドルを挫折してしまう事も珍しくない。コンスタントに活躍できるプロのアイドルは本当にわずか。にこちゃんなら良く知ってるよね・・・?」

にこ「にこがそのわずかの内の一人よ!」

絵里「花陽の言うことももっともね。あ、いや、別に、にこがプロのアイドルを目指すのが間違っていると言うつもりじゃないのよ?」

絵里「ただね・・・・にこ。そのプロのアイドルになれる根拠・・というか自信はどっから湧いてくるのかしら? と思って・・・」

にこ「にこはスーパーアイドルになる運命だからよ!」

絵里「そ、そうなの・・・」

凛「なんにしろ、100兆人を集めるアイドルになるなんて無理なもんは無理にゃ~。真姫ちゃんもそう思うよね?」


真姫「・・・・・・・」

凛「真姫ちゃん?」

にこ「どいつもこいつもにこのこと疑ってくれちゃって! ねえ! 真姫ちゃんなら、にこが100兆人を集める大銀河宇宙No.1アイドルになるって信じてくれるよね!?」

真姫「・・・・・・・」

にこ「なによ。真姫ちゃん、黙っちゃって。にこの話、聞いてる?」


真姫「ええ、聞いてるわよ。にこちゃんが、荒唐無稽な“夢”を持ってて、それを叶えられるかどうかよね」

にこ「そうそう! 真姫ちゃんは応援してくれるよねっ!」

真姫「そうね・・・・。ねえ、にこちゃん、一つ質問してもいいかしら」

にこ「質問?」

真姫「ええ。にこちゃんが、その馬鹿げた“夢”を叶えられるかどうかが分かる質問」

にこ「馬鹿げたってなによ! でも、いいわ、なんでも質問なさい! 絶対に正解してやるんだから!」

真姫「質問というよりは、ケーススタディーみたいなものなんだけどね」

真姫「これは、実際にあった事なんだけど、それを今から話すわね。それで、もし、その状況に立たされたとして、にこちゃんだったらどうするか、それを答えて」

にこ「へえ、いいわよ」

希「お? なんやなんや。面白そうやん」

絵里「そうね、面白そう。私もやってみようかな」

凛「凛も知りたいよ!」

海未「私も気になりますね」


真姫「そう。それじゃ話すわね」



真姫「昔ね、オーケストラの指揮者に、レナード・バーンスタインという人がいたの」

真姫「バーンスタインはとても激しい曲調で演奏する指揮者として有名だった。その独創性から、クラシック音楽が好きな人だったら、バーンスタインの名を知らない人はいない程に有名で、それこそ歴史に名を残すほどに偉大な人物だったの」


真姫「ある時、そんなバーンスタインの元に指揮者志望の青年がやってきて、こんな質問をしたの」

真姫「『私はあなたに憧れています。私もあなたのような指揮者になれるでしょうか?』ってね」

真姫「・・・・ちなみに、穂乃果」

穂乃果「んっ?」

真姫「ここまでの話で、指揮者の部分をアイドルに変えて、後輩が『私も高坂先輩のようなアイドルになれるでしょうか?』って聞いてきたら、なんて答える?」

穂乃果「ええっ/// 照れちゃうなあ///」

真姫「例え話よ。穂乃果がトップレベルのアイドルだと仮定して考えてみて」

穂乃果「そうだねえ、どう答えるかなあ・・・。多分『絶対なれるよっ!』って言って励ますかな?」

凛「穂乃果ちゃんらしい! 凛も同じこと言うと思うよ」

真姫「なるほどね」

穂乃果「その有名な指揮者さんも、同じことを言ったの?」

真姫「いいえ。バーンスタインは青年に、こう即答したらしいわ」



真姫「無理だね」



穂乃果「えっ・・・・?」

凛「ひどい・・・・」

絵里「なによそれ・・・」



にこ「・・・・・・」

絵里「意味が分からないわ。だって、バーンスタインは青年とは初対面だったんでしょ? なんで即答できたの? 指揮者になる才能があるかどうか、演奏を聴いたりしないと判断できるわけないじゃない」

海未「武道であれば、対峙した時に、相手の構えや呼吸、目つき、耳の形などを一目見ただけで相手の実力を察する事ができます。それと同じように、バーンスタインも青年の指揮者としての才能を一瞬で見破ってしまったのでしょうか?」

真姫「花陽はどう思った? トップアイドル、例えばツバサみたいな人に『あなたはアイドルになれない』って言われたらどうする?」

花陽「ええっ?! そ、そんなこと言われたら・・・立ち直れないかも・・・・」グスッ

真姫「・・・にこちゃんはどう思う? もしツバサに、『あなたはアイドルになれない』って言われたらどうする? やっぱり花陽のように自信を無くしてしまう?」

にこ「別に、どうもしないわよ。誰になんと言われようと、私はアイドルを続けるに決まってるじゃない! 第一、私だったらそもそも聞かないわよ。相手がツバサだろうが、世界一のアイドルだろうがね!」

真姫「!?」

凛「聞かないって?」

にこ「自分がアイドルになれるかどうか、って所よ! だって、にこは宇宙一のアイドルなのよ? 宇宙一のアイドルが、その他の格下のアイドルに『にこは~、アイドルになれますか~?』なんて聞くわけないじゃない!」

凛「にこちゃんはバカだにゃ~。にこちゃんはただのスクールアイドルでしょ~」

にこ「バカでもなんでもいいわよ! 今はスクールアイドルかもしれないけど、それと同時に未来の宇宙No.1アイドルでもあるんだから!」



真姫「・・・・そう」

真姫「・・・・にこちゃんならそう言うと思った」

にこ「どういう意味よ?」

真姫「話の続きなんだけど、青年も絵里と同じ疑問を持ったの。演奏を聴いた訳でもないのに、なんで即答したのか。だから青年はバーンスタインに聞き返したの。『どうしてですか? 私には才能がありませんか?』ってね」

絵里「そう。そこが気になるわ。なんて答えたの?」

真姫「バーンスタインはこう答えた『あんたの才能のことなど知らん。あんたが指揮者になれないのは、私にそんな質問をしたからだ』」

絵里「才能は関係ないってこと・・・・? えっと、どういう意味かしら?」

真姫「これは、つまり、こういう風に解釈できるわ」

真姫「その道を極める事ができる人物は、常に自分を信じて、周りのどんな疑問の目にも惑わされず、更に、どんな悪い環境であっても、自分を高め続けて、やがて誰にも到達できない領域に辿りつくってこと」

穂乃果「・・・・・・・・・・」

真姫「青年が “自分は指揮者になれるだろうか?” ということを他人に聞いてしまったのは、自分を信じていないって事。だから、その時点で、青年は指揮者になれない、とバーンスタインは判断したわけね」

絵里「な、なるほど・・・。深くて、納得できる話だわ。・・・・ん? 待ってよ! ということは、にこは・・・」

真姫「そう。この逸話を正とするならば、にこちゃんはバーンスタインと同じで、頂点に立てる考え方を持つ人ってことね」

にこ「えっ?!////」ドキッ

絵里「さすがにこね!」



穂乃果「う、うん。にこちゃんは確かにすごい・・・・けど」ボソボソ

海未「ええ、真姫のお話、とても興味深い物でした。確かに、偉人というのは有名になるまでは、周りからは変な目で見られることが多いと聞きますし」

ことり「にこちゃんはやっぱり100兆人を集めるアイドルになれるってこと!」

花陽「私もそう思います! 一緒にスクールアイドルやってて、にこちゃんて本当にすごい人だって思うもん! にこちゃんと会えて本当に良かった!」

凛「えっと、えっと! とりあえずここ! 凛のパジャマにサインして! 今の内にサインもらっておかないと!」グイッ



穂乃果(真姫ちゃん・・・・今のお話・・・。“夢”を叶えるためだったら、どんな事があっても周りに惑わされないってことだよね・・・? それが例え家族であっても・・・)

穂乃果(真姫ちゃんは・・・そこまで分かっているなら、どうして自分の本当の“夢”には蓋をしちゃうの・・・?)

穂乃果(・・・・・・・分かっているからこそ・・・なのかな?)

穂乃果(勝手に自分で限界を作っちゃって、それで“夢”が叶わないと、諦めちゃっているの・・・・?)



穂乃果(・・・・・・・・・・・・・でも、大丈夫だよね!)

穂乃果(だって、未来の希ちゃんが言ってたもん! 穂乃果はなんの役にも立たないかもだけど・・・。真姫ちゃんは絶対なんとかなるからね!!)グッ

真姫「な、なによ、穂乃果。こっち見て・・・?」



希「にこっちは頂点に立てる・・・か。それはホンマやろなあ・・・。これはお世辞なんかやないんよ。にこっちのその自信は絶対嘘じゃないって言えるもん」

希「こんなこと言ったら失礼かもしれんけど、にこっちのお家はお世辞にも裕福な家とはいえんよね。そんな中で、働いているお母さんに代って、にこっちは家事や妹さんたちの世話もせなあかんから、忙しい。それでもにこっちはずっと、アイドルを目指してたんよね」

にこ「別に、そんなの当たり前のことじゃない」

希「それだけじゃないよ。にこっちは、一人っきりになっても、ラブライブの前にμ’sが解散しかけた時も、諦めず、ずっと、ずっとアイドル研究部を廃部にしないで守ってくれたやん。そんな環境でアイドルを目指し続けるなんて、普通の人には絶対真似できへんよ」

にこ「も、もう昔の事はいいでしょ! そんなこと、大したことじゃないんだから・・・」

にこ「ただ、自分でも良くやったと思うのは・・・。たまたま舞い込んで来た、穂乃果っていうチャンスに賭けて、その賭けに勝った所かなって・・・!/////」プイッ

穂乃果「へっ?!」ビクッ

穂乃果「ほ、穂乃果?」キョトン

ことり「クスクス」

海未「穂乃果。にこに褒められているんです。素直に喜んでください」

穂乃果「えっ? そうなの? えへへ/// そ、そんな恐れ多いよぉ///」テレテレ

凛「おお! にこちゃんが誰かを褒めるなんて珍しいにゃ!!」

にこ「う、うるさいっ!///」


希「あのな、にこっち、たまたま舞い込んで来たチャンスって言うたけどな、神様はな、諦めない人にしかチャンスを与えんのよ。だからこそ、そんな諦めなかったにこっちの所に穂乃果ちゃんがやってきた。そして、みんなが集まった」

絵里「そうね。私はにこよりずっと恵まれた環境だったと思うけど、バレエを途中で諦めてしまった・・・。でも、にこはずっとアイドルを諦めなかったものね・・・。ちょっと悔しいけど、私じゃにこの足元にも及ばないわね」

にこ「希・・・絵里・・・」

希「諦めなければ、これからも一杯一杯チャンスがあるはずや。それを掴んで、そして・・・将来は絶対に宇宙No.1アイドルになるんよ・・・・!」

にこ「な、なによ・・・あんたたち・・・」

にこ「今までさんざん、にこのことからかってたくせに・・・・」

絵里「別にからかうつもりなんてなかったわよ」


凛「そーにゃ、そーにゃ。にこちゃんには芸人魂があるんだもん、仕方ないよ」

にこ「そうそう、芸人魂ね。渾身のイタイにこにーボケで、どーんな強面のおじさんでも、たちどころに、にっこり笑顔に―――ってぇ! にこのどぉこが芸人でイタくて裏表があって腹黒なのよ!」

凛「そーいうノリ突込みに抜群のキレがあるところ!」

絵里「ふふ、そうやって笑わせることって大事だと思うわ。真姫と花陽もそう思うわよね」

真姫「えっ? あ、ああ、そうね」カミノケクルクル

花陽「うんうん! 歌って踊るだけのアイドルはもう時代遅れです! 黒歴史とヤケド覚悟でボケをかましていなかきゃ!」

にこ「あーもう! 分かったわよ! 笑顔にすることができるんだったら、お笑いでも芸人アイドルでもなんだってやってやるわよ!」

絵里「ふふっ。にこったら。ええ、きっとできるわ」

真姫「・・・そうね、ただこうやって話しているだけで、私、すごく面白いし・・・///」ボソボソ



希「ほんまにね、にこっちは面白いなあ・・・」グスッ

希「あら? おかしいな、なんか涙出て来た」グスッ

にこ「は、はぁ? なんで急に泣いてんのよ・・・」

希「にこっちが面白すぎるからだと思うんよ、あはは」グスグス

絵里「私も涙出てきちゃった・・・」ウルッ

にこ「だ、だからなんでよ・・・」

絵里「なんでかしらね・・・・・。多分、大きな夢を語るにこを見ると、急に遠く行ってしまったような気がしたから、かしら・・・。そう思うと、卒業と同時ににこは手の届かない存在になってしまいそうで・・・」ギュ

希「うん・・・。にこっちの事を考えれば考える程、にこっちって立派な人だなあって思って、するとなんか、にこっちが雲の上の人のように気がしてな・・・」ギュ


にこ「な、なんなのよあんたたち。抱き着かないでよ・・・・暑苦しいじゃない」


希「ええやろ、にこっちはウチにとって一番の友達なんやから・・・」ギュ

絵里「私、もっと早くにこと友達になれなかったことが、悔しい・・・」ギュ

絵里「にこ・・・・。今まで、見て見ぬふりして、つらいときに支えてあげられなくて、本当にごめんなさい・・・。私、生徒会長だったのに、生徒一人支えてあげられなかった・・・」ポロポロ

希「にこっち・・・本当に、ありがとう・・・。みんなが集まるまで、アイドル研究部を、あの場所を、作って、そして守ってくれてありがとう・・・。たった一人で、こんな小さい体で、長い事背負って、大変やったろ・・・」グスグス

にこ「小さいってなによ! ・・・・私は、ただ・・・みんなの前で歌って、ダンスして、みんなと一緒に盛り上がって、明日からまた頑張ろうって、そういう気持ちにさせるアイドルが大好きで・・・その想いだけで・・・・・・そ、そう! 自分のためよ! 自分のために好き勝手に今までやってきただけなんだから!」フイッ

にこ「だっ、だから、私は、あんたらに感謝されたり謝られる筋合いはないのよ!」グシグシ

絵里「ううん。私は、にこに『アイドルは笑顔を見せる仕事じゃない。笑顔にさせる仕事』だって、その身を以て教えてくれた・・・。それで私、にこにたくさん笑顔にしてもらった・・・。感謝してもしきれない」

希「ずっと一人だったウチに、にこっちは夢のような時間をたくさん与えてくれたんよ・・・ううん、ウチだけじゃないやろうな。だから、にこっちがなんと言おうと、にこっちがやってきたことは、みんなのためになった」

にこ「しつこいわねぇあんたらも・・・・。もういいわ、好きなだけ勝手に泣いてれば? ふんっ」ゴシゴシ

希「ああ、にこっち、にこっち・・・。これからもにこっちとは離れたくないなあ・・・」






海未「・・・・・・・・・」ウツムキ

ことり「・・・・・・・・・」ウツムキ

花陽「・・・・・・・・・」ウツムキ

真姫「・・・・・・・・・」ウツムキ

凛「なんか寂しくなってきちゃったにゃあ・・・・」












穂乃果「あー!!!」

にこ「わっ?! な、なによ、急に大声出して」

穂乃果「今ままでの事とか、なんとかって! そういう懐かしさにひたるのはやめようよ! この中の誰かが遠くの存在になったとしても、私達は会いたいって思ったら絶対にまた会える! 何かがあって離れそうになっても、また会えると笑いあいたい!」

穂乃果「だから、例え卒業とかで離れ離れになる時が来ても・・・さよならは取っておいておこうよ! もしもの時まで!」



穂乃果「私は! いまはいまの楽しさで! はしゃぎたいな! みんなと!」



凛「穂乃果ちゃん・・・」

花陽「・・・・・・・・・」

真姫「・・・・・・・・・」


海未「・・・・・・・・・ふふっ」

海未「相変わらず、なんて無茶苦茶な事を言うのでしょう、穂乃果は」

ことり「穂乃果ちゃんらしくて、私は大好きだよ♪」

真姫「私達は腐れ縁みたいなものなんだから、離れようと思っても、できないんじゃない? ・・・って、思わナクモナイケド」ボソボソ カミノケクルクル

花陽「うん! 真姫ちゃんの言う通りだと思うな」

凛「我々の絆は永遠に不滅にゃー!」


希「みんな・・・」

絵里「・・・・そうね。いつまでもわがままを言って、にこの足かせになっちゃダメだものね」

絵里「ごめんなさい、私ったらみっともない所を見せてしまって」グシグシ



にこ「・・・・・・・」










にこ「・・・・・!」グッ


バッ バッ


絵里「えっ?」

希「にこっち?」


ギュム! ギュム!


絵里「きゃ?!」グイッ

希「んむっ?!」グイッ



にこ「・・・・こちょこちょこちょ」コチョコチョ



絵里「ちょ、ちょっとにこ?! んっ?! くっ、うっ、ふっ、うっふっ」ピクピク

希「あっ/// んっ/// 脇はあかーん!」ビクビク




にこ「・・・・・足かせでもなんでもいいわよ」

絵里「えっ?」


にこ「私の傍に居たきゃ、そうすればいい。傍に居たくなきゃ、離れればいい」

にこ「私はどんなことがあったって大銀河宇宙No.1のスーパーアイドルになるから」


にこ「だけど、これだけは忘れないで」


にこ「悲しい時、寂しい時、笑いたい時・・・。そんな時は私を見なさい。絶対に笑顔にしてみせるんだから」

にこ「距離も時間も関係ない。いつだって、宇宙のどこに居たって、私はみんなの事を笑顔にする。今みたいにね」


にこ「それが矢澤にこというアイドルの使命だから」



絵里「・・・・・・・・・・・」ポカーン

希「・・・・・・・・・・・」ポカーン



にこ「な、なによっ」



絵里「にこっ・・・すてきっ///」ポッ

希「濡れてもうた。にこっち、抱いて」ズイッ


にこ「なっ!?/// そ、そういうのはダメ!/// にこはみんなのモノ!」






海未「は、破廉恥ですぅ!///」

ことり「あははっ。絵里ちゃんも希ちゃんも、にこちゃんには敵わないね☆」

花陽「にこちゃんすごい・・・・!! あっという間にみんな笑顔にしちゃった!! あれが大銀河宇宙No.1アイドルの実力・・・・・!!!」

真姫「・・・・まるで魔法ね」カミノケクルクル

穂乃果「!!! うん! そう! にこちゃんはまほうつかいなんだよ! 笑顔を届けるにっこりの魔法でみんなを笑顔にしてくれるの! 幸せにしてくれるの!」

真姫「ふーん・・・」カミノケクルクル

凛「そういう真姫ちゃんは不機嫌そうだね?」

真姫「ヴぇつに・・・」カミノケクルクル

凛「あーわかったー。にこちゃんに構ってもらンガッ?!!」口抑えられ

真姫「・・・・・ふんっ」



希「なあ、にこっち。ライブが決まったら、そのチケット、ウチに頂戴な?」

にこ「ええ、もちろんよ。100億万円の価値がある最前席チケットを、と・く・べ・つ・に! 用意してやるわよ!」


真姫「!! わっ、私にもそのチケット・・・頂戴・・・よネッ!///」ボソッ

にこ「え~? 真姫ちゃんは~、自分で買えるんじゃ~?」

真姫「なによっ!」

にこ「冗談! ちゃんと真姫ちゃんにも用意するから! 楽しみにしてなさいよねっ!」ニコッ

真姫「/// あっ、当たり前よっ!///」プイッ

真姫「・・・・・・・・・・・アリガト///」ウツムキ



ことり「にこちゃんかぁっこいい♪」ギュ

にこ「ことり?」

凛「あ! ずるいにゃ!」ガバッ

にこ「わあ?! 危ないじゃない!」

凛「今の内ににこちゃんにいっぱい触っておきたいの!」ギュウ

花陽「に、にこちゃん・・・・私も///」ギュ

にこ「花陽まで~。もうっ、しょうがないわねー」ギュ

真姫「・・・・・・・・」にこ袖ギュ

海未「にこ・・・。宇宙No.1アイドルになるのはいいですが、そのために、まずは地道な練習の積み重ねが必要なはずです」

にこ「海未?」

海未「ですから・・・。その・・・。差し出がましいかもしれませんが・・・。まだ、今は、少なくとも卒業するまでは・・・。もっと、たくさん、私達と一緒に練習して、一緒にライブ、してください・・・・・・ね///」ニギ

にこ「もちろんよ!」


にこ「あんた達との時間はスーパーアイドルにこにーの原点。そして・・・みんなのために、いずれ私は―――」



にこ「アイドルの高見。必ず立ってみせるわ!」グッ



絵里「にこ///」スリスリ

希「にこっち~」ワシワシ

にこ「あっ?!/// ちょ、ちょっと! どさくさにまぎれて何やってのよ! んっ/// や、やめなさいってのぉ!」ジタバタ



穂乃果「にこちゃん・・・・!」

穂乃果(みんなに囲まれてる背の低い可愛いにこちゃん。そんな、にこちゃんだけど―――)

穂乃果(どうしてかな、夢を語った今のにこちゃんは、すごく大きく見える。逞しく見える。真っ直ぐな眼差しが、眩しいくらいに輝いてる。かっこいい)



穂乃果(にこちゃんはやっぱりすごい)

穂乃果(根拠なんてないけど、にこちゃんだったら、本当になんでもできるって、そう思える。確信が持てる)


穂乃果「あっ・・・」


穂乃果(そっか・・・。私分かったよ)

穂乃果(“夢”を叶えるのに根拠なんていらないんだ。理屈じゃないんだ)

穂乃果(人間その気になれば、なんだってできる!)

穂乃果(そっか・・・。そっか! やっぱりあれは間違ってなかった!)

穂乃果(にこちゃん! 教えてくれてありがとう!)




穂乃果「にこちゃーん!!!」ガバッ

にこ「ああもう! 穂乃果までぇ! あんた達、重いっての! もう離れなさ―い!」











叶え! みんなの“夢”! ☆彡。.:・*゚











おわり




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三月末日
アイドル研究部 部室




ガチャ

にこ「あっ! 何よこれ!」

にこ「穂乃果と絵里が付けてた変な片メガネ、可愛くなるヘアバンド、賢くなる帽子、広島弁になる小刀・・・他にも一杯!」

にこ「せっかく片付けたのに! 誰よガラクタをこんなに散らかしたのは!」プンプン

にこ「ん? 書置きがある。なになに?」

“ちょっと置いてるだけだから! 捨てないでね!  by穂乃果”

にこ「穂乃果ね! もー! 許さないわよ! ガツンと言ってやる! ・・・・・」


にこ「・・・・・・やっぱいいか」


にこ「もう、私は部長でもなんでもないんだし。口出ししちゃだめよね。あの子らには、あの子らのやり方があるんだから」

にこ「それに、最後、最後って言い訳して・・・未練がましく今日来ちゃった私なんかが、偉そうな事言えないわよね」

にこ「・・・・・・・」

にこ「はあー。まったく、こんなんで大丈夫なんでしょうねえ穂乃果は」

にこ「まあ、海未あたりが黙ってないでしょうから、大丈夫かな」クスッ

にこ「・・・・・・・・・・」


トコトコ

ストン


にこ「・・・・・・・・・」

シーン....

にこ「静かね・・・・」

にこ「部室に一人いるこの感じ、久しぶり。一年ぶり・・・ってとこかしら」

にこ「でも、あの時と、なんか違うのよね」

にこ「なんでかしら。あの時は運動部の子達の声とか、遠くから聞こえてたりしてたけど、それが無いからかしら」

にこ「それにここにあった、ポスター、雑誌、DVDも全部持ち帰って、すっきりしちゃったし」

にこ「・・・・ううん。それだけじゃないかな。ラブライブの優勝旗とトロフィーがあるし、そしてなにより・・・・」

にこ「今は傍にはいないけど、私はもう一人じゃないから」


にこ「そう思うと、なんだか、すごく、胸が温かい・・・」キュ

にこ「心地よい・・・・」

シーン....

にこ「本当に静か・・・。まるで学校そのものが眠ってるみたい」

にこ「後数日もすれば、学校が目を覚まして、在校生とたくさんの新入生を向かい入れるのね・・・」

にこ「ふふっ、私ったらロマンチストね」

シーン....

にこ「・・・・・学校が眠ってる・・・・か」


にこ「あっ、そうだ」

にこ「穂乃果が置いたガラクタの中に・・・」ガサゴソ

にこ「あった。これ、確か夢の赤い糸って言ってたわよね」

にこ「これを眠った相手に結んで、自分も眠ると未来の夢を見られるとか」

にこ「眠っている “学校” に対しても使えるのかしら・・・?」


にこ「・・・・・使えたとして、未来って、見てもいいものなのかな」

にこ「軽々しく未来を見るのって、よくない・・・。穂乃果がそんなこと漏らしてた気がする」

にこ「もしかしたら、知らなきゃ良かったなんて思えるような辛いことがあるかもしれない・・・」



にこ「・・・・・・」

にこ「・・・・・・」

にこ「・・・・・・いいよね」

にこ「私はアイドル研究部の創部者として、例え辛い未来があったとしても、それを見届ける義務がある!」

にこ「よしっ、使っちゃお」

にこ「えーっと、まずは私の小指に結んで、もう片方は・・・。どこに付ければいいのかしら」

にこ「学校に取り付けるってどうやるのかしら? 壁とかかな? でも、壁に結ぶのってどうやったら・・・??」

にこ「うーむ・・・」


ヒラッ....



にこ「あっ、桜の花びらが、部室に入って来た」



ヒラッ, ヒラッ



にこ「きれい・・・・」

にこ「音ノ木坂学院には桜の木がたくさんあるものね」

にこ「桜の木・・・・」

にこ「音ノ木・・・・」

にこ「・・・・あっ! そうだ!」タタッ


---------------



にこ「この学校が、始まった時からある、桜の古木」

にこ「桜の花、きれい・・・・満開ね」

サザー....

にこ「んっ、風が・・・」


ヒラ   ヒラ  ヒラ ヒラ 
  ヒラ  ヒラ
 ヒラ  ヒラ  ヒラ



にこ「わぁ・・・。桜吹雪が・・・・。きれい」

サザー....

にこ「春風も、暖かくて、いい匂いで、気持ちい・・・・」



にこ「・・・・噂があったわね」

にこ「この桜の大木は、音ノ木坂学院の歴史そのものと言える古木。廃校と同時に力尽きて倒れてしまうんじゃないかって」

にこ「・・・・こんなのにも立派な桜吹雪を降らせているのに、力尽きるとは思えないんだけど」

にこ「何より、もう廃校からは救われているんだから、大丈夫よね?」


サワサワ....


にこ「よっと」タッ

にこ「・・・・改めて近くで見ると、本当に大きな桜の木ね。古いけど、すごくしっかりしてて、なんか見てるだけで心強く感じる」

にこ「さて、どこかに夢の赤い糸を結べそうなところは・・・」マジマジ

にこ「あら、こんな所に新しい枝木が生えてる?」


にこ「・・・・・ふふっ」

にこ「誰よ、枯れるなんて言ってたのは」

にこ「なんか嬉しい。廃校から救ったから、生えてくれたみたいで」


にこ「ちょっとの間だけ、軽く糸を結ばせてもらうわね」キュ

にこ「それから、座ってと。背中を寄りかからせてね」ストン

にこ「よし、これで後は私が眠れば、未来の学校を見られるはず」



サワサワ.....



にこ「すー・・・、はー・・・」

にこ「春の暖かい良い匂い・・・」

にこ「木漏れ日と、桜吹雪に包まれて・・・・」

にこ「それに、周りはとても静かで、枝が風に揺れる音だけが聞こえて、それが心地よい・・・。とても穏やかな気分・・・・」

にこ「すぐに・・・・眠れそ・・・・・」

にこ「・・・・・・すぅ」



・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・





にこ『・・・・・・・』

にこ『・・・・・・・』


にこ『・・・・んっ』

にこ『んんっ・・・・・?』

にこ『あ、あれ? いつのまにか、私、部室に戻ってきちゃった?』


ガチャ


凛「あれ~? 部室、こんなに寂しかったっけ・・・。がら~んとしてるにゃぁ・・・」

にこ『り、凛?!』ビクッ

にこ『なんであなた、いまここに・・・』

真姫「ここにあったポスター、雑誌、DVD類は全部にこちゃんが持ち帰ったじゃない」

凛「そっかあ・・・。あるのはラブライブの優勝旗とトロフィーだけ・・・じゃない?!」

花陽「何か見覚えがある物がたくさん置いてあるけど・・・」

にこ『ね、ねえ、あなたたち、ちょっと』

凛「あっ! この前遊んだオモチャだにゃ! あー、穂乃果ちゃんが置きっぱなしにしたんだ。よーし! うーみーちゃんにー、言―ってやろー♪」

真姫「あのくだらない機械ね。せっかっく片付けたのに散らかさないで欲しいわ!」


にこ『真姫、花陽・・・』

にこ『・・・・私が見えてないの?』

にこ『私はここにいるけど・・・いない』

にこ『おかしい・・・でも、おかしいとは思えない』

にこ『・・・・なんだろ。この感覚・・・。ふわふわして・・・学校全体が見える・・・感じられるような・・・』

にこ『不思議・・・』


花陽「あはは・・・。とりあえず、これは端っこに置かせてもらおう。代わりにこっちを」ドサドサッ

凛「それは何?」

花陽「家にある資料を持ってきたの♪」

凛「おおっ、かよちんちにあったポスター、雑誌、DVDだね! これを置けば元通りにゃー!」

真姫「ちょっとー。部室、せっかくすっきりしてたのに、またごちゃごちゃにするの? 私は嫌よ」カミノケクルクル

凛「ほらほら真姫ちゃんも出すの手伝うにゃー!」

真姫「ちょっと聞いてるの?! ・・・・もうっ! まったくー、しょうがないわねー!」


雪穂「あっ! あのっ! 手伝いますっ」

亜里沙「私もやります!」


花陽「そんな悪いよぉ。入学式が終わったばかりなのに」

雪穂「い、いえ! 無理言って部室を見させて頂きましたし、なにより後輩としてお手伝いするのは当然ですから!」ガチガチ

亜里沙「そうですっ!」ガチガチ

凛「二人ともー! なんでそんなに緊張してるのー? ミュ―――ア、アイドル研究部に先輩後輩は無いんだから!」ニコッ


雪穂「それは、頭では分かってるんですけど・・・。な、なんというかやっぱり恐れ多いです・・・!」

凛「えー? なんでー?」

雪穂「皆さんと同じオトノキの制服を着て、オトノキの部活動を新しく一緒にやるんだと思うと、やっぱり先輩だなって意識してしまって・・・。それに皆さんは本当にすごい人達ですし!」

亜里沙「うんうん!」コクッコクッ

凛「そんな///」テヘテヘ


花陽「ありがとう、雪穂ちゃん、亜里沙ちゃん。でも、やっぱりお手伝いはいいよ」

凛「あ、うん! だってね、これから来週にある新入生歓迎会でやるライブの作戦会議もやるの! だから二人は早く行った行った!」

雪穂「えっ、でも・・・」

花陽「その気持ちは嬉しいよ。でも、ご家族の人待ってるんじゃない? 穂乃果ちゃんの生徒会長の仕事もそろそろ終わる頃だし。写真とか撮りたいでしょ」

雪穂「写真・・・!」

雪穂「そうですね・・・。私、お姉ちゃんと一緒の制服着て、家族で一緒に写真に写るのが“夢”だったんです」

花陽「うん」ニコッ

花陽「その“夢”早く叶えきゃ」

真姫「早く行かないと、桜散っちゃうわよ」ニコッ

雪穂「・・・・・はい。はい! では、すいません! し、失礼します!」

亜里沙「しつれいします!」

花陽「うん、また明日ね」

真姫「またね」

凛「ライブ、楽しみにしててねー!」

ゆきあり「「はいっ!」」

雪穂「亜里沙、行こう!」

亜里沙「うんっ!」


ガチャ
タッタッタッ....


花陽「雪穂ちゃん、亜里沙ちゃん。可愛くって、とっても元気」

花陽「よかったあ・・・少なくとも、そんな二人は絶対アイドル研究部に入ってくれるから・・・」

真姫「なに? もしかして、アイドル研究部に入ってくれる新入生が全然いないんじゃないかとか、そんな心配してたわけ?」

花陽「うん・・・・・」

真姫「私達、あんなに目立ったのよ? きっとたくさんの新入生が入部してくれるわよ」

花陽「そうだといいんだけど・・・」


凛「・・・・・・・なんか、足りない」

真姫「凛? なんかってなによ。また部室ごちゃごちゃにするのに」

凛「そうじゃなくてさぁ・・・」

凛「そうだ、にこちゃんだ」

真姫「にこちゃん?」

凛「そうそう、一年生組と言ったら、凛とかよちんと真姫ちゃんとにこちゃんにゃ」

真姫「ああ・・・確かに4人で一緒にいる事は多かった気がするわね」

凛「はぁー・・・・。飽きるぐらい一緒にいたはずなのになー・・・いざいなくなると・・・」グテー


真姫「そうね・・・。凛の言う通り、物足りないわね・・・」

にこ『ちょっと! あなた達はもう一年生じゃないし! そもそも私はあなた達より上級生なんだけど! 失礼ね!』

真姫「いつまでも引きずるのはやめましょう。これから忙しくなるんだから」

凛「そうだね。気持ちを新たにしないと」


凛「あっ! そうだ! 気持ちを新たにってことで、新しい部の基本方針! みたいなの決めない?」

真姫「あらいいわね、それ。音ノ木坂スクールアイドルをする上での信念みたいなやつね」

花陽「信念かぁ・・・・。あっ!」

花陽「だったらあれしかないよ!」

凛「なになに?」

花陽「アイドルは笑顔を見せる仕事じゃない。笑顔にさせる仕事!」

にこ『あ、あら/// 花陽、分かってるじゃない///』

凛「えー? またそれー? 毎日聞かされてたから飽きたにゃー・・・・」

花陽「それだけ大事ってことなの!」

凛「うーん・・・。かよちん部長がそう言うなら・・・」

真姫「まあ、それが第一にあってもいいけど・・・。もっと、他にも無いかしら。私達らしい色っていうか、そういうのを出していきたいんだけど」

凛「そーにゃ! そーにゃ! アイドル研究部はかよちん部長の部なんだから、かよちん部長が新しく何か考えなきゃ!」

にこ『一理あるわね。いつまでも私の真似をしてたんじゃ進歩しないわよ』

花陽「えっ? そ、そうかなあ・・・?」

真姫「新しい基本方針、作りましょうよ。何かない? アイドルをするときに心がけるべきことでいいんだけど」

花陽「えっと・・・。それじゃあ、穂乃果ちゃん達の意見を―――」

真姫「花陽。それは待った」

花陽「えっ?」

真姫「確かに穂乃果達の意見を聞くのは重要。だけどね、生徒数が一気に増えた今、生徒会の運営は絵里が生徒会長をやっていた頃よりずっと忙しくなると思うの。ということは、アイドル研究部の運営は事実上私達だけでやらないといけなくなる」

真姫「これからは、何かあったら私達だけで判断して、こなさなきゃいけないことがたくさんあると思う。だから、今からでも穂乃果達に頼るのは、極力やめない?」

花陽「で、でも、上級生を差し置いて勝手にやるのは・・・」

凛「いいの! 穂乃果ちゃん達は確かに上級生だけど、アイドル研究部の部長はかよちんなの! だから、ここではかよちんが一番偉いんだから、だれも文句言わないよ!」

花陽「だ、だからって、私なんかが決めなくても・・・」

にこ『いい加減にしなさい花陽! 私はあなたを信じて部を託したのよ! あなたを信じたのはあなたのアイドルの知識だけじゃない、助けてくれる仲間がいるからなのよ! だから、そんな仲間の言う事にこれ以上耳を傾けないなんて許さないわよ!』

花陽「!」


花陽「・・・・・・・あっ」

真姫「あった?」

花陽「うん・・・・」

凛「どんなの? 教えて教えて!」

花陽「全力投球・・・かな?」

真姫「全力投球? ・・・あらっ? それは・・・ふふっ、いいじゃない」ニコッ

凛「凛はライブの時はいつも全力投球だよ?」

花陽「私もそう。だけど、それより大事なのは、全力投球になる理由かなって」

凛「理由?」

花陽「うん。もちろん、一番の理由は、私達自身がアイドルをやりたいって気持ち。でも、それだけじゃダメ」

花陽「ライブってね、アイドル自身だけじゃ成り立たないの。衣装を作ってくれる人、作詞してくれる人、作曲してくれる人が必要なのはもちろん、お客さんの目の付かないところにも、音響さんがいて、照明さんがいて、お客さんの誘導をしてくる人がいて、・・・それ以外にも、私達が気が付かないだけで協力してくる人ってたくさんいると思うの。そのみんなが人生の大事な時間を使ってね・・・そして、素晴らしいライブを作り上げていく」

花陽「そういった人達の輪の中に私がいるって想うと、すごく幸せ。だから、私は手を抜けない。私にできることが少しでもあれば、それに全力投球したい」

凛「かよちん部長・・・!! すごいにゃ! 感動したにゃ!」

花陽「う、うん。だけど、ごめんね。これ、私自身の考えじゃなくて、実は受け売りなんだ・・・」

真姫「そんなの関係ないわ。花陽は長年アイドルを見続けてきて、アイドルの表面じゃなくて、裏側も良く知っている。そんな花陽らしい考えだと思う」

にこ『花陽・・・! いいじゃない! さすが私が見込んだだけの事はあるわ』ホロリ

凛「うん! これで部の基本方針が決まった!」

凛「でも、アイドルの裏側だったら、にこちゃんもよく知ってそうだけど、そんな大事な事、どうして今まで同じ部長だったにこちゃんは教えてくれなかったんだろうね?」

にこ『!?』ギクッ

花陽「多分、穂乃果ちゃん達が最初はメンバー集めや協力者集めとかの全くのゼロからスタートしたから、わざわざ言う必要は無いって思ってたんじゃないかなあ」

凛「そうかなー?」

にこ『そ、そうよ! 私だってゼロからスタートしたんだから良く分かってたけど、言わなくても分かってるだろうからあえて言わなかったのよ!』

真姫「今のにこちゃんが聞いてたら、きっと震え声で、『そ、そうよ! 私だってゼロからスタートしたんだから良く分かってたけど、言わなくても分かってるだろうからあえて言わなかったのよ!』とか言ってそう」

にこ『!?』ギクッ

凛「あははっ! 絶対言ってるにゃー!」

真姫「でも、そう考えると、花陽の言ったことは初心を忘れるべからずとも言えるかしら。にこちゃん、プロのアイドルを目指すのはいいけど、有名になって浮かれてしまって、それで支えてくれる人達の事忘れてしまう・・・・そんな人にはなって欲しくないわよね」

にこ『わ、分かってるわよ! 言われるまでも無い!』

花陽「にこちゃんは一杯苦労した人だから大丈夫だよ。だけど、これから入ってる新入生はゼロからのスタートじゃない。メンバーも協力してくる人も既に居る環境が整ってる。だから、新入生達には、全力投球の意味をちゃんと心に留め置いて欲しい」

真姫「賛成」

凛「任せるにゃ! 叩き込むにゃ!」

花陽「そしてね、にこちゃんは遊びに来てくれるって言ってたから、それまでに、にこちゃんだってびっくりするぐらいすごい部にしておきたいな」

凛「にこちゃんだけじゃなくって、希ちゃんと絵里ちゃんも腰を抜かしちゃうくらいのスーパーアイドルグループにするにゃ!」

真姫「そうね。にぎやかな部にするって約束したし」

凛「うん! 早くみんなに会いたい!」

花陽「うん。会いたいね」



花陽「・・・・ねえ、今から一緒に歌わない?」

真姫「なによ急に」

花陽「会いたいって気分なら歌うのが一番かなって思ったの!」

真姫「・・・・そう。いいわよ。だって、私達はいつでも歌で繋がれるものね。例え遠くにいたってかまわない」

凛「うん! 歌で繋がる! それは、みんなきっと胸の奥でわかりあえている事だからね!」




にこ『真姫、凛、花陽・・・』

にこ『分かってるわよ。私も、繋がれる』

にこ『・・・・・・ありがとう、穂乃果。ここを創部した私だけど、遠くにいても繋がれるみんなをここに連れてきた、そんな奇跡を起こしたのは穂乃果だものね』

にこ『あんたがいなかったら私はみんなと仲間になれなかった』

にこ『ありがとう。穂乃果』


にこ『あれ? そういえば、その穂乃果がここにいないじゃない』

にこ『穂乃果はどうしているのかしら・・・』



---------------




にこ『あれ・・・? ここ、部室じゃない・・・?』

にこ『生徒会室かな』



ガチャ

穂乃果「でぅあー! 緊張したー!!」バタッ


にこ『穂乃果?』

にこ『・・・・んっ? 穂乃果、ちょっと髪伸ばしたかしら? 気のせいかな』


ことり「お疲れ様、穂乃果ちゃん♪ カッコ良かったよ♪」

海未「お疲れ様でした。・・・・それにしても、絵里の言う通りギスギスした雰囲気でしたね。こちらが懇切丁寧に説明しているのに、言葉尻を捉えてはいつまでもネチネチと・・・」

穂乃果「あっ、うんー・・・。A-RISEの人達は私達の事応援して協力してくれる親切な人達だったから、それと同じように和気あいあいとやれると思ってたのになー・・・」

海未「そうはいけませんでしたね。なんだか、あの人達は常に上から目線でしたし。新しい学校というだけでエリート意識でもあるのでしょうか。音ノ木坂のことを古臭い等と見下している感じでしたね」

ことり「ちょっと怖かったよね・・・。そんな音ノ木坂にUTX入学志望の人がたくさん流れたのを良く思ってないのかも?」

海未「ええ、そうでしょうね。その上、UTXの象徴ともいえるA-RISEに勝ったなど、私達が予想以上に活躍されたのも余計に悔しいのでしょう。いい気味です」

ことり「うん・・・。だけど、それはそれで、これからもあんな雰囲気で連絡会をしなきゃいけないって、そう思と、気が重くなるねぇ・・・・」

海未「そうですね・・・・・」

海未「・・・・・・・・」

ことり「・・・・・・・」



穂乃果「大丈夫」

ことうみ「えっ?」

穂乃果「なんとかなるよ」

海未「なんとかって・・・。またそんな根拠のないことを」

穂乃果「大丈夫なの」

穂乃果「後数カ月。次の生徒会長さんのためにも、がんばって仲良くなろっ」ニコッ

海未「確かに、我が校とUTXの関係を改善したうえで次生徒会長に引継ができれば、それはとても良い事です。しかし、あのUTXの方々は一筋縄でいくとは思えませんが・・・」

ことり「できるよ」

海未「ことり・・・?」

ことり「私は穂乃果ちゃんを信じる」

海未「・・・・・・・・・はぁ」

海未「・・・まったく、ことりは穂乃果に甘いんですから」

ことり「うふふ」ニコッ

穂乃果「UTXの人達だって、きっと毎日努力して真剣にやって来た人ばっかりだよ。だからそれだけ、悔しくなる気持ちも強くなっちゃうんだよ」

海未「穂乃果・・・・」

穂乃果「だからさ、UTXの人達を悪く言うのは、もうやめよう?」

海未「・・・・・・・ええ、分かりました」

海未「関係改善を図るには、まずこちらから手を広げて歩み寄らないといけませんもんね。私が浅はかでした・・・・すみません・・・」

穂乃果「ううん! いいの!」

穂乃果「それじゃあ、海未ちゃんの理解を得られたところで! 練習に―――」

海未「行きませんよ」

穂乃果「へっ?! な、なぜに?! 新年度明けの忙しい生徒会の運営もやっと一息ついた所じゃん!」

海未「穂乃果の前回の小テスト、酷い結果でしたよね」

穂乃果「そ、そうだけど・・・」

海未「そして、もうすぐ中間試験です」

穂乃果「分かってるよぉ・・・。だから、試験前には勉強して赤点を取らないくらいには―――」

海未「赤点を取らなければいいと言うものではありません!」ダンッ

穂乃果「ひぃ?!」ビクッ

海未「貴女は生徒会長なのですよ! 全生徒の模範となるべき存在なのですよ! それが赤点ギリギリでどうするんですかっ!! 去年の今頃の絵里を思い出しなさい!!」

穂乃果「ううぅ・・・だってぇ・・・」イジイジ

海未「だっても何もありません!」

ことり「まあまあ、海未ちゃん。たまにはアイドル研究部の方も少し助けあげないと。ね。」

穂乃果「そうだそうだ!」ブーブー

海未「必要ありません! アイドルの基本知識は花陽が、ダンスレッスンは凛が、歌や音楽の指導は真姫がちゃんとやっています! むしろ私達がいると邪魔になります! だから今は自分の事に集中なさい!」

穂乃果「うう! 海未ちゃんのオニー! アクマー! ペチャパイー! むっつりスケベ―! 変顔げいにーん! お前のかーちゃんびーじーんー!」

海未「・・・・・」ゴゴゴゴゴ

穂乃果「ヒェッ......」

ことり「まぁまぁ、落ち着いて・・・」アセアセ



にこ『生徒数もすごい増えただろうし、生徒会は大変そうね』

にこ『穂乃果達は、全然変わってないようだけど、大変なりにやっぱり成長してる気がする』


にこ『・・・・・大変かもしれないけど』

にこ『・・・・・・穂乃果! もっと成長しなさいよ!』

にこ『今の音ノ木坂学院の盛り上がりをいっときで終わらせたら承知しないんだから!』


穂乃果「!」

ことり「どうしたの?」

穂乃果「ううん、なんでもない」


穂乃果「・・・・・・・・ねえ、海未ちゃん」

海未「なんですかっ。言い訳は聞きませんよ!」

穂乃果「それと、ことりちゃん」

ことり「うん?」

穂乃果「こっちきて」

海未「なんなんですか、もう」スタスタ

ことり「どうしたの」トコトコ

ギュゥ

ことり「わっ?! ほ、ホノカチャン?///」

海未「あ! ちょ、ちょっと穂乃果/// 何してるんですか!/// こんなことで誤魔化せるなんて思わないでください!///」ギュ

穂乃果「あのね」

穂乃果「私、恩返しがしたいの」

海未「な、何を突然に」

ことり「誰に?」

穂乃果「みんなに!」

海未「みんな? ミュ―――元μ’sのみんなにですか?」

穂乃果「それも含めてもっと大きく! ヒデコ、フミコ、ミカ、理事長、みんなのお父さんお母さん、SUNNY DAY SONGで協力してくれたみんな、ライブで応援してくれたみんな・・・とにかく私達を支えてくれたみんなにお礼をしたいの!」

海未「はぁ・・・。また、突拍子の無いこと言いますね。ですが、恩返しをするというのには賛成します」

ことり「でもどうやるの? また、お餅を作る?」

穂乃果「それもちょっと考えたけど、物凄い量になるからやめた!」

海未「当然です・・・。それで、他に何か考えがあるんですか?」

穂乃果「それはね・・・!!」

ことうみ「「それは?」」

穂乃果「私が成長する!」

ことうみ「「成長???」」

穂乃果「そう! 例えばね、もっと歌えるようになりたい! 英語の歌とか歌えるようになって、もっと色んな人に私の歌を聞いて欲しい!」

海未「それがどうして恩返しになるんですか?」

穂乃果「えっとね―――」

穂乃果「人から支えられえて成長し、身に付けた力で人を支えたい。支え、支えられて、さらには色んな人の力を借りて、一緒に輝ける何かを築いていきたい。誰かの心を動かす何かに、少しでいいから貢献したい」

海未「えっ、あ、あなたは穂乃果ですか?」

穂乃果「私だよっ! ・・・ま、まあ、今のは厳密に言えば、今のは受け売りなんだけど・・・」

海未「ほっ。そうですよね。随分しっかりした言葉でしたから、びっくりしましたよ」


穂乃果「とにかく! 私はもっと成長したいの! もっと進みたい! もっと活躍したい! もっと飛びたいの! 誰かの心を動かす歌を歌えるようになりたい! それが私達を支えてくれたみんなへの恩返しになると思うの!」

穂乃果「μ’sの夢は叶ったから、これが私の新しい“夢”! だから、海未ちゃん! ことりちゃん!」

海未「はい」

ことり「はーい♪」

穂乃果「二人とも! 私と一緒にやって! お願い!」

ことり「もっちろん! 私は穂乃果ちゃんが行くところならどこまでも付いていくよ♪」

海未「行くって・・・次はどこへ行くと言うんですか、もうっ。・・・しかし、嫌だと言っても穂乃果は無理矢理私達を引きずり込むんですから仕方ありませんね・・・!」

ことり「どこへでも行けるよね! みんなの声でいつまでも飛べるもん!」

穂乃果「そう! 元気いっぱいにね!」

ことり「げんきいっぱい!」

穂乃果「またとーべーるよー!!!」




にこ『支えてくれた人のために恩返し・・・・か』

にこ『支えてくれる人は大事よね』

にこ『花陽も同じような事言ってたわね。ライブは一人じゃできない、協力してくれている人が必ずいる。その人達のために、手を抜かず、全力投球するって』

にこ『私も、支えてくれる人達に恩返しをするつもりで、常に全力投球をしなきゃ』

にこ『・・・こんな、大事な事、私知ってたはずなのに、改めて後輩達に気付かされるなんて、ちょっと悔しいわね』

にこ『でも、逆に言えば、この考えを持ってる穂乃果達や花陽達はこれからも安心ってこと』

にこ『頼むわよ』


にこ『んー・・・。今度は新入生がどんな子達かちょっと気になってきたわ』



---------------


「あ! おねえちゃーん!」タッタッ

「亜里沙、おまたせ」


にこ『・・・・んっ?』

にこ『あら、あの二人、珍しい、金髪の子じゃない。しかもルックスいい』

にこ『おっと、一人は亜里沙ちゃんだった。もう一人は誰かしら。同じく新入生かしら?』


亜里沙「本当に来てくれた! ありがとう! ありがとう!」ピョンピョン

「もうっ、そんなにはしゃがないの。練習前に体力使っちゃだめでしょ」


にこ『もう一人の方、なによあいつ、新入生のくせして、随分態度でかいのね。背も高いし。・・・・おっぱいも大きい。なんかナマイキね』

にこ『絵里を思い出す―――って! あれ、絵里じゃないの!!!!』

にこ『なんで絵里が学校にいるのよ!? 卒業したのになんで普通に登校してんのよ!!』


亜里沙「う、うん。ごめんね。でも、私、嬉しくって・・・!」

絵里「大げさね」

亜里沙「あの・・・っ!」

絵里「どうしたの?」


亜里沙「本当にごめんなさい・・・・。お姉ちゃんは卒業して次の道に進まなきゃいけないのに、私のわがままに付き合わせちゃって・・・・・」

絵里「亜里沙・・・・」ポンッ ナデナデ

亜里沙「んっ///」

絵里「わがままじゃないでしょ」ナデナデ

亜里沙「お姉ちゃん・・・・」

絵里「亜里沙が本当にやりたいことは?」

亜里沙「・・・うん。亜里沙、どうしても、お姉ちゃんと一緒にライブをやりたい・・・!」

絵里「そう。それでいいの。本当にやりたいことから目を逸らしちゃダメ」

絵里「“夢”は、見る物じゃなくて、叶える物、だから」


にこ『絵里・・・』


亜里沙「で、でも、お姉ちゃん、本当に大丈夫? 迷惑じゃない? 大変じゃない?」

絵里「そんなの知らないわ。大切な妹のためだったら、私は何だってするわ♪」

亜里沙「お姉ちゃん・・・・!」

亜里沙「うん、うん! ありがとうお姉ちゃん!」


亜里沙「あっ! そうだっ!」

絵里「どうしたの?」

亜里沙「ユキホと穂乃果さんにユニット組みませんかって誘ってもいい?」

絵里「あら、いいじゃない。シスターズ ってところかしら? ふふっ」

亜里沙「シスターズ!」



にこ『そう・・・。亜里沙ちゃんは、絵里と歌いたかったのね。それが“夢”だったのね』

にこ『・・・ここは、“夢”が叶う場所。そして新しい“夢”が生まれる場所。絵里、あなたなら良く知っているでしょ』

にこ『だから、絵里』

にこ『あんなにも感動的な卒業式をしてくれた後に、OGが在校生の部活のために学校に何度なく登校するのは、なんかちょっと恥ずかしい気もするんだけど・・・』

にこ『亜里沙ちゃんのためなんだから! しっかりやりなさいよ!』



絵里「!」

絵里「・・・・ふふっ」ニコッ

亜里沙「お姉ちゃん?」

絵里「あ、いえ、なんでもないわ。さ、穂乃果の所に行きましょう」スッ

亜里沙「うん!」ギュ トコトコ





---------------


にこ『あら、あの音楽室に居る子』

にこ『あの子も新入生かしら』

にこ『エレナみたいな髪質の子』


ポロン~♪

ポロン~♪


にこ『へえ、ピアノ弾けるの』


~~♪

~~♪


にこ『んんっ? あれは・・・バイオリン? も弾けるの。すごいじゃない』

にこ『でも、あの子。なんというか・・・地味ね。地味地味。入部前の花陽並みに地味。誰も居ない音楽室で一人でピアノやバイオリンを弾いてるんだもん。真姫みたい』


~~♪

~~♪


にこ『・・・・でも』


~~♪

~~♪


にこ『うん・・・・。いい』

にこ『私の高性能カワイコレーダーが反応してる。埋もれるアイドルガールって所ね』

にこ『地味だろうがなんだろうが、あんなに楽しそうに音楽に触れているなら、絶対にアイドルに向いてる。磨けば光る。真姫や花陽がそうであったようにね。大銀河宇宙No.1アイドルの私がそう思うんだから間違いない!』

にこ『そこのあんた! 絶対アイドル研究部に入りなさいよ!!!』



梨子「わっ?! だ、だれかいるの・・・?」キョロキョロ

梨子「アイドル・・・?」

梨子「私、地味だし、アイドルなんて向いてないよ・・・・」

梨子「・・・・・・・・・・」


梨子「アイドル・・・・」







---------------



亜里沙「おーい! おはよう!」

雪穂「遅いよ」

亜里沙「えへへ、ごめんね」





にこ『雪穂ちゃんと、亜里沙ちゃん』

にこ『あれ? なんか急に大人っぽくなったわね。・・・・・なんか、胸も大きいような』

にこ『あっ・・・・二人とも緑色のリボン・・・。そういこと』

にこ『んっ? おかしいわね。この夢の赤い糸で見ている夢の中では、使われている本人以外は未来の姿にならないって穂乃果が言ってた気がするけど』

にこ『・・・・・生徒達は学校の一部ってことかしら』

にこ『・・・そうよね、生徒のいない学校は学校じゃないもんね・・・』


雪穂「いい? まずは一年生に私たちの活動の内容を伝える。もし興味を持ってもらえたら、今度はライブに来てもらう」

亜里沙「大丈夫、任せて!」

雪穂「ほんとかなぁ・・・」


にこ『雪穂ちゃんは、姉に似ないで、クールでしっかりしているわね』

にこ『亜里沙ちゃんの方は・・・。姉に似て、ポンコツな気がする・・・』




雪穂「スクールアイドル、μ's。それは、この音ノ木坂学院で生まれました」

亜里沙「当時、廃校の危機にあった学校を救い、ラブライブ優勝に続きドーム大会と躍進しました」

雪穂「私達は、その想いを受け継いで今まで活動してきました」


にこ『雪穂ちゃん、亜里沙ちゃん・・・・』

にこ『亜里沙ちゃんが持ってるノート。真姫の作曲ノートよね、あれ』

にこ『μ’sを受け継いで・・・か』グスッ

にこ『しかも、私の作ったアイドル研究部にあんなにたくさん人がいるなんて・・・!』

にこ『穂乃果、花陽、雪穂ちゃん、亜里沙ちゃん・・・。ありがとう、にぎやかな部にしてくれてありがとう!』

にこ『すごく嬉しい! ありがとう!』

にこ『ありがとうと なんども言ってもまだ足りない ねっ!』



---------------



にこ『桜の木・・・・? 満開だ』

にこ『あっ、私が眠った時間と場所に戻ってきたのかな』

「矢澤部長!」

にこ『はいっ!?』ビクッ

「はい?」クルッ

「矢澤部長―! あははっ」

にこ『えっ? 私が見えてるの?』

「どうしたの?」

「んーん」

「そう。・・・・・その呼ばれ方、やっぱり恥ずかしいですわ」


にこ『なんだ。別の人か。私と同じ苗字の子が、部長になるのかしら』

にこ『・・・・にしても、この二人。なんか見たことある気が・・・』



「いいじゃん! かっこいいよ!」

「もうっ」

「ねえねえ、にこお姉ちゃんも同じように呼ばれていたのかな?」



にこ『えっ?! にこ? わ、私・・・?』

にこ『・・・・“矢澤部長” “にこ”お姉ちゃん・・・』



「さあ、どうでしょう。当時から先輩後輩は無かったと聞いてますから、そのようなよそよそしい呼ばれ方はされてなかったかもしれませんね」

「そっかあ。とにかく、これからはにこお姉ちゃんみたくならなきゃだよね!」



にこ『えっ? ま、まさか・・・? この二人は・・・・』

にこ『こ、こ、こっ、こころとここあぁぁああ!!??』

にこ『えっ! えっ! うっそ! ホント?!』



こころ「お姉さまみたく・・・ですか。ふぅ・・・・」

ここあ「なーに、そのため息」



にこ『わあ! わあ///』

にこ『二人ともこんなに大きくなって・・・』

にこ『しかも音ノ木坂の制服着てる!!』

にこ『な、なにこれぇ/// やだもぉ///』ニヘラァ



こころ「いえ・・・。少し、プレッシャーを感じてて・・・・」

ここあ「ぷれっしゃー? なにそれ、おいしいの?」



にこ『うふっ///』ニヘ

にこ『うふっ。ふっ・・・うっ、うっ、ううぅ』

にこ『嬉しい・・・・すごい嬉しいよぉ・・・』ウルッ

にこ『毎日もやしばっかりしか食べさせてあげられてないのに、こんなにも大きくなって・・・・』ウルウル

にこ『お姉ちゃんより背、高いんじゃないの? もぉ、悔しいなぁ・・・・。悔しいけど・・・嬉しい。嬉し過ぎるよぉ・・・・えぐっ・・・』グシグシ



こころ「学校を廃校から救って、ライブライブで優勝して、アメリカやドーム大会でもライブをした・・・。そんな伝説的な活動を率いたお姉さまの部が長年代々受け継がれて、そして今度は私がその部を責任を持って背負うんです。しっかりやらないとお姉さまに顔向けできません!」

ここあ「へー」



にこ『こころぉ・・・。しっかり真面目に考えて・・・。責任感があって・・・偉いじゃない・・・』ウルウル

にこ『こころはね・・・いつもおとなしくて、聞き分けがよくて、ホントいい子。そんなこころだけど、それでもアイドル研究部の部長を引き受けたってことは、やっぱり注目されたくないわけじゃないんだよね』

にこ『やっぱり、この子はこころだなあ・・・・嬉しいよぉ・・・』グスグス




こころ「それだけじゃないです。心配なのは私なんかがでしゃばってお姉さまの名に傷をつけてしまわないか・・・・・・」

ここあ「えー? そこ、そんな気にすること? だって、こころお姉ちゃんはにこにーより美人ってみんな言ってるよ?」



にこ『んん?! 私より美人ってどういうことよ!』

にこ『ま、まあ・・・・・。その通りな気もしなくはないけど///』テレッ

にこ『こころはママ似だもんね。美人だよ。うらやましい』ニコニコ

にこ『美人なんだから、私なんか気にしないでじゃんじゃん目立ってよ!』



こころ「恐れ多いですが、そう言って頂けるのは素直に嬉しいです」

こころ「ですけど・・・。部長に大事なのは皆さんをけん引するリーダー力を身に付ける事なんですよ。お姉さまがそうであったように」

ここあ「うーん? リーダー力って?」

こころ「ええ?! なんでそんなことも知ってないんですか! ここあはお姉さまの何を見ていたんですか!」

ここあ「ご、ごめん」

こころ「いいいですか! リーダー力とは―――」

こころ「まず、第一に誰よりも熱い情熱を持って、みんなを引っ張っていけること!」

こころ「次に、精神的支柱になれるだけの懐の大きさを持った人間であること!!」

こころ「そしてなにより! メンバーから尊敬される存在であること!!!」

こころ「これらがグループを率いるリーダーに求められる能力です!」

ここあ「うーん???」


にこ『えっ。私が部長やってた時って、こんな難しいこと考えたかしら・・・?』

にこ『それに、あんまりアイドルとしての目標が高すぎると・・・・・・いや! こころなら大丈夫よね!』


ここあ「そんなに難しい事ー? こころお姉ちゃんの方こそ、にこお姉ちゃんの事ちゃんと見てなかったんじゃない?」

こころ「むっ。どういう意味ですかっ!」

ここあ「じゃあ、聞くけど、音ノ木坂学院スクールアイドル研究部の第一基本方針は?」

こころ「“アイドルは笑顔を見せる仕事じゃない。笑顔にさせる仕事!” です。なんでそんな当たり前のこと聞くんですか」


にこ『あ、あら/// まだそれ残ってるの?// ちょっと恥ずかしいわね///』


ここあ「そんじゃ、私のこと、よく見て」

こころ「今度はなんなんですか」ジッ

ここあ「いくよっ!」

ここあ「にっこにっこにー☆」


にこ『あっ、そうそう。私、難しい事あったら、いつもこれで誤魔化してたわ』


こころ「・・・・・・・」

ここあ「にっこにっこにー☆」

こころ「・・・・・にっこにっこにー」

ここあ「ほーら! もっと大きく!」

ここあ「にっこにっこにー!」

ここあ「それじゃ一緒に!」

こころあ「「にっこにっこにー☆」」





にこ『こころ ここあ・・・・。ふふっ』

にこ『どっちもやっぱりなんだか、私に似てるところがある気がする』

にこ『かわいい、ふたりの元気な妹たち』

にこ『うれしい・・・。うれしいなぁ・・・』





こころ「ふふっ」ニコッ

ここあ「ほら! 嬉しくなったよね! 笑顔になったよね!」

こころ「ええ、ドキッっとしちゃいました。笑顔にさせられちゃいました。さすが魔法の言葉です」

こころ「すいません、私、難しい事ばかりを考えて基本を見失ってました」

ここあ「いいの! にっこにっこにー☆ がすごいってだけのこと!」ニコッ

ここあ「なんたって、にっこにっこにーを一番うまくできるのは、にこお姉ちゃん以外だったら、絶対私達だよね! にこお姉ちゃん直伝だもん! これは大きなアドバンテージじゃない?」

こころ「はい、お姉さまと暮らしてた頃は毎日やっていたものね」

ここあ「うんうん! ・・・・にこお姉ちゃんが居た頃は、・・・・ね」

こころ「・・・・お姉さま、次はいつ会えるのでしょうか・・・・」



にこ『えっ?! な、何その反応・・・。私に全然会えてないの? 未来の私、そんなに忙しいのかしら・・・』



ここあ「うん・・・・」

こころ「十分すぎる程のお金はいつも送って頂いてますけど・・・。お金より・・・」

ここあ「うん・・・・。うん・・・。にこお姉ちゃんのもやしサラダ食べたい。ツナとマヨネーズ入ってるやつ」

こころ「はぁ・・・。私も・・・。シラスチャーハンとかうさぎさん目玉焼きを・・・いえ、贅沢は言いません。せめて、ちょっとだけでも会って頭撫でて欲しいです・・・・・」

ここあ「にこお姉ちゃんと一緒にお風呂入りたい・・・」

こころあ「・・・・・・・・」

こころ「・・・ううん!」

ここあ「?」

こころ「お姉さまは大変忙しいのです! わがままを言ってはいけません!」

こころ「なにより! お姉さまはみんなのお姉さまなんです! 家族だからと言って、私達が独占しては どぅめぇ どぅめぇ です!」ニコォ....

ここあ「そ、そうだね! 今までたっくさん面倒見てもらったもんね! それだでもすごいことだったよね!」ニコォ....



にこ『えっ?! ちょ、ちょっと! 何よこれ!』

にこ『未来の私は何やってるのよ! いくら忙しいからって一番笑顔にさせなきゃいけない大切な家族にこんなぎこちない笑顔をさせちゃダメじゃない!』



こころ「いつもお世話頂いた、そんなお姉さまに、何か恩返しができればいいのですが・・・・」

ここあ「う~ん~・・・。難しいね~・・・。にこお姉ちゃんはすごすぎるんだもん。私達なんかになにができるか・・・」



にこ『恩返し?! 何言ってるの! そんなこと考えなくていい!』

にこ『私がどんなに辛い時でもアイドルを続けられたのはあなた達家族のみんなが応援してくれたからなのに! だから恩返しするのは私の方よ!』

にこ『さっき穂乃果と花陽に気付かされたんだから! 支えてくれる人達に恩返しをするつもりで、常に全力投球をしなきゃって!』





サザー....

ヒラ   ヒラ  ヒラ ヒラ 
  ヒラ  ヒラ
 ヒラ  ヒラ  ヒラ


ここあ「わぁ・・・。桜吹雪が・・・・。きれい」

サザー....

こころ「春の暖かい良い匂い・・・」

こころ「・・・・噂があったの、知ってる?」

ここあ「噂?」

こころ「この桜の大木は、音ノ木坂学院の歴史そのものと言える古木。廃校と同時に力尽きて倒れてしまうんじゃないか・・・っていう噂が、お姉さまが在学中の頃にあったらしいんです」

ここあ「なーに、それー。ばっかばかしい。今だってこんなにすっごいきれいな桜吹雪を降らせているのにね」

こころ「はい。所詮はただの噂だった訳です」

ここあ「あー、でも。その噂が本当だったとすると、にこお姉ちゃんが廃校から救ったから、枯れなかったのかも?」

こころ「なるほど。そうかもしれません。そういうことだったら、今、この見事な満開の桜を見られるのは―――」

ここあ「にこお姉ちゃんのおかげだね」

こころ「ええ、そうです。やはり、お姉さまはすごいです」




にこ『未来の私が、有名になって浮かれてしまって、それで支えてくれた人達の事を忘れて、家族にも寂しい想いをさせているとしたら・・・・。そんなの、最低じゃない・・・』

にこ『みんなを心から笑顔にさせる事ができないなら大銀河宇宙No.1アイドルになる資格なんてないわよ! 分かってるの私?!』


にこ『・・・・・・・・笑顔にさせたい。・・・ここにいるこころとここあを心からの本当の笑顔にさせなきゃ!』

にこ『実際に二人に会いたい、会わなきゃ! そのためには・・・・ここは未来だから・・・そう! 今の私がずっと覚えておけばいい!』




........コッ, コッ, コッ, コッ,

こころ「あら? 向こうから人影が? 誰でしょう? 入学式はまだ数日後なのに」




にこ『こころとここあが音ノ木学院の制服を着て、桜が満開の日に二人はここにいる! この事はなにがなんでもずっと覚えておく! 二人に絶対に会う! 本当の笑顔させる!』




コッ, コッ, コッ, コッ,

ここあ「先生かな?」




サザー....

ヒラ   ヒラ  ヒラ ヒラ 
  ヒラ  ヒラ
 ヒラ  ヒラ  ヒラ


こころ「んぅ。桜の花びらで良く見えません・・・」

ここあ「んー! 目に入りそ」ブンブン




にこ『こころ! ここあ! お姉ちゃんそこに行くからね! 絶対に笑顔にしてみせるからね!』




サザー.....
ファサァ



こころあ「「あっ・・・・」」


こころあ「「あ、あ、あああ!!////」」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・




カァー、カァー



にこ「・・・・・・・んっ」

にこ「・・・・・・」ムクッ

にこ「あれ? こころ? ここあ? いない」

にこ「あっ、私が起きたのか・・・」

にこ「日が暮れちゃってる」

にこ「・・・・・・・」


サワサワ...


にこ「すー・・・、はー・・・・」

にこ「・・・・・・・・」キョロキョロ

にこ「こうやって改めて見回してみると・・・・いつも通っていた学校が違って見える」

にこ「夕日が綺麗で・・・・学校が金色に染まってるみたい・・・」

にこ「今までずっと部室でパソコンいじってるか・・・その後はうるさいやつらの相手をしてたから、こんなに綺麗だったなんて・・・気が付かなかったなあ」

にこ「3年間、ずっといたのに・・・。こんな最後の最後に気が付くなんて、もったいなかったなあ・・・・」

にこ「・・・・・・・・」



にこ「・・・・・・・・」






にこ「・・・・・・・・3年かぁ」

にこ「長いようで、今思い返すと、ほんの一瞬だった・・・・」

にこ「そんな一瞬でも感動的で、素晴らしくて、夢みたいない一瞬だった・・・」


にこ「・・・・・・・・」


にこ「アイドルになりたいっていう無謀な夢から始まって・・・」

にこ「私みたいな無謀な夢を持った子達が集まって、夢を叶えるために、他学年や先生方も協力してくれて、ママ達や音ノ木坂の人、更には海外からも声がかかって・・・奇跡のようにすべてが繋がっていった」

にこ「一つ一つの事が、急で、大事で、はじめての事ばっかりで、先が見えなくてどうなるんだろうって不安もあったけど・・・」

にこ「ドキドキで毎日が冒険だった・・・」

にこ「でも、ふと振り返ると、いつでもそこには」クルッ


にこ「音ノ木坂学院。そして、学院が始まった時からある桜の木」ピタッ

にこ「ごつごつした木肌ね。だけど、本当にしっかりして、大きくて―――」ナデナデ

にこ「大きくて、古いけど、すごくしっかりしてる。触ってみると、力を貰える気がする」

にこ「それもそのはずだよね」

にこ「穂乃果が言ってた。ここには、穂乃果のひいおばあちゃんもおばあちゃんもお母さんも通ってたって」

にこ「音ノ坂学院には、途方もない歴史があって、それだけ数えきれない程の多くの生徒が通って、その生徒みんなの想いが、ここには詰まってる」


にこ「―――そうよね?」頭コツン

にこ「・・・・今だから言っちゃうけど、私、ホントはアイドルになりたいって理由でUTXに入りたかったの・・・。でも、お金が無くて、仕方なく音ノ木坂に入ったんだ・・・」

にこ「そんないい加減な私でも向かい入れてくれた。私に仲間を与えてくれた。私を輝かせてくれた。私の夢を叶えさせてくれた。そして・・・」

にこ「私も、みんなも、新しい“夢”を目指せるようになった」

にこ「最初はUTXに入ろうとしていた私がこんなこと言うのは、手のひらを返すみたいでカッコ悪いけど・・・・。私、音ノ木坂学院に通えて、本当に良かった」


にこ「・・・・・・・」

にこ「・・・・・・・」

にこ「ここは―――」

にこ「青春が終わらない場所」

にこ「奇跡が集まって、繋がる場所」

にこ「“夢”が叶う場所」

にこ「新しい“夢”が生まれてくる場所」

にこ「・・・・これからもそんな場所であり続けて。私の大切な後輩達のためにね。さっき見せてくれた未来のみんなも輝かせて」

にこ「お願いねっ」ニコッ


サワサワ.....

ヒラッ, ヒラッ


にこ「・・・・・・・・よしっ!」スクッ


スタスタ

クル




にこ「・・・・・・!」キッ


にこ「本当に、今日までありがとうございました!」ペコリ



にこ「・・・・・・・・」

にこ「・・・・・・・・」ウルッ



にこ「・・・・・・ぐすっ」ポロポロ

にこ「・・・・」ゴシゴシ

にこ「・・・・・・」フルフル

にこ「・・・・・・・!」キッ

にこ「私、世界中に・・・・いや、宇宙中に音ノ木坂学院を宣伝するから、これからはもっともっと生徒が来ちゃうんで覚悟しててくださいねっ!」

にこ「・・・・・・それでは・・・失礼しますっ」




クルッ

タッタッタッ....












スッ

理事長「お疲れ様でした、矢澤さん」

理事長「後は任せてくださいね」ニコッ

理事長「ふふっ。旅行に行けるのはまだまだ先ね」





おわり


これで全部終わりです。

ありがとうございました。

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