モバP「Don't Stop ゆるふわ Fuwa Fuwa」 (59)



藍子「このまま時間が止まってくれたら」

藍子「――って思うこと、ありませんか?」


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P「ある」

藍子「あ、本当ですか?」

P「ああ、しょっちゅうだよ」

P「何度、欲しいと思ったことか」

P「精神と時の部屋な」

藍子「せいしんと……?」

藍子「えっと……」


P「あ、知らない?」

P「簡単に言えば、時間の進みがすっごく遅くなる部屋のことだよ」

P「そこで修行するの」

藍子「? 修行、ですか?」

P「昔の漫画にそういうのがあったんだよ」

P「主人公がそこに入って、短期間でめちゃくちゃパワーアップするっていう」

P「ある種あの漫画のご都合主義を体現したような……」ボソ


藍子「そうなんですね。時間の進みが遅くなる部屋、かあ……」

藍子「ふふっ、ちょっと私も入りたくなってきました」

P「だろ? 読んだ人はみんなそう思うんだ」

P「小学校の頃とか、夏休みが終わる時期になるとな」

P「たまった宿題を前によく現実逃避したもんだよ」

P「ああ、精神と時の部屋があればな……って」

藍子「ふふふ」

藍子「私もその漫画読んでたら、きっと同じこと考えてたと思います」

藍子「素敵ですね。そのお部屋」

P(実際はあの部屋、結構過酷な環境なんだけど)


P「そう、今でも欲しいもんな」

P「大学の卒論書いてたときとか、特にそうだった」

藍子「卒論……卒業論文、ですね」

P「途中まで順調に進んでたんだけどさ」

P「提出の一週間前にデータが吹っ飛んでな」

藍子「ええっ、い、一週間前ですか?」

藍子「た、大変じゃないですか」

P「うん。しかもろくにバックアップとってなかったもんだから」

P「もう修羅場も修羅場でさ……」

P「いや、あのときは本当に時間が止まって欲しかった」


藍子「それは、大丈夫だったんですか?」

P「おかげさまで期限いっぱい、ぎりぎりで提出できてな」

P「すんでのところで留年せずにすんだよ」

藍子「そうなんですね。よかった……」ホッ

P「いやいやこんなの序の口だぞ」

P「精神と時の部屋案件は、挙げたらきりがなくてな」

P「こないだなんて、さあ帰るぞってところにちひろさんが来て――」

藍子「はいっ」

P「あ」

藍子「?」

藍子「ちひろさんが、どうしました?」


P「いや、ごめん」

藍子「えっ?」

P「なんかさっきから俺ばっか話してなかった?」

P「大丈夫?」

藍子「そんな、全然いいんですよ」

藍子「私、もっとPさんのお話が聞きたいんです」

P「そう? ならいいんだけど……」

P「そもそも、なんでこんな話になったんだっけ?」

藍子「ちょっと興味があったんです」

藍子「Pさんは、時間が止まって欲しいって思うこと、ないのかなって」


P「ふうん」

P「そりゃまた、なんでだ?」

藍子「それはですね――」


カランカラン

イラッシャイマセー


藍子「……少し、混んできましたね」

P「この時間帯いつも混むよな。ここ」

藍子「どうしましょう、そろそろ出ましょうか?」

P「うん。ぶらぶら散歩しながら戻ろうか」


―――
――

藍子「……日が落ちるのも早くなりましたね」

P「まだこんな時間なのに、すっかり真っ暗だな」

藍子「銀杏の木も、あんなに綺麗に色づいていたのに」

藍子「ほとんど葉が落ちてしまいましたね」

P「もうまるっきり冬なんだなあ」

藍子「そうですね」

藍子「……ちょっと、寂しくなりますね」


藍子「……Pさん、さっきの話ですけど」

P「うん」

藍子「あ、寒くないですか?」

藍子「もしよければ、どこか別のお店にはいりましょうか?」

P「そりゃ俺のセリフだ」

P「そんな格好で大丈夫か? いかにも寒そうだが」

藍子「大丈夫ですよ、ほら」

藍子「このストール、おっきくて暖かいんです」

P(これストールっていうんだ)

P「じゃ、歩きながらでいいか」


藍子「……Pさんが言ってたのとは、少し違うかもしれませんけど」

藍子「私最近、よく思うんです」

藍子「このまま時間が止まってくれればいいのにって」

藍子「この幸せな時間が、ずっと続いてくれたらいいのにって」

P「ほう」

藍子「アニバーサリーライブ、この間やりましたよね」

P「ああ」

P「大成功だったな」

P「まさにこれまでの集大成って感じのライブだった」


藍子「私、あんなたくさんの人の前で歌うの初めてで、いつも以上に緊張したんですけど……」

藍子「未央ちゃんや他のみんなの助けもあって、どうにかやりとげることができて」

藍子「終わるころには観客も出演者も、みんな笑顔になってくれて」

藍子「本当に、大きな幸せを感じることができたんです」

P「よかったな」

P「ファンの人もきっと、同じ気持ちだろうさ」

藍子「……でも、なぜだかわからないんですけど」

藍子「同時にちょっと、不安にもなったんです」

P「不安?」

藍子「はい」

藍子「この幸せな日々は、いつまで続くんだろうって」

藍子「いつか、魔法が解ける日が来るのかなって」


P「魔法が解ける日、か」

藍子「変ですよね」

藍子「幸せなのに、不安になるなんて」

P「いや……」

藍子「私、Pさんにはいつも感謝しているんです」

藍子「日常のささいな幸せしか知らなかった私を、アイドルにしてくれたこと」

藍子「未央ちゃんや茜ちゃんに出会わせてくれたこと」

藍子「ステージの上で輝く機会を与えてくれたこと」

藍子「本当に、感謝してもしきれないくらい」

藍子「Pさんからは、いっぱい幸せをもらいました」

藍子「でも……」

藍子「でも、だからこそ怖いんです」

藍子「いつかこの幸せも、失われちゃうんじゃないかって」


P「……」

藍子「すみません。おかしなこと言って」

藍子「私、わがままですよね」

P「わがまま?」

藍子「はい。ライブも成功して、Pさんがいて、たくさんの友達がいて」

藍子「こんなに毎日充実していて、なんの不満もないはずなのに」

藍子「怖いだなんて、変なこと言って」

P「そうかな」

P「誰にでもあることだよ、きっと」


藍子「……」

藍子「私、今だって思ってるんです」

P「ん?」

藍子「今だって、時間が止まって欲しいって思ってるんです」

藍子「ずっと、隣にいたいって」

藍子「このまま、離れたくないって」

藍子「いつまでも、今のままで……」

P「……」


藍子「本当、わがままですよね」


P「……そろそろ、駅だな」

藍子「……」

P「お、見ろ、藍子。あそこ」

藍子「え?」

P「駅前広場のとこ。ほら、ツリーが立ってるぞ」

藍子「わ、本当ですね」

藍子「あんなに大きなツリー、前はなかったような……」

P「まあ、もうクリスマスが近いもんな」

P「しかし、まだ何の飾り付けもしてないみたいだな」

P「ただモミの木が立ってるだけ、って感じだ」

藍子「そうですね」

藍子「ふふ、これはこれで新鮮ですね」


藍子「これからいろんなオーナメントを付けていくんでしょうね」

P「ここら一帯イルミネーションにするみたいだし」

P「電飾巻き付けて、光らせるのかもしれないな」

藍子「どんな風になるんでしょうね」

P「楽しみだな」

P「今は地味だけど、きっと見違えることだろう」

P「……うん、楽しみだ」

藍子「……Pさん?」


P「俺もな、たまに不安になる」

P「今が過去になることが惜しくなる」

P「いずれ終わりがくることが怖くなる」

藍子「……」

P「でも、ポジパの三人といるとさ」

P「不思議とそういうの、どっかに行っちゃうんだよな」

藍子「私たちといると……」

藍子「それは、どうしてですか?」

P「なんでだろうな」

P「不安より、わくわくが勝るからかな」


藍子「わくわく?」

P「そう、この三人はもっと輝ける」

P「今よりはるかに高いところに行ける、って」

P「レッスンとか見てるとさ、どうしてもそう考えちゃうんだ」

藍子「今よりもっと……」

P「たとえば次はドーム借り切ってライブだ、とか」

P「演劇はやったし、今度はミュージカルに挑戦だ、とかさ」

P「海外進出なんてのもありかもしれないな」

P「そんなイメージが次々とわいてくるんだ」

藍子「海外進出ですか、すごい……」

藍子「私にはとても、想像できないです」


P「まあ、こんな予想は当たりゃしないさ」

P「みんなやすやすと俺の期待を超えていくからな」

P「あっちこっちライブやらドラマやら出演して……」

P「気がついたら押しも押されぬビッグアイドルになっちゃったもんな」

藍子「ビッグアイドルだなんて、そんな……」

P「だからかな、今は楽しみで仕方がないんだ」

P「みんながこれからどう変わっていって、どういうアイドルになるのか」

P「俺の想像を超えて、どんな輝きを見せるようになるのかって」

藍子「……」

P「不安を感じてる暇なんて、ないんだよな」


藍子「Pさんは、私たちに期待してくれているんですね」

藍子「それはとても嬉しいです。でも……」

藍子「でも、私はそれに応えることができるでしょうか」

藍子「この先ずっと、Pさんを裏切らずに……」

P「……応えるもなにも」

P「こんなの俺が一方的に期待してるだけだよ」

P「藍子は藍子の好きなようにやればいい」

藍子「私の、好きなように……」

P「そう」

P「それをサポートするのが、俺の役割だしな」


藍子「……もし私が、このままでいたいって言ってもですか」

藍子「何も変わらないことを、現状維持を望んでも、ですか」

P「うん」

P「藍子がそれでいいっていうなら」

藍子「……」

P「……ちょっと、ずるい言い方だったな」

藍子「いえ、そんな、Pさんの言うとおりです」

藍子「自分のことは、自分で決めなきゃ、ですよね」

藍子「……私、これからどうしていきたいんでしょうね」

藍子「今以上に幸せになんて、なれるのかな」

P「……」


P「藍子、さっき言ってたよな」

P「自分のこと、わがままだって」

藍子「えっ、あ、はい」

P「あれ聞いてて思ったんだ」

P「多分、俺のがずっとわがままだと」

藍子「Pさんのほうが?」

P「そう」

P「俺さ、あのとき"次がある"って思った」

P「二人でこうして散歩できるときが、きっとまた来るって」


藍子「次が……」

P「一ヶ月か、半年か、それとも一年後か」

P「それがいつかはわからないけど」

P「こうして藍子と過ごせる"次"があるに違いないって」

P「何の根拠もないけど、そう確信してた」

藍子「……」

P「それも一度や二度じゃない、数え切れないくらいの"次"があって」

P「回を重ねるごとに、俺たちの関係も少しずつ変わっていって」

P「きっと藍子はそのたびに、特別な存在になっていくんだろうなって」

P「あのとき俺は、そんなことを考えてた」

藍子「……とくべつ?」

P「呆れるだろ?」

P「とんだ自己中だ」


藍子「Pさん、その、特別って」

P「言葉通りの意味だよ」

P「魔法をかけられてるのは、藍子だけじゃないってこと」

藍子「魔法を……」

P「そう、俺はもう完全に魅了されてるんだって思う」

P「高森藍子という、アイドルに」

藍子「あの、それって、えと……」


P「俺な、どこまでも藍子を応援したいと思ってる」

P「プロデューサーとしても、一人の男としても」

P「藍子がどんな風になったって、全部受け入れていきたいって思う」

P「……これから先も、藍子と一緒に歩んでいきたい」

P「俺は、藍子の"次"が見たいんだ」

藍子「……私の、"次"」

P「そう、だから遠慮する必要なんて無い」

P「こんな自分勝手なやつがプロデューサーをやってるんだ」

P「藍子も好きなだけ、わがままになってくれればいい」


藍子「私も、わがままに……」

藍子「……」

藍子「その、いいんでしょうか、私」

藍子「"次"を期待しても、いいんでしょうか」

藍子「今以上の幸せを、望んでも――」

P「大丈夫」

P「俺がかなえてやる」

P「未央や茜だってそばにいる」

P「だから絶対、大丈夫」

P「藍子は幸せになったって、いいんだよ」

藍子「Pさん……」

藍子「私……」




パッ



藍子「わっ」

P「おっ」


藍子「Pさん、見ましたか?」

P「ああ」

P「今一瞬光ったよな、あのツリー」


藍子「綺麗でしたね」

P「なんだ、しっかり電飾ついてたのか」

P「遠目からじゃわからなかったな」

藍子「さっきの一回きり、でしょうか」

P「ちゃんと点くかどうか、テストしてたんじゃないかな」

P「まあ、クリスマスになればずっと光ってることだろう」

藍子「そうですね、クリスマスになれば……」

藍子「……」

P「……藍子?」

藍子「いえ」

藍子「私も、楽しみです」


P「え?」

藍子「イルミネーションで、この広場がどう彩られるのか」

藍子「あのツリーが、どんな風に輝くのか」

藍子「私も、楽しみになってきました」

P「……そっか、うん、そうだな」

P「本当、楽しみだ」

P「……」

P「なあ、藍子。もしよければさ――」

藍子「Pさん、また来ませんか。クリスマスの日に」

P「え」

P「あ」

藍子「……何か予定が、ありましたか?」


P「あ、いや」

P「ないです」

藍子「本当ですか? よかったっ」

藍子「じゃあまた、今日と同じ時間に待ち合わせしませんか?」

藍子「場所も同じところで、いいですよねっ」

P「お、おう」

藍子「ふふっ、今度はどこの喫茶店に行きましょうか」

藍子「Pさん。当日はエスコート、よろしくお願いしますねっ」

P「……」

P「まいったな」

藍子「えっ?」

P「軽率だったか」

P「わがままになれだなんて、言わない方がよかったかな」


藍子「うふふっ。Pさん、ご自身の発言に責任を持ってくださいね」

藍子「私、今日のこと絶対に忘れませんから」

P「う」

P「ま、まあ、男に二言はない」

P「大丈夫、ちゃんと責任は持つよ」

藍子「本当ですか? じゃあ……」

藍子「じゃあ、最後にもう一度、言ってくれませんか?」

P「? 何を――」


藍子「私のこと、特別だって」


P「と、え?」

藍子「そしたら私、もう弱音なんて吐きません」

藍子「過ぎていく時間を、惜しいだなんて思いません」

藍子「これからはずっと、前だけを向いて歩いて行きます」

藍子「ずっと、Pさんと一緒に――」

P「藍子……」


藍子「……お願いします、Pさん」

藍子「私の時間を、進めてください」

P「……」

P「わかった」


P「藍子、俺はな」



P「俺は、藍子のことが――」




――
―――

――――――






茜「 あ゛ つ い っ ! ! ! 」




茜「なななな何でしょうかこの気持ちは!」

茜「き、き、急に体がカーっと熱くなってきましたっ!!」

茜「これは、か、風邪でしょうかっ! それともヒーターの効き過ぎでしょうかっ!!」

未央「いやー、どっちだろねー」

未央「あーちゃんはどっちだと思う?」

藍子「あうう……」

藍子「違うの、これは、そうじゃなくて……」

未央「違う? んふふふ」

未央「なーにが違うのかなー? うりうり」

藍子「きゃああ! 未央ちゃん、そこは……!」



ガチャッ


P「うーっす」

P「おはよう、みんな」

茜「あっ、Pさん! おはようございますっ!!」

未央「おっ、噂をすれば」

未央「"スペシャル"なプロデューサーのおでましだね~」

P「む?」

藍子「わ、わ、未央ちゃん……!」


未央「ふふふ、話は全て聞かせてもらったよ」

未央「いやいや、なかなかどうして」

未央「隅に置けませんなあ、Pさんも」

P「話? 一体何の――」

P「……」


藍子「あ、あうう……」

P「……」

茜「うーっ! なんでしょう! 私今、すっごく走り出したい気分です!!」

P「……」


P「なるほど」

未央「えっ?」

P「昨日の話を、聞き出したわけだ」


未央「おおっ、流石Pさん。察しがいいね」

P「長い付き合いだからな」

P「なんとなくはわかる」

P「しかし、だからこそ言わせてもらうとだな」

P「仲が良いとはいえ、あまり人を詮索するもんじゃないぞ」

未央「んえっ?」

P「別に昨日のことは秘密でもなんでもないが」

P「誰しもプライベートってものはあるからな」

P「あれやこれやと立ち入ったことを聞いて回るのは、お世辞にもほめられたもんじゃ――」

未央「ちょちょちょっとすとっぷすとっぷ」

未央「Pさん、何か勘違いしてない?」

P「ん?」


未央「いやー、確かに少し探りを入れたことは認めるよ」

未央「昨日のデート、どうだった? みたいにねっ」

藍子「で、デートなんかじゃ……」

未央「でも私、それ以上の詮索はしてないっていうか」

未央「する必要が無かったっていうか……」

P「? それは、どういう――」

茜「藍子ちゃん、自分からいろいろ話してくれたんですっ!!」

藍子「あ、茜ちゃん!?」

P「藍子が、自分から?」

茜「はい、それはもう」

茜「とっても幸せそうに、昨日のこと語ってくれましたっ!!」


P「……そうなの?」

藍子「あ、う」

藍子「違うんです、これは、その……」

未央「私も茜ちんも、思わず顔を見合わせちゃったよ」

未央「あんなおしゃべりなあーちゃん、始めて見たもん」

茜「はいっ! 藍子ちゃん、燃えてましたっ!!」

P「……」

藍子「うう……」


藍子「違うんです、その、はじめはそんなつもりじゃなかったのに」

藍子「話しているうちに、なんだか嬉しくなってきちゃって」

藍子「昨日の感情が蘇ってきて、止まらなくなっちゃって……」

P「そ、そう」

P「それは、なんというか」

P「こっちも嬉しいというか、なんというか……」


茜「ああっ!」

茜「なぜでしょう! また胸がアツくなってきましたっ!!」

未央「うーん」

未央「未央ちゃんも胸焼けでダウンしそう」

P「……おまえらな」


P「まあ、なんだ、しかし」

P「早とちりしてすまなかったな、未央」

未央「いいっていいって、気にしない気にしないっ!」

未央「あーちゃんの幸せオーラのおかげで、未央ちゃんゴキゲンなんだからっ!」

未央「本当ありがとねっ、Pさん。あーちゃんを元気づけてくれて」

藍子「未央ちゃん……」

茜「それに、藍子ちゃん言ってくれました!」

茜「これからも三人で頑張っていこうねって!」

茜「ポジパをもっと盛り上げていこうって!!」

茜「だから私たち、今最高に燃えているんですっ!!」

藍子「茜ちゃん……」

P「……よかったな、藍子」

藍子「はいっ」

藍子「わたし今、幸せですっ」


P「よーしっ、それじゃ今日も一日はりきっていくか!」

未央「ね、ね、みんなでかけ声しない? かけ声!」

藍子「かけ声?」

茜「いいですねっ! やりましょうっ!!」

未央「ほらほら、Pさんも入って入って!」

P「お、俺も?」

茜「藍子ちゃんも、さあっ、輪になりましょう!」

藍子「う、うんっ!」



茜「さあ、みなさんいきますよー!」


茜「明日に向かってーーっ!!」


未央「ポジティブパッションーッ!」


藍子「ふぁ、ファイトーっ!!」




「「「「 オーッ!! 」」」」 





おまk


――
―――

未央「ところでこれはオフレコなんだけど」

P「うん」

未央「あーちゃん、昨日ずっと気にしてたみたいだよ」

P「何を?」

未央「Pさん、手袋もマフラーもしない派じゃん?」

未央「だから手とか寒いんじゃないかって、気になってたんだって」

P「まだそこまで寒くないって」

未央「うーん」

未央「にぶい! にぶいなーPさんは」


P「?」

未央「普通、Pさんは手が冷たかったらどうする?」

P「ポケットに、こう……」

未央「のんのんのん」

未央「好きな人が隣にいます」

未央「寒そうに手を擦りあわせてます」

未央「さあっ、Pさんはどうするっ!?」

未央「って話」


P「……あー」

未央「わかった?」

P「はい」

未央「あーちゃん、昨日は期待してたみたいだから」

未央「次からはそういうとこも注意してねっ」

P「はい」

未央「ちゃんとプレゼントも用意しなきゃダメだよっ!」

P「はい」

未央「それからね、これもあーちゃんが言ってたんだけど……」

P「なになに……」


藍子「ちょ、ちょっと未央ちゃん、何話してるの!」

藍子「もうその話はいいでしょっ!」

未央「ありゃ、バレちった」


P「まあ待て藍子、誤解するな」

P「俺は今、未央に教えを請うてたんだ」

P「次回の参考にしようと思ってな」

藍子「な、何の参考ですか、もうっ」

藍子「はやくお仕事に行きましょうよっ」

藍子「過ぎたことは振り返らないって、Pさん言ってたじゃないですか!」

P「いや、それは違うぞ藍子」

P「過去を省みるのは大切なことだ」

藍子「え、ええっ?」

藍子「でもPさん、昨日は……」


P「俺が言ったのは、過去にとらわれるなってことだよ」

P「決して過去を蔑ろにしろという意味じゃない」

P「むしろ反省材料を探して、次につなげることは有益だと思う」

未央「そうだそうだー」

藍子「う」

藍子「それは、そう、かも、しれないですけど……」

P「だから俺もな、よりよい明日を迎えるために」

P「今のうちに改善点を挙げてもらおうってわけだ」

P「さあっ、未央、茜」

P「それから藍子が何て言ってたか聞かせてくれっ」

未央「まっかせて!」

茜「そういうことなら、私も協力しますよ!!」

藍子「え、えええっ?」


未央「あーちゃんってばね、Pさんの隣歩いているときにさ――」

P「うんうん……」

茜「藍子ちゃん、こんなことも言ってましたよ!」

P「ほうほう……」

……



藍子「う、ううう」

藍子「幸せだけど、幸せだけど――」



藍子「――幸せだけど、恥ずかしいよぉっ」







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