古田織部「数奇の力で飛んで飛んでみようか?」 (22)

織部「いったいそれはどういう意味ですかな高山殿?」

右近「私も詳しくは無いのですが……」

右近「なにやら今、市中ではこの唄が流行っておるとか」

織部「ふむぅ」

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織部「数寄の力はそれは確かに絶大な物」

織部「それは民衆にも広く知れ渡ったと感じてはいたが唄にまでするか……」

右近「それほど今の世に数寄が根付いたということですかな」

織部「ちと今更なような」

織部「ちなみにその唄、続きは如何様に?」

右近「は、この後は――」

~HEART to HEART~

右近「――と続きます」

織部「わからぬ……」

織部(数寄の事を唄っているものとばかり思っていたが……)

織部(全容を聞いてみると何が言いたいのか、いまいちわからぬ!)

織部「そう言えば……ちらほらと聞きなれぬ言葉がありますな」

織部「『りずむ』や『うぉんでい』など……」

織部「これは伴天連の言葉ですかな?」

右近「然様です。デウスの教えがこれほど世に広がった証やも知れませんな」

織部「う~む」

有楽「わからぬか」

織部「な、有楽斎殿!?」

右近「いつの間に・・・・・・?」

有楽「その様な事どうでもよいわ」

有楽「それより本当にその唄の意味、わからぬのか?」

右近「いや……」

織部「有楽斎殿は知っておられるのか?」

有楽「知らずとも少し考えればわかることよ」

有楽「いいか?これはな古織、お前の事を唄っておるのよ!」

織部「なに?」

右近「民草が兄上のことを……」

右近「いや、兄上――古田織部の名を思えば不思議ではござらんが何故そう思われる?」

有楽「まず『数奇の力で飛んで飛んでみようか?』」

有楽「これは関が原でのお前の勇姿(笑)を言っておるのだ。ま、俺のおかげだがな」

織部「何を馬鹿な……民衆があれを知るわけが――あ、」

織部(又兵衛の仕業か……)

有楽「次に『笑顔で語ろうかな』と『キミに会えたから』」

有楽「これはお前の言う『ひょうげ』と利休居士に出会ったことを」

有楽「『ほかにも伝えたい想いあるような気がしてたけれど踊ろうか』」

有楽「利休居士の思想が亡き殿下に伝わらぬまま、殿下の世は踊るように過ぎていったな」

織部「ちと、こじつけに過ぎませぬか?」

右近「私もそれは行き過ぎかと……」

有楽「まぁ聞け、これが最も大事なことだが

有楽「『ユメの景色をみんなみんな見たいとずっとまえから願っていたね』」

右近「今までの有楽斎殿の訳を考えれば――」

織部「私の目指す笑福の世のことか……」

有楽「少し違う」

有楽「ここで言うユメとは恐らく兄上の好んだ敦盛の一節に掛かっておる」

織部「な――!」

有楽「唄の所々にカブキ者どもが好む南蛮言葉が含まれておるのがその証拠よ」

有楽「それに殿下の辞世にも夢の文字がある」

右近「つ、つまりユメの景色とは……!」

有楽「織田・豊臣の如き世を再び見たい、見せてくれという意味」

有楽「つまりは古織、お前への謀反の勧め唄よ!!」

右近「なんと……!」

織部「…………」

有楽「このような事、徳川はとっくに気付いておろう」

有楽「今はまだ民衆の間での反骨の気がお前に集まっておるだけのこと故、大事にはならん」

有楽「しかし何かあった時、もしこれを出汁に迫られれば……」

織部「……いかに民衆がそれを望もうとも」

織部「私が望むのはあくまで豊徳合体」

部「笑福の世は欲しい。されど戦乱、しかもその矢面に立つなど真っ平にござる!わははは」

有楽「フ……せいぜい足元をすくわれぬようにな」

織部「言われずとも」

伊達「裸武雷舞、あ・面白・ぇ!!」

~完~

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