「つまらない世界だ」 (11)

「どうしてそう思う」

「人間同士は醜い争いを繰り広げ、私利私欲を満たし他生物を迫害している」

「それは人間に限った話ではないだろう」

「自然界というのはお互いに助け合い成り立っている。その気はなくても、そうできているのだ」

「何がいいたい」

「人間は自然界にとって何か利益はあるか?」

「……」

「要である植物を減らし続け、それどころか生物に有害なものばかり排出している。保護とは名ばかりの乱獲に加え、危害を及ぼすものは駆逐」

「自然な行いだと思うが?」

「いいや。どう考えても地球という一つの個体を滅ぼしにきた異分子、ウイルスにしか見えないね」

「なぜそこまで人間を憎む」

「手塩にかけて育てたものが壊されていくのを喜べというのか?」

「これもまた成長の一つだとは思えないのか」

「いいや、全く」

「人間を排除するのか?」

「いずれは」

「そうはさせんぞ」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1450141554

「何故お前が止める」

「言葉を返すようだが、手塩にかけて育てたものが壊されるのを黙ってみていろというのか」

「……」

「相容れないようだな」

「そのようだ」

「だが、お前の意見も汲もう」

「何をする気だ」

「地球から出て行くよう誘導する」

「どうやって」

「餌に寄っていくのは生物の道理」

「やらんとすることは分かった。だが、問題があるぞ。繰り返すつもりか?」

「気長に待つさ」

「はあ……。仕方ない。心ばかりの手助けくらいはしてやる」

「ありがたい」

「最近の技術力の発展は目を見張るものがあるな」

「何かの干渉を受けているのかと錯覚してしまいますね」

「ああ、もしかしたらそうなのかもしれないな」

「ははは、そういうのは哲学者にでも任せておけばいいんですよ」

「今の所は順調だな」

「そろそろ新しい資源も見つかる頃だろう」

「あまり不自然の無いようにな。人間は聡いぞ」

「分かっている。身に染みてな」

「悪かったよ。俺もこんなになるとは思ってなかったんだ」

「別にお前を責めているわけではない。気にするな」

「気遣いが身に染みるよ」

「すぐに相手の言葉を使うの、やめた方が良いぞ。自分が無いと思われるからな。今の人間達みたいに」

「だいぶ変わってしまった」

「インターネットを何とか消せないのか?」

「もはや切れぬだろう」

「どうやら別の星に資源を見つけたみたいだな」

「地球の資源はもはや枯渇しているように見えるからな」

「聡いが、俺程ではなかったようだな」

「やれることが違いすぎるんだ」

「俺の地球がまだ綺麗なままで良かったよ」

「すまなかった。何かしてほしいことがあったらまた人間を送るが」

「やめてくれ、問題が増える」

「冗談だ」

「心臓に悪い冗談だな」

「面白い冗談だ」

「人間の言葉を借りたのさ」

「学ぶことはあっただろう?」

「少しは。動物たちの知能はあげないようにしておく」

「そうした方が良い。こちらはもう手を付けられん」

「俺らの存在に気付くのも時間の問題か」

「そうしたら心苦しいが、消すさ」

「飼い犬に手を噛まれたら大変だものな」

「お前。案外人間のこと好きなんじゃないか?」

「見てる分には」

「それには同意だ。手のかかることこの上ない」

「どうやらコロニーを作ったみたいだな」

「およそ半数が地球から去ったな」

「なあ、人間が全て去るのは無理だったみたいだが?」

「……」

「予想はしていたが」

「そうなのか?」

「親は良い所か、悪い所に目が行きがちだということだ」

「どういうことだ」

「人間は汚い。聡明。それだけではなかったということさ」

「つまり?」

「物わかりの悪い奴だ。きっとお前の方が俺の地球については詳しいだろう。お前は地球が好きか?」

「ああ、好きだぞ」

「じゃあ、さっきのは無しだ」

「なんだそれ」

「とにかくこちらの人間はまだしばらく見ておいてやる。お前は移住した方を見ておけ」

「そう言うわけにもいくまい。向こうに行ったのは優秀な人間が多い。おそらく何とかなるだろう」

「見ておけといっているのに」

「しかしさっき言ったのはどういう意味だ?」

「お前は甘いってことだよ」

「育成方針が、か?」

「そうだ。俺は放任主義だからな、大体は何が起きても見ているだけだ」

「確かに。ついつい手を出してしまうな」

「お前が人間を甘やかすから調子に乗ってしまっている。だから俺は人間が嫌いだ」

「調子に乗ってるのかなあ。俺には分からん」

「大体、過ぎたる力を持つと身を滅ぼすなんてことは人間の社会でもよく言われてるだろう?」」

「銃か?」

「武器だよ」

「核か」

「そうじゃない。もっと遡って、弓や剣、そもそも道具なんて使いこなしてる時点で過ぎた力なんだ」

「道具が?」

「お前本来の力ではなかろう。それをずっと使っていると、いつしか自分の物だと錯覚してしまう」

「錯覚するとどうなる?」

「自分は強いと思ってしまう」

「言わんとすることがよく分かった。自然界では御法度と言うやつだな」

「だからもう全員死んでるだろうよ」

「うん?」

「移住した人間達さ」

「まじか」

「ほんとだ。全滅してるな」

「慢心」

「俺は人間を育てるのに向いてなかったのかもな」

「お前はまず育てることに向いてないよ」

「これは手厳しい」

「そこで提案なんだが」

「なんだ?」

「地球に残った人間達、俺が育てていいか?」

「嫌いなんだろ?」

「強い人間は嫌いだよ。人間社会でいうね」

「なんだ、それは」

「厳密に言うと違うが、簡単に言ってしまえば汚い人間」

「金か?」

「心だ」

「分かった、俺は後ろで見ているだけにしよう」

「余計な口挟むなよ。お前は甘いんだから、窮地に陥っても人間は人間達だけでなんとかするさ」

「そうか」

「人間は聡いからな」

終わりです

HTML化依頼出してきます

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom