穂乃果「私たちの村が廃村に!?」 (111)




私、穂乃果。オトノキ村に住む16歳!
今、私たちの住むこの村が大ピンチなの!
それは、昨日突然、国王によって伝えられた、廃村の知らせがきっかけだった…

穂乃果「ええっ!?嘘!」

ことり「廃村って…」

海未「つまり、この村がなくなる…ということですね…」

穂乃果「ああぁ…」バター

海未「穂乃果っ!」

ことり「穂乃果ちゃん!?」

穂乃果「私の輝かしい、農耕生活が…っ!」ガクッ


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穂乃果「ぅぅん…っは!?夢!?」

海未「…大丈夫ですか?」

ことり「夢じゃないよ?穂乃果ちゃん」

穂乃果「な~んだ、夢じゃないのか~!よかった~!」

穂乃果「…って、夢じゃなきゃダメじゃん!なにいってんのさ!」

ことり「ほのかちゃん…」

海未「ちゃんと現実を見てください。穂乃果。」

穂乃果「現実…うぅ」

穂乃果「村がなくなる…村がなくなる…うぅ……」

ことり「穂乃果ちゃん、すっごい落ち込んでる…そんなにこの村好きだったなんて…」

海未「ちがいます、あれは多分、勘違いしているんです。」

ことり「勘違い?」

穂乃果「っ!」バッ

穂乃果「どぉーーーーーしよぉーーーーー!!全然面接練習してないよおーーーー!」

ことり「…はえ?」

穂乃果「だって、村がなくなったら穂乃果働く場所ないでしょ?そしたら、中央の街に出てフミコたちみたいに就職活動しなくちゃいけないんでしょ!?集団面接とか、グループディスカッションとか!」

海未「やはり…」

ことり「穂乃果ちゃん落ち着いて…」

穂乃果「私を物でたとえるなら潤滑油です集団の人間関係を円滑に進めることができますまた実家が農家なので小さいころから家のことを手伝っていますから働くことには慣れていますので即戦力になれる自信もありますまた…」ブツブツ

ことり「だめだこりゃ」

海未「穂乃果。ちょっといいですか?」

穂乃果「ぅぅぅ…社会に揉まれたくない…」

海未「穂乃果。ちゃんと国王からの勅令を読みましたか?」

穂乃果「え?」

海未「はぁぁ…これですよ!ちゃんと読みなさい!」ゴトッ



穂乃果「は~むっ♡」モグモグ

ことり「村がなくなるにしても、私たちはここを出るわけじゃないから、穂乃果ちゃんは安心して農耕生活を楽しめるよ」

穂乃果「よかった~!いや~、今日もパンがうまい!」ハム

海未「まったく…」

ことり「でも、正式に決まったら、やっぱり色々と変わっちゃうのかな…」

海未「国王からの勅令、肝心なことには触れずに、ただ村がなくなる、とだけ書かれていただけですからね…詳しいことは、わかりません」

穂乃果「……そっか。うん。そうだよね。」

一時に続き投下します

海未「……何を察しているのですか?あなた一ページも読めずにあきらめたじゃないですか」

穂乃果「だってめんどくさいんだもん。知らない文字一杯だったし」

海未「はぁぁぁぁぁ…だからいつも言っているでしょう!?活字には触れておけと!
こういうケースになったときに誰よりも先に損をするのは、勉学を怠り、考えることを放棄したあなたのような民なのですよ!
頭空っぽのまま中央のいいなりになって、家畜も同然の生を歩むことになってもよいのですか!?それにこの前も…」クドクドクッド

穂乃果「まーた始まったよ海未ちゃんのお説教」ヒソヒソ

ことり「穂乃果ちゃん、少しは聞いてあげて…」コショコショ

穂乃果「ふんっ。いつもいつも穂乃果を子ども扱いして!まったく…」ヒソヒソ!

海未「聞いているんですか?」ゴゴゴ

穂乃果「ハイキイテマス」

海未「もう…これだから穂乃果は」

穂乃果「ホノカデスイマセ~~~~ン」

ことり「ふふっ…」

足音がザッザッザッザッザッザッ

?「ねえ、ちょっといい?」

ほのうみこと「は、はい!」

絵里「今、大丈夫かしら?」

穂乃果「ねえ、この人誰?」ヒソヒソ

海未「この村一番の騎士、エリチカですよ…帰ってきていたんですね」コソコソ

絵里「あなたたち、この村が廃村になるってこと、知ってる?」

ことり「はい…知ってます」

絵里「私、これからその件について国王に問いただしてみるの。そのために、今から中央に出向くのだけど…」

ことり「?」

絵里「駄目ね、まるで覇気がない」

ことり「ふえ」

絵里「そっちは、見るからにバカそうだし」

穂乃果「むむ」

絵里「…使えそうなのは、貴方位ね。」

海未「え?」

絵里「ねえ貴方、これから私についてこない?若いのが居たほうが、都合がいいの。」

海未「私が、ですか?」

絵里「いいでしょ?この村の為だもの。それじゃ、いくわよ」グイッ

海未「ちょ、ちょっと待ってください!」

絵里「?」

海未「国王に問いただすって…それで何かが変わるとは思えません。私たちのような国はずれの田舎者がいくら訴えたって、中央の意向は絶対なんですよ?だから」

絵里「貴方が気にすることじゃないわ。」グイグイ

海未「えっ?本当に行くんですか?いや、話聞いてます?えっちょっとまって…」

エ~~~~~~~…

穂乃果「………ええ~…」

ことり「なんというか…」

穂乃果「独善的で、ひとりよがり、他人に自分の理想を押し付ける…まるで」

ことり「まるで?」

穂乃果「海未ちゃんみたいだね、エリチカって」

ことり「海未ちゃん、大丈夫かな…」

長くなりそうなんだけど大丈夫すか

大丈夫だね
のこり投下して書き溜めます

三日後
…パカラッパカラッパカラッパカラッ
旅人1「国王のうわさは本当か」

旅人2「ああ、オトノキだけじゃなく、国はずれの全ての村が対象らしい」

旅人3「なぜだ…わからない、いまはそんな僻地に手を回している状況ではないはずだ」

旅人4「スピリチュアルやね」

旅人123「なんだそれは」

旅人4「あ、いや…最近中央で流行っている占い屋でな…」
パカラッパカラッパカラッパカラッ…

ザッザッザッザッザッ
絵里「…中央でも、廃村のことを話しているみたいね。」

海未(ツ…ツカレタ!!!!!)

海未(本当に疲れました……いくらなんでも三日間ずっっっっっと歩きっぱなしって……
村との距離を考えたら、普通は馬でも調達するでしょう…?あり得ません。非常識です)ギロッ

絵里「なに?その眼は」

海未「い、いえ…なんでも」

海未「…………」

海未(騎士エリチカ…オトノキ村一の実力者にして、出世頭)

海未(その若さにして、私たちの国、アキバ帝国の周辺諸国を牽制する騎士団の長を務める、雲の上の存在)

海未(それほどの人物が今、私と肩を並べて歩いている…)

海未「何故」

絵里「?」

海未「何故私なのですか?他にも若者はいたでしょう?」

絵里「別に、いいでしょ誰でも」

海未「はあ…」

絵里「…もうすぐね、ほら」

海未「……うわ、おっきい門……!」

絵里「もしかして、中央は初めて?」

海未「…はい!よく考えたら、村から出たのも初めてでした…」

絵里「……」

海未「アキバ帝国一の中央都市、UTX。どうなっているのでしょう……うぅ」

絵里「……?」

海未「考えたら、こ、怖くなってきました…帰りたい…」

絵里「……ふ」

海未「?」

絵里「面白いわね、貴方。…この門をくぐったら、もっとすごいわよ」

海未「??」

~オトノキ村~
穂乃果「…よく考えたらさ」

ことり「?」

穂乃果「海未ちゃんがこの村から出たの、初めてじゃない?」

ことり「あ、ほんとだ」

穂乃果「普段あんなに威張り散らしてるくせにねー」

ことり「外には貞操をいとも簡単に奪う人がいっぱいいるからって、いっつも家にこもってたよね」

穂乃果「貞操ってなあに?」

ことり「シラナイ」

穂乃果「えーなんでー」

ことり「それよりも!それよりも穂乃果ちゃん!どうすれば村を無くさずにするか、考えるんじゃなかったの?」

穂乃果「だって、なんにも思いつかないんだもん」

穂乃果「この村のいいところなんて、探しても見つからないし。作物は育たないし、私たち以外若い子みーんな中央に出ちゃうし…
    国はずれのこの村に、いいところなんてあるわけないじゃん」

ことり「そうだよね…」

穂乃果「でも」

ことり「?」

穂乃果「私、この村好きなんだけどなあ…」

ことり「私も好きだよ」

穂乃果「…もうちょっと、もうちょっとだけ、考えてみよう。ことりちゃん」

ことり「うん!…海未ちゃん、そろそろ帰って来てくれないかな……」

~中央の街、UTX~

海未「………うわ」

海未「うわうわうわうわ!なんですかこれ!」

海未「高い建物がいっぱい…道もきれいだし、馬の糞のにおいがしない……それどころか、なにやら甘い匂いが…」

絵里「UTX名物のおまんじゅうね。食べる?」

海未「…い、いただいていいんですか?これ」

絵里「ええ、いいわよ…おばさん、おまんじゅう二つください」

おば「はいまいどー…あら」

絵里「ありがと…ん?私になにか…」

おば「ちょっとちょっとお父さん!エリチカよエリチカ!騎士団長の!」

ザワザワザワザワ…

絵里「ちょ、ちょっとおばさん、あまり大きな声で…」

エーアレエリチ!? カワイーカオチッチャイー タマンネーナオイ ツヨソウ

絵里「あ、あはは…」テレテレ

海未(エリチカは、中央でも有名なようですね…そして)

絵里「サインですか?いや~練習しとけばよかったわね~!もー…はい次」サラサラキュ

海未(まんざらでもなさそうですね)

絵里「皆さん、私はこれからプライベートな用事があるので、これでどうか」

エーソンナ モットカオヲミセテクレ オレハソノシタヲ ムネカ? チゲーヨフトモモダヨ ツヨカッタ

絵里「さ、海未さん、行きましょう!」ニヤニヤ

海未「顔のニヤニヤがすごいです…おっと口が」

絵里「えっ!?私、顔に出ちゃってた!?」

海未「い、いえ、決して」

絵里「やだ、恥ずかしい…はやく行きましょ!」

海未(…なんだか、冷静になれました)


〜〜〜UTXの街中〜〜〜


海未「それにしても、活気がすごいですね……すごいおいしいです」モグモグ

絵里「そりゃあそうよ、だってここは、この国の中央都市。ヒトモノカネの全てが結集する大都市なんですもの…おいしいわね」モグモグ

海未「道行く人も皆きらびやかで…まぶしいです……あ、なくなっちゃいました」モグ

絵里「どこかお店に寄ってから行きましょうか。」

海未「ええ、そうしたいです。突然の長旅で、とっても、疲れてますので」

絵里「あら、情けないわね」

海未「…。」

海未(それからゴハン屋なるお店で食事をしました。村のしなびたものとは比べ物にならないおいしさでした)

海未(そして幾度か休憩を挟み、私たちはいよいよ国王のもとへ向かいます)

書き溜めます
スレ残ってたらまたあげます

絵里「…ここね」

海未「また一段とおっきいですね…まるで…まるで……い、言い表せません」

絵里「仕方ないわ、一回も出たことないんでしょ?オトノキを」

海未「はい…恥ずかしながら、外の街が怖くて…」

絵里「…でも、いざとなったら、そこまで…でしょ?」

海未「よくわかりましたね。…確かに、その気持ちは薄れています。というよりも今は、もっとこの街を知りたい…そう思います」

絵里「やっぱり、似ているわね」

海未「?」

絵里「こっちの話よ。…じゃ、行くわよ」スタスタ

海未「はい、わかり…ました…。」スタスタ

海未(ふと思いました。私これ、中央に反逆しようとしてません?大丈夫でしょうか?)スタスタ

海未(ま、まあ、いざとなったらエリチカが助けて…)スタ

ジャキン!
海未「きゃっ!!!!!!!!!!!」ビクッ

兵1「なんだ貴様ら。ここを何だと思っている」

絵里「帝国騎士団騎士団長、“オトノキ”絵里です。国王さまに直に相談したく、参りました」

兵1「…通れ。だが、王は今お忙しい。用があっても相手にしてはくれないだろうがな。」

絵里「ありがとうございます。…それと、物騒なものをその子から下げてくれますでしょうか?」

兵2「……。」スッ

海未「…………………………ハッ!!!」

絵里「大丈夫?安心して。私についてきなさい。」

海未(あ…あたまがまっしろに……あのはものはなんなのでしょうか…やっぱりこわいです)

絵里「……。」スタスタ

兵2「……下賤の民が」ボソッ

絵里「!…なにか言ったかしら?」

兵「……いやあ?なんにも?」

絵里「……。」スタスタ

海未(ほのかやことりはなにをいるのでしょうか…しんでなければいいですけど)

海未(ほのかやことりはなにをいるのでしょうか…しんでなければいいですけど)

海未(ほのかやことりはなにをしているのでしょうか…しんでなければいいですけど)

~~~国王城 内部~~~


絵里「……。」スタスタ

兵たち「……。」スッ

海未(皆、エリチカに敬礼をしていますね…やはり、相当な地位なのでしょう……しかし)

兵たち「……が。……って」ボソボソ

海未(私たちが通り過ぎた後……まるで、針のむしろのような…そんな気分になるのは、気のせい………だといいのですが)

幹部「…おや?おやおや…これはこれはエリチカ様。警備のほうはもういいのですか?」

絵里「先日ちょっとした休暇をいただきましたので、故郷の方へ帰らせていただきました。
おそらく、あさってにでも任務には戻れるかと」

幹部「そうですかそうですか……故郷にねえ…へえ…」

絵里「はい…幹部さん、私、すこし国王さまにお尋ねしたいことが」

幹部「国王さまですか。国王さまは現在予算会議でして。あと…そうですねえ……三十分、といったところでしょうか。」

絵里「そうですか、わかりました。ではここで待たせてもらいます。」

幹部「……ちょっと待ってください」

絵里「!」

幹部「その、みずb…っと、そのお嬢さんはどなたで?」

絵里「私の親類でして」

幹部「親類がいらっしゃったのですか。是非お名前を」

海未「…私ですか!?はい、えっと、私は、う…っ!」グイッ

絵里(海未、じゃなくて、オトノキって言って。絶対)ボソボソ

海未「…“オトノキ”です」

幹部「ほぉー、“オトノキ”さまですか。苗字がちゃあんとお有りで。では名前は」

海未「海未です。」

幹部「わかりました。エリチカさまの親類とあれば、国王さまにも一目みておいてもらいたいものですね…こちらで少々、お待ちください。それではまた。」スタスタ

絵里「ありがとうございました。お元気で」ペコリ

次の夜にまた上げます
完成できたらいいな
スレ残しておいてくれたら嬉しいです

トリップつけときます

海未「あ、あの…エリチカ、さん…」

絵里「絵里でいいわよ、私も、海未、って呼ばせてもらうから」

海未「えと、わかりました。…その、絵里。何故、私はあの時、“オトノキ”、と言わなくてはならなかったのですか?」

絵里「…仕方ないのよ。この街…いえ、この国では。」

絵里「海未。貴方、苗字って、知ってる?」

海未「ええ、勿論。本でよく見かけました。確か…名前の前に付ける言葉のことですよね。それと、なんで私には苗字がないんだろうって…思っていました。」

海未(そういえば穂乃果にもことりにも……、いや、村の皆に、苗字はありませんでしたね)

海未「でも、別に苗字が無くて困ったことなんて一回もないし…それがどうかしたのですか?」

絵里「海未、よく聞いて。この街で苗字がないものは、不利な立場にあるわ」

絵里「この国では、苗字があることが普通なの。さっきの幹部にもユウキって苗字があるし、兵たちにもあるわ。…苗字が無いのは、私たち、オトノキを含む国はずれの村出身の民だけなの」

海未「…。」

絵里「国はずれの村民は、国から半ば棄てられているのよ。国はずれは汚い民だと教育されて、この国の全員がそう思っているわ。…村にずっと住んでいると、このことはわからないんだけど、中央に住むとよくわかるわ。村の暮らしは、崖の淵なんだってね。」

絵里「金もない。医者もいない。土は痩せていて、家の中も外も馬の糞のにおいであふれかえっている。そんな暮らしに嫌気がさした村民たちは、そろって中央に出向くわ。…でもね、汚い私たちを、彼らが快く迎えてくれる?普通だったら、それはないわ。」

絵里「彼らは普通よ。普通に親切にしてくれるし、優しく接してくれる。でもね、私たちに苗字が無いとわかるとすぐに、近づくな、糞のにおいがうつる…って、避けられちゃうのよね。住んでいた家も追い出されて……出来る仕事なんて、村の時よりもずっとつらい…まるで奴隷のように」

絵里「でもね、奴隷といっても、種は人間だわ。そして、人間は偽れるの。」

絵里「だから付けるのよ。自らの故郷を。」

海未「…。」

絵里「わかった?だからこれから、自分のことを“オトノキ海未”っていいなさい。」

海未「……ちょっと、いいですか?」

絵里「なに?」

海未「苗字が無いことで不利になるのもわかりましたし、偽る必要性もわかりました。…ただひとつ、
   わからないことがあるのですが…」

絵里「言ってみて。たぶん答えらえると思うから。」

海未「苗字、故郷の名前にしたら、バレません?」

絵里「………………………………………………………………………………………………………………………………
   ………………………………………………………………………………………………………………あ」

海未「私たちの故郷はオトノキ村ですよね。その名前を苗字にしたら、誰だって「あーこいつオトノキ出身なんだ、
   差別しよ」って思うでしょ。」

海未「そんなことだれでもわかりますよね?もしかして貴方、気づかなかったってわけじゃ、ないですよね?」

絵里「……………………………故郷を思う気持ちが、ね?」

海未「はい」

絵里「故郷を思う気持ちが、ほんのちょっとだけ…!ほんのちょっと上回っちゃったのよね!いやー!気づいてたわよ!?それを踏まえて、オトノキを使ったわけ。うん。」

海未「…」シラー

絵里「あっちょっと!!!そんな目で見ないでよ!!!!ほんとなんだから!自暴自棄になって、ホームシックになったわけじゃないんだからぁ!!!」

海未「…意外と、アレなんですね」

絵里「うるさーーーーーい!!!!!」

ユウキ「うるさいのはどなただと思いますか?エリチカさま」

絵里「………さあ?存じ上げませんわ。」

ユウキ「国王さまが呼んでおられます。……汗を拭いて、身なりをしゃんとしてから出向きなさい。」

絵里「……はい……………はぁ、盲点だったわ」

海未「今更おそいですよ。開き直って、前を向きましょう。今日の目的はなんですか?」

絵里「…国王に、廃村について問いただす」

海未「でしょう?ならまずは、その目的を達成しましょう。さ、行きますよ」

絵里「立場が……立場がない…逆転だ……はぁ」ブツブツ

海未(………よく考えたら、私もオトノキって言ってしまいましたね…まあ、もう二度と来ることのない街です。気にせず行きましょう)

今日多分終わり

~~~その頃のオトノキ村~~~

ことり「土地が安い!」

穂乃果「う~ん…」

ことり「空気がおいしい!」

穂乃果「う~~~ん…」

ことり「人が優しい!」

穂乃果「う~~~~~~~~~~~~~ん」

ことり「あとは…え~っと…」

穂乃果「ダメだぁ~~~~~…!もう!いいところなさすぎだよこの村!そりゃあ廃村にもなるよ!!」

ことり「ほ、穂乃果ちゃん!声大きいよ」

穂乃果「いいよいいよ!どーせお母さんもお父さんも畑に出てるし!ていうかみんなそうじゃん!」

ことり「まあ、そうだけど…」

穂乃果「はぁ…何が違うんだろう?中央と、この村って」

ことり「すべてだよ」

穂乃果「サラッというよねことりちゃん」

ことり「でも事実だし…考えれば考えるほど、仕方がないのかなって…」

穂乃果「……やっぱり、行くべきかな」

ことり「?」

穂乃果「ことりちゃん!」

ことり「何?穂乃果ちゃん」

穂乃果「ちょっとお父さんのところ行ってくる!」タッタッタッタ…

ことり「い、いってらっしゃい…なにするんだろ?」


〜〜〜〜中央、国王城〜〜〜〜

絵里「ですから!」

国王「もういいだろう。エリチカくん。これ以上私に訴えても、無駄なことくらいわかるだろう?」

絵里「……国王さま、私はやはり」

国王「君の故郷を想う気持ちは伝わった。しかしだ。国はずれなどいまさら守って何になる。」

絵里「たとえ国はずれでも、他より劣っていても、この国の一部でしょう!?それをどうして」

国王「もう一部じゃないんだよ。何度もいっただろう?…はぁ、説明するのも面倒になってくる。おい」

ユウキ「は。…先ほどから何度も何度も繰り返し、国王さま自ら口が酸っぱくなるほど申しあげられた通りに。えー…
国境付近に属する散村、通称“国はずれの村”を含む領土一帯は、我が国アキバ帝国の財政難を一時的に解消するため、周辺諸国に売却します。」

ユウキ「また、売却予定地域の住民には誠に申し訳ないのだが、その地域は他国の領土となるため、移住をしてもらいます。
移住先は未定につき、各々の裁量に任せる…と、こんなものですかね。それと、今言ったことはすべて国家機密、トップシークレットですので、よろしく。」

ユウキ「ま、我が国の領土が中央のみとなるのは痛手だが、これもまた、我が国のため。しかたあるまい」

絵里「……しかし」

?「もうそこまでにしてもらえるかしら?オトノキ絵里さん?」

絵里「…!ユウキさま、いらしていたのですか」

あんじゅ「いまはあんじゅとお呼びくださる?」

絵里「……あんじゅさま、申し訳ございません。しかし私としても、この問題は一生を左右する、重要な事なのです。…どうか」

あんじゅ「重要、っていわれてもねえ。私にはわからないわ。そ・れ・に。私たち貴族、これからパーティーなの。ツバサも英玲奈も一緒よ。」

絵里「そうですか。是非、お楽しみください。では、私は大事な用があるので」

あんじゅ「だーかーらー、王様もお父様もそのパーティーにでなくちゃいけないの。そのための準備があるの。でもまだ準備できてないの。なんでかしらね?貴方おわかり?」

海未「……………………はっ!?私ですか!?」

あんじゅ「いいから早く答えて」

海未「…そりゃあ、絵里が…ではなく、エリチカさんが、国王さまと長くお話を」

あんじゅ「あ、やっぱり!だよね~そうだよね~!それが原因だよね~!」

あんじゅ「だ・か・ら」

絵里「…了解、しました。」

あんじゅ「ふふっ。物分かりがよくて助かるわ。さすが、エリチカさま。そうだ!あなたも来る?パーティーに」

絵里「誠に申し訳ないのですが、今回は遠慮させていただきます。」

あんじゅ「今回も、でしょ?…はぁーあ。貴方、欠点は生い立ちだけなんだから。顔もいいし、スタイルもいいし、地位だってなかなかのものじゃない。その気になれば、ウチらの苗字を貸してもいいって言ってるのに…ねえ?お父様?」

ユウキ「キミが今ここにいるのは、他ならぬ私たち三大貴族、ユウキ、トウドウ、そしてキラの助けがあってこそ。汚らわしい生い立ちの君を特別扱いしている理由がまだわからないのかね?」

絵里「……。」

ユウキ「器量がいいからだよ。もしキミがただの芋だったならば、たとえ同じ実力でもせいぜい門番だ。生まれ持ったその美貌を、どうして生かさない?」

絵里「…………………。」

ユウキ「ま、キミもまだ若い。まだ自由でよいわ。…しかし、何か失敗を犯したときは……わかっているだろう?」

絵里「…はい。承知しております。」

あんじゅ「うんうんよろしい!さ、王様、お父様。パーティーの準備をいたしましょう!それじゃエリチカさん、またね~!」

絵里「…失礼しました。」

海未「…し、しつれいしました…はぁ」

バタン

国王「………おい、ユウキ」

ユウキ「はっ。」

国王「……オトノキには、美人の血でも流れているのか?」

~~~~~~
絵里「……………。」スタスタ

兵1「…………用はすんだか。ま、掛け合ってくれただけでもよしとするんだな。」

絵里「…話しかけてほしくないわね。黙ってくれない?」スタスタ

兵2「けっ。……」

海未「……ぅう…」トボトボ

兵12(……好みだ)

~~~~~~~
…パカラッパカラッパカラッパカラッ
商人1「最近どうだ?調子は」

商人2「さっぱりだ。うちの国も貧しくなったなあ…」

商人3「仕方がないさ。長らく戦争をしていないしな。なにかきっかけがあれば、この武器も売れるんだがなあ…何故、国王は何も動きを見せないのだろうか?」

商人4「スピリチュアルやね」

商人123「なんだそれは」

商人4「あ、いや、最近中央の広場で流行っている占い屋でな…」
パカラッパカラッパカラッパカラ…

ザッザッザッザッザッザッ
海未「…疲れましたね」

絵里「…そうね。疲れたわ」

海未「…絵里は、いつもあれを耐えているのですか」

絵里「まあ、そうね。いつもああだわ。…でも、なんかもう、自分を守るのも、めんどくさくなってくるわね」

海未「……そう、ですか…」

絵里「……………。」

海未「……………。」

海未(行きの時とは、また違う沈黙ですね。…穂乃果とことりに、会いたいです)

絵里「あの、……今日…というか、この三日間、申し訳ないことをしたと思うわ。あなたにとっては、何も意味を持たない時間だったでしょう?」

海未「あ、いえ、そんなことは思っていませんよ。ちょっと息苦しい観光をしたと思えば」

絵里「ふふっ、そうね。」

海未「ええ。貴重な体験でした。おそらく一生できないでしょう。」

海未(それに、国家機密とやらも聞けましたからね。帰ったら、村中に知らせないと)

絵里「……私、もう戻らなくちゃ」

海未「周辺諸国の牽制、ですか」

絵里「そうね。やっぱり、あいつらの目があるから」

海未「そうですか…大変ですね、頑張ってください。それと…その、私、帰りも歩きですか?」

絵里「まさか。昼食の時にもう用意しておいたわよ」

海未「そうですか!一安心です!いや、またあの地獄を味わうのかと、冷や冷やしていましたよ」ホッ

絵里「はい。自転車。」ゴトッ

海未「…………………………。」

絵里「じゃ。私は仕事があるから。…そうだ!今回のお礼に、これ」

海未「は?なんですこれ?…紙切れ?」

絵里「私の友人への推薦状よ。中央に用があったり、なにかトラブルに巻き込まれたときは、ここに書いてある場所に行けば、なんとかなるわ。…たぶん」

海未「はあ…え?中央広場のどこかって、あいまい過ぎません?」

絵里「大丈夫よ。そこだけ行列できてるから。……じゃ、ほんとに行くわね。」

海未「あ、さようなら。…絵里」

絵里「さようなら、海未。…じゃね」
パカラッパカラッパカラッパカラッパカラッ…

海未「……………。」

海未(そういって彼女は当たり前のように、馬に乗ってどこかへ行ってしまいました。残された私は、一人自転車を漕ぎ続けるしか、道はありませんでした)

ギコギコギコギコギコギコギコギコ
海未(自転車を漕ぎ続けて、ふと、私はつぶやきました)

海未「馬持ってんなら送りなさいよ!!!!!あのポンコツ!!!!!」ハアハア
ギーコギーコギーコギーコギーコギーコ…

海未(二度と中央には行かないと、私は重くなってゆく足に鞭を打ちながら、そう決心しました)

~~~二日後~~~
ギーコ…ギーコ…ギーコ…
海未「…ハァ、ハァ、ハァ……やっと、かすかに見えてきた…!ぅうう…やっぱり外は怖かったです…ぅぅ」

ギギッ!ガッシャン!
海未「!?」

ガシャガシャ!!カタカタ…
海未「ちぇ、ちぇーんが…」


~~~~~~~~
海未「ハー…ハー…ハー…た、ただいまです…うっオエッ」バタリ

ことり「海未ちゃん!?おかえりだいじょうぶ!?」

海未「ハー…ハー…やっぱり村は落ち着きます…中央はだめですね。空気が腐っています」

ことり「おつかれ海未ちゃん。ゆっくり休んでね。それと」

海未「…?」

ことり「そろそろ穂乃果ちゃんが…」
…バタバタバタバタ

バッタン!!!!!
穂乃果「海未ちゃんおかえりー!…って!めっちゃ疲れてるし!ファイトだよ!」

海未「…もう、だめです…ちょっと寝させてください…あと、私が起きたら、話すことがありますので」

穂乃果「お!ちょうどいいね!じゃあ私たちからは、今発表ってことで!さあことりちゃん!」

ことり「了解!…ドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロ…」

穂乃果「えー、諸君!っていっても海未ちゃんだけか。えーこのたび、私たちはこれから!」

海未「?」

ことり「ドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロ…ババン!!」

穂乃果「中央に、お引越ししまーす!!」

ことり「いえー!」

海未「………………は?いまなんと」

穂乃果「だーかーらー、これから!三人で!中央に住むんだよ!」

ことり「ルームシェア!」

穂乃果「えー、なぜかといいますと……ん?あれ!?海未ちゃん!?ちょっと!!!海未ちゃんしっかり!目―覚ませ!海未ちゃーーーん!!!!」

また明日

そろそろ他のメンバーも出していかないとね

ガタン…ゴトン…ガタン…ゴトン…
海未「……………はっ」

ことり「あ、やっとおきた海未ちゃん」

海未「あ、おはようございます、ことり」

ことり「もう夜だよ?」

海未「…らしいですね…ずっと寝てしまっていたのですか、私は」

ことり「死んじゃったみたいだったよ、まるで」

海未「…あれだけの距離を自転車と徒歩で往復したら、死んだようにもなります」

ことり「普通だったら馬で移動する距離だもんね。大変だったね」

海未「…ぅぅぅ…!」グスッ

ことり「うわっ!どうしたの?海未ちゃん」

海未「そうですよぉ…!大変だったんです…!ほんとうに大変で…!一生分のストレスを味わったかのような…、私はもう、絶対に村から出ることはないでしょう…!そう決心するほど、つらかったのです…」グズッ

ことり「よしよし」

海未「ぅぅぅ…ところでことり」

ことり「何?海未ちゃん」

海未「今どこに向かっているのです」

ことり「中央だよ」

ガタン…ゴトン…ガタン…ゴトン…

海未「………………。」

穂乃果「あっ海未ちゃん起きた!ねえねえ!早速聞かせて!海未ちゃんが話したい事」

海未「穂乃果。この馬車を引いているのはだれですか」

穂乃果「穂乃果のお父さんだよ。それよりも、ねえ!」

海未「絶対いやです!!!!はやくおろしてください!!!!私は二度と」

穂乃果「無理だよ。ほら」

海未「あ…門だ」

穂乃果「きたんだね…ここまで」

ことり「ついに私たち、住むんだね。UTXに」

海未「………もうどうにでもなってください。」

穂乃果「すいませーん」

門番「あ、はい」

穂乃果「街に行きたいんですけど」

門番「はいはい…えーと、貴方たちは商人ですか?それとも旅行目的?」

穂乃果「商人ですよ。ほら、野菜と米」

門番「あー、はいわかりました。お名前は?」

穂乃果「コウサカ穂乃果です」

門番「どうぞお通りください。はい許可証」

穂乃果「ありがとうございまーす!」ニコッ
ガタン…ゴトン…

門番(…好みだ)

海未「…いつも、ああやって中央に行っているんですね、穂乃果とことりは」

ことり「うん。村長…っていっても、私のお母さんなんだけど、教えてもらったんだ。苗字と商品があれば簡単に街に行けるって」

海未「そうですよね…。二人はもう何回も、中央にいっているんですよね…。なんだか、先を越された感じです」

穂乃果「何回も、っていっても、穂乃果は二回目だけどね。あ、お父さん、ここらへんでいいよ。ありがとう」

ほのパパ「…………。」

穂乃果「大丈夫だって!一生こっちに住むわけじゃないし。さすがに死にはしないしね。」

ほのパパ「…………。」

穂乃果「毎週手紙送るから。大丈夫だよー。じゃいくから」

ほのパパ「…………!……………。」

海未「なんだか、かわいそうです」

ことり「子を見送る親の気持ちは、なってみないとわからないよ」

海未「…それじゃあ、私たちも行きます。ここまで送ってくださって、どうもありがとうございます。穂乃果は責任をもって、私がお守りしますので。」

ことり「ことりも、命を懸けてまもります!」

ほのパパ「………!」ジワッ

海未(あ、泣いてますね)

穂乃果「じゃーねお父さん!またね!」

ほのパパ「……………。」キリッ
ガタン…ゴトン…

海未「…あ!お父さん!ちょっと、いいですか」

ほのパパ「…………?」

海未「そのですね…もし廃村になってしまったら、私たちは村の土地を手放し、どこか違う場所に移り住まなくてはいけなくなります…これは中央で聞いた、確かな情報です。どうか、村の皆にも知らせてください。お願いします。」

ほのパパ「…。」キリッ

海未「あと…なぜ穂乃果が中央に移り住むのを決めたのか、まったく知りませんが、きっと何か考えがあってのことだと思います。だから、ご心配なく。私の親にも、よろしく言っておいてください」

ほのパパ「……」
ガタンゴトン…ガタンゴトン…

海未「…よろしく、お願いします。」

穂乃果「海未ちゃーん!はやくいこー!」

海未「あ、はい!…ところで、これからどこに行くつもりなのですか?」

穂乃果「え?決めてないよ?穂乃果が考えてるわけないじゃん」

海未「…………………………………。」

穂乃果「どーしよっか、ことりちゃん」

ことり「とりあえず、私のためたお金で、二日くらいは過ごせそうだよ…そのあとは知らないけど」

穂乃果「おっ!さっすがことりちゃん!二日もあれば、なんとかなりそうだね!」

海未「………………ちょっと、穂乃果?」

穂乃果「え?どしたの海未ちゃ…おお、すっごい怒ってる」

海未「何故計画しないのですか!?行き当たりばったりでどうにかなる世の中じゃないんですよ!?どうりで荷物もやけに少ないと思いました!!!本当にもう…!あなたは大馬鹿です!!!!ことりも!!何故止めなかったのですか!?」

ことり「えー?だって、穂乃果ちゃんの行くところに、私はついていくだけだもん」

海未「ああ…だめですね…完全に毒されています」

穂乃果「そんな怒らないの海未ちゃん。それに、フミコたちも多分どっかにいるはずだし、なんとかなるって!」

海未「彼女らを勝手に頼ってはいけません!迷惑でしょう!?…はぁ、これからどうすれば」

穂乃果「どうしよっか~?」

海未「黙りなさい。……うーーん……あ、そういえば」

ことり「何するの?海未ちゃん」

海未「…ちょっと、ついてきてください。望みは薄いですが、私に考えがあります」

ことり「?」

穂乃果「?」

~~~~~中央広場~~~~~

ザワザワザワザワ…
穂乃果「おお~。人が多いね!海未ちゃん。ここで何するの?」

海未「二人とも。ちょっとやってもらいたいことがあります。」

ことり「何するの?」

海未「…行列を、探してもらいたいのです」

穂乃果「行列?例えば、あれとか?」

海未「そうそう、あれですあれ……見つけるの早いですね!穂乃果」

穂乃果「でしょ?さっすが穂乃果!よし」

ことり「でも、行列見つけたって、それから何を…」

海未「…実は、私もよくわかっていないのです。でも、彼女が」

ことり「か、かのじょ!?」

海未「あ、誤解しないでください!そんな関係の人じゃありませんし!最近知り合ったばっかりですよ!?」

ことり「エリチカと仲良くなったんだ、海未ちゃん。すごいね」

海未「まあ、仲良くなったというか、なんというか…とりあえず、彼女が、困ったことがあったら行列の出来ている場所に行けばいいって言ってましたので…ちょっと行ってみましょう。…あれ?穂乃果は?」

ことり「もう並んでるみたい」

海未「もう!勝手に行動して!ことり!早く行きましょう」

ことり「穂乃果ちゃんらしいね~」

ガヤガヤガヤ
海未「穂乃果!」

ことり「穂乃果ちゃん!」

穂乃果「…海未ちゃん。ことりちゃん。この行列、あそこにつながってるみたい」

海未「え?えっと…『のんたんのわしわし占い』?…なんですかこのふざけた名前は」

穂乃果「試しに並んでみよう!占い屋さんらしいし、なにか占ってもらえるかも!」

海未「占い屋……どこかで聞いたことがあるような……まあ、とりあえず並んでみますか」

分かりにくいスレタイで申し訳ない

十分後…
穂乃果「ことりちゃんは、何占ってもらう?」

ことり「んー、なににしよっかなー?」

海未(…気長に待ちましょう)

三十分後
穂乃果「ず……ず…、あ、ズッキーニ!」

ことり「にんにく!」

海未「クズ」

穂乃果「また、“ず”!?もうないよ~!海未ちゃんの鬼!」

一時間後
穂乃果「……」ウツラウツラ

ことり「ん~…、長いね~…ふあ…」

海未「zzz…」

二時間後
店員「ちょっと!起きてください!」

穂乃果「……ふぇ?」

店員「もうすぐ貴方たちの番なので、店内でお待ちください。さ、早く起きて!」

海未「…やっと………ですか…………」

ことり「長かった~…穂乃果ちゃん、いこ?」

穂乃果「うーん…眠いよ~」

~~~店内~~~
穂乃果「…なんだか、不思議な感じだね。お店の中」

ことり「うん…暗くて、なんだか気持ちがふわふわする」

海未「…あ、ここから占いの様子が見えますね。…」


?「こんばんは。今日は、どないする?」

女「あの…旦那が、浮気してるみたいで…。以前よりも、帰ってくる時間が遅いんです。どうか、旦那が何をしているか占ってもらえませんか?」

?「スピリチュアルやね。探偵事務所に行くとええよ。ほな次」シラー

女「…え!?それだけ!?」

男「……借金を、してしまいまして…。親にも妻にも内緒なんです。どうにかできませんか?」

?「スピリチュアルやね。弁護士に相談しよか。ほな次」シラー

男「そんな!?」

子供「ぼくの○○モンのカセットどこ~!?」

?「タンスの上から二番目に入ってる、黄色い服のポケットの中やね。ちゃんと探してみ。」キッパリ

子供「ほんと!?ありがと!!」

女「ちょっと!子供は占って、なんで私はちゃんと占ってくれないのよ!?」

男「そ、そうだ!金払ってるんだから、もっとなにか具体的なこと言ってくれよ!!!」

?「そんなこといわれてもな~。ウチ、重~い占いは基本ノータッチやから。まあ頑張れば、答えは見つかるかもしれへんけど。」

女「じゃ、じゃあその答えを頑張って言いなさいよ!」

?「料金10倍な~」

男「はぁ!?」

海未「……大丈夫でしょうか?」

ことり「でも海未ちゃん、何か手立てはあるんだよね?」

海未「おそらく。彼女がまともな人間関係を築けていれば、ですが」

ことり「ふ、不安だよ~…」

穂乃果「穂乃果、何占ってもらおうかな~?」ワクワク

店員「次の方、どうぞ~」

海未「…来ましたね。行きましょうか」

?「こんばんは~。…お、見ない顔やね。どこから来たん?」

海未「見ない顔…?私たちがこの街の住民ではないと、わかるのですか?」

?「この街の住民は一通り占ったからな~。だから、外からの人は、なんとなくわかるんよ」

ことり「す、すごい…」

海未「えっと…東から、来ました。」

?「へえ、東から来たんか。大変やね~、なんせ廃村になっちゃうんやから。」

穂乃果「はい、そうなん……え!?なんでわかったんですか!?」

?「顔見てな、ちょーっと、占っちゃった。ふふ」

ことり「わぁ…本物だ」

海未「あ、あの…その、私たち」

?「大丈夫大丈夫。ウチはそんなつまらんこと気にせんから。」

海未「ほ、本当ですか…安心しました。」

穂乃果「あの、のんたん…さん?でいいんですか?」

?「あー、ウチの自己紹介がまだやったね。」

希「ウチ、トウジョウ希。希、でええよ」

海未「…では、希さん。」

希「ん?」

海未「今日は、この人物からの紹介を受けて来ました。」ペラッ

希「………………………………。」

海未「この人からは、困ったことがあったら希さんを頼るといい、と言われましたので、それで」

希「………………………………。」ニヤッ

ことり「?」

海未「単刀直入に言います。私たちを…いや、私たちの村を!す」

希「ちょっと待ち」

海未「…あ、はい。なんでしょう」

希「えっとな……、…っふー、んーっと…な。ひじょ~~~~~~に申し訳ないんやけど、」

海未「はい?」

希「この人、誰?」

海未「・・・・・・・・・・え!?」

穂乃果「!?」

ことり「!」

希「いや~…、この、…っふー、エリ?って人とウチ、知り合いでもなんでもないんやけど…」

海未「そ、そんな!?絵里はしっかり友人と言っていましたよ!?」

希「その人、よっぽどの自己チューか、勘違い屋さんやね。」

穂乃果「ほえ~」

ことり「…。」

海未「あいつは…あいつは最低です…!」ワナワナ

希「まーまー。ここに来たのも何かのご縁や。せっかくだし、占ってもええよ?」

海未「いつか…いつか再会した暁には、はらわたをぶちまけてやりましょう。まずアバラの肉をこう…」ブツブツ

穂乃果「…あー…、海未ちゃんこんなんだから、穂乃果代わりになっていい?」

希「えーよ。それじゃあ、なに聞きたい?」

穂乃果「穂乃果たち、これからどうすればいい?」

希「ずいぶんアバウトやね…。うーーーん、これから、か~」

ことり「あの、この占いって、重くないですか?また、スピリチュアルやね~って、言っちゃったりしませんか?」

希「ん~、いつもならそうやってはぐらかすんやけど…なんと今回は特別サービス!えらい勘違いの、だっさい人に免じてな」

ことり「ヤッター」

穂乃果「じゃあ、穂乃果たちのこれから、わかっちゃうんですか!?」

希「待ってて待ってて。今占ってる途中やから…。お、出た出た」

穂乃果「…。」ゴクリ

希「えー…。この広場からずーーーーーーっと南に行くと、いいことがありますよ。…だって」

穂乃果「ずーーーーーーーーっと南、か~…」

希「そ。ずーーーーーーーっと南。」

穂乃果「…ちょ!それってめっちゃアバウトじゃん!!!もっと具体的に」

希「スピリチュアルやね~」シラー

穂乃果「えええ~!?ひどいよ~!」

希「じゃあ、具体的な事、聞きたい?」

穂乃果「きーきーたーいー!」

希「ふっふっふ…ウチな、わか~い女の子の発展途上おチチがめっちゃ好きやねん。こう、わしわし~!ってな…。だ・か・ら…」

ことり「あ、ありがとうございました~!ほのかちゃんうみちゃんはやく!」ソソクサ~

海未「絶対に…絶対に許しませんからね…ふふふ」ブツブツ

穂乃果「南にいって何もなかったら、穂乃果怒っちゃうからね!じゃーね!」

希「ほなな~!三人に、ええことありますよ~に!」

希「……………あと、エリチにも。…っふー、あかん。笑い止まりそうにない…っふー…ぷぷぷ」

海未「ブツブツ…」

ことり「南か~。いいことってなんだろうね?穂乃果ちゃん」

穂乃果「え?ことりちゃん信じてるの?」

ことり「うん!あの人、絶対本物だよ」

穂乃果「ん~、ことりちゃんがそこまで言うなら…よし!じゃあ南にいこー…、ふ~…。」

ことり「どうしたの?」

穂乃果「穂乃果、おなかへっちゃた。」

ことり「あー、そうかも。ことりもちょっと…」

穂乃果「じゃあ南に行く前に、どこかでご飯食べよー!…海未ちゃんはやく戻って」

海未「………はっ!私はなにを」

ことり「あ!あそこのゴハン屋ってところでいいんじゃない?」

穂乃果「うんうん!なんだかおいしそうなふいんき出てるね~!」

海未「穂乃果。ふんいき、ですよ」

穂乃果「……元に戻ったら戻ったでめんどくさいな~海未ちゃんは」

海未「それが私です…ゴハン屋ですか。確かにおいしかったですね。いきましょう」

ことり「海未ちゃん、エリチカとあそこ行ったの?」

海未「ブツブツ…」

穂乃果「あちゃー…ことりちゃん。しばらくエリチカは禁止ね」

ことり「はーい…海未ちゃんはやく」

海未「………はっ!私は」

穂乃果「もー、先いってるよ~」

海未「あ、待ってください!」

ガラガラ
花陽「いらっしゃいませー!」

穂乃果「あ、今空いてますかー?」

花陽「はい!三名様ですね、どうそこちらに!」

穂乃果「おお…すむ~ず」

ことり「さすがは中央って感じだね」

海未「この前はサバの味噌煮を食べましたから…今日は何を…」

花陽「このお店は、たくさんメニューがあるんです!是非ゆっくりとみていってくださいね!」

海未「そうですか…では、私はサンマの煮つけ定食を」

花陽「サンマの煮つけ定食お一つ」カキカキ

ことり「じゃあことりは、生姜焼き定食で」

花陽「生姜焼き定食お一つ」カキカキ

穂乃果「穂乃果、ハンバーグ!付け合わせはパンで」

花陽「……すいません。もう一度お願いします」

穂乃果「え?だから、ハンバーグだって」

花陽「そのあとです。付け合わせは?」

穂乃果「パンで…」

花陽「どうしてパン頼んじゃうのお!?」

穂乃果「ええっ!?」

花陽「ハンバーグにはご飯でしょ!?ぱっさぱさのパンなんていっしょに食べたら、ハンバーグの魅力が半減、いや全減っ!!どうしてパンなんて食べようとするのか!あんなおなかにたまらない炭水化物、炭水化物の風上にも置けないです!!」

花陽「確かに、ここのパンはおいしいです。いや、全部おいしいですけど…でも、私の一番のおすすめめにゅーであるご飯!ご飯を食べずにゴハン屋を楽しもうなど、言語道断!あってはならないのです!…もう一度聞きます。付け合わせは?」

穂乃果「ご飯」

花陽「少々お待ちくださ~い!」ニッコリ

ことり「…すごい店員さんだったね。かわいいんだけど」

海未「…あ、さっきの店員さん、今度は男の人に注文を」

スイマセーンパンヒトツ、ウヘヘ  ドウシテパンタノンジャウノオ!? コッチモパン パン パン ドウシテエ!? ウヒョーカヨチンタマンネー

海未「みんな反応みて喜んでる…どうやら、彼女はこの店のアイドルらしいですね。前回来たときは居なかったから、わかりませんでした」

ことり「たぶん、お休みだったんじゃないかな?」

海未「ああー。」

穂乃果「うう…怖かった…」


~~~~~~~~~~
花陽「ありがとうございましたー!」

穂乃果「ふー、食べた食べた!やっぱり中央のご飯はおいしいね~!」

ことり「おいしかったね!穂乃果ちゃん」

海未「さ、これからどうします?」

ことり「え?南にいくんじゃないの?」

海未「ことり…あなた、あれを信じるのですか?」

ことり「でも、他にどうしようもないし…」

海未「…はぁぁぁ。穂乃果の無計画のせいで、占いなどに頼らなければならないとは…」

穂乃果「よーし!じゃあ南にレッツゴー!」

ことり「おー!」

海未「…もう、仕方ありませんね。」



~~~南へ~~~
穂乃果「でも、ずーーーーーーーっとって、どれくらい?」

ことり「アバウトすぎるよね~」

海未「これくらいの徒歩なら、もう慣れました…」

~~~~~南へ~~~~~
穂乃果「け、けっこう歩いたよね…」

ことり「ことり、ちょっと休む…」

海未「…あっ、ちょっと思い出してきました…辛さを」

~~~~~~~~~~南へ~~~~~~~~~~
穂乃果「ゼーハー…ゼーハー…」

ことり「…」

海未「……歩き続けて、どれくらいたったのでしょうか……」

穂乃果「ふ、ふつかめ…」

ことり「もう、お金もない…」

海未「そ、そんな…くっ…私が馬鹿正直すぎたのです…」

穂乃果「ダ、ダレカタスケテ~…誰もいない…」

ことり「うっ」バタリ

海未「こ、ことり!大丈夫ですか!?」

ことり「うみちゃん…ほのかちゃんを、たのんだ…よ…」ガクリ

海未「こ、ことりーーーーーーー!!!!!」

穂乃果「だれか…だれかきてよーーーーーー!!!!」

フミコ「…大丈夫ですか?」

穂乃果「……あ!!!!フミコだ!!!」

フミコ「えっ穂乃果!?」

穂乃果「フミコだ…!神様が振り向いてくれた…!」

フミコ「うわっ!海未ちゃんもことりちゃんも一緒!?えーうっそ久しぶりじゃーん!何やってたの?」

穂乃果「ちょっと…いまそういうのいいから…助けて…うっ」バタリ

海未(…わたしも、倒れておきましょう)バタリ

フミコ「えっ大丈夫!?ちょ…ミカーーーー!!!ヒデコーーーーー!!!!!」

~~~~ヒデコ、フミコ、ミカの長屋~~~
穂乃果「……はっ!ここは!?」

ヒデコ「私たちの家だよー。もーこっち来るなら連絡くらいしてよ!」

ミカ「そうだよ!観光なら、私たちいっぱい案内できるのに!」

穂乃果「えへへ…ごめんね、急に来ちゃって」

ことり「なんか押し掛けたみたいになっちゃった…ごめん」

海未「本当に申し訳ございません。三人には迷惑をかけまいと思っていたのですが…」

フミコ「大丈夫大丈夫!おんなじ村出身の友達じゃん!これくらい朝飯前だって!」

ミカ「あ、朝ごはんたべてない」

ヒデコ「あたしも」

海未「…いま、朝ですか」

ことり「感覚も鈍っちゃうくらいに、歩いちゃったんだね」

穂乃果「穂乃果、おなかすいたよ~」

ミカ「食べてく?」

穂乃果「いいの!?」

フミコ「うん。ウチの長屋、入居者全員に三食作ってくれるんだ。だから三人くらい増えても気にしないと思うよ」

海未「で、では」

ことり「お言葉に甘えて…」

ヒデコ「おーっし!じゃあ食堂にレッツゴー!」

穂乃果「おー!」

~~~食堂~~~
ミカ「あ、食べるときは、ちゃんと大家さんに挨拶してね。もう話は通してあるから。」

穂乃果「はーい!」

ことり「りょーかい!」

海未「わかりました。…あ、おいしそうですね。ありがとうございます」

?「あったりまえでしょ~?この私が作った朝ごはんよ?食べれるだけありがたいと思いなさい!」

ことり「ありがとうございます!」ニッコリ

?「あら、結構かわいいじゃない。アイドル向いてるわよ。まあこの私には及ばないけどね~!」

穂乃果「ありがとうございまーす!!!うはー!」

?「はいはい。体に気を付けなさいよー。」

~~~~~
?「よし!全員に行きわたったわね。それじゃあ、いつものあれ、いくわよ!」

穂乃果「フミコ。いつものあれってなに?」ヒソヒソ

フミコ「あー…えっとね、いただきますの前に、入居者全員総立ちで…やばっもう!?穂乃果ごめん!」ガバッ

穂乃果「うわっ!」

?「それではみなさんご一緒に!!」

にこ「にっこにっこに~!」

全員「にっこにっこに~!」

にこ「声が小さい!もういっか~い!にっこにっこに~!!」

全員「にっこにっこに~!!!!」

にこ「にっこにっこに~!!!!!!!!!」

全員「にっこにっこに~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

にこ「にっこにっこに~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

全員「にっこにっこに~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

にこ「うっさい!いただきまーす」

全員「……いただきまーす」ゲンナリ

ことり「……なにこれ」

ミカ「ヤザワ荘名物、いただきますのにっこにっこに~だよ。さー食べよー!ここ、ご飯と家賃だけは絶品なんだから!」

にこ「なんか言った?」

ミカ「い、いえ…なにも」

にこ「ふん!しっかり食べて、ちゃんと働きなさいよ。家賃に関わるんだから」

ミカ「ありがとうございまーす」

海未「ここ、家賃安いのですか?」

ヒデコ「うん。普通よりも、半分くらい。」

海未「み、魅力的ですね…」

ヒデコ「その代わり、制約とか、やることがずっと多いんだけどね…」

海未「?」

ヒデコ「ま、そんなしみったれた話は後!今はご飯をたべよー!」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
穂乃果「ふー!おいしかった!」

ことり「中央のご飯はどれもおいしくて、太っちゃう…いや、さっきまでカロリー消費すごそうだし、大丈夫!」

海未「…あの、ヤザワさん」

にこ「なによ」

海未「私たち、ここに住まわせてもらえないでしょうか?」

穂乃果「おお、海未ちゃん積極的~」

ことり「でも、いいと思う…」

にこ「…あんたたち、出身は?」

海未「…西から、来ました。」

にこ「…ふーん、…あんた、嘘ついてるでしょ。」

海未「!?…何故、です?」

にこ「そんなの簡単よ。あんたたち、ヒフミたちと仲良さそうじゃない。どーせあいつらと一緒の村出身でしょ?」

海未「………。」

にこ「図星ね。別に、そんなの気にしちゃいないわよ!…いいわよ。別に住んでも」

海未「ほんとですか!」
       にこ「ただし!!!!」

にこ「このヤザワ荘には、ルールが存在するわ…それを守れるのなら、入居を許可してあげる」

海未「る、ルールとは…」ゴクリ

にこ「一!毎日食前三回のにっこにっこに~!を忘れたものは、家賃25倍!!!!」

にこ「二!週末開催の「ヤザワにこ定期ライブinヤザワ荘」にはチケット代込みで強制参加!!!」

にこ「三!にこの部屋を毎日入居者全員協力して掃除すること!!!」

にこ「ほかにも、花壇の手入れ、私の妹弟の世話、ご近所付き合いなどなど…ルールはたくさんあるわ。それをクリアできるかしら?」

海未「……………あ、はい。できます」

にこ「皆ー!新しい仲間の歓迎会よ!にっこにっこに~!」

全員「にっこにっこに~!!!!…おい新入り!」

海未「は、はい!にっこにっこに~」

ことり「にっこにっこに~…」

穂乃果「にっこにっこに~!!!!」






拝啓、父上、母上様。海未です。




帰りたいです。
敬具

半分クリア!
のこりは今週中に書き上げます
良かったらレスよろしく

――――ヤザワ荘の朝は早い。
<ピョンピョコピョンピョンカーワイー カミノケガハネテピョンピョコー

海未「………ん…」

ことり「…………ぅー…」

穂乃果「zzz…」

おはようのチャイムが鳴り響く午前六時。新入りの彼女らは、毎朝廊下の掃除を行わなくてはいけない。

海未「………。」ゴシゴシ

ことり「……穂乃果ちゃん。それぞうきんじゃなくてスポンジだよ」キュッキュ

穂乃果「…ふえ?」ボー

廊下の掃除を終えた後は、大家のにこの部屋をこれまた掃除。全員協力、というヤザワ荘ルールは、新入りには適用されない。

海未「…大家さーん。起きてくださーい」

にこ「zzz…zzz…」

掃除を手早く終え、にこの手伝いをする三人。七時にもなると、他の住人も起きてくる。

ヒデコ「おっはよー。」

海未「おはようございます。」トントン

フミコ「ことりちゃーんごめーん、お茶とってー」

ことり「はーい。」

ミカ「ちょっと穂乃果!勝手につまみ食いしちゃだめだって」

穂乃果「うーん…にこちゃんこれ味ちょっと薄い」モグモグ

にこ「うっさいわねー。それがにこ流なのよ」

七時半。朝食の直前。住民全員が総立ちし、恒例の儀式の時間だ。

にこ「それではみなさんご一緒に!」

全員「にっこにっこに~!」

にこ「いただきまーす」

全員「いただきまーす」

彼女たちの朝は過ぎた。そして、これからも続いてゆく…




ことり「そういえば、今日はライブの日だね」

海未「ああ、アレですか…。いまだに、気が進みません」

フミコ「もーう。住み始めて一か月たったんだから、慣れちゃいなよ。」

海未「といってもですね…あのノリは正直、苦手でして…」

ミカ「早くコールとか覚えないと、大家さん怒っちゃうよ。」

海未「はぁぁ…」

~~~お昼~~~
にこ「み~~~~んな~~~~!今日はにこの為に集まってくれて、ありがと~~~~!!」

住民たち「うおおおおおおおお」

にこ「それじゃあ、にこの代表曲、「にこぷり♡女子道」!いっくわよー!」

住民たち「おおおおおおおおおお」

海未「客はいつもまばら…それを隠すための住人強制参加ですか…はぁ」

ヒデコ「海未ちゃん、コール合わせないと!」

海未「わかってますよ…はい、はい、はい、はい」

ことり「うー、はい!うー、はい!」

穂乃果「ふっふー!」

~~~~~~~~~~~~

にこ「みんなー!来週も、にこのこと、応援してね~!!それじゃ、まったね~!」

住民たち「おおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

にこ「…はい。あんたたち、ちょっとそこ座りなさい」

住民たち「……。」

にこ「今日のコール。何あれ?ぜぇーんぜん合ってないじゃない!!!どうゆうこと!?」

フミコ「その…まだ慣れてない人もいて…ですね」

にこ「このヤザワ荘に住むということは、にこのファンになるということよ!!!いつかアキバホールで一大ライブを開催するこのヤザワにコのファンになるのよ!?しっかりしなさいよまったく!」

ミカ「すみません…。」

にこ「はぁ…もういいわ。今日の夕食カレーだから。」

ヒデコ「ありがとうございまーす!」

にこ「じゃ、かいさーん」

海未「……ふう。やっと終わりましたね。じゃ、私バイトに行ってきますので」

ことり「ことりも行ってくるね穂乃果ちゃん。留守番お願いね。」

穂乃果「二人とも頑張ってね~」

フミコ「…穂乃果は、働かないの?」

穂乃果「うん」

フミコ「そ、即答…」

穂乃果「でも、穂乃果にもやることあるよ!」

フミコ「ふーん……何?」

穂乃果「内緒!」

フミコ「ええ~?いいじゃん聞くくらい!」

穂乃果「ふっふーん。海未ちゃんにもことりちゃんにも内緒だもん!まだ言えないってば…」

にこ「穂乃果、もういいわよ」

穂乃果「おっけーにこちゃん!じゃね!フミコ!」

フミコ「あ、じゃーね…大家さんとやること…?なんだろ」

続きまでちょっと時間かかります

~~~~アキバ帝国周辺~~~~
絵里「……。」

絵里(廃村…いや、領土売却が決定してから一か月がたったというのに、いまだに国王は動きを見せない…)

絵里(考えが変わった?…いや、それはないわ。私があそこまでしても、態度を少しも変えようとしなかったもの。おそらく、相当の事情があっての事…そうじゃなきゃ普通、自国の領土を売る、なんて事はしないわ。)

絵里(それとも、私の知らない所で動いている…?もしかして、もう既に、売却が完了してしまった…なんてことも)

絵里「…ふぅ……」

絵里(考えるだけ無駄なのに、どうして私は考えてしまうの)

絵里「…………それにしても、暇ね。この仕事は。ただ周辺を馬で歩き回るだけ。敵の一つでも来ないものかしら。……ん?」

兵「団長!中央から、召集の令状が今、届きました。早急に、とのことです」

絵里「!…了解しました。すぐに向かうわ」

兵「はっ。お気をつけて。」

絵里「あと、よろしくね。」

パカラッパカラッパカラッパカラッ…

絵里(中央から召集…?今までにそんなことはなかった…私をわざわざ呼び出すなんて、どれくらいのことなのかしら…全く見当がつかないわ。それよりも今は、早く向こうに着くことに集中しましょう)

絵里「…村には、かすりもしない道のりね。見納めに行きたかったけど、仕方ないわね」

パカラッパカラッパカラッパカラッ…
~~~~~~~~~~~~~~
国王「…あまり、乗り気ではないのだがな…仕方あるまい」

側近「ええ。我が国のためです。国王。今や私たちの誇りなど、塵にも満たない。それほどまでに、この国は追い詰められているのです」

国王「街の民の生活のためとはいえ、国はずれと兵たちには、苦い思いをしてもらうことになるな」

側近「仕方ありません。これも、我が国のため」

国王「…そうだな」

~~~~~~~~~~~~~~~

一週間間が空いてしまいました
毎日少しずつ更新したいと思います

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