カズマ「ジョースター・エジプト・ツアー御一行様だぁ?」 (84)

DIO「ああ。彼らとはちょっとした因縁があってね...きみ達に彼らと戦って貰いたいんだ」

カズマ「んなもん、あんたが自分でやればいいだろ」

君島「おい、やめろってカズマ!相手は依頼人だぞ!」

DIO「いや、カズマくんの言うことは最もだろう。しかし、私にはそれが出来ない理由があるんだ」

カズマ「理由だぁ?」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1449854782

DIO「私は、ある理由によって、太陽が苦手な体質になってしまってね。それに、私は組織の長...おいそれと動くわけにはいかないんだ」

カズマ「......」

DIO「これでは納得が出来ないかな?」

カズマ「...いくぞ、君島」

君島「ちょ、カズマ!?」

カズマ「心配すんな。金は貰ったんだ。仕事はちゃんとやるさ」

君島「おい!はぁ~、ったくあのバカは。すんませんね、あいつ田舎者だから口の利き方ってもんを知らなくて...」ソソクサ

DIO「......」


DIO「ヴァニラ・アイス。そろそろ姿を現したらどうだ?」

グ オ オ ォ ォ

ヴァニラ「...気付いておられましたか」

DIO「どうした?いきなり己のスタンドに身を隠したりして」

ヴァニラ「申し訳ございません...DIO様を護衛するのが私の役目。ですが...あのカズマとかいうガキ!やつのDIO様に対する数々の無礼な態度!あと一秒『クリーム』にこの身を隠し、外部の情報を一切遮断するのが遅れれば、やつの首をカッ切っているところでした!」

DIO「......」

ヴァニラ「任務を放棄した以上、私はどのような処罰も受ける所存でございます!」

DIO「いや、いいんだ、ヴァニラ」

DIO「きみは、もしこの場でカズマを殺してしまえば、わたしのなにかの狙いが崩れるかもしれない...そう思って抑えてくれたのだろう?」

ヴァニラ「...おそれながら」

DIO「わたしはお前のそういうところが気に入っているのだよ。これからも頼むぞ」

ヴァニラ「ありがたき幸せ!」

DIO(『アルター』...『ALTERATION』。即ち『進化』、か...このDIOの天国への道に役立つかどうか)




君島「おいってば!なんでそんなに急いでんだよ!?」

カズマ「急いでなんかいねえよ。仕事もちゃんとやる。ただ...気に入らねえだけだ」

君島「気に入らない?」

カズマ「ヤロウの、俺たちを見下した目がな」

―――――――――――――――――――

エジプト

ポルナレフ「アッチぃなぁ~、クソッ。DIOの野郎どこにいやがんだよ」

アヴドゥル「ううむ。こうも手がかりが無いとなると、この辺りではないのかもしれんな」

承太郎「ジジイ、もう一度念写しな」

ジョセフ「言われんでもやるつもりだったわい。だが、ここにはカメラが無いからのぉ~」

アヴドゥル「テレビも売ってませんからね。どこか近くの町で調達しましょう」

ポルナレフ「んじゃ、さっさと次の町に行こうぜ」

承太郎「...イギーがいねえようだが」

ポルナレフ「はぁ?あのバカ犬、またどっかほっつき歩いてるのかよ」

ジョセフ「まあそういうな。あいつもいきなり連れてこられてストレスが溜まってるんじゃろ。いつも飯時には帰って来るし、それまで待ってやろうじゃないか」

ポルナレフ「甘いぜジョースターさん。確かにあいつは犬だが、仲間である以上甘やかすのは良くねえと思うんだよ、俺は」

アヴドゥル「うむ...確かに、あいつもそろそろ敵に認識され始めるかもしれんしな。身勝手な行動を慎むよう忠告しておくべきだな」

ポルナレフ「おっ、今日は話があうじゃねえかアヴドゥル」

アヴドゥル「お前のことも言ってるんだぞ、ポルナレフ」

ポルナレフ「どういう意味だそりゃあ!?」

ジョセフ「お前さんもすぐに一人になっちまうからのう。しかも大概襲われておるし」

ポルナレフ「うぐっ...ジョースターさんまで」

ジョセフ「ワシと承太郎はここで待っておるから、お前達二人でイギーを探しに行ってくれ」

アヴドゥル「わかりました。ジョースターさん達も気をつけてください」

―――――――――――――――――――

カズマ「おっさん、このハンバーグみてえなの一つ」

通訳「~~~~~」ペラペラ

店主「あいよ、コフタひとつね」

君島「こんな暑い中でよく肉なんて食おうと思えるな」

カズマ「いいだろ、ウマそうだし。しかし、お前こんなに金持ってたのかよ」

君島「んなわけねえだろ。旅費とか食事代とか通訳さん雇う金とか、全部DIOが用意してくれたんだよ」

カズマ「」ピクリ

君島「正直、どこか胡散臭いと思ってたけど、中々太っ腹な奴だと思うよあいつは」

カズマ「...ま、誰から貰おうが金は金だ。遠慮なく使わせてもらうぜ」


店主「ハイ、お待たせ」

カズマ「へへっ、サンキュー。それじゃ、いただきま...」

バッ

カズマ「す...あ?」

イギー「」モグモグ

君島「な、なんだこの犬?一丁前にカズマのコフタを...」

イギー「ヘッ」

タタタ

カズマ「待ちやがれ!」ダッ

君島「待てよカズマ!...あっ、お勘定いくらですか?」

タタタ

カズマ「くそっ、あの犬...どこ行きやがった。おっ」

イギー「」クチャクチャクチャ

カズマ「いやがった...あいつ、家族を養うためだとかじゃねえ。あのツラは、単純にしたいことをしてるってだけだ」

カズマ(けどまぁ...流石に犬相手にゃ本気で怒れねえな)

カズマ「おい犬公」

イギー「?」クルッ

カズマ「そいつは俺のもんだ。けどまぁ、腹が減ってたんなら仕方ねえ」

イギー「......」

カズマ「その代わり、半分寄こしな。今回はそれで手を打ってやる。どうだ?」

イギー「」チッ

バッ

カズマ「もがっ!?」

イギー「」ガジガジ

カズマ「てめぇ、なんで髪を毟りやg」

イギー「」プゥ

カズマ「」

――――――――――――――――――

アヴドゥル「すみません。この辺りで犬を見ませんでしたか?ボストンテリアなんですが...」

店主「ああ、あの犬はあんたらのペットかい。駄目じゃないか、躾けはちゃんとしなくちゃ」

アヴドゥル「え」

店主「もう大変だったんだよ。そこの席に座ってた日本人客からコフタを強奪してね。そのまま逃げちゃったんだよ」

ポルナレフ「あの馬鹿犬...!」

アヴドゥル「申し訳ありません...それで、その犬は?」

店主「あっちの方に逃げてったね。コフタ盗られたお客さんたちも後を追っちゃったから、会えたらちゃんと謝っておきなよ?」

アヴドゥル「はい、本当にご迷惑をおかけしました。すぐに追いかけるぞ、ポルナレフ」

ポルナレフ「わーってるよ」

―――――――――――――――――
トボトボ

君島「ったく、カズマのヤロウ、どこまで追いかけてったんだか」

君島「通訳さんと別れて探してるものの、おれ外国語わかんねえし...どっかに都合よく日本人はいないかねぇ」

君島「ん..?」


ジョセフ「承太郎、この前スージーQと電話して思ったのだが、なにやら妙に悟ったような口ぶりでな。お前、潜水艦の時になにか喋ったのか?」

承太郎「いいや。挨拶程度だ」

ジョセフ「ふむ...しかし、気のせいとは思えんしなァ」

承太郎「...ジジイが思ってるより、お婆ちゃんの勘は鋭いんだろうよ」

ジョセフ「そうかぁ~?あいつ、ワシが奇跡的に生き延びても皆に知らせるのを忘れてたくらいは呑気しておるぞ」

承太郎「......」

君島「すみませーん、そこのお二方」

承太郎「?」

ジョセフ「ワシらか?」

君島「あっ、やっぱり日本語通じるんすね。尋ねたいことがあるんですけど、この辺りでカズマって日本人みてませんかね」

承太郎「いいや」

ジョセフ「逸れてしまったのか?」

君島「ええ。飯を奪った犬を追いかけてて、それでそのまま...」

ジョセフ「!その犬、ボストンテリアではなかったか!?」

君島「ボストンかどうかはわからなかったけど、黒くて小さい犬でしたね」

承太郎「...やれやれだぜ」


ジョセフ「...あ~、その犬、ワシらの連れなんじゃよ」

君島「えっ、マジですか」

ジョセフ「マジじゃ。すまなかったな、お詫びになにか奢らせてくれ」

君島「いいんすか?なら、お言葉に甘えて...あっ、おれ君島って言います」

ジョセフ「ジョセフ・ジョースターじゃ」

承太郎「...空条承太郎だ」

君島「ジョセフさんに承太郎さんね。...ん?」

君島(確か、DIOからの依頼で...)



DIO『ジョセフ。ジョースターと空条承太郎...この二人とは優先して戦ってくれ。他の二人、ええと、なんだっけ...そうだ、アヴドゥルとポルナレフはどちらでも構わないよ』



君島(やべぇ、いきなり当たりひいちまった?)

今回はここまでです。

乙です
このカズマはアニメ版とマンガ版どっちですか?

>>17
このカズマさんはアニメ版準拠です。


君島(カズマの奴が先走るから、顔写真とかもらうのも忘れちまったんだよなぁ...ったく、あの野郎)

ジョセフ「どうかしたのかね?」

君島「...いいえ、なんでもねえっスよ」

ジョセフ(...なあ、承太郎)

承太郎(ああ。俺たちの名前を聞いた時、一瞬だが動揺が見えた。DIOの手下のスタンド使いかもしれねえな)

ジョセフ(試してみろ)

承太郎「おい」

君島「なんすか?」

スタープラチナ『オラァ!!』ブンッ


ピタァ

承太郎「......」

君島「?」

承太郎(スタンドを出すどころか、防御しようとする姿勢も見せねえ。それほど肝っ玉が据わってるのか、殴られても助かる自信があるのか...そもそもスタンドが見えてねえのか)

承太郎「...そのカズマって奴の特徴を教えな」

君島「あ、はい」

カクカクシカジカ

君島「..てな感じのやつです」

ジョセフ「なるほどのう。どうじゃ、よければ一緒に探さんか?」

ジョセフ(見張りもできて一石二鳥だしのう)

君島(う~ん、今のところは疑われてないのかな。けど、一緒にいると後々面倒になりそうだし...)

君島「いえ、固まって動いてもあのバカと会える可能性は低いんで。もしあいつがここに来たら、さっきの飯屋で待ってるって伝えておいてください。それじゃ」タタッ

ジョセフ「...どうする?あいつの後を追うか?」

承太郎「いや、アヴドゥル達と入れ違うのも面倒だ。あいつらが帰ってきてから話し合う」

ジョセフ「そっちの方がいいかもしれんな。あいつやカズマという男が厄介な能力を持っているかもしれんし」


――――――――――――――――――――

ポルナレフ「あんのアホ犬、何処に行ったんだよ」

アヴドゥル「見ろ、ポルナレフ」

ポルナレフ「あん?」

アヴドゥル「肉の欠片が点々と落ちている。まるで、運んでいる途中で零れたかのようにな」

ポルナレフ「するってぇと、この先に」

アヴドゥル「あいつがいる可能性は高い」

「――――――――!!」

アヴドゥル「!そこの路地裏からなにか聞こえたぞ」

ポルナレフ「なにかもがいてるような...まさか」バッ



カズマ「離れやがれこのクソ犬!」

イギー「」プゥ

カズマ「ぐああっ!」

イギー「」ヘッ

ポルナレフ「やっぱりか...」ガクッ


ポルナレフ「オラ、離れやがれイギー」グイッ

イギー「」チッ

カズマ「ったく、えらい目に遭ったぜ」

アヴドゥル「本当にすまない。大丈夫か?」

カズマ「あ?...誰だおっさん」

アヴドゥル「迷惑をかけておいて名乗らないのも失礼か...私の名はアヴドゥル。こっちの銀髪は、ポルナレフだ」

カズマ「アヴドゥル、ポルナレフ...」

カズマ(確か、DIOの奴がそんな名前言ってたっけな)

カズマ「...そうかいそうかい、あんたらがDIOの言ってたジョースター御一行様って奴かい」

アヴドゥル「!」

ポルナレフ「こいつ...新手のスタンド使いか!」

カズマ「依頼ってのもあるが、散々俺をコケにしてくれたんだ。この喧嘩、買ってもらうぜ」

アヴドゥル「...いいだろう」


アヴドゥル「だが、こんな狭いところでは周りの住宅に被害が出てしまう。場所を変えないか?」

カズマ「...それもそうだな。案内しろ」

ポルナレフ「へーえ。周囲に気を遣うとは、DIOの手下にしちゃあ気が利くじゃねえか」

カズマ「誰が手下だ。あいつはただの依頼人だ」

カズマ「それに、喧嘩に余計なモンはいらねえだろ。あんたらが俺をボコるか、俺があんたらをボコるか。それだけだ」

ポルナレフ「いいねェ。そういうシンプルな考え、嫌いじゃねえぜ」

アヴドゥル「...ついてこい」


ヒュウウウ

アヴドゥル「...よし。この辺りなら誰にも迷惑がかからないだろう」

カズマ「それじゃ、とっととおっぱじめようぜ」

アヴドゥル「いくぞ!マジシャンズ」

ポルナレフ「待ちな、アヴドゥル。俺一人にやらせてくれ」

アヴドゥル「なにを言っている?」

ポルナレフ「...こいつは、イギーにあんだけこけにされても手を出さなかったし、周囲の人間に被害が及ばないよう気を遣った。そんな男に二人でかかるのは騎士道精神に反するぜ」

アヴドゥル「...いいだろう。決して油断するんじゃないぞ」

ポルナレフ「ああ」


カズマ「まずはあんたからかい」

ポルナレフ「俺のことは知っているとは思うが、お前の精神に敬意を表して改めて名乗らせてもらう。J・P・ポルナレフだ」

カズマ「俺の名はカズマ。『シェルブリット』のカズマだ」

ポルナレフ「シェルブリット...?」

カズマ「わからねえなら直接味わえ。この俺の、カズマの拳をなぁ!」ザワッ

ポルナレフ「シルバーチャリオッツ!」

カズマ「そいつがあんたのアルターか」

ポルナレフ「アルター...?」

バァン バァン

アヴドゥル「!」

ポルナレフ「な、なんだ?奴の周りの地面の一部が急に消えた?」

アヴドゥル「違う、分解し、再構成しているのだ。奴を見ろ!」

ポルナレフ「腕に粒子が集まってる...?」

アヴドゥル「アルター能力。突如、謎の隆起現象で隔離された元・神奈川県。通称『ロスト・グラウンド』。そこで産まれた新生児の数%に先天的に備わっている精神感応性物質変換能力の通称が『アルター能力』だ」

ポルナレフ「スタンドとは違うのか」

アヴドゥル「ああ。スタンドはあくまでも精神の像。しかし、アルターは実際に物質を作り出しているのだ。...精神に関する能力故か、彼らにはスタンドが見えているらしいがな」

カズマ「待たせたな...こいつが俺のシェルブリットだ」

ポルナレフ「イカす装甲してるじゃねえか」

アヴドゥル「気をつけろ。私もアルター使いとは手合せしたことがあるが、かなり手強いぞ」

ポルナレフ「ああ。そんな気配って奴をビンビン感じてるぜ...かかってきな」

カズマ「いくぜぇ!」

今回はここまでです。



ガキィィイン

ポルナレフ「うおっ。こ、こいつの腕は...!」

ポルナレフ(固いだけじゃねえ、パワーもかなりのもんだ...下手すりゃ、スタープラチナと互角かもしれん)

カズマ「うおりゃああああ!」

ポルナレフ「だがよ...」

ドカァ

カズマ「チッ、避けられ...」

ポルナレフ「あいつに比べりゃノロっちいぜ、カズマ!」

チャリオッツ『』シュバッ

カズマ「うおっ!?へっ、危ねえ危ねえ...」

ドバッ

カズマ「!?」

カズマ(チッ、額を掠めてやがったか)

カズマ「...いいねえ。ゾクゾクしてきたぜ。喧嘩はこうでなくちゃ面白くねえよなぁ!」

―――――――――――――

ジョセフ「遅いのぉ、あいつら」

承太郎「まだイギーが見つからねえか...もしくはスタンド使いに襲われてるかもしれねえな」

ジョセフ「カズマという男はイギーを追ったというし、そのまま戦闘になっておるかもしれん」

承太郎「探しに行った方がいいかもしれねえな」

ジョセフ「そうじゃな...むっ?」




イギー「ワウッ」




ジョセフ「イギー、お前どこ行っておったんじゃ!?」

イギー「」ケッ

ジョセフ「まったく...それより、アヴドゥルとポルナレフには会わなかったか?」

イギー「」クルッ

ジョセフ「お、おい」

イギー「」チラッ トコトコ

承太郎「...着いてこい、ってことらしい」

イギー(アヴドゥルとかポルナレフとかあのジャップとかどうでもいいけど、ここにはもう飽きたから早く終わらせて別のとこ行きてえんだよ)

―――――――――――――――――

ポルナレフ「ホラホラホラホラァァァァ――――!」

ズドドドド

カズマ「ぐっ」

アヴドゥル(ムゥ...ポルナレフが優勢ではあるものの、カズマも致命傷は確実に避けている)

アヴドゥル(それに、奴の背の羽根も気になる。まさかあれで飛べるはずもないし、だとすればあれは...)

ガシィ

ポルナレフ「!」

カズマ「へへっ...やっと捕まえたぜ。あんたは確かにはえぇが、あいつほどじゃねえ...」


カズマ「ウオラァ!」ブンッ

ドガァ

ポルナレフ「ぐあっ」

ポルナレフ(しまった、スタンドが投げられた衝撃で、身体が...!)

カズマ「くらいやがれ。衝撃の―――」

アヴドゥル「背中の羽根が消えて...まさか!避けろポルナレフ!」

ポルナレフ「くっ」

カズマ「ファーストブリットォォォ―――!!」


ポルナレフ(このままじゃヤベェ。こうなったら)

空中に投げ出され身動きが取れず、大砲の如き拳が迫るこの状況。

普通、迫りくる衝撃に備え鎧で防御しようとする。しかしポルナレフは!

ポルナレフ「防御甲冑、解除!」

逆に鎧を弾き飛ばした!

アヴドゥル「チャリオッツの鎧を弾き飛ばした勢いを利用してカズマの軌道上から逃れたか!」

岩「」ドコォ

カズマ「チッ」

アヴドゥル「凄まじい威力だ、あの巨大な岩がああも容易く破壊されるとはな」

ポルナレフ「このままあの攻撃を喰らわねえ自信はあるが、チッ」

ポルナレフ(剣はさっき掴まれた時に握りつぶされちまったから、俺には攻撃手段がねぇ...)

カズマ「さぁて、あんたはまだやるか?それとも次は...ん?」

ザッ

ジョセフ「無事か、アヴドゥル、ポルナレフ!」

アヴドゥル「ジョースターさん、なぜここが?」

ジョセフ「イギーに案内されたのよ」

イギー「ガウッ」

アヴドゥル「あっ、コイツ、いつの間に...」

承太郎「てめぇがカズマか」

カズマ「あ?なんで俺の名を知ってやがる」

承太郎「てめえのツレに聞いたんでな」

カズマ「君島か。そういやどこ行ったんだあいつ...まあいいや。ポルナレフとそこのムサイおっさんがジョータローでもジョセフでもねえってことは、あんたらがそうなんだろ?」

アヴドゥル「む、ムサイおっさん...」

承太郎「だとしたらどうする」

カズマ「依頼じゃあ、あんたら二人を優先しろってことだからな。この喧嘩、買ってもらうぜ」

承太郎「...いいぜ。かかってきな」

ポルナレフ「ちょっと待ててめえら。俺はまだ負けてねえぞ!」

アヴドゥル「どの道剣が潰されてしまったんだ。しばらく休んでいろ」

ポルナレフ「...チッ、わーったよ」


承太郎「オメー、その腕...スタンド使いじゃねえな。アルター使いか」

カズマ「その『スタンド』ってのは知らねえが...そうよ、その通りよ。その中でもとびっきりに最悪のな」

承太郎「アルター使いでもなんでも、俺たちの邪魔をするってんなら容赦しねえ」

カズマ「当たり前だ、そうじゃなきゃ喧嘩は面白くねえだろうが!」ガァン

承太郎「!」

ジョセフ「地面を殴りつけて反動で跳躍!なんちゅうパワーじゃ!」

スタープラチナ『オラァ!』

ガァン

カズマ「...!」

承太郎「...!」

バァン

カズマ「うおっ!?」

承太郎「ッ...!」

アヴドゥル「二人共弾かれた...やはり、パワーはスタープラチナと互角か」


承太郎「どうした、力自慢。それで終わりか?」

カズマ「んなわけねえだろ。いくぜ、撃滅の...」パキパキ

アヴドゥル(!背中の羽根が消えた...!)

アヴドゥル「気をつけろ承太郎!奴の技が来るぞ!」

承太郎「......」

カズマ「セカンドブリットォォォォ――――!!」

スタープラチナ『オラァ!』

バコォ


カズマ「ッ...!」

承太郎「なるほど、確かに速さもある、パワーもある、強力な技だ。だが、こうして隙だらけの顔面の方に攻撃を受ければ...」

カズマ「ぐっ...」グラッ

承太郎「オメー、喧嘩を売ってきたってことは、当然やられることも覚悟の上だろうな」

スタープラチナ『オオオォォォ!!』

カズマ「!」

スタープラチナ『オラオラオラオラオラオラオラオラオラ』

ドゴドゴドゴドゴ

スタープラチナ『オォオォオオ―――ラァァ!!』

ドッパァン

カズマ「ウゲエエェェ―――!!」



ドサッ

ジョセフ「カーッ、相変わらず容赦ないのォ」

承太郎「手加減する義理もねぇからな。先を急ぐぜ」

アヴドゥル「カズマはどうします?。危険な男ではないが、野放しにしておくというのも...」

「待ち...やがれ...」

承太郎「!」

カズマ「俺はまだ負けてねぇ...」グググ

アヴドゥル「信じられん、あれほどスタープラチナの拳を受けてまだ...!」

承太郎「...大した根性だ」

カズマ「ヘッ、意地があんだよ、男の子にはなァ」ギリリ

承太郎「...きな」

カズマ「いくぜ、抹殺の...」

カズマ(空条承太郎...だったな。テメェの名前は刻んだ...だから、こんどは俺の名を刻め)

カズマ(俺の名前を、カズマという名を!)

カズマ「ラストブリットオオオオォォォ――――!!」


――――――――――――――

車「」ブロロロ

君島「ほんとにこっちなんだな!?」

通訳「はい。二人組の男と一緒に歩いているのを見たと」

ズドォォン

君島「おっ、あの音は...当たりだな!」

―――――――――――

ジョセフ「ゲホッ、ゲホッ...凄い砂埃じゃな」

承太郎「......」

ポルナレフ「無事だったか承太郎。カズマはどうした?」

承太郎「さぁな。おそらく衝撃でどこかにブッとんだんだろう」

ポルナレフ「そうか...はぁ」

アヴドゥル「どうした?」

ポルナレフ「いや、なんつーかさ、今回の俺、いいところなかったなァ~って思ってよ」

イギー「......」

イギー「」ガバッ

ポルナレフ「うわっ!?」

イギー(いっちょまえにしおらしくしてんじゃねえぞ、ボケ)ガジガジ

ポルナレフ「髪をむしるなぁ!この、離れやがれ!」バタバタ

イギー「」プゥ

ポルナレフ「こ、の、クソ犬が~!」

ジョセフ「ハッハッハッ」

ポルナレフ「笑ってんじゃねえよ、ジョースターさん!」


承太郎「......」

アヴドゥル「どうした。心なしか、顔色が悪いように見えるが...」

ドバッ

アヴドゥル「承太郎!?」

承太郎「大丈夫だ...おそらく内臓を痛めたんだろう。奴の一撃...闇雲に振り回してるわけじゃねえようだ。相手を確実に仕留める技だ」

承太郎(あと少しズレてればオダブツだったな...この借りはいつか返す)

承太郎「...テメェの名前、確かに覚えた...いや、刻んだぜ―――カズマ」

―――――――――――――――

君島「!いた、カズマだ!」

カズマ「......」

君島「おい、しっかりしろって!...ダメだ、完全にノびてやがる。通訳さん、運ぶの手伝ってくれ」

通訳「はい、わかりました」

カズマ(空条承太郎...この借りは返す―――必ずだ!)

―――――――――――――――

DIOの館

モニター「」プツン

イーリャン「......」

無常「おやおや、負けてしまいましたか。いい素材を見つけたというから見てみましたが、期待外れでしたねェ」

DIO「......」

ヴァニラ「無常矜持、貴様...DIO様を愚弄するつもりか!」

無常「ああ、失敬。ですが、あのカズマとかいうアルター使いの有り様を見るとどうも...ねぇ?」

DIO「たしかに依頼の半分もこなせなかったのは期待外れではあったが...きみにはわからなかったかな、無常」

無常「というと?」

DIO「あの最後の一撃...あの一瞬だけ、彼は承太郎を凌駕した。あの爆発力はきみの求める『向こう側』とやらに必要なのではないかな?」

無常「ふぅむ。...ま、いいでしょう。候補くらいには入れておきますよ」

無常「私にはスタンド使いを生む力...『弓と矢』の秘密が、あなたには私たちアルター使いの『向こう側』の力が必要ですからねェ。これからもごひいきにお願いしますよ」コツコツ

DIO「......」


ヴァニラ「...あ、の、クソヘビがぁ...」ピクピク

DIO「落ち着け、ヴァニラよ」

ヴァニラ「くっ...!」

DIO「小物の戯言をいちいち真に受けていてはキリがない...そう思わないか?」

ヴァニラ「...仰る通りです」

DIO(それに、奴の求める『向こう側の世界』とやらの力...あれに、このDIOが求める天国への鍵が隠されているはずだ)

DIO(ジョースターの血は確かに厄介ではあるが、所詮はジョナサンからは遠く離れた者たちだ。天国には役立つことはあるまい)

DIO(奴との因縁に決着を着けた時、改めて利用させてもらうぞ―――カズマ。そして)

カメラ「」バシッ

DIO(アルターについて念写をすると必ず映る、スタンドにも似た『コイツ』...探し出しておく必要があるな)

DIO(楽しみにしておけ、アルター使いどもよ。『時』がくれば、貴様ら全てをこのDIOの糧としてくれる)ニヤリ


To Be Continued...?


おまけ

飛行機

カズマ「んが...」

君島「おっ、よーやく起きたか」

カズマ「...なんで俺はこんなとこで寝てたんだ。承太郎たちはどうした」

君島「DIOの依頼は終わったからな。いまはロストグラウンドへと帰る途中だ」

カズマ「いや、待て。俺はあいつらをブッ飛ばしてねえぞ!」

君島「『今回の依頼は承太郎たちと戦ってくれるだけで充分だ』...だってさ。報酬もちゃんと貰えたしな」

カズマ「チッ」

君島「ピリピリしすぎじゃねえの?そりゃ、負けたのがくやしいのはわかるけどさぁ」

カズマ「そいつもあるがよ、ムカツくのはDIOのヤロウだ」

君島「へっ?」


カズマ「わかんねーのかよ。戦うだけでいいってのは、俺たちにはハナから期待してなかったってことだろうが」

君島「あっ、なるほど。...つか、カズマ先生にしちゃ珍しく頭使った発言してんな。病気か?」

カズマ「喧嘩売ってんのか」

君島「うそうそ、ごめーん。...ま、でも、俺たちもまだ無名のなんでも屋だしな。舐めてかかられるのはご愛嬌ってやつだよ」

君島「最初の方は舐められても地べた這いつくばっても下地から積み上げていく。負けた時には反省して前を向く。そういうのも悪くないんじゃねえの?」

カズマ「...ヘッ」

カズマ(だがよ、それでもあいつには、DIOにはナメられたくねえ)

カズマ(手に入れた力でふんぞり返ってお山の大将気取ってる。...あいつは、クーガーと出会う前の俺と同じだからよ)

おまけ2

ポルナレフ「なぁ、アヴドゥル。お前アルター使いと戦ったことがあるって言ってたよな」

アヴドゥル「ああ」

ポルナレフ「で、アルター使いはロストグラウンドってところにしかいねえんだろ?わざわざ戦いにいったのか?」

アヴドゥル「いや、そういう訳ではないが...まあ、成り行きでな」


アヴドゥル「私が日本通であることは知っているな」

ポルナレフ「ああ。この前スシを見た時、急にテンションが上がったのには驚いたぜ」

アヴドゥル「風の噂でロストグランドの噂を聞いた私は、すぐさまあそこへと向かった。ただ、あそこの治安はあまりよくなくてな...大勢のネイティブアルターに襲われた」

アヴドゥル「勿論勝てない相手ではなかったが、流石に数が多くてな。これはマズイと思っていたその時だ。HOLYのアルター使いが駆け付けたのだ」

ポルナレフ「HOLY?」

アヴドゥル「アルター能力者で構成された、いわゆるロストグラウンドにおける警察のようなものだ」

アヴドゥル「だが、不運は重なってな。そのHOLYの少年...劉鳳という名なのだが、彼に私もネイティブアルターに間違えられてな。交戦を余儀なくされたのだ」

****************************

回想

アヴドゥル「誤解だ!私はネイティブアルターではない!」

劉鳳「ならばそのアルターはなんだ。それが貴様がアルター使いである証拠ではないのか」

アヴドゥル「!きみにも見えているのか?」

劉鳳「大人しく捕まれ。ネイティブアルターは、HOLYに属する以外に社会に馴染む術はない」バァン

絶影「」シュピン

アヴドゥル「くっ...仕方ない。手荒な真似はしたくなかったが、聞く耳を持たないのならば!」

魔術師の赤『ギャース!』

劉鳳「柔らかなる拳、列迅!」

アヴドゥル「レッドバインド!」

カッ



ピシバシッ ガガガッ

瓜核「へーえ、劉鳳とあそこまでやりあうなんて中々やるじゃねえかあのおっさん」

シェリス「でも、そろそろ決着じゃない?」



アヴドゥル「クロス・ファイアー・ハリケーン!」

劉鳳「むんっ!」

絶影「」ギュルルル

アヴドゥル「バカな!触手を回して私のCFHを撒き散らしただと!?」

絶影「」シュルル

ドゴォ

アヴドゥル「ぅぐっ...!」

劉鳳「勝負ありだな。貴様の技が通じない以上、貴様に勝ち目はない。大人しく投降しろ」


アヴドゥル「...フッ」ニヤリ

劉鳳「なぜ笑う?」

アヴドゥル「『魔術師の赤』の能力を勘違いしているようだから一つだけ言っておこう。私のスタンドの能力は、炎を吐く能力ではない」

ギュルル

劉鳳「!」

劉鳳(さっき散らした炎が絶影に集まっていく!?)

アヴドゥル「自然に囚われず、炎を自在に操るからこそ、『魔術師の赤』と呼ばれている!改めて、レッドバインド!」

ゴウッ

劉鳳「ぐああああっ!」

劉鳳(絶影が締め付けられて...!)


アヴドゥル「私の目的はきみの再起不能ではない。私怨はないが...大人しくなるまで付き合ってもらうぞ」

劉鳳「...なるほど。大した強さだ」

アヴドゥル「?」

劉鳳「だが、俺にも奥の手がある。お前と同じく、『絶影』の名を冠するにふさわしい能力がな!」

バァン

アヴドゥル「なに!?」

アヴドゥル(レッドバインドが弾かれ、奴のアルターが姿を消した!?)

劉鳳「この力を解放するのは久しぶりだ...お前が解放させたのだ。お前がっ!」

アヴドゥル(マズイ、見えn―――!)

******************************

ポルナレフ「..,それで、負けちまったのか?」

アヴドゥル「いや、決着は着かなかった。彼のアルターが私に届く寸前に、勝負に割り込み止めてくれた者がいたのだ。凄まじい速さでな」

アヴドゥル「彼が劉鳳を説得してくれたおかげで、誤解は解け、劉鳳とは意気投合することができた」

ポルナレフ「なるほどねぇ。道理でアルターに詳しかったわけだ」


ポルナレフ「けどよぉ、そんなに強い連中なら、何人か応援に連れて来ればよかったんじゃねーの?」

アヴドゥル「いや、そういうわけにもいかん。HOLY部隊のアルター使いはまだ少ない。私たちの都合で振り回すわけにはいかん」

アヴドゥル「それに、これは我々の因縁に決着を着ける戦いでもある。いくらホリィさんを救うためとはいえ、無関係な者の犠牲は極力減らしたいからな」

イギー「」ピクッ

アヴドゥル「だから、最初は私とジョースターさん。それに承太郎だけでDIOへ挑むつもりだった。そんな中で、危険を承知のうえでお前と花京院が自ら力になると言ってくれたことには感謝している。ありがとう」

ポルナレフ「な、なんだよ。改まって言われると照れるじゃねえか...へへっ」

イギー「ワウッ!」バッ

アヴドゥル「ムッ!?」

イギー(てめえ、無関係な俺を巻き込んでんじゃねえか!あのジャップみてえなのがいれば俺はもっと楽に過ごせただろ、あぁ!?)ガジガジ

アヴドゥル「か、髪をむしるな!」

イギー(くたばりやがれ、アヴドゥル!)

プゥ

アヴドゥル「イギ~!!」



ジョセフ「まったく...」

承太郎「...やれやれだぜ」


おまけその3 絶対にありえないシチュエーション編


深夜 HOLD基地

劉鳳「力を貸してくれ、か...断る」

DIO「ほぉう」

劉鳳「お前が何者かは知らないが、俺にはこの大地の、ロストグラウンドの治安を守る使命がある。信用もできない相手に誘われてはいそうですかとついていくほど、俺は短慮ではない」

DIO「使命、か...ふふっ」

劉鳳「...なにがおかしい」

DIO「果たしてその使命に殉じたところで、きみは安心を得ることができるのかな?」


DIO「きみはこの数年間、HOLY部隊に所属し、前線で戦い、治安維持に努めてきた。...だが、きみはそれでなにを得た?」

劉鳳「なに...!?」

DIO「きみの母を殺した相手は見つからず、世の為人の為と重ねてきた行為は、結果、護るべき市民から恐怖や侮蔑の目でみられている」

DIO「それを無意識に自覚しているからこそ、きみは周囲との関わりを極力減らし、悪を断罪すると息巻き、なにも得られない現状に不安と苛立ちを感じている。...わたしにはそう見えるよ」

劉鳳「貴様...!」ギリッ

DIO「ああ、きみを煽っているわけではないんだ。わたしはきみのその不安を取り除きたいんだ。例えば...」

水晶玉「」ボウッ

劉鳳「!?」

劉鳳(水晶玉に映る影...忘れるものか、こいつは!)

DIO「幻想像(ビジョン)だ...わたしのではない。きみ自身の心の中がわたしの『能力』を通じて念写させているのだ」

DIO「わたしとつきあえばきみの不安も苦しみも取り除けると思うんだ。...少なくとも、ここで無闇やたらに断罪を繰り返すよりはね」

劉鳳「...!」

DIO「もういちど聞こう」



DIO「わたしと友達にならないか?」


終わりです。
意外にジョジョとスクライドのクロスってないのよね、と思いつつ書いてみました。
読んでくれた方はありがとうございます。

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