とある都市の獣狩りの夜 (54)

それは古いお話。

一世紀、もしくは二世紀程昔のお話。

かつて、この世界の何処かに『ヤーナム』という古都があった。

その都市は、古くからとある『医療』によって栄え、『獣の病』という奇妙な風土病が蔓延っており、そして呪われていた。

だかしかし、数多くの、病に苦しみ絶望した者達がこの都市に、この怪しげな医療を求めて訪れていた。


『血の医療』


病に苦しむ者達は、それにより救われ、ヤーナムへと定住した。

しかし、人々は知る事となる。

人として、病であろうと安らかに眠る事が出来たモノを、自ら『悪夢』へと囚われる道へと進んでしまった事を。


一度血の医療を受けてしまったからには、もう悪夢から逃げる事は出来ないのだと。


そして、とうとうヤーナムに最後の夜が訪れた。




『獣狩りの夜』




その日ヤーナムは、世界から完全に閉ざされ、そして滅亡した。


夜が明けた時、街に生き残った者はいなかった。1人として。
街は死体に溢れ、血に塗れ、混沌に満ちていた。


原因はわからない。


神を冒涜し、その怒りを受けた。
原因不明の疫病が蔓延した。
悪魔による呪いを受けた。


当時、様々な噂が流れたが、真相を知る人間はもう、誰もいない。




少なくとも人間には。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1449753288

bloodborneきたか









『素晴らしい……これが呪われしヤーナムの秘密か』







数年後。


とある魔術師と呼ばれる若い青年が、呪われしこの廃都に足を踏み入れ、そして古都ヤーナムに隠された秘密を見つけた。



それは『青ざめた血』



それは真理の扉を解く鍵。

それは災厄を箱を開く鍵。


その魔術師の青年は、一世紀か二世紀ほど先の未来に、遠い島国、日本に都市を築く。



その都市の名は、『学園都市』



この都市では、俗に言う、超能力を開発する為に、様々な実験を行っている。


ある時は脳に電極を打ち込む事も。

ある時は、『青ざめた』薬品を投与する事も。

そういった様々な過程を乗り越え、限られた者達は人の身にして強大な力を手に入れる事が出来た。


こういった実験を受けたは、主に子供達だ。
その数およそ、180万人ほど。
それらのほぼ全てが、能力開発の名の下に、この実験を受けている。

…………




悪夢は巡り、また繰り返される。
総人口230万もの都市にて、再び『獣狩りの夜』が始まる。


そして




『あぁ……狩人様を見つけたのですね……』





獣狩りの夜と言うからには、狩る者が必要である。

蔓延る獣達を狩る、狩人(ハンター)達もまた目覚める。

いや

狩人達もまた、夢に囚われるのだ。

『獣狩りの夜』という終わらない悪夢に。

こんばんわ、1です。
ブラッドボーンと、とある魔術の禁書目録の、クロスSSとなります。

時系列は適当。
戦闘重視。
元ネタが元ネタなので、軽いグロいシーンあるかも。
DLCネタも含む。


今回はメインキャラ数人のステータスだけ投下して、物語投下は明日以降になります。すいません。

上条当麻

過去 生まれるべきではなかった

体力 20
持久力 20
筋力 15
技術 10
血質 0
神秘 0




一方通行

過去 過酷な運命

体力 4
持久力 3
筋力 3
技術 15
血質 15
神秘 40




浜面仕上

過去 プロフェッショナル

体力 15
持久力 15
筋力 20
技術 25
血質 3
神秘 3



御坂美琴

過去 プロフェッショナル

体力 10
持久力 10
筋力 10
技術 15
血質 10
神秘 25

投下終了です。ではまた。

期待

上位者狩り。上位者狩り

こんばんわ、1です。

>>2
気付くの早いですね!

>>8
ありがとうございます!!
>>9
つ鎮静剤


それでは量は少ないですが、投下をしていきます。

獣狩りの夜(夕暮れ)

17:00






上条「あれ?……何で俺、あの病院にいるんだ?」


幻想殺しと呼ばれる右手を持つ高校1年生、上条当麻は、月に一度は必ずお世話になる病院のベッドで目覚めた。

室内は、窓から差し込む赤い夕焼けの色に染まっている。
その事から、時計を見ずとも今が夕方頃だという事を理解した。


上条「ちょっと待て……いくら上条さんでも、何故病院に運ばれたかなんてわからないほど、馬鹿ではございませんよ?ここ2、3日は特に何かに巻き込まれる事もなかったし」

上条の記憶通りならば、この2、3日は本当に平和だった。
病院に運ばれるような事件など無かったはず。
そもそも、怪我をするような出来事を忘れる訳がない。

自身の記憶の始まりの時のように、記憶が消し飛ぶような事があったのなら話は別だが。

だがしかし、この上条当麻は全てを覚えている。


インデックスとこの病室で初めて会った時のことから、第三次世界大戦の際、ロシア上空にてフィアンマを撃破した事まで、何もかも。


思い出せ。
一体何があった?
この病室に至るまでの経緯は?


そうこう考える内に、上条は一つの答えに到達する。


上条「……普通にあの先生に聞けばいいんじゃ……」

単純な答えだ。
あの馴染み深い、カエル顔の医者に聞けば全て解決する。


そう気付き、近くの椅子に掛けてある自分の学ランを取ろうとした瞬間、その学ランの上に置いてあった手紙を見つけた。

あの医者の伝言だろうか?と、上条がその手紙を見ると、そこにはこう書かれていた。









『青ざめた血を求めろ。狩りを全うする為に』










意味がわからない。

青ざめた血?狩り?何の事だか理解出来ない。

そして、一番理解出来ない。いや、しがたいことがこの手紙には書かれていた。



上条「これって……俺の字だよな?何でこんな……」


手紙の筆跡は、まさしく上条本人のモノだった。
しかし、上条はもちろん、こんな手紙を書いた覚えがない。
そもそも、内容の意味がわからない。



上条「と、とにかく……早くあの先生に事情を」ガチャッ!!


奇妙な手紙に若干の恐怖を覚え、上条はすぐさま病室を出た。
そして、上条は更に恐怖する事になる。




いや、恐怖などと生易しい感情ではない。
もっと恐ろしい何かだ。

血に塗れた病院の廊下

散乱する医療器具や車椅子

至る所が割れている窓ガラス

天井には血飛沫


そして


誰のモノともわからぬ千切れた死体


それは一つや二つではない。


血のように照らす赤い夕闇の中、廊下の先にはいくつもの死体が散乱していた。

上条「……う……おぇぇぇええ”え”え”え”え”え”ッ!!!!!」ビチャビチャッ!!!


その全てを理解した瞬間、上条はその場で吐いた。
胃の中のモノを全て吐き出さんばかりに。



上条「…………何なんだよ…………一体何がここで起こったんだよ!!ふざけんな!!誰がこんな!!こんな……」


意味がわからない。
たった一歩。
一歩病室の外に出た瞬間、そこには悪夢が広がっていた。


誰がやった?
まさか凶悪な魔術師が、学園都市に進入したのか?
それとも、学園都市の闇を担う者達の仕業なのか?
それとも、ただのイカれた殺人鬼の仕業?


とにかく、今は進むしかない。

心臓が、今までにない程の鼓動を鳴らしながら、上条は死体の散乱する廊下を歩いていく。
下は出来るだけ見ないように。これだけの死をまともに直視すれば、心が簡単に折れてしまう。



ふと、血塗れの点滴用のスタンドが目に入る。
恐らく、ここに散らばる死体の誰かが使っていたモノだろう。


上条は余計なモノを全て外し、スタンドを手に持ち進む。
万が一、武器を持った異常者の犯行とすれば、自身の右手は役に立たない。こちらも武器を持っていなければ。




上条「先生……あの先生は何処に……」


もしかしたら、あの人も殺されているかもしれない。
そんな不安を持ちつつ、上条は病院内をゆっくりと進んでいく。

投下終了です。
ブラッドボーンをテーマに書くのは中々難しいですね。今のままじゃあ、ブラッドボーンを知らない人に不親切なので、もう少しわかりやすく書けたらと思います。

それではまた。



上位者は神というより宇宙人だから効かないだろうけど神秘攻撃は幻想殺しできるのだろうか
できたらミコたんパンチしか攻撃手段なくなっちゃうよ!

神秘消せるならロマたんとかじたばたするだけの蜘蛛なんだが

消せるんじゃね?消せなかったら上条さんただの反射神経良いだけじゃん

こんばんは、1です。
先ほどようやくDLCの漁村に辿り着いた1です。
1周目なのにルドウィークも時計塔ボスも強すぎです。


>>19
>>20
>>21
物語の都合上、能力=神秘となっていますので、問題無く消せます。まぁロマもミコも高火力なので消しきれるかは知りませんが。


今日も少ないですが、投下していきたいと思います。


7週目でDLC初見したら絶望したわ
特に漁村のボスは覚悟しておくがいい

17:15


病院1F ロビー



上条「……おい……誰もいないのか?」



いつもならば色々な人で賑わうこの大きなロビーも、今は静寂に包まれている。

大きな液晶モニターは煙を上げ、壁は血に塗れている。床やソファーの上には死体も。


そして、更に目を引くものが。


上条「この壁……何だ?虎とかライオンとかの爪跡のような……」


コンクリートの壁を抉るように、獣の爪跡のようなモノが残されていたのだ。
ただ、果たして普通の動物が、コンクリートの壁を抉る事など出来るのだろうか?

上条「……学園都市が裏で作っていた生物兵器とか?何の映画の話だよ……クソッ!!」



上条は、前にTVでやっていたホラーアクション映画を思い出す。

大都市の地下に秘密裏に作られた研究所で、とあるウィルスが漏れ、大規模感染に繋がり、都市全体が化け物の巣窟と化した。
という物語だ。よくあるゾンビものの映画だ。

その中に登場する化け物の一つに、コンクリートの壁すら抉りとる爪を持つ化け物がいた。

学園都市ならば普通に起こりえそうな物語だから困る。


上条「病院全体がこんな事になってるならもしかして学園都市全体が……インデックスや皆は無事なのか?」ギリッ!!

点滴スタンドを持つ手に力が入る。
上条の家に居候している白いシスター、インデックス。
上条が守りぬかなければならない少女。



彼女は無事なのか?
クラスメイトは?学校の先生達は?
学園都市能力者の頂点に立つ、レベル5の知り合いである御坂美琴達は?
第三次世界大戦の際に和解した一方通行達は?
暗部という闇の中で必死に・いていた少年、浜面仕上達は?




気になったらキリがない程に、上条は知り合い達の顔を思い浮かべる。


上条「先生が見つからないなら……一旦この病院から出た方がいいのか?」


一旦、自分の学生寮に戻り、現状を確かめようかと上条が考えた瞬間





ヒタッ……

上条「ッ!?だ、誰かいるのか!?」バッ!!


ふと、足音のようなものが聞こえた。
血溜まりを歩く足音が。

ヒタッ……ヒタッ……


足音はゆっくり上条へと近づいてくる。
敵か?生存者か?

上条は一瞬、前に見たゾンビ映画を思い出す。
血溜まりの奥から、血肉に飢えたゾンビがゆっくりと現れるシーン。



上条「もしもそんなもんが出やがったら……それがもう人間に戻れない化け物だとしたら……」グッ……



この手に握るスタンドで、それを殺すしかない。
それしか生き延びる方法がないのなら。

それが知り合いだとしたらやれるかどうかわからない。正直、そんな映画のようなありふれたパターンなど死んでもゴメンだが。


そして、ついにその足音の主が姿を現した。

「グルルルッ…………」


上条「…………な…………何だコイツ…………」ゴクリッ……

思わず上条はツバを飲み込み、足が一歩下がる。


目の前に現れたそれは


それは



上条「狼……?いや…………狼人間?」


それは獣であった。



毛むくじゃらで、牙を剥き出しにした、血に飢えた4足歩行の獣。
狼のようで……しかし、その身体の造りは人間に近いモノがある。
体長は2m近くある。



何だろう。
西洋の伝承にある獣人、ライカンスロープといえばこんな感じなのだろうか?
一般的なそれのイメージより、更に獣に近いが。




とにかくその獣が。
上条の10mほど先にいる。目の前に。

「グルァァァァアアアアッ!!!!」ダッ!!


獣は、上条を認識するとすぐさま、上条目掛けて走り出した。

速い。
まるで、本当の獣のように。




そして、その鋭い爪が、上条の身体へと襲いかかろうとした瞬間




上条「うぉぉぉぉおおおおおっ!!!」ブォンッ!!

「ギャンッ!!!」

上条のフルスイングの点滴スタンドが、獣の顔面へと叩き込まれ、獣はそのまま壁に叩きつけられた。



完璧なカウンター攻撃だ。
伊達に、この数ヶ月、様々な修羅場をくぐった訳ではない。


いくら動きが速くても、真正面から突っ込んでくる獣など、上条にとってはいい的である。

上条「はぁっ、はぁっ、やったか!?」


とはいえ、あまりにも非現実で血生臭い状況に、上条の精神は既にゴリゴリに削られている。
たった一度の交戦でも、既に息が上がっていた。

そして



「グルルルルッ……」



壁に叩きつけられた獣は、再び上条へと殺意を向ける。

ダメージがない訳では決してないだろう。
しかし、獣はあの程度では止まらない。


上条「クソッ!!こんな棒じゃあ動きも止められねぇか!!」ダッ!!

上条は走る。

もしかしたら、あの獣が何らかの魔術か能力の産物なのだとしたら、自分の右手で触れば、あの獣は消えるかもしれない。

しかし、触れられる気がしない。
触れた瞬間に。あるいは触れる前に、噛み殺されるか、爪で引き裂かれる未来しか見えないのだ。


とにかく、今は逃げなければ。
そう考えて、上条は必死で病院の出口へと走る。


後ろからは、獣が追いかけてきている。
早く。もっと早く。


そして、上条が病院の外へと出た瞬間


「伏せろっ!!」チャキッ!!


その声が上条に届いた瞬間、反射的に上条は伏せた。
背後からは獣が飛びかかっている。

そして


ドォオンッ!!!


一発の銃声が鳴り響く。

「グルァァァァアアアアッ!!!!!」バタバタッ!!!


カウンターで銃撃を浴びた獣は、そのまま大きく吹き飛び、仰向けで・いていた。
よほど効いたのだろう。


「こんな所に生存者がいたなんてな。寄ってみた甲斐があったぜ」ジャキッ!!


声の主は、ショットガンを持っていた。
ポンプアクションで弾を薬莢を排出し、次の弾を込める。

そして、銃を収め、腰に装着していた斧を構える。



ジャキンッ!!!!



そして、その斧はどういう仕組みか、柄の部分が倍以上に長くなり、手斧がハルバードのような武器へと変形した。



「うぉりゃぁぁぁあああっ!!!!」ブンッ!!



グシャアッ!!!



そして躊躇なく、その長斧を獣の頭へと全力で振りおろし、獣の息の根を止めた。

「ふぅ……危なかったな。で、アンタはこんなところで一体何を……ってお前、上条か?」



男は振り向くと、上条の顔を見るなりそう言った。
そして、上条もこの男を知っている。



上条「お前……浜面か?」



浜面「やっぱり大将か!!今まで何処に行ってたんだよお前!!」



上条の前に現れた男。

それは、汚れた仕事として、かつて御坂美琴の母親を殺害しようとし、上条に阻止され。

それが原因で学園都市の暗部に落とされ、単身でレベル5の麦野沈利を撃破し。

第三次世界大戦では、戦火の中心であったロシアの雪原を生き延びた無能力者のスキルアウト。



浜面仕上であった。

投下終了です。

とりあえず、最初の登場人物は浜面でした。
武器は獣狩りの斧と、獣狩りの散弾銃(普通にポンプアクションのショットガン)です。

カンのいい方はこの辺で何かに気づくかもしれませんね。

ではまた。

宇宙は>>1乙にある
聖歌隊

ペロッ

この浜面はガスコイン神父の匂いがするぜ

こんばんわ、1です。
ようやく一周目DLCをクリアした1です。
漁村といい、ラスボスといい、えげつなさ過ぎですね。

>>23
ラスボスのキツさ体感しました。あれはエグい。
>>35
見たまえ!青ざめた血の空だ!!
>>36
さぁ、どうなる事やら……

それでは投下します。

17:20


上条「浜面!!無事だったんだなお前!!」

浜面「大将こそ!!今まで何処に行ってたんだよお前!!」


病院ホールにいた獣から、全力で逃げ出した先に居たのは、暗部『アイテム』所属の、元スキルアウト。

浜面仕上であった。


上条「いや、気が付いたら病院のベッドに居たんだよ。そんで、病室から出てみたら……うっ……」

改めて先ほどまでの状況を思い出すと酷いモノだ。
何処まで行っても死体、死体、死体。

それも殆どが原型を留めていない、無残な死に方をしていた。

恐らく、あの獣がやったのだろう。
あの牙で、あの爪で。

浜面「そうか……俺らはもう、感覚が麻痺しちまったが、ツライよな……って、ちょっと待て」


浜面はふと疑問に思う。
いや、あまりにもおかしいのだ。



浜面「お前……病室にいたんだよな?『何日も』。なのに、何で部屋から出るまで無事だったんだ?」

上条「無事って、まぁ、鍵もかかってたし……ん?何日も?どういう事だ?」

上条も疑問に思う。浜面の言う何日もとは?



浜面「だってお前……この騒ぎが始まってもう、5日くらいは立ってるハズなんだぜ?」




浜面の言葉に上条は、自分の血の気が一気に引いていくのがわかった。

5日?
この異常な事態が5日も?


いや、それ以前に自分は何故、その5日間の記憶がないのだ?
自分の最後の記憶では、至って平和な学園都市だったハズだが……



上条「ちょっと待て浜面……今日は一体、何月何日なんだ?」


浜面「今日は多分……」



浜面から日にちを聞いて、上条は更に驚いた。
自分の最後の記憶から、一週間もたっていたのだ。一体自分の身に何が起きていたのだろうか。


そして、気になる点がもう一つ。


上条「さっきから多分、多分って……何でそう、日にちに関して曖昧なんだ?」

5日くらいは立ってるハズ。
今日は多分何月何日。


浜面の話では、この騒ぎが起きて5日ほどと言っていた。
その5日ほどの間に、どれほどの惨劇があったのかわからないが、それでも日にちくらいはわかるだろう。



浜面「曖昧にもなるさ……上条。今、夕暮れ時だろ?」

上条「あぁ、そりゃあ夕陽が出てるからな。それがどうした?」

そういえば、少しは時間が立っているハズなのに夕陽が動かないなと、上条は思った。


浜面「あの夕陽な……もう5日間ほどあのままなんだよ」



再び上条の表情が凍てつく。

浜面「夕陽が止まってからだよ。街中がおかしくなっていったのはさ。
TVやラジオは学園都市の外のモノは繋がらなくなるし、携帯も固定電話も外には圏外。
挙句の果てには、いきなり人を襲い出した異常者達が現れ出してさ。目が完全にイッてて、血に飢えた獣みたいになってんの」


浜面はいった。異常者達と。現れ出したと。
つまり、この惨劇を招いたのは1人や2人ではない。
そして、恐らく学園都市の住民の中から、その異常者達が発生したのだろう。


上条「だ、だったらさっきの獣は……」


浜面「あれか?あれはな……その異常者達の成れの果てだよ。最初はタダのイカれたヤツ等だったんだけどな。
次第に身体中の体毛が獣のように生えてきて、手足も長く、身体も強靭に……いわゆる映画とかの獣人ってヤツみたいになっていったのさ。いや、人狼(ワーウルフ)ってヤツかな?
多分さっきのヤツは、無能力者(レベル0)のヤツの成れの果てだろうな。
気をつけろよ?能力者達が変異したら、とんでもない化け物になるからな?」

もう訳がわからなかった。

これではまるで、あのゾンビ映画の世界ではないか。
ただ違うといえば、あの夕陽が5日ほどの間あのままであるという事だ。



上条は確信した。

これは、確実に魔術に関する何かが原因であると。
それ以外に、夕陽が夕陽のまま止まっているなんて事はありえない。



上条「だとしたら……」スッ……


上条は、浜面に頭をカチ割られ、既に死んでいる獣に対して右手で触れる。

上条「……ダメか……」

しかし、獣には何の変化もなかった。

浜面「俺等もな……大将の右手があれば、この惨劇を止める事が出来るんじゃないかって思ったんだ。
能力者でも、魔術師ってヤツ等の仕業でもさ……でも多分違うんだ。根本的に……この惨劇の原因は多分、学園都市そのものだと思うんだ」


上条「学園都市そのもの?そりゃあ一体……」


浜面「大将もいずれわかるよ。そして、俺のようになる」ジャキッ!!

浜面は、腰に付けていた手斧を変形させ、長斧を構える。


上条「な、何だよその武器……学園都市製ってわけでもないだろうし」

学園都市製のモノならば、もっとエゲツない変形をしそうだ。
刃先から火を噴いたり、ジェット噴射で音速の斬撃を加えたりと。

浜面「あぁ……とある爺さんと、ベッピンさんにもらったんだ……あいつ等相手なら効果抜群なんだぜ?並みの武器じゃあ、すぐにぶっ壊れるからな……」


そう言いながら、浜面は病院の中に入っていく。


浜面「俺はここで探し物をしていく。お前は生存者が集まっている建物に迎えよ。
もしかしたら知り合いもいるかもしれないしな」


上条「生存者が集まるって何処に」


浜面「ここからなら、とある高校ってところが一番近いんじゃねーかな?安心しろよ。多分、お前が思ってるよりまだ、絶望的な状況なんかじゃない。
生存者も街全体の4割か5割くらいはいるらしいんだぜ?」


上条「そ、そうか……」

それを聞いて、上条は複雑な気分になった。
少なくとも、学園都市の住民の半分は、既に死んだか化け物となっているのだから。


浜面「あ、そうだ。これお前にやるよ。流石に手ブラでウロつくなんて、自殺行為だからな」


上条は、浜面から『オートマチック拳銃』と、スペアマガジン。その口径の『水銀弾』を、60発ほどもらった。

浜面「ヤツ等には普通の弾丸はあまり効果がない。この水銀の混ざった弾が、一番効果あるみたいだ。無駄遣いするなよな」



何でそんな事を知っているのか。
そもそも何処でそんな水銀弾なんでモノを手に入れたのか。
色々と疑問が生まれたが

上条「じ、銃なんか貰っても俺は……」


上条は思った。
自分にヤツ等を撃てるのか?殺せるのだろうかと。

もし、この惨劇を起こしている原因を解決すれば、浜面の言う異常者達や獣達も皆、元に戻るのではと


浜面「戻らない。一度発症し、理性が飛んだ奴は、もう二度と元の人間には戻れないそうだ」

浜面は、非常に冷たい口調でそう言った。


浜面「いずれお前にもわかるよ上条。……いずれな。そん時は躊躇うなよ?」


そう言いながら、浜面は手を振りながら病院の中の探索に向かった。

一体、彼の言うこの5日間に何があったと言うのだろうか。


上条「とりあえず……高校に行ってみるか。その前に、一回寮に帰ってみるかな」

投下終了です。
次回から、本格的にヤーナムもとい、学園都市の探索スタートです。

まだ上条さんは狩人の夢に行ってませんが、いつかは行きます。
あと、上条さんの記憶にない5日間の各キャラの物語は、話が進むにつれて明らかになる感じです。

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