初風「……これ、似合ってるかしら?」 提督「……さあな」’ (92)


初風「やっと鎮守府のメンテナンスが終わったわね。お腹も空いたし、食堂に行こっと」

明石「あっ、いたいた……初風ちゃん」

初風「あ、明石さん。何か用ですか?」

明石「それがね!大本営から――」

初風「…………えええっ!?」

――――――――――


執務室


提督「ああもう。今日はやる事が多いのにメンテナンスなんてしやがって。終わる気がしないぞ」カタカタ

羽黒「た、大変ですけど頑張りましょう!」カキカキ

コンコンコン

提督「どうぞ」


ガチャ

初風「……」

羽黒「……」

羽黒(あっ、可愛い)

提督「……お前、もうすぐクリスマスだからって浮かれてるのか?」

初風「違うわよ!」


提督「じゃあ何でクリスマスを満喫してる格好してんだ」カタカタ

初風「これは大本営のせいよ! 明石さんが大本営から支給されたから着ろって言うから……」

提督「あー、そういやそんな話を聞いたな。今日だったのは忘れていたが」カタカタ

初風「何でそんな大事な話忘れてるのよ!」

提督「喚きながら近づいてくるな。うるさくて集中出来ない」カタカタ

初風「あっ……ご、ごめんなさい」

提督「……」カタカタ


初風「……ねえ、提督」

提督「何だ?」カタカタ

初風「その……変じゃないかしら?」

提督「何が?」

初風「この服のことよ」

提督「……さあな」カタカタ


初風「……何で答えないのよ」

提督「……」カタカタ

初風「ちょっと、何で無視するのよ」

提督「……」カタカタ

初風「……」

提督「……」カタカタ


初風「……ああもうっ! それくらい答えてくれたっていいじゃない!」バンッ

提督「机を叩くな! うるさいだろ!」

初風「提督こそ、答えてよ!」

ワーキャーギャーギャー

羽黒(多分、私がいるから答えないんだと思います。ごめんなさい初風ちゃん)

――――――――――


提督の部屋


提督「あー疲れた」

初風「そうね、疲れたわ」

提督「お前の場合は羽黒に気付かず騒いでいたのが悪いだろうが」

初風「うっ……さっきちゃんと謝ったでしょ」

提督「そうだな。だからこれ以上は言わないが次からは気をつけろよ」

初風「うん……」


提督「……それにしても、お前に良く似合う衣装を用意するもんだな。大本営も」

初風「なっ……いきなり素直に褒めないでよ!」カァァ

提督「俺は衣装を褒めただけだぞ?」

初風「それでもよ!」


提督「やれやれ……周りに誰もいないんだし、もう少し素直になっとけよ」

初風「提督だってまだ素直じゃないわよ。素直だったら似合ってるとかくらい言うでしょ?」

提督「あっ……」

初風「……」

提督「……」


初風「くすっ……」

提督「な、何笑ってんだよ……」

初風「呆気にとられているのが面白かったからよ」

提督「へーへーそうかい」


提督「……なあ、初風」

初風「何?」

提督「お前の事、撮らせて貰っていいか?」

初風「……いいけど、一つ条件があるわ」

提督「何だ?」

初風「提督も一緒に写ること、それだけよ」

提督「……分かった」


初風「もう少し寄りなさいよ。入り切らないじゃない」

提督「へーへー。てかさ、その服が全部写る気がしないんだが」

初風「仕方ないでしょ。私の腕じゃこれが限界なんだから」

提督「じゃあ俺がやればいいわけだな。ほれ、貸してみろ」

初風「……はい」


提督「こうして寄せて……よし、これで写るな」

初風「撮る前に合図してよ?」

提督「分かってるって……行くぞ?」

提督「3……2……1」

初風「……」


パシャ

提督「……悪くないんじゃないか?」

初風「これ……提督が無表情過ぎるわよ」

提督「別にいいだろ」

初風「ダメに決まってるでしょ。記念になるんだから」

提督「へーへー」


パシャ

提督「……お前、半目になってるぞ」

初風「や、やだ! 撮り直しよ!」

提督「次は気をつけろよ」



パシャ

提督「どうだ?」

初風「ぷっ……くくっ……なんか変よ」

提督「わ、笑うんじゃねえよ。やり直しだ」


パシャ

提督「……ま、これくらいでいいだろ」

初風「……そうね」

提督「あー疲れた。何もしないでこのまま寝てしまおうか」

初風「お風呂には入りなさいよ」

提督「分かってるって。その前に休憩してからな」ナデナデ

初風「んっ……寝なければいいのよ。寝なけれ……ば……」

提督「……」


そのまま寝てしまい、翌日慌てた二人なのであった

――――――――――

とりあえずここまで

投下前にテスト

――――――――――

☆新たな仲間と謎

――――――――――

別な日


提督「じゃ、今日も鎮守府近海の対潜哨戒に行ってきてくれ。メンバーは旗艦を飛鷹にして日向、初風、夕張で」

飛鷹「分かったわ」

提督「大破したらすぐに撤退しろよ」

飛鷹「分かっているわ。行ってきます」ガチャ

バタン


提督「……今思ったが、あのまま出撃することになるのか」

妙高「初風ちゃんの事ですか?」

提督「そうだ」

妙高「夏の時に水着で出撃した子が居ましたし、仕方の無いことではあると思いますよ?」

提督「あー確かに、何人か水着を着ていたな。振袖とかもあったっけか」

妙高「大本営も、用意がいいですよね」

提督「そうだな。でも、その暇があるなら改二に改装できる艦を増やせと思うがな」


提督(そう言えば、特別な艤装の艦娘って駆逐艦が多かった気がするな。母数を考えれば多くなるのも無理はないが……)

提督(いやまて、確か白露達はやけに多かった気がするぞ。最近だと七駆も増えてきたように思うし……)

提督(大本営はもしかして……いや、きっと気のせいだな)

―――
――


飛鷹「作戦完了ですってー」

提督「ご苦労。今回の結果と被害状況は?」

飛鷹「敵主力艦隊の殲滅に成功したわ。被害は初風が中破、夕張が小破したわ」

提督「分かった。とりあえず初風と夕張を入渠させてくれ」

飛鷹「了解よ。あっ、そう言えば見たことが無い子と邂逅したから連れてくるわね」タッタッタ


提督「……また新しい艦娘が増えるのか。そんな報告あったっけな」

妙高「賑やかになりそうですね」

提督「騒がしくなると言った方が適切な気もするが……」

江風「失礼しまーす」ガチャ

提督(トナカイ……だと?)

妙高(トナカイですね……)

江風(えっ……な、なんでこんな静かになったンだ?)オロオロ


提督「……とりあえず、自己紹介を頼む」

江風(しょうがない、この微妙な空気を吹き飛ばしてやンよ)

江風「白露型駆逐艦九番艦、改白露型の江風だよ。よろしくな!」

提督「俺はこの鎮守府の提督だ。こっちの秘書艦は妙高だ」

妙高「重巡、妙高です。これからよろしくね」

江風「はい!」


提督(どことなく涼風辺りと似たようなものを感じるな。それにしても……)

提督「お前、飛鷹達と会った時からその恰好してるのか?」

江風「ン、そうだけど?」

提督「そうか……」

提督(どこにも属していないのに多分普段と違う服装、か)


江風「で、江風はこれからどうすればいいンだ?」

提督「とりあえず飛鷹に頼んで白露型の姉妹艦に会わせてもらえ。あとついでに鎮守府を案内してもらえばいい」

江風「おっ、姉貴達もいンのか」

提督「全員じゃないが一応な」

江風「分かった。早速行ってくるよ。ありありー」タッタッタ


提督「……威勢のいい駆逐艦が増えたな」

妙高「そうですね」ニコニコ

提督「ま、さっさと慣れてちゃんと働いてくれれば言うことはないが……一発変換出来ねえ」カタカタ

妙高「間違えないようにしないといけませんね」

提督「だな」

提督(それより江風があの恰好で海域にいたことが謎過ぎるんだがな……後で知り合いに聞いてみるか)

提督(成果があるように思えないけどな)

――――――――――


その後、親しい提督と連絡して聞いたが何も進展はなかった

無理だった場合、大本営に直接連絡をかけようかと考えていたが、それも無駄だと親しい提督が話していたのでしなかった

結果的に、俺は気にしたら負けだと思って真相を探ることを諦めた

――――――――――

ここまで

初風からスカートがなくなってることに気づいた

投下前にテスト
――――――――――

☆コタツと運談義

――――――――――

執務室前廊下


初風「今日は一段と冷え込むわね。さむさむ」ガチャ

初風「……」ポカーン

提督「今日も来たのか」カタカタ

初風「そうだけど……また執務室を改装したのね。コタツなんか出して」

提督「寒くて仕方ないからな。それにこの時期に使わないと勿体ないだろ?」カタカタ

那智「廊下を歩いていて寒かっただろう。初風も早く入るといい」

初風「あ、はい!」

初風(那智さんがコタツに入っているのって珍しい気がする)


初風「よいしょ……このコタツ、結構大きいわね」

提督「ノートPCとディスプレイを置いても余裕があるからな」

那智(余裕がある割には二人並んでコタツに入るのか……)

初風「でも、二人だと持て余さない?」

提督「二人だと持て余すな。二人だと」

初風「どういうこと?」

コンコンコン

提督「どうぞ」


多摩「執務室にコタツがあると聞いて」ガチャ

球磨「やってきたクマー」

提督「……ほらな?」

初風「……よく分かったわ」

―――
――


多摩「あったかいにゃー」

球磨「極楽だクマー」

初風(二人で横並びになって寛いで……姉妹だけあって行動が似てるわね)

那智「……」カキカキ

提督「那智、邪魔だったら素直に言ってやれよ」

那智「執務に支障はないから平気だ」

提督「そうか」カタカタ


初風「……」

提督「……」カタカタ

那智「……」カキカキ

球磨・多摩「zzz」

初風(静かね……たまにはこういう日も悪くはないけd――)

ガチャ

江風「提督、演習の報告書持ってきたぜ! おっ、コタツが出てるじゃン!」

初風(……静かな時間があっという間に終わったわね)

那智(有無を言わさずコタツに入り込んだな)


江風「はーあったけー。演習の時は寒くて大変だったよー」

提督「大変だったよーじゃなくてだな……まーたお前はノックを忘れて」

江風「あっ、すっかり忘れてた」

提督「次忘れたら何か罰ゲームを与えてやろうか? 例えば長距離航海練習を江風だけメンバー固定して一日中とかどうだ?」

江風「それは冗談抜きできついって!」

提督「冗談だ。やるにしても六時間くらいだな」

江風「それでもきつい!」


提督「冗談だ。とにかく次からは気をつけろよ。あと報告書」

江風「あ、はい」

提督「どれどれ……B勝利が3にA勝利が2か。いつも通りだな」

江風「演習に参加して思ったけど、なンかうちと他の鎮守府で強さに差がありすぎない?」

提督「仕方がない。うちは弱小鎮守府だからな」カタカタ


江風「えっ……初風、そうなのか?」

初風「私に聞かれても困るわよ」

提督「なぜうちが弱小鎮守府なのか知りたいか?」カタカタ

江風「うン、知りたい」

提督「じゃあ教えてやろう。まず原因の一つだが――」

―――
――


提督「――とまあ、こんなところだ」

江風(な、長い話がやっと終わった……)

提督「とりあえずこれで分かっただろ?」

江風「ああ、うン。一応」

初風「長々と話していたけど、一言で纏めるとこうよね」

初風「"強力な大型艦や装備を手に入れるための運が壊滅的に無い"って」


提督「まあ、そうなるな」

初風「似てないわね」

提督「うっせ」

江風「ンーでも、本当に運が無いとは言い切れないンじゃないかな?」

提督「どういうことだ?」


江風「だってさ、江風って建造では出ないんでしょ?」

提督「現状ではそうらしい」

江風「初風だってそうだろ?」

初風「噂ではそうらしいわね」

江風「こうして建造できない艦娘がここに何人かいるンだから、提督の運も捨てたもンじゃないと思うぜ?」

提督「……」

初風「ま、悪く言えば変な偏りがあるってことだけど」

江風「ちょっ――」

提督「そうだな。俺らしいと言えば俺らしいが」

江風(それで納得しちゃうのかよ!)


江風(この二人はよく分かンないや……)

多摩「猫じゃないにゃ……zzz」

球磨「頭を撫でないで……zzz」


なんでここに来たんだろうと思う江風だった

――――――――――

とりあえずここまで
昼くらいしか暇がないこの頃

☆膝枕と耳掃除

――――――――――

今、私は妙高姉さん達の部屋に居て、妙高姉さんの膝を枕代わりにして頭を乗せている

妙高姉さんは私の左耳の耳朶を軽く摘まんで引き寄せ、中を覗き込んでいるようだ

どうしてこうなったのかと言うと、執務が終わりご飯を食べに行こうとした時に誘われ、夕食と入浴を済ませた後に来たらこうなった

妙高「少々奥の方に残っていますね」

初風「奥の方は少し怖くて……」

私はたまに自分で耳掃除をすることがある。聞こえにくいと感じたりした時にすると、耳垢がたくさん取れるから

でも、奥の方は鼓膜を傷つけるのが怖くて手が出せずにいた


妙高「それなら、私が奥の耳垢を取ってあげますね」

そう言ってから妙高姉さんは一度立ち上がり、耳かき・ティッシュ・ピンセット・綿棒・よく分からない物を用意する。私が自分でする時より物が多い

よく分からない物が何か気になりながらもまた膝枕に頭を乗せる


妙高「では、始めますので痛かったら言ってくださいね」

私が頷くと、妙高姉さんは耳かきを手に取り、私の耳へ入れる

耳かきが奥の方へ辿り着くと、外耳道の壁に向かって動き始める

こりこりと音が響き、少しずつ張り付いた耳垢が剥がれていく

妙高姉さんはかなり力を抜いて、慎重に動かしているみたい。痒みを感じてむずむずする

ゆっくりと外耳道の壁から耳かきが離れていく。耳垢が取れたみたいだ


妙高「痛くないですか?」

初風「大丈夫です。むしろもう少し力を入れてもいいくらいです」

妙高「耳の中は傷つきやすいので、力を加えるのは難しいですね」

苦笑しながら言い、また耳かきを入れて耳垢を優しく取っていく

こりこり、かりかりと擦れる音がして、耳垢が取れた部分がじんわり熱くなる


今の私は緩みきった顔でいると思う。それほどに奥にある耳垢が無くなることが気持ちいいから

しばらくすると、すべての耳垢を取り終えた妙高姉さんは耳かきを置き、先ほど用意した綿棒とよく分からない物を取り出す

それで何かをしてから、綿棒が私の耳の中に入ってきた。冷たさにビクッと体を震わせる

初風「な、なんですかこれ」

妙高「これは耳かき用のローションに浸した綿棒ですよ。こうして耳の中を擦ると気持ちいいでしょう?」

確かに、じんわり熱くなっていた部分が冷えて、気持ちがいい。こういうやり方もあるのかと感心した


妙高「はい、これで左耳は終わりです。次は右耳をしましょう」

初風「はい」

私はグルンと体を回転させ、右耳が上に来るようにする

妙高「では、始めますね」

そう言って耳かきを奥まで入れ、また耳垢を手際よく取っていく。気持ちが良くて、だんだん眠気が襲ってきた


妙高「眠たいのですか?」

初風「はい。少しだけ……」

妙高「寝ても大丈夫ですよ」

初風「そう、ですか……」

私は目を閉じて、こりこりと響く音を聞きながら眠りに落ちた――


ちなみに言うと、用意していたピンセットは、あまり大きいものが無かったために使用しなかったそうだ

――――――――――


――翌日

私はいつもと同じように書類を作る提督の横に座りながら、じーっと様子を眺めていた

提督「……」

初風「……ねえ、提督」

提督「なんだ?」

初風「ちょっと動かないで」

私は提督の耳へ顔を近づけて中を覗き込む

提督の耳は奥まで見やすい構造で、耳垢もほとんど見当たらなかった


初風「提督って、結構耳掃除をしたりするの?」

提督「いや、ほとんどしてない」

初風「じゃあなんであまり耳垢が無いのよ」

提督「それなんだが……どうやら耳垢が溜まりにくいらしくて、いつ耳掃除してもあまりないと言われたな」

初風「そうなんだ……」

提督「俺の知らぬ間に耳垢が勝手に落ちているんだろうな。ま、手間がかからなくて助かるが」


提督は嬉しそうだけど、私はちっとも嬉しくない

だって――妙高姉さんが私にしたように、提督にしてあげられないじゃない

提督「ん、どうした? そんな残念そうな顔をして」

初風「……なんでもない」

私はそっぽを向いて、提督の質問には答えなかった

――――――――――

今回はここまで

そろそろ完結させるつもりです

提督「じゃあ何でクリスマスを満喫してる格好してんだ」

初風「これは大本営のせいよ! 明石さんが大本営から支給されたから着ろって言うから……」

提督「あー、そういやそんな話を聞いたな。今日だったのは忘れていたが」カタカタ

初風「何でそんな大事な話忘れてるのよ!」

提督「執務するうえで関係ないから気にしていてもな……それにメンテナンス中は艦娘に会えないし、仕方がないだろ?」カタカタ

初風「うっ……確かにそうね」


初風「……何で答えないのよ」

提督(羽黒の前だから言いにくいんだよ……)

提督「……」

初風「ちょっと、何で無視するのよ」

提督「……」

初風「……」

提督「……」


初風「……ああもうっ! それくらい答えてくれたっていいじゃない!」バンッ

提督「机を叩くな! うるさいだろ!」

ナニヨ!
ナンダヨ!

羽黒「ふ、二人とも……落ち着いてください」

ワーワーギャーギャー

羽黒(二人とも……私の声が届いてないみたいです)

その後、騒ぎを聞いて来た那智さんが私たちを止め、私と提督は羽黒さんに深々と頭を下げて謝った


――――――――――


翌日


執務室

初風(昨日の騒動で溜まってしまった執務を片付けるため……もとい、昨日羽黒さんに迷惑をかけたことへの償いの一つとして、足柄さんの仕事の半分を手伝うことにした)

初風(羽黒さんに直接何かをしているわけではないけど、今はまずこっちをどうにかして、それから何かしようと考えたけど……)

提督「……」カタカタ

初風「……」カキカキ

足柄「初風ちゃん、大丈夫?」カキカキ

初風「だ、大丈夫です」カキカキ

初風(口では言えるけど、昨日の分も合わさって数が多いから結構辛い)

初風(でも、原因は私にあるわけだから、挫けるわけにはいかない……)

結局、秘書艦が普段行う量を消化し、終わった頃には疲れきっていた

―――
――


提督の部屋


提督「あー疲れた」

初風「そうね、疲れたわ」

提督「……」

初風「……」

提督「……すまん」

初風「……ごめんなさい」


提督「……やれやれ、そこで被ることはないだろ。……ぷっ」

初風「それはこっちのセリフよ。……くすっ」

初風(私と提督は可笑しくて笑ってしまった。疲れておかしくなっていたのかもしれないけど)

提督「ふう、落ち着いた……羽黒にももう一度、ちゃんと謝らないとな」

初風「ふふ……そうね。その時は私も一緒に謝るわ」

提督「ああ」


提督「……それにしても、、大本営は今年になってやけに期間限定の艤装にこだわるな」

初風「そうね。いったいどんな考えでこんな艤装を用意したのか理解できないわ」

提督「そうだな。でも……お前のその艤装はいいと思ったけどな」ボソッ

初風「え、今なんて言ったの?」


提督「秘密だ」

初風「教えなさいよ」

提督「断る」

初風(これはもう何を言っても無理そう……)

ちょっとした事情から訂正しました
更新はもう少しお待ち下さい

帰宅後投下しますので待っている方がいたらお待ちください

☆クリスマスパーティーとプレゼント

――――――――――

江風「――ってことがあってさー」

初風「そ、そう……」

オーイ カワカゼー

江風「あ、白露の姉貴だ。ンじゃ、ちょっと行ってくる!」タッ

オーイ アネキー

初風「……やっと落ち着けるわね」

初風「今日はクリスマスだからって、はしゃぎすぎよ」ハァ


提督「だいぶ振り回されていたみたいだな」ポン

初風「と、突然現れないでよ! びっくりするじゃない!」

提督「悪かったな」

初風「……ここに来たってことは、執務がやっと終わったのね?」

提督「ああ。ったく……今日に限って仕事をたくさん寄越しやがるから遅くなっちまった」

初風「そう言えばさっき、提督が執務終わったら遊びたいって子が何人かいたわよ。ここにいたら長時間付き合わされるかもしれないわね」

提督「マジか。遊ぶ元気なんて今の俺にはないぞ」

初風「そうだと思った」


提督「まったくだな。あいつらには悪いが料理と酒を持って部屋に隠れるか」

初風「淋しくない?」

提督「まあな。でも疲れているところにあいつらの相手をして倒れでもしたらそれこそよくねえ」

初風「それもそうね」

提督「だから今年は諦めてもらうとして、とりあえずチキンとケーキと酒だけでも持ってくか……」


初風「……あのさ」

提督「ん?」

初風「その……一人じゃ淋しいと思うし、私も暇だから……一緒に付き合うわ」

提督「いいのか?」

初風「ええ。正直言うと私も疲れてきたからのんびりしたいのよ」

提督「そうか。ならいつも通り部屋に行くか」

初風「ええ。私もシャンメリーとケーキを取ってくるわ」

提督「おう」

――――――――――


提督の部屋


提督「あー酒とチキンうめー」

初風「……」ジーッ

提督「ん、どうした?」

初風「さっきからチキンばかり食べ過ぎじゃないかしら?」

提督「ケーキばっか食ってるお前に言われたくないな」

初風「うっ……だって間宮さんと伊良湖さんの作ったケーキよ?」

提督「おいしいのは分かる。だがホールの半分も取ってきて食えるのか?」

初風「余裕よ」ドヤッ

提督「マジかよ……俺なんか見てるだけで胸焼けしそうだ」

初風「そういう提督も、チキンを四羽分も持ってきて……食べられるの?」

提督「何とかなるだろ。酒もあるし」

初風「私はそっちの方がすごいと思うわ……」


提督「……思えばこの一年、いろいろあった気がするな」

初風「そうね」

提督「つい最近だと、喧嘩して迷惑かけて羽黒に二回も謝ったな」

初風「あの時の事はあまり思い出したくない……頭に血が上ってたから」

提督「俺もイライラしてたな……何で最初に思い出したんだか」

初風「悪い記憶ほど覚えているものだって聞いたことがあるわね」

提督「印象が強かったしな……他の事思い出すか」


初風「他には……江風が着任したことね」

提督「あの姿で着任してきて誰だお前ってなったな」

初風「見つけた時に艦隊にいたせいか、何故か懐かれたし……」

提督「そう言えば白露型の姉妹よりもお前と一緒にいることが多い気がするな」

初風「私が執務室にいるときに一緒についてくるからじゃないかしら? 一応姉妹達とも仲良くしてるわ」

提督「確かに、執務室以外じゃ江風とほとんど会わないからな」

初風「最近は執務室にもよく来るし……少し困るのよね」ボソッ

提督「なんか言ったか?」

初風「別に、何でもないわよ」


提督「そうか。あとは……知り合いの提督の艦隊と演習もしたな」

初風「あったわね……艦種指定の時点で嫌な予感はしてたけど、あっちはドイツの戦艦に改二駆逐艦を複数揃えて酷い有様だったわ」

提督「ビスマルクか……確かにあの戦艦も強かったが、随伴にいた島風と初霜の方が異様に強かった記憶がある。お前も江風も善戦したけど練度の違いを実感させられたな」

初風「もう二度と戦いたくないわね……あんな化物じみた動きの相手とは」

提督「だよな」


初風「……あと少しで、クリスマスも終わりね」

提督「そうだな」

初風「もうこの服を着る義務が無くなると思うと少し嬉しいけど」

提督「来年にはまた着ることになるだろうけどな。龍驤とか那珂とかもそうだったし」

初風「うっ……そうだったわね」

提督「まあ、俺にとっては嬉しいことだったけどな」ボソッ

初風「何か言った?」ジーッ

提督「……あ、そうだ。お前に渡すものがあったな」

初風(渡すもの?)


提督「えーっと確かここに……あったあった」ゴソゴソ

提督「ほれ、クリスマスプレゼントだ」

初風「えっ……これを私に?」

提督「ああ」

初風「……開けてもいい?」

提督「ああ、いいぞ」

初風「……ヘアゴムじゃなさそうね。これは何?」

提督「ミサンガだ」

初風「ミサンガ?」

提督「手首や足首に巻きつけて、紐が自然に切れると願い事が叶うんだとさ」

初風「そうなんだ。ところでこれいつ買ったの? いつも忙しくて外に出る時間があったようには思えないけど」


提督「……作った」

初風「え?」

提督「この前の休みを利用して、作ったんだよ。」

初風「……意外ね。あまりこういう事得意なイメージが無いんだけど」

提督「手先は割と器用な方だと言われててな。作り方見て作ってみたんだ」

初風「そうなんだ……ありがとう提督」

提督「お、おう。でもこんなお金を掛けない物でいいのか?」

初風「こういうのはお金より気持ちよ! 一生懸命作ってくれた物が嬉しくないわけないじゃない!」

提督「……ま、喜んでもらえたならなんだっていいか」

提督(来年は、もっといい物をあげられるよう頑張らないとな)

初風(……来年は、私からも提督に何かプレゼントしようかな)

――――――――――


数日後


江風「ここに来てやっと普段着に戻れたぜ!」

初風「普段着が逆に新鮮ね……」

江風「だろ? やっぱこの方が動きやすいな」

初風「その調子で遠征の成果も期待しているわよ」

江風「おう! ってあれ? その腕のやつはなンだ?」


初風「これの事かしら?」

江風「それそれ、綺麗だなー」

初風「これはミサンガって言うの。こうして手首に巻きつけて紐が自然に切れたら願い事が叶うものらしいわ」

江風「へー。面白いものを持ってるンだな」

初風「最近手に入れたのよ。効果の方は分からないけど、戦闘になればいつか切れると思ってね」

江風「切れたら勿体ないと思うけどなー。ところでそれはどこで手に入れたンだい?」

初風「それは……」

オーイ ソロソロイクゾー

初風「あ、天龍さんが呼んでるわ。急ぎましょう」

江風「教えてくれたっていいじゃンかよー!」

初風(教えるわけにはいかないわよ。提督からもらったなんて……恥ずかしくて)

その後も、江風はどうやってミサンガを手に入れたか教えてもらうことは無かったという

――――――――――

終わり

読んでくれてありがとうございます

書きたいネタはいっぱいあったけど時間が足りなかったのでここまでです
師走というだけはありますね

近日中にまたクリスマスネタで何か投下するつもりです

ではHTML依頼してきます

夜に新作投下します

今更だけど'はミスじゃないよ

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