イケメン魔王「女の子の勇者送り込んでくるのやめろ」 (142)

勇者「遅い!」

チャキン ザシュ

「ぐわああああああ!」

勇者「はぁ…はぁ…」

勇者「だいぶ、敵も強くなってきたな」

勇者「でも…とうとう来たぞ」

ゴゴゴゴゴゴゴ

勇者「ここか…この部屋にあの魔王が…」

勇者「ついにこのときが…」

勇者「…」ゴクリ

ガチャ バターン!

勇者「魔王!貴様の命もここまでだ!!」





魔王「フハハハハハハハハハハ!!!待っていたぞ勇者よ!」













魔王「えっ」

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勇者「えっ…えっ!?」

魔王「…」

勇者「やだっ、超タイプ…」キュン

魔王「はぁ…また女の子か…」

勇者「…あっ」

勇者「ま、魔王!!!貴様を倒すために私は努力を重ねてきた!」

勇者「我が使命、ここで果たすとき!!!」

魔王「いやーすまん、俺女の子と戦うの無理なんだわ」

勇者「な、なんだと!!私を侮辱する気か!!!!」

魔王「…君のその綺麗な顔を、傷つけたくないから」

勇者「っ」ドキッ

魔王「…あっ、やっちまった」

勇者「うぐっ、む、胸が苦しいっ!」

勇者「貴様、すでに攻撃を仕掛けていたのか!!!!」

魔王「ごめんなさい」

勇者「許さんぞ!!!うおおおおおおおおおおおおお」ダッ

勇者「覚悟しろ!!魔王!!!!!」

魔王「おっ!?少しは骨のあるやつだったか!!」

魔王「フハハハハハハハハハハ!!!こい、勇者よ!!」

勇者「うおああああああああああああ!!!!!」バッ






ギュッ







魔王「えっ」

勇者「…好き。」

魔王「(えぇ…)」

勇者「私、修業ばっかりしてて全然魅力ないかもしれないけどっ」

勇者「でも、あなたを思う気持ちは誰にも負けないから」

勇者「だから…私をあなたの彼女にしてください」ポッ

魔王「ちょっと待て!待て待て待て待て!!!」

勇者「なんだ」

魔王「いくらなんでも落ちるのが速すぎるわ!」

勇者「そんなことなどどうでもよい」

勇者「ドキドキしすぎて吐きそうなのだ。早く返事をしろ」

勇者「さもなくば貴様の首を切り落とすぞ」ジャキ

魔王「えぇ…」

勇者「さあ、早く答えろ!」

魔王「…ごめんな」

勇者「えっ」

魔王「答えは、NOだ!!」ガシッ

勇者「うぐっ!」

魔王「俺なんかより、お前を幸せにしてやれるやつのところへいくんだ」

魔王「…じゃあな」

勇者「わ、私はっ…私は!!」

魔王「今から俺の力でお前の記憶を操作させてもらうぞ」

ギュイイイイイイイイイン

勇者「あっ…あっ…」

魔王「…魔王という存在を忘れろ」

「帝国より与えられし勇者の使命を忘れろ」

「お前を傷つける男を拒絶しろ」

「お前に全てを捧げる男を受け入れろ」

「戦いを忘れて、平和に暮らしていくがいい」

勇者「…っ」カクン

魔王「…おい、もう寝たふりはやめていいぞ」

ムクッ

部下「いやー、なかなかの強者でしたわ」

部下「危うくマジで殺されそうでしたよ」

魔王「ご苦労だったな」

部下「いいってことっすよ」

魔王「まったく…帝国の連中も女の兵士ばかり送りおって」

魔王「部下たちも本気を出せないではないか」

部下「まあ、平和が一番ですよ」

魔王「…そうだな」

魔王「それより、この女をどこかへ連れていってくれないか」

魔王「うーむ…治安もよくそこそこの活気がある町がいい」

魔王「もちろん、帝国の目が届かないところだ」

部下「前回のやつはカルラ町だったから、今回はマルラ町あたりですかね」

魔王「マルラか…うむ、いいだろう」

部下「了解っす」

魔王「…聞くがいい勇者よ」

魔王「お前はもう戦わなくていいんだ」

魔王「ここまでよくがんばったな。これからは自由に、好きなことをして生きていくがいい」

魔王「お前の幸せを遠くから祈っているよ」

勇者「すぅ…すぅ…」

魔王「ふふっ、かわいい寝顔だ」

魔王「…さあ、後は頼んだぞ」

部下「OKっす」バサッ!

魔王「ふぅ…」

魔王「さて、ゲームの続きでもするか」








勇者「んっ…」

勇者「こ、ここは…?」

「おっ、ようやく起きたね」

勇者「あっ」

「びっくりしたよ。外に出てみたら君が家の前に倒れていたからね」

勇者「私は…」

「だいぶ疲れていたみたいだね。ゆっくりしていきなよ」

勇者「あ、ありがとうございます」

勇者「…あなたの」

「ん?」

勇者「あなたの名前を、教えてください」

「僕?僕の名前は…」

勇者「…さん。素敵な名前ですね」ニコッ

「っ…あ、ありがとう」ドキッ

勇者「ふふっ」

勇者「自己紹介がまだでしたね。私の名前は…」











ーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
ーーーー

魔王「うおおおおおおまた負けちまった!!」

側近「魔王様、いくらなんでも弱すぎですよ…」

魔王「最近のゲームは難しすぎだ!」プンプン

側近「魔王様が超下手くそなだけですよ」

魔王「それもそうか!わっはっはっはっは!!」

側近「私じゃなきゃ、誰も相手してくれませんよ」

魔王「えっ、マジ?」

側近「マジですよ」

魔王「お前いいやつだな!」




魔王「そういうところ好きだよ、側近」

側近「っ…」キュン

側近「…ほんと、魔王様は卑怯ですね」カァァ

魔王「ん、何が?」

側近「はぁ…なんでもないです」

今日はここまで

魔王「なんか最近ヒマだなぁ」

側近「つい先日、勇者が来たじゃないですか」

魔王「そうなんだけどさ…」

魔王「うーん…」

側近「…魔界に戻りますか?」

魔王「それは無理!無理無理無理無理!!」

側近「なら文句言わないでください」

側近「わざわざ人界に城を建てたのは魔王様なんですから」

魔王「勘違いするな、人界と魔界の間らへんだ」

側近「それ結局人界じゃないですか」

魔王「うぐっ」

側近「…でも」

側近「それにちゃんと理由があるのを私は知っていますからね」

魔王「けっ、別に理由なんてないし」

側近「ふふっ、そうですか」

側近「そういうことにしておきます」

魔王「…ほらっゲーム再開するぞ」

魔王「次は本気だすわ。いやーこんなガチになるの久しぶりですわってくらい本気出す」

側近「はいはい」

魔王「手加減すんじゃねえぞ」

側近「しませんよ」

魔王「どうだかなぁ…」

魔王「側近ってたまに手加減するじゃん」

側近「し、してませんよ」

魔王「…あっ、そうだ」

魔王「次俺に勝てたらご褒美やるよ」

側近「えっ」

魔王「それなら本気出すだろ~」

側近「ご、ご褒美って、どんなのですか…?」

魔王「えーとね」

側近「…」ゴクリ

魔王「500円」

側近「…はぁぁぁ」

魔王「えっ…じゃあ1000円」

側近「はぁぁぁぁぁ…」

魔王「うぐぐ…」

魔王「い、10000円…」

側近「…ねえ魔王様、お金じゃないんですよ」

側近「お金以外のご褒美でお願いします」

魔王「じゃあキス」

側近「ぶふぉおっ!!」

魔王「…は冗談だとして」

側近「じょ、冗談じゃないです!それでお願いします!!!」

魔王「えぇ…俺からのキスなんて罰ゲームじゃんか」

側近「いいから!早くやりますよ!!」

魔王「なんだこいつ」

側近「ふっふっふっ、恋する乙女にそんなこと言ったのを後悔させてあげますっ」

魔王「えっ」

側近「…あっ」

魔王「恋する乙女ってお前…」

側近「…なに勘違いしてるんですか。恋する乙女は魔王様のことですよ」

魔王「マジかよ俺乙女だったのか」

側近「ほら!はやくはやく!!」

魔王「…ま、なんかやる気になったみたいだしいいか」
















魔王「えっ、勝った」

側近「」ズーン

魔王「なんかめちゃくちゃ焦ってたなお前」

魔王「また手加減してたのか」

側近「アハハ…今までで一番ゼンリョクデシタヨ…」

魔王「ま、勝てたしいいっか」

魔王「いえーい」

側近「…」ショボーン

魔王「…ったく」

魔王「おい側近」スッ

側近「ハイ、ナンデショウカ…っ!」



魔王「っ…はい、罰ゲームのほっぺたにキス」

側近「」ポカーン

魔王「誰も罰ゲームはないなんて言ってないからな」

魔王「次はがんばれよ、乙女さん」

側近「はっ…はい!」

側近「次は絶対私が勝ちますから!!」

魔王「おう、その意気だ」

側近「ふふっ…ありがとうございます、魔王様」

側近「~♪」











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ーーーーーーー
ーーーー

魔王「い、今なんて言った…」

側近「だから、今日は魔界最強の剣士のあの方がここに来るそうですよ」

魔王「はぁ…またくるのかあいつ」

側近「休みの度にこっちに来ていますね」

魔王「ほんと勘弁してほしい」

魔王「最強の剣士なのになんであんな暇なんだよ」

側近「…諦めてください。もうすぐ着く頃ですよ」

ガチャッ バタン

魔王「」ビクッ

部下「失礼します、魔王様」

魔王「な、なんだお前か」

部下「遠方より、お客様がいらっしゃいました」

魔王「うげっ」

側近「噂をすれば、ですね」

魔王「はぁ…構わん、通せ」

部下「かしこまりました」

部下「どうぞ、お入りください」

ガチャ ギイイ

剣士「会いたかったよおおおおおおおおおおおおお魔王うううううううううううううううううううう!!!!!」ダダダダダダダダダダ

魔王「おらあああああああ!!!!どっからでもきやがれ!!!!」

ズダン バアアアアアアアン!!!

魔王「うぼぁあ!」

側近「ま、魔王様!」

剣士「はぁ…はぁ…あぁぁぁ、魔王のにおいがするぅぅ」ギュウウウウウ

魔王「そのダイナミックな抱きつき、いい加減にしろぉ」

剣士「私がいなくて、寂しくなかったか?」

剣士「ちゃんとご飯は食べてるか?」

剣士「私は寂しかったぞぉ…」ギュウウ

魔王「寂しくねえし、ちゃんと食べてるに決まってんだろ」

剣士「魔王っ魔王っ!」チュッチュッ

魔王「はぁ…」

剣士「ふふっ、魔王は相変わらず男前だなぁ」

剣士「彼女として誇らしいぞ」

魔王「誰が彼女だ」

剣士「生まれたときからずっと一緒なんだから、もう彼女みたいなものじゃないか」

剣士「それに300回も告白してるんだからもう付き合ってるようなものだしな」

魔王「なんだそのめちゃくちゃな理論」

剣士「好きです。私と付き合ってください」

魔王「断る」

剣士「これで301回目!私たちの愛もより深くなったな、魔王!!」

魔王「あはは、そうだね…」

今日はここまで

魔王「…ん?」

剣士「どうした彼氏よ」

魔王「お前のその服はなんだ」

魔王「いつもの鎧はどうした」

剣士「ああ、これか」

剣士「魔王に会いに行くのにいつも鎧ばかりではアレだと思ってな。少しオシャレをしてみたんだ」

剣士「ど、どうだ…似合うか?」

魔王「…お前なぁ、ちょっとは身を守るものくらい持って来いよ」

剣士「えっ」

魔王「ここにくるまでに魔物に襲われたらどうすんだよ」

魔王「剣も持ってきてないみたいだし、かなり危ないことだぞ」

剣士「ごめん…」シュン

魔王「…似合ってるよ」

剣士「っ…」

魔王「お前はいい女だって改めて思う」

魔王「鎧姿もいいけど、美人だからどんな服を着ても映えるんだよな」

魔王「久しぶりに鎧姿以外の剣士を見たもんだから、美人になったなぁって第一に思った」

剣士「魔王…」

魔王「それと、お前のためなら俺はいつでも駆けつけるからな」

魔王「ここに来たいなら光の速さで迎えにいく」

魔王「だから…あまり心配をかけさせないでくれ」

魔王「剣士は俺にとって大切な女なんだ」

剣士「大切な、女…」

剣士「…ふふっ、本当にお前というやつは」ギュウウウ

魔王「なので放してください、骨が折れそうです」ミシミシ

剣士「そんなにもっと好きになってほしいのか」

剣士「本当にしょうがないやつだなぁ!」チュッチュッ

魔王「普通にキスすんのやめてくれませんか」

剣士「はぁ…大好きだよ、魔王」ウットリ






側近「…そろそろいいでしょうか、お二人さん」

剣士「うおっ!いたのかちびっこ」

側近「誰がちびっこですか…」

側近「剣士様がいらっしゃったということで、お食事の準備ができました」

側近「どうぞ、召し上がっていってください」

剣士「えっ、いいのか?」

魔王「いいのかって、いつも遠慮しないでアホみたいに食っていってるだろ」

剣士「ははっ、それもそうか」

剣士「…でも、今日は魔王に私のことを食べてほしいなぁ…って」

魔王「なに寝言言ってんだ、はやく食いにいくぞ」

剣士「むむ、冗談じゃないぞ」

魔王「はいはい、さきに行ってるぞ」スタスタ

剣士「あっ、おい!」

剣士「…行っちゃった」

側近「剣士様もどうぞ」

剣士「…」

側近「剣士様?」

剣士「…なぁ、今日私が何をしに来たかわかるか」

側近「えっ…」









剣士「貴様、ずいぶん魔王と仲良くしていたみたいだな」

側近「っ…!」

剣士「私には分かるぞ。魔王のことなら全て分かる」

剣士「こいつなら何もないだろうと思っていたやつが、いきなり邪魔な存在となったんだ」

剣士「魔王の部下だから排除はしたくなかったんだが、こうなったらしょうがないよなぁ?」

側近「剣士、様…」

剣士「本当は大忙しだったんだがあまりに緊急だったものでな」

剣士「身の程知らずな愚か者に、警告をしにきたのだ」

側近「…残念でしたね」

側近「私の知る愚か者は、その程度の警告で動じるとは思えません」

側近「魔王様に拒まれ続ける哀れな女のくせに、警告なんてくだらない」

側近「それをダッサい服なんか着てわざわざここにきてまで言うんですから」

側近「ふふっ、本当におもしろいですね」

剣士「…あはは、ははははは」

剣士「最高な気分だよ。こんなに殺したいと思った敵は戦場にもいなかったな」

剣士「貧相な体のくせに、調子に乗るなよクズが」

側近「脳みそお花畑のバカ女なんですから、もうちょっと考えて話してはどうですか」

側近「品がない女は魔王様にふさわしくないですよ」

剣士「ほう…私がふさわしくないなら、誰がふさわしいか教えてほしいものだな」

剣士「まさか、自分のほうがふさわしいとでも言うのか」

側近「ええ、そうですよ」

側近「私は魔王様の側近、ですからね」

剣士「…ふふっ、なんだそのつまらない理由」

剣士「実にくだらんな。自分に魅力がないからそんなことしか言えないのだろう」

側近「…違います」

剣士「どう違うんだ?」

側近「私は一番魔王様を理解しています」

側近「ずっと側にいましたから」

剣士「その考え方なら、私のほうが魔王のことを理解していることになるな」

剣士「生まれたときからずっと魔王と一緒だったのは、この私だ」

側近「…見た目は私のほうが魔王様の好みですから」

剣士「ほう、私に見た目で勝負するのか」

剣士「自分がみじめになるだけだぞ」

側近「世間の男性があなたのような体が好みでも、魔王様は違います」

剣士「魔王がそう言っていたのか?」

側近「そ、それは…」

剣士「どうせ、貴様のくだらない決めつけだろうな」

側近「…」

剣士「ふふっ、側近が悲しむことはない」

剣士「私が特別なだけだ。魔界で私以上の体の女は今まで見たことがない」

剣士「そういえば、私より美人な女もかなり少ないなぁ」

剣士「そのせいでいろんな男に言い寄られてとてつもなくウザかったが」

側近「ずいぶん自己評価の高い人ですね」

側近「どうせ、いろんな男と遊んできた結果でしょう」

側近「そんな淫乱な女、魔王様もさぞかし嫌でしょうね」

剣士「…くだらん。他の男など必要ない」

剣士「この私を自由にできる男は世界でただ一人」

剣士「私の愛する魔王だけだ」

剣士「魔王が望むなら命でも差し出す」

剣士「魔王に尽くすことこそ、私の生まれた意味だと思っているからだ」

側近「っ…」

剣士「私の持って生まれた力は魔王の敵を討つために使う」

剣士「私の体は魔王の子孫を残すために使う」

剣士「私の顔は魔王を惹きつけるために使う」

剣士「魔王と結ばれ、魔王と一生を共にし、魔王と死を迎えるのが私の願いだ」

剣士「そして、そのために邪魔となるものはすべて葬る」

剣士「お前もいつか、私の手で殺してやる」

側近「…できませんよ」

側近「魔王様がいる限り私は死にません」

側近「ずっと守ってやると、私に言ってくれましたから」

剣士「いつまでもそんなこと言ってられると思うなよ」

側近「ふん、魔王様にフラれ続けている方が何を言っているのか」

剣士「貴様は相手にすらされないだろうな」

側近「それにしても、凛々しい顔の裏にそのような野望があったとは思いませんでした」

側近「あなたのような醜い感情をむき出しにした女性に、魔王様は渡せません」

剣士「…まるで魔王がお前のものなような言い方だな」

剣士「私はそういうのが一番頭にくるんだよ」

側近「そうですか。それは失礼しました」

側近「…魔王様を待たせています、行きましょうか」

剣士「ああ、そうだな」

剣士「…」











ーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
ーーーー

今日はここまで

魔王「人界に遊びにいってきまぁす!」

側近「…」

魔王「人界に遊びにいってきまぁす!」

側近「二回も言わなくて結構です」

魔王「じゃあ無視しないでください」

側近「はぁ…何を考えてるんですか」

側近「わざわざ敵対関係にあるところに遊びに行くとか死にたいんですか」

魔王「変装するから大丈夫だよ」

魔王「人と魔族の見た目の違いなんて角があるかないかだし」

魔王「角をなんとかすれば余裕ですわ」

側近「変装するから大丈夫とかじゃなくてですね…」

側近「それに、魔王様の角ってだいぶ大きいじゃないですか」

側近「すごい立派で惚れ惚れしちゃいますけど、それ隠せるんですか」

魔王「魔法で消す」

側近「消す!?」

魔王「透明にするってことだ」

側近「ああ、透明化ですか」

魔王「だから遊びにいっていいかな」

魔王「頼んますぅ」

側近「…まぁいいですけど」

魔王「ふっ、やったぜ」

側近「じゃあ私も支度をしてきますね」

魔王「いや、側近はお留守番」

側近「えっ」

魔王「残念ながら俺一人でいく」

側近「じゃあダメです」

魔王「へぇ!?なんでやねん!!」

側近「私も一緒じゃないと嫌です」

魔王「わがまま言うなよ…」

側近「…」ムスッ

魔王「膨れんなよ…」

側近「…」プクー

魔王「お土産持ってきますよ!」

側近「…新作のゲーム」

魔王「OK」

側近「はぁ…しょうがないですね」

側近「魔王様、気をつけてください」

側近「正体がバレたら終わりですよ」

魔王「おう、任せとけ!」














【人界】

「いいぞ、入れ」

魔王「アリガトウゴザイマス!」

バッ スタン

魔王「…ふへへっ、あっさり侵入できたな」

魔王「人間どもチョロすぎィ!」

魔王「さーてと…」

グゥゥ

魔王「…腹減ったな」

魔王「とりあえずなんか食うか」

魔王「なんか食うもんねえかなぁ」キョロキョロ

魔王「うーむ…」


「ねぇ、あの人めちゃくちゃカッコよくない?」ヒソヒソ


「見たことない人ね。どこから来た人かしら」ヒソヒソ


「やだっ、私めっちゃタイプなんだけどっ」ヒソヒソ


ザワザワ ザワザワ ザワザワ ザワザワ


魔王「…マスクしてくれば良かったかな」

魔王「はぁ…顔ぐらいでピーピー言うんじゃねぇよ…」

魔王「とりあえずなんか食わなきゃ」

魔王「…おっ、あれでいいか」










魔王「う、うまい!!」

魔王「なんだこれうますぎるよぉおおお」ズルズル

魔王「これが『ラーメン』か」

魔王「ふむ、うちでも取り入れてみよう」

魔王「…」ズルズル

魔王「ぷはぁ…」

「お客さん、いい食いっぷりだねぇ」

魔王「いやこれうますぎですよ!」

魔王「うますぎて…うっ、涙が…」ポロポロ

「いやあんた、そら大げさだよ」

魔王「あっ、この替え玉っていうのください!」

「あいよ!替え玉ね!」

魔王「えーっと、醤油ラーメンは神でした、と…」カキカキ

魔王「ふぅ、次は味噌ラーメンっていうのを食べてみたいなぁ」ワクワク

魔王「…なんか用事あった気がするけど、もうラーメン旅行でいいや」

「そこのあなた、隣座っていいかしら」

魔王「んっ、ああどうぞ」

お姉さん「ありがとう♪」

魔王「…」

お姉さん「私、塩ラーメンが食べたいわ」

「あいよ!塩ラーメンね!」

お姉さん「ふふっ、楽しみね」

魔王「…」カキカキ

お姉さん「…それにしてもあなた見ない顔ね、どこから来たの?」

魔王「…」カキカキ

お姉さん「ねぇ、聞いてる?」

魔王「あっ、僕っすか」

お姉さん「ええそうよ」

魔王「結構遠いところっすよ」

お姉さん「へぇ、そうなの」

魔王「そういうお姉さんはここに住んでるんですか?」

お姉さん「うーん、一応は住んでるかしら」

お姉さん「いろんなところを転々としているわね」

魔王「へぇ…」

お姉さん「…ふふっ」

魔王「な、なんですか」

お姉さん「ねぇ、よくカッコいいって言われない?」

魔王「ん、まぁそうですね」

お姉さん「私ね、カッコいい人って好きよ」

お姉さん「私が見てきた中ではあなたが今までで一番ね」

魔王「それはどうも」

お姉さん「ふふっ、うふふふふふっ」










お姉さん「あなた、本当においしそうでゾクゾクするわぁ」

魔王「っ…!!」キィィィィィン

魔王「うぐっ…あがぁっ…!」ガクン

魔王「…」フラフラ

お姉さん「店員さん、私やっぱり塩ラーメンいらないわ」

お姉さん「それと、この人の替え玉も無しにしてちょうだい」

お姉さん「この人の食べたラーメンのお金は私が払うわ」

「えっ、あんちゃんいいのかい?」

お姉さん「ふふっ、いいわよね」

魔王「…はい」フラフラ

お姉さん「ほら、彼もいいって言ってるわ」

「そ、そうか。なんかやけに元気なくなったみたいだが」

お姉さん「うーん、お腹でも痛くなったのかしら」

お姉さん「あっ、これお金ね」

「おう、毎度ありっ」

お姉さん「…さあ、私と一緒にいきましょうか」ギュッ

魔王「はい…」

今日はここまで







ガチャ バタン

お姉さん「ようこそ、ここが私の家よ♪」

魔王「…」ポケー

お姉さん「なんて、言っても無駄だけど」

お姉さん「ねぇ、あなたの名前を教えてちょうだいよ」

魔王「…」

お姉さん「あらあら」

お姉さん「返事をしないなんていけない人ね」

魔王「はい…」

お姉さん「ふふっ、まあいいけど」

お姉さん「それにしても、本当にいい男ねぇ」

お姉さん「あなたからものすごい生気を感じるわぁ」

魔王「…」

お姉さん「この子はどこから吸おうかしら」

お姉さん「胸…腕…太もも…首…」

お姉さん「…うん、今日は首からいこうかな」

お姉さん「うふふふふ、今からいっぱい吸ってあげるわね」

お姉さん「それでは、死ぬ前になにか一言どうぞっ」

魔王「…」

お姉さん「あら、何もないのね」

お姉さん「それじゃぁ…いただきまぁす♪」

お姉さん「あむっ!」ガブッ






ガキィィン!!

お姉さん「んぐっ…!!」バッ

お姉さん「あ、あがっ…!」

お姉さん「はぁ…はぁ…な、なんなのこの皮膚の硬さは…っ!」

お姉さん「っ…」スッ

プニプニ

お姉さん「あ、あれ?」

お姉さん「さっきは硬かったのに、今は普通ね…」

お姉さん「んん?」

魔王「…」

お姉さん「気のせい、かしら」

お姉さん「…あむっ」

お姉さん「はむはむはむ…」フニフニ

お姉さん「…ぷはぁ」

お姉さん「ん、気のせいだったみたいね」

お姉さん「さっ、歯入れちゃおう」ギラッ

お姉さん「ふふっ、いただきまぁす」

お姉さん「あむっ!」ガブッ

ガキィィン!!

お姉さん「あがっ…!!」バッ

お姉さん「ごほっ!ごほっ!うぐあがうあぁっ!」

お姉さん「はぁ…はぁ…」

お姉さん「あ、あなた、人間じゃないわね!!」

魔王「…どうした」

お姉さん「っ!!」

魔王「おしゃぶりはもう終わりか、お姉さんよ」

お姉さん「う、嘘でしょ…私の催眠まで…っ」

魔王「お姉さん、こんないいとこに住んでるんだな」

魔王「いやー羨ましいっす」

お姉さん「…」

魔王「んで、とりあえず変身を解いたらどうだ」

魔王「お前の真の姿を見せてみろよ」

お姉さん「…んふっ、ひゃははははは!!!」

バチバチィ! バアアアアン!!




吸血鬼「はぁぁ…っ」

魔王「おお、結構な美人さんや」

吸血鬼「…いつから私の正体に気づいていたのかしら」

魔王「最初からに決まってんだろマヌケ」

魔王「ノコノコ近づいてきてくれたおかげで探す手間が省けたぜ」

吸血鬼「へぇ、私のことを探していたの」

魔王「ああ」

魔王「…希少な他人に化ける能力を持ち」

魔王「それを悪用して顔を変え場所を変え」

魔王「催眠によって自分の巣に誘い込み」

魔王「死ぬまで人間の生気を吸い尽くす魔族の女」

魔王「これ、お前のことだよな」

吸血鬼「…ご名答、そのとおりよ」

魔王「驚いたな。まさかここまで完成度の高い吸血鬼が実在したとは」

魔王「そらチューチュー吸いますわ」

吸血鬼「…私は選ばれし吸血鬼なの」

吸血鬼「吸血鬼として完璧な能力を持って生まれたわ」

吸血鬼「だからね、吸血鬼としてごく普通の生活をしてきただけ」

魔王「へぇ」

吸血鬼「…ねぇ、私ってすごいでしょ」

魔王「なにがだよ」

吸血鬼「これだけの才能を持っていながらこんなに静かに過ごしているなんて」

吸血鬼「他の魔族がこの力を持っていたら大暴れ間違いなしよ」

魔王「…何言ってんだ、静かに暮らしてるならここに俺はいねえよ」

魔王「普通の吸血鬼は死ぬまで生気を吸わねえんだよ」

魔王「吸ったとしてもちょっとフラつくぐらいだ」

魔王「お前、どれだけの命を奪ってきたと思ってんだ」

吸血鬼「しょうがないじゃない、すっごくお腹が空くんだから」

吸血鬼「それに…餌がどうなろうが私の知ったことじゃないわ」

魔王「ほう…」

吸血鬼「ていうか、魔族の生気を吸っているわけじゃないのになんで責められるわけ?」

吸血鬼「あなたもどうせ魔族でしょ」

魔王「えっ、どう見ても俺って人間じゃん」

吸血鬼「あなた、ずいぶん白々しいわね」

吸血鬼「私の強力な催眠を防ぐだけじゃなく、皮膚の表面に魔翌力を集めて硬化させるなんて人間のできる技じゃないわ」

魔王「なんだ、よく分かってるじゃん」

吸血鬼「でも、魔族しては角が見当たらないわね」

吸血鬼「魔族の角は己の魔翌力の象徴。強い魔族ほど角も大きいはずだけど…」

吸血鬼「ふふっ…あなた、よっぽど魔翌力が少ないみたいね」

魔王「黙れ」

吸血鬼「やぁん怒ったの?」

吸血鬼「怒らないで私の大きい角を見てよ。人間の生気を吸い続けた結果がこれよ」

吸血鬼「私が魔法を使えばあなたなんて今すぐにでも塵にできるのよぉ」

魔王「…ったく、しょうがねえやつだな」

魔王「俺も透明化を解いてやるよ」

ブオォン サアアアアアアア…

吸血鬼「えっ…」

魔王「さっき角がどうたら魔翌力がどうたら言ってたな」

魔王「じゃあ俺の角がどんくらいの魔翌力を示してるか教えてくれねぇか」

吸血鬼「っ…な、なにこれ」ドサッ

魔王「…」

吸血鬼「あ、あなた一体なんなの…」

魔王「さあ、お前の魔法で俺を塵にしてみせろ」

魔王「もしできなかったら俺の魔法でお前を塵にしてやる」

吸血鬼「む、無理よ…こんなの無理…」

魔王「さあどうした」

吸血鬼「い、いや…ま、まだ死にたくない!!」

吸血鬼「っ!」バッ

魔王「逃げるな!」シュビン

吸血鬼「きゃっ!!!」ドスン

魔王「脅して悪かったな。冗談だよ」

フィルター忘れスマソ
魔翌力じゃなくて魔力です

吸血鬼「いやっ…いやっ…」ガタガタ

魔王「あっ、なんか押し倒してるみたいになっちゃったよ」

吸血鬼「ごめんなさいっ…ごめんなさいっ…ごめんなさいっ…ごめんなさいっ…!」ガタガタ

魔王「そんなに怯えるな」スッ

吸血鬼「っ…」

魔王「俺の目を見ろ。俺はお前の敵じゃない」

吸血鬼「…」

魔王「俺はお前を迎えに来たんだ」

吸血鬼「えっ」

魔王「俺と一緒に来い、吸血鬼」

吸血鬼「なっ…」

魔王「お前に苦痛は感じさせない」

魔王「人間の生気よりもっとうまい生気を吸わせてやる」

魔王「絶対にお前を危険に晒さない」

魔王「俺の命をかけて、お前を守ってやる」

魔王「俺は、お前が必要なんだ」

魔王「お前無しじゃ、生きていけないんだよ」

吸血鬼「っ…!」ドキッ

吸血鬼「あなたは、一体…」

魔王「おお、名乗るのを忘れてたな」

魔王「俺は名は魔王。魔族の世界である魔界を統べる王だ」

吸血鬼「ま、魔王様!?」

魔王「へへ、びっくりしたか?」

吸血鬼「わ、私、今までなんてご無礼をっ!!」

魔王「ああ、そんなことどうでもいいんだよ」

吸血鬼「で、でも私っ」

魔王「お前がいなきゃ困るんだ」ギュッ

吸血鬼「あっ…」

魔王「俺の女になれ、吸血鬼」

吸血鬼「っ…」キュンキュン

吸血鬼「はっ…はい!!私で良ければ喜んで!!!」

魔王「ふふっ、いい子だ吸血鬼」ナデナデ

吸血鬼「きゅぅん…」スリスリ










側近「…で、この方がお土産ですか」

吸血鬼「魔王様ぁ♪」ギュウウ

魔王「ま、そんなかんじだ」

側近「新作のゲームはどうしたんですか」イライラ

魔王「新作のラーメンなら…」

側近「ラーメン、ですか」

側近「…結局、女漁りにいっただけじゃないですか!」

魔王「むむ、人聞き悪いな」

吸血鬼「あなた、魔王様を悪く言わないでちょうだい」

吸血鬼「白馬の王子様のように私を迎えに来てくれたんだから!」

吸血鬼「ねっ、魔王様?」

魔王「まあそんなかんじだ」

吸血鬼「やぁぁん魔王様大好き~!!」

側近「なんですかこの人」

側近「でも、吸血鬼様もこれから大変ですね」

吸血鬼「えっ、なにが?」

側近「私知りませんからね」

側近「この瞬間からあなたも標的になりましたよ」

吸血鬼「標的?なんの?」

側近「…まあ、頑張ってください」

吸血鬼「気になるじゃない。教えてちょうだいよ」

側近「魔王様に聞いてください」

吸血鬼「魔王様、標的ってなんですか?」

魔王「zzZ…」

側近「寝てますね。よほど疲れたんでしょう」

吸血鬼「魔王様、寝顔も素敵…」ウットリ

吸血鬼「…はっ、私が添い寝してあげなきゃ!」

側近「結構です。どっか行ってください」

吸血鬼「ねえ魔王様、私のおっぱいを枕にしていいんですよぉ?」

吸血鬼「胸には結構自信がありますから!」ボイーン

側近「無視しないでください!!」











ーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
ーーーー

今日はここまで

側近「むむむ…」ピコピコ

吸血鬼「…」ピコピコ

側近「…あああっ!?」

吸血鬼「もらった!」

側近「あっ!!はぁ…」

吸血鬼「ふふっ、側近ちゃん甘いわね」

魔王「ほぇ~…」

側近「な、なかなかやるじゃないですか」

吸血鬼「このゲーム本当に得意なのよねぇ」

魔王「こいつらすごすぎだろ」

側近「もう一回!もう一回やりますよ!」

吸血鬼「どんだけやるのよ…」

魔王「往生際が悪いぞ、側近よ」

側近「魔王様には言ってないですよ」

側近「ばーか」

魔王「…とうとう俺も本気を出すときが来たようだな」ゴゴゴ

吸血鬼「あ、あの魔王様…」

魔王「ん?どうした」

吸血鬼「あのぉ…その…」モジモジ

魔王「…ああ、生気か」

魔王「ほらよ」バッ

吸血鬼「ありがとうございますっ!」

魔王「おう、好きなだけ吸え」

吸血鬼「それでは、いただきます」

吸血鬼「あむっ」ガブッ

チュー チュー チュー チュー

側近「…いつも思うんですけど、そんなに吸わせていいんですか」

魔王「こいつこう見えて全然吸わねえし大丈夫だ」

吸血鬼「ごくっ…ごくっ…ぷはぁ」

吸血鬼「はぁ…なんて力強く濃厚な生気なのぉ」ツヤツヤ

吸血鬼「私、魔王様以外の生気なんてもう無理よ…」ツヤツヤ

魔王「なんか遠慮してねえか」

魔王「もっと吸っていいんだぜ」

吸血鬼「これ以上吸ったら魔力過多で私の体が粉々になっちゃいますよ」

魔王「おお、そうか」

吸血鬼「魔王様、いつもありがとうございます」ペコリ

魔王「吸いたくなったらいつでも言えよ」

吸血鬼「はいっ!」ダキッ

側近「なに普通に抱きついてるんですか」

側近「そこは私の場所ですよ」

吸血鬼「側近ちゃんは右腕空いてるわよ♪」

側近「…ふんっ」ギュウ

魔王「おふ、これは両手に花ですな」

吸血鬼「あっ、そういえば」

吸血鬼「ここで暮らすようになってから一週間くらいたったけど」

吸血鬼「私ったら側近ちゃんのこと全然知らないわぁ…」

魔王「ああ、側近か」

側近「…残念ながら私も全然知りません」

吸血鬼「は?」

側近「記憶喪失なんですよ、私」

吸血鬼「…え、えっー!!」

魔王「分かるのは自分の名前と年齢だけらしい」

吸血鬼「逆になんで年齢は覚えてるのよ」

側近「本当に思い出せないんです…」

吸血鬼「嘘とかじゃなくて?」

魔王「記憶を失っているのは間違いなく真実だ」

魔王「俺の能力は記憶操作なんだが魔力を持った者、つまり魔族や一部の人間には通用しない」

魔王「だが、魔力を持った者に対しては記憶閲覧くらいはできる」

魔王「こいつにはそれさえ効かなかったんだ」

吸血鬼「へぇ、魔王様ってそんな能力持ってるんですね」

魔王「あまり使い道はないけどな」

吸血鬼「でも、それだけじゃないですよね」

吸血鬼「私には分かりますよ」

魔王「…他のも大した能力じゃねえよ」

魔王「ていうか、なんで俺の話になってんだ」

側近「魔王様がいきなり自慢するからですよ」

魔王「えぇ…自慢なんてしてないのに」

吸血鬼「あっ、側近ちゃんって何歳なの?」

吸血鬼「見たところ私より一回りぐらい若いわよね」

側近「20歳です」

吸血鬼「…はあああああああああああああ!?!?!?」

吸血鬼「私と2歳しか違わないの!?」

魔王「俺と同い年だぞ」

吸血鬼「ま、魔王様も20歳!?」

吸血鬼「魔王様は年上だと思っていました…」

側近「逆に吸血鬼様はまだ22歳だったんですね」

側近「もっといってるかと思っていましたよ」

吸血鬼「…老けてるって言いたいのね」

側近「あっ」

吸血鬼「ふふっ、いいのよ…私なんて…」ドヨーン

魔王「地雷ですた」

側近「で、でも吸血鬼様は全然老けませんよ!」

吸血鬼「…」

側近「ずっと若いままですよ!きっと今とまったく変わりません!!」

吸血鬼「…マジ?」

側近「ま、マジです!」

吸血鬼「そうよねぇ!!」

吸血鬼「私は完璧な吸血鬼!死ぬまでこの若さを保つんだから!!」

魔王「それはそれでどうなんだ」

側近「ほっ…」

吸血鬼「それにしても、記憶がなかった側近ちゃんと魔王様との出会いがすっごく気になるわね」

魔王「ふっ、側近は翼の折れた天使のように突然俺の前に現れたんだ」

側近「…要するに魔王城の近くで拾われました」

吸血鬼「へぇ、だいぶ近いところで出会ったのね」

側近「記憶があやふやですが気づいたら魔王城にいましたね」

側近「半年も前のことです」

魔王「もう半年か、早いよなぁ」

吸血鬼「なんで魔王城にいたのかしら…」

魔王「これが側近と俺の逆らうことのできない運命、なんだよなぁ」

側近「要するにただの偶然です」

魔王「…そういうことです」

吸血鬼「うーん…側近ちゃんって意外と謎多き人物ね」

側近「魔王様、なんとかしてくださいよ」

魔王「養ってあげてるんだからそれで許してちょうだい」

吸血鬼「何か手がかりとかないの?」

側近「そうですねぇ」

側近「…このペンダントくらいでしょうか」スッ

吸血鬼「あら、綺麗なペンダントね」

側近「ここで目覚めたときにこのペンダントを握っていました」

側近「だから、これは私の宝物なんです」

吸血鬼「でもペンダントだけじゃ分からないわねぇ」

側近「ですね」

吸血鬼「はぁ、なんとかしてあげたいわ…」

魔王「側近に対してやけに優しいな」

吸血鬼「だってこの子かわいいんですもん」

側近「なんですかその変な理由」

吸血鬼「側近ちゃんぐらいかわいい女の子って本当に見たことない」

吸血鬼「絶対モテるわよ、側近ちゃん」

側近「そ、そんな急に褒めないでください」テレテレ

吸血鬼「だから魔王様は私のものね♪」

側近「…ああ、そういうことですか」

側近「吸血鬼さんも綺麗ですしスタイルいいから男牲の方はほっとかないですよ」

側近「だから魔王様は私のものです」

吸血鬼「むむむっ…」

側近「…」

吸血鬼「…いいわ、ゲームで決着をつけましょう」

吸血鬼「それなら文句ないでしょ?」

側近「いいですよ、望むところです」

魔王「えっ、なんか始まった」

吸血鬼「魔王様、どうせ私が勝つから見ててくださいね!」

側近「申し訳ないですが次は超本気出すんで」

側近「泣きを見るのはそちらですよ」

吸血鬼「ふふっ、超本気だって」

吸血鬼「いくらなんでもかわいすぎるわよ側近ちゃん」

側近「そうやって余裕ぶっていられるのも今のうちですよ」

側近「こてんぱんにやっつけてあげます」

コテンパンダッテカワイイ イチイチウルサイデス ヤアァンカワイスギ イイカラハヤクヤリマスヨ

魔王「…ふぁあぁ、眠いから寝るわ」

魔王「お前ら、ゲームはほどほどにな」

側近&吸血鬼「はーい」











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ーーーーーーー
ーーーー

今日はここまで
しばらく書けないけど、次回予告をしとくと剣士ちゃんが出ます

魔王「はい、俺の上がり~」

側近「うげっ、また魔王様ですか」

吸血鬼「ほぇぇ…大富豪かなり強いですね~」

側近「トランプ類はムカつくほど強いです」

側近「ほんと憎たらしいですよ」

魔王「どんだけ恨んでんだ」

吸血鬼「ふふっ、負けず嫌いなのね」

ガチャッ バターン!

魔王「ん?」

部下「魔王様、大変ですよぉおぉおお!!!」

側近「むっ、何事ですか」

部下「人界魔王支部より緊急の連絡です!」

部下「大量殺人により監獄に収容されていた大罪魔が脱獄しました!!!」

魔王「ああ…とうとう脱走したか、あいつ」

魔王「やっぱ人間って無能だわ」

吸血鬼「魔王様、知り合いですか?」

魔王「知り合いっていうか、俺が一方的に知ってるだけなんだけどな」

魔王「魔力があるにもかかわらず、人間を超えた身体能力を持つ魔族だ」

側近「っ…」

吸血鬼「人間を超える魔族、ですって…?」

魔王「そうだ」

吸血鬼「そんなっ、魔族は人間に比べて著しく身体能力が低いはずよ!」

吸血鬼「それを補うために魔力であり、魔力は人間には存在しないのが普通…」

魔王「そうだな、それが普通だ」

魔王「…でもな、世の中には魔力を持つ人間もいれば、驚異的な身体能力を持つ魔族もいる」

魔王「歴史上ではそういうやつらが革命を起こしたり、英雄になったりしているんだ」

魔王「そんで、今回脱走したやつは自分の力に溺れて暴走した哀れなやつってわけ」

魔王「人間どもが捕えて牢屋にブチこんだって聞いてから、こうなる予感はしてたんですわ」

側近「そんなことがあったんですね…」

吸血鬼「それで、魔王様はどうなさるんですか?」

魔王「連れて帰る」

吸血鬼「はぁあぁ!?」

吸血鬼「そんな狂暴なやつを連れて帰ってどうするんですか!?」

魔王「部下にする」

吸血鬼「うわっ、そんなやつと一緒に暮らすなんて無理よ…」

魔王「お前も似たようなもんだろ」

吸血鬼「わ、私と一緒にしないでください!」

魔王「でも俺じゃ殺してしまうかもしれん」

魔王「なので、今回は助っ人を呼ぶことにしました」

側近「助っ人?」

魔王「似たようなのぶつければなんとかなるだろ」

吸血鬼「魔王様の知り合いにそんな狂暴なやつがいるんですか?」

魔王「違う違う、俺以外には全然狂暴じゃねえよ」

吸血鬼「魔王様相手だと狂暴なんですね…」

魔王「今回の脱獄野郎がどんなもんか知らんが、やつの凄まじい身体能力には到底及ばん」

魔王「魔力もそこら辺の魔族を遙かに超えている。いやぁ恐ろしいやつだ」

側近「ええ、本当に恐ろしいです」

吸血鬼「そんな頼りになる仲間がいたんですね!さすが魔王様!」

魔王「…吸血鬼は会うのが初めてだろうから忠告しとくぞ」

魔王「あいつはな、俺の近くにいる女に対してはめちゃくちゃ性格悪いんだ」

魔王「気をつけろよ。物理的に近いだけで敵と認識されるからな」

吸血鬼「えっ」

側近「彼女の性格の悪さ、知ってたんですね」

魔王「当たり前だろ。何年一緒に過ごしてきたと思ってんだ」

側近「二年くらいですか?」

魔王「いいえ、二十年くらいです」

側近「知ってますよ」

魔王「じゃあ聞かないでよ」

側近「…さて、そうと決まれば彼女を呼びましょうか」

魔王「そうだな」












魔王「…」

剣士「ぎゅうううううう!!ぎゅううううううう!!!!」

側近「…」

剣士「魔王!好き好き好き好き好き好き!!!!!」チュッチュッ

吸血鬼「えっ、なにこれ」

魔王「入ってきていきなりこれかお前は…」

剣士「そんなに私が必要だったか、よしよし」

剣士「もうずっとここにいるからな!」

魔王「もうやだこの子」

剣士「ねぇ、魔王」

魔王「なんだ」

剣士「…大好き」

魔王「分かった分かった、とりあえず離れろ」

剣士「チューしてくれたら離れる」

魔王「…んっ」

剣士「んむっ…」

吸血鬼「ああっー!!!」

魔王「っ…これでいいか」

剣士「…えへへ」

吸血鬼「ちょっ、ちょっとあなた!」

剣士「よいしょっと…」スタッ

剣士「…さっきからうるさいな、誰だ貴様は」

吸血鬼「私の魔王様になにしてんのよ!」

吸血鬼「しかも、ガチでキスとかいい加減にしなさいよ!!」

側近「あーあ…」

剣士「魔王を勝手にお前の所有物にするな」

剣士「何様のつもりだ」

吸血鬼「ふんっ、吸血鬼様よ」

剣士「…ムカつくなお前、何が吸血鬼様だ」

剣士「雑魚のくせに粋がるなよゴミが」

吸血鬼「っ…あなた、ひっどい言葉遣いね」

吸血鬼「魔王様に軽蔑されるわよ?」

魔王「流石にもう慣れました」

剣士「それと、さっきから催眠をしかけているみたいだが」

剣士「貴様らしい姑息な能力だな」

剣士「貧弱すぎてあくびが出る。私の魔力の前ではまったくもって無意味だ」

吸血鬼「…ちっ」

剣士「なあ魔王、また女を拾ってきたのか」

剣士「嫉妬で頭がおかしくなりそうだからほどほどにしてほしい」

魔王「ごめんなさい」

剣士「そろそろ本気で泣いちゃうからな」

魔王「いや、それは困る」

剣士「じゃあ結婚を前提に付き合って」

魔王「それも困る」

側近「剣士様、そろそろ出発の時間です」

剣士「…さてと」

剣士「今回の標的は私と同じタイプのようだな」

剣士「なかなか、腕が鳴る相手ではないか」

魔王「絶対に殺しちゃダメだぞ。連れて帰るんだからな」

剣士「…標的の性別は?」

魔王「女の子」

剣士「…」

魔王「えっ、なにその沈黙」

今日はここまで

剣士「…」ムスッ

側近「なにすねてるんですか、早くいきますよ」

剣士「…側近と二人なんて聞いてないぞ」

側近「しょうがないじゃないですか」

側近「魔王様は別件で行けないんです」

側近「剣士様はそのための助っ人さんですよ」

剣士「魔王と久しぶりのデートだと思ったのに…」ムスッ

側近「鎧で身を固めて大剣を持ちながら何がデートですか」

側近「遊びに行くんじゃないんですよ?」

剣士「…側近のいじわる」

側近「いじわるじゃないです」

剣士「念のために下着は超お気に入りにしてきたのに無駄になったじゃないか」

側近「魔王様がいたとしても無駄になるから大丈夫ですよ」

剣士「…側近なんて嫌い、大嫌い」

側近「いくらでも嫌って結構なのでトボトボ歩くのやめてください」

剣士「いいもん、帰ったらいっぱい甘えてやるんだから」

側近「はいはい」

側近「…それにしても、魔王様が関わらないと本当に別人ですね」

側近「前に会った時は殺意で満ちた目をしていたというのに」

剣士「それは、魔王が側近にチューしたって聞いて…」

側近「でもほっぺたですよ?」

剣士「それでも、魔王からキスしてもらえたことが許せなかった」

剣士「あのときはひどいこと言って本当にすまなかった…」

側近「…ふふっ」

側近「いいんですよ。あなたの違う一面を見れて嬉しかったです」

側近「私は優しいあなたしか知りませんでしたから」

剣士「優しい、私…」

側近「ええ」

側近「それに、私も対抗して剣士様を煽ってしまいましたからね」

側近「お互いさまですよ」

剣士「…ありがとう、側近」

側近「いえいえ」

側近「それより、吸血鬼様にも謝ったほうがいいですよ」

側近「分かっていたことですが彼女も酷く罵っていましたからね」

剣士「いや、あいつは無理」

側近「えぇ…」

剣士「なんだあの女!下等魔族の分際で魔王にベタベタと!!」

剣士「結構美人でスタイルがいい女が魔王に近づくのがムカつくんだよ!!」

剣士「下品な乳を発情しながら魔王に押しつけやがって!汚いんだよ!!!」

剣士「まぁ、美人といっても私ほどではないし、見たところ胸も私のほうが全然大きいし、まったくもって脅威ではないがな!!」

剣士「それでも、全てにおいて私に劣るあんなカス女が魔王にすり寄ると考えただけで内臓を抉りたくなるんだよなぁあぁあああぁ!!!」

剣士「それに加えて魔王の生気を吸うだと?強制的に私の魔力をぶち込んで全身バラバラにしてやりたいもんだな!!」

剣士「あの程度ならいつでも抹殺できるとも知らずに、見るに堪えない哀れなメスだ!!」

側近「うわぁ…」

剣士「はぁ…はぁ…」

剣士「…なんてな、冗談だ」

側近「いや無理がありますよ」

剣士「あぁもう…本当にごめん」

側近「二重人格か何かですかね」

剣士「もうそれでいいよ…」

側近「…大丈夫ですよ」

剣士「えっ?」

側近「なんとなく、そんな気がします」

側近「あなたなら、きっと…」

剣士「側近…?」

側近「とりあえず今は置いておきましょう」

側近「そろそろですよ」

剣士「…ほう」

側近「人界であるはずなのに、大きな魔力を感じます」

側近「魔王様の予想通り、ここに潜んでいましたか」

側近「だいぶ近いですね」

剣士「こちらの魔力に気づいてくれるといいんだがな」

側近「…怖いですね」

側近「いきなり襲いかかってきそうです」

剣士「お前も戦うのか?」

側近「いえ、剣士様にお任せします」

剣士「おい、その剣は飾りか」

側近「この剣はお守りとして半年前に魔王様が持たせてくれたものです」

側近「たぶん私じゃまったく使いこなせません、というか使ったことありません」

側近「…それに、今回この剣を持ってきたのは戦うためじゃありませんから」

剣士「ん?じゃあ何のために持って…」

側近「というわけで守ってください剣士様」

剣士「はぁ?」

剣士「何を言っているんだ。自分の身くらい自分で守れ」

側近「そんなぁ…」

剣士「お前は一応魔王の側近だろう。私は知らんぞ」

側近「…そんなこと言っても、剣士様なら守ってくれます」

剣士「ふん、どうだかな」

今日はここまで

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