女「や、疫病神…?」厄神「その2!」 (557)

女「や、疫病神…?」疫病神「…」ニッコリ
女「や、疫病神…?」疫病神?「…」ニッコリ - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1448977242/)

の続き

〈注意〉
特定の物事に対する解釈は全て筆者の独断と偏見+創作です。
オリキャラ・地の文が多数。

明日中に終わりまで書けそうだったから
今日で一気に畳み掛けるんじゃ。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1449323382

(あらすじ)
疫病神の異名を持つ赤松紗希はある日、幽霊に襲われかけたが

厄神と名乗る神様に助けられる。

(キャラ紹介)

赤松紗希 疫病神系女子。21歳。身長は150ぐらい。厄神に命?を救われた。

赤松華 紗希の妹。17歳。身長は160ぐらい。
      見える。

久城実 隣の家に住む民俗学者。27歳。身長は180ないぐらい。いつも着物を着ている。

松浦香菜 紗希の高校からの友人。21歳。身長は170ないくらい。「疫病神の付き人」

巨勢敏勢 近くの神社の神主。53歳。身長は180くらい。一応名前はある。

お化けたち 駅にたむろってる幽霊。その人生を楽しんでいる。

厄神 神様。身長は170くらい。何歳かわからない。みかんが好き。

   着物のような礼装のようなよくわからない和服を着ている。 

   腰のひょうたんに厄を溜め込む。
   〈能力〉
    ・災いを起こす(小規模)
    ・災いを呼び寄せる(中規模)
    ・災いを転換する(大規模)
   読みは「やくじん」ではなく「やくがみ」ってことで。

(後半は安価出す)

厄神「ゆっくりしていってね!」

【マリーちゃん(オス)】

〈大学〉講義

紗希「先生たちは見えてないみたいだね」

厄神「神話の研究してるんでしょ?だったら見えてもいいんじゃないかなと思うんだけど」

紗希「割りと信じてないのかも」

香菜「もしかしたら見てみぬふりかも」

紗希「…ねぇ厄神様」コソコソ

厄神「…OK♪」ニヤニヤ

厄神「おい!そこのヅラ野郎!」

先生(講師)「え、なんだ今の」キョロキョロ

紗希「感じはしたか」

香菜「ヅラの意地なのかな?」

厄神「うーん」スタスタ

紗希「え、なにすんの」

厄神「えいっ!」ピコーン

カツラ「じゃあの」ピューン

学生たち「ブフォッww」

先生「おい、お前ら。何見て笑ってんだ!」

カツラ「俺だな」

先生「うん…?」

先生「あああああああああああああ!」

先生「マリーちゃああああああん!」

カツラ「俺男なのに」

紗希「名前つけてたね」

香菜「滅茶苦茶ね、全く」

厄神「最高だよ!」ケラケラ

【神☆隠☆し】

〈大学〉食堂

厄神「見える人いないね」ガッカリ

紗希「一応アテはあるけど」

厄神「えっどこ?」

香菜「サークルだね」

紗希「あと教授と友達」

厄神「サークル?」

紗希「宗教研究会があるんだよ、ここ」

香菜「半ばオカルトチックだけど」ハァ

厄神「君らの同類か~」

香菜「一緒にしないで!」

紗希「まぁあまり関わらないけどね」

厄神「なんで?」

香菜「変な奴ばっかだもん」

厄神「それは楽しそうだねぇ…」ワクワク

紗希「今日はどっか言ってるみたいだけどね」

香菜「神出鬼没だからね、あの人達」

厄神「んで、その教授ってのは?」

紗希「実さんの知り合いでゼミの先生だね」

香菜「先生だったら見えるんじゃない?」

紗希「まぁ行ってみようか」

赤江(教授)「…」アングリ

厄神「…♪」ヤクチャンスマイル

紗希「まぁこうなるよね」

香菜「まぁだろうね」

赤江「ワケワカンナイ」

紗希「それが普通だから大丈夫です」

赤江「だが実に興味深いな!」

香菜「もう受け入れたか」

赤江「少し資料見てこよう!」ダッシュ

紗希「え、待ってくださいよー!」

厄神「なかなか面白そうだな♪」

〈赤江の部屋〉

赤江「やっぱあなたの記述はなかった」

紗希「やっぱりそうですか」

厄神「だめだったか」

赤江「知り合いに聞いてもいいんだが忙しいだろうしなぁ…」

赤江「まぁ、少し調べさせてもらうよ?」

厄神「いいよー♪」

紗希「あの、私たちは?」

赤江「コーヒーでも焚いといて、コスタリカのを」

厄神「僕は有明茶で」

香菜「私は紅茶。ディンブラで」

紗希「香菜も手伝って!」

香菜「へいへい」

赤江「じゃあまず、国津神?」

厄神「そうだよ!」

赤江「誰かの子ども?」

厄神「知らない!」

紗希「え?親とかいないの?」

厄神「だって僕捨て子だし?」

香菜「え、マジで!?」

紗希「知らなかった」

赤江「どこのご祭神?」

紗希「あ、家の近所です」

赤江「え、あそこ八幡神社じゃん」

香菜「八幡神は死んだ」

赤江「えっ」

厄神「違うよ!いなくなったんだよ!」

赤江「え?本体が?」

厄神「応神天皇はピンピンしてるよ!」

赤江「分霊がいなくなったの?」

厄神「らしいよ?」

赤江「他の神様も君みたいに見えたりするの?」

厄神「知らない」

紗希「そういえば見たことがないね」

香菜「やっぱ妖怪なんじゃ…」

厄神「違うよ!」

ゴゴゴゴゴゴ

ミシミシ…

赤江「え、なんなの?」

紗希「なにこれ?」

香菜「え、お化け?」

厄神「フォ、フォースを感じるぞ…!」

紗希「行ってる場合か!」

厄神「いやいるんだよ!」

紗希「え?」


デデデンデデデデンデ‐デーン!

???「…」ゴゴゴゴ

赤江「もうなんなの今日」

紗希「え、誰…?」

香菜「お化け?」ビクビク

厄神「…」

???「我が名は…アメノウズメ…」

赤江・紗希・香菜「え?」

アメノウズメ「そこのお外れ者!色々と話し過ぎなのよ!」

厄神「僕何も悪い事話してないよ!」

アメノウズメ「現世に干渉しすぎなのよ!」

厄神「いや、こういうもんでしょ」

アメノウズメ「少しは控えなさい!」

厄神「えぇ…」

赤江「もうなんなの」

紗希「芸能の神様?」

厄神「そうだね」

香菜「割りと美人」

アメノウズメ「割りとってどういうことよ!?」

紗希「でもあなた分霊じゃないの?」

アメノウズメ「えぇ、そうよ」

紗希「なんで人の形してるの?厄神様の場合はなんか火の玉だったのに…」

アメノウズメ「同じとこに長くいたらこうもなるわよ」

香菜「そういうものなの?」

アメノウズメ「そういうものよ」

紗希「なんでわざわざここに?」

アメノウズメ「そうだったわ」

アメノウズメ「ねぇあなた!」ユビサシ

厄神「え?僕?」

アメノウズメ「あなたあの駅で子どもを攫ったわよね?」

紗希・香菜「へ?」

厄神「あ、はい」

アメノウズメ「んでその子を私のとこの神社に置いていったわよね?」

厄神「はい」

アメノウズメ「やっぱりあなただったのね!」プンプン

アメノウズメ「あのあと!あの一体で!神隠し騒ぎになって!」

アメノウズメ「真っ先に私が疑われたのよ!」

アメノウズメ「私何もしてないのに!」

アメノウズメ「ブレイクダンスの練習してただけなのに!」

アメノウズメ「全く見に覚えないからカラスに聞いたら!」

アメノウズメ「となり町にあんたが来たって知って!」

アメノウズメ「わざわざ探したのよ!」

厄神「すんませんでした」

紗希「潔い!?」

厄神「だって格上だもの」

アメノウズメ「いい?これからはわたしのとこでわるさしないこと!」

厄神「はい」

赤江「お、俺どうすればいいの…?」

香菜「何もしなくていいです、多分」

香菜「あれ、でもあそこの神社の祭神ってアメノウズメだっけ?」

赤江「あそこは日枝神社だった気がするが…」

アメノウズメ「あぁ、分社作ったのよ、私の」

紗希「え、なんで」

アメノウズメ「関東に私を祀ってくれる神社探したらそこにヒットしたのよ」

赤江「なぜわざわざ関東に…?」

アメノウズメ「上京したかったのよ」

紗希「京都じゃダメなの?」

アメノウズメ「飽きたの」

紗希「テキトー!?」

アメノウズメ「そういうものよ」

厄神「神様は気まぐれだからね!」

【先生、空から男の(ry】

紗希「なんか今日は散々だった」

香菜「他の神様も見えるんだね」

アメノウズメ「おお!あそこでダンスショーをやっているぞ!」

アメノウズメ「見に行かねば」ビュンッ

紗希「自由か!」

厄神「神様は気まぐれだからね!」

香菜「そういや芸能の神様だったね」

紗希「最近のもやるのかな?」

香菜「想像したら笑えるんだけど」プフッ

紗希「ん…あれ?」

キャー
タイヘンダワ‐

香菜「お?なんか有名人でもいるの?」

紗希「いや、これは…」

厄神「…屋上から身を投げようとしているね」

アメノウズメ「どうしたものか、どうしたものか」オロオロ

厄神「こりゃいかんね」

香菜「久し振りだねこんなの」

紗希「いやまぁそうだけどそんなこと行ってる場合じゃ…」

アメノウズメ「あれは取り憑かれておるな」

厄神「そうみたいだね!」

厄神「ちょっと賭けてみよう!」ピコーン

紗希・香菜・アメノウズメ「え?」

ヒュンッ

大学生A「き、消えた…?」

大学生B「こ、これが噂の…」

大学生C「新人類…?」

教授「我々はきっと疲れているんだ」

准教「きっとそうなんだ」

ヒュンッ

大学生D「先生!空から男の人が!?」

先生(コーチ)「えぇ!?」

大学生E「降ってくるぞおおおおおおお!」

ボサッonマット

大学生F「あ、あれ、俺は一体…?」

紗希「…」

香菜「…」パチパチ

アメノウズメ「…こ、これは一体」

厄神「助かっちゃったね♪」テヘペロ

香菜「どゆこと?」

紗希「えーと、厄神様が隠した男の人が、運動部が運んでいたマットの上に移動した…?」

厄神「そうなのかな?」

紗希「こんなこともあるんだねぇ」

厄神「まぁあの人はここで死んじゃいけなかったんだよ」

紗希「そういう運命?」

厄神「そゆこと」

紗希「でも災いしか無理なんでしょ?」

厄神「そうだよー」

紗希「でもあれ助かったけど…」

香菜「後々厄介事でも起こすんじゃないかな」

紗希「えぇ…」

厄神「楽しみだね!」

【ワルシャワまでの耐久マラソン】

アメノウズメ『私の神社にも来てみなさいよ!』

紗希「って言ってたけど…」

厄神「行ってみようか」

華「実さんも連れて!」



実「へぇ、アメノウズメまで…」

紗希「他にもいるみたい」

実「すまんが次の学会の準備で忙しくてな」

華「行けないのか~」

実「でもとなり町の神社だろう?電車で行けるだろう」

紗希「あんまり駅に近づきたくないんだよねぇ…」

実「え?」

華「お化けがたむろってるの!」

実「はぁ」

厄神「まぁいいじゃないか」ハハ

〈駅〉

お化けA「しりとりのり!!」デデン!

お化けB「りしり!」

お化けC「り…りゅうおう!」

お化けD「うたしない!」


紗希「…今度は何やってるのかな?」

厄神「市町村しりとりみたいだね」

華「すごい暇そう」

お化けE「いわくに!」

お化けF「に…にいがた!」

お化けG「たがわ!」

お化けH「わるしゃわ!」

お化けA「それ日本じゃねぇよ!」

お化けB「罰ゲームでフルマラソンだ!」

お化けH「ああああああああああああ」

【実際踊れるのだろうか】

〈となり町〉

紗希「小さい神社ね」

アメノウズメ「街中だから敷地がないのよ」

華「ビルとビルの間に挟まれてるのね」

厄神「参拝客多いの?」

アメノウズメ「近くのダンススタジオの生徒がよく来るみたいね」

厄神「信仰深いね」

アメノウズメ「願掛けよ、多分」

華「その人達は見えてないの?」

アメノウズメ「多分テキトーにお参りしてんでしょ」

紗希「形だけ、なんだね」

厄神「まぁ大体そんなもんだろうね」

アメノウズメ「あんたのとこの神社って人来るの?」

厄神「面白がってくる人が多いね」

紗希「いるのね」

華「友達も行ってたし」

厄神「ランダムでいたずらするけどね!」

紗希「やっぱりするのね」

厄神「だってそれがうりだからね!」

紗希「最近のダンサーとかもお参りするみたいだけど、最近のダンスとかわかるの?」

アメノウズメ「失礼ね、日本舞踊からブレイクダンス、はたまたフラメンコまで踊れるわよ」

紗希「フラメンコ!?」

アメノウズメ「踊ることぐらいしかすることがないのよ」

華「なかなかナウいね!」

厄神「まだ開拓するの?」

アメノウズメ「次はコサックを…」

紗希「海外のまでマスターする気なのね」

アメノウズメ「信者を増やすのよ!」フフフ

紗希「日吉神社の祭神ってオオクニヌシでしょ?」

アメノウズメ「そうよ」

紗希「いないの?」

アメノウズメ「ここのはまだ若いわ」

紗希「だからいないのか…」

アメノウズメ「あと400年位かしら」

華「長い!?」

アメノウズメ「私達からしたらあっという間よ」

【ど◯ろっく】

厄神・赤江「そういうことだろ!」デン!


調所広志「説明の仕方」

吉川心春「まぁわからないや」

新井正一「すげぇな!」

紗希「皆見えてるのね」

香菜「…良かったのかな?」

赤江「これで勉学が捗るな!」ハハハ

紗希「マイナスだと思いますが」

厄神「災いをもたらすからね!」

香菜「まぁ御札持っときゃ大丈夫でしょ」ヒラリ

紗希「え、でも燃えるんじゃ…?」

厄神「け、結界だと…?」

紗希「えぇ!?」

香菜「やっぱタケミカヅチは強いね!」

心春「さっすが姐さん!」

香菜「姐さん言うな」

厄神「やばい、すごく暇」ヒェー

紗希「たまにはじっとしてなよ」

広志「お供え物やるから」つミカン

厄神「わあい♪」

紗希「もう飼いならした!?」

【ム◯カ】

広志「アメノウズメもいるのか」

紗希「新井君ダンスうまいからお参りしてみたら?」

香菜「でもタンゴじゃなかった?」

厄神「アメさんはタンゴも踊れるよ!」

広志「意外だな」

正一「まじかよ行かないとな」

紗希「そして美人だからね」

正一「まじか見えたらナンパしよ!」

香菜「多分たたられるよ?」

紗希「アメさんってたたるのかな?」

厄神「二度と踊れなくなるんじゃないかな?」

正一「やべぇ超コワイんですけど」

赤江「私も行ってみようかな」

紗希「えぇ!?」

心春「んじゃみんなで行こうー♪」

広志「え、俺まで?」

〈芸能の神社〉

アメノウズメ「今度は大所帯ね」

正一「やべぇ…見える…見えるぞおおおおおおおお」

広志「よかったな正一」

赤江「ほんと美人だな」

正一「ほんでエロい」

紗希「まぁそうだね」

アメノウズメ「少々下品ね」

香菜「たしか天の岩戸の前で踊ったのよね、半裸で」

アメノウズメ「あれは大変だったわね」ハァ

正一「なにそれ超エロくね?」ハァハァ

心春「キモいよ、しょうくん」

アメノウズメ「厄神、やっておしまい」

厄神「えいさっさー」ピコーン

ブスッ

正一「ああああああ目がああああああ目があああああああ」

心春「ム◯カだ」

赤江「ム◯カだな」

紗希「これが祟り?」

アメノウズメ「まぁそうね」

厄神「軽い目潰しなんだけどね」

正一「ダンスがうまくなりますように…」オガミ

紗希「住所とか言わないと」

厄神「そういや香菜ちゃんm 香菜「えいっ」オフダヒラリ

厄神「あああああああああああああああああ」

アメノウズメ「タケミカヅチは強いわね」

紗希「流石だね」

【GのG】

香菜「まぁエロティックな神様だったね」

心春「憧れるねぇ」

広志「でもお前胸n 心春「厄神様!やっちゃって!」

厄神様「なかなか神づかいが荒いねぇ。まぁいいんだけど♪」ピコーン

広志「え」

カサカサカサ…

紗希「え」

広志「うわああああああああああああああああああああああ」

正一「Gが集まってきたあああああああああああああああああ」

心春「うわああああああああああああああああああああああ」

赤江「ぎゃあああああああああああああああああああああああ」

香菜「…ねぇ、触ってもなんともないんだけど…」

紗希「…幻覚?」

厄神「そうだよ♪」テヘペロ

紗希「質が悪いよ!」

厄神「はずれを引いちゃったね」

アメノウズメ(天宇受売)とは

芸能の女神。日本初のストリップを行う。

おかめやおたふくのお面のモデル。

この世界では街の中の日枝神社に

アメノウズメが高天原の許可をもらって

分社を作った(引っ越してきた)。

この日枝神社は芸能の神社となった設定。


【すべてがFになる?】

大学生F「我は神である」ピカーン

大学生たち「Fは神だ!」デデン

大学生F「我は皆の父だ」ピカーン

大学生たち「Fは我らの父!」デデン

大学生F「我は人性をも兼ね備える」ピカーン

大学生たち「三位一体!」デデン

大学生F「すべてが!」ゴゴゴゴ

大学生たち「Fになる!」ウォオオオ

紗希「…」ハァ

香菜「どうすんのさ、あれ」

厄神「どうしてこうなったんだろうね?」ケラケラ

紗希「…あれも運命?」

厄神「さぁ?」

香菜「カルト宗教が生まれちゃったよ」

紗希「まぁ胡散臭いね」ジロ

厄神「ねぇなんでこっち見るのさ」

香菜「…あれが災い?」

厄神「大多数の人からすれば?」

紗希「もうやだこの大学」

【資産家】

厄神「ねぇバイトしよ!」

紗希「なんでよ」

厄神「社会勉強だよ!」

紗希「昔やってたよ?」

厄神「なんもバイト?」

紗希「書店の店員」

厄神「なんかあったの?」ニヤニヤ

紗希「強盗が入ったんだよ!」

厄神「サキちゃんはなんともなかったの?」

紗希「シフトじゃなかったんだよ!」

厄神「まぁそんなことだろうと思った」

紗希「なんで急にバイトの話するのよ?」

厄神「…いや、サキちゃんたちどうやって収入得てるんだろうと思って」

紗希「秘密♪」

厄神「水商売!?」

紗希「なんでだよ!?」

厄神「なんだちがうのか」

紗希「そんなやましいことしてないよ!」

厄神「社会勉強したくないの?」

紗希「私は十分この世の厳しさを知ったよ!」

華「私バイトしようかなって思ってるんだけど」

紗希「えぇ!?」

華「社会勉強だよ♪」

厄神「さすが華っち空気読めるね♪」

【おかずがほしい】

紗希「厄がほしいだけじゃないの?」

厄神「そうだよ?」

華「お姉ちゃんのじゃ足りないの?」

厄神「例えるならね、サキちゃんのお厄は白ご飯なんだよ」

紗希「それでおかずがほしいと」

厄神「そういうこと!」

紗希「華はどこでバイトするの?」

華「そこのコンビニ!」

厄神「なんだ、いつも行ってるところか」ガックリ

紗希「ダメなの?」

厄神「近所の人達しか来ないじゃないか!」

華「もう吸い取ってたんだ」

厄神「そして吐き出したよ!」

紗希「結局お厄を食べる必要あるの?」

厄神「生理現象なんだよ!」

紗希「華はいつからバイトするの?」

厄神「無視された!?」ガビーン

華「面接が週末にあるよ!」

厄神「お邪魔してもいいかな?」

華「いいよ♪」

紗希「いいの!?」

厄神「そもそも華ちゃん厄がないしね」

華「あらゆる災いをはらいのけるよ!」ブンブン

紗希「さすが私の妹だわ」

厄神「姉とは大違いだね!」

紗希「言わないでよ!」

【イイ◯ブン?】

数日後

〈コンビニ〉セ○ン♪イ○ブン♪イイ◯ブン♪

華「いらっしゃいませー♪」

おっさんA「今日もかわいいよ華ちゃん!」

おっさんB「これで今日も生きていけるよ!」

店長「今日も繁盛するよ!」

華「ありがとうございま~す♪」

紗希「どうしてこうなった」

厄神「華っちはかわいいからね!」

紗希「まぁお客さん増えたみたいだし、いいのかな…?」

厄神「サキちゃんとは大違いだね!」

紗希「だから言わないでよ!」ウワーン

【バグの多発地帯】

厄神「ゲームしよ!」

紗希「ないよ」

厄神「ないの!?」

紗希「そもそも触れないよね?」

厄神「見てるだけでもいいじゃないか!」

紗希「私はPCしか持ってないよ?」

厄神「だったら無料オンラインを…」

紗希「私が関わったゲームは過疎化するよ?」

厄神「それを待ってた♪」テヘッ

紗希「もうなんなんだよ!」ウワーン

【お化けマスター】

お化けA「今日は皆集まってくれてありがとう!」

お化けたち「イェーイ!」

お化けB「早速行くぜ!」

お化けA・B・C「『お化けはそれを愛と呼ぶんだぜ!!』」

お化けたち「イェーイ!」キャー


紗希「…もうなんなの」

厄神「コンサートだね」

紗希「駅のホームでしなくてもいいじゃん…」

【寝相が悪い】

紗希「なんで厄神様は天井に張り付いて寝てるの?」

厄神「サキちゃんの寝顔を見たいからだよ♪」ヤクチャンスマイル

紗希「…」オフダヒラリ

厄神「冗談だよ、別にそんな下心はないんだよ!」

華「じゃあなんで?」

厄神「サキちゃんは寝てる間も厄を出し続けてるからね?」

紗希「そうなの!?」

厄神「安定した供給源がいるのは頼もしいからね!」

華「私のところはダメなの?」

厄神「華っち厄がないんだもの」

華「それもそっか」

紗希「でも天井に張り付くこと無いじゃん?」

厄神「外に出た厄は一旦浮くからね」

紗希「屋根裏にいればいいじゃん」

厄神「暗いよ!」

華「屋根裏に祠作れば…」

厄神「えぇ!?」

華「冗談だよ♪」

紗希「屋根裏狭いしね」

厄神「まぁ屋根裏にひょうたん置いとけばいいんだけどね」

紗希「じゃあそれでいいじゃん!」

厄神「僕はどこで寝ればいいんだよ!」

華「リビングとか?ソファあるし」

厄神「君たちが座ったソファか…」ニヤニヤ

紗希「急に気持ち悪くなったんだけど、頭おかしくなったの?」

厄神「冗談だよ?」

華「冗談に聞こえないよ!」

厄神「まぁリビングで寝るよ」





紗希「トイレトイレ…」

紗希「!?」

紗希「あぁなんだ、厄神様か…」

紗希「…なんでテーブルに座ってるの…?」

【紗希ちゃんの運を吸い取っているのかもしれない】

紗希「はぁ、お洋服買おうかな…」

厄神「お、買い物行くの?」ワクワク

紗希「そうしようかな」

厄神「すごいことが起こりそうだね!」

華「私と行けば相殺されるよ?」

厄神「さすが華っちだね!」

紗希「運が良いからね~華は」

華「私の災いをお姉ちゃんが吸い取ってるんじゃないの?」

紗希「肩代わり!?」

厄神「サキちゃんも同類だった!?」

【お化けたちは休まない】

〈駅〉

お化けA「つ、次は53曲目…『ゴー!ゴー!ゴースト!」だぜぇ…」ゼェゼェ

お化けたち「イ、イェーイ…」ゼェゼェ


紗希「まだやってたのね」

厄神「耐久レースだね!」

紗希「死んだあとぐらいはゆっくりしたいよ…」

【透けるのが嫌】

〈ショッピングモール〉

厄神「この下着とか良くない?」

紗希「なんであんたが選んでるのよ!」

華「お姉ちゃんは白いのしか着ないからね♪」

厄神「なるほど、透けるからだね!」

紗希「そうだよ!ほっといてよ!」

【メイド服なんて見たことない】

華「これとかどうかな?」ジャーン

厄神「いいねぇ!かわいいねぇ!」

紗希「右に同じ」

華「じゃあこれにしよーと♪」


紗希「…メイド服って着ることあるのかな?」

厄神「需要はあるでしょ!」

紗希「メイド喫茶で働く気なのかな?」

厄神「サキちゃんも買っちゃいなよ!」

紗希「私にそんな趣味はないよ!」

【叫ぶ切り身】

厄神「あとは何を買うの?」

紗希「今晩は、お刺身だからお魚を買わないと…」

華「カンパチが良いね!」

厄神「僕はサーモンで!」

紗希「寿司屋じゃないのよ」

厄神「えぇー」

〈鮮魚売り場〉

厄神「フォ、フォースを感じる…?」

華「ジェダイ!?」

紗希「なんでよ」



カンパチ?「あああああああああああああああ」プルプル

イシダイ?「あああああああああああああああ」プルプル

ブリ?「あああああああああああああああああ」プルプル


華「なんか聞こえるんだけど」

紗希「聞きたくないわ」

厄神「なんか切り身が叫んでるね!」

紗希「私達にしか聞こえてないみたいだけどね」

厄神「そいやっ!」ピコーン


ボンッ

???「ぬぬ?」

???「で、出られただと…?」

???「助かった?」

紗希「…」

華「…誰なの?」

厄神「住吉さんたちだよ♪」

ソコツツノオ「そうさ!我が名はソコツツノオ!」

ナカツツノオ「ナカツツノオ!」

ウワツツノオ「ウワツツノオ!」

ソコ・ナカ・ウワツツノオ「三人合わせて!」


「住吉三神!!」デデーン

紗希「…」ハァ

華「わー」パチパチ

厄神「一体何用で?」

ソコツツノオ「暇だから魚とかに取り付いて遊んでたんだ」

ナカツツノオ「そしたら途中で寝ちゃってね」

ウワツツノオ「気づいたら切り身になってた」

紗希「災難だね」

ソコツツノオ「お前は誰だ!」

厄神「ここらの土地神?」

紗希「もうそれでいいや」

住吉三神「そうか!この度はありがとうな!」

住吉三神「君らも住吉大社に来ると良いぞ!」

住吉三神「ではさらば!」ビュンッ

紗希「…なんだったんだろう…」

華「面白い神様だったね♪」

紗希「でもなんで魚に取り付いてたんだろ…?」

厄神「暇だったんでしょ」

紗希「自由か!」

厄神「神様は気まぐれだからね!」

住吉大社とは

大阪にある海・航海の神、神功皇后を祀る神社。

神武皇后という偉い人が新羅を征伐した時、

その勝利に感謝して創建された。

ウワツツノオ・ナカツツノオ・ソコツツノオは

イザナギの子ども。

博多・下関の住吉と合わせて

日本三大住吉とされる。

普通の神社とは違う独特な造りっぽい。


住吉神社は他にもあるから機会があったら行ってみてね!(ステマ)

【ぜえええええええっと!!】

紗希「厄神様はなにかに取り憑くことができるの?」

厄神「紗希ちゃんに取り憑くこともできるよ~」

紗希「やめてよ」

厄神「まぁしたら殺されそうだからしないけどね」

紗希「物とかもできるの?」

厄神「動物とか、石だとか、基本的になんでも!」

紗希「じゃあこのぬいぐるみは?」ドン

厄神「やってみよう!」シュンシ

ドラ◯もん「僕ドラ◯もん!」

紗希「似てない」

ドラ◯もん「えぇ!?」

紗希「動ける?」

ドラ◯もん「これ足が殆ど無いけど」

紗希「チョイスが悪かったか…」

厄神「人形がいいかな、動くんだったら」

紗希「じゃあこれ!」

厄神「やってみよう!」シュンシュン

マジ◯ガーZ「ぜええええええええええっと!!」

紗希「ぜええええええええええっと!!!」

マジ◯ガーZ「いやちょっと待ってよ」

紗希「え?」

マジ◯ガーZ「カクカクして動きにくいんだけど」

紗希「そうか、ロボットだからね…」

厄神「リ◯ちゃん人形とかないの?」

紗希「前持ってたけどひとりでに動き始めたから神社に納めた」

厄神「そりゃあひどいね」

リ◯ちゃん「…」テクテク

神主「…」

リ◯ちゃん「…」ゴロゴロ

神主「新しい娘だと思おう」トオイメ

【忘れられた】

〈ポーランド〉

お化けH「ウゴォ…」ゼェゼェ

お化けI「頑張れ!あと少しで終点だ!」

お化けJ「ほら!ワルシャワ王宮が見えてきたぞ!」

お化けK「あと少しだ!」

お化けH「ウオォォ…」ゼェゼェ

お化けL「ゴオオオオオオオル!!」

お化けM「H選手が!今ゴールしました!」

〈日本〉

お化けA「よくやった、よくやったぞ、H…」

お化けB「おめでとう、H!」

お化けC「今日はパーティだ!」イェーイ


紗希「もうなんなんだよ!」

本来ならここでスレッドを変える予定だったんじゃが

もう一気にやっていくんじゃ。


次は地の文かも?なのじゃ

【華の一日】

アアアアアアアアアタケミカヅチハズルイッテェェェェェ

ジャアサッサトデテイキナ!キガエルンダカラ!


…お姉ちゃんと厄神様が朝から喧嘩してる。

いまやそれさえも日常となった。

お姉ちゃんもいくらか明るくなった気がする。

疲れてはいるみたいだけど。

華「今日の朝はハムエッグだよ!」

厄神「さすが華っち料理うまいね!」

紗希「さすが私の妹!」

華「エヘヘ♪」

いつもの笑顔で私は応える。

厄神「今日は高校行こうか!」

紗希「厄神様が!?」

華「いいね!」

紗希「いいの!?」

厄神「いぇーい高校デビューだ!」

紗希「…気をつけるのよ?」

華「大丈夫だよ!」

厄神「果たして今日はいったいどんな厄が見つかるのだろうか」ワクワク

紗希「今日は久しぶりに平穏な日常を暮らせそうだ」ウルウル

そんなにお姉ちゃんは大変だったのだろうか…
私は支度を終え、自転車に乗る。

厄神「自転車で行くの?」

華「乗ってく?」

厄神「後ろからついていくよ!」

華「じゃあレッツゴー♪」

後ろから走るのだろうか…。

実さんがいつものように庭の花に水をあげている。

まだ若いのに、着物のせいか老けて見えるのは言ったほうが良いのかな…?

まぁそれはそれで渋くてかっこいいし♪

華「おっはー♪実さん」

実「おっはー…え、厄神様!?」

厄神「おっはー♪」

実「連れてくの?」

華「そうだよ♪」

厄神「僕も高校デビューさ!」




厄神「あそこに高校生がたくさんいるよ!」ワクワク

華「友達だよ!」

厄神「見えるかな?」

華「見えたらどうする?」

厄神「知らんぷりしてていいよ!」

華「え」

厄神「たまにはお化けみたいにしておこう!」ニヤニヤ

厄神様のいたずらが始まる。

樋口紅葉「華ちゃんおっはー♪」

小早川亜樹「おはよー」

細川将「今日もかわいいぞ!」

平田篤史「今日もキモいなお前は」

将「えぇ!?」

山方桃「まぁ将くんらしいよ」

厄神「…」ソワソワ

亜樹「そこのお兄さんはどなた?」

篤史「和服なんて珍しいな」

紅葉・桃・将「え?」

亜樹・篤史「ん?」

厄神「…」ニヤニヤ

華「な、なんのこと?」

亜樹「え、そこにいるじゃない」

篤史「見えないのか?」

紅葉「二人には何が見えてるの!?」

亜樹「そこのマンホールの上にいるじゃない!」

将「見えねぇよ!」

桃「お、お化け!?」

篤史「お化けだと!?」

亜樹「お化けなんているはずないじゃない!」

厄神「いるんだよ、ここに」ニッコリ

亜樹「きゃああああああああああ」

篤史「喋ってきた!?」

紅葉「もうなんなの!?」

桃「ミ、ミステリー…」

厄神「いや~こういうのもたまにはいいね!」

厄神様は随分満足そうだ。

いつもと違う友人たちを見れていい気分…?

悪い癖がついちゃいそう。

〈高校〉教室

アッキーとあっくんは厄神様に付きまとわれながらも、学校へついた。

お経を唱えているが、意味は無い。

さて、どのタイミングでバラそうか。

迷いながらも教室へ向かうのであった。

篤史「いなくなったな」

亜樹「なんか疲れたわ」ハァ

華「ハハ…おつかれ」

今日だけでだいぶやつれたようだ。

見た目が怖くないだけまだましかな?

キーンコーンガーンコーン

税所(先生)「おーしお前ら席につけー」バタバタ

担任の税所(敦史)先生が入ってくる。

「起立!」 「礼!」

税所「今日も欠席はなし、と…」

税所「そして後ろの方、授業参観ならまず事務室の方に…」

華「え?」

厄神「お?」

亜樹・篤史「え」

厄神様が後ろの棚の上で寝そべっている。

とても授業参観に来た保護者には見えない。

紅葉・将・桃「またか!?」

生徒たち「先生何が見えてるんですか?」キャーウワー

税所「は?」

厄神「ボ、ボクノコトガミエルノ…?」

悪ふざけがひどいよ、厄神様。

まぁ面白いけど♪

亜樹・篤史「うわああああああああああああああ」

税所「一体どういうことだ!?」

厄神「ソウイウコトダヨ」ニヤニヤ

なんかすごいことになっちゃったな。

〈給湯室〉

事を収集させるため、私は厄神様の事を説明した。

クラスの皆には気のせいだった、と言っておこう。

そうしておこう。


厄神「そんなわけでよろしくねー♪」ヤクチャンスマイル

税所「いや、わからん」

亜樹「あの神社の神様なの?」

篤史「幽霊じゃないのか」

厄神「神様だよ!」

税所「赤松にとり憑いてるのか」

厄神「ついてきただけだよ!」

亜樹「それをとり憑くっていうんじゃ…」

華「いつもはお姉ちゃんの大学に行ってるんだけど、今日は新しいお厄がほしいらしくて…」

篤史「お、お厄…?」

厄神「災いだとか不幸なこととか」

税所「あったの?」

厄神「たくさんあったよ!」

華「そして振りまくんだね♪」

篤史「怖いわ!」

税所「たまったもんじゃないな」

厄神「校外で起こるようにしたから!」

亜樹「そういう問題!?」

税所「まぁ、皆に言っても頭が狂ったようにしか見えないだろうしな…」

華「秘密ってことで♪」

篤史「罰当たりなことはできないな」

厄神「まぁ授業の邪魔はしないから!」

華「私の幸運さで相殺するからね!」

亜樹「さすが華だわ」

税所「もういいや、授業いこ」

厄神様は皆が授業中、暇そうに一人校庭をうろついたり、

窓に張り付いたりしているのであった。

見える人からすれば十分邪魔をしているように見える。

大学よりかは怖いものがないらしい。

…大学でなにがあったのかな。




〈昼休み〉

厄神「屋上行かないの?」

亜樹「いけないわよ!」

厄神「学校といえば屋上でしょ!」

篤史「立入禁止だからな」

厄神「そんなの学校じゃない!」




紅葉「誰も居ない方向に向かって話してる…」

桃「アッキーとあっくん、疲れてるのかな…」

将「朝からわけわかんないぜ!」

華「まぁお弁当食べよ!」

紅葉「ねぇハナちゃんなんでそこにミカンおいてるの?」

華「願掛けだよ!」

桃「え、なんの?」

華「いいからいいから♪」

厄神「~♪」モグモグ

亜樹「(なるほど)」

篤史「(お供え物か)」

将「パンうめぇ」モグモグ

〈放課後〉

亜樹「バイバイ華ー」

華「バイバイアッキー!」

将「今日も…モテるために…!」

篤史「生徒会だりぃ」

桃「自分で立候補したのに何言ってんのさ!」

紅葉「じゃあハナちゃんいこうか!」

アッキーはダンスクラブ、あっくんとモモちゃんは生徒会の仕事、

将くんはサッカー部でコウちゃんは私と同じ卓球部だ。

皆が、それぞれで今を楽しんでいる…かな?


オラアアゴールノウエニノッテヤルゼエエエエエエ

マサル‐ソレハハンソクダトイッテイルダロオオオオオ

〈部室〉

卓球部の部室は校舎3階の一番角。

2つの空き教室を使ってみんな練習をしている。

さっきまでどこかに行っていた厄神様がまたついてきた。


紅葉・華「やっほ~♪」ガラガラ

楠木千早「こんにちは!せんp…」ビクッ

三戸光「?どうしたの千早ちゃん?…」

江藤紫穂「…うん?」

厄神「…」テヘッ

後輩三人衆が部室にいた。

千早ちゃんと紫穂ちゃんは見えてる?

でもどうしよう。秘密だったんだった。

千早「へ…へ…?」プルプル

光「どうしたの!?」

紫穂「?保護者の方?」

それぞれの捉え方がなんか違う。保護者て。

岡出雲「なんかあったのー?」ガラガラ

部長が入ってきた。

岡出雲「うわ!?この人浮いてる!?超能力者!?」

なぜそうなった。

光「えぇ!?皆には何が見えてるの!?」

厄神「…」ピコーン

光「え…え?」ギュルルルルル

光「ト、トイレ‐!」ダッシュ

紅葉「光ちゃん!?」

千早「なんなの!?」

紫穂「あなた何者なの!?」

出雲「超能力者!?」キラキラ


予想以上に面白い反応を見れた。

仕方ない、バラそうか…

出雲「神様!?」キラキラ

紫穂「出雲先輩、落ち着いてください」

千早「噂の疫病神さんだったの!?」

厄神「え、そんなに有名なの?」

華「地元の新聞に乗ってたよ?」

紅葉「なんで朝言わなかったのさー!」

厄神「面白い反応が見たくて♪」テヘペロ

紫穂「光と紅葉先輩は見えてないと…」

出雲「もったいないなー♪」

千早「別に見えなくても良かったかな?」

華「でも光ちゃんみたいになっちゃうんじゃ?」

厄神「あれは気まぐれだからね!」テヘペロ

紫穂「怖いわ」

厄神「まぁそういう神様だからね!」


気まぐれな厄神様を加えて、私たちはいつもどおり練習に励んだのであった。

戻ってきた光ちゃんはいつもより清々しい顔をしていた。

だが見えない何かに怯えてしまうのであった。

〈下校〉

華「良い収穫だった?」

厄神「大学よりかはなかったね」

華「まぁお姉ちゃんの大学は街中にあるからね」

厄神「まぁ若いのはよかったかなー」

華「若さもあるんだ?」

厄神「少し苦く感じるね」

華「それは未熟ってこと?」

厄神「年を取れば取るほど経験が増えて甘くなるよ!」

華「年の功ってやつだね!」

厄神「そういうことだよ!」

〈赤松宅〉

厄神「ただいまー!」

華「誰も居ないよ?」

厄神「あれ!?いま何時!?」

華「6時半ぐらいだね」

厄神「サキちゃんそんな遅かったけ…」

華「いつも7時ぐらいだよ?」

厄神「あの人のことだから心配だな、なんか」

華「心配してくれるんだ?厄神様も」

厄神「家族だからね!」

華「お姉ちゃんはそう思ってないかもしれないよ?」

厄神「え!?」

華「でも私は新しいお兄ちゃんだと思ってるから♪」

厄神「お兄ちゃんか…そういうのも悪くないね!」

紗希「あんたら玄関でなにはしゃいでんのよ」

華「あ、お姉ちゃんおかえりー♪」

厄神「おかえり!」

紗希「ただいま、今日も散々だったわ…」


お姉ちゃんはいつもよりやつれた顔をしていた。

いつもは厄神様が転換していると思われる災いが

そのまま降りかかってきたらしい…

やっぱり大学のほうが良い!ということで、

厄神様はまた、お姉ちゃんについていくのであった。

厄神「たまにはスパイスがほしいから、高校にも行くよ!」

篤史「まじか」

亜樹「もうやだ」

【すり抜ける】

お化けA「今日こそ!」

お化けB「俺達は!」

お化けC「電車を止める!」

お化けたち「うおおおおおおおおお」

イチバンホームニレッシャガマイリマス 

お化けたち「ああああああああああああああああ」

紗希「…毎日これを見ないといけないの…?」ハァ

【キャーコノヒトチカン…?】

香菜「おっはーサーちゃん」

紗希「おっはー」

香菜「今日は厄神様いないんだね?」

紗希「妹の高校に行ってる」

香菜「なんかいつもと違ったりする?」

紗希「ド直球で災いが起きてるね」

香菜「例えば?」

紗希「駅の痴漢騒ぎに巻き込まれて、なぜか犯人になってたわ」

香菜「そりゃ災難だったね」

紗希「まぁ災いを転換してもいいことないけどね!」

香菜「ましにはなるかな?」

紗希「そりゃ厄神様の気まぐれと運だからね」

香菜「いきあたりばったりだね」

【F教団】

大学生F「神は言っている、現世は汚れていると」ピカーン

大学生F「ならば我々の手で消毒するまで!」ピカーン

大学生たち「ゴミ拾いだヒャッハー!」ウオオオ

大学生F「分別も忘れないようにな」ピカーン

大学生たち「すべてが!Fになる!」ウオオオ



紗希「なにがしたいんだろ、あれ」

香菜「慈善活動?」

紗希「結果的に良かったのかな…?」

香菜「まぁまだどうなるかわからないからね」

紗希「変な大学だなぁ、ハハ」

【茨城の人ごめんなさい】

香菜「結局こっちにくるのね」

紗希「若いのは苦いんだって」

香菜「なんなの私達が老けているとでも?」

紗希「そういうことじゃないよ!?」

厄神「年を取るほど甘くなるんだよ!」

香菜「じゃあじいさんばあさんの厄でもとってきなさいよ!」

厄神「僕が厄を吐いたら死んじゃうよあの人達!」

紗希「死んじゃうの!?」

厄神「高齢の方には少々シゲキが強すぎるんだよ!」

紗希「じゃあいつぐらいがいい塩梅なの?」

厄神「30~40くらいかな」

香菜「じゃあオフィス街行っとけばいいんじゃない?」

厄神「僕はサキちゃんの家に住み着く代わりにサキちゃんの厄を転換してるんだよ!」

香菜「え、サーちゃん契約結んだの?」

紗希「そんな覚えないよ?」

厄神「まぁいいじゃないか♪」

紗希「私オフィス街なんて行くことないけどね」

香菜「デパートあるけどもっと近くにイ◯ンとかあるからね」

厄神「えー今度行こうよー」

紗希「私はそんなにヒマじゃないよ!」

厄神「え?なんの話?」

香菜「茨城に行くのよ?」

紗希「勉学の一環だよ!」

厄神「えー茨城ってド田舎じゃん?」

香菜「茨城県民に謝れ!」

厄神「えぇ!?茨城のメリットって関東圏ってことぐらいでしょ!?」

香菜「なんでよ!納豆があるでしょ!?」

厄神「納豆嫌いなんだよ!」

紗希「いや他にもあるでしょ!?」

厄神「えー茨城って筑波山と大洗と牛久大仏とキャベツとさつまいもと筑波山しかないじゃないか!?」

香菜「そんだけあれば十分でしょ!?」

厄神「でも所詮中途半端なベッドタウンでしょ!?」

香菜「ベッドタウンにもなれないところだってあるのよ!?」

紗希「ねぇなんでそんな暑くなってるの?」

香菜「使命感」

紗希「わけわかんない」

厄神「まぁついていくけどね!」

香菜「結局行くのね」

紗希「まぁ暇だろうしね」

【中途半端な高さ】

〈久城宅〉

香菜「はじめまして、松浦香菜といいます」ペコリ

実「私は久城実という。よろしく」ペコリ

香菜「今日はよろしくお願いします!」ペコペコ

紗希「やけに腰が低いね」

香菜「一応この業界の先輩だからね!?」

紗希「まぁ実はそうなんだけどね」

厄神「二人は初対面なんだね」

実「話には聞いていたがな」

紗希「実さんゴメンね?急に送迎頼んで」

実「いいんだいいんだ、俺もそこに用があるし」

香菜「なんか高そうな車だね」

実「大学の卒業祝いに親父からもらった」

紗希「新車で400ぐらい?」

実「そうらしいな」

香菜「中途半端な高さだね」

実「中途半端言うな」

紗希「でも卒業祝い400万?」

実「半分は返したがな」

香菜「それってお祝いになるの?」

実「なるだろう、多分」

【天井で寝ている】

〈高速道路〉

紗希「厄神様…」

香菜「外から付いて行くとは言っていたけど…」

実「わざわざ屋根に登らなくてもいいだろうに」

紗希「これ見える人いたらどうすんだろ?」

実「事故りそうだな」

香菜「ほんと厄を呼んじゃうのね」

実「華ちゃん連れてきたほうがよかったかもな」ハハハ

紗希「今日は部活だからね」

香菜「厄神様って写真には映るの?」

紗希「全然映らないよ」

実「たとえ見える人でもな」

香菜「じゃあツイッターとかは大丈夫だね!」

紗希「そういう問題じゃないけどね」

実「まぁ下手に有名になるよかはましだ」

紗希「あとどのくらい?」

実「20分位だな」

【機織り機】

〈鹿島神宮〉

紗希「来たのは良いけどどうすればいいのかな」

香菜「まぁ鹿島神についてレポート書きゃ良いんだろうけどね」

実「俺は地元の学者に用があるから、じゃあな」

紗希「ばいばーい」

紗希「…あれ?厄神様は?」

香菜「いないね」

紗希「なんでだ」

香菜「車の上にいなかったから、もう降りたかと思ったけど」

紗希「…もしかして、どこかで落ちた?」

厄神「落ちてないよ!?」

香菜「あ、いた」

紗希「何してたの?」

厄神「御手洗池で遊んでた」

紗希「そんな罰当たりな」

厄神「んで、鹿島さんはいたの?」

香菜「まだ見当たらないわね」

紗希「まぁいても仕方ないんだけどね」

厄神「なんで?」

香菜「だって神を見たってレポートに書くわけにはいかないしね」

???「…」カタカタ

紗希「…ねぇ」

香菜「え?」

厄神「目的とは違うけど、それらしい方がいたね」

???「~♪」カタカタ

紗希「森のなかで機織り機…?」

香菜「ちょっと頭がオカシイ人に見えるね」

紗希「ここは…」

〈高房神社〉

紗希「…ってことは」

香菜「タケハヅチノミコト?」

タケハヅチ「え?」カタカタ

厄神「どうやらそうみたいだね」

紗希「織物の神様!」

タケハヅチ「ほう、君ら私のことが見えるのか?」カタカタ

香菜「はじめまして!」

タケハヅチ「え?ま、まぁはじめまして…」カタカタ

紗希「なんかおとなしそうな神様だね」

厄神「まぁ織物おってるだけだしね」

タケハヅチ「何か御用ですか?」カタカタ

カクカクシカジカ

タケハヅチ「残念がら、タケミカヅチ様はいらっしゃいません」

紗希「どうしてですか?」

タケハヅチ「現在急用で、会合にでておられます」

香菜「急用て?」

タケハヅチ「…あなた方にお教えできないことです」

厄神「僕でも?」

タケハヅチ「あなた下っ端でしょう?」

厄神「うげぇ」

タケハヅチ「タケミカヅチ様がいらっしゃらない間、私が分霊を管理しております」

紗希「タケハヅチさんは会合に行かないんですか?」

タケハヅチ「織物おってるだけなので」

香菜「でも服従しない星の神を討伐したよね?」

タケハヅチ「あれは昔の話ですので」

紗希「結局謎らしいけどね」

タケハヅチ「あなた方のご先祖が曖昧に書いたからでしょう」ハァ

香菜「定説ができればどうなるの?」

タケハヅチ「その分の記憶が植え付けられるでしょう」

紗希「なんかかわいそう」

タケハヅチ「我々はそういうものですから」

紗希「今日はありがとうございました!」

タケハヅチ「いえいえ、変わった人間の方たちを見れて楽しかったですよ」

香菜「また来てもいいですかね?」

タケハヅチ「タケミカヅチ様がいらっしゃるからはわかりませんが、歓迎いたしますよ」

厄神「僕の分社作れないかな?」

タケハヅチ「息栖様に怒られます」

厄神「えー」

紗希「じゃあ帰ろうか」

〈駅〉

実「ごめん、ここで一泊することになったから電車で帰ってm(_ _)m(LINE)」

紗希「だってさ」

香菜「まぁ電車には慣れてるしね」

ニバンホームニレッシャガマイリマス



紗希「優しい神様だったね!」

香菜「ひたすら機織り機カタカタしてたね」

紗希「一応武神だよね…?」

香菜「諸説あるけどね」

厄神「礼儀正しい人だったね!」

紗希「どこかの神様とは違ってね!」

厄神「…」ピコーン

紗希「あぁ!?視界が真っ暗に!?」

香菜「お得意のたたりだね」

紗希「久しぶりに来たよ!?」

厄神「気まぐれだからね♪」

タケハヅチ「…えぇ、我々のことが見えているようです。」

タケハヅチ「…なぜかはわかりかねません」

タケハヅチ「調査はそちらに任せます」

タケハヅチ「それとあの神は…」

タケハヅチ「…はい、一昔前に高天原を騒がせた神です」

タケハヅチ「…私に監視は難しいです」

タケハヅチ「…はい、わかりました」

タケハヅチ「…」ハァ

鹿島神宮について

茨城県にある神社。

武神・タケミカヅチをご祭神とする。

同じ茨城県の息栖神社、

千葉県の香取神宮と合わせて

東国三社といわれ、朝廷との関係が深い。



タケハヅチ(アメノハヅチノオノカミ)

織物の神様。

天岩戸とかに登場する。

【ミカンの虜】

〈高校〉

税所「…」カリカリ

厄神「…」ジーッ

税所「…」つミカン

厄神「…!」

厄神「…」モグモグ

税所「…(なんなんだ、一体)」

教師A「税所先生?」

税所「はい?」

教師A「なぜ棚の上にミカンを置いたので?」

税所「いや、別に…」

教師「は、はぁ…」

税所「…(今度御札でも買うか…)」

【パンウメェ】

〈高校〉昼休み

桃「ねぇハナちゃん?」

華「何?」

桃「なんで教卓の上にミカン置いたの?」

華「お供え物だよ♪」

桃「え、だれの!?」

華「秘密♪」

桃「えー…」


厄神「なんかミカンも飽きてきたなぁ」モグモグ

篤史「…」

亜樹「…(見えないのは罪?)」

将「パンウメェ」

篤史「(なぁ赤松)」コソコソ

華「(何?)」コソコソ

篤史「(なんで今日もいるの?)」

華「(苦味がほしいんだって)」

篤史「(わけわからん)」

亜樹「(災いがくるのかしら…)」

厄神「僕の気分次第さ♪」

亜樹「聞かれてた!?」ガタッ

桃「アッキーどうしたの急に!?」

亜樹「あ、ああごめん…」

篤史「(…災いをもたらすのか?)」

厄神「華っちに迷惑をかけるわけには行かないからね!」

将「パンウメェ」

【団子を食べたい】

〈部室〉

出雲「わーい厄神様~♪」ピョーン

華「すっかりなついたね」

厄神「なつかれちゃったね、さわれないけど」ヒョイ

出雲「あぁ!?」ドンガラガッシャーン

光「先輩!大丈夫ですか!?」

華「それよりこっちは…」

近松瑠璃「…」アングリ

紫穂「おーいるりー戻ってこーい」

厄神「新入部員?」

華「前は生徒会の仕事で忙しくて来れなかったんだよ!」

瑠璃「お化けなの?」

厄神「神様だよ!」

千早「まぁ見た目お化けだよね」

厄神「おーっと、そのセリフは聞き捨てならないなぁ~」ピコーン

千早「えぇ!?」

紫穂「さすが気まぐれ」

千早「こ、ここはどこ…?私は誰…?」

紫穂「記憶喪失!?」

千早「私は…神?」

紫穂「えぇ!?」

厄神「まぁ戻してあげるよ」ピチューン

千早「はっ私はどこに!?」

出雲「いつもこうなのー?」

華「こんなもんだよ!」

光「見えない私は何もついていけないです」ハァ

紅葉「まったくだね」ハァ

厄神「…ピンポン球って、おいしそうだよね」

華「食べないでね!」

出雲「わかる気がする」

紫穂「えぇ!?」

千早「お団子みたいだよね!」

紫穂「えぇ!?」

厄神「おお、君らもわかってくれるか」

【しかし現実は】

〈体育館〉男子バレー

オイ、ボールソッチニイッタゾ‐!

アザッマース!

厄神「くらえ!3ポイントアタック!」カラブリ

篤史「バレーはそういうのじゃない。んで触れないだろう」

厄神「ひょうたんなら!」バーン

篤史「そんな乱暴に扱って良いのかよそれ!?」

厄神「多分割れない」

篤史「雑か!」

厄神「丈夫に作ってあるんだよ!」

バレー部A「おい、篤史が一人でなんか喋ってるぞ」

バレー部B「あいつも、とうとうその世界に…」

バレー部C「そうか、妄想で女の子と話しているのか」

バレー部D「きっとそうなんだ」

篤史「なんでだよ!?」

【面倒くさくなった】

〈街中〉

亜樹「…そういえば、あそこも神社なのよね…」

亜樹「願掛けで行ってみようか」



〈芸能の神社〉

亜樹「…ダンスが魅力的になりますように」

アメノウズメ「住所も言うのだぞ!」

亜樹「えぇ!?」

アメノウズメ「えぇ!?」

亜樹「いや、なんでそっちが驚くのよ!?」

アメノウズメ「そなた、私のことが見えるのか!?」

亜樹「えぇ!?あなたもなの!?」

カクカクシカジカ

アメノウズメ「ほう、あの偽八幡らの仲間か」

亜樹「仲間…?」

アメノウズメ「私が見えているということは、そなた信仰深いな!?」

亜樹「さ、さぁ?」

アメノウズメ「機会があったら、そなたに力を授けてやろう!」

亜樹「機会があったらなの!?」

アメノウズメ「神様は気まぐれなのよ!」

亜樹「どっかで聞いたわよそれ!?」

〈学校〉

亜樹「…てことなの」

華「お姉ちゃんが言ってた神様だね」

篤史「まだいるのか」

華「鹿島神宮にもいたみたいだよ?」

桃「目の前でお願いするのって恥ずかしいな…」

紅葉「自分の見えないところで聞かれてるなんて怖いや」

桃「知らなきゃ良かった、てやつだね」

将「最近神隠し騒動があったところか」

華「あ、それ厄神様の仕業だよ?」

将「まじで!?」

亜樹「あの時私滅茶苦茶怖かったのよ!?」

厄神「ごめん、面白そうな子がいたからつい…」

紅葉「神隠しもできちゃうんだね、その神様」ボー

桃「私も霊感鍛えようかな…」ボー

亜樹「わ、私達も攫われちゃう!?」キャー

厄神「気分次第だよ」ニッコリ

篤史「本気で言っているかがいまいちわからないな」

華「まぁ気まぐれだからね!」

厄神「そういうこと♪」

【天変地異は無理】

神主「…zzz」

紗希「やっほーおじちゃん!」

神主「ふぉ!?…あぁサキちゃんか」

紗希「…お疲れのようだけど、大丈夫?」

神主「参拝客というか観光客というか、人が増えましてな」

観光客A「ここが噂の…」

観光客B「疫病神神社…」

観光客C「訪れる者はなにかしらの災いが降りかかるという…」

厄神「えーい!」ピコーン

観光客A「ああああああああああああああああ」ギュルルルルル

観光客B「おいA!?どうした!?」

観光客A「トイレええええええええええ」ダッシュ

観光客C「これだ!これを待っていたんだ!」カシャカシャ

厄神「見えてはいないのか」ピコーン

観光客B「あああああ虫があああああああああ」

観光客C「えぇ!?虫なんていないぞ!?」

観光客B「こっち来るなあああああああああ」

観光客C「俺虫じゃねぇぞ!?」

紗希「…」

神主「訪れた者には災いが振りかかるという噂がたってしまってな…」

神主「厄神様がいる時ぐらいしか災いはないから、災いが降りかかったほうが運がいいとなって…」


観光客A「なんだか、今日はいける気がする…」

観光客B「なんとか今年は生きていけそうだ…」

観光客C「俺にはなんともないんですけど!?」

紗希「結果オーライなの?」

神主「忙しいですな、ハハ」

紗希「…ここって、なんのお参りすればいいんだろう…」

神主「一応厄を運ぶ神社だから…」

紗希「え、誰かに呪いをかけたり?」

神主「そうなってしまうだろうねぇ」

紗希「厄神様どうなの?」

厄神様「実際そういうお願いは多いね」

紗希「願いは叶うの?」

厄神「僕は参拝した人の厄を吸って、また吐き出すだけだよ?」

紗希「え、意味ないの?」

厄神「やろうとおもえばできるよ!」

紗希「え」

厄神「でも呪いとかに関わるのはゴメンだね!」

神主「実は裏の林に藁人形が有りましてな…」

紗希「えぇ!?」

厄神「あぁ、その人見たよ?」

紗希「どうなったの?」

厄神「あれって見られたらいけないんでしょ?」

紗希「え、厄神様もカウントされるの?」

厄神「その人途中で逃げ帰っちゃたし」

紗希「見えてたの!?」

厄神「おそらく失敗しただろうねぇ」

紗希「えぇ…」

厄神「まぁその分のお厄はたくさんもらえてからね!」

紗希「吸いとったの!?」

厄神「そういう人のパワーはすごいからねぇ…ガッポガッポだよ!」

神主「こちらとしてはたまったもんじゃないですがな」ハァ

厄神「とても辛かったよ!」

紗希「辛いんだ」

厄神「まぁ問題は吐き出すことなんだけどね」

紗希「…死人が出るの?」

神主「ヒェェ…」

厄神「出ないように、少しづつ出すんだよ!」

紗希「どんなレベルで?」

厄神「接触事故かな」

紗希「そんなこともできたのね」

厄神「ちなみに全部出したらそこの鉄道廃線になるよ!」

神主「どういうことで?」

厄神「そういうことなんだよ!」

紗希「まぁ考えたくないわ」

【背に腹は代えられない】

〈細川将の家〉

将「やべぇ!遅刻だああああああ!」ダッシュ

厄神「ねぇそこの君!良かったら送ってあげようか!」

将「うおおおおおおおおお」ダッシュ

厄神「あ、この子見えないんだった」

厄神「まぁいいや、学校へ送ってあげるよ!」カミカクシハツドウ

将「うおおおおお…ん?…んん?」ヒュン


近所のおじさん「いつもの変態が」

近所のおばさん「消えた…?」

〈高校〉

華「厄神様どこに行っちゃったんだろう」

亜樹「今日も来てるの?」

華「学校に来る途中でフォースを感じる!とか言ってどっかいっちゃった」



将「ん?…ぬぉ?」

将「こ、ここは…」

〈女子バレー部更衣室〉

将「…うん?」

部員A「うわぁ!?なに!?」

部員B「なんでこんなところにいるのよ!?」

部員C「着替えてるんだから出て行きなさい!」

部員D「この変態!」

将「ああああああああああああああああ」

厄神「背に腹は変えられない」

税所「やはりあんたか」

厄神「災いは災いだからね!」

税所「…一応神隠しに巻き込まれたということで片付けた」

税所「皆半信半疑だがな…」

厄神「ごめんね♪」テヘペロ

税所「もうやだ」

【その後の将】



将「死ぬかと思った、社会的に」

紅葉「災難だったね…」

篤史「…信じれたか?」

将「そういう存在がいるんだなぁ、と思った」

亜樹「じゃあ見れるんじゃない?」

将「え」

厄神「やっほー♪」

将「おわあああああああああああ」

桃「見えたんだね」

華「良かった…のかな?」

紅葉「神隠しに遭えば、見えるようになるの…?」

華「信じれるようになったからじゃない?その存在に」

桃「オカルトだねぇ…」

将「災いは結局災いって、あのままだと俺は遅刻してたの?」

厄神「そういうことだよ?」

将「そっちのほうが良かった」

厄神「でもあのままだと不良にぶつかってボコボコにされてたよ?」

将「まじか」

篤史「どっこいどっこいだな」

将「ま、まぁ女の子の下着見れただけ良しとしようか…」グヘヘ

亜樹「…」バシーンッ

将「ぐへぇ!?」

篤史「当然の報い」

【暇なアメさん】

〈芸能の神社〉

亜樹「…」パンッパンッ

アメノウズメ「…」ニコニコ

亜樹「…(お願いしにくい)」

紗希「やっほーアメさん!」

亜樹「!?」

アメノウズメ「おお、久しぶりじゃな!」

厄神「さぁ今日は何を教えてくれるんだい?」

アメノウズメ「今日からは天孫降臨じゃ!」

厄神「イェーイ」パチパチ

亜樹「え?どういうこと?」

紗希「そこのダンスクラブの子?」

香菜「見えてるんだね」

亜樹「え、あなた方は…?」

香菜「うーんこの神様の飼い主?」

紗希「飼い主て…」

亜樹「え、じゃあ華のお姉さん!?」

紗希「えぇ!?華を知っているの!?」

カクカクシカジカシカクイムーヴ

紗希「あーそうか、高校に行ってたんだったね、厄神様」

香菜「信仰深いのかな?」

亜樹「…わかりません」




アメノウズメ「…そして、ナマコの口を切り裂いてやったのだ!」

厄神「うわぁ残酷」

アメノウズメ「だって黙ってるのよ?」

厄神「僕だったら足を生やすかなー」

アメノウズメ「気持ち悪いわよ!」

厄神「でも面白くない?」

アメノウズメ「想像したら吐気がするわよ!」




亜樹「仲がいいんですね…」

紗希「まぁアメさんが暇そうにしているから来てあげてるんだけどね…」

香菜「ボケーッてしてるからね」

紗希「これからもこの神社にきてあげてね?」

亜樹「は、はい…」



厄神「ナマコに目をつけても良かったんじゃない?」

アメノウズメ「絶対嫌よ!」

【苗字は楠木】



〈卓球部室〉

出雲「ねぇ千早ちゃん歌うたって!」

千早「へ?」

出雲「アイドルなんでしょ?」

千早「は?」

出雲「ちがうの!?」

千早「ちがいますよ!?」

出雲「だってアイドルマ◯ターに出てたじゃん!」

千早「出てないですよ!?」

出雲「えぇ!?」

千早「なんでそう思ったんですか!?」

出雲「だって千早じゃん!」

紫穂「苗字が一応違いますからね」

華「一応モデルもいるからね」

瑠璃「筆者はアイ◯スやったことないんだけどね」

光「でもちーちゃんバスト72…」

千早「なんで知ってるの!?」

華「そりゃ同じとこで着替えてたらわかるよ?」

千早「…くっ!」

紫穂「今の絶対意識したでしょ」

ぼーっとやってたらまた本来の一話分が終わったのじゃ。

少し休んでからまた貼りだすんじゃ。

次はまた地の文?からの始まりじゃ。

【新キャラの紹介】

赤江良樹 紗希の通う大学の教授。53歳。コーヒーは無糖派。

吉川心春 紗希の友人。筆者の年齢感覚が麻痺してきた頃。

調所広志 紗希の友人。真面目。

新井正一 紗希の友人。日々神話のエロを探求する。

小早川亜樹 華の友人。苦労人。

平田篤史 華の友人。メガネ。バレー部。

樋口紅葉 華の友人。卓球部。「もみじ」ではなく「こうよう」。見えない。

山方桃 華の友人。英語研究会。見えない。

細川将 華の友人。サッカー部。見えなかったが見えるようになった。

岡出雲 華の友人。卓球部部長。天然。

近松瑠璃 華の友人。卓球部。

三戸光 華の友人。卓球部。見えない。

楠木千早 華の友人。卓球部。

江藤紫穂 華の友人。卓球部。苦労人。

税所敦史 華の担任であり、卓球部顧問。32歳。


…多い。

再開なのじゃ。



【実の一日】


…かすかに、隣から怒号なのか悲鳴なのかわからない

叫び声が聞こえる朝。朝の目覚まし代わりだ。

布団から起き上がろうとすると

積み上がっていた資料が雪崩を起こした。

朝からの片付けも、日課なのだ。

片付ければいいのだが。

庭の花たちに水をやる。

玄関の横にさざんかは花が咲き、

男一人が住む家とは思えぬ佇まいを見せる。



…さざんかは、俺に永遠の愛を与えるだろうか。

親父の結婚祝いに買ったらしいさざんかは

今も力強く咲く。

…困難に打ち勝つ、か…。

あの時、俺は紗希を励ますことしかできなかった。

正直、恐怖心さえ覚えていた。

ただ、あいつの、ひたむきさについていった。

放ってはおけなかった。

あの笑顔が消えるのが辛かった…。


(さざんかの花言葉は永遠の愛、困難に打ち勝つ、など)

ふと、目の前に華がいた。

今日も花のように華麗だ。

また今日も頑張ろうと、俺は気合をいr…



華「朝から何言ってるの?実さん」



…ん?

華「いや、ん?じゃなくてさ」

実「え?」

華「…声に出てたよ?」

実「どこから聞いてた!?」

華「俺に永遠の愛を~あたりから」

実「ほとんど聞いてるじゃないか!?」

華「それで、私のことはどう思ってるのかな~?」

実「えぇ…」


華が上目遣いで聞いてくる。

困る。非常に困る。


華「まぁ、学校遅れるといけないから、行ってくるね~♪」

実「お、おう…」


今日は見逃してくれた。

帰りに聞いてくるかもしれんが。

俺は家に入ろうと後ろを向いた。



厄神「…」ニヤニヤ


なぜお前がここにいる

実「…サキちゃんは?」

厄神「もう行ったよ?」

実「厄神様は行かないのか?」

厄神「今日は実さんとこいるよ!」

実「なんで!?」

厄神「たまにはいいじゃないか~」

実「えぇ…」

厄神「実さん暇でしょ?」

実「ひまじゃねえよ!?」

厄神「そうなの!?」

実「…まぁ入れ」



知り合いから送られてきた資料に目を通す。

やはり厄神様についての記述は見当たらない。

…これで何件回っただろうか。

あとは親父…だけだ。

親父には何も言っていないが、

どこかしらで耳には入っているだろう。

だが親父は忙しい人だ。

そう簡単には会えない。邪魔するのも悪い。

というか親父のいる九州まで行くのがつらい。


…厄神様がいる、ということは

どこかしらで考えられた存在、

崇められるか、恐れられて祀られているか。

本来、人間が考えたであろう代物だから、

どこかに、あるはずなんだ。

…だが、どこにも見当たらない。

厄神様が一体何なのか、いまだわからずにいる。

厄神「難しそうな顔をしてるねぇ~」

実「…質問していいか?」

厄神「?いいよ」

実「どこで生まれた?」

厄神「さぁ?」

実「…親は?」

厄神「知らないよ」

実「…思い入れがある場所とかは?」

厄神「うーん…厄の多い場所?」


実「…わからん」

厄神「なにが?」

実「なんで厄神様がいるのか」

厄神「意味を求めちゃダメだろう?」

…神様はただの概念ではない。

人が神格化されることだってある。

神格化された人は、死後、神になっているのだろうか。

…会いに行けば、わかるのだろうか。


厄神「僕だって自分のことを調べたさ」

実「え?」

厄神「僕は、人間に育てられたんだ」

実「…は?」

厄神様が語り始める。

厄神「…僕は物心を持つ前のことはほとんど覚えていない」

厄神「だけど、オモイカネさんから教えられた」


厄神「僕は、そこの神社に捨てられていた」

厄神「周辺の人々は僕を神の子だと喜んで育てたらしい」

厄神「…だけど僕の本性は違う」

厄神「僕が災いをもたらしているとわかった人間たちは僕を生け贄にしようとした」

厄神「…だけど、そこをタケミカヅチさんがとめた」

厄神「僕は高天原に送られた。そこで僕は色々学んだ」

厄神「しばらくして、僕はまた現世へ帰った」

厄神「だけどどこの神社のご祭神でもないから、僕は浮浪者扱い」

厄神「テキトーにそこらをほっつき歩いてたんだ」

厄神「すると、偉い神様から呼ばれてね」

厄神「そこの神社が空いたから、そこに入れ、と」

厄神「そして今に至るんだよ」

実「…自分のことは覚えてないんじゃなかったか?」

厄神「…サキちゃんたちに教える気になれなくてね」

実「あいつはそんなに弱くないぞ?」

厄神「君のほうが詳しいだろうから」

実「ああ、そうか…」

厄神「サキちゃんたちには言わないでね?」


実「承知した…まだ質問してもいいか?」

厄神「構わないよ!」

実「人間だったの?」

厄神「いや、人間の血は入ってないよ」

実「なんで両親が神だとわかった?」

厄神「さぁ?僕はただオモイカネさんから教えられただけだから…」

実「一応、生まれはここ?」

厄神「…さぁ」

実「…おかしい」

厄神「?」

実「なぜ文献になんも記述がない?」

厄神「消えたんだよ」

実「え?」

厄神「その人間たちの存在、住んでいた場所、何もかもが、消し去られたんだよ」

実「…厄神様の力か?」

厄神「…いや、僕にそんな力はない」

実「だがなんで…」

厄神「知っちゃいけない何かを知った、のかな」

実「…」

厄神「本当はこのことも禁句なんだよ」

実「じゃあなぜ話した?」

厄神「君ならなにかわかるかと思ったんだ」

実「…余計にもやもやが生まれただけだ」



過去に、厄神様のことを知った人間は消された。

なぜだ。

厄神様には高天原にとってまずいことがあるはずだ。

…だが、なにもわからない。

厄神様はフォースを感じる!と言い、どこかへ言った。

いつかはラ◯トセーバーでももつのだろうか。

俺は親父に手紙を書いた。

親父はメールの類を一切見ない。スパムに弱いらしい。

親父に何か用があるときは、FAXか手紙なのだ。

いつ会えるかはわからないが、楽しみにしておこう。




俺は、また研究に没頭するのだった。

【アメさんはすることがない】

アメノウズメ「…」ソワソワ

亜樹「あ、あの~…」

アメノウズメ「おお!今日も来てくれたか!」

亜樹「お話を聞きに…」

アメノウズメ「今日はタケミカヅチとタケミナカタの戦いじゃったな、よしよし」




アメノウズメ「そして、タケミナカタはタケミカヅチに追いつめられ、諏訪の地に引きこもったのよ」

亜樹「あの柱のお祭りで有名なところですね」

アメノウズメ「そうよ、柱をドーンッとするお祭りよ!」

亜樹「は、はぁ」

アメノウズメ「今言ったのは古事記の方だけど、伝承じゃタケミナカタが土着神を倒したことになっておるな」

亜樹「…それは全部アメさんが見たんですか?」

アメノウズメ「いや、聞いただけの話よ」

亜樹「なんか壮大な話ですね…」

アメノウズメ「まだまだあるからの!」

亜樹「今日はもう時間なので、帰りますね」

アメノウズメ「またくるとよいぞ!」ニコニコ




亜樹「(…なんか暇そうで可哀想だから話し聞いてたけど…)」

亜樹「(思ったより面白そうね…)」

亜樹「(…紗希さんに聞いてみようかな…)」

【神話をモチーフにしたゲームがほしい】


〈高校〉

亜樹「ねぇ華」

華「へ?なにアッキー?」

亜樹「今度華の家行っていい?」

華「え、勉強会?」

亜樹「いや、紗希さんに神話について聞いてみたいことがあって…」

華「あ、それならもっといい人いるよ!」

亜樹「え?」




〈久城宅〉


華「というわけなの」

実「うーん」

華「だめかな?」ウワメヅカイ

実「いや、その華ちゃんとか紗希ちゃんとかと話すのならまだしも…」

華「私もいるから!」

実「うーん…じゃあ、今度の日曜にでも…」

華「やったー!」

実「…ここで?」

華「まぁそうなるかな」

実「…片付けないとなー…」

〈高校〉

華「というわけで、OKもらえたよ!」

亜樹「ありがとう!」

華「神話女子…新たなジャンルが生まれるかな?」

亜樹「歴女に入るんじゃない?」

華「そうなのかな」

紅葉「ねぇーふたりともどうしたのー?」

カクカクシカジカ

紅葉「私もいってみよーかなー」

亜樹「え!?」

将「俺も行こうかな」

桃「私もー!」

篤史「でも大人数で行くと迷惑じゃないか?」

紅葉「じゃあじゃんけんしよう!」

桃「何人いけるの?」

華「あと二人までなら良いんだって!」

桃「じゃあ」

紅葉「この4人の中から」

篤史「二人…」

将「いくぞ!じゃんけん!」

ポイ!アイコデ…

華「どうなったの?」

紅葉「私と!」

桃「私だ!」イェーイ

篤史「負けちまったか」

将「仕方がない、サッカーでもするか」

ダカラサッカーゴールニノルナトイッテイルダロウ!



〈赤松宅〉

ピンポーン

ガチャ

紗希「え、実さん!?珍しい!」

実「実は頼みごとがあってだな…」

紗希「?」

カクカクシカジカ

実「んで、助手がほしいんだ」

紗希「なるほど、いいよ!」

実「あんがと」

紗希「頑張るよ!」

【勉強会】


〈久城宅〉

華「ここが実さんの家だよ!」

桃「さざんかが綺麗だねー」

華「隣が我が家だよ!」

亜樹「ほんとお隣さんなのね」

華「てことで」

オジャマシマース!

実「うわぁ、若い」

華「いや、実さんまだ20代でしょ!?」

紅葉「でも着物着てるから渋く見えるね!」

実「褒められてるのかな?」

桃「渋くてかっこいいという意味ですよ!」

実「お、おうそうか…」

紗希「(私もそう思うわ)」ウンウン

桃「おお!なんか学者の家みたい!?」

華「学者だからね!?」

紅葉「本、本がいっぱい…」

実「そこら辺は読んでもいいよ」

桃「で、では…」

紅葉「…読めない!?」

華「漢文だったね」

亜樹「読めないことはないけどね」

実「現代語訳してないからな」

紗希「お茶とお菓子だよー」

桃「おお!華ちゃんのお姉さん!」

紗希「はじめまして!だね」

紅葉「はじめまして!」

亜樹「今日はよろしくお願いします!」

紗希「(ああ、若いって良いなぁ)」

華「(いや、お姉ちゃんもまだ若いからね!?)」



厄神「ねぇ僕は」

実「見物でも」つミカン

厄神「ごめん、ミカン飽きちゃった」

実「まじか」

厄神「だから今度はトッポを!」

実「最後までチョコたっぷり!?」


実「えーと、何分こういうこと初めてだからな…」


実「まあ、お菓子でも食いながら聞いといてくれ」

一同「はーい」

紗希「私はフリップ担当だよ!」

実「んじゃ、始めるか…」

…神話聞きたい?

>>1の体力の限界じゃから寝るんじゃ…。

神話貼るかどうかは明日決めるんじゃ。

んじゃまた明日。

じゃあの。

ヽ(`Д´)ノふおおおおおおおおおおおおお

再開するんじゃあああああああああああああああああああああ

神話はできるだけ砕いてみたけどそれでもながくなったんじゃあああああああああああああああああああああああ

今日は安価あるから待っといてくれええええええええええええええええええええええええ

ふおおおおおおおおおおおおおおおおお

〈唐突な神話〉古事記より


〈天☆地☆開☆闢〉

天地開闢(てんちかいびゃく、世界の始まり)の後、

神世七代(かみのななよ)と呼ばれる神々が生まれ、

「男」と「女」という性を覚えた。

その最後に生まれたイザナミ(伊弉波、女神)、イザナギ(伊邪那岐、男神)は

高天原(神々の生まれるところ、住むところ)から地上を作り、

たくさんの神を産んだ。



ちなみにイザナミはイザナギの妹なのじゃ。

〈黄泉の国へ〉


イザナミはたくさんの神を産んだが、

ヒノカグツチ(火の神)を産むと陰部にやけどを負い死んでしまう。

イザナギはヒノカグツチを十拳剣(とつかのつるぎ)で殺し、

イザナミに会うため黄泉の国へ向かう。



イザナギ「会いに来たぞ!」

イザナミ「…ごめんなさい。私はもう黄泉の国の食べ物を食べてしまったの」

イザナミ「こちらの神と相談してくるから、決してこの部屋を覗かないでくださいね?」



イザナギ「(そんなこと言われたら見てしまうだろう)」

ガララ…

イザナギ「うわぁ!!!」


イザナギは部屋を覗いてしまった。

そこにはイザナミの腐乱死体があった。


イザナギ「ひぃぃ!!」ダッシュ

イザナミ「マテェ!!」ダッシュ

追ってくるイザナミや黄泉醜女(黄泉の国の住人)を

髪飾りから生まれたぶどう、櫛から生まれた筍、

生えていた桃を投げて追い払い、

黄泉の国と地上の境目、黄泉平坂を封印した。

この時、イザナギはイザナミと別れたのであった。

イザナミ「…お前の国の人間を一日に1000人殺す」

イザナギ「では私は一日に1500人の産屋を建てよう!」

イザナミは黄泉の国の神となった。

〈イザナギのその後〉

イザナギは黄泉の国の穢れを祓うため、

筑紫の日向の橘の小門の阿波岐原(ちくしのひむかのたちばなのおどのあはきはら)で

禊を行った。

この時、二十六の神が生まれ、

太陽神アマテラス、夜の神ツクヨミ、海原の神スサノオの三貴神(みはしらのうずのみこ)に

高天原、夜、海原の統治を委任した。

スサノオ「うわああああああん!お母さんに会いたいよおおおおおお」ジッタンバッタン

イザナギ「お前は高天原から出て行くのだ!」

スサノオを高天原から追放し、

イザナギは淡海(近江、日本書紀では淡路島)の多賀に引きこもった。



お母さんに会いたくて会いたくて震えるスサノオたん。

〈天☆岩☆戸〉

〈天☆岩☆戸〉

高天原から追放されたスサノオは

イザナミの故地、根の国(黄泉の国?)に向かう途中

姉のアマテラスに別れを言うため高天原へ向かう。

が、アマテラスは弟が高天原を奪いに来たのではないかと武装して応対、

スサノオは潔白を証明するため、誓約(うけひ)を行う。

アマテラスがスサノオの剣を噛み砕くと、

三柱の女神(宗像三神)が生まれた。


スサノオがアマテラスの珠飾りを噛み砕くと、

五柱の男神が生まれた。


アマテラスの子、五柱の男神の長男の名は

正勝吾勝勝速日天忍穂耳命(まさかつあかつかちはやひあめのおしほみみ)

といい、「まさに勝った、私は勝った、素早く勝った」という意味。

アマテラス「五柱の男神は私の玉飾りから生まれたから私の子、三柱の女神はお前の剣から生まれたからお前の子よ!」

スサノオ「私には邪心がないから、心清らかな女神が生まれたのだ!」

アマテラス「…え」


勝ったと確信したスサノオは調子に乗って高天原で暴れた。

畑を壊したり、台所にう◯こをしたりした。

それでも寛容なアマテラスは弟をかばったが、

アマテラスの仕事場、機織り小屋で事故により死者を出したことで激怒。

しかし悲しみで怒る気にもなれず、天の岩戸に閉じこもったのであった。

アマテラスが天の岩戸に閉じこもると

高天原は闇に包まれ、様々な災いが起こった。

この異常事態に高天原に神々が集まり、

どうやってアマテラスを出すか話し合った。

そして高天原の知恵袋・オモイカネの案が採用される。

オモイカネ「八咫の鏡・八尺瓊勾玉を作るのじゃ!!」

オモイカネ「アメノコヤネ(天児屋根)とフトダマ(太玉)は儀式を行うのじゃ!!」

オモイカネ「タヂカラオ(天手力雄)は岩戸の隅に隠れるのじゃ!!」

オモイカネ「アメノウズメが踊り、神々は宴会を開くのじゃ!!」

ワイワイガヤガヤ




アマテラス「…自分が籠って外は真っ暗なのに、なぜアメノウズメは笑い、神々は笑っているのか?」

アメノウズメ「貴方様よりも尊い神がいらっしゃるので、うれしくなって皆喜んでいるのですよ!」

アマテラス「…どこにいるのじゃ」

フトダマ「こちらです!」


フトダマが向けた鏡に写った自分を

アマテラスは尊い神だと思い込む。


アマテラス「もっと近くで見てみたいのじゃ!」ミヲノリダス

タヂカラオ「今だ!引きづりだせ!」ズルルル

アマテラス「え」

フトダマ「天岩戸を封印します!!」

…こうしてオモイカネの策略により

高天原と葦原中津国に光が戻ったのであった。


そして神々の合議により、

スサノオは再び地上へ追放されたのであった。

〈オオゲツヒメの災難〉


追放されたスサノオは空腹を満たすため

食物の神オオゲツヒメ(大宣都比売)に

食事を作るよう頼んだ。

オオゲツヒメは快諾し、たくさんの料理を作った。

すぐに出てくる料理をスサノオは不思議に思い、

オオゲツヒメの調理の様子を見ていた。

~オオゲツヒメの3分クッキング~


まずおしりからごはんと山芋をおしりから出します。


オオゲツヒメ「ふんっ!」ブリブリ


そしてご飯を炊き、


山芋はよく噛んで程よく吐きます。


オオゲツヒメ「_| ̄|◯ オェェェェェ」


次に鼻からあずきを出します。


オオゲツヒメ「( ̄σー ̄)ホジホジ」

スサノオ「こんなものを食わせていたのか!」ザシュ

オオゲツヒメ「え」

オオゲツヒメは斬り殺された。



…オオゲツヒメの死体からは五穀と蚕が生まれ、

穀物・食物・蚕の女神として祀られているんじゃ。

〈ヤマタノオロチ〉

スサノオは出雲の国に降り立った。


スサノオ「…!川に橋が流れている」

スサノオ「ならば近くに誰か住んでいるはずだ」



スサノオ「…ん?」

爺「うぅ…」シクシク

婆「うぅ…」シクシク

少女「うぅ…」シクシク

スサノオ「なぜ泣いておるのだ?」

爺「…我々には八人の娘がおりました」

婆「しかし、ヤマタノオロチという怪物が毎年一人づつ食べてしまうのです」

少女「今年は私の番なんです…」


スサノオ「助けてやろう!」

爺「…なんと…!」

スサノオ「我はアマテラスの弟、スサノオ!」

スサノオ「我の妻にならぬか?」

爺「スサノオ様…!」

少女「喜んで…!」

スサノオ「少し術をかける」ピコーン

少女「え」クシニナル

スサノオ「よし」アタマニサス

爺「我々は…?」

スサノオ「家の周りを垣根で囲い、門を作れ」

スサノオ「そしてとびきり強い酒を作るのだ!!」

ヤマタノオロチ「!うまそうな酒の臭いがする!!」ドドドド


ヤマタノオロチ「うんめぇ」グビグビ


ヤマタノオロチ「…」グガ-

スサノオ「今だ!!」ザシュザシュ

ヤマタノオロチ「ぐあああああああああああ」

スサノオ「首は斬った、後はしっぽだ!」パキン

スサノオ「…!剣が欠けた…?」

スサノオ「…しっぽから輝く剣が出てきた」

スサノオ「迷惑かけた姉貴に送ろう」



これがのちに「天叢雲剣(草薙の剣)」とよばれることになる。

〈因幡の白兎〉

ヤマタノオロチを退治したスサノオは

無事にその少女、クシナダヒメと結婚し

出雲の須賀に新居を構えた。


ハッピーエンドで迎えたスサノオの物語。

月日は流れ、スサノオの6世の孫、オオナムチが生まれる。

このオオナムチ、兄弟が多い(八十神、やそがみと呼ばれる)、

そしてこの八十神らからいじめを受けていた。

ある日、八十神が因幡国に美しい娘(ヤガミヒメ)がいるといい、

オオナムチは荷物運びとして後ろからついていった。


八十神らが気多の岬(鳥取)についた時、

八十神らは毛の皮が全く無いうさぎに出会う。

うさぎは苦しんでおり、八十神らに治療法を求めた。

八十神らは間違った治療法を教えて立ち去り、

間違った治療法を教えられたうさぎはさらにひどく苦しんだ。


するとそこに後ろからついてきたオオナムチが現れた。

オオナムチがなぜ泣いているか聞いた。

(回想)隠岐の島

うさぎ「因幡に渡りたいなぁ」

うさぎ「でも海渡れないしなぁ」

うさぎ「そうだ、いいこと思いついたぞ!」

うさぎ「ねぇワニさん!うさぎとワニのどっちが多いか比べようよ!」

ワニ「いいぞ」

うさぎ「じゃあ踏んづけて数えるから海に並んで!」

ワニ「お安いご用」シュバババ

うさぎ「計画通り」ニヤリ

うさぎ「もうすぐ因幡だ!」

ワニ「ん?」

うさぎ「はは、騙されたな!」

ワニ「この野郎、騙しやがったな!その皮をはいでやる!」

うさぎ「え!?」



うさぎ「そしてさらに、さきほどの神々に騙されて…」

オオナムチは正しい治療法を教えた。

うさぎがオオナムチの言うとおりにすると

たちまち傷が治った。

するとうさぎは言う。



「あの神々(八十神)はヤガミヒメを手に入れることができません。あなたこそ、ヤガミヒメと結婚できる方です」

〈オオナムチの災難〉


ヤガミヒメ「私はあなた方とは結婚いたしません。オオナムチ様と結婚いたします」


八十神らはヤガミヒメ(八上姫)に求婚するが、うさぎの言ったとおり

オオナムチと結婚すると告げた。

八十神らはオオナムチを殺すことを決め、

八十神に騙されたオオナムチはやけどを負い死んでしまう。

しかしオオナムチの母により何度も生き返り、

助力を求めオオナムチはスサノオのいる根の国へ向かう。

〈根の国のスサノオ〉


根の国に舞い降りたオオナムチは

そこでスサノオの娘、スセリビメ(須世理姫)と出会い、

男女の交わりをして結婚した。

スセリビメはスサノオにそのことを報告する。


スセリビメ「たいへん素敵な神様がいらっしゃいました」

スサノオ「あいつは葦原醜男(あしはらしこお)だ。蛇の部屋にでも泊めてやれ」

スサノオは娘を取られた怒りからか、オオナムチを

蛇がうじゃうじゃいる部屋に泊めさせた。

しかし、スセリビメがオオナムチに授けた布でオオナムチは一難を逃れる。

次の日、ムカデと蜂がうじゃうじゃいる部屋に泊めさせた。

またもスセリビメが授けた布でオオナムチは一難を逃れる。

今度はオオナムチのいる野原に火をつけた。

しかしネズミの知恵によりオオナムチは助かった。

野原が燃える様子を見て、スセリビメは

もうオオナムチが死んだと思って葬式の準備をし、

スサノオも死を確認しに行くと

ピンピンしているオオナムチの姿があった。

スサノオはオオナムチを九電に招き、

頭のシラミ(ムカデ)を取らせてあげようとした。

オオナムチはスセリビメから授かった

椋の実を噛み、赤土を吐いた。

スサノオはオオナムチがムカデを噛みちぎったものだと思い込み、

可愛いやつだと思って寝てしまう。


その隙にオオナムチはスサノオの神を柱に結びつけ、

部屋を大きな石で閉じたうえ、

スサノオの大刀と弓、スセリビメの琴を持ち、

スセリビメと逃げようとしたが

琴が柱にあたってしまい、大きな音が鳴り響いた。

驚いたスサノオは飛び上がって柱を倒してしまうが、

髪を解いている間にオオナムチとスセリビメは遠くへ逃げることに成功した。

スサノオは二人を追いかけたが、

黄泉平坂(根の国と葦原中津国の境目)で


「お前が持つ大刀と弓で八十神を倒せ!

そしてお前がオオクニヌシ(大国主)、ウツシクニタマ(宇都志国玉神)となり、

スセリビメを妻として立派な宮殿に住みやがれこの野郎め!」


と、遠くにいるオオナムチに向かって言った。


オオナムチは八十神を討伐し、

新たな宮殿を構えた幸せになりましたとさ。

ちなみに、因幡国でオオナムチに求婚したヤガミヒメ、

正妻となったスセリビメに遠慮して

オオナムチとの子ども(キノマタノカミ)を木の俣に差し込んで

実家に帰っちゃったのじゃ。

〈国造り〉



割とどうでも良い気がするから割愛。

〈国譲り〉

アマテラス「葦原中津国を支配するのは我の子孫、天津神であるべきなのじゃ!」

※オオクニヌシはスサノオの子孫であるため、国津神


そしてアマテラスは息子のアメノオシホミミ(誓約の時、珠飾りから生まれた神)を

葦原中津国に遣わしたが

アメノオシホミミは

「葦原中津国はとても騒がしく、自分の手には負えない」と報告。

次にアメノホヒを地上に送ったが、オオクニヌシの味方になってしまい、

三年たってもなにも報告しなかった。


今度はアメノワカヒコを送ったが、

アメノワカヒコはオオクニヌシの娘、シタテルヒメ(下照姫)と

結婚し、自分がこの国の王になろうとして八年がたった。

神々はなぜアメノワカヒコが高天原に戻らずにいるか問いただすため、

鳴女(キジ)を遣わした。

アマテラスはキジに

「葦原中津国にお前を遣わしたのは

この国の乱暴な王を平定するためだったのに

なぜ八年たっても帰らないのか」

と聞くように命令した。



鳴女は地上に降り、

アメノワカヒコの家の木にとまり、アマテラスの言葉を伝えた。

すると家にいたアマノサグメ(天探女)が

「この鳥は鳴き声が醜いから殺してしまえ」とアメノワカヒコに言い、

アメノワカヒコはタカミムスビから授かった弓矢でキジを射抜いてしまう。

キジを射抜いた矢は、遠く高天原のアマテラス・タカミムスビのもとに届いた。

タカミムスビは神々にこの血がついた矢が

アメノワカヒコに授けた矢であるとして、

「もしアメノワカヒコが蛇神を射た矢なら、この矢はアメノワカヒコに当たるな。

もしアメノワカヒコに邪心があれば、この矢に当たれ」

といい、矢を地上に投げ捨てた。



地上へ飛んでいった矢は

寝ていたアメノワカヒコの胸にクリーンヒット。

アメノワカヒコは死んでしまう。



ちなみにアメノワカヒコ・アマノサグメは

天邪鬼の由来の一つと言われているんじゃ。

また、このキジ(鳴女)は結局帰れなかったため、

雉の頓使い(行ったきり帰ってこないこと)

という言葉の由来になったんじゃ。

〈武神・タケミカヅチ〉



アマテラスはオモイカネと神々に

次は誰を使わせばいいか問うた。

すると神々は

「アメノオハバリ(十拳剣の神様)か、

その子のタケミカヅチ(武甕槌)を遣わすべき」と答えた。



アメノオハバリに問いただすと、

「私の子のタケミカヅチのほうが適任でしょう」と答えたため、

タケミカヅチとアメノトリフネ(神が乗る船)を遣わした。

タケミカヅチは出雲の伊那佐に降り立つと、

浜に十拳剣(イザナギがヒノカグツチを斬った剣)を逆さまに刺し、

その上であぐらをかいてオオクニヌシに

「アマテラスはこの国は天津神が治めるべきだと言っている。あなたはどう思うか」と聞いた。


オオクニヌシは自分の前に子どものコトシロヌシ(事代主)に聞いてくれと答えた。

呼ばれた事代主は

「あなた方にこの国を差し上げましょう」と答え、

おまじないを唱えて隠れてしまった。

タケミカヅチはオオクニヌシに

「コトシロヌシは承知したが、まだ意見を言う子はいるか」と問うと、

「次はタケミナカタに聞いてください。それ以外に子はいません」

と答えた。


すると手の上に大きな岩を転がしながらやってきたタケミナカタ(建御名方)は

「我が国でひそひそ話をしているのは誰だ!力比べをしようじゃないか!」と

タケミカヅチの手を掴んだ。

タケミカヅチは手をつららのように凍らせ、さらに剣に変化させた。

タケミカヅチがタケミナカタの手を握ると、

葦の葉のように握りつぶして投げつけたため、

タケミナカタは恐れて逃げ出した。



タケミナカタは科野の諏訪湖で追い詰められ、

タケミカヅチに殺されかけた。


タケミナカタ「わかった。私はこの地から出ず、葦原中津国は差し上げるので、どうか助けてください」

泣いて謝ったタケミナカタは許され、

タケミカヅチは出雲に帰り再度オオクニヌシに問うた。
オオクニヌシは


「二人の息子が言ったとおり、この国は天津神に差し上げます。

その代わり、私の住むところとしてアマテラスの子が住むような

立派な御殿を立ててほしい。そうすえば、百八十いる私の子どもも、

コトシロヌシに従い天津神に服属するでしょう」と答えた。

これが出雲大社となる。



こうして、オオクニヌシは出雲大社に閉じこもり、

タケミナカタは高天原に戻り、葦原中国平定を報告した。



ちなみにタケミナカタが引きこもった諏訪湖には

タケミナカタとヤサカトメ(八坂刀売、奥さん)を祀る諏訪大社があるんじゃ。

「諏訪大明神絵詞」の伝承には

諏訪に来たタケミナカタが土着神の洩矢神を追い払って

祭神になったとされてるのじゃ。

タケミナカタの経歴については諸説あるのじゃ。

〈天☆孫☆降☆臨〉


アマテラスは葦原中津国が平定されたため

アメノオシホミミに治めるよう言ったが、

アメノオシホミミは

「息子のニニギ(邇邇芸)を遣わすべきでしょう」

と答えた。



こうしてニニギが天降りすることになり、

アメノコヤネ、フトダマ、タマノオヤ、イシコリドメ、アメノウズメの五伴緒(いつとものお)が従い、

さらに三種の神器(八尺瓊勾玉、八咫鏡、天叢雲剣(ヤマタノオロチから出てきた)、

オモイカネ、タヂカラオ、アマノイワトワケ(天石門別)を副えて

アマテラスは「この鏡を私の御魂だと思って、拝むように祀りなさい。

そしてオモイカネは祭祀を行い神宮の政務に励みなさい」と命じた。

ニニギらが高天原を降りようとすると、天と地の分かれ道に

葦原中津国・高天原を照らす神が居座り、先に通してくれなかった。

アメノウズメがその神に名を聞いたところ、

国津神のサルタヒコ(猿田彦)と答え、

天津神御一行を先導し、

ニニギらはついに筑紫(九州のこと)の高千穂(諸説あり)に降り立った。

そこではアメノオシヒ(天忍日)、アマツクメ(天久米)が武装して迎えいれ、彼らを先導した。

〈コノハナサクヤヒメとの出会い〉


ニニギは笠沙の岬でオオヤマツミの子ども、

コノハナサクヤヒメ(木花咲耶姫)と出会う。

ニニギが求婚すると、サクヤヒメは父に聞くよう答えた。

ニニギが父のオオヤマツミに尋ねるとオオヤマツミはたいそう喜び、

サクヤヒメの姉、イワナガヒメ(石長比売)も差し出した。

だがニニギはイワナガヒメが醜かったため送り返し、

サクヤヒメとだけ結婚した。

オオヤマツミは使いを送り、


「私が二人を差し出したのは、イワナガヒメを妻に迎えれば

天津神の御子の後は岩のように永遠のものとなり、

サクヤヒメを妻に迎えれば木の花が咲くように繁栄するだろうと

誓約(うけひ)をしたからである」と告げた。


ニニギはサクヤヒメとだけ結婚したため

人は木の花のようにはかない寿命になった。

〈火中出産〉

サクヤヒメはニニギと一夜を共にしただけで妊娠した。

だが、ニニギは

「たった一夜で身ごもるはずがない。

それは国津神との子だろう」と疑った。

ショックを受けたサクヤヒメは

「子が国津神ならば、産むときに苦痛を感じるでしょう。

しかし、天津神の御子ならそれはないでしょう」

と言い、産むときに御殿に火をつけた。

サクヤヒメは燃え盛る炎の中で天津神の御子である

ホデリ(火照)、ホスセリ(火須勢理)、ホオリ(火遠理)の

三柱を無事に産んだ。

〈山幸彦と海幸彦〉



ホデリは海幸彦と言い、海で漁を行い暮らしていた。

弟のホオリは山幸彦と言い、は山で猟をして暮らしていた。



山幸彦「兄貴!道具を交換してみよう!」

海幸彦「やだ」

山幸彦「お願い!」

海幸彦「…仕方ないな」

山幸彦「…だめだ、何も魚を取ることができない」

山幸彦「あぁ!兄貴の釣り針を落としちゃった!?」

山幸彦「…どうしよう」

海幸彦「やっぱ自分の道具のほうが良いな」

山幸彦「…兄貴の釣り針を海に落としてしまった」

海幸彦「なんだと!?探してこい!!」

山幸彦「えぇ…」



山幸彦「仕方がない、自分の剣で1000の針を作ろう」

海幸彦「やっぱ自分の釣り針が良い」

山幸彦「もう無理だ!!」ウワーン

落ち込んだ山幸彦が海辺で泣いていると、

海の彼方からシオツチ(塩椎、潮流の神)が現れ、

山幸彦は悩みを打ち明けた。

シオツチは海の向こうのワタツミ(綿津見、海の神)に会うよう言った。



ワタツミの宮殿で山幸彦に出会った

ワタツミの娘トヨタマヒメ(豊玉姫)は一目惚れし、

ニニギの子だと知ったワタツミは

二人を結婚させ、山幸彦はそこで三年過ごした。

三年後、ようやくここへ来た理由を思い出した山幸彦は深い溜息をついた。

ワタツミ「一体どうしたのだ?」

山幸彦「かくかくしかじかで…」

ワタツミ「お前たちの中で、釣り針を見たものはいるか」

赤鯛「俺の口に刺さってます!」


山幸彦はワタツミより術を授かり、地上へ帰った。

ワタツミの言うとおりにすると、

海幸彦は山幸彦に服従を誓った。

トヨタマヒメ「…あなたの子どもを妊娠しました」

山幸彦「まじか」

トヨタマヒメ「…本来の姿で出産するので、絶対に産屋を見ないでください」

山幸彦「わかった」


山幸彦「(やっぱ見ちゃうでしょ)」ガララ

山幸彦は産屋を覗いてしまった。

そこには八尋(10メートルほど)のサメが

腹をつけて蛇のようにうごめいており、

山幸彦は恐れて逃げ出してしまった。


トヨタマヒメは山幸彦に見られて恥かしくなり、

御子を置いて海に帰ってしまう。

トヨタマヒメは見られたことを恨みながらも

山幸彦に恋する気持ちを抑えられず、

妹のタマヨリビメを送り、愛の歌を交わした。

この時生まれた御子を、ウガヤフキアエズ(鵜草葺不合)という。



ちなみに山幸彦がワタツミの元へ行った話は

浦島太郎のルーツとされているんじゃ。

〈神武東征〉


ウガヤフキアエズは育ての親で叔母のタマヨリビメと結婚、

イツセ(五瀬)、イナヒ(稲飯)、ミケヌ(御毛沼)、ワカミケヌ(若御毛沼)が生まれた。

ワカミケヌが45になった時、

兄弟や皇子を集め、

「いつまでも西の端にいる訳にはいかない」と

「東征」を計画、皆が賛成した。


彼らは船や陸路で東へ向かった。

河内国に入り、生駒山地を越えようとしたところ

豪族ナガスネヒコ(長髄彦)に攻撃され、

イツセはナガスネヒコの射た矢に当たって怪我をしてしまう。

イツセは

「我々は天津神の御子なのに日に向かって戦ってはいけない。

西へ回り、日を背にして戦おう」

といい、ワカミケヌらは南へ向かった。

しかし、紀国でイツセは死んでしまう。



そして熊野では土地神の毒気により

ワカミケヌらは気を失ってしまう。

これを見たアマテラスはタケミカヅチに相談し、

霊剣(布都御魂)をタカクラゲ(高倉下)に授け、献上させた。

タカクラゲが剣を持ってくるとワカミケヌは目が覚め、

さらにワカミケヌが剣を持つと

熊野の荒ぶる神は自然に切り倒され、兵士たちは目を覚ました。

そして険しい山中ではアマテラスが先導役として

八咫烏を送り、ワカミケヌらはナガスネヒコら大和の豪族を討伐。

52歳になったワカミケヌは橿原宮で即位した。


これが神武天皇である。




ちなみに神武天皇は127歳まで生きたらしい。
神話だけどね。

…これで神話編は終わりとさせていただくのじゃ(古事記はまだ続くけどね)

張りながら思ったんじゃ。

…これってSSか?

反省するのじゃ。


次からはストーリーに戻るのじゃ。


実「…以上だ!質問はあるか?」

桃「男女の交わりってなんですか?」

実「は?」

桃「え」

一同「え」



実「(おいこれどうすんだよ)」コソコソ

紗希「(知らないよ!?)」

実「(こんな純粋な子になんて説明するんだ!?)」

紗希「(Kissってことにしておこう)」

実「(勘違いするだろ!?)」

紗希「(…あとで話しておくよ…)」

実「(任せた)」




厄神「…」グガ‐

紅葉「み、見える…」

桃「でも寝てる」

亜樹「途中で飽きて寝たのかしら」

華「黄泉の国編あたりで寝てたね」

亜樹「早すぎでしょ!?」


厄神「だって長いんだもの」ムクリ

紅葉「あ、起きた」

厄神「お?見えるようになったの?」

桃「おかげさまで!」

厄神「えーなんかいたずらしにくくなったなー」

亜樹「何をする気なのよ」

厄神「ナニだよ?」

亜樹「なんなのよ!」




一同「ありがとうございました!」

実「なんかあったらまた来てもいいぞー」

華「そういや帰れるの?」

亜樹「電車で帰れるわよ」

桃「あ、雨降ってる!?」

紅葉「えぇ!?傘ないよ!?」

華「じゃあ貸そうか?」

亜樹「ありがとう、華ー」

華「明日返してくれればいいしね!」

ワイワイガヤガヤ



実「…で、説明したのか」

紗希「厄神様が説明してくれたよ」

実「…なんて言ったの?」

厄神様「生殖活動だよ?」

実「ド直球だな」

紗希「オブラートに包む気もない」

厄神様「時に知らないことは罪になるからね!」

【出番がなかった】


赤江「そういやキリストも見えるかな…」

広志「急にどうしたんですか」

赤江「ちょっと教会行ってくるわ!」ダッシュ

紗希「先生!?」

心春「…言っちゃった」

香菜「まあ戻ってくるだろうし」

正一「キリストも見えんの?」

紗希「さぁ?」



〈教会〉

ドア「バタァン!」

赤江「キリストはいるかー!」

新婦「えぇ!?」

新郎「何事だ!?」

神父「神は皆の心のなかに存在します」

赤江「そういうことじゃねぇ!」

神父「え」

赤江「おお!キリストがいるじゃないか!」

キリスト?「えぇ!?」

赤江「お初にお目にかか…ってただのジジイじゃねぇか!」

じじい「急に押しかけてきてジジイとはなんだこの野郎!」

神父「神は争いをやめろと言っておられます」

赤江・じじい「うるせぇ!」

神父「おお!?うるせぇとはなんだこの野郎め!」

ワーキャー




キリスト「私のために争うのはやめて!!」




〈大学〉


紗希「あ、おかえりなさい」

広志「見えたんですか?」

赤江「わからん」ボロッ

心春「先生ボロボロじゃないですか!?」

正一「な、なにがあったので…?」

赤江「一悶着あってな」

香菜「…キリストは見えない?」

厄神「仮に全国の教会にいたら、すごい量のキリストがいることになるよ?」

紗希「でもアメさんは分社なんじゃ…」

厄神「長い年月いればあの形になるよ!」

広志「じゃあ歴史あるところに行けば見れる…?」

香菜「実際に見えてもどうしようもないけどね」

【今日も1日がんばるぞい】


華「いらっしゃいませー♪」ニコニコ

サラリーマンA「あぁ…これで明日も頑張れる…」

サラリーマンB「栄養ドリンク買わなきゃ…」

サラリーマンC「酒…酒…」



亜樹「…なにこれ」

紅葉「華ちゃんの笑顔を求めておじさんたちが集まってるね」

桃「ある意味地獄絵図になってるけどね」

篤史「まぁ社会勉強にはなるな」

将「パンウメェ」




店長「メイド服を着れば、効果抜群かもしれない…?」

店員「何いってんすか変態」

華「メイド服有りますよ?」

店長・店員「なんであるの!?」

華「こういうときのために!」

店長「マジで着る必要はないからね!?」

店員「そういう店じゃないからね、ここは!」

【臆病系女子】


〈ショッピングモール〉服屋

厄神「これなんかどうかな!」

紗希「なんであんたが私の下着を選んでるのよ!」

厄神「だって暇なんだもの」

紗希「てか私はAじゃないわよ!」

厄神「え、だって胸無いじゃん…」

紗希「これでもBあるわよ!」ウワーン


???「…」ジー

〈フードコート〉


紗希「おいしいわね、このクレープ」モグモグ

華「神様って豊満な人多いの?」モグモグ

厄神「聞く限りは多いよー」

紗希「でもイワナガヒメは醜いと言われたわね、ニニギに」

厄神「相当ブサイクなんじゃない?」

華「祟られちゃうよ!?」

厄神「まぁ見たことないからなんとも言えないけどね」

紗希「アメさんは綺麗な人だよねー」



〈芸能の神社〉


アメノウズメ「え?」ピコーン

亜樹「どうかしたんですか?」ソウジチュウ

アメノウズメ「い、いや…どこかで噂されてる気がしてね…」キョロキョロ

亜樹「は、はぁ…」



〈ショッピングモール〉


厄神「というよかはエロいよね」

紗希「まぁ半裸で踊ってたしね」

華「すごい度胸だね」

紗希「本人がどう思ってるのか知らないけど」



〈芸能の神社〉


アメノウズメ「ハックション!」

亜樹「大丈夫ですか?」

アメノウズメ「う、うむ。…今日はもう帰ると良いアッキー」

亜樹「は、はい…」

アメノウズメ「いつも掃除してくれてありがとう!感謝しとるぞ!」

アメノウズメ「(むむ…なんか黒歴史を掘り起こされた気分だ…)」



〈ショッピングモール〉書店


紗希「あ、実さんの本だ」

厄神「本書いてたの!?」

紗希「一応有名な人だからね」

コソコソ

厄神「…!ねぇ、サキちゃん」チョイチョイ

紗希「へ?」

厄神「こっち来て」

紗希「え、えぇ…」

???「え」

紗希「え?」

厄神「君見えてるんでしょ?僕の事が」

???「え、えぇ!?」

紗希「見えてるの?(威圧)」ニッコリ

???「え…え…」プルプル

厄神「どうやら君を消さないといけないようだな…」ニッコリ

華「なに悪ふざけしてんのふたりとも」



小早川遼「…小早川遼といいます…」ションボリ

華「アッキーのお姉さん!?」ガビーン

厄神「こりゃたまげたなぁ…」

紗希「なんでこっちを見ていたの?」

遼「…その…なんか服屋でかっこいい人がいるなぁって思って…」

厄神「いやぁ、それほどでもぉ」デレデレ

遼「でも途中で人じゃないなぁと思って…」

厄神「気づかれちゃったか」

遼「あれ、これって亜樹の言っていた幽霊もどきなんじゃないかって…」

厄神「幽霊もどきて」

遼「それでちょっと観察したくなっちゃって…」

紗希「いやぁ、言えばいいのにー」

遼「その、もし人違いだったらどうしようかと…」

華「でもアッキーのお姉ちゃんとは思えないや」

遼「…よく言われます」

厄神「アッキーはもっとクールだからね」

紗希「◯◯大学?」

遼「そうですが…」

紗希「同じ大学だった!?」

厄神「でも会ったことあるけ…」

遼「キャンパスが多分違うので…」

厄神「なるへそ」

紗希「友だちになろう!」

遼「え!?」

紗希「せっかく会えたんだから!」

遼「えぇ!?」

厄神「見える人なんて珍しいからね」

華「姉妹そろってみえるんだねえ…」

遼「で、では…」

紗希「やったー!」

厄神「友達の増やし方強引だね」

華「まぁこのぐらいがいいんじゃないかな」


小早川遼が友だちになった!デデデデーン

【厄神のお宅訪問】


〈小早川宅〉

遼「…というわけなの」

亜樹「もう運命なんじゃないかな、それ…」モグモグ

小早川美沙子(母)「新しい友達、大事にするのよ!」

遼「わかった…」モグモグ

小早川威夫(父)「俺にもみえるのかな…」モグモグ

亜樹「見えるんじゃないかな」

厄神「さて、どうだろうねぇ」

威夫「…えぇ!?」

遼「うわー!?」ドンガラガッシャーン

亜樹「なんでここに」

美沙子「…え、なんなの。何が見えているの?」

威夫「み、見えないのか…?」

美沙子「え?ここになにかいるの?」

厄神「どうやら全く見えてないみたいだねぇ…」




美沙子「なんで私だけ見えないのか納得行かないわ」

亜樹「霊感とか信じる力が足りないんじゃないかな」

美沙子「鍛えようか…」

遼「見える必要はないと思うよ?」

威夫「さて、どんな災いをくれるんだい?」

厄神「欲しいの?」

威夫「度胸試しだ!」

厄神「えーいっ!」

威夫「…!」

威夫「もうこんな家出て行く」

一同「えぇ!?」


威夫「うるせぇ、じゃあな」

厄神「これはまずいこれはまずい!」ピチューン

威夫「…あれ?俺、なんかされたけ…?」

亜樹「…何事?」

厄神「性格を反対にした」

遼「いつもの性格の反対…?」

厄神「なんか家庭崩壊を招きそうだったから急いでやめたよ…」

亜樹「やさしいのね」

厄神「まぁきまぐれだけどね」

遼「えぇ…」

厄神「まぁ僕の良心がひどく痛むところだったね」



威夫「うおー!美沙子ー!愛してるぞー!」

美沙子「ねぇ私全くついていけないんだけど」

【どこだってそう】


大学生F「今日も我らは神の導きとともに」ピカーン

大学生たち「すべてがFになる!」ウオオオオオ



厄神「あの人と話してみようかな」

紗希「えぇ!?」




大学生F「あぁ疲れた…」

厄神「ねぇ」

大学生F「はい?…」

大学生F「おばけだあああああああああああああああ!?」

厄神「えぇ!?」

紗希「ちょっと待って!話を聞いて!」


カクカクシカジカ

大学生F「私を助けていただきありがとうございました」ペコリ

香菜「意外と礼儀正しいのね」

大学生F「この御恩、一生忘れませぬ」

厄神「そんな気を遣わなくてもいいよ~」

紗希「なんで宗教みたいなの開いたの?」

大学生F「神の導きを頂いた気がした」

紗希「どういうこと」

大学生F「全ては人々を救うため!」



【中途半端?】


紗希「そういえば、そろそろ大会があるのね」

華「そうだよ!」

厄神「え、なんの?」

華「卓球だよ!」

厄神「ああ、そういえばやってたね」

紗希「…行く気なの?」

厄神「色んな所から人が来るんでしょ!そりゃ行くしかないでしょ!」

華「まぁわかってたけどね!」

厄神「ねぇ華ちゃん多忙すぎない?」

紗希「バイトならやめさせられたよ?」

厄神「え、なんで?」

紗希「お客さんが増えすぎてゆっくりできないからだって」

厄神「それ職務怠慢じゃない?」

紗希「厄神様が言えることじゃないでしょ」

厄神「それもそうだった♪」テヘペロ




〈大会当日〉体育館


厄神「せんせーいわれわれせんしゅいちd…

紅葉「厄神様が言ってどうすんのさ」

華「何も始まらないからね」

出雲「久しぶりの出番だ…!」キラキラ

千早「なに言ってるんですか先輩」

瑠璃「早く並ぶよ!」



厄神「だれも見えてないっぽい」

華「あてがはずれたね」

瑠璃「下手に騒がれるよりかはいいけどね…」

出雲「ねぇ先生♪」

税所「…」

厄神「なんか黙りこんじゃってるけど」

税所「こうなることは、わかってはいたのに…」

紫穂「大丈夫ですか先生?」

税所「なんとか」トオイメ

光「大丈夫じゃなさそう」

厄神「華ちゃんがんばれー!」

税所「なんでここにいるの?」

厄神「スポーツマンシップとやらを身に着けたくて…」

税所「邪魔はするなよ?」

厄神「相手に腹痛を起こさせたりとかは?」

税所「スポーツマンシップはどこに行った」




学校対抗 75校中26位

シングルス

出雲 1回戦敗退

華 準々決勝敗退

紅葉 3回戦敗退

瑠璃 準々決勝敗退

紫穂 2回戦敗退

光 1回戦敗退

千早 1回戦敗退



厄神「中途半端だね」

出雲「言わないでよ!」

瑠璃「気にしてるんだから!」

千早「華先輩と初戦で会うなんて思わなかったです…」ションボリ

華「また練習に励むだけだよ!」

厄神「先生は何か教えたりしないの?」

税所「俺卓球経験0なんだが」

厄神「そうなの!?」

税所「吹奏楽部でホルン吹いてたんだ…」

厄神「えぇ…」

税所「まぁ教師として卓球の勉強はするがな…」



〈赤松宅〉

華「負けちゃった♪」テヘペロ

紗希「まぁがんばったんでしょ、それだけで十分よ」ヨシヨシ

華「えへへー」

厄神「サキちゃんは高校の頃何してたの?」

紗希「これでも卓球やってたのよ?」

厄神「どんぐらいうまかったの?」

華「高1のとき地区大会で優勝してたよ!」

厄神「えぇ!?」

紗希「疫病神と呼ばれる前だから…」

厄神「なんかごめん」

華「ごめん」

(新キャラ?紹介)

大学生F 厄神様に助けられた?大学生。カルト宗教を開く。

小早川遼 亜樹の姉。19歳。厄神様の追っかけ?


次は地の文じゃ。



…朝。

家を出たくない。

というか布団からでたくない。


「お姉ちゃん早く起きて!」


だが現実は非常だ。亜樹がいつものように起こしに来る。

意識がいまいちないまま、私は着替えて

リビングへ向かう。


「おい、上パジャマのままだぞ」


父が笑いながら言う。私はなぜかパジャマからパジャマに着替えていた。

意味が無い。

父は山盛りの納豆を毎朝食べる。茨城県民でもないのに。

適当に朝食を済ませ、家を出た。

…家から電車で12駅。

しかしその駅まで歩かなければならない。

それさえきつい。

あぁ、瞬間移動でも使えたらなぁ…


「やってみようか?」


「うわぁ!?」


私は驚いて思わず声を上げる。

誰だろうと思い後ろに振り返った。

一瞬でわかった。


「厄神様…?」


「朝から元気なさそーだねー」ケラケラ


厄神様は笑いながらそういう。

私が元気がなさそうに見えるのは元からだ。

そういう体質なのだ。


「…な、何か御用で?」


「いやー別にー」ケラケラ


厄神様の奔放さを羨ましく思う。

自分には到底できないことだ。

…いや、自分に持っていないものを持っているから、

私は厄神様に惚れたのかもしれない。

そうやってうつつを抜かしていた。

「私と一緒にいてもなにもないよ?」


私は厄神様に聞く。


「いや、フォースを感じたんだよ!」


「…?」


私は思わず首を傾げる。

フォースってなんだろう…。


「まぁそばにいるとなんか安心するね!」ケラケラ


「…!」


え?
そ、それはプロポーズなの?

いや、それはただの自意識過剰だ…。きっとそうだ。

でも、嬉しいな…


私は厄神様を連れて、

13駅先の大学へ向かう。



駅前では友人の長谷川双葉が待っていた。


「おはよー遼ちゃん!」


「…おはよー」


私はいつものトーンで答える。


「今日違うキャンパスの近くの駅で事故が起きてあっちのほうの路線は止まってるんだってー」

情報通の双葉ちゃんが毎朝なにかしらの情報をくれる。

運行情報を見ればわかるんだけどね。

…だがその事故の原因になにか心当たりがある気がする。

気のせいだったらいいなと思う。

気のせいだろう、多分。

自分に言い聞かせた。


「そこの君!」


厄神様がハイテンションで双葉ちゃんに問いかける。

だが見えていないようだ。



いつものように大学で講義を受ける。

厄神様が先生のカツラを飛ばした時は

思わず笑ってしまった。

結局誰も厄神様に気づかないまま

私たちは帰途についた。



厄神様がつぶやく。


「あちゃー雨が降ってるねー」


大学から駅に向かう途中、雨が降り始めた。

小ぶりだったら走っていこうかとも思ったが、

どうやら大雨になりそうだ。

朝の天気予報ではなにもなかったのに…今日は運が悪かったようだ。



私は傘を買うため近くのコンビニへ向かう。

そこには双葉ちゃんがいた。


「遼ちゃんも傘を買いに来たの?」


「うん」


双葉ちゃんもやはり傘を買いに来たようだ。

私は傘を手に取り、会計へ向かった。



「手を上げろ!」



…へ?

店内に怒号が響く。

店内にいたお客さんは怯え、

店員は慌てている。

…強盗?


「(厄神様が呼んだの?)」


私は厄神様にこっそりつぶやく。


「(多少は影響しているかもしれない)」


厄神様が苦笑いしながら言う。

どうしよう。

強盗はナイフを店員に突き付け、金をよこせという。



「警察だ!」


どうやら非番の警察官のようだ。

…運が悪い強盗。

そう思っていた。


ドスッ


「う…ぐ…」バタン

警官が倒れた。

強盗が警察官を刺したのだ。…そこ、負けちゃう…?

店内には悲鳴が響き、警官はもがき苦しんでいる。

私は警官のもとに駆け寄った。



「だ、大丈夫ですか!?」


「うぅ…」


警官の腹部からは多量の血が流れ出ている。

素人でもわかる。このままでは死んでしまう。

とにかく私は着ていた上着を警官の腹部に押しあてた。

正直、止血の仕方なんてわからない。



「ヘヘヘ…お前ら全員殺してやる!」


警官を刺したことで気が動転した強盗は全員を殺すと宣言。

店内の全員が慌てふためいている。

あぁ、私は今日死んでしまうのか。

私は死を覚悟していた。


「これでもくらえ!」ピコーン


厄神様がなにか叫んだ。


「…!うぐぁっ!!??」


強盗が苦しみながら倒れる。

床でジタバタと悶え苦しんでいる。

店内ではまたも悲鳴が上がる。



「な、なんなの?」


私は厄神様に聞いた。


「ちょっと災いを与えたんだよ♪」


ちょっとどころじゃない気がする。


「この場合は…心筋梗塞かな?」


「…この人、どうなるの?」


「放っておけば死ぬんじゃないかな?」


「し、死んじゃうの?だったら助けないt「助ける気かい?」


厄神様が言う。



「…ここでその人を助けて、皆にメリットがあるかい?」


「で、でも…!」


「その人が刑務所を出て、また同じことを繰り返したらどうなる?」


「…!」


「…僕は極端かもしれない。そして偽善者かもしれない」


「人を助けることはいいことだよ。だけど、それが全員に通用するのかい?」


「…君の正義はなんだい?」


「…」

…そんなこと、考えたことなんかない。

いつもなんとなくで決めているから。

この強盗を生かしたらどうなる?

また同じことを繰り返す?それとも更生する?

日々非難を受けることになるであろう彼はどう思う?

彼の親族はどうなる?

犯罪者は絶対悪?…

私は混乱していた。

今まで一度も考えたことがないことをいっぺんに考えているから。

そうしている間に、強盗は静かになった。

…死んでしまったのだろうか。

誰も、強盗を助けようとしなかった。


…これで、良かったんだ。

これが、正義なんだ。

私は自分にそう言い聞かせた。

一時して救急車と警察が駆けつけてきた。

刺された警官はまだ意識が有り、すぐに救急車で運ばれていった。

私たちは聴取に応えた。


「大丈夫だった!?」


向かい側の商品棚にいた双葉ちゃんが聞いてきた。


「大丈夫だったよ…」


「誰かと話してたみたいだけど、誰と話してたの?」


…どうやら、厄神様との会話を聞かれていたようだ。


「?誰とも話してないよ?」


「あ、そう、そうなの…」


厄神様のことを話しても、

とても信じてもらえる気がしない。

そういえば、厄神様がいなくなった。

もう、帰っちゃったのかな…?



「遼おおおおおおおお!大丈夫かあああああああああああ」


聞き慣れた声がする。

駅の方から父がすごい勢いで走ってくる。


「あああああああああ遼おおおおおおおおおおおおおお」


ドンガラガッシャーン


私が避けると、父はゴミ箱に勢い良くぶつかった。

さすがにあの勢いを受け止められる元気はない。


「遼…遼…」ゼェゼェ


「いやー呼んだ甲斐があったよ」ケラケラ


厄神様が現れた。

「厄神様が呼んだの?」


「職場が近いっぽいからすぐに知らせたよ!」


「そしたらこうなったよ!」ケラケラ


…まぁ父が私を心配してくれるのは嬉しかった。

だが街中であんなに名前を呼ばれるのは恥ずかしかった。


「エネルギッシュなお父さんだね…」


双葉ちゃんが引きつった笑顔で言う。無理もない。

父は起き上がると言った。


「とにかくお前が無事でよかった!」


「…ありがとう」


後のニュースで、刺された警官が一命を取り留めたことがわかった。

急所は免れていたらしい。

母と亜樹まで泣きながら家で出迎えていた。

嬉しいけど、なんか恥ずかしかった。



数日後



プルルル



玄関にある電話がなる。

いつものように母が応対する。


「ねぇ遼!感謝状だって!」


「…え?」




私たちは警察署へ向かった。

…どうやらあの時刺された警官を助けたことらしい。

そういえば上着も預けていたままだった。


「おめでとう、遼!」ウルウル


父が泣きながら頭を撫でる。

相変わらず情熱的というか、エネルギッシュな父だ。


「おめでとう、お姉ちゃん!」


「親として誇らしいわ」ウルウル


…嬉しいけど、嬉しくない。

そんな複雑な今日このごろ。

恥ずかしい、恥ずかしいよ…

【殺意はなかったと供述しており…】


ニュース〉本日午後5時頃、〇〇市△△駅の近くのコンビニに強盗が入り…



紗希「…ねぇ」

厄神「なーにー?」モグモグ

紗希「今日あそこ行ってたんでしょ?」

厄神「なんで知ってるの!?」

紗希「遼ちゃんから教えてもらったのよ…」

厄神「いやはや申し訳ないことしちゃったな」テヘペロ

厄神「でも強盗が入ったことは予測してなかったんだよ!?」

紗希「…その強盗が死んだことは?」

厄神「僕のせいです」

紗希「やっぱり」

厄神「だって皆殺すとか言い始めたからね、僕も慌てたよ」

紗希「しょうがない…?」

厄神「…それは人それぞれさ」


【り地獄】


〈芸能神社〉


遼「…」

アメノウズメ「ほうほう、アッキーの姉か!話には聞いていたぞ!」

遼「は、はぁ…」

アメノウズメ「なんかアッキーの姉とは思えぬのう」

遼「…よく言われます」

アメノウズメ「一緒に踊らぬか?」

遼「け、結構です」

アメノウズメ「むむむ…」

遼「…」ボー

アメノウズメ「…」


アメノウズメ「しりとりをしよう!」

遼「は、はい…」

アメノウズメ「しりとり!」

遼「り、りんり!」

アメノウズメ「りそう!」

遼「うり!」

アメノウズメ「り!?り…りす!」

遼「すり!」

アメノウズメ「またり!?り…りんす!」

遼「すいり!」

アメノウズメ「えぇ!?り…りんかんがっこう!」

遼「うかんむり!」

アメノウズメ「えぇ!?」

遼「…」キラキラ

アメノウズメ「え…り…?」

亜樹「うまくいったのでしょうか…」

紗希「しりとり強いのね」

亜樹「一人でしりとりしてたらしくて…」

紗希「悲しすぎる」

厄神「恐怖の「り」攻めだね」

亜樹「本人はほめられることじゃないとは言ってるけど…」


アメノウズメ「り、りきし!」

遼「したどり!」

アメノウズメ「む、むぅ…りくつ!」

遼「つかみどり!」

アメノウズメ「も、もう「り」は嫌じゃー!」ダッシュ

遼「え、えぇ!?」

【タケハヅチの一日】

タケハヅチ「…」カタカタ

ワイワイガヤガヤ

タケハヅチ「…」カタカタ

ワイワイガヤガヤ

タケハヅチ「…」カタカタ

厄神「すごく暇そうだね」

タケハヅチ「放っておいてください(怒)」

【神様のラブコメ】


〈大学〉

赤江「神様のラブコメも有りかもしれない」

紗希「何言ってんですか先生」

厄神「まぁ色恋沙汰ばっかりだけどね」

正一「そういうエロ漫画も有り…?」

篤史「なんか罰当たりだな」

心春「アメさんに怒られそうだよ」

正一「まぁ店頭に置かれてても気が引けるな」

香菜「そういうカップリングを考えるのもいいかもね」

紗希「いろんな派閥が生まれそうで怖い」




赤江「神話自体がラブコメみたいなところあるけどね」

香菜「どこが一番熱い?」

紗希「国産みかな」

篤史「山幸彦と海幸彦だな」

正一「天岩戸」

心春「黄泉の国編!」

香菜「私は国譲りかな…」

厄神「僕は天孫降臨!」

赤江「見事にバラバラだねぇ」

紗希「先生は?」

赤江「アダムとイブかな」

香菜「ちょっと待てや」

【成仏する気はさらさらない】

〈駅〉

お化けたち「姐さんチィーッス!」


紗希「…なんか増えてない?」

厄神「別の線で起こした人身事故の霊が結局こっちに来るんだよね」

紗希「ほんとたまり場なのね、ここ」ハァ

お化けA「おい!この新入り首がねぇぞ!」

お化けB「やべぇ!初めて見た!」

お化けC「やべぇ!このお化け超美人!?」

お化けD「えーお前◯中出身?おれ△中なんだ~」

紗希「…もう楽しんでいるのね」

厄神「なんでお化けやってんのかがわからないね」

紗希「…これも厄神様が呼んだ災い?」

厄神「まぁそうなるね」

紗希「まぁ下手に襲い掛かってくるよりかはましだわ」

【神主はもう疲れた】

〈神社〉

神主「…」ボー

ココガウワサノ…
オレニワザワイハクルノカ…?

神主「…」ズズ…

遼「…」キョロキョロ

神主「…」ボー

遼「…!す、すいません!」

神主「え、えぇ!?」

遼「あ、ああすいません!」

神主「え、ああ、申し訳ありません、大丈夫ですかな」

遼「え、ええと、その…」

神主「何か御用ですかな?」

遼「ここは厄神様を祀る神社ですよね?」

神主「…!なぜそれを…」

遼「そ、そのカクカクシカジカでして…」

神主「あ、ああサキちゃんの友達ですか」

遼「その、厄神様について知りたいなぁって思って…」

神主「見えるのなら本人に聞くほうが早いのでは…」

遼「…恥ずかしくて…」

神主「はぁ、でもこの神社には厄神様についての文献はないのですよ…」

遼「…そうですか」

神主「学者の方もご存じなかったので…」

遼「…すいません、急に押しかけてきて」

神主「いやいや、力になれなくて申し訳ない」

遼「では、失礼します…」



神主「…」

【突然の告白】

遼「…」テクテク

紗希「あれ、遼ちゃん?」

遼「…へ?」

紗希「こっちになんか用があったの?」

遼「そ、その…神社の神主さんに厄神様のことを聞こうと…」

紗希「…?厄神様に聞いたほうが早いんじゃ?」

遼「そ、そうなんですけど…」

紗希「…!」ピコーン

紗希「ねぇ!家来ない?」

遼「へ?」

紗希「今家に厄神様いるよ!」

遼「い、いや…でも…」

厄神「まぁここにいるんだけどね」

遼「…え」

紗希「いたの!?」

厄神「フォースを感じて」

紗希「え、ってことは…」

遼「…?」

厄神「サキちゃんもだいぶ汚染されてきたね」ニッコリ

ブロロロ…

厄神「まず車がやってきます」

紗希「うん」

キャンキャン!

厄神「すると子犬が飛び出してきます」

遼「た、助けないと!」ダッシュ

紗希「え、遼ちゃん!?」

キキー!

厄神「車は急ブレーキに成功。犬も助かります」

遼「へ?」ピョーン

紗希「遼ちゃーん!」

ビターン

厄神「遼ちゃんが一人でこけます」

紗希「大丈夫!?」




〈赤松宅〉

遼「(結局来る羽目になった…)」ウルウル

紗希「だ、大丈夫?」

遼「だ、大丈夫なので…」

紗希「それより、厄神様に聞きたいことがあるんでしょ!」

遼「え、ええと、その…」

厄神「え、僕に?」

遼「…その…好きな女性のタイプは何ですか!」

紗希・厄神「…うん?」

遼「…///」




厄神「(これってそういうこと?)」

紗希「(まぁ最初にかっこいいって言ってたけどね)」

厄神「(社交辞令かと思ってた)」

紗希「(で、どうすんの?)」

厄神「(まぁがんばるよ!)」




厄神「えっとね…」

遼「は、はい…」

厄神「君みたいな子がタイプだよ!」

紗希・遼「えぇ!?」

厄神「…」ニコニコ

遼「きょ、今日はもう失礼します!ありがとうございましたー!」ダッシュ

紗希「え、えぇ!?」

厄神「…うん?」

厄神「これどうなるんだろう」

紗希「あれって告白に近いんじゃ…」

厄神「まぁそうなっちゃうね」テヘペロ

紗希「…厄神様は付き合う気があるの?」

厄神「…どうだろうね」

紗希「遼ちゃんに謝りなさい」

厄神「えぇー…」



紗希「厄神様と人間って結婚できるの?」

厄神「僕戸籍持ってないし」

紗希「それもそうね」

厄神「まぁ神様側からすれば問題はないけどね」

紗希「…子どもは神様になるの?」

厄神「僕の力を受け継げばね」

紗希「じゃあ国津神…?」

厄神「まぁそうなるよね」

【アメノウズメは気分が高揚している】

正一「こうですか!」ブンブン

アメノウズメ「違う!こうじゃ!」ブンブン

正一「こうですか!」ブンブン

アメノウズメ「そうじゃ!よくやった!」

正一「次はステップダンスで!」



亜樹「(誰かいる)」

亜樹「(あの人も見えてるのかな…)」

亜樹「(でもなんか近づきたくないな…)」



遼「アメさーん!しりとりしよー!」

アメノウズメ「もういやじゃー!」ダッシュ

遼「えぇ…」

【寒い時期になりました】


〈大学〉

紗希「寒い」ブルブル

香菜「いきなり冬が来るねー」ハハ

紗希「…厄神様は寒くないの?」

厄神「そういうのは感じないから大丈夫だよ!」

広志「便利なものだな」

正一「アメさんが暖かさを求めているかも…!」

心春「何いってんの変態」

赤江「今年は秋が異様に長かった気がする」

紗希「去年が短すぎたんですけどね」



赤江「実はこんなものがあってな」ゴトン

天叢雲剣

紗希「…なんでこんなものが」

赤江「いや、これは模型ではあるが…」

赤江「厄神様を憑依させたらどうなるかなぁって」

心春「できるの?」

厄神「やってみよう!」シュンシュン

天叢雲〉ゴトゴトン!ゴトトン!

篤史「めちゃくちゃ喋りたそうにしているが」

香菜「…これに御札貼れば封印できる?」

正一「え」

厄神「祟るよ?」ニコ

香菜「やっぱだめか」ハァ

厄神「いやーしゃべれないのはきついね」

厄神「まぁもう一回!」シュンシュン




赤江「…見た感じ、なにも変わらないな」

紗希「どういう力を持つんだろう…」

香菜「触る気になれない」

広志「…」ゴトン

正一「おお!?」

広志「…触っても何も感じないな」

心春「振ってみたら?」

広志「…」ブンッ

バチバチッ


紗希「え」

赤江「停電した!?」

香菜「振っただけで!?」

広志「やばいなこれ…」

正一「まったくだな」

ピカッ

紗希「あ、電気戻った」

厄神「いやーこうなるんだね」ケラケラ

広志「笑い事じゃない気がするが」

心春「停電したのここだけ?」

厄神「ここら一帯だね」

赤江「そんなに!?」

正一「何人かはレポートを保存できなかっただろうな」

紗希「さすが災いを起こす神…」

【ロックF財団】


大学生F「いまだ世界で綺麗な水を飲めない人がいる」ピカーン

大学生たち「我々工学部の総力を上げて簡易ろ過装置を開発します!」

大学生F「神は言っている、皆で助け合えと」ピカーン

大学生たち「情けは人のためならず!」

大学生F「我はここにF財団を立ち上げる!」ピカーン

大学生たち「すべてが!Fになる!」




厄神「こうなるとは思ってなかった」

紗希「大学全体に浸透してきたわね」

厄神「あの人は素質があるかもしれない!」

紗希「なんの?」

厄神「現人神!」

紗希「えぇ…」


【お昼休みはもちもちウォッチング】


厄神「もちってさ」

紗希「うん」

厄神「もちもちしてるじゃん?」

紗希「うん」

厄神「おっ昼休みはモチモチウォッチング♪」

   「あっちもち♪そっちもち♪いいもち♪」
 
紗希「くだらない」

厄神「えぇ!?」

紗希「何を考えたらそうなったの?」

厄神「神主さんがもちをくれたから…」

紗希「まだ面白さが足りない!」

厄神「えぇ…」

【インド5弱】

〈高校〉

亜樹「憑依されるとか怖いわ」

紅葉「得体のしれない幽霊とかに憑かれるよりかはましだけどね」

桃「どっちもどっちだけどね」

厄神「まぁ疲れるからあまりしないけどね」

華「ここらへんでお厄とれるの?」

厄神「取れるっちゃ取れるけど紗希ちゃんには敵わない」

篤史「そんなすごいのかその人は」

将「まぁ噂にはなってたからな」

厄神「ちなみに今日はなんかすごいことが起きるかも!」

華「へ?」

厄神「なんかすごい厄を吸っちゃった♪」テヘペロ

桃「どうなるの?」

厄神「吐いてみたけど何もないね!」

紅葉「吐き出したの!?」

亜樹「…なんともないわね」

厄神「時間差攻撃かもしれない!」

〈授業中〉

校内放送〉ヒナンクンレン、ヒナンクンレン、ジシンガハッセイ…

グラグラ…

亜樹「え、揺れてるんだけど」

華「リアルな避難訓練だね!」

紅葉「そういうことじゃないよ!?」

篤史「まじで地震かよ!?」


キャーウワー



税所「…あんたか」

厄神「多分そうです」

税所「誰も避難訓練のときに地震が来るとは思っていなかったからな」

厄神「すいません」

税所「まぁいい教育になったと思えばいいが…」

税所「震度5弱だぞ!?」

税所「割りと強いぞ!?」

税所「強すぎるだろ!?」

厄神「いや、僕だってこれはわからないですよ!」

税所「ここが震源地になってるんだぞ!?」

厄神「えぇ…」

税所「…厄神様にこんな力があるとは思わなかった」

【あまりにも早過ぎるクリスマスネタ】

華「メリークリスマス!」

亜樹「早くない?」

紅葉「まぁクリスマスは冬休みだからね!」

桃「どこか行く?」

亜樹「クリスマスに予定がない私達…」

紅葉「誰も彼氏がいない!?」

桃「そういえばそうだね」

華「今年も爆発できなかったねぇ…」

亜樹「告られても基本叩き切るからね」

篤史「それを俺らの前で話すか?」

桃「それもそうだね」

将「俺らじゃダメなのー?」

亜樹「変態は勘弁」

将「えー」

篤史「友達以上恋人未満?」

華「そういうこと♪」

亜樹「で、どこいくの?」

紅葉「さすがにクリスマスは人が多いんじゃないかな?」

篤史「じゃあ22日あたりか」

桃「ショッピングモールに行かない?」

華「買い物もできるし、ご飯も食べれるしいいね!」

亜樹「じゃあ朝の10時ぐらいにどこかの駅に集まりましょう」

イエーイ!

【お化けたちはサンタコス】



〈高校近くの駅〉

篤史「現地集合でも良かったんだけどな」

亜樹「迷子になりそうなのが約一名」

紅葉「私のことだね!」

華「誇らないの!」


ガタンゴトン


マモナク〇〇エキ、〇〇エキ

お化けA「おい華ちゃんだぞ」

お化けたち「おーい華ちゃーん!」ワー

華「やっほ~♪」

マモナクハッシャイタシマス

お化けたち「メリークリスマあああああああ…」



亜樹「…なにあれ」

華「お化けさんたちだよ?」

亜樹「いやそういうことじゃなくて」


紅葉「ねぇ」

桃「何かいたの?」

篤史「…幽霊が手ふってた」

将「一体なんだってんだ」

【来ちゃった♪】


〈ショッピングモール〉

タダイマクリスマスセール


亜樹「…なにこの人形」

紅葉「…遮光器土偶ってやつだね」

華「サンタさんの服を着ててかわいいね!」キラキラ

亜樹「…よくわからないわ」



篤史「先に飯食うか」

華「皆何が食べたいの?」

亜樹「ケーキ」

紅葉「ラーメン!」

将「肉!」

桃「アイス!」

篤史「見事にバラバラだった」

華「こうなったらバイキングに行こう!」

〈バイキング〉

将「焼き肉だアアアアアア」ジュー

紅葉「ラーメンだあああああああ」

亜樹「少しは静かにしなさい」

厄神「全くだね!」



一同「え?」

厄神「え?」

亜樹「いつからいたの!?」

厄神「駅でお化けさんたちと遊んでたら君らがいたから着いて来ちゃった♪」

華「お肉食べる?」

厄神「つくねで!」

篤史「つくねないな、この店」

厄神「えぇー」

【実体験】

紅葉「まずラーメンを作ります」

華「うん」

紅葉「そしてお肉を入れます」

華「うん」

紅葉「上にソフトクリームを乗せます」

華「ちょっとストップ!」

紅葉「仕上げにチョコをかけて完成!」

華「デザートなの!?」

紅葉「デザートだよ?」ズズー

華「…おいしいの?」

紅葉「まずいよ?」ズズー

華「なんで食べてんの!?」

紅葉「この不味さが癖になるんだよ!」



厄神「たくさん食べたね!」

将「動くのが辛い」

桃「なんか眠いや」

紅葉「吐きそう」

亜樹「いや紅葉はあのラーメン食べたからでしょ」

篤史「次は買い物だな」

華「それぞれで分かれよう!」

【サンタ】

〈服屋〉

亜樹「メイド服なんて売ってるのね」

華「私持ってるよー」

紅葉「なんで!?」

華「役に立つかなーって思って」

桃「使う時があるのかな…」





将「クリスマスと言えばなんだ!」

篤史「サンタ?」

将「なんでだよ!?」

篤史「え、サンタじゃねえの?」

将「クリスマスと言えば聖夜だろう!そして性夜だ!」

篤史「とにかくそれを大声で言うのはやめようか」

将「厄神様はどう思うの!?」

厄神「クリスマスと言えばサンタじゃない?」

将「えぇ!?」


【黒潮に乗って】


厄神「あ、やべ」

亜樹「何!?」

厄神「フォースを感じるぞ…!」

紅葉「どういうこと?」

華「災いが来るんだよ!」

桃「えぇ!?」



〈鮮魚売り場〉

ハマチ?「あああああああああああああ」プルプル

マダイ?「あああああああああああああ」プルプル

マグロ?「あああああああああああああ」プルプル

カツオ?「あああああああああああああ」プルプル

亜樹「…」

篤史「…なんだこれ」

華「どこかでみたような気がするなー」

厄神「助けてしんぜよう!」ピコーン

ボンッ

ワタツミ「おん?」

ウワツツノオ「ぬぬ?」

ナカツツノオ「ここは?」

ソコツツノオ「またお前か」

華「こっちのセリフー!」

厄神「また遊んでた感じ?」

住吉三神「そうだな!」

篤史「…誰だ」

紅葉「ワタツミはわかるけど…」

桃「魚の切り身て…」



ワタツミ「助けていただいた事感謝する!」

ワタツミ「わが宮殿にこないか?」

一同「結構です」

ワタツミ「えー」ガーン

住吉三神「ではさらばだ!」

【全ては不可抗力】


〈出口〉

華「さて、買うものは買ったね!」

亜樹「…紅葉がいない」

篤史「まじか」

華「あちゃー」

桃「まただねー」

将「探すか」

厄神「頻繁に迷子になるの?」

亜樹「前の修学旅行、間違えて別のバスに乗っていったことがあったわ」

華「右!って言ったら左に行っちゃうからね」

厄神「そりゃ重症だね」

篤史「方向音痴だからな」

厄神「僕が連れてこよう!」

華「任せたよ!」

亜樹「…まぁ下手に散らばるよりかはいいかな」



〈食品売り場〉

紅葉「だめだ、どう行っても食品売り場にたどり着く」

紅葉「携帯の充電も切れちゃったし…」

紅葉「じっとしておこ…」ハァ

フゥ

紅葉「ひゃあ!?」ビクン

厄神「やぁ、探したよー」

紅葉「びっくりするじゃん!」

厄神「さぁ帰ろうか」ハハ



厄神「…あれ、ここどこだろう」

紅葉「…へ?」



桃「そういえばさ」

華「うん」

桃「厄神様って道わかるのかな?」

華「…あ」

亜樹「え」

華「わかるのかな…」

篤史「まじか」

将「じゃあ探しに行くか…」



厄神「どうしようか」

紅葉「厄神様って探知機能とかないの?」

厄神「災いしか感じないね」

紅葉「うーん…」

厄神「フォースを感じるぞ…!」

紅葉「へ?」

厄神「行くよ!」

紅葉「えぇ!?ちょっと!?」




篤史「考えたんだ」

桃「うん」

篤史「災いを起こせば厄神様は気づくんじゃないかって」

桃「うん」

篤史「だからこけてみたんだ」

桃「うん」

篤史「厄神様が来ただろう?」

桃「うん」

篤史「紅葉も見つかっただろう?」

桃「でも私の胸触ったよね?」

篤史「不可抗力です」

桃「ほんとに?」

篤史「ほんとごめん」

桃「アイス買って」

篤史「え?」

桃「アイス!」

篤史「はい」




厄神「頭がイイね!」

亜樹「ああなったけどね」

厄神「なんてったて災いだからね!」

【限りなく無に等しい】



桃「~♪」モグモグ

篤史「…」

将「大丈夫さ、篤史…」ポンポン

将「(で、どうだった?)」

篤史「(なかった)」

桃「聞こえてるよ!」バシーン

篤史「ウガァ!」ドターン

将「篤史ー!?」

【大学レボリューション】


〈大学〉

香菜「メリクリ?」

紗希「あまりにも早過ぎるけどまぁそうなるかな」

広志「だれだ大学をデコった奴は」

正一「広場にでかいクリスマスツリーがあるな」

心春「サンタコスの人までいるけど」

赤江「そんなわけでケーキ食うぞ!」



〈食堂〉

紗希「あのさ」

厄神「ん?」モグモグ

紗希「厄神様ってクリスマス祝っていいの?」

厄神「なんで?」

紗希「だって宗教違うし…」

厄神「クリスマスを祝って、除夜の鐘聞いて、初詣行くぐらいの国ならいいでしょ」モグモグ

紗希「それもそうね」

厄神「多分高天原でもパーティしているだろうし」

香菜「イベントが有るのね」

厄神「暇だろうからね」モグモグ

〈高天原〉

アマテラス「クリスマスじゃ!」

オモイカネ「サンタコスじゃ!」サンタ

タケミカヅチ「…」トナカイ

タケミナカタ「wwwwww」

タケミカヅチ「…」バシーン

タケミナカタ「うげぇっ!」ドターン



心春「…て感じ?」

正一「タケミナカタが可哀想だろ」

広志「だが神様が高天原に集まると神無月になるんじゃ…」

厄神「別に皆行くわけじゃないし、分霊置いとけばいいんだよ!」




〈鹿島神宮〉

タケハヅチ「…」カタカタ

タケハヅチ「(…タケミカヅチ様…私はいつまでも待っております…)」カタカタ

タケハヅチ「(クリスマスしたい…)」カタカタ

【タケハヅチは使用神】


〈芸能の神社〉

遼「…」

アメノウズメ「メリー・クリスマスなのじゃ!」

遼「…サンタの服似合ってますよ」

アメノウズメ「そうかそうか!」

遼「…作ったんですか?」

アメノウズメ「タケハヅチに作らせたのじゃ!」

遼「は、はぁ…」



紗希「あれ、遼ちゃん?」

遼「…へ?」

香菜「?」

正一「やべぇ超かわいいじゃん!ねぇお茶いかない?」

広志「少しは自制しろ」ドゴォン

正一「ふがぁっ!」ドターン

遼「…?」

紗希「あぁ、大学の友だち」

遼「や、厄神様は…」

厄神「いるよ?」

遼「!~/////」ダッシュ

厄神「あ」

香菜「なんか逃げちゃったけど」

紗希「…」

厄神「…どうすればいいんだろうなぁ」

紗希「もう責任取りなさい」

厄神「え!?」

紗希「嫌だったら話してきなさい!」

厄神「いや、もう行っちゃったし…」

紗希「あんた前家に行ったんでしょ!」

厄神「…わかったー」



心春「…どゆこと?」

カクカクシカジカシカウイムーヴ

広志「それは厄神様が悪い」

正一「変わった子だな」

香菜「どうすんだろう」

紗希「…さぁ?」



アメノウズメ「今日はよく来てくれた!」

アメノウズメ「今日はクリスマスじゃからな、スペシャルゲストを呼んだのじゃ!」

アメノウズメAが現れた!

アメノウズメBが現れた!

アメノウズメCが現れた!

アメノウズメDが現れた!

アメノウズメEが現れた!

アメノウズメFが現れた!

住吉三神が現れた!

紗希「住吉さん!?」

ソコツツノオ「今日は俺らのライブに来てくれてありがとう!」

ナカツツノオ「今日は俺らがボーカルだ!」

ウワツツノオ「それじゃあいくぜ…!」



住吉三神「戦場のメリークリ◯マス!」



紗希「いや歌えよ!?」ガビーン

【厄神の決心】

〈小早川宅〉

遼「…」インベッド

遼「(…逃げて来ちゃった)」ハァ

遼「(厄神様とお話したいのに…)」

遼「(でも…とても恥ずかしくて顔を合わせられない)」

遼「はぁ…」

厄神「…」ソ~

亜樹「あれ、厄神様?」

厄神「シー!」

亜樹「(へ?)」

厄神「(ちょっと遼ちゃんとお話したいんだ)」

亜樹「(お姉ちゃんなら部屋にいるよ?)」

厄神「(覗かないでね?)」

亜樹「(う、うん…)」



遼「…」ゴロゴロ

厄神「やぁ」

遼「!!??」ドンガラガッシャーン

厄神「だ、大丈夫かい?」

遼「な、なんでここに!?」

厄神「いや、前にも来たじゃん」

遼「あ、そうだった…」

厄神「…話したいことがあるんだ」

遼「…へ?」

厄神「…君は、僕の事が好きかい?」

遼「…えぇ!?」

厄神「…前、紗希ちゃんの家で僕は君のような子がタイプって言ったよね?」

遼「(…やっぱり嘘だったのかな)」

厄神「あれは本当のことを言ったんだ」

遼「…へ?」

厄神「…一目惚れだったんだよ」

遼「えぇ!?」

厄神「…君は、どこか懐かしい気がするんだ」

遼「…へ?」

厄神「…僕の記憶に無い、だけどどこか強く感じる」

厄神「君といると、安心するんだ」

厄神「僕はそういう人と結婚しろと高天原で教えられた」

厄神「僕は厄を運び、転換する神」

厄神「…君のも少なからず災いが降りかかるはずだ」

厄神「それでも、僕のことが好きかい?」

遼「…」

厄神「…」

遼「…私はあなたのことが好き」

遼「最初に会った時から…」

遼「あのことは嘘だと思ってた」

遼「でも嘘じゃなかった」

遼「…とても、嬉しい」

厄神「いいのかい?」

遼「…うん」



遼「…」プシュー

厄神「ううん?」

遼「…///」バタン

厄神「えぇ!?」

遼「…」グッタリ

厄神「…頭がパンクしちゃった…?」



亜樹「(…これは、一体)」

亜樹「(まずはおめでとうお姉ちゃん)」

亜樹「(でもどうなるの、これ…)」

厄神「やぁ」

亜樹「!?」

厄神「やっぱり覗いてたね」ニッコリ

亜樹「え、えと」

厄神「少し脱落してもらうね!」ピコーン

亜樹「…!」ギュルルルル

亜樹「トイレー!」ダッシュ




遼「…」ムクリ

厄神「あ、起きたかい」

遼「…夢じゃない?」

厄神「夢じゃない」

遼「…///」

厄神「ただね」

遼「…?」

厄神「一つ問題があるんだ」

厄神「君は人間のままでありたいかい?」

遼「…?」

厄神「…人間の血が強い国津神ならいいんだけど」

厄神「僕の血に人間の血は入っていない」

厄神「僕は純粋な神の子」

厄神「…人間と付き合えないんだ」

遼「…」

厄神「…ただ、こっちの食べ物を食べれば、君はこちら側に入ることになる」

厄神「でもそれは、神になる…人間をやめるということだよ」

遼「…」

厄神「君には家族がいるだろう?」

厄神「君のお父さん、そしてアッキーは僕を見ることができる」

厄神「でもお母さんは僕のことが見えない」

厄神「ということは神になった君を見ることができない」

厄神「…それに、家族とも触れ合えなくなる」

厄神「実体がなくなるからね」

遼「…」

厄神「…家族が悲しむかもしれない」

厄神「僕はそんな姿を見るのは嫌だ」

厄神「僕は君のことが好きだ」

厄神「…だけど、今は付き合うことはできない」

遼「…」ウルウル

厄神「…今は、泣いている君を抱きしめることもできない」

厄神「…」

遼「…家族のことだって好き」

遼「こんな私を支えてくれるから…!」

遼「我慢する…その時が来るまで!」

厄神「…ありがとう」

遼「…でも、そばにいるのはいいんでしょ?」

遼「…私のそばに居て」

厄神「もちろんさ!」



その夜

威夫「別にいいよ?」

厄神「えぇ!?」

威夫「悪い人には見えないからな」ガハハ

美沙子「私はどうすればいいのかしら」

亜樹「いつか見えれたらいいね…」

美沙子「まぁあの遼がそこまで熱く語るからねぇ…」

遼「…///」

美沙子「私は処分保留で」

亜樹「じゃあ私も。話がまだつかめないもの」





威夫「なぁ厄神様」

厄神「はい?」

威夫「…あいつは、心に傷がある」

威夫「あいつはいじめを受けていた」

威夫「今はもう大丈夫とは言うが、まだ傷は癒えていないだろう」

威夫「あいつの心の癒やしであってほしい」

厄神「…はい」

威夫「…もし、あいつを悲しませたりしたら」

威夫「俺は厄神様を許さない」

威夫「例え神が相手だろうがな」

厄神「…心得てます」

威夫「大切な、娘なんだ」

厄神「…必ず、幸せにします」

【まじか】

紗希「まじか」

厄神「まじです」

遼「…///」

華「おめでとう!」ワーイ



紗希「(いや私も嘘だと思ってたんだよ?)」

厄神「(いやいや、僕は事実を述べただけだったよ)」

紗希「(まさかこうなるとは思ってなかったよ!?)」

【親父】

〈赤松宅〉

ドドドドドド

実「ねぇ!」

紗希「実さんどうしたの?」

華「そんな慌てて」

厄神「珍しいね」

実「九州行かないか!」

紗希・華・厄神「へ?」

実「俺の親父は九州の大学にいるんだ」

紗希「昔聞いたことがある」

実「厄神様のことで手紙を送ってみたんだ」

華「たしか実さんのお父さんってすごい人だよね?」

紗希「学会では権威だね」

実「親父は忙しいから、すぐには無理かと思ったが…」

実「今すぐにでも来いと行ってきた」

紗希「それで私達も?」

実「久しぶりに顔が見たいらしい」

紗希「でも遠い」

実「美味しいものたくさんあるぞ?」

紗希「じゃあ行こうか!」

華「私も行く!」

実「じゃあ出発は5日後な!」

紗希「早い!?」

実「親父は忙しいんだ…」




紗希「大学の友だちもいいかな?」

実「別にいいんじゃないか?九州の神社回ってもいいだろうし」

赤松「ええよ!(LINE)」

紗希「皆行くみたい」

厄神「どうやって行くの?」

実「俺は車で行くが…そんなに人は乗せられないしな」

紗希「まぁ皆に相談してみようか」

【…上京?】

〈東京駅〉

お化けたち「姐さん!向こうに行ってもお元気で!」ワー

お化けたち「あなたのことは忘れませんよ!」ワー


香菜「なにあれ」

紗希「近所のお化けたち」

華「なんか上京するみたい」

厄神「わざわざ来てくれたんだね」



赤江「交通費は研究の一貫と言って予算をかっぱらってきた、安心しろ」

広志「なにしてんすか先生」

厄神「安心できなくない?」

正一「まぁ研究の一貫ではあるけどね」

赤江「それに向こうの大学との共同研究だからな!」ハハハ




遼「ええと、なんで私が…?」

紗希「厄神様と一緒にいたいでしょ?」

遼「そ、それはそうですけど…」

赤江「君もこちらの世界に来ればいんじゃないかな?」

遼「け、結構です…」

赤江「えぇ!?」ガビーン



亜樹「…なぜ私まで」

華「まぁ私も来ちゃってるし♪」

亜樹「まぁ旅行感覚だけどね…」

【こちらもいる】


大学生F「神は言っている、家族を大事にせよと」ピカーン

大学生F「よって我は九州へ帰る」ピカーン

大学生たち「我々もご一緒します!」

大学生F「九州各地で慈善活動を行うのだ!」ピカーン

大学生たち「すべてが!Fになる!」ウオオオオ

【来ちゃった】

香菜「なんか紗希がいるとなにかあるんじゃないかと思う」

紗希「ひどい」

厄神「まぁ僕がいる限りどうしても災いを呼んでしまうけど」

広志「怖いな」

心春「事故とか起きちゃう?」

厄神「まぁその時はフォースを感じるから」


赤江「…乗せてこなければよかったんじゃないかな」



厄神「フォースを感じるぞ…!」

紗希「え」

香菜「やばい!?」




正一「…なにも起きないぞ…?」

広志「どういうこったい」

華「どういうこと?」

厄神「いや…これは」

アメノウズメ「おお!ここにいたか!」

紗希「…え」

香菜「なぜ」

亜樹「あなたが」

遼「ここにいるの!?」

アメノウズメ「え…そなたらが九州に行くと聞いて…」

紗希「え、なんで知ってるの?」

アメノウズメ「アッキーから聞いて…」

亜樹「来るとは思わなかった」

心春「神社放っておいていいんですか?」

アメノウズメ「分霊置いとけばいいのよ」

香菜「なにその厄神様みたいな理屈」




マモナク、ハカタ‐

広志「やべ、皆起きろ!」

正一「やっと着いたか」

紗希「…はっ!起きないと!」

香菜「まぁ終点だからまだいいけど」

赤江「…」グガ‐

心春「先生ー!?」



〈博多駅〉

広志「で、どうするんですか?」

赤江「観光だな!」

正一「えぇ!?」

赤江「冗談だ。まずホテルに荷物置くぞ」



カシャンキョション

香菜「貨物列車がうるさいわね」

紗希「市街地に近いだけいいじゃない」

心春「中途半端だけどね」

厄神「今日はどうするんだい?」

赤江「今日はと言ってももう夕方だからな、用事は全部明日だ」

【親父登場】


翌日

〈ホテル〉

紗希「なんか眠れなかった」

香菜「なんか隣の部屋からいびきがすごかった」

正一「…え、おれ?」

広志「お前だな」

心春「夜は結構暗いんだね」ハァ

実「おはよーございます」

紗希「あ、実さんおはよー」

実「赤江さんお久しぶりです」ペコリ

赤江「いやいや実君のお父さんにはいつも世話になってるもので」ペコリ

紗希「もう行っていいの?」

実「まずはなぜアメノウズメがいるか説明してもらおうか」

厄神「うん?」モグモグ

アメノウズメ「え?」モグモグ

カクカクシカジカ

実「…まぁ親父も喜ぶだろう…」

実「さて、行きますか」

紗希「結局どこに行けばいいの?」

実「親父がいる大学だな」



〈大学〉

広志「この扉の向こうに…」

正一「この学会の権威がいる…!」

遼「…私にはよくわからない」

亜樹「なぜ私まで…」

赤江「ぶっちゃけ私の同級生なんだけどね」

紗希「えぇ!?」

実「入るぜ親父ー」ガチャ

???「あら?」

???「客人か」


厄神「…うん?」

紗希「これは…」

香菜「神様っぽい服を着ている…」

赤江「…誰?」

久城光之助(親父)「あぁ、来ましたか来ましたか」

光之助「おお!紗希ちゃんと華ちゃんおひさ!」

紗希「お、お久しぶりです」

華「お久しぶりです!」

香菜「顔見知りとは」

広志「羨ましいな」

光之助「紹介しよう!」

光之助「ニニギとサクヤヒメだ!」

ニニギ「どうも」

サクヤヒメ「はじめまして」

一同「…うん?」

【訳】


光之助「…ええと、説明するね」

光之助「私は学者として九州各地を回っている」

光之助「んで、霧島神宮に行った時だ」

光之助「私が旅館の温泉でゆっくりしていたら、森の奥から二柱が出てきたんだ」

光之助「素っ裸でな」

光之助「まぁ最初は神様だとは思わなかった」

光之助「森の奥で行為に及んでいる若いカップルかと思った」

光之助「名前聞いたらニニギとコノハナサクヤヒメ言うから、そりゃ驚いたさ」

光之助「そんな感じの出会いだ」

紗希「…裸で何してたの?」

ニニギ「ナニだな」

サクヤヒメ「…///」

正一「おいおいまじか」

香菜「まぁ察した」

広志「関わっちゃいかんな」



光之助「さて、この二柱から色々話は聞いたが…」

光之助「誰かに言っても信じてもらえないと思ったからな」

光之助「そしてら実から電話がかかってきてな」

光之助「そりゃひったまげたよ」

実「…俺は今日初めて知ったが」

赤江「それで、話とは…」

光之助「その厄神とやらについてだな」

厄神「え?」

紗希「なんかわかったんですか?」

光之助「誰も教えてくれないんじゃ」

紗希「え」

光之助「そこのアメノウズメも知っているのだろう?」

アメノウズメ「…」

香菜「…どゆこと?」

実「…つまりは、禁句ってことだ」

ニニギ「そういうことです」

心春「なんでですか?」

ニニギ「…あなた方に教える必要はない」

広志「厄神様は高天原でなにかしでかしたのか」

厄神「えぇ!?」

正一「やってそうで怖いな」



ニニギ「まぁ研究には協力するので」

赤江「それはありがたい」

光之助「そんなわけで今日は香椎宮と筥崎宮に行こう」

広志「いきなりですね」

紗希「なぜ香椎宮と筥崎宮に?」

光之助「せっかくこっちに来たからには寄っていったほうがいいだろう!」



ニニギ(アメノニギシクニニギシアマツヒコヒコホノニニギ)について

天孫降臨で舞い降りたアマテラスの子孫。

農業の神。


コノハナサクヤヒメについて

ニニギの妻。美人。

【戦勝の神様?】


〈筥崎宮〉

応神天皇「…」ズーン

華「なんかいる」

紗希「…神様?」

香菜「まぁそうだね」

光之助「テンションが低いな」

実「あれ、戦勝祈願の神社だよな…?」

広志「なんか負けそう」



タマヨリビメ「彼は先日、神武天皇に戦いを挑んで負けました」

紗希「なんで戦いを挑んだの?」

タマヨリビメ「腕試しだそうです」

赤江「自分からかけた喧嘩に負けるのはつらいな」

光之助「どこかで見た気がするがな」



遼「…この「敵国降伏」って文字にパワーを感じる」

亜樹「え?」

広志「まぁ元寇の時に亀山上皇がお祈りして」

正一「さらに日露戦争の時に軍人がお祈りしたんだよな」

心春「…そしてそのご祭神は…」

応神天皇「…」シクシク

香菜「かなり落ち込んでるね」



紗希「神功皇后はいないの?」

タマヨリビメ「皇后さまは香椎宮におられますよ」

香菜「あれ、ここのご祭神の一柱じゃないの?」

タマヨリビメ「分霊を置いていつもあちらにいます」

アメノウズメ「…距離が近いからか?」

タマヨリビメ「そういうことです」



筥崎宮について

福岡市東区にある神社。

ご祭神は応神天皇と神功皇后、玉依姫である。

応神天皇=八幡神ではなく、

主神である応神天皇に神功皇后、宗像三神を加えて

八幡三神、とされる。

楼門には「敵国降伏」と書かれている扁額がある。


ちなみに近くの東公園には

元寇襲来の時、「敵国降伏」を祈願した

亀山上皇の像がある。

【神様コンプ】


〈香椎宮〉

仲哀天皇「あああああああああ神は嫌だあああああああああ」

紗希「…」

応神天皇「気持ちはわかる」

光之助「まぁ経歴があれだから仕方ない」

神功皇后「神様コンプレックスなのよね」

心春「いまは神様なのにね」



紗希「…神功皇后とかは人じゃないの?」

厄神「まぁ死後に神格化されたからね、天満様みたいに」

神功皇后「まぁ暇なのだけどね」

心春「妊娠しながら戦ったんでしょ?」

神功皇后「そうね」

赤江「それで安産の神になったわけだ」

神功皇后「私の存在自体危ういけどね」

光之助「非実在説もあるからな」

神功皇后「私はどうなるのかしら…」



ニニギ「…森があるな」

光之助「お前またか」

ニニギ「違う」

厄神「自然がいっぱいだなーって思ってたんでしょ」

ニニギ「そういうことだ」

アメノウズメ「坂を登れば住宅街だけどね」

サクヤヒメ「都会ってそんなもの」



香椎宮について

福岡市東区にある神社。

筥崎宮は海際にあるが、

香椎宮は山の中にある。

ご祭神は仲哀天皇とその妻、神功皇后である。

安産の神社。

仲哀天皇とは

第十四代天皇。

九州の熊襲を討伐する際、

新羅を授けるとのご神託を受けたが

信じなかったため崩御したとされる。

実在したかは知らん。

神功皇后とは

仲哀天皇の妻。

夫の死後、住吉三神のご神託を受け、

お腹に子ども(応神天皇)を妊娠したまま

新羅(朝鮮)を征服した。

戦後はわけあってその存在が一時消された。

【秘密】


紗希「なぜ筥崎宮と香椎宮に?」

光之助「近いから」

赤江「まぁ参考にはなるが…」

実「厄神様についての情報は何もなかったが…」

光之助「あの神たちは厄神がいるのをさも当然のごとく扱っているだろう?」

遼「…?」

広志「どういうことですか?」

光之助「つまりはもともと厄神のことを知っていたということだ」

紗希「でも、それって当たり前なんじゃ…」

ニニギ「それ以上はいけない」

香菜「え?」

光之助「だめ?」

ニニギ「ダメです」

光之助「らしいよ」

紗希「え、もうタブーなの!?」

ニニギ「禁句です」

赤江「一体厄神様は何をしたんだ…」


ニニギ「なぁあんた」

実「え?」

ニニギ「知っているのだろう?」

実「…なんのことだ」

ニニギ「…厄神から話を聞いたのでしょう?」

実「…!」

ニニギ「くれぐれも口外なさらぬよう…」

実「…」

【知りたい】


翌日

〈大学〉

華「この本読んでいいですかー?」

光之助「ああ、構わんぞー」

心春「変わり者だね」

香菜「私達が言えるのかしら、それ」

光之助「素質があるぞ!」

紗希「えぇ…」




ニニギ「…!」

光之助「どうしたニニギ?」

ニニギ「…高天原から戻って来いとの命だ」

紗希「え?」

ニニギ「急用ができた、じゃあな」ヒュン

赤江「えぇ!?」

サクヤヒメ「では私も」ヒュン

実「…どういうことだ」

光之助「まぁなんか会合でもするんだろう」

紗希「アメさんはいいの?」

アメノウズメ「私は監視役よ」

厄神「えー」

アメノウズメ「ただ見とけばいいんでしょ?」

広志「いや違うと思うが」

正一「…だったら、タブー話してもいいんじゃね?」

アメノウズメ「そういうことじゃ」

紗希「えぇ!?」

アメノウズメ「正直私も知らないのよ、厄神のこと」

赤江「でも罰せられるんじゃ…」

アメノウズメ「そなたらに脅迫されたとでも言っておく」

【終わりの始まり】


光之助「ってことで厄神様」

赤江「話してもらおうか」

厄神「なんか僕悪者みたい」

遼「脅迫に近い…」

厄神「僕の知ってることは全部実さんに話したよ?」

光之助「なぜ教えなかった、実よ!」

実「他言無用だったからな」

厄神「まぁ僕が知ってるのが全てじゃないけどね…」



ドゴゴォン!


プツッ



紗希「て、停電!?」

赤江「何事だ!?」

光之助「今非常電源をつける!」

ペカー

心春「ランプ!?」

正一「非常電源と呼べるのだろうか」



広志「急に雷が落ちたのか?」

赤江「今は昼間だからいいが…」

光之助「ラジオで確かめるか」

ラジオ〉トクベツケイホウ、トクベツケイホウ…

実「…うん?」

心春「特別警報…?」


〈官邸〉


官房長官「報告を!」

政務官「報告が多すぎて収集が取れません!」

官房長官「簡略して答えろ!」

政務官「…天変地異です」


〈赤松宅近くの神社〉


ゴゴゴゴゴ……

定賢(スーパーの店長)「…これはどういうことですか?」

神主「…天変地異、でしょう」

定賢「厄神様が…?」

神主「…いいえ、神々がお怒りです…」

神主「…大地が響き、山は怒る。海は荒れ狂い、空は泣きわめく…」

神主「…言い伝えのとおりとなってしまった」

〈天神〉


大学生F「…」

大学生たち「我らが神よ!一体何が起きているのですか!」

大学生F「…神が呼んでいる」

大学生F「…そんな気がした」

大学生たち「!どこに行かれるのですか!?」

大学生F「…お前たちは今すぐ逃げろ!」

大学生たち「Fはどうされるのですか!」

大学生F「…やらねばならぬことがある」


〈大学〉


ラジオ〉○○ニヒナンシジ、タダチニヒナンシ…

紗希「…どういうこと」

赤江「厄神様の仕業なのか!?」

厄神「…いや、僕の力でこんなことはできない」

光之助「…どうやら、ニニギらが呼ばれたのと関係ありそうだな」

実「…神々の怒り…?」

アメノウズメ「高天原で一体何が起きているのじゃ…」

八咫烏「それについては私が説明しよう」

赤江「えぇ!?カラスがなんでここに!?」

広志「しかもしゃべる!?」

光之助「八咫烏か?」

八咫烏「そうだ」

紗希「なんでここに…」

八咫烏「…アマテラス様より伝令を預かった」

厄神「伝令?」

心春「アマテラス!?」

八咫烏「…今、高天原では戦争が起きている」

赤江「なぜだ?」

八咫烏「…スサノオ様と国津神たちが高天原を強襲されました」

八咫烏「今現世でおきている天変地異の原因です」

実「なぜスサノオが戦争を…?」

八咫烏「…それは私も知りません」

八咫烏「厄神、アマテラスがあなたを及びです」

厄神「え?僕を?」

八咫烏「筥崎宮から高天原へ向かいましょう」

紗希「ねぇ!高天原で一体何が起こっているの!?」

八咫烏「…後々使いの者が来るかと思います」

八咫烏「ではさらば」バサバサ

厄神「あーれー」ヒュン

紗希「…消えちゃった」

遼「厄神様が…」

光之助「…ニニギはそれにかり出されたか」

赤江「スサノオが高天原を強襲…?」

香菜「マザコンをこじらせたの?」

心春「それでこうなったのなら迷惑極まりないけど」


【秘剣】



〈神社〉


神主「…」

定賢「巨勢さん、その剣は…?」

神主「…境内の下に埋めていたものです」

神主「…とっくに錆びていますが…」ボロリ

神主「…昔この神社に神が埋めたもの…」

神主「天変地異が起きた時はこの剣で鎮めろと代々伝わっております」

神主「…新田さん、ここから離れてください」

定賢「え?」

神主「…少々危害が及ぶかもしれませぬ」

定賢「…どうかご無事で」



神主は境内の前で剣を天にかざす



「…天におわす天照大御神…」



「これが高天原の異変でないなら、この剣を壊せ」



「これが高天原の異変なら、この剣を復活させよ!」



瞬く間に剣の錆が剥がれ落ち、

煌煌と輝く。

同時に、周りの草木は枯れ、

たちまち動物たちが集まる。



「…我は天命を授かりし一族」




「我は天に忠実たる一族」



「…我は死を恐れぬ一族」




「今が約束の時であれば、我を導け…アマテラス」




動物たちが並んで道を作る。

その生命を剣に捧げて。

神主「…どうやら、私もここまでのようだ」

神主「…天命とあらば、この命、安いものだ」

神主「…いざゆかん!」


〈避難所〉


桃「…華ちゃんたち大丈夫かな…」

篤史「…どれもこれも、情報伝達が麻痺している」

将「これが、世紀末…?」

ドゴォン!

桃「か、雷!?」

篤史「近くに落ちたな…」

将「…おい、何かいるぞ」


ヤマタノオロチ「…」



オイ、ナンダアレハ!

コッチニクルゾ‐!

篤史「ば、化物…?」

桃「ヤマタノオロチ?」

将「…やばいんじゃね?」

神主「…間に合いましたか」ゼェゼェ

桃「神主のおじちゃん!?」

篤史「な、なんでここに…」

神主「早く逃げなさい!」

神主がそう言うと、人々は一目散に逃げる。

もともと逃げ出してはいたが。

ヤマタノオロチはイノシシのように突進し、

戦車のように民家や車を破壊していく。

「まさか本当に現れるとは…」


神主は剣を天に掲げて唱える。



「…荒ぶる神、素盞鳴尊…」



「この天災を鎮め」



「愚かなる者に」



「…いざ制裁を加えん」

ピカーン


グェアアアアアアアアアア



天から注ぐ眩い光とともに

大地を響かすような激しい鳴き声とともに

ヤマタノオロチの首がちぎれ、息絶えた。


パキンッ



剣は力を使いきり、折れてしまった。

…それは神主の命の終わりも告げていた。

「…私の役目は終わった」

「大地はまだ鎮まっていないようだが…」

「やれるだけのことはやったのだ」

神主はその場に倒れた。

【伝えなければならぬ】


〈高天原〉


高天原の建物は焼け落ち、田畑は踏み荒らされている。


厄神「こりゃあひどいねぇ」

八咫烏「さぁこちらです」バサバサ


〈宮殿〉


八咫烏「アマテラス様!連れてまいりました!」

厄神「こんにちはー!」

アマテラス「…そんな大声で呼ばなくても良い」

八咫烏「すいません」

アマテラス「…久しいな、厄神」

厄神「…?貴方様とお会いした覚えはありませんが…」

アマテラス「…まぁ赤子の頃だったから無理も無い」

厄神「…すべて、話してくれるんですね」

オモイカネ「…私がお話しよう」

厄神「…!」


〈その頃、大学〉


遼「…」ハァ

紗希「…なにも起こらない」

広志「未だ日本中が混乱しているみたいだがな…」

光之助「…もう夜になるな」


ピカーン


実「うん?」

???「…」

赤江「…八咫烏が言っていた使いか」


オモイカネ「…わしはオモイカネじゃ」

紗希「お、オモイカネ!?」

心春「高天原は大変なんじゃないの!?」

オモイカネ「もちろん、これは分霊じゃ」

実「…話を聞かせてくれるのか」



オモイカネ「…そう、アマテラス様から仰せつかりました」


オモイカネ「あなた方にお教えしましょう」





オモイカネ「あの厄神の昔話を…」

【真実の物語】


むかしむかし、あるところに

それはたいそう美しい女神がいたという。

だがその神様は疫病神、

人々からは忌み、嫌われる存在であった。

ある日、一柱の男神が疫病神の前に現れた。

なんでも、諸国を旅している途中で、

腹をすかせたらしい。

その名はスサノオといった。

スサノオは疫病神の美しさに一目惚れしてしまう。

食事を済ませるとスサノオは言った。

「わたしの妻になってくれないか」

疫病神は困った。

スサノオのような格式の高い神に

私がつりあうはずがない。


「私にとって大変喜ばしいお誘いです。


しかし私は疫病神、貴方様に迷惑をかけてしまいます。


…お引き取りください」


スサノオはトボトボと帰っていく。

次の日、またスサノオが訪ねてきた。

今度はわらじが使えなくなったから

作って欲しいという。


「ほかをあたってください」


疫病神は自分がしては災いがついてしまうと、断った。


「いいから作れ」


スサノオが半ば強引に言う。

仕方なく疫病神はわらじを作る。

疫病神がわらじを作っている最中、

スサノオは思い出話を語る。

母に会いたくて大泣きしたこと、

高天原で大暴れしたこと、

ヤマタノオロチ討伐のこと、

諸国歴訪のこと…。

時々スサノオはボケてみたりもしたが、

疫病神はクスリとも笑わない。


「なぜそなたは笑わぬのだ」


スサノオが問う。


「…私は笑ってはいけません」


「なぜだ?」


「…疫病神である私が幸せを味わってはいけません」


疫病神は答えた。

疫病神はこの地で生まれた。

人々の憎悪が結集し、具現化されたものだ。

だが疫病神は気が弱かった。

自分のせいで災いが人々に振りかかるのを悲しみ、

竹林の中の小屋にひっそりと暮らしていた。

「…できましたよ」


疫病神はわらじを作り終えた。


「…!?」


スサノオは急に疫病神を押し倒す。


「…俺はそなたを愛している」


「だからなんなのです?」


「…そなたが疫病神として生まれたのは民たちの所為だ」


「運命が違えば、そなたはただ一人の、かわいらしい少女だったはずだ」


「そなたの所為ではない」


「…たとえそなたが災いを撒こうとも、俺が払いのける」


「…結婚してくれないか?」


「…」


疫病神は黙りこむ。

疫病神の顔はりんごのように赤く染まり、側から見れば

可愛らしい少女である。

「…!」


「うっ…胸が…苦し…い」ガタガタ


スサノオが急に苦しみだす。


「な、何をした…?」


「…」


「な、なぜ…」バタン


スサノオは倒れた。


「…貴方様からの求婚」


「私はとても嬉しいです」


疫病神は体勢を整え、語り出す。

「…ですが、私は疫病神…」


「この国に災厄をもたらす神…」


「…本来なら私は高天原に討伐される対象」


「もし貴方様と結婚したとなれば、高天原はそれを許さないでしょう」


「…貴方様に迷惑をかけるわけには行きません」


「少し乱暴ですが、貴方様に術をかけました」


「心臓が止まっていますが…貴方様でしたらいずれ息を吹き返すでしょう」


「…私は貴方様に惚れてしまいました」


「貴方様と同じく」


「ですが、それは許されることではありません」


「…さようなら、スサノオ様…」


「高天原より、迎えが来たようです」


疫病神はスサノオをおいて小屋を出て行く。

外では高天原からの使いが待ち構えていた。

アメノオシホミミだ。


「…用件はわかっていますか?」


アメノオシホミミが問う。


「…はい、存じております」


疫病神が答える。


「…私は、殺されるのでしょう」


「いいえ、アマテラス様は殺生は望んでおりません」


「…」


「…高天原にあなたをおき、我々の監視下に置きます」


「…わかりました」


「…小屋に誰かいるので?」


「いいえ、私はいつも一人です」


「他の方に迷惑をかけるのが嫌なので」


「…疫病神らしくないお方だ」


「…」


「…では、行きましょう」


アメノオシホミミは疫病神を連れて行こうとした。

だが、まばゆい光に遮られる。


「…」ゼェゼェ


そこには、剣を天に振りかざすスサノオの姿があった。


「…なぜスサノオ様がこちらに?」


「…野暮用でな」


「…どいてくさだい」


「断る」


「…今度は黄泉の国へ追放されたいのですか?」


「母上と会えるなら、それも本望だ」


「さぁ、そいつを連れて行くのをやめてもらおうか」


スサノオは鬼のような気迫でオシホミミに迫る。


「…なぜ、この神をかばうので?」


「…愛しているからだ」


「少しは相手を選んでください」


「そんなことは関係ない」


「疫病神を返してもらおうか!」


「…そちらが戦いを望むのであれば、こt」ザシュ

オシホミミの言葉を待たずに、

スサノオがオシホミミを斬った。

オシホミミの肩からザクロ色の血が溢れ出る。

「…どういうおつもりですか」


「…これが俺の答えだ」


「…わかりました、そう伝えます」


「…覚悟しておいてください」


そう言い残すと、オシホミミは

高天原へ帰っていった。



「…なぜ、なぜあんなことを!」


疫病神が問う。

「…そなたと離れたくなかったからだ」


「その一心で、俺は生き返った」


スサノオが答える。


「…貴方様は高天原…天津神を敵に回したのですよ!?」


「構わない」


「討伐隊が来るかもしれないのですよ!?」


「だったら追い払うまでだ」


「なぜ…なぜそこまで!」


「そなたを愛しているからだ!」


「…っ!」


疫病神はまた頬を赤く染める。

今までこんな言葉をかけられたことがなかった。

おかげで頭のなかが真っ白になっていた。

「…」パニック


「…結婚してくれるか?」


「…///」コクリ


「…そうか、ありがとう」

「…いつまでも疫病神呼ばわりではいかん」


「え?」


「そなたの名前を決めよう!」


「そ、そんな、私の名前なんて…」


「…ここらは竹が多い。むむ…そうだな、


俺の名から一字とって、


タケノクスバナヒメ(竹丘須花比売)だ!」



スサノオは結婚祝いに新たな剣を作った。

それが我らを護るようにと思いを込め、

近くの神社の境内の下に埋めた。

性的描写(男女の交わりについて)の安価。


選択肢


かるかん!

かすたどん!

げたんは!


どれか一つ選んでね!

安価下


…見ている人がいるのだろうか。

(23時半まで待って、それ以降は省いて更新するんじゃ。急な安価で申し訳ない)

かるかん!=所々割愛

かすたどん!=割愛

げたんは!=書く


…げたんはは>>1が好きなお菓子なのじゃ。

残りの2つも好きじゃがな。

運がいいのう(ニッコリ

再開!

布団の上で、二柱は軽い口づけをする。

月の明かりに照らされるクスバナヒメの長く黒い髪は、

黒曜石のように煌めいている。

スサノオはクスバナヒメの服を脱がした。

決して豊満とは言えないが、

果実のような美しい乳房がさらけ出される。


「…そんなに、ジロジロと眺めないで…」


クスバナヒメは恥ずかしさから頬を赤く染める。

…その可愛らしさは、スサノオの理性を飛ばすには十分すぎた。

彼はクスバナヒメを押し倒し、

指先で優しくなぞるように無防備な胸を撫でる。


「…っあ…はぁ、ん………」


クスバナヒメは今まで味わったことのない快楽を覚える。

その快感はたちまち全身に届き、ビクンッと体を跳ねる。

その様子はますますスサノオの性欲を掻き立たせた。

スサノオの舌がクスバナヒメの体に触れる。

鎖骨から徐々に下がり、汗で少し湿った胸にいたる。


「…ぅん、はぁ…スサノオ、様……っっ!」


クスバナヒメはスサノオに抱きつく。

…早く、一つになりたい。

スサノオがクスバナビメの膣に指を入れる。

水溜りを思わせるほどの水音が部屋に響く。

早く一つになりたいと願うクスバナヒメの気持ちの現れだった。


「っ!…んんぅ、ふぬぅ…っ!」


クスバナヒメの言葉も待たぬまま、

スサノオの舌は彼女の性器を舐める事に夢中になる。


「~~ぁぁ、はぁん!」

スサノオの山のように立つ摩羅がさらけ出される。


「…は、やく…」


クスバナヒメに覚悟はできていた。

そして、その暑い摩羅を彼女の膣に入れる。


「……っ……!」


彼女はスサノオの手を握る。

スサノオもまた、彼女の手を

安心しろと言わんばかりに、強く握りしめる。

とっくに長く黒い髪は乱れてしまっている。



「…ぁぁ、はぁ、ぅん…あぁ!!」


彼女の膣から愛液とともに鮮やかな血が溢れる。


「そ、その…っ!…やさしく……ぁん!」


彼女の声を聞かずに、

スサノオは夢中で腰を振り続ける。


「はぁ…っ…ぁぁん…」


彼女の絶頂は近い。

どうじに彼女はさらに力強くスサノオの手を握りしめる。

そして腰をふる速さも増していく…

「はぁ、ぁん!…ぁぁ…っ…ぁあああああ!!」


彼女は絶頂に達した。

膣から勢い良く溢れ出てくる液をスサノオは優しく舐めとっていた。


「…やっと、一つになれましたね」


彼女は笑顔を見せる。

花火のように、熱く激しい夜はまだまだ続くのであった。

(スサノオの十拳剣(意味深)…


短かったけど初夜はこれで終わりなのじゃ。)


やがて二柱の間に子どもが生まれた。

その子どもは

タケノヤクワケヒコ(竹厄別彦)と名付けられた。

相変わらずクスバナヒメは災いを起こしてしまうが、

スサノオはそれも風流だと楽しんでいる。

だが、三柱の幸せは長くは続かなかった。



ドオォン!


家の外から何かが落ちてきたような音がする。

「な、何事だ!?」

スサノオは外に出た。

そこにはたくましい青年がいた。


…タケミカヅチだ。



「…何用だ?」


「…あれだけのことをしておいて、白を切るおつもりですか」


「…」


そうだ、あの時、スサノオはオシホミミを斬った。

高天原の使いを斬ること、

それは高天原を敵に回す行為と同じ。

当然、罰が来るはずだった。


「…クスバナヒメを高天原に監禁する、それが神々の答えだ」


「待て、なぜクスバナヒメなんだ!斬ったのは俺だろう!」


「…どれもこれも、クスバナヒメが撒いた災厄であろう」


「違う!あいつは何もしていない!」



「どうかしたの?」


井戸に水汲みに言っていたクスバナヒメが帰ってきた。


「…私に御用ですか?」


「そういうことだ」


「とうとう、この時が来ましたか…」


「おい待て、クスバナ!」


スサノオが間に入る。


「…これは、当然の報いです」


「罰なら俺が受ける!だからクスバナはそっとしといてくれ!」


「…だめです。私はアマテラス様がクスバナヒメを高天原に送還するよう命を受けています」


「姉貴がそんなことを言うはずがない!」


「これは神々の出した結論です!」


「…どうしてもか?」


「はい」


スサノオが剣を抜く。


「…ならば、ここから去ってもらうしかないようだな」


「そちらが、その気なら私も戦うまで」


「スサノオ様!」


「お前は逃げるんだ!」


「でも!」


「いいから逃げるんだ!」


「…」


クスバナヒメはヤクワケヒコを連れて逃げだした。



タケミカヅチが言う。


「…なぜ私が呼ばれたかわかりますか?」


「…オシホミミではあなたに負ける、だから私が呼ばれた」


「お前一人で俺に勝てるとでも?」


「…いいえ、私だけではありません」パチンッ


タケミカヅチが合図をすると、

竹林から神々が現れる。


「…本格的な討伐隊だな…」


「アマテラス様はあなたの力を知っておられるので」


「…さすが姉貴だ」


「別働隊にクスバナヒメを追わせてもいいですが…それでは卑怯なのでね」




「…さぁ、かかってこい!」




「…始めましょうか」



タケミカヅチとスサノオが剣を抜くと


あたりにたちまち暗雲が立ち込める。


風は吹き荒れ、雷轟が鳴り響く。


倒れた竹の破片がスサノオとタケミカヅチの


みづらを留めていた櫛をとばし、


留めていた長い髪がなびく。


タケミカヅチら天津神は一斉に


スサノオに斬りかかる。



「…いない!?」



そこにいたはずのスサノオは煙になっていた。



残像…?いや、この煙がスサノオだ…



「数を増やせば勝てると思ったか!」



神々は荒れ狂う竹に叩きつけられ、


地が響くほど地中に埋められ、



泣きわめく空に飛ばされる。



そしてスサノオが神々に斬りかかると



たちまち周りは鮮血で溢れ、血の池を作る。



山と大地は切れ、火山が炎を上げ、空が赤く染まる。



まるでスサノオの怒りを表しているようであった。



タケミカヅチらはスサノオに斬りかかるが



その度、スサノオは消えてしまう。



…とうとう残ったのはタケミカヅチだけとなった。


「…」


「数が多いのもなかなかつらいな…」


スサノオが笑いながら言う。


だが、タケミカヅチもこれを想定してなかったわけではない。


嵐はますます強くなるばかり。


二神は再び斬りかかる。



パキンッ


スサノオの剣が折れる。

神々と斬り合った剣はもろくなってしまっていたのだ。


「まだ戦うおつもりですか!!」


「もうあなたに勝ち目はない!!」


「…俺はまだ諦めん!」


スサノオは死んだ神から剣を奪い、

タケミカヅチに斬りかかる。


「そんな剣が私の剣に敵うとでも!」


…スサノオは剣を捨てた。



「…私はスサノオ様を殺せと命じられたわけではありません」


「歯向かってきた場合は捕らえろと命じられました」


「…投降するつもりはありませんか?」


「ない!」


スサノオは素手でタケミカヅチに殴りかかる。

スサノオが地を踏みしめると、

スサノオはよろよろと倒れてしまう。

長い戦いに疲弊したスサノオにもう力はなかった。


「…」


「…あなたを捕らえます」


スサノオは怒りと、悲しみ、そして愛するものを守れぬ情けなさから涙を流す。

スサノオが流した涙は、新たな川を作った…。



ハァ…ハァ…


クスバナヒメはただただ野原を走る。

あたりの森は燃え、山は赤く輝いている。

ここがどこかはわからない。それでも、スサノオ様の命だ。

…だが、クスバナヒメに迷いが生じる。


…スサノオ様だけに、戦わせていいものか。



「誰かが、拾ってくれますように…」


クスバナヒメはヤクワケヒコに術をかけ、近くの神社の前においた。


「元気に、育つんだよ…」


クスバナヒメは涙を流しながらその場を走り去った。

その涙は新たな沼を作った。


スサノオのもとに向かうクスバナヒメの前に

タケミカヅチが立ちはだかる。


「…自ら出てきましたか…」


「…スサノオ様は?」


「捕らえました」


「…」


薄々わかっていた。

だけどそんなこと、信じたくはない。


「…高天原へ送還いたします」


「嫌」


「え?」


「嫌だと言っているの!」

大地はひどく響き、空は雄叫びをあげ、、海は凍る。

山はたちまち崩れ、深々と地に沈んでゆく。

人々は慌てふためき、まさに地獄絵図だ。


「…気が変わったのですか」


「…私をなめないで…!」


「…なにをするつもりだ!」


タケミカヅチが止めに入るも、無駄だった。







クスバナヒメは目を覚ました。


「ここは…?」


「目が覚めたかね?」


「…!」


寝床のそばに一人の老人がいる


「あなたは誰…?」


「わしはオモイカネ。まぁただのじいさんじゃ」


「は、はぁ…」


オモイカネはクスバナヒメに粥を差し出す。


「あ、ありがとうございます…」


オモイカネは問う。


「何があったか覚えているかね?」


「…いいえ…」


クスバナヒメは考えた。

オモイカネ様がいるということはここは高天原。

なんで、私はここにいるのだろう…?



「どこまでを覚えているかね?」


「…タケミカヅチ様に歯向かったところまでです」


「…そうかね」


「なにがあったんですか?」


「知りたいかね?」


「…怖い、です」


「知らないほうがいいじゃろう」


「…そうですか」


「今は安静にしていると良い」


「…はい」


クスバナヒメは粥を食べる。

…こみ上げる悲しみは自然に粥の調味料となる。






「なぜだ!」


スサノオが叫ぶ。


「クスバナヒメはどこだ!」


手足を縄で縛られたまま、バタバタと暴れる。


「…監禁した」


アマテラスが答える。


「俺も一緒に入れろ!」


「だめじゃ!」


「なぜだ!」


「お前は自分が何をしたのかわかっているのか!」


アマテラスが喝を入れる。


「お前は疫病神と結婚したうえ、天津神に歯向かった!」


「お前は禁忌をおかしたのじゃ!」


「そんなことはわかっている!」


「…」


「わかっているんだ…」


スサノオの勢いがなくなる。


「…お前の気持ちはわからんでもない」


「…」


「だが、これが神々の判断だ」


「オモイカネもか?」


「そうだ」


「…」


「お前は前にも高天原を騒がせた」


「お前に神々は良い印象を持っていない」


「…お前とクスバナビメがまだ生きていることさえ奇跡に近い」


「…」


「これが精一杯じゃ。私の力では」


「ごめん、姉貴…」


「…弟のわがままにも困ったものじゃ」


アマテラスは深い溜息をつく。


「また、お前を追放することになった。早く出て行くのじゃ」


「クスバナビメと会わせてくれ!」


「ダメなものはダメじゃ!」


「もうわかった!出て行く!」ピョンピョン


スサノオは器用に飛び跳ね宮殿から出て行く。

その滑稽な様子をアマテラスは悲しみと情けなさのあまり笑うことができなかった。



「…」ハァ


アマテラスはまた溜息をつく。

奥の部屋からオシホミミとオモイカネが出てくる。


「あれで良かったのですか?」


オシホミミが聞く。


「…あいつは禁忌をおかしたのじゃ。それだけのこと」


アマテラスが答える。

アマテラスはひどく落ち込んでいた。

また弟に会いたいとは思っていたものの、

喧嘩してしまった。仲直りができないほどの。

アマテラスが問う。


「オシホミミは、斬られたことはどう思っているのじゃ?」


オシホミミが答える。


「…愛するものを護るためなら、私も同じ行動をとっていたでしょう」


「例えアマテラス様が相手でも」


「…だが、それではこの高天原の秩序が乱されかねない」


オモイカネが言う。


「わしもこの度のことは大変難しく思う」


「だが神々はそう判断したのだ」


「…クスバナヒメが生かされていることだけでも良いとしましょう」


「…あいつは諦めるだろうか?」


「…わかりません」


誰だって愛する者を護るのは当然の事、

そう考えていた。

しかし高天原の秩序が乱されては

世界が混乱してしまう。

…仕方がなかったことだった。



「地上はどうなっている?」


アマテラスがタケミカヅチに問う。


「…島がいくつか沈み、新たな火山が生まれ、疫病が流行っております」


タケミカヅチが答えた。


「…あれだけの力があるとは思っておりませんでした」


「いいのじゃ。もう終わってしまったこと…」


「申し訳ありません」


タケミカヅチは深々と頭を下げる。


「クスバナヒメはどうしておる?」


アマテラスがオモイカネに問う。


「…今は高天原の書物を読んでおります」


「…クスバナヒメはなにも覚えていないのか?」


「…そうじゃ。恐らく力が暴走したのじゃろう…」


高天原の知恵袋、オモイカネ。

その御仁さえもが予想できなかった事態だった。


アマテラスがオモイカネに問う。


「クスバナヒメが暴れることはないのか?」


オモイカネが答える。


「もう諦めをつけたようじゃ」


アマテラスは安心した。

同時に申し訳無さをも覚えた。


「…これでよかったのじゃろうか」


アマテラスがつぶやく。


「スサノオとクスバナヒメは子がいると言っていました」


オモイカネが言う。


「なんと!」


アマテラスが驚く。


「会いたい!」


アマテラスは子どものようにはしゃぐ。

オモイカネは困った様子で答える。


「は、はぁ…しかし、まだ見つけておりませぬ」


「むぅ…」


アマテラスはうなだれる。


「…しかし、あのスサノオ様とクスバナヒメの子。相当な力を秘めているかもしれませぬ」


オモイカネは危惧していた。


神社の前に捨てられたヤクワケヒコは、

神社にお参りに来た村の民に拾われた。

人々は神の服を着ていた彼を神の子と思い、

村の総力を上げて彼を育てた。



神の子には違いない。

だがそれは疫病神とスサノオの子。

彼は疫病神の遺伝子を強く引き継いでいた。

やがて村に疫病が流行るようになった。

周辺の村にはなんともないのに。


これをヤクワケヒコの所為だと考えた村人らは

彼を生け贄に疫病を鎮めようとした。

そして生け贄を捧げる日、神社の境内で

長老がヤクワケヒコを斬ろうとした。

しかし目の前にタケミカヅチが現れる。


彼はヤクワケヒコを抱えると、

村人たちを殺した。

…いや、「消した」と言ったほうがいいだろうか。

彼らが住んでいた村、そして彼らがいたという記憶を

すべて消し去り、タケミカヅチは高天原へ帰った。


「…危なかったな」


アマテラスが安心した様子で歩いてくる。


「…御命令のとおり、すべて消し去りました」


タケミカヅチが報告する。


「…仕方ないことだったのじゃ」


アマテラスはまた溜息をつく。


「…では予定通り」


「ああ、後は任せるのじゃ」

ヤクワケヒコは

クスバナヒメメの顔も覚えていないまま、

高天原の神々に育てられた。

…それはヤクワケヒコが力を受け継いでいるか

確認するためでもあった。


ヤクワケヒコはそれほど強力な力を受け継いでいなかった。

少なくとも、アマテラスたちからはそう見えた。

神々はヤクワケヒコは高天原に災厄を及ぼす存在ではないと判断し、

彼の監視を解いた。


だが、彼には名が与えられなかった。

あくまで、彼は浮浪者扱いだった。

彼は母のことも、父のこともよく知らずに

地上へ送られた。


しばらくして、八幡神が消えたという情報が高天原に流れた。

分霊ではあったが、なぜ急に消えたかも、

八幡神本体自身がわからなかった。

分霊が消えた神社に、新しい神が入ることになった。


それは名を奪われ、地上を流浪していたヤクワケヒコ、いや、厄神であった。

そしてその神社はかつてスサノオが剣を埋め、

クスバナヒメがヤクワケヒコを捨てた神社だった。

…それはアマテラスの要望だった。


八幡神が消えたという情報が出てから一時して、

消えたとされた八幡神の分霊、

いや、それは傷だらけでかろうじて人の形をしている物体だった。



「スサノオが謀反を起こそうとしている」



その分霊はスサノオに参加を求められたのを

断ったため斬られたとのことだった。



高天原の神々に衝撃が走る。

アマテラスは神々を召集し、会合を開いた。



恐らく、クスバナヒメのことであろう。



神々はそう結論を出した。



だが戦闘の準備もできぬまま、

スサノオら国津神連合が

高天原に強襲したのであった…。


【不安な調停役】


オモイカネ「…というわけじゃ」

紗希「…厄神様はスサノオの息子…?」

香菜「さらにはアマテラスの甥ってことだよね…」

オモイカネ「そういうことじゃ」

光之助「…スサノオはクスバナヒメを取り返そうと?」

オモイカネ「…そうだろうな」

実「…それで高天原で戦争…」

オモイカネ「それが現世にも影響を及ぼしてしまっているのじゃ」

遼「厄神様はなんで高天原に…?」

オモイカネ「…この戦争の調停役、じゃ」

紗希「…不安でしょうがないのだけど」

オモイカネ「もちろん、ヤクワケヒコだけではない」


オモイカネ「そなたらはなぜ、神が見えると思う?」

広志「…考えたことがないな」

オモイカネ「スサノオはこの戦争のために誓約をおこなった」



「…戦争を終わらせられる者がいるのなら、その者に力を与えよ」

「終わらせることができないならば、我の腕を切れ」


オモイカネ「…お主らは我々を見ることのできる力を身につけた」

オモイカネ「つまりは、お主らは高天原の戦争を終わらせられるのじゃ」

華「どうやって?」

オモイカネ「…それはわしにもわからん」

オモイカネ「他所に有力なものがいたが、先ほど死んでしまった」

香菜「いたんだ」

オモイカネ「…まぁいたのだ」

オモイカネ「お主らの中に、救世主がいるはずなのじゃ」

オモイカネ「…我らに、協力してくれないか?」

赤江「だが、高天原に行くってことは…」

オモイカネ「…そうじゃ、神になる、すなわち人間をやめるということじゃ」

遼「…私なら」

亜樹「お姉ちゃん!?」

遼「…でも、自分にそんな力があるとは思えない」

遼「なにより、まだ人間でありたい」

オモイカネ「…難しいか」



バタァン!


正一「なんだ!?」

大学生F「…」ゼェゼェ

紗希「え、あなたがなんでここに!?」

広志「あの慈善団体の教主か」

大学生F「…明かりがあったから立ち寄らせてもらった」

大学生F「…だが、なにかに導かれた気がしたんだ」

オモイカネ「…!」


カクカクシカジカ


大学生F「…俺に行かせてくれ」

赤江「えぇ!?」

心春「人間じゃなくなるんだよ!?」

大学生F「…この災厄を止められるのだろう?」

オモイカネ「…成功すればな」

大学生F「皆のためになれるのなら、それが本望だ」

アメノウズメ「…正義感の強い者は、長生きしないぞ?」

大学生F「そんなことは知っている!」

大学生F「あの時から、俺はいつだって死ぬ覚悟はできてる」

大学生F「…俺が行こう」

広志「F…」

オモイカネ「…志強き者よ、感謝する」

オモイカネ「さぁ、これを食べるが良い」ゴソゴソ



ム~ン



華「!?」

紗希「なにこれ!?」

オモイカネ「糞じゃ」

香菜「いや、これだったら普通食べ物でしょ!?」

オモイカネ「スサノオが荒らしたせいで食べ物がなくなったんじゃ」

大学生F「なんか想像してたのと違う」

オモイカネ「アマテラス様のモノじゃ、心して食べるが良い」

正一「…がんばれ、F」

大学生F「…これも、日本を救うため!」パクッ

大学生F「ウゴォ…」モグモグ ゴクン




ピカーン



紗希「…!まぶしい!」

オモイカネ「…こちら側になったようじゃな」

大学生F「…俺は、神になったのか…?」

光之助「…透けているな」

オモイカネ「別に全部食べる必要はなかったんじゃがな」

大学生F「…物にさわれない」サワサワ

香菜「今さりげなく私の胸さわろうとしなかった?」

大学生F「気のせいだ」

オモイカネ「…覚悟は良いかね?」

大学生F「…もちろんだ!」

赤江「…お前のことは忘れない」

紗希「この災厄が終わったら、祀らないといけないわね」

大学生F「…任せた」

オモイカネ「…ではさらばだ」ヒュン



光之助「…行ってしまった」

実「俺達はどうすればいいんだ…」

紗希「…Fの成功を祈っておこう」

【高天原戦争】


〈高天原〉クスバナヒメの部屋


クスバナヒメ「…」パラパラ

オシホミミ「…」

ドゴォォォン

クスバナヒメ「…外からすごい音がしますね」

オシホミミ「…そうですね」

クスバナヒメ「…スサノオ様が来ているのでしょう?」

オシホミミ「…!」

クスバナヒメ「…出ることは、許されませんか?」

オシホミミ「…無理です」

クスバナヒメ「…」

〈宮殿〉


厄神「…」

アマテラス「…すまなかった」

厄神「いや、アマテラス様の所為ではありません」

アマテラス「…」

厄神「…父…スサノオは今どこに?」

アマテラス「門の向こう…田畑の方で我らと戦っている」

アマテラス「だが外は危険だ」

厄神「母は…?」

アマテラス「…まだ監禁してある」

厄神「会うことは…」

アマテラス「…スサノオしだい、だろう」

厄神「無事なんですか?」

アマテラス「クスバナヒメを死なせたら、スサノオがそれこそ暴走しかねん」

厄神「私は一体どうすれば…」

アマテラス「…今、オモイカネが調停者を探している」

オモイカネ「只今戻りました」ヒュン

アマテラス「見つかったのか!?」

オモイカネ「はい」


大学生F「え、えぇとはじめまして!」


厄神「Fくん!?」

大学生F「私は何をすればよいのでしょう…?」

オモイカネ「…この戦争の調停…を願いたいが」

アマテラス「なにか策はあるか?」

大学生F「…今はなんとも…」

アマテラス「…むむ…」

厄神「…父が出している条件は?」

アマテラス「…クスバナヒメの解放、じゃ」

オモイカネ「だが神々の納得がないとそれは難しい」

厄神「アマテラス様はどう思ってらっしゃるので?」

アマテラス「…姉として、弟の事を聞いてやりたい」

アマテラス「だが私は高天原を統べるものとして、私情を出すことはできん」

オモイカネ「…アマテラス様の言葉で神々を説得すれば…」

アマテラス「そんなことできたらやっておるのじゃ!!!」

オモイカネ「…」



大学生F「あの」

アマテラス「ん?」

大学生F「天岩戸に閉じこもればいいのでは?」

オモイカネ「…え」

厄神「神々が言うことを聞くかも?」

オモイカネ「だがそれでは天地が荒れてしまうが…」

大学生F「もう取り返しの付かないことになってますよ?」

オモイカネ「それもそうじゃったな…」

アマテラス「…また籠もるのか」

大学生F「…無理ですか?」

アマテラス「私がいじければ言うことを聞くかもしれぬな」

厄神「まじか」

アマテラス「…タケミカヅチを呼べ」


〈天岩戸〉


タケミカヅチ「御用とはなんでしょうか」

アマテラス「この注連縄を切れ」

タケミカヅチ「え?」

アマテラス「切れ(威圧)」

タケミカヅチ「は、はぁ…」スパァン

アマテラス「じゃあの」ゴゴゴゴ

タケミカヅチ「えぇ!?アマテラス様!?」

高天原はたちまち闇に包まれる。


天岩戸〉私はもう疲れた

タケミカヅチ「出てきてください!」

天岩戸〉神々が争いをやめるまで私は出ないのじゃー!!

タケミカヅチ「えぇ!?」

天岩戸〉神々をここに呼ぶのじゃー!!

タケミカヅチ「は、はぁ…」

神々「出てきてくだされ!!」

天岩戸〉いやじゃー

スサノオ「姉貴!!俺だ!!」

天岩戸〉おお!久しぶりじゃな!!

神々「一体何をお望みですか!?」

天岩戸〉え、ええと…

オモイカネ「…この戦争の調停じゃ」

大学生F「あなた方は一体何をお望みですか?」

スサノオ「…なんだお前」

オモイカネ「お主が力を授けたものじゃ」

大学生F「話は聞きました」

大学生F「…クスバナヒメの解放は難しいですか」

神々「…」

スサノオ「…」

神々「…スサノオは、過ちを繰り返している」

スサノオ「違う!」

神々「ヤマタノオロチの討伐でましになったかと思えば…」

厄神「…」


神々「…現にスサノオは争いを起こしている」

神々「正直、クスバナヒメを殺し、スサノオを封印すればそれですむ」

オモイカネ「…なんと」

神々「早いうちにそうしておればこうはならなかったはずだ!」



天岩戸〉うるさあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああい!!!!!!



鼓膜が破れかけるほどの怒号が高天原に響く。

オモイカネ「アマテラス様…?」

大学生F「ひえぇぇ…」ブルブル



天岩戸〉秩序がなんじゃ!!過ちがなんじゃ!!



天岩戸〉結局はこうして争いを呼んでいるではないか!!



天岩戸〉人を愛することが悪いのか!!



天岩戸〉我々だって先祖の愛の結晶であろう!!



神々「だがクスバナヒメは天変地異を起こしたであろう!」



天岩戸〉元はといえばスサノオとクスバナヒメを離そうとしたお主らの判断が生んだものであろう!!



神々「…っ!」



天岩戸〉そうであろうスサノオ!!



スサノオ「…俺はクスバナヒメを奪われてから」

スサノオ「その恨みをはらすために、国津神らと相談した」

スサノオ「…どんな手を使おうとも、取り返そうとした」

スサノオ「すべては、クスバナヒメへの愛だ!」



天岩戸〉クスバナヒメは心優しい神じゃ!!



天岩戸〉私がこの目で確認した!!



天岩戸〉人々の憎悪の副産物なのじゃ!!



天岩戸〉さぁ!!クスバナヒメを解放するのじゃ!!



神々「し、しかし…」




天岩戸〉クスバナヒメが解放されない限りここから出ないもん!!



神々「えぇ…」



天岩戸〉出ないもん!!もん!!



オモイカネ「…どうじゃ?」

神々「…よろしいでしょう」

厄神「…!」

神々「しかし、クスバナヒメがまた災厄を呼ぶか」

神々「スサノオがまた暴れたら監禁することを条件として」

スサノオ「…承知した」



天岩戸〉…クスバナヒメを解放するのじゃ!


〈クスバナヒメの部屋〉


オシホミミ「…!」

クスバナヒメ「…?」

オモイカネ「…時は来た」

クスバナヒメ「殺されるので…?」

オモイカネ「いや、ここから出るのじゃ」

オシホミミ「…説得できたのですか」

オモイカネ「…願いはかなった」ガチャン

クスバナヒメ「…いいのですか?」

オモイカネ「神々の決定じゃ」

オモイカネ「…会うべきものがいるじゃろう?」

クスバナヒメ「…!」

オモイカネ「…早く会いに行ってやるとよい」

クスバナヒメ「…ありがとうございます」ダッ

〈天岩戸〉


天岩戸〉うおおおおおおおおお

天岩戸〉ヤクワケヒコおおおおおおおお

天岩戸〉会いたかったのじゃああああああああ

天岩戸〉こんなに立派になってええええええええええ

天岩戸〉ぬおおおおおおおおおおおおおお

厄神「急にどうしたのですか」

スサノオ「甥っ子に会いたい気持ちが今溢れてきたのだろう」

天岩戸〉久しぶりじゃなああああああああああああ

厄神「は、はぁ…」



大学生F「死ぬかと思った」

天岩戸〉そちはよく頑張ってくれた!!

大学生F「ありがとうございます!」

天岩戸〉そなたに神社を与えよう!!

大学生F「えぇ!?」



クスバナヒメ「ハァ…ハァ…」ゼェゼェ



タケミカヅチ「…どうやら来たようだな」

厄神「…!」



スサノオ「くすばなあああああああああああああああ」ピョーン

クスバナヒメ「えぇ!?」ヒョイ

スサノオ「おわあああああああああああああ」ドテーン

タケミカヅチ「避けた!?」

厄神「あれを受け止めるのは痛いね」



クスバナヒメ「…スサノオ様」

スサノオ「…久しぶりだな」ムクリ

クスバナヒメ「…ずっと、この時を待っていました」ウルウル

スサノオ「…俺もだ!」ダキッ


クスバナヒメは嬉しさのあまり

スサノオの胸で泣き崩れる。

その涙は雨となり地上に降り注いだ。



スサノオ「…改めて久しぶりだな、ヤクワケヒコ」

厄神「…親の顔は全然覚えてないけどね」

スサノオ「まぁ無理も無いな」ハハハ

クスバナヒメ「…立派になったね」

厄神「…やめてよ、泣いてしまうじゃないか」

クスバナヒメ「今はいくらでも泣いていいのよ?」

厄神「…胸を借りるよ?」

スサノオ「どんと来い!」

厄神「母上ので」

スサノオ「えぇ!?」



オモイカネ「…アマテラス様、やればできるではありませんか」

天岩戸〉もう怒りに任せていた

天岩戸〉やればできる神!YDK!

大学生F「怖かった」

オモイカネ「…よくやった、青年よ」

大学生F「は、はぁ…」

天岩戸〉ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおお

天岩戸〉良かったのおおおおおおおおおおおおおお

大学生F「今度は何ですか」

オモイカネ「情緒不安定じゃな」

天岩戸〉おおおおおおおおおおおおおおおおお

オシホミミ「…アマテラス様は出ないので?」

天岩戸〉なんかここが落ち着くのじゃ

大学生F「えぇ!?」

オモイカネ「早く出てきてくだされ、戦争は終わったのに天変地異は終わりませぬ」

天岩戸〉わかったのじゃ 

ゴトトトン

アマテラス「ああ、光が眩しい…ああ自分か!?」

オモイカネ「…これで天変地異も止むでしょう」

アマテラス「スサノオ!クスバナヒメ!ヤクワケヒコ!」

アマテラス「この度は申し訳なかった!!」

厄神「アマテラス様が謝ることじゃ…」

アマテラス「私の気が晴れぬのでな!」

厄神「…地上へ降りていいですか?」

アマテラス「世話になった人間たちに会いに行くとよい!」

スサノオ「俺らも行くか」

クスバナヒメ「…はい!」




〈大学〉

厄神「やっほー!」

赤江「厄神様!?」

香菜「今大変なの!!」


厄神「え?」



〈ちょっと前〉


ミシミシ…


広志「…この建物もまずいか?」

光之助「…長い暴風雨には耐えられぬか」


バァン!!


赤江「なんだ!」

紗希「車が飛んできた!?」

実「物が舞い上がっているな…」

光之助「…ここは危ないかもしれん」

遼「えぇ!?」

光之助「地下へ逃げよう、非常食もあるし、ここよりかは安全なはずだ」

光之助「さぁ、こっちだ!」



ドオォン!


バリバリバリ…



紗希「…!隣の建物が」

香菜「崩れてきた!?」

赤江「伏せろ!!」

実「危なぇ!紗希!!」






赤江「…隣の建物が崩れてきたんだ」

赤江「我々は助かったが…」

赤江「…広志君が左腕をなくし…」

赤江「…実君は腹部に柱が刺さった」

赤江「こちらで応急処置はしたが…」

赤江「病院が空いていないものでな」

赤江「…治療が遅れた」

厄神「…!」

赤江「…その後すぐ、嵐がやんだことはよかったがな」

赤江「彼らは今病院にいる」

赤江「行ってやっていくれ…」



〈病院〉


ジュウショウノカタガユウセンデス!

ケガガカルイカタハソトデオマチクダサイ!!


心春「や、厄神様…?」

厄神「どうなんだい!!」

心春「…広志君は大丈夫だけど」

遼「実さんの容体が厳しいらしいの…」

厄神「…!」

紗希「…」

華「あ、厄神様…」

厄神「…遅くなったね」

光之助「…すべて終わったのか?」

厄神「…はい」

実「…?」ゼェゼェ

厄神「…相当まずい?」

華「…血が流れすぎたんだって」

光之助「…もう長くはない、だと」


紗希「…厄神様」

厄神「なんだい?」

紗希「…ちょっと来て」




紗希「…厄神様は災いを転換できるでしょ?」

厄神「できるよ?」

紗希「…実さんのこと、変えられないの?」

厄神「…無理だね」

紗希「なんで!」

厄神「…そんなことできない」

紗希「厄神様は神様なんでしょ!?」

紗希「だったら…だったら!」




紗希「実さんを助けてよ!!」



厄神「…僕は災いの転換はできるけど」

厄神「その先の運命を変えることはできない」

紗希「…うぅ…」

厄神「…もう実さんの死は確実さ」

厄神「僕にできるのは、実さんの痛みを和らげるか、苦しめるかだ」

紗希「…」ウルウル

厄神「…君は言うことがあるんだろう?」

紗希「…!」


厄神「…最後ぐらいは伝えるべきさ、その気持ちを」

厄神「好きなんだろう?」

紗希「…」コクリ

厄神「…あとは行動に移すだけだ」

紗希「…ありがとう、厄神様」

紗希「頑張るよ、私…」

厄神「…頑張ってね」

紗希「うん…!」


実「…」ピー、ピー…

紗希「…実さん」

実「な、ん…だ…?」ゼェゼェ

紗希「…もう喋らなくていいよ」

紗希「あなたは、近所のお隣さん」

紗希「私が子どもの時は、いつも一緒に遊んでくれた」

紗希「私が疫病神と呼ばれて落ち込んでいても」

紗希「こんな私を励ましてくれた」

実「…」

紗希「…いつのまにかあなたを好きになってた」

紗希「だけど、その気持ちを伝えられなかった」

紗希「…勇気がなかった」

紗希「こんな形で告白なんて嬉しくないよね」

紗希「でも、最後に伝えておきたかった」




紗希「…大好きだよ、実さん」

実「…俺も、だ…」ゼェゼェ

紗希「…!」

実「…最後に、それを聞け、て…良かった…」ゼェゼェ

紗希「…」ウルウル

実「…最後ぐらいは、わら…ってくれ」ゼェ

実「紗希の、笑顔を見たい…」ゼェゼェ

紗希「…ずるいよ」ニコッ

実「…ありがとう、紗希…」ゼェ

実「…また、な…」ゼェ……


ピーー…………


紗希「…」

紗希「ありがとう、実さん…」




光之助「見事に存在を忘れられていたな」ウルウル

華「良い告白だったね」ウルウル

紗希「…あ」

光之助「…この親不孝者め…」

光之助「俺より先に逝きやがって…」

光之助「…天国の母さんに会えたら良いな」

厄神「…」



〈大学〉

紗希「ただいま…」

赤江「…話は聞いた」

紗希「…」

赤江「しばらくは休むと良い、まだ向こうに帰れないしな」

香菜「まだここも散らかってるしね」

スサノオ「そうだな」

正一「いやそうだなじゃなくてな」

スサノオ「ん?」

厄神「紹介するよ!」

スサノオ「あ、こいつの父だ」

クスバナヒメ「は、母です」

厄神「…こんな時になんか申し訳ない」

紗希「…お母さんに会えたんだね」

厄神「おかげさまでね」

香菜「どこかで見たことある顔ね」

クスバナヒメ「え?」

紗希「気のせいかな」

クスバナヒメ「…?」

赤江「でも、疫病神…?」

クスバナヒメ「…」ニッコリ

スサノオ「災厄を起こしたら帰されるからな」

香菜「あぁ、そう…」




紗希「え、消えるの?」

スサノオ「…戦争は終わった」

スサノオ「つまり、もう誓約は終わった」

スサノオ「…しばらくしたら、我々のことが見えなくなるだろう」

遼「そんな…!」

厄神「…」

スサノオ「…我々はまた、この世を見守るだけだ」



彼らが家に帰れたのはそれから一週間が経ってからだった…


【聖フランシスコ】



〈神社〉

厄神「…そうか、神主さんが…」

オモイカネ「…ヤマタノオロチの死骸は回収したのじゃ」

オモイカネ「…彼もまた、民を護るために戦ったのだ」

オモイカネ「祀ってやると良い」

紗希「…この神社、どうなるの…?」

オモイカネ「厄神一家と神主を祀ると良い」

オモイカネ「あとこやつとな」

大学生F「…」

紗希「Fくん!?」

大学生F「お久しぶりっす」

紗希「…本当に神様になったんだね」

大学生F「…この神社で皆を護るんだ…!」


オモイカネ「名はフランシスコ(風蘭紫須子)じゃ」

紗希「ちょっと待って!?」

オモイカネ「なんじゃ?」

紗希「フランシスコて!?」

大学生F「いい名前だろう?」

紗希「えぇ…」

【台無し】


〈駅〉

紗希「…」ハァ


お化けA「姐さーん!!」

紗希「だれが姐さんよ」

お化けB「新入りが来たんすよ!!」

紗希「だから何よ」



実「…やあ」

紗希「ちょっと待って!!」

実「え?」

紗希「死んだんじゃないの!?」

実「今は幽霊だ!!」

紗希「そういう問題じゃないよ!?」

実「なんだよせっかく再会出来たのに」

紗希「またな…ってそういう意味だったの!?」

実「そうだぞ?」

紗希「さっきの感動が台無しだよ!?」

実「なんの話だ」

紗希「私が頑張って告白した意味は何!?」

実「嬉しかったぞ!」

紗希「もうなんなの!」ウワーン

【…新たな恋?】


〈大学〉

広志「…」ズーン

香菜「…退院おめでとう、ともいえないね」

赤江「…綺麗に左腕がなくなったな」

広志「…利き腕じゃないだけましです」

心春「まぁ私が左腕の代わりになるから♪」

紗希「え」

広志「…うん?」

香菜「ん?」

正一「…そういうこと?」

心春「~♪」

【…終わりなのじゃ】


〈神社〉

紗希「もうここに住むのね」

厄神「そうなったね」

遼「私はどうなるんだろう…」

厄神「…覚悟ができたなら、またここに来てくれ」

厄神「こっちで良い異性と出会えたならそれで構わないし…」

遼「私は厄神様のことが好きなの!!」

スサノオ「熱いな」

クスバナヒメ「…昔が懐かしい」

厄神「…僕はここで待っているよ、いつまでも」



紗希「…本当に消えちゃうの?」

スサノオ「…もう時が近いだろう」

遼「…」ウルウル

華「…遼さん…」

赤江「…世話になりました」

スサノオ「…こちらこそ、地上に多大な影響を及ぼして申し訳ない」

スサノオ「…心から詫びる。そして感謝する!」

香菜「…大変な毎日だったけど、それも今は良い思い出」

厄神「そう思ってくれるのなら嬉しいよ!」



亜樹「…!薄くなってきてる…」

厄神「…時が来てしまったね」パァァ

クスバナヒメ「…わざわざ皆集まってくれてありがとうね」パァァ

スサノオ「世話になったな」パァァ

厄神「僕は気まぐれで厄を運ぶ神様だけど…」

厄神「いつまでも、ここで君たちを見守っているよ」

厄神「…さようなら、そして




ありがとう…!」





遼「さようなら、厄神様…」

広志「あなたは、気まぐれで」

心春「災いを呼んで!」

正一「人を困らせる神様かもしれない」!

香菜「だけど!」

亜樹「…そのおかげで」

篤史「愉快で」

紅葉「奇想天外な毎日を送れたよ!」

出雲「…それもすべて楽しい思い出!」

千早「…いつまでも、私達を見守っていてね…」

紫穂「…泣いて別れるのは辛いこと」

将「だから!」

瑠璃「皆で笑って!」

華「…お別れしよう?」


紗希「…今まで、ありがとう、そして







これからも、よろしくね!








数年後


ドタドタ


紗希「朝から忙しいわね」

華「今日から大学生だ!」イエーイ

紗希「…変なのに絡まれないようにね、うちの大学変なの多かったから」

華「気をつけるよ!」


イッテキマース!


紗希「…たまには神社にお参りしようかな」

〈神社〉


紗希「…厄神様、元気にしてる?」

紗希「…おじちゃんはどうしてる?」

紗希「…聞こえてるかな?」

紗希「…」

紗希「…んじゃ、仕事行ってくるね」





元気だよ!






紗希「…!」

紗希「空耳…?」

紗希「…」


紗希「ありがとう、厄神様…」ニコ

…終わりなのじゃ。


…ここまで読んでくれてありがとうなのじゃ。
これでこのお話は終わりなのじゃ。

裏話

・遼ちゃんを出すか迷っていた。

・大学生Fは偶然の産物。

・一応舞台は千葉。



反省点

・クスバナヒメとクスセリビメを間違えてたこと。

・篤史と広志を間違えていたこと。

・急なラブコメ、無理矢理な展開。

・お化けを登場させると、死の概念がどうでも良くなってくること。

・愛宕神社の祭神はアメノウズメだと思っていたこと。



…我が初SS。

楽しんでいただけたでしょうか。

新しい作品がかけたらまた、投稿するのじゃ。

また、いつか何処かで会えたら嬉しいのじゃ。

…じゃあの。

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