【艦これ】吹雪「素敵な夢を見たんです」 (19)

提督「へえ、どんな内容だったんだい」

吹雪「それは……内緒です!」

タッタッタッタ

提督「なんだったんだろう……気になるじゃないか」



提督「それにしても、夢か……」

提督「そういえば、最近よく同じ夢を見る」

提督「何かの予兆だったり……漫画とかアニメとかでよくある展開だなこれは」

提督「眠りが浅いのかな」

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食堂

提督「みんな、夢は見るか?」

榛名「夢ですか?昔のことを思い出したりはしますが……」

榛名の顔が少し曇る。提督はやってしまった、と思った。榛名は先の大戦で壮絶な戦いののちに沈んだ
艦の一人であり、その思い出は明るいものとは限らない。

提督「この話はやめにしよう。せっかくの食事が冷めてしまうよ」

皆は食事を再開した。提督はやがて食事を終えると席を立ち、執務室に向かう。昼の休憩はもうすぐで終わろうとしていた。

部屋に向かう途中、提督はある艦娘に呼び止められた。

金剛「テイトク、夢に興味があるのデスかー?」

提督「まあ、ね」

金剛「それはなぜ?」

提督は最近同じ夢ばかりみるのだ、という話を金剛にもした。

金剛「それは……深く考えないほうがいいと思うネー」

提督「そうだね、そうすることにしよう」


しかしながら、その日の夜も同じような夢を見た提督は、その夢を気にせずにはいられなかった。
そしてさらに気になることに、その夢にだれか人が登場していたような気がする。

提督「だれなんだろう、あの人影は。誰か見慣れた人のような気がするんだが」

「提督?どうしたんですか?」

提督「ん?ああ吹雪か」

吹雪「吹雪です!なにか悩んでおられたようですが……」

提督「いや、なんでもないよ」

夢とは不思議なものである。
その中では時間がゆっくりなような気がするし、かと思えばめまぐるしく時が流れることもある。
現実感がまるでないふわふわとした夢を見ることもあれば、とてつもないリアリティで見るものを飲み込まんとする夢もある。

提督の夢は、圧倒的な現実感を伴ったものであった。

大淀「何を考えていらっしゃるのですか?」

提督「ああいや、すこしね」

大淀「最近ぼうっとしていらっしゃることが多くなりましたよ?大丈夫ですか?」

提督「大丈夫大丈夫。それより何の話だったっけ」

大淀「はい、この鎮守府の地下に空洞が広がっているという話です。駆逐艦の子たちが地下深くへと続く階段を見つけまして」

提督「それで地下室を発見した、と」

大淀「はい。そのような地下室は他のも無数にあると思われます」

提督「この鎮守府はもともと陸軍の研究所があった跡地にあると聞く」

提督「それの名残りだろう。まったく、何に使ってたんだか」

夢の中が現実味を増していく一方で、現実が逆にぼやけていくような感覚を、提督は感じていた。
そんなことはありえないとわかっているものの、どこか不気味な感じがする。

吹雪「もう!そんなにつつかないでください」

提督「ああいや、反応が面白くてな、つい」

艦娘をつつくと感情のある反応をする。それが逆に自分はここで生きているんだ、と提督に思わせていた。

ある夜、金剛が部屋までやってきた。

提督「どうしたんだ、金剛」

金剛「提督、話があるの」

提督「なんだ、お前。口調が普通になってるぞ」

金剛「私はあなたを愛してる」

提督「うむ……それは日頃の振る舞いから察せられるが」

金剛「貴方はどうなの」

提督は金剛のただならぬ様子に気圧されながら、何とか言葉をつなぐ。

提督「ああ……好いてくれるのはうれしいし受け入れるのもやぶさかではないとは思うが……」




金剛「なら、今私と一緒に死んで」

金剛は懐から黒光りする南部式拳銃を取り出し、それを提督の頭に突きつけた。

提督「……どういうことだ」

金剛「提督は、夢と現実の区別がつく?」

提督「……それくらいは、つくさ」

二人を大きな窓から差し込む月明かりが照らす。

金剛「じゃあ、今生きているこの世界が、夢じゃないと言い切れる?」

提督「お前は何を言って……」

提督がそれを完全に否定するには、あの夢の世界はリアルすぎた。

金剛「私が引き金を引けば、この世界が現実なら貴方は死ぬ。そしたら私も死ぬわ」

金剛「この世界が夢なら、貴方は夢の中で死ぬ。脳が夢の中であっても死んだと認識するのなら、現実のあなたも死ぬこととなる。何現象といったかしら。
そうなったら私はあなたの認識から消える。死ぬのと同じよ」

金剛「私を愛してくれるなら、一緒に死んで」

金剛はゆっくりと引き金に力をかける。

金剛は突然膝から崩れ落ちた。提督には何が起こったのかわからなかったが、金剛が倒れたその後ろに吹雪が立っているのを見て、事情を呑み込んだ

吹雪「提督、大丈夫ですか?」

提督「!……ああ、大丈夫だ」

吹雪が金剛を気絶させたのだ。吹雪は気絶させた金剛をソファーに寝かすと、提督のほうを向いた。

吹雪「金剛さん、どうしたんですかね。あんなこと言って提督を殺そうとして……」

提督には、吹雪が思ったより落ち着いているさまが奇妙に映った。普段の吹雪ならもっとあわててもいいはずだ。
しかし、吹雪はあくまでも落ち着き払った様子で提督に向かって口を開いた。

吹雪「提督、私はあなたを愛してます。たぶん誰よりも深く」

提督「!!」

吹雪「あなたを独占したいと四六時中考えていました。自分の手中に収めて私に依存させたい。そんなことも考えていました」

吹雪「そして、それを実行に移しました」

提督「待って、それはどういう……」

こと、といい終わる前に吹雪は深い口づけをしてきた。
一緒に異物を流し込まれる。
提督はそれを呑み込んでしまった。

吹雪「なのに、提督は夢の中に逃げちゃうんだもん。だからこうして、目を覚まさせてあげるんです」

提督「何を飲ませた!」

吹雪「ただの睡眠薬ですよ。艦娘用の強力なやつですが。人間に投与したらずっと目が覚めません」

吹雪は提督の耳に顔を近づけると
静かに、そして、妖艶に囁いた
これからも、ずっと、ずっと
そばにいてあげますからね
心配、しないでください
愛ならたっぷり注ぐし
ごはんもしましょう
地下は窮屈ですが
二人の生活には
事足りますね
愛してます
これから
永遠に
一緒

目が覚めると提督はいつもの地下室にいた。
ランプの光が静かに揺れている。

提督「なんだか、長い夢を見ていたような気がする……」

やがて吹雪が部屋に入ってきた。重々しい鋼鉄の扉がこの時だけは開き、笑顔の吹雪がベッドから動けない提督の元へと歩いてくる。

吹雪「夢、見てたんですね」

提督「ああ。だけど内容はさっぱり覚えてないよ」

提督「吹雪はどう?夢とかは見ないの?」

吹雪、提督をこの部屋に監禁した当人は、光のない眼で提督を覗き込んで、嬉しそうに言った。






吹雪「私にとっては、提督とずっと一緒にいられるこの時間が、素敵な夢のようですよ」



終わりです
ハッピーエンドのものを書くのは久しぶりだったので緊張しましたね

しまった、sage進行してしまった

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