勇者「本当にこのままで良いのか・・・」(21)

勇者(王様に言われるがまま旅に出た・・・。)

勇者(たくさん魔物を倒して強くなったし、頼もしい仲間もできた・・・。)

勇者(しかし、魔物は倒しても倒しても出てくるし、魔王を倒しても人間と魔物の関係が改善されるとは限らない)

勇者(このまま旅を続けても無駄なのではないだろうか・・・)

戦士「勇者ー。何してるんだ?置いていくぞ?」

勇者「ああ、悪い、少し考え事をしていてね」

勇者(・・・今、考えていても仕方がない・・・か)

宿屋にて

勇者「戦士、ちょっといいか?」

戦士「どうした、勇者?」

勇者「本当にこのままで良いのか・・・」

戦士「は?何が」

勇者「いや、魔王を倒す事だけが世界を平和にするのかなって思って」

戦士「魔王といえば悪の権化だろ。倒さないよりは倒した方がいい」

勇者「いや、魔王を倒しても魔物と人間の関係が良くなるとは限らないだろ?」

戦士「・・・何が言いたいんだ?」

勇者「もっと根本的な解決方法があると思うんだ」

戦士「王様が魔王を倒せば平和が訪れるって言ってたんだ。まずは魔王を倒す。それから考えればいいんじゃないか?」

勇者「そうか・・・」

翌日

勇者(・・・朝か。)

戦士「起きたか、さあ、旅を続けようぜ!」

勇者「ああ、・・・でも」

戦士「・・・どうした?」

勇者「いや、なんでもない、行こう」

戦士「おうよ!」

まもののむれが あらわれた!

戦士「おりゃっ!」 ガスッ

勇者「ていっ!」 ザシュッ

魔物「ピキーー」

たたかいに かった

戦士「楽勝だったな」

勇者「・・・ああ。」

戦士「歯切れ悪いな」

勇者「いや・・・な」

戦士「なんだよ、昨日のことをまだ考えているのか?」

勇者「・・・戦士は、魔物を倒した後どう感じる・・・?」

戦士「そりゃ、嬉しいにきまってるだろ!レベル上がったらなお、だ」

勇者「俺は・・・少しは嬉しいよ、けど、それ以上に・・・」

戦士「・・・悲しいとか?」

勇者「それもあるけど。どちらかと言えば、虚しいんだ」

戦士「虚しいって・・・」

勇者「魔物だってさ、生きているだろ?」

勇者「家族だっているだろ?必死なんだよ、きっと・・・」

勇者「毎日働いて、遊んで、子供を育てたりして・・・」

勇者「そんな中に、突然やってきた人間が全て奪っていくんだ」

勇者「それまでのこと、なにも知らない奴がさ、嬉々として襲い掛かってくるんだ」

戦士「・・・それは、魔物だって同じじゃないか」

勇者「ああ、だからこそ、だよ」

勇者「このままじゃいけない、そんな気がするんだ・・・」

勇者「魔物だって生きる為に人間や、他の魔物と戦う」

戦士「じゃあ魔物に人間が襲われてもいいって言うのかよ!?」

勇者「いや、それはダメだけど・・・」

戦士「ならいいじゃないか、先に進もうぜ」

勇者(・・・魔物だって人間と同じなのにな・・・)

勇者(どうすればいいんだよ・・・)

戦士「おっ!町だぜ!さあ、宿屋にゴーだ!」

勇者「ああ・・そうしよう」

戦士「・・・っとその前に、勇者、一つ言っておくぞ?」

勇者「?」

戦士「俺たちの目的は魔王を倒す事だ。それ以外のことは考えるな」

戦士「ただ王様の命令に従えばいい」

戦士「さ、宿屋にゴーだ!」

勇者「・・・ああ・・・」

宿屋にて

戦士「いやー、今日も一日よく頑張ったなー」

勇者「ああ、明日もこの調子で行こう!」

勇者(本当にこのままで良いのか・・・)

勇者(今は考えてもしょうがない、魔王を倒すその日まで、旅を続けるだけだ)

戦士「あっついなー・・・さすが砂漠・・・」

勇者「ああ・・・倒れそうだよ・・・」

戦士「もう水ないのか・・・?」

勇者「大切に飲めよ・・・・」

戦士「わりぃ・・・サンキュー・・・」

まもののむれが あらわれた!

まものは こちらにきづいていない!

戦士「おっ・・・ラッキーだな、このまま攻めるぞ」

勇者「・・・ああ」

勇者(・・・彼らにも、生活が、家庭が、幸せが・・・・)

勇者(良いのだろうか・・・?本当に良いのだろうか・・・?)

ガスッ

魔物「キキキー・・・」

戦士「おっし!・・・運動したら余計暑くなってきた・・・」

勇者「・・・見逃して、やれなかったのかな・・」

戦士「何いってるんだよ、見逃したら、また人間が襲われちまうんだぞ」

勇者「それは、そうだけど・・・・」

戦士「な、悪を倒す。それで十分なんだよ」

戦士「俺たちは正義なんだ、いいことをしているんだ」

勇者(正義・・・・)

湿地にて

戦士「じめじめしてるなー・・・いよいよ魔王城も近いか?」

勇者「・・・なあ、戦士」

戦士「なんだよ?」

勇者「もう、やめにしないか、疲れたんだ」

戦士「今日はまだ1時間しか歩いてないぞ?」

勇者「違う、この仕事・・・魔王退治だよ」

戦士「勇者、正義だ。忘れたのかよ?」

勇者「正義って、人間からしてみればの話だろ?」

戦士「魔物にとっては悪ってか?」

勇者「突然切りかかって、命を奪って・・・それじゃ魔物と同じじゃないのかよ?」

戦士「そうだけどよ・・・」

バサバサッ

戦士「そんなこと言ってる間に魔物のお出ましだぜ」

勇者「・・・」

ガスッ

魔物「ギィィ・・・」

戦士「ふう、勝ったな」

勇者「・・・俺は、どうすれば・・・」

戦士「正義だから、魔王を倒すんだよ。」

勇者「・・・」

勇者(なんなんだ・・・正義って)

勇者(いきなり襲い掛かる事が正義なのかよ)

勇者(正義はそんな簡単で、残酷なものなのかよ)

勇者(どうすればいい・・・どうすれば・・・)

戦士「また、考え事か?」

勇者「いや、正義、だよな・・・」

戦士「わかってるじゃねぇかよ、疑問なんて持つな」

勇者「ああ・・・」

神殿にて

魔物「ガァァァッ!」

戦士「きやがったな! よっと!」

カィン!

戦士「弾かれてやがる・・・チッ逃げるか」

戦士「勇者、いくぞ!」

勇者「あ、ああ・・・」

勇者(倒す事にならなくて、ホッとしたなんて、言えないよな)



戦士「・・・あのよ、いい加減にしてくれ」

戦士「最近ボーッとしてばかりでさ、なんだよ」

勇者「・・・ごめん」

戦士「お前が考えてる事も分かる。だけどな、今は魔王だ」

勇者「・・・・」

戦士「魔王を倒す。考えるのはそれだけでいいだろ」

戦士「俺たちは正義の味方なんだよ、魔王は悪。正義と悪は敵対するんだ」

勇者「そんなに簡単なのかよ・・・」

戦士「敵対するもの同士が戦うのは必然だ」

戦士「敵に勝つ為に全力を尽くす。当たり前だろ」

勇者(当たり前・・・なのかよ・・・)

戦士「だからよ、しっかりしてくれ、戦ってくれ、正義の味方。勇者!」

勇者「正義の味方・・・」

戦士「ああ、戦うんだ、勇者!正義だ!俺たちは正しい!」

勇者「戦う・・・」

戦士「戦うんだよ!魔王は悪!正義と悪は戦う運命なんだ!」

勇者「戦う運命・・・」

戦士「そうだ!運命なんだよ、避けられないんだよ!」

勇者「・・・・」

魔王城入り口にて

戦士「これが最後の戦いか・・・」

勇者「長かったな・・・」

戦士「ああ、正義と悪の決着も近い・・・!」

勇者「・・・俺たちは、正義!正義なんだ・・・!」

勇者(だから、何も考えるな、魔王は悪)

戦士「・・・いくぞ!」

勇者「ああ!」

魔王城にて

魔王「来たな・・・勇者・・・」

勇者「魔王!正義の味方がお前を倒しにきた!」

戦士「覚悟するんだな!」

魔王「ククク・・・我に勝てると思っているのか・・・?」

勇者「でも、正義は勝たなければいけない!」

戦士「正義が勝つのは当たり前なんだよ、悪。」

魔王「クク・・・戦えば分かる事よ・・・」

勇者「いくぞ!」

―――

ゼェゼェ・・・

魔王「やるな・・・勇者・・・我の負けだ・・・」

勇者「ああ、正義は勝つんだ」

戦士「やったぜ!・・・疲れたな・・・ハァ」

魔王「だが・・・我無くとも・・戦いは続くのだ・・・」

勇者「正義は勝った。正義は勝った。正義は勝った。」

勇者(俺たちは正義。これで良かったんだ。これで)

その後・・・・

王様「大変じゃ!」

勇者「何事ですか!?」

王様「別の世界から『魔王』と名乗るものがこちらの世界にやってきた!」

王様「さあ、『正義』よ、いくのじゃ!『平和』のために!」

王様「手段を選ぶ必要は無い!われわれは正義だから!」

                                完

まさか紹介されないとは思いますが、読み返してみて、あまりのクオリティーの低さに驚いたので、
紹介、転載無しでお願いします
このまま流してください。

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