女「あなたの子供が産みたいの・・・」(152)

1970年代 ヨーロッパ先進国において、初めて「少子化問題」という言葉が使われ始めた。

高学歴社会に端を発した女性の高学歴化。

また、それによる女性の社会進出と就業率の増加。

女性の就業率造花は、間接的に男性の就業率へ影響していた。

それに伴う、非婚率の増加。稼ぎの無い男に用はない。

そして、非婚率に反比例するように低下を始めた出生率の低下・・・・・。


1980年代 先進国全てにおいて「少子化問題」が取り坐刺された。

比較的緩やかではあったが、出生率の統計結果に各国首脳部は難色を示す。

しかし、女性のライフスタイルの変化や時勢を反映した現状を打開することは難しい。

各国は躍起になって、自国の法令整備に乗り出した。法律でなんとかしようとした。

その流れは、「とある日」を境とするまでは続けられた。

扶養家族に対する多額の税金の投入。移民の受け入れ。

生活必需品のみへの税金の撤廃。

人は人が暮らし易く、恒久的に繁栄するためのシステムや仕組みを作ろうとした。

思惑はそれぞれの国・政治家にあった。

純粋に、恒久的な人類の繁栄を願っての行為。

純粋に、人口増加による経済活動の活性化を目論んでの行為。

ただ、雲ひとつなく一点の共通点は同じ。人口増加。

今となっては、少なからず問題を抱えてはいたが、それなりに有効な手立てであったと言えるだろう。

だが、もう遅い。気付くのがあと、10年早ければ・・・・いや、変わらないな。

2053年 人口調整が軌道に乗り始める。

先進各国における出生率は、2000年前後の1.0~1.5だったものが、ついに1.9~2.3にまで上昇した。

経済活動は活発化し、人類の未来は約束されたように思われた。

だが、事件は起こる。

2195年 太陽からの、人類史上最大級の巨大フレアが地球を襲った。

フレアによる電磁波対策として、安全率30が施された地球軌道上の人工衛星は、全てただの鉄の塊になった。

そして、太陽フレアから生物を守ってくれていた地球も、その許容量をオーバー。

地球上の生物に異変が起こり始める。

2218年 「あの事件」から23年が過ぎた。生物学者たちは学会にて恐ろしい論文を発表した。

ここ15年間での、出生持の性別だ。

男1に対し、女1が理想だが、15年のデータでは、男1に対し、女200であった。

すぐに、各国において検査が開始されたが、予想通り全人類の染色体に異常が確認された。

女性200人に対して、男性1人の世界が、今から半世紀後には普通の世界になる。

科学者たちは、必死になって染色体異常の修復作業と原因究明にあたったが。


3043年 男宅

男「いってきまーっす!」

母「いってらっしゃい♪」

俺は、大学2年の男。学部は工学部。趣味は・・・特になし、色々ってところか。

いつものように電車に乗って大学へ向かう。



アナウンス『男性専用シートは、最後尾車両にございます。女性の方は・・・・』

男「最後尾って、いっつも遠いんだよなぁ・・・・」

プシューッ

すたすたすた・・・・

友1「よっ!」

男「よぉ!なんだお前、今日はやたらとお洒落だな。なんかあんのか?」

友1「聞いて驚けぇ~・・・合コンだ!」

男「マ、マジかよ!マジで合コン!?」

友1「悪いなぁ、男。お前より一歩リードだ!悔しかったらお前もがんばれよぉ~!」

男「と、友1が・・・合コン・・・・・この世の終わりだ・・・・・。」

友1「何言ってんだよ!俺だって相当苦労したんだぞ!」

友1「友達の従妹の友人とか、親戚の友達とか!もう、かなり疲れたぜ・・・」

男「その力を勉学に活かせよ、このスケベ野郎が!」べしっ

友1「いてぇなぁ、何すんだよぉ・・・・」

男「いっつもテストでカンニングさせてやってる、俺の気持ちも察しろ。ばーか。」

友1「い、いやぁ・・・いつもお世話になっておりますです・・・はい・・・・」ぺこぺこ


ガタンゴトン・・・ガタンゴトン・・・・・・

友1の言う、「合コン」という奴は、今は本来の意味を失って一人歩きしていると聞いたことがある。

確か、小学生の時だったか・・・・

「おい、男!知ってるかぁ?合コンって言葉!」

男「ごうこん・・・?なんだそれ?」

「なーんだ、しらねーのかよ?じゃあ教えてやるよ!」

「合コンってのは、男がいい女を漁る事なんだよ」

男「あ、漁るって・・・・」

「成人したら、できるようになるらしいぞ?お前も今のうちに目星付けとけよ!」


ガタンゴトン・・・・ガタンゴトン・・・・・・

男「目星・・・ねぇ・・・・・」

友1「その娘がさぁ、こう・・・なんつーか、すんげーかわいくてさ、小動物みたいなんだよ!」

友1「って、おい。聞いてんのかお前・・・・」

男「すまん、聞いていなかった。」キリッ!

友1「・・・・ぶっ飛ばすぞ。」

男「い、いやだなぁ・・・暴力反対・・・・・・」

プシューッ

すたすたすたすた・・・・

ol「はぁ・・・・えっ、あれ!?こ、ここ男性専用車両・・・・!」

ol「ご、ごめんなさいごめんなさい!!」たったったったった ガラガラッ

友1「ほぉ・・・ドジっ子ちゃんも捨てがたいなぁ・・・・・う~む・・・・・・・」

男「(なんか・・・・・・・変だ)」

男「(なんだろう・・・歳を取るに連れて、女性の態度や視線が気になる・・・・・)」

男「(思い過ごしだろうか・・・でも、この状況じゃ仕方無いなんだろうけど・・・・)」

男女比、1:200

それは、1000年以上前に使われていたっていう、男尊女卑っていう言葉、そのままの状況を作り出してる。

それも有り得ない程のレベルで・・・・。

大学敷地内

女子大生1「おはようございます、男様。」

女子大生2「今日も良いお天気ですね。男様。」

男「お、おはよう・・・・」

男「そうだね、今週いっぱいは晴れるそうだよ。」

苦手だ・・・誰かも知らない女の子に名前と顔を覚えられ、ましてや謙りながらの『様』付け挨拶・・・・。

教室に着くまでに一体何人の女の子と挨拶をしただろうか・・・・・。

今度カウントして、一番少ないルートを使おうか・・・。

友1「何考えてんだ、男?まだ俺の合コンのこと羨ましがってんのか?ん?」

男「違うって。なんか、こう・・・・わかんねぇことがあってな。悩み事だ。」

友1「なっ、なに!? 悩み事・・・・友人として、親友として!お前の悩みを!!」

男「いや、お前には一生理解されない悩みだから断る・・・・」

友1「つれないこと言うなよ、な?な?」キラキラッ

男「・・・・言いたくなったら言うよ、だから今はそれで我慢しろ。ほら。」

友1「ち、知恵の輪・・・・!これが。悩みかっ!!俺が解いてやる!!」カチャカチャカチャ・・・・

男「(金属疲労、そろそろ限界か?すまんな、知恵の輪よ・・・毎回使わせちまって・・・・・)」

友1「このっ!このっ!!」

友1「やっと終わったぁ・・・。さぁて昼飯にいくぞ!」

男「そうだな、よいしょっと・・・」

食堂

パネル『男性専用食堂はこちら⇒』

友1「さぁってと、どれにしようかなぁ~」

「はい、bランチですね。」

男「(男ってだけで、全てがタダ。座席も・・・・)」

「やだ、足折れそうだよこの椅子・・・。他の無いのかな?」

「こ、今月ピンチでさぁ・・・うどんしか食べれないかも・・・・・」

男「(それに比べて男の席は・・・・)」

友1「ん~、美味い!それにこのファーストシートのような座り心地は、もう離さないぜぇっ!」

男「(男女差別・・・・になるんだろうか・・・・?)」

男「(いや、違う。これは裏返しだ!俺達男を飼いならす為の裏返し!何か・・・何かある・・・・・)」

午後5時

友1「へっへっへ、じゃあ行ってくるぜ!」

男「本当に羨ましい限りだ。まぁ、せいぜい玉砕してこい。」

友1「うっせー!すんげー可愛い子ちゃんゲットしてお前に見せびらかす!」

男「はいはい、お気をつけてねっと・・・・」すたすたすた

友1「へへへ、じゃあなー!」すたすたすた

男「ふぅ・・・大分浮かれてるな、アレは。」

女「あの。」

男「ん?どうしたの?」

女「あっ、えっと、いえ・・・コ、コレ・・・・・」すっ

彼女が持っていたのは、俺のパスケースだった。

ポケットから手を出した時に落としたのか・・・

女「お、落とされませんでしたか?」おどおど

男「あぁ、ごめん。俺のだ。落としてしまったみたいだね。」

男「拾ってくれてありがとう。」すっ

女「い、いえ・・・・そんな・・・・・・(照)」

じと~

じと~

じと~

女「はっ!へっ!?へっ!? あっ、えっと、失礼します!!」たたたたたた

男「なんだ、あの子・・・・」

ガタンゴトンガタンゴトン・・・

男「で、どうだったんだ・・・・って俺から切り出してる時点でもう結果分かるけどさ」

友1「・・・・・・・ぐすん」

男「元気出せよ。ほら、知恵の輪。」

友1「アホか・・・・えぇい、次はあのセッティングで行く!!」

男「そ、そうか・・・色々用意周到だなお前は・・・・・」


昼休み 食堂

女「え、えっと・・・これかな・・・でもお金あんまり無いし・・・・ど、どうしようかな・・・・・」

男「ん?あの子は昨日の・・・」

男「ねぇ、どうしたの?」

女「へっ?ふぇぇ!?あっ、あぅっ・・・えとえっと・・・・あのあの・・・・・」

男「悩んでるんだね。食券選ぶの。」

女「は、はい・・・・」

男「ん~、じゃあ・・・和風か洋風か中華、今は何が食べたい?」

女「わ、和風です・・・・」

男「じゃあ、鯖定食だね。鯖は好き?」

女「えっ、えっと好きですけど・・・・その・・・・・・」

男「じゃあ決まりだ。」ポチッ ポトッ

男「はい」すっ

女「えっ・・・・?」

男「昨日のお礼、してなかったしね。君が拾ってくれてなかったら大変だったんだからね?」

女「い、いえ・・・私、そんな・・・・・」

男「四の五の言わずに、人の善意は受け取りなよ。ほいっ。じゃあね!」すたすたすた・・・

女「・・・・・・・」


男宅

男「はぁ、今日も疲れたなぁ・・・」ピッ

ニュース『染色体の異常については、研究が進んでおらず。先日の大規模プロジェクトも空中分解に―――』

ニュース『そもそも、女性の本質的な部分を見るならば・・・』

ニュース『他者と協力し合って1つの目的を達するということ事態が難しく―――』

男「また評論家気取りが好き勝手言って・・・」

30年前から現在まで、世界中どこを探しても戦争や紛争は無い。

ヨーロッパ諸国でのデモでさえ行われない。

これはとても良い事だ。人殺しの無い世界。言い争いの無い世界。

評論家の言葉を借りるなら、『女性は表面ばかり気にして、本質を見抜けていない』

『非常に利己的であり、そして刹那的。よって人類は緩やかに死に絶える』ということらしい。

その瞬間だけ楽しければ良い、という感情は分からなくもないけれど

何もそこまで言う必要があるだろうか・・・女性の中にはちゃんと未来の事を考えている人だっているはずだ。

しかし、政治家による国会中継は観ていてストレスが溜まる。

繰り返されるのは、ただの罵りあい・・・というよりは、ほとんど発狂している。

発言内容は相手のスキャンダルばかりを槍玉に上げるものばかり。

法案の成立どころか、ただの意地の張り合いだ。

そして驚くべきは、国会中継が他番組に比べダントツで視聴率1位であることだ。

他人の不幸は蜜の味・・・なのだろうか。俺はとてもじゃないが観ていられない。

男が優しさの下に凶暴性を持っているように、女は美しさの下に狂気を持っている・・・。


俺は動画サイトで1000年前の国会中継動画を観た。

まともな議論が繰り返される。表面上取り繕っているとは言え、皆必死なのは伝わってくる。

バックにいる『スポンサー』達のご要望に答えつつ、国民を納得させる為の詭弁や言い逃れを使う。

こっちはこっちで退屈だが、今のものよりはマシだ。目的がはっきりしていて、清々しい・・・。


テレビに目を向ければ、目的も無く罵り合う女性議員達と女性首相。

バラエティも・・・人の不幸を笑うものばかりだ。イカレてる。世界がおかしいのか、俺がおかしいのか。

男「もう何が良くて悪いのか、分からなくなっちゃったな・・・・寝よう。」

俺は、机の上に置かれた小さな封筒を気にも止めず眠った・・・。

昼に起きる。今日は授業が4時限目からだ。昼飯を食って大学へ行こう。

その前に・・・茶封筒だ。

ビリビリビリッ・・・

男「そうだろうと思ってはいたが・・・またか・・・・。」

国連からの直接指示による『身体検査』

男「俺の精子にしか興味が無い癖に・・・・」

しかし、断れば懲罰だ。俺は大学へ行けなくなる。

男と言うだけで国からは多額の援助金が出る。生まれながらにして、国家公務員と言ってもいい。

1ヶ月に付き、年齢×10万が自動的に口座に振り込まれてくる。

だが、ほとんど使ったことが無い。せいぜい50万程度か。

そしてそれと引き換えに、俺は年に1度『身体検査』という名の下に・・・・。

まぁいい、とりあえず大学へ行こう。

おもしろい 素直に引き込まれる内容。支援

ガタンゴトン・・・ガタンゴトン・・・・・

俺は、過去1000年前から現在に至るまでの動画をインターネットでよく観る。

ニュース映像や、バラエティ番組、ミュージック・・・・

そして3年前に気付いてしまった。

『今と何も変わらない』

変わってはいる。男女比、地球温暖化、ニュースの内容・・・それは自然と変わるモノだ。

しかし、不自然なほど変わっていない部分がある。

ネットに例えるなら、当時はダイヤルアップ回線から、isdn、ケーブルtv、adsl、光ファイバー、と・・・

驚異的なスピードでインターネット速度は上昇し、2020年には1000mb回線が主流であった。

そして、それから1000年経った3034年現在。

インターネットは、まだ光ファイバーの1000mbが主流だ。

自動車も電気自動車。発電方法もソーラーパネルや地熱、海流温度差発電・・・。

技術が進歩していない。いや、技術だけじゃない。変化はあれど、『進歩』が観られない。

新エネルギー開発機関への援助の拒絶に始まり、社会における開発職員数の低下。

女性とは、なぜこんなにも現状維持を大切にするのだろうか。冒険心や好奇心は無いのだろうか・・・。

進歩無くして、繁栄は有り得ない。

このままでは本当に、人類は緩やかな死を迎えてしまう・・・。

そしてそれを先導する国連代表メンバーは、全て女性だ。

男「詰んだ、な。」

俺は、窓辺に肩肘を付いて、ファーストシートのような椅子に沈み込むように持たれ掛かった。

「おはようございます、男様。」ぺこり

男「おはよう・・・」

「男様、おはようございます。」

まるで神様、仏様だな。昔、若い女が持てはやされたのとは逆転している。

逆転、してそのままの勢いでぶっ飛んだ印象だが・・・。

彼女達の眼は真剣だ。俺に顔を覚えてもらって、いつかは・・・・そう思っているのだろう。

恐らく、俺は彼女らを抱くことになる可能性は相当高いだろう。

義務付けられていることを守るなら・・・・

男は、最低でも50人と結婚しなければならない。

また、結婚した人数の数、生まれた子供の数だけ補助が出る。

子供が女なら500万。男なら1億。

まさにギャンブルだが・・・・。

クローンのじゃがいもを食べることを嫌うのが女性だ。

人工授精にまで手を染めるつもりは無いらしい。背徳感による衝動だろう。

教室

男「・・・・・また玉砕、か。」

友1「か、数撃ち当たる、だぜ・・・・ははは・・・・・はぁ・・・・」

男「相当参っているようで申し訳ないが、自業自得だな。高望みし過ぎだ。」

友1「やっぱりそうかなぁ・・・・逆玉ばっかり狙うの・・・・・・」

男「顔と金が絡めば、男と言ってもそれ相応の実力が必要だろう。」

友1「まぁなぁ・・・・・」

こいつの行った『合コン』というのは、昔の合コンではない。

男1人に対して女性が複数名で行われる。それも普通のお付き合いでは無い。

結婚を前提としたお付き合いだ。家や、家柄同士では国が絡んでくる程の・・・・。

友1「手短にネットで調べて、一度結婚しようかなぁ・・・・」

男「悪いことは言わない、止めておけ。1発目が終わってると、次からもう似たようなのしか・・・」

友1「だよなぁ・・・・」

男「大学で捜せばいいじゃないか。掲示板に貼ってあるだろ、合コン男性募集の掲示。」

男「サークルごとでやってるっぽいが、関係者じゃなくてもいけるだろうし」

友1「そうだな、それで・・・とりあえず済ませてみるか・・・・・・」

男女比の乖離により、男性向けの風俗店舗は全て潰れてしまった。

いや、潰されてしまった。女性議員達の圧力だ。

しかし、逆に女性向けの風俗店というものが登場し、レズでお姉さんな性格の方々ががんばってらっしゃる。

パチンコやタバコ、ギャンブルは費えていない。今まで男の目を気にして、手を出さなかった女性が急に手を出した。

ハマる人が続出し、結果的に客の数は昔の水準と変わっていない。

「タバコは匂いが嫌なの・・・・」 などと可愛い子振っていたのは、大抵嘘だったということだ。

ssのsfか……ふむ

昼食

女「あ、あの・・・こんにちは・・・・」

男「あぁ、昨日の。こんにちは。」

女「え、えっと・・・昨日のお礼が言いたくて・・・・」

男「いいって、こっちがお礼し足りないくらいだよ。鯖定食、おいしかった?」

女「は、はい!生まれて初めてあんなにおいしいものを・・・・あぁっ、何言ってんだろ私・・・・」あたふた

男「まぁ、そんなに気にしないで。それじゃあね。」すたすたすたっ

女「・・・・・・」じー

女「あの!」

男「ん?どうしたの?」

女「私、女って言います!よろしくお願いします!」ぺこり

男「あっ、あぁ・・・俺は、男。よろしくね。」

女「はい!また、どこかでお会いできれば嬉しいです。では!」すたすたすた

男「(急に元気になったかと思ったら・・・なんだったんだろうか?)」

男「(まず間違いなく・・・狙われた、かな。恩返しも過剰だと相手に隙を作るのか。以後控えるか)」

その日から端を発したように、女の猛アタックが続く。

女「男様!お口に合うか分かりませんが、ク、クッキーを作ってきました!」

女「男様!肩にゴミが付いています!!」

女「男様!寝癖が!」

女「男様!男様!男様!男様!・・・・・・・」

女「男様!靴紐がほどけそうになって!」

男「女ちゃん。ちょっといいかな?」

女「ふぇ?は、はいっ!」

俺から話題を切り出すのは初めてだ、かなり緊張しているようだな。

男「俺は子供じゃないから、そんなに頻繁に構われても困っちゃうよ。」

男「多少ずぼらな方が俺は良いんだ。」

女「お、お嫌いになられましたか・・・・?」うるうるうるうる

ここで泣き落とし作戦かよ!この女、わざとやってるのか天然なのかわからん・・・・。

男「嫌いになんてならないよ?ただ、ちょっと過剰だなって思っただけだよ。」

女「はいっ!じゃあこれからも私、男様の為に・・・・・」

男「分かってないだろ、女ちゃん・・・・」

しかしこの女、やたらとかわいいな。家に帰ったらデータベースで情報を集めてみるか・・・。

女、家柄aaa+、父 トヨダ自動車社長、母 裁判長、1人娘

ふむ、これは棚から牡丹餅、っていうのか?こういう場合。

うちの大学にいる連中と比べても、頭2つほど飛びぬけてるな。

家柄は、maxがsss。これは、両親共に首相レベルじゃないと無理だ。

両親弁護士辺りで、ようやく家柄aが付く。

この女を引っこ抜けば、まぁ今後の人生遊び放題、ってところか。

男「はぁ・・・・玉の輿を狙う女の気持ちが分かったぜ。こりゃギャンブル並みに楽しいな。」

男「だが、あまりいい気分じゃ無い。でも、あの子はあんなに良い子なんだよなぁ・・・・・」


∥ω・)え?

社長令嬢?

男「はぁ・・・・あぁ、身体検査、明日だったか・・・・・。」

男「風呂に入って体を綺麗にしておかないと・・・なんだかなぁ・・・・」がちゃっ バタン

医大 男性検診棟

女医「はい、ではまず上着を全て脱いでくださいねぇ」

男「はい・・・」シュルシュル・・・

周囲には看護婦が5人。俺を取り囲むようにして立っている。

そして、現都議会議員の1人が立会いを行う。

見世物小屋に入れられた動物のような気分になる。

女医が聴診器を俺の体に当ててくる。

女医の眼がうっとりと俺の胸筋を見つめる。

こいつ本当に診察してるのか?

周りの看護婦達の鼻息も荒い気がする・・・。

上半身の診察は終わり、次は下半身だ・・・。これが終われば今日は解放される。

そして、検査されるのは足じゃない。股間だけだ。

女医「では、これから腹部の診察を行いますので、よろしいですね?」

男「はい・・・」

俺はベッドに横になり、看護婦の中からひとりを選ばさせられる。

別に誰でも良いが・・・可愛い子の方がいいに決まっている・・・・・。

俺は女医に耳打ちするように言う。

男「右から3番目の俯いている子」

女医「はい♪じゃあ、皆さん次の方の診察へ行きましょう。」

看護婦「こ、こんにちは・・・・え、えっと・・・初めまして・・・・」

男「初めまして。大丈夫?ずっと俯いてたけど。」

看護婦「あっ、えっと・・・男性の裸見るの初めてで・・・・それに、これも・・・・・」

男「そうだったのか・・・じゃあ、お願い。」

看護婦「は、はい・・・・失礼します・・・・・・・」シュルシュル・・・・

俺は今からこの子に射精させられる。手こきか、フェラか、パイズリか・・・・。

恐らく手こきだろう。前回もそうだった。

まずは、長さの測定に入る。当然ながら勃起時の長さだ。

看護婦は少し服をみだれさせ、襟元を肩まで広げ、胸の谷間を見せながら俺の股間の上に跨る。

まず、睾丸のサイズ測定が行われ、その刺激で勃起したペニスの長さを測られる。

看護婦「え、えっと・・・これで、その・・・・・」

男「あぁ、一番大きい状態だよ。」

冷たい定規を当てて、俺の長さを測る新米看護婦。ふむ、興奮するな、これは・・・・。

13cm、至って普通。

看護婦「では・・・いきます・・・・・・」すりすり・・・

男「うっ・・・・・!」

ある程度のテクは教わっているようだ。手こきが始まった・・・。

看護婦「痛くありませんか?」シコシコシコシコ

男「大丈夫だ・・・続けてくれ・・・・・・」

看護婦の顔が高潮している・・・・何か、おかしい。

この子、もう片方の手でオナニーしている・・・。

看護婦「はぁはぁ・・・男さん・・・・良い体してますね・・・・ぺろぺろ・・・・」シコシコシコ

男「こういうのも悪く無いな。変態看護婦さん?」くりくり

看護婦「んはぁっ!ち、乳首をいきなりぃっ・・・・」びくびくっ!

かわいい顔しているが、とんだ淫乱だな。一体何人の男の前でこんなことをしてきたんだか・・・。

男「あぁ、そろそろかな・・・・」

俺は事の看護婦に終わりを宣告する。看護婦はいそいそと足元から容器を取り出し・・・・。

看護婦「いっぱい出してください・・・・男さんのザーメンいっぱい、いっぱい下さいぃっ!」シコシコシコシコ ビクッ!!

容器に出された精子は、精密検査を受けて俺の健康状態を把握するための指針となる。

乱れた服を治しながら看護婦は俺のモノの掃除をしてくれる。フェラじゃない。ウェットティッシュだ。

これで検査は終わりだ・・・・疲れた。早く家に帰ろう。母さんが待ってる。

推敲して出版されたら買うわ
支援

男宅

母「お帰りなさい、男。」

男「ただいま・・・・」

俺の母は、美容整形外科の院長をしている。

それなりに名の売れた病院だ。

父は国会議員。今は、恐らくフランスで会合だろう。

ちなみに、父と結婚した女性は136名。ノルマをかなりオーバーしている。

さすがにエリートは違うな。もう、顔も思い出せないが・・・・。

そういう仕組みなのだから、仕方無い。恐らく、俺の異母兄弟は300人を越えるだろう。

母「今日はどうだった?変なことされなかったでしょうね?」

男「当たり前だろ。いつも通り、ただの検診だけだよ。」

あくまで表面上は身体検査であって、

精子の採取については機密事項になっている。

ただ、男性が情報をリークしたり、噂やデマが流れ、

さらに、それに尾ひれが付いてネットに流れている。

例えば、身体検査と言っているが、実は女医による性欲解消の温床になっている、とか。

採取した精子を裏で高値で取引をしている、などだ。

アホらしい・・・・だが、噂は止まない。

単純に好きなのだ。噂やデマが本当なのか・・・。

怖いもの見たさ、好奇心。色んな言葉に例えられる。

当事者である俺からすればアホ臭い話だ。

ハンバーグを口に放り込みながら夕食を胃袋に詰め込む。

さすがにあんなことがあっただけあって、腹が減る。

飯を食い終わり、自分の部屋へ戻る。

俺は、tvをぼんやりみつめながら今日の出来事を思い返し、

こんなことで世界は良い方向へ行くのだろうか・・・・と、真剣に悩んでいた。


最大の問題は染色体だ・・・なぜ修復作業が進まない?

プロジェクトが空中分解だ。なんだと言ってはいるが、何か他に要因があるんじゃないのか?

父に・・・・聞いて見るか。

父は2週間後に帰国する予定だ。何か知っていると思いたいが・・・・。

そもそも俺の事を覚えているのかさえ怪しい。

今のうちに根回しをするか・・・・?

男「母さん、ちょっといいかな?」

母「あら、どうしたの?」

ポテチを食べながらテレビを見ている母に話しかける。

男「父さんと連絡を取りたいんだけど。」

母は、父の『初めて』の女性に当たり、『初めて』の嫁に当たる。

心の繋がりや思い入れは他の異母に比べ、段違いに違うはずだ。

母「大丈夫よ?何の話をするの?」

男「ちょっと大事な話。どこか3人で食事をしながら、がいいかな。」

母「わかったわ。じゃあ、そうねぇ・・・」

母「お父さんと私が始めてのデートで行ったあのレストランにしましょう♪」

母「連絡しておくわね、それにしてもお父さんと話がしたいだなんて、大人になったのねぇ、それに・・・・・」

根回しの心配も無さそうだな。母さんの態度からして。

さて、問題は聞きだした後か・・・・。

書き溜める。二週間以内には戻る。

面白い
待ってる


∥ω・)期待して待つ

待ってるから頑張れ


けしからん世界だ全く…

俺もこんな世界にいれば•••

深く、より楽しい続きを待っている
支援

おいなんで俺の妄想知ってるんだよ


頑張れ 期待して待ってる
支援

支援せざるをえない

し~え~ん~だ~まー!

つ=④

財布の中に確か…お、あった
つ④

バカが小難しい文書こうとするとこうなるっていう典型的な例

>>55
文句あるなら見るなよ

某高級ホテル レストラン

父「久しぶりだな、男。大きくなったな。」

男「あぁ、久しぶり。直接会うのは10年ぶりかな。」

母「ふふふ、お父さん相変わらずカッコイイわねぇ。惚れ直しちゃうわぁ~♪」

父「母さん、止めてくれ。男の前で示しがつかないだろう・・・・。」

母「あらあら、恥ずかしがり屋さんなところも変わってないのねぇ、ふふふふふ・・・」

場のセッティングは終わった。後は母さんを遠ざけて、父さんから情報を聞き出す。

無意味と思われるような家族の談笑の中で、父さんの母さんに対する思い入れの深さを感じる。

脈はありそうだ。

何より、毎日忙しい中こうやってスケジュールの合間を縫って食事に付き合ってくれている。

それだけでも大なり小なり俺への思い入れも感じ取れる。

母「少しお手洗いに行ってくるわね」ガタッ

女性のトイレは長い。今夜、父さんと寝るかもしれないのだからメイクの手直しも兼ねているのだろう。

久しぶりに夫婦水入らず、という奴が楽しめるのだから。

息子の俺としてはあまりいい気分では無いが、二十歳を超えた俺にとっては些細なことのように感じる。

さて、本題だ。

男「ところで、父さん。少し聞きたいことがあるんだけど。」

父「なんだ改まって。人生についてか?」

父さんは国会議員という立場でありながら、色々な研究機関との接点を持っている。

男の国会議員、さらにイケメンと来れば女性議員や研究所長はこぞって接触してくるからだ・・・。

男「まぁ、そんなところかな・・・・」

俺は一呼吸置いて、目を瞑り・・・真剣なまなざしで父さんの目を見て、少し前のめりになる。

父さんの本音を聴きたいという態度。

父さんは俺の行動を汲み取ってくれたようで、一気に場の空気が変わる。家族ごっこから、男同士の会話に・・・。

男「1つ、大事なことを教えてほしい・・・。なぜ男性の数はこんなにも減ってしまったのかな?」

あまりにも大雑把な話題の振り方だ。父は俺の真意を判っていながら受け流す。

父「染色体の異常が原因だ。ニュースを観ていないのか、お前は?」

俺の日常生活へ話の方向性を持っていかれるのはごめんだ。直球勝負で攻めるしかなさそうだな。

男「ごめん父さん。聴き方を変えるよ。なぜ、染色体異常は治らないの?このままじゃ人類は滅びるよ。」

父さんは3秒ほど固まった。何か知っている。聞き出さないと・・・断片的でもいい・・・・。

父「知って、どうする?プロジェクトはことごとく失敗に終わっている。お前の関与する部分じゃない。」

男「違うよ父さん。俺だけじゃなく、人類みんなが関与してることだよ。」

男「失敗については散々ニュースで観てるから知ってる。じゃあ、なぜ失敗するの?」

男「女性のみでのプロジェクト遂行が難しい、というのがワイドショーなんかではよく言われるけど・・・」

俺の追撃に父は俯いて黙ってしまった・・・これは、相当ヤバイ話のようだ・・・・・。

まずい!何か裏がある・・・!この世界の根幹に関わるようなほどに・・・・。

このまま追撃をかければ、父さんは嫌を無く口を開き説明を始めるだろう・・・かわいい息子のためだ。

議員の立場が危うくなる程の内容でさえ話すだろう・・・。

多少口が滑った、程度で済ませることもできるだろうが・・・・。

俺は、説明をするかしないかを父さんの判断に委ねた。

すると、父さんは天井についているled照明に語りかけるように話し始めた。

父「染色体の異常については、確かに異常が認められている。」

父「それによって出生児の男女比率に偏りが発生した。」

導入部分、と言ったところか・・・。父さんはどんどんと話の核心に迫る。

父「では、なぜ染色体の修復作業が行われないか、だが。誰かが政治的に圧力をかけ・・・邪魔をしている。」

父「誰か、まではわからない。だが、人為的な工作や圧力がかかっているのは確かだ。目的は私にも分からない・・・」

俺は、父さんの話を邪魔しないよう聴き入る素振りをしながら、母がまだ戻らないことを祈る。

父「これはほぼ確実な話だ・・・・。そして、今から話すことは多少推測を孕んでいるが、私は真実だと考える。」

父さんの顔が暗く、無表情になっていく・・・・。

父「2195年の太陽フレアは・・・・人為的なモノだ。」

俺の心の中が一気にざわつき、鳥肌が体中を駆け巡る。

恐怖と不安と・・・そして、一抹の高揚感を表に出さないように父さんの話に耳を傾けながら、問いかける。

俺「それは、いったい誰の仕業・・・・?それに、目的は・・・・?」

父「目的は、分からない。だが、今の世界情勢を見れば推測はできないことも無い。」

そう言われれば、そうだが・・・あくまで推測だ。

男女比1:200を作り上げることが目的・・・?

それとも、本当は何か別の目的があったが、その副産物として現状の世界ができたとも推測できる。

それに一体誰が・・・・。

父「2193年、観測史上最大規模の黒点が太陽に多数発見された。これにある『機関』が目をつけた・・・・。」

父「名目は、あくまで太陽監視衛星の打ち上げ。」

父「しかしそのロケットに詰め込まれていたものは、地球上のあらゆる元素や分子・・・。」

父「ロケットの行き先は太陽の黒点。そして、それが原因で太陽フレアが増幅された。」

父「元素や分子と言ったが、それだけでは無いかもしれない。」

父「何かの装置かもしれない。極端な話、犬か猫でも入れられていたのかもしれない。」

父「それほどまでに、この中身はブラックボックス過ぎるんだ。」

父「それに当時の『機関』は何を目的としていたのか、今でも正確なことはわかっていない。」

父「そもそもこの話題自体がブラックボックスなんだ。これ以上の情報は私からは引き出せないぞ?」

そう言って父さんは、にやりと不適な笑みを作った。

ただ単に『好奇心を満たすために話してやったぞ?満足したか?』と言ったところだろうか。

考え方を改めなければ無さそうだ。

さて、どうする・・・・・。

俺「そうだったんだ・・・・ありがとう。父さん。でも、もう終わってしまったことは仕方ないよね・・・・。」

父「そうだな。もう、終わってしまったことだ。現状の状態をどうにかして保たなければ、人類に未来は無い・・・・。」

過去を知ることは、未来を知ることと同義だ。どうやら父さんはここで立ち止まるつもりらしい。

過去を知っていながら未来を創造しないで終わるつもりか・・・・。

なら、俺は・・・俺は・・・・・。

母「ごめんなさいねぇ、二人きりにしちゃってぇ♪何の話をしていたの?」

父「子作りについて、ってところか?ははははは」

俺「恥ずかしいから止めてくれよ、父さん・・・・もう・・・・・」

母「あらやだ、お邪魔だったかしら?ふふふふふ♪」

さて、これからどうするか・・・・。

まずは更なる情報収集。

当時の機関の真の目的と、現在も続いている人為的な工作・政治的な圧力。

これについて探りを入れるしか無さそうだ。

当時の記録を掘り起こすことは難しい。

国会議員の父さんでさえ、断片的な情報から推測でしか語れない程のレベルだ。

なら、現時点でプロジェクトに圧力をかけている何者かを割り出し・・・・

そこから芋づる式で探りを入れるのが妥当だろう。

そして、それを成した所で俺に何の『得』がある?

いや、損得ならもう分かってる・・・ただ単に「癪に触る」からだ。

現状の体制や仕組みを維持することで、利益を享受している奴がいる。

今の仕組みに嫌悪感を抱いている俺にとっては、ずいぶんと癪に触る奴だ。

この腐った世の中。

毎日、生きているのか死んでいるのか分からない俺の心の中に力が溢れてくるのが分かる。

男「これが、生きるってことなんだな・・・」

早速行動を開始することにしよう。

だが、俺はただの一大学生にすぎない。

一体何ができるのか・・・・。

男「できないと思ってちゃ何もできないな。なせばなる、なさねば成らぬ、何事も。って奴か。」

まずは基盤を作る。俺は男だ。家柄sクラス前後の女性を落とす。

高ければ高いほど良いが・・・可能な範囲から始めよう。

そして俺の学歴レベルも問題だ。

中堅大学の工学部、中の上程度の成績。これだけではいけない。

大学の二股が必要だ。

今の大学の成績はそのままでいい。手を抜いてそのレベルだ。

そうなると、時間的な問題が発生するが・・・通信制の大学で良いだろう。

通信制大学で国際的な法律の勉強と生物学に対する知識を深める。

父さんより高い濃度の情報が得られる職業に就かなければ。

国連関係が良い。

なら、フランス語と英語の習得だが・・・。

過去にフランスとアメリカに4年ずつ滞在していた事から、既に習得済みだ。

後は・・・俺の顔だな。整形が必要だ。

人は顔の良し悪しで態度が急変する。

特に女性まみれの社会において、男の俺の顔は大事だ。

また、組織内での発言力を高める為にも、顔は重要になってくる。

俺は早速、美容整形の院長をしている母さんに相談する。

男「なぁ母さん・・・整形したいんだけど・・・・・」

母「えっ!? べ、別に止めはしないけど・・・どうしたの?」

男「好きな子ができたんだ・・・でも、とっても美人でさ・・・・」

母「あんた、どっちかっていうとイケメンの部類でしょ・・・そんなに美人なの?」

母「それともなんかコンプレックスでもあったの?」

違うよ母さん。イケメンってだけじゃだめなんだよ。

年上受けする顔じゃないと上にはいけないんだ。

国連は、おばさんばっかりだからね。

男「コンプレックスっていうほどじゃないけど、まぁそんなところかな・・・・」

母「そう・・・悪いけど、私はあなたの顔にメスを入れることはできないわ。」

母「実の子供を手術するのは・・・・」

母「だから、知り合いの凄腕の人を紹介するから、その人のところへ行ってらっしゃい」

男「ありがとう、母さん・・・」

俺は的確な発言をする性格だ。

現状の、若干幼さの残った顔立ちでは説得力に欠ける。

そう・・・最近の芸能人でいうなら西村健二や多田駿・・・・1000年前なら、玉木宏の様な顔だ。

アレくらいじゃないと、話にならない・・・・。

国連の白人たちから言わせれば、ただでさえアジア人は幼稚顔だ。

それに、アレが男女共に受けがいい顔だ。

ベターの中のベターだ。だが、それがベストなのだ。

俺は早速、通信制大学への申し込みと整形手術の予約をつける。

通信制大学へは、これまで俺が国から受けていた補助金を使う。

整形手術については金はかからない。国から金が出る。

「出生率向上」の名の下に国は喜んで男の整形手術に金を出してくれる。

手術は1ヵ月後に決まった。その日から俺はまったくの別人になるわけだ。

まぁ、男女問わず整形手術が歯医者並みに敷居が低い世の中だ。

周囲の人間もすぐに慣れるだろう。

学生証やパスポートなんかをすべて作り直さなければならないのが少し邪魔くさいが・・・。

整形手術の技術については、かなり高レベルな物になっている。

男性に気に入ってもらおうと必死になった女性達は、なけなしの金を叩いて整形手術を受ける。

失敗続きや、腕の悪い医者はすぐに晒され、医院は潰れる。

ただでさえ金銭的な余裕が無いところに、女の嫉妬深さや妬みが重なり・・・・

口コミやネットで瞬く間に腕の悪さが広まる。

要するに、現存している医院は、どこに行っても客が満足して帰ることができるレベルなのだ。

そこに、現役院長の母さんのお墨付き。

何も心配することは無かった。

傷口についても、塗り薬を兼ねた肌色のジェルを付けられる。

1分もすれば固まり、自然と皮膚に溶け込む。

朝9時に手術を開始。途中休憩を挟みながら、終わったのが午後5時。

ジェルのおかげで傷口はまったく分からない。その日から俺は別人になった。

電車の中では、男にも見つめられるほどだ。

別にホモじゃないだろう。

結婚指輪をしているサラリーマンだった。


街中を歩いていると、そこら中の人間が立ち止まり、とろんとした瞳で俺の顔を見つめる。

俺が過ぎ去った道では黄色い声が上がる。

俺としたことが少し気分が良くなってわざわざ遠回りをしてしまった・・・。

雑念は捨てないと・・・まだ始まったばかりだ・・・・。

ガチャッ

男「ただいま。」

母「あら、おかえり。手術の方はどう・・・・」

母の反応を見れば答える必要はなさそうだが・・・。

男「良いお医者さんだったね。親切だったし。」

母「えっと、私の息子の男・・・なの? はっ!あっ、そ、そう・・・それはよかったわぁ・・・」

母「でもなんだか複雑ねぇ。息子の顔がますますイケメンになっちゃっうなんてぇ。まるで別人だわぁ。」

男「まぁね。俺が鏡に向かって語りかけてたら、止めて欲しいかな。」

とりあえず顔については問題無さそうだな。

部分的な違和感も無い。全体的にも整っている。


俺の身長は176cmだ。海外に出たときでもとりあえずは・・・・問題無いだろう。

ある程度は、底上げされた靴で誤魔化せる。

翌朝 駅

プシューッ

友1「今日は遅刻かな・・・男の奴・・・・・」

男「(さて、どうしようか。隣に座っているのが俺でした、ではおもしろく無いな。)」

男「すみません・・・・」

友1「はい、なんでしょう?」

男「あなた・・・・もしかして合コンを何度も失敗されてませんか?」

友1「な、なぜそれを!?」

ガタンゴトンガタンゴトン・・・・・・・・

男「(失礼な奴だ!!などと突っ込む余裕も無いか。相当参っているんだな、こいつ・・・)」

男「そんなあなたに、良い物を差し上げましょう。目を瞑って、両手を出して・・・・・」

友1「は、はい・・・・・・」ぎゅっ すっ

チャリンッ♪

友1「えっ・・・・知恵の輪?」

男「お前はもう少し脳みそのシワを増やすべきだと日頃から思っていた。」

友1「えっ?えっ?あ、あんた・・・・もしかして、男?」

男「いかにも?」

友1「お前、整形したのかよ!?しかもなんだよその変貌振りは!!」

男「基盤がしっかりしてるんだよ。院長先生も『骨格がしっかりしてるからやり易い!』って言ってたぞ。」

友1「まさかお前も合コンか!?」

男「い、いや・・・・厳密には違うな。モテたいという目的に変わりは無いが。」

友1「・・・・・・・俺も整形しようかな」ボソッ ぐったり

男「いい医者、紹介するぜ?」ぽふっ なでなで

構内では注目の的だ。

「なんて素敵な男性なのかしら!声かけてみましょうよ!」

「えっ、でも名前も知らないし・・・・」

「確かに、リストには無い男性ですわ・・・・」

そんな声が周りから聞こえてくる。ん?あれは・・・。

男「おはよう、女ちゃん。」

俺は笑顔で女ちゃんの横顔に向かって声をかける。

女「えっ、は!はい!おはようございます!!」

深く、勢い良くお辞儀をしてしまい。

両手で抱えていた資料が散らばってしまった。

慌てふためきながらそれを拾い始める女ちゃん。

綺麗なセミロングの栗色の髪がゆらゆらと揺れる・・・。

びっくりさせた俺のせいだな・・・手伝わなければ・・・・・。

女「すみません、すみません・・・どなたか存じ上げませんが、ありがとうございます!」

男「俺は、男だよ。女ちゃん。整形したんだ。」

女「あっ、そうだったんですか!?」

そう言って、俺の顔をまじまじと見つめてくる女ちゃん。資料を拾う手が止まっている。

どうやら成功はしたようだが、結局ほとんど俺一人で資料を拾う羽目になってしまった。

男「はい。これで全部。ごめんね、驚かせて。」すっ

女「い、いえ!ありがとうございます、男様!」

さて、目的を果たすには・・・まずはこの子からになるのかな。

後ろめたい気持ちでいっぱいだが、本音を言えば俺はこの子に普通に好意を寄せていた。

だから、付き合うことになったらなったで、それは素直に嬉しい。

男「ところで女ちゃん、今日のお昼って空いてるかな?」

女「は、はい!いつも、一人ですよ!」

過剰なまでのオーバーアクションとオーバーな表現。

誘ってくれるなら喜んで付いていきます、ということだろう。

男「じゃあ、どこか外へ食べに行かない?」

女「もちろんです!じゃ、じゃあ授業が終わったら教室までお迎えに上がります!」

男「ありがとう。じゃあ待ってるからね。」すたすたすた

女「は、はい!こちらこそありがとうございます!」

教室まで迎えに来てくれるなんて。

俺が授業を受けていると思われる教室を片っ端から当たるつもりだろう。

そして、その苦労を俺に感じさせまいとしている。相変わらず良い子だ。

ストーキングして突き止められていたとしても、それは逆に好都合だ。

どちらにしろ、少し家の力を利用させてもらおうかと思っていたが・・・

もしかしたら素直に協力してくれるかもしれないな。

昼休み 教室

ガラッ たったったったった・・・・

女「お待たせしました男様。お迎えにあがりました!」

相変わらず元気がいい。さてレストランへ行こうか。

金の無い学生達のためにファミリーレストランが大学近辺には多数あったものだ。

だが、今の女子大生達には食に掛ける金が無い。皆、学食や自前の弁当でなんとかする。

その為ファミレスは潰れてしまい、外食と言えば本格的なレストランになる。

通常は男性だけの組み合わせ、もしくはカップル連れしか来ない店。

女「すごい綺麗ですね・・・・」

男「うん、俺は結構ここが好きでね。月に2回程利用するかな。」

ガチャッ

男「予約していた男です。」

店員「いらっしゃいませ。ご予約のお客様ですね。こちらへどうぞ。」

締まった服装に、高い身長。女性店員でありながら落ち着いた風格を漂わせる。

落ち着いた雰囲気の店だ。本来ならば男性店員を置きたいところだろうが、飲食店に置けるはずは無い。

雇ったとしてもすぐ客に連れて行かれてしまう。

俺達は席に座り、注文を済ませる。

男「ねぇ、女ちゃん。話があるんだけど。」

女「は、はい!なんでしょうか男様!」

男「とりあえず、緊張しているみたいだから深呼吸を3回程してリラックスして?」

女「わかりました・・・・すぅ・・・はぁ・・・すぅ・・・はぁ・・・すぅ・・・・・はぁ・・・・・・・」

女「大丈夫です。すみません、ご迷惑をおかけしてしまって、男様。」

男「次に、様付けをやめて欲しいんだ。いいかな?」

女「お、男・・・・さん・・・・・・これでどうでしょうか?」

男「うん、完璧。」

女「あの、男・・・さん。私の事も・・・ちゃん付けじゃなくて、呼び捨てで・・・・・」

男「じゃあ、女ちゃんも俺の事を呼び捨てにしてね?」

女「えぇ!?そ、それは無理ですよぉ・・・・」

男「冗談冗談。じゃあ、女って呼ばせてもらうね?」

女「は、はい・・・よろしくお願いします・・・男さん・・・・(照)」

距離を縮めるには持って来いの趣向だ。

これで女とはかなり仲良くなれたように思う。

昼飯を一人で食う羽目になった友1とは正反対に・・・・。

すまない、友1・・・・早く整形してしまえば楽に成れるものを・・・・。

だが、自分の食べた分は自分で出す、と女の頑固な一面も見れた。

宥めるのが厄介だったが、少しだけ女が出すということで、何とか決着を付けた。

それでもなかなかに不機嫌そうだったな・・・・。

女とはその後も、頻繁に昼食を摂るため学外へ出た。

とはいえ、周りから見れば完全にカップルだった。

ある日、通信大学からの資料が届く。

入学の手続きが終了し、教科書なんかが送られてきたのだ。

一通り目を通す。国際法や国連関係の法律。こいつが一番近道だ。

目指すのは国連職員。そして、そこで全ての情報を手に入れる。

後は、プロジェクトの邪魔をしている奴を探し出し、叩きのめす。

女とはその後も順調に交際が続いた。

男「ボウリング、したことないって本当か?」

女「はい。あんまり力が無くて、その・・・・」

男「そうか・・・・じゃあ天体観測なんて、どうだ?」

女「天体観測ですか?」

男「綺麗な星空が見られる場所を知ってるんだ。俺のお気に入りの。」

男「今週末、どう?車はレンタカーを使うから。」

女「嬉しいです・・・・私も観てみたいので、星とか・・・・(照)」

男「じゃあ決まりだね。」

週末 千葉県某所

女「綺麗・・・・・星空がパノラマ映像みたいに広がってる・・・・・」

男「星それぞれに色があるのが分かる?」

女「本当だ!オレンジ!青!黄色!白!すごい!」

男「よいしよ・・・はい、望遠鏡。これで月のクレーターが見えるよ。」

女「クレーターなんて初めてみました・・・・すごい・・・・・」

男「月は太陽の光を反射して夜を照らしてくれる。」

男「そして、地球に降り注ぐ微細な隕石を月が重力で引っ張ってくれたりもする。」

女「そのおかげで、お月さんにはこんなにクレーターがあるんですね。」

男「その通り。じゃあ、寒くなってきたし、そろそろ帰ろうか?」

女「は、はい・・・」

カチャッガチャガチャッ・・・

バタンッ!

男「これでよし、じゃあ車に乗って」

女「あ、あの!男さん!」

男「ん?どうしたの?」

女「い、いえ・・・その大事なお話が・・・・・」

俺が振り返ると、女はもじもじと両手の指を絡ませて俯いていた・・・・。

早い!予想より早すぎる!!

告白はこちらからするつもりだったのだが・・・・。

女「男さんって・・・・私の事、どう思って・・・」

仕方無い・・・女性に告白させるなど、俺の道理に反する。ここは・・・・

男「女ちゃん。ちょっといいかな?」

女「えっ?あ、はい・・・・」

男「俺は、男性がたくさんの女性と結婚して子供を作る、今のこの流れに違和感を感じる。」

女「はい・・・・・」

男「だから、俺は1人の女性としか付き合わないし、結婚もしない。子作りもね。」

女「・・・・・・・・・」ショボン

女は何か、寂しいような諦めたような表情を浮かべ俯いてしまった。

男「それを前提で言うよ。女、俺と付き合ってくれ。」

女「・・・・・・・・え?」

女の顔が、目が、俺を直視する。

男「俺じゃ・・・・ダメか?」

女「そ、そんなことありません!私、男さんの事好きです!大好きです!」

女は震える声を抑え込むように、覇気を込めて答えてくれた。

男「ありがとう。」

俺は女を抱きしめて、気持ちを込めてお礼を言う・・・・・。

女「こちらこそ、ありがとうございます・・・・・。」

女の手が俺の背中を伝う。緊張しているのか、震えている。

男「じゃあ、帰ろうか。」

女「はい・・・・」

俺達は車に乗り込み、静かに見守ってくれていた星達に感謝しながら、その場を後にした・・・・。


車内では、女が緊張してしまいあまり話ができなかった。

そして、30分程走った頃だろうか、女の家の前についた。

男「忘れ物は無い?」

女「はい。今日は本当にありがとうございました。」

男「また、行きたくなったらいつでも言って。もう俺達付き合ってるからね?」

女「は、はい・・・ありがとうございます・・・・(照)」ぺこぺこ

なんだか分かってない様な気がするが・・・。

男「じゃあ、またね」

女「はい!送って頂いてありがとうございます。お気をつけて。」

男「ありがとう。」

バタン ブォーン・・・・・

ルームミラーに映る彼女は胸元で手を握り締め、ずっと俺の車を目で追っていた・・・。

俺は車を走らせながら今後の事について再考する。

彼女の前で「他に女は作らない」と宣言した。

後戻りはもう出来ない。

するつもりなど整形した時点でさらさら無かったが、1つ大きなケジメを付けた様な気分になった。

それからは、毎日彼女と昼食を摂り、毎週末はデートへ行った。

彼女は可愛い。多少天然が入ってはいるが、物事に対してしっかりと向き合い自分なりの答えを出す。

また、親の躾のおかげだろう、礼儀作法にはとても気を遣う。

友達が少ないのは、そんな彼女を妬んでの事だろう。

言い訳として言わせてもらうと、俺に友人が少ないのは絶対的に男性が少ないからだ。

女性の友達、というのはありえない。すぐに付き合う、付き合わないの話になってしまう。

異性同士の友人を共に望んでも、本人達の意思に関係なく周りが邪魔をすることも多々ある。

家で何度か、女の情報収集を行ったことがある。

データベースへのアクセス権限は男にしか許されていない。完全な極秘権限だ。

その存在すら知らない女性も多々多い。

そして、こんな情報まで載っている。

身長159cm 体重53kg バスト87cm ウエスト58cm ヒップ84cm

女を抱きしめた時に、少し理性が吹っ飛びそうになったのはこの数字の所為だ。

俺は、pcディスプレイに表示されている女の顔を見ながら、告白した時の夜を思い出していた。

今回で7回目のデート・・・珍しく、女から誘ってきた。

女「お星様がみたいんです・・・・・」

今週末の天気は晴れ。新月で、月の明かりが無い分、前よりも綺麗な星空が見られる。

男「いいよ。月は出てないけどいいかな?」

女「はい。星が無くても・・・あっ、いえ、なんでもありません・・・・(照)」

男「・・・・・・・?」

星がみたいというのに、星が無くてもいいのか?

女「あの、男さん。月が無いっていうことは望遠鏡は要りませんよ?」

女「持ち運びも大変でしょうし・・・・」

男「そうだね・・・俺のじゃ月のクレーターレベルしか見れないし。」

男「もっといいのを買って、銀河系とかみれるのにしようかなぁ・・・」

女「そ、それもいいです!お月さんとか星空を見るのが、私好きなので!」あたふた

男「そう?わかった。じゃあそうしよう。」

今日の女はなんだか変だったな。

昼食の時は手作り弁当だったし。

女「いつものお礼です・・・どうぞ!」

女「おいしいですか?おいしいでしょうか?」ずいずい

男「うん、味がしみこんでいて美味いな、この筑前煮。」

女「りょ、料理が上手な女性って、男さんどう思います?」ずいっ!

男「ん?あぁ、すごくいいと思うぞ?」

女「・・・・・・(照)」もじもじ

ってな具合だった・・・・。

これは絶対なにかあるな・・・・。

週末 夜

女「綺麗・・・・・」

ここに来るのも1ヶ月ぶりになる。

周りには何も無い海岸。本来であれば車での侵入を誰もしないような場所。

俺は、釣り好きが高じて誰も知らない海沿いのベストスポットをいくつか知っている。

その中でもここは最高に良い場所だ。

15分ほど空を見つめていた頃だろうか、

車にもたれ掛かって空を見上げる俺に向かって女が歩いてきた。

女「男さん・・・・」

そう言いながら俺の隣に立ち、一緒に星空を見上げる。

俺は、空を見上げながら自然と女の手を繋いでやった。

女は少しびっくりしたように体を震わせたが、俺の手を優しく握り返してきた・・・・。

小さくて冷たい手。俺はそれを暖めるように優しく、そして力強く握り続けた・・・・。

何十秒経っただろうか・・・・。女が強く、手を握り返してくる。

何か、我慢できない、とでも言うかのような・・・・。女は泣いていた。

俺はとてつもなく女のことが愛おしくなり、泣いている理由など聞かずに抱きしめてキスをした。

俺達のファーストキスだった。

唇を離すと、女は笑いながら泣いていた。

女「嬉しくても、涙って出るんですね。私、男さんと一緒に要られて幸せです・・・・」

そう言いながら今度は女からキスをしてきた・・・・。

何度も何度も俺達は深いキスをする・・・・。

周りには誰も居ない。あるのは星と海と俺達2人。

女は何度目かのキスで俺に抱きついて離れなくなってしまった。

俺も女を抱きしめる。なんて愛おしいんだろうか。

この女性の為なら、なんだってしてしまいそうな、そんな気分だ。

女「行きましょうか・・・・」

男「そうだな。そろそろ行こうか。」

運転中、女は黙ったままだったが、突然レンタカー屋まで降りないと言い始めた。

女「わがまま、かもしれませんが・・・・・」

男「いいけど・・・・」

何を考えて・・・そういうことか。すまないな、いつも気を遣わせて・・・・。

俺は女の手を引いて、以前父さんと食事をした高級ホテルへ向かう。

時刻は午後9時。明日は日曜日だ。今日は泊まることにしよう。

女「あっ、もしもしお母さん?うん・・・うん・・・・・それでね・・・・・・」

女は、俺がチェックイン中に家に電話をしているようだった。

俺はメールで済ませることにしよう。

『今夜は友達の家に泊まる』っと。送信完了とともに携帯の電源を切る。

クイーンサイズのベッドが1つある部屋が空いている。それにしよう。

エレベーターの中では口数が少ない。

女「は、八階なんだね・・・・見晴らし良さそうだね・・・・・・」

男「そうだな。とっても綺麗だと思うよ。」

部屋を見つける・・・・ドアを開けて、中に入る。

無駄に広い部屋だ。

男「シャワー、浴びなよ。」

女「う、うん・・・・」

シャワー室からは彼女がシャワーを浴びる音が部屋に響く。

その間に明かりを間接照明にして、俺自身の準備も済ませておく。

ちなみに、俺はコンドームを手に入れることができない。

現存するコンドームは全て女性向けのものだけだ。

そのため、準備と言っても服を脱ぐ程度である・・・。

ガチャッ

彼女が出てきた。

暗い室内とは反対に明るい照明がドアから漏れ出し、こちらからはっきりと見える。

湯気がもやもやと霧のように出て、彼女が髪を撫でるように、丁寧に拭きながら出てきた。

体には、バスタオルを巻きつけている。

男「じゃあ俺も風呂に入るよ・・・」

そう言って俺がベッドから出ようとすると、彼女はシャワー室の明かりを消した。

女「大丈夫です・・・・そのままで・・・・・・。」

理解しかねる発言だが、何かを決意したような彼女の声には何とも言えない威圧感を感じ、

言われるがまま、ベッドに戻ることにした。

すると、彼女はバスタオル一枚で俺と反対側のベッドに潜り込んできた。

湿り気を帯びた空気と・・・良い匂いが俺の鼻を刺激し、本能を刺激する。

女「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・・・・」

シャワーの所為か、他の理由か、顔を高潮させて肩で息をしている。

興奮しているのだろう。俺もそれにつられるようにして息が荒くなって来た。

ただ、ベッドの上で横になって向かい合っているだけだというのに・・・・。

俺は彼女の湿った髪を撫でてやる。ゆっくりと、優しく、何度も何度も・・・・・。

彼女は目を瞑り、全てを俺に委ねるという態度を示す。

それを確認した俺は、彼女をそっと抱き寄せ、耳元で呟いた。

男「優しくするから、安心していいよ。」

俺の胸の中でこくりと頷く彼女。俺は彼女の唇に深いキスをした。

唇を吸い、歯茎を舐め、舌を絡ませ合う・・・・。

覆いかぶさるように跨り、そのままバスタオルをゆっくりと解き、彼女を全裸にする。

女「は、恥かしい・・・はぁはぁ・・・です・・・はぁはぁ・・・・」

肢体をもじもじさせながら隠そうとするが、聞く耳は持たない。

乳首の周りを舌先でなぞり、もう片方の乳房を揉みしだく。

女「はああぁんっ!男さんぁぁん・・・・・はぁぅっ!!」

室内に女の甘い声が響き渡る。

俺は舐めるのを止め、一気に乳首に吸い付き、口に含んでは舌先で転がす。

女「ダ、ダメです・・・男さんっ、そんなにしたらぁっ!あっ!はうっ!!」

女は俺の頭を腕で抱きかかえている。よっぽど気持ちがいいのだろう。

俺は両方の乳房を揉みしだきながら、乳首への刺激を強める。

ジュッポ、ジュッポ、じゅるるるる・・・・・・・

女「はうぅっ!ダ・・・メ・・・・・ですぅっ!んはぁっ!はっ、はぅっ!」

そのままの姿勢で、片足を女の両足の間に滑り込ませる。

固く閉じられた足は、何度目かの侵入でゆっくりと開かれた。

女「はぁはぁ・・・・・ど、どうするつもり・・・・・ですか・・・・・・・」

男「もっと気持ちよくなって欲しいんだ。」

俺は言ったと同時に彼女の陰部に手を滑り込ませる。

女「あうぅっ!そこは・・・ダメです・・・・ひうっ!はうぅっ!!」

既に彼女の陰部は、蜜でびちょびちょになっていた。

シーツにシミができているのでは無いかという程に・・・。

俺は彼女の陰部をクリトリスごと激しくかき回した。

女「あっあっ・・・ひぐぅっ!!んっ!あっ!あっ!あっ!」

女「ゆ、指がぁ・・・入ってぇっ!」

女「あっあっ!はうぅっ・・・ひぐひぐっ・・・!!」

俺の指の動きに合わせて、体をひくひくとさせながら喘ぎ声を上げる女。

しかし、さすがの俺もそろそろ理性が飛びそうになってきた。

男「挿れても、いいかな?」

彼女は口元に手を添えて、切なそうに俺を見ていた。

俺もそんな顔をしているのだろう・・・・。

女「どうぞ・・・・私の初めて、貰って下さい・・・・ひぐぅっ!」

その言葉で、もう頭の箍が外れてしまった俺は、

思い切り彼女の膣中に自分自身のモノをぶち込んでしまった。

女「い、痛いですぅっ・・・!痛い・・・・痛い!や、やめ・・・・はぅはぅ・・・・!」

懇願するように俺に抱きつく彼女。だが、俺の腰の動きが止まらない。

じゅぷっ・・・・じゅぽっ・・・・じゅぷぷっ・・・・・

男「ご、ごめん・・・女・・・・すごく気持ちよくて、腰が勝手に動いて・・・・・はぁはぁ」

俺の言葉を聴いた女は、悲痛な顔をしていたかと思うと、突然笑顔になった。

女「男さんが・・・気持ちいいのなら・・・・・私、我慢します・・・・・ひぐっ!」

女「私、嬉しいです・・・・あっあっ!はうぅっ・・・ひぐひぐっ・・・!!」

彼女が耐えるように体中に力を入れた所為だろうか、突然にして膣の絞まりがすごいものになった。

男「ま、まずい・・・イキそうだ・・・・・」

女「出そうならぁ・・・・あっあっ・・・・出して下さい・・・膣中に!膣中に・・・・っ!!」

普通なら子供ができる、などと考えるがこの時の俺は獣のようだった・・・・・。

さらにペースを上げ、女の膣中を突き上げかき回して・・・・。

女「膣中に・・・はぁはぁ・・・はぅっ!だ、出して!だ、出して下さいっ!ひぐぅっ!!」

俺は腹部のもやもやしたモノを全て女の膣中に吐き出した・・・・。

男「はぁ・・・・はぁ・・・・・・」

女「す、すごい・・・いっぱい出てます・・・嬉しい・・・・・」

男「ご、ごめん。痛かったんだよね・・・・ごめん。」

女「いいえ、全然痛くありませんでしたよ?ふふふ」

無理に笑顔を作っているのは一目見れば分かった。

かなりの激痛だったはずだ。

それに耐えて笑顔を作って俺を安心させようとしてくれている。

男「すまない・・・・・」

俺は彼女を力いっぱい抱きしめ、俺にはこの子しか要らない、と思った。

そして、もし今回の件で子供が出来てしまっても、

この子となら育てていけるような、そんな確信に近いものを感じていた。

それから8年が経った・・・・。

俺は大学卒業と同時に女と結婚し、子供を2人設けた。どちらも女の子だった。

俺と女は、彼女達の将来をとても心配していた。

そして、俺は遂に行動を開始した。

アメリカにある自動車メーカーの開発職を退職し、国家公務員として国連に就職した。

目指すべくは、世界保健機関、whoだ。

俺は、通信大学とは言え、かなり高レベルな授業内容をクリアしている。

生物学における内容でも十分渡り合っていけるはずだ。

俺がアメリカに来たのには理由がある。

whoは、巨大フレア以前ジュネーブに拠点を構えていた。

だが、染色体異常が報告され、whoの重要度が一気に増した。

これにより、国連本部のあるニューヨークにwhoの拠点が移されたのだ。

女は、情報工学を専攻していたが就職はさせなかった。

家に親がいないというのは、子供の教育にも影響が出る。

それに国からの補助金だけで一家4人、贅沢なほどの暮らしができるからだ。

女としか結婚していない俺だからこそできる事。

もちろん、女は俺に賛同してくれた。

女「男さんのすることが間違ってるって皆が言っても、私は男さんの味方です。」

女「ですから、悔いの残らないようにがんばってください。」

男「ありがとう・・・・本当に君と結婚して良かったよ。」

who内での職場に男は俺を除いていない。

現在の世界は、男にとって非常に住み易い。

これを変えられたくない為か、変えたくない為か、干渉しないのだろう・・・。

「こんにちは、男さん。今夜、ディナーでもどう?」

「男さん、困ったこととかあったら私に言ってね?」

「男さんって、趣味は何をされてますの?」

どこに言っても女だらけ。

しかも、良かれと思ってやった整形から、周りから口説かれまくる。

外人は結構ダイレクトに言ってくる節があるため、断り辛い。

仕事内容は退屈な事務仕事が多い。

現状の男性の人数と女性の人数、結婚者数、非婚率・・・・・・

国別でのデータの収集、まとめ、公表・・・・

そこにあるものをただまとめる。

3年間そのような作業を繰り返す。

父さんから聞いた、『機関』についても情報は断片的にしか集まらない。

内部に入っても、3年目程度では父さんから聞いた情報レベルしか手に入れられない。

仕方無い。転属届けを出そう。3年も事務のような下働きをさせられたのだ、節目時だろう。

染色体異常対策委員会、catへの転属届けを出した。

上司は喜んでサインをしてくれた。

「男性がcatへ入れば、プロジェクトも進むかもしれないわ!」

俺は相槌を打ちつつも、上司ほど楽観視はしていない。

『機関』の正体を暴き、そして公の下に晒して叩き潰す。

それが、俺と俺の家族の為になり、人類の為になる。

俺は早速、プロジェクトメンバー20人の中の1人、日本人女性の助手として働き始める。

40代後半、生物学を専攻。独身。チームを組んで、俺がこの人の補佐を行う。

2人1組での仕事だが、彼女が俺の上司ということになる。

上司「はじめまして、私が今日からあなたの上司よ。よろしくね、男君」

男「よろしくお願いします。本日の予定は?」

俺は補佐。彼女のスケジュールと発言内容の把握、それに助言と雑務を行う。

上司「特に無いわ。オフィスで寛いでいて頂戴。初日ですもの。」

男「そうですか・・・・」

やる気があるのか・・・・?

インターネットばかりして・・・・。

俺はpcの電源を付け、権限内で開けるネットワークサーバー全てに複数の検索ワードを放り込む。

検索結果が出るまでに2時間はかかるだろう。あらゆる単語を放り込んだ為だ。

そして、抽出されてきたデータを閲覧、排除する作業・・・・1日で終わらせる。

男「コーヒー、飲まれますか?」

上司「紅茶が良いわ。」

自分が飲むついでに、紅茶も入れてやる。

あくまで「ついで」だ。積極的に作るつもりは毛頭無い。

自分の机の上にコーヒーを置き、向かい合って座っている上司の席に紅茶を持っていく。

小さなオフィスの中、上司がおかしな気を起こさなければいいが・・・。

コトッ

俺は上司の机の上に紅茶を置く。砂糖とシロップとマドラーも一緒だ。

一体上司はpcで何をして・・・・

上司「あら、ありがとう。どうしたの?」

画面には、プロジェクトメンバー一覧表が表示され、それぞれのスキャンダルのタブ。

そしてスキャンダルタブに『new』と書かれたものを開こうとマウスアイコンが移動しているところだった。

俺は素早く目を逸らそうとしたが、プロジェクトメンバー一覧の列数が目に入った・・・・21列?

男「あっ、いえ・・・なんでも・・・・・」

上司「悪い女だ、なーんて思ったんでしょ?男君?ふふふ、かわいらしいわねぇ・・・・」

男「そんなことは思っていませんよ。では、席に戻りますね。」

なぜ21列あった?最後の欄、名前だけ入っていなかった・・・・。

一体、何者だ・・・・。スキャンダルの件数や他の項目も全て何も書かれて居なかった。

だが、メンバーとしてちゃんとカウントされていた・・・・。21人目のメンバー。

21人目。こいつと接触すれば何かが分かるかもしれない・・・・。

焦るな、まだ初日だ。

上司との良好な関係を築き、それから確かめるべき問題だ。

しかし・・・・

俺は新しいウインドウを開き、検索ワードに「プロジェクトメンバー」の項目を放り込んだ。



部屋の中は書物で溢れ返っている。

これまでの研究結果や資料。

日記の様なスタイルの物や報告書として形を成しているものまで様々だ。

それらを紐解き、何か手がかりが無いか調べて周る。

そんな日々が2週間続いた。上司の態度は相変わらずだ。

男「どうぞ、紅茶です。」

上司「ありがとう。」

男「あの、見えてるんですが・・・・」

上司「あら、紫は嫌いかしら?」

わざと見えるように足を組んで、俺にパンティーを見せてくる。

立派なスキャンダルだ。

ディスプレイ越しに俺の顔をニヤニヤと見つめてくることも多々ある。

そんなある日。

上司「今日は、午後3時からプロジェクト会議があるの。出席してね。」

遂に会議に出席できる。補佐という立場を存分に生かして、可能な限りのことをしなければ。

午後3時 プロジェクト会議

委員長が進行を務める。

委員長「では、時間となりましたので定例会議を行います。」

委員長「まずは現状の報告を。」

全メンバー、20人。全員が全員40代後半~50代前半の女性。

それぞれが現状報告を始める。

21人目はどこだ!?委員長を含めても20人しかいないぞ!!

座席数は21人分ある・・・・そしてpcも21台ある。

あの空席は一体誰の物だ!?

現状報告が行われ、最後の21人目の番になる。

皆が静まり返る・・・・ただ、座席があるだけか?予備なのか?

委員長が次の議題に移ろうとするのか?

その数秒間、俺の目と耳は21人目の座席に注がれた。

『トクニ、ナシ・・・・』

21台目のpcのスピーカーからはっきりと、機械的な文章読み上げツールのような声が聞こえた。

何者だ、21人目は・・・・・。

出席できないような、声も発せられないような状態で、遠隔でやっているのか?

委員長が頷き、次の議題に入った。

現状打開策についてだ。フランス代表の女性が挙手し、発言を始める。

フランス「我が国の研究機関において、打開策となりうる研究結果が出ました。」

開場がざわつく

フランス「パワーポイントをご覧下さい。」

各々のpc画面上に、パワーポイントのスライドが表示される。

フランス「このように、遺伝子工学における第一人者である、我が国の・・・・・」

ピッ

委員長の前に置かれた電光掲示板に「21」の数字が浮かび上がる。

委員長「はい、発言をどうぞ」

21人目『本実験ニオケル、n数。マタ、実験機器ノ製造番号、使用環境、実験時ノ調整部。』

21人目『全テノ情報開示ヲ求メマス。』

ざわざわ・・・・

完全な揚げ足取りだ。そんなものを開示したところで・・・・

フランス「全てisoに乗っ取っての実験結果です。」

フランス「製造番号につきましては、no.41053-2になります。」

至って普通の応対だ。isoを出せば黙るしかあるまい・・・・。

21人目『iso式ニオケル、以下ノ計算式ニ疑問ガ感ジラレ・・・・』

isoに突っ込みを入れるのか!?

言いたいことはわかる。しかし、それはあくまで経験則で導き出された式。

それを理論的に、式で説明することなど不可能だ。

1+1=2であることを、数式だけで説明できない!

式だけじゃ、堂々巡りになるからだ!

前提条件からひっくり返して、議論をめちゃくちゃにするつもりか!?

委員長「フランス代表、どうされますか?」

フランス「分かりました・・・・取り下げます・・・・・」

フランス代表が椅子に座ったと同時に、電光掲示板の21の数字が消えた。

男「いつも、こんな感じなんですか?」

上司「えぇ、そうよ。何をやってもあの子が邪魔するの。」

男「何者なんですか?」

上司「さぁ?どこかの代表だとは聞いてるけど、詳しくは分からないわ。」

上司「みんな、あの子って呼んでるわ」

男「あの子・・・・ですか・・・・・・」

そのまま、会議は何も進展無く終わってしまった・・・。

21人目は居た。そして議論をめちゃくちゃにしてしまう・・・。

分からない。一体、あの子は何者なんだ?

俺の権限内での情報収集では、限界がある。

もう待てない。奴の正体を暴けば・・・勝機があるはずだ!



男「ただいまー」

女「おかえりなさい、男さん」にこにこ

姉「お帰り、パパー!」

妹「パパ、お帰んなさーい!」

家に帰ると出迎えてくれる家族・・・・癒される。

こいつらの為なら、俺は何だってやれる・・・そう思える。

男「幼稚園はどうだった?」

妹「好きな男の子にスカートめくりされちゃった・・・」

男「なにぃ!?」

女「スカートめくりくらいで、そんな大げさに・・・・」

男「す、す、好きな男が出来たのか!?」

妹「う、うん・・・・(照)」

男「くっ・・・はぁ・・・・・・」

女「そ、そっちなんですね・・・あははは・・・・」

夜中

男「なぁ、女。」

女「はい。なんですか?」

男「手伝って欲しいことがあるんだ。」

女「いいですよ?男さんの言うことは、何でも協力します。」

男「・・・・・クラッキングを仕掛けて欲しい。」

女「男さん・・・わかりました。」

男「すまん。恩に着る。」

男「理由についても説明を・・・」

女「いりません。何が欲しい情報なのか、それだけで十分です。」

女「男さんが間違ったことなんてするはずありません。信じてます。」

男「女・・・やっぱりお前は最高のお嫁さんだよ・・・・・ありがとうな。」

女「いえいえ、旦那に尽くすのが嫁の生き様です!」

男「じゃあ、早速だが今から頼む。」

女「はい。わかりました。」

夜中 オフィス

ガチャッ

静まり返ったオフィスに鍵の開く音が響く。

俺達はゆっくりと上司のpcへ向かい、電源をつける。

情報工学を専攻していた女にとって、クラッキングができるかどうかはまったく別問題だが、

興味を持ってしまい、世界大会で結構な順位に入っているという。

俺はあまり詳しくは無いが、すごいのだろう・・・・。

なぜなら、目の前で繰り広げられるキーボード片手撃ち2丁はものすごい迫力だからだ。

家から持ってきたノートpcと上司のデスクを繋いでクラッキングを行う。

すぐログイン画面が解除され、デスクトップへ入った。

女「どんな情報が欲しいのですか?」

男「プロジェクトメンバー21人の中に、名前も何も分からない奴がいる。そいつについてだ。」

男「メンバーリストを洗って欲しい。」

女「はい。わかりました・・・・これですね。」

男「スキャンダルリストか・・・・やはり名前が無いな。」

そういえば、電光掲示板に『21』と表示されていた。

男「21番目、21人目、番外、あの子、でリストアップしてくれ。」

女「わかりました。」

男「ん・・・・?フランス代表の日記か・・・・?」

『今日も否定された・・・・本当に、どうして誰も認めてくれないのかしら・・・・・・』

『あの子を納得させられなきゃ話にならないっていうのに・・・・』

男「こっちは中国代表・・・」

『また、21人目だ。あれじゃ通るものも通らない!他の国のメンバーを味方に入れるしか!』

男「どこもかしこも同じように、21人目にやられちまってるんだな・・・・。」

男「アメリカ代表・・・・委員長のものか・・・・・」

『あの子は本当によくがんばってくれています。とっても公平なシステム。フィーリングロードシステム・・・。』

男「・・・・・・・・フィーリングロードシステム?」

女「気になります。検索かけます!」

「フィーリングロードシステムとは、その場に居合わせる人間達の感情を統合し1つの意見として発言するシステム」

「言わば集合体の意思。それを変換し、言語として表現させるシステム」

男「な、なんだこれ・・・・・じゃ、じゃあ何か・・・・」

男「メンバー皆が、各国の打開策に対して否定的だから、21番がそれを汲み取って変わりに代弁するってのか!?」

男「そ、そもそも資料を見る限り、アメリカしかこれを知らない・・・・まさか!!」

男「女!アメリカの出生男女比の10年前から最新版までを!!表面的なのじゃない、アメリカ代表のサーバーのをだ!」

女「分かりました。」

女「出ました・・・。」

カチッ

アメリカ国内 男女比 1:32.7

男「そういうことか・・・・!」

アメリカは世界の覇者であり続けたい・・・

染色体が各国で修復されてしまっては、世界の人口が元に戻る。

そこで、アメリカだけが人口増加を進められるよう、whoのプロジェクト会議に細工をした。

21人目という細工。フィーリングロードシステム・・・・。

女性の嫉妬深さや利己的な感情を逆手にとって・・・・しかもスキャンダルまでリストで分かり易く流していた。

あれじゃあ他のメンバーに対して不信感を抱くのは当然だ!

どうせあのリストツールも、遠まわしにアメリカが回したに違いない!

アメリカは順調に人口比率が元に戻りつつある。

他国は滅び、アメリカの独裁が始まる・・・・。

もし、各国が独自の方法で染色体の修復作業に入ったら、国連の名の下に粛正を行える。

理由はなんだっていい。「その方法じゃ奇形児が生まれるリスクが高い為」で問題無い。

全てはアメリカの手の平、ワイドショーもお茶の間も、それに流され、騙されてきた・・・・!

『機関』の正体は、アメリカ合衆国、そのものだったのか・・・・!

許さない・・・・このデータを公表して、早く染色体の修復作業を始めるよう仕向けないと!

男「このデータ、取り出せるか?」

女「はい、できますよ。」カチカチッ

女「できました。」

男「よし、全部元に戻して撤収する。」

女「これから、どうするんですか?」

男「このデータを全世界に公表して、アメリカの不正を暴き、修復作業を世界規模で進めさせる!」

女「それは・・・・・・・・だーめ♪」カチャッ

女が、ボールペンの側面に取り付けられているボタンを押した。

そんなもの持って無かった筈じゃ・・・・

男「え?」

次の瞬間、ドアが蹴破られ、武装した正規の特殊部隊員と思われる集団がオフィスに踏み込んできた。

ライトで顔を照らされ、サブマシンガンを向けられる・・・・・。

「両手を頭の後ろに乗せて床に跪け!」

男「い、一体何が起きて・・・・」

女「あなたがいけないのよ?邪魔しようとするから。」

男「お・・・んな・・・・・?」

女「さっさと連れて行きなさい。」

男「なっ、何を!?」

「うるさい!」ドスッ!

後頭部に鋭い衝撃が走り・・・そして、俺は気を失ってしまった・・・・・・。

目を覚ますと、そこは独房だった。

薄暗く、恐らく地下・・・・。

メモとスイッチらしきものがある。

『目を覚ましたら押せ』

そう書かれている・・・・。

押さないという選択肢もある・・・・。

だが、だからと言って何か状況が変わるか?

変わらないな・・・・俺はボタンを押した。

すぐに数人の兵士が3人やってきた。米軍だ。

捕まっちまったのか・・・・そうか・・・・・

「歩け」

俺を囲むようにして3人の兵士が周りを固める。

俺は促された方向へ歩みを進める・・・・。

面談室

そう書かれた部屋の前に来た。

ドアの前で俺は手錠を付けられ、部屋の中に入れられる・・・・。

予想はしていた。だが信じたくなかった。

ガラス越しに、女が座っていた。

女「意外と早く目が覚めたのね。」

男「・・・・・・・・・」

口調がいつもとまったく違う。

こいつ、一体何者だ?

本当に俺の知っている、女なのか?

男「お前は・・・・・誰だ?」

女「私は私。女よ。あんたの初めての相手にして、唯一のお嫁さ~ん♪」

男「嘘だな。」

女「はぁ・・・男さん、どうすれば信じていただけますか?」

女「大変だったんですよ?私、男さんの前で演技をするの・・・」

女「清楚で、礼儀正しい女。しかも天然キャラだなんて・・・」

女「男さんみたいな世間知らずのお子ちゃまはこういうのが好みって聞いてましたから・・・」

女「すぐに騙されてくれて、すごく助かったのは事実なんですけどね・・・・」

女「こんな感じでどう?信じて貰えた?」

男「どうやら、そのようだな・・・・」

男「で、いつからすり替わった?」

女「だ・か・ら、すり替わってねーって!始めから、私は私。」

女「私はね、アメリカでストリートチルドレンやってたのよ。」

女「そんな私をこの国が拾ってくれて育ててくれた。」

女「そして、国の為にできること・・・・スパイみたいなものね。それをしたまでよ。」

男「スパイ・・・・?俺をか?」

女「あなた、相当危険な思想を持ってるのよ?私達にとって。」

女「ネットの履歴をみれば分かるのよ。筒抜け。私達にはね。」

『私達』か・・・・・

男「まぁ、お前達にとっちゃ脅威かもな。今回の件にしても、公表されたら。」

女「そうなのよぉ、アメリカが困るの。だから監視任務としてあなたに接近した。」

男「ストリートチルドレンはスリが上手い。一次接触はそっちから、か。」

女「パスケースのスリなんて簡単すぎたわ。」

女「それより清楚キャラをずっと演じ続けなきゃいけないのがどれだけ苦痛か・・・」

女「でもねぇ・・・あんたが整形したときはびっくりしたのよ?」

女「そして、更に危険度が増した、と判断されたわ。」

女「私は完全にあなたの女になるよう命令された。」

女「まぁ、イケメンだし?いいかなぁって思ってたけど。」

女「まさか処女まで奉げて、子供2人作れって言われるとは思わなかった。」

男「それ相応の金は貰ってたんだろ?」

女「当たり前じゃない。じゃなきゃこんなことしないわよ!」

女「あなたが家庭を持っていれば、データ公表の抑止力になるかもって」

女「でも、あんたは賭けに出た。調子に乗りすぎたのよ。」

男「そうかもしれないな・・・・・」

男「俺の無駄な正義感が家族を犠牲にしちまったのか・・・。」

女「まぁ、一生あんな口調使わされるよか私は良かったけどね。」

男「そうか・・・・そうだな・・・・・・・・」

女「な、何よその目は!?私を哀れんでるの!?」

男「違うよ・・・・・女、お前に頼みがある。あの娘達の事を頼みたい。」

女「・・・あの娘達は、私の子でもあるのよ。当たり前じゃない。」

男「そうか・・・・俺はもう出られないんだろう?一生ここから。」

女「そうよ。あなたは死亡したことになっているわ。」

女「日本にも行方不明っていうことで届けてある。」

男「そうか・・・スリリングな人生だったな・・・・・・」

女「そうね。普通に生きてきたあなたにしたら、かなりスリリングね。」

「そろそろ面会終了だ。退出しろ。」

男「じゃあな。」

女「・・・・星。」

男「ん?」

女「星空は・・・・とっても綺麗だったわ・・・・・・」カツッカツッカツッ・・・・

男「そうか・・・いつか娘達にも見せてやってくれ。」

女「・・・・・・わかった。」ガチャッ バタン

男「何もかも無くしたな、俺は・・・・」

男「そして、ここで朽ち果てていくのか・・・・・」

この施設は、俺のようにアメリカに対して反逆的な行動に出た者たちが押し込まれていた。

軍部の汚職を暴露しようとしたものや、大統領の暗殺未遂事件の裏側を知ってしまった者まで。

皆、独房に入れられるにはあまりにも綺麗な経歴の持ち主たちだった。

それに、とてつもなく正義感が強い・・・・。

これがアメリカという国の暗部だというのか・・・・。

俺は目を瞑り、小さな独房の中で1人今までの俺の行動に思いを馳せていた。

何か間違ったことをしただろうか・・・?

男「いいや、していない。俺は正しいと思った事を成そうとした。」

独房の中でポツリと、しかし力強く自分を励ます。

だが、目を開けるとそこに広がる現実。

正しさとは何だ?正義とは何だ?

俺は頭の中で自問自答を繰り返していた・・・

まるで言葉遊びのような・・・出口の無い迷路に迷い込んだような感覚だった。

それから2年が過ぎた・・・・

固いパンと具の無いスープ。飯はまずい。

この国じゃ、男はあまり重要視されないわけだ。

修復作業が始まってるんだからな・・・・。

だからこんなに手荒な真似もできる・・・・。

もう、俺に生きる意味は無い。ただ、喰って寝て出す。それだけだ。

娘達の事に思いを馳せる・・・今頃は両方とも小学生か・・・・。

喧嘩とかしてなきゃいいんだが・・・・・・ん?

ガシャン!

なぜ・・・扉が開いた?

「出ろ。釈放だ。」

男「え?」

訳も分からぬまま、風呂場へ連れて行かれた。

そして髪を切られ、体を洗われ、髭を剃られ・・・・用意されたスーツに着替えさせられた。

俺を固めていた者達が、迷彩服からスーツの男達に切り替わる。

そして、黒塗りのセダンに載せられ、高級ホテルに連れて行かれた・・・。

一体何が俺を待ち受けているんだ?

そしてある一室に通された・・・そこには、俺の娘達と女が居た!!

大きくなった娘達を両腕で抱きしめ顔を擦り付ける・・・・。

妹「パパ、痛いよぉ~」

姉「パパ生きてたんだねぇよかったぁ・・・・」ぐすんぐすん

女「男さん、本当によかった・・・・」ぐすんぐすん

女のあれは演技だな。しかし、なぜこんなことになった・・・・?

黒服たちが部屋を出て行く。俺はそれを確認した後、俺は机に置かれた新聞に目をやる。

「who内にて不正 関係者全員逮捕」

染色体修復におけるプロジェクト会議妨害の容疑か。

通報したのは・・・・俺の上司じゃないか!

それで、俺は無罪放免ってことか・・・。

しかし、なぜあの上司がフィーリングロードシステムに気付いた・・・?

まさか・・・・

女「男さんがいないと・・・寂しくて・・・・・」

男「なんだ、あの時上司のpcにデータ残したのかよ・・・」

女「あの女、気付いてから行動するまでが遅かったの!それで遅れたのよ!」

男「おい、地が出てるぞ。子供達が混乱する。」

女「あっ、ごめんなさい・・・・」

女「でも、こっちのキャラも嫌いじゃありませんよ・・・?ふふふ」

男「2年前は、一芝居売ったってことか?」

女「そうです。あのまま男さんが告発してたら・・・恐らく殺されてた。」

女「そんなの嫌で・・・それに、面会の時は監視があったから・・・・」

女「本音が話せなくて・・・本当は、ずっと・・・ずっと好きでした!」

女「星空見たとき、すごく感動しました!手作り弁当だってすんごくがんばって作りました!」

女「ごめんなさい、ごめんなさい・・・・・ずっと騙してたの・・・・・ごめんなさい・・・・・・・」

女「でも、全部幸せだったのは本当です・・・信じて下さい・・・・」

女「男さんは、何も無かった私に生きる意味をくれた・・・」

男「都合の良い話に聞こえるんだが、気のせいか?」

女「そう思われても、仕方無いです・・・・」

おもしろい

男「冗談だ。少し仕返しがしたかっただけだ。」なでなで

女「んっ・・・・嬉しいです・・・・・・(照)」ぎゅう

姉「私もなでなでしてー!」ぎゅう

妹「私も!私もー!」ぎゅう

男「あぁ、これから好きなだけしてやるぞ」なでなでなでなで

姉・妹「んっ・・・ふにゃぁ・・・・」

男「本当に・・・・スリリングな人生だな。」


end



ちょ

サクッとおわったな

嫌いじゃない。よかったよ。

おつ

乙♪(^ω^)

読み応えあったわ

ただ女達(偽社長令嬢である女を含む)が妙に貧乏臭い事の説明が無かったのが残念だわ

中々よかったよ、乙

次回も期待してる

綺麗に終わった乙

>>148
女は国から援助が出ないからね
主人公クラスの母親並じゃないと、贅沢な暮らしはできない

女の子の家⇒母親が働いて稼ぐ

男の子の家⇒国から多額の補助金が出る


最低50人と結婚しなきゃいけない親父としては、
子供に出せる仕送りは限られてくる

よって貧乏臭い

勃起した

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