【ディケイド】門矢士「俺がアイドルのプロデューサーか」【デレマス】 (85)

※注意

・仮面ライダーディケイドとデレマス(アニメ)のクロスSSです。ディケイド寄り
・地の文有り


以前アニメ版デレマスとゴーストのクロス↓書きましたが、そちらとの関係はありません。

【ゴースト】タケル「アイドルと」小梅「仮面…ライダー…?」【デレマス】
【ゴースト】タケル「アイドルと」小梅「仮面…ライダー…?」【デレマス】 - SSまとめ速報
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世界の破壊者、ディケイド。いくつもの世界を巡り、その瞳は何を見る―――

士「まさか、この世界の歴史そのものが偽物だったとはな」

ユウスケ「歴史の闇に消えた幻の仮面ライダー、3号…。強敵だった」

海東「僕らが本格的に接触する前に、その大本から無くなってしまったのは残念だった。どんなお宝があるのかも分かっていなかったのに…」

夏海「海東さんはまたそれですか?それでまたショッカーに入って、士君とユウスケがどれだけ苦労したと思ってるんです?」

ユウスケ「まま、落ち着いて夏海ちゃん。俺は気にしてないから。ねっ?」

海東「そんなことより、早く次の世界へ向かおうじゃないか。どうやらこの世界のように、僕らが知りえない世界が続々と生まれているようだ」

士「新たな物語と、新たな仮面ライダー、か…。さて、お次はどこだ?」

サーキットを疾走するトライサイクロンの描かれた背景ロールが、光に包まれる。

そこに描かれていた、新しい絵は。


士「何だこれは?」

夏海「お城…と、お姫様?でしょうか」

海東「ほう。これはまた、さぞ価値のあるお宝がありそうな世界にたどり着いたものだね」

ユウスケ「っていうか、お姫様?そんな仮面ライダーいたっけ?」

士「キバの世界…とは違うな。おいキバーラ!」

キバーラ「ハイハァ~イ。どうしたのかしら」

士「一応聞くが、今キバの世界はどうなってる?こんなメルヘンチックになってるか?」

キバーラ「いいえ?相変わらずファンガイアと人間が共存の道を探ってるわ。ここまで大きく様変わりはしてないわよ」

ユウスケ「あっ、ワタルも頑張ってるんだな。そっかそっか…」

海東「一度巡った世界の話などどうでもいい。この世界について、君は何か知らないのかい?」

キバーラ「そんなに知りたいなら、外に出てみたらいいじゃない」

そう言って、キバーラはまたどこかへ飛び去ってしまった。

夏海「結局、いつも通りですね」

栄次郎「人間、最初から知っている事の方が少ないものです。さ、行ってらっしゃい士君」

士「ああ」

光写真館の外に出た士。彼の装いはいつものように、『その世界』の『役割』に合わせて変化する。

ユウスケ「おっ、スーツ?会社員にでもなってるのか?」

海東「確か、僕の世界に来た時の君はサラリーマンだったね。あの時を思い出すよ」

士はグレーのスーツに身を包んでいた。今彼を見たものに「彼は何の仕事をしているように見えるか」と聞けば、
その多くはサラリーマンと答えるだろう。それほどに、いかにもどこにでもいるような普遍的な姿だった。

士「俺の本職はカメラマンなんだがな」

ごちる士のスーツの中で、携帯が震えた。取り出して確認する。

その内容を確認し終え、士は小さくつぶやいた。


士「……なるほど、だいたいわかった」

ユウスケ「おっ、わかったのか。今回はどの仮面ライダーの世界なんだ?」

しかし、士はユウスケの問いかけに答えずにマシンディケイダーに跨る。そして、胸元のポケットから一枚の小さな紙片を取り出した。

士「持っておけ、ナツミカン」

夏海「あ、はい」

それだけ言って、ユウスケの問いに答えないまま士は走り出してしまった。

ユウスケ「おいちょっと士ぁー!ここどこの世界なんだよー!?」

肩を落とすユウスケには触れず、海東は夏海の手の中の紙片に興味を示す。

海東「それでナツメロンくん。それは一体何なんだい?」

夏海「名刺…ですね」

夏海、海東、そして気持ちを切り替えたユウスケの3人が、名刺をのぞき込む。

そこにはこう書かれていた。


『346プロダクション シンデレラプロジェクト プロデューサー 門矢士』



第5.5話 ”DECADE” has come.


士「ここか」

スーツのポケットに入っていた社員証を見せると、警備員は士とマシンディケイダーをあっさりと通した。
そのまま駐車場内にマシンディケイダーを停め、士は346プロダクションの敷地内へ足を踏み入れる。

本館のエントランスはシャンデリアを備えた豪華な造りで、シンデレラ城を彷彿とさせると同時に、
例の背景ロールに描かれているのと同じものだということに士は気付いた。

士「なるほど、ここで間違いないみたいだな」

再びポケットから携帯を取り出し、メールを確認する。送信してきたのは『千川ちひろ』。当然知らない名前だ。

今の時間から10分ほど後に、オフィスビルの30階へと向かうようにとの指示。そこで顔合わせを行うらしい。

渡り廊下を経由し、オフィスビルへと入る。
エレベーターに乗り込み、30階のボタンを押そうとしたところで、一人の小男が同じエレベーターに乗り込んだ。

士「…何階だ?」

「ああ、27階で頼むよ」

上昇を始めたエレベーターの中で、小男が口を開く。

「そう言えば、今日はシンデレラプロジェクトに新しいプロデューサーが付くそうだね。君、知ってるかい?」

士「ああ」

返事はそれきり。

元々あまりノリのいい方ではない士は、こういう時に話しかけてくる人間を、あまり得意としない。

「いやあ、シンデレラプロジェクトも社内で少しずつ話題になって来たよ。今はまだ、騒動の方で、だけどね」

士「…………」

「おっと、おしゃべりは好きでなかったかな?だったら、すまないことをしたね」

小男は士の態度に少しも気を悪くせずに、人のよさそうな笑みを浮かべ続けていた。

やがてエレベーターは27階に到着し、小男が降り出て行く。

「それじゃ、またどこかで会おう」

ドアが閉まる前に、そんな言葉が聞こえた。

小男が降りてから間もなくして、エレベーターは30階に到着した。

ドアが開き最初に目にしたのは、緑色の事務員服に身を包んだ小柄な女性。その胸元には『千川』というネームプレートが付いていた。

ちひろ「初めまして、門矢士さん。私は千川ちひろと申します」

士「お前がこのメールを送って来たヤツか。それで、俺はここで何をすればいい?」

ちひろ「ただいまからご説明させていただきます。こちらへどうぞ」

ちひろに先導されて到着したのは、『Cinderella Project Room』というメタルプレートが取り付けられた一室。

ドアを開けてすぐにある、右手側のドアをちひろがノックする。

ちひろ「失礼します。プロデューサーさん、門矢さんをお連れしました。…プロデューサーさん?」

だが、いくら呼びかけしても部屋の中から応答はない。

士「いないのか?」

ちひろ「おかしいですね、いるはずなのですが…」

その時、二人の後ろでドアをノックする音が聞こえた。

振り返った士の前には、先ほどの小男と、目つきの悪い大男の二人が並んでいた。

「…おやおや、思ったより早くの再会だね」

ちひろ「それでは改めて自己紹介をさせていただきますね、門矢さん」

ちひろ「私はあなた方のアシスタントを務めさせていただきます、千川ちひろです。よろしくお願いします」

P「シンデレラプロジェクトのプロデューサーをしています。これから何卒、よろしくお願いします」

今西「…あ、私も名乗った方がいいかね?一応、この美城プロダクションアイドル部門の部長をやっている今西だ。よろしく、門矢君」

士「門矢士だ。それで、何故俺をここに呼んだ?」

プロジェクトルーム内で、ちひろの口から語られた話を聞き、士は自分がここにやって来た理由を知ることになる。


シンデレラプロジェクトのメンバーをデビューさせる計画が決まり、プロジェクトがそれに向けて本格始動を開始した。
しかし、プロデューサー一人では手落ちになってしまう部分が出る恐れがある。
そこで、新たにプロデューサーをもう一人追加し、より万全の状態でプロジェクトを進行させることが決定された。

そして、その追加プロデューサーと言うのが、他ならぬ士自身ということらしい。

士「なるほど。だいたいわかった」

今西「君の起用は上の決定でね。君は確か、支社の方からの異動だろう?」

今西「話は聞いていたんだが、いやあ、実際に会ってみると中々ハンサムじゃないか」

士「こっちでの俺の評価はどんな感じだ?」

今西「仕事に関しては非常に優秀だということは聞いているよ。でも、それ以外は良く知らないんだ」

士「…………」


もともとイレギュラーな存在である士が世界に馴染むために、ある程度の『設定』と『役割』が用意されることは少なくない。

それはつまり、『世界』そのものが士「だけ」のために書き換わるということと等しい。

そのために、『役割』とのズレが発生しないように、その周辺の人物の記憶が『設定』の辻褄合わせにある程度改変されたり捏造される。
今回もそれと同じだ。

つまるところ、今この世界の士に与えられた役割は『新設プロジェクトの追加(敏腕)プロデューサー』であり、
そのために必要な設定は『地方支社から転勤してきたために、周囲の人物は彼のことを話でしか知らない』といったところだ。

実際、別の世界からやって来た人間であるが故に、互いのことは全く知らないのだから、それくらいの設定の方がやりやすい。


P「千川さん、皆さんが来るまでにはまだ時間があります。その間、門矢さんに社内のご案内をお願いします」

ちひろ「はい。では門矢さん、ご案内いたしますので私に付いてきてください」

士「ああ。…いや、その前に一つ聞かせろ」

今西「何かね?」

士「これから先、何人プロデュースすることになるんだ?」

P「私と共に、14人のアイドルをプロデュースします」

士「…そうか。ちひろ、案内を頼む」

今西「みんな元気でいい子たちだ。きっと君もすぐ仲良くなれる」

士「…だといいな」



ちひろに案内されながら、訪れた346プロの各施設を写真に収めていく。

特に意味はないが、こうしておく必要があると感じたのだ。

ちひろ「写真をやってらっしゃるんですか?」

士「ああ」

一応はこっちが本職だが。

しかし、この写真たちもどうせ歪んでいる。士が撮る写真はいつもそうだ。

だが、だからこそ士は写真を撮り続ける。世界の姿を、自身の内に刻むために。


気が付けば太陽が高く昇っている。どうやら社内を巡るうちに昼になっていたらしい。

ちひろ「あら、時間もちょうどいいですね。カフェで休憩しましょうか」

すぐ近くに見えるカフェへ、ちひろの後に付いて入って行く。

そんな二人を、メイドが出迎えた。

「お疲れさまです、ちひろさん!」

ちひろ「あら、菜々ちゃんこそお疲れさま。席、空いてるかしら?二人分」

菜々「はーい♪二名様入りまーす♪」

菜々というその小柄な少女に、士は何の気なしにカメラを向ける。

すると、彼女は何故か慌ただしく服装を整え始めた。

菜々「あっお客さん、撮影ですか?ちょっと待ってくださいね!」

士「いや、なんでお前が撮られ方を気にする必要があるんだ、“店員”」

菜々「て、店、員……」

全てを打ち砕かれたような表情を浮かべ、菜々は床に膝をついた。

菜々「うう…、そ、そうですよね…。確かに今のナナは、店員にしか見えないですよね…」

士「あぁ?どういうことだ?」

ちひろ「門矢さん。彼女も、当プロダクションのアイドルなんですよ」

士「こいつもアイドルなのか?仕事はどうした?」

菜々「はぐぅっ」

どうやら今の一言は相当深いところへ突き刺さったらしい。菜々は床に手をつき項垂れてしまった。

菜々「…いいんです。今はまだ、お仕事がなくて、バイトで繋いでるだけでも、きっとデビューできるはずなんですから…!」

しかし、菜々は拳を握り再び立ち上がった。そして声高に叫ぶ。

菜々「ナナは負けません!負けませんよー!」

士は思わず耳を押さえ、不快感を隠さない表情で菜々に告げる。

士「…お前の決意は分かった。だから早く、席へ案内しろ、“店員”」

その言葉が、再び彼女の心を突き刺したのは言うまでもないだろう。


士「『あれ』もアイドルなのか。まさか、俺がプロデュースするのも似たような奴じゃないよな?」

ちひろ「…いえ、皆さん個性的ですけど、良い子達ばかりですよ」

士「何だ今の間は」

カフェの一席で、士は軽食をとりつつ情報収集をしていた。

ちひろ「本当ですよ?それに、アイドルの個性を尊重するのが、ここの方針じゃないですか」

士「何?……あぁ、そうか」

ちひろの視線が自分の後ろに注がれていることを察し、振り向く。

そこには346プロアイドル部門の訓示の書かれたポスターが貼られていた。

士「このアイドル部門が設立されてどのくらい経つ?」

ちひろ「二年と少しですね。ご存じなかったんですか?」

士「俺はアイドル部門に関わっていたことはないからな」

というか、この世界に来てまだ2時間ほどだ。

『設定』ではもっと前からいることになっているだろうが、実際にはそんなことはないからこういう話にもなる。

ちひろ「でも、門矢さんの噂は度々本社でも聞きましたよ。部長が言う通りに、支社の方に非常に優秀な方がいると」

士「フッ、当然だ」

ちひろ「上の方からの指名だったそうじゃないですか。どうして今までアイドル部門に縁が無かったのに、お話を受けたんです?」

「そういう設定だから」だの「そういう役割」だのと言うことは間違っても出来ない。

それらのことを上手く避けつつ、選べる最適な答えは。

士「…そこが、俺のいるべき場所だった。それだけだ」

ちひろ「…なるほど」

微妙に答えになっていない答えだが、ちひろは一応納得したようだ。

注文の品が全て片付き、二人して食後のコーヒーを飲んでいたところで、ちひろの携帯が震えた。

ちひろ「門矢さん、プロデューサーさんから連絡がありました。皆さんが出社されたそうなので、プロジェクトルームの方に戻ってきてほしいとのことです」

士「時間か」

コーヒーを飲み干して席を立つ。会計はちひろが持つようだ。

ちひろ「少し外で待っていてください」

出口へ向かおうとした士の前に、またしてもあの小柄な少女が現れた。

菜々「ご利用ありがとうございました!またのご来店をお待ちしております♪」

士「…お前は、『アイドル兼店員』なのか?『店員兼アイドル』にしか見えないが」

菜々「お、お客さん、中々痛いところを抉ってきますね…。な、なら!ナナのアイドルらしいところをお見せしちゃいましょう!」

士「いや、遠慮する」

菜々「ぐさっ…。で、でもめげません、めげませんから…!」

士の悪意ない言葉に心を抉られながらも、菜々はめげずに拳を握りしめた。

菜々「そう言えば、ちひろさんと一緒にいましたが、お客さんはどちらの方なんですか?」

士「俺はシンデレラプロジェクトとやらのプロデューサーだ。別に覚えなくてもいい」

菜々「あのプロジェクトのプロデューサーさんですか!?そうですかぁ~、頑張ってくださいね~」

そこへ会計を済ませたちひろが合流した。

ちひろ「お待たせしました。では行きましょう。菜々ちゃんも、ありがとう」

菜々「いえいえ♪またのご来店をお待ちしてますね♪」

30階へ戻って来た士とちひろを、今西が出迎えた。

今西「どうだったかね、この会社は」

士「だだっ広いが、まあ悪くない」

今西「ふふ、お気に召してもらえたようで何よりだ。それじゃあ、中の彼が呼ぶまで少しここで待っていてくれ」

それから数分後、ドアが開きプロデューサーが顔を出した。

P「門矢さん、どうぞ中へ」

プロデューサーが開いたドア。

そこを通過しようとした瞬間、士の目の前にオーロラが出現した。

士「…フッ」

ここからが、物語の始まり。そんなところか。

躊躇うことなく、士はドアとオーロラを潜り抜けた。



P「こちらがこのプロジェクトの新しいプロデューサー、門矢さんです。門矢さん、ご挨拶をお願いします」

士「お前たちのプロデュースをすることになった、門矢士だ。別に覚えなくていい」

「「「よ、よろしくお願いします…?」」」

少女たちは明らかに戸惑っていた。これから自分たちのプロデュースを担当する人間が、初対面で突然「覚えなくていい」などと言えばそうもなるだろう。

実際、プロデューサーも今西も少なからず面食らっていた。

P「え、ええと…」

今西「…ハハハ。自己紹介の掴みとしては、中々鋭いんじゃないかね?」

士「プロデュースの方は任せろ。必ずお前らを成功させてやる」

「「「は、はい……」」」

P「…これから当プロジェクトは、私と門矢さんの二人で、皆さんのプロデュースを行っていきます」

「私たちも、ちゃんとデビューできるんですよね!?」

「楽しい歌、いーっぱい歌いたーい!」

P「それは、以前お伝えした通りです。皆さんのデビューは、ニュージェネレーションズとラブライカの5名の後に、続けて行っていきます」

今西「今以上に、忙しくなるだろうねぇ。だから業務の負担を軽減して、より万全に君たちの活動をサポートするために、門矢君が呼ばれたというわけさ」

士が口を開かなくても、後はあれよあれよと言う間に話が進んでいく。

P「門矢さんにはこのフロアの別室に、専用のデスクが用意されています。今後はそちらをお使いください」

士「ああ」

P「ニュージェネレーションズ、ラブライカの皆さんは13時50分からダンスレッスンとなります。遅れずに移動してください」

「「「はい!」」」

P「では、報告は以上になります」

話が終わった以上、次は一刻も早く仕事に取り掛かる必要がある。そう判断した士は踵を返して部屋から出て行こうとした。

しかし、その背中を今西が呼び止める。

今西「おっと。仕事に真面目なのはいいことだが、この仕事はコミュニケーションも大切だ」

今西「どうだい、今日くらいは彼女たちとお喋りしてみてもいいんじゃないかな?」

士「何?」

ちひろ「今はまだ門矢さんに回す業務もありませんから、いいんじゃないでしょうか?」

「ホントー!?」

「お話ししたーい!」

今西「ほら、彼女たちもああ言っていることだ。どうだい?」

士「…まあ、いいだろう。付き合ってやる、今日はな」

「「やったー!」」



「それじゃあ、だいたい覚えたかなプロデューサー。はい、私は?」

士「本田未央」

「はーい!アタシは!?」

士「城ヶ崎莉嘉」

「じゃあ私はー?」

士「赤城みりあ」

未央「おおー!凄いよプロデューサー。もう声だけで分かるようになったんだね」

士「…このアイマスク、外すぞ」

アイマスクを外し、ゆっくりと目を開ける。目の前には、先ほど声を聞いた3人の少女がいた。

卯月「この短時間で、もう私たちの名前を覚えたんですか?」

士「それくらい簡単なことだ」

無数に存在する仮面ライダーたちに比べれば、14人の少女などまだまだ少ないくらいだ。名前を覚えるだけなら造作もない。

だが、一つだけ悩みの種になりそうなのがいた。


蘭子「フッフッフ。汝も真なる〈瞳〉を持つ者か。ならば、共に漆黒の饗宴へと赴かん!」


これである。
グロンギ語を解せる士でも、これを訳すのは無理だ。というより、法則がある分まだグロンギ語の方が易しいとすら思えてくる。

かな子「プロデューサーさん、クッキーを焼いてきたんですが、いかがですか?」

士「ああ、貰おうか」

かな子が差し出したクッキーを一つ摘み、口へ放り込む。味は悪くない。

かな子「どうですか?」

士「悪くない。お前は菓子作りが好きなのか?」

かな子「はい!食べるのも…うふふ…」

士「そうか。だが三村、お前もアイドルなら少しは体形を気にしろ」

かな子「ええっ!?」

凛「かな子、それこの前もトレーナーに言われてなかった?」

かな子「り、凛ちゃん…!」

どこかで見たのと同じように項垂れるかな子の肩を、そっと智絵里が支えた。

智絵里「だ、大丈夫、かな子ちゃん…?」

そんな二人の様子を気にも留めず、士は時計を確認する。

予想通り時計の針は、先ほどプロデューサーが言ったレッスン開始時間の、15分ほど前を指していた。

士「島村、渋谷、本田、新田、アナスタシア。そろそろ時間だ」

未央「あっ、ホントだ。ありがとねプロデューサー!行ってくる!」

凛「ちょっ、未央、今から張り切ってどうするの!」

卯月「あぁっ、二人とも待ってくださいよ~…」

素早く飛び出して行った未央に引っ張られるように、凛と卯月が部屋を出て行く。

美波「それじゃあプロデューサーさん、私たちも行って来ますね」

アーニャ「Я собираюсь…行って、きます」

美波とアナスタシアが2人一緒に部屋を出て行き、9人の少女と1人の破壊者が部屋に残された。

みく「うにゃぁ~、羨ましいにゃあ。みくも早くデビューしたいにゃ」

李衣菜「つい最近、そう言ってスト起こしたばっかじゃん。もう我慢できなくなったの?」

みく「にゃっ!?ち、違うにゃ。今のは本当に、ただ羨ましいって言っちゃっただけ」

莉嘉「でも、アタシも早くデビューしたいな…」

士「…………」

どうやら以前に何かあったらしいが、面倒なのでわざわざ突っ込んで聞いたりはしない。


それ以上に、士はこの世界に対して疑問を抱き始めていた。


新たな世界に到達したというのに、仮面ライダーが出てこない。

あるいはそれ以外の、世界の悪と戦う者たちもまた、登場していない。

ひょっとすると、この世界はこれまでで初めての『正義の味方』と『悪』の存在しない世界なのではないか。

だとすると、自分は一体何のためにこの世界にやって来たのか?

世界を旅する意味については、士なりに答えを出している。

しかし、今いるこの世界では、あるいはそれすらも通用しないのかもしれない。


みりあ「ねえみんな、パーティーしようよ!」

部屋の沈黙を破ったのは、みりあの一声だった。

きらり「パーティー?」

みりあ「うん!あのねっ、美波ちゃんたちのデビューが決まったでしょ」

みりあ「それに、新しいプロデューサーも来たでしょ!だからね、それのパーティー!」

きらり「パーティー…。うんうん、いいかもぉ!」

莉嘉「みんなでパーティー!?アタシもやりたーい!」

みく「えっ、今からかにゃ?大丈夫かにゃ」

士「おい待て。そういう話は許可を取ってから進めろ」

一応釘を刺しておく。パーティーをやりたいというのは自由だが、勝手に話を進められては後始末が面倒なことになる。

この場合の許可は、士ではなくプロデューサーに取るべきだろう。


というわけで。

みく「プロデューサー、かくかくしかじかなパーティーをやりたいんだけど、どうかにゃ?」

P「そういうことでしたら、構いません」

莉嘉「ホント!?やったー!」

こうなると、人間は行動が素早くなってくるものだ。あっという間に役割分担が行われ、各自が動き出した。


それから2時間ほど経って、買い出しに行った者もプロジェクトルームへと戻り、パーティーの準備は大方済んだ。

士「…で、なんで俺まで出て行かなきゃいけないんだ」

李衣菜「いいじゃないですか、プロデューサー。迎えに行くのも、プロデューサーの仕事ですよ」

準備を終えた後、士は5人が戻ってくるのを待とうとしていた。

だが、パーティーに浮かれ気分な少女たちがそんな士を放っておくはずもなく、士は皆に引き摺られてレッスンスタジオまで足を運ぶことになっていた。


みりあ「みんな、どうかな…?」

みりあがレッスンスタジオのドアを開け、中の様子を窺う。
中ではニュージェネレーションズの3人が、ダンスレッスンの真っ最中だった。

きらり「卯月ちゃんたち、頑張ってるにぃ…☆」

かな子「私たちも、あんな風になれるかな…?」


少女たちが各々思い思いの感想を口にする中、士は突然奇妙なイメージに囚われた。


六つの地球が、一つの地球に重なり影を落としていく。

やがてその六つの影は一つになり、地球を覆い―――



地球は、影に飲み込まれて砕け散った。




智絵里「…プロデューサーさん?どうかしたんですか?」


士「……いや、なんでもない」

智絵里の声で、士の意識は現実へと引き戻された。

地球のイメージ。

最初に『夏海の世界』から各仮面ライダーの世界を旅することになった時に、紅渡も世界の崩壊を地球同士が衝突するイメージに例えて士に伝えた。

今士が見たのは、それによく似ていた。

ただし、崩壊の暗示が地球同士の衝突ではなく、影が地球を覆い砕け散るという多少異なるものになっている。


そして、士は何かが出現するのを感じ取って、スーツの内ポケットに手を突っ込んだ。

士「これは……」

そこから取り出したのは、6枚のライダーカード。ただし、いずれもブランクであり、何のライダーのものなのかも不明だ。

イメージで見た地球は、“六つ”の地球の影によって崩壊を迎えた。

そして今、士は新たな“6枚”のブランクライダーカードを入手した。

これを偶然の一致とは言えないだろう。何かが始まるのは間違いなさそうだ。


そんなことを考え立ち尽くしている内に、どうやらレッスンは終わっていたらしい。

未央「どしたのプロデューサー?カッコいい顔が台無しな、こわーい顔してたよ?」

士「…何でもない。気にするな」

莉嘉「ねえねえ、パーティーやるんだよパーティー!」

卯月「えっ、パーティーですか?」

みく「うん!美波チャンや卯月チャンたちのデビューのお祝いと、新しいプロデューサーの歓迎祝いだにゃ!」

美波「本当?みんな、ありがとう!」

アーニャ「Спасибо!」

李衣菜「あの堅物プロデューサーが許可してくれたんだ。早く行こうよ」

凛「うん。待ってて、着替えたらすぐ行くから」

5人が更衣室へ入って行く。

戻ろうとしたところで莉嘉にスーツの裾を掴まれ、白い目で見られた。どうやら、まだここにいろということらしい。

莉嘉「ダメだよプロデューサー!みんなで一緒に戻らないと!」

士「……チッ」

誰にも聞こえないように小さく舌打ちをする。

役割がアイドルのプロデューサーであることは理解できたが、現状は子供のお守りと大差ない。

本格的にこの世界にやって来た意味について悩むことになりそうで、士は頭を抱えそうになった。

卯月「お待たせしました!」

10分もしないうちに、着替えを終えた5人が合流する。

これで全員が合流した。士はプロジェクトルームへ戻るために、来た道を14人の少女に背中をぐいぐいと押されながら歩き始める。

その途中、士はあちこちから好奇の視線が突き刺さるのを感じていた。

彼がプロデューサーだから少女たちを引き連れているように見えるのかもしれないが、実際は少しでも早く戻るために先頭を歩いているに過ぎない。

杏「迎えに行くだけなら、杏も出てくる必要、なかったよね?」

きらり「もーぅ杏ちゃん!たまにはみんなと一緒にお話しするのも、大事なんだから!」

蘭子「良いではないか、怠惰の妖精よ。我らが城で、これより盛大な宴が始まるのだ。それを思えば、この行程もまた一興というもの!」

みりあ「そうだよねー♪」


士の背後には、なんのかんのと楽しそうに騒ぐ14人の少女がいる。極めて平和的で微笑ましい光景だ。

ユウスケなら、この会話に混じって一緒に笑っているだろう。



しかし、そんな光景が、逆に士の警戒心を強めることになる。

『悪』というものは、そんな瞬間をぶち壊すために現れるものだ。



士「――――」

そんな状態の士を狙ったかのように、再びあのイメージが、影に包まれ地球が崩壊していくイメージが、彼を襲う。

それは、この『世界』が、士に発したSOSか。

あるいは、幾多の戦いを潜り抜けて来た彼の『勘』によるものだったかもしれない。

オフィスビルへ通じる渡り廊下を歩く、士と14人の少女たち。

みく「えっ…?何、あれ。オーロラ…?」

その中で、「それ」に最初に気が付いたのはみくだった。

莉嘉「何アレ!?ちょーキレーイ!」

アーニャ「Нет!オーロラがこんな時間に、Япония…日本で見られるなんて、ありえません!」


「それ」が何なのか、士は知っている。

アーニャの言う通り、外に出現した「それ」は、オーロラなどではなく、そう見える「次元の壁」あるいは「世界の境界」とでも呼ぶべきもの。

そして、それが現れた時に何が起こるのかを知っているのもまた、士だけだった。


凛「ちょっと、アレどういうこと……?」

卯月「な、何なんでしょうか、あの人たち……」

未央「コスプレ?あっ、撮影とか?」

オーロラの向こうからは、全身黒タイツに身を包んだ者たちが続々と現れ出てくる。

それを見た瞬間、士は即座に駆け出していた。

李衣菜「えちょっ、プロデューサー!?」

少女たちの声はあっという間に遠ざかる。外へ向かう途中ですれ違う社員たちは皆、謎の出来事に困惑していた。

やがて、最後の一人が登場したことで、オーロラは消滅した。

ただし最後に現れたのは、果たして「一人」と人間同様にカウントしていいのかも分からない姿をしていたのだが。


かな子「あ、あの人、何……?」

智絵里「気持ち悪い……」

それは、言ってしまえば「蜘蛛人間」。頭部に、赤黒い巨大なクモが張り付いているのに、その下は人間と何ら変わりない。

その蜘蛛人間は、黒タイツの集団の中をゆっくり歩いてその集団に出ると、声を発した。



「この世界はショッカーのものだ!」


「「「「イーーーーーッ!!」」」」


美波「な、何今の…。ショッカー…って、何…?」

みりあ「全然わかんないよ…」

きらり「それに、あの黒いカッコの人たちも、何だか様子が変だにぃ…」


状況を飲み込める人間もいないまま、蜘蛛人間は再び声を発する。


「行け貴様ら!すべてを支配するのだ!」

「「「「イーーーーーッ!!」」」」


蜘蛛人間の号令が飛ぶ。

甲高い声で叫んだ黒タイツ達は、目に映る者たちに接近し、突如として攻撃を開始した。

不用意に近付いてきたものを、数人で取り囲んでいたぶる。逃げ惑うものには、容赦なく手に持った武器を投げつける。


少女たちは、誰に言われるでもなく理解する。

目の前の出来事は、決してテレビや映画の撮影などではない、と。


平穏だったはずの日常は、突如として崩壊してしまったということを。


蘭子「な、何が起きているのだ……!こ、これが終焉の始まりだというのか……!?」

杏「流石にこれはヤバイでしょ……」


絶え間なく聞こえる悲鳴。甲高い叫び声。蜘蛛人間の低い笑い声。

それに対して、少女たちはどうすることも出来ずに、ただ立ち尽くしていた。

ただ目の前で日常が、世界が壊れていく様を見ていくことしか、出来なかった。


未央「な、な……」

凛「………ッ」

卯月「ひ………」


事件が起きてから、ずっと震え続けているスマートフォンのことなど、誰も気付きはしない。

彼女たちの身を案じたプロデューサーが、探しに動いていることも。


「いいぞ、もっと暴れろ!歯向かう者は痛めつけろ!」

「「「「イーーーーーッ!!」」」」

蜘蛛人間の命令に従うように、黒タイツたちは一斉に侵攻を始めた。

それはちょうど、少女たちのいる渡り廊下の方へと向かってきていた。

莉嘉「ヤ、ヤバくない?こっち来てるよ!」

かな子「に、逃げなきゃ……」

李衣菜「で、でもさ……!」

この状況で、一体どこに逃げれば助かるというのか。そもそも、どこに逃げればいいのか。

全てが不明だ。それだけで、少女たちの足は少しも動かなくなってしまう。

本当に出来ることが何も無くなってしまった少女たちの中で、しかし一人だけアクションを起こすものがいた。

みく「うぅ……。こうなったらもう、祈るしかないにゃ……」

そう言って、みくは両手を組んで祈り始めた。

それに触発されて、みりあも両手を組んで祈り始める。

みりあ「お願い……!誰か悪ものをやっつけて……!」


だが、そんな祈りを神は聞き入れなかった。

蘭子「ひっ……」

謎の集団の侵攻は止まらずに、確実に迫り来る。

智絵里「うぅっ……誰か、誰か……」

智絵里が恐怖から涙を流しても、肩を抱いて寄り添うことが出来る者もいない。


そして、悪い出来事はさらに重なる。

卯月「ひっ………!」

運悪く、卯月と件の蜘蛛人間の目が合ってしまったのだ。

「そこにまだいたか」

蜘蛛人間が右手をそちらに向ける。そこから、何かが発射された。

凛「危ないっ!!」

咄嗟に凛が卯月を突き飛ばす。それからほんの僅か後に、窓ガラスが砕けて先ほどまで卯月がいた場所を何かが過った。

未央「い、糸……?ホントに蜘蛛じゃん……!」

蜘蛛人間の発射した糸には、無数のガラス片が付着していた。もしもこれが直撃していた時のことなど、想像したくもない。

だが、蜘蛛人間はまだ狙いを解いていなかった。

その目は、14人の少女全てを観察するように、ぎょろぎょろと動く。


「逃げられない」。「助からない」。

その場の全員が、それを悟った。もう、どうしようもないのだと。


そんな少女たちの姿を見て、まるで喜びを表現するかのように、蜘蛛人間は再び腕を上げた。


「誰か助けて……!お願い……!!」


少女たちの誰もが、忘れていた。

その日、新しく出会ったプロデューサーのことを。彼が突然駆け出して行ったことを。

そして、少女たちの誰もが知らなかった。


「誰か……!!」


その男が、何と呼ばれているのかを。



「何だ!?」

「「「「イッ?」」」」

聞こえてきたのは、バイクの排気音。その音は、徐々に大きくなっていく。

音と共に現れたのは、マゼンタ・ホワイト・ブラックの派手な3色が目を引くバイク。

そして。



士「……はぁ。また“ショッカー”か!」



そのバイクを駆って登場したのは、門矢士だった。



「「「プロデューサー!?」」」


少女たちの、驚愕の声が重なる。

突然現れたバイクに乗っていたのは、グレーのスーツに身を包んだ男。

その男がヘルメットとゴーグルを外した時、その下から出て来た素顔。

それは、今日出会ったばかりの彼女たちの新しいプロデューサー、門矢士に他ならなかった。


「「「プロデューサー!?」」」

P「っ!皆さん、ご無事、ですか……」

そして少女たちの声は、ちょうど彼女たちを見つけたプロデューサーの耳にも届いていた。

だが、彼女たちがプロデューサーに気付いてそういう言葉を発したわけではない、ということにはすぐに気付けた。

P「…門矢、さん…?」

彼女たちの視線の向こうには、もう一人の『プロデューサー』、門矢士がいたからだ。


「なぜ貴様がここにっ、ディケイド!」

士「さあ?俺にも良く分からん」

「イッ?イッ?」

「…構わん!ヤツを倒せ!」

「「「「「イーーーーーッ!!」」」」

黒タイツたちは一斉に叫び、士目掛けて突撃を開始した。

士「丁度いい、ウォーミングアップくらいにはなるか」

余裕の表情を崩さずに、黒タイツを迎え撃つ姿勢の士。

そして、黒タイツたちと士が激突した。


常識がぶち壊されるような出来事の連続。

その幾つめかが、彼女たちの目の前で、黒タイツを相手に新しいプロデューサー、門矢士がたった一人で立ち回って相手をしていることだ。

格闘技などの経験のない少女たちにも、その動きが相当高いレベルまで洗練されていることは見るだけで分かった。

わらわらと挑みかかってくる黒タイツたちを、一発の拳でノックアウトし、蹴りを繰り出し簡単に吹っ飛ばす。

それでいて、回避すらも攻撃の一動作に組み込まれているために、彼自身には攻撃が当たるどころか、スーツの裾に掠りもしない。

まさしく反則的な強さを誇り、士が黒タイツたちを瞬く間に無力化していく。

未央「す、凄い……」

莉嘉「カッコイイ…!ヒーローみたい!」

少女たちは逃げることも忘れて、ただただ目の前で繰り広げられる士の一騎当千の戦いに見入っていた。


そして、それはプロデューサーも同様だった。

ただ、少女たちが士の戦いに熱中しているのに対し、彼は士の戦いぶりに驚愕して目が離せなかったのだ。

今日出会ったばかりの新たな同僚は、たった一人で謎の集団と相対し、退くどころか逆に押している。

その戦い方も、素人目に見ても明らかに素人のそれではない。手慣れ過ぎている。


彼は本当に、アイドルのプロデューサーなのか?


P「……ッ」

そんな疑問を抱いた瞬間、彼を頭痛と耳鳴りが襲った。

それ以上、その先を知ろうとすることを阻むかのように。

プロデューサーは、無理やり頭を振って頭痛をかき消すと、自らの管理するアイドルたちの元へと歩み寄っていく。

P「…皆さん!ご無事ですか!?」

卯月「あ…っ、ぷ、プロデューサーさん!」

皆が一斉に彼の方を向いた。恐怖、不安、困惑、そして若干の安堵の表情がそれぞれに見える。

未央「はぁ…、た、助かった…?」

凛「ねぇプロデューサー、これは何?どういうこと?一体、何が起きてるの…?」

P「私も、何が起きているのかは…!」

返答に窮したプロデューサーが、窓の外を見る。それにつられて、凛も再び窓の外に視線を向けた。

今ここで、何が起きているのか。

それを知っているのは、彼らの目線の先にいる人物、門矢士しかありえないだろう。

そのことは、プロデューサーのみならず、凛にも容易に理解できた。

そしてその士は今、最後の黒タイツを蹴り飛ばしたところだった。


士「…まぁ、こんなところか」

いつもの癖で、砂を払い落とすかのように手を払う。

彼の目の前や足元には、一蹴された戦闘員たちが無数に転がっていた。

「ぬぅぅ…、貴様ぁっ!」

いらだつ蜘蛛人間―スパイダー・ドーパント―は、士に向けた手のひらから、今度は子蜘蛛を発射した。

士「っと」

しかし、それも士はあっさりと躱してしまう。

一方、彼に命中しなかった子蜘蛛が、次々と空中で爆発した。

「「「キャアッ!」」」

士「!」

爆発の後に、立て続けに聞こえる悲鳴。その声に、士は聞き覚えがあった。

振り向いた彼の目に映ったのは、今日出会ったばかりの14人の少女たち。そしてプロデューサー。

爆発に怯える少女たちを、プロデューサーが何とか落ち着かせようとしていた。

スパイダー「フッフッフ。ディケイド、貴様の後ろには人間がいる。今度こそ、躱せばどうなるか…。分かるだろう?」

これ以上にないくらい分かり易い脅迫だ。これまで旅してきた世界で、そんな台詞は何度も、それこそ呆れるくらい聞いてきた。

故に、そういうことを言うやつの殆どはもう勝った気でいる、ということを士は知っている。

士「だから大人しく喰らえってか?…ハッ、バカバカしい」

そう吐き捨て、士はディケイドライバーのバックルを下腹部に当てがった。銀色のベルトが伸長し、装着される。

スパイダー「何っ、貴様!?」

士「生憎だが、お前のやり方に付き合う気はないんでな」

両ハンドルを外に引いてバックルを回転させ、カード挿入口を上へ向ける。

そして左腰の部分に出現したライドブッカーを開き、そこからディケイドのライダーカードを取り出すと、
目の前のスパイダー・ドーパントに見せつけるように構えた。

スパイダー「クッ、させるかっ!」

士の行動に呆気に取られていたスパイダーも、今ここで士を倒してしまうという判断を下すのは早かった。

スパイダーが両手を士に向けると、その手のひらから大量の子蜘蛛爆弾が射出された。



スパイダー「死ねぇ、ディケイドぉっ!」


「プロデューサーさんっ!!」


カードを構えたままの士の目の前で、子蜘蛛が一斉に爆ぜた。


「プロデューサー!!」


スパイダー「ハッハッハッハッハ!呆気ない!世界の破壊者も、所詮は人間か!」

死んだ。間違いなく、爆発によって死んだ。

それを確信したスパイダーの高笑いが響き渡る。


「変身!」


『KAMEN RIDE DECADE!』



スパイダー「ッ!?」

炎の中からマゼンタ色のプレートが7枚、スパイダー目掛けて飛来した。

油断し切っていたスパイダーは回避も防御も出来ずに、その全てを喰らって地面に転がる。

スパイダー「な…、まさか…!」

スパイダーに激突した7枚のプレートが、炎の中に戻っていく。

いいや、あるべき場所に集まり、そこへ突き刺さっていくのだ。



そして、炎の中から、彼が歩み出て来た。




士「人間一人殺せない、か。大したことないな」




スパイダー「ぐっ…、ディケイドォ……!!」



世界の破壊者、『仮面ライダーディケイド』が。



みく「も、もう頭がついていかないにゃ…」

李衣菜「色々起こりすぎて全然整理できないよー!!」

P「…………」

声に出すか出さないかの差は有れど、15人は皆一様にこう思っていた。


「さっきから一体何が起こっているのか」、と。


突如として真昼の日本に現れた、現れ得ない「オーロラ」。

そこから出で来た、謎の蜘蛛人間と黒タイツたち。

彼らによる破壊、否、侵略行動。

狙われた自分たち。

バイクを駆って登場した新しいプロデューサー、門矢士。

彼の一騎当千の戦い。


そして、彼の『変身』。


そのどれもが、これまでの彼女たちの日常とは大きくかけ離れていて、絶え間なく常識を揺さぶり続けた。

突如として訪れた『非常識』は、津波が人間の社会を飲み込み破壊していくように、少女たちの『世界』を圧倒し、軽々と破壊していってしまったのだ。


やがて、誰もが知ることになる。


この『世界』は『破壊されてしまった』ということを。


士「ハッ!」

スパイダーへ駆け寄り、鋭い拳を突き出す。顔面へクリーンヒットし、スパイダーがよろめいた。

士「ハァッ!」

それを逃さず、追撃のキックがボディに突き刺さった。

スパイダーはまたしても吹き飛ばされたが、今度は地面を転がることなく姿勢を保ち、上手く着地する。

士「コイツで行くか」

『KAMEN RIDE FAIZ!』

その間に、士は新たなカードを挿入していた。

フォトンブラッドの赤い光のラインが走ると、それに沿うように装甲が出現していく。

フォトンストリームの光が消えた時には、ドライバー以外は本物のファイズ同様のディケイドファイズへと変身を遂げていた。

士「後ろに逸れても面倒だな…。ならコイツが丁度良い」

『ATTACK RIDE AUTO VAJIN!』

カードの効果が発動したことで、マシンディケイダーは構造も形状すらもまったく違う『オートバジン』へ物理法則を超越して変化し、
そこからさらに人型のバトルモードへと変形する。

士「アイツらを守れ」

頷くオートバジン。ホバーで地面を滑るように移動して少女たちの前に立つと、
前輪であり武器であるガトリング内臓シールド、バスターホイールを構えた。

スパイダー「チィッ…」

士「さて蜘蛛野郎、焼き加減はどれがいい?ロウ・ミディアム・ハイ・アルティメットの豪華四種類だ。好きなのを選べ」

そう言って、手にしたファイズエッジの刀身を撫で上げる士。フォトンブラッドの赤い光が揺らめく。

スパイダー「生憎だが……ッ!!」

スパイダーは素早く両手を士に向けると、そこから無数の子蜘蛛爆弾を発射した。

スパイダー「焼け死ぬのは貴様だディケイドぉぉぉっ!!」

士「ハンッ!」

しかし、士は怯むどころか逆に鼻で笑い、スパイダーへ向かって駆け出した。

真っ直ぐ、相手に向かって一直線で駆けていく。

狙いを絞らせることで、士は自分に当たる子蜘蛛にだけ防御の意識を向けることが出来た。

ファイズエッジを軽く振るうだけで、刀身から放つ超高熱エネルギーにさらされた子蜘蛛が、爆ぜることなく消滅していく。

一方、彼に当たらずに後方へと流れていく子蜘蛛爆弾は、オートバジンがガトリングで一掃し、空中で爆発する。

無論、それよりさらに後ろには一匹たりとも通りはしない。

スパイダー「何っ!?」

士「じっくり焼いてやろう、ハイでな!」

スパイダー「クッ!」

士はあっという間に、ファイズエッジの刀身が届くほどに距離を詰めていた。

その勢いを保ったままファイズエッジを振り下ろす。スパイダーはサイドステップでそれを上手く回避した。

続けて逆袈裟にファイズエッジが振るわれる。だが、スパイダーは上半身を逸らして紙一重で直撃を避けた。

士「ハッ!」

その重心が不安定な僅かな瞬間を逃さず、両手でファイズエッジのグリップを握りしめると、素早くスパイダーの足を斬り払う。

士「ハァッ!」

そして、宙に浮いたスパイダーに強烈な前蹴りを見舞った。

スパイダー「のぉわぁっ!」

士「こいつで決めるか」

思い切り蹴り飛ばされ、地面を転がったスパイダー。

何とか立ち上がったものの、足を傷つけられたためにふらつくスパイダーを見て、士は金と青のカードをドライバーへ挿入する。

『FINAL ATTACK RIDE FA・FA・FA・FAIZ!』

士「フッ!」

フォトンブラッドの赤い光を放つファイズエッジを振るう。

その刀身から放たれたエネルギーが、スパイダーを拘束した。

拘束を脱そうと足掻くスパイダー。だが、もはや反撃の術は残されていない。

スパイダー「がっ…!クソッ、ディケイドォッ!!」


「貴様は…、貴様は…っ!何なんだぁぁぁーーーーーっ!!」




「通りすがりの仮面ライダーだ。覚えておけ!」




眩い赤光を放つ刃が、スパイダーを切り裂いた。

士「―――――」

スパイダーにトドメを刺した瞬間、士の意識は宇宙にあった。


彼の目の前では、一つの地球がその青い輝きを放っている。

しかし、その輝きは突然失われた。地球に、黒い影がかかる。

見上げると、そこには予想通り六つの地球が存在していた。


バラバラだった影は、やがてどれからともなく接近していき、どんどんと一つになり、その範囲を広げていく。

やがて、一つになった六つの地球の影は、士の目の前の地球を完全に覆い尽くし――。


そこで、時間が止まった。

士「……?」

先ほどまで士が見ていたのは、30分もしない前に見たイメージとまったく同じだった。

故に、その末路は知っている。この地球は影に飲み込まれ崩壊するはずだ。

ならば、何故ここで時間が止まったのか。

それに答えるかのように、ある人物が士の隣に出現した。


「お久しぶりですね、ディケイド」


士「お前は…、紅渡か」

渡「これは、この世界にいずれ起こり得る出来事です。巨大な影に飲み込まれ、跡形もなく消滅してしまう」

渡「知っているでしょう、世界の『滅び』ですよ」

渡「ですが、その滅びは意図的に引き起こされるもの。明確な悪意によって、この世界は消滅する」

士「悪意?それらしいモノの無い、この世界にか?」

渡「はい。あなたが見、そして戦った、あのオーロラの向こうからやって来た者たちです」

士「……ショッカーか」

渡「この世界には、世界に害を及ぼす悪がいない。しかし同時に、それらから世界を守る力もまた、存在しません。故に、狙われた」

士「仮面ライダーがいない世界を手に入れてやろうってことか。だいたいわかった」

渡「僕はこの世界の危機に関しては力になることが出来ない。精々がディケイド、あなたにこの世界の真意を伝える程度です」

士「何?」

渡「ディケイド、あなたはいつも通り『旅人』としてこの世界に『辿り着いた』と思っているはずだ。しかし、それは違う」


「あなたがこの世界へやって来た理由、それは―――」



士「…………」

意識は現実へと戻ってくる。

士の目の前で、先ほどスパイダーを倒した時に起きた爆発の炎が、アスファルトを焼いていた。それほど時間は経っていなかったらしい。

再び、スーツの内ポケットに手を入れる。そこには先ほどと変わらずに、6枚のブランクライダーカードがあった。

六つの世界、6枚のライダーカード。そして、自分がこの世界にやって来た理由。

士「…フッ」

士は笑っていた。

この世界は今までの旅で訪れた世界とは違い、それらで担ってきた自分の役割もこの世界では違う。

そんな状況に置かれ、純粋にこれからが楽しみになって笑ったのだ。


士「いいだろう。たまにはそういうのも悪くない」


自分の元へ駆け寄ってくる少女たちを見ながら、そう呟いた。



莉嘉「つまり、士くんは正義の味方で、色んなところでワルモノと戦ってるんだね!」

士「士『くん』……?『さん』、だろ、『さん』」

未央「つかさん?」

士「違うッ」

戦いが終わってから幾らか経って、士と少女たち、そしてプロデューサーはプロジェクトルームへ戻って来ていた。

到着してからは質問攻めだ。いちいち答えるのも面倒だったが、前提からして知りえない人間相手に、無知と言うことは出来ない。

結果的に、士はありとあらゆる質問に懇切丁寧に答えざるを得なくなっていた。

誰もが少なからず衝撃を受けていたが、その中でもプロデューサーがとりわけ顕著だった。

特に、士がプロデューサーだということが『設定』に過ぎない、ということは相当にショックだったようだ。

P「では、あなたに関する情報の全ては……」

士「ああ、この世界が俺を馴染ませるためにでっち上げたものだ。中身は無いから、さっさと忘れた方がいいぞ」

P「そんな……。では、明日からは、もうこちらには……?」

士「この世界に留まる限り、役割は果たす」

流石に出会った翌日から同僚がいなくなるのは、プロデューサーの精神状態に悪影響を及ぼすだろう。

ということを考慮して、そう言ったわけではない。

単に、世界から与えられた役割を果たすのが、本来旅人である自分のするべきことだと考えているだけだ。

凛「てことは、プロデュースは予定通りしてくれるの?」

士「ああ」

きらり「うっきゃー♪頼もしいにぃ☆」

かな子「私たち、何だか凄い人にプロデュースしてもらえることになっちゃったね…」

蘭子「世界を渡る旅人が、我らが魂を解き放ちし者になるとは」

杏「杏は楽させてもらえば、誰でも何でもいいよ……」

みく「杏チャンはまたそれかにゃあ…」

誰かが笑った。それが伝播し、また誰かが笑う。部屋の中はあっという間に笑い声で満ちた。

少女たちは、自分たちの日常を自分たち自身で取り戻していく。

卯月「あのっ、ところで、プロデューサーさん」

P「はい」

士「何だ?」

P・士「「……ん?」」

二人の声が、二度重なった。

美波「そう言えば、二人とも『プロデューサーさん』ですよね」

アーニャ「Как звонить…呼び方、一緒です」

そこで、ラブライカ以外が「あ」と言う声を漏らした。

李衣菜「そっか、今まで私たちのプロデューサー、一人だけだったもんね。だけど、今度から二人になるから、区別しなきゃいけないじゃん」

智絵里「だったら、その…。士、さんの方を名前で呼ばせてもらえたら、上手く区別できるんじゃないかって、思うんですけど…。どうでしょうか?」

みりあ「私も賛成ー!」

それに賛同する声があちこちで上がる。少女たちの思いは一致しているようだ。

それぐらいであれば、あまり厳しく言う必要もないと士は判断する。

士「俺を名前で呼びたいなら好きに呼べ」

未央「やったー!じゃあ、これから改めてよろしくね、士さん♪」

李衣菜「でもさ、士さんって何か言いにくくない?」

みく「確かに。『さ』が二回続くと発音しづらいにゃ」

未央「じゃあ、うーん。あだ名をつけるとするなら、うーん…」

誰に頼まれたわけでもなく、一人で士のあだ名を考え始めた未央。

少しの間うんうん唸っていたが、やがて何かを思いついて口を開いた。

未央「門矢士…。『もん』、『や』、『し』…。あっ、『もや』」

士「…本田」

未央「はっ、はいっ!すいませぇーん!」

たった一言に込められた威圧感。それだけで未央は、今後そのあだ名だけは絶対に口にしないようにしようと心に誓ったほどだ。

結局、士の呼び方は各自自由に。未央によるあだ名は、先ほどの「つかさん」に決定した。


凛「…で卯月。話がそれちゃったけど、さっきはどうしたの?」

卯月「えっと、パーティーはいつになったら始めるのかなぁって……」

再び、「あ」という声が重なった。

テーブルの上には、手つかずのお菓子やジュースなどが並んでいた。

莉嘉「そーじゃん!パーティーしよーよ、パーティー!」

みく「あんなことになっちゃったけど、元々それが目的だったもんね!」

わいわいと騒ぎながら、少女たちが立ち上がった。

お菓子の袋を開け、紙コップに飲み物を注ぎ、全員に回していく。

卯月「どうぞ、プロデューサー…あっ、士さん」

士「ああ」

美波「全員に行き渡ったかしら?」

凛「待って。はい、プロデューサー」

P「ありがとうございます、渋谷さん」

未央「じゃあ、誰か乾杯の音頭をお願いしまーっす♪」

アーニャ「みく、お願いしても、いいですか?」

みく「オッケーにゃ。それじゃあまず、卯月チャン、凛チャン、未央チャン、美波チャン、アーニャン、CDデビューおめでとうにゃ!」

凛「ありがとう。これから頑張っていくから」

未央「うん!トップバッター、どーんとやっちゃうよ!」

卯月「はい!私も頑張ります!」

美波「ふふっ。期待に応えられるように、私も精一杯やるわね」

アーニャ「Да!一生懸命、頑張ります」

みく「そしてっ!新しいプロデューサー、士チャン!これからよろしくだにゃあ!」

士「フッ。任せろ」

みく「それじゃあみんな、コップを持ってー。はい、かんぱーい!」



「「「かんぱーい!」」」


夏海「あっ、お帰りなさい、士君」

夜になって帰って来た士を、夏海が出迎えた。

海東「おや?大分お疲れのようじゃないか」

士「……ああ、少しな。だが、今はそれどころじゃない」

ユウスケ「ん?どうかしたのか?」

士「向こうに行ってる間、ショッカーがこの世界にやって来たところに出くわした」

夏海「えっ!?」

ユウスケ「ショッカーだって!?」

海東「…おやおや、これはまた面倒ごとに巻き込まれそうだね」

士「それに、コイツを見ろ」

士は、6枚のライダーカードを取り出した。

海東「おっと、新しいライダーカードか。つまり、この世界には6人もの仮面ライダーがいるということかい」

海東がライダーカードに手を伸ばそうとしたところで、士はカードをスーツにしまった。

士「…いいや、その逆だ。この世界に、『仮面ライダー』は“いない”」

夏海「いない…?仮面ライダーが…」

士「ああ。この世界の真意を聞いたとか言う、紅渡からの又聞きだがな」

士は、紅渡が自らに伝えたメッセージを仲間たちに全て伝える。



「あなたがこの世界へやって来た理由、それは『この世界を守るため』です」


「『悪』…ショッカーがこの世界を狙っていることを、この世界の方も察知していた。しかし、それに対する防衛手段を持っていない」


「そこで、世界はあなたを“呼んだ”。自身に対する脅威から身を守るための手段として、あなたを利用することにしたのです」


「あなたはここにたどり着いたのではない。呼ばれて来たのです」


「ディケイド、この世界でのあなたの本当の役割は『世界の守護者』。襲い来る脅威を討ち、この世界を守り切る」


「それが、この世界におけるあなたの存在理由」


海東「…今回ばかりは、君と行動を共にしたのは失策だった」

ユウスケ「おい海東!」

海東「生憎、僕はそんなことに興味はない。この世界のお宝をいただいたら、速やかに他の世界へ移動させてもらおう」

そう言い、海東は写真館から姿を消した。

士「ほっとけ。あいつは元々そういうヤツだろ」

夏海「…でも、士君が世界を守る者、ですか」

士「破壊者を守護者に、な。上手いこと考えたもんだ」


呼ばれてきた世界を守るというのは、自分の世界を持たない『世界の旅人』である士にしか出来ないことだ。


士「…ま、付き合ってやるか」


仮面ライダーと灰かぶり達の物語は、ここから始まろうとしていた。

今回はここでおしまいです。

だいぶ遅いですが、アイドルマスター“10周年”おめでとうございます。
そして、シンデレラガールズ“4周年”!こちらもめでたいです。

今回カメンライドにファイズを選んだのは、モバマスの4周年を意識しての、ファイズが平成“4”作目だからです。
そして、スパイダードーパントを敵に選んだのは、“最初の敵は蜘蛛”だからですね。

とりあえず今後も投稿していきますので、また機会があったらよろしくお願いします。

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