ハンジ「君たち三人なら人類を救える!構わず進め!」(28)

ミカサ「っエレン!アルミン!こっち!」

エレン「アルミン!もう少しだ!」

アルミン「ハンジさん…!」

エレン「アルミン!進むことに集中しろ!!振り向くな!」

アルミン「…わかってるっ…!」

ミカサ「もう少しで家、ここで死ぬわけにはいかない!」

エレン「見えたぞ!家だ!」

ミカサ「エレン!瓦礫が!」

エレン「ああ、少し離れてろ!いくぞ!」カッ!

アルミン「ミカサ!エレンが瓦礫を退かしたらうなじを!僕がその間に巨人を引き付ける!」

ミカサ「わかった!」

アルミン「………来た!」

ミカサ「アルミン!無事で!」

アルミン「僕も地下室には興味あるからね。生き残るよ!」

ミカサ「エレン…!早く…!」

アルミン「巨人!こっちだ!」

アルミン(…この巨人も元は人間…)

アルミン(だめだ!余計なことを考えるな!地下室さえ行けたら沢山の巨人が救えるかもしれないんだ!コニーのお母さんも!)

シュウ…
アルミン「!」

アルミン「蒸気…!」

アルミン(エレンは剥がせたようだし、僕が戻るにも時間が惜しい)

アルミン(戻るよりもあの二人に託して僕はここで巨人を引き付け続けるのが得策)

アルミン「心臓を捧げた時に死ぬ覚悟はできてる…!」

アルミン(皆そうやって進んできたんだ!己の命を捨ててでも!)

アルミン(あとせめて5分引きつけ続ける!)

ミカサ「…そういうわけには行かない」ザシュッ

アルミン「…ミカサ!?」

エレン「ミカサ!間に合ったか!?」

アルミン「エレンまで!」

ミカサ「アルミンのことはわかっているつもり。話は後、進みながらでも出来る」

エレン「そうだぞ!俺たち何年一緒にいたと思ってるんだ!」

アルミン「ミカサは兎も角エレン!君は狙われてる!なんで…なんで僕なんかのために馬鹿なこと…」

エレン「アルミンならオレを置いてったか?例えオレが巨人化しない人間だとしても」

アルミン「!」

エレン「オレが馬鹿なことはアルミンはもうとっくに知ってると思ったけどな」

ミカサ「こうなったエレンを止められるわけがない」

アルミン「…うん。それでずっと苦労してきた」

ミカサ「…泣かないで」

アルミン「泣いてないよ!行こう!ライナーたちも巨人化したエレンに気がついたかもしれない!」

エレン「階段は見えるように瓦礫をどかした!」

ミカサ「あとは鍵…」

エレン「ちゃんと持ってるぞ!」

…カチャリ

ギイィ…

エレン「ここが…地下室…」

ミカサ「だいぶ空気が悪い」

アルミン「閉めっぱなしだったしね」

ミカサ「…雑然としてる」

アルミン「本が多いね」

エレン「ん…?この瓶」

ミカサ「イエーガーマイスター、おじさんがよく飲んでいた」

エレン「父さん、これを薬酒だっていって飲みすぎて母さんに叱られたことあったっけ」

ミカサ「!エレン、これ」

エレン「…いつの間に肖像画なんか」

ミカサ「私もいる」

アルミン「二人とも幼いね」

エレン「懐かしいな…もうずっと昔のことみたいだ」

アルミン「…手がかりを探そう」

エレン「…ああ」

ミカサ「本をしらみ潰しに読む?」

アルミン「ん、日記なんかがあるといいんだけど」

エレン「こっちの本棚は医学しうわっ!」

ミカサ「エレン!?」

エレン「大丈夫、ネズミだ」

アルミン「本棚からネズミ…?」

アルミン「! ミカサ!この本棚ずらせる?」

ミカサ「やってみる」

エレン「なんで俺に頼まないんだよ」

ズズズ…
アルミン「…やっぱり!」

エレン「隠し部屋か!」

ミカサ「これ…は?」

エレン「ボール?かな。でこぼこしてる。」

アルミン「小さいけど…こんなところに隠してあるくらいだし大切なものなのは間違いないと思う」

ミカサ「…記憶などが詰まっている可能性は?」

アルミン「かなり高いと思う。ただ…」

エレン「俺かヒストリアが触らないと駄目か?」

アルミン「多分。でも何が起こるかわからない。もしかしたら巨人化して戻れなくなる可能性もある」

エレン「だよな」

ミカサ「一度、私かアルミンが調査兵団の本部まで持ち帰ろう」

エレン「ミカサ」

ミカサ「………」

エレン「アルミン、これを持って帰った所で多分これは触らない限り解明されないだろ?」

アルミン「うん…」

エレン「それならここで俺が触るべきだろ?」

ミカサ「…そう、でも」

エレン「外では皆が戦ってる」

アルミン「………」

エレン「俺も、覚悟はできてるんだ」

ミカサ「…私にはきっとエレンをまた止められない」

アルミン「僕も、いっつもこんな苦労ばっかりだ。だからエレンを嫌いになれないんだろうな。ミカサもだよね?」

ミカサ「アルミン…」

エレン「二人ともいつもありがとな」

アルミン「それはこっちの台詞だよ」

ミカサ「エレン」

エレン「なんだ?」

ミカサ「私達は側にいる。必ず」

エレン「わかった!触るぞ!」

チュッチュッチュル…


アルミン「…?」

ミカサ「…?」

エレン「……?」

アルミン「なんの音?ねずみではないような」

エレン「アルミンにも聞こえてるのか!?」

ミカサ「私にも聞こえてる」

ナナ-ナナナナナナ…

エレン「なんだ…!?これ!?」パッ

アルミン「あっ手を離しちゃ…!」

コンコン…コロコロヒュッ!

エレン「!?なんか張り付いたぞ!」

コロコロヒュヒュッヒュ-ン

ミカサ「これなに?」

アルミン「ゴミがくっついてく…」

グリシャ「エレンヤーット来タノネ!」

エレン「…父さん!?」

ミカサ「おじさんの声…どこから!」

グリシャ「ナーカナカ来ナイカラ死ンジャッタノカト心配シテタノヨ………」

ミカサ「答えて!おじさん!」

エレン「父さん!父さん!」

アルミン「…何かの…声だけを残す技術!?」

グリシャ「ソノ玉ハネ…塊デス!」

アルミン「…かたまり?」

グリシャ「グリシャ、イロイロ間違チガエチャッタミタイダカラ、エレンニ託ス事ニシタノヨ」

エレン「オレに…?」

グリシャ「転ガシテマキコンデドンドン大キクシテイッテネ」

グリシャ「巨人化ノチカラトウマクツカエレバ、イイコトアルヨ!」

ミカサ「いいこと」

グリシャ「ジャ、ヨロシク」

エレン「父さん…」

ミカサ「塊を転がす…」

アルミン「エレン…」

エレン「オレ、やるよ!転がす!」

アルミン「言うと思ったよ」

ミカサ「おじさんのこと、何かきっと考えがある」

エレン「いくぞ!」コロコロ…

カタマリダマツマシィ-

ミカサ「さっきの音」

アルミン「これもどこから聞こえてるんだろう。転がすと聞こえるのかな」

ミカサ「わからない…私にはよくこの状況もわからない」

アルミン「実は僕にも」

バイン!
パラバラ…

エレン「あぶなっ」

アルミン「なんか取れた」

ミカサ「ぶつかると塊から剥がれる?」

エレン「みたいだな。大きくしなきゃいけないみたいだからぶつかるのはまずいな」

アルミン「…あれ?その紙の上にさっきは乗ってなかった?」

エレン「そういやそうだな」

ミカサ「今は巻き込んでいる」

エレン「これ全然重く感じないな」コロゴロ…

アルミン「…わかったよ!」

ミカサ「私にはわからない…」

アルミン「これ、巻き込めるものが大きくなっていくんだ!」

スッテッキッナアッフタヌゥンッ

ミカサ「瓶が巻き込まれるサイズになってきた」

エレン「言われてみれば」ヒュ-ンヒュ-ンチュ-

アルミン「あっネズミまでっ」

ミカサ「ジタバタしている…」

アルミン「死ぬわけでも怪我するわけでもなさそうだね」

エレン「なんか…楽しくなってきた」

ミカサ「…私も転がしたい」

アルミン「だめだ!ミカサ!」

ミカサ「なぜ」

アルミン「ネズミのような生き物まで巻き込むんだ。巨人化出来ないミカサや僕も巻き込まれる可能性があるんだよ。僕らは塊にあまり近づかないほうがいい」

エレン「なるほどな」

ミカサ「残念」

アルミン「ね」

エレン「あ、瓶もくっついた」ゴロロ 

アルミン「じゃあこの本は?」

エレン「よっ…これくらいならもう余裕だな」

ミカサ「これは?」

エレン「いけるいける!」

アルミン「花瓶」

エレン「まかせろ」

ミカサ「棚の引き出し」

エレン「置いといてくれれば」ゴロンゴロン

ミカサ「ここに」

エレン「よしだいぶでかくなったな!」ヒュ-ン

アルミン「あ、肖像画も…」

エレン「椅子はどうだ?」バイ-ンバラバラ

アルミン「まだダメだね」

ミカサ「先にこのダーツの的を」

エレン「父さん酒飲みながらダーツしてたのかな」

ミカサ「壁が穴だらけなので上手くはない」

グリシャ「ダマラッシャイ」

アルミン「そろそろ椅子いけるはずだよ」

エレン「かな?ほっ!」ガロンガロン

エレン「一気にでかくなったな!テーブルは?」ガトンッ

アルミン「いった!」

ミカサ「これで地下室の物は全て巻き込めるはず」

エレン「よし!一気にいくぞ!」

アルミン「本棚…!」

ミカサ「床板」

エレン「ドア!」ヒョインヒョイン

カタマリダマッシィ-

エレン「階段階段階段!」

アルミン「外だー!!」

ミカサ「瓦礫も」

ライナー「エレン!見つけたぞ!なんだそれってウワ-ッ!
」ヒョュンッ

エレン「ライナーも!」

アルミン「凄い…!ドンドン大きくなってゆく…!」

エレン「よし、このままシガンシナ中転がすぞ!」

アルミン「台車が向こうに!」

ミカサ「こっちには馬車の幌」

エレン「まかせとけ!」ヒュン

モオッマッツリッサワギッサァ

エレン「このサイズならいよいよだな!」

アルミン「きた!3メートル級だ!」

ミカサ「いって…!」

エレン「余裕ー!!」ゴンゴロゴンゴロ

アルミン「えらいもがいている」

ミカサ「あのチラリと見えるライナーはもう完全に諦めている様子」

アルミン「巨人化前だったしね…」

ミカサ「4時の方向5メートル級!」

エレン「はいまた余裕ー!」ドヒュッガンゴロガンゴロ

アルミン「あ、ライナーが見えなくなった」

エレン「なあっ!」

アルミン「どうしたの?」

エレン「そろそろ転がしにくい」

エレン「前が見えにくいんだ」

アルミン「あ、そっか…そうだよね」

ミカサ「視界はほぼ塊で埋まっているはず。既に8メートルは超えている」

グリシャ「巨人化チシャエバ?」

エレン「後で頼むな!」

ミカサ「任せて」

エレン「いくぞっ!」カッ!

ミカサ「目立つ…」

アルミン「もう他の巨人も気がついてるよ」

リヴァイ「なんだこれは」

アルミン「あ、兵長!」

リヴァイ「対巨人兵器かヌワ-!」ギョルン

エレン(巨人化)「オエンアアィ」バロンバロン

ミカサ「巻き込まれた」

アルミン「さっきから見てるとエレン真っ直ぐ進めずフラフラしてるもんね」

ミカサ「人生で塊を転がす訓練はしたことがない」

アルミン「エレンは努力家だけど元々器用な方じゃないからなあ」

ラ-ララララララ

獣の巨人「…それ、なんてウキャ-!」ポコン

アルミン「今、絶対に勇気出して話しかけましたってかんじだったけど」

ミカサ「エレンは巨人に対して問答無用」

アルミン「もうあらかたの巨人は巻き込んだんじゃないかな?」

エレン(巨人化)「エルエルオ」

アルミン「ベルトルト…!」

ミカサ「そういえばまだシガンシナで見かけてない」

アルミン「もしかしたらユミルもいるかもしれない!寝返っている可能性もあるんだ!気をつけて!」

ミカサ「正直、今のエレンならユミルが向かってきても敵ではない」

アルミン「超大型だと塊のサイズがまだ足りないと思う」

ミカサ「たくさん巻き込むべき」

エレン(巨人化)「ウオォ!!」

ミカサ「今の塊なら家も巻き込めるはず」

アルミン「すでに巻き込み始めてるよ!」

ミカサ「…少し離れよう。足場がなくなってしまう」

カッ!シュウゥ…

ミカサ「超…」

アルミン「大型!」

アルミン(まずい…まだ、あと数十メートルは必要だ!)

ミカサ「エレンを…守る!」

「………」

エレン(巨人化)「?」

ミカサ「なぜ壁側からこちらへやって来ないの」

アルミン(何か秘策が…?罠?)

超大型「………」

アルミン「と、とりあえずエレンは巻き込みながら大きくして!」

エレン(巨人化)「ウァ」

ミカサ「…アルミン」

アルミン「ん?」

ミカサ「超大型が震えているように見える」

アルミン「本当だ。足ガックガクだね」

ミカサ「やはり」

アルミン「でもエレン対策は十分にしてきたはずだ!なぜあんなに怯えてるんだろう」

ミカサ「塊が想定外すぎたのかもしれない」

アルミン「そうか!人間より安全そうだと巨人化したはいいけど対策は浮かんでない…!」

エレン(巨人化)「ウオオオオオ」

アルミン「行く気だ!」

超大型「………!」

ミカサ「塊の大きさは…ギリギリ!」

アルミン「いけーー!!」

ミカサ「エレン…!」

カ-タメテコロガス

超大型「」ボロロン

アイラブュ-

「…………」

エレン(巨人化)「オオオオオオオオオオ!!」

アルミン「いやったあああ!」

ミカサ「やった…!」

アルミン「人類は…勝てる!エレンと塊があれば」

ミカサ「…うなじまで飛ぶ。エレンを出さなくては。アルミンは待っていて」

アルミン「一緒に行くよ」

ミカサ「では行こう」

エレン(巨人化)「アエノオオヘ」ボロンゴチロル

ミカサ「エレン…?もう塊をコロがさなくても」

アルミン「壁…?壁の外へ…?」

ミカサ「まさか、行く気?塊と」

エレン(巨人化)「オウ」

ミカサ「…ついていく」

アルミン「…僕も行くよ」

エレン(巨人化)「ウリウンナ」

アルミン「無理じゃないよ!行こう!みんなで!」

ミカサ「みんなで…!」

エレン「イカア…アウイン…」

グリシャ「塊ガ気ノ済ムサイズニナッタラ出来タラグリシャ、巨人ノ星をツクッチャウヨ」

アルミン「行こう…!!」

終わり

ありがとうございました!

ナッナー、ナナナナナッナッナー

俺達の塊は、これからだ!!

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