ミカサ「アイカツ!がしたい」(28)

アルミン「…なんで?」

ミカサ「私は知ってしまった」

アルミン「なにをさ?」

ミカサ「私には愛想がない」

アルミン「うー…ん」

ミカサ「はっきり言ってもらって構わない」

アルミン「確かに愛想たっぷりってわけじゃないかな。でも僕もエレンもそうだよ?」

ミカサ「だから同年代と生活するまで気が付かずにいた」

アルミン「…他の子と上手くいってないの?」

ミカサ「一部になぜか怯えられている」

アルミン「愛想がないから?」

ミカサ「サシャ曰く接しにくいらしい」

アルミン「なるほどね」

ミカサ「今迄は怯えられても構わなかったのだけれど支障が出てきた」

アルミン「支障?」

ミカサ「必要事項の伝達が上手くいっていない」

アルミン「それは…」

ミカサ「困っている。特に女子特有の伝達はアルミンやエレンとのやり取りでは事足らないことがある」

ミカサ「なので、アイカツをしてアイドルになりステージに上がろうと思う」

アルミン「話がかなり飛躍したね」

ミカサ「順を追って話すべき?」

アルミン「お願い。あと僕に相談した理由も知りたいな」

ミカサ「まず、愛想よくというのがよくわからない」

アルミン「そっか、そうだよね」

ミカサ「ゆえに愛想のいいものの真似をしようと思う」

アルミン「だからアイドルか」

ミカサ「そして、愛想良くなったところで皆に自然と愛想よくするのは長期戦になる。それは困る」

アルミン「伝達は待ってくれないからね」

ミカサ「一気に短時間で親しみやすさを感じてもらうにはステージが効率いいと判断した」

アルミン「なるほど。アイドルならステージは自然なことだもんね」

ミカサ「しかし私は今アイドルではない。一介の訓練兵」

アルミン「だからアイカツなんだね!」

ミカサ「そう。でもアイカツに何をしたらいいのかわからない」

アルミン「僕も知らないけど」

ミカサ「二人寄れば文殊の知恵」

アルミン「三人寄れば、だよ。…エレンは?相談しなくていいの?」

ミカサ「エレンはこのままの私でいいと言ってくれるのはわかっている。もしかしたら反対されるかもしれない」

アルミン「」

ミカサ「アルミン、事態は切迫している。協力してほしい」

アルミン「そう…だね!支障が出てるのなら見過ごすわけにはいかないし、ミカサの為になるのなら」

ミカサ「そう言ってくれると思っていた。ありがとう」

アルミン「アイカツ…か、うーん…アイドルがステージ…歌とダンス…衣装…」

ミカサ「歌とダンス、と衣装」

アルミン「…体力がいるかも」

ミカサ「体力?」

アルミン「歌いながら踊るって息切れするのが普通だけどアイドルがハアハアしてるのはどうかと思うんだ」

ミカサ「なるほど」

アルミン「それにステージの日に病気や怪我は実力を出せないんじゃないかな?」

ミカサ「確かに」

アルミン「まずは走り込みかな。足腰が強ければいいダンスも出来ると思うんだ」

ミカサ「わかった。どれ位走ったらいい?」

アルミン「朝と夕に一時間ずつ」

ミカサ「距離は関係ない?」

アルミン「うん。その代わり止まらず走り続けること。ステージで疲れて止まるのダメだ」

ミカサ「それは無様」

アルミン「次に大変だろうけど腹筋背筋を200回を3セット」

ミカサ「少ない気がする」

アルミン「…慣れたら増やそう。訓練もあるんだし」

ミカサ「わかった」

アルミン「次にトランポリンで決めポーズの練習」

ミカサ「決めポーズ?」

アルミン「例えば手をこうして…ほら、ハート!」

ミカサ「可愛い」

アルミン「これをジャンプの頂点、一番いいタイミングで繰り出すんだ!」

ミカサ「ステージもタイミングが大切?」

アルミン「観客のなるべく意識をそらさないように惹きつけるいいタイミングでポーズを取るんだよ」

ミカサ「惹きつける…」

アルミン「目が離せない、皆を魅了するそんなアイドルを目指そう!」

ミカサ「ええ!」

アルミン「次に歌、ミカサ歌は下手じゃなかったよね?」

ミカサ「多分」

アルミン「何か歌ってみて?」

ミカサ「今?」

アルミン「うん、何でもいい…あ、ドレミの歌知ってるよね?」

ミカサ「もちろん」

アルミン「あれがいいな。音階もわかるし」

ミカサ「わかった。ドゥは鹿雌鹿 レイは金色の太陽の光
ミーは~♪」

アルミン「やっぱり歌は問題なさそうだね!」

ミカサ「よかった。本番の歌は何を?」

アルミン「うーん、ミカサにぴったりの曲か…オリジナルのほうがいいかもしれないね。じゃあ作詞作曲は僕がするよ!」

ミカサ「アルミンは万能」

アルミン「まさか、あとは衣装かな…そっちの知識はあまりないんだけど…」

ミカサ「デザインのイメージはある」

アルミン「本当!?なら二人で縫おうか!」

ミカサ「ええ、可愛いものをつくる」

アルミン「じゃあ体力作りと衣装製作をしながら、最後の数日で歌を仕上げよう」

ミカサ「ステージはいつ?」

アルミン「本当なら最低ひと月は欲しいけど…今のその状態ならもっと早いほうがいいよね?」

ミカサ「ごめんなさい…」

アルミン「ミカサはわるくないよ!半月、二週間で仕上げよう!」

ミカサ「半月」

アルミン「ハードだけど大丈夫?」

ミカサ「任せて」

アルミン「僕も出来るだけサポートするからね」

ミカサ「私は立派なアイドルになってみせる…!」

ーーーそれからミカサは血の滲むような努力をした

アルミン「あと15分!」

ミカサ「アイ!カツ!アイ!カツ!」

アルミン「汗ひとつかかないね」

ミカサ「これくらいなら問題ない」

アルミン「今、14キロくらい走ってるんじゃないかな…」

ーーー雨の日も風の日も

ミカサ「アイ!カツ!アイ!カツ!」

アルミン「ミカサ、きつくない?もう1日8セットになってるけど…」

ミカサ「大丈夫。それよりアルミン見て」

アルミン「…!これは…!」

ミカサ「腹筋が綺麗に割れた」

アルミン「バッキバキだ……」

ミカサ「アイドルに近づいている証拠」

アルミン「凄いや!」

ーーーエレンの誘惑にも負けず

エレン「ミカサ、今ちょっといいか?」

ミカサ「…忙しい。アルミンと用事がある」

エレン「最近ずっと忙しいな」

ミカサ「忙しい………」

エレン「なんで半泣き?」

ーーー慣れないことも頑張った

アルミン「ほら、ここは本返し縫じゃないと」

ミカサ「?」

アルミン「それは半返し。これをこう…全部持っていって本返し」

ミカサ「こう…?」

アルミン「そうそう」

ミカサ「あ…針が折れてしまった…」

アルミン「力みすぎだよ」

ーーーそのなかでもポーズの訓練は熾烈を極め

アルミン「違うよ!それじゃハートになってない!」

ミカサ「アイ!カツ!アイ!カツ!」

アルミン「ミカサ!タイミングが早い!」

ミカサ「アイ!カツ!アイ!カツ!」

アルミン「今度は遅い!」

ミカサ「アイ!カツ!アイ…アルミン手本にやってみて欲しい」

アルミン「じゃ、見てて。このタイミングで…こう!」

ミカサ「完…璧」

アルミン「さ、もう一度チャレンジして」

ミカサ「…頑張る!」

ーーー忙しい日々は

ミカサ「これを歌うの?」

アルミン「いや?」

ミカサ「ではないけれど、この歌手みかりんというのは」

アルミン「ミカサの事だよ。芸名だ」

ミカサ「良かった。私を見放して違う人が歌うのかと思ってしまった」

アルミン「まさか。ミカサの努力は僕が誰よりも見てきたつもりだ」

ミカサ「アルミン…」

アルミン「振付の指導も入るから頑張って!」

ミカサ「完璧にマスターしてみせる。アイドル…エンターテイナーとして…!」

ーーーあっと言う間に過ぎていった………

ーーーそしてとうとうその日はやってきた…!

ミカサ「凄い人…エレンは来てくれた?」

アルミン「教官に事情を話して一コマもらってるからね。エレンには特別に最前列を取っておいたよ」

ミカサ「皆が私を待っている…」

アルミン「ミカサ、緊張はしていない?」

ミカサ「大丈夫」

アルミン「今までやってきたことを全て出し切れば良いだけだから」

ミカサ「わかった」

アルミン「…君は誰?」

ミカサ「私は、みかりん」

アルミン「そうだ!君はみかりん!魅了するアイドルだ…!」

ミカサ「観客を魅了しきってみせる!」

アルミン「じゃ、手筈通りに!」

ミカサ「ええ!」

アルミン『レディースエンドジェントルメェン!!』

エレン「おっアルミンだ!」

ライナー「なぜバニー…」

コニー「似合ってんな」

アルミン『ご来場の皆様!今回は我らがみかりんのステージに来ていただき有難うございます!!』

ベルトルト「…みかりんって?」

サシャ「知りません」

ユミル「つーかステージって何だよ」

アルミン『みかりんは皆様のご声援と共に登場いたしまぁす!』

アニ「…くだらない」

マルコ「…みかりん…アルミン…エレンは指定席って…まさか」

クリスタ「?」

アルミン『それでは大きな声でお願いします!』

アルミン『みっかりーーーん!!!』

エレン「みっかりーーん!」

訓練兵「…みかりー…ん」

「………」

アルミン『…皆様声が小さい!そんなではみかりんは登場しません!』

ライナー「エレンはみかりんをしってるのか?」

エレン「いや?でもアルミンが呼べっていうなら呼ぶべきだろ」

ライナー「なるほどな」

アルミン『もう一度呼びますよ!お腹から声を出してくださいね!みっかりーーーーーん!!』

訓練兵「「「み…みっかりーーーーーん!!」」」

ーーー突如張り付いていた天井から轟音と共に現れる鍛えあげらた肉体と美しい黒髪

みかりん『みっっんなー!!今日は来てくれてありがとーー!みかりん!うれしいっ!』

その圧倒的なプレッシャーに会場中が息を飲む

みかりん『では、デビュー曲!ぐれんの☆ゆみやいっっくよーーー!』

訓練兵「「「」」」

エレン「あいつミカサに似てるなー」

そしてどこからか鳴ら始めた音楽と揺れるピンクのリボンを皮切りに響く歌声

みかりん『ふっっまれったはっなっのっ♪』

アルミン『イエイっ!』

ジャン「みかりん!みかりん!みかりん!」

一部の声援を受け踊るその様に

みかりん『なっまえっもしっっらっずに♪』

アルミン『イエイっ!』

会場中が目を離せずにいるーーー

みかりん『すすむっいしをっわらうっ♪』

アルミン(みかりん!今だ!練習の成果をみせてくれ!)

みかりん『ぶたよっ☆』

アルミン『でたー!キュートフラッシュ!』

ジャン「みかりん!みかりん!みかりん!」

ユミル「…なんだ!?今の!」

クリスタ「ハートに乗ってたよね!?」

マルコ「今のはキュートフラッシュ!スペシャルアピールだよ」

ユミル「だからそれがなんだよ」

みかりん『しせるがろうの♪』

アルミン(まだだ!みかりんの実力はこんなもんじゃない!)

みかりん『じゆーうをっ☆』

アルミン『セクシーフラッシュ炸裂だー!』

ジャン「みかりん!みかりん!みかりん!」

アニ「………」

マルコ「ま、まさか…タイプの壁を超えた…!?」

アルミン(そう!みかりんはキュートクールセクシーポップ…どのタイプでもある!)

みかりん『こーおしーだっ☆』

アルミン『決まった!ポップフラッシュ!』

ジャン「みかりん!みかりん!みかりん!」

ライナー「…なんか凄いぞ…!」

ベルトルト「よくわからないけど凄いのはわかる…!」

みかりん『いえーいがっ☆』

アルミン『クールフラッーシュ!』

ジャン「みかりん!みかりん!みかりん!」

アルミン(4回のスペシャルアピールを完璧に決めるなんて…!みかりん、君は天性のアイドルだ!)

みかりん(…力がみなぎってるのがわかる。まだ…!できる!)

コニー「すげえっ!すげえなっ!」

サシャ「はいっ!」

みかりん『たそがれーに♪』

アルミン(…みかりん!まさかやる気か!)

みかりん(練習では成功しなかったけれど今なら…今ならいける!エレン…見ていて)

みかりん『ひをうがーっつ♪』

ジャン「みかりん!みかりん!みかりん!」

みかりん『ぐれんのゆみやぁああぁぁあっ☆』

アルミン『なんとみかりんオリジナルのマッスルフラッシュだーーー!!」

訓練兵「「「うおおおおおー!!」」」

エレン「かっこいいぞー!みかりん!」

ジャン「みかりん!みかりん!みかりん!」

訓練兵「「「みかりん!みかりん!みかりん!みかりん!」」」

ライナー「…会場が震えてる!」

ベルトルト「…アニ?泣いてるの?」

アニ「…泣いてるのはあんたもだろ」

ジャン「みかりん!みかりん!みかりん!」

訓練兵「「みかりん!みかりん!みかりん!みかりん!」」」

コニー「いいもん見たな」

サシャ「感動しましたね!」

マルコ「みかりんのファンクラブ作ろうよ!」

ジャン「みかりん!ファンクラブの応援隊長はオレだな!みかりん!」

訓練兵「「「みかりん!みかりん!みかりん!みかりん!」」」

クリスタ「なんかパワーをもらえちゃった!」

ユミル「…夢のようだったな。最後まで無表情だったのも凄かった…」

ジャン「みかりん!みかりん!みかりん!」

訓練兵「「「みかりん!みかりん!みかりん!みかりん!」」」

ーーーそうしてステージは大成功に終わった

ミカサ「エレン!アルミン!こっち」

エレン「ミカサ機嫌いいな」

アルミン「本当だ」

エレン「なんかいいことあったのか?」

ミカサ「困りごとが減っただけ」

エレン「いいことだな」

ミカサ「ええ」

ーーー大反響をうけてみかりんには近々壁上コンサートが予定されている

エレン「そういやミカサはみかりん見てないんだったな」

ミカサ「残念ながら」

エレン「かっこいいんだぞ!オレの憧れだな」

ミカサ「…みかりんも喜んでいる。きっと」

アルミン「そうだね!」

無表情なのかよww

ーーーきっとみかりんなら巨人すら魅了すると

僕は信じてるーーー


終わり

みかりんは登場からずっと無表情だ

ありがとうございました!

おつおつ
笑わせてもらったわ
頑張れみかりん

面白かった
乙です

乙乙

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