絵里「にこちゃん先生とμ'sのみんな【ハーレム編】」 にこ「!?」(361)

【矢澤にこが音ノ木坂学院の先生で、生徒であるμ'sのみんなに迫られたら】

前回 にこちゃん先生と絵里ちゃん生徒
にこちゃん先生と絵里ちゃん生徒 - SSまとめ速報
(http://jbbs.shitaraba.net/bbs/lite/read.cgi/internet/14562/1446645027/l30)

※前作の世界観を知ってから読むと、より楽しめると思います

ゆっくりと更新していくので、暖かく見守って頂ければ嬉しいです。

秋 音ノ木坂学院
アイドル研究部室

凛「うああ、もう全然分からない!」

真姫「さっきも教えたじゃない、このベン図を使って、集合AとBの図から..」ススッ

凛「こんなの数学じゃないにゃ!!宇宙人でもなければ解けないよ!」

花陽「あはは、それじゃ地球は、もうほぼ宇宙人が侵略しちゃってるね」

真姫「笑ってる場合じゃないわよ!ほんと、凛の勉強嫌いにも困ったものだわ」ハァ..

花陽「冬の高校模試は、一学期の内容まで出てくるんだもんね..私も少し厳しいかも」

凛「だいじょうぶだよ、かよちん!凛と一緒に赤信号の道路を渡ろう!」

真姫「花陽は無事渡れても、凛の場合はギリギリかアウトでしょ」

凛「うっ!」グサッ

花陽「あちゃー..真姫ちゃん、それぐらいにしておこう?」ハハ..

真姫「そういえば、他のみんなはいつになったら来るの?」クルクル

花陽「穂乃果ちゃんたちは、帰りのホームルームが長引くかもってメールがきたよ」

凛「絵里ちゃんは生徒会の最後の引き継ぎで、今日は来れるか分からないって!」

真姫「そう..珍しく1年生だけってわけね」

花陽「そうだね、このまま待ってるのも何だし、着替えて屋上行く?」

凛「ええ~、もう少しゆっくりしてからにしようよ」グデー

真姫「凛は面倒くさいからでしょ!!もう、ちゃっちゃと準備するわよ」ガタッ

花陽「うん、こんなに晴れてるんだし、寒空だけど気持ち良さそうだもんね♪」

凛「..しょうがないにゃ~、ここは真姫ちゃんのワガママに付き合ってあげよう」ヤレヤレ

真姫「もう勉強教えないから」ヌギッ

凛「じょ、冗談ですよにゃ~、真姫ちゃん様?」アセ..

花陽「凛ちゃん、敬語がおかしくなってるよ...」ススッ ヌギ

放課後 屋上

凛「うっひゃぁ!肌寒いけど、陽射しが当たって気持ちいいにゃ~♪」ワーイ

真姫「すごいはしゃぎっぷりね..」

花陽「1年生だけっていうのもあって、少し気分が高まってるのかも」クス

凛「ははは、よし!今日はこの凛が、部長兼顧問を務めますにゃ!」フフン

?「へぇ~、ずいぶんと偉くなったものねぇ..凛ちゃん?」

凛「にゃ?」

花陽 真姫「あ..」

にこ「これはもう先生はお払い箱ってことね~、残念だわ..グスン」オヨヨ..

凛「あわわ、にこちゃん先生!」

花陽「こんにちは、にこ先生!今日もよろしくお願いします♪」

真姫「にこ先生、私たちは先生の指導があってこそなので..このあほ猫は放っておいてください」ズバッ

凛「な!?ひどいにゃ真姫ちゃん、かよちんは味方でいてくれてるのに!」

真姫「..だそうよ?花陽」

花陽「えーと..へへ、ごめんね?凛ちゃん」

凛「そんな..凛は1人で戦うしかないんだね、このスクールアイドルウォーズに」ガクッ

にこ「はいはい、茶番はそこまでにして..今日は1年生だけで活動するから、みっちりやるわよ」

真姫「あら、2年生は遅れてくるんですよね?先生」

にこ「進路学習で難しいみたいよ、仕方ないけどね」ハァ..

花陽「(..あれ?ということは)」ウズッ..

真姫「(今日は最後まで..)」ゴクッ

凛「(にこ先生を独り占めだにゃ!!)」ニャー♪

にこ「ということで、昨日疎かだった1年生のパート部分を中心に、先ずはウォーミングアップから..ちょっと?あなたたち」

1年生「は、はい?!」

にこ「何そんなにニヤついてるのよ、良い事でもあった?」キョトン

1年生「!?!?!?」

花陽「なな、なんでもありません!!」アセアセ

真姫「今日は練習日和で良い日だなと、それだけです」ニコ

凛「ふ、冬の模試が今から楽しみで..にゃは~」アタフタ

にこ「そう?..凛ちゃんはいつの間に勉強嫌いを克服したのね、感心感心!」

1年生「(ホッ..)」

にこ「それじゃ、ジョグとストレッチを始めるわよ、怪我しないように最初はゆっくりね、今日もよろしく!」パンッ!

1年生「はい!!(にゃ!)」

凛「(くふふ、こんなチャンス、めったににゃいからな~)」チラ

凛「ぁあ!!せ、先生..すみません、言い忘れてたことが」

にこ「どうしたのよ、何かあったの?」

花陽 真姫「(ん?)」

凛「実はぁ~、凛ね、昨日お家で足を捻っちゃったみたいで..」ウルウル

にこ「あら?それは辛かったわね~、もう痛くないの?」

花陽 真姫「(え!?)」

凛「ん~、何とか..でも体があったまるまで、少し手をかしてくれないと走れないかも..ですにゃ」ニィ..

花陽 真姫「(ま、まさか!?)」

にこ「はぁ..ったく、しょうがないわねぇ~、ほら!先生の肩に掴まりながらなら、平気でしょ?」

凛「...わー、そんな悪いですよ先生ー(棒読)」クク..

花陽 真姫「(なんて白々しいの!?)」ギャー

真姫「凛!?この真姫ちゃんが手を貸してあげるわ!!感謝しなさい!」シュタッ!

花陽「り、凛ちゃん?私はいつでも、凛ちゃんの味方だよ?だから、ね」ズズイ!

凛「もう遅いにゃ..2人とも、出遅れちゃったね?」ボソ..

真姫「こ、この..」

にこ「こらこら、あんたたちは先に走ってなさい!凛ちゃん、最初だけ先生とウォーミングアップするわよ、良いわね?」

凛「はーいにゃ♪がんばりまーす!」キラキラ

花陽 真姫「」ギギギ

..............

真姫「ちょ、ちょっと花陽?い痛いんだけど..」グエ..

花陽「(そんな、ナチュラルに先生とお触..ストレッチまで持っていくなんて!!)」グイ!グイ!

にこ「どう?こうやって伸ばせば、少しは楽になると思うけど」グググッ

凛「ああー、効くにゃ~..さすが先生!歌やダンスだけじゃなくて、ケアもお手の物なんですね♪」

-----花陽ビジョン-----

にこ「どう凛ちゃん?先生のテクニックのほどは..」ギュギュッ

凛「気持ち良いにゃ~..先生ったら、凛の扱いまでお手の物だなんて//」キャッ♪

----------------------------

花陽「先生!私もお手物にしてくださああい!!」ググググッ!

真姫「いっ!!!ったあああ!!?はなよ、す、ストップ...」メキ..メキ..

花陽「はっ!!ま、真姫ちゃんごめんなさい!」アワワ..

真姫「はぁ..うう、死ぬかと思った」ゼーゼー

花陽「ああ、でもこのままじゃずっと凛ちゃんが先生を~..」ウズウズ

真姫「落ち着きなさい花陽!凛のターンはここで終わりよ..それより、この後は私たちの番だわ!」

花陽「真姫、ちゃん..?」

真姫「凛は恐らく、この後も多少、怪我の演技をしてなきゃならない..」

真姫「そこで私たちが、ダンスの上手さで先生を惹きつければ..?」

花陽「...!!先生の視線は私たちに釘付け、好感度も倍増ってこと?」

真姫「その通りよ、正々堂々と戦った者だけが救われる...目にもの見せてくれるわ!」ババン!

花陽「真姫ちゃん!アイドルを超えたスターだよ!!」パァァッ

ダンス練習

凛「にゃは~、にこちゃん先生のおてて気持ち良かったにゃ..」ポカポカ

真姫「くっ..そのあほ面を見るのも、これで最後よ」グヌヌ

にこ「それじゃ昨日の続きから、絵里ちゃんに注意されたところから、少しずつやっていくわね」

にこ「それじゃ、まずは真姫ちゃんから」ヨーイ..

真姫「はい!いきます!!」

___1、2、3、4! 1、2、3、4...

......

にこ「3、2、3、4!...うん、なかなか良いじゃない!」ニコ

真姫「はぁっ..んぐ、ありがとうございます!」ゼーゼー

真姫「(やったわ!にこ先生に褒められちゃった//)」へへ..

にこ「よし、次は凛ちゃんね..足の調子が優れないでしょうから、無理しないように」ニコ

凛「あう、はい...」

凛「(ああああああ、仮病が裏目に出たにゃああ!!先生に誉めてもらいたいのにぃ..本気出したら絶対にバレるにゃ..)」

にこ「いくわよー、1、2、3、4...」

______1、2、3、4!3、2、3、4!

......

にこ「1、2、3、4!...まあまあってところね、今日は仕方ないからスピードより形を重視しましょう」フゥ

凛「ぅう、ありがとうございますにゃ..」ガクッ

真姫「(ふん、にこ先生の患いを裏切らなかった部分だけは褒めてあげる)」

真姫「(でもね、人に好意を向けて欲しいなら、真っ直ぐな実力で手に入れるまでよ!)」ドン!

花陽「.......」

にこ「さてっと..次は花陽ね!アイドル魂、見せてみなさい!!」ヨーイ..

花陽「...はい、よろしくお願いします」ニコッ

真姫「(ん?なんか花陽の様子、ちょっと変ね..)」

____2、2、3、4!1、2、3、4!

凛「(かよちん、いつも通りなんだけど..)」

____1、2、3、4!3、2、3、4!

真姫「(なんだろう、胸騒ぎがするわ..)」

花陽「.....」バッ シュバッ

にこ「良いわよ~、その調子その調子!」パンッ パンッ

ズルッ

真姫 凛「!!?」

花陽「ふわぁっ!!!い、いたぁい..」ドテッ

にこ「だ、大丈夫花陽!?どこか怪我してない?」タタタッ

花陽「あぅぅ、ごめんなさい先生..上手く踊れなくて」ウルウル..

凛「(こ、これは...)」

にこ「何言ってるの、それより..ああもう、ちょっとだけど、傷ができてるじゃない!!」

真姫「(う、うそよね...同志花陽、あなたはそんな人じゃ..)」

花陽「.....」

花陽「(パクパク)」

凛「(な、何か、口パクで言ってるにゃ...!?)」

真姫「うそよ、花陽、あなたって人は..」ガクガク

花陽「パクパク..)」

<にっこにっこにぃ~♪>

真姫 凛「!!」

花陽「」ニヤッ

真姫「こ、小泉ぃ!!」バッ

凛「落ち着くにゃ真姫ちゃん!落ち着いてぇ!」ガシッ

真姫「離しなさい凛!許せない、二度とお米が食べられないようにしてやるんだから!」ジタバタ

凛「その反応もかよちんは計算してるにゃ!それこそ、相手の思う壺だよ!」グイグイ

花陽「(ごめんね、真姫ちゃん...でもさ)」

花陽「(一度も私、協力するなんて言ってないよ?)」フフ..

にこ「どうしたのよ花陽、急に微笑んで..」

花陽「い、いえ..この痛みも、にこ先生を見たら忘れちゃうなって..」

真姫 凛「な!?」

にこ「ばっ..!なにこっ恥ずかしいこと言ってんのよ//」

花陽「あああ、私何言ってるんだろう、今のは忘れてくださいぃ//」テレテレ

凛「かよちん、恐ろしい子」ガクブル

真姫「それだけじゃないわ、凛...」

凛「それだけじゃないって?...にゃ!!」

にこ「しかし困ったわね、救急箱は無いし..保健室まで行ける?」

花陽「はい..そういえば、希先生は今日いないんでしたっけ//」モジモジ

凛「そんな..ということはかよちんと先生は、保健室で2人きり..?」ガーン

にこ「そうだったわ..でも軽い傷とはいえ、このままばいきんが入ったら大変だからね」

真姫「そっちじゃ、凛...あなたは何か忘れてない?」クルクル..

凛「へ?」

にこ「ちょっと凛ちゃん~、花陽を保健室まで連れて行ってくれる~?」

凛「にゃに?!」

花陽「!?」

真姫「...私の勝ちね」フッ

訂正
→真姫「残念だけど、そっちじゃないのよ凛...あなたは何か忘れてない?」クルクル

申し訳ありません!投稿ボタンミス押しです...>.<

凛「どど、どういうことなのこれ?真姫ちゃん!!」

真姫「ふぅ..もう自分の係を忘れたのかしら?保健係の星空凛さん」ポンッ

凛「あ..」タラー..

にこ「凛ちゃ~ん?花陽が怪我してるから、保健室まで連れて行ってあげなさーい」

花陽「へ、平気です!こんなの、唾でもつけておけばバッチリです!」

にこ「いつの時代よそれ..とにかく、傷が残ったら大変だから、ちゃんと手当てしてもらいなさい!」

凛「....かよちん、凛たちの負けだにゃ..潔くゴールしに行こう?」ガシッ ヒョイ

花陽「ぃいやああ!!真姫ちゃんユルシテエエエ!!」ジタバタ

バタンッ!!

にこ「そ、そんなに消毒が嫌なのかな?」

真姫「(危なかった..希先生が居ないから、にこ先生が付き添ってくれる..ここまでの計画は上出来よ)」

真姫「(ただし、保健係で特に仲の良い同級生がいれば、話は違ってくるわ..)」

真姫「(にこ先生は、生徒同士の人間関係をより重視する..先生の世話焼きを利用しようとしたのが、仇となったわね!!)」グッ

にこ「真姫ちゃん?そんなところでぼさっとしてないで、練習続けるわよ」スタスタ

真姫「はい!この後は、どういったレッスンを行うんですか?」

にこ「ふふ、そうね..特別な個人レッスンだからね~、どうしようかな!」

真姫「(はぁ、やっと2人きりに..先生と2人きり?)」

真姫「...まずいわ、緊張してきたじゃない//」

にこ「あれ、真姫ちゃん、すごいお顔が真っ赤っかだけど..大丈夫?」

真姫「あ//平気です、気にしないでください..」クルクルクル!

にこ「今日は凛ちゃんや花陽が調子悪いし、真姫ちゃんも心配ね~..どれ」スタスタ

真姫「あ、あの..にこ先生?」タジタジ

にこ「こーら♪動かないの」ピタ

真姫「!?」ビクッ

真姫「(ちょちょちょっと//にこ先生の顔が!おでこが!!///)」カーッ

にこ「んー..少し熱いけど、踊ってたからかしら」フム

真姫「(...綺麗な目..このまま吸い込まれてしまいそうだわ..//)」ポーッ

にこ「あと少しだけレッスンしてみよっか..もし辛くなったら言うのよ!最近、風邪が流行ってきたしね~」スッ

真姫「あ...は、はい!気を付けます//」

び、びっくりしたわ
急に近づいてくるんだもの、にこ先生ってたまにこういう大胆なことするのよね...

にこ「ん~、真姫ちゃんに合う練習内容は..」フム..

もうっ!
人がこんなにドキドキしてるのに先生ってば...あ、そうだわ!!

真姫「先生!特別レッスンですけど..」

にこ「ん、何か良いアイデアでも思いついた?」

真姫「はい!実は小さい頃に、社交ダンスを習ってたんです」

にこ「へぇ~、さっすがお嬢様ね♪」

真姫「そんなこと...それで、良ければ一緒にお手合わせ願えるかな、と」モジモジ

にこ「良いわよ、先生で良ければだけど」ニコ

真姫「あ、ありがとうございます!」グッ!

両者、手を繋ぎ、位置を合わせ、呼吸を整えて...

------------ーーーーーー


にこ「それじゃ、準備は良い?」ガシ

真姫「は、はい//」ガシッ..

にこ「ふふ、緊張しちゃってかわいい..リードは先生がした方が良いかな~?」クス

真姫「(ぐっ..ここで引いたらいつもと同じ、頑張るのよ真姫!!)」

真姫「私がリ、リードするので任せてください!!」グイッ

にこ「え、まきちゃ...きゃっ!」ススッ

真姫「ぃ、1、2、3!1、2、3!///」スッスッ

にこ「(真姫ちゃん結構やるのね~、でもちょっとはやいわよ..)」オットト..

真姫「せ、先生!もっとこちらへ//」ググッ

にこ「(!?)///」ビクッ

真姫「いち!にぃ!//さん、しいぃぃ!//」アタフタ

にこ「ちょ、ちょっと真姫ちゃん!掴んでるところ!そこお、お尻よ!//」ザッ ザッ

真姫「へ?....ああ!?///」パッ

にこ「きゃっ?!」ドテッ!

真姫「あああ、にこ先生のお尻になんてことを...」アワアワ..

にこ「いてて、もう真姫ちゃん!急に離さないでよ」スリスリ

真姫「す、すみません!!お怪我はありませんか?」

にこ「何とかね...あーあ、せっかく楽しかったのに、先生がっかりだな~」フフ

真姫「!?」

先生がっかりだな~

がっかりだな~

"""がっかり"""

真姫「(そんな...嫌われてしまったの..!?)」ガーン

にこ「ん?真姫ちゃん?おーい!」フリフリ

____ガチャッ

花陽「ただいま戻りました~」フゥ..

凛「あれ、真姫ちゃーん!...ボーッとしてどうしたんだろ」スタスタ

真姫「」

にこ「おかえりなさい!それが急に黙りこくっちゃったのよ、さっきまで個人レッスンをしてたんだけどね」

花陽「個人レッスン!?ずるいです!私たちもぜひぜひ!!」ワーワー

凛「(真姫ちゃん、その個人レッスンとやらで、何かやらかしたのかな)」チラ

凛「(抜け駆けして、ひとりで美味しい思いをしようとした罰だにゃ)」フッ..

にこ「みんなの個人レッスンはまた今度よ!それより、もうそろそろ下校時間だから、ストレッチしないとね」スタスタ

にこ「飲み物は部室に用意しておくから、ちゃんとダウンしておくのよ!先生は職員室に戻らなきゃいけないから」

凛「はい!この部長兼顧問代理の凛にお任せくださいにゃ!」ビシ!

花陽「一応、代理はつけておいたんだね..」ハハ

にこ「それじゃまた明日ね、今日もありがとう」ニコ

花陽 凛「はい!ありがとうございました!」ペコ

真姫「」ピク... ペコ

放課後 帰宅途中

真姫「あー...ぁー...」トボトボ

凛「ま、真姫ちゃんが壊れちゃったにゃ」

花陽「私たちが居ない間に何かあったのかな?」

凛「慰めたいところだけど、抜け駆けしようとした真姫ちゃんが悪いからね、仕方ない仕方ない!」フンス

花陽「(凛ちゃんが言える立場なのかな...)」アハハ..

真姫「にこ先生...がっかりって..」ダバー

花陽「あわわ、真姫ちゃんしっかり!ティッシュティッシュ!」

凛「涙か鼻水かよく分からない液体が、真姫ちゃんの顔の至る所から溢れてるにゃ..」フキフキ

................

西木野家

真姫「ただいまー...」ガチャ

真姫母「お帰りなさい、今日は随分とはやかったのね!」

真姫「1年生だけの練習だったからね...私、今日は早く寝たいから」

真姫母「あらそう、それじゃはやく夕飯食べてお風呂に入りなさいね」

真姫父「おお、真姫か、おかえりなさい」

真姫「ただいまパパ、今日は珍しくお家にいるのね」

真姫父「いや、病院に必要な資料を取りに来ただけだよ」ガサガサ

真姫「あ、そうなの...」

真姫父「さてと、真姫もはやく帰ったのならちゃんと勉強してから寝るんだぞ」

真姫「もうっ、言われなくてもいつもやってるわよ」

真姫母「うふふ、真姫なら大丈夫よ、なんてったって私たちの子だもの」

真姫「.....」

真姫父「それじゃ行ってくるな」ガチャ

真姫母「気をつけて行くのよ~」

バタン

真姫母「さっ、ご飯を持ってくるから手を洗って座りなさい」スタスタ

真姫「うん...」

最近、学校から家に帰ると、少しだけ憂鬱な気分になる。

パパは毎日お仕事でかまってくれないし、ママはいつも優しくしてくれるけど、何だか私に対しての優しさなのか、たまに分からなくなる。

真姫母「そういえば、冬の模試に向けての抜き打ちテスト、今日だったのでしょう?」

真姫「ええ、全教科問題ないわよ...特に数学は、基礎と応用問題までしっかりとかためたからね」モグモグ...

真姫母「素晴らしいわね、将来は素敵なお医者さんになりそう」ニコ

真姫「もちろん...」ニコ..

将来の夢は立派なお医者さんになること
...それはあくまで数ある中の進路の一つと私は捉えているのだけれど、両親はそうでもないみたいで、勉強のことについては特にうるさい。

真姫「ごちそうさま、今日も美味しかったわ!それじゃお風呂に入ってくるから」

真姫母「は~い、ゆっくり入ってらっしゃい」

お風呂場 ※シーンはご想像にお任せします

____チャポンッ

真姫「ああぁ~、良い湯だわあ~..」ザブッ

何だかおじさん臭いわね、疲れてるのかしら。
これだけ熱いお湯に浸かれば、1日の嫌なことも全部和らぐってものよ!
...にこ先生との失態を除けば。

真姫「全く、肝心なときに下手こくんだから..」チャプ..

私はにこ先生が好き。

この好きが憧れなのか羨望なのか、それとも...自分でもよく分からないけれど、あんなに輝く"自由"を手にしている人を見ると、興味の対象にならざるを得ない。

真姫「...(ササッサッ...)」ポチャポチャッ

浴槽の水面に、右手の人差し指で無意味に数式を繰り出していく(はたから見れば、水面を指で引っ掻いているように見えるんだけど)。
こうやって何か答えを見つけようとする動作で、自分のよく分かっていないことを少しでも解決に繋げようとする癖が、私にはある。だけど...

真姫「...答え、導けないわね」

第一話 M(s)N(t)=s•t=未解式フリーダム

・・・音ノ木坂学院・・・

「まーきちゃん!」

真姫「ッヴェ?!」バッ

花陽「わっ!め、珍しいね。真姫ちゃんが居眠りするなんて」ハハ

真姫「居、眠り..?」キョロ..

凛「い、ねむり..?」キョロ

花陽「こーら凛ちゃん、真姫ちゃんがこんな状態だからって...。次の授業でもうお昼だけど、午前中は何だかよく寝てるね?」

真姫「あら..私、寝てた?」

凛「あー!!もしかして、優等生の余裕なのかにゃ!?模試なんて眼中にないとか!」ニャー!

真姫「はぁ、そんなことないわよ..」

花陽「そうだよ凛ちゃん!真姫ちゃんがそんな鼻につくようなことするわけないよ、花陽だけに!」

凛「かよちん、そんな無理な言葉のこじつけを成し遂げるために、真姫ちゃんを引き合いに出すのはちょっと違うって。凛わかるよ」

花陽「うう..急に突っ込みに回って、私のセリフを掘り下げないでよ」アワワ

...おかしいわね。
えっと、昨日は早く夕ご飯を食べて、お風呂に入ってから、少し勉強をして寝たはずなんだけど。

真姫「今まで授業や休み時間に、寝入ったことなんてないのに..」

花陽「部活が終わって、お家でも勉強尽くしなんでしょ?少しだけ疲れてるんじゃないかな」

真姫「そ、そうね..ちょっと頑張りすぎてたかもしれない」

花陽「たまには、放課後にリフレッシュして気分転換でもしたら良いんじゃないかな」

凛「あ!それだにゃ!名付けて、『真姫ちゃんのお疲れリフレッシュタイム!』開催だよ!」

真姫「それを言うなら、『凛ネコの学習エスケープタイム』じゃなくて?」クス

凛「な!?そんな失礼なこと言うなんて、認められないよ?」ウデクミ顔ナナメ

花陽「ぷっ、やめてよ凛ちゃん..くく」

真姫「...絵里がいなくて安心したわ、また寝入ることになるところだった」プルプル

本当、この二人が居てくれて、つくづく私は救われてると思う。
こんな無愛想な人間に、心を真っ直ぐに向けて関わってくれるなんて、素直にありがたいと思うし。

何よりも、にこ先生の次..いや、同じくらい好きなのかも、口では言えないけどね。

真姫「それじゃ、部活が終わったら何か美味しいものでも食べに行きましょう?」

花陽「うん!楽しみだな、久しぶりの真姫ちゃんとの時間!」パァァ

真姫「お、大袈裟よ、いつも学校で一緒に居るじゃない」

凛「いんや、放課後のプライベートで真姫ちゃんと居ること..これ自体、奇跡と言っても過言じゃないにゃ」

真姫「そんな..めったに会えない伝説のモンスターに遭遇した、トレーナーじゃあるまいし。奇跡の基準がよく分からないわよ」

花陽「凛ちゃんにとってはそれぐらい貴重ってことなんだよ、もちろん私もね」ニコ

真姫「花陽...凛..」

凛「よーし!それじゃその奇跡の前夜祭、じゃなくて前昼際??にて、凛が喜びのダンスを見せたげるよ!」ウキウキ

花陽「部活の前に怪我しない程度にね、凛ちゃん」タラー

真姫「もう、騒がしいやつね、ふふ」

お昼ご飯の時にその喜びのダンスとやらを披露してくれるみたい、楽しみね。

いつの間にか眠気も吹き飛んで、この調子なら、次の授業では起きたまま勉強に専念できそうだわ。

~♪ ~♪

花陽「あ、予鈴だ」

凛「んじゃ、また後でね~」フリフリ

真姫「ええ。ちゃんと授業受けるのよ」

凛「こればかりは、今日の真姫ちゃんに言われたくないにゃ...」

正論ね。返す言葉もない。

喜びのダンスとはどんなものなのか、いろいろ想像して、おかしい妄想に少しにやけてしまう(他の人から見れば、いつものつれない顔なんだけどね)。
そんな一人遊びをしていたら、先生が入って来たので早速授業態勢になる。

「それでは前回の三角比の続きから、____」

........お昼休み
屋上

凛「うぅーん、太陽がぽかぽかしていて、暑いくらいだにゃ」ノビー

花陽「今日は晴れて気持ちの良い空が広がって、まさにピクニック日和だね」モグモグ

真姫「ただし、いるのは自然の中ではなくかたいコンクリートの上だけどね」パクパク

凛「ちょっと、そういう言い方は野暮ってもんだよ真姫ちゃん!」グイ

ごめん、分かったわよ。
謝るから、そのデザートとはほど遠い、オレンジ色の物体を近づけないでちょうだい。ほんとうに無理だから。

花陽「そういえば、猫もみかんが苦手なんだっけ」モグ

真姫「ええ。一説によると、その酸っぱい匂いを毒と認識するって言われてるけど、本当かどうか怪しいわね」パク

凛「え?凛はみかん大好きだよ?」モグモグ

真姫「凛じゃなくて、猫の話をしているのよ」

花陽「...仮に凛ちゃんが猫なら、お魚が大好物なはず、だよね?」ニマァ

凛「凛、猫、違う、しゃけ、食べない」ガクガク

真姫「言葉がぶつ切りで不自然さMAXよ...」

しゃけおにぎりを凛の口元に近づける花陽、なかなか末恐ろしい光景ね。
花陽はご飯中になると、少しお茶目というか、普段と少しずれる性合いがあるのだけれど。

この子らのたわいないたわいない馴れ合いも(というか、花陽が一方的だけど)、今となっては私の楽しみの一つなのよね。

真姫「...!?、ぷくくっ、凛、あなた良い加減にしなさいよっ...!」

花陽「..ぐっ、凛ちゃん、もうしゃけ近づけないから、その顔やめて」ククッ

凛「」? ??

この猫女、どこぞのチャンバラ娘が、ババ抜きで負けた時の顔をして見せたわ。
部活のメンバーたちがいない、一年生の間柄でしかできない戯れね。

ああ、こんな"とき"がずっと続けば、どんなに良いことか。

奇しくも、と言うほどでもないわね。
むしろ、予想していた事態かもしれないけど、そんなに長く楽しい時間は続かないのよね、私の場合は。

え?その物真似した凛の後ろに、張本人が現れてこのひと時をぶち壊しにしたとかって?

いいえ、あの人はそう簡単に空気を壊すようなことはしないし、叱るにしても時間をおいてお仕置きしてくるでしょう。
尚更、タチが悪いんだけどね。

それじゃ、何が起きたかって、良くあることよ。そう、良くあるからの私はがっかりしないし、絶望だってしてやんないんだから。

_________『真姫?今日は昔お世話になったピアノの先生が、久しぶりにお会いしたいそうよ。夕方出掛けるから、いつでもできる部活は休んで、今日は早く帰ってきなさいね。』____________

レス39 訂正部分 ((すみません ><))

そう、良くあるから*の私はがっかりしないし
→そう、良くあるから私はがっかりしないし

放課後 1年生教室

凛「あの...真姫ちゃん?」

真姫「なに?」

花陽「えっと..私達は気にしてないから、大丈夫だよ?」

真姫「...別に、そんなこと分かってるわよ」

凛「きょ、今日はダメでも次があるにゃ!それにしてもいいなー、お食事会だなんて羨ましい!」

真姫「......」

凛「あっ...う..」

花陽「ちょっと凛ちゃん...真姫ちゃん、部活を休むことは絵里ちゃんに言っておくから、ほら、ね?」

真姫「ありがとう、本当にごめんなさいね...せっかく二人が誘ってくれたのに」

凛「昔のお世話になった人なら、仕方ないよね..。凛達は"いつでも"会えるんだし!」アハハ

真姫「...」グッ..

花陽「今日は楽しんできてね、真姫ちゃん!」ニコ

真姫「ええ...行ってくるわ。みんなと、にこ先生にもよろしくね」スタスタ

..........

アイドル研究部室

花陽「...ということで、今日は真姫ちゃんはお家の用事で部活に出れないんだ」

絵里「そっか、分かった。早めに教えてくれてありがとうね」

凛「ぁーぁ、真姫ちゃんと美味しいもの食べに行くはずだったのに..」ズーン

絵里「すごい落ち込んでるわね...」

花陽「真姫ちゃんのお家はけっこう厳しいしね、部活もギリギリ認められてるようなものって言ってたし」ハハ..

凛「それでも!やっぱりきっぱりつっぱり行きたかったよぉ~!」

絵里「凛、しつこい女は嫌われるわよ。家庭の事情には口出しできないわ」

花陽「そうだよね...でも、最近真姫ちゃん、少し余裕がないというか」

絵里「余裕がない?どういうことかしら、花陽」

花陽「うん...今日もね、真姫ちゃん、私たちと遊びに行くのを楽しみにしてたのに、その、別の用事が入っちゃって...」

絵里「ええ、それで仕方なく家の用事を優先したのよね」

花陽「そう...でも真姫ちゃん、妙に物分りが良くってさ」ウーン..

凛「凛が失言しちゃった時だって、すっごく大人しかったよ。というか、真顔でかえって怖かったんだけど..」

絵里「んー、でもそれは..あなた達のことを気遣って、とやかく言うのをやめたんじゃなくて?」

花陽「それもあるけど、前回は、ううん、今までもこういうことがあったけど、その時は怒りを露わにしてね..」

凛「地団駄踏んで感情を露わにしてたにゃ!凛としては、むしろそっちの方が笑えてたんだけど」ニャハ

絵里「いや、そこで笑うのは失礼でしょ..友達との約束が潰れて、ムカついてるところなのに」ガクッ

絵里「...で、それが今回はなくて、様子がおかしいんじゃないかと踏んだわけね?」

花陽「あはは、ただの憶測だから勘違いかもしれないけどね」

凛「でもぜーったい、いつもと違うよ!あれは..そう!初めて凛たちと会った、そんな感じに似てたにゃ!」

絵里「そ、それは言い過ぎじゃないかしら...」

花陽「はは、たしかに...なんにしても、昔の真姫ちゃんに戻らなければ良いんだけど」

凛「そん時は、また凛から漏れなくグイグイと攻めていくにゃ!」エッヘン

____ガチャ

にこ「ふぅ~..やっと職員会議から抜け出せた...」

絵里「にこ先生!!」ガタッ

花陽「お仕事お疲れ様です~、お茶でも淹れましょうか?」

にこ「ありがとう、大丈夫よ。この後すぐに練習見なきゃだし..って、あなたたちだけ?」

絵里「はい、二年生は途中で参加すると海未からメールが」

にこ「ふーん、また進路関係ね。あの子たちも大変よね~。ん、真姫ちゃんは?」

凛「あー、今日はお家の用事で参加できないそうです」

にこ「そうなの?そりゃ残念ねー、先日の個人レッスンのお直しでもしてあげようと思ったのに」

絵里「え!?こ、ここ個人レッスン?!?フーッ..フーッ..!!」ガタッ

凛「絵里ちゃん落ち着いて!凛たちも惜しげなく贅沢にレッスンを受けたからさ、落ち着いてよ!」

にこ「そんな大層なもんじゃないわよ、絵里ちゃん...」アセアセ

花陽「凛ちゃんにいたっては、もはやフォローするどころか自慢だけになってますしね..」アチャー

にこ「うーん..そういうことなら、真姫ちゃんの分まで今日はビシバシやりましょうか!」

絵里「はい!少し日を空けての部活、興奮で胸がハラハラしてしまうわ..」

凛「..ハラショーとの兼ね合いで高揚を表したいんだろうけど、ハラハラの意味が違うにゃ」ボソ

絵里「ん?何か言ったかしら、凛」ポケー

凛「なーんでもないよ♪絵里ちゃん、今日も頑張ろうにゃ」ニカ

絵里「ええ!部長兼ロシア代表のこの私が、今日も溌剌に部活を盛り上げてみせましょう!」ハッハッハ

にこ「ロシア代表っていつから決まったのかしら..」ハァ

花陽「つい二秒ほど前ですね」クス



・・・・・・・・

「まき?..この子、ボーッとしてどうしたのかしら..」

真姫「....あ」カチャ..

ピアノの先生「まぁっ、真姫ちゃんたらテーブルマナーも忘れたの?」フフ

真姫母「お、おほほ..少し疲れているんです、最近部活と勉強を両立しているところでして、ね?真姫」

真姫「..え、ああ、失礼しました!そうなんです、お恥ずかしいところを...」ハ、ハハ

ピアノの先生「大変ね~、それでもこなしてしまうのだから、すばらしいわ」

真姫「ありがとう、ございます..」カチャ..モグ..

六本木の眺望が見えるホテルのレストランで、優雅にディナーを楽しむなんて、この真姫ちゃんにはぴったりね。

...なんて、強がりもそろそろ限界だわ。
部活のこと、みんなのことが気になって会話にも食事にも集中できやしない。

はぁ、やっぱり反抗してでも断るべきだった..


真姫母「そんなことありませんよ~、本人の頑張りもこれからですし、ねぇ~」ホホ

腹立たしい謙遜ね、そこは素直にありがとうと言うべきじゃない..って、私が言えた義理じゃないか..

ピアノの先生「そういえば、真姫ちゃんはどんな部活をやっているの?やっぱり合唱や吹奏楽、といったところかしら♪」ゴクゴク

真姫母「あ、いえ..その..」

焦っちゃって、そんなに金持ちの世間体というものが大事なのかしら。
こうなれば...

真姫「今は"アイドル研究部"という部活で活動していますよ」

ピアノの先生「」ブフッ

真姫母「ま、真姫...」アセ

ピアノの先生「..アイドル、研究?..そんな楽器や音楽を研究する分野なんてあったかしら...」フ、フフ

...たしかに、音を発するに間違いはないのだけれど、物じゃなくて人よ!この人は何を言っているのかしら、と言うか絶対に馬鹿にしてるわね、これ。


真姫母「先生、アイドルとは、その..近ごろ流行っている踊って歌うアイドルのことですのよ」オホホ..

ピアノの先生「...あぁ!ふふ、ご免遊ばせ。しかしまぁ、あの真姫ちゃんがアイドルに興味を持つなんてね~?」

真姫「はい♪やはり新しい時代における分野にまで、幅広く了見を広げなくては、音楽を志す者としては色々な意味で売れ残ってしまいますから」ニコ

ピアノの先生「そ、そうね..見解の広さは新しい閃きを、いつも生み出してくれるものね..」ピキ

真姫母「ちょっと、あなた何言ってんのよ..」ボソボソ

ふふん、その売れ残りとは誰のことを指しているのかは自ずと理解できたのかしら。

もう一度アイドルを馬鹿にしてみなさい、手元のウルフギャングステーキ(脂身たっぷりの部分)をあなたのザマス眼鏡に塗りたくって、介護的丁寧にワックスがけをしてあげるんだから。


ピアノの先生「ごほん...。それにしても意外ね、あの才色兼備な真姫ちゃんが」クス

真姫「...はい?」


ピアノの先生「あり得ないくらいの、とんでもない音楽の才能を数多のコンクールで余すことなく出し尽くして」

ピアノの先生「ギラギラとした、昔の負けん気な真姫ちゃんの表情はとても輝いていたわぁ」フフフ

真姫「な、なにが...言いたいんですか?」グッ


ピアノの先生「あれから随分と変わってしまったようじゃない..まぁ...」



「""底辺""にも目を通す程、余裕ができたなんて、やっぱりあなたは私の見込んだ通りの...""本物""だわぁ」ニヤ...


@「¥&」?:/」<#*^$€_=+>[・。-

;|..."$^?">

..

あれ?
私のステーキが見当たらないけど...もしかして、もう食べちゃったのかしらね?

あれれ?
どうしてこんなに、ほっぺたがジンジンと痛むのかしらね?

あレれ√e?
この真姫ちゃんが、なんで、最高級のディナーの場を抜け出して、不様に、不恰好に

ないているのかしら。ね。

夜 西木野家 真姫の部屋

さてと、そろそろさっきの答え合わせをしたほうが良いかもしれないわね..。グスン
おおよその答えは分かっているとは思うけれど、念のためにね。

私は答え合わせが大好きなの。

実のところ、ステーキは突然どこかへ無くなったわけではなく、食べたわけでもなかった。

前を見てみると、あのザマスな先生の眼鏡にはね、ステーキのかたまりがべったりとのし掛かっているのが発見できて...
いつの間に眼鏡を変えたのかしらと疑ったのだけれど、どうもその肉布団は私の食べていたステーキだったらしく、本当にぶん投げていたみたいなのよ。

脂身ワックス掛けのほうが、まだ穏便に済ませられたのにね。...いや、ないわね。

ほっぺたがジンジンとしていたのは、ママが私の不躾を許さなかったのか、ひどく怒って手を上げてきたのが原因だと思う。

幸い個室で食事をしていたから、人目にはつかなかったものの、いたたまれなくなってすぐに逃げてしまった。

ちょっとだけ涙が出たけど、これは痛みによるストレスを排出するために出てきただけで、人間は非常によくできていると感心してしまったわ。

うん、こんなところかしら。
何にしても、もうおしまいね。おしまい。

あと少しだけでも、みんなとワイワイやっていたかったんだけど...
前にも言ったとおりね、楽しい時間はそんなに長くは続かないの、私の場合はね。

一週間後......

音ノ木坂学院 放課後
とある一年生の教室

絵里「...真姫、どういうことなのかしら」

真姫「....」カキカキ..

絵里「あなた、もう一週間も部活に来ていないじゃない。何があったの?」

真姫「....別に、何でもないです」ゴシゴシ..ペラ..

絵里「ちょっと、私に向かって敬語なんてやめなさいよ」

花陽「真姫ちゃん、まずはペンを置いて私たちのほうを見てくれないかな..とにかく話し合おう?」

真姫「何を?」

花陽「な、何をって..」

真姫「言っておくけど、私は無駄な話はしたくないの、最近はどうやら怠けていたみたいでね」

真姫「前回の模試は全国2位どまりだったものだから、今回は気を引き締めて完璧にやらないと」カキカキ

花陽「ま、きちゃ...?」

絵里「...真姫...あなた、正気?」ググッ

真姫「...? 正気も何も、義務教育を終えて将来の準備に勤しむ高校生が勉強をすることに対して、その質問こそ正気と言わざるを得ないわね」カキカキ カキカキ

絵里「なっ..!!」

花陽「う、うそ...だよね?」

嘘だよね..?真姫ちゃん..
じょ、冗談がきついよ、あはは..いつもの一年生同士のシャレは、ここでは通用しないんだよ?
ほら、絵里ちゃんだっているんだし..あ!分かった、最近部活に来なかったのも、これをやるためにわざわざネタをあたためて...

真姫「花陽」ピタ..

花陽「いたんだ..よね?」

真姫「う る さ い」

花陽「..っ!!」

真姫「...あなたこそふざけないで、私は本気よ」カキ..カキ..

絵里「はぁ...エリチカ、二日ぶりに切れちまったわよぉ..屋上でお話ししましょうかね」ガシ

真姫「ちょ、離してよ!あんたら何かに関わってる場合じゃないの!」ブンブン

「へぇ~、そんなこと真姫ちゃんの口から出るなんてね...ずいぶんと偉くなったものじゃない?」

真姫「!?」ビクッ!

花陽 絵里「に、にこ先生...」

にこ「元気そうでなによりよ、急に部活に顔を出さなくなって心配してたけど...」

真姫「ぁっ...」

にこ「どうやら心配無用、勝手によろしくやってるって感じね」

花陽「あの、にこ先生、真姫ちゃんは..」アタフタ

にこ「ごめんね花陽、私は真姫ちゃんとお話ししたいの...良いわね?」

花陽「はい...」シュン

真姫「べ、べつに..ざわ先生には、かんけい、ありません...」ボソ..

にこ「.....そっか」

にこ「それじゃ、仕方ないか」ニコ

真姫「ぇ...」

にこ「ほら、あんたら二人ははやく部活行きなさい!そろそろ始まるわよ」ポンポン

花陽「へ?あ、えと...」

絵里「...分かりました、先生もはやく来てくださいね、教えてほしいステップがあるので」

絵里「行くわよ、花陽」

花陽「う、うん..それじゃ、いってきます..」

にこ「はいはい、準備運動しっかりやるのよ~」

真姫「....」カリカリ カキカキ...

にこ「さてと、私も行かないとだけど..」

にこ「あら、数学なんてやってるのね!しかもこれ、来年の範囲じゃないの?」

真姫「...冬の模試もそうですが、これからは先を見てやってかなきゃいけないので」カキカキ

にこ「へぇ~、さすが真姫ちゃんね!将来のことを考えてしっかり勉強する、優秀な生徒だわ」

真姫「...母が私に立派な大学に行けるよう、期待してるんです...だから、もっと頭良くならないと」カリカリ

にこ「そうなの、もう十分すぎるくらい頭が良いと思うけどね..この学院の教師としては鼻が高いわ」

にこ「ただ...」

真姫「...?」

にこ「なんか真姫ちゃんらしくないわね、仲間を遠ざけて、部活にも黙って来なくなるなんて...何があったのかは分からないけど」


「...ずいぶんと整った巣で、飼いならされてるじゃない」


真姫「...どういう、意味ですか?」ギリ..

にこ「さぁね、立派な大人になるんじゃないかって思っただけよ...んじゃ、そろそろ行くわね、真姫ちゃん」スタスタ

真姫「な、なに、それ...」

なによ、立派な大人って。

それって良いことじゃない、強いんでしょう、誰にも負けないんでしょう?
安定して、一生食いっぱぐれなくて、安全に、安善に生きていけるんでしょう?

なのに...どうして...

真姫「こんなに...虚しいのかしら」ボソボソ

..............

職員室

にこ「んーっ!!今日はこんなものかな、採点はいつまで経っても神経使うわ...」

希「ほっほう、教師の初心を忘れないにこっちに、また株が上がったやん」

にこ「うわっ、びっくりした..あんたいつの間に後ろにいたのよ」ビクッ

希「この時期は特別大きな仕事はないからな~、少し遊びに来たんや」ニシシ

にこ「...こんなのがこの学院の生徒の健康面を担ってるとは、いよいよおしまいね」

希「ひっどいなぁ~、腐れ縁のよしみやん、少しは信用しよう」クス

にこ「親しいのかそうじゃないのか分からないわよ、その言い方...はぁ」

希「なんや暗い顔して、また余計なことでもしたん?」

にこ「失礼ね!余計かどうかはともかく..ちょっと、厄介ごとが増えてしまってね..」

希「ほーん、にこっちにしては珍しく深刻な表情やね」

にこ「まぁ、真姫ちゃんを相手にするとなれば、ね...」

希「ん、真姫ちゃん?あの西木野の?...ははーん、それはまぁ、にこっちにとって厄介どころじゃすまないわな」クク

にこ「希、あんたもしかして楽しんでるでしょう」

「 私たちの仲間を馬鹿にしないでください!!! 」

希「ん?廊下から聞こえたな、えらい馬鹿でかい声やったけど...」

にこ「この声、まずいわね..これ以上問題を増やしたくないのだけれど」アチャー..

_______職員室前 廊下

真姫母「あなた、口を慎みなさい...大きな声をあげてまぁ、はしたない」

「真姫ちゃんが本当にそれを望んでると思ってるんですか!?」

にこ「そこまでよ!さっきまで部活に行ってたんじゃないの?...穂乃果」

穂乃果「にこ、先生...」ギロ

真姫母「あらあらまぁ、お久しぶりじゃないにこちゃん...じゃなくて、ここでは矢澤先生かしら」フフ

にこ「っ...お久しぶりです、コーチ..」

穂乃果「こ、コーチって...?」

真姫母「姿勢を改める必要はないわぁ、もう 私 の 生 徒 でもないんだし」

にこ「...穂乃果、ここは先生に任せて、部活に行きなさい...みんなには黙ってるのよ」

穂乃果「えっ、で、でも..」

にこ「はやく!!」

穂乃果「っ!?」ビクッ

穂乃果「...失礼します」キッ

____スタタタタ....

真姫母「あら怖い!睨みつけるなんて..ギラギラしちゃって、若いわね」クスクス

にこ「...今日はどういう用事でここへ?」

真姫母「いやね、真姫を迎えに来たのよ。帰り際に悪い虫がひっついてくると思ってね」

にこ「悪い虫ですって...?」

真姫母「ええ。それに、真姫にはチャラチャラとしたお遊戯に付き合う時間はないの」

真姫母「秀才には秀才にふさわしい場所がある...あなたもそう思うでしょう?」

にこ「...どこまで本気で言ってんだか、分からないですね」

真姫母「..いやだわ、歌をやめた子に私ったら何を説こうとしているのかしら」ホホホ...

にこ「アイドルはやめても..私は一生アイドルです!周りの人を、今も笑顔にする

真姫母「教師であり続けることを選ぶなんて、ほんっとう..."おろか"ねぇ」

にこ「.....」

真姫母「まぁいいわ、こんなところで時間を潰してる場合じゃなかった...」

真姫母「あのほのかさん?って子にも...よろしく言っといてね?」クス

真姫母「最も、あんな落ち着かないのが組織にいるところを見ると、他の人員もたいしたことない未熟者なんでしょうけれども」フフフ

にこ「....今、なんておっしゃいました?」

真姫母「....え?」

にこ「誰が、未熟者ですって?あんた、自分がはじめから全てに成熟した、立派な人間だとでも思ってるの?」

真姫母「まっ..あんただなんて、それが一教師の態度な

にこ「あいつらはね!そりゃあ、はじめから全てにかけて、秀才な人たちにはかなわないでしょうよ...でもね!」

にこ「どんな色にも染まる薄色のカメレオンよりか、よっぽど"濃い色"を持って堂々と戦ってるわよ!」

真姫母「!?」ビクッ

にこ「あんたには分からないでしょうよ。あんたの娘がおべっかなカメレオンになりたいのか、そう簡単に取れっこない"濃い色"を持ったバカになりたいのかなんて...」

にこ「あんたには、絶対に分からない!」

真姫母「......」プルプル

真姫母「矢澤にこ...恩師を罵倒するなんて、またしつけが必要かしら、ね...」プルプル

真姫母「知ってるわよね?ここの理事長と私との関係は..」ユラ..

真姫母「後悔することになるわよ..私にたてついたこと、けじめつけてもらわなきゃね..」ニヤァ

「けじめをつけるだなんて物騒やな~、ここはただの古臭い学校やで?西木野さん♪」

真姫母「!?」

にこ「の、のぞみ...」

希「もうにこっち遅いやん、採点のさらに採点チェックも飽きてしもうたわ」ケラケラ

真姫母「あなた...この状況でよく笑ってられるわね」

希「この状況だからこそや!...なぁ西木野さん、ここで少し賭けてみましょうか?」

真姫母「賭け...?あなた何を言ってるの?」

希「その色濃いバカが、秀才に勝つかどうかをさ、賭けてみいひん?って言ってとるんよ」ニシシ

にこ「希、あんた何のつもりよ..」

真姫母「バカが秀才に勝つ...?..ふっ、フフフ..お、おもしろいこと言うのね..いつから学校は漫才師を雇ったのかしら」

希「せや、おもしろいやろ?そいで、西木野さん、あんたとここにいる矢澤先生で歌の勝負っちゅうわけや」

にこ「はぁ!!?」

真姫母「...冗談もやすみやすみ言うことね、私が何者か分かってての挑発なのかしら」

希「心配せんでもよく知ってますよ、数々の歌唱のたまごを一流に育て上げる、西木野プロダクションのオーナー様やろ?」

にこ「あんたってやつは...」ハァ..

希「あぁ~、でも無理にとは言わないですよ?ま、勝負から逃げ出して敵に指さされるのも、これまたおもしろくてええやん」ニヤ...

にこ「なっ....」ギリ

真姫母「逃げるですって...?」ギリ

「「勝負に逃げるなんて選択はないのよ!!」」

真姫母「あ...」

にこ「あ、え....」

希「そか、ほんじゃ仕方ないね。合唱部は休みやし、音楽室に移動しましょか」スタスタ

「「((や、やられた...こいつ..))」」

希「~♪」スタスタ

............

音楽室

真姫「はぁ...まっすぐ帰るってママと約束したのに..結局来ちゃった、なんでなのよ」

~♪ ~♪

真姫「立派に勉強、立派に音楽、立派な大学、立派な音楽家...」~♪ ~♪

「おっとと、ドアにぶつかってしもた」バンッ

真姫「」ビクッ

「ちょっと、何やってるのよ希!」

「あまりふざけてると、あなたもさようならよ」

真姫「(え?希先生に、にこ先生...にママ!?)」ガタッ

「あったあった!鍵閉まってたんやった、今開けるから堪忍な~」ケラケラ

真姫「(まままずい!どこかに隠れ..そうだ、掃除用具のロッカーの中に!)」ダッ!

____バタン!!

ガラッ

希「ありゃ、変な音してたけど、やっぱり誰もいないみたいやね」

にこ「合唱部はお休みなんでしょう?」

希「うん、多分な」ニカ

にこ「ちょっと!!また予感で動いてんじゃないでしょうね?!」ガーッ

真姫母「はぁ...なんでもいいから始めましょう」

真姫母「矢澤先生、あなたの辞表をかけた勝負をね」ニィ..

にこ「...私が辞めるかどうかなんて問題にはなりませんよ..こちらとしては」

真姫母「..本当に、ぶっ飛んでるわね、あの頃と変わらず」

にこ「私がもし勝ったら、真姫ちゃんを"自由"にしてください」

真姫母「自由?..はっ、何を言い出すかと思えば。真姫はすでに自由の身よ、これからは底辺ではなく頂点を目指すべく、華麗に突き進むのよ」フフ

真姫「(......)」【掃除用具の中】

にこ「...真姫ちゃんの好きにさせるって約束よ。あの子が部活に行きたきゃ行かせる、放課後に友達と美味しいもの食べたきゃ食べさせる..簡単な話よ」

真姫母「ええ、もちろん、かまわないわよ。まぁ、あの子があのスクールなんちゃらに再び関わりたいだなんて...考えられないけどね、それにうちのご飯の方がとても美味しいわ」

真姫「(....ママ)」ギュッ...

希「...それじゃ、勝負のルール説明をするな」ヒョイ

希「やり方は簡単、声でどちらがいちばん上の声域までいけるか、勝負や」

希「いちばん上の声域までたどり着き、残った人が勝ち。ほら、簡単やろ?」

希「測定は、この音楽室にある西木野楽器の声域測定でおこなうわ、うち音感ないしね」ゴト..

真姫母「それじゃ、負ける前に言い残すことはある?私は敗者の懇願は、受けつけないたちだから」

にこ「何もありません...真姫ちゃんが自由になればそれで」

真姫母「本当、生意気ね、もったいないくらいだわ」ボソ..

希「ほんじゃ、ウォームアップを5分とってから始めますんで、喉痛めない程度に準備運動はしっかりしてくださいね」

~~~~~~~~~~~~~~

希「勝負は3回、いちばん高い声(測定範囲 5オクターブまで)の記録を出したほうが勝者です。先行は、どうします?」

にこ「....」

真姫母「(ふふ...ビビってるのかしら、なにせブランクがあるもの...恥をかきなさい)」

真姫母「私から行くわ。はやめに怖気づいてくれれば、時間も短縮できるしね」ニヤ

にこ「どうぞ...」

希「では、手で合図を出した後に、声を出してくださいね」カチッ

シーン.......

____________スッ

真姫「(.....!)」

真姫母「」すぅ...


「「「「ハァアァァアアーー!!!!」」」」

声域測定算出中

ピン!

【3.3 声楽家レベル 中~上】

希「!?」

真姫母「ううん、まずまずかしらね、さっ、どうぞ?矢澤先生?」

真姫「(どのレベルなのか、ここからじゃ測定機も見えないけど...確実にやばいわね)」

にこ「...」

希「(にこっち...頼むで)」

シーン....

_________スッ

真姫母「....!」

にこ「」すぅ

にこ「はああああ~~~!!」

声域測定 算出中...

ピン!

【2.8 アイドルレベル中~上】

希「そ、そんな..」

真姫母「可愛らしい声だったわよ、にこちゃん」ニヤ

にこ「...次、どうぞ」

真姫「(なんだったの?測定の結果は...?)」ウーン..

真姫母「それじゃ、失礼して..」スタスタ

希「(にこっちなにやっとるん、ふざけとる場合ちゃうぞ..)」

シーン...

___________スッ

真姫母「」すぅぅ

「「「「「ハアアアァァァアアァーーーーー!!!」」」」」

声域測定 算出中....

ピン!

【3.7 声楽家レベル 中~上】

にこ「....」

真姫母「あら~、なかなか上がらないわね。次で決めましょうか」

希「(化け物や、このトシでもかすれない声の強さ...)」

真姫母「あなた..ちょっと失礼なこと思わなかった?」

希「え、いやいや、あはは...」へへ..

真姫母「さあ、またキャンキャンとした、愛らしい声を聞かせてちょうだい?」フフ

にこ「....」スタスタ

希「にこっち...」

にこ「...なによ」コホン

希「いや...なんでもない」

真姫「(にこ先生...)」グッ

シーン....

希「(...いけ!!)」

真姫「(....っ!)」

_________スッ

にこ「」すぅぅ

「「ハァァ~~~!」」

声域測定 算出中

ピン!

【2.4 アイドルレベル小~中】

希「なっ!?2.4!?」

真姫「(!?)」ガタッ

真姫母「ホホホホ!!あなた、ちょっとどうしたの?」

真姫母「アイドルの時に、私が特訓した時はこんなものじゃなかったわよね」

にこ「そうですね、今よりもっと上だったかもしれません..」

真姫母「はぁ...もういいわ。こうなったらとことんメタメタにしてあげる、こんな子を育てていたなんて恥ずかしいったらない」

希「(めっためったにし~てあげるぅ♪ 小林幸子ver. てやかましいわボケ!)」バシッ

真姫「(希先生、なんで自分を叩いて..いや、それよりもこの勝負よ...)」

真姫「(ママの数値のレベルが発言されていない以上、私は予測することすらできないけど...)」

真姫母「それじゃ、さようなら、矢澤先生」

真姫「(絶対にまずい事態よ...)」

希「....」

シーン...

_______スッ

真姫母「」スウウウ

「「「「「「ハアアアアアアアァァァーーーーーー!!!!!」」」」」」

声域測定 算出中

ピン!

【3.9 声楽家レベル 上】

希「うそ、やろ...ほぼ4やないか..」

真姫「(よ、よん!?)」ビクッ

真姫母「ふぅ、こんなものかしらね..無茶すると喉を痛めてしまうから、限界までは無理だけど...」

希「(これでまだ限界じゃないって、化け物以上の存在やん?)」

にこ「...」

真姫「(...は、はは、もう、だめ...)」

真姫母「どうする?一応やっておくのかしら?」

にこ「はい、勝負には逃げませんので..」

真姫母「ふん、その"意気"様は褒めてあげるわよ..そうね、もしここで土下座でもして、お詫びの一言でもあれば」

希「な!なにいっとるん?!」

真姫「(ママ!?!)」

真姫母「まぁ、私の会社で雑用係をやらせてやってもいいわよ?」クスクス

にこ「....私は、もう、その世界には足を踏み入れないって決めた..」

真姫母「ん?」

にこ「私はもう舞台に立つ気なんてないし、芸能にも関わる気なんてない」

真姫母「ふ、ふふふ..あのアイドル業界や芸能界を騒がせたスターが...今の落ちぶれたあなたに、ぴったりの判断ね~」パチパチ

にこ「だから、限界なんて、感じなくていい...」

真姫母「...なにを、言ってるのかしら?」

にこ「...希、お願い」スタスタ

希「え、お、おう..」

希「(にこっち何する気なんや..)」

真姫「(もう、やっぱり、だめなのよ、神様...お願い...)」ギュッ

にこ「....」スッ

真姫母「(...?あのかまえ、何かしら。どこかで見たような...たしか..)」

真姫母「(....!?!?!)」

真姫「(あ、あれは...にこ先生、冗談よね?)」

希「(...なんや、そういうことか。...どうなっても知らんで、にこっち...)」

にこ「」フゥ...

真姫母「(あの姿勢、上目線、頭をやや後ろに...正気なの?ここで、あれ以上の声域レベルを超えるとなると..)」ワナワナ..

希「(...にこっち、うち確かに保健の先生やけど..)」

にこ「....」ググッ

「喉の治療は、さすがに専門外やから...ごめんな?」

____________スッ

にこ「」

《「ぁ~♪」「「~ぁぁ~♪♪」」「「「~ぁぁぁ~~♪♪♪」」」「「「「ぁぁああ~~~~!!!!!!」」」」アアアアアアアアァァァァアアアアアアアアァァァ!!!!!」」」」」」」》

声域測定 算出中

ピン!

真姫母「...ぁ.....っ...」ガクガク

真姫「(.....)」ギュッ...

希「(お疲れさん、にこ先生)」フッ

【4.1 声楽・歌唱家レベル 小~中】

希「...勝者は、矢澤にこや」ニヤリ

バタン!!!

真姫「にこせんせえ!!」ダッ

真姫母「...はっ!?ま、まき!?」

...ドタンッ!!

「ごっほ!がはっ...げほっ..はぅっ..」

にこ「」ゼー..ゼー...

真姫「にこ先生!にこ先生しっかり!!」ウルウル

真姫母「あああなた、馬鹿でしょう!ぶぶブランクもおかまいなしで、いきなり超高音発声法(ホイッスルボイス)を試みるなんて...おおかしいわ、異常よ..」ガクガク

真姫「どっちが馬鹿よ!異常よ!ママの分からず屋!!」キッ

真姫母「ま、まき..?」ビクッ

真姫「ママがいちばんおバカよ!私の気持ちなんてぜんぜん、わがっでない..ふぇぅ..」ウゥ..

真姫「ッ..私はもっとみんなと遊びだい、出かけたい、μ'sで楽しく踊ってうだいたいのっ!!..」ポタポタ...

真姫「世間体どかぁ、もううんざりな"のぉ!分け隔てなく接してぐれる友達と、美味しいクレープ食べてふざけあ"うのよぉ..」シクシク

真姫母「あ、あ、そんな、泣かないで..ね?まきちゃ

真姫「あのピアノの"せんぜい言っだわよねぇ!?底辺どつぎあうやづって...私のことぉ」ウッウッ

真姫「それなら、私があの子だちに近づかなければ、あの子たちは底辺じゃなくなるっで..グス..そう、思って遠ざけたけどぉ」ポタ..ポタ...

真姫「無理よぉ"!!あんな人たちをてばなすなんでえ!!ぜっだいにやだぁ、ていへん"のほうがましよ"ぉ!!」エウッ エウッ..

「ごっほ!!...言うようになったじゃない..真姫、ちゃん」

真姫母「!」

真姫「にこ先生!」エグ..

にこ「はぁ"っ...これで分かったでしょう..自分の娘がおりこうなカメレオンでもなけりゃ..ぐっ..意志持たずのあやつり人形じゃないって、ことぐらい..」ケホ..

真姫「先生!ダメよ、もう喋っちゃ駄目!」グスッ

真姫母「.....私の、負けだわ。あなたの言うことも、ちゃんと叶える」

真姫母「...喉、かなり痛めているだろうから、ここに来なさい。うちの病院よ」スッ

にこ「はぁ..はぁ"..」パシッ

真姫母「...一流の歌手に育て上げようとした"生徒"に、怪我させるなんて..」

真姫母「ほんと、指導者失格ね...患者を送り込んで、パパにもあわせる顔がないわ」ボソ...

希「(...まぁ、うちは蚊帳の外やな)」

真姫母「ちょっとあなた」

希「え、あ、うち?」

真姫母「他に誰がいるのよ...あとは、任せて平気かしら?」

希「あ、ああ!大丈夫ですよ、うちに任しておいてください!矢澤先生も、けっこう頑丈なんで」ニシシ

真姫母「(この人に任せてほんとに大丈夫なのかしら..)」

真姫母「まきちゃん」

真姫「...な、なによ」スンッ ...スンッ

真姫母「..帰り遅くなるなら、これからちゃんと連絡するのよ」

真姫「え...それって?」スンッ

真姫母「もちろん勉強もやる時はやるのよ...あとは、よろしくお願いします」ペコ

希「いえいえ、音楽レッスンありがとうございました」へへ..

真姫母「」ジロ

希「ひっ!!」

真姫母「ふんっ..」スタスタ..

バタンッ!!

希「こっわいなぁ..まぁなんにしても、にこっちは辞めずに済んだし、真姫ちゃんは自由!めでたしやね♪」

にこ「どこがよ!!...ッ ごほげほっぉ..」

希「あーあー、もう喋らんと。とりあえず、帰りにお医者さん寄ろうな」

にこ「ゼーゼー...覚えてなさいよぉ、のぞみぃ..」ゲホッ

真姫「...でも、本当に喉が潰れるところだったのに..私なんかのために...」

にこ「..バカね、大事な生徒の将来が、意志が、情熱が消されるところを、放っておく教師がどこにいるのよ..」ポン

真姫「ひゃっ...////」ビクッ

にこ「それに私はもう、舞台に立って笑顔を見せることもないんだから、喉がどうなろうと特に問題はないわ..でも、あなたは夢ある場所で、笑いなさいよ..これからね」ナデナデ..

真姫「(にこ先生....)」トクン..

希「あー...にこっち、声出ないのは分かるけど、耳元でささやくのはその..反則やん?」

にこ「ぇ...?」ポケー

真姫「/////」プシュー

にこ「わっ..ど、どうしたのよ真姫ちゃん..急に熱でも出たの!?」ケホッ

希「この天然たらしが...からしに埋れろ」ボソ..

今回のオチはと言うと、
私はにこ先生(あと、希先生も)にしばらく介抱されたあと、部活に向かい、みんなに謝ってきた。

凛や花陽、ことりは泣いて抱きしめにかかってきて、ちょっと痛かったけどこの暖かさ、悪くないと改めて感じた。

海未はウンウンとこちらを微笑んで見てるけどやめてほしい、なんだかそんな暖かい眼差しで見られたらにやけてしまう。

絵里はというと、抱きしめてきた3人組が離れたあと、よく戻ってきてくれたと手を差し伸べてくれたわ。
がっちりと強く握手をして、これからの自信さをアピールしてみせたの。

ただ、その後に一週間のブランクを取り戻すために、海未に特別メニューを考えてもらうと言われた時は、さすがに顔が青ざめて、海未に体調の心配をされてしまった。
原因はあなたの鬼メニューよ。

穂乃果はというと...
あれ?そういや、見当たらないわね、みんなと一緒にいると思ったんだけど。

こういう時こそ、一致団結して動いていると思ったのだけどね...まぁ、お家のお手伝いで先に帰ったのでしょう。
明日、直接会って謝っておかないとね。

それとにこ先生にも、改めてお礼をしなきゃいけないしね...本当に、あの人は無茶をするんだから、ふふ。

____数日後、土曜日

音ノ木坂学院 練習前 屋上

にこ「いつになく早いわね~真姫ちゃん、気合いが入ってるのかしら」フフ

真姫「は、はい..あの!」

にこ「ん?どうしたの」

真姫「その..この前みたいに、一緒に踊ってくれませんか?」ドキドキ

にこ「良いわよ~、今度は失敗しないでね」クク..

真姫「むっ..大丈夫です!任せてください」

.......

真姫「あの、この前はありがとうございました..それと、ごめんなさい」スッ スッ

にこ「何言ってんの!気にしないで良いって何回も言ってるのに」タンッ タン

真姫「気にしないほうが無理あります、まだ喉も完治してないですし...」

にこ「まぁ、炎症は酷かったけど...だいじになるようなこともなくて良かったわよ!」ハッハッ..

真姫「...んー..あのぅ..えと、そうじゃなく..」モジ モジ..

にこ「ん?なに?...って、真姫ちゃん、少し足の運び方が



チュッ❤︎



にこ 近づいて.....ん?」

真姫「えっと///は、早く治るように、おまじないです!は、はは///」スッ スッ

にこ「....!?///」

ツルッ!

真姫「あっ」パッ

にこ「へっ?」

ドタンッッ!!

にこ「いったぁ~、もう真姫ちゃん!急になにするのよ!//」

真姫「...こ、転んだのをからかったお返しですよ!//にこ先生の負けですからね~!!」タタタッ

にこ「あ、ちょ...まったく、真姫ちゃんにしては大胆なことするじゃない..でも、仕返しするにしてはキスはやりすぎよ!」モウー

にこ「...まぁ、ほっぺたなら、下の子たちにもされてたし..いやいや、そういう問題じゃなくて..」ブンブン

真姫「...先生のばか///」

導き出せない答えがあるなら、無理に答えを探さずにもっとフリーダムに道行く道を進むべきよ!後悔と喜びの先で、きっといつか知ることになるけど...だから

真姫「私は今の夢ある場所で、自由に輝いていかなくちゃね!」

それが私が今、したいことだ。

第一話 Maki(student)Niko(teacher)=?=未解式フリーダム 終

~~~~~~...

5月
音ノ木坂学院 2年生の教室

海未「穂乃果!

穂乃果「うぅーん、海未ちゃん?どうしたのそんなにせかせかしてさ」ふぁ~

海未「全授業が終わるまで、一日中寝てた人の言うことは、随分とまた堂々たるものですね..」

穂乃果「えへへ、心に余裕があるっていうのかな?こういうのを//」

海未「何照れてるんですか、それはただの怠け者と言うのです..はぁ、あなた絵里が入ったからといって、安心していませんか?」

穂乃果「してないしてない! 餡 芯 してないよ、おまんじゅうはもう十分です!なーんちって、へへ...あ」

海未「」ゴゴゴゴゴ

穂乃果「う、海未ちゃん?落ち着いて、嘘だから、いまのうそ!」

海未「なぁーにが嘘なのか、分かりませんね」ガシッ

穂乃果「ひぇ...」ガクブル

「ふ...くく...」

ことり「海未ちゃんと穂乃果ちゃん、ほんとにおもしろいね」クス

海未「ことり..笑い事じゃありません!もう5月も終わろうとしているのに、このリーダーときたら..」

穂乃果「い、いえーい?」ピース

海未「」キッ

穂乃果「あう...」シュン

ふふ、本当におもしろいや。
海未ちゃんがお母さんなら、穂乃果ちゃんは娘?それじゃ私はお父さん...は変だよね。
海未ちゃんがお父さんで、私がお母さん、娘が穂乃果ちゃん!うん、これならしっくりくるね!

穂乃果「ことりちゃん?穂乃果の顔に何かついてるかな?」

ことり「あ、ううん。気にしないで、母親は子供をよく見るものでしょう?」

穂乃果「ん..?子供って、そりゃあ穂乃果は子供だけど、ことりちゃんも子供じゃないの?」

海未「義務教育が終わった高校生は、社会に出る準備期間において、子供といっていいかどうかは分からないものですよ」

穂乃果「もーう、相変わらずお堅いなぁ~海未ちゃんは!」ブーブー

ことり「いや、海未ちゃんと私が夫婦だったら、穂乃果ちゃんは娘なのかなって..」

海未「な、なにを言っているのですか、ことり!!//」

穂乃果「ぅわーい!それじゃ甘えていいんだ!海未おとうさーん、穂乃果宿題見せて欲しいな~って♪

海未「」ギリギリギリ

穂乃果「~っいたたたたいいいっっ!そんなお腹つねってもあんこ出てこないよぉ~?」バンバン

海未「どうしてそこまで餡に引っ張られるんですか、アンパンマンなんですかあなたは」フッ

穂乃果「いたぁ..穂乃果のナイスバデェをよくも...」イツツ

海未「脂肪ですよ、いい刺激になったでしょう、そうでしょう」ウンウン

穂乃果「うわーん、ことりお母さーん」バッ

ことり「おぉ~、よしよし。怖かったねぇ、いまミルクあげますからね~」

穂乃果「おっぱい!」キャッキャッ

海未「高校生がなにやってんだか...ふざけてないで、もうそろそろ行きますよ?」ガタッ

ことり「あはは、そうだね。さすがにおっぱいをあげるのは無理かな」フフ

穂乃果「そういう意味で、海未ちゃんは中断したわけじゃないと思うけど...」

海未「なに急に冷静になってるんですか、乳房に関してはあなたが言ったことですよ、穂乃果」ハァ

本当はそこまでやっても良かったけど、ちょっと刺激が強いよね?
ふふ、そうだね、君もそう思うよね。

今日も楽しい練習が待ってるんだ。

穂乃果ちゃんが元気に動いて、海未ちゃんが仕切って、凛ちゃんがふざけて、花陽ちゃんがアイドルについて猛烈に語って、真姫ちゃんがツンツンしちゃって、絵里ちゃんが笑いこらえて、でもって顔がにやけちゃって...

にこ先生が、見てくれて...

ほんとにみんなおもしろいな~、それにすごいところがいっぱいあるし。

ことりなんかと、違ってさ。

放課後 屋上

にこ「はーい、お疲れ様!栄養ドリンクの差し入れよ..って言っても、部費からだけど」ゴトッ

穂乃果「やったー!にこ先生だーいすき♪」バッ ゴクゴク

海未「みんなに配ったらどうなんですか、全く..」サッ サッ

ことり「先生、ありがとうございます♪」

にこ「いいのよ、いっぱい練習してたくさん栄養とって、大きくなりなさい!」

絵里「ゴクッ...にこ先生の栄養ドリンク...」ジーッ

凛「絵里ちゃん?どうかしたのにゃ?」

絵里「あ、ごほん..別に、感謝の気持ちを込めていたところよ」

凛「(...?そういう習慣でもあるのかにゃ?)」ゴクゴク

花陽「あれ?ことりちゃん、もう行っちゃうの?」

ことり「うん、みんなの衣装を作りたいからね」ゴソゴソ

花陽「あまり無理しちゃ嫌だよ?」

ことり「大丈夫だよ~、私は意外とやわじゃないんだよ?」

花陽「うん、わかってるけど...それが一番こわいんだ」ボソ

にこ「ことり~、あまり遅くならないようにするのよ!」

ことり「は~い!また明日ね、みんな!」

海未「ことり、今日もお疲れ様でした。早めに終わらせて帰るのですよ」

穂乃果「うんうん!練習の疲れは残しちゃ大変だからね!」ウキウキ

絵里「穂乃果はまだまだ練習したりないのかしら?」

穂乃果「ええ!?」ビク

海未「おや、それならそうと早く言ってくれればいいのに」ニッコリ

穂乃果「ちがう!その笑顔とこれからしようとしてることは絶対に間違ってるよ、海未ちゃん!」

クスクス。
頑張って逃げてね、穂乃果ちゃん。
さてと、それじゃ行きますか!

にこ「また明日ねことり、お疲れ様」

ことり「はい!お疲れ様でした!」ニコ

キィ...バタン___

凛「ことりちゃんすごいよね~、毎日衣装作って尊敬しちゃうにゃ」

真姫「凛も少しは手伝ってみたらどう?意外と様になるかもよ?」フッ

凛「ああ!今少しバカにしたでしょ、女の子らしいのが似合わないって!」

真姫「誰もそんなこと言ってないじゃない、ふふふ」

花陽「でも、たしかに、何か手伝ってあげれないかって、思うよね...」

穂乃果「そうだよね~、前に手伝おうと思ってことりちゃんが使ってる、被服室の小部屋に入ろうとしたんだけど...」

~~~~~~~

被服室

ことり「わっ...!穂乃果、ちゃん?」

穂乃果「ことりちゃーん!やっぱりついて来ちゃったよー、へへ。何かお手伝いできないかな?」

ことり「んー、大丈夫だよ?あは、ありがとうね、気持ちだけ受け取っておきます!」フフ

穂乃果「おろおろ、何をみずくさいことを~♪どれ、ここがいつもことりちゃんが使ってる作業部屋かな~?

「 入 ら な い で !!!」

穂乃果「ひっ..!あぅ、こ、ことりちゃん?」ビクビク

ことり「ぁ...ご、ごめんね?中には大事な物がいっぱいあるから..ほら、壊しちゃったりしてケガしたら、穂乃果ちゃんが危ないし..」

穂乃果「(ケガするほど危ない物があるのぉ!?)」

~~~~~~~~~~~

真姫「ふーん、まぁ、ことりも少し変わった子だし..なにか見られたくないものでもあるんでしょう」クルクル

凛「自分のこと言ってるのかにゃ?」

真姫「」ゲシ

凛「あぶな!でももう見切ったにゃ、はっはっは♪」ヒョイ

花陽「たしかに、ものを作る人は、こだわりがあるっていうしね..」

穂乃果「んー..でも、ことりちゃん最近働き過ぎだよぉ!くまもうっすら出てるし」

海未「私もことりについては気になっていました、それに授業中も様子がおかしいんですよね」

穂乃果「授業中??」ポケー

海未「あなたが夢の中でアンパンマンになってるときですよ、穂乃果」ハァ...

~~~~~~~~~~~~~

ある日の授業中

国語

「えー、それではことりさん、この古文の解釈をお願いできますか?」

ことり「はい!これはうら若き男の三郎が、位の高い亜理子に対して恋心を謳った文だと解釈できます」

「はい、ありがとう。そうだね、許されざる関係が今ここに繋がれてしまう、当時は厳しい世の中だったから危険な恋だったわけだ」

ことり「はい、全くもって、破廉恥です!!」

海未「...ん?」

............

体育

「蹴って蹴って!もっと前に!」

「ことりちゃーん!そのままゴールしてえええ!」

ことり「はぁ、はぁ、んぐ!いっくにゃーー!」バシュッ

穂乃果「グー...グー...」

海未「穂乃果!!起きなさい!特別メニューの刑ですよ!!」

穂乃果「はっ!?うおおおお」

パッシィィィィン!!

「うそー!」「もう少しでゴールできたのにー」「ことりちゃんどんまい!」

ことり「ふぅ..ふぅ..」

海未「ゴールキーパーが寝るってどういうことですか...ことりも、決めゼリフがおかしかったですよ」

穂乃果「ははは、危なかった....」タラー

ことり「え...?さっきなにか言ってた?」

海未「...え?」

数学

「それじゃあ黒板の前に来て、ことりちゃんはここの問いを解いてくれるかな」

ことり「分かりました!」ガタッ スタスタ

海未「ふむ、なかなか難しい問題ですね...ん?」

ことり「」クルクル カッカッ...

海未「(問題を解きながら髪をクルクルいじるなんて...真姫みたいなことするんですね、ことり)」

穂乃果「んがっ!?...すぅ..すぅ」ガタタッ

ーーーーーーーーーーーー

海未「他にも、急に関西弁になったり、お米だけをお弁当に持ってきたり」

凛「へー、ことりちゃんおもしろいね」アハハ

真姫「私の仕草を真似るなんて、生意気ね」クルクルクルクル

花陽「目が笑ってるよ、真姫ちゃん..」

穂乃果「ちょっとー!穂乃果の寝てるところは余計だよ!?」

海未「寝てる穂乃果が悪いのです、これに懲りたら気をつけるのですよ」フン

穂乃果「海未ちゃんにしては、卑怯な手口だね..」

絵里「...というか、今のって全部あなたたちに似てない?」

「え?」「にゃ?」「はい?」「ヴェェ?」

絵里「いや、気づきなさいよ...」

穂乃果「...あー!たしかに!国語は海未ちゃん、体育は凛ちゃんに、数学は真姫ちゃんで~、お昼のお弁当は花陽ちゃん!...関西弁は、んー?」

にこ「もしかして、希かしらね..」ウーン

穂乃果「ああ!多分そうですね!」

絵里「こんな事にも気づかないなんて、ダメねあなたたち」フゥ

にこ「あれ~、絵里ちゃんみんなのことよく見てるね~?」クス

絵里「...はい?」

凛「絵里ちゃん、なんだかんだ言って、凛たちのことよく分かってるにゃー♪」

花陽「て、照れちゃうね...」エヘ

真姫「はぁ..微々なる好意と受け取っておくわ」フン

海未「微笑ましいものですね、部の仲間想いは、なんにしても素晴らしいものです」ニコ

絵里「ちょ...えっとこれ、は..」

穂乃果「これは!?なになに!?一体なんなの~?」ワクワク

にこ「穂乃果、そこらへんにしておきなさい」フフフ

絵里「うぅ...口出ししなきゃ良かった」トホホ..

穂乃果「なんなのー?穂乃果気になって仕方ないよー」ウキウキ

凛「弱点が分かってきたにゃ、メモメモ..♪」

にこ「....(なんで、みんなの真似なんてするのかしらね)」フム

............
校内 下校時間

「さようなら、にこ先生ー!♪」「さようなら~!」

にこ「はい、さようなら。そろそろ見回りをしなきゃね..」スタスタ

にこ「...あれ?あの灯りは...」

にこ「電気消し忘れたのかしら、ことりのやつ」スタスタ

被服室

にこ「ことり~?まだいるの~?」

シーン.....

にこ「どうやら、電気の消し忘れみたいね..うん?あの部屋は..」

『入らないで!!!』

にこ「...まぁ、作業部屋に誰かいるかどうかの確認だけ、ね」スタスタ

「。。。だにゃ。。」

にこ「ん、凛?じゃないわよね...」

「。。やん?。き。。。」

にこ「誰か、いるの...?」ドキ...

「。。イトだよ!。。ゃ。。」

にこ「このドアの先ね、よーし...」ソ~ッ..

キィ...ガチャッ

にこ「....っ」ビクッ

「ハヤク終ワラセテ、ハヤクカエルノデスヨ、コトリ??」「うん、分かってるよウミちゃん」

「明日ニ疲レヲ残シチャダメナンダカラ、ファイトダヨ!!」「うふふ、分かってるよホノカちゃん♪」

「コトリオツカテサマ、ムチャスルンジャナイワヨ?」「ありがとうございます!もう少しで終わりますから、心配しないでください」

「「「「「「「「ニコ先生♪」」」」」」」」」

にこ「(なによ...これは一体..なんなのよ)」ゾクッ

薄暗い部屋の四隅には積み上げられた洋服の山、中央の机には四つのミシンの上に、作りかけの服が無造作に並べられている。

いちばん私を悪い意味で驚かせたのは...
昨日私が注文した" 1 5 着 "の衣装をすでに完成させ、それを着ながら姿見の前で奇妙な演技をしていることりの姿だった。

「.......だれか、いるの?」

第二話 コトリ・すとろんぐ えいと

翌日 夜 園田家

海未「え?...もう、完成したのですか?」

ことり「うん!今回の衣装はとびっきり可愛くできたから、楽しみにしていて?」

海未「は、はぁ...」

穂乃果「ありがとうことりちゃん!!いやぁ~、部活結成からどんどんスピードあがってるんじゃない?」

ことり「そうかも、上達してる感じがどんどんするよー!」アハハ

海未「その、ことり..こう言ってはなんですが、少しゆっくりと休んだほうが良いのでは?」

ことり「ん?ちゃんと休んでるよ?」

海未「それじゃ、なぜそんなにくまができているのですか...説明してください」

ことり「大したことないよ~...少し寝付きが悪いだけで、横になれば元気いっぱいだよ?」ハハ..

穂乃果「そうなんだ~!ことりちゃん、いつもの枕はちゃんと使ってるの?」

ことり「うーん、実はどこかにいっちゃってね~...見当たらないんだ」

海未「(ふむ...どこかにいってしまったとは、どういう意味ですか?)」

穂乃果「そ、そうなんだ!へへ、それじゃあまり気持ち良く眠れないね~」

ことり「そう...でも、また新しいのを買うから平気だよ!だいじょぶだいじょぶ♪」

「ファイトだよ♪」

海未「?」

穂乃果「あり?」

ことり「...二人とも、どうかした?」ケロッ

海未「(穂乃果...ちょっと」コソコソ

穂乃果「(う、うん...分かったよ海未ちゃん」コソコソ

ことり「ああ、もうこんな時間なんだね!そろそろ帰らなくちゃ」

海未「そうですか...衣装はもう完成させているんですし、今日は何もせずゆっくりと休むのですよ」

ことり「んも~、だいじょうぶ!はやめにベッドに入るから安心して♪」クルクル

穂乃果「それなら、いいんだけど..穂乃果はもう少しくつろいでくよ」ニコ

ことり「明日は土曜日で午後の練習だし、のんびりできるもんね」フフ

海未「そうですね..のんびりすることは良いことです..」

~~~~~~~~~~~~~~

ことり帰宅後

穂乃果「ねぇ海未ちゃん、ことりちゃんどうしたのかな?いつもと違って、少し変だったよね?」

海未「おっと、気づいていましたか。穂乃果もたまには鋭いんですね」

穂乃果「ひっどい!幼馴染のことぐらいは、穂乃果でもさすがに分かるよ!」プンプン

海未「失礼...冗談ですよ、あなたが仲間思いなことぐらい、よく知っています」クス

海未「それで、穂乃果はどう思います?小鳥の様子について、思うところがあれば聞かせて欲しいのですが」

穂乃果「うーん、なんというか、ことりちゃんらしくないというか..昔から、あんなモノマネするようなことあったっけ?」

海未「いえ..あそこまで、日常茶飯事にも誰かの仕草を真似することは、無かったと思いますが」

穂乃果「うん、さっきも、少しだけど髪の毛クルクルしてたしね~」アハハ

海未「演劇をやる人の中にも、人のマネや演技をしてみせて戯ける人もいますが...」

穂乃果「ん?なになに?」

海未「....いえ、なんで私たちの仕草ばかりするのか。それに、枕が無くなってもあの落ち着きようが不自然だと思いまして..」ウム..

穂乃果「ああ~、確かに。μ'sとその周辺の人ばかりだもんね!枕は..中学の修学旅行では駄々こねてたけど、もう高校生だからさすがに...」ハハ

海未「そう言われればそうですが...」

穂乃果「穂乃果も昔は、モノマネとかいっぱいやってたよ~!懐かしいな」ウンウン

海未「...よく私を驚かせて、驚いた時の顔を真似してくれました、よね?」ゴゴ...

穂乃果「ちょちょ、あの時は小さかったから仕方ないよ!」アセアセ

海未「まぁ、今はそんなこともないので良しとしましょうか..」

穂乃果「(本当は凛ちゃんと一緒に、ババ抜きで海未ちゃんが負けた時の顔をやってる...なんて言ったら..)」ガクガク

海未「それにしても、さすがにあれはやり過ぎですよ!本人も自覚していないようですし」

穂乃果「うん..今日のお昼ご飯、ことりちゃんのおにぎり異様にデカかったけど」アハハ...

海未「よくあれを食べれたものですよ、体重には影響なさそうで安心しましたが..」

穂乃果「いいなぁ、穂乃果だったら速攻でどきつい特訓行きだもん」ハゥ..

海未「諦めてシェイプアップを続けなさい!」ビシッ

穂乃果「がーんっ!!...ん、それで、穂乃果たちはどうしたらいいのかな?」

海未「...とりあえず、もう少し様子を見てからにこ先生に相談でもしましょう」

海未「あまり事を大きくすると、他のみんなにも迷惑をかけてしまいますから...」

穂乃果「そっか...よし!穂乃果たちで何とか解決してみようか!ワトソンくん」フンスッ

海未「もう少し、まともな人の助手になりたかったです..」フゥ

~~~~~~~~~....

土曜日 午後

音ノ木坂学院 屋上

真姫「あら?絵里、にこ先生はまだ来てないけど..」

絵里「ええ、ちょうどさっき連絡がきてね、少し遅れるっていってたわ」

凛「ええー!それじゃ、指揮をとるのは...」チラ

絵里「...なーに?私じゃ不満なわけ?」

凛「だって絵里ちゃんの指導って、真面目すぎてつまんないにゃーん?」ワー

絵里「あらあら、年下にいじめられて、エリチカかわいそう..グスリ」

凛「分かりやすいにもほどがある演技にゃ..」

海未「どうしたんです?早く始めないのですか?」スタスタ

凛「(げっ!!)」

絵里「グス、海未ぃ、凛が私の指導じゃ不服だって...えーん」チラ

海未「はい?絵里の何が不満なんですか..?ちゃんとした練習メニューを提供してくれてるじゃないですか」

凛「いやぁはは、海未ちゃんあのね

絵里「でも仕方ないわよね..私、新入りだもの..凛ったら"海未のメニュー"の方が良いって聞かないのよ、ぐすん」ニィ

凛「にゃ?!?」ビククッ

海未「...ほう、凛、あなた...」

凛「あ、え?海未ちゃん?」タラー

海未「...やっと分かってくれたんですね!鍛錬の素晴らしさを!」パァ

凛「(あ、みんな..元気でね?)」シロメ..

花陽「凛ちゃんがこっち見てるけど..」

真姫「自業自得よ、放っておきなさい」クス

ことり「」クスクス

穂乃果「.....」

穂乃果「ことりちゃん、昨日はゆっくり休めた?」

ことり「うん♪もう疲れも吹っ飛んじゃったよ!ありがとう」ニコニコ

穂乃果「そっか..それじゃ今日も、いっぱい練習して楽しもうね!」ホッ

ガチャッ

にこ「ごめんなさい!少し遅れちゃったわ..」ハァハァ

絵里「にこ先生!!」ダッ

海未「おはようございます、意外と早く到着されましたね」

凛「(た、助かった)」グテッ..

希「おはようみんな♪今日は、うちも見るから、よろしゅうたのむな~」フフ

真姫「希先生?どうしてここへ..」

にこ「あなたたちの部活結成を聞いて、気になってるらしくてね」クス

希「邪魔してすまんなぁ、うちのことは気にせんと、"いつも通り"練習してええからな」

花陽「見る人が増えて、やる気もまた出てきますね!」ワクワク

凛「にゃっふっふ..にこ先生と希先生に、良いところ見せまくって魅了するよ!」

ことり「ふふ、みんな楽しそうだなぁ~♪」

希「...」チラ

穂乃果「..?どうかしました?希先生」

希「ん、相変わらずみんなかわええなと思ってな~」

穂乃果「本当ですか!?穂乃果にもアイドルオーラ出てきましたかね?!」ワクワク

希「はは、でとるでとる!あとは、大人の色気という名のスパイスが必要やね」

にこ「なーに言ってんの、まだまだこれからよ!アイドルの道は険しいんだから」

希「おお~、さすが経験者は語るってやつやな」クク

にこ「始まったばかり、この時期がいちばん大事なのよ!それじゃ、準備運動して、今日は総合トレーニングするから!いい?」

「「「「「「はーい!」」」」」」

ことり「...はーい」

ステップの練習

にこ「凛ちゃんもっと周りを見て、ステップを合わせる!花陽は合わせすぎ、自分のスタイルをちょっとは出しなさい!!」ワーワー

希「(練習になると、鬼コーチやな~にこっち)」

凛「はぁっはぁっ!!」タンッ ダンッ!

花陽「ひぃっふぅっ..みぃっ!!」スタンッ!

希「(でもま、それでもみんながついていくんやから、凄いわな...)」

希「(それより問題は..)」チラリ

ことり「...ふっ..はっ..」タンタン

希「(あの子やな、にこっちが言ってたのは...)」

南ことり、たしか理事長の娘やったっけな?

家もそれ程は厳しくなさそうな感じ。
優しく大事に育てられてきた可愛い、普通の女の子。...と思っとったけど、にこっちの話を聞く限り、どうもふつうとは考えられへん。

.....少し遡って...

一昨日 被服室 小部屋前

ドアの隙間から、様子を見るにこ先生

にこ「(ことり、一体なにやってるのよ..)」ゾクッ..

「トカナントカイッテ、ニコ先生ニ黙ッテ残ル気ヤロ?」ことり「そんなことしません!最後の仕上げをすればおしまいなので!」

にこ「(希の真似?一人でブツブツなに言ってんのよ)」ジーッ

ことり「...」チラ

にこ「(..!?まずいわ、今目があった!)」バッ

ことり「........だれか、いるの?」ジーッ

にこ「(なんだか見つかったらやばい気がするけど..ええと、この陰に隠れましょう)」近くのマネキンの後ろ

ことり「」スタスタ

キィ...

ことり「..お ぅ い、だ れ か、い る の?」

シーン.....

ことり「...ふふ、逃げちゃったのかな?」クス

キィィィ...ッ

にこ「(危なかった..てか、なんで隠れないといけないのよ!!)」ドキドキ

見回りをして、学校に残った生徒たちを帰らせるのが私の仕事なのに...。
その日は、被服室については後回しにして、他の場所を見回りし続けた。

夜の7時に近づいたところで、もう一度被服室に行ってみると、ちょうどことりが被服室の鍵を閉めているところだった。

にこ「...まだ残ってたの?ことり」

ことり「あ!にこ先生、すみません♪作業がはかどってしまってつい」エヘヘ

にこ「もう..最近遅すぎよ?疲れが残っちゃうわよ、そんなに働いて..」

ことり「ううーん、でも学校の方が作業環境も充実してるので、止まらなくなっちゃうんですよね」ハハ..

にこ「はぁ...いい加減にしないと、被服室の使用を改めるわよ?」フフ

ことり「えぇ!それは困っちゃいます!」

にこ「冗談だけど..今は学校も節電に取り組んでるんだから、被服室の電気つけっぱなしにしないでね?」

ことり「.....」

にこ「ん?どうしたの?」

ことり「....いえ、そうですね。電気つけっぱなしは、いけませんよね♪」

にこ「ええ、まぁほどほどにしておきなさいよ。頑張るのは大切だけど、休むにはもっと大切なんだから!」

ことり「...ありがとうございます、先生って本当に優しいんですね」

ことり「それじゃまっすぐお家に帰って、よく休まないと!」ニコ

にこ「そうね、今度疲れが取れる良い温泉があるところ、紹介してあげるわよ」

ことり「本当ですか!?お風呂大好きなので、ぜひお願いします♪」

にこ「ふふ、はしゃいじゃって、まだまだ子供ね(さて、と..)」

~~~~~~~~~~~~

希「ことりちゃんが変?」

にこ「そう、急に自分の周りの人の真似をしたり、演技するなんてあり得る?」

夜 居酒屋 荒井図

希「演技なんてしょっちゅうやん、うちも親しみある戯けた先生を演じてるやん?」

にこ「それあんたの素でしょう!..そうじゃなくて、なんかこう、自分がなくて真似事をするような。しかも頻繁によ?」

希「詳しいことはよく分からないけど、人が真似をするなんてもんは大きく分けて2つあるっちゅう話よ」ビッ

希「特に心理療法の世界でも言われてるのは、"だれかに憧れてる"気持ちからその人に近づきたいと考えてるパターンや」

にこ「ああ、アイドルや仲の良い友達の真似をしたくなる、あんな感じね」

にこ「..で?もう1つはなんなのよ」

希「まぁ..あんまないと思うけどなぁ。2つ目はな、

"自分に自信がなくて、誰かになりきる事で束の間の安心感を得ようとする"」

希「そんな気持ち、考えを持ったら、少しばかり厄介かも分からんね~」ゴクゴク

希「ぷはぁ!キンキンのビールて、このジメジメした時期にぴったりやなぁ!」ケラケラ

にこ「なりきって安心する、か..」

希「ちょっとにこっちー、飲んでる時くらい辛気臭い顔やめよう?ほれ」トクトク..

にこ「私はジュースでいいの、アルコールは特別な時にしか飲まない主義なのよ。明日も学校あるし」

希「なんやお堅いな~、その硬派な一面も魅力的やけど、な♪」モミッ

にこ「ちょっと!あんた今どこ触ろうとした!?」バッ

希「へへ、勝手に手が動いたんよ。しつけがなっとらんなーこいつ、はは///」デヘ

にこ「完全に酔ってるわ、酒弱いくせに飲むのがいちばん迷惑なのよね」ハァ..

希「んん、そんならうちが見てみようか?//」ヒック

にこ「希が?」

希「うちかて先生や、それに心理療法もかじってたからな。クライエント観察ってところかね~//」トクトク

にこ「いいの?あんただってやることあるだろうし」

希「へいきへいき、生徒の身体を診るシーズンも終わったしな!任せとき!//」アハハ

「え...生徒の身体を見る..?」
「なんなのかしら、あの人たち..」

にこ「健康診断って言いなさいよ!あんたと飲むとハラハラさせられるわ..」

~~~~~~~~~~~~戻って、μ's練習中

にこ「よし!一旦休憩よ。10分後に再度ステップ練習にリズム練習と、その後は課題の創作ダンスを一人ずつ見せてもらうからね、お疲れ!」パン

花陽「はっ..はっ...」ポタポタ

凛「汗が止まらないにゃ..」ボタ..

海未「ふぅ...なかなかきますね..」

ことり「あは..海未ちゃんのメニューに近いかも..」クル..

希「!」ジッ

穂乃果「お昼ごはんが口から出てきそう...」

ことり「お昼ごはんは何食べたの?」

穂乃果「...カツ丼..」ウゥ..

海未「そんな重いものをよく食べましたね、練習前に..」ヤレヤレ

ことり「そうだね、ことりは海苔弁で十分だったよぉ~♪」

希「....」

海未「ことりにしては、ずいぶんと地味なお昼ごはんですね。(練習前にはちょうどいいのでしょうか..?)」

..........

10分後

にこ「まずはチームに別れるわよ。ステップとリズム練習する人たちは私が見て。創作ダンスは一人ずつ希に見てもらうわ!」

穂乃果「希先生がダンス見るんですか!?」キラキラ

希「せや、うちも大学ではダンスサークルに入ってたからな!けっこう嗜んできたくちなんよ」フフ

海未「普段と違った視点で指摘を受ける機会は、そうそうありませんからね。心して踊りましょう」

絵里「私はちょっと残念だけどね..」ハァ

穂乃果「え?どうして絵里ちゃん?」

絵里「私の表現で、にこ先生を魅了する機会が減ってしまうじゃない!せっかくの個人レッスンが..」オヨヨ..

穂乃果「は、はは..(絵里ちゃんこんなキャラだっけ..)」アセ

にこ「創作ダンスの順番は、希が決めてるから、呼ばれたら行ってね!それ以外は私のところ!よろしく」

希「そいじゃ最初は、花陽ちゃん!」ビシッ

花陽「は、はいい!!」ビクーッ

真姫「大丈夫よ花陽、いつも通りでいいの。しっかりしなさい」

絵里「にこ先生は私に任せて、安心して希先生を魅了するのよ」

真姫「何を任すのか、意味わかんない..」

花陽、凛、穂乃果、真姫...
順番に創作ダンスを希の前で披露する。

そして...

希「次は..そろそろかな、ことりちゃーん?」オーイ

ことり「あ!はーい、今行きまーす!」

ことり「よろしくお願いしまーす♪」タタタ!

希「おーおー、なんや、けっこう元気やん!期待してもええんかな♪」ウシシ

ことり「期待に応えられるか分かりませんが、一生懸命頑張ります!」

「ファイトファイト!ファイトです♪」

希「はは、まるで穂乃果ちゃんやな?」

ことり「私が、ですか?...そんな、私が穂乃果ちゃんになれるわけないですよ」アハ

希「そか..(自覚なし、か)」ニコ

希「んじゃ、さっそく始めよう!テーマとタイトルを教えてくれる?」

ことり「はい!テーマは無題!タイトルは"8 えいと"です!」

........

希「...なんやて、もう一度ええか?」ン..?

ことり「えーと、テーマはよく分からなくて..タイトルは"8 えいと"です!」

希「...テーマはともかく、不思議なタイトルやね?」

ことり「えへへ、なんとなく浮かんできたので..始めていいですか?」

希「ああ、ええよ。ことりちゃんの"念い"をうちに見せてくれるかな」

創作表現なんちゅうもんは、人の心を探るのにはとっておきのツールとなるんよ。

また、見た絵や風景に対しての感じ方も、その人が今感じるものに近しい何かがあると推測できたり...あくまで推測やで?
絶対じゃあらへん、でもな...

希「(この子の場合は、どんな表現をして今の心のあり方を見せてくれるのか..とても重要や)」

なにせ、本人が自覚できないほどに他人を模倣するなんて、無意識だとしたら..

本心を探るのは、うちでもちいと骨が折れる...
なんやテーマが無題って、わけわからんよ。

ことり「あのぅ、良いですか?希先生」

希「あ、すまん!よろしくな!」ハハ..

~♪ ~♪

(曲 カルミナ・ブラーナ/おお、運命の女神よ)

希「(これまた、どぎつい楽曲を選択したもんやな...)」

ことり「」フラ..

希「しかし、あんな目下にくま作って、よく元気そうにしてられる)」ジッ

ことり「」タンッ タンッ..

希「(...あれ?)」

ことり「」スッ パッ

希「(...おいおい、ことりちゃん)」ギョッ..

<<凛「」タンッ タンッ>>...

ことり「」タン タンッ!

<<<穂乃果「」スッスッ パッ>>>

ことり「」 ス ス パッ!

希「(....)」ゾクッ

驚いた。

うち、一瞬デジャブを感じたのかと..
違う、あの高速にしようとしておぼつかないクラブステップも。
腰と腕のグラインドに、決め技まで、全部。

さっきの、凛ちゃんと穂乃果ちゃんのやり方そのまんまやん...

~♪ ~♪

ことり「はぁっ...はぁ!」 サッ スッ パッ!

どこにこの子はおるんや。
どんな気持ちで、μ'sと今まで関わってきたん?

ことり「ぜぇっ..ぇっ..」 パッ パッ タンッ!

あかん、見てられへん。
これは早めににこっちに言っておかんとな..

ことり「ぁっ...!」ズルッ!

さもないと...

バタンッ!

「ことり!!?」「ことりちゃん!?」
「しっかりしてください!」「ちょっと、起きなさい!!」「熱が...はやく保健室へ!!!」

....手遅れになる。

________________

海未「.....」

穂乃果「.....」

保健室

ことり「くぅっ..すぅ...」zz

穂乃果「海未ちゃん、ごめんね。穂乃果がもっとよく見ていれば..」

海未「やめてください..それを言うなら、私だって、はやく先生たちに相談しようと提案すれば良かったものの..くっ」グッ

希「にこっちは気づいてたよ..って言っても、一昨日ぐらいからだけどな」

海未「そうだったんですか..」

希「いろいろ話を聞かせてもらってな、そいで今日うちが、ことりちゃんの様子を見にきたってことや」

穂乃果「...ことりちゃんは、一体どうしたっていうんですか?」

希「正直なところよく分からん。はっきりと見て分かるのは、異常なまでの模倣性、つまり極端な真似をしてるところや」

希「さっきも創作ダンスをしてもらってたんやけど、全部穂乃果ちゃんたちのステップを真似てたよ..」ハァ..

海未「ことりが、ですか..?」アセ

希「うちも驚いたわ。さすがに、にこっちのダンスを真似ようとして、もたなくて転んだけど..」

希「前半も極端にマネしすぎて、なんだかお人形さんが踊ってるみたいやったで」

ことり「うぅん...」

海未「ことり!!」

穂乃果「ことりちゃん!」バッ

ことり「う、みちゃん..ほのかちゃ..」

海未「大丈夫ですか!?」バッ

ことり「うん..無理、しすぎた..」

穂乃果「ほんとだよ!!すごく心配したんだから!最近頑張りすぎだし、手伝おうとしても怒るし...めちゃくちゃだよ!」ウルウル

希「穂乃果ちゃん落ち着きぃ、相手は病人なんやから」

ことり「へいきです、穂乃果ちゃんの言う通り...ごめんね?もう無理しないよ..」ニコ

穂乃果「絶対だよ?ほんとにほんとに、無理はダメだからね!」

海未「私からもお願いです、ことり。一人で抱え込まず、私たちを頼ってください」ギュッ

ことり「うん..ありがと、これからはお言葉に甘えようかな..」フフ..

希「今日はもうはよ帰って、何もせんと体調整えてな。みんなことりちゃんのこと、心配しとったから...」

ことり「はい...はやく治して、げんきなすがた..見せなくちゃ」ガバッ

海未「鞄はここに持ってきましたから、一緒に帰りましょう?」

穂乃果「断るのはなし、だよ?穂乃果たちも、今日は先に部活を終えてことりちゃんと帰ります!」

希「それがええよ、うん。疲れが溜まってるやろうから、明日以降も安静にして栄養しっかりとってな」ニコ

ことり「はい...ありがとうございました」ペコ

__________次週、月曜日の放課後

音ノ木坂学院 アイドル研究部室

絵里「それで、ことりはもう平気なの?」

穂乃果「うん!もう無理はしないって約束してくれたし、これで一安心だよ~」モグモグ

海未「こら!また完食ですか!練習前だというのに、またお腹壊しますよ」

穂乃果「平気だよ~!そうだっ!このチーズ蒸しパンケーキ、ことりちゃんにもおすそ分けしに行こう♪」ガタッ

海未「あ、待ちなさい穂乃果!!」

穂乃果「やーだよ!」シュタタタ...

絵里「相変わらずね..でも、いつも通りでこっちとしても安心したわ」

海未「そうですが...」

絵里「なによ?そんな思いつめた顔して」

海未「いえ、しっかり眠れたのかなと..枕が見つかっていないのが気がかりでして」

絵里「枕...?」

海未「ことりが愛用している枕ですよ、あれがよく眠れるみたいで..」

絵里「それは初耳ね..枕というか、羽毛が抜き取られたような枕なら、この前見つけたけど...」

海未「..はい?」

絵里「三年生の選択で服飾デザインがあるのよ、その時に被服室でボロボロになった枕(?)があってね」

絵里「なーんか、気味悪いから話さなかったけど」アハハ

海未「なっ...!なぜそれをもっとはやく言わないのですか!?」ガタタッ

絵里「え、ちょっとどうしたのよ...」

海未「あなたはポンコツです!」ダッ ガチャッ

_____バタンッ!

絵里「.....チカ?」ポケー

校内 廊下

穂乃果「ふーんふん♪こーとりちゃーんはどーこかなー♪」ピョン

穂乃果「お!いたいた!こと...」

ことり「」スタスタスタ

穂乃果「り、ちゃん..あれ、あっちの方向って」

~~~~~~~~~...

被服室

ガチャッ

穂乃果「...失礼しまーす」ボソ

穂乃果「(ことりちゃん、ここに入ったよね?電気付いてないけど、誰もいないのかな?)」キョロキョロ

穂乃果「」スタスタ..スタ

バタンッ!!!

穂乃果「!?」ビクリッ

「ダメだよ~、ドアは開けたら閉めなくちゃ」

ことり「電気はつけっぱなしにしない、穂乃果ちゃんは節電して偉いねぇ」ニッコリ...

穂乃果「...ことりちゃんなの?真っ暗でよく見えないんだけど...」ドキ

ことり「私?どうだろう..もしかしたら海未ちゃんかも?それとも凛ちゃんかなぁ~」フフフ

穂乃果「ふ、ふざけてないで..電気つけてよ」ビクビク..

ことり「ダメだよ~、そしたらもうここで作業できなくなっちゃう♪」クス

穂乃果「なにを、言ってるの..?..そうだっ、ことりちゃん、約束したよね?もう無理はしないって..」

穂乃果「それなのにどうして、またここに来たの?まだ体調は万全じゃないはずでしょ..」

ことり「穂乃果ちゃんこそどうしてこんなところに?可愛いぬいぐるみでも作りにきたのかな?」フフ

穂乃果「ほ、穂乃果の質問に答えてよ!!」

ことり「...うるさいにゃ」ボソ

穂乃果「...え?(い、いつの間に近くに?)」ドッ..ドッ...

ことり「...衣装を作るためだよ、私にはそれしかできないし、それだけしかないんだからさ..」アハハ

穂乃果「そんなこと..!それに、穂乃果たちと約束したのは、嘘だったの?」

「人聞きが悪いにゃ~?だから体調を取り戻しつつあるから、もう大丈夫だってぇ...」

「何度言わせるのかしら」ヌッ!! ボソ..

穂乃果「(わっ!?)」スッ

ガタッ

穂乃果「いたっ!?」

「たくっ、しょうがないわね~!穂乃果ちゃんは」クルクル

ことり「そこらへんはマネキンやらで、ごった返してるから気をつけて♪」 スタスタ

穂乃果「うぅ(だめだ..真っ暗でなにも見えないよ..)」ハァ ハァ..

「そういや、穂乃果ちゃん。少し質問してもええか?」

ことり「...か?」

穂乃果「な、なに..?」

ことり「穂乃果ちゃんが、私をμ'sに誘ってくれたのって、何のため?」

穂乃果「何のためって...一緒に廃校を救うために、結成して、それから

「はうう、それじゃ私じゃなくても、良かったんじゃないですかぁ?ダレカタスケテー」

穂乃果「ど、どうしてそんなこと言うの!?」

ことり「どうして、か...」

「穂乃果ちゃんはみんなを引っ張って行ってすごいですよね、まさにリーダーの鏡!凛ちゃんなんか、運動神経抜群ですし、真姫ちゃんは音楽の秀才」

「花陽ちゃんはアイドルにかけての知識と分析がμ'sにより貢献し、海未ちゃんは文武両道でμ'sの知性派、素晴らしいです」

穂乃果「ことり、ちゃん...?」

「絵里ちゃんにいたっては生徒会長で学院を仕切る立場にもある..にこ先生については、言わずもがなですよね」

ことり「こんなすごい人たちに、頑張ってついて行かなくちゃいけないの、私はね」ニコ

ことり「だからこそ、手は抜かないし、頑固にだってなれるんだ」

穂乃果「..わけわかんないよ、ことりちゃん。穂乃果は、そういうつもりでことりちゃんを誘ったわけでもなく...」

ガクッ...

穂乃果「そういう....つもりじゃ..」ウルッ..

ことり「いいよいいよ、穂乃果ちゃんはなにも悪くないよ?」ケラケラ

ことり「ただ、私の邪魔だけはしないでね?これからも不器用なことりを、よろしくお願いします♪」スタスタ..

ニィ...

ことり「...じゃ、今日は部活に遅れて入るから、また後でね穂乃果ちゃん!作業部屋には絶対に入らないでね?」ガチャ キィ...




「へぇ?部活に自ら遅れる宣言するなんて、理事長出勤でも始めたのかしらね?」

ことり「....」

にこ「待ってたわよ、南ことり」

被服室 小部屋 (作業部屋)

にこ「この洋服かわいいじゃない?あまりの量に少し引いちゃったけど、なかなかの出来ね」

にこ「極めれば、お店出せそうなくらいよ?」クス

ことり「...その洋服たちに、触らないでください」

にこ「あら、怒らせちゃったかな。それにしても、散らかりすぎよ~...ことり、あなたきれい好きじゃないの?」

ことり「べつに..にこ先生には、どうでもいいことじゃないですか、そんなの..」

にこ「たしかにどうでもいいかもね、でも..大事な生徒の様子がおかしけりゃ、踏み入っちゃいけないことなの?」

ことり「私はおかしくありません、いつも通りです。...これでいいですか?」

にこ「良くないわね、扉の外にいる大切な仲間を泣かせて、だいじょうぶとは言い難いわ」

穂乃果「...んっ..」グス..

ことり「...っ」ズキッ..

にこ「あんたは同じ志しを持つ仲間に八つ当たりする人間だったかしら」

ことり「八つ当たりじゃない..私は、本当のことを言ったんだ..」グッ

にこ「本当のこと?あんたの被害妄想の話をしているのかしら」クス

ことり「....!」キッ

にこ「ふふ、そんな顔ができるのね..先生が初めてじゃない?嬉しいな」ニコ

ことり「...先生には分かりません、私が、どんな気持ちで...みんなについていくのに、必死で頑張ってきたのかなんて」

ことり「アイドルの頂点に立って、華々しいスターだった矢澤にこには分からないんだ!!」グワッ!!

にこ「.....」

ことり「はぁ...はぁ..」

ことり「.....ぁ」ハッ!

にこ「言ってくれるじゃない、そんなふうに思ってたわけね」フゥ

ことり「ぅ...ぁっ..」

にこ「ことり、私はあなたがどんなに苦労しようが、裏で努力しようがね、正直ぜんぜん分からないわよ」

にこ「ことさらに、表に出してくれなきゃ、南ことりがどんな奴なのかってね...」

にこ「他の人が他の人がなんて、言ってりゃどんどん自分が消えていく。当然よ」

ことり「....」

にこ「あなたは何者になりたいの?穂乃果?海未?私?」

ことり「..ち...ぅ」ボソボソ

にこ「そりゃ無理よね。穂乃果は穂乃果だから、あんな無茶苦茶でとんでもないリーダーシップを発揮する」

にこ「海未だって、海未だからみんなを表でサポートできて、メニューの調整にかってでてる、最近は作詞も始めてきた」

にこ「みんな、ぴったりはまるところでやってるのよ、"あんたと同じく、見えないところで苦労や努力"をしてね」

ことり「.....」

にこ「でも、ことり、あなたはどうなの?自分をそんなに受け入れられない?」

「なぜそこまでして、みんなになろうとする?」

ことり「私は....

私は...

........

『ことり~、何やっているの?」

『あ、洋服の絵?かわいいじゃーん!』

ことり「え?!こ、これは落書きだよ..はは」

『そうなのー?こんな洋服あったらいいねー♪』

ことり「...そうだね」クス

きっかけは簡単だった。

中学校の頃、
誰かのあったらいいなを叶えたくて、たまたま私は洋服を作り始めた。

『おお~、また描いてるじゃん!どれどれ?』

ことり「あ!ちょっと...」

『....なにこれ』

『すごい..ことりって、デザインとか好きなの?』

ことり「ええと、たまに洋服を見て、描き写したりするぐらいだよ?」

うそ。
本当は小学校の頃から興味があったし、幼馴染の海未ちゃんや穂乃果ちゃんたちにだって...最近教えたばかりだ。

でも、自分で作ったものとかって...
人に見せるとなると、気恥ずかしいというか、ね?

だから、例え作ったとしても、誰かに見せる機会なんてなかった...

でも、それがここ最近変わってきた。

「ことりちゃん!アイドルだよ!スクールアイドル!!」

ことり「スクール、アイドル...?」

「またとんでもないことをしようとしてますね?あなたは...」

そう、スクールアイドル。
歌って踊って、多くの人の目に止まる華やかな舞台。本物のアイドルとは違うけど、それでも私には魅力的に見えた。

「ことり、洋服なんて作れたのですか?」

ことり「えへへ、多分できるかなって...やってみていいかな?」

「うーん!それって最高だよ!お願いことりちゃん♪」

私は作った。

無我夢中に、淡々と、いくつもの服を。
生まれて初めて、ここまでのめり込んで、何かに没頭したものだと思う。

...でも

「こ、小泉花陽ですっ...えと、大好きなものは"米"です!!」

ことり「あはは、日本人の中の日本人だね?」フフ

「星空凛です!よろしくお願いします"にゃ"!南先輩!」ペコ

ことり「あわわ、そんな南だなんて..ことりって気軽に呼んで?」ニコ

「....西木野真姫、作曲ができます」"クルクル"

「真姫ちゃんだね、どんな曲ができるか楽しみにしてるね♪」

「んん...こほん。絢瀬絵里よ、その、あの時は悪かったわね..身勝手なお友達だなんて..」

ことり「気にしないでください!次はありませんけど...ね」ニコ

「ひぃっ...な、なんなのよこの子..」ブルブル

初めての先輩。だった、ことりにとって

初めての後輩。だった、ことりにとって...

「海未、この詞の部分、こう変えれば、..」

「なるほど、助かります!となればこうすると..」

「ステップは..こうっ!こうで、よいしょ!!」

「すごいわね、凛。あなた運動神経良いのね..そしたら、柔軟性を使った舞踏法が..」

「それで、あそことあのスクールアイドルは今旬なんです!アライズという...」

「そっか~!今後のグループの指針に取り入れると、こうなってみたら..」

ワイワイ ワイワイ

ことり「....」

みんな、すごいと思った。

曲と詞で歌に、
体と技で踊りに、
分析と商で活動に...

私は、南ことりはなにをしていれば良いんでしょう?

私も頑張らないと、みんなに負けないくらい、頑張らないと!

作って作って、作りまくって。
完璧な作品、物を作らないと、置いてかれちゃう!

せっかくの仲間たちに、見放されちゃう!!

.........

ことり「私は...自分にできることは、服を作ることしかできない..他には、なにも持っていないんです」

にこ「だから...他の人たちと同じようなことして、何かを得られるとでも思ったの...?」

ことり「....はぃ...」

にこ「....はぁ、そんなことか」

ことり「そ..そんな、こと?」

にこ「ええ、そんなことよ。結局、誰にもなれやしないなんてわかってるんじゃない、あんた自身が」

にこ「それに、詞も曲も運動も技も、アイドルも交渉も本格的に極めようとせず、試そうともせず...」

「またここに、洋服のため、物を作るために来てしまった」

ことり「...!!!」ドキ

にこ「あんたは"本物"の大バカものよ、狂ってるとでも言った方が適切かしら?」

ことり「私が...狂ってる..?」

にこ「ええ。第一ね、一人の人間が注文された洋服そこらを、あんな丸一日ほどでたくさん作れるわけないのよ」

にこ「しかも、特にミスもなく、規定通りに、依頼通りに作ってしまうなんて...完璧な職人気質なあんたは..」

「"不完全の皮を被った、狂人で強人(ストロング)な本物よ"」

ことり「私が...?それってどういう...」

<<「穂乃果!マネキンの山に突っ込んでどうしたんですか!?

<<「海未ちゃーん、真っ暗で怖かったよ~

ことり「!」

ガチャッ...

海未「ことり!!それに、にこ先生!?」ハァハァ

にこ「元気ね~、部活前に体力消耗とは良い度胸してるわ」ハハ

ことり「海未、ちゃん...」

海未「ことり..これ」バサッ

ことり「ぁ..」

穂乃果「お邪魔しま~す..そ、それって..」

ことり「私の...枕..」

にこ「にしてはぺったんこね。中身のわたか羽毛は、何かの材料にしたみたいね?」

海未「人形に、洋服の装飾部品、雑貨品...すごい部屋ですねここ...全部、ことりの..?」

ことり「」コクン

穂乃果「うわ~、すごい!これ穂乃果と海未ちゃんのぬいぐるみ?かーわいい♪」

ことり「あぅ..そんな、こと..」

にこ「そんなことってどんなことよ、素直に喜べばいいじゃない」フフ

海未「しかし、自分の愛用品まで壊して作品にするなんて...くっぷぷ」

ことり「...え?」

海未「こんなのありですか...ことりの意外な一面です、くくっ」

穂乃果「洋服以外にもこんなにたくさん!ことりちゃん、ものづくりの天才だよぉ~」キャッキャッ♪

ことり「えっえ、...二人とも、怒らないの?」

海未「なんだか怒りを通り越して、すごくて笑えてきてしまいました」フフフ

にこ「どう?自分の創作物の数々を見て笑ってくれる、すごいと言ってくれる人たちを見て」

ことり「なんだか、くすぐったい感じ..」モジモジ..

穂乃果「そういえば、にこ先生が頼んでた衣装ってどこにあるのー?」キョロキョロ

ことり「それは確かここら辺に..あれ?な、ない!」ゴソゴソ

にこ「ああ、ちゃんと受け取ったわ。というより、勝手に持って行ってしまったけど」

ことり「持って行ったって...?」

海未「ん?誰かが被服室に入ってきましたね?」

ゾロゾロ

「ここでしょー?南先輩がいるところって...」「のはずだけど、あ、奥の小部屋じゃない?」

「同じ学年にあんな可愛い服を作れる人がいたなんて!」
「いやー、本気で、オーダーメイドしてほしい!!」

にこ「さっそく評判を聞きつけて、やってきたわね..」ニッ

後輩たち「あの~、南先輩いますか?」

ことり「は、はい!私ですけど..何かようですか?」

後輩「文化部棟のフロアに、先輩の作品があったので気になって..」へへ

ことり「ええ!!?」

同級生「ことり~、あんたすごいね!あのドレス全部一人でつくったのかよ?」

ことり「そう、だけど...」オロオロ

同級生たち「あっはは、たまげたなぁ!どこかのコンクールに出せるんじゃないか?あれ」

後輩「服飾の強人、南ことりと噂されてますよ♪」キャッ

ことり「な、なにそれ..!?」

同級生「いや、あの出来は狂人でしょ、って言ったら失礼か」ハハ

穂乃果「ほわー、どんどんきてるよ~」オー..

海未「にこ先生、これは一体?」

にこ「自分で出せない裏の部分を、無理やり表に出しただけよ。一かバチかだったけど、なんとか上手くいったわね」フゥゥ..


同時刻
~ 校内 文化部棟 フロア ~

カシャ カシャ キレイ~♪

凛「写真は並んでとってくださいにゃー!」ゴト..

絵里「真姫、そっちにマネキンを置いて、この衣装をかけてちょうだい」

真姫「どうして私がこんなこと...」ンションショ..

絵里「部活の宣伝にもなるし、とても合理的だわ!しっかし、ことりがこんなものをねぇ..」

花陽「かわいい..花陽もこんな服が着てみたいです!!」パァ

「ねぇねぇ凛、これ作った人、どこにいるの?」ワイワイ

凛「えと、たぶん被服室にいると思うよ?」

「あそこめったに使わない場所だよね!!」

「どんな人なんだろう?プロなのかな~?」

真姫「さぁね、はっきり断言できるのは..」

「"これを作る以外は何者にもなれない"、そんな人だと思うわ」

「なにそれ意味わかんない~!」へへ

真姫「マネシナイデ!!」カッ

~ 被服室 小部屋 (作業部屋) ~

「ええ!?5時間もですか!?」

ことり「う、うん...ずっと形や色を組み合わせてみるんだ、良い作品を作るには必要なことで..」

「こんな服って、作ることができるんですか?」

ことり「作れるには作れるけど、着るとなれば少し変わってきちゃうかな、その理由は..」

穂乃果「...ことりちゃん、すごく楽しそう」ニヨニヨ

海未「ええ、いつも笑顔ですが..この憑き物が取れたような、爽やかな表情は久しぶりです」

にこ「さてと、あとはあんたたちに任せるわ」ガタッ

海未「先生...?」

にこ「あの子はもう大丈夫よ、もう誰かの真似もしないし比べもしない...」スタ

ことり「」ニコニコ

穂乃果「...ありがとうございました、にこ先生」

にこ「私はなにもしてないわよ。それにあなたたち幼馴染が提案した、衣装や作品を表に出すだけ出す...勇気がいる行動だったわね」

海未「ことりに嫌われるか、どうかの判断でしたからね..」フッ..

穂乃果「海未ちゃんが賛成してくれるとは思わなかったけどね」クク

海未「...あなただけに、ことりを任せるわけにはいきませんから..やるときは、いつでも一緒ですよ?」

穂乃果「...うん!あとで、絵里ちゃんたちにもお礼言わなきゃね♪」

「そんな装飾方法で、こんな風に仕上がるんですね~」

ことり「そう♪枠にとらわれないアイディアでやると、良いものが出来上がるんだ!」

「ああーん、こんな洋服あったらいいのに♪」

ことり「!!」

『こんな洋服あったらいいねー♪』

ことり「....私も、そう思うよ」ニコ

..そっか...うん、そうだよ!
私がしたいこと、私にしかできないこと。

いつまでも殻に閉じこもってちゃ、なにも始まらないんだって..見せなきゃ始まらないんだって。

私は作って喜ぶ人の顔が見たい!
喜んでそれを着て、踊って、歌ったりなんかしてさ。

海未「でも、文化部棟に展示するとは考えましたね..先生たちに任せっきりでしたけど」

穂乃果「生徒会長の特権だね♪」

海未「部室でポンコツと言ったことを謝らなければいけません」ハハ..

ことり「海未ちゃん、穂乃果ちゃん...」

穂乃果「ことりちゃん...」

ことり「さっきは、ごめんなさい。私、ひどいこと言って...」

穂乃果「ううん、大丈夫だよ!でも、穂乃果はことりちゃんがいなかったら、μ'sは結成してないよ?」

穂乃果「もちろん海未ちゃんも!みんながいたからこそなんだよ、それだけ!」ニカ

海未「穂乃果...良いこと言うじゃありませんか」

ことり「誰が何のために必要だなんて、野暮な質問だったね..」

ことり「あのね、海未ちゃんと穂乃果ちゃんにお願いがあるんだけど...」

海未「ことりからのお願いだなんて珍しい、もちろん良いですよ?」

穂乃果「わーい、どんなことかな?!遠慮せずに言ってね!」ワクワク

ことり「えっとね.....」

こんばんは、南ことりです♪

今回の終決としては、展示を実行してくれたμ'sのメンバー全員(先生方含め)に改めてお礼を言い、もう無茶なことはしないと言い収めました!

特に、希先生、真姫ちゃんと絵里ちゃんはやけに慰め(?)てくれたというか、自分の事について悩んだら真っ先に相談しろと言われ、頼もしいなと強く感じました。

また、穂乃果ちゃんや海未ちゃんの協力もあって、部活をやりながらコスプレを扱う喫茶店でバイトをすることにしたんです!

かわいいメイドさんの制服や接客を学びながら、服の材料を買うためにお金を稼いで毎日を送っています♪

衣装の他に、趣味程度に作った作品を学校やバイト先に飾ったり、着てもらったりして、自分の実力を上げているところです!

これからもμ'sや、海未ちゃんと穂乃果ちゃんにお世話になるかもしれないけど、今までの分、いっぱい甘えて良いですよね?

それに...そろそろ、約束した場所に連れて行ってもらわないと♪

~~~~~~~~~~~~~~~

カポーン..

にこ「あぁあ~、しみる~!!」ザバー

ことり「にこ先生、おじさんくさいですね」クス

にこ「なに言ってるの、温泉にきたらこうでなきゃ」フィ..

ことり「温泉というか、銭湯ですけどね、ふふ」チャプ

にこ「なにー?なんか文句あるの?豪華なスパは先生の専門じゃないからね!」フン

ことり「いえいえ♪言ったじゃないですか、お風呂好きだって」チャプチャプ..

にこ「ふぅ、それにしても最近調子良さそうじゃない?顔色も良くなって、この前とは大違い」

ことり「もう、あのことは忘れてくださいよ~...」

にこ「それは難しいわね、あんなブラックな部分を見せられちゃたまらないわ」クス

ことり「うう、いじわるですね~...」

「ぁ、そういえば、あの時作業部屋を覗いたのって、やっぱりにこ先生でした?」

ブクッ!

にこ「!? わ、私はなにも見てないわよ?」ブクブク..

ことり「嘘つくのが下手ですね..電気つけっぱなしなんて、見回りしている新任の先生しか気づきませんよ?」

ことり「作業部屋も必然的に確認するでしょうし、ね」チャプ..

ギュッ..

にこ「ん..? !?! ことり、なんのつもりよ!?//」

ことり「あはは、思ったより小さいんですね、にこ先生。後ろから簡単に抱きしめられますよ♪」

にこ「くっ..(一応タオルを巻いていて良かった..良い子は真似しちゃだめよ?)」ワナワナ..

ことり「私、あんな風に人のことを睨んだことなんてないんです。それに、あそこまでグサグサと言ってくる人は初めてでした」

にこ「辛口で悪かったわね...理事長や周りの子も、あんたにはあまり強いこと言わなそうだしね」

ことり「はい..でも、今回の一件で周りの人との距離も近づいた気がして..」

ことり「にこ先生のおかげです、もちろんみんなのおかげでもありますけど」チャプッ

にこ「それじゃ、他の子達にも同様に抱きしめることね..もっとやり方があるはずだけど..」

ことり「そうですね、でも私は嬉しいです。憧れの人とこんな近くで...」

にこ「ん..?憧れって、みんなの真似してたのはそういうんじゃないって言ってなかった?」

ことり「はい、にこ先生の場合を除いては..」ニィ..

にこ「なっ...(どういうことよ希!あの真似ごとは不安を和らげるためなんじゃなかったの!?)」

ことり「...二人きりですね、にこ先生」ギュッ

にこ「ええ...こんなに広いんだから、もう少し離れたらどうよ?」ガクガク

ことり「いやです♪」アハ

にこ「(..ガッチリホールドされてる...はかったわね、この子!)」アワワ..

ガララッ!!

_____うわーい!貸し切り貸し切り♪

___ちょっと、そんなに走ると転びますよ?

ことり「あれ、この声は...」

にこ「(今だわ...!)」スッ

ことり「ああっ!!いつの間に!」ガーン

穂乃果「おや?その声はことりちゃん!?」

海未「それににこ先生!もしかして、ここの常連客なんですか?」

にこ「ははは、まぁそんなところよ(しばらくは控えるでしょうけど..!)」

ことり「あーん、ふたりともタイミングが悪いよぉ~」ヤンヤン

穂乃果「ええ?そんなこと言われても」ハハ

海未「せっかくですから、私たちもはやく体を洗って入りましょう」フフ

にこ「ぁー、危なかった...」

ことり「にこ先生♪」チャプ

にこ「待ちなさい!もうその手には乗らないからね?ったく、大人をからかうんじゃないわよ!」ジャバッ!

からかうつもりでやったんじゃないんだけどな..ま、いっか!!
今回は強引にもやってくれて助かりましたけど、ことりのことこれ以上困らせたなら..

ことり「いつかおやつにしますからね、にこ先生?♪」

にこ「はぁ、意味がよくわからないけど、お手柔らかにね?」フッ

第二話 コトリ・すとろんぐ えいと 終

~~~~~~~~~~~.....

~ここまで~

5月 コトリ・すとろんぐ えいと

11月 M(s)N(t)=s•t=未解式フリーダム

次 7月 coming soon>

....と、意気込みを語ったものの。。

花陽「あ、あつい...」スタスタ..

7月 お昼前 神田明神

ミーン ミーン

今日は、本夏の厳しい練習や、地獄(?)の合宿に向けての覚悟を、ここ神田明神で決意表明しにきました!!

でも...急激に暑くなってきたこの季節..
梅雨明けの束の間、花陽の体に強い日差しが突き刺さります。。

花陽「ほ、本殿にやっとついた..」スタスタ..

さてと、持ってきたわずかな小銭で、お祈りと洒落込みましょうか♪

今日のお弁当はお米と具材を混ぜ込んだ、ブレンド握りなのです!!
楽しみだな~!

「いらっしゃい、花陽さん」

花陽「...はい?」

チリーン...

サラサラ.. サラサラ..

一瞬だったけど、セミや周辺の雑音が途絶えて、気持ちの良い風が境内を吹き抜けました。

ついで木々がおとなしく揺れ動く音と、どこかから鈴の音が聞こえてきて、こんな神秘的な感じがあるもんなんだなと思った矢先...

「小泉花陽さんだよね、暑い中ご苦労様」ニッ

花陽「は、はい..えと、どちらさま、ですか?」

「うーん、知らない人だよ?」

...
知らない人に知られてるって、それってすごく怖いと思うんですが..。

「あーあー、そんな怪しまないでよ花陽さん。わたしは、ただ普通の!知らない人だから」

知らない時点で、普通もなにもないよ~。。
ううん、どこかで会った記憶もないし..

「そうだな~、ふきよって呼んでほしいな、ここの巫女さんしているの!という設定でよろしく♪」

花陽「設定って...ふきよさんも、お参りにきたんですか?」

ふきよ「そう、夏休みに入る直前に、学校のことでちょっとね!」

ふきよ「花陽さんは?」

花陽「私は夏休み中の部活の練習などに向けての、ちょっとしたお願い、ですかね」ハハ

ふきよ「ふーん、どんな部活をやってるの?」

花陽「アイドルに近い、踊ったり歌ったりする部活です」モジ..

ふきよ「あはは、そんな恥ずかしがること?花陽さんて恥ずかしがり屋なんだ、かわいい~」

花陽「からかわないでくださいよ~..」

ふきよ「ねぇねぇ、それじゃ将来はアイドルになりたいんだ?」

花陽「私が!?む、無理無理!なれませんよぉ!」

ふきよ「そんなに否定するものなの..」アハ..

花陽「..まだ活動して、少ししか経っていないし。この夏の練習も乗り越えられるかどうか..」

ふきよ「そっかぁ..ね、花陽さんの夢を1つ叶えてあげようか!?」ウフ

花陽「え、私の、夢?なに言ってるんですか」

ふきよ「むっ..信じてないな~!よし、それじゃまずお参りして!夢の叶え方、教えてあげる♪」

花陽「ええ!冗談ですよね!?...」

急になにを言い出すんだろう、もしかしてこの人、電波的な妄信家なのかな..私は偏見はないんだけどね。

とにかく、おとなしく言うこと聞いて、はやくお昼ごはんにしよう..お腹すいたし..

ふきよ「おまいりの最後に、首を横に左右3回振って、上下に4回振ってね!」

なにかのおまじない..?
まぁ..おふざけか、何かだろうな。

私は、この夏の練習をどうか乗り越えて、もっとたくましくなれるようにと、天上の見えない人たちに祈りました。

ふきよ「いってらっしゃい!花陽さん」

そんな"ふきよ"という名の、ただ普通の知らない人の声を隣で耳にしながら、首を横に左右3回、上下に4回振った。

花陽「.....ふぅ」

ミーン ミン ミーン..

なんだ。

なにも起きないじゃないですか..。

立ってるのはさっきと同じ、神田明神の本殿の祈り場所。賽銭箱が目の前にあって、右を向くとにこ先生が居て、なにかおまいりしてるみたい。

屋根で日差しを防いでも、相変わらずこの気温は私の体力をじわじわと消耗させていきます。

さてと、おかしなことはここまでにして、ふきよさんには悪いけど。
はやくおいとまさせてもらいましょう!

「...ん?もうお祈りは済んだのね、プロデューサー」

...プロデューサー?

花陽「ありゃ、にこ先生..?」

にこ「?..急にどうしたのよ、人のこと先生呼ばわりして。それに急に、下の名前で呼ぶなんて」

どうなっているんでしょう。
そこにはふきよさんではなく、音ノ木坂学院の制服ではない夏服を着た、にこ先生の姿がありました。

にこ「ちょ、ちょっと小泉、ほんと大丈夫?夏の暑さにでもやられたの?」ユサユサ

花陽「あぅあぅっ!!す、ストップ!そんなにユラサナイデェェ」ガクン ガクン

にこ「全く、あんたそれでも芸能科のプロデュース部門の一員なの?アイドルの管理より、まずは自身の体調管理を改めなさい!」ビシッ

花陽「はぁ、はぁ..芸能科?プロデュース..?一体なんのことですか、先生..」

おかしい。
と、ここでようやく気付いたのでした。

私も音ノ木坂学院ではない夏服を着ていることに、そしてその制服は...

あの芸能進学校であるみんなの憧れ、UTX学園の制服に他ならなかったのでした。

第三話 リベンジングサマー

花陽「...え?」

えええええええええええ!!?

え、ええええええ!?

にこ「うわっ!びっくりした..」ヒキ..

花陽「どどど、どういうこと!?私、いつからこんなの着て...はっ!?盗んだ?盗んできたの!?」

にこ「これは重症ね、はやくお医者さんに行かないと..あ、ここで神様にお願いしようかしら」フム

花陽「にこ先生まで、なんで着ているんですか!?いや、似合います、似合いますけれども!」

現役で高校生としていけそうですけど、でもダメですよ!!元アイドルがゆえに、注目は半端じゃないんですら!

にこ「失礼ね!私はまだピチピチの高校2年生よ!」バシ!

花陽「あいたっ!!」

にこ「もう、どうしたの小泉?さっきから先生先生って呼ぶし、UTX学園の制服を着てうろたえて何があったのよ」

何があったのって..
ありすぎて、何から話せば良いのかわからないよぉ~...

誰か..

花陽「ダレカタスケテェェ!!」ウワー!

にこ「せいっ」チョップ バシ

花陽「あいたいっ!!」ウッ

にこ「はぁ、ふざけてないでそろそろ行くわよ..小泉にしては、珍しく戯けるわね?」

い、行くってどこへ?それに、その呼び方..
なんかむずむずしてしまいます。。

どうやら、ここは私が居た世界とは違うところみたいです。夢なんじゃないかと思っていたのですが、にこ先っ..にこちゃんにチョップされて、痛みは感じますし..。。

花陽「なんなのぉ..」トボトボ

にこ「小泉はやくー!!レッスンが始まっちゃうわよ!」タタッ

花陽「レッスン..?バズーカの漫才でも、はじめたの??」

にこ「それは○ッスンゴレ○イでしょ!あんたど忘れでもしたの?今日は、アライズ候補生の初日のレッスンでしょうが」ハァ..

花陽「アライズ候補生..?」

そうです。
にこちゃんはあのアライズ候補の一員として、UTX学園の優秀な生徒たちが集まる勉強会、レッスンの初日に参加するようなんです!

にこ「アイドル部門のわたしと、プロデュース部門のあんたとで、コンビを組んだんじゃない..忘れたの?」

花陽「あ、ああ~..そうだったか、ね?」

にこ「変なやつね..こういうのはこれっきりにしてよ!さ、急ぎましょ。統堂さんに怒られちゃう」タッ

花陽「あ!待ってよ、にこ先..にこちゃーん!」タタッ

この展開にまったくついていけないのは私だけでしょうか?いいえ、他の人も感じているはずです..
他の人って..?

ともかく、話の流れについていけない私と、にこ先生改めてにこちゃんとで、足早にUTX学園に向かったのでした。

~~~~~~~~~~~~

UTX学園 校内

花陽「す...すごい..」タジ..

無料の食堂、音ノ木より広い校庭、室内プール...
スパにマッサージ室まで、これが進学校?
もはや、完全訓練施設じゃないですか!!

にこ「なんとか間に合ったわね、遅刻なんて第一印象最悪の結末を迎えるところだったわ」スタスタ

花陽「うわうわ、ほんとに..本当にUTX学園に来ちゃったよ..」

にこ「小泉、私は着替えてくるから。あなたは先に14階の多目的ホールに行っててちょうだい、これ予約カードね」

花陽「え?レッスンに出るのは、にこちゃんだけだよね?」

にこ「..はぁ?」

花陽「」ビクッ

なになに、なんで、怒ってるの?

にこ「あんたも来るのよ、当然でしょう..良い加減ふざけると、次は怒るからね?」キィ

______バタン!

花陽「....」ポカーン

すごく険悪な雰囲気を感じ取って、なにも口出しできなかったよ..。

にこちゃんと私の関係って一体..あはは。

花陽「この予約カードを持って、14階..に行けば良いんだよね?」

なんだか良い予感がひとつも見当たらないけど、大丈夫なのでしょうか。
さっそく帰りたくなってきました、お腹も空いてるのに..

>>>>>>>14階 多目的ホール前

花陽「ここか、あれ?入り口が閉まってる?」

頑丈なグレーのガラス扉がきっちりと閉まってて、中に入れそうにありません。

花陽「ふんぎぎ..駄目だ、手で開けようとしても扉がひらかないよ..」

「あなた、なにやってるの?」

花陽「えと、実はここの扉が..っ!?!」

「ああ、新入生の子なんだ。でも、入学して3ヶ月ぐらい経ってるはずだけど..」

花陽「ゆ、ゆ、ゆ..」

優木あんじゅさん!!?

あんじゅ「そこの右側にあるパネルにカードをかざせば、入れるよ?」

花陽「ぁ、この予約カード..」

あんじゅ「そうそう♪おもしろい子、今度からは平気そうね?」クス

花陽「ありがとうございました..//」

恥ずかしい。
完全に変人扱いされちゃったよ..

あんじゅ「えーと、制服のままってことは..もしかしてプロデュース部門の..?」

花陽「は、はい!にこちゃんのプロデュース(?)をしてます、小泉花陽です!よ、よよろしくお願いします!」ペコ

あんじゅ「ぷっ..そんなに緊張しないで。リラックスリラックス、私は優木あんじゅよ、よろしくね?」ニコ

花陽「はい!よろしくお願いします!」ホッ..

まさかの対面に心臓がバクバクです..!
学園内の人でも会うことが滅多にないアライズのメンバーに、恥ずかしい所を見られましたが、いきなり会えるなんて!!

あんじゅ「あなたがあの矢澤にこのね~、ふーん..ほら、プロデューサーのミーティングがあるんじゃない?はやく入らないと」

花陽「あ、そうですね..ありがとうございます!それでは..」ピッ

<Open ガーッ

スタスタ..

あんじゅ「ええ、お気遣いなく」ニヤ

____ミーティング後 レッスン開始時間

14階 多目的ホール 内

英玲奈「みんなよく集まってくれた、今日から夏休みの間、"レッスン"の面倒を見る統堂英玲奈だ。よろしくたのむ」

「「「よろしくお願いします!!!」」」

花陽「お願い、します..」

にこ「....」

英玲奈「早速だが、今日は体力作りならびに、ダンスの基本フォーム獲得に向けての練習を行う」

英玲奈「厳しいレッスンになるが、これもプロを目指すためだ、心してかかるように」

「「「「はい!!!」」」

英玲奈「では、まず校庭に出て28キロ走ってもらう」

花陽「にっ、!?」ワッ

英玲奈「ん?...誰だ、今のは」

にこ「このバカっ...」ボソ

花陽「.....」ウツムキ

英玲奈「ふん?...初めの14キロは流して、残り10キロ~14キロは各自で調整するように」

英玲奈「プロデューサーは、アイドル生への水分補給やタオルの支給、栄養補助を怠らぬよう注意が必要だ」

英玲奈「幸い室内用の広場を使うがゆえ、直射日光の心配はないが..熱中症にはじゅうぶん気をつけるのだよ」

英玲奈「以上だ、移動開始!」パンッ

...

にこ「あんたねぇ、もう少しで注意されるところだったじゃない」

花陽「ごめんなさい..でも、28キロって..せめて25キロにすれば笑えるのに..」

にこ「なに心配してるのよ、あんたが走るわけじゃないんだから、それより」

にこ「ちゃんとサポートしてよ~?さすがにこの戦い、しんどくなりそうだからね」

花陽「...緊張してるの?にこちゃん」

にこ「はぁ!?」

花陽「(また!?)」ビクッ

にこ「なに言ってんのよ、この私がおじけついているわけないでしょ!」フン

花陽「(こ、こわいよぉ..にこ先生とは大違い..)」

にこ「なによ、なんか言いたいことでもあるわけ?」

花陽「いえ..なんでも、ないよ」

にこ「それにその にこちゃん って呼び方、やめてよねー..ちょっと馴れ馴れしすぎない?」

花陽「(ぐっ..)」ズキ

にこ「ここはあの名門校、UTX学園よ?そこらのちゃちな学校とはわけが違うんだから..」

「もっと、プロ意識で、本格的に、しなさいよ」

花陽「.....」

にこ「じゃないと、周りにどんどん差がついちゃうんだから、よろしく」

な、何も言い返せない..。
もちろん、ここが私の知っている学校じゃない不慣れな状況だからっていうのもあるけれど..
このにこちゃん..矢澤さんは、とってもストイックというかドライというか..

なんで私なんかをプロデューサーに選んだんでしょうか?分かりません。

室内広場 200mトラックフィールド

「28キロは、さすがにヤバイよね..」
「初日からこれって...」
「やるしかないんだ..できなきゃ落ちこぼれよ..」

にこ「花陽、もっと強く押してちょうだい」

花陽「は、はい!こう、かな?」グッグッ

にこ「ん、そう、....うっし、こんなものかしら」

花陽「ストレッチ、準備体操ともに万全。水分補給、よし..」

にこ「さてと、それじゃタイム記録もよろしくね。後で成績に反映されるから」スタスタ

花陽「あ、はい..」シュン..

英玲奈「それでは、準備が出来次第、スタート位置についてくれ。プロデューサーはスタート付近の少し離れたところで待機」

英玲奈「用意はいいか?みんな」

にこ「はい!」

「「「「準備完了です!」」」

英玲奈「うむ、健闘を祈るぞ」グッ

_______パーンッ

ダダダダダダダッ

「はっ...はっ..」
「ひぃひぃ..」

タッ タッ タッ

英玲奈さんの持つピストルのスタートとともに、アイドル生100名がいっせいに走り出しました。

周りのプロデュース部門の人たちの話を聞くと、毎年この夏休み直前にある初回レッスンから一週間ほどで、半分以上が脱落するそうです。

ほぼ毎日走り込みと基礎レッスンがあり、体がついていかない子から辞退を申し出たり、来なくなってしまう人も少なくないんだとか..

にこ「ふっ..ふっ..」タッ タッ

花陽「.....」

正直、矢澤さんの走る姿はかっこよかった。
長い髪をひと束にまとめてポニーテールにして、
まっすぐ前を向いてただひたすら走ってる..

花陽「顔に迷いがない..」

これが、アイドルになる道、下積みなんだ。

英玲奈「スピードを一定に保てよ、スタミナを維持することは、舞台に立つ間のスタミナを維持することに、より等しい!!」

花陽「うわわ...どんどん、倒れる人が..」

@14キロ通過

「はぁ..はぁ..」
「プロデューサー..ドリンク!!」

「もう..くぅ..限、界。。」

___ドタッ

花陽「ひっ..」

「~さん!!!」
「ごめんね...足が。。」グス

英玲奈「ダンスは誰でもやり続ければ上手くなれる。問題は、いつまで踊り、声を出し続けられるかが勝負だ」

にこ「ふぅっ..ふううっ...」タッ タッ

花陽「すごすぎるよ..ぐ、軍隊みたいだ..」

にこ「こいずみぃ!!ドリンク!!」タッタッ

花陽「は、はいぃ!」パッ

にこ「遅い!右側にすぐ出せるよう待機ッ!!んぐっ..ごくっごくっ」ダッ ダッ

ダッ ダッ..

花陽「ご、ごめ..」アセアセ

「グス..足がもう動かないよ..」
「そんな、ここでやめてしまったら...」

英玲奈「おい、おまえたち」

「「!?」」ビクッ

花陽「(ぁ...)」

英玲奈「よく頑張った、ここまででじゅうぶんだ。ありがとう」ニコ

「!!....ありがとう、ございました」ガクッ
「そんな..ま、まだ走れます!ねっ、~ちゃん?」

英玲奈「...おい、今なんと言った?プロデューサー」

「ぁ..」ピク

英玲奈「おまえ、アイドル生を無理やり走らせようとしたな..?こんなに足を痛めているのに」

「ぁ..あの..」ビクビク

英玲奈「アイドルは道具ではない、やるかやらないかはそいつが決めること、おまえが決めることではない。帰れ」

「....」ウルウル
「...ごめんね、ごめんね」グス

花陽「(かわいそう..)」ウゥ..

英玲奈「流しは終わりだ、後は個人で調整しろ、記録は成績に反映するので忘れないように」

にこ「はっ...はっ..くぅっ..」ダッ ダッ

花陽「..!!」パッ

にこ「...っ!...ごくっ..ごくっ!」ダッ ダッ!

ダダダダダッ!

私は。
私には、矢澤さんがどれだけやれるか、見守ってサポートするしかない。

花陽「お願い..がんばって...」ギュッ

...

@25キロ通過

「ぜぇっ..はぁっ」
「はぁはぁはぁ...」
「うぐっ...」

____バタッ

花陽「...っ」

英玲奈「今日はありがとう、ここまででじゅうぶんだ。お疲れ様」ニコ

にこ「はあっはあっ」ダンッ ダンッ ダンッ

花陽「....!!」サッ ((タオル))

にこ「はあ、はあ、はぁあっ」パシ

フキフキ... ポイッ

ダダダダダッ

英玲奈「あと2キロ半ほどだ、速度を上げるなりして記録を上げるもよし、保守するも良し、任せるぞ」

花陽「(どうか怪我だけはしないように..)」プルプル

英玲奈「おい、おまえ」

花陽「...わ、わたし?」

英玲奈「そうだ、おまえのことだ。さっきからアイドル生に対して、良いタイミングで支給しているな」

花陽「そんな..これぐらいしか、わたしにはできませんので..」

英玲奈「ふむ、アイドル活動でもしたことあるような、センスあるサポートだぞ」

花陽「ありがとうございます...」ドキ

英玲奈「ただし」

花陽「....?」

英玲奈「あまり情を入れすぎるな、お互いの身を滅ぼすことになる」

花陽「え?どういうことですか..?」

英玲奈「あとはおまえが考えろ、私の答えは私だけのものゆえ、私以外には使えない」

花陽「.....」

にこ「はあはあはあはあはあ」ダダダダダッ

@28キロ 到着

「....っ...っ...」
「タオルで汗拭くね?」フキフキ

にこ「っ....っ...」ゼエゼエ

花陽「お、お疲れ様..タオルとドリンク持ってきたよ?」

パシッ..

にこ「ごくっ..ごく..」

にこ「タオル、貸して」フゥ..

花陽「うん..」

にこ「助かったわ、初日にしてはまあまあだけど...お礼は言わせてもらうわね」フキフキ..

花陽「...うん、その、足は大丈夫?」

にこ「大丈夫ではないわね、でもやるしかないのよ。次は基礎レッスンだから、いったん着替えてくるわ..さっきの多目的ホールで待ち合わせね」スタスタ

花陽「分かった..待ってるね」

これを毎日やるって、足が壊れちゃうよ...
このランニング..というよりもマラソンは、矢澤さんを含め、ここにいる人たちの本気が伝わりました。

...それから地獄のレッスンが、UTX学園のアライズ候補生たちをおそいました。

毎日のマラソンもそうですが、基礎レッスンにいたってもかなりレベルが高く..
走り終えた足を引きずりながら、バランス練習、ステップ、創作ダンス等。その光景は地獄絵図でした。

矢澤さんの脚にも、痛々しいほどのテーピングが巻かれ、限界を優に超えてるんじゃないかと思うほどに、懸命に体を動かします。

そして_____

英玲奈「よし、今日はここまでだ。みんなよくやった、ここにいる9名に敬意を表する」

にこ「ふぅ...ふぅ..」

花陽「...」タタッ

英玲奈「明日でちょうど一週間、このままのペースで乗り切れば、いよいよ夏休み突入。舞台練習に集中することとなる」

にこ「ついに..ついに..ふ、ふふ」ニヘラ

花陽「(あ..久しぶりに笑った..)」

英玲奈「体調管理はしっかり整えて、明日に臨むように、プロデューサーもよくここまでサポートしてきた。また明日ここで会おう、解散!」

.....

にこ「...ねぇ小泉、ちょっと」

花陽「な、なにかな..矢澤さん」

にこ「このあと、少し付き合いなさいよ..」

花陽「....え?」

にこ「だ、だからっ!うちで夕食食べるから、ついて来いって言ってるの!」

ご飯?夕食?
お誘い..?

花陽「いいの!?」バッ

にこ「わっ、良いも何も私が誘ってるんだから、来なさいよ..無理なら、いいけど..」ボソボソ

花陽「いきます行きます!行かせてください!」

にこ「..そんなにご飯食べるのが嬉しいの?...しょーがないわね、ほら行くわよ」フフ

笑った。

ついに小泉花陽、ツンツン矢澤さんをツンデレ(仮)矢澤さんにシフトチェンジさせました..!!

しかも矢澤さんの家でご飯!
私の家は、普段と変わらなかったけど..
この世界の矢澤さんもといにこ先生のお家は、お嬢様学校に通ってるぐらいだからすごいはず..

花陽「身だしなみ大丈夫かな..」

にこ「~♪」

.....

にこ「見なさい小泉!魚と肉のセールよ、これを待ってたの!ほら、あれとあれ..今日は栄養満点のメニューにしようかしら」

花陽「セール..?ここって..」

矢澤家 周辺 スーパー

にこ「小泉は何が食べたいの?なにか希望でもある?」

花陽「そうだね..ハンバーグが食べたいかも」

にこ「また面倒なものを..いいわ、誘ったのは私だし、感謝しなさい!!」

花陽「あはは..ありがとう..」クス

さて、どうやら矢澤さんが直々に手料理を振舞ってくれるらしいです。
...なんだか、妹になった気分?なのは気のせいとして。

にこ「さぁ、ここよ。はやく作らないと、お肉ダメになっちゃう」スタスタ

花陽「..あれ、このアパート?」スタスタ

にこ「そうよ、..?どうしたの?」

花陽「いや..もっとすごい豪邸なのかと」ハハ

にこ「失礼ね~、これでも十分よ、私一人だし」フン

花陽「一人!?何があったのぉ!?」

にこ「何驚いてるのよ、一人暮らししてるってことよ」

一人暮らし..?
高校生で一人暮らしって、今の時代普通のことなのかな?

にこ「ほら、とっとと入りなさい。中は意外ときれいなのよ?」フフ

花陽「おじゃまします...」ソロソロ

矢澤さんの家は、物がほとんどなく引っ越ししたばかりのような、必要最低限の物しか揃えられていませんでした。

実家を離れて、学園近くのアパートで4月から一人暮らしをしているようです。私には到底できません..

モグモグ モグモグ..

にこ「小泉、どう?美味しい?」

花陽「うん!にこちゃんのお料理すごく美味しいよ!...あっ、ごめん。矢澤さん..」

にこ「...別に良いわよ、にこで」プイ..

花陽「そ、そっか..にこちゃんは、私のこと、名前で呼ばないの?」オソルオソル

にこ「はぁ?」

花陽「」ビクッ

にこ「まぁ、あんたが呼んでほしいなら..いいわよ」モグ..

あれ?てっきりまた起こるのかと思った..

花陽「じゃ、じゃあはなよで..」

>211 起こる→怒る

にこ「"はなよ"ね。そういう名前だったんだ」モグモグ

花陽「シラナカッタノォォォ!?」ガタ

にこ「なによ、アイドルには必要のないことでしょうに..ま、はなよが呼んでほしいって言うんだもんね!甘えん坊さん♪」

花陽「なんか子供扱いというか、下の子扱いというか..」ハハ..

にこ「...ここに来る前はね、妹と弟たちと一緒に暮らしてたのよ」

花陽「兄弟がいたの?知らなかったよ」モグモグ

ここの世界ではそうなんだ。
元の世界のにこ先生はいるのかな、妹や弟..

にこ「それがまた可愛くってね~、私の真似ばっかすんのよ。アイドルになるって聞かなくて」クスクス

花陽「あはは、にこちゃんに似て、可愛くて情熱がありそうな子たちだね?」

にこ「ええ、今しばらくの寂しい思いも、はやく出世して活躍してるところ見せないとね!」フフン

花陽「うん!私もサポートするから、一緒に頑張っていこうね、にこちゃん!」ニコ

にこ「...! あ、当たり前でしょバカ///」ガツガツ

花陽「ば、バカってひどいよぉ..」

何はともあれ、アイドル生とプロデューサー生との絆が生まれつつあり、順調な私たち。

元の世界に帰らなくていいのかと、思いながら何故かこの世界に居続けてしまう。

なんなんでしょうか、この感覚。
ほっとけない、まだ覚めちゃいけない世界に囚われている感覚...

いやな、ヨカン。

そして、きたる日一週間目のレッスン。
予期できた最悪の結末が、私たちアライズ候補生たちを襲ったのです。

....

UTX学園 校庭 400mトラックフィールド

英玲奈「今日までよく頑張ってきた。これが最後の走り込みだ、場所は変わったがルールは今までと同じだ」

花陽「相変わらずあついね..にこちゃん、水分補給はバッチリ?」

にこ「ええ...大丈夫よ..」

にこちゃん、どうしたんだろう。
昨日はあんなに元気だったのに、少し元気がない?

英玲奈「無事9人で乗り切ってくれることを願っているよ。それじゃ、準備はいいかな」スッ

「「「はい!!!お願いします!!」」」

にこ「...」ズキ

偶像... アイドル...

にこ「はぁっ...はぁっ..」タッタッ

かっこ良くて、強い...

にこ「はあ!ふう!」ダッダッダッ

崇められる。
ヒーロー、カリスマ、スーパースター..

人目浴びる魅力に惹かれてきた私にとって、目の前のにこちゃんはどんなこともやっちゃう人だと思ってた。

にこ「ぁっ...!!」ズルッ

だから、無敵なんだと、強敵なんだと勝手に思ってた。私の身勝手で依存的な甘さが。

花陽「にこちゃん!!」タッ

にこちゃんを、無理させてしまった。

にこ「は、離しなさい..まだ勝負は終わってないわ」ズキッ

英玲奈「おまえ、アイドル生がまだやるつもりなんだ、やらせてやれ」

花陽「そんな!こんな、こんなに足が腫れてるのに..」

にこちゃん、痛みを隠して..
平気そうな顔して、仲良くなってくれたことに浮かれて気付けなかった..

英玲奈「うむ...たしかに、腫れがひどいな、おい救護班!様子を見てやれ」

「はい!!!」タッ

にこ「..へいきです!やらせて、ください!!」ズルズル

英玲奈「こちらとしても、再起不能になるまで突き進むのは願っていないからな..足はどうだ?」

「両足のくるぶしに炎症による腫れが...一旦安静にしないと..」

にこ「そんな...」ワナワナ

英玲奈「そうか、矢澤にこ。一週間ご苦労だった、施設内の療養所でゆっくり休め」

花陽「あ、ああ...にこちゃ...」

にこ「や、やだ!!!ここまで来て、はい分かりましたで引き下がれないわ!」

にこ「テーピング..はなよ、テーピングとギブスをお願い!はやく!!」

英玲奈「矢澤にこ、良い加減にしろ。私はただ今療養を命じたゆえ、おまえがここにとどまる必要はない」

にこ「あ、あああ...」ガクッ

花陽「にこちゃん..もっと私が、ケアをしていれば..」ウル

英玲奈「おまえも良く頑張ったな、はなよと言ったか...プロデューサー生として、なかなか見込みがある」

花陽「っ..ひどいです、ここまでやって来たのに..」

英玲奈「ひどい?それはもしかして私に対して言っているのか?」

英玲奈「冗談を言うな、この世界、勝つか負けるかなんだ。そこに情を入れてしまった落ち度を、人のせいにするつもりか?」

花陽「ぁ....ぅ..」ビクッ

にこ「えぐっ..いや、こんな所で..」グス

アイドルを目指して、一年生の時から頑張って体作りして..
家を出て一人暮らし、あんな殺風景な部屋でも毎日ひたすら努力したのに...。。。

花陽「いけないよ...そんな、ことあっちゃ...」プルプル

英玲奈「さぁ、他の走者の邪魔だ。また来年受ければ良いさ、候補生に上がったらな」

花陽「」キッ

花陽「わ、わたしが...私がにこちゃんの分まで走ってみせます!」

英玲奈「!!?」

にこ「ば、ばか...あんたなに言ってんの..」

英玲奈「ははは!おまえ、面白い奴だな!アイドルの代わりに何をするなんてプロデューサー、初めてだよ」

花陽「い、良いですよね?!ジャージなら持ってます、最初からでも良いですから...お願

「それは、ちょっとありえないんじゃなーい?」

花陽「いしま...す..」

にこ「あれは...」

英玲奈「あんじゅ...来てたのか」

あんじゅ「どんな顔ぶれが残っているのかと気になってね♪」

花陽「あ、あんじゅさん..お願いします、にこちゃんの、ためにも...」

あんじゅ「あら?なにか勘違いしてない?私とあなた、そんなに親しい仲だったかしら?」

花陽「ぇ...」

英玲奈「おいおまえ..はなよ、今ならまだ間に合う、謝っておけ」アセ..

あんじゅ「ふぅーん、良い教育してるわね、英玲奈?」

英玲奈「あんじゅ..許してやれ。この子はまだよく分かっていないんだ、この業界のことが」

あんじゅ「それを教えるのがあなたの役目でしょう?」

英玲奈「面目、ない...」

あんじゅさん、なの?
あの英玲奈さんがかしこまって..もしかして私、とんでもない啖呵切ってしまったんじゃ..

あんじゅ「あなたも、なにやり込めようとしてるのか..分かってるんでしょうね」

花陽「私は..やり込むだなんて..」

あんじゅ「あのね、ここはそんなイレギュラーなことで、奇跡を起こせる場所じゃないの..」

にこ「..っ...」

あんじゅ「あなたが走った所で結果は見えてる。ヒーローのように、その子を助けられるとでも?勘弁してよね」ハァ

にこ「...もういい、もういいから行くわよ..はなよ..」

花陽「...にこちゃん」

あんじゅ「ふふ、そっちのアイドル生はまだ分かってるようね」

にこ「....くっ」ギリ..

あんじゅ「来年のレッスンでは、別の子と手を組んだ方が良いかもよ」

英玲奈「お、おい英玲奈そのへんに..」

にこ「失礼しました!!」ズルズル..

花陽「ま、待って..にこちゃん..」スタ..

英玲奈「おい、はなよ...」

花陽「はい..」

あんじゅ「....」

英玲奈「いや....ご苦労だった..」

花陽「....お世話になりました..」

_____夕方 神田明神 前

カー カー...

にこ「...」

花陽「.....」

にこ「...あーあ、終わっちゃった!やっと候補生になれたのに..」アハ

花陽「にこちゃん..」

にこ「なに辛気臭い顔してるのよ、これは私の問題だからあなたは気にしなくて良いの!」

花陽「でも..」

にこ「それにしても失礼よね、来年は違う人と組めだなんて...余計なお世話よ」フゥ

あんなことがあったのに、にこちゃんの態度はとても落ち着いていました。

痛めた足のあちこちをさすりながら、苦笑いを続けているにこちゃんを見て、私は何もできない悔しさで胸が熱くなってしまいました。

にこ「あんたは良くやったわ、あの人たちの言ってることは気にしなくて良いわよ」

違う。
そうじゃないよ、本当は悔しさで、苛立ちで、もどかしさでいっぱいでしょ?
なんでそんなに、耐えるの、にこちゃん。

にこ「...あんたを選んだのは、その、この先続けていく仲間になれるかなと思ったからよ」

花陽「え...?」

にこ「あの学園はいつでも勝負で解決する、情熱と強さがものを言うわ..でも、それだけじゃだめって分かった」

にこ「私は外面はずっとギラギラとして、敵を睨むピリピリしたやつだったわよ、最初はね...あなたが入学して現れるまでは」フフ

私が、にこちゃんの前に現れるまで..?

にこ「心に余裕ができるものね、こうやって挫けても仲間がいるって..負けても清々しいなんて初めてよ」

花陽「仲間は、良いものだよ..辛いことも一緒に乗り越えていける、挫折しても手を取り合って立ち向える..」

にこ「そうね...あー..もっと、やり方があったんじゃないかなって、ちょっとこうかい..」ノビー

花陽「やり方?」

にこ「ええ、例えば..」

「たくさんの仲間と、同じ目標に向かってアイドルを目指していくとか..」

花陽「!?」

そうだ、私は。

小泉花陽は、μ'sで、音ノ木坂学園で、
みんなで廃校阻止を目指して、スクールアイドルとして頑張っていたんだ。

にこ「それに比べて、笑っちゃうわね。私はひとりぼっち...でも」

____ガシッ

花陽「にこ、ちゃん?」ピク

にこ「私はもう、一人じゃない...」ニッ

に、にこちゃん?掴む力、ちょっと強くない?
それに、もう夜だからはやく帰らないと..

夜...?

いつから、夜になったんだろう、さっきまで夕方だったはずだけど..

辺りはすっかり真っ暗になって、電灯が薄暗く光ってよく見えない..。

にこちゃんの顔も、黒いもやがかかって、表情がぜんぜん見えない..視界がおぼつかないよ..

にこ?「はなよ、あなたがUTX学園に来てくれて本当に嬉しいわ」

にこちゃん痛いよっ..腕に爪が食い込んでる!!

にこ?「一緒に頑張っていくって言ってくれたわよね?」ギュゥゥ..

花陽「ひっ..う、そうだけど..ここは、私がいるべき場所じゃないんだよ。にこちゃん」

にこ?「あなたは、UTX学園に本当は行きたかったんじゃない?音ノ木坂学院よりもここの方がいいでしょう。違う?」

花陽「な、なんでそんな..」

にこ?「ねぇ、一緒にここで頑張りましょう。トップを目指して、同じ目標を持って、高みを目指しましょうよ」クフフ

たしかに、音ノ木坂学院に入学する前は、
UTX学園も良いなと思うところはあったけれど...

『一緒にあの子達とやったらどう?スクールアイドルも、良いものじゃない』ニコ

私が目指すアイドルは、勝つとか負けるとか...
そんなんじゃないよ..

『恥ずかしいから?それとも、アイドルには勝ち負けがあると思ってるの?花陽は』

?「いつまでも夢ばかり見ていないで、現実にある人の醜さに気付きなさい...アイドルとはそういうものよ」ギュウウゥ

...っ

違う、私はああいうアイドルになりたいんじゃない!

「みんなを笑顔にするアイドルになりたいんだ!」

「ほーん、似たような目標を立てたのがおったな~むかし」ツンツン

花陽「....ぅ..?」

______夕刻 神田明神本殿 賽銭箱の傍所

希「お!やっと目覚ましたか、おはよう花陽ちゃん」ツン..

花陽「んあれ...にこちゃんは..」

希「にこちゃん?..にこっちのことか?それって」クス

花陽「の、希先生...」キョトン..

希「久しぶりに参拝しに来て、女の子が倒れてる言われてきて見れば、うちの生徒やったなんてなぁ」

ツンツン

花陽「んぅ..」プニ

希「冬だったら凍死しとるで、夏は夏でからっからに干からびるけどな」ハハ

希「大丈夫か?めっちゃうなされておったけど..」

花陽「私..変な夢みてた..?」

希「何回声かけても返事せえへんから、ちょうど救急車を呼ぼうと思ってた所や」フフ

花陽「へいき、です..少し、気分が悪いですけど..」クタッ..

希「それはそうと、今日はμ'sの練習はなかったん?珍しく一人やけど..」

花陽「....あ」

ああああ!?

忘れてた..

お昼過ぎに大事なミーティングがあるってこと...
着信が何件もある..
こういう時、働く人たちは会社に行きたくなくなるんだろうけど。

まさに私も、やってしまったといった罪悪感と、折り返しの電話をしようかどうかという瀬戸際で戸惑ってしまいました。

希「まだ間に合うんとちゃう?さっきうちが学校に行ったときも、まだ会議しとったしね」

花陽「そうなんですか!?」

もしかして私を待っているんじゃないのか..
そう申し訳ない気持ちでいっぱいになったところで、一目散に走り出しました。

なんであんな夢を見ていたんだっけ、と考えようとしましたが、私の頭の中は早く学校に行って謝らなければという思いが優先されたようです。

すごいです、普段の倍早く感じます、主人公がオープニングで駆け抜けるみたいに。

希「あんな前のめりに走り出して、転ばなきゃええけど...」

---------しばらくして____

夕方過ぎ 音ノ木坂学院 校内

花陽「つ、ついた!!」ゼハー..

辺りはもう薄暗くなり始めてます、夕日がだんだん沈んでいるなと、暗闇が増えていくのを見て感じ取ります。

μ'sで体力づくりはしていますが、走るのはやっぱりきついです..
28キロの練習なんて、普通はありえませんよね?

遠くぼやけた夢に対してふと疑問を抱きつつ、アイドル研究部室へ向かったのですが..

花陽「みんないない....あ」

凛ちゃんと真姫ちゃんのカバンだけ置いてある!
よかった~..おそらく屋上で何かしているのでしょう。
会った瞬間にすぐに謝ることを頭の中でシュミレーションしながら、屋上の扉を開けました。

すると

「ふむ、なかなか、この頃始めたと思えぬくらい、見事なダンスだったぞ」

聞き覚えのある、しかし現実では初めて聞く。
そこには冷徹な声音と、抑揚のない言葉の数々を浴びせられる真姫ちゃんと凛ちゃん。

その発言者であるアライズ(つわもの)の一人が、横たわった2人を見下ろしてました。

真姫「あんた...覚えて、なさいよ」ハァハァ

凛「ふぅ..ふぅ..っ」

「ああ、私としてもこの学院のスクールアイドルを、忘れることはない。来年まではな」

花陽「...統堂、英玲奈?」

凛「...かよちん」ハッ

真姫「遅いわよ、バカ...」

英玲奈「うん?」クル

初めて見た。
見つめられた瞬間、ビクッと体が震えた。

μ'sのメンバーを圧倒的に超える身長も相まって、その子供らしからぬ言葉遣いや変わらない無表情さが、この音ノ木坂学院の生徒に相応しくないと一瞬で分かるほどに...

とても、強く美しい..といったのが、第一印象でした。

英玲奈「ん?この娘はおまえたちの仲間だよな?やはり、アイドルをやるようには、到底思えないのだが..」スタ..スタ..

いえ..強く"冷徹で"美しいとでも言うべきでしょうか..
夏の真っ只中のはずが、この人がいる周りだけ冷え切ってるように感じます。冷たいです。

英玲奈さんは、私の目を見てから一切視線を離さず、ゆっくりと近づいてきます。

英玲奈「すまない、少しばかりおふざけが過ぎてしまったな...この2人には先ほど勝負を挑まれたゆえ、しかし加減の仕方がわからなかったものだ、許せ」

花陽「勝負...?」チラ

英玲奈「どうだ、おまえもやってみるか?」

真姫「..!?だめよ花陽!その人は、全部私たちの事を調べてるんだから..」グッ

凛「弱点が筒抜けってことにゃ...」グタッ

ダンス?歌?基礎ステップ?
なんの勝負をしていたのか分からないけど、横たわって荒い息をしてる2人を見て、これは壮絶な戦いがあったことを物語っていました。

花陽「統堂英玲奈さん...ど、どうしてこの学校に?」

統堂英玲奈「なに?まだ聞いていないのか...?」

「この学院が、廃校決定になったことを」

...はい?
音ノ木坂学院が廃校になるかもしれないことは、μ'sを結成する前にも噂されてましたけど、廃校決定?

英玲奈「そうだ、来年から入学者をストップさせてもらい、我がUTX学園の第二の訓練施設として、吸収合併を申し出る結果となった。ありがたい」

真姫「ありがたいですって?!ふざけたことを!許せないっ...」ギリ

凛「凛たちにはもう後輩もできないし..卒業する時も、凛たちだけでおしまいなんて..やだよ..」

そんな、そんなことって...
私が寝ている間になにが起きたの?これも夢なの、それとも現実なの?!

統堂英玲奈「これは、夢ではなく現実だ。小泉花陽」

花陽「」ビクッ

英玲奈「小泉花陽、個性のあるメンバーたちの歌やダンスに、少なからずの調和を生み出すまだ咲いてない蕾。さらに、アイドル業界の分析と知識は、リーダーの高坂穂乃果とともにμ'sを運営していくにあたり、素晴らしい調整役となる」

英玲奈「非常に惜しい人材だ...いずれ消えるこの学院にはもったいない」ボソ..

花陽「!?」ゾクッ

見られている、じっくりと。
能力を、個性を、特徴を、品定めするようにズルりと。

凛「かよちんから、離れるにゃ..どこまでも吸収していくつもりなのかにゃ..?」ハハ...

英玲奈「はは、人聞きの悪いことを言わないでくれ。でも、それも面白いな」

花陽「え?」

真姫・凛「!?!?」

英玲奈「どうだ、小泉花陽。一度うちを見学してみないか?こんな廃屋よりも、満足する練習施設に、数々のアイドルの卵を研究することもできる、充実した環境が整っているぞ」

どういう意味..?
なんで、UTX学園に見学しないかって、私が誘われてるの?

真姫「花陽!!!このっ」

凛「うおおおおおぉおお!」ダッ

英玲奈さんがそんな不可思議なことを私に言った刹那、倒れていた凛ちゃんが急に起き上がり、圧倒的な発言者に向ってもう突進していきました。

凛「かよちんは凛たちμ'sの仲間だああああ!」

英玲奈「うむ、ではひとつ忠告しておこうか、星空凛」スル...

スカッ

凛「!?」

______ドシャァッッ!!

花陽「凛ちゃん!!?」

真姫「凛!!!」

英玲奈「仲間仲間というのは結構だが、その仲間を思うがあまり、情に縛られ、身動きが取れなくなるのは果たして一体誰なのか...」

英玲奈「あまり情をチームに入れすぎるな、すべてを滅ぼすことになる、その感情的な言動も含めて、だ」

スタスタスタ...

凛「いったぁっ...」グス

真姫「よくも、凛を..」ググッ

英玲奈「いいぞ、西木野の娘よ、来るなら来い。こうなりたければな」

真姫「ぐっ....」タジ..

英玲奈「そうだ、それでいい。おまえは利口で、天才だ。ここで、その尊厳を失っては""あの方たち""にも顔向けできないだろう?」

真姫「あなた..ほんっとに最低よ...」

英玲奈「最低、か..もう慣れたよ、その言葉」クル..スタスタ

凛ちゃん..真姫ちゃん..
私は何もできないのでしょうか..仲間を、こんなに全力で立ち向かってるみんなを、助けるヒーローにはなれないのでしょうか。

英玲奈「小泉花陽」

花陽「は、はい..なんですか..」

英玲奈「...来週の金曜日、UTX学園で待っているぞ」ボソ..

花陽「!!?」

英玲奈「それではまた会おう、いや、会えるのかな?健闘を祈ってるぞ、μ'sの蕾たちよ」

ガチャ....バタンッ______

闇夜に消えていくかのごとく、するりと居なくなった英玲奈さん。私はハッとして、すぐに、凛ちゃんと真姫ちゃんのもとへ駆け寄りました。

真姫「花陽、あなた何やってるのよ..こんな大事な時に..」

花陽「ご、ごめんね?少し寝坊しちゃって..」

凛「うう、寝坊にもほどがあるよ..もっとマシな嘘つくにゃ」グス..

花陽「あはは..ほんとにごめん..私、なにもできなくて..」

真姫「いいのよ、あんな人造人間を真っ向で相手にするのが、そもそも間違いだったのよ..」

凛「あー!!確かに他のみんなに黙って、勝負を挑もうとしたのは凛だけど..真姫ちゃんも賛成したじゃん!」ブーブー

真姫「...そうね、その通りだわ..」

凛「あ、あり?まきちゃん..?」

いつもなら言い返す強気な真姫ちゃんも、今回ばかりは堪えたようです....

今日のμ'sの活動は午後1時過ぎに始まり、夕方頃に終えた矢先、廃校決定のむねをにこ先生から発表されたらしいです。

μ'sのメンバーが意気消沈してぞろぞろと帰宅する中、凛ちゃんと真姫ちゃんは残って昇降口でボーッとしながら、花陽に連絡をしていたところを...
あの、UTX学園のアライズのメンバー、強く冷徹で美しい統堂英玲奈さんに出会ってしまい、あとは..。

この有様、ということです..
凛ちゃんには柔軟や体幹といった姿勢を保つバランス勝負、真姫ちゃんにはステップでいつまで続けられるかのスタミナ勝負として、何度も英玲奈さんに挑んだのですが。

ついに、2人の体力が切れ、平然と息をしている英玲奈の前で倒れたところを、私がやって来たというわけです。。

凛「あの人、廃校する学園に訪れて慈悲の念でもあるのかと思いきや..」

真姫「第一声が、"すばらしい療養所になりそうだ"..だもんね」

花陽「そんなこと、言ってたんだ..」

穂乃果ちゃんや、にこ先生がそれを聞いていたら、とんでもないことになっていたかもしれない...

真姫「療養って...病気の人を治すでもあるまいし、あいつらにとってはこの学院を..矯正すべきアイドルの卵を詰め込む箱庭にするつもりよ」ダンッ!

凛「かよちん..凛たち、これからどうなっちゃうのかな..?」

「もう、μ'sで頑張っても無理なのかな..?」

花陽「...ぇ」ドクン..

『...あーあ、終わっちゃった!やっと候補生になれたのに..』アハ

『や、やだ!!!ここまで来て、はい分かりましたで引き下がれないわ!』

『テーピング..はなよ、テーピングとギブスをお願い!はやく!!』

...

花陽「」ブルブル

さっきの夢をうろ覚えで、思い出してしまいました。一つの夢が、希望が消える絶望の瞬間..

誰だったかはあまり覚えていないけど、私は体験した、叶わないこともあるのだと..

真姫「ねぇ花陽、ところで..」

「さっき、あの人から何て言われたの?」

花陽「.....」

廃校阻止のために、μ'sを結成して..
絵里ちゃんも入ってくれて、これからどんどん成長し強くなれる。絶対に学院存続を叶えてみせると。

強い願いが私たちを導いて、ここに集まったことを奇跡と感じて...なのに...

真姫「花陽...?」

廃校決定なんて...あんまりだよ、ひどいよ...

花陽「....ううん」ニコ

「何も言われてないよ」

________私は、ウソをついた。

数日後 全授業終了後

音ノ木坂学院 職員室

にこ「はぁ...まいっちゃうわね、ほんと..」ドヨーン

希「なーんや浮かない顔して、にこっちらしくないなぁ..お茶うまい」ズズッ

にこ「...この学院の最悪の状況で、へらへらしてる職員はあんただけかもね..」ハァ

希「失礼やなー、うちかて今回の件はどうしようもないし、開き直るしかあらへんよ」アハハ

にこ「のんきなやつね...」

希「そうでもないよ、にこっちとも離れ離れになるからね~!さびしいやーん」

にこ「私はせいせいするけど...それに、あの子たちの思いが浮かばれなくってね...」

希「うーん..もう諦めちゃうってこと?」

にこ「いえ、本人たちはそうは言ってないけど..自然消滅、解散の危機に直面しているのは事実ね」モグ..

にこ「このお饅頭うまい..」

希「穂乃果ちゃん家のお店のらしいな、うまいうまい」

にこ「ちょっと!あんたがいちばん多く食べてるじゃない..太るわよ?」

希「うっ..へいきや平気、頭使ってるから糖分が必要やろ?」

にこ「なにに頭使ってるのかしらね..何も考えてなさそうだけど」ヤレヤレ

希「相変わらず毒舌やな、あの子たちにも見せてやりたいわ」モグモグ

にこ「こんな態度とるのあんただけよ..これも変に勘違いするんじゃないわよ」

希「いやぁ、成人過ぎてツンデレ披露されてもな~..どう反応したら良いのか」

にこ「急にまともにならないでよ!私がバカみたいじゃない..」

希「まぁ、今のにこっちはバカというかアホというか..どうしようもないわな」

にこ「なんですって?どういう意味よそれ」

希「消滅とか解散とか、それを予期する不安になる気持ちも分からないでもないけど..でも、それを決めるのは、あの子たちや」

希「少しばかり過保護なんちゃう?にこっちがそんなんだと、あの子たちにも容易に不安が伝わるよ...?」

にこ「のぞみ...」シュン..

希「なんてな!!はい、授業料としてもう一個お饅頭もらうで~」ヒョイ

にこ「あ、ちょっと...」

希「大丈夫や。μ'sは一人やない、こんな時こそみんなで力をあわせるチャンスやて」

にこ「そうね...昔の私と違って、あの子たちには仲間がいる..私、ジェラシーでも感じてるのかしら?仲間がいるくせに諦めるなって..こりゃエゴね」クス

希「にこっち、それは...」

にこ「いいのいいの、アイドルやってたときの孤独さなんて、もう微塵も覚えてないんだから」

にこ「それより..」ガタッ

希「?」

にこ「今は信じれる場所があって少しでも私らしく居られる、そこでいろんな事を私は教えたいの。辛さも楽しさも、希望も絶対も全部ね」ニコ

希「ふふっ...それが過保護言うてんねんで、分からんやつやな」クス

にこ「うるさいわね、私には一生わからないでしょうよ」スタスタ

希「もう行くん?今日はいつもより早いな」

にこ「暇を削って採点や職員会議の書類も片付けたわ、今はあの子たちが大切よ」

希「...そっか」ニコ

本当、世話がやけるなにこっちは。
あの子たちもそう簡単には挫けへん、なによりあの矢澤にこが顧問の生徒たちやから。

希「チームに愛情は不可欠やね、にこっち」

放課後 音ノ木坂学院 屋上

真姫「絶対に許せない!この私をここまで怒らせたことを後悔させてやるわ!」ダンッダンッ

ことり「あはは、あれからすぐに元気になってよかったね~♪」

凛「....」

穂乃果「凛ちゃん?どうしたの暗い顔して」

凛「...かよちんが、今日居なくて..」

ことり「花陽ちゃんが?そういえばまだ来てないね?」

凛「授業が終わった途端に教室から出て行っちゃって..カバンは置いてあるんだけど」

真姫「そういえばそうね、一目散に出て行ったけど..トイレにでもこもってるのかしら?」

穂乃果「そうなのかなー?それでも普通は連絡してこない?」

絵里「花陽が無断欠席なんて、珍しいわね~」チカー

海未「なにをのんきに..今こそ団結して力をあわせる時なのですよ、絵里」

絵里「わ、わかってるわよ...」シュン

凛「....もしかして」

絵里「ん?」

凛「かよちん、UTX学園に行っちゃったんじゃ..」

5人「「「「「!?」」」」」

ことり「どういう...ことなの?凛ちゃん」

真姫「まさか、あんなこと鵜呑みにしてるの?!」

凛「だって..英玲奈さんって人が、かよちんに学園を見学しに来ないかって誘ってたし..」

絵里「なんですって...?」

にこ「それはあまり穏やかではないわね」スタスタ

海未「にこ、先生...」

にこ「おつかれさま、今日は早めに出てきたけど、まだ来てない子がいるみたいね?またお寝坊かしら」

凛「...最後に、あの人かよちんに何か言ってたし..凛たちを見捨てて、約束をとりつけたんじゃ..」

真姫「凛!!いい加減にしなさいよ!」

絵里「あ、貴方たちちょっと、落ち着きなさい..何かの間違いよ、きっと」アタフタ

穂乃果「にこ先生、UTX学園ってあの..」

にこ「そう、芸能界へのエスカレーター式、芸能における育成の環境と設備が最高レベルの学校」

にこ「並外れたレベルのつわもの達があそこに集合しているの、いわゆるお嬢様御坊ちゃま学校よ」

穂乃果「ほえー、天才の集まりって感じなのかな」フーン

にこ「そうとも言い難いわ、入学できても在学し続けるのが非常に困難と言われているだけに、退学者は後を絶たない」

海未「そんなところに、花陽が...」

にこ「分からないけどね、どういうつもりで花陽にそんなこと言ったのかは定かではないけど..」

ことり「けど、なんですか?」

にこ「最近できたのよ、プロデュース部門なる新しいカレッジが。アイドルを育成するにとどまらず、敏腕なプロデューサーを育てるカリキュラムを組み始めたみたいでね」

穂乃果「.....あ!アイドルコンサルタント!!」

真姫「...なにコンサルタント?」

穂乃果「""アイドルコンサルタント""だよ!μ'sの活動を維持していくために花陽ちゃんにね、いろいろなアイドルの知識、分析、業界動向を教えてもらってさ~」

穂乃果「穂乃果が名付けたの!花陽ちゃんってアイドルコンサルタントだよね~って」アハハ

凛「かよちんは、小さい頃からアイドルについてたくさん勉強して研究してたにゃ..凛にはよく理解できなかったけど」

海未「なるほど..つまりいくさの敵陣営は、花陽のアイドルに対する、特にアイドルがアイドルでい続けるための戦略性、"ルールブック"を利用しようとしているのでしょうか..」

ことり「そ、そんなことされたら!μ'sも戦力が落ちて、UTX学園はさらに強くなっちゃう..」ヤンヤン!

絵里「厄介なヤツらね、かなり"てぎわ"が良いところをみると、にこ先生が言ったことも頷けるわ」

にこ「うちの学院から直々にスカウトか..吸収合併に乗じて弱ってるところを甘い餌で誘うのは、実に合理的なやり方ね」

凛「許せないにゃ...凛、かよちんを連れ戻してくる!!」タッ

にこ「待ちなさい凛ちゃん!!」

凛「...っ」

にこ「なにも本当にそうだとは限らないわ、全部思いすごしかもしれないし」

穂乃果「で、でもどうするんですか?このまま黙っていられませんよ..」

にこ「そうね、それは私も同じだわ。だからこうしましょう、UTX学園に行く人を決めて、花陽がいるかどうかだけでも確認しにいく」

にこ「残った人たちは、このまま練習よ。いつ花陽が帰ってきても迎えられるように待機してなさい」

凛「凛がUTX学園にいくにゃ!!」

真姫「凛、あなた...」

ことり「私も、花陽ちゃんが心配だから..」

にこ「ことりはダメよ」

ことり「え?な、なんで..?」アセ

にこ「真姫ちゃんもね、2人は最近有名になってるから...特に狙われやすい。あそこに行けば宝がやって来たと言わんばかりに、強烈な営業にまくし立てられるわよ」

ことり「そんな...!!」

真姫「...わかりました、私たちはここで花陽を待っています、安心して帰ってこれるように」

ことり「そうだね...」

穂乃果「よぉし!ここは穂乃果が

絵里「私が行くわ」キリ

穂乃果「行って....ありゃ」

真姫「絵里...?」

絵里「大事な後輩が、大切な妹君たちが泣いてるのを見て、黙ってるわけにはいかないわ」キリ

凛「別に泣いてはないけど...」ボソ

絵里「安心しなさい、私はこれでも生徒会長よ?他人様の城荒らすような不届き者は、許さないわ」

ことり「おぉ...絵里ちゃん...」ジーン..

絵里「」プルプル

海未「....震えてますね。。」

真姫「絵里!!本当に大丈夫なんでしょうね!」

絵里「心配は無用よ。べべべつに最高レベルルのアイドルたちが来ても、ナンテコトナイわ」

穂乃果「絵里ちゃん、無理だったら穂乃果が...」

にこ「絵里ちゃんが行きなさい」

絵里「!?にこ先生..」

にこ「仲間を恐れながらも助けたいだなんて、上出来じゃない」

真姫「まぁ..ポンコツのポンが抜けて、コツコツと努力してきた誠実な方の絵里が出てくれれば..」

絵里「失礼ね!私はいつでも真面目よ!」フン

にこ「あとは、私が引率するわ...責任は誠実な態度を思って、

社交的に問題を起こさぬようにある程度動きなさい、私が最終的に責任を持つから」

絵里・凛「はい!!」

海未「それでは、私たちは練習して待っていましょう」

穂乃果「えぇ~!こんなときにぃ?」

海未「....はい?」ニコ

穂乃果「ひぇ...」ビクッ

にこ「部活の方はよろしくね、海未」

海未「はい、お任せください!花陽がUTX学園にいなければ、それで安心ですし」

ことり「勘違いであればいいな..」ハハ

絵里「....」

真姫「絵里..いってらっしゃい」

凛「(絵里ちゃん...なんだかんだ言って、凛たち一年生のこと、気にかけてくれてたのかにゃ)」

凛「(ありがとう....絵里、せんぱい...)」

絵里「.........」

絵里「」ニヘラ..

ことり「?」

絵里「(ついに...ついに私の出番だわ!!!

たく、いい加減に私を出しなさいよ!!
そもそも、この物語はにこ先生とラブラブでブラブラ(?)な甘い学園生活を送る、ハートアンドハートな物語にするはずだったでしょうに!

全く困ったものね、2人の恋仲には、いつでも敵が現れるもの、でも私は挫けない。

そう....

絵里「(にこ先生との愛あるノンハーレム、イエス!エリーニコライフを)取り戻すのは、この私よ!」グッ!

凛「うん!一緒に(かよちんを)取り戻すにゃ!」ニカッ

ことり「(なんか、違う気がする...)」

※題名「にこちゃん先生と絵里ちゃん生徒」参照
絵里ちゃんは、この時からにこ先生にとても夢中です、見苦しい戯けた演出をお許しください...」海未

穂乃果「うん?どしたの海未ちゃん、アナウンサーばりの声で、意味不明な解説をし始めて..」

海未「ごほん!...?変ですね、声が勝手に出てしまいました」

にこ「それじゃ絵里ちゃん、凛ちゃん、くれぐれも離れないようにね...あの学園には」

「"本物の化け物"がウジャウジャいるから、心を折られ巻き込まれないように、気をつけるのよ」

!ーーーーーーーーーーーーーーーー!
ゴゴゴゴゴゴゴ...

▶︎UTX学園

凛「ここに、かよちんが....?」

絵里「なにこれ、でかすぎよ..まるで大きな要塞ね..」

にこ「さぁ、受付ロビーがあるから、一度そこに行ってみるわよ」スタスタ

「ようこそUTXへ、御用のほどは如何でしょう」

にき「音ノ木坂学院にて教職をしております矢澤と申します、こちらにうちの生徒が来ませんでしたか」

「音ノ木...かしこまりました、少々お待ちください...ええ、一人訪問してらっしゃいますね」

「小泉さんという方が」

凛「!?」

にこ「...ありがとうございます、実はうちの部員の子でして、今どちらにいるか教えていただけますか」

「UTX学園訪問許可証、クライエント要望文書、またはここの学園の関係者からのメッセージなど、ありますでしょうか」

にこ「いえ...」

「それでは、お教えすることはできません..訪問を改めていただければと存じます」

絵里「そんな、中には入れないの!?」

「...規則ですので」

凛「んにゃー!せっかく突き止めたのにここでストップだなんて!」

にこ「やめなさいあなたたち...どうもありがとうございました..」ペコ

<<その人達を通してあげなさい>>

にこ「...?」

「え?ですが...」

<<遠いところからお越しくださって光栄ですわ、矢澤にこさん>>

「あ、え、矢澤にこ..?!」ガタ..

にこ「...どうも」

【なになに!?今、にこって聞こえたけど...】
【どこどこ!!ついにこの学園に来たのかしら!?】

ザワザワ..

凛「なんにゃ?急に騒がしくなったけど..」

絵里「そりゃそうよ..矢澤にこと言ったら、アイドルを目指す人で知らない人はいないくらい..」

絵里「私の変装グッズ(孤独なときに部室で作った、アイドル専用の変装衣装no.252)が役に立つなんてね..あれを取ったらにこ先生の周りは一気に満員よ」フゥ..

凛「あ、危なかったにゃ..」

<<さあ、騒がしくなる前に途中まで案内します、こちらへどうぞ?>>

にこ「はい、ありがとうございます...行くわよ絵里ちゃん、凛ちゃん」ササッ

【どこよー?にこにーいるのー?】ギラギラ
【アイドルだったにこがこの学園に!指導者となれば、さらに発展しそうね!!】ギリギリ

ザワザワ...

凛「なんか、怖いやつらだにゃ..」ブルッ

絵里「ええ、ちょっと変な感じね..ここ」

<><><><><><><><><><><><><><><>
エレベーターホール 1階

にこ「なんのつもりですか、センセイ」

<<あらん?助けてあげたのに、その言葉はひどくないかしら?>>

<<にこちゃん>>ニヤ

にこ「...気安く呼ばないでください、もうアイドルではありません..センセイのピアノのレッスンも受けることもないし.."ふつうの教師"ですよ」

ピアノの先生「寂しいこと言うのね..まぁ、あなたはどちらかというと、歌や踊りが最も伸びた才能でしょうから」フン

※第一話 M(s)N(t)=s•t=未解式フリーダム 参照
▶︎ピアノの先生

ピアノの先生「あなたの生徒さんは、14階の多目的会議室で、統堂とお話ししているわ」

凛「!?」

にこ「そう、ご親切にどうもありがとうございます...」

ピアノの先生「しかし今日はまた..ん、ずいぶんとヘンテコな生徒を連れてきたのね?」

絵里「え?」

凛「にゃ?」

ピアノの先生「それに、にこちゃんも変装しちゃって..よく見ると、良い変装グッズね?」

絵里「(ハラショー!)」グッ..

ピアノの先生「ああ失礼、こっちの話よ、ふふ。あの小泉さんって子も、ビクビクしながら入ってきてまぁ..」クス

にこ「何かしました..?」

ピアノの先生「とんでもない、大事な客人に失礼なことはしませんわ」ホホ

_____thank you for waiting チーンッ

ガーッ... Open the door..

ピアノの先生「ただ、まさにこれから新設するプロデュース部門の養成に、ぴったりのモデルといったところね」フフフフ

にこ「それは残念ですね、あの子は音ノ木坂学院の生徒ですから、ここには居られないでしょう」

凛「そうだそうだ!かよちんは、こんなところに居たら、ダイエットで米不足で即入院にゃ!」

ピアノの先生「まっ、なんてうるさい子、さっさとお行き!」シッシッ

にこ「それじゃここで...案内助かりました」

ピアノの先生「ふん、せいぜい頑張りなさい」

「もっとも...もう手遅れかもしれないけど...」ニタリ

【........】ゾロゾロ ゾロゾロ....

14階 多目的会議室 前 廊下

にこ「ここね、花陽がいるのは...」

絵里「凛、あまり感情的にならないでよ、それだけでこちら側が不利になるから」

凛「むぅ、分かったよ..なるべく大人しくしてるよ..」

にこ「心の準備は、良いわね?」

____ピンポーン(ドア前 呼び出し音)

<統堂だ、今は会議中だ、後にしてくれないか

にこ「失礼、音ノ木坂学院のμ'sの顧問、矢澤です。こちらに小泉がいると聞いて伺いました」

<音ノ木の...?どうぞ、お入りください

ィン..._____ガチャン

絵里「!!ロックが外れたわ」

凛「かよちん、待っててね...」

____キィ.... バタンッ!

花陽「え、凛ちゃん!?にこ先生に絵里ちゃんも!」

凛「か、かよちん!!!」ダッ

ギュッ!

花陽「凛ちゃん、苦し..」ギュギュギュ..

絵里「花陽....よかった、無事だったのね!」

「感動の対面と、言えば良いのだろうか」

にこ「あなたは...」

英玲奈「初めまして、アライズのメンバーに所属しております統堂英玲奈です」

絵里「統堂、英玲奈...」キッ

英玲奈「おや、初対面の人間にそんな眼差しを向けるとは、感心しないな..」

英玲奈「自己紹介は済ませた、礼儀はしっかりとせねば、君達の顧問の顔が立たないぞ?」

花陽「あわわ、みんな...」

凛「星空凛!μ'sの元気な妹担当!仲間は三度の米より大好きにゃ、よろしくお願いします!」ビシ

英玲奈「ふむ、"妹萌え"と言えば良いのだろうか。じゃりんこな妹後輩にワガママを言われる日々も悪くないな、"りん"だけに」

絵里「絢瀬絵里!音ノ木坂学院の生徒会長でμ'sの最強担当!矢澤にこは5人の友より大好物よ、よろしくどうぞ!」キリ

花陽「エリチャン!?」エェェ!

英玲奈「うむ、"したたかな裏切り者"と言えば良いのだろうか。仲間よりも憧れの偶像を選択するあたり、"本物"の見込みがある、素晴らしい」

にこ「さっき言った通りよ、この子たちの顧問で教師、矢澤にこよ。花陽を取り戻しに来たわ」

英玲奈「ご丁寧にありがとうございます、しかし、取り戻しに来たとは..まるで奪ったような言い方ですね?」

凛「その通りだにゃ!廃校間際の学院の生徒を、たぶらかす悪いやつなんでしょ!」

花陽「ち、ちがうの凛ちゃん..英玲奈さんは」

絵里「英玲奈さんですって!ハラショー!もうそこまで仲良くなってしまったの、同志花陽よ!」

花陽「だ、だから...私は」

にこ「あなたたち、黙って人の話聞けないの..?話を聞かせてちょうだい、花陽」ハァ

花陽「はい...英玲奈さんには今日、その、UTX学園で待ってると言われて...」

英玲奈「そうだ、私が誘ったのだ。小泉花陽に改めて、うちの学園の新設プロデュース部門におけるカレッジを受けてみてはどうかとな..」

にこ「!」

英玲奈「ただ、残念だよ..どうやら、ここに来たのは寂れた故郷を捨てにきたのではなく、むしろ逆らしい」

絵里「花陽...」

花陽「うん、私はここには通わないし、高校3年間ずっと音ノ木坂学院にいるので遠慮しておきますって...断りに来たんだ」

英玲奈「まだ2年以上もあるのに、その残りもあそこで過ごしたいそうだ。よかったな絢瀬絵里、お前も会長としてはなが高いだろう」

絵里「....」

凛「ほんとなの、かよちん...?」

花陽「うん...黙っててごめん、でも、言ったら凛ちゃんたち..ついてきてまた揉めちゃうだろうし。にこ先生も、心配かけてごめんなさい..」

にこ「良いのよ、それで」

花陽「え?」

にこ「揉めに揉めて仲間といっぱい失敗しなさい、誰かに迷惑かけたくないなら単独で動いて罪悪感を受けなさい、いずれも成長するのには良いことよ」

凛「...」

にこ「ただ、失敗しても最後に花陽のことを思って出迎えてくれる人達に、感謝をすることは忘れないことね」

花陽「はい...ここまで来てくれる友達に、感謝しない人はいません..」

パチパチパチパチ....

にこ「!?」

花陽「」ビクッ

ピアノの先生「エクセレント!ハラショー!感動的な友情物語ね!」パチパチ

凛「さっきの...」

ピアノの先生「こちらの申し出を断るなんて、この子も愚か者ね~、せっかくのチャンスを手放して」ホホホ

【.......】 ゾロゾロ

絵里「な、なによこいつら!!」

花陽「UTX学園の生徒たち?」

ピアノの先生「統堂が手をこまねいているから、何をしているんだと来てみれば。。。」

ピアノの先生「統堂?友情劇は会議室でするものじゃなくてよ?いつから監督になったのかしら」

英玲奈「これはまぁ、演劇にしては上出来すぎますがね」

ピアノの先生「ふん、あなたも相変わらず無愛想な態度ね。まぁ良いわ、せっかくの人材をここで手放すわけにはいかないわよね」ニマァ

【...はい】グイッ

花陽「ぁっ!」

凛「なにするにゃっ!!」

絵里「はなよ!!あなたたち、なんのつもり...?」

ピアノの先生「なーに、少し"営業"をさせていただくだけよ、あなたたちはもうお帰りになってちょうだい」

英玲奈「......」

にこ「それではい分かりましたとは言い難いわ、花陽を離しなさい、怒るわよ」グッ

ピアノの先生「まぁこわい!!音ノ木坂の教師がUTX学園で暴走!動機は廃校決定の恨みによるもの、紙面で新たに有名になれるわねにこちゃん」ホホホ

________トントン

にこ「(!!」

英玲奈「(にこ先生とやら、この部屋から出る方法を私がご案内する..準備は良いでしょうか?」ボソボソ...

にこ「(....信用するとでも?」ボソ..

英玲奈「(どの道選ばなければならないのですよあなた方は、諦めて帰るかどうかはお任せしますが」ボソボソ

にこ「(...生意気な子ね、生徒を放って帰る教師がいるとでも?」ボソ..

英玲奈「(ここはそういう教師ばかりですから、私には分かりません」コソ..

にこ「(...違いないわね」コソ..

ピアノの先生「さあ、大人しく帰るのよ..大丈夫、会えなくなるわけではないから安心して」ニコリ

凛「ぜんっぜん安心できないにゃ!!」クワッ

にこ「(あんたたちちょっと..」ボソ..

絵里「(にこ先生?...」

凛「(にゃ?」

「(はい....ええ..、分かりました、一か八かですね..」

.......

ピアノの先生「なにをこそこそしているの?」

にこ「いえ、実は...」

凛「凛たちも、UTX学園にお呼ばれされたいにゃーなんて!!」

ピアノの先生「...はぁ!?」

絵里「先ほどの変装グッズ、あれ私のオリジナルなんです。良ければ他にもお見せしましょうか?」

花陽「(凛ちゃんに絵里ちゃん、一体なにをするつもり?)」

絵里「例えば、マダム?こちらのアイドル専用変装グッズno.25は帽子の横に香水が付いていてね、ほら強い匂いで人を寄せつけない仕様になってるの、おわかり?」

ピアノの先生「マダムって..あなた言葉が丁寧なのかどうかわからないくらい破綻してるけど..」クサ...

凛「うわー!プライベートで人に近づいて欲しくない有名人の皆さんに、オススメしたい一品だにゃ!」バラのにおいクッサ!!!

ピアノの先生「うぐっ...」

【ふんぐ....】クサイ...

ヨロ.....

花陽「(ぁ...」

絵里「お次はこちらの変装グッズね!」バッ

ピアノの先生「あら...これは、真っ黒でシックなコートね?」

絵里「はい、襟を立てて顔を隠すこともできますし..あまり目立たないまでも、シンプルな着こなしで優雅に過ごすセンセイにぴったりですわ?」オッホ!

花陽「(どこからあんなグッズを出してるんだろう..」

ピアノの先生「気安くセンセイと呼ばないでちょうだい...まあ、あの音ノ木の生徒にしては独創的なアイディアをお持ちね。かしなさい」グイ

絵里「あっちょっ...」

ピアノの先生「ふーん..これはあなた達のようなアイドルのはしくれには必要ないわね!ありがたく貰っておきましょう」イソイソ

ピアノの先生「どれ、あなた試しに着てみなさい?」

UTX生【はい、かしこまりました】

花陽「ううっ...」ウゥ

【動かずじっとしててよ、ったく】ギュウ..

ピアノの先生「でも残念、私たちUTX学園としては、あなた方2人を迎えるわけにはいかないわ」

凛「ええ!そんなぁ、お願いしますよぉ~」コビコビ..

絵里「入学したあかつきには、変装作成部門の長を務めてもよろしくてよ?」

ピアノの先生「そこの金髪、お嬢様言葉を真似てるつもりなのかしら..」イラ

にこ「最後にもう一度忠告するわね、花陽を離しなさい、怒るわよ」

ピアノの先生「にこちゃんが怒る?...ホホホ!どうやって怒るのかしら、あの時のように周りの人間を痛めつけるのかしら?」

絵里「(にこ先生が痛めつけるって、どういう意味..?」

にこ「...この子たちの前で、その話をしたら許さないから」

ピアノの先生「まぁっ!脅してるのね、おそろしいぃ!さすが元"本物"の偶像ね。ゾクゾクしちゃう」クス

ピアノの先生「その忠告とやらに従わなければどうなってしまうの?」フフ..

絵里「んーそうですねー..」

UTX生【あとは、ボタンを閉めてと...】パチ..

絵里「ちょっとばかし、仕返しが必要になってくるかと」

_________ウィンクッ))

花陽「(今、絵里ちゃんがこっち向いて合図を送った?...」

_______ォォオエエエエエエエエエエエエッ!!

ピアノの先生「!?」ビクッ

花陽「え?え?」ピク..

UTX生【な、なにごれぇ..くっさあああえええぇぇ...】ヌギヌギ ジタバタ

ピアノの先生「くさっ!こっちに来るんじゃないわよ!!」ドタバタ

【うおっ...】パッ

花陽「あ!」

にこ「花陽!入り口側から逃げなさい!!」

花陽「で、でもみんなが」アタフタ

英玲奈「案ずるな、小泉花陽よ、お前らは絆で結ばれているのだろう?信じてみせろ」

花陽「英玲奈さん..?」

ピアノの先生「ごっほっ!!なんてお行儀の悪い!!」

花陽「くっ...学園の外で会いましょう!!」ダッ

多目的会議室 入り口側_____ガチャッ スタタタ...

【こら..まてぇ..】ダダッ

ピアノの先生「捕まえてきなさい!!この変装に細工をしたのね、金髪娘ぇえ..ごほ」ギロリ

UTX生【.....っぁ..】ピクピク

(((変装衣装no.93)))ぷーん...

絵里「うっぷ...さすがに趣味の衣装製作に、世界一クサイ缶詰の液体を利用したのは、服への冒涜だったかしら..」オェ

凛「ことりちゃんがいたら、絶対しばかれてるにゃ..」ゥエ

にこ「コートのボタンやベルトが、内部の液体開封のスイッチになってたのね..最高の頭脳で最低の産物とは、絵里ちゃんも悪よね」グェ..

ピアノの先生「でも、これであなた達も逃げられないわよ、こんな事してタダで済むとでも...?」ハァハァ

にこ「絵里ちゃん、凛ちゃんも!こっちに下がりなさい..!」ジリ..

【セ、センセイ...この部屋には、もう一つ...扉が..】ゲェ..

ピアノの先生「なんですって!?..あ、あんな端っこに!!」ウェ..

英玲奈「コネクティングルームとでも、言うのだろうか?この学校も随分と金をかけているな..」フム

にこ「あんたのようなお嬢様でも、金かけの規模が分かるのね」フン

英玲奈「失礼な、もちろん私は数字に強い」

_____カチャリッ


凛「空いたにゃ♪」ニャハ

UTX生【あいつ、キーカードをいつの間に..鍵は生徒しか持っていないはず..!】

ピアノの先生「統堂!!あなたというやつは!」キーッ

英玲奈「おや?いつの間に取られていたのか..近くにいたのはじゃりんこな撫で猫ではなく、生意気な泥棒猫だったらしい」ヤレヤレ

多目的会議室 室内奥 非常用出口
コネクティングドア_____キィ...

絵里「ずらかるわよ!!」ダッ

にこ「絵里ちゃんに続いて、全力で走りなさい!」タッ

凛「走るのは凛の得意分野だよ!」ダーッ

ピアノの先生「まてええ!!!捕まえて晒し者にしてやるわ!」

英玲奈「私も奪われたカードキーを取り戻せねばな」サッ ダダッ

ピアノの先生「くっ、統堂..あとで覚えてらっしゃい..」ワナワナ

【臭いが..臭いがとれないいぉ。。。】

ピアノの先生「なにぶつくさやってるの!!はやく追いなさい!」

UTX生【.......っ】

ピアノの先生「なによその目は!!よもや私に逆らおうなんて考えていないわよね?」ギャー ギャー

UTX生【...】ダダダッ

【うう、待って!..置いてかないでよぉ~】タタッ

ピアノの先生「フン、こんな事で終わらせてたるものですか..仕方ない、"優木"に任せるとしましょう」ピッ ピッ

「あの子が来れば、終わったも同然よ。あの矢澤にこでさえも..」ニマァ...

14階 長廊下

にこ「はぁはぁ、あんたええっと、統堂英玲奈?たしかUTX学園には、大型荷物搬入用エレベーターがあるわよね?」タッタッ

英玲奈「そうだ、舞台用のセットから集団の移動までなんでもござれだ」ダダダッ

絵里「それじゃそこに行きましょう!あとは一階まで降りてジ・エンドよ」タタッ

凛「かよちんは?かよちんはどうするにゃ!?」ダッダッ

英玲奈「安心しろ星空凛よ。すでに小泉花陽には、緊急の際の避難経路を伝達済みだ。お前達が来るよりも前にな」

にこ「あなた...どうして私たちを助けてるの?」

英玲奈「助ける?勘違いはいけません、私はただ彼女の可能性を視野に入れて、いわば進路の幅を広げようと手伝いをしたに過ぎない」

英玲奈「もちろん、こんな化け物要塞に呼んだのは申し訳ありませんが、彼女も彼女なりに思うところがあって覚悟の上ここに来たみたいですよ」

絵里「せめて、私たちが出るときまでは正気を保ってなさいよ、英玲奈。変なことしたらあなたのキーカードは凛のアクセサリーになっちゃうかも」

凛「これでUTX学園に忍び込んで、食堂のラーメンを食い尽くしてやるからにゃ!」

英玲奈「それは困る、うちのボスが好物なのだよ。勘弁してほしいものだな」フッ

裏導線 大型荷物搬入エレベーター 前

花陽「あぅ、英玲奈さんが行ってたのってここだったっけ?く、暗くてちょっとこわい..」ハァハァ

______ピーン 14階です

花陽「つ、着いた!!これでやっと出れ

「ハロ~?かんっぜんに追い詰められたあわれなお米ちん♪」

>277 訂正部
花陽「エレベーターがき、来た!...これでやっと出れ..

「ハロ~?かんっぜんに追い詰められた、あわれなお米ちん♪」

花陽「え?あ、あなたは...」アワワ

「ふーん、ショートカットにオドオドした音ノ木の制服を着た女の子..あなたが小泉花陽ちゃんね」バッ

ギュッ!!!

花陽「きゃっ!」

あんじゅ「つかまえた♪」フフフ

花陽「いやっ、離して...」プルプル

あんじゅ「一生懸命走ってきたの?ご苦労様ね、そんなくたびれたあなたにはご褒美にぃ~♪」

「私の専属プロデューサーになってもらうなんて、どうかな?」クス

花陽「やめてくださいっ、私は音ノ木に帰るんですっ..」ウルウル

あんじゅ「あはは、涙目になっちゃってかわいい!プロデュース部門の実験台にはぴったりね♪」

「たっぷりと調教して仕上げてあげるからね、花陽ちゃん❤︎」ボソボソ

~~~~~~~~~~~~14階 長廊下

絵里「まずいわ!あっちからも敵が!」

凛「あっちって荷物搬入のエレベーター側なんだよね!?」

英玲奈「しまった!どうも予想よりはやく耳に届いたらしい..あんじゅの仕業かな」フゥ

にこ「あんじゅ?...優木あんじゅのことかしら」

英玲奈「ご名答、あいつは私にも手がつけられないヤツでね、何をしでかすらわからない。予想の範疇を超えいつもアライズメンバーを困らせるものだ..」

絵里「何よそれ、あんたが恐れるぐらいヤバい奴なんて聞いてないわよ..」ゼエゼエ

_____ブツッ

『ピンポンパンポーン♪14階とその周辺階のみに放送中でーす❤︎』

『矢澤にこさん♪矢澤にこさん♪かんっぜんに本物で元本物の狂人さん❤︎私と勝負をしてくださらない?』

英玲奈「このアナウンスは....」

凛「に、にこ先生の名前が...」

『あ、そうそう。無視とかシカトとかー、私マジで許さないから。あぁんダメダメ!そんなことしちゃったらぁ...♪』

『...ひぐっ..たすけてぇ..せんせぇ...』

にこ「!!!!」ピク

『くすくす、あなたのだぁいじな生徒がぁ?新設カレッジのぉモルモットになっちゃうかも♪』キャハ❤︎

『それじゃ場所は19階の多目的ホールで!!よろしくにこぉ?最高の舞台を用意してるわ♪』

英玲奈「多目的ホール..あいつまさか..」

『それじゃぁみんなご一緒に?にっこにっこにぃに、バイバイにぃ~❤︎』ニィィ

『にこ先生ぃぃ...みんなぁあ!..凛ちゃぁ

__________ブツンッ...

凛「かよちんをよくも...」グッ..

英玲奈「どうやら囚われたらしいな」

絵里「らしいな..じゃないわよ!避難経路を教えたんでしょう!?」

英玲奈「もちろんだ、それにうちのボスとあんじゅには内緒での小泉花陽との面談ゆえ、そもそもあいつが乗り込んでくるなんて思わなかった」

英玲奈「あいつはああいう面倒な演出は普段しないのだがな、どうやら遊び道具を見つけたらしい」

凛「あそび、どうぐ..?かよちんのこと!?」

英玲奈「いや..建前上は、小泉花陽を人質に取ってはいるが..」

「真の目的は..」

絵里「....にこ先生」

にこ「私って事でしょう?」

【おい!こっちに音ノ木の生徒がいるかもしれないぞ!探せ】ゾロゾロ

【今の放送、あんじゅ様とあの矢澤にこが勝負ってどういうこと!?嘘だよね?】

英玲奈「あっちもダメか..エレベーターホールに行くしかない...」クルッ

英玲奈「にこ先生とやら、いえ..矢澤にこさん..あいつのところに行くつもりですか」タタッ

にこ「ええ、みんなで帰らなくちゃいけないからね」フゥ

絵里「学園側としては見込みある人材を確保、あのあんじゅって子はそれを利用して好き放題やるつもりね」タッタッ

英玲奈「あいつの"勝負"というのは、いわゆる自分の信者を増やす機会に他ならない。もし会場を満員(フルハウス)にした時、あいつの勝利が確定する」

絵里「どういうこと..?」ゴクリ

英玲奈「とても言葉では言い表せない...ただ、"狂った遊戯空間"と言えば良いのだろうか」

凛「遊戯くうかん..?闇のゲームでも始まるのかにゃ?」ゴクリ

英玲奈「ある意味闇かもしれないな、あいつが用意するショーはいつ見ても気持ちが悪い」

にこ「多くの罠があるのは、この学園に来る前から覚悟してるわ」ダッダッ

...

14階 エレベーターホール

絵里「ぐるっと一周してきたけど、変ね..誰もいない?」ハァハァ

にこ「一番右のエレベーターだけ、ドアが開きっぱなしだけど..」ン?

凛「何か書いてあるよ?」

エレベーター内 プラカード
<<矢澤にこ様 本物と偽物の際にようこそ>>

英玲奈「...奇妙なことをする、一人で来いということか?」

凛「そんな、にこ先生を一人にするのは危険だよ!」

にこ「いえ、むしろ好都合よ。あの子の舞台に行ったらあなた達に何があるか分からない..」スタスタ

にこ「凛ちゃん、絵里ちゃん、花陽を連れて帰ってくるから..帰る準備をしていてもらえる?」

凛「やだよ...にこ先生まで、いなくなっちゃ..」ウゥ

絵里「馬鹿ね、この後輩は..あのにこにーが直々の勝負よ?私たち"ファン"が後押ししなくてどうするの」

にこ「絵里ちゃん..」

絵里「私たちは私たちで、必ず脱出してみせます!にこ先生は、花陽を連れ戻して音ノ木に帰る、こうですよね」ニコ

にこ「...ふふ、当然よ。先に私と花陽が降りてたら、罰ゲームとして海未に特訓してもらわなきゃね」

凛「...それだけは嫌にゃ、先に凛たちが降りなきゃ、ね..」

英玲奈「おっと、そうこう言ってるうちに、やって来たぞ」

【いた!!音ノ木生2人..あと、一人変な変装したやつがいたはずだぞ!?】ドタドタ

絵里「にこ先生はやく!!!!」

にこ「ええ、それじゃぁ..」ニッ

「また、後でね」ウィーン

【しまった!!!一人逃げられた!】

英玲奈「かまわん、ちょうどあんじゅのステージに向かってもらったところだ」

【あんじゅ様のところに?】

【え、さっきの放送って本当!?】

【"矢澤にこ"が本当にこの学園に来てたの?!】
ザワザワ...

英玲奈「さあて、引き続き動く体力は残されているかな」ボソ

凛「いつでもOKにゃ!カードキーのためにもっ」ザッ

絵里「私たちを、迅速に導きなさい」フフ

にこサイド

~~~~~~~~~...エレベーター内

にこ「すぅ....はぁ..」柔軟体操中..

深呼吸、深呼吸..

UTX学園もお上品な子たちばかりだと思っていたけど、まさかあんなぶっ飛んだ子がいたとはね...。

優木あんじゅ、UTX学園の御三像(トップクラス)において、アライズのメンバーの一人。
聞いたところによると、大人しく礼儀正しいと耳にしていたのだけれど...

まぁ、こんなところにいたらストレスぐらい溜まるだろうしね、大方はけ口が見えて熱くなっちゃっているのでしょう。

_____まもなく19階 多目的ホール

この学園では勝負というものを行い、自分の信者(ファン)を増やすために、多くのライブやショーを開催すると言われているけれど..どうなることやらね。。

にき「...まだ、動けるわよね私?」

相手がどんな舞台を用意しているか分からない、油断せずにいきましょう。何より、私の学校の生徒であり、アイドルの生徒にもあたる子を..

にこ「みすみす取られてたまるもんですか」

_____19階、19階...多目的ホール..

ウィーン...

にこ「ん!?」

19階に着いた瞬間、舞台がどこで行われるのかがすぐに分かった、当然だ。

廊下を真っ暗にして、エレベーターを出て真っ直ぐ奥に見える大型ホールの扉の隙間から、キラキラと光をはなっていたからだ。

そこからは、人の叫びにも似た熱狂的な歓声がエレベーターホールまで鳴り響いていて、どうにも近づき難い雰囲気を醸し出している。

にこ「うっさいわね..私リンチにあわないかしら..」

そんな冗談でもない冗談をぼやきながら、その奇怪な扉を目指して慎重に足を運んでいった。

そして。

多目的ホール アレンジ/優木あんじゅ

ワーワー キャー ザワザワ

「もぐもぐ...んぐっ..にこちゃん遅~い、待ちくたびれたぁ♪」フリフリ

驚いた。

まるであらかじめ勝負をするつもりだったかのように、体育館の2倍ほどあるホールの中央に舞台は置かれ、真っ暗な空間でうごめくUTX生たち(観客)を差し置き、妖しいピンク色のライトで照らされている舞台で彼女はお菓子を食べていた。

ファンシーでどこか狂気じみた濃い色をふんだんに使用した飾り付けが、あちこちに施された雰囲気で。
優木あんじゅらしいスタイルを散らばしてできたこの箱庭は、自身の縄張りと力を誇示していた。

「ようこそ矢澤にこさん!会えて嬉しい..嬉しすぎて、お菓子がすすんじゃう♪」ウットリ..

優木あんじゅの近くにあるテーブルには、アフタヌーンティーでよくある洋菓子や色々なブレンドティーがあり。

そこに、手錠をかけられた花陽が座らされていた。

にこ「悪趣味ね、この雰囲気も、誘拐した人への扱い方も..」スタスタ

あんじゅ「あらーん、お気に召すと思ったのにぃ!それにこれ、素敵な手錠でしょう?優木あんじゅって名前を書いておいたの!」

あんじゅ「自分の物には名前を書かないとね、ふふ♪」

にこ「あんたねぇ..っ!?花陽は、どうしたの?」

花陽「」ウツムキ..

あんじゅ「あー、さっきまでうるさくてね?ちょっとね、叩いたら静かになっちゃった❤︎」

にこ「....うちの生徒に手を出すとは、いい度胸してるわね」グッ

あんじゅ「だーいじょーうぶ♪納品予定の商品を傷つけるヘマはしないよぉ?」ケロ

にき「.....っ」プルプル

あんじゅ「花陽ちゃんも、起きたらはれてここの模擬生か~♪...あ!失礼、まだ勝敗は決定していないのにね?」テヘ

あんじゅ「油断するなって英玲奈にいつも言われているのに、もう最高ねぇ私ったら」モグモグ

あんじゅ「おーいしい!このスコーンっオレンジ風味なんだぁ、にこちゃんも食べる?」ヒョイ

....イかれてるわ。

これから勝負だってのに、悠々に菓子を食べてくつろいで、緊張感ってものがないのかしら、こいつ。

にこ「..遠慮しておくわ、間食はおまんじゅうで十分よ」ハァ

にこ「ねぇあなた。仮にも、スクールアイドルとしてこれから勝負するわけでしょう?」

にこ「そんなお気楽で良いのかしらね」

あんじゅ「んー?スクールアイドル?」

「あはは、なにぃ?それ」

にこ「...はぁ?」アセ

あんじゅ「英玲奈や私のボスは、私をその"スクールアイドル"とやらに誘ったつもりでしょうけど..そんなの私にとってはPR活動に過ぎないよ!」キャハ♪

あんじゅ「私はここに来て、アイドルの頂点を目指すためにやってきた。ただ、それだけだもん」

あんじゅ「いちばんのアイドルはまだ無理だけど、アイドルにはなってるよん♪スクールなんちゃらなんてしーらない」

にこ「...すでにアイドル気取りだなんて、恐ろしいやつね」

あんじゅ「うふ、ほめられちゃった?」

それはないわよ、その勘違いと油断が英玲奈に注意されているのを本当に理解しているのか..ないか。

あんじゅ「さーてと、糖分摂取もかんっぺきね!それじゃ、あなたの生徒さんを賭けた勝負を行いましょうか♪」

にこ「ええ、勝負の内容はダンス?ステップ耐性?歌?なんでも良いから、はやく始めましょう」

あんじゅ「ノンノンノーン❤︎焦らない焦らない、私はまだ体を動かすなんて一言も言ってないわよぉ」

にこ「(ん..?)」

どういうことよ、あなたが一番やりそうなことじゃない。
体を動かす以外に、なにがあるっていうのよ..

あんじゅ「あれぇ~?想像できない?...そっか、アイドルをやめてもう1年以上は経ってますもんね」ケラケラ

にこ「なにが..」ピク

あんじゅ「現役との差を思い知っちゃうかもね~..え~、このたび優木あんじゅvs矢澤にこの勝負はぁ...」

「"アイドル問題ガチンコ勝負!withバランス耐久" でーす♪」ウフ

にこ「!?」

\\\\\\\ワアアアアアアァァァ!!!!!////////

あんじゅ「ルールはすっごく簡単よ!まずは二人一組のチームになってね?取っ手がついてるヘンテコな"台の上に立つ人"、台の上に立つ人を"応援する役"の二手に分かれます♪」

にこ「...二人、一組..?」

((見本))

UTX生B「あなたが台の上に乗ってちょうだい、私が応援役になるから」

UTX生A「はーい、あ!にこにぃがあんなに近くに、うれしい...」ギシ..

あんじゅ「..ちっ...そして、応援役はアイドルに関する問題に答えます!早い者勝ちで正解を答えたらそのチームに1ポイント、成功ってやつね❤︎」

「答えは一度きり♪それと、先に相手チームに正解されたチームには..」ニィ~

_______ファンファン!!...動作開始、おつかまりください。

ガチャコンッッ!

UTX生B「きゃっ!?」グラッ

にこ「!!!」

>292 最後訂正

UTX生A「きゃっ!?」グラッ

にこ「!!!」

あんじゅ「もう一人の相棒が立ってる台がさ、徐々に裏返しになっていくから気をつけて~」

あんじゅ「落ちないように取っ手をつけておいたけど、後は握力の問題なのかな~、落ちたらそこで失格ね♪」ハハ

UTX生A「おお落ちちゃううう..アンジュさまああ」ググ..

あんじゅ「.....そうそう、あの台の下には大量の粘着剤があるから」フフフフ

にこ「粘着剤...?」

あんじゅ「落ちたら髪の毛にもひっついて、取れなくなっちゃうかも~...あ、そうなれば切れば良いのかしら?!」

「あは!「はは!「あはははははは!「アハハハハハハハハ!」」」」....

UTX生A「は、はやく台を元に戻してくださいい!落ちるうう..」ググググ..

にこ「優木あんじゅ!はやく台を戻してあげなさい!」

あんじゅ「あはは..はーあ面白い。きゃんきゃんうるさい猫たちだこと、分かってるわよ...エンジニア、元に戻しなさーい」

____ウィウィーン...

ガチャコン

UTX生A「た、助かった...」グスリ

UTXB「」ゾクッ..

あんじゅ「つまり、はやく正解してポイントゲット、相手チームの台をじわりじわりとひっくり返して落とす!!」

あんじゅ「楽しい戦いになると思わない!?」

にこ「全くね...でも、二人一組と言っていたけれど私はどうするのよ?」

あんじゅ「そこはご心配なく♪そこにいる花陽ちゃんと組ませてあげるから❤︎」

花陽「」グッタリ...

にこ「(こいつめ....これだと、私が台に立つしかないじゃない)」

あんじゅ「もしにこちゃんが台に立つことになっても、特別に問題に答える権利を与えようかなー!せめてもの情けね♪」

なにが情けよ、仲間を穴に落とそうとした薄情者のくせに。それに、私を狙ってるのが見え見えよ。

あんじゅ「台に立って取っ手にひっつきながら、問題に答えていく矢澤にこ...きゃーん、かっこいいー!ヒーローだわ」ルンルン

にこ「花陽.....」ナデナデ

花陽「」

とっとと終わらせて、花陽の手当てをしてあげなきゃ..ね

あんじゅ「それじゃ、各自位置につきましょう!準備が出来次第はじめます!」ウィンクッ

【【【【【アンジュ様~~!!ワーワー ザワザワザワ】】】】】】

~~~~~~~~~~~~~~~~

アイドル問題ガチンコ勝負!withバランス耐久

応援役

優木あんじゅ
小泉花陽

取っ手つきの台

UTX生A
矢澤にこ

あんじゅ「Aちゃん、取っ手をうまく使って、体幹を意識して落ちないようにバランスとるのよぉ?」クス

UTX生A「は、はい...よろしくお願いします..あんじゅ様..」ビクビク

UTXA「......」ガクガク


>>>>>>>>>>

『さっきあの矢澤にこが近くにいて、嬉しいって言ってなかった?』

『ここがどこなのか分かってるの?ねえ?私の舞台よ?』

『次同じことして邪魔するならさ、うーん....あは❤︎』

『全身の毛という毛が、無くなって涼しくなるかもね』ギロリ....

<<<<<<<<<<<<<

UTX生A「」ブルブル

にこ「(あの子、なにがあったのかしら。あんなに震えて..)」

あんじゅ「それでは矢澤にこさん!最後に何か言いたいことはありますか?」ニコ

【あんじゅ様~!!!】

にこ「....まるで、もう勝敗が決まったような言い方ねぇ..」フゥ

【にこにぃ~かわいい!にっ..!?..ぐっ【や、やめ【.....

あんじゅ「おとと、また先走りしちゃった、ふふ♪でも、私からは言いたいことがあるんですよねー」

【今度あんじゅ様を応援しなければ、この観客席から排除して...】【ふむふむ....

にこ「なに?頭の準備体操を兼ねて問題でも出してくれるの?」

あんじゅ「違いますよぉ~!」プンプン

あんじゅ「私、優木あんじゅは矢澤にこを絶対に許しません❤︎」

にき「....なに?」

あんじゅ「ずっとこれが言いたかったんです、あの時からずっと、ね...あーすっかりした♪」ケロッ

あんじゅ「さて、あとは宿敵を穴に落として勝てばハッピーエンド」クル...クル...

UTX生A「.....」ブルブル

にこ「(あの時?なにが、私を許せないっていうの?あの子、一体..)」

あんじゅ「ポイントについては、10ポイントを先に制した方が勝利。二人とも、落ちずに平和に終われば良いねー」ウットリ..

UTX生A「ひっ...」ビクッ

にこ「.....」

あんじゅ「にこちゃんの方には、取っ手付近に回答ボタンがあるのでよろしくぅ」

あんじゅ「さあ!始めましょう、ファンシーでキュートな復讐劇を♪」キャハ

【オオオオオオオオオオオオ!!】ワアアアアアアァァァ

{第1問 20##年に日本テレビで放送された『全国中学校クイズ選手権』での応援ソング『初夏highタッチ』の歌ったアイドルグループは?}

ポーンッ!!

にこ「サイバーガールズ!!!」

あんじゅ「!」

_____ピンポーン!正解です、にこチームに1ポイント

ガチャコンッ!

UTX生A「きゃっ..!!」フラッ

あんじゅ「あー!Aちゃん大丈夫!?かわいそーう!」

にこ「(ふぅ、とりあえず1問目はなんとか答えられた、それにしても)」

あんじゅ「.....」

にこ「(やけに冷静ね、さっきまでとは少し変わって...)」

{第2問 20##年に公開されたホラー映画『クロメ』に主演したアイドルグループは?

ポーン!

にこ「にじいろグローバル!!」

____ピンポーン!正解です、にこチームに1ポイント

ガチャコンッッ

UTX生A「ま、また傾いた..」ヒィッ

あんじゅ「がんばってAちゃ~ん♪」フリフリ

あんじゅ「そんじゃ!私もそろそろ本気出しちゃおうかな~!」

にこ「なんだ、様子見だったってわけね」

あんじゅ「うーん、それもあるかな..なにより、これからのために最後のお慰めというやつ?」

にこ「なにそれ、イミワカンナイわよ..」

{第3問 おワン子クラブ会員番号16番 まえあしゆびさされ組のメンバー映画「恋する乙女たち

ポーン!

あんじゅ「高井戸麻巳子!!」

にこ「!」

____ピンポーン!正解です、あんじゅチームに1ポイント

ガチャコンッ

にこ「うわっ..とと..」フラ

あんじゅ「あはは、危ないね?危ないねぇ?」

UTX生A「.....」

にこ「くっ...こんな傾きぐらい余裕よ..」

まさか、問題文が読まれるまでに回答するなんて、予想外だわ。

あんじゅ「どんどんいってみよー♪」

{第4問 UTX25でセンターを務める後田薄子が好きな食べ

ポーン!

にこ「なっ!!!」

あんじゅ「カスタードシュークリーム!!」

______ピンポン!あんじゅチームに2ポイント

訂正
______ピンポン!あんじゅチームに1ポイント

ガチャコンッ!

にこ「!!」グラ..

あんじゅ「わーい、これで2対2で同点!」

あんじゅ「どうにこちゃん?傾き具合は?」フフフ

にこ「...ええ、サーフボードに乗ってる感覚で楽しめそう、引き続き重心をずらさないようにボタンを押さなきゃね」

あんじゅ「ふーんだ余裕ぶっちゃって」

にこ「(まずいわ、こいつ答えるスピードが速くなってるわね...)」

{第5問 アイドルユニットにじいろグローバルの赤色担当は過去にある大失敗

ポーン!

あんじゅ「スタジオににんにくカレー弁当を持ってきてしまったこと!」

______ピンポン!あんじゅチームに1ポイント

ガチャコンッッ

にこ「くっ....」グラリ..

は、はやい..
全文聞かずに答えるなんて、問題を間違えることを恐れていないの?

それに、さっきからマイナーであまり有名ではないアイドルグループの出題が多いし、こいつのプロフィールに"アイドル趣味"なんてあったかしら。

~~~~~~

{第6問 軽井ダンスオーディションの優

あんじゅ「優勝は芥川町子!!」

______ピンポン!あんじゅチームに1ポイント

...

{第8問 ゴリラ~ミュの三人組の中で、ゴリラ星人の

ポーン!

あんじゅ「孫となっている設定の、五理羅プリンちゃん!」

_______ピンポン!あんじゅチームに1ポイント

ガチャコンッ!!!

ガチャコンッ!!ガチャコンッ....!!!

...

第10問終了

にこチーム 2 vsあんじゅチーム 8

あんじゅ「やったー♪連勝連勝!!私ってすごーい」

にこ「....っ」取っ手ガッチリ

あんじゅ「ありゃ、矢澤にこちゃーん?だいじょうぶー?」

にこ「うっさいわね、話しかけんじゃ、ないわよ...」ギュッ

あんじゅ「あは、あはは!台がだいぶ傾いてきたね、もう90度になるのかな?」ウキウキ

あんじゅ「いつまで取っ手を掴んだまま耐えられるか見ものだね!それにその体勢じゃ、ボタンを押すのも一苦労ね❤︎」

にこ「...あんた、計ったわね」

あんじゅ「ん?なにが?」

にこ「出題のことよ、あんなに決まりよく、誰も知らないマイナーな内容をはやく答えるなんてありえないわ...」

にこ「おおかた、問題と解答をあらかじめ暗記したんでしょうに、この...」

あんじゅ「

ひどーい!まぁ、否定はできないけど♪今さら気づいたの?」

UTX生A「...もうやめて...あんじゅ様...」ビクビク

花陽「」ウツムキ...

にこ「...なにが、私をそんなにゆるせないの?..あんた、そこまでして私に勝ちたい理由はなに?」ググッ

あんじゅ「...本当に覚えてないんだ、はは♪嬉しい、やっぱり矢澤にこは"本物"だったんだぁ」

「アイドルを目指し始めた頃の私に、あんな屈辱を味あわせておいて....」ギロ

~~~~~~~~~~~~

優木あんじゅ 中学1年生の頃

UTX学園附属のダンス予備校

「あんじゅちゃーん、今日もおつかれさまぁ」

あんじゅ「うん、そっちもおつかれ!なんか今日の練習、いつもよりきつくなかった?」フゥ

「そうだねー、ダンスの先生もピリピリしているし、どうしたんだろう」

あんじゅ「私のダンスの出来に、もう何も言えなくなったのかもよー」フフン

「はは、相変わらずの自信過剰なやつだよ」

インストラクター「みんなーレッスンご苦労様!今日はみんなにサプライズとして、あるゲストに来てもらってます」

あんじゅ「サプライズゲスト..?」

「人じゃなくて、美味しいオヤツだったらよかったのにぃ」

あんじゅ「こんな殺伐とした練習場所で、それはちょっと考えられないかもね..」

インストラクター「みんなはスクールアイドルっていうのはもう知ってるわよね?高校生の女の子が流行らせたアイドルブームの一つでもあるけど」

あんじゅ「スクール、アイドル..?」

「ああー!特に最近は大会まで開かれるぐらい、人気が出てきたもんねー」

あんじゅ「なにそのスクールなんたらって、学校内でお遊戯でもするわけ?」フフ

「違うよあんじゅちゃん、スクールアイドル!今若い世代で特に人気があってね~」

「うんうん、去年か一昨年ぐらいだっけ?ひとりの女子高生がそう名乗って、学校生活を送る人たちに少しでも身近にアイドルができるように、企画したイベントが発端だったよね」ウキウキ

あんじゅ「なにそれ、ワケワカンナイ!アイドルはもっと上に行く者たちだけが到達できる、強いスター性を持つものでしょう?」

「あんじゅちゃん、もう時代は変わりつつあるんだよ..もっと柔軟にならなきゃだめだよー」ギャハハ

あんじゅ「もう!またバカにして!」プン

「はいはい、そこのじゃじゃ馬ちゃんたち、静かにしてちょうだい」ハァ

あんじゅ「はいはい、わかりましたよーう」フフ

「あんじゅ、あんた反省してないでしょー」クス

インストラクター「こんな時まで世話かけないでよね、あなた達..今日はね、この予備校でUTX学園を目指すみんなのために、そのスクールアイドルを最初に始めた方を呼んでおいたわ、どうぞ"ヤザワニコ"さん」

ドアの外<<「はい、失礼します」

____ガチャ

「え、ヤザワニコ?」
「うそうそ、本当に?!」

あんじゅ「ヤザワ..ニコ..?」

ニコ「初めまして、ヤザワニコです。今日は練習でお疲れの中、お招きくださりありがとうございます」ペコ

「!?本物だよぉ!」コソコソ
「顔ちっちゃ!!お人形さんみたい」コソコソ

インストラクター「こちらこそありがとうございます。今日はみんなに、芸能界に入ったヤザワさんのお話を聞いてもらいたいと思います」

インストラクター「では..あとはお願いできますか?ヤザワニコさん」

ニコ「はい、短い時間ですが、よろしくお願い致します」

「ヤザワニコって、たしかUTX学園のトップスリーを打ち負かしたって噂だよね..」ボソボソ

「たしか...音野喜?音ノ木?って学校の出身だっけ?」コソコソ

「あの後、倍率が急上昇したっていうもんね..」ボソボソ

あんじゅ「.....ふーん」

ニコ「それでは改めて、みなさんに自己紹介をしたいと思います。私は現在、芸能界に...
___
____
_____

「スクールアイドルから、アイドルになったときはどう感じましたか?!その後の活動は?!」ウキウキ

ニコ「そうですね、嬉しい気持ちもありましたが、特にやることは変わらなかったですね」

ニコ「巷では、アイドルかスクールアイドルかで、どうしてもアイドルの方が優れていると仰る方もいるようですが」

あんじゅ「」ギクッ

ニコ「そもそも、お客様を楽しませて喜ばせることに優劣をつけること自体、私としてはナンセンスだと思っているので」

ニコ「そこまでの大きな変化は感じなかったというのでしょうか」

「はい!はい!なんでUTX学園には入学しなかったんですか?!」

「なんてこと聞いてんだよ...」ボソボソ

ニコ「どうしてか、ですか。単純に入学するほどのお金がなかったからですね」

ニコ「詳細はお話することができませんが、私の家はあまり裕福ではありませんでしたので」

ニコ「それで、近くの音ノ木坂学院に入学したという、それだけのことです..答えになってますかね」

「は、はい!あり ごとうございました!」ペコ

ニコ「ふふっ、ありがとうございました」ニッ

「あいつ緊張して噛んじゃってるよ」フフ

ニコ「他に質問したい人はもういないですか?」

「いろいろ聞けてよかったね~」ホッ
「後で握手してもらおう..」ワクワク
「UTXじゃなくても、自分が目指す限り場所は問わないって...かっこよすぎぃ」キャッキャッ

ニコ「...それでは、質問は以上で

「ん!!!!」ビッ!

ニコ「終わり..に?」

あんじゅ「ん!!!わたし優木あんじゅ!ヤザワニコ、私とダンスで勝負してよ!!!」

「「「「「!!!!???」」」」」」

「あんじゅ!何言ってんの!?あなた」

ニコ「...あんじゅちゃん、可愛い名前ですね」

あんじゅ「どうも、それにいろいろな武勇伝を聞かせてくれてありがとう、ヤザワニコ?さん」

「(あんじゅのやつ、どういうつもりだよ...)」ザワザワ

あんじゅ「私ね、将来は誰よりも魅力的で人気のあるアイドルになるのが目標なの、そのためにいっぱい練習して、ダンスも歌もどんどん成長させてる段階なのよ」

ニコ「まだ中学生なのに、もう将来の事を考えているなんて、アンジュちゃんはすごいですね」フフ

あんじゅ「...そうやって、大人はすぐに子供扱いする。私はね、そこらへんの中学生とはレベルが違うの、レ・ベ・ル!お分り?」

「「「「(むっ....)」」」」ジロ

ニコ「......」

あんじゅ「このスクールでの課題はもう終えちゃったし、毎日同じような人たちと同じように練習するのも退屈でね..ねえ、良いでしょ?一緒にダンスで競争しよ」

ニコ「.....分りました、あと少し時間があるので一緒に踊りましょうか」

「(やばいでしょ、あんじゅのやつ..あのヤザワニコに喧嘩売るなんて)」ボソボソ
「(でも、アンジュの方もUTX候補生の期待の星って言われてるし、もしかして勝っちゃうんじゃ)」コソコソ

あんじゅ「言ったわね、もう逃げられないよ?」

ニコ「はい、それよりインストラクターの先生が来る前に、早く終わらせたほうが良いかと」

あんじゅ「(ふふ、スクールアイドルの成り上がりだか知らないけど...私の特技でメッタメタにしてあげる!久しぶりにワクワクしてきたぁ...♪)」

ニコ「...はぁ」



~~~~~~~~~~~~~
ズン♪ ズン♪ ズン♪

「「「「「「........」」」」」」」

「あんじゅが...」

カカッ♪ カカッカカ♪ ズン♪ ズン♪

「得意のヒップホップで、負けてる...」

あんじゅ「はっ....は..ぁ...」ポタポタ..

ニコ「あんじゅちゃん、もう6ラウンドですよ?さすがに、そろそろ講師の方が戻ってきますから、ここらへんで」

あんじゅ「ま、まだ...」スカッ スッカ

「あんな動きがめちゃくちゃなあんじゅ、初めて見たよ」ボソボソ
「ヤザワニコってアイドルなんだよね?なんで、ヒップホップの技ができるの?」コソコソ

ザワザワ

ズンチャ♪ ズン♪ ズンズンチャ♪

ニコ「....」スッ♪ ススッ♪ クルッパッ!

「小さい体をふんだんに動かして、きめ細かいテクニックを使うね~」ウワー
「ロ、ロボットみたい....」

あんじゅ「(どうなってるのよ、なんで、なんでなんで!!この人、こんなに踊れんのよっ..)」ハァハァ

ツルッ________

あんじゅ「ぁっ....」

「「「「あぶないっ!!!!」」」」

ニコ「!」スッ

あんじゅ「きゃっ...!あ、はれ...?」

ニコ「はぁ、ほら、言わんこっちゃない」ギュ

「「「「ホッ...」」」

ニコ「私が歌って、少し揺れる程度のダンスしか出来ないと思ったんですか...?あんじゅちゃん」フゥ フゥ

あんじゅ「はぁ....はぁ..離して、よ」パシッ

ニコ「....これでダンスはおしまい、良いレッスンになりましたね?」

あんじゅ「なっ!わ、私をバカにしてるの!?」

ニコ「いえ、あんじゅちゃんの諦めない気持ち、姿勢、その意欲は私ですら驚くぐらいすごいと思えます」

ニコ「ただ、残念ながらあんじゅちゃんは、このままでは、アイドルには到底なれないと思います」

あんじゅ「!?」

にこ「....あんじゅちゃんがいう勝負に負けたからとか、そういう理由ではありませんよ?」

あんじゅ「な、なによ..普通の高校でアイドルの真似事を始めたやつが、私に説教するつもり?!」ワナワナ

ニコ「...あんじゅちゃん、アイドルが一番大切にしなければならないものって、なんだと思いますか?」

あんじゅ「はっ、そんなの決まってるでしょ、私の可愛い姿と、とびっきりの笑顔で、多くの人間を魅了することよ!」

にこ「それで?どうなるんですか?」

あんじゅ「え、それでって...それだけよ!これ以上なにがあるの?!」

にこ「仮にあなたのパフォーマンスを見にきてくれる人達が居るとして、その人たちに伝えたいことはないの?メッセージ、思いは?どうしてあの舞台に立とうとする?」

あんじゅ「はぁ?べ、べつに理由なんてどうでも...」タジタジ

にこ「どうでもよくない!!」カッ!

「「「「「「!?」」」」」」」ビクッ

あんじゅ「ひっ...」ピクッ

にこ「可愛い姿を見て欲しいから?目立ちたいから?それなら、そこらへんの路上で道化にでもなってなさいよ」

あんじゅ「んなっ...!」

にこ「あのね、アイドルってものはお客さん、元いファンありきなの、応援してくれる人たちが支えてくれるから成り立つのよ」

にこ「その応援してくれる人たちは学生、社会人、おじいちゃんやおばあちゃん、果ては小さい子供から大人までみーんながアイドルを見るの」

にこ「毎日勉強して働いて、大変な思いをしてる人に頑張って欲しい、負けないで、歌で言葉で、時には踊って表現をし、彼らを私たちアイドルも応援する」

にこ「あなたは誰のために、何のためにアイドルになろうとする?」スタスタ

あんじゅ「あ...ぁ..」ビク

ニコ「あなたは何様なの?自分のためだけに、自己満足のために、ファンを、支えてくれる人たちを利用するつもりなの?」スタスタ...

ニコ「それは見当違いだわ。アイドルは可愛い姿も笑ってる姿も、気取っておごりたかぶる醜態を見せるものでもない...」スタ...スタ...

あんじゅ「わた、わ、たしは....」ビクビク

ニコ「暗い世の中を明るくし、寂しい心を満たす、落ち込んだ時もそばにいるように歌で語りかけてあげるもの」スタ...

ニコ「なにより、アイドルは笑顔を見せる仕事じゃない...」ピタ

<<<笑顔にさせるのが、アイドルの仕事なのよ>>>

ニコ「あんまり"偶像(アイドル)"を舐めんじゃないわよ、優木あんじゅ」ボソッ

あんじゅ「っ...!!?」ゾクッ

あんじゅ「ぅ...ぁっ..」ガク..

「「「「「「(......)」」」」」

_________シーン

ニコ「...はいっ!今日の特別講習はここまで!少し長くなってしまいすみませんでした」ニッ

ニコ「まだ講師の先生が来ないので、ちょっとはやいですけどみなさんにプレゼントがあります」

「...あ!あれって、ラブライブの観賞券!?」
「まじ!?毎年満員でなかなかとれないのにぃ」

ニコ「みなさんもアイドルに限らず、芸能についてこれからたくさん学ぶ機会があると思います」

ニコ「いろんな人が活躍している姿を見て、自分の将来の糧にしてくれれば私も嬉しいので、これを」

「もしかして、いただけるんですか!?」

ニコ「もちろん!視野を広げて、もっともっと大きくなってくださいね」

「やったあ!いろんな世界を見て、もっと頑張らなきゃねー!」
「テンション上がりすぎだよう!」ワタワタ
「そういうあんたも落ち着いてないじゃんか」アハハ

あんじゅ「.......」

ガチャッ

インストラクター「遅くなり申し訳ありません!...あら、それは」

ニコ「ラブライブの観賞券です、後でみなさんに手渡してあげてください」

インストラクター「まぁ!助かります、この子たちも気になっていたところでして、ありがとうございます」

ニコ「それでは私はここまでで、今日はありがとうございました!」ペコ

「えー!もう行っちゃうの~?」
「もっとお話ししましょうよ~!」
「ダンスで難しいところあるから、教えてくださーい!」

ガヤガヤ ザワザワ

インストラクター「あら~、それならわたしがじっくり見てあげるから安心してね、補修としてこのあと残りなさーい」ニコ

「え、ええーーー!!」

クスクス

ニコ「...」チラ

あんじゅ「...」

インストラクター「ヤザワニコさん、またいつでもいらしてくださいね、芸能活動も頑張ってください」

ニコ「はい、とても楽しい時間が過ごせたと、改めてお伝えください、それでは...」

「「「「さようならー!!また来てくださいー!!」」」
...
......ワーワー

「絶対に行こうな!朝早くから並ぶんだ!」
「そんな、ライブ会場も開いてないのに張り切りすぎ!」

あんじゅ「...」

「あ、あの、あんじゅ?」アセアセ

あんじゅ「...」

「あんじゅちゃん?だ、大丈夫?」タジ...

あんじゅ「...」

「あは♪」ニコ

「!!?」

あんじゅ「ふふ、ふっふふ♪くく、あはははは♪」

「あんじゅ、どうしたんだよ、おい...」

あんじゅ「ねぇ、ヤザワニコってアイドルの資料とか、経歴、高校、他もろもろ、参考になるものってこの予備校にある?」

「え...多分、芸能研究室でパソコンやCDが揃ってるから、そこで調べられると思うけど...」

あんじゅ「そう、ありがと」スタスタ

「ちょっとあんじゅちゃん!どこ行くの!?ラブライブの観賞券は!?」

あんじゅ「ふふ、すごい、すごい、すごいすごいすごいすごい、すごいすごいすごいよ❤︎」スタスタ

あんじゅ「あれこそ...あの目、気迫、信念、ヤザワ、ニコ、アイドル、本物、笑顔、すごい、ふ、ふふ♪」ゾクゾク...

「あんじゅのやつ、どうかしちまったのか?」ボソボソ
「キツイこと言われてたしなー、でもしょうがないよね」ボソボソ

あんじゅ「あは♪許せない、許せない許さない許しはしない❤︎許すもんか許せずにいられるか許してたまるか...♪」ブツブツ

インストラクター「ゆ、優木..?チケットはいらないのか?おーい」

ガチャッ

___________バタンッ!!

~~~~~~~~~~~~~~~~~

あんじゅ「あれから毎日レッスンのあとには、あなたのこと、アイドルのことについて研究して、またレッスン、研究、その毎日を繰り返したわ...いつか、打ち負かしてやるためにね」

にこ「.....」

花陽「」

UTX生A「あんじゅ様...」

あんじゅ「...って、こんな与太話どうでもいいのぉ!だって、もうすぐあのアイドル、いや今は違うけど♪矢澤にこをメタメタにできるんだからぁ、大切な音ノ木の駒もいただいてね❤︎」

にこ「...あんた、そんなことでここまでのことを繰り広げるなんて...本当に狂ってる」

あんじゅ「なんとでも言えばいいわ、結果的に私が満足すればいいの、そこに難しい理由なんていーらない」フフ

にこ「そう、なんだかあんた、すごい可哀想な子ね」

あんじゅ「.....は?何言ってんの」

にこ「だって、ここまでアイドルを頑張ってきたのも、全部憎しみでやってきたってことでしょ」

にこ「今は、笑顔を見せることすらできない、化け物と化してるじゃない、私があの時言った言葉理解できてたのかしら」

あんじゅ「...あーあ、面倒くさい、もう耳障りな説教はけっこうよ!今でも笑顔で、あの時より最高の笑顔で周りの人たちを魅了してるわ、見てよ、この観客たちを」

【【【【【【】】】】】】】】ギラギラ..

あんじゅ「こんなに私を見てくれる、崇めてくれる、私ったらまさに偶像そのものよね」アハハ♪

にこ「...なに言っても分からないようだからもういいわ、問題の続きを始めましょう?勝って、今度こそその腐った根性を叩きなおしてあげる」

あんじゅ「勝って根性を叩き直すですって?アイドルをやめて、まだ現役でいるつもりなの、おかしーい♪」

にこチーム 2 vsあんじゅチーム 8

あんじゅ「いいよ、もうそろそろあんたが取っ手を掴んで耐えてる姿を見るのも飽きてきちゃった」フゥ

あんじゅ「というわけで残り2問!張り切っていこうね、にこちゃん❤︎」

にこ「くっ...(手が...掴んでるだけで痛い..)」ギュゥ

{第11問 20xx年x月にシングル『ミステリーチェリボーイ』でソロデビューを果たしたyeah! Say!BUMPのメンバーは?}

にこ「(今だっ..!)」スッ

____ポーンッ

あんじゅ「はーい、川田暑介♪」

にこ「....っ!」

____ピンポーン!正解です、あんじゅチームに1ポイント

ガチャコンッ!!

にこ「きゃっ...!?」グググッ

あんじゅ「あはー、90度に傾いてる!山の急斜面を登る途中みたいになってるね♪」ケラケラ

にこ「(あと一問取り逃がしたら、花陽が...)」ハァハァ

花陽「」

あんじゅ「ひゅー♪こんな時にまで、生徒の心配してるの?すごーい、先生の中の先生ねぇ」

あんじゅ「特別にぃ、次の問題でもし正解したらプラス5点あげちゃうよ?まぁ、無理だと思うけど希望点ってやつ?」ハハ

にこ「それは..はぁはぁ...ありがたいわね」ギュゥ...

あんじゅ「それに安心してって言ってるじゃん、負けても花陽ちゃんはUTX学園のいいプロデューサー候補生に育て上げるわよ♪」

にこ「それであんたみたいに仕上がったら、本当に台無しだからやめてよね」ググ...

あんじゅ「...ほんと、どうしたらここまで強気でいられるんだろう、さすがに呆れちゃうな」

にこチーム 2 vs あんじゅチーム 9

あんじゅ「それじゃ、矢澤にこさん、最後にあなたの生徒にお別れの挨拶でもしておいたら?」

花陽「」

にこ「...そんなのないわよ、いつでもμ'sの部活で会えるんだから」

あんじゅ「μ's?それって、音ノ木のスクールアイドルチームかな?英玲奈がよく話ししてたけど...まいっか♪」

あんじゅ「可哀想にね花陽ちゃん、先生はなにもお別れの言葉なんてないってさ、ふふ」チラ

花陽「」

あんじゅ「それじゃラストチャーンス!今までありがとう♪けっこう楽しかったよ、ばいばい」アハ

第12問

あんじゅ「UTXでもない無ブランドの成り上がりアイドルが」

おワンコクラブ 会員番号8番

あんじゅ「μ'sとかいう無名アイドルグループたちと一緒に」

陸上競技短距離インターハイ選手で

あんじゅ「無様な最後を遂げなさい♪」

ドラマ『キスより

______ポーン!

あんじゅ「国小さゆり!」

...

シーン...

あんじゅ「...ん?どうしたの?もう答えたのに...エンジニア~?!故障してるんじゃないの?」

【い、いえ...あんじゅ様、たしかに"ボタンは押されて"、マシンも正常に動いています】

あんじゅ「なんですって、"ボタンは押したわよ"!なんで矢澤にこが落ちないのよ!」

「1966年...12月22日...」

あんじゅ「ん?なにかしら....!!!??!?」

「1966年、つまり昭和41年12月22日生まれの日本の女優・タレント・歌手であり
ペラペラ ペラペラ...
「血液型A型、愛称はさゆちゃん、ソンニー・ミュージックアーティスツ所属
「鹿児島県鹿屋市出身、幼少期を長崎県佐世保市で過ごし、鹿屋市立西原小学校を経て鹿屋市立第一鹿屋中学校、その後は清水ヶ丘高等学校卒
ペラペラ ペラペラ...
「1985年、昭和60年の4月に、おワン子クラブの会員番号8番としてデビュー
「翌年の1986年(昭和61年)に、シングル曲の「バレンタイン・フレンチキッス」でソロデビュー
「本名の正式な表記は「国翔さゆり」で、NHKに出演する際などにはこちらを用いる場合があり
「さゆりという名前は父方が吉永百合のファンであったことから名付けられた...

あんじゅ「うそ......でしょ..」ガタッ

「国小さゆりです!」

____ピンポーン!正解です、にこチームに5ポイント

ガチャコンッ!!!!!

UTX生A「きゃああっ!!」グルリンッ

にこ「はぁ...はぁ..?5ポイント、私のチームに..?」ガシッ...

にこチーム 7 vs あんじゅチーム 9

あんじゅ「ああああんた、さっきまで気絶してたんじゃ..!!」

「...誰が無名のアイドルチームですか..成り上がりアイドルとは、にこ先生のことですか...?」

あんじゅ「あ、あああ...」

にこ「は、花陽...?花陽なの!?」ギュゥ..

花陽「はい..遅くなってすみません、2度もお寝坊してしまうなんて...」ゼーゼー

にこ「ま、まったくしょうがない奴ね!!あんたって子は!!」ハ、ハハ

あんじゅ「あ、ありえない、ありえない、ありえあろえないなろあり....」ガクガク

UTX生A「手が...落ちないようにするだけで、こうも体力が...」ギギギ

花陽「私はどうなってもかまいません、でも、私の仲間と恩師に対して悪いことを言うのは、黙っていられません!!」ハァハァ

あんじゅ「この!私の、舞台で!よくも!やってくれたわね?」

あんじゅ「レ、レベルを最上級にしなさい!!はやく!!」

【し、しかしあの問題は...】

あんじゅ「いいから!!いいからやるのよ!...は、は♪びっくりした...まさか起き出して解答ボタンを押して、あんなに細かく答えるんだもの...問題が良かったのかしら?」

にこ「は、花陽!!そいつはなにしかけてくるか分からないから、気をつけなさい!」ギュッ..

花陽「...はい、待っててください、にこ先生」グッ

花陽「あんじゅさん...私は帰ります、にこ先生と、みんなと一緒に廃校になるとしても、最後までμ'sで活動し続けるつもりです!」

あんじゅ「どこまでもお、愚かな子...覚悟、覚悟しなさい..かんっぺきなショーを台無しにした罪は重いわよ」

【問題のスタンバイ完了です!】

あんじゅ「はやく出題して!!」

あんじゅ「(あの子...小泉花陽、ただの支えたがり屋の普通の子かと思ったけど、どういうこと?)」プルプル

あんじゅ「(落ち着きなさい、あと、一問だけ、内容は暗記した、答えておしまい、それだけよ)」フゥ フゥ

第13問

あんじゅ「(た、たまたまよく知ってただけ、それだけ..上級レベルの問題にたじろぎなさい)」ブツブツ

20xx年にインドネシアで結成された、AKB25

_____ポーン!!!

あんじゅ「んな!!?」

花陽「東京の秋葉原を活動しているAKB25の姉妹グループとして
ペラペラ
「コンセプトもAKB25をモチーフにしつつ、イネシア独自の文化に合わせたアイドルグループに
ペラペラ...
「電通の子会社である電通メディア・グループ・インドネシアに運営事務局を置き
ペラペラペラペラ....

JKT25!」

____ピンポーン!正解です、にこチームに1ポイント

ガチャコンッ!!!!!

UTX生A「ひぃ!急斜面に傾いて...重心が..」ググ

にこ「花陽!その意気よ、暴れちゃいなさい!あんたのオタク知識を馬鹿にする奴は..」

「ここに誰一人として、存在しないのだから!!」

あんじゅ「う、うそ...何者なのこの子..聞いてない、知らない..」ブルブル

あんじゅ「あんた、いったい、どんな訓練を受けたの?芸能学なんていつから..」

花陽「...私は音ノ木坂学院で、μ'sというスクールアイドルチームに所属している...」

「ただの、"オタク(アイドルコンサルタント)"ですよ?」ニコ

【きゃあああああ!!花陽ぉぉお!】
【すごい!!もっとその知識を披露してよー!!】

あんじゅ「!?あんたたち、なに言ってるの!ここは、私を応援するところでしょう!?ほら、あんじゅ

【【【【【【【は、な、よ!は、な、よ!】】】】】】ワーワー

あんじゅ「ひぃっ...な、なんで...どうして..?」ビク

にこ「まだ分かっていないのね、どうして自分を応援してくれないのか」

【おもしろーい!私あんなこと知らなかった!!】

にこ「アイドルは楽しいと思わせ、笑顔にさせるものだといつか言ったと思うけど」

にこ「その手段は、何も歌や踊りに限ったことじゃないわ」

あんじゅ「なに、どういうことよ...」ワナワナ

【えーと、あった!音ノ木坂学院のμ's、小泉花陽って子だよ】ピコピコ
【えー!まだ一年生なんだ!】
【μ'sってアイドルグループなんてあったのね~】

にこ「知識や人柄、別の能力だっていいのよ、お客さんが見るところは、そのアイドルがどんな人なんだろう...そういうところから始まるの」

にこ「気になって、調べて、知り、そのアイドルを応援する、応援されるアイドルは感謝し、また応援してくれる人たちを明るくする」

【はやく続きを答えてよー!】
ワーワー

にこ「花陽を見てみなさい、あんなに答えて期待されてるのに、偉そうな態度を取ってるように見える?」

あんじゅ「....」チラ

花陽「あわわ、え、どうして、私なんかを...あ、ありがとうございます」アセアセ ペコ

【あはは!かわいいー!小っちゃい動物みたいー】
【はなよちゃーん頑張ってー!!】

にこ「いつつ...あんな風に、自分の応援してくれる人に感謝の気持ちを示したり、ちょっとかっこ悪い隙でも見せて、ファンに"人として"近づいたこと、あんたにあるの?」ギュッ..

あんじゅ「人として....ファンに...」

【【【【【】】】】】ワーワー

ガヤガヤ ザワザワ
~~~~

『優木さん?頂点に立ちたければ弱いところを見せないこと、分かった?』

『何ファンと仲良くしてるの!?感謝なんてどうでも良いの、これはビジネスなのよ!変な馴れ合いはやめなさい!』

『先生の言うことが聞けないの?!このっ!体に!教えないと!!わからないの!?』

<いだい"!あんじゅはぁみんなに、笑って"ほしくてぇ"..!!>>>

『強くなるためには、自分のことだけ考えてれば良いの!どうして分からないのかしら?!』

<あぐっ!?...ご、ごめん、なさい..ぐっ..>

<<<ごめん、なさ...

<<ごめん、なさい...
~~~~
あんじゅ「ご、ごめ...さ...」フルフル

にこ「あの子、急に黙ったら様子が変に...くぅ...花陽ー!はやくゲームを進めてちょうだい!もう限界に近いわ!」ギギギ

UTX生A「あうあ..手が..あんじゅさまぁ..」グググ

あんじゅ「A...ちゃん..?はぁはっ..うぇっ」ガクブル

(((『 上だけみなさい、他は必要ない 』)))

あんじゅ「うぷっ...はぁ...ファンの、みんなは..?」チラ

【【【はやくうう!!花陽ーー!!】】】

花陽「あ、あんじゅさん?どうしたんですか..?」アセ..

あんじゅ「うそ..みんなあの子を...?ダメだよ、仲良くしたら、さ、あんじゅは、あんじゅはまた...」ガクガク

【あんじゅ様の様子がおかしいけどどうしたの?】
ザワザワ

花陽「あんじゅさん!?しっかりしてください!大丈夫ですか!?」

あんじゅ「やだやだ、お仕置きやだ、いやだいやだいやだ...」フラッ

_____バタンッ

UTX生A「あんじゅ様!!」

にこ「!?」

花陽「あんじゅさん!!」

あんじゅ「..なさい..ごめ..や...」ブルブル

「しょ、勝負は中止です!あんじゅ様を救護してください!」タタタッ

「例の発作だ、はやく療養室に運ばないと..!」

UTX生A「だめ..もう...限界だ...」プルプル

パッ

_____ガシ!!

【【【!?】】】

にこ「危なかったわね、もう少しで頭ツルツルになるところだったわよ」ハァハァ ググ..
花陽「ちゃんと、手を掴んでてください..!」グイッ..

UTX生A「な、なんで..?わたしたち敵同士でしょう..?」

花陽「勝負は終わりましたし、そうなれば敵も何もありません」

にこ「それより、あの子のところ行ってあげたら?」クイ

UTX生A「!!あんじゅ様!」スタタ!

あんじゅ「Aちゃん..」フルフル

UTX生A「お身体は!?大丈夫なんですか!?」

あんじゅ「大丈夫なわけ、ないでしょう..返り討ちにあって、観客まで取られて..完全にフルハウス..よ」ハァハァ

にこ「花陽、助かったわ...もう少しで私も坊主になるところだったわよ..ありがとう」ゼーゼー

花陽「そんな...もしそうなっても、私はにこ先生についていきますよ」ハハ..

にこ「やめてちょうだい..逆に気まずいわよ」

あんじゅ「矢澤...にこ..」

にこ「....」

あんじゅ「何度私に説教するつもりなの..?おかげでこのザマよ..」ハァハァ

にこ「そうね、あなたが本当のアイドルになるまで、いつでも言ってあげるわよ」

あんじゅ「...最悪、あんんたにはほんとうんざりよ..まぁ、でも..」

「違ったカタチで会えば良かったと、ちょっと思った..」

花陽「あんじゅさん...」

あんじゅ「いいわ..もう行ってちょうだい..こんなザマ見せたくないから..うっ」ブルブル

「あまり喋らない方が..早くタンカをこちらへ!」

にこ「...行くわよ、花陽」ザッ

花陽「は、はい!」タッ

UTX生A「た、助けていただいて、ありがとうございました!」ペコ

にこ「いいのよ別に、こうなったのはあなた達が悪いんじゃないんだから..」

【【【【...】】】】 シーン...

にこ「頂点がどうとか、強さを求めるのも結構な話だけど、その前にさ...」クルッ

にこ「もっと自分の心を笑わせてやりなさいよ、あなた達自分すら笑わせられないなんて..」

「アイドルじゃなくても、人を笑顔にさせることなんてできやしないんだから..」

あんじゅ「.....っ」プイ..

にこ「腐るんじゃないわよ優木あんじゅ、せっかくの恵まれた環境、餌付けされてるんじゃなくて狩りに行きなさいよ..自分の力で」

スタスタ...

あんじゅ「生意気...アイドルやめたくせにさ、こんな私に言い寄ってくるなんて..お節介な教師..」フフ

「あんな人が、うちの学校にもいたら良かった」ボソッ

......

UTX学園 昇降口外

絵里「にこ先生!花陽!」

凛「かよちーん!にこ先生ぇぇ!」

花陽「た、ただいま...遅くなっちゃったね」エヘヘ

にこ「待たせたわね、なんとか罰ゲームは免れたみたい?」フフ

凛「良かった..戻ってきて、良かったにゃ..」ギュウ..

花陽「ふふ、痛いよ凛ちゃん..」ギリギリ...

絵里「にこ先生お疲れ様でした..」

にこ「絵里ちゃんたちも、よく降りてこられたわね、お疲れ様」ニコ

絵里「はい、あの英玲奈って子がハラショーな活躍をしてくれて、なんとか抜け出せました!」

凛「絵里ちゃんも凄かったね~、バレエで人を倒すのなんて初めて見たにゃ」

花陽「バレエ..?踊りでってこと?」

凛「うん、踊り(物理)でにゃ、かよちん」

絵里「それより、にこ先生!ご褒美良いですよね?」

にこ「え?ごほうび?なんか私言ったっけ?」

凛「あ!まずいにゃ!!」タラー

絵里「はい!抜け出す途中で、凛が『にこ先生が上手く抜けだしたらチュウ❤︎してくれる』と言ってたようですけど?!」

にこ「....凛ちゃん..?」ジッ

凛「あはは..あの時は、つい絶体絶命で..」ニャハ..

絵里「先生にも見せたかったです、私の華麗なフル回転(ピルエット、シェネ..etc)で敵を惹きつける様を、みんな見惚れて倒れてましたよ!」ウキウキ

凛「本当は全員を蹴り上げてたんだけど...恐ろしい先輩だにゃ」ボソッ

絵里「さっ!ささっ!先生、敵陣地で勝利の口づけを!んぅ~

にこ「あ、ああ~!!ほら、学校で穂乃果たちが待ってるわよ!急がないと!」ダッ

絵里「ええ!?ご、ごほうびは?!」ガーン

凛「にゃはは!嘘に決まってるにゃ、絵里ちゃんはやっぱりポンコツにゃー!」タタタッ

絵里「嘘ですって..?凛!あなた、待ちなさい!」ギュルギュルギュル!!

花陽「ひい!バレエの踊り(物理回転)をしながらすごい形相で追っかけてくるよぉ~!」タタタタタッ

凛「うわああああ!!ラスボスにゃ!ラストステージってやつだね」ダッダッダ!

にこ「凛ちゃーん!学校に戻ったら、覚えてなさいよ!!」ハァハァ!

---------------
こんばんは、小泉花陽です!
今回の締めと言いますか..
その後、学校に戻った後の話をしますと、慌てて真っ先に駆け寄ってきたのは意外にも真姫ちゃんでした。

普段からクールで落ち着いている真姫ちゃんですが、今回の件で私が本当に居なくなってしまうのかと、待ってる間にそわそわと髪の毛をぐるぐる弄りながら不安そうに待っていたみたいです。

ことりちゃんと海未ちゃんに手を止められて、髪の毛が寝癖みたいになってしまったようで..
最初見たとき、ちょっと笑ってしまいました。

でも、無事に帰ってきたと分かるなり、いつも通りに髪の毛を普通に弄りだすのを見て、私も安心しました。

英玲奈さんからは、私のこれからのスクールアイドル活動を含め、なにか良い影響を与えるであろう新設カレッジへのお誘いをいただきましたが...

いわゆる視野を広げて、進路の手助けのような支援をするといったことであり、決して横取りをする意味でスカウトをしたわけではなかったようです。

むしろ、廃校になる学校の生徒へ、少しでも熱ある人を呼び込みたいと語ってくれていました。
でも...私にはここで十分、いえ、ここが良いんです。

にこ先生が面倒を見てくれて、ときには叱ってくれて...
先輩たちと上下関係なく仲良く一歩一歩進んでいける..同じ年の大切な仲間もいる、こんなところから離れるわけがありません!!

そして夏休みに入り、本格的に暑さが増してきた頃の合宿練習では...

凛「しぬうう!!ほのかちゃーん!」ダラダラ

穂乃果「りんちゃん、そっちは海だよ、汗で目の前が見えてないの?」ボタボタ..

英玲奈さんが言っていた私たちの弱点を思い出し、徹底的に克服するよう、にこ先生と海未ちゃんが開発した共同メニューが実現!

絵里「ハラショー!この筋肉痛が最高ね!」ガクガク

ことり「わっ、絵里ちゃん..?なんで、白目むいてるの?」ハァハァ

海未「今日の練習はここまでです!よく頑張りました、みんな」フゥ

地獄の特訓4泊5日で、海未ちゃん以外、毎度全員が倒れました..海未ちゃん、一体なにものなんですか...

あの夏休み前の出来事、夢からのUTX学園へのリベンジもそうですし、不思議なことからあっという間に時が過ぎて...

そういえば、神社で会ったあの子..ふきよ?という名前でしたっけ..
誰でしょう、そんな子いましたか...
あれも夢だったんでしょうか、そうですよね?きっと..

先日の合宿練習でまだ残る筋肉痛の腕を動かし、机でその子の名前を書いては、並び替えたり、ローマ字にしたり、カタカナやひらがなで何気なく書いていました...すると

!?これって...あの子だよね。

やっぱり夢かもしれません、あはは..

どうしてあの子が夢(?)に出てきたのか分かりません...考えても仕方ありませんね。

今日ははやめに寝て、明日の凛ちゃんと真姫ちゃんとのお出かけに備えましょう!
みなさんもからだを休めてくださいね、おやすみなさい♪

_________
______
___

▶︎UTX学園 療養室 休憩ポット

あんじゅ「.....」

『腐るんじゃないわよ、優木あんじゅ』

あんじゅ「....矢澤、にこ..」ボソ..

?「矢澤にこがどうしたって?あんじゅ」ズイ

あんじゅ「....!?はっはっ...」ビクッ

?「どうしたの、また発作が出ちゃった?何か怖いものでも?」

あんじゅ「はっふっ...い、いつのまに..」

?「そんな驚かなくても~、仲間が倒れたと聞いたら、リーダーが放っておくわけないでしょ?」クス

あんじゅ「え、ええ...あ、ありがと..」ビクビク

?「どういたしまして!ところでさ、あんじゅ」

「あんた、派手に負け散らかしたらしいね」

あんじゅ「...っ..はっ...ぅ、うう..」

?「ははは、大丈夫大丈夫!怖くない怖くない!そういうときもあるよね~うん、仕方がない!」ニコニコ

?「でも、さ...ねぇ」ユラァ

あんじゅ「なに...んぐっ!?」

?「舞台セット、食事、観客動員確保、舞台美術、その他諸費もろもろ..盛大にお金をかけたのに?」ギリギリ

?「よちよち、全部チャラにしてあげる!なんて、それはあり得ないよな~ってさ」

あんじゅ「..バサ..やめ..苦し...」ハァハァ...

?「胸ぐら掴んでるだけだよ、気にしない気にしない!我慢だよ!」ニッ

あんじゅ「ご、ごめん..でも、今はお願い..休ませて..」ゼーゼー

?「ふーん、そうだね、仲間は大切にしなきゃ!うんうん、それじゃ回復次第、"練習部屋"にさっそく行こうか!」

あんじゅ「え、れ、"練習部屋"って..?冗談よね、ツバンッ!?」

?「はい喋らなーい、私が話ししているときに口を挟まないこと、ね」ガシッ

あんじゅ「ンン"ー!?」ジタバタ

?「はははは、元気だね~、本当はもう大丈夫なんじゃない?あ、もしかして仮病か~?」

あんじゅ「ンンン"!!ンーン"!」ウルウル

?「そっかそっか!嘘じゃないって?分かってる、それに私がついてるから、もう大丈夫よ!」パッ

あんじゅ「プハッ...え、英玲奈..英玲奈は、どこ..?」ガクガク

?「ん?英玲奈?...ああ、英玲奈なら、あなたのために、"練習部屋"に先着で入ってるわよ♪」

あんじゅ「あ、うそ..英玲奈が..いや、やだやだ!ヤダヤダヤダ!!!」ジタバタ

?「うわはは、可愛い~、本当に面白いねあんじゅは」ケタケタ

あんじゅ「どうして英玲奈まで!!あんじゅだけで"練習部屋"は事足りるでしょう!?」

?「んん?誰に向かって口答えしているのよ、あなた」

あんじゅ「あっ..」

?「優しい仲間思いな所があったなんて...誰かに影響でも受けた?」

あんじゅ「」ピク

?「らしくないな~、ここはUTX学園、芸能校のトップであり、私たちアライズはその頂上を代表するもの」

?「そのメンバーの一人が厄介なことしたら、そりゃ黙っていられないわよ~、英玲奈を心配したりして..庇ってるつもり?あなたの処分を減らすために、今も別で何十キロと走り続けているのに...」

あんじゅ「!?」ガクブル

?「チッチッチ...いけないね~、うん、イケない子だよ、あんじゅは!」

?「というわけで、今日はゆっくり休んで、明日から一週間ほど、"練習部屋"にこもって強化しまーす♪」

あんじゅ「や、やだやだ...あそこだけは行きたくない!!はっはっ...」ジタバタ ドテ

バタッ

?「おーおー、ベッドから転げ落ちて、危ないよ、あんじゅ?」スタ...スタ..

あんじゅ「こ、来ないで!はっ..来ないでよぉ..」ズリズリ

?「は、はは!あはは!おもしろーい、そんなに動けるなら安心安心」ガシ

あんじゅ「離して!!あんじゅはもう一人は嫌なの!やっと大切なことを思い出したんだからぁ!」ズリズリ...

?「へーそれは良かった!リーダーとしても、それは良い兆候だと思うね!」グイッ

あんじゅ「きゃっ..!」ズリリ..

?「さあ、怖がらないで!代理学習として英玲奈の様子でも見に行こうよ、きっと"良い刺激"になるかもよ!」ニコニコ

あんじゅ「いやああ!!助けて!!えれなあああ!!Aちゃああああん!!!みんなあああ!!ヤダヤダヤダ!!!」

「"にこ"先生ぇぇぇぇぇええええええ!!!」

ズリズリズリズリズリ
ズリズリズリズリズリ
ズリズリズリズリ
ズリズリズリズリズリズリズリズリズリ
ズリ.......

ガチャッ

__________バタンッ!!

...

第三話 リベンジングサマー 終

~このスレの、ここまでのお話~

5月 第二話 コトリ・すとろんぐ えいと

7月 第三話 リベンジングサマー

11月 第一話 M(s)N(t)=s•t=未解式フリーダム

次回は、新スレにて書き続けます。
読んでくださってる方、本当にありがとうございます!引き続き見守ってくださると嬉しいです...。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom