シンデレラガイズ ~シンデレラの武闘会~ (53)

凛「俺の名前は渋谷凛」

凛「186cm、84kg、15歳」

凛「総合格闘技をやっている」

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凛「ある日、学校帰りに歩いていたら」

凛「奇妙な女が声をかけてきた」



P「“最強”に興味はありませんか?」

P「あなたが渋谷凛くんですね?」

凛「誰だお前は?」

P「申し遅れました。私はこういう者です」



凛「彼女が差し出した名刺にはこう書かれていた」



『346ジム マッチメイクプロデューサー』

凛(346ジム・・・!!)


凛「聞いたことがあった」

凛「ありとあらゆる格闘技の猛者たちを集めて、武闘会を開いているジムがある・・・と」

凛「そんなジムがついに、俺に声をかけに来たのだ、と」



P「“最強”に」

P「“最強”に興味はありませんか、渋谷凛くん?」

凛「そのジムは、最強を目指す格闘技者のもとにプロデューサーをよこすのだという」

凛「“最強”」

凛「そのプロデューサーが、俺の目の前に現れた」



凛「ふーん、アンタが俺のプロデューサー?」

P「渋谷凛くん。あなたには最強を目指す資格がある」

P「私といっしょに“最強”を目指しませんか?」


凛「“最強”」

凛「その言葉を前にして、俺に迷いはなかった」



凛「まぁ、そういうのも悪くないかな・・・!!」

凛「プロデューサーを名乗るその女について行くと、とある駅裏の雑居ビルに案内された」


P「ここの地下です」

凛「へぇ。346ジムってのは、案外地味な場所にあるんだな」

P「いえ、ここは支部になります」

P「しばらくはここを拠点にトレーニングなどを行います」

凛「ふーん」

P「いずれは本部にもご案内します」

P「凛くんが勝ち上がれば、ですが」

凛「言ってくれるぜ」

ギィ


凛「古びたドアを開けると、部屋の中にはリングやトレーニング設備があり」

凛「すでに二人の男が室内にいた」

未央「お前も武闘会参加者か?」

凛「だったらなんだ?誰だテメェは?」

未央「ハッ、そうつっかかるなよ」

未央「俺は本田未央。キックボクサーだ」

未央「俺らも武闘会に出るんだよ」

卯月「・・・。」

凛「・・・渋谷凛だ」

未央「デカいな。何歳?」

凛「15歳だ。総合をやる」

未央「・・・タメかよ。強そうだ」

凛「それで、そっちのお前は自己紹介無しか?」

卯月「失礼しまシタ。私は、シマムラ・ウヅキです」

卯月「日系人で、ブラジルから来まシタ」

卯月「柔術、使いマス」

凛(ブラジリアン柔術・・・!)

凛「なるほど、外国人か」


凛(二人とも、かなりできる)

凛(雰囲気でそうわかった)

凛「まぁ、そんなことはどうでもいい」

未央「へぇ?」

卯月「ふん」


凛「どっちから俺と闘る(ヤる)んだ・・・?」ニヤァ


凛「強者を前に、俺は自然と笑っていた」

P「待って凛くん!」

凛「何を待つって?」

未央「そうだぜプロデューサー。こいつ、やる気みたいだけど?」パキ、ポキ

卯月「そちらがそのつもりなら、私も相手になりマス」グッ

P「落ちついて3人とも・・・」

未央「落ちついてられる状況とは思えないね」

P「あなたたちはまだ闘わないわ。まだその時じゃないの」

P「あなたたち3人は『チーム』なのよ」

凛「チーム?」

卯月「それはおかしな話デス」

卯月「“最強”の一人を決める武闘会」

卯月「我々はそのために集められた」

卯月「そういう話だったのデハ?」

P「ええ、その通りよ」

P「でもね、卯月くん。こちらにも管理の都合というものがあるの」

P「あなたたちには、こちらが指定した相手と指定したリングの上で闘ってもらう」

P「そうじゃない限りはファイトマネーも治療費も出ない」

P「場合によっては警察を呼ぶわ」

凛「・・・チームというのは?」

P「試合が決まるまでの間、トレーニングの相手が必要でしょ?」

P「互いに技を教えあうこともできるわ」

凛「必要ないね」

未央「ああ、同感だね」

P「・・・それに、さっき言った通り管理の都合もあるの」

P「各プロデューサーが持ってるチーム同士を闘わせた方がいろいろ都合が良くてね」

卯月「なるほど。理屈はおおよそ理解しまシタ」

P「わかったのなら、みんな拳をおさめてくれるかしら?」

P「卯月くんの言うとおり、“最強”は一人だけよ」

P「そして、チームのメンバー同士が闘うとしたらもっと勝ち残ってから」

P「今は『まだ』あなたたちが闘うべき時じゃないの」

未央「・・・だそうだぜ?」

凛「ふんっ」スッ

P「・・・わかってくれたようで良かったわ」

凛「いつであろうと、最後に“最強”の一人が残るのであれば問題ないと思ったまでだ」

未央「言うぜ」ハッ

卯月「私としては、闘いを管理されるいわれはありませんが」

卯月「まぁ、今は合わせておきまショウ」

P「そう」ふぅ

P「なら、その時がくるまでは仲良くしてね、3人とも」

卯月「了解デス」

凛「ふん」

未央「やれやれ」




「いやいや、そんな必要はないんじゃないかにゃ?」



「!!?」

みく「ファイトマネーもリングも、管理されのも必要ない」

みく「警察を呼ばれようが構わない」

みく「そう思ったのなら、いつどこで誰と闘る(ヤる)のも自由!」

みく「そうは思わないかにゃ?」にやっ


凛「・・・テメェ、どこから這入った?」



凛「四人がにらみ合っていたこの地下室に」

凛「いつの間にか、もう一人」

凛「侵入者が紛れこんでいた」

P「あなた、前川くんね?」

みく「そう、前川マイケル。縮めてみくって呼んで欲しいにゃ」

凛「前川・・・?」

P「あなたの所属支部はここではないわ。この場所をどこで知ったの?」


P「そして、担当プロデューサーをどうしたの?」


みく「知りたいにゃ?」にぃ



凛「前川はこの状況で不敵に笑ってみせた」

凛「俺はわずかに、こいつに同類のにおいをかいだ気がした」

みく「Pチャンにはなにもしてないにゃ。今ごろ亡くしたと思ってる携帯電話を探してるところだと思うにゃ」ジャラッ


凛「そう言って前川は担当プロデューサーからスったのであろう携帯を見せた」


みく「他の支部に武闘会参加者がいるって聞いて、顔を見てみたくなっただけ」

みく「Pチャン教えてくれないから、こうして会いに来たにゃ」

P「・・・そう。前川くん、その携帯を返してもらえるかしら?」

みく「んー。返してもいいけど」

みく「どうしようかにゃあ?」にやっ



凛「またも笑みを浮かべた前川は、今度は視線を俺たちに向けてきた」

凛「どうしても闘りたいらしい」

凛「そしてそれは、俺にとっても望むところだった・・・!!」

凛「お前、原宿の前川だな?」

みく「確かにみくの地元は原宿にゃ。どこかで会ったかにゃ?」

凛「いいや」

凛(俺はこいつを噂程度に知っていた)

凛「だがハーフで、こんな武闘会に出てくる前川を俺は他に知らない。原宿の方では有名らしいな」

みく「へぇ?みくもけっこう売れてきてるにゃ」

凛「ああ、知れ渡ってるぜ」


凛「頭のイかれたヤツがいるってな・・・!!」

みく「ヒヒヒッ、イかれてるはひどいにゃ」クスクス


未央「イかれてるだろ。わざわざ3対1の場所に飛びこんでくるんだからな」

バタン


凛(本田、とか言ったか?)

凛(ヤツがドアの前に立ちふさがり、退路を断つ)


卯月「明らかな挑発。受け流す理由もナイ・・・!」グッ

P「4人とも、やめなさい!」

凛「こいつに言えよ」

凛「いや、言ったところで逃がす気はないけどな」

未央「そうだよプロデューサー」

未央「こいつが言ったことだぜ?」

未央「リングは必要ないってさァ!!」


P「・・・っ!自重してみんな!」


みく「ヒャハッ!イイね、こいつらイイにゃ!!」ニヤニヤ

みく「ヒャハハッ!ヒヒ、ハハッ!!」ケラケラ

みく「・・・はぁ」

みく「帰るにゃ」

未央「はぁ!?」

卯月「どうしましたか、前川さん?」

卯月「今さら怖気づいたとデモ?」

みく「みくはどんな相手と闘うのか見たかっただけにゃ」

みく「相手がビビって逃げ出すようなヤツじゃないとわかったなら、もう十分にゃ」

みく「帰る」スタスタ

未央「アホか。通すかよ」ザッ

凛「ッッ!!本田、避けろ!!」

未央「は?」

みく「・・・!」シュッ

未央「っ!!」ピタッ


凛「前川が袖に隠し持っていたナイフが、本田の喉もとにかかっていた」

みく「リングもルールも無しなら、こういうのだってあるにゃ」

みく「それでもみくとここで遊びたいかにゃ?」

未央「へぇ、そう来るかよ」

P「やめなさい、前川くん。それ以上はダメよ」


凛「やってみろよ」

凛「ナイフなんてそいつに一度刺さっちまえばもうロクに使えないはずだ」

凛「刺した瞬間、残りの二人で飛びかかるぜ」グッ

卯月「ええ。そうデスね」ミキッ

P「凛くん。挑発しないで」


凛「刺してみろ前川」


みく「んー。それも面白そうにゃ」にぃ

未央「よせ渋谷」

凛「あ?」

未央「プロデューサーもいるんだぞ」

未央「得物ふり回して立ち回るってんなら、俺はドアを開けるぜ」

凛「・・・。」

未央「おい、前川とか言ったな」

未央「お前俺を刺したらそのままドアから出てけ」


みく「・・・ほう?」

未央「まぁもちろん刺せたらの話だがな」

未央「お前が今立ってる場所は俺の間合いだぜ?」

未央「ナイフが俺の動脈に届く前に、お前は死ぬよ」にやぁ


凛(本田の言っていることは虚勢ではない)

凛(ヤツの眼がそう言っている)

みく「・・・ふぅーーっ」スッ

みく「ここはみくが負けておくにゃ」しゅるっ


凛「そう言うと、前川は素早く身を翻しドアを開けた」


みく「今日は来て良かった」

みく「武闘会がより楽しみになったにゃ」

みく「それじゃあ、みくはPチャンに携帯返しに行くにゃ!」

みく「また会おうにゃー!」フリフリ

未央「・・・なんだったんだありゃ?」

P「未央くん。ケガはない?」

未央「どこも刺されちゃいないよプロデューサー」

卯月「未央さん、かっこよかったデスよ」

卯月「プロデューサーさんを守ること、私と渋谷くんは考えていませんでシタ」

凛「・・・。」

未央「よせ。照れる」

凛「・・・ふん」

凛「ヤツは原宿の方で知られてる男だ」

凛「格闘技経験や流派は無し」

凛「ヤツはストリートファイターだ」

凛「路地でビルの壁をよじ登り、頭上から襲撃するなどの変則的な戦法を使う」

凛「ネコのようなヤツだと聞いている」


凛「・・・協力して教えあうってのは、こうすりゃ十分か、プロデューサー?」

P「!!」

P「ええ。そうね、凛くん」

凛「ふーん」

未央「ハッ!」

卯月「フフ」

未央「ま、これからしばらく」

凛「ああ。今だけだ」

卯月「はい。『仲良く』していきまショウ」



第一話・『チーム』 終

第二話がなかなか書けそうにないので、一旦html化依頼して区切ろうと思います
また続き書けそうならもう一度スレをたてようと思います
お世話になりました

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