李衣菜「さ」泰葉「む」加蓮「い」 (30)



―――泰葉のお部屋


がちゃっ


李衣菜「――ふい~、いいお湯だったぁ」フキフキ

泰葉「あ、おかえりなさい……って、そんな薄着じゃ風邪引いちゃうよ?」

李衣菜「あはは、大丈夫。すぐ着るから」

泰葉「少し暖房つけるね」ピピッ

李衣菜「ん、ありがと。――あ、お風呂のお湯、勝手に抜いちゃったけど良かった?」

泰葉「ほんと? ううん、別にいいけど……みんな出たら私がやろうと思ってたのに」

李衣菜「へへ、いつも借りてるだけじゃ悪いしさ」

泰葉「そんなの気にしなくても……。ふふ、少しはこの子も見習ってくれたらいいんだけど」チラッ

加蓮「んぅー? なに~?」ゴロゴロ モグモグ

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李衣菜「すっかり加蓮の定位置だよね、泰葉のベッド」

加蓮「だっていい匂いするし、あったかいし。それにテーブルのお菓子にも手が届くしー」

泰葉「はい、お菓子はおしまい」ヒョイ

加蓮「あー、ケチぃ」

泰葉「ケチで結構です。まったく、ご飯は小食のくせにお菓子だけは食べるんだから……」

加蓮「えへ、甘いものは別腹って言うでしょ?」

泰葉「はぁ……とにかくもうダメ、夜も遅いんだから」

李衣菜「ふふっ。泰葉、お母さんみたいだね」

泰葉「こんな大きな子供いらないよ……」

加蓮「そんなぁ、泰葉ママ~♪」

泰葉「気色悪いっ……!」ゾワッ

加蓮「えっ嘘マジ引き!?」

泰葉「っていう演技。ふふふっ」

加蓮「あは、騙されたー」


李衣菜「うーわ……」

加蓮「あ、こっちは本気っぽい」

李衣菜「北条さん……それはないよ」

加蓮「な、名前! 名前で呼んで李衣菜っ」

李衣菜「そんな、私なんて苗字でいいですよ」

加蓮「敬語!? 離れてる、心の距離が離れてる!」

李衣菜「今日は離れて寝てください、北条さん」

加蓮「今度は物理的に!? 待ってよ一緒に寝ようよりーなぁっ」

泰葉「ふふっ、あははは……♪」

李衣菜「とまぁ、お約束お約束」

加蓮「かなり精神的にダメージ食らったんだけど……」

李衣菜「ごめんごめん、加蓮」

加蓮「もうっ」

李衣菜「えへへ、ごめんって」

泰葉「ふふ♪ ――さ、どうする? もう順番にお風呂入ったし、あとは寝るだけだけど……」

李衣菜「んー、どうしよっか。明日も朝からレッスンあるしなー」

加蓮「寝るには早いでしょ。まだ夜は始まったばかりだよっ?」

泰葉「明日貧血でまともにレッスン受けられませんでした、じゃ私たちも困るんだけどな?」

加蓮「う、それ言われると……」

李衣菜「ライブも近いんだから、夜更かしは禁物だよ」

泰葉「そういうこと。はい、決まり。もう寝ましょうか」

李衣菜「だね。寒いし早く布団入りたいっ」

加蓮「はぁ、せっかくのお泊りなのにもったいないなぁ」

泰葉「いつでも来たらいいじゃない。歓迎するから」

加蓮「でもー……トランプとかゲームとか、他にもいろいろ……」

李衣菜「はいはい、歯磨きしよーねー」グイー

加蓮「あぁー……!」ズルズル

泰葉「ふふっ、李衣菜だってお母さんみたいじゃない……♪」トテトテ…

李衣菜「しゃこしゃこ」

泰葉「しゃこしゃこ」

加蓮「しゃこしゃこ」


泰葉「……やっぱり、並ぶと狭いわよね洗面所」モゴモゴ

李衣菜「しゃこ……、もともと一人暮らし用の部屋でしょ? 今さら気にしないよ」モゴ

加蓮「~♪」シャコシャコ

李衣菜「……なんで機嫌いいのか分かんないけど。しゃこしゃこ」

加蓮「くっついてるとあったかいしっ。しゃこしゃこー」

泰葉「んふふ」シャコシャコ

加蓮「――はい、いーっ」

李衣菜「いーっ」

加蓮「よし、白いっ。次、あーっ」

李衣菜「あーっ」

加蓮「うん、奥まで磨けてるっ」

李衣菜「恥ずかしいよねこれ……。ちっちゃい子供みたいで」

泰葉「磨き残しがあったら嫌でしょう? 仮にも芸能人なんだから」

李衣菜「そうだけどさぁ……」

加蓮「ふふ、李衣菜ちゃん? お母さんにちゃんとお口の中見せないとダメでしょー?」

李衣菜「は?」

加蓮「だからお母s」

李衣菜「 は ? 」


加蓮「……泰葉ぁ~っ!!」ギュー

泰葉「あぁもう……よしよし」ナデナデ

泰葉「――明日の支度できた? 忘れ物しないでね」

加蓮「はーい。着替えも出してあるしレッスン着も洗濯済み!」

泰葉「そもそも私の家で洗濯するのが変なんだけどね……」

加蓮「水道代払うよ?」

泰葉「じゃなくて、勝手に洗濯機に入れないでっ」ペシ

加蓮「あう。ふふっ、ごめーん」

李衣菜「ヘッドホンがなーい! どこやったっけーっ」ドタドタ

李衣菜「――危なかった、もう少しで壊れるとこだった……!」

泰葉「ご、ごめんなさい李衣菜っ。まさかあんなところに置いてあるなんて」

李衣菜「い、いいよ、大丈夫。ていうかなんであんなとこに……」

泰葉「そういえば李衣菜がお風呂に行ってる間、加蓮が触ってたような……」

加蓮「付け心地良かったよー?」

李衣菜「そりゃそうだよっ、私のお気に入りなんだから! ……で、その後ヘッドホンをどうしたのかな?」

加蓮「……………………その辺に…………ぽいっと……」


李衣菜「こ、の、あ、ほーっ!!」ギリギリギリギリ

加蓮「痛い痛いいたいいたいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」

李衣菜「ったくもう……。せめてテーブルの上に置いてよねっ」

加蓮「反省してます……。ほ、ほんとごめんね?」

李衣菜「まぁいいよ、壊れてないし。さてと、そろそろ布団入ろっか――」


加蓮「李衣菜……怒ってる、よね……?」

泰葉「大丈夫よきっと。本当に怒ってたら、口も聞いてくれないと思うから」クスッ

加蓮「や、やなこと言わないでよぉ……!」

李衣菜「二人ともなにしてるの? 早くしなよー、暖房切っちゃったし寒いでしょ?」ポフポフ

泰葉「はーい」

加蓮「う、うん……」

李衣菜「……加蓮、もう怒ってないから。そんな顔しないでよ、ね?」

加蓮「……ほんと?」

李衣菜「うんっ。次またやったら分かんないけどねー、へへへっ」

泰葉「ふふっ、こう言ってるけど?」

加蓮「……りーなっ」


ぼふっ!


李衣菜「おうふ!?」

加蓮「よっし、寝よ寝よっ。泰葉もほらっ、私奥行くからっ♪」ヨジヨジ

泰葉「ええ、そうね。寝ましょう♪」

李衣菜「うぐぐ、か、加蓮……上乗らないでぇ……!」

泰葉「――電気消すね……よいしょ」


ぱちんっ


李衣菜「じゃ、おやすみ二人とも」

泰葉「うん。おやすみなさい……」

加蓮「おやすみぃ」


李衣菜「…………」

泰葉「…………」

加蓮「…………」


加蓮「……なにか喋らないの?」

李衣菜「おやすみって言ったじゃん……」

加蓮「ね、ピロートークしようよっ」

泰葉「……意味分かってる?」

加蓮「え? 寝る前のお喋りじゃないの?」

泰葉「……はぁ……」

李衣菜「ダメだよ泰葉、加蓮ってこういうの疎いから……」

泰葉「そうね……知ってた」

加蓮「え、え? なになに、ほんとはどういう意味? 教えてよー」

泰葉「明日、Pさんに教えてもらったらどう?」

加蓮「むー、二人が教えてくれないならそうする」

李衣菜「ぶはっ」

李衣菜(な、なに言ってんの泰葉っ)ヒソヒソ

泰葉(そのほうが面白そうだもの。ふふっ)ヒソヒソ

李衣菜(いや、まぁそうだけどさ……)ヒソヒソ…

加蓮「? なにひそひそしてるの――あっ」

李衣菜「へ?」

泰葉「どうしたの、加蓮?」

加蓮「月、綺麗……ほら、カーテンの隙間から月明かりっ」

李衣菜「あ……ほんとだ。外、こんなに晴れてるんだね」

泰葉「見えない……ん、しょっと」ムギュ

李衣菜「ちょ、泰葉くっつきすぎ……!」

泰葉「だって……わ、本当に綺麗ね」

加蓮「ふふっ、明日もいい天気になりそう。……んんっ」フルフル…

李衣菜「加蓮? って、そんな窓側に寄ってたら寒いよ……もっとこっちこっち」

加蓮「うん、よいしょっと……」モゾモゾ

加蓮「よしっ」ギュ

李衣菜「だからなんで抱きつくの……ていうか拘束された!?」ガッチリ

泰葉「李衣菜、寝相悪いんだもの。こうしないとベッドから落とされちゃう」

加蓮「壁とキスはしたくないもん」

李衣菜「だ、だからってさぁ……」

泰葉「それに……あったかいでしょ?」

加蓮「ね、あったかい。ふふっ」

李衣菜「ん……うん、あったかいね。えへへ」

加蓮「そうそう、素直が一番っ」

泰葉「さすが、レッスンでは一番意地っ張りな加蓮が言うと違うね」クスッ

加蓮「な、なにおう。泰葉だって無理するときあるでしょ!」

李衣菜「私を挟んで喧嘩しないでよね……いい加減寝ようよっ」

泰葉「ふふ、今度こそおやすみなさい」

加蓮「もー……。おやすみっ」

李衣菜「あはは。うん、おやすみ」


―――

――



かっち

  こっち


李衣菜「…………」

泰葉「…………」

加蓮「…………」


李衣菜(……ほんと、あったかいなぁ)

泰葉(どこが、って言われたら……)

加蓮(胸の奥……心がぽかぽかするっ)


(……なんて、言葉にしたら絶対笑われちゃうよね――♪)



―――朝


泰葉「――そろそろ出ましょうか。時間も押してるし」

加蓮「うん、行こっ! レッスンに間に合わなかったら怒られちゃうっ」


李衣菜「…………」ボーッ

泰葉「まだ眠い、李衣菜?」クス

李衣菜「おきてまふ……」ムニャ

加蓮「目が開いてないよ? ふふ、ほんと朝には弱いんだから」

李衣菜「うぅ、こればっかりは……」フラフラ

加蓮「外の冷たい空気吸ったら頭も冴えるんじゃない? ってことで早く、朝マック!」ワクテカ

泰葉「はいはい……分かったから、もう」クス

加蓮「ほら、走って李衣菜っ」グイッ

李衣菜「ほわぁっ!? わ、ちょ、ちょっ加蓮っ! 転ぶっ、転ぶぅぅ!?」

泰葉「あ、ま、待って! カギ掛けないと……ちょっと、二人とも待って~!」



―――


たたたっ――!


李衣菜「うぅ~、さむっ! 手袋持ってくれば良かったぁ」

加蓮「平気平気っ、手ぇ繋いでるんだからっ!」

泰葉「ふふっ、そうねっ」


(――今日も心はあったかい!)



おわり

というお話だったのさ
夏は暑いほう書いた気がするから今回寒いほう、ってことでひとつ


デレステ泰葉はよ……

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