【艦これ】地獄艦娘2(不知火ver.) (25)

大規模作戦が終了し、束の間訪れた平和な日々。


艦娘たちはそれぞれの鎮守府で、それぞれの過ごし方をしていた。


加賀「甘味補給は大事ね。気分が高揚します」


ある者は穏やかな休暇を。


暁「暁、水雷戦隊、3-2へ出撃します!」


ある者は来たるべき日に備え、自己の鍛錬を。


58「ま、またオリョールでちか…」


また、ある者は失った資材を再び蓄えるために。


そして…

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金剛「ハァイ、今日も遊びに来ましたヨー」

霧島「チェックワン、ツー、プレゼントを確認」

比叡「気合!入れて!いただきます!」

榛名「お心遣い、ありがとうございます」


北方棲姫「カエレ!」


…ある者はご褒美目当ての任務をこなすために、北伐を繰り返していた。

金剛「テートクのハートを掴むためにも!Fire!」

北方棲姫「チョウシニ ノルナ!」


懸命の抵抗を見せる北方棲姫だが、艦数と弾幕の暴力には勝てずにS勝利を献上することになる。


比叡「お姉さま、プレゼントゲットです!頑張った甲斐がありました」

北方棲姫「ウウ… カエセ…」

金剛「Oh,sorry それは丁重にお断りしマース」

霧島「私タチ勝ッタ アナタ負ケタ OK?」

榛名「これは戦利品として頂いていきますね」

北方棲姫「ウワァァン」

飯女「…あの、お嬢?お気持ちはわかりますが、いいのですか?」

青目蓮「深海棲艦ですよね、あれ」

愛乳道「私もこれは仕方ないと思うわ。公式な任務ですもの」

閻魔ぬい「……」


三ぬいが出すのは否定的な意見。しかしぬいはそれに答えず、ただ静かに海上の小さな影を見つめていた。


青目蓮「ハァ……お嬢も頑固ですからねー。とりあえずは様子見をしますか」

愛乳道「そうね。とは言え、鎮守府側からになるけど」

飯女「ではお嬢、ご報告をお待ちください」

―北方海域―


飯女「クンクンクン……あなた、菱餅持っていますね?」

蒼龍「なにその特殊電探」

飛龍「新型、なのかな?」

北方棲姫「クルナ!」

飯女「慢心はダメ。攻撃隊発艦!」

飛龍「…ウチの鎮守府って烈風改持ってたっけ?」

蒼龍「一航戦が持ってる以上はあったんでしょ。自信ないけど」



愛乳道「お、お嬢。任務だからね?ちゃんと戦う必要があるから…」

閻魔ぬい「……」

長門「久しいな、北方棲姫。今度はこの長門が相手だ!」

北方棲姫「サンマ ナイ! モッテナイ!」

青目蓮「シャッターチャンス!今日も黒紐が素敵ですよー」

北方棲姫「ヘンタイ! ヘンタイ! ヘンタイ! ヘンタイ!」

長門「私にはサンマなど不要だ。さあ、こっちに来るがいい」

北方棲姫「サワルナ! メクルナ! ホオズリスルナ!」

青目蓮「いやーいい絵です。これは高く売れますねー」

北方棲姫「ウワァァン」



愛乳道「これはひどい」

飯女「これはひどい」

閻魔ぬい「……」

ぬいの家


愛乳道「というわけで、あの娘の怨みは依頼を受けるのに十分ね」

飯女「わ、私は任務として仕方なく…」

青目蓮「やりすぎました反省してます。ハイ」

閻魔ぬい「……」

愛乳道「通信回線開かないの?」

飯女「でもあの娘、ただお嬢を呼んでるだけですよね」

青目蓮「怨みの対象が多すぎる、ってことですか?」

閻魔ぬい「…そうね」

青目蓮「別に放置でもいいと思いますけどねー。一応、深海棲艦なんですから」

愛乳道「…青目蓮さん。あなた代表して流されて来なさい」

青目蓮「ごめんなさい許してくださいなんでもしますから」

愛乳道「そもそもあなたは戦場特派員の持ってたカメラの化身よね?どうしてゴシップ記者みたいな写真ばかり撮るの?」

青目蓮「それはその……最後の持ち主だった某重巡の性格が色濃く乗り移ったといいますか」

飯女「提督の夜の生活をスクープしたせいで、怒った嫁艦に流されてしまった娘ですね」

青目蓮「その時お嬢は残された私の、まだ撮りたい。もっと知りたい。という想いを拾ってくださったんです」

愛乳道「その恩に報いるためにも、ちゃんと仕事しなきゃダメよ?」

青目蓮「それは大丈夫です!鎮守府の情報は集めてきましたし、お仕置きの準備もバッチリです。ねえお嬢」

閻魔ぬい「…出撃します」

飯女「えっ、相手決まったんですか?」

青目蓮「ほらほらー。青目蓮、やることはやるタイプですから」

閻魔ぬい「……」


愛乳道(お嬢、ちょっと怒ってるわよね?後が怖いわ…)

―北方海域―


閻魔ぬい「…来たよ」

北方棲姫「カンムス!? クルナ!」

愛乳道「ちょ、ちょっと待って!私たちはあなたに呼ばれて来たのよ?」

北方棲姫「ウルサイ! カエレ!」

青目蓮「わわっ艦載機が……お嬢、危ないです!」

飯女「烈風で迎撃します。みんな下がって!」

北方棲姫「モウナニモナイ! ナニモモッテ… グスッ…」

閻魔ぬい「…愛乳道、あの娘を落ち着かせて」

愛乳道「よしよし、怖い思いしたのよね~もう大丈夫よ~」

北方棲姫「ヒック… オネエチャン…」

閻魔ぬい「…飯女」

飯女「はい、お嬢」


ぬいが声をかけると、飯女の姿は一体のぬいぐるみに変化する。


閻魔ぬい「受け取りなさい」

北方棲姫「プレゼント?」

閻魔ぬい「あなたが本当に怨みを晴らしたいと思うなら、その赤いマフラーを解けばいい」

北方棲姫「???」

閻魔ぬい「マフラーを解けば私と正式に契約を交わしたことになり、怨んだ相手は速やかに地獄へ流される」

北方棲姫「…ブーン」


だが北方棲姫はぬいの話をろくに聞かず、いきなりぬいぐるみを投げ飛ばした。

飯女『あ痛たぁっ!』

青目蓮「ど、どうして投げちゃうんですか!?」

愛乳道「怨み、晴らさないの?」

閻魔ぬい「……」


唐突な出来事に驚く一同。しかし北方棲姫から返ってきた答えは意外なものだった。


北方棲姫「レップウ デナイ」

愛乳道「えっ?」

青目蓮「はぁ?」

飯女『出ませんよ!』


この後、契約の説明に一時間かかることになる。

閻魔ぬい「あとは、あなたが決めることね」

北方棲姫「グイグイ」

飯女『ちょ、首!首締まってるから!ゴホッ……う、怨み、聞き届けたり』


青目蓮「速攻で解いちゃうんですね」

愛乳道「ホントに分かってるのかしら…?」

青目蓮「それはそうとお嬢、この後深海棲艦も地獄に落ちるんですか?」

愛乳道「沈んだ船の魂、とは言われてるけど……まずはお仕事ね」

閻魔ぬい「……」

エロ提督「ん…?ここどこだ」

愛乳道「ぱんぱかぱーん!やってきました、お仕置きターイム!」

エロ提督「お仕置き?」

青目蓮「まずはこちらをご覧ください」

エロ提督「ぶははは!なにこの写真?抱き枕とシーツ外に干されてやがる」

青目蓮「服も露わな艦娘がプリントされてます。これは恥ずかしいですねー」

エロ提督「くっくっく、腹いてぇ……だが俺と趣味は合うみたいだな。こいつとならうまい酒が呑めそうだ」

愛乳道「あらあら。ところでこの背景の鎮守府、どこかで見た覚えなぁい?」

エロ提督「そういえばウチとよく似てる……って、ウチの鎮守府じゃねーか!」

飯女「もう提督ったら。今日は私がやりましたけど、たまにはご自分で洗濯してくださいね?」

エロ提督「なん……だと」

飯女「お部屋も片づけてお掃除しておきましたから」

エロ提督「まさか、押入れの中も見たのか!?」

飯女「イイエ?ふぃぎゅあヤぱんちら写真ナンテミテマセンヨ?」

エロ提督「うわああああ!!!」

青目蓮「これは素晴らしいコレクションですねー。是非、モニター前の皆さんと分かち合いましょう」

エロ提督「やめろおおおお!!!」



お前に提督を名乗る資格はない
これはいい公開処刑ww
そのフィギュア、言い値で買おう
ながもんの方が罪重くね?
なんだ紳士か
ヒャッハー!パンツ祭りだー!
貴様の様な屑には那珂ちゃん写真集がお似合いだ
↑お前、那珂ちゃんに親でも殺されたのか?

エロ提督「お、俺じゃない!これは俺のじゃない!」

愛乳道「あら、そうなの?」

飯女「妖精さんから無理矢理作らされた、という報告がありますが」

青目蓮「私には北方棲姫の下着写真を撮って来い、って言いましたよね?」

エロ提督「そんな命令をした覚えはない!」

飯女「じゃあこれは処分しますね。艦娘たちのプライベートにも関わることですから」

エロ提督「い、いや待て。それは証拠品として俺が預かろう」

愛乳道「う~ん、全く反省してないわね」

青目蓮「やっちゃいましょうか」

飯女「全機爆装!」

愛乳道「全砲門開け!」

エロ提督「ああああああ!!!」

青目蓮「綺麗さっぱり燃えちゃいましたねー」

エロ提督「俺の秘蔵コレクションが…」

愛乳道「お嬢、仕上げお願いするわね~」

閻魔ぬい「……」

エロ提督「おっ、君可愛いね。どこの所属艦?」


閻魔ぬい「闇に惑いし哀れな影よ……艦娘と深海棲艦を傷つけ貶めて……」

エロ提督「写真一枚撮らせてくれないかなー?できれば俺の部屋で。フヒヒヒ」

閻魔ぬい「罪に溺れし業の魂……」

エロ提督「あ、あれ?もしかして怒った?」



閻魔ぬい「不 知 火 に 落 ち 度 で も ?」



エロ提督「ぎゃあああああ!!!」

無数の燈籠が浮かぶ静かな水面


その中を一隻の駆逐艦がゆっくりと進む


エロ提督が入ったドラム缶を曳航しながら…


エロ提督「俺は……お国のために頑張ってきたんだ……ご褒美があって当然じゃないか……」


閻魔ぬい「この怨み、地獄へ流します…」



チリーン…

平穏を取り戻した北方海域


一人の幼女はそこで、名残惜しそうにかつての棲み家を見つめていた


飯女「そろそろ、帰りましょうか」

ほっぽ「…ウン」

愛乳道「改めてよろしくね、ほっぽちゃん」

飯女「こんな結末もあるんですね」

青目蓮「地獄に落ちるよりいいと思いますけど」

愛乳道「…お嬢の罰を受けてもそう言えるのかしら?」

青目蓮「罰って、遊びに付き合うだけですよね?楽勝ですよ」

飯女「知らないってことは幸せでもあるのよね…」



ほっぽ「……」


ほっぽ「ミンナ バイバイ…」

ぬいの家


ほっぽ「ワロワロ! ゼロ ヨコセ!」

胸童「はい、姫!…ってなんでやねん。これはウチのゼロや」

ほっぽ「ウルサイ! ヨコセ!」

胸童「わああん、姫がウチのゼロとったー!」


一仕事を終え、新たな仲間を加えたぬいの家は、一段と賑やかさを増していた。


愛乳道「平和ねー」

飯女「そうですねー」

胸童「そこの二人!呑気に見とらんと助けてーや!」



※ほっぽ…原作のきくりポジ。このSSの設定には謎はありません

※胸童…原作山童(やまわろ)。きくりを姫と呼び、家来扱いされてる

愛乳道「ほっぽちゃんをいじめたらダメよ?」

飯女「悪さしたらお嬢に言いつけますからね?」

胸童「いじめられてんのウチの方や!名前も含めてあんまりやー!」

ほっぽ「ヤーイ ヤーイ」



青目蓮「……」

閻魔ぬい「……」

青目蓮「あの、お嬢?」

閻魔ぬい「……」

青目蓮「これ、いつまでやるんですか?」

閻魔ぬい「……」

カラカラカラ…


愛乳道「あーあ、崩れちゃった」

飯女「青目蓮さん。ちゃんとお嬢の遊び相手を務めなさい」

青目蓮「遊びって、小石積み上げるのをひたすら見てるだけじゃないですか!」

愛乳道「じゃあお嬢が千羽鶴折るのをずっと見てる?」

飯女「お嬢が飛ばした竹とんぼを、繰り返し拾いに行くのもいいのでは?」

青目蓮「おおおお…」

閻魔ぬい「…青目蓮」

青目蓮「わかりましたわかりました!お嬢の気が済むまで付き合いますよもう!」


この後、青目蓮は次の仕事が入るまでずっと付き合わされ、二度とぬいを怒らせないと心に誓ったとかなんとか…


「あなたの怨み、晴らします」



地獄艦娘2(不知火ver.)―完―

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