弟「姉ちゃん、太ったよね…」姉「はぁんッ」ビクーン(36)

姉「えぐ…えぐ…」

友「なぁに? それでずっと泣いてたのー?」

姉「じょうばんべぶぅ~」オイオイ

友「なるほど~」

姉「えぐ、えぐ、ひどい、と思わないっ? いきなり太ったなんてマジ、私可哀想っていうかさぁ~…」

友「そうだね、確かに酷い。姉弟とはいえ言って良いことと悪いことがある!」

姉「でしょぉ~オイオイオイ…」

友「でも、太ったよね」

姉「ひっぐ、ぐす……」

姉「あれ?」

友「うん?」

姉「今…」

友「うん! だから豚だよね最近!」

姉「豚…」

友「あっ…でも…」

姉「あっ! でも言うほど…? そうじゃなく…?」

友「うん! 子デブ?」

姉「どっちにしろ豚だーい!」

友「まあまあ」クスクス

姉「ぐぇぇ…酷いよぉ…友にさえも太ったどころか豚呼ばわりなんて…」

友「正直に言うのが、わたしのありがたみかなって…」

姉「有り難みって何なのさ! ぷんぷんだよ!」プンスカプン

友「あら~ぷんぷんじゃなくて、ぶひぶひでしょ~?」ニコニコ

姉「いやあああああ」


※※※


姉「つーことで、ダイエット始めます」

友「いぇ~い! 頑張って、あねちゃん!」

姉「おうともさ! しかし、遺憾ながら生を受け十数年、今一度もダイエットをしなかった身故に…」

友「そうよね。わたしも特に知ってる訳じゃ…基本ってなんなのかしら、ダイエットって?」

姉「運動…食事制限…はたまた…」

友「脂肪吸引とか?」

姉「それは重いかなぁ!」

友「でもね、怒らないで聞いて欲しいけどね、あねちゃん…」ウルル

姉「おう、なにさ。豚呼ばわりで怒らなかった私だ、どんと訊きな」

友「このロースは流石に自力じゃ~」

姉「待って! もしや今、肉片扱いした? この辺を? 今?」

友「うふふ」クスクス

姉「もう怒りますよー!? マザーテレサも舌を巻く仏の姉と言われた私でもねぇ!」

友「信じて! お願い…っ…わたしだって…言いたくて言ってる訳じゃないわ…!」

姉「え…」

友「心を鬼にして酷いことをあえて言ってるの…!」

友「傷つけてるってわかってる、でも言わなくちゃ駄目だ何だって…っ…ぐす…」

姉「友ちゃん…」

姉「うん、そっか…私勘違いしてた、あえて辛いことを言わせてごめん…」

友「ありがとう! 豚は正直に従ってればいいの!」ニコ

姉「うん!」

姉「…うん…?」


~~~


姉「とりあえずダイエットの基本は運動! 有酸素運動!」

姉「効率よく脂肪を燃焼させ、無理なく続けられるコトを目標にガンバリマス!」

金髪「その時点でもはや挫折する未来が見えてるな…」

姉「はい! つーことで私の友達の金髪っちにお仲間加わってもらいやした!」

金髪「誰に説明してんの?」

姉「良いのノリなの、こーいうのは。いちいちツッコマナーイ」

金髪「あっそ。あたしの朝練を邪魔しなきゃ何したって良いよ、別に」ぐっぐっ

姉「りょうかいです!」

金髪「あたしは軽く、外周を五週ぐらいするけどアンタは?」

姉「むひひ」

金髪「なに笑ってんの」

姉「いいさね、わかってるよ。その質問自体、私の実力を図ってるってことはね…」

金髪「なんだその笑み気持ち悪いな…」

姉(せいぜい今だけは運動ド素人だとあざ笑うが良いさ)クックックッ

姉(この私、知られてないけれど中学時代はバトミントンで底なしのスタミナとして、恐れられていたのさ…!)

金髪「よく分からないけど惑だけはかけるな、以上」

姉「あいあいさー!」


~~~

姉「ぜはーぁっ……ぜはぁーっ……!!」

金髪「だ、大丈夫か?」

姉「ぇ…なに…なんか言った…っ?」ゴハァーッゴハァーッ

金髪「詰まった掃除機みたいな呼吸音してるけど…?」

姉「だーれが詰まった掃除機パックじゃい! そこまでまんまるちゃうわ!」

金髪(意外と元気そう)

姉「し、しかし、ここまで体力が落ちていたとは驚きを隠せないぜ…」

金髪「そりゃ中学の時に有名だったからって、今じゃ殆ど運動してないだろ?」

姉「あ、あれ? 知ってたの? 私の中学時代?」

金髪「ん…」テレ

金髪「ま、まぁね。結構名前知られてたし、同じ運動部じゃ割と聞いてたかな…」

姉「んふふー」

金髪「な、なんだよ」

姉「もしかして、私の試合見に来てたタイプ?」ニヤリ

金髪「うぐっ」かぁぁ

姉「居たんだよねぇ~全然バトミントン知らないのに、私目的で見に来てた人ぉ~そっかそっか~金髪ちゃんも見に来てくれてたんだぁ~へっぇ~?」

金髪「う、うっせバカヤロウ! 今じゃ見る影もない豚野郎のクセに!」

姉「豚野郎!?」

金髪「あーほんっと無様だよ。そうやって地面に這い蹲って真っ白な生足見せてる所なんて、まさしく白豚の名を独り占め状態だな!」

姉「ひどい!? 豚野郎は許せても白豚はショックを隠せないっ! うわぁーん謝ってぇー!」

金髪「謝るかッ!」ズンズンズン

金髪(ったく、なんだよ。結局邪魔されたしな、協力するんじゃなかった)

金髪(…せっかく当時のアイツを見れるのかなって、思ったのに…)シュン

姉「ねぇねぇそれで見に来てたの? 試合?」タッタッタッ

金髪「うわぁあー!? 着いて来てるっ!」

姉「どうなの? ねぇねー! 金髪つぁーん!」

金髪「来るな来るなー! つか早いなアンタ!」ダダダダ

姉「気になるじゃん逃げないで! 聞くまで追いかけ続けるよ!」ダダダダ

~~~

姉「」チーン

金髪「無理して追いかけるからこうなる」

友「それで養豚場で吊るされ状態みたいになってるのね~」

姉「う”ぁぁ…ぐびぃ”い”い”…」

金髪「なんて言ってんだ?」

友「うん。『せめて家畜のように買われてる子豚のペットと言って…』みたいな感じかしら?」

金髪「子豚は許せるのか…」

友「ねえねえ、あねちゃん」

姉「…何」

友「もうね、そうやって無理してダイエットしても体壊しちゃうだけだよ」

姉「でも…」

金髪「今がそうなってるだろ。過去の栄光は忘れろ、…うん」

姉「……」シュン

友「……」

金髪「そもそもどうしてダイエットなんだ? 言っちゃ何だが、そこまでだろ」ブニュ

金髪(結構脇腹あったな、黙っておこう)スッ…

友「あのね。おとーとくんに言われたらしいの、ここ最近なんかデブだなぁって」ウルウル

金髪「あーそりゃ…」

姉「デブじゃないよ…太ったって言われたんだよ…」

金髪「でも同じ意味だからな? 現実逃避するなよ?」

姉「うひっ」

友「良いよ。きんちゃん、もっと言ってあげて、端から見てて凄くイイ、そのやり取り」キラキラ

金髪「ちょっと待って、なんだその目。やめろ、期待した目で見るな」

姉「……」

姉「…訳があるんですよ、色々と、ここまで落ち込んじゃって頑張ろうとするワケが」

金髪「ん? まぁ弟に言われたぐらいで傷つくってのもな」

友「わけってなんなの?」

姉「あれは…そう、中学時代のことでした────」


回想


弟「姉ちゃん」

姉「ハッハー! なんだいっ? 我が弟よ?」シュッ シュッ シュッ

弟「居間で筋トレするのやめてくれ、ギシギシ床がうるさい」

姉「ホッホー! 如何にして、その心は?」

弟「……」ガタ

弟「……」スタスタ

ガチャ

姉「……」

弟「…あのさ」

弟「クラスで言われるんだよね、お前の姉ちゃん筋肉女だよなって。それ凄く嫌なんだ」

姉「……」

弟「色々と頑張ってるのは尊敬するけど…」

弟「その、あんまり、調子に乗って人目がある所で筋トレするのは…やめてくれ、お願いだ」


パタン


姉「………」


~~~


姉「──ということがありましてね…」

金髪「ごめん。全然わからない」

姉「いやね、筋肉アピールで弟をウザがらせつつ」

姉「しかしながら尊敬出来る姉というポジションで、弟の複雑な感情との折り合いを傍から見て楽しむという…」

金髪「糞だなお前!」

友「あねちゃんも大概よね~」くすくす

姉「だってぇ~弟完璧超人すぎるんだもん~そうしないと姉として年上として立場ないっていうか~不満足っていうか~」

金髪「立場も何も関係ないだろ! 結局あんたの満足できるかの問題じゃねえか!」

友「まあまあ。つまりは、ただのデブになったから蔑まれる部分しか無くなったって事かしら?」

姉「そうなんしゅうー」ぷくー

金髪「最初から最後まで、あんたの傲慢さしかわからなかった…一点足りとも同情できなかった…」

友「でもね? そうなるとダイエットよりもおとーとくんに認めてもらえれば良いって話じゃない?」

姉「!」

金髪「そりゃ太ったことが原因じゃなく、太ったと言われたことが原因ならまぁ…」

姉「そかー! なるほど!」

金髪「…いやどうすんだよ。納得って、最終的に痩せないと無理だろ」


友「そうとも限らないわ!」


姉「友ちゃん、ふふ、流石だね。ここで妙案を繰り出してくると私、思ってましたよ!」

金髪「なんだこのやり取り…」

友「ふふふ。あねちゃん、きっとわたしは貴女を幸せにしてみせるわ!」

数日後


姉「くっちゃくっちゃくっちゃ」

姉「ぷくー、ぱぁんっ」

姉「…くっちゃくっちゃくっちゃ…」


ヒョコ


金髪「アレは何なんだ…?」

友「『the・不良化しておとーとくんからマジリスペクト作戦』だよ!」

金髪「……いや、ごめん、意味がよく……」

友「知ってるかしら。あねちゃんのおとーとくん、中学で生徒会長を務めてるんだよ」

金髪「そ、それが?」

友「生徒会長。つまりは風紀を正し、規律性のある正しき校風をモットーとするわけなの!」

友「──ともなれば、あねちゃんの変わりよう。金髪にし、スカート長め、靴下ダルンダルン!」

友「どこをどう見ても! 恥ずかしくない完璧な不良スタイルになったら許せると思うかしら!?」フンスゥゥー

金髪「ある意味…許されないかな、本場の人たちにとってもあの姿は…」

友「つまり、落ちるところまで落とさせる。ここまでくれば、デブなんて目じゃない」

友「太ったことなんて忘れてくれるだろうし、あねちゃんも自体忘れる!」

金髪「毒には毒をみたいなことをしたんだな…酷いなあんた…」

友「……」

友「きんちゃんが言いたいことも分かってるの」ニコ

金髪「え?」

友「わたしがやること成すこと、結局は自分が楽しんでるだけじゃないかって」

金髪「ち、違うのか?」

友「そうだよ」ニマ

金髪「うん…」

友「でもね、これでも本気で心配してるの。あねちゃんのことを」

友「彼女はきっと弟さん離れができてない。だってバトミントン始めたのも、この高校に入ると決めたのも」

友「おとーとくんのアドバイスを鵜呑みしたからなんだよ?」

金髪「何? それは本当か…?」

友「ちなみにわたしと友達になってもいいかとも訊いたらしいわ」

金髪「アイツまったく自立性ねーな!」

友「そう、その通り。あねちゃんは弟くんにべったりなの、考えが何時だってそっちより」


友「だから今回で弟離れを実現させる。そうなるよう、実はあねちゃんとも話し込んだの」


金髪「すると…まさか、あれか」

金髪「あの格好を正されることよりも、そういった姉だと思わせて、距離を離そうという魂胆なのか」

友「辛いわ…見てて凄く辛い…でもおとーとくんのセリフ一つであそこまで苦しむ彼女を見るほうがもっとつらい…」

金髪(意外と練られていた作戦だった、しかし、)チラ


姉「くちゃくちゃ」


金髪「上手くいくと良いけどな…どうなんだろ…」

友「あねちゃんも乗り気だったもの! 大丈夫、きっとうまくいくはずよ!」

~~~

姉「あ、くそ、ガム不味いな…食ってると段々不味くなるのに、よく皆食ってられるな…」ぺっ

姉(にしても便所座り疲れるなぁ、早く来いよ優等生、こっちは既に股関節だけはガチガチに正されてっぞ)

姉「……」


『あねちゃんが悪いんじゃないわ! …おとーとくんを想いすぎてる、あねちゃんの心が悪いの』

『私の…心が…?』

『それを正すしか方法はないの。心を変える、貴女の心を…』

『くっそー確かに調子乗ってんなとか思ってましたけど、まさか私の心に入り込んでたかーあの野郎ー』

『うん! だからね? やるしかないわ、おとーとくん離れを!』

『なるほどねぇ…見えちゃいましたよビジョンが、私があの切れ目野郎を踏み台にして高笑いする姿がね…』

『ち、違うわ! それは弟離れじゃないわ! もっと現実味を持って、これからすることをやるの…!』

『ほぇ?』


姉「…友ちゃんやる気やったなぁ、私も頑張らないとな」ウムウム

姉(にしても遅いなアイツ)

姉(生徒会の仕事長引いてるのかしらね。大変だ、バトミントンに比べられないぐらいに頭を使って頑張ってるんだろうよ)

姉「ふふっ」


「何やってんの、姉ちゃん」


姉「どぅあっ!?」

弟「いやびっくりしないでよ。こっちだから、びっくりする方は」

姉「お、おぅよー? テメーよぉ? 誰に向かって口きいてんだァー? ヨォー?」

弟「自分の姉ちゃんにだけど…」

姉「んだとゴラァ!? んじゃー言って見ろよォ? オォン? テメーの姉ちゃんがなんだってェー?」

弟「そこに座ってると鍵が開けられないから、退いてくれ」

姉「……」

姉(あ、あれ? なんかいつも通りの対応されちゃってますけど…)チラリ


金髪「…っ…」びくっ

友「殴るのー殴れば不良よー」


姉(殴る!? そ、そうか、確かに不良は殴って自分の立場を確定させると聞く…いざ!)

弟「姉ちゃん」

姉「ンだよーッ?」ブンブン

弟「少し屈んで。背、高いから」

姉「ンだってェ!?」

弟「……」

ぐいっ

姉「わっ」ヨロ

弟「…いつまで座って待ってたんだ、落ち葉、付いてるから」ぽんぽん

姉「……」

弟「ん。これで良い、あとスカートにも付いてるけど取ってやろうか?」

姉「えっ? あ、いやいや! 自分でとるし! 自分でやるし!?」

弟「勿論。一人でやってくれよ」クス

姉「なんなんだよぉ…まったくぅ…」パンパン…

弟「あ。そうだ、姉ちゃんに言いたいことがあるんだけどさ」

姉「?」

弟「その金髪だけどさ」

弟「ーーー顔が小顔に見えて良いね、姉ちゃんに似合ってるよ」


姉「…………」

姉「…あ、ありがと…」ドキドキ


弟「うん! じゃ、飯作るから入って入って」

姉「でへへぇ~晩ご飯なんでしゅか~?」

弟「姉ちゃんの好きなすき焼きだよ」

姉「やったー! お肉大好きぃ~ぶひぶひぃ~」

パタン


金髪「…なんていうか、その、よかったな!」

友「……」

金髪「これで丸く収まったっていうか…友…?」

友「糞メンがヴォケいてこますぞォ姉弟じゃったら許されるんかオンドレ…」

金髪「……」

金髪(弟君、君は本当にこの子が姉の友達で良いと思ったのかい)


第一話 終


<キャーセンパイノエッチー

姉「ダハハ! なんだコレあり得るわけねぇーよ!」ゲラゲラ

姉(深夜に気まぐれでテレビ付けりゃアニメやってたけどさぁ)

姉「どうして転んだ拍子に女のパンツ脱がしちゃうんスかwwww」

姉「ブヒィwwwハライタスwwww」

弟(楽しそう)

翌日

姉「てーことがあったんだよぉ」

友「ほぇー深夜にアニメってやってるんだ~」

姉「そーなの! しっかもアレよ、転んだ拍子に女のパンツ脱げwwwるってwwwwいうっwww」

友「ふんふん」

姉「くひっwwギザイミワカラナスwwwwカッカッカッwww」

友「何だか面白そうだね! 今度見てみようかなぁ」

姉「見てみな見てみな! 腹筋マッチョられるから! 麦茶含んでね、絶対吹き出すよ、Twitterで報告しながら見てね!」

友「わかった~」

がらり


姉「おっ? 金髪つぁん、あのねあのねwwww」

金髪「おはよう。朝っぱらから楽しそうだな」

姉「昨日テレビ見てたらさ──」チラ

姉「──あれ? それ……」

金髪「ん? これか、昨日やっとガチャポンで目当ての奴を当ててさ、ふふ」

姉「……」

金髪「ちょっとあたしには似合わないかなって思ったけど、嬉しくてつい…どうした?」

姉「ぶほぉ! あひゃひゃひゃ! そ、それ昨日やってたアニメのキャラちゃいますのん?wwww」

金髪「お、おおっ? 見たのか?」

姉「みた見たwwwパン!!wwww」

金髪「パン…?」

金髪「あ、あー! ぱ、パンツね…! う、うんうん、脱げちゃうんだよなぁあの作品ってさ…!」テレテレ

金髪「で、でもよ? そんなお決まりなお色気ありつつも、結構、中身とかしっかりしてて…戦闘シーンも…」

姉「金髪さんあんなの見ちゃってるスねwwwつぁーww」

金髪「あ、うん。結構…面白いけどな、ちゃんと見るとストーリーもドラマぐらいしっかりしてるし…」ソワソワ

姉「ぽひぃーwwww褒めちぎりwwwwwタァッwwww」

金髪「うぐ…な、なんだよ…別に良いじゃん、好きなモノを好きなように褒めたって…」

姉「あ…」

金髪「なんだよ…」

姉「もしかして、金髪つぁんも女の子のパンツ脱がしたりしたい願望持ち主ってやつッスかwwwこのド変態wwww」

金髪「なっ…!? ば、ばかやろう! そんなワケないだろ!」

姉「テェーイwwwテェテェイwww」ズンズン

金髪「コイツ…!」

姉「やめて脱がされれちゃうーww」

金髪「くそ! あーあーそうかい! 言ってろボケナスが! そのうち後悔すっからな!」

金髪「あのアニメの素晴らしさを分からない凡人が! いや下等生物、いや豚!! ぶたやろう!」

姉「ぶぶぶぶひぃー! ぼくちん豚ですぅー! ダハハッ!」

金髪「テメェ…!」

友(楽しそう)

一週間後


姉「今日この日がやって来ましたよwwww」

姉(この一週間、可能な限り金髪つぁんにアニメネタでいじり倒して来ましたけれどもww)

姉「今日で新たなネタを得ることが出来るのだね、楽しみだね」

ピッ

姉「楽しみ楽しみ…」

~~~

<俺の病気は確かに、お前らにとって足手まといにしか為らない。

<わかってるんだ! …でも、俺にはどうしようもなかった。


<分かってるよ姉ちゃん。姉ちゃんが俺って言い始めたから、そんなことわかってた。

<知ってるんだよ。僕、姉ちゃんがずっとずっと…僕達を守ってくれてたこと、知ってたんだよ…


<弟…


姉「………」ポロポロポロ

姉「ぐすっ」


<…もう俺が知ってる弱虫泣き虫な弟じゃないんだな。

<うん。そうだよ、今日からは僕が……いや俺が守るんだ、姉ちゃんのことを。

<安心して! もう誰も、悲しませないから! 俺が全員を守るから!


<今日から俺は! 姉ちゃんの為に戦う! そして三十人の姉弟を守るんだ!


パーパラッパー♪


姉「やべぇ…これなんですか…凄すぎませんか…」

姉(涙止まんねぇよ。私間違ってた、アニメ凄い。心にスンっと来たよ、ええ来ましたよ…)

姉「…」カチカチ


『凄すぎワロタ』

『声優さん気合はいってて泣いた人→ イエス・オア・ノー』


姉「皆さん、絶賛の嵐ですわね。ふふ、私もつぶやこう…」カチカチ

姉「『弟の、覚悟を決めるシーンに欲情した』と…」カチカチ

姉「ん? これは…」


『やっぱり原作者の独断cv選考は間違いじゃなかった。原作ファンにとっても実に文句ない仕上がり、涙枯れ果てるまで泣いた』


姉(こ、この呟きは金髪ちゃんじゃないか…)

姉「……」カチカチ


『やっぱり間違ってなかったよ』

『凄い、この人は泣き演技が上手すぎる』

『ゴールデン長三友さん。一生ついて行きます!』


姉「このリツイート数…たかが高校生の分際で…?」

姉「……」かちかち


『でもさ、正直な所パンツ見えてたよね。シリアスなシーンでアレはないなぁって思うわ』


姉「送信、と」

『は? >@女市場』

『コイツ何も分かってないわ』

『で、出下着限分気分奴~www』


姉「………」


『豚野郎』


姉「ッ~~~!!!? !!!? !!!!!」カチカチカチカチカチ


翌日


姉(返されるたびに応答してたら朝だった…)

友「だ、大丈夫? クマ酷いよ?」

姉「でぇじょうぶだい…」

姉(くそ、どれもこれもアイツ…金髪ちゃんのせいだ、合った瞬間に文句言ってやろう…)


クスクス ネー アレヨダネー

姉「…?」

友「ね、知ってる? この前、あねちゃんが言ってたアニメだけど…」コソコソ

姉「う、うん」

友「それがクラスで大人気らしくてね。というか社会現象起こしちゃってるらしくてね、凄いらしいよ」

姉「へ、へぇー…」

友「でもねっ? 安心してね、わたし見てたけどすっごく面白くなかったもん! お茶、拭いちゃったもん!」

姉「………」

友「見てくれた? わたしのツイート、写真付きで呟いたんだけど…?」チラチラ

姉「あ、うん。見たよ、すっごく見た。バッチャバチャだったね!」

友「でしょっ? クスクスクス」

姉(いや、見てないけどね…あ! 金髪つぁん来た!)

金髪「よー、おはよ」

姉「お、おはよ…」

金髪「ん」ガタリ

姉「あ、あのさ…昨日のことなんだけど…その…」

金髪「何? 昨日が何?」

姉「う、うん、そのツイートというかその、先週のことといいますか…」ソワソワ

金髪「……」

姉「あー! あれだよねっ!? 見てたけど金髪ちゃんってマジ声豚っすよねwwwあり得ないwww」

金髪「……」

姉「原作者の独断擁護をしてて?www良いシーンが出てきたら飛び付いてドンwwwわっぱwww棒読みで叩かれまくってたのにここぞとばかりにwww」

金髪「……」

姉「んんッ! …だ、だからね、その」

金髪「実はさ」

姉「はいッ!?」

金髪「登校中にもう一回ガチャポンやってきたんだ。昨日のアニメのね」

姉「は、はい」

金髪「パンツがすぐに脱げるアニメのね」

姉「…はい」

金髪「そしたらほら、弟キャラのやつが出たんだ。ほら、これ」

姉「あ…」

金髪「シークレットなんだ。あたしでも持ってない奴、正直嬉しかったんだ」

金髪「でもコレを一人の友人にあげるつもりだった」

姉「え?」

金髪「ひねくれてて、面白いと思っても正直に言えない。一度言ったことを曲げれない友人に」

姉「え、あっ、その、それって…」

金髪「でも居なかった」

金髪「そんな友人なんて居なかったみたいなんだ。あたしの勘違いだったらしい」

姉「き、金髪ちゃ…」

金髪「もうhr始まるぞ」フィ

姉「わ、私ね? そのねっ?」

金髪「……」


キーンコーンカーンコーン


「hrはじめるぞー」ガラリ

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