女「私はもう死んでいるんでしょ?」(26)

男「君は生きているよ」

女「いいえ、私は死んでいるわ」クルクル

男「どうして、そう思うんだい?」

女「どうして…?」

女「貴方は私の姿を見て生きていると思うの?」

女「もう皮膚は全部剥がれてしまってるのよ」

男「でも君はこうして動いて俺と話してる」

女「私はゾンビになったのね」クルクル

男「君は健康だよ」

女「ふふ、嘘が下手ね貴方」クスッ

女「ここにいる、みんなゾンビじゃない」

男「……………」

グルシイ タスケテ
オェェ ベチョ

男「場所を移そう」グイッ

女「あっ、そんなに引っ張ったら腕が取れちゃうわ」

女「この前、やっとくっついたばかりなのに…」

男「取れてないし取れないよ」スタスタ

女「強引なんだから…ふふ」

男「……………」

ガチャン

女「あら、会長さん」

会長「アァァ、オンナさァん」

男「……………!!」ゴクッ

女「変わらずお元気そうね」

会長「ウン、きょうもオオモノとれたよー」ズルズル

女「あら、大きいわね」ニコ

会長「ホウソウブにいたから、イタズラしないうちに…ネ」ニコ

男「行こう」グイッ

女「あっ?!」

男「……………」チラッ

会長「オナカすいたァァ…」

男(あの娘はもうダメだな)

図書室

男「はぁ…はぁ…!」

女「ふふ、大丈夫?」

女「急に急ぐから肋骨が一本取れちゃったわ」

男「取れてないから…」

司書「お疲れさま、男くん」

男「司書さん…!」

女「こんにちは、司書さん」ペコ

司書「ん、こんにちは」

司書「外の様子はどうだい?」

男「かなり症状が進んでます」

司書「……そうかい」

女「久々に図書室に来たわ」クルクル

司書「女さん、これを見てくれるかい?」

女「はい?これは、鏡ですか?」

司書「君はどんな姿をしてる?」

女「骨です…人体模型みたい」クスッ

司書「本当にそんな風に見えるかい?」

女「はい」ニコ

ァァァァ!!

男「この声は…?」

司書「…『サンプル』を回収してね」

司書「奥の部屋へ」スタスタ

男「はい」スタスタ

女「あら、何があるのかしら」クルクル

ガチャン

眼鏡「アアアアァァ……!!」

司書「症状4の生徒だよ」

男「意識は…あるんですか?」

司書「自我はもう消えてるかな」

司書「後少しで、症状度5になるね」

眼鏡「オナカ…すいたぁ…」

女「あら、何か作って差し上げないと」

司書「離れてなさい」カチャ

男「はい…」

女「まぁ、日本刀?私、初めてみたわ…本物かしら」

眼鏡「オナカスイタ…オナカスイタ…オナカスイタ」ユラ

司書「もう限界みたいだね」チャキ

司書「これが何だかわかるかい?」

眼鏡「オナカスイタオナカスイタオナカスイタオナカスイタオナカスイタ」ユラッ

司書「それ以上近づくと君を斬るよ」

眼鏡「アア、オイシソウ…」スッ

司書「…仕方ない」ヒュン

ザシュッ ボトッ

眼鏡「アッ…?」ブシュ

女「綺麗に右手を切断しましたね」パチパチ

眼鏡「オナカスイタ…」ユラッ

男「痛みを感じてない…?」

司書「症状度4以上は痛覚を失っているからね」スッ

司書「さぁ、次は首を切断するよ」

眼鏡「…オナカスイタ…」ユラッ

司書「………」ヒュン

ザシュッ

───
──


女「ふふ、ふふふふ」クルクル

司書「……これはあくまで僕の見解なんだけど」

司書「この症状を治せるのは症状度1、症状度2の初期なんじゃないかと思う」コポコポ

男「どうしてそう思うんですか?」

司書「1と2は症状的にもまだ軽いからね」カチャ

男「ありがとうございます」ゴク

司書「鎮静剤を打てば症状も抑えられるしメンタルケアを行えば完治できると思う」ゴク

司書「ただ、症状度3以降は段違いに進行度が速すぎる」

司書「この症状は簡単に言えば只の思い込み」

司書「メンタルケアで治るものなんだ」

男「自分が死んでいると思いこんでいる」チラッ

女「頬骨削ろうかしら」

司書「初期段階は大多数に見られる不安」

司書「次に自分が死んでいるのではないかと疑問に思い始める」

司書「そして症状度3は完全に自分は死んでいると思いこむ」

男「あの子は治らないんですか?」

司書「……確かめてみなよ」スッ

男「えっ?」

司書「これ貸してあげるから」カチャ

男「いや、これは……」

司書「これで彼女を斬ってごらん」

男「っ?!」

司書「確かめたいんでしょ?」

男「…………」カチャ

女「あら、また日本刀を使うの?」

男「はぁはぁはぁ…!」ガタガタ

女「…………」スッ

男「……?!」ガタガタ

女「どうぞ、斬って」ニコ

男「怖くないの?」

女「えぇ、だって私────」

男(どうして……)

男(どうしてそんな顔できるんだよ)

女「───もう死んでいるんだもの」ニコ

カチャン

男「…すみません、出来ません」スッ

司書「そうかい、でも分かったでしょ」カチャ

司書「死んでいると思いこんでいる彼女は死を恐れない」

司書「もう思い込みというより強固な意志だよ」

女「………………」

女「もう遅いしそろそろ戻るわ」

男「戻るってどこへ?」

女「決まっているじゃない、教室によ」ガチャン

男「っ?!あそこは症状度4の奴らばかりだ」

男「症状度5になったら君は殺され───」

司書「…行きなさい」バッ

男「司書さん?!」

女「では、失礼します」

ガチャン

司書「彼女は死んでいると思い込んでる」

司書「殺されるなんて言っても彼女は行くよ」

司書「さて、僕達も行こうか」

男「どこにですか?」

司書「君に会わせたい生徒達がいる」

男「俺にですか?」

司書「君の役目は覚えているね」

男「はい」

司書「同じ役目をもった同士達だ、きっと仲良くなれるよ」ガチャン

1階

司書「…………」スタスタ

ガチャ ガチャ ガチャ

男「随分、荒れてますね」

司書「ここは症状度5が多く発見されてるからね」

ァァァァ タスケテ アハハハハ

男「…………」

司書「…………止まって」ピタッ

男「…!」

包帯男「カチカチカチカチカチ」ガクガク

男「な、何だこいつ……?!」

司書「やはり、ここはかなり症状度が進んでいるね」チャキ

包帯男「カチカチカチカチカチ…!」バッ

司書「…………」バッ

司書「……!」ヒュン

包帯男「カチカチカチカチカチ!」バッ

男「かわした?!」

包帯男「カチカチカチカチカチ!!」ブン

ドスッ

司書「ぐっ……?!」ドサッ

男「司書さん、大丈夫ですか!」

包帯男「カチカチカチ…!」バッ

男「っ!おらぁ……!」ブン

バキ ドス

包帯男「カチチチチ!」

男(ダメだ、痛覚がないんじゃ打撃は効かない)

包帯男「カチカチカチカチカチ」ガシッ

男「しまっ……!」

ギリギリギリ

男「ぐぁぁぁ?!」

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