トランプバトルズ (24)

-トランプ-それはこの日本で今もっとも熱いカードゲーム…

人々はトランプによる5種目の競技の強さを競い合っていた。

この5種目はまとめてトランプバトルと言われ、10年に1度その頂点を目指す者達の大会が開かれる…

そしてここに…大会参加者が1人…



俺は須辺渡栄助(スペドエイス)だ!

ニックネームは「エース」だぜ!

沖縄からベストトランパーを目指すトランパーの一人だ。

え?トランパーって何かって?トランプバトルをする人の事さ!

俺は沖縄で1番トランプバトルで強いんだ!

今年はトランプバトルの大会があるみたいだから本州に出向くんだ、最強のトランパーになるためにな!

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1446845144

九州

エース「おおー!俺の居た島とはずいぶんと違うなあ!ビルたけー!」

???「あら?あなたトランピストですの?」

エース「トランピスト?なんだお前?俺はトランパーのエースってんだ!沖縄最強のトランパーとは俺のことだぜ!」

???「あらあら、田舎ではトランピストの事をそんな名前で呼んでいらっしゃるのね。」

エース「なんだとう!お前!名を名乗れ!」

クイン「私は心兎宮院(はあとくいん)ですわ。それで、何をしにここへ?」

エース「日本最強のトランパーになるための大会参加してるんだ!」

クイン「まあ!ではあなたもトランプロになるためのポイントを稼いでますのね」

エース「トランプロ?」

クイン「トランピストの事を東京ではそう呼んでいるそうですわ」

エース「お前の呼び方も間違ってるんじゃねーか!?」

クイン「九州ではトランピストなんですの!」

クイン「もうっ!文句があるのでしたらトランプバトルで決着を着けますわよ!ルールは…そうね、トランプダーツでいかがかしら?」

エース「トランプ…ダーツ…?」

クイン「トランプダーツを知りませんの?あなた本当にトランピストですの…?」

エース「俺は”スピード”のトランパーだからな!ま、トランプ使うんならダーツでもなんでも問題ねぇよ、やろうぜ」

クイン「舐めていらっしゃるのかしら?私これでも九州で最も強いトラン―――」

エース「早くやろうぜ?ここで出来んのか?」

クイン「叩きのめしてやりますの…!」

クイン「では…トランプバトル!」

エース「スタートだぜ!」

そういうとクインは少し離れた所にある細く高い木にダーツボードを掛けた。

小走りで戻ってくる姿に妹を思い出す。

クイン「トランプダーツはあのダーツの的にトランプを投げてポイントを競うんですの、ダーツの的に点数があるのは知っていますわね?」

エース「ああ、たまにやるからな」

クイン「的のポイントに刺さったトランプの数字をかけた点数の合計で勝負ですわ。」

エース「的の2倍点や3倍点もダーツと同じか?」

クイン「ええダーツと同じですわ、それと外れた場合は0点ですわ刺さったトランプが抜けてしまっても、同じく点数にはなりませんわ」

エース「使うトランプは何枚だ?まさか全部とは言わないよな…?」

クイン「ハートの、3と6と9とクイーンの4枚ですわ」

エース「わかった、他にはルールないよな」

クイン「1つだけ、この線から超えて投げるのは行けませんわ」

エース「あの木まで5メートルってとこか…お前の細腕であそこまで飛ばせんのか?」

クイン「ええ、お気になさらず」

エース「じゃあ始めるか、先行はどっちだ?」

クイン「どちらでもいいですわ」

エース「なら先行をもらうぜ」

まだ的は広い…トランプがこれから刺さって行けばいずれ刺すのも難しくなってしまう…ならば攻めるなら速攻だ!

俺は右手でトランプを地面と水平に持ち、体を3回転させ…投げた!

エース「よっしゃあ!20の3倍点のとこにクイーンが刺さったぜ!クイーンだぜクイーン!もう勝ったも同然だろ!」

エース「最高点だぜ!720点!」

クイン「クイーンクイーンと…あなたが高貴なクイーンを扱えるとでも…?」

クイン「私のターンですわね…私もクイーンを使いますわ」

気迫…俺が今までに感じた事のない空気が流れる。

体にひしひしと何かが伝わる。

まずい…!こいつは…!

クイン「ふっ!!」

棒状に丸めたトランプ…それは風を切る音とともにドンッ!と勢いよくダーツボードに刺さった。

クイン「あなたが何点を取ったのかは覚えていませんが、落ちてしまっては0点ですね、それに比べて私は20の3倍点にクイーン」

エース「さっき俺が刺したトランプを落として、さらに最高点…だと…!」

クイン「私は現在合計720点、あなたはトランプが抜け落ちた為に0点。あなたに勝ち目はありませんわ」

油断した…女だからと思った俺の油断…

カードを打ち落とす事が可能なこの勝負での先行は愚者のやることだ。

クイン「私のクイーンは女王蜂…うふふ、ボードを貫通して木にまで刺さっていますわね…あれではもう落とす事はできない。」

クイン「これ以降全て最高点を取ったとしても勝てませんわ、あら?どうしたのかしら?戦意喪失ですの?」

エース「…打ち落とせばいいんだろ…!」

俺はクインの真似をし、カードを棒状に丸めて…勢いよく投げた

俺のトランプは…クインのトランプに刺さってしまった…これでは…。

クイン「あら!驚きました!継矢ですか!ですが私のクイーンは抜けませんわね」

エース「ボードには刺さってねえから点数にもならねぇ…」

クイン「ではまた私のターンですわね、ふっ!」

少しずらして継矢にならないように…点数の同じ所…

丸められた9のカードが20の3倍点の所に刺さる…

この女…全部あそこに投げ入れるつもりか…!

クイン「私、勝利するなら完璧に、を目標としていますの」

クイン「さあ、あなたのターンですわよ、残り2枚、さっさと終わらせてくださる…?」

勝てねぇ…九州のプレイヤーってこんなに強えのかよ…沖縄最強って…なんだったんだよ…!

こんな…まだ始まったばっかりなんだ…俺の最強トランパー道…

クイン「どうなさいました…?」

エース「俺のターンをまとめて最後にしてくれないか…?」

クイン「まとめて最後…。この3投目に連続で投げるのではなくてですの?」

エース「ああ、俺が勝てるとしたらお前のカードを落とした上で高得点を取らなきゃならねぇ」

エース「1投で1枚落としてたんじゃ間に合わねぇ…だからお前が全部投げ終わってから…2回連続で…!」

クイン「馬鹿ですのあなたは、その提案には乗れませんわ」

エース「…くっ!?トランパーとして…か?」

クイン「ええ、決められたルールの中で戦う、それがトランピストですわ」

クイン「ですが…公式戦でもありませんし譲歩しましょう。」

クイン「ただし、これで私が勝ったらあなたには公式大会での”スピード”を捨ててもらいますわ」

クイン「”スピード”を得意とするトランピストなんですわよね?」

エースケ「トランパーだ…!わかった、もし俺が負けたら”スピード”は2度とやらない」

クイン「それとありえませんが私が負けた場合にそれを口にしないこと」

エースケ「ハンデ貰って勝ったとしても言えねぇよ」

クイン「いいですわ、では私が今、全て投げ、その後にあなたが投げる。これでいいんですのね?」

エース「ああ、俺が負ければ”スピード”は捨てるし、勝ってもこのバトルの話はしない。」

クイン「それでは私のターン、3と6を……」

クイン「融合…!!」

エースケ「融合だと!?」

ここに来て新技だと!?

2枚のカードを重ねて丸めただけだが…何故だ…さっきよりも先端が尖っている。

クイン「折り紙の一種ですわ、丸めるだけでは芸がないでしょう?」

クイン「切って組み合わせて…ふふ、日本の折り紙は淑女の嗜みですわよ」

エースケ「だがそんなことしたらどちらかのトランプがボードに触れない事も…!」

クイン「私はこの世に生を受けてからトランピストとして育っているんです。だから…私がそんなミスするわけありません!!」

彼女はそう言うと、まるで槍投げのようにそのトランプを投げた。

木が揺れ、空気が震えた…

クイン「私の勝ちですわね」

圧倒的だ…一縷の隙もない完璧なトランプダーツの結果。
全て20のトリプル…満点の1800点!

一方俺は現在0点、残り6と3のトランプでの2回…

クイン「無理に投げなくてもよろしくてよ?時間の無駄でしょうし」

エース「…なに勝った気でいるんだよ…」

クイン「…へ?あ、あなた、勝てると思っていますの!?この状況で!?」

エース「当たり前だろ、俺はな…ルールを思い出してたんだよ」

クイン「ルール…ですの?」

エース「使うトランプはハートの3と6と9とクイーンなんだよな」

クイン「ええ、私はルール通り使いましたわ、私の反則負けでも狙いましたか?」

エース「ちげぇよ、使うトランプのマークと数字は決まってるけど、どのメーカーのトランプを使っても良いってことだよな?」

エース「ルールにはメーカーまで指定されてないもんな」

クイン「ええ、ですがそれが何か…?」

エース「俺は鋼鉄社製の超合金EXトランプを使うぜ!」

クイン「それは…!」

エース「そうだ、縦150cm横90cmの超合金製のトランプだ!」

クイン「トランプの比率を無視して作られ、トランピストからは異端のトランプと知られているトランプではありませんの!?」

エース「実際にトランプの比率なんて公式戦でも気にされてないだろ、この超合金EXが異端扱いされてるのは…」

エース「これでトランプタワーを作ってる途中に何人も押しつぶされて死んだからだ!」

エース「俺の親父は人を殺すためにこのトランプを作ったんじゃねぇんだ、少しでも長持ちするトランプを作ろうとしたんだ」

クイン「あの事件に関して私は独自の意見を持っていますわ」

エース「…なんだ?」

クイン「トランプタワーも満足に作れない馬鹿がたくさんいた事が笑える、ですわ」

エース「お前変わってるな、みんなトランプのせいにしてきたのに…」

クイン「物に罪はありませんわ、使い方次第で善にも悪にもなります」

クイン「それで、その超合金EXであなたはどうやって私に勝利するのですか?」

エース「こう・・・すんだよ!」

クイン「なっ・・!?」

俺は4回転しながら地面と水平にトランプを投げる。

勢いよく空中を回転しながら飛ぶそれは…木に当たった。

当たってなお…勢いは衰えない。

クイン「なっ!?木が!?」

倒れる木…すまんな、ここまで立派に育った木だったのに、俺のせいで…

クイン「ですが!木が倒れても無意味ですわ!私のトランプは深く刺さっていますもの!」

クイン「むしろあなたが的に当てにくくなったのではなくて!?」

エース「木を倒したのはこうするためだよ」

俺は倒れた木の端を持ち…引っ張った!!

クイン「なっ!?」

エース「この線から出ずにトランプをダーツボードに刺す、これさえ守ればいいんだ。」

クイン「木を引っ張って…ダーツボードを直接ゲットですって…!」

エース「お前すんごい深く刺したなー、抜きにくいぞ」

俺は手元に来たダーツボードからクインのカードを全て引き抜く。

そして…

エース「俺のファイナルターンだ…よし、これで俺の勝ちでいいんだよな?」

クイン「なっ…なっ…なーっ!」

クイン「なんですのこれーっ!!」

俺は自分のハートの6だけが刺さったダーツボードを手に持ち高らかに笑った。

クイン「約束ですからね、あなたの勝ちですわ」

エース「ああ、俺もこの勝負の事は言わねぇからさ、安心しな」

クイン「九州最強の私がこんなのに負けてしまうなんて…」

エース「ま、まぁズルみたいなもんだし気にすんなよ…」

クイン「気にしますわ!次はあなたと”スピード”で勝負ですわ!」

エース「ああ、いいぜ!」

エース「トランプバトル!」

クイン「スタートですわ!」


俺の戦いはまだ続く…。

エース「なあ、お前どこまでついてくんだよ」

クイン「あら?私はトランプロの大会参戦中ですからポイント稼ぎに日本縦断するだけですの」

あれから俺はなんだかんだこいつと一緒に旅をしている。

クイン「あなたも稼いだ方がよろしいんじゃありませんの?」

エース「あー、あれな、俺もどんどん戦わなきゃな」

クイン「四国には行きませんの?」

エース「四国ってローカルルール多そうじゃね?」

クイン「イメージはありますわね、でもそれを言うと沖縄も多そうですけど」

エース「あー確かにな、でもトランパーとしては公式ルール覚えたからさー」

エース「むしろ地元のローカルルールの方が意味わかんなかったわ」

クイン「あー、あるあるですね、トランピストあるある」

エース「トランパーな」

クイン「そういえば私とのスピード勝負、結構負けることありますわね?」

エース「沖縄では最強だったんだけどなぁ」

クイン「ふふ、練習でしたら付き合いますわよ、他のバトルルールも練習しておいた方がいいですし」

エース「お前ほんとにどこまでついてくんだよ…」

クイン「わ…私にトランプダーツで土をつけたのはあなただけですもの……」

エース「なんかいったか?」

クイン「何も言ってませんわよ!もうっ!」

エース「まあしばらく一緒にいるんなら名前で呼んでくれよ、あ、俺はエースな」

クイン「へ、え、あのその、いきなり名前呼びは。その」

エース「何赤くなってんだよ馬鹿、こっちまで照れるだろ、ならニックネームだと思えよ、ニックネームなら問題ないだろ?」

クイン「な、なら私はクインと呼んでくださいまし…え、エース…」

エース「クイン、あらためてよろしくな!」

クイン(首コクコクッ)

???「君が九州のクイーンさんかい?」

エース「なんだこの自分イケメンだってわかってるからさわやかにしてるけど家では週7で自家発電してますみたいな奴は」

クイン「自家発電?うちはソーラーパネルを導入してますわよ!」

???「おいおいおおい!!レディの前で何を言ってるんだ君は」

エース「俺はエース、お前は?」

倉部雀「倉部雀(くらぶじゃっく)だ、奈良で最強の神経衰弱トランプッターをしている」

クイン「トランピストの事でしょうか…?」

エース「トランパーにも色々呼び方があるんだなぁ」

ジャック「勝負、受けてくれるかな?」

エース「お前もトランプロの大会に参加してるのか」

ジャック「ああ、それと…九州のクイーンにも会っておきたくてね」

クイン「なんかこの人気持ち悪いですの」

エース「おい、お前のおすすめ同人誌はなんだ」

ジャック「甘ブリだ」

エース「そうか、お前…巨乳派か、ならクインは問題ないな!いってぇっ!」

クイン「殴りますわよっ!」

エース「殴ってんじゃねぇか!?」

ジャック「エースケと言ったね?君は何か勘違いしているようだ」

エース「何がだ?」

ジャック「俺は…ラティファ様が!」

エース「クインあぶねぇ!こいつはロリコンだ!」

クイン「きゃっ。(だ、抱きしめられちゃった)」

ジャック「まあまあ、何かしたりはしませんよ、君達が負けなければ…ね?」

クイン「か、勝てばどうするって言うのです?」

ジャック「脇か足…ですね」

エース「コキか…?」

ジャック「ペロです、君は負けたら別の罰にしてもらいましょうかね、そうだ、負けたら坊主はどうでしょう」

エース「別にいいが、お前が負けたら2度と20歳未満の女性とは話さない、この条件を飲め」

ジャック「ぐ・・ぬぬ…だが合法ロリがまだある…わかった、受けようその勝負」

クイン「な、なんだかわかりませんが負けられませんわ!負けたら脇の下か足を舐めなければなりませんのよね?そんな屈辱耐えられませんわ!」

エース「舐められる側だと思うぞー…」

ジャック「では、始めましょうトランプバトル」

ジャ/エ/ク「「「スタート!!!」」」

ジャックの部屋

エース「ずいぶんたくさんのトランプを使うんだな」

クイン「4デックですか…」

ジャック「ああ、ルール説明がまだだったね、この神経衰弱はマークと数字が一致しなければ揃ったことにはならない。」

ジャック「それと絵札を引いた場合その時点でターンが終了する」

クイン「トラップカードという訳ですか」

ジャック「その通りです我がクイーン様、本当は絵札それぞれに効果があるのですが、今回はオーソドックスに行きましょう」

エース「オーソドックスなら絵札トラップなんていらないんじゃ」

ジャック「いえいえ、特別ルールはまだあるんですよ。…数字とマークが4つ一致すればOKですが、普通の神経衰弱と違い連続で引くことはできません。」

ジャック「さらには当てたプレイヤーは次のターンを1回スキップまでされてしまうのです」

クイン「スキップされた方が有利ではありませんか!」

エース「なんでだ?」

クイン「相手に開かせる回数が多い方が神経衰弱は有利なんですわ、さらに今回の場合は絵札のトラップもありますし…」

ジャック「ならば我が女王。スキップするかどうかはクイン様の任意にしましょう。」

クイン「私の…?」

ジャック「ええ、僕が揃えても姫様が揃えても、エース君が揃えても、その場で次のターンスキップをさせるか続けて引かせるかはあなたが決めてください」

エース「呼び方安定しねえのな」

クイン「わかりましたわ」

ジャック「では長くなったのでまとめましょう!」

①4つのデックを使った神経衰弱
②マークと数字が全て一致した場合のみ取れる
③当てた場合にそのまま続けてめくるかどうかはクインが決める。
④続けて引かない場合はそのターンを終え、さらに次のターンがスキップされる
⑤絵札11~13およびジョーカーを引いたらその場でターンが終わる。

ジャック「これでよろしいですか?」

クイン「ええ」

エース「おう!」


俺達3人でカットし、3等分して机に置いていく。

机の上にきれいに並べたカードは普段見る神経衰弱よりも俺を威圧した。

エース「これは…すげえな」

クイン「ええ、すごいトランパワーを感じますわ」

ジャック「トランパッションが足りていないと貧血を起こすかもしれませんよ!では先行は私から!」

ジャック「ほ。ほ。ほ。ほ…揃いましたよ…」

エース「おー、すげえなお前」

クイン「いきなり…」

ジャック「どうしますか?ボクは続けて引きますか?」

クイン「ええ、続けなさい」

ジャック「よ~ろこんでえ~!!ほ、ほ、は、ほ…また揃いましたね」

エース「運いいなあ、すげぇ、ポーカーやれよお前」

ジャック「ポーカーは苦手でしてね。…どうしましょう、続けても…?」

クイン「このまま全て引かれてしまいそうですわね…?」

ジャック「イカサマを疑ってますかあ?でも3人でカットして3人で配ったんですよ?」

エース「カードも目印なんてねぇもんな」

クイン「ですがいきなり連続4カードなんて!」

エース「イカサマだとしても見抜けてないならただの言いがかりだ。やめとけ」

ジャック「してませんってば、はい、とりあえず僕はターンエンドですね、次、エース君どうぞ」

エース「おっしゃあ!俺のターン!ドロー!…スペードのキング…ちっくしょ!ターンエンドだ」

クイン「私のターン、ドロー…ハート8、ハート6、ハート9、ハートQ…ターンエンドですわ」

ジャック「ハートに愛されてますねぇ、さすがです」

ジャック「僕のターンはスキップでしたね、エース君どうぞ」

エース「俺のターン!…と、そうだ、絵札引いても場に残るの地味にきついんだけど」

ジャック「後半に行くほど地雷原が多い…それがこの神経衰弱の醍醐味ですよ」

クイン「開いたカードは全て覚えればいいんですのよ」

エース「覚えきれねぇよ!ちっくしょ…ドロー!ほっ、だーめだ、また絵札だ」

クイン「私のターンですわ、ドロー!ジョーカー…」

ジャック「2人とも強制ターンエンドとは運が無いですねえ!」

ジャック「では僕のターン!ドロー!ドロー!ドロー!ドロー!」

クイン「また…ですの…」

エース「すっげえ強いなお前!」

ジャック「ええ、最強の神経衰弱トランプッターだと言ったでしょう?」

クイン「続けて引きなさい…」

ジャック「はい!喜んで!!」

ジャック「ドロー!ドロー!ドロー!ドロー!へっへ…また揃いました。クイン様?続けて引けばいいですか?」

クイン「ええ、もう一度」

ジャック「ドロー!ドロー!ドロー!ドロー!…はい、揃いました」

クイン「…一度休憩にしませんか?私お昼ご飯がまだでして…本調子ではありませんでしたわ」

エース「そういや俺も腹減ったな、ちょっとコンビニ行ってくるか」

ジャック「僕の家を出て右にグイーって行って信号を渡って右にガーッて行けばありますよ」

エース「スマホのマップ見ながら行くから気にすんな」



コンビニ「いらっっしゃいませー」

エース「何食おうかなー」

クイン「カレー!カレーがオススメですの!」

エース「カレーか、良いな!クインは何にするんだ?」

クイン「おでんですの、後はホットスナックを買っていきます」

エース「珍しいな、パスタじゃないのか」

クイン「それでもいいんですけどね、おそらくジャックは匂いを頼りに戦っていますわ」

エース「匂い?」

クイン「ええ、カードを引く時に目を瞑っています。五感の一つを潰す事で嗅覚を鋭くしているんでしょう」

エース「それで匂いの強い物を買ってんのか」

クイン「ええ、それとカードのドローの時に私達は静かにしていましたがこれもやめた方がいいですわ、騒ぎましょう」

エース「真剣勝負中にそれは…な」

クイン「ですがそこまでしないと勝てる相手では…!」

エース「カードに香水かなんかつけてるとして、カレーくらいで惑わせる事ができんのか?」

クイン「香水とカレーならカレーが勝ちますわ、相当鼻を近づければ分かるかもしれませんが、さすがにそこまで顔を近づけたならイカサマだと告発しますわ」

エース「なあクイン、あいつが匂いに頼ってるならもっと良い手があるぞ」

クイン「なんですの?」

エース「それはな…」

ジャック「遅かったじゃないですか」

クイン「ええ、ホットスナックが無かったので揚げてもらっていたんですの」

ジャック「これは…そうか…」

エース「お前の手は見破ったぜ!アロマタクティクスだな!」

クイン「アロマ…?というか見破ったのは私ですわ!」

ジャック「ふ…っはっはっは!この程度で僕が同様するとでも…?」

ジャック「カレーの強い匂いで惑わせるつもりでしょうが、僕のトランプの香りはそんな物には負けないのだよ!」

エース「とりあえず食べ終わるまで少し待っててくれ」

クイン「ですの」

ジャック「あの、目の前で食べられると僕もお腹空いちゃうんですが…分けてくれませんか」

ジャック「お金も払うので…」

エース「10倍請求するぞ」

クイン「転売は儲けの基本ですわね」

ジャック「ひどい…」

エース「さて、再開だな!」

クイン「ジャックのターンエンド、次ターンスキップからですわ」

エース「なら俺のターンだな、ドロー!なんで俺はこんなに運が悪いんだぁ!」

クイン「では私のターン…私は…これ…いえ、こちらに…」

ジャック「悩んでるクイン様もいいなぁ…」

クイン「もう少し選ぶのにお時間を頂いてもよろしいですか?」

ジャック「ええ、1ターンに時間制限はついていませんからね」

エース「勝ったな…」

クイン「本当にこんな事で勝てるんですの…?」

ジャック「何を言って…」

エース「クインはこれから悩んだ振りをしながら全てのカードを手のひらで押さえて行くぞ」

ジャック「!?ど、どちらが気付いたのですか!?」

エース「俺だ、そもそもただアロマタクティクスに頼ってるなら買い物を許すわけないんだ」

エース「クインが言ってたけど香水とカレーならカレーの匂いが勝つんだ」

エース「相当鼻を近づけば分かるかもしれないが、そういう行動をしたらイカサマ怪しまれるしな」

エース「だがお前はカレーを見ても焦らなかった、つまり香水には頼ってないって事になる、てことは何に頼ったか…」

エース「お前は…近所の子供にカードを触らせてるな?」

ジャック「な、なぜ…そうだと…」

エース「カレーの匂いの中で当てる事の出来る匂いを考えただけだ、ロリコンが子供の匂いを間違える訳ない」

ジャック「お前も…ロリコンなのか…?」

エース「いや…俺はトランプの絵札にしか興奮しねぇ」

ジャック「クイーンにか…」

クイン「呼びました!?」

エース「呼んでねえ、後ちょっとかー?」

クイン「ええ、後30枚くらいですわ」

ジャック「クイン様が大きくなり、髪を切ればクイーンのようになりそうですね」

エース「そうだな、でも俺はジョーカーが好きなんだ」

ジャック「そうか…」

クイン「終わりですわ!では私のターン!…」

ジャック「待ってください、僕の負けです」

エース「良いのか?このまま続ければ俺達はきっと互角だぞ」

ジャック「匂いに頼って記憶力が身についてない僕には無理ですよ・・・」

クイン「ふざけないでっ!あなた!トランピストなら最後まで戦いなさいな!」

クイン「まだトラップカードもたくさんありますし、開かれてないカードも多いですし、エースはなんか弱いですし!」

クイン「最強の神経衰弱のトランピストがそんな腑抜けじゃ、あなたに負けた方々がみじめじゃありませんの!」

ジャック「はは…ははは…!怒ー鳴らーれちゃあったー!うれぴー!」

ジャック「そうだ!僕は近畿地方最強の神経衰弱トランプッターだ!」

ジャック「記憶力がないなら今身に着ければいい、運にだって頼っていい!諦めていいわけがないんだ!」

エース「そうだ、限界は自分が決めた甘えなんだ!それを超えろ!」

クイン「でもいいんですの?負けたらエースは坊主でしたわよね?」

エース「お前はペロペロだったよな」

クイン「か、勝ちますわよ!」

ジャック「結局クイン様の一人勝ちで僕とエースの引き分け、ですか」

クイン「私が勝った時の事は考えていませんでしたわね」

ジャック「なんでも言ってください」

エース「なんでもいいぞー」

クイン「ではエース、あなたは私と大会の最後で戦うと約束してください」

エース「決勝か…いいだろう、大会の最後にお前と戦ってやる、負けんなよ、クイン」

クイン「エースこそ、しっかりしなさいね」

クイン「ジャックは匂いに頼らずとも神経衰弱の最強になりなさい」

ジャック「は、はいっ!仰せのままに!」

新幹線ホーム

クイン「ふぅ、手強かったですけど楽しかったですわね!」

エース「そうだな、神経衰弱もたまには悪くないな」

ジャック「良さをわかってくれましたか!?」

エース「…で、なんでいんの?」

ジャック「神経衰弱の最強になるための武者修行です、大会のポイントも稼がなきゃいけないですしね」

ジャック「僕もついて行きますよ~!」

クイン「これは…ふふ。」

エース「仲間が増えたな、さーてじゃあ次はどこ行こうか」

クイン「中部が良さそうですわね」

ジャック「では、お弁当を買ってゴーゴゴーですな!」



俺達の戦いはまだまだ続く…

たまに更新します。

時間かかるかもしれないです。

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