ゴルゴ13「そのキレイな顔をフッ飛ばしてやる!」(23)

『 饒 舌 な 殺 し 屋 』



【 PART1 超A級のスナイパー 】

シカゴ ― USA ―



ボディガード「……ボス」

ボディガード「例のゴルゴ13とかいう殺し屋は、まだ来ないんですか?」

ボス「いや、そろそろ来るはずだが……」



ゴルゴ13「もう来てるぜ!」

ボス「おおっ! アンタがゴル……いや、デューク東郷か!」

ゴルゴ13「そうだぜ!」

ボス「アンタの噂は聞いてるよ。一度お会いしたかったんだ」スッ

ゴルゴ13「おっと、利き腕を他人に預けるほど、俺は自信家じゃないぜ!」

ボス「これは失礼、さすが超A級のスナイパーだ!」



ボディガード(こんなベラベラしゃべる男が、本当に一流の殺し屋なのか……?)

ボディガード「…………」スッ

ゴルゴ13「俺の後ろに立つなよ!」シェッ

ボディガード「わっ!」サッ

ゴルゴ13「俺の後ろに立ったら、そのゴツイ顔をブン殴ってやる!」

ボディガード「なんだと……!」

ボス「よせ! こんなところで揉めてどうする!」

ボス「すまなかった、ミスター・デューク東郷」

ゴルゴ13「気にしてないぜ!」

ゴルゴ13「用件を聞いてやるぜ!」

ボス「おおっ、さっそくだが標的は――」スッ

ゴルゴ13「おっと!」チャッ

ボス「!」

ボディガード「!」

ゴルゴ13「ゆっくりと出してくれよ! でなきゃ撃っちゃうぜ!」

ボス「わ、分かった……」スッ…

ボス「標的は……この男だ」

ゴルゴ13「キレイな顔した男だな! こいつは何者なんだ!?」

ボス「長らくここらの地域の暗黒街は、俺たち“ウェストファミリー”と」

ボス「こいつの父親がボスだった“イーストファミリー”が仕切ってたんだが……」

ボス「その父親が死んでからというもの、息子のこいつが俺のシマに野心を持ち始めてな」

ボス「ここ数ヶ月で、ウチの構成員が何人も殺られちまってる」

ボス「確証はねえが、“イーストファミリー”の仕業に間違いねえ」

ゴルゴ13「ひどいもんだぜ!」

ボス「もちろん、このままじゃ済ませられねえ」

ボス「だが、チマチマと復讐(リベンジ)したって、俺の気は収まらねえ」

ボス「だから俺は、いきなりとっておきの手を打つことにしたわけだ……アンタというな」

ボス「頼む……引き受けちゃくれねえか?」

ゴルゴ13「分かった! やってみてやるよ!」

ゴルゴ13「スイス銀行に金が振り込まれ次第、仕事に取りかかってやるぜ!」

ボス「おおっ!」

ボス「これであの仁義を知らねえ若造に、天罰ってのを喰らわせられるってもんだ!」

ボディガード「…………」

【 PART2 仕事前の楽しみ 】



娼婦「ハァイ」

ゴルゴ13「ん?」

娼婦「ねえ……遊んでかない?」

ゴルゴ13「いいぜ、遊んでってやるよ!」

ゴルゴ13「そのキレイな顔をあえがせてやる!」

ゴルゴ13「ここだ……」ギシギシ…

娼婦「おおお~っ!」

娼婦「アンタこそ男! 男だよ~っ!」

娼婦「おおおおお~っ! あああああ~っ!」

ゴルゴ13「ちょろいもんだぜ!」ギシギシ…

【 PART3 狙撃(シュート)! 】



ゴルゴ13「へへへ……」

ゴルゴ13「よぉし、ここで待ち伏せてれば標的が来るはずだ」

ゴルゴ13「スコープのないこの特注ライフルで、百発百中だぜ!」チャッ

ゴルゴ13「――お、カモがネギしょってやってきたぜ!」

ゴルゴ13「あいつが“イーストファミリー”のボスに間違いないぜ!」







黒服「ボス、お車へどうぞ」

青年ボス「ああ」

ゴルゴ13「ちょろいもんだぜ」

ゴルゴ13「ここだ……」

ゴルゴ13「そのキレイな顔をフッ飛ばしてやる!」カチッ





ズキュゥゥゥ……ンン……

ビシッ!

黒服「狙撃!? ――ボス、伏せて下さい!」バッ

青年ボス「くっ!」バッ







ゴルゴ13「――外した!?」

ゴルゴ13「ちっ、しくじっちまった! だったら当たるまで撃ってやるぜ!」





ズキューン…… ガゥーン…… ドキュゥーン……

ゴルゴ13「やべえ、全然かすりもしねえ!」

ゴルゴ13「しかも撃ちまくってたら、俺がいる位置がバレちまったみてえだ!」

ゴルゴ13「奴らの兵隊がこっちにやってくる!」

ゴルゴ13「ここはズラかるしかないぜ!」ダッ

黒服「……どうやら狙撃は止んだようです」

黒服「今のはおそらく、“ウェストファミリー”のヒットマンによるものですよ!」

青年ボス「……分かっている」

黒服「奴らは、あなたが自分たちのシマを乗っ取ろうとしてると勘違いしやがったんだ!」

黒服「こうなったら、こっちもやるしかありませんよ!」

青年ボス「いや……それは絶対にしてはならん」

青年ボス「“ウェストファミリー”とは争うな……それが父の遺言だったからな」

青年ボス「それに“イースト”と“ウェスト”を対立させて」

青年ボス「漁夫の利を得ようとした小賢しいネズミは今ごろ始末されているはずだ」

青年ボス「俺が雇った“彼”によってな……」

【 PART4 始末された“ネズミ” 】



ボディガード(ううっ……なんて男だ……)

ボディガード(俺も早撃ちには自信があるのに……まるで対抗できなかった……)

ボディガード(“ウェストファミリー”のボスのボディガードになりすまして……)

ボディガード(二つのファミリーの対立を煽り、抗争させ……)

ボディガード(この地域を丸ごといただくという……俺の野望は……)

ボディガード(あのカミソリみたいな目をした男によって……絶たれた、か……)ガクッ

【 PART5 判決は下る 】



ゴルゴ13「ハァ、ハァ……ここまで逃げれば大丈夫だろ!」

ゴルゴ13「まったく……大失敗だったぜ!」

ゴルゴ13「だけど前金で受け取ってたおかげで、50万ドルのぼろ儲けだ!」

ゴルゴ13「ほとぼりが冷めるまで、こいつで遊んで暮らしてやるぜ!」

ゴルゴ13「有名なスナイパーの名を騙るだけでこんな大仕事にありつけるなんて」

ゴルゴ13「ちょろいもんだぜ!」

?????「有罪(ギルティ)……」



ゴルゴ13「え?」

ビシッ!

ドサッ……



?????「俺は俺の模造品の存在を許さない……」チャッ

?????「ましてや、それがとんだ粗悪品ときてはな……」シュボッ…





二週間後、この地域を取り仕切る二つのファミリー間において和解が成立した……。









― END ―

元ネタの画像を貼っておきます
http://i.imgur.com/WYK5bWK.jpg

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