男「人殺しだよ」少女「え?」(21)

女「ふぅん、連続女性殺人事件だって。怖いね」

男「そうだな」

女「か弱き乙女の女ちゃんも狙われたらどうしよう」

男「か弱いとか。馬鹿も休み休み言えよ馬鹿」

女「ひどい」

男「というか、三日も殺人してるとか超頑張ってるな」

女「私なら無理。家でゴロゴロしてるほうが楽しい」

男「だな」

女「人がいない時を見計らい、襲いかかり、殺す…か」

男「普通は精神が参りそうなもんだがな」

女「連続殺人なんて気狂いしかやらないでしょ。正常な精神なんてあるわけない」

男「正常な精神ねぇ。お前が言えたことじゃないだろ」

女「失礼な」

男「それより、そろそろチャンネル変えないか。同じ情報の繰り返しでうんざりする」

女「どこも同じだよ。マスコミがこんな美味しいネタを放るわけないじゃん」ポチポチ

男「あ、相撲見ようぜ」

女「やだよ。つまんない」

男「ちぇっ」

女「確かにうんざりだね。同じ情報しかないってのに」ポチポチ

男「犯人は今どんな気持ちでこれ見ているんだろう」

女「ニヤニヤしながらみてんじゃないの?それか町に繰り出して獲物探してるよ」

男「かもな。しかしなんでよりによって近所で起きてるんだ」

女「静かなところだからここにすんでいるのにねぇ」

男「俺たちに静かな生活は合わないってか…やはり戦いの日常が合うのかな…」フゥ

女「似合わない」

男「分かってるよ。やってみたかっただけだよ」

女「似合わない」

男「二度も言うなよ。へこむだろうが馬鹿」

女「いやでも、全然似合わ」

男「もうやめて!俺のhpは0よ!」

女「暇だしコンビニ行こうかな」

男「今は夜だが」

女「コンビニが24時間営業なの知らないのー?プークスクス」

男「うるせぇ馬鹿」

女「まさか私に限って殺されまい」

男「多分今までの被害者みんなそう思っていたはずだがな」

女「冗談だよ。一応護身用具は持っていくから」

男「…護身用具か」

夜道

女「そーうだーわコンビニ行こうかなー」

男「24時間」

女「コンビニエンスストアー」

男「24時間」

女「コンビニエンスストアー」

男「お」

女「あら」

男「女の子が殺されそうだ」

女「ね」

男「どうする」

女「助けるしかないでしょう」

男「そう言うと思った」

女「ふふん。私は正義心あふれるオトナなのだ」

男「でも助けて貰った女の子がお前を通報するに一票」

女「なんで?」

男「正義心あふれるオトナが包丁なんか普通は持ち歩かないからだ」

女「考えてみればそうかもしれない」

男「ま、そこらへんは後で考えよう」

女「だね」シャッ

男「俺が行く」

女「うん、頼むね」

仮面「……」ユラユラ

通行人「ひ、ひぃぃぃ」ガタガタ

仮面「……」バッ

通行人「きゃああっ!」

男「キーック!」ゲシッ

仮面「…!」ゴロンゴロン

女「おお、脇腹にクリティカルヒットォッ」

男「こいよ、仮面野郎!」

仮面「……」スクッ ダダダ

女「あっさり逃げた」

男「大丈夫ですか、お嬢さん」

通行人「ええ、大丈夫…」グスグス

男「今日はもうお帰りなさい。明日にでも警察に通報してください」

通行人「はい…」グスグス

女(私たちの通報は免れたみたいだね)

男(包丁元通りバックに入れるの大変だったんだぞ馬鹿)

女「無事に帰れるといいね」

男「だな」

女「さてコンビニコンビニ」

男「待て。どうやら俺らと話したい人がいるっぽいぜ」

女「ん?」

男「出てこいよ。取って食うとかはしない」

少女「……」スッ

男「そんな目で見るなよ。何が不満なんだ」

少女「逃げたアイツ、連続殺人犯よ」

男「みたいだな」

少女「どうして捕まえなかったの!被害を増やすばかりじゃない!」

女「まあまあまあ、お姉ちゃん。あなたはそこで何をしていたの?」

少女「……」

女「捕まえろとかいうわりには、影から様子を伺ってたみたいだけど」

少女「あたしは…」

女「ただの傍観者かしら?悪いけどそれ、最低よ」

男「女。落ち着け」

女「……」

男「ぶっちゃけた話、お前が何しようが関係ないし殺人犯なんてもっと関係ない」

女「自分が殺されない限りね」

少女「……」

男「話はこれでいいか?」

女「私たち、コンビニ行かないといけないから」

少女「ちょっと待ってよ」

男「なんだよ」

女「というよりあなた早く家に帰ったほうがいいわ。親が心配するよ」

少女「あんた…なんなの?」

女「なんなのって?」

少女「さっきから俺とか私とか一人称ぶれてるし」

少女「あなたとかお前とか三人称もぶれてるし」

少女「それに口調も違う」

少女「……どうして“一人”で、キャラクターを変えてまで喋るの……?」

男「……」

女「……」

男「油断してたな」

女「うっかりしてた。つい」

男「説明頼む」

女「うん。あー、なんていうのかな。あれだよ」

女「この身体には二つ人格があるの」

男「いわゆる多重人格者」

少女「…そんなファンタジーなこと」

男「あるんだよ」

女「あるのよ」

少女「……」

女「私たちは代理の人格。普段は私が出てるの」

男「まあ、元々の主人格は昏睡してんから仕方ないな」

少女「え……なんで」

男「長い話でね。あんまり良い話でもない」

女「色々あったのよ、色々」

女「主人格を、強いて言うなら――」

男「やめとけ女。話しすぎた」

女「だね」

少女「なんなのよ…」

男「さっさと俺らを忘れた方が身のためだぜ?」

女「あ、人には言わないでね。また病院放り込まれるのは嫌だから」

少女「え、あ…」

女「バイバーイ」

男「人に言わないといいんだがな」

女「言わないんじゃない?その変わり、接触はしてくるでしょ」

男「接触ぅ?またなんで」

女「なんとなく。オンナの勘」

男「はいはい。コンビニ入るから俺は黙るぞ」

女「ん」

パポパポパポー

店員「らっしゃいまっせー」

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