那珂「ただ貴方に愛されたくて」 (23)


・エロ

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 夜。月が鋭利な光を雲の合間から降ろし。
海は静かに波を打つ。
冬は日の入りが早く、日の出が遅い。
つまりは夜の時間が長い暗闇の季節。
雪の白いイメージと共にモノクロームな雰囲気を宿す。

「んぐっ……んぅ」

 波飛沫と共に冷気を運ぶ潮風に
流石の川内も部屋に籠る丑三つ時。
一つの部屋からくぐもった声が零れ落ちる。

「んっ……ぷはぁっ……んぐぅ」

 それは何の変哲もない一人の私室。
司令官である男の部屋。
けれど零れる声は甘く艶やかな、それでいてあどけなさを残す少女の物で。


「くっ……那珂っ!」

 静まり返った廊下とは裏腹に熱の篭った室内で
男と少女が絡み合い水音と荒い吐息だけがこだまする。

「んふっ? ……んっ、んっ!」

 男――この鎮守府の司令官であり唯一の男である提督の腰元。
那珂と呼ばれた少女、否艦娘が顔を埋め前後に動く。
提督の身体に抱きつくように腕を絡ませ、
口の端から唾液を溢しながらも快楽に歪む提督の顔を見上げ
嬉しそうにペニスを頬張り奉仕を続ける。


 顔を引き、頬張っていた物が少女の口から姿を現す。
唾液に塗れ震えるそれはどう見ても少女には不釣り合いのサイズで。

「んんっ」

 しかし少女は軽く息継ぎをしただけで再びそれを口腔内に勢いよく収め、
根元、提督の下腹部に額を押し付ける。
あまりにも情熱的で、手慣れた行為に提督は歯を食いしばって耐える。

 那珂。艦娘。川内型軽巡洋艦の三番艦。
普段歌を歌い鈴のような声を鳴らす彼女の喉も
今はただただ性行為の為の道具として扱われている。
押し付けるように、吸い付くように。
喉奥にまで到達した亀頭はぬるりとした喉の粘膜に包まれ揉まれ、
舌は竿の下半面に張り付き小刻みに舐め回す。
窄めた頬は舌の届かぬ側面をざらざらと撫でさすり。

「くあっ、でるぞ!」

 口にたまった唾液を飲み込む際の、
喉奥の動きに亀頭を強く刺激を受け提督はたまらず声をあげて。

 どぷっ……どぷっ、びゅるる。

「っ! ……んっ」

 後頭部を両の手で抑え込まれ、
腰を突き出された那珂は少しだけ目を見開いたものの、
やはり手慣れた様子で口の中で脈動するペニスを咥えたまま
口一杯に広がる精液を喉で受け止める。
その顔に苦しさや嫌悪感は無く、ただただ恍惚とした表情だけがあった。


「んあ……」

 ずるりとゆっくりと顔を引く。
唇を窄め、口の中に広がる白濁が零れない様に。
でろり。と少々小さくなったペニスが抜けた後。
那珂は口を大きく広げて口腔内に汚すそれを提督に見せつけ。

「んふっ……ごくっ」

 淫靡に笑ってあえて喉を鳴らし二度三度。
時間をかけて飲み込んでいく。

「ぷあっ……」

 そして再度口を開く。
淫らに糸引く舌をだらりと垂らして、
すべて飲み込んだと。だから褒めてと。

「よかったぞ、那珂」

 それが伝わったのかどうかは定かではないが、
提督は那珂の頭をそっと撫でる。
汗で少々湿った髪を柔らかく幾度も撫でられ、
那珂は猫のように目を細め微笑む。
それは先程までの妖艶さはなく、年相応の少女の物であった。


―――

「那珂ー」

 ゆさゆさと身体を揺すられ、
夢心地の布団の中で瞼を開くとドアップの姉の姿があった。
珍しく朝から元気な様子で私の肩をゆさゆさと。

「なぁーに? 那珂ちゃんまだ眠いよぉ」

 がくがくと揺れる視界。
やけに笑顔の長女に向かってだだをこねる。
昨日は寝るのが遅かったのだから仕方がない。
提督に求められれば後先考えずに応じてしまうのは
自分の悪い癖だと思うけど、惚れた弱みという奴で。

「眠くても起きろー、対潜任務だよ。五十鈴と那珂に呼び出しかかってるっての」

 


 言われて飛び起きる。
私を名指しで呼び出してる、提督が。
ならいち早く向かわなくちゃ。

「ぶわっ!?」

 近くに居た姉に掛け布団がかかって、
子供騙しの幽霊の如く。ちらりとそちらを見て、
けれど無視して寝間着を脱ぎ捨てる。

「もー、なにすんだよー」

 ぶつくさと姉が布団をはがしてベッドにセットしなおす。
騒がしく戦闘好きの姉は、意外と面倒見がよくて家事もできる。
―――私とは、違う。着替えながら、左手を見る。
自分と、姉の左手。自分にはなくて、姉にはある銀に光る輪。

「言ってきます」
「はいはい、いってらっしゃい」

 私は、姉の川内が好きだ。

 そして、それ以上に姉の川内が憎い。

イベントお疲れさまでした


―――

「はふぅ」

 水煙。爆雷で高く跳ね上がる水柱。
ゆっくりと海中から上がってくるオイル、金属片。そして肉片。
黒くて、白くて、赤いそれらを眼下に次の標的を探す。

「調子が悪そうね」

 昔二人の姉とやったキャッチボール。
現世で再会できて、三人揃った時に一緒にやったそれを思い出しながら、
いまはボールの代わりに爆雷を片手で弄ぶ。軽く真上に投げて、受け止めて。
あの時は、楽しかった。再会できた事が嬉しくて、こうしてコミュニケーションを
直接取れることが素敵で、素敵で。

「そう? 那珂ちゃんはいつでも元気いっぱいだよ!」
「……そ、あんたがそれでいいならいいけどね」

 私は次を探す。昔を想起しながら、私の次の戦果を。
それしか、私にはできない。

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