蒼龍「私だ」 (87)


執務室

雲龍「提督、アルフォンシーノ方面より只今帰投しました」

提督「ご苦労様。戦果は?」

雲龍「同海域に跋扈する敵艦隊を多数黙らせた後、敵泊地にて待ち構えていた艦隊にも大打撃を与えました」

雲龍「あと数度、北方海域深部の敵中枢艦隊をぐうの音も出ない程に叩けば、北方方面の深海棲艦らも暫くは沈黙するかと」

提督「概ねいつも通りか。どうでもいいけど君少しだけ物騒な物言いするよね」

雲龍「気にしないで」

提督「それで、こっちの被害は?」

北上「アタシが小破したくらいで他のみんなは損害軽微以下ってとこだよー」ニュッ

提督「北上いたんだ」

雲龍「私は無傷ですので、他4人は明石さんに疲れを取って貰うようにと」

提督「わかった、北上は小破だけど完治には時間かかるだろ、バケツ使っていいから行ってきな」

北上「ちぇ、たまにはゆっくり湯船に浸かろうと思っていたのに」


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雲龍「そうだ、大淀さんから聞きましたけど新しい子が来てるみたいですよ」

提督「またか」

北上「多いよねえこのところ」

提督「やる気は買うが、あんまり新人を育ててやれる労力もないから他所の司令部に紹介するしか出来ないのにな」

北上「こんな万年中年管理職がお似合いの提督の何がいいんだろうね」

提督「俺、中間管理職に就いたことないからわからないけどそれ褒めてんの?貶してんの?老け顔って言ってる?老けてないよ?」

雲龍「そろそろ来ますからふざけていないで真面目にやってください係長」

提督「係長って俺のこと?せめて階級で呼んで欲しいな?」

コンコン ガチャー


蒼龍「こっ航空母艦蒼龍です! ふつつか者ですが、じゃなくて艦隊航空戦力のえーと、とにかくよろしくお願いします!」


提督「…………」

雲龍「…………」

北上「…………」


蒼龍「……あ、あのー」

北上「……初々しいね」

蒼龍「へ」

雲龍「提督」

提督「うん……どうしよう」

蒼龍「どうしよう、ってまさか私まだ何もしてないままクビですか!? そんなあ」

提督「いやその、クビには、しない」

蒼龍「えっ」

雲龍「本気?」

提督「本気かは怪しいけど責任なら取るさ。ええと確かこの辺に」ガサゴソ

蒼龍「ええと、一体どういう……」

北上「茨の道、ではないけど楽ではない道が開かれたってことよ」

蒼龍「ますます意味が」

雲龍「事実は小説よりも奇なり、よ」

蒼龍「ええ……?」

提督「あったあった、これを腕につけてくれるかな」

蒼龍「あ、はい……何これ? "4"て書かれたバンド?」

提督「それじゃ君の部屋に案内でもしようか。ただの空き部屋だけど」

蒼龍「いやあの、だからこれ何なんですって置いてかないでよちょっとー!?」

仕事の休憩時間が終わったのでここまで
続きは仕事終わってから

トリップつけることにする
というわけで再開


空き部屋


提督「と言うわけでここが君の部屋もとい空き部屋になります」

蒼龍4「長年誰も使ってなかったとかじゃなくて、本当の空き部屋なんですねえ……家財道具一切無しなんて」

蒼龍4「と言うかそれよりもこのバンド何なんですか! さっきから質問してるのに答えてくれないし! なんか4って付いたし!」

提督「後で布団持ってくるから! 追々他の家具も届くから不便はないぞ!」

蒼龍4「出来れば低反発枕も、ってそうじゃなくてー!」

提督「他にも仕事がある予定だから!じゃあの!」

蒼龍4「ちょっとー!? ……このバンドについてだけ何の説明も無しって、何か知られちゃいけないことでもあるの……? この司令部では何か怪しい実験をしてるとかそういう」

北上「そんなもんないよ」

蒼龍4「ひぃ!?」

雲龍「夜な夜な戦艦になりたいという呟きが聞こえる以外は特に何もないわね」

蒼龍4「なにその怖いのか怖くないのかよくわからないの」

蒼龍4「てかどうしてお二人は残っていて思いきりくつろいでるんですか! 何にもないのによくくつろげますね!」

北上「いつ如何なる場所であろうとくつろぐことが出来るのが球磨型軽巡の特技……! 雷巡だけど!」

雲龍「特に理由などないわ、貴方も寝そべってみない? フローリングって冷たくて気持ちいいわよ」

蒼龍4「二人ともお腹出てるのに……寒くないんですか?」

北上「寒くなってきたけど変な快楽が」

雲龍「このまま寝たら楽になれる気がする」

蒼龍4「着任早々自室で凍死されるとか冗談じゃないんだけど!?」


北上「冷えたしお風呂入ってこよ、元々小破してる身分だし」

雲龍「そうね、私も付き合おうか。 こんな寒い部屋にはいられないわ」

蒼龍4「それ私にケンカ売ってます? そもそもくつろぎ始めたのは二人なのに」

北上「細かいこと気にしてたらハゲるよ」

蒼龍4「ハゲませんから! それと、お風呂行く前にこの数字について何か……」

雲龍「それじゃあ、また今度ね」

北上「ほらー早く行こうようんりゅー」

蒼龍4「何当たり前のように行こうとしてるんですか! 何か知ってるなら教えてくださいよう!」

北上「知らない方が面白そうだし」

蒼龍4「私は面白くないしモヤモヤしっぱなしー! もう! こんなの外しちゃえばi」

雲龍「それ力尽くで外すと爆発するわよ」

蒼龍4「」ビクッ

北上「ま、どーしても知りたいなら適当にぶらついてればいんじゃない?」

雲龍「それじゃ」スタコラ

北上「またにー」サッサ


蒼龍4「」

蒼龍4「ええ……?」


蒼龍4「結局ほとんど何もわからないままだよ」

蒼龍4「……これ爆発するの? ホントに?」

蒼龍4「ひええ……あ、でも、北上さんがこのバンドについて知りたければ適当に出歩いてみろって言ってた……かな?」

蒼龍4「爆発するのは嫌だし、これの安全な取り方もわかるといいな……」

蒼龍4「そうと決まれば早速行動に移そう! 二航戦、蒼龍出撃します!」


執務室


暁「しゃしゅししれーかかかかか」ガクガクガクガクブルブルブルブル

提督「顔面凄いことなってんぞ暁、どした? 寝ぼけた加古におやつでも取られた?」

暁「ああああかかかずあかずのまのま開かずの間から人の声がががが」

提督「開かずの間ぁ? もしかして今まで特に誰も入ろうとしなかっただけの空き部屋のことか?」

暁「」コクコクコクコクコクコクコクコクコクコク

提督「今日からあそこにオバケが入居したから仲良くやれよ(大嘘)」

暁「オバ」


暁「ぴゃああああああああああああああああああ!!!!!」

朝食遠征演習出撃睡眠その他諸々のためここまで
島風のおへそもいいけど江風のおへそもいいものだ

弥生の腹太鼓で小君よくリズムを奏でたい
始める


空き部屋前


蒼龍4「出撃ーーと意気込んだもののどこへ行ったらいいんだろう……」

蒼龍4「部屋に案内されてる時も周りを見てなかったし……適当に歩くと迷いそうだよ」

蒼龍4「執務室への行き方なら辛うじて、だけど提督に訊いても何も教えてくれなさそうだし」

蒼龍4「どうしたら……」

<コノメヒライテ…カオミレバ…

蒼龍4「ん? 誰かがこっちに来てる? というか何この歌」クルッ

加賀「翼束ねて波濤を越えて……こんな辺鄙なところで突っ立ってどうかしましたか蒼龍さん」

蒼龍4「うひゃああ! 一航戦の加賀さんだあああうわああああ」

加賀「何ですかその反応」

蒼龍4「ハッ!は初めまして蒼龍です本日より当司令部指揮下の航空母艦としてそのあのえーと」

加賀「……少し腕、いいかしら」ヒョイ

蒼龍4(わああああ一航戦の完全無欠クールビューティな方の加賀さんが意外にもフランクにスキンシップしに来てくれたあああああこれは決して赤城さんがダメな方というわけではなくというかむしろ赤城さんはダメなところもあるからこそいざという時の凛々しさが数倍に跳ね上がるのであっててか別に全ての赤城さんがダメなところあるとも限らないしそもそも雲龍さんでテンション上がらなかったのは色々とわけがわからないままだったから決してないがしろにしたわけではなく)

加賀「4……なるほどね」


蒼龍4「へ、今なるほどって」

加賀「私のことは簡潔に済ましましょう。加賀です、よろしく」

蒼龍4「よ、よろしくお願いします。 ところで」

加賀「近い内に演習、早ければ出撃する艦隊にお呼びがかかるでしょう」

蒼龍4「えっそんな早、じゃなくてその訊きたいことが!」

加賀「あら、何かしら」

蒼龍4「このバンドどうやったら爆破しないように外せるんですか!!」

加賀「……」

蒼龍4「あっ違う違わないけどそうじゃなくて」

加賀「普通に取れるわよ」

蒼龍4「へっ」

加賀「爆発もしませんし」

蒼龍4「」


加賀「爆発するだなんて誰に言われたのかしら」

蒼龍4「雲龍さんです……でも何もないんだったら外してもいいよね……」ハズシ

加賀「いえ、付けていて貰わないと困ります」

蒼龍4「え? やっぱり何か……何なんですかこれ?」

加賀「貴方はそれについて何か聞いていないので?」

蒼龍4「訊いても教えてくれなくて……北上さんには知らない方が面白そうだなんて言われちゃって」

加賀「新人だからとからかわれてるようね」

加賀「いいわ、ならば私がお話ししましょう」

蒼龍4「本当ですか!? よかったあ、加賀さんにまでからかわれたらどうしようかと」

加賀「心して聞くことね、4という数字にまつわる話は決して軽い物ではないわ」

蒼龍4「……長くなります?」

話が頭の中でまとまってないので一旦ここまで
未改造飛龍の太ももが眩しい

綾波のほっぺもにもにしたい
オリョクルしながらだらだら始める


加賀「まず一つだけ訊きます、貴方はその数字を何だと思う?」

蒼龍4「え? えーと、何かの番号……数?」

加賀「ありきたりな答えね。 でもその通り、その数字は数、人数を示している」

蒼龍4「人数……」

加賀「貴方は4人目。 正確に言えば貴方は4人目の蒼龍よ」

蒼龍4「……そう、ですか」

加賀「あまり驚かないのね」

蒼龍4「私達は深海棲艦と戦うための存在ですから、そういうことも起こり得る。 そうでしょう?」


加賀「さて、本題に入りましょうか。 これは一人目の蒼龍の話」

加賀「彼女は優秀でした。 彼女がいる艦隊は負け知らずと言うほどに」

加賀「正直嫉妬していました。 私より後に来ておいて私より先を進んでいましたし」

加賀「けども、彼女は優秀すぎました」

加賀「ある出撃任務の時です。 敵艦隊との連戦が続き我が艦隊は多大な損害を被り、彼女も大破認定される程の損傷を受けていました」

加賀「通常、大破した場合は専用の装備をしていない限りダメコンがまともに作用せず、それ以上被弾しようものなら抗うことも敵わず沈むでしょう」

加賀「ですので、私達は撤退するつもりでした。 通信を通して提督の承認も得ましたので。 けどその時に彼女は何と言ったと思います?」

加賀「敵の攻撃など全て避けてみせるから先に進もう、と」


加賀「当然、その場にいた全員で猛反対です。 帰ればまた来られると言った常套文句から被弾し過ぎて頭でもやられたのか、なんてまで言われていましたね」

加賀「私は、貴方が子供しか言わないような凡愚をのたまうなど思いもしなかったと言ってやりましたよ」

加賀「彼女の言い分としては、これ以上戦いを間延びさせることもない、敵の本隊もあと一押しで仕留め切れるからこの作戦を早く終わらせよう、と」

加賀「私には優秀さ故の自信からくる慢心にしか聞こえませんでした。 実際としてはどうなのでしょうね」

加賀「作戦が展開されていた当時は提督を含めて誰もが疲弊しピリピリしていましたから、そういう空気から皆を解放したかった……なんて推測も出来ますが今となっては知りようがありません」

加賀「その時の旗艦は私でしたから、旗艦命令で彼女を簀巻きにして連れ帰ろうとまで口に出しかけたところでした」

加賀「浮くだけでやっとの身の何処にそんな余力が残っていたのか、私達を置いて一人先に進んで行ってしまいまして」

加賀「大小問わず損傷を抱えた私達ではどうにか後ろに付くことは出来ても、追い抜くことは出来ませんでしたから、そのまま止める事も出来ずに敵艦隊の対峙することになりました」

加賀「後はまあ、呆気ないものです。 みなまで語ることはないでしょう」

加賀「意地と誇りで無理を通し、敵艦隊を撃滅することには成功しました」

加賀「後味の悪さを遺し、展開されていた作戦も完遂ということになりました」


加賀「その後、予想出来る通りに2人目、3人目の蒼龍がやって来るわけですが、どうにも運が悪いのかしら」

加賀「2人目は大破し、駆逐艦の子の護衛の元撤退している最中に潜伏していた潜水艦にトドメを刺されたと聞いています」

加賀「3人目は整備不良だったのでしょうか、戦艦イ級の砲撃の直撃を受けてそのまま」

加賀「流石に3人中2人も私の目の前で死なれると個人的に蒼龍という艦娘にトラウマを覚えますよ」

蒼龍4「なんというか……ごめんなさい」

加賀「さてここまでがこの司令部にいた蒼龍という艦娘の話。 今度はそのバンドの話をしましょうか」

蒼龍4「人数……ですよね? それとも他にも何か」

加賀「ご明察。 話すついでに場所を移しましょうか、間宮さんの所でしたら他にもいるでしょう」

蒼龍4「他にも? それはどういう……」

加賀「いたら分かるわ。 行きましょう」

デイリー任務が終わったのでここまで
もう少ししたら終わる予定
村雨限定グラ可愛すぎて身投げする

指摘されて気付いた、イ級じゃなくてレ級かタ級かその辺に脳内補完してください
なんでもしまかぜあまつかぜ

更新は午後以降


清霜「全然違うじゃん!」

提督「……」

清霜「言ったよね? 改になれば戦艦になれるかもって! じゃあ今の私は何!?」

提督「駆逐艦、清霜改、かな」

清霜「もういい! 私艦娘辞める!」


清霜の前歯いいよね
そんなわけでだらだら始める


甘味処「間宮」


間宮「あら、加賀さん。 と、蒼龍さんかしら」

加賀「いつものをお願いします」

蒼龍4「あ、初めまして、航空母艦蒼龍です、よろしくお願いします」

間宮「はぁい、よろしくね。 蒼龍さんには初来店ということでスペシャルパフェ、サービスしましょうか」

蒼龍4「あ、ありがとうございます……ところで加賀さんの頼んだいつもの、って?」

加賀「一航戦盛りパフェ 〜MI作戦を越えて〜 よ」

蒼龍4(まるで分からない)

加賀「ん、丁度狙い通りの子も来てるようね」

蒼龍4「狙い通り? さっき言っていた他の……?」

加賀「奥の方を見てみなさい」


北上2「じぃー」

阿武隈2「……」

北上2「じぃいいいい」

阿武隈2「……あげませんよ? 私の杏仁豆腐」

北上2「えー? いいじゃん一口くらい」

阿武隈2「きな粉練乳アイスを2つも食べておいて何言ってんの? それに私が一口ちょうだいって言ったのにくれなかったくせに!」

北上2「んもー、けち臭いなあ。 ただでさえ小さい胸がしぼむよ?」

阿武隈2「しぼまないし! 風船じゃあるまいし!」


蒼龍4「あれは北上さんと……」

蒼龍4(というかさっきお風呂に……バケツ使ったのかな、言ってたし)

加賀「軽巡の阿武隈さんよ。 でもそれだけではないわ、2人とも貴方と似たものをしているでしょう」 ナマイキナアブクマナンカコウダ

蒼龍4「え? ……あ、本当だ、似たようなリストバンド……」 ダカラマエガミハヤメテッテイッテルデショ

蒼龍4「でも数字が違いますね、2ってことは」 スキアリ

加賀「そう、彼女達は2人目の阿武隈と北上なの」 アー!アタシノアンニンドウフー!


蒼龍4「私だけじゃないんですね、これをつけているのは」

加賀「そうよ、そしてこれから提督がそれをつけさせた理由に入ります」

蒼龍4「理由……」

加賀「極端な話、例え艦娘が沈もうとも忘れてしまえばそれ以上傷付くこともありません」

加賀「けれども彼はそうしなかった」

加賀「1人目の蒼龍が死んだ時、彼は悔やみに悔やみ続けていました。 彼に責任があったわけではないにもかかわらず」

加賀「けども、時間が経てば悲しみや後悔は風化してしまう、そうなったらまた同じことが起こるかもしれない」

加賀「そう考えた提督は、リストバンドをつけさせてこの蒼龍は2人目だ、3人目だ、この阿武隈は2人目だ、といったように明白にしていました」

加賀「何の説明もなくリストバンドをつけさせられた当人達はもれなく困惑していましたね、丁度貴方のように」

加賀「ですが、そのリストバンドは亡くなった者達を記憶に繋ぎ止める鎖であり、彼の戒めでもあるのです」

加賀「ですのでどうか、外さないように」


蒼龍4「分かりました……けど、ひとつだけいいですか」

加賀「何かしら」

蒼龍4「この話は他の誰かには……」

加賀「していないわ、私自身酒に酔った提督から漏れた話を聞いただけですから」

蒼龍4「でしたら、どうして私に……?」

加賀「……1人目の貴方は私を追い抜き、その背中を私に見せ付けていました」

加賀「ですがその彼女が振り向くことは二度とありません」

加賀「2人目と3人目は私の後ろにこそつけども追い抜くことはこれから先もないでしょう」

加賀「私を追い抜いて振り向いてくれる貴方を……期待しているのかもしれません」

蒼龍4「加賀さん……」

加賀「時間がかかっても構いません。 ですが、どうか足を止めないで」

加賀「これが、貴方へ期待を込めた私の我儘です」

蒼龍4「…………」

間宮「はぁいお待たせしました、スペシャルパフェと加賀さんのいつものでーす」トンッ ゴンッ

加賀「どうも」

蒼龍4「……頑張ります」

加賀「え?」

蒼龍4「私、頑張ります、どうあっても生きて帰ります! 二度とこの数字が増えることがないように!」

蒼龍4「加賀さんにそんな、悲しい顔をさせたりなんか、させませんから!」

加賀「そ、そう」

蒼龍4「私、頑張りm」

北上「お、早速間宮に来てんじゃーん? 腹が減ってはなんとやらっての?」

蒼龍4「へ」



蒼龍4「え?」


北上「おおう、加賀さんのは相変わらず凄まじい」

加賀「……思ったより早かったわね、もう少し楽しめるかと思ったのだけど」

北上「なんの話?」

加賀「こちらの話よ」

北上「ふぅん……? おっ、アタシもいるじゃーん、後ついでに阿武隈2号」

北上2「よっほーアタシー」

阿武隈2「北上さんついでにこっちの北上さんなんとかしてくださいよぉ! アタシの杏仁豆腐がー!」

北上「美味しそう、アタシももらお」

阿武隈2「ちょっとー!?」


蒼龍4「」

加賀「どうかしたの? 何が起きたのかさっぱり分からないみたいな顔して」

蒼龍4「き、北上さんが2人いるんですけど」

加賀「そうね」

蒼龍4「え、あの、さっきまでの話を聞く限りだと1人目の北上さんは既にあの、あれ?何が、え?」


??「ここからは!」

??「この私達が!」

??「説明しよう!」

蒼龍4「……!? こ、この声はまさか……」


蒼龍3「高身長と泣きぼくろによりお姉さん的な雰囲気を醸し出す!」
加賀「年齢鯖読み疑惑」
蒼龍3「蒼龍3号! ってか加賀さん余計な茶々入れるのやめて!」

蒼龍2「一番タレ目で一番おっぱいのでかい癒し系枠!」
加賀「体重が気になる」
蒼龍2「蒼龍2号! それと加賀さん後で訓練するんで的になってください」

蒼龍1「そしてまさにお手本のような蒼龍!THE・蒼龍!」
加賀「無個性とも言う」
蒼龍1「蒼龍1号! あとそんなこと言わないでください気にしてるんだからホント」

蒼龍3人「「「3人揃って!!!蒼龍トリオ!!!」」」


蒼龍4「」



蒼龍4「」


蒼龍1「もしもーし」

蒼龍4「」

蒼龍2「フリーズしてるね」

蒼龍3「どうしようか? 紹介はまた後日にする?」

蒼龍4「ハッ」

蒼龍2「あ、擬音発しながら帰ってきた」

蒼龍4「わ、私の亡霊が3人変な前口上とポーズを取りながら目の前に現れる幻覚を……」

蒼龍1「現実だよ?」

蒼龍4「ひぃいいいいい!?」

加賀「静かにしなさい、迷惑よ」

蒼龍4「いやあの加賀さん私のそのなんですかこれぇ!」

加賀「蒼龍トリオよ」

蒼龍4「普通に! 普通に言った! というかさっきまでの話は!? 3人の私は死んだんじゃなかったんですか!?」

加賀「それらしいことをそれらしく言ってみただけで全部冗談よ。 しんみり出来たでしょう?」

蒼龍4「別にしたくなかったよ! 私のしんみりと覚悟を返せー!!」


蒼龍2「荒れてるねえ」

蒼龍3「人は騙し騙されつつ大人になっていくのよ……」

蒼龍4「あんな大長編みたいな話を聞かされてそれが全部でかませってなると誰だってこうなるよ!?」

蒼龍4「というかなんで当たり前のように私が複数人もいるの!? 色々と追い付かないんだけど!」

蒼龍1「1つの司令部に同じ艦娘が何人もいたらいけないなんて決まりはないよ?」

蒼龍4「そうだけど! そうじゃなくて!」


蒼龍1「まあまあ、ところで4号ちゃんは牧場って知ってる?」

蒼龍4「え、何それ、ってか呼び方!」

蒼龍1「改になった時や改二になった時にさ、大本営から装備が送られてくるじゃん。 お祝いっぽく」

蒼龍2「けどその装備目当てに育てられる艦娘が多いのなんのって最近問題になってるってねー」

蒼龍3「装備だけ貰ったらハイサヨナラ、だもの。 艦娘としても堪ったもんじゃない」

蒼龍1「一連のプロセスとしては、艦娘を育てて改造して装備貰ってハイサヨナラ。 これが牧場ね」

蒼龍4「は、はあ」

蒼龍1「で、まあ、私らの提督も装備の充実をということで牧場行為に手を出した、のだけど」

蒼龍2「ちなみに私と3号が牧場されたんだよ」

蒼龍1「なんか……勿体無くね?(提督のマネ)」

蒼龍1「と、思ってしまったみたいで」

蒼龍3「一つの艦隊に同じ艦娘は編入出来ないからあんまり出番はないけれど」

蒼龍2「こうしてここに居残るということになってるんだよー」


蒼龍4「正直加賀さんの話聞いた後だから頭に入ってこないんですけど」

蒼龍1「頑張って飲み込んで」

家事タイムなのでここまで。後僅かなので続きは晩に
白露みたいな幼馴染が欲しいだけの人生だった

あたごっぱいにダイブしたい
オリョクルしつつ始める


蒼龍3「でまあ、クビになるでもなく居残れたのはいいけども殆ど穀潰し状態だったのよね」

蒼龍2「誰かにいびられたりしたわけじゃないけど、自分自身で自分自身を責めるよねぇ……出撃するような用事もないもん」

蒼龍4「意外と苦労してるんだ……」

蒼龍1「けど最近は少し事情が変わってね、大体3ヶ月に1回くらいに大本営から普段と比べて規模の大きな作戦が発令されるんだけどその規模が回数を重なるごとに大きくなってきててねー」

蒼龍2「あちこち色んな海域に出撃させられるようになったよねぇ、一方に行ってる間は他方に向かうことも出来ないし」

蒼龍3「誰彼問わず戦力を求めていたというそんな時に私達蒼龍トリオが活躍したというわけよ!」

蒼龍4「は、はあ」

蒼龍2「3人もいれば安心してどこにでも送り出せるわけだしねえ」

蒼龍3「提督も喜んでくれたし、私達も力を発揮出来たしで万々歳よ」

蒼龍4「それはよかったですネ」

蒼龍1「なんか返事適当じゃない?」

蒼龍4「加賀さんに騙された衝撃がまだ強くて」

加賀「騙したなんて心外ね、純粋な貴方を弄んだのよ」

蒼龍4「余計悪くないですかそれ」


蒼龍1「けど困ったね」

蒼龍4「困る? 何が?」

蒼龍1「いや、私達蒼龍トリオの有用性は今示した通りなんだけど」

蒼龍4(有用性アレだけでいいの? 終わりなの?)

蒼龍1「4人もさ……いらないよね……」

蒼龍2「!!」

蒼龍3「!!」

加賀「!!」

蒼龍4「なんで加賀さん混ざってるんですか」


蒼龍3「4号ちゃん、短い間だったけど貴方のことは忘れないよ……」

蒼龍4「なんで今生の別れみたいになってるの!? というか呼び方それで決まりなの!?」

蒼龍2「ぜっがぐ4人組になれだのに4号ぢゃんグビになっぢゃやだよおおお」

蒼龍4「まだここに来たばかりなんだけど! それより鼻水! 涙! 私の服で拭かないでよ!」

蒼龍1「きっと……また逢えるよ」

蒼龍4「爽やかに言ってるけど私はまだ色々と納得してないんだけど」

加賀「Good luck」

蒼龍4「あ、加賀さんは許しませんから」

加賀「先ほどの誓いはどこへ行ったのかしら」

蒼龍4「台無しにしたのは誰でしたっけ」


提督「間宮がいつにも増して騒がしいと思ったら蒼龍だらけになってる」

蒼龍4「あ、提督」

蒼龍2「てぇとくううううう!!」ダキィイイイ

提督「やわらかい」

提督(うおっ! どうした蒼龍2号!)

加賀「本音と台詞が入れ替わってるわよ」

蒼龍2「4号ちゃんクビにしちゃやだよおおお! 4人でぇ、カルテット結成するんだのにいいい!」

提督「えええ、何の話だよ……」

蒼龍1「それがかくかくしかじかなんです」

提督「ああ、そういう」

蒼龍4「あの、提督」

提督「む……」

蒼龍4「私は……どうなるんでしょうか、ここに置いてもらえたからには、いずれ強くなったとしても、精一杯頑張ります、頑張り、たいのだけど……」

提督「それは……」


提督「それはその時に考えます☆」


蒼龍4「…………」

トリオ「「「…………」」」

加賀「…………」

北上「…………」←見てた

北上2「…………」←見てた

阿武隈2「…………」←見ry

間宮「…………」←ry

提督「…………」

蒼龍「……やっちゃっても?」

加賀「許可します」

蒼龍1「思う存分やっちゃって」

蒼龍2「今のはないよね」

蒼龍3「時代が時代だったら打ち首でもおかしくない顔してたね」

北上「今世紀最大の苛立ちを覚えたよ」

北上2「マトモな精神の男が出す声じゃなかったし」

阿武隈2「アタシ的にもNGです」

間宮「私は何も見なかったことにします」

提督「いやそんな皆して責めなくてもいいじゃない! ちょっとしたジョーク! ね!?」

蒼龍4「ジョークも冗談ももうこりごりよ! 攻撃隊発艦始め! 攻撃目標、提督ーっ!!」

提督「ちょっまじでやめ」



提督「アバーッ!」

—————————
——————
———


執務室


葛城「あなたー、只今艦隊がアルフォンシーノから帰投したわ」

提督「へいご苦労さん。 ところでその"あなた"って呼び方どうにかなんないの?」

葛城「今更そこ気にするの? 別にいいじゃない」

提督「なんか夫婦みたいでもにょもにょするんですけど。 上官と部下の関係なんだし」

葛城「チッ」

提督「あれ? 今舌打ちした?」

葛城「大井さんのですよ」

大井2「人になすりつけるのやめてください」

提督「あ、いたんだ大井っち。 なんかデジャヴだな」

大井2「いましたよ、ええ。 私だけ大破してるんでさっさと入渠してきてもいいですか」

提督「機嫌悪っ」

葛城「そうそう、新しい子が来たって大淀さんから連絡が」

提督「なんかますますデジャヴってる」

コンコン ガチャッ


蒼龍「初めまして、蒼龍です。 これから機動部隊の戦力となれるよう精進します、よろしくね、提督!」


提督「」

葛城「わあ……」

大井2「…………」

蒼龍「あ、あれ、何この反応」

大井2「まーた蒼龍さんですか」

蒼龍「え? また、って?」

葛城「どうするの、あなた?」

提督「もはや何も言うまい、俺には黙ってこれを渡すしかないんだ」

蒼龍「なんですか? リストバンド……5?」

ドアガチャァアアア

??「そうとあらば!」

??「その子の世話は!」

??「私達に任せてもらおうか!」

??「もらおうかー」

蒼龍「えっ、なになになに!?」


蒼龍4「秘めたるじゅんじょーは乙女の証ー蒼龍ブルー」

蒼龍3「目元のほくろは大人(っぽさ)の証!蒼龍ブルー!」

蒼龍2「たわわに実るは包容の証!蒼龍ブルー!」

蒼龍1「煌めく銀色の輪はリーダーの証!蒼龍ブルー!」

蒼龍123「「「4人揃って!!ブルーカルテット!!!」」」
蒼龍4「カルテットー」




蒼龍「私だ」ボーゼン


おわり


くぅ疲
蒼龍牧場してて4人目の蒼龍が改二になって思い付いたネタSSでした
蒼龍4号が改二になるプロセスを書こうかとも思ったけど冗長かつ蛇足になりそうだったのでぶった切り

ちなみに五十鈴は育てたことすらない、五十鈴提督いたら許してクレゾール

何にせよ初SSをちゃんと終わらせられて満足です
気が向いたらまた別のを書くかもしれない
もしそうなったら暇な時にでも付き合ってください
ではまたそのうち

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