男「空が綺麗だね人は悲しいね」(49)

歌まんまだけど気にすんな
いきまーす

女「暇だわ…」

カコンッ

女「ん?夜に人来るなんて…珍しい」

スタスタスタ

女「ようこそー!なーん、て…ね…」

男「…」

女「うそ…」

男「…」

女「…」

男「久しぶり…で、いいのかな」

女「…久しぶり」

男「何年になるかな…」

女「さあ…」

男「なんて。3年ぶりだよね。数えてましたー。とぼけてみた」

女「ふふっ」

男「いひひ」

女「もうそんなになるんだ。変わってないね…」

男「……探したよ」

女「…」

男「いや、ほんとは1年ぐらいは考えないようにしてたんだ。女のこと」

女「…」

男「…あの1年は仕事の鬼だったね。うん」

女「元から仕事忙しかったじゃない」

男「まあ元からだったけど、更にね。実際睡眠時間とか2時間も無かったんじゃないかな。ずーっと仕事してた……夢にまで誰かさんが出てくるから、眠れなくってね」

女「…誰だろうね、そんなはた迷惑な人」

男「…」

女「いや、うん。うそ。ごめんね?」

たてたばかりだがちょっとおちる

男「あ。別に責めてる訳じゃないんだ。責めたい気持ちもあったけど、結果的にはそれで僕達2人で建てた会社結構大きくなったんだよ?」

女「すごいじゃない」

男「だから…結果的にはだけどね。きっと良かったんだと思うよ」

女「…そう」

男「……でもね。やっぱり僕、忘れられないんだ。2人で一緒に頑張ってた頃のこと」

投下再会。
書き溜めしてるから一気にいく。

女「……」

男「もう今更言っても遅いのは、分かってる。でも楽しかったんだ。すごく忙しかったけど、がむしゃらに…大切な人たちと夢追いかけてられた。一番大事にしたいと思う人も隣にいて」

女「……」

男「でも…それがいけなかったのかな。女に僕達の夢は重荷すぎたんだ。きっと。気づいてあげられなくてごめん」

女「そんなこと…」

男「でも、楽しかったよね?」

女「…」

男「…今更、だね」

女「…うん。楽しかった、よ」

男「…お酒。飲まない?」

女「?」

男「持ってきたんだ。このお酒好きだったでしょ?」

女「わ!それそれ!大好き!」

男「いひひ。ちゃんと覚えてるよ」

女「ん…ありがとう」

男「ほい。じゃああけまーす。よ…と」

女「わくわく」

男「お酌して差し上げましょう。ひひ。初めてじゃない?僕が女にお酌するの」

トクトクトクトク

女「そう、だったかもね」

男「…こうなってから初めてすることがあるなんてね。もっといっぱい色んなことしとけば良かった。女が出てっちゃう前に。そしたら結果も変わってたかな?」

女「…それは」

男「なんて。ごめん。さっきから今更なことばっかりだ」

女「…」

男「もっと明るい話をしよう!よし。はい、まずかんぱーい!」

女「かんぱい」

男 グビッ

女「会社…大きくなったってどんな感じ?」

男「会社ね、さっきは大きくなったって言ったけどあんまり人員は増やしてないんだ。けど大口の仕事とかも結構入るようになって来てるから忙しいよ」

女「そう。私がいた頃から忙しかったのに…平気なの?」

男「まあ言っても実際の仕事量は3年前とそんなに変わらないかも。あの頃は今より営業に出掛けたりも多かったしね」

女「営業よく行ったもんね」

男「あれ。こう考えるとあんまり女がいた頃と変わってないや」

女「そうなんだ。ふふっ。懐かしい…」

男「ほんとは今日もね。夕方には来れる予定だったんだけどちょっと色々あって遅くなっちゃったんだ」

女「私がいた頃もよくデートの予定つぶれたものね」



男「…このお酒やっぱり美味しいね。女と飲んだときから飲んでなかったけど」

女「でしょ。でも…あんたちょっとピッチ早いよ。お酒弱いんだからあんま飲んだらまた大変よ?」

男「当時よりちょっとはお酒飲めるようになってきたんだ。他の会社の人と飲みにいく機会も増えたしね」

女「ほんとー?それ…」

男「…とか言ってもやっぱ強くはないんだよね。いひひひ」

女「やっぱり…」ハァ

男「僕が飲んでるといつも君が呆れてたね。懐かしいな」

女「そんなこと懐かしがらないで。色々…こっちはそれはもう大変だったんだから」

男「当時は酔ったせいで多大なるご迷惑をおかけしまして。申し訳ありませんでした」

女「まったく…」

男「…でも今日は、迷惑かけないから。かけらんないしね……いひひ」

女「…」



――

――――

男「うーあー。あー」ゴロッ

女「ちょっと!こんなとこでねっころがらないの!」

男「あー!女ー!そーいえばー友がね。こんど結婚するよー」

女「うそっ」

男「おめでとーう。パチパチパチ」

女「ほんとにおめでとう…」

男「もちろん後輩ちゃんとだよー」

女「あ、良かった…まだ続いてたんだ」

男「でもね。できちゃった結婚なんだよ?」

女男「「dqnか!」」

女「ふふっ」

男「いひひひ」

男「あの二人変わらないよ。いっつも漫才みたいなことしてる」

女「そう…変わってないんだ」

男「夫婦漫才になっちゃうよー」

女「ふふ」

男「…俺ね。あの二人にも会社の人にもね早く新しい相手探せって言われるんだ、よく」

女「……」

男「余計なお世話だーっつってね」

女「みんな心配してるのよ。あんたのこと」

男「…」

女「……はやく、いい人見つけなさいよ」

男「…忘れられないんだ。女のこと」

女「…」

男「女を好きじゃなくなる方法がわかんない」

女「ばかじゃないの…」

男「ごめんね。ほんとに。こんなこと言って」



女「…」

男「分かってるんだ頭では。新しい人見つけなきゃ…」

男「でもね、心からそれを受け入れることはまだ出来ないみたい」

女「……もう3年よ?」

男「だって、僕思うんだ。今の僕を造ってくれたのはやっぱり君だったなって」

女「なにそれ」

男「人間を創ったのは神様かも知れないし、僕という個をこの世に生み出してくれたのは両親だけどさ。こんな僕にしてくれたのはやっぱり君だ」

女「そんな大それたことした覚えないわよ」

男「僕がね、今はそんなこと考えられないけどもっと何年かしてさ。女以外のひと好きになって結婚して子供が産まれたとするじゃん?」

女「…」

男「そしたらね。僕その子の中にもちょっとぐらい女の遺伝子も紛れこんでんじゃないかなとか思うんだよね」

女「それはない」

男「そりゃないか」

女「ないね」

女「…あはは」

男「…いひひ」

男「…なんで…いきなり家出てっちゃったんだよ」

女「…」

男「しかも残してるのは手紙だけって。しかも2行。
他に好きな人が出来ました
ごめんね。さようなら
って。涙も出なかったよ」

女「……ごめん」

男「知り合ってから約8年、付き合ってから5年過ぎてたんだよ。そんな薄っぺらい関係性じゃなかったはずだろ」

女「…」

男「ふざけんな…!なんとか言えよ!」

女「……」

男「なんで…!しわしわになるまで長生きして。100才になっても一緒にいようって言ったのは女だよ!」

女「…ごめんなさい」

男「約束したじゃんか!」

女「…」

男「まだ…4分の1だよ…はやいよ…」

女「…」

男「なんで…」

女「そうしか…出来なかったの」

男「なんかおかしいと思ったんだ。女は別れるとしてもこんな歯切れ悪い振り方なんてしない。絶対」

男「おかしいって…おもったのが女が出てって1年経った後だった。ばかだ…!僕はばかだ!」

女「違うよ…私が…」

男「女のこと誰より分かってるつもりだったのに…」

女「……実際、あんたが一番私のこと知ってるわ」

男「…おかしいって思ってからね。女の実家に行ったんだ。女がどこにいるかは教えられないって言われたよ。娘に口止めされてるって」

女「…うん」

男「なんかおかしかったよ。だって言ってみたら僕はストーカーまがいのことをしたんだ。1年前に振られた相手の家に行くって…怪しい以外の何者でもないよね……いひひ」

女「たしかに。ふふ」

男「でも…お母さんは丁寧にもてなしてくれた。それで教えられないって言ったんだ」

女「あら」

男「僕ね。諦めきれなくて時間ができる時は毎日でも女の実家に通いました。ごめんキモくて」

女「わー。キモッ。ふふ」

男「いひひ」

男「そしたらね…通いはじめて1年が過ぎた頃に教えてくれたよ。全部」

女「そう…」



男「女の病気のこと」

男「発見したときにはもう手遅れだったこと。

僕がお葬式の直後に訪ねてきたことも。

一周忌が過ぎて僕が不憫になったから教えてくれたんだってさ」

女「…」

男「ばか。ばーか!」

女「…」

男「最期まで一緒にいさせてくれても…よかったじゃんか…」

女「だって私言えないもの…私がいなくても幸せにねなんて」

男「そう約束してただろ…?」

女「私のこと忘れていいよなんて…絶対言えなかったから」

女「ごめんなさい」

男「ごめんね…あのとき忙しかったから、病院に行くの限界まで我慢しちゃったんでしょ?」

女「違うよ!」

男「分かってるよ。女のことだから、痛くてもちょっとぐらいなら我慢しちゃうんだ」

女「違う…」

男「分かってたのに…ごめん」

女「あんたが謝ることじゃないじゃん…ばか…」

男「…」

女「…」

男「空が綺麗だね」

女「ほんとだ…星。」

男「人は…悲しいね」

女「なに言ってんのよ…」

男「…」

女「…ていうかあんたいつまでねっころがってんのよ。起きなさい。風邪引くわよ」

男「ほんとはね…死んでしまおうかとも思ったよ」

女「!」

男「女がいないならつまんないもん」

女「だめ!なに子供みたいなこと言ってるの!」

男「…でもね。僕はすごく君が好きで…きっと女だって僕のこと、同じくらい好きでいてくれてた…よね?」

女「………」

男「僕の好きな君が好きでいてくれてた僕なんだなって思ったら…なんかすごく自分の存在が愛しく思えたよ。大事だと思った」

女「……自己愛者?」

男「ってナルシストじゃないからね?ただ純粋にさ。そう思ったの」

女「ふふっ…うん。分かってる」

男「だから僕、また君と会えるまで待ってる…って言うのもおかしいかな。でもね。君とまた会える日を信じたいんだ」

女「……ばかね」

男「僕のせいで僕達はすれ違っちゃったから…今度は僕が待つ番だよ」

女「誰のせいでもないのに…」

男「……君が生きていようとなかろうと」

女「待つなんてそんなの」

男「怒らないでね?」

女「!」

男「僕が、好きで待つんだから…」

女「…ほんとばか」

男「……次がもしあれば…」

女「うん?」

男「…いや、言ってもしょうがないよね」

女「……」

男「今まで、本当にありがとう。今まで本当に、ごめんね」

女「こっちこそ」

男「僕君のことほんとに好きだったよ。というか好きだよ」

女「…………私も」

男「感謝したいことばっかりだよ…君は…どうなんだろうね」

女「私だって。そうに決まってるじゃない」

男女『ありがとう』

男「ひひ」

女「ふふ」

男「僕たちの関係に名前つけるとしたらさ『ありがとう』だと思うな」

女「なにそれ。臭い台詞」

男「いひひひ。キモいね」

女「キモいわよ。ふふ」

男「でも付き合ってもないしさ、てか会えないし」

女「……いるんだけどね…ここに」

男「でも僕は大好きで感謝したいことばっかりだから」

女「…うん」

男「『ありがとう』の恋!僕命名!」

女「ふふっ」

男「いひひひひひ」

男「…」

女「…」

男「…」

女「?」

女「もしや…」

男「zzz」

女「……ちょっと…ありえないでしょ。墓地で寝るってありえるの」

男「zzz」

女「起きなさいよ」

男「zzz」

女「まったく…もう」

男「zzz」

女「ばか」

男「zzz」

女「あほ」

男「zzz」

女「おたんこなす」

男「zzz」

女「…ありがとう」






男「ぅ…?」

女「やっと起きた」

男「いった…頭痛…」

女「当たり前でしょ。あんた弱いのにあんな飲んで」

男「ん…?」

ガバッ

男「うそっ!僕寝てた!?朝じゃん!」

女「おそっ」

男「身体…痛…ありえない…」

女「ほんとにね」

男「…はあ。おはよう」

女「…おはよ」

男「なんだかんだまた迷惑かけちゃったね」

女「…せめて毛布かけてあげられたら、良かったんだけど」

男「…ん?」

女「?」

男「あれ…?コップが空になってる!」

女「ああ」

男「女…?」

女「ごち」

男「なんて。干上がっただけだよね。暑いし」

女「おうこら幽霊なめんな」

男「でも…女が飲んでくれたって考えとく。いひひ」

女「それでよし。ふふ」

男「じゃ…また来るね?」

女「ん…あんまり来ちゃだめだよ?」

男「あんまり頻繁に来すぎても怒られそうだから…また来年、かな」

女「…よく分かってるよね、ほんと」

男「とか言って1ヶ月後に来てたりしてね。いひひ」

女「ふふっ」

男「ん…じゃあ…ばいばい、また」

女「ん…また、ね」

おわり

なんか意外と短かったな
や、見てる人にとってはだらだら長かったかもしれんが。
50はいくだろと思って書いてたのに

まあ短かいオナニーにお付き合い頂きまして感謝ですノシ

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom