サウザー「7610プロダクションの日常」【短編】 (197)


☆注意☆
・このSSは「アイドルマスターシンデレラガールズ」
と「北斗の拳イチゴ味」要素を含みます
・キャラ崩壊



★注意まとめ★
http://i.imgur.com/fR3k8Pb.jpg


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1446286173



【★所属アイドル紹介★】
・第1期生
http://i.imgur.com/E5ysoSi.jpg
・第2期生
http://i.imgur.com/QeaFbDp.jpg
・第3期生
http://i.imgur.com/cTeezDD.jpg
・第4期生
http://i.imgur.com/gAMTj5h.jpg


【★南斗DE5MEN紹介★】
・紹介①
http://i.imgur.com/ueCwCw4.jpg
・紹介②
http://i.imgur.com/Lyv3vTY.jpg
・紹介③
http://i.imgur.com/fpWqtHQ.jpg


【★社員紹介★】
http://i.imgur.com/RiYL3BC.jpg


【★2分で読めるアイドル勧誘履歴、結果と数値まとめ★】
・第1次勧誘作戦  (背景:高垣楓)
http://i.imgur.com/5CWw5Zk.jpg
・第2次勧誘作戦  (背景:鷺沢文香)
http://i.imgur.com/rUMGezl.jpg
・第3次勧誘作戦  (背景:安部菜々)
http://i.imgur.com/7pNiGNY.jpg
・第4次勧誘遠征作戦① (背景:風のヒューイ)
http://i.imgur.com/WMd0tr2.jpg
・第4次勧誘遠征作戦② (背景:前川みく)
http://i.imgur.com/KQwSPtg.jpg



★過去作①↓★
サウザー「シンデレラガールズ 7610プロ」
サウザー「シンデレラガールズ 7610プロ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1430637631/)
サウザー「渋谷凛奪還作戦」
サウザー「渋谷凛奪還計画」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1430726692/)
【安価】サウザー「モバマスアイドル獲得に向けて制圧前進あるのみ!」
【安価】サウザー「モバマスアイドル獲得に向けて制圧前進あるのみ!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1430813563/)
サウザー「白菊ほたるの死兆星と拳王ラオウ」
サウザー「白菊ほたるの死兆星と拳王ラオウ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1432024586/)

‐‐‐‐‐‐
★過去作②↓★
サウザー「神谷奈緒、北条加蓮……?」
サウザー「神谷奈緒、北条加蓮……?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1432210425/)
サウザー「渋谷凛籠絡計画」
サウザー「渋谷凛籠絡計画」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1432292638/)
【安価】サウザー「モバマスアイドル獲得に向けて更に圧前進あるのみ!」
【安価】サウザー「モバマスアイドル獲得に向けて更に圧前進あるのみ!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1432384858/)
【安価】サウザー「モバマスアイドル獲得に向けて更に制圧前進あるのみ!」【延長戦】
【安価】サウザー「モバマスアイドル獲得に向けて更に制圧前進あるのみ!」【延長戦】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1433149601/)
サウザー「愛のエプロンと橘ありすのサークル活動記」
サウザー「愛のエプロンと橘ありすのサークル活動記」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1433841706/)

‐‐‐‐‐‐
★過去作③↓★
サウザー「祝ッ! アニメ化ッ!!」
サウザー「祝ッ! アニメ化ッ!!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1434780862/)
サウザー「渋谷凛偽装計画」
サウザー「渋谷凛偽装計画」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1434969458/)
【安価】サウザー「モバマスアイドル獲得に向けて果敢に制圧前進あるのみ!」
【安価】サウザー「モバマスアイドル獲得に向けて果敢に制圧前進あるのみ!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1435052601/l50)
【安価】サウザー「モバマスアイドル獲得に向けて果敢に制圧前進あるのみ!」【延長戦
【安価】サウザー「モバマスアイドル獲得に向けて果敢に制圧前進あるのみ!」【延長戦 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1435921531/)
サウザー「もし、モバマスアニメに北斗勢を各シーンで投入したら…」
サウザー「もし、モバマスアニメに北斗勢を各場面で投入したら…」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1438696642/)

‐‐‐‐‐‐
★過去作④↓★
【安価】サウザー「7610プロダクション内、アイドル事情調査」
【安価】サウザー「7610プロダクション内、アイドル事情調査」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1439042623/)
サウザー「渋谷凛人質作戦」
サウザー「渋谷凛人質作戦」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1440072183/)
【安価】サウザー「モバマスアイドル勧誘に向け華麗に制圧前進あるのみ!」
サウザー「モバマスアイドル獲得に向け華麗に制圧前進あるのみ!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1440238720/l50)
【安価】サウザー「モバマスアイドル勧誘に向け華麗に制圧前進あるのみ!」【延長戦】
【安価】サウザー「モバマスアイドル勧誘に向け華麗に制圧前進あるのみ!」【延長戦】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1441378816/)
【安価】サウザー「モバマスアイドル勧誘に向け華麗に制圧前進あるのみ!」【延長戦Ⅱ】
サウザー「モバマスアイドル獲得に向け華麗に制圧前進あるのみ!」【延長戦Ⅱ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1444564655/l50)
アイドルマスターシンデレラガールズin北斗の拳イチゴ味
アイドルマスターシンデレラガールズin北斗の拳イチゴ味 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1445281929/l50)



今回は短編です


【その1:支払の行方 ~5人の女の子~】


~~あらすじ~~
シン「さて、そろそろ会計を……」



●登場人物
シン、他5名

殉星シン
http://i.imgur.com/lkF6xlq.jpg


【★日野茜の場合】


・・・
・・・・・
======
~~某日・昼~~
(焼肉屋 個室)


ジュウゥゥゥゥ~

茜「ふう!」

茜「いやぁ、久々ですよ! 焼肉っ!!」

シン「ん?」

茜「でも最後にもう一杯くらいご飯を注文しましょうか!! これほどお腹いっぱい食べれるなんてそう無いですからね!!」

茜「ご飯こそ正義、良い時代になったものですね!! いつでもどこでもお腹いっぱい食べられるなんて!!」

シン「……」


茜『焼き肉バイキングで食べ放題♪ 食べ放題よろれいひ~!!』

茜『フランクフルトは焼き放題♪ 焼き放題うよれいひ~!!』

茜『タン・ミノ・タン・ミノ・タン・ミノ・ロースも食べ放題!!』

茜『レバ・バラ・レバ・バラ・レバ・バラ・カルビも焼き放題!!』

茜『タレ・タレ・タレ・タレ・タレ・タレ・タレ・タレ漬け放題!!!』

茜『割り箸も割り放題~~~っ!!!!』パキッ!

シン「食べ放題プランじゃあ無いからな」

茜「あ、そうですねっ!!!」






※曲:「ヨー○ル食べ放題」
http://www.nicovideo.jp/watch/sm7469041
http://www.nicovideo.jp/watch/sm5061068 (高槻やよいVer)
http://www.youtube.com/watch?v=iVDx8enR-iQ
(結構有名なのでご存知だと思いますが)


茜『ダイエット姉ちゃんも今日だけ解禁日♪ 今日だけ解禁日~~♪』

シン「……」

シン「…………」

グイッ

プニッ


茜「うぐッ!?」ビクッ!

シン「…………」グイグイ

茜「…………!!」プニプニ

シン「やかましい。何だ、この腹の贅肉は?」

茜「う、うっぷ…………!」


シン「何が解禁日だ? ダイエットが必要なのは姉ちゃんではなく、貴様の腹回りなのではないか? ええ?」

シン「食ってばかりで絞ることを疎かにしていたら、貴様も神谷奈緒と北条加蓮と同じ末路を辿ることになるぞ? んん~?」

茜「お、大食いアイドル路線も興味はありますが……」

シン「…………良いんだ?」

茜「…………」

茜「ちょ、ちょっとスクランブル交差点でシャトルランをしてきますッ!!!」ガバッ!

シン「待て待て。落ち着け馬鹿が」


茜「そ、それにしても珍しい事もあるものですね! プロデューサーからご飯に誘ってくれるとは!」

シン「それは……」

シン「(…俺の担当の中で、貴様が一番懐柔しやすそうだからな)」

シン「……たまには良いだろう」

茜「そうですね! それにしても驚きました!!」

シン「何がだ?」

茜「プロデューサーの食事してるイメージです!」

シン「イメージだと?」

茜「はいっ!」

茜「シンさんやユダさんは普段の服装や立ち振る舞いから何処となく、紅茶やコーヒーを優雅に啜っている印象がありましたから……」

茜「肉をがっつく姿はあまり想像出来なかったもので、新鮮味がありました!!」

シン「お前が猛烈な勢いで肉を搔き込んでいたから、これでも俺はかなり遠慮していたのだがな。周りの目が恥ずかしくて」

茜「いえいえ! 親近感が湧きましたよ! また是非誘ってください♪」

シン「…………節制は?」

茜「!」

茜「で、でしたら……ダイエット成功のご褒美としてでも、また今度……」

シン「本末転倒だろう」


茜「他にも……」

茜「社長と言えば、やはりカレーですね! カレーを美味しく頬張っている姿が目に浮かびます!!」

シン「四六時中食ってるからな。奴は」

茜「レイさんは……そうですね…………??」

茜「行き倒れて泥水を啜っているか、または詳細不明の生肉に一心不乱に齧り付いている様子が、いの一番に思い浮かびました!」

シン「(酷い図だ……)」

茜「シュウさんは……」

茜「皆が美味しそうに食事を採っている様子を温かい表情で見守りながら、人知れず後方で崩れ落ち、ひっそり息絶える姿が……」

シン「お前は奴らと一体どう関われば、そんな想像が出来るのだ?」


シン「……」

シン「さて、そろそろ会計を……」






茜「ごちそうさまですっっ!!!」パンッ!






シン「……」


シン「まあ、良いだろう。元よりその腹積もりではあったからな」

茜「ゴチになりますっ! 流石はプロデューサー♪♪」

シン「いずれは一流のアイドル達と肩を並べ得る逸材と思えば、安い投資だ」

シン「今後も、貴様には稼いで貰うからな。馬車馬の如く扱き使ってやる」

茜「望むところですっ!!」フンッ!

茜「さあ腹ごなしに、事務所まで走って帰りましょう!! 付き合って下さいますね!?」



・・・・・
・・・


日野茜
http://i.imgur.com/fRZbHd4.jpg


【★高森藍子の場合】


・・・
・・・・・
======
~~某日・夜~~
(焼肉屋 個室)


ジュウゥゥゥゥ~

藍子「う、うっぷ……」

藍子「も……もう限界ですっ……」グッタリ

シン「貴様はもっと食え。食って肥えろ」

シン「痩せすぎなのだお前は……。あの3人の中でも一等細い」

藍子「スリムな体型の女性はキライですか?」

シン「そういう問題ではない。筋肉や体力の話だ」


シン「どんなアイドルも、かなりハードな運動量をこなすものだ。華やかなパフォーマンスのその実、相当な修練の裏打ちが必要になる」

シン「歌いながら、複雑な踊りもこなすのだ。ただでさえ体力が要るうえ……」

シン「より完璧な仕上がりを目指すのならば、それこそアスリートと遜色ないメニューを積み上げねばならんだろう」

シン「ならばまずは土台形成からだ。貴様にはそれが圧倒的に不十分なのだ」

藍子「た、食べても太らない体質なんです。おまけに筋肉も付きにくいですし……」

シン「ハァ……」

シン「アイドルとしての経歴は長く、演技や振る舞いの機微は上出来でも……」

シン「そういう点は、本田未央や日野茜を見習えんものかな。お前は」

藍子「う、ううっ……」


シン「とにかく食え、肥えろ! そしてその脂肪を筋肉に変えろ!」

シン「貴様の枯れ枝のように細い腕も、アクリル板のように貧相な胸も……、そうすればもっと南斗聖拳に相応し……」



パリン!


シン「!!!」

藍子「……」

藍子「…………」

シン「~~~~~ッ……!?」ゾクッ


藍子「……シンさん?」

シン「! う、うん?」

藍子「先程仰ったこと……、お肉が焼ける音でよく聞こえなかったので、もう一回言って欲しいんです」

シン「……!」

藍子「枯れ枝のように細い腕と……、あと、何でしたっけ?」

シン「…………」

シン「………………」スッ

藍子「私から目を逸らさないでください。まっすぐ私の目を見てください」ジー

シン「……」


シン「(な……なんだこの寒気は……!?)」

シン「(コイツの纏う得体の知れんゆるふわな何かが、今一瞬にして俺に敵意を向け突き刺してきたような圧迫感……!!)」

シン「グッ……!」

シン「……」

藍子「……」

シン「その……アレだ」

シン「け、健康的な肉付きの女の方がイイな~、なんて……」

藍子「……」ジー

シン「…………」ダラダラ

藍子「ハァ……」

藍子「まあ、プロデューサーの貴方がそう言うなら努力しましょう。ですが……」

藍子「女のコの身体的特徴をおおっぴらに言及するのは感心しませんっ! これからは気を付けてくださいね?」

シン「う、ウム」


シン「さ……」

シン「さて、そろそろ会計を……」






藍子「あっ、私が出しますよ?」






シン「……」


シン「しかし……担当のアイドルに負担させるのは忍びない。ここは俺が……」

藍子「い、いえ。元は今日食事に誘ったのは私ですし」

藍子「お気になさらないで下さい。私と貴方の仲じゃあないですか♪」

シン「……なら、遠慮せんぞ」

藍子「はい、任せてください。じゃあ……」

藍子「今日のところは私が払いますから、次はシンさんが誘ってくださいね? その時は……」


・・・・・
・・・



【本田未央の場合】


・・・
・・・・・
======
~~某日・夕刻~~
(焼肉屋・個室)


ジュウゥゥゥゥ~

未央「ひゃっはー! 焼肉だ~っ♪」

未央「運動後の食事は肉に限るっ! ほらほら、お皿出してっ! 未央ちゃんが取ってあげるから♪」

シン「自分のペースで食わせろ、余計なお世話だ」

未央「むぅ? ははーん……?」

シン「ん?」

未央「そんなこと言って、お肉ばっかり取る気じゃあないのかな? 野菜も均等に採らなきゃダメだって!」

シン「……余計なお世話だ」


未央「はふぅ、食べた食べたー……」

未央「こんなにお腹いっぱいになったら、明日から節制しなきゃなー……、なぁんて」

シン「……」ジロッ

未央「……?」

未央「どしたの? そんなにジロジロ人の顔なんて見て……」

シン「(…………)」

未央「な、何? ひょっとして私の色香に当てられちゃったかな? ん?」


シン「…………」

未央「そ、そんなに凝視しなくても、い、いつでも見せてあげるって……」

シン「……」

シン「…………貴様は……」

シン「特に言うべき点は無いな。他二人に比べて」

未央「……!?」

未央「な、なにソレっ! どーいうこと!?」

シン「何が色香だ。貴様からは肉の臭いしかせんわ」

シン「酸いも甘いも噛み分けた事の無いガキが、一著前に魅力を語るなんぞ片腹痛いな。どこをとっても背伸びした戯言にしか聞こえん」

シン「そして勘違いするな、俺は貴様なんぞ眼中にない。俺が渇望するのはただ一人の男との仕合のみ」

未央「ちょ、ちょ…………いきなりマジにならないで下さいお願いします」


シン「本田未央、高森藍子、日野茜……」

シン「成り行きとはいえ貴様ら3人は俺の担当になったのだ。俺が監督する以上、公衆の面前に無様な格好を晒すのは断じて許さん」

シン「まずは風体から、他二人には色々と指摘せざるを得ん部分はあったが……」

シン「貴様に関しては、これといって矯正する問題は見当たらん」

シン「これからも精々励めといった所だ」

未央「そ、それは喜んでいい事なんだよね……?」

シン「当然だろう」

未央「はぁ……、なんかもっとオブラートに包むというか、ソフトに優しく諭してくれないものですかねえ?」

未央「他二人は、とりわけ怒ったりしなかったの?」

シン「フン……………………」

シン「………………」

未央「(ま、まさか怒られたのかな?)」


未央「まあ、でもそう指摘してくれるだけでもありがたいかな?」

シン「何がだ?」

未央「うん? いやいや、アイドルとの担当の話だよ」

未央「私達のプロダクションって、社長達含め全員がアイドルでしょう?」

未央「だから会社の切り盛り、さらにアイドルとしても活動してるのに……」

未央「その上、私達のプロデュースまでこなして、相当激務だよね?」

未央「目を向けてくれてるだけでも、ありがたい事なのかなって……」


シン「……」

シン「それこそ余計なお世話だ。貴様らに憂慮されるほど、俺達はヤワではない。見くびるな」

シン「黙って自分達の事だけを気にしていればいいのだ。面倒は俺達が全て見てやろう」

未央「ううん……。そう言われても、少しは心配するよ」

シン「……だから貴様はガキなのだ。ガキの癖に分不相応に他者へ気を回し、自分の首を絞めている」

シン「自分の面倒も見れん奴が、他人に気を遣う余裕があると思うのか? 貴様は」

未央「…………」

未央「(だから言い方がキツイって。もう……)」


シン「少しは、大人組の振る舞いを見習え」

未央「大人組……? 楓さんとか、亜季さんのこと?」

シン「そうだ。奴らは自分の役割をしっかりと把握しているのだ」

シン「奴らはアイドルとして俺達に使われる立場だという事をちゃんと認識している。故にお互い必要以上に干渉することは無い」

シン「他者の気を汲む事はあれど、顔色を伺い立ち止まることは無い。まさしくプロに近い気質だ」

未央「プロの気質……」

シン「それは、自分の力量を弁えてこその姿勢でもある。他者に余計な気を回し、自分自身を疲弊させる行為は……」

シン「即ち、担当である俺達に気を揉ませ、余計な仕事を増やす事に繋がると分かっているのだろう。適度な距離というのは、お互い仕事をするうえで最も大切なことだ」

未央「でも、楓さんも亜季さんも、仕事でも日常でも私達に結構気を遣ってくれるというか……」

シン「それは奴らが『大人』だからだ。『大人の余裕』というものだ」

シン「ガキの貴様と違ってな」


シン「……高森藍子や日野茜と違い、貴様の悪い点は……」

シン「自分の事を差し置き、周囲へ気を遣いすぎることだ。自分に正直になれ」

シン「我らの奔放さを見習い、まずは自分の立ち振る舞いをだな……」

未央「分かったッ!」

シン「……」

未央「……もう! 人をガキって言い過ぎ!! 何回言ったと思う?」

シン「知らん」

未央「少なくとも4回は言ってるよ!」

未央「別にいいの! 私はまだ大人みたいに余裕はないけど、でも……」

未央「好きで気を遣ってるの! 別に苦とも思ってないんだから……!」

シン「……」


シン「フン……」

シン「さて、そろそろ会計を……」






未央「ちょっと待ったぁ!」






シン「…………」


未央「割り勘にしよ? 半分ずつ!」

未央「全部持って貰うのは、未央ちゃんの気がどーしても済まないの!」

シン「……だから言ったであろう。この程度の面倒や負担は気にするな」

未央「だ・か・ら!!」

未央「シンさんは私のプロデューサーだけど、でも自分もアイドルで……私もアイドルだから……」

未央「だから、お互い仕事のパートナーって事で! 負担は半分こ!」

未央「これなら気を遣うとは言わないよね? ね、文句ないでしょ?」

シン「……」

未央「焼肉と掛けるわけじゃないケドさ、あの有名な肉のキャラも言ってたじゃん! ふたりというものは、楽しい時は2倍楽しめて、苦しい時は半分で……って♪」

シン「……ハァ、もう好きにしろ」

未央「ね? ホラホラ、はやくお会計済ませて、次はカラオケでも行こうよ♪ ねっ♪」



・・・・・
・・・


高森藍子
http://i.imgur.com/L2sZcH9.jpg
本田未央
http://i.imgur.com/T0FnbQI.jpg



【クラリス女史の場合】


・・・
・・・・・
======
~~某日・夜~~
(焼肉屋・個室)



ジュウゥゥゥゥ~

シン「」




モグモグ

クラリス「むぅ……」

シン「……」

クラリス「……あむ」


パクパク

シン「……」

クラリス「……ふむふむ」


ムシャムシャ

シン「…………」

クラリス「…………♪」


クラリス「……」モグモグ

クラリス「シン様。豚肩ロース10人前追加をお願いします」モグモグ

シン「う、うん……」

クラリス「今日はお誘い頂きありがとうございます。しかも奢って頂けるとは、シン様は何とも懐が深き御仁です♪」モグモグ

シン「……だ、だろう?」

モグモグモグ


クラリス「んん……。流石は一流の焼き肉店です」

クラリス「どの部位のお肉も臭味のない上質な脂の香り。赤身にきめ細かく入ったサシはさながら雪をさらさらとまぶした芸術のようで、食べる事を躊躇してしまう美しさ…………あむっ」

クラリス「……ふむふむ。しっかりとした確かな触感…、しかし決して固すぎる事は無く、優しくほどけるような柔らかさは、舌だけでなく歯で味わうという楽しみを教えてくれます」

クラリス「……ふう。筆舌に尽くしがたい、実に見事な味です」

クラリス「しかし焼肉の魅力というのは、なにもお肉のお味だけで語れるというものではありません」

クラリス「香り、触感、風味。焼肉とは『お肉を焼き』、『香りを嗅ぎ』、『味わって堪能する』……たった一回の食事で様々な楽しみ方が出来る料理です」

クラリス「焼き方は人それぞれ。飽きることなく、こだわりを持って楽しめるのが何よりの魅力です。さらに……」

クラリス「調理の仕方で共に食べる人間の性格、人となりをも垣間見れることもある、本当に奥深い趣向であり…………あむっ」

クラリス「…………シン様。上カルビ10人前追加をお願いします」モグモグ

シン「…………」



ムシャムシャ

クラリス「食こそ正義……。良い時代になったものですね。いつでも何処でもお腹いっぱい食べられることは……」

シン「き、貴様は戦争孤児か……」

クラリス「勿論、違います。 ですが飽食の時代と呼ばれ、食への感心が薄れている今でこそ……」

クラリス「食事への認識を改めなければいけないと、私は切に思っています」

クラリス「一日三食キチンと食べられる機会への感謝、栄養価の見直し、家族団欒の楽しさ……」

クラリス「なにより、選り好みせずどんなものも美味しく戴くという、日本人特有の『勿体無い』の精神を念頭に置く事が重要なのではないかと」

クラリス「節制、謙虚、奉謝、自戒、そして生きることへの喜び」

クラリス「一口一口にその思いを噛みしめ、今日もこうして食事を採るのです」

シン「そ、粗食のススメか……?」

クラリス「そうとも言いますね。流石はシン様、よく御存じで」モグモグ

シン「(ぼ、暴食の間違いだろうが……)」


シン「く、クラリスよ……」

クラリス「何でしょう?」

シン「き、貴様のようなキリスト教徒は肉は食わんと聞いたが……」

クラリス「ふふっ。神戸の地で、ユダ様にも同じことを尋ねられました」

シン「……」

クラリス「食事の制限は、教派によります。キリスト教自体は禁忌的に提示している食べ物は厳密には有りません」

クラリス「カトリックや正教会では四旬節中の時期や曜日によっては肉食を控えるなど節制を慣行している場合もありますが…」

クラリス「今はその義務は無くなってこそあれ、節制は勧められていますし、実践している人もいると聞きます」

シン「…………」

クラリス「ですので、私は何でも美味しく頂きたいと思います。生きとし生ける全ての者への奉謝は忘れず…」

モグモグモグ


シン「(こ、コイツの場合、美味しく頂きすぎでは……!?)」


パクパクパク

クラリス「はぁ……♪ 実に美味です……」

シン「な……」

シン「何故貴様は、そんなに限度を逸して手を緩めず、一心不乱に食い続けるのだ?」

クラリス「はい。食という一つの有り触れた行動を通して、この世界で生きている全ての者との繋がりを感じ…」

クラリス「その繋がりこそ、全能たる主の掲げる理想の愛の形であると感じ取り、恒久の平和と生存への感謝を胸に抱くのです」

シン「そ、それは建前だろう……。本当のところは?」

クラリス「それは……」

クラリス「……単に私のお腹が空いているからです。ふふっ……///」モグモグ

シン「」

クラリス「……♪」モグモグ

クラリス「ビール、追加でお願いします」


店員「追加の品をお持ちしました。こちら野菜盛り合わせ5人前、ビールと……」

店員「ハラミ、ネギタン塩、上カルビ、赤身ロース焼を各10人前、ライスとサラダとチゲ鍋になります……」コトッ

クラリス「ありがとうございます」モグモグ

シン「おいお前……、ちょっと……」

店員「は、はい?」

シン「もうそろそろ会計しようと思うんだが……今、幾らくらいだ?」ヒソヒソ

店員「こちら伝票になります……」スッ

シン「……」ピラッ



シン「……」

シン「…………」

シン「………………」

シン「お、オイ……?」プルプル

シン「コレ……、会計の欄の額……、桁が二つばかり違うんじゃあないのか……?」

店員「い、いえ……こちらの値段で間違いありません」

シン「!?」

シン「なん……だと…………?」プルプル

クラリス「ぷはぁ……♪」



・・・・・
・・・

クラリス女史
http://i.imgur.com/ZyncDrU.jpg


【前川みくの場合】


・・・
・・・・・
~~某日・昼~~
(焼肉屋・会計)



みく「御馳走さまにゃ♪ さぁて、お会計だけど……」

シン「……」

みく「ひょっとして京都の時みたいに、大盤振る舞いで貴方が払ってくれるのかにゃ?」

みく「いやぁ、そういう優しいところを見せてくれたら、みくも見直すんだけどにゃぁ~♪」

シン「…………」

みく「それとも、ここは二人仲良く割り勘でもいいケド? 今日は持ち合わせがあるし、それでも大丈夫にゃ!」

シン「………………」


シン「……………………」

シン「……………………ならば」




シン「全額…」

シン「よろしく」

シン「じゃ」スッ


カランカラン♪






みく「」

店員「お、お支払はまとめてで宜しいでしょうか?」

みく「」

みく「(ま、まさか……)」

みく「(みくって、こういう役回り……!?)」





【某シスターの一件もあり、しばらくは誰とも食事に行かなくなったシンだった】




【その1:支払の行方 ~5人の女の子~】

~~終わり~~

・・・・・
・・・

前川みく
http://i.imgur.com/GpDtqwK.jpg



【その2:幻視のレイ奮闘記「十時愛梨編」】


~~あらすじ~~
頭に包帯を巻き悩ましげに溜息を吐く元大悪党レイの元に、十時愛梨という天使が歩み寄る

●登場人物
レイ、十時愛梨



義星レイ
http://i.imgur.com/g2BTebV.jpg
十時愛梨
http://i.imgur.com/AK0evYu.jpg



・・・
・・・・・
======
~~某日~~
(7610プロダクション レッスンルーム)



レイ「…………ハァ」

愛梨「あの……、レイさん??」スタスタ

レイ「うん?」

愛梨「どうしたんですかぁ? 深い溜息なんてついて……」

愛梨「それに、その頭の包帯……怪我でもしたんですかぁ??」

レイ「ああ、アイリ……、いや愛梨か。何でもないよ」

愛梨「ううん、そうは見えませんが……」


愛梨「何かあれば、私が相談に乗りますからっ! 気兼ね無く言って下さいっ!」

レイ「……ああ。でも本当に大丈夫だ」

愛梨「どんなに小さなことでも構いません! アイドルとプロデューサーは一蓮托生っ! 私、以前言いましたよね?」

レイ「…………」

愛梨「私が移籍した理由も、そういう固い絆でしか見えない景色があると思ったからなんです。だから……」

愛梨「辛い事は一緒に分かち合いましょう……! かの有名なドイツの詩人、ティートゲも言いましたっ!」

愛梨「『幸せのヒントは幸不幸を分かつこと』、一つの幸せを人と一緒に喜べば幸福感は共鳴し大きくなり、苦しい時に傍にいてくれる人が居れば辛さも少しは減るんです」

レイ「愛梨……」


愛梨「えへへ…。偉そうに言ってますけど、この言葉、部室に合ったプロレス漫画で知ったんですぅ♪」

レイ「そ、そうだったのか……」

愛梨「それとも…………私じゃダメ、ですか? う、ううん……まだ移籍したばかりで、少し馴れ馴れしいかもしれないですねぇ…」

レイ「!」

レイ「いや、そんなことないさ。ありがとう」

レイ「ただ……本当に取るに足らん事なんだ。言うのも憚る気がしてな……」

愛梨「構いませんよっ! 何でも聞きますし、絶対に引いたりしません!」

レイ「……」

レイ「………………実は……」





レイ「お前が…………」





レイ「…………実の妹に視えて、それはそれはもう色々と仕方がないんだ……」





愛梨「」


愛梨「(ある種正常……、いや、正常も異常なんじゃあ…………)」

愛梨「う、ううん~~…………」

レイ「あ、いや! ち、違うッ!」ガタッ!

レイ「俺の言葉足らずだった……誤解しないでくれ!」

愛梨「?」

レイ「お前の顔に、実の妹の顔がうっすら浮かび、張り付いて離れない時があるんだ」

愛梨「げ、幻視のようなものですかね~……?」

レイ「ああ。以前の撮影で北斗琉拳を受け得てから、この症状が現れ始めた」

レイ「そしてお前だけじゃない。顔見知りのはずの人間に、他の人間の顔が重なって見えてしまう」

レイ「たまに、まるっきり見分けがつかん時すらある」


レイ「原因は北斗琉拳、つまり魔界の瘴気に当てられたやもと考え……」

レイ「強いショックを与えたら治るかもしれんと思い立ち紐無しバンジーを強行しても、まるで無意味だった」

愛梨「頭のその包帯は紐無しバンジーが原因なんですね……」

レイ「またお前に迷惑をかけたらイカンと思ってな。どうしたものか……」

愛梨「……」

愛梨「(以前なら、何事も無いように私を妹と思い込み、異様な距離で接していたレイさんでしたが……)」

愛梨「(でも今は改めて、そんな怪我までして、改善しようとしてくれてる……)」

愛梨「…………」

愛梨「……よしっ!」

レイ「ん?」


愛梨「そういう事情なら、間違えても仕方ありませんからね。私も言い寄られても、なんとか頑張りますから!」

愛梨「あと……」

愛梨「焦らず、落ち着いて一緒に解決策を探しましょうっ! 協力は惜しみませんよ!」

レイ「……!」

レイ「と、という事は……ッ!!」

ガシッ!


愛梨「は、はい……?」

レイ「間違えても、イイんだな……!?」

愛梨「……?」



レイ「俺がお前を妹のアイリと錯覚し声をかけようと……!」




レイ「色々と服を買ってあげたり、四六時中暴漢の手に落ちぬようにストーカーの如く張り付いていたり……!!」




レイ「実の妹のように、それはそれはもう溢れんばかりの愛を注ごうともッ……!!」




愛梨「……は、はい。お手柔らかに……」




【妹の存在が示唆されているにも関わらず、何故か頑なに登場しない理由が少し理解できた十時愛梨】

・・・・・
・・・


・・・
・・・・・
======
~~後日~~



桃華「……」

ガチャ


愛梨「おはようございますっ!」

桃華「おはようございます。あら?」

愛梨「?」

桃華「愛梨さん、最近オシャレに磨きが掛かりましたわね」

愛梨「あっ、そ、そうかなぁ……?」

桃華「ええ。小さなアクセサリーからバッグ、衣服に至るまで名のあるブランドでガチガチに固めていますもの」

桃華「お給料で奮発したのですか? それともまさか……」

桃華「貢がせるような男でも出来たとか? ふふふっ、愛梨さんもなかなか魔性のオンナですわね♪」

愛梨「い、いやぁ……」

愛梨「その、ね……? これは全部レイさんが買ってくれた物で……」

桃華「」


桃華「ま、まさかあのレイちゃまに貢がせているなんて……」プルプル

愛梨「ち、違うよっ! その、強引に買ってきて着せてくれるというか……親切心なのは分かってるんだけど……」

桃華「…………」

愛梨「昨日もレイさんの新居の近くの公園で、色々と……」

桃華「ッ!?」

桃華「一体何をしたんですのっ!?」ガタッ!

愛梨「夜通し、寝る間もなく……」

桃華「……っ!」

愛梨「は、はぁ……」

愛梨「うぅ~…………疲れましたぁ……」ガクッ

桃華「なっ……、何をしたんですの愛梨さんッ!!」バン!










【流石にオールナイトテニスと、執拗な接触は堪えた十時愛梨】

【肉体的・精神衛生的な疲労回復を鑑みる事に加え、結局このままではレイの幻視解決に繋がらないと冷静に考え、少し距離を置く事にしたのだった】



【因みに、貢いで貰った衣服類は全て返品、弁償しレイにこっそり返しておいたらしい】






【その2:幻視のレイ奮闘記「十時愛梨編」】

~~終わり~~

・・・・・
・・・


【その3:幻視のレイ奮闘記「アナスタシア編」】


~~あらすじ~~
第4次勧誘遠征作戦で暗琉霏破をモロに喰らって、
北斗琉拳の魔闘気の影響で魔界を垣間見た以降レイは最近、軽い幻視に苛まれていた


●登場人物
レイ、アナスタシア(?)

アナスタシア(?)
http://i.imgur.com/M0frP7e.jpg



・・・
・・・・・
======
~~後日~~
(夕刻・公園)



レイ「ハァ……」

レイ「ここのところ、幻視が酷くなる一方だ」

レイ「先日なんかは、プロダクションに牙大王が二人並んでいたのは流石に異常だと分かったから、まあ襲い掛からずに済んだものの……」

レイ「あれは一体、本当は誰だったんだろうか? ううむ…」

レイ「……」

レイ「最近は愛梨とも顔を合わせんし……、ひょっとして何かしてしまったのだろうか?」

レイ「…………」

レイ「早い話、トキにでも相談したら何とかなるんじゃなかろうか」

レイ「……悩んでいても仕方ない。とりあえず帰るか」



======
~~10分後~~
(レイの自宅付近)


レイ「…………ん?」

レイ「あれは……アナスタシアか?」


「……」



http://i.imgur.com/Jizubab.jpg




レイ「…………」


「……」
http://i.imgur.com/tYOYWQk.jpg




レイ「………?」


「…………」
http://i.imgur.com/sTvC9Zf.jpg




レイ「いや、アナスタシアだな」ゴシゴシ

レイ「おい、どうした?」

「……うん?」


レイ「アナスタシア……キャリーケースなんか引っ張って、何処かに泊まるのか?」

「……お兄さん、なに? あなすたしゃ?」

レイ「なに? 何と問われても……」

レイ「何処へ行くんだ? 言いたくなければ別に聞かんが……」

「う~ん、あんまり決めてないなぁ。急にほっぽりだされたし、行き当たりばったりの旅だしね」

「とりあえず、今日はネットカフェにでも厄介になろうかな?」

レイ「……!?」


レイ「お、おいどうしたんだ? 賃貸から追い出されたのか?」

「賃貸というか普通に実家なんだけど、まあ色々あってね」

レイ「そうか……。込み入った事情なら聞かんが、とりあえず宿無しか」

レイ「ウチに泊まるか? 狭いが最近入ったばかりの新築だ」

「!」

「い、いや……いやいや……」

「ゴメン、あたしそういうアレはちょっとねー……、ゴメンね?」

レイ「……!」

レイ「(確かに……。岡崎泰葉にも以前注意されたな)」

レイ「(仮にもアイドル同士、周囲の目に気を配るのは当然か。少し無配慮だったか)」

レイ「いいや、俺の方こそ悪かった。他意は無いんだ。だが……」

「??」


レイ「お前に何かあっても、身を預かる立場としては非常に心苦しい。もし宿がなければ……」

レイ「プロダクションの女子寮を借りれば良い。女子寮の騒動はそろそろ終着しそうだから、一人くらいなら空きの部屋がある筈だ」

「プロダクション?」

レイ「もう日が下りるのも早い。暗い中で女の子が出歩くのも心配だな」ゴソゴソ

レイ「少ないが、好きに使え。タクシー代と、どこか別にホテルで泊まるなら一泊くらいはこれで十分に賄えるだろう」ポン

「!!」

「い、いーの? こんなに……」

レイ「平気だよ。お前のためならば幾らでも出してやる」

「う、うん。ドーモ……」


レイ「何かあればすぐに連絡を寄こせ」

レイ「ただ……次に会った時は、ちゃんと理由を聞かせて欲しい。力になれるかは分からないが、話くらいは聞いてやれる」

「あ、ありがとう。いやー……、東京の人ってこんなに優しいんだねぇ♪」

レイ「じゃあ、気を付けろよ。また明後日、事務所で会おう」

スタスタ


「……」

「…………」

「……いやぁ、なんだか知らないけど、世の中奇特な人もいるもんだねー……」

「怖そうなお兄さんだったけど、ま、いっかー。さあて、取り敢えず寝床でも探しますか」


・・・・・
・・・


・・・
・・・・・
======
~~2日後~~
(7610プロダクション 事務室)



ガチャ

アーニャ「プリヴィエート、プロデューサー」

レイ「おはよう」

レイ「アナスタシア、先日はちゃんと過ごせたか?」

アーニャ「……はい?」

レイ「一人で大荷物を持って出歩いているのを見かけた時は心配したが……」

レイ「一体何があったんだ? 家庭の事情とはいえ、流石にそろそろ聞いておかんとマズイと思ってな」


アーニャ「ま、待って下さい。何のこと、ですか?」

レイ「ん?」

レイ「いや……、2日前の夕方、お前が一人で俺の家の近くをうろついていたから……」

レイ「一応声をかけて、交通費と宿代を渡したろう」

アーニャ「私……」

アーニャ「その日の夕方は、亜季と桃華と一緒に、ご飯を食べに、行っていましたが……」

レイ「…………」

レイ「………………」

レイ「えっ?」

アーニャ「……?」キョトン









【かくして、レイの財布から5万円が闇に消えた】



【その3:幻視のレイ奮闘記「アナスタシア編」】

~~終わり~~

・・・・・
・・・



【その4:幻視のレイ奮闘記「島村卯月編」】


~~あらすじ~~
第4次勧誘遠征作戦で暗琉霏破をモロに喰らって、
北斗琉拳の魔闘気の影響で魔界を垣間見た以降レイは最近、重度の幻視に苛まれていた


●登場人物
レイ、島村卯月 (?)

島村卯月(?)
http://i.imgur.com/F7eDfXH.jpg



今日はここまで
今回の日常(?)系の話は、一応六聖拳全員分構想はありますが、このスレではシン・レイ・池袋博士の主体の話のみになります。
気力があれば次々回作あたりにおそらく同じ形式のスレを立てる(予定)なので、追加で、誰と誰の話が見たい等意見があれば、
このスレの最後に安価でリクエストでも取ろうかと思います。よろしくお願いします



・・・
・・・・・
======
~~後日~~
(7610プロダクション 廊下)


レイ「見栄を張って5万も差し出すんじゃあなかった。クソっ、一体どこの女狐だ……、人を騙すとは度し難い略取行為だ!」

レイ「今後は気を付けよう……」

スタスタ


レイ「……!」

「おはようございまーすっ♪」

レイ「!?」


レイ「なっ……!」

http://i.imgur.com/vYWweyZ.jpg

「お疲れ様です! どうしたんですか? あまり顔色が優れませんが……」





レイ「……ッ!?」

http://i.imgur.com/uTLYdOB.jpg

「あっ! ひょっとして夜更かしとか? ありますよねっ、実は私もしょっちゅうあるんですよ」





レイ「『私』!?」

http://i.imgur.com/h20xXY8.jpg

「でも、眠気に負けず、今日も元気に笑顔で頑張りますよっ~♪」



レイ「キモッ!!!」

「……えっ!?」ビクッ

レイ「な、何だ貴様は……朝っぱらから気色が悪い。オマケになんだ、その変哲な口調は……」

「っっ!?」

レイ「……俺は今機嫌が悪いんだ。トチ狂った笑みで話しかけるな。遊ぶなら他の奴に構って貰え」

「れ、レイさん………………」

「私の、顔…………、そこまで気持ち悪かったですか…………?」

レイ「何?」

レイ「貴様のツラが気持ち悪くないワケないだろう。常日頃より嫌悪感を抱いている次第だ」



レイ「大概にしないと……」

卯月「ご、ごめんなさい……」

レイ「…………」

レイ「………………」




http://i.imgur.com/KcgHlXz.jpg




レイ「…………!?」

レイ「し、島村卯月……!?」


卯月「ごめん、なさい……私……っ」ウルウル

レイ「」

レイ「ま、ままま待て卯月!! ご、誤解だッッ!!」

卯月「私……社長に……」

卯月「社長に…………っ!」






~~~~~~~
【卯月の回想】


サウザー『島村卯月よ。貴様のいいところはズバリ……、笑顔です』

卯月『笑顔……ですか?』

サウザー『はい、私はそう考えます』

卯月『え、えへへ……、そ、そうですか?』ニコッ
~~~~~~~~







卯月「私のいいところは、笑顔だって…………!」

レイ「お、オイ! 意味不明な回想の捏造はヤメロ! やっつけすぎるだろッ!!」


卯月「だけど…………だけどっ…………!」ウルッ

卯月「笑顔なんて……、笑うなんて、誰でも出来ます、よね……っっ」グスッ

レイ「……!」

卯月「う、ううぅっ……、うわああぁーーーん……!!」




http://i.imgur.com/WJKqN1M.jpg




レイ「」

卯月「なんにも無い…………ぐすっ…、私にはなんにも……っ」グスッ

卯月「う、ううっ、うああぁっ……」










【レイは自分の行為を悔いて自殺しようと思ったが、なんとか踏み留まり……】

【紐無しバンジーからの五体投地土下座をしても、島村卯月は泣き止んでくれなかったので】

【金一封(10万)をあげたら、割とすんなり許してくれたのでした】




【その4:幻視のレイ奮闘記「島村卯月編」】

~~終わり~~

・・・・・
・・・



【その5:幻視のレイ奮闘記「渋谷凛編」】


~~あらすじ~~
第4次勧誘遠征作戦で暗琉霏破をモロに喰らって、
北斗琉拳の魔闘気の影響で魔界を垣間見た以降レイは最近、末期の幻視に苛まれていた

●登場人物
レイ、渋谷凛(?)

渋谷凛(?)
http://i.imgur.com/ymbBp0V.jpg



・・・
・・・・・
======
~~後日・夕刻~~
(街中)



レイ「そろそろ……本気でマズイぞ」

レイ「街往く人間全てに靄のようなフィルターが掛かった気がしてきた」

レイ「もう既に日常生活にも支障が出るレベルだ。流石にケンシロウかトキに協力を仰ぐべきかもしれんな。明日にでも346に……」

レイ「……!」

レイ「あれは……」



「ふんふ~ん……♪」

http://i.imgur.com/RZyowaK.jpg





レイ「あそこに歩いているのは……渋谷凛か?」

レイ「しかし髪を巻き、随分とイメージが軽薄になったというか、ちゃらちゃらしたというか……」

レイ「……?」ジー



「ん? あれは……!」

http://i.imgur.com/xZSVq8E.jpg




レイ「…………ん? んん?」ジー


「…………」スタスタ

http://i.imgur.com/ZGWjd86.jpg



レイ「あ、あれ……? 髪がストレートに戻……」




「ねえ、おにーさーん?」ジー

レイ「! う、うわっ! いつの間に近づいてきたんだ……」

「おにーさん、ずぅっとジロジロあたしのコト見て、どうしたの?」



レイ「いや、特に何も。久しぶりだな」

レイ「ただお前がこんな所で油を売っている理由が、少し気になったんだ」

「? なに……?」

「あたしの事、ひょっとして晶葉ちゃんに聞いたことあったり?」

「あっ! だからジロジロ見てたのかなー? ねーねー」ズイッ

レイ「何だ? お前は博士と友達なのか? よく分からんが……」

「ウン。 そうそう、晶葉ちゃんのお友達♪ おにーさん達の事も晶葉ちゃんから聞いてるよ。写真も送って貰ったし」

「まあ、だからあたしはおにーさんに気が付いたんだけどね? で、こうして話しかけてみたってゆ~」

レイ「……」


「ふふふっ……おにーさんもなかなかのセレンディピティの持ち主だね♪ 星の巡り会わせが良いってゆーカンジかな?」

レイ「お、おう」

「ふふっ……♪」ズイッ

レイ「ん?」

「ン~~……くんくん……」

レイ「!?」ビクッ!

レイ「何故臭いを嗅ぐッ!? そ……そんなに体臭はキツくないハズだが……」

「んんん…………! ふふ~ん……? ほー……♪」クンクン

レイ「(な、何だ……? 渋谷凛ってこんなにフランクな性格だったか?)」


「いやぁ、これはアタリかな? ふふふっ、なかなかにイイ感じ……♪」

レイ「お前……頭大丈夫か?」

「極めて正常だよ? ケド、おにーさんからは実にファシネイティングな匂いがするよ」

レイ「は、ハァ?」

「日本に帰ってきて正解だったかな? 晶葉ちゃんの言う通り、期待は十分持てそうかも」

レイ「……」

「ああ、ごめんね? ひょっとして急ぎだったの?」

レイ「(……何だか知らんが……)」

レイ「(深く関わらん方がいいとみた。手っ取り早く立ち去ろう)」


レイ「その通りだ。これから知人とおち合う約束でな」

レイ「これからも博士と仲良くしてやってくれ。ではな。また仕事で機会があれば、その時はよろしく頼む」スッ

スタスタ


「うん、じゃあねー」ヒラヒラ

「…………」

「………………?」

「仕事…? 何の事かにゃぁ、一体……?」

「ふふふっ、それにしても実にイイ匂いがしたね、あの人」

「退屈だったから丁度良かった。日本に帰ってきて正解正解ー♪」

「さあってと……! とりあえず今日は疲れたからホテルに泊まって……」








【その5:幻視のレイ奮闘記「渋谷凛編」】

~~終わり?~~

・・・・・
・・・


【その6:モバマスSSっぽいスキンシップ大作戦!】


~~あらすじ~~
ある日、興奮気味の博士に呼び出された南斗DE5MEN。その内容は…

●登場キャラ
池袋晶葉、他

池袋晶葉(科学研究部兼、軍事攻略部)
http://i.imgur.com/XzTI2BY.jpg



・・・
・・・・・
=======
~~某日~~
(7610プロダクション 会議室)



レイ「……」

シン「……」

晶葉「諸君っ!」

晶葉「よくぞ集まってくれたな!」

シュウ「……博士から呼び出すとは、中々に珍しいな」

サウザー「フフフ……、良いではないか!」

サウザー「博士よ。また何か、我ら南斗の繁栄に貢献するような発明でも思いついたのであろう?」

ユダ「……俺達からしたら、それは悪い報告だな」

晶葉「まあまあ! そう斜に構えるな」


晶葉「海外に留学している知人から、面白い贈り物が届いたんだよ」

ユダ「?」

シュウ「知人……?」

晶葉「ん? シュウには以前横浜でお土産を選んでいる時に、ちょっと言った気もするが?」

シュウ「聞いた覚えもあるが………忘れてしまったな」

晶葉「ひょうきんというかお茶目というか、なかなか掴み所もなく奔放な性格で、それ故に型破りな発想も実に面白い」

晶葉「私がロボット工学専門なら、彼女は香りの化学を嗜んでいると言ったところかな?」

レイ「香り……? 料理とか香水とか、味覚や嗅覚に関する研究か?」

晶葉「概ねその辺りだろう」


晶葉「まあ彼女の事は置いておきだな……」

晶葉「君達南斗DE5MENや他アイドルの日々の活躍はめざましく、このプロダクションも少しは世間に名前も売れてきただろう」

晶葉「雑誌やテレビでも少しずつ活動の様子が取り上げられ、普段はラボに閉じこもりきりの私でさえ時折耳に入れる程だ!」

ユダ「ふん。愚問だな」

シン「あれだけ舞台で脚光を浴びているのだから、寧ろ今まで取り上げられん方が異常だったのだ」

レイ「俺達が流した血も汗も無駄ではなかったのだな……。感無量だ」


晶葉「しかしだ…」

晶葉「組織や知名度や活動規模が大きくなっていくにつれ、それと反対に失われていく、『あるもの』がある」

シュウ「……?」

晶葉「ガスの火力が上がれば水が沸騰するまでの時間が短くなるように…」

晶葉「または、コーヒーを飲む量が増えればコーヒー豆が無くなるまでの日数が減るように…………」

晶葉「世の中には、事象の反比例という受け入れがたいジレンマが存在するんだよ」

サウザー「……」

サウザー「で?」

晶葉「うん?」

サウザー「何だその『あるもの』とは? 勿体ぶらず早く言え」

晶葉「ふふふ…。過程を省略して結論を知りたがる、ある種効率的ともいえるその姿勢、嫌いじゃないぞ」


晶葉「それは、『団結』だ!」

シュウ「………」

レイ「……へえ」

シン「うん」

ユダ「まあ…、問題提起の例を聞いて、そのあたりの答えだろうと全員予想はしてたがな」

サウザー「えっ、マジで?」

晶葉「話が早いな。流石だね」


晶葉「組織が大きくなり活動の幅が広がれば、今までとは違う活動形態を強いられる」

晶葉「そうなればかつてのコミュニティは疎かになり、個人の不満は膨れ、連携に支障は生まれ、会社全体の機運にも影響が出る」

サウザー「ほう……?」

晶葉「知名度が上がり活動の幅が広がる傍ら、アニメの天海春香が環境の変化を望めなかったように…」

晶葉「チームの皆がそれぞれの輝きを強める傍ら、アニメの島村卯月が自分に希望を見出せなかったように…………」

晶葉「個々の停滞は、全体の分崩離析にあまねく繋がるんだ」


サウザー「つまりは……?」

晶葉「一致団結、和衷協同、水魚之交!」

晶葉「組織の拡大も大事だが、それまでの仲間との信頼も忘れず仲良くするということだ!」

シン「尤もだが……博士は…」

シン「それを言うために、俺達を集めたのか?」

晶葉「勿論、違う!」

晶葉「言ったろう? 知人から面白い品が届いたんだよ!」

サウザー「して、その品とは何だ?」

晶葉「これだっ!」コトッ

シュウ「……?」

レイ「?」

シン「何だ、この洒落た小瓶は…。4、5……5個も」

晶葉「ふふふ!」ニヤニヤ








晶葉「媚薬だ!」







シン「……」

レイ「……」

ユダ「……」

サウザー「……」

シュウ「………」

晶葉「媚薬だぞっ!」ドヤッ

ユダ「いや、二回言わんでもいい。聞こえているわ」

レイ「二回言っても俺達のリアクションは変わらんぞ」

シュウ「ず、随分俗っぽい事に手を染めるんだな、博士も……」

サウザー「お、オイ……。さっきの話、途中まですっごく良かったのに唐突なオチが、び、『媚薬』……?」

シン「(…………)」


晶葉「ホラ! これがかの有名な幻の媚薬、惚れ薬だぞ!」

晶葉「モバマスSSの三種の神器の一つだ!」

晶葉「これを使えばどんな人間だろうが思いのままに堕とせる、魔法のようなアイテムだ!」

晶葉「君達のような奥手の堅物でも、これさえあれば理想の人間関係を築けること受け合いさ!」

シン「博士………」

晶葉「ぉん?」

シン「一つ聞きたい。媚薬とは広義的な意味を孕む」

シン「栄養ドリンクのような滋養強壮剤か………はたまた…」

シン「恋愛感情を引き起こすような、催淫剤か…」

晶葉「無論、両方だよ」

シン「(…………)」



晶葉「どうだっ!?」バンッ!

晶葉「面白いだろうっ!?」キラキラ

晶葉「ようやくこれで、君達もモバマスSSっぽい事が出来るぞ! 喜べっ!」ニコニコ

晶葉「相手にコレを飲ませれば、生まれたての鶏の雛のように、その相手が一番最初に視認した人間に対し強烈な………アレだ…………そのだな…」

晶葉「ある欲求を亢進、昂ぶらせる事が出来る。強烈な刷り込みというか…。そして同時に、凄く従順な姿勢を見せるようになる!」

シュウ「……」


晶葉「効果持続時間は大体一週間ほどだな。効果が切れれば自然と欲求は減退するが、その期間に抱いた感情は記憶として残る」

晶葉「つまり……!」

晶葉「イヤラシイ事が目的じゃなくても、仲良くなりたい相手にコレを飲ませれば、自分に対する強い印象や興味を植え付けることが出来るというわけだ!」

晶葉「まあ、その効果のみに絞るなら、一週間は互いに『強い精神力、自制心、理性』が必要になるわけだが……」

晶葉「勿論、発汗や体温の上昇などの外的症状が表れ、疲労回復・免疫向上等の効果も大幅に見込めるぞ!」

シン「……」

サウザー「……」

レイ「……」

ユダ「……」

シュウ「……博士」

晶葉「うん?」

シュウ「申し訳ないが……、それを使うことは出来ん」

晶葉「っ!?」


レイ「ああ」

ユダ「そうだな」

サウザー「博士よ。残念ながらその男の言うとおりだ」

晶葉「な……、何で!?」バン!

晶葉「面白い実験じゃあないか! 君達なら真っ先に飛びつくと思ったのに!?」

シュウ「明らかに非合法の薬品じゃあないか。こんな危険な物をアイドル達に飲ませるわけにはイカン」

晶葉「だ…、大丈夫だよっ! 美味しいから大丈夫だ!」

シュウ「何がだ」


晶葉「効力も身を以て被験した! 後遺症や異常は残らないし、怪我もしない!」

シュウ「身を以て…?」

晶葉「ああ!」

晶葉「実際に私が飲んでみたんだ。その後、誰とも顔を合わす事のない無人のラボで一週間過ごしたんだ」

晶葉「滋養強壮の効果もてき面で、研究作業が頗る捗ったぞ!」


レイ「しかし…」

レイ「そんな物に頼って、本当の信頼というものが築けるだろうか? 博士よ」

晶葉「!」

シン「俺達を甘く見るな。そんな代物を使わんでも、立派にコミュニケーションは取れる。男……、いや、女の一人や二人、簡単に堕とせるわ」

晶葉「い、いや…………イヤイヤ、違う!」

晶葉「その意見も一理あるが……、だが、面白いだろう!? 媚薬だぞっ!?」

晶葉「もっと…………こう……、一皮も二皮も剥け達観したモバPを見習ってだな……?」

晶葉「媚薬と聞いた瞬間、形振り構わず手放しに狂喜して、躊躇なく手に取るくらいのリアクションをしても良いんじゃあないか?」


ユダ「ふん……下らんな。第一……」

サウザー「俺達、そんな漫画のキャラじゃないんで」

晶葉「……っ!」

サウザー「効果の程は知らんが……、残念ながら俺達がそれを使ってアイドル達と交流するような事は…」

サウザー「まず有り得ん」

晶葉「ぐむぅ…!!」プルプル


晶葉「な………」

晶葉「なんだよっ! 折角面白いと思ったのに………君達なら飛びつくと思ったのに……!」ダンッ!

晶葉「使える物はなんでも使う、ハングリーでダーティなスタイルを良しとするんじゃあなかったのか、君達は!?」

シュウ「……」

晶葉「べ、別にイヤラシイ事に使用せずとも、好印象を植え付ける目的だけに使えばいいじゃないか! 使用後、すぐさま相手と一週間距離を置いて!」

レイ「…………ふぅ」

ユダ「……クドいぞ。何度も言わせるな」

サウザー「この聖帝の人を引き寄せるカリスマフェロモンは、そんな玩具如きに頼らずとも圧倒的な偉才を常に放っているのだ」

晶葉「~~~~~っ…!!!」

晶葉「も、もういいっ! これじゃあ何だか、私だけが恥ずかしい奴じゃないか!!」

晶葉「ああもうっ…! いいよ! つまらない事で呼び出して悪かったよ! もう出て行ってくれッ!!!」


シュウ「すまんな博士…」スッ

シン「俺達にもプライドがあるのだ。そんな俗物に頼れとまで落ちぶれた所以は無い」スッ

レイ「今回は流石にパスだ。幾らなんでも、一線を越える訳にはいかん」スッ

ユダ「全く、無駄な時間を過ごしたぞ」スッ

サウザー「さらばだ」スッ

晶葉「………」


ガチャ

バタン


晶葉「……」

晶葉「………くそぅ」

晶葉「何だよ…。いつも暇を持て余してる彼等に打って付けのアイテムだと思ったのに…」

晶葉「しかし、どうしようかコレ…。滋養強壮剤として全部使うのも味気無いなぁ……」




ガチャ


晶葉「!」






シン「………」





晶葉「お、おう? どうした?」


シン「博士………」

シン「…………………………………」

シン「……………………………………………………………………」

シン「一本、くれないか」

晶葉「!!!」

シン「代わりにコレをやろう。先日京都で買った老舗の銘菓だ」



晶葉「そ、そうかそうか……」

晶葉「成程な…! 考えてみれば、こんな明らかに用途が限定される代物を、皆がいる場でおおっぴらに『欲しい』と言えるワケないもんな」

晶葉「いいぞ! 持って行け!」カチャ

シン「この事は、他の4人には内密にしてくれ」

晶葉「勿論だとも! 君たちの威信と面子に関わることだ、当然口外はしない」

シン「………」スッ

晶葉「誰に使うかしらんが、武運を祈るぞ。しっかりやれよ!」


ガチャ

バタン


晶葉「ふ、ふふ……ふふふっ…!」

晶葉「なぁんだ! あの場では恥ずかしくて言い出せなかっただけか!」



ガチャ


晶葉「(っ!?)」






サウザー「……」




晶葉「(こ、今度は社長君か…!)」

サウザー「博士よ。先程の薬だが、面白い運用方法を思いついた。一本貰うぞ」

サウザー「これ。駄賃で10万円あげる」ポン

晶葉「お、おう。いいよ、持って行け!」

サウザー「フフフ……。くれぐれも他の4人にはナイショだぞ?」

晶葉「わかってるって…! 誰に使うんだ?」


サウザー「秘密だ」

晶葉「むぅ…。結果は教えてくれよ」

サウザー「フハハハハハ! 気が向いたらな!」スッ


ガチャ

バタン


晶葉「やっぱり何だかんだで興味があったんじゃあないか! あんなにそっけない態度だったのに……」



ガチャ


晶葉「」





ユダ「…………」




晶葉「き、君もかユダ……。やっぱり薬が欲しくなったのか?」

ユダ「ふん…。機会は分からんが、持っていて損はないと思ってな。先程はキツく言い過ぎたぞ」

ユダ「代わりにコレ…。香水をやろう」

晶葉「ふ、ふふふっ。他の二人もそうだが、別に気にしなくていいんだぞ?」

晶葉「好きに使ってくれ! これで君達も晴れて、モバマスSSっぽい事が出来るな!」

ユダ「釘を刺しておくが、他の馬鹿4人には言うなよ」

晶葉「オーケーオーケー♪ 黙っておくさ」

ユダ「…………」スッ


ガチャ

バタン


晶葉「………」

晶葉「…………」



ガチャ


晶葉「……………」





レイ「…………」



晶葉「どうしたレイ? 忘れ物か?」

レイ「博士…。言いにくいんだが………」

晶葉「ああ、ああ……皆まで言うな。言わずとも分かっているさ。私と君達の仲だろう?」

晶葉「コレが欲しかったんだろう? ほら、持っていくといい」

レイ「!」

レイ「い、良いのか? 先程はあれだけ偉そうに否定してしまったが…」

晶葉「気にしてないよ。寧ろ、君達の活動の手助けになれたと知って嬉しいくらいさ」

レイ「ありがとう…。お礼と言ってはなんだが…」

レイ「コレ。はんだごて」スッ

晶葉「ほ、本当に気を遣わなくていいんだぞ……、みんな……」

レイ「みんな?」

晶葉「いや、何でも」


レイ「後生だ。他の4人にはこの事は話さないでくれ」

晶葉「言って私の得になることは無い。誓おう」

レイ「すまんな……」スッ



ガチャ

バタン


晶葉「………」

晶葉「…………」

晶葉「結局、みんな欲しかったんじゃあないか…。あんなに否定しておいて、素直じゃないな。全く…」

晶葉「しかしシュウだけは戻ってこなかったか。まあ後で彼のポケットにでも捻じ込んでおくか」

晶葉「さて……」

晶葉「みんな、どんな使い方をするんだろうかな…?」


・・・・・
・・・


・・・
・・・・・
【★ユダの場合】

~~某日~~
(ユダ邸)



ユダ「【用量は、一人一回分で2、3滴】………ふぅん? 慎重に使えば1、2ヶ月で無くなるか」

ユダ「【無味無臭】か。知らん所で使われると厄介だが……まあその可能性は無いだろう」

ユダ「【超即効性】………オイオイ…。薬事法とか無視した材料でも入ってるんじゃあ無かろうな、コレ……」

ユダ「【対象の視認は、相手の素顔であれば写真でもよし】……なんか、案外緩い条件だな」

ユダ「……」

ユダ「さて……」


ユダ「当然、下種で破廉恥な行為なんぞ、俺の目的ではない」

ユダ「女なら金で幾らでも手に入る。しかし好意……、『忠誠心』はその限りではない」

ユダ「力を振りかざし恐怖を植え付けようが、焼印で消えぬ証を刻み込もうが……!」

ユダ「それは支配の領域であっても、『恭順』や『心服』とは言い難い」

ユダ「博士の話が本当なら、この媚薬を上手に運用すれば、対象は従順になり……」

ユダ「そして俺の好意的な印象を植え付けることが出来るというのなら……!!」

ユダ「さしずめこの薬は、飲んだ相手は自ら望んで、だがそれでいて俺から意のままに操作出来る超強力な催眠と言ったところか!」

ユダ「ククク……良いじゃあないか! 実に面白い!」

ユダ「……」

ユダ「………」

ユダ「俺が使う相手は、既に決まっている」




ユダ「クラリスッ!」



ユダ「シェリーッ!」



ユダ「ジェーン、コロチャーッ!」



ユダ「ジュリア、ポリス、スメシ、オリビア、メタルジャック!」



ユダ「そして居候を条件に、新たに加わったイヴとクラリスを含めたこの俺を褒め称える侍女集団……!」



ユダ「『ユダガールズ』全員だッ!! 全員にこの惚れ薬をお見舞いしてやるぞ!!!」



ユダ「この頃、アイツら仕事に抜き身というか、俺への忠誠がまるで感じられないからな」

ユダ「イヴは相変わらず自堕落・無気力・非生産な毎日を送っているし、クラリスに至ってはその食事量もさることながら、遠慮も憚ることをまるで知らん」

ユダ「ここらで俺の魅力を再認識させるのも良かろう。勿論、この薬を使って!」

ユダ「……」

ユダ「………ん?」

ユダ「『クラリス』が二人被ったな…。同名は仕方ないか」

ユダ「秋田出身のクラリスはそのままで、神戸出身のエセシスターの方は……」

ユダ「……イントネーションを変えるか。ク↑ラリス、ク↓ラ↑リス………」

ユダ「…………………しっくり来ないが、まあいい」

ユダ「徐々に奴らの食事に微量の媚薬を混入させ……」

ユダ「奴らも気付かん内に、この俺に心酔し絶対服従のレベルまで堕としてやる! 堕としてやるぞぉッ!!」

ユダ「クククッ…!」


ユダ「………」

ユダ「…………」

ユダ「……………」

ユダ「待てよ?」

ユダ「頭を冷やせ、知略のユダ……。この際、倫理観や信頼なんざどうでもいいが…」

ユダ「そもそもコレ、本当に効果があるのか……?」

ユダ「……」

ユダ「まず存在自体が眉唾物の上に、実証例が博士の体験談のみ」

ユダ「しかも博士は滋養強壮剤としての効果を得るだけで満足し終わっている。些か、データの信憑性としては物足りんな」


ユダ「仮にこれが紛い物か、あるいは個人差などの弊害で効果が万人同等じゃない場合も考えられる」

ユダ「もし息巻いてユダガールズ全員に使ったは良いが、肩透かしに不発に終わったなんて事があったら………」

ユダ「……ダサいし美しくない。無駄な労力を割くのは不本意で非効率」

ユダ「……」

ユダ「となると……」

ユダ「本命のユダガールズに使用する前に、まずは……」

ユダ「まずはとにかく、この目で効果を確かめる必要がある」

ユダ「実験だ。誰に試すか……。手軽に呼び出せて、あっさり引っかかりそうな単純な…………」



・・・・・
・・・



・・・
・・・・・
======
~~1時間後~~
(駅前 カフェ)



菜々「急にどうしました? 何かナナに御用ですか?」

ユダ「……」

ユダ「まあ、とにかく座れ。仕事の話だ」

菜々「あっ、ハイ! お仕事ですねっ!」

ユダ「お前に是非にとも依頼が来ているのが、来月開始予定のソーシャルゲームのイメージキャラクター起用。それから若者雑誌の連載コラムと……」チラッ

菜々「?」

ユダ「ああ……、お前が来る前にソレを注文しておいたんだが、飲みながらでもゆっくり聞いてくれ」

菜々「あ! いいえ、これ頂いても良いんですか?」

ユダ「無論だ」

菜々「じゃあお言葉に甘えて。ありがとうございます♪」

菜々「ソイラテですか、健康志向でイイですね」ズズズ

ユダ「(…………)」


菜々「……ふぅ」コトッ

ユダ「…………」

菜々「…………」

菜々「あっ、続きどうぞ?」

ユダ「ん?」

ユダ「あ、ああ……えっと……」

ユダ「コラムの方は隔週で2ページ、若者の流行と生活スタイルに関する個人の解釈だが、俯瞰的に捉えて……」

ユダ「かつ、身近な人間も例にしてディテールを凝った感覚で……、浅く広く、かつ業界人的な目線で一般人の興味を引くようなものに仕上げられればと」

菜々「ふむふむ……。具体的に書く内容は、自分の活動に沿ったことで良いんですかね? それともその雑誌のメインテーマに合わせれば良いですか?」

菜々「出来れば、参考のために前号までの雑誌を読ませて頂けたら、イメージが掴みやすいんですが」

ユダ「その点は心配ない。事務所にいくつか買い揃えてある。コラムも編集の方で目を通し、逐一修正するからそれなりの文章構成は……」

ユダ「……」

ユダ「………………」

菜々「どうしました?」

ユダ「菜々よ。お前……」

ユダ「熱でもあるんじゃないか? 体が熱いとか、気分が高揚するとか……」

菜々「えっ?」

菜々「な、ナナが何か……? 顔とか赤くなってますか?」

ユダ「……」

ユダ「いや、普段と変わらん。健康そのものだ、が……」ジロジロ

ユダ「変わらんから異常というか……、いや、そもそもやはりアレは紛い物か?」ジロジロ

菜々「な、何でしょう。ナナの顔に何かついてますか?」

ユダ「逆にお前は俺を見て何か思うところは無いのか?」

菜々「? そうですね~……、ううん……?」ジー

菜々「むー……?」ジー

ユダ「……」

菜々「る、ルージュの色変えた、とか……?」

ユダ「…………違う」


ユダ「菜々……、いや、ウサミンよ」

菜々「は、ハイ?」

ユダ「お前は…………何か病に罹った時、地球の薬を服用するのか?」

菜々「そそ、それは……!」

菜々「う、ウサミン星人は地球人より体が丈夫ですから、体を壊す事は滅多に無いですが……」

菜々「それでも、腰を痛めたり二日酔いをした時は、ウサミン星の出張診療を依頼するんですよ☆ 地球の薬はウサミン星人には効きませんし、何より……!」

ユダ「……」

菜々「ウサミン星人の体の謎は、奇跡という名の秘密のベールに覆われていますからねっ☆ 禁則事項ですっ、キャハっ☆……………」

菜々「な、なーんて……」

ユダ「…………」

ユダ「…………」









【こんな胡散臭い薬の真偽や効用なんか試している自分がもう馬鹿馬鹿しくなって、瓶ごと不燃ごみに投げ捨てたユダだった】



・・・・・
・・・

今日はここまで。また次回、続きます
いまリクエスト取っておきます
日常(?)系の話で、誰の話が見たい、誰との絡みが見たい等リクエストがあればどうぞ。安価です

↓1

スカウト成功組のアイドル皆で仲良くお茶会、皆で趣味や日常、南斗DE5MENの人たちについてや色々お喋りみたいな感じ
それを南斗DE5MENが隠しカメラで監視

成功組皆が多すぎるなら安価下で

>>131
了解です
その話は、次々作かそれ以降に書きたいと思います

また、流石に全員は無理なので、ある程度メンバーは絞ります
特にこのメンバーは欠かせない、入れて欲しい等要望があれば、自由に書いて下さい

ただ、安価形式で書くかもしれませんので、100%要望通りに行くかは分かりません。ご了承下さい


・・・
・・・・・
======
【★サウザーの場合】

~~後日~~
(7610プロダクション 会議室)




サウザー「【用量は、一人一回分で2、3滴】………ふぅん?」

サウザー「【無味無臭】か。なかなかのスグレモノだな」

サウザー「【超即効性】……ほほう?」

サウザー「【対象の視認は、相手の素顔であれば写真でもよし】……。素顔、ねえ…」

サウザー「つまり博士の言う通り、顔さえ見えなければ効果は無く、単なる滋養強壮剤で終わるという事か」

サウザー「まあ…………」キュッキュッ

サウザー「個人差によるだろう。とりあえず全部盛ってやるか」ドバー

サウザー「フフフ…! さあ、どうなるかな?」



ガチャ

サウザー「……!」

サウザー「おお、よく来た…!」



======
~~5分後~~



レイ「……で、今日は何の用だ?」

ユダ「また下らん用件であれば、すぐに引き上げるからな」

シン「また勧誘か? 最近ペースがはやいんじゃあないか?」

シュウ「先日、博士から既存のメンバーとの信頼向上を目指せと言われたばかりだろうに……」

サウザー『フハハハハ! まだ誰も何も言ってないのにその反抗的な物言い……』

サウザー『俺の心にチクチク刺さってるんだからな、貴様らッ…!』


レイ「…………」

レイ「というより……」

サウザー『ん?』

レイ「お前、なんだそのツラは…」

レイ「何故お前だけ仮面をつけているのだ?」

サウザー『分からんのか? ファッションだ、ファッション』

サウザー『現代の若者における世間に対しての恥じらいと怒りを如実に表現している様相が見て取れんのか?』

レイ「……分からんし、知りたくもない」

サウザー『まあ良い。では今日の議題を……』


ユダ「…………」

ユダ「待て、サウザー」

サウザー『ん?』

ユダ「貴様……、何だコレは……この…」

ユダ「中途半端な温度の茶は?」

ユダ「出すなら淹れ立てで出して欲しいものだ。ぬるくて風味が落ちているだろうが…」

サウザー『ほう? この聖帝が直々に淹れた茶が飲めん、と……』

サウザー『その適温も、舌の火傷に気を遣った聖帝のありがたい配慮というのが分からんのか?』

ユダ「返って迷惑だ。茶は熱いのに限るだろうが」

サウザー『フフフ……! カップの底に聖帝からのありがたいメッセージが書いてあるから、是非とも全部飲み干して欲しいんですけど?』

ユダ「(……)」


ユダ「………」バッ

バシャー


サウザー『!?』

サウザー『の、飲まずに中身を捨てた、だと……!?』

ユダ「何だこれは……【金運、難あり】…?」チラッ

サウザー『き、貴様ッ……!』

サウザー『橘が折角京都で厳選してくれたお土産の茶だぞ…!? ありがたく飲みなさいっ!』

ユダ「ん、そうだったのか? まあ、ぬるい時点で飲む気は失せたが…」

レイ「だが、それならば彼女に味を聞かれた際に困るな。一口でも飲んでおくか」

サウザー『そうだ! 一口と言わず全部、メッセージが見えるまで飲めッ!』

シュウ「お前からのメッセージは心底どうでもいいが、橘との会話のために飲んでおくか」

シン「そうだな…」

サウザー『貴様ら……ッ!』プルプル


シン「…………」

シン「……………」

シン「というか………」

サウザー『うるさい! いいからまずはソレで喉を潤しなさいッ!』バンッ!

シュウ「……」ズズズ

シン「……」チビッ

レイ「……」ゴクゴク

ユダ「ふん………」

サウザー『フフフ……! 全員、ちゃんと飲んだな? リラックスは出来たかな?』

サウザー『では会議を始めようか!』

シン「いや、待て。だから……………オイ!」

サウザー『んん?』


シン「………」

シン「シュウ」

シュウ「ん?」

シン「盲目のお前には分からんだろうが……」

シン「何故、シュウの席だけに、大量の……」

サウザー『………』

シュウ「私の席にだけ? 大量の?」

シュウ「……何だ?」

シン「大量の……………、五車星のプロマイドが散らばっているのだ?」

シン「まるで嫌にでも『視界に入れてください』と言わんばかりに……」

サウザー『…………』


シュウ「何だか知らんが……」

サウザー『…?』

シュウ「関係ないな」

シュウ「サウザー、話とは何だ? 下らん座興に付き合う程、我らも暇じゃあないのでな…」

サウザー『…………』

レイ「尤もだ。早くこの会議を終わらせてさっさと帰らせて貰おうか」

サウザー『………』

サウザー『フン……貴様らがあれこれ質問して来た癖に、何だその言いぐさは……?』


サウザー『…………』

シュウ「おい、聞いているのかサウザー…!」

サウザー『……………』

シン「まさか、またあの346の娘に対する、しょうも無い拉致勧誘の計画じゃあないだろうな?」

サウザー『………………』

サウザー『…………………』

サウザー『(…………あれっ?)』

サウザー『(あの薬…………んん?)』

サウザー『(おい……、超即効性の媚薬じゃあないのか?)』

サウザー『もうそろそろ、シュウ様のリビドーが五車星に向けて飽くなき暴走を始めてもいい頃なのに………)』

サウザー『………???』


レイ「346の娘………?」

レイ「…………ああ、渋谷凛か。そういえば最近見掛けないな」

シン「俺は見たぞ? サウザーがケンシロウとRinと十字陵で遊んでいた時に、事務所内で神谷奈緒と島村卯月と親しげに話していたな」

シュウ「彼女……、博士のヒューマノイドを使ったライブ以降、あの四人とやたら仲が良さそうじゃあないか?」

ユダ「アドレスを交換したとか言っていたな」

シュウ「ならばプライベートで交流とかしているのか?」

ユダ「知らん」

レイ「ほう? じゃあひょっとすると、あの四人を通じて俺達とコンタクトを図る機会が生まれるかもな」


シュウ「レイ……。お前まで何を言い出すのだ? 我々はあの娘に再三嫌がらせまがいの勧誘行為を働いてきたじゃあないか…」

シュウ「これ以上彼女を苦しめるのは流石に忍びない。私はもう絶対に関知しないからな」

シン「関知せずとも、当に見切りをつけられているだろう。丁度いいさ。俺達も、奴にそこまで執着する理由も義理も無いないからな」

ユダ「寧ろ、逆にあの四人が渋谷凛を通じて、346に靡いたりするかもしれんぞ?」

レイ「ふっ……まさか。自ら7610を志願したあの四人に限って……」






サウザー『…………ッ!!!』ガタッ!




ユダ「!!」

シュウ「お、おいどうしたサウザー……?」


サウザー『~~~~っ…!!』プルプル

シン「さ、サウザー…?」

レイ「遂に狂ったか? いや、元より同じか」

サウザー『し、シュウ様! き……、貴様ッ!!!』

シュウ「な、何だ?」

サウザー『貴様…………!!』プルプル


サウザー『貴様、目が…………』

サウザー『目が見えないだとッ!?』

シュウ「…………」

レイ「………」

シン「………」

シュウ「は、ハァ?」

ユダ「何を今更。周知の事実だろうに」

サウザー『も、盲目……!!』プルプル

サウザー『(この薬は対象の視認は写真でもOKだが、み、見えなければ意味がない……!)』

サウザー『盲点だった……………ッ』









【盲目の癖にそのハンデを微塵も感じさせないくらい、やたらアクティブなシュウなので、そんな設定をすっかり忘れていたサウザーだった】



・・・・・
・・・


・・・
・・・・・・
【★レイの場合】

~~某日~~
(レイの自宅)




レイ「【用量は、一人一回分で2、3滴】」

レイ「【無味無臭】」

レイ「【超即効性】」

レイ「【対象の視認は、相手の素顔であれば写真でもよし】

レイ「…………」


パキッ

グビグビグビ


レイ「ふう……」コトッ

レイ「確かに美味いな。漢方のように苦いと思ったが、市販の栄養ドリンクのような味だ」

レイ「本当にそんな魔法のような効果があるとは思えんが、そんな事はどうでもいい」


レイ「もうこの際、縋るのは北斗神拳だろうが薬事法に違反していそうなドラッグだろうが何でも良いッ!」

レイ「それだけ強力な滋養強壮強化があるのならばとにかく、俺のこの目を正常に戻してくれ!」

レイ「もう幻覚で誰かが悲しむ様子は居た堪れない……。先日、プロダクションのプールで会った本田未央だと思った少女も別人だった……!」

レイ「もう十分だっ! そろそろ俺も精神擦り減り限界が近い……!」

レイ「……」

レイ「一週間……一週間家の中で安静にしていれば、誰とも会わずに済む」

レイ「あの惚れ薬の効果はかなり疑わしいが、それでもあの博士の友人が扱う品だ。万が一、という事もある」

レイ「惚れさせたい相手も惚れたい相手も思い当たらんが……、念のためだ」


ピピピピピ~♪


レイ「……!」

レイ「……はい、もしもし?」スッ

『もしもし、レイさんですか?』

レイ「……泰葉か? どうした?」


泰葉『はい、お忙しい所すみません。あの、先日頼まれた用件ですが……』

レイ「用件? 俺が泰葉に頼んだ……?」

泰葉『はい。確かCM撮影でエキストラ役のキャストを探していたと思うんですけど、私の友人が何人か名乗り出てくれまして、もしそれで良ければ……明日にでも挨拶にと』

レイ「!」

レイ「あ、明日か………。どちらも都合が悪いんだ」

泰葉『そうですか。では、都合がつく日があれば教えて頂けますか?』

レイ「……約一週間後かな」

泰葉『い、一週間後ですか? 随分と仕事が立て込んでいるんですね』

レイ「すまない。今出先でな。帰ったらすぐ連絡するよ」

泰葉『分かりました。よろしくお願いします』

泰葉『あの……あと一つ良いですか?』

レイ「ん?」

泰葉『最近、何か辛そうだと皆さんが話していましたが……』

泰葉『その……、無理はしないで下さいね? 私も心配です』

レイ「ああ、勿論だ。ありがとう」

泰葉『はい……。では失礼します』


ブツッ

レイ「…………」


レイ「参ったな……」

レイ「自分の予定をあまり確認せずアレを飲んでしまったもんだから、色んな人との約束を反故にしてしまうかもしれん」

レイ「泰葉には申し訳ない事をした。しかし、これも今後の活動に支障を出さんために……」

ピピピピピ~♪


レイ「!」

レイ「はい、もしもし」スッ

『あっ、レイちゃまですの?』

レイ「……桃華か? 何だ?」

桃華『あら、何だとは心外ですわね。今日はお互いオフですから、自由ヶ丘あたりでショッピングでもと先週に約束していたのではなくて?』

レイ「……!!」

レイ「(し、しまった…! 確かにそんな約束をしていた……!)」


レイ「す、スマン。体の具合が頗る優れなくて、外に出歩けそうにないんだ」

桃華『そうなんですの? それは心配ですわ……』

レイ「あ、ああ……」

桃華『仕方ありませんわ。しっかり療養してくださいね?』

レイ「…………スマン」

桃華『良いですのよ。レイちゃまに何かあったら、わたくしも悲しいですもの』

桃華『その代わり、この埋め合わせは快復してからちゃんと取ってくださいましね? ふふっ♪』

レイ「ああ。覚えておくよ、今度必ずな」

桃華「ええ、わたくしも楽しみにしていますわ。では……」


ブツッ


レイ「…………」

レイ「ハァ……何という事だ。桃華との約束なら、本来は骨折していてもこなすのに……」




ピピピピピ~♪


レイ「!?」


レイ「も、もしもし…………」スッ


『あっ! もしもし、レイさんですかぁ?』

レイ「!」

レイ「あ、愛梨か? どうしたんだ?」

愛梨『今お時間大丈夫ですか~??』

レイ「う、うん……」

愛梨『今ですね、プロダクションの厨房でありすちゃんと一緒にケーキを作ってるんですっ♪』

愛梨『出来上がりまであとちょっとなんですけど、良ければレイさんも一緒に食べませんか??』

レイ「!!!!」

レイ「ケ、ケーキ……!? 愛梨の手作り、ハンドメイド!?」

レイ「(く……、食いたいッ! 食って存分に褒めちぎってやりたいが、だがっ……!!)」

レイ「(ぐ、ぐふぅっ!!)」プルプル

愛梨『レイさん~??』


レイ「す……!」

レイ「すまん……。実は昨日、虫歯の治療をしたばかりで、甘い物や冷たい物は控えろと言われていて……」

愛梨『ううん、それは大変ですね……』

愛梨『お大事にしてください。じゃあ、せめて雰囲気だけでも伝わるように、作ってる所の私の写真を送っておきますね♪』

レイ「が、画像……!」

愛梨『では、失礼します~』

ブツッ


レイ「……」

レイ「クソッ!!」ガンッ!

レイ「なんて間の悪い……! 何故だ、何故こうもタイミングが……!」

レイ「折角愛梨の送ってくれた画像すらも見ることが出来んとは……クソッ、ぐぐぐっ……!!」

レイ「くそ……、くそおおおっっ!!」ガンガンガン!


ピピピピピ~♪



レイ「はぁ、はぁ……」ピタッ

レイ「…………」スッ


レイ「も、もしもし……」

『あっ! もしもし、レイお兄ちゃん??』

レイ「!!」

レイ「か、薫……」

薫『えへへ、実はねぇ……』

薫『かおる、次のお仕事決まったよ!』

レイ「………?」

レイ「仕事……?」

薫『うん♪』

レイ「そうか……、どんな仕事だ?」

薫『それがね? あの社長が直々にかおるを指名してくれて……♪』

レイ「なっ!?」ガタッ!

レイ「さ、サウザーが!? ど、どんな仕事だ!?」


薫『えへへへー……♪』

レイ「…………!」

薫『ないしょ!』

薫『なんか、りんちゃんを勧誘するためのこま? とか言ってたけど、秘密にしてって言われたから、ヒミツ♪』

薫『まだ先のお仕事らしいから、かおるもまだ分からないの。分かったら連絡するよ!』

薫『じゃあねっ!』

ブツッ

ツーツーツー





レイ「」


ガンッ!

ガンガンガンガン!

レイ「ぬおおおおおおおおっ!!」ガンガン!

レイ「純粋無垢な薫が、あの馬鹿の手駒に利用されてしまう……!」

レイ「な、なんとかしなければ…!!」ピッピッ

ガチャ


レイ「もしもし! 薫か?」

『お掛けになった電話番号は、電波の届かないところにあるか、電源が入っていないため、掛かりません。番号をもう一度……』

レイ「~~~~っ!!」プルプル

レイ「く、くそっ! もう一度……!」ピッピッ

ガチャ

『お掛けになった電話番号は、電波の届かないところにあるか、電源が入っていないため、掛かりません。番号をもう一度……』

レイ「……!」プルプル


レイ「な、ならば誰か他の連中に電話して、なんとか薫を説得して危険から遠ざけて貰わねば……!」ピッピッ

レイ「…………」


『お掛けになった電話番号は、電波の届かないところにあるか、電源が入っていないため、掛かりません。番号をもう一度……』


『お掛けになった電話番号は、電波の届かないところにあるか、電源が入っていないため、掛かりません。番号をもう一度……』


『お掛けになった電話番号は、電波の届かないところにあるか、電源が入っていないため、掛かりません。番号をもう一度……』


『お掛けになった電話番号は、電波の届かないところにあるか、電源が入っていないため、掛かりません。番号をもう一度……』


『お掛けになった電話番号は、電波の届かないところにあるか、電源が入っていないため、掛かりません。番号をもう一度……』





レイ「…………っ!」プルプル


ガンガンガンガンガン!

レイ「ぐ、ぐううううっ!!」ガンガン!

レイ「ど、どうすればいい!! 何故俺はこんなにも無力なのだ……!!」

レイ「泰葉とは会えず、桃華の約束を破り、愛梨の親切心を無碍にして……」

レイ「薫はサウザーの馬鹿に浸食されてしまうッ!! それなのに何も出来んとは……!」

レイ「クッソおおおおおっ!!!」ガンガンガン!


ガンガンガンガンガンガン! バキィ!


レイ「はぁ、はーっ……!」



ピンポーン

レイ「…………」


ピンポーン


レイ「………………」



ピンポーン ピンポーン
ピンポーン ピンポーン
ピンポーン ピンポーン

ピンポーン ピンポーン
ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン
ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン
ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン
ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン


ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン 
ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン 
ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン 
ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン 
ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン 
ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン 
ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン 
ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン 
ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン 
ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン 
ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン 
ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン 
ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン 
ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン 
ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン 
ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン 
ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン 



 




ガチャ!



レイ「誰だァッ!! やかましいぞッ!!」バキィ!



















リハク「れ、レイ様……!?」











レイ「!!!!!!!」





リハク「隣からけたたましい物音が聞こえて何だと思えば、まさか隣人がレイ様だったとは……」

レイ「」



ガチャ

バタン!



リハク『ちょっ、レイ様!? 如何なされましたか? 顔色が頗る悪いご様子でしたが……』ドンドン!

レイ「や、やめろォォ!! 俺に近づくなッッ!!」

レイ「ぐ、ぐおおおおおおおおおおお!!!」

レイ「お、お、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!???」

レイ「ぐああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーっっ!!!!!」

レイ「ウアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!」

リハク『い、一体貴方に何が……』



・・・・・
・・・


・・・
・・・・・
======
~~一週間後~~
(7610プロダクション)



泰葉「あの、桃華さん?」

桃華「はい?」

泰葉「最近、レイさんの姿が見えないですね」

泰葉「出張って言ってましたが、出先が何処か知っていますか?」

愛梨「出張……?」

桃華「いえ、わたくしは何も。ただ一週間ほど前、体調を崩したと聞きましたが……」

愛梨「体調不良……確か虫歯になったとか本人が言ってたような……?」

泰葉「虫歯?」

桃華「……?」


ガチャ

「お、おはよう……」



桃華「! この声は……」クルッ

愛梨「レイさんですか? お久しぶりですっ」クルッ

泰葉「おはようございま…………」クルッ


桃華「っ!!!」

愛梨「!!!?」

泰葉「れ、レイさん!? どうしたんですか、その姿は……!!」

レイ「ああ…………何でもない。気にするな」

桃華「き、気にしないというのは無理な話ですわ! そんなにやつれ果てて、髪も真っ白に……!」

愛梨「な、何があったんですか……?」


レイ「いや、なに……」

レイ「虫歯が悪化して体調不良になって、そのまま出張に赴いたら、いよいよ無理が祟ってな……」

レイ「気付いたらこうなっていたんだ。体はもう至って健康だ」

愛梨「そ、そうなんですか……?」

泰葉「………」

桃華「…………」
















【媚薬の効果があったのかは定かではないが、突然沸いた邪念をトキに心霊台を突かれた時以上の根性で振り払ったレイ】

【見事に白髪に成り果て寿命を縮め、平静を取り繕うも、どうしても彼が心配な一部の女子は……】

【彼の生活スタイルを改善すべく、週一で家に出向いてくれるようになったとか】



【因みに、彼の目的であった幻視が回復したかは不明】


・・・・・
・・・


・・・
・・・・・
【★シンの場合】

~~某日~~
(346プロダクション 応接室)



シン「【用量は、一人一回分で2、3滴】」

シン「【無味無臭】」

シン「【超即効性】」

シン「【対象の視認は、相手の素顔であれば写真でもよし】

シン「…………」


ガチャ

シン「!」


ちひろ「お待たせして申し訳ありません」

シン「来たか……」

ちひろ「今日はどういったご用件でしょうか?」

シン「手短に話す。余計な詮索も無用だ」

シン「これだ。これを……」コトッ

ちひろ「この瓶は……?」

シン「栄養ドリンクだ」

シン「それを貴様の同僚のケンシロウに渡して欲しい」

シン「俺が奴に直接渡そうとすれば、恐らくは怪しまれるに違いない」

シン「だが誓おう! それは一切種も仕掛けもない、ごく普通の栄養ドリンクだ!」

ちひろ「へ、へえ……」


シン「貴様が普段やっているあくどい商売のように、何気なく奴に差し出すだけで構わんのだ」

ちひろ「はあ……お知り合いからの差し入れとして渡すことも可能ですが……」

ちひろ「ですが我が社としても安全面を考慮して、この商品と中身を確認させて頂く場合がありますが、それでも宜しいですか?」

シン「問題ない。奴に渡して、飲ませてくれさえすれば……」

ちひろ「……」

ちひろ「気を悪くされてしまうかもしれないんですが、これ毒の類じゃあないですよね?」

シン「質問の意味が分からんな。何故堂々と毒を持ち込む必要があるのだ?」

ちひろ「いえ、確かに。不躾な質問でした」


ちひろ「ではコレは、私が責任を持って預からせて頂きます」

ちひろ「他に何かありますか? 言伝とか……」

シン「!!」

シン「そ、そうだッ! 肝心な物を忘れるところだった!!」

シン「奴にそのドリンクを渡す際、これも添えて渡してくれ」スッ

シン「それだけだ。必ずセットで奴に渡せッ! いいな!?」


ガチャ

バタン!



ちひろ「ホントに短い話だった………まあ、良いですけど……」

ちひろ「これは、説明書? なになに、表紙には……『薬の飲み方と、薬を飲んだ後の注意』……?」

ちひろ「…………」ペラッ




http://i.imgur.com/LA0OAPw.jpg





ちひろ「」

ちひろ「せ、説明書!? 何故彼の写真オンリー……?」

ちひろ「ううん……」

ちひろ「しかし簡単に首を縦に振ってみたものの、やっぱりちょっと怪しいですねー……」

ちひろ「この瓶には何が書いてあるんでしょうか……」スッ

ちひろ「……」

ちひろ「…………」

ちひろ「………………」

ちひろ「………………ほう?」


・・・・・
・・・



・・・
・・・・・
======
~~3日後~~
(夕刻 シン邸)



シン「オイ、どういう事だ!!」

シン「本当に奴に渡して飲ませたんだろうなッ!?」

『お、お願いですから小さな声で喋って下さい。私はまだ会社にいるんですから……』

シン「……」イライラ

『勿論ドリンクも説明書も渡しましたし、飲んでいる所も、その後説明書を開いて目を通していた姿もしっかり確認しましたよ』

シン「!!」

シン「そ、それで……どうなった?」

『はぁ……彼は一言、美味しいとだけ』

『効果はあったようで、凄まじく活力が漲ると言っていましたよ。不眠不休で領収書の整理を手伝ってくれました』

シン「…………」

シン「…………何?」

『な、何って……、栄養ドリンクですよね?』

シン「ま、まあそうだが……」


『これ以上何かあれば、私を介さずに今後は直接本人に物申して下さい。ご友人であるなら、コンタクトは取ることが出来ますよね?』

シン「ま、まあそうだが……」

『では、失礼します』

プツッ

ツーツーツー


シン「…………」

シン「くそっ、あのアマ……!」

シン「やはり薬はただの偽物だったか? ……いや、あの博士が嬉々として渡してきたのだ、絶対に何か効果がある筈……!」

シン「やはり、この目で直接確かめに行く他無いな」


ガチャ


・・・・・
・・・


・・・
・・・・・
======
~~同時刻~~
(346プロダクション 事務室)



ピッ

ちひろ「はぁ……」

ちひろ「面白そうだから知人の鑑定研究所に薬物鑑定をお願いしたら……」

ちひろ「本当に単なる栄養ドリンクじゃないですか。全く、人に期待させておいて」

ちひろ「けどまあ、ユンケル以上に面白い成分が検出されたから、それを参考にすれば、既存の栄養ドリンクより遥かに効用があるものが作れるかも……」

ちひろ「ケンシロウさんも飲んで以降は滅茶苦茶元気になって、普段より流暢に喋るし、何か目に見えてオーラが違うような……」


ガチャ!

バァン!


ちひろ「!」ビクッ!

シン「おい千川! 奴は何処だ!?」

ちひろ「えっ……あれっ!?」


ちひろ「ちょ、ちょっと待って下さい! 貴方、先程は何処から電話していたんですか? 電話を切って1分も経っていない……」

シン「無論、自宅からに決まっているだろう。何がおかしい」

ちひろ「!?」

ちひろ「い、1分も経っていないんですよ!? 自宅って何処ですか!! このプロダクションの敷地内に潜んでいるんじゃあないでしょうね!?」

シン「そんな詮索は無用だ。いいから奴を……」

ちひろ「こ、答えてください! じゃないと人を呼びますよっ!」

シン「いいから早くしろッ! その寸胴の体を真っ二つに裂かれたいか!」

ちひろ「……!」

ちひろ「だ、誰か来てくださいっ!! 不法侵入者ですっ!」

シン「な、何を言っている!? 来客者に対して何だその態度は!!!」


ガシッ!


シン「!?」ガクン!












ケンシロウ「………………」ギリギリ











シン「あっ…………」











ボキボキボキッ
メコッボギャッバゴーン!
グオオオオォォ-----!!









【その後、346プロダクションではエナジードリンクという自社開発商品企画案が出されたらしい】

【一方シンは、エネルギッシュなケンシロウにボコボコにされ、潜んでいた346プロダクションの社宅から追い出された】



・・・・・
・・・



・・・
・・・・・
======
【★シュウの場合】

~~某日~~
(7610プロダクション 事務室)




シュウ「……ん?」ゴソゴソ

シュウ「この瓶は…………あの時の物か?」

シュウ「誰かが悪戯に忍び込ませたか……下らん。とにかく処分して……」


ガチャ


友紀「おはようございまーすっ☆」

亜季「お疲れ様であります!」

拓海「お疲れー……って、アンタ一人か?」

シュウ「!!」


亜季「うん? シュウ殿、その小瓶は何でありますか?」

拓海「栄養ドリンクか?」

シュウ「あっ、いやコレは……!」

友紀「でも、何か変じゃない? 何そのキャップ……」

シュウ「えっ?」

拓海「!!」

亜季「本当であります……。フタがハートの形をしていますね?」

シュウ「!?」

友紀「ねえ、ちょっと見せて見せてー♪」バッ

シュウ「あっ! 待て……!」ガタッ

友紀「…………」

友紀「ら……、ラブ〇ュース………………?」

亜季「」

シュウ「」

拓海「なんだそれ……? なあ、他に何が書いてあるんだ?」ヒョイ


拓海「惚れ薬、効用…………」

拓海「…………」ジロッ

シュウ「ち、違う……! 私は断じて…………」

拓海「おいアンタ……こんな怪しい物、どうする気だ?」

シュウ「お、おい誤解だ!! これは晶葉が……!」

亜季「晶葉殿が?」

友紀「!」

友紀「はっはーん……? 分かった、これ、アレでしょ?」ヒョイ

拓海「あっ、オイ! それどうするんだ?」

友紀「ふっふっふ……♪」

カチッ キュッキュッ


友紀「いっただっきまーす♪」

グビッ


シュウ「!?」

拓海「なっ!?」

亜季「おおお……」


友紀「ぷはーっ! 御馳走さまでしたっ!」

亜季「友紀殿は何でも美味しそうに飲みますなぁ、しかし」

シュウ「ば、馬鹿!! 何をやっているのだ!!」

拓海「お、オイオイ…。飲んで大丈夫なのか、ソレ?」

友紀「んー?」クルッ



友紀「…………ウッ!?」ビクッ!



亜季「!!」

拓海「!!」

友紀「う、うあああああああああっ!!」プルプル

シュウ「ゆ、友紀!?」

友紀「はーっ、はーーっ……!」ガクン!

友紀「あ、あああ…………!」

友紀「があああああああああああああーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!」バタバタ












友紀「…………なーんてね♪」ケロッ



シュウ「は?」

亜季「だ、大丈夫でありますか、友紀殿?」

友紀「ヘーキヘーキ♪ すっごい甘い香料の味がしたけど、まあ普通のドリンクってトコかな?」

シュウ「そ、それだけか?」

友紀「これ、アレでしょ? 修学旅行先の旅館とかで売ってる、中学生や高校生が興味本位で買っちゃう面白ドリンクじゃないの?」

拓海「あー……、確かに。言われてみればアタシも、街中の怪しい露店とかで似たようなの見たことあるわ」

拓海「超神水とか、東京味ドリンクとか……」

シュウ「…………そうなのか?」

友紀「キムチ風ラムネとかたこ焼き風ラムネとか、今みたいのだと、まんま商品名が惚れ薬とかってのもあったね! 清涼飲料水コーナーに売られてたよ」


亜季「へええ……。そんな奇天烈なドリンクがあるとは。一度どんなものか試しに飲んでみたいものですなぁ」

友紀「いやぁ、やめた方が良いんじゃあないかな。ああいうのはほとんどハズレって聞くし」

シュウ「…………」

拓海「で……、アンタはこれで何がしたかったんだ?」

シュウ「……サウザーに勝手に持たされたのだ。今処分しようとしていたから、手間が省けて丁度良かった」

友紀「でもビックリしたよ。ギャップというか、一番こういうのに無関係そうなシュウさんがこんなの持ってるんだもの」

亜季「晶葉殿の名前が出た時は少し危険を感じましたが、まあ無事で何よりでした」

拓海「まあいいや。さっさと飯に行こうぜ」

亜季「ああ、そうでした! 今から三人でご飯をと思っていたのですが……、シュウ殿もご一緒にどうですか?」

シュウ「いや、私は気にするな。三人で行ってきなさい」

友紀「むぅ。シュウさんが一緒だと奢ってくれると思ったのになー」

亜季「では、また後程。失礼するのであります」

拓海「じゃあな」


バタン


シュウ「…………」

シュウ「ハァ…」

シュウ「何だったのだ、一体…………」





【あらぬ疑惑をかけられそうになったが、何とか事なきを得たシュウ様】

【あの薬を飲んだ友紀は、とにかく普段以上に元気溌剌とした様子だったとか】

・・・・・・
・・・



・・・
・・・・・
======
~~??~~
(池袋晶葉の実験ラボ)




晶葉「これで5人、全員分だ」

「いやー! なかなかいい見世物でした!」ピッ

「全員分の行動をつぶさに監視出来るとか、なかなか凄い事やってるね! モチロン倫理的にっ!」

晶葉「……結局、アレの中身はただの滋養強壮剤だったのだろう?」

「あれ? 晶葉ちゃんは途中で気付いてたの?」


晶葉「最初はウサミン星人の体質に目を丸くしたが、偽物だと確信したのは社長君がシュウに盛った時だ」

晶葉「まあ……5人の結果を見ても明らかだったがな」

「うん、そーだよ? あれはあっちの国で販売されてるエナジードリンクを真似て、ちょーっとアレンジしたあたし謹製秘薬」

晶葉「私も被験体にするとは、油断ならんな」

「えへへっ、ごめんね?」

「でも一人、面白い反応の人が居たねぇ♪ 部屋で暴れまわって血を吐きだした時は、流石にちょっと焦ったなー」

晶葉「見事な偽薬効果だったな。まあ、彼はあの時かなり病んでたから……」

「思い込みって怖いねえ」

晶葉「彼等のフィジカルなら問題ないと思うが、部屋で仰向けに倒れて、湧き上がる感情を抑え込もうとするあまり痙攣しだした時は思わず目を離してしまったよ」

晶葉「思い込みって怖いな」


「えっと、飲んだ人は……」

晶葉「安部菜々、シュウ、レイ、ケンシロウ、姫川友紀だ」

「ふむふむ、詳しい話は別個でインタビューしてみようかなっ?」

「でも、ホントいいね! この環境!」

晶葉「ん?」

「晶葉ちゃんは今までこんな自由な環境で研究してたの?」

晶葉「当然、会社の運営に貢献するような成果も出しているけどね」


晶葉「私に目を掛けてくれたのは非常に感謝しているし、惜しげもなく投資してくれる。実験に耐えうる強度の人材も豊富だ」

晶葉「最初の実験に艦上戦闘機購入並みの予算を組んでくれた時は、正直怪しんだが……」

晶葉「それでも、本当に楽しい輩だよ。私ものびのびと研究に没頭出来る」

「ふーん……」

「ま、でも私はちょっとアレかな。色々やることがあるし」

晶葉「?」

晶葉「何だ。君も入社希望かと思ったのに……」

「あれ、ちょっと期待しちゃった?」

晶葉「君が居れば、もっと実験も面白くなるのにね」

「ふっふっふっ♪ そう言ってくれると嬉しいなー」

「今度いつか、本物の媚薬でも手土産に持って帰ってくるから、その時はまた一緒に見学させてね?」


ガチャ

晶葉「うん? 誰だ……?」





シン「はーっ、はーっ……!」





「!」

晶葉「お、おう。シンか……どうした? そんな痣だらけで……」

シン「博士ッ………!」

シン「本物の惚れ薬は何処だ!? あるんだろう!?」ガシッ!

晶葉「な、なに?」


シン「勿体ぶらずに出せっ! その知人とやらに連絡してより効果的で中毒性の高い物を取り寄せろ!!!!」ブンブン!

晶葉「」ガクンガクン

晶葉「や、やめてくれぇぇ…………目が回るっ……!」グワングワン

晶葉「ち……、知人なら、今私のすぐ隣に…………」スッ



……
…………




晶葉「あ……、アレ!? いない!?」

シン「誰もいないだろう!! はぐらかすんじゃあない!!」ブンブン!

晶葉「…!!」

晶葉「(に、逃げ足が速いな、彼女……)」

シン「無理ならお前が何か作ってくれ!! 洗脳効果のあるマシーンでも催眠波を出せるマシーンんでも!!!」

シン「お願いだ!! 俺に出来る事なら何でもするから!! 頼む晶葉ァァッ!!!」ブンブンブン!

晶葉「」ガクンガクン











【激しく絡まれている様子だったので、主人の危険を察知したヒューマノイド型メイドに良いボディブローを貰い崩れ落ちるシン】

【それを尻目に、暫くはそういう趣向から身を引こうと思った晶葉だった】



【その6:モバマスSSっぽいスキンシップ大作戦!】

~~終わり~~

以上です。ありがとうございました。
次回の更新日は未定ですが、本当にかなり間が開くと思います。
次回は、社員のような人物が一人だけ増える予定です。
先日頂いたリクエストは次回以降執筆します。また要望通り、勧誘編は書かないことにします

またこのシリーズをお見かけしたら、お付き合いいただければ幸いです。
では

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年11月07日 (土) 21:12:55   ID: 419yTLaG

いつも楽しんでますo(`ω´ )o!!!!
僕はシュウ様とアイドルの絡みがもっと見たいですo(`ω´ )o!!!、
ぜひぜひおねがいします(*^◯^*)

2 :  ドスマッカォ   2016年09月10日 (土) 01:00:41   ID: 9zC5EpNF

レイがひたすら凄まじかったねww凄い精神力だ・・・

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