妹「大好きだよ、お姉ちゃん」 (125)

※百合エロ注意

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妹「す、好きです! 付き合ってください!」




ある日、妹の買い物に付き合って二人でお出かけをした時のこと。
適当なベンチに腰かけてお喋りをしていたら、妹に告白された。
妹の好意には前から薄々気付いていたし、別に悪い気はしていなかった。
けど、こうやって想いを伝えてくることは予想外だった。
だって私たちは女の子同士だし、何より姉妹。
これらの壁を飛び越えて告白されるなんて、思ってもいなかった。
そして私は、その妹の想いを無碍にはできなくて。




姉「……一日、考えさせて」




私は、逃げてしまった。

―――――――――――――――――――――――




妹から向けられる好意に気が付いたのは、一年くらい前からだったと思う。
その時私の家では、ちょっとした騒動があった。
それは、両親の離婚騒動。
お母さんが、お父さんが浮気をしているんじゃないかと疑い始めたのが騒動の発端だった。
最近構ってくれないとか、冷たくなったとか、お母さんはその時そう私に相談してきた。
でも私はお父さんが浮気するなんて考えられなかったし、女の勘……? でしてないと思った。
でもお母さんは私の言葉を信じられず、色々と調べてたみたい。

で、最終的にお母さんがお父さんに直接言って、お父さんはしてないって言って。
それでもお母さんは信じられなくて。
それで、大喧嘩が始まった。
本当に、衝撃だった。
お父さんとお母さんが喧嘩しているところを見るのは、私も妹も初めてだったから。

その時妹は私の隣で、目の前で繰り広げられている大喧嘩を呆然と見ていた。
私が学校から帰ってきたらもう喧嘩は始まっていたので、私より先に帰ってた妹はきっと最初から見ていたんだと思う。
妹は声も出さず、表情も変えずに涙を流してて。
その妹の様子を見て、本気でヤバイと思った。
このままだと妹が壊れちゃうかもしれないって。
そう思ったら、なんだか身体の内から熱いものが込み上げてきて、それが怒りから来るものだとわかった瞬間。




姉「二人が仲良くしないなら、妹連れて出てくからっ!!」




大声で罵り合う両親に向かってクッションを投げつけながら叫んで、妹の手を掴んで家を出た。
妹はびっくりしたような顔をしてたけど、黙って付いてきてくれた。

幸いにも学校から帰ってきたばかりだったから、お財布もケータイも持っていた。
バイトしてるからお金も多少はあった。
ずしずし歩きながらケータイで宿泊施設の料金を調べて、数日は困らないなって考えた。

―――――――――――――――――――――――




妹「……これから、どうするの?」




家を出てから一言も喋らなかった妹が、しばらくして不安そうな声で聞いてきた。




姉「……」




さすがにずっと家出ってわけにはいかない。
このあとお母さんたちがどうするのかわからないし、どうあれお母さんたちの決定に私たちは従わなきゃいけない。
そう思うと、本当に頭の中がお母さんたちに対する怒りしかなかった。

妹「お姉ちゃん……?」

姉「……せっかく家出したんだもん、楽しんじゃおっか」

妹「え」

姉「だいじょーぶ! お金はあるし! ほら、行くよ!」

妹「えええ!?」




そして、妹をあちこちに引っ張り回して、無理やり笑顔作って。
妹も、しょうがないなあって感じで呆れてた。
でも、だんだんお互いに自然に笑い合えるようになって。
もうどうにでもなれーって感じで、ハイになってた。

そんな感じで騒いでたら暗くなってきて、安いホテルの部屋を借りて。
一緒のベッドに潜り込んだ。




妹「楽しかったね」

姉「でしょ? 今だけだよ、こんなことできるの」

妹「ふふ、なんか、わくわくする」

姉「ね」




笑い合う。
よかった、妹が笑ってくれて。




妹「でも……どうなっちゃうのかな、これから」

姉「……妹」

妹「あっ、えと、もう大丈夫。 お姉ちゃん、心配してくれてたんだよね」

姉「うん……」

妹「……ありがとう、お姉ちゃん。 でも、もう平気」

姉「そっか……」




妹の目はしっかりしてて、連れ出した時みたいに不安定に揺れてはいなかった。
だから、妹を連れ回していた時にいろいろ考えていたことを話した。

姉「もし離婚になったら……私と妹、離ればなれになっちゃうかもね」

妹「え」

姉「ほら、テレビとかでよくあるじゃん。 子供が二人だったら、一人ずつ引き取っていくとかって」

妹「……そんなの、やだ」

姉「ん。 私も嫌だけど……お母さんたちがどう決めるかわからないし」

妹「……っ」




無言で妹が抱きついてくる。
私も妹を抱きしめ返して、妹の頭を撫でた。




姉「……だから、明日はずっと一緒にいよう。 明後日、帰ろう。 そしたら……もう、会えなくなるかもしれないから」

妹「っ……ぅぅっ……」




私の胸で嗚咽を漏らす、妹。
辛かった。
いつもニコニコしてた妹の泣き顔を、短期間でこんなに見ることになるなんて。




姉「……今は、もう寝よう。 楽しいことだけ考えて」

妹「ぐすっ……えぐっ……」




妹の嗚咽が収まるまで時間はかかったけど。
嗚咽が収まって完全に妹が眠るまで、私はずっと妹の頭を撫でていた。

―――――――――――――――――――――――




その翌日。
妹を連れて遊びに行こうと思ってたけど、妹がどこにも行きたくないと言って、ずっと私にくっついてる。
何を言っても聞かないし、むすっとした顔で私にくっついたまんまだし、こんな妹も可愛いっちゃ可愛いんだけど……。




妹「……わたし、絶対にお姉ちゃんと離ればなれなんてやだから」

姉「私だってやだよ。 でもね、お母さんたちが決めちゃったら……」

妹「そんなの知らない。 お父さんにもお母さんにもついてかない。 わたしはお姉ちゃんについてく」




……可愛いなあ。
場違いかもしれないけど、そう思った。




姉「わかった。 じゃあ、明日お母さんたちにそう言おう」

妹「うん……」

姉「だから、遊びに行こう?」

妹「……ね、どうしてそんなに遊びに行きたいの? お姉ちゃんは平気なの?」

姉「平気なわけないでしょ。 でも、くよくよしてたって明日は来るの。 それなら、ぱーっと遊んですっきりしてから明日に臨もうよ」

妹「……わたしは、こうやってるだけでもいいんだけど」

姉「私は妹と一緒にあちこち行きたいけどなあ。 今まで一緒にお出かけしたりってあんま無かったし」

妹「うー……わかった、行く」

姉「よしよし! じゃあ行こうすぐに行こう!」

―――――――――――――――――――――――




それで、目一杯遊んで、日が暮れてホテルに戻った時。




「姉さん、妹さんですね」

姉「え?」




ホテルのロビーに入ると、ソファに座っていた二人の男の人が立ち上がって、私たちに話しかけてきた。




「私、こういう者です」

姉「え……」




男の人が見せてきたのは、ドラマとかでしか見たことがない、警察手帳だった。

姉「……」

妹「お、おねえちゃ……」




訳がわからなかったけど、反射的に妹の前に立った。




警察「君たちのご両親から捜索願が出ているんだ。 連れの者がご両親に連絡しているから、これから署まで来てくれるかい?」

妹「お姉ちゃん……」

姉「……明日家に帰るつもりだったんです。 それまで待ってもらえませんか」

警察「申し訳ないけど、それはできないんだ」

姉「……わかりました。 妹、いい?」

妹「うん……」




私の服の裾をぎゅっと握って、妹が俯いた。
警察の人に促されて、私と妹がパトカーの後部座席に並んで座った。
程なくして、パトカーが動き始める。

警察「ご両親はとても心配なさっていたよ」

姉「……そうですか」

妹「……」

警察「あんまり、親を心配させてはいけないよ?」




親切心から言ってるんだって、わかってる。
でも、カチンときた。




姉「娘二人の目の前で大喧嘩するようなヤツに心配されたところで、なんとも思いません」




警察の人が、ギョっとしたような顔をした。
自分でも、こんな冷たい声が出せるんだってびっくりした。




姉「フリンしたとかしてないとか、目の前で大喧嘩されるんですよ? そんな家にいられますか? この子なんてもう、死んだような顔をしていたんですよ?」

妹「お、お姉ちゃんっ」

姉「ただ、こうして警察に迷惑をかけてしまうことになってしまったのは申し訳ないです。 すみません」

警察「……いや、これが仕事だからね。 こちらこそ申し訳ない、軽率だった」

姉「いえ……すみません、当たってしまって」




それきり警察の人は話しかけてこなかったし、私も黙ってた。
ただ、妹が不安そうに私を見上げていた。

―――――――――――――――――――――――




そうして警察署について、応接間っぽいところで待たされて。
しばらくして、お父さんとお母さんが入ってきた。




母「ああっ……! 姉、妹……よかったっ……!」




私たちを確認したお母さんは、泣いていた。
けど、私は無表情だったし、妹は不安げに私を見ているだけだった。

姉「で、あの後どうなったの」




さっきの警察の人に対して出した声と同じくらい……いや、それ以上に冷たい声が出たと思う。
お父さんもお母さんも、すごくびっくりしていた。




母「……姉と妹が出ていっちゃったあとね、ちゃんと話し合ったの」




か細い声で、お母さんが話し始めた。
たぶん、私が本気で怒っていることに気が付いたんだと思う。

母「そしたら……私の勘違いだったってわかったの」

姉「は?」

妹「えっ?」

父「……もうすぐ結婚記念日だろ? そのための準備で忙しかったのと、それが母さんにバレないように過ごしてたんだ……よそよそし過ぎて逆に怪しかったんだな」

姉「……」

妹「……」




それを聞いて私と妹、ぼーぜん。
私たちを送ってくれた警察の人もぼーぜん。




母「私たち、これからも仲良しだから。 だから帰ってきて、ね?」

姉「……」

妹「……」




妹と顔を見合わせる。
そのアイコンタクトには色んな思いが行き来してた。
私たちの涙はなんだったのとか、決心はなんだったのとか。
そうしてると、怒りよりも涙がこみ上げてきて。
私と妹で、抱き合って静かに泣いた。

家に帰るために警察署を出るとき、例の警察の人が敬礼をしながら、『これから、頑張ってください』と苦笑いで言ってくれた。
私も妹も、苦笑いでお礼を言った。

―――――――――――――――――――――――




その時からだったと思う。
妹の私を見る目が変わり始めたのは。

―――――――――――――――――――――――




姉「……はあ」




そして、その約束の日。
学校が終わって家に帰れば、否が応でも妹と会う。
その時、私は……。




姉「どうしよう……」




机の上で頭を抱える。
昨日は考えさせてとは言ったものの、あの時からずっと頭の中ではどう断ろうかと考えている。
だって私たちは姉妹だし、やっぱり妹は妹だし。
でも、妹を傷つけたくない。
これまで通り、仲良くいたい。
けど、断ったらどうなるのだろう。
やっぱり、どこかぎこちない関係になってしまうのだろうか。

姉「うううう……」

友「おお……? 姉が珍しく悩んでる……」




そんな関係は嫌だ。
でも、仮に妹と付き合ったとしても、この中途半端な気持ちだと妹も嫌がるに決まってる。
だから、断るしかないんだけど……。




姉「ああああ……!」

友「ど、どうしたの、姉?」

姉「友ちゃん……! 私、いったいどうしたら……!」

友「とりあえず落ち着いて、ね? 話は聞くから」

姉「う、うん……あのね……」

……待てよ。
妹から告白されて悩んでるなんて、万人に言えることじゃなくない?





友「姉?」

姉「あ、あー、えーっと、その……私ね? 告白されちゃって、その……」

友「マジで!? 誰に!?」

姉「それは秘密で」

友「チッ」

姉「それで、どうしようかなーって……」

友「ん? 姉はその人のこと、好きなの?」

姉「まあ、好きだけど……そういう好きじゃないっていうか」

友「じゃあ断ればいいんじゃないの?」

姉「でも、断ったら断ったで仲がギクシャクするのも嫌だし……」

友「ふーん……なるほどね。 そりゃ難しい」

姉「だよね……」

―――――――――――――――――――――――




姉「うう……」




そんなこんなで。
うだうだと悩んでたら学校が終わって。
帰りにうだうだと悩みながら物凄く遠回りをして。
暗くなってきたからいい加減帰らなきゃいけなくなって。
ようやく私は家への道を歩いているのだった。

姉「……あ」




家の前に、人影が。
忙しなくキョロキョロと周囲を見回している。
妹だ。
あのちっこいシルエットは、妹に間違いない。
私を待ってるんだ。
私の答えを待ってるんだ。
気後れして立ち尽くしていると、妹のシルエットが私に気が付いた。




妹「お姉ちゃんっ!」

姉「わっ」




妹が駆け寄ってきて、私に抱きついた。
抱き留めた妹の体は、冷えきっていた。
きっと妹は、長い時間外で待っていたんだ。
もう冬が近くて、肌寒いくらいの気温なのに。

妹「ごめんなさい、お姉ちゃん……」

姉「え?」




私の胸の中でふるふると震えながら、妹が言った。




妹「わたし、あんなこと言ってお姉ちゃんを困らせて……ごめんなさい、ごめんなさい……っ」

姉「妹……」




思わず、抱きしめた。
寒さからか泣いているからか、妹の体は震えている。




妹「ごめ、なさ……はあ、はあっ……」

姉「……妹?」

妹「はあっ、はあっ……う……」




妹の様子がおかしい。
顔を見ると、暗くてよく見えないが、ほのかに赤くなっている気がする。

姉「……っ!?」




おでこに手を当ててみると、物凄く熱かった。




姉「妹っ、中に入るよ! ほら!」

妹「ん……はあっ、はぁっ……」




妹をおぶって、急いで家の中に入った。

―――――――――――――――――――――――




母「ただいま。 メール見たわ、妹が熱出したんだって?」

姉「お母さん……」

母「どれ……」

妹「はあっ、はあっ……」




お母さんが、妹のおでこに手を当てた。




母「うん……きっと風邪ね。 季節の変わり目だし」

姉「……」

母「ほら、姉は部屋に戻りなさい。 風邪が感染るわよ」

姉「でも……」

母「心配なのはわかるわ。 でも、妹があなたに風邪を感染してしまったって知ったら、どう感じると思う?」

姉「……」

母「ね? 大丈夫よ、夕飯つくったら私が看てるから」

姉「……ううん、今日は私がつくるよ。 お母さんは看てて」

母「そう? じゃ、お願い」

姉「うん」

―――――――――――――――――――――――




その後、数時間で妹の症状が治るはずもなく。
翌日、妹は学校を休んだ。
けれどお母さんもお父さんも仕事を休むわけにはいかず、妹は一人で家で寝ている。
もちろん私も学校を休むわけにはいかないので、こうして学校に来ているけど……。




先生「であるからして、ここはこの公式に当てはめると……」

姉「……」




妹は大丈夫かな。
ご飯はちゃんと食べられてるかな。
水分はちゃんととってるかな。
寂しがってないかな。




先生「おっと、時間か。 今日はこれまで」




先生の一言で、ガタガタとみんなが席を立っていく。

友「あり? 姉、行かんの? お昼の時間よ」

姉「……」

友「おーい、姉ー?」

姉「……」ガタッ

友「うおっ!?」




やっぱり、気になる。
妹を一人にはできない。




友「お、おお!? 姉ー、どこ行くのー!?」




ごめん、友ちゃん。
私は家まで、ひたすら走った。

―――――――――――――――――――――――




姉「はあっ、はあっ……」




ダッシュで家に着いて、階段を駆け上がり、妹の部屋の前まで来た。
妹は寝てるのかな、起きてるかな。




姉「……妹~?」コンコン




ドアをノックしてみる。
反応はなかった。

姉「開けるよ~……?」




ドアを開けて中を覗くと、妹はベッドで眠っていた。
その表情は苦しそうだった。




妹「ん……」




ベッドのふちに腰掛けて、汗で濡れた妹の頬を撫でた。




妹「……おねえちゃん?」

姉「あ……ごめん、起こしちゃったね」

妹「ううん、平気……。 お姉ちゃん、学校は?」

姉「ん、あ……まあ、ちょっと……」

妹「……サボりはよくないよ」

姉「うう、ごめん。 でも、妹が心配だったから……」

妹「わたしは大丈夫だよ? ただの風邪だし」

姉「そうなんだけど……」

……あれ。
そういえば、どうして私はこんなに心配なんだろ。
今まで妹が風邪をひいたときは何度かあったし、その都度心配ではあった。
けど、学校を飛び出してまでっていうのは、今回が初めてだった。




妹「お姉ちゃん? どうしたの?」

姉「……」




昨日、妹を外で待たせてしまったことに責任を感じてるから?
違う気がする。
しっくりこない。




妹「気分悪いの? 大丈夫?」




心配そうな目で、妹が私の顔を覗きこんできた。




姉「……いも、うと……」




至近距離で見る、熱で上気した妹の頬と、かすかに潤んだ瞳。
ドキリとした。

妹「ん……あれ、ちょっと熱くない?」

姉「ひゃっ」

妹「わっ」




ただおでこに触れられただけなのに、熱があるかどうかを確かめようとしてくれただけなのに、反射的に妹の手を払いのけてしまった。




妹「ご、ごめんなさい」

姉「あ、いや、その」




おかしい。
どうしてこんなにドキドキするんだろう。
まともに妹の顔を見ることができない。。

妹「……」

姉「あ……」




私に手を払いのけられたせいか、妹がしょんぼりしてしまった。




姉「ごめんね、違うの。 ちょっとびっくりしちゃって……」

妹「……ううん、いいよ」




妹が布団を頭まで被ってしまった。




姉「……」




やっぱり変だ。
こんなのいつもの私じゃない。
どうしてこんなに妹を意識してるの。
どうして妹の顔をまともに見られなかったの。
どうしてこんなにドキドキするの。

妹「……お姉ちゃん」

姉「ん?」




布団の中から、呼びかけられた。
それだけで、胸が高鳴る。




妹「わたしは大丈夫だから、学校戻りなよ」

姉「え……」

妹「やっぱりサボっちゃだめだし、感染っちゃうから」




こんなときにも、妹は私を気にかけてくれる。
熱で辛いはずなのに。
申し訳なさと、気にかけてくれたという嬉しさで、私はいっぱいになった。

姉「……ううん、ここにいる」

妹「え」

姉「心配だもん。 妹も、一人でいるよりはいいでしょ?」

妹「わたし、もう子どもじゃないし」

姉「そっか……じゃあ」

妹「え、わっわっ」




もぞもぞと、妹の布団に潜り込んで。




姉「えへへ」ギュウッ

妹「わぷっ」




熱で火照っている妹の体を抱きしめた。

妹「お、お、おね、ちゃ……?」

姉「私が一緒にいたいから、って言ったらどうする?」

妹「え」

姉「ふふっ、ぎゅーっ」

妹「むぐっ、むぐぐっ」




妹の頭の後ろに手を回して、思いっきり抱きしめる。




妹「お、お姉ちゃん……」

姉「うん?」

妹「……すっごい、ドキドキしてるね」

姉「……うん」

妹「ね、お姉ちゃん」

姉「うん」

妹「どうして、一緒にいたいって思うの?」




そう言いながら私を見上げる妹の目には、期待がこもっているような気がした。

姉「……私ね、昨日まで悩んでたことがあるの」

妹「うん」

姉「でもね……今日になって、解決しちゃったんだ」

妹「どんな悩みだったの?」

姉「教えてほしい?」

妹「うん」

姉「うん、いいよ。 もう解決したことだし」

姉「……あのね、私、告白されたんだ」

妹「……そうなんだ」

姉「気持ちは嬉しかった。 でも、OKすることはできなくて……」

姉「それでも、勇気を出して告白してくれたその人の気持ちを無碍にはしたくなくて……その時に答えられなかったの」

姉「私、最低だよね。 だって逃げたんだもん。 その人を傷つけたくないからって、その人と仲良しのままでいたいからって」

妹「お姉ちゃん……」

姉「でね、ずっと考えてたの。 どうやったらその人を傷つけずに断れるかな、って」

姉「でも、だめだった。 何にも思いつかなかった」

姉「それで、ずっと悩んで、帰り道も無駄に遠回りしながら考えてたんだけど……」

姉「やっぱり何も思いつかなくて。 暗くなったから帰ろうと思って家の前まで行ったらね?」

姉「告白してくれた人がね、待ってたの。 てっきり、私の答えを待ってるのかと思ってたけど……」

姉「違ったの。 その人は私が悩んでることに気付いて、悩ませてごめんって、迷惑かけてごめんって謝ってきたの」

姉「わかる? もう冬が近くて、昨日だってすっごく寒かったんだよ? なのに、その人はきっと何時間もそこで、ずっと私を待ってた」

姉「ふふっ、バカだよね。 風邪ひくかもしれないのにさ。 いつ帰ってくるかもわからない人のことを、寒い中ずっと待ってたんだもん」

妹「……」

姉「でもね、バカだなあって思ったけど……」

姉「……同時に、すっごくドキドキしたの。 この人はここまで私のことを想ってくれてるんだって」

姉「その後、どうなったと思う? ふふ、その人、熱出して倒れちゃったんだよ?」

姉「それでさ……今朝学校に行っても、授業に行っても、その人のことばっかり考えちゃって、なんにも手がつかなくて。 こうやって帰ってきちゃったわけ」

姉「おかしいよね。 前まで、何ともなかったはずなのに。 急にその人のこと、意識しちゃって。 もう、頭の中がいっぱいになるの」

姉「そして……こうやって、ぴったりくっついてるだけで、壊れちゃいそうなくらいドキドキするの」

妹「それって……ん」




何か言おうとした妹の口に、人差し指を当てて制した。

姉「好きだよ、妹」

妹「おねえ、ちゃん……」

姉「うん、好き。 大好き」




噛み締めるように、自分の気持ちを言葉にして反芻する。

妹「わ、わかったから、言い過ぎだよ」

姉「妹は? 私のこと、好き?」

妹「……好き」

姉「大好き?」

妹「……大好き」

姉「キスしていい?」

妹「キスして……えっ!? えっ、待っ、待っ……!!」

姉「ダメ、我慢できない。 ね、ちゅーしよ?」

妹「わ、わ、わ、わっわっわっ」

姉「ね、いいって言って。 無理やりが初めてって嫌だから」

妹「ま、待って、心の準備が……そ、それに、わたし、風邪……」

姉「はやく、はやく」

妹「う、うううう…………ん」




きゅっと目を閉じて、妹が唇を差し出した。

姉「ん……」

妹「んむ……」




そっと、唇を触れ合わせた。
妹の唇はすごく柔らかくて、とろけそうだった。





姉「ん、は……妹……」

妹「お姉ちゃん……ん、ん……」




一回だけのつもりだったのに、何度も何度もキスをしてしまう。

姉「好き、好き……ん……」

妹「やぁ……んむっ、おねえひゃ……」




妹に覆い被さるようにして、ひたすらキスに没頭する。
止められない。
妹が風邪をひいて辛いかもしれないことは頭ではわかってるはずなのに、止まらない。




妹「んはっ、はぁっ、お、お姉ちゃん、ちょっと待って……」

姉「はぁっ……」

妹「はぁっ、はぁっ……」

姉「あ……ご、ごめんね、大丈夫?」

妹「うん、平気……」

姉「ごめんね、私、気持ちよくて、止まんなくて……」

妹「大丈夫だよ、わたしも……嬉しかったし、気持ちよかったし」

姉「……ね、妹」

妹「なに?」

姉「もう一回してもいい?」

妹「だ、だめ、もうだめ。 わっ、だっ、だからだめだってばっ」

姉「むぅ……あ、妹、水飲む?」

妹「え? う、うん、ちょっと喉が乾いたかも」

姉「そっか、じゃあ……」




枕元に置いてあった、水の入ったペットボトルを手に取る。
キャップを開け、口をつけた。




妹「えっ!? お姉ちゃんが飲んじゃうの!?」

姉「ん」

妹「え? え? え?」

姉「ん……」

妹「ん、むっ……!? んっ、んくっ、んくっ……ぷはっ」

姉「ふふっ……おかわり、いっぱいあるよ?」

妹「……もっと」

姉「いいよ。 これは妹に水分をとらせるためにやってるんだから」

妹「うん……」

―――――――――――――――――――――――




母「うん……熱はもう無いみたいね」

妹「うん」

母「どうする? 学校行けそう?」

妹「平気。 今日は行くよ」




翌日。
妹の風邪はすっかり治ったみたい。




姉「ふあぁぁ……ねむ」

妹「……自業自得だからね」

姉「むう……」




昨夜、お母さんとお父さんが寝静まった後にこっそり妹の部屋に行って、ひたすらイチャイチャしていた。
妹も嫌がることなく応じてくれたので、つい熱中してしまって。
キスしたりしているうちに外が明るくなってきたことに気が付いて、慌てて部屋に戻って寝たんだけど……。

姉「おやすみなさあい……」

妹「寝~~る~~な~~!!」

姉「ううう……」

妹「一緒に学校行くんでしょ! 遅刻するよ!」

姉「……あ、そうだった」

―――――――――――――――――――――――




そんなこんなで。
妹と一緒に歩く学校への道。
……とはいえ、通ってる学校が違うから、途中で別れることになるんだけど。




姉「ね、妹」

妹「なに? お姉ちゃん」

姉「手とか、繋いでみる?」

妹「えっ!?」

姉「ほら」




ぎゅっと妹の手を握ってみた。




妹「っ!?////」

姉「ほら……恋人っぽくない?」

妹「う、うん……////」




妹が私から顔をそらしながら、握った手を一度緩めて、指を絡ませてきた。




姉「あ……////」

妹「こ、こうすると、もっと恋人っぽくなるよね……?////」




顔を真っ赤にしてはにかむ妹を見て、私の心臓が痛いくらいにドキドキし始めた。

妹「……////」

姉「……////」




すごく恥ずかしくて、お互いに顔を逸らしたまま。
でも、手はしっかりと握ったまま、私たちは分かれ道まで歩いた。




姉「……えと、ここでお別れだよね」

妹「う、うん」

姉「……」

妹「……」




お別れなのはわかってるんだけど。
でも、私たちは手が離せなくて。




姉「……妹」

妹「な、なに?」

姉「手、離してくれない?」

妹「お姉ちゃんこそ離してよ」

姉「妹から離してよ」

妹「やだ。 お姉ちゃんから」

姉「私だってやだ。 妹から離して」

妹「……」

姉「……わかった。 じゃあ、せーので離すよ。 いい?」

妹「うん」

姉「じゃあ行くよ。 せーの!」

妹「……」

姉「……」




私たちの手は、握られたままで。

姉「……ねえ、妹」

妹「うん」

姉「離そうって言ったよね?」

妹「お姉ちゃんこそ、自分で言ったくせに」

姉「……」

妹「……」

姉「……離したくない」

妹「……うん」




せめて、学校が同じなら。
もう少し長く一緒にいられるのに。




姉「でも、家でまた会えるもんね」

妹「……そだね」

姉「じゃあ、今だけ……離そっか」

妹「……うん」




そっと、手をほどく。
温かかった手が、すごく冷たくなった。




姉「……また家で、ね」

妹「うん」




小さく手を振り合って、私たちは別れた。

―――――――――――――――――――――――




友「おはよう、姉」

姉「おはよ、友ちゃん」

友「昨日はどしたん? ほら、プリントはもらっといたけど」

姉「ありがと。 ちょっとね」

友「ふぅん? まあいいけどさ。 ただ、昨日の講義、出席とってたよ」

姉「えっ!? あっ、そういえばそろそろ出席とりそうって話をしたような……」

友「一回くらいなら許してくれるんじゃない? 姉だし」

姉「だといいけど……」

友「あ、あとこれ昨日のノート。 あんまり板書は無かったけど」

姉「ありがと。 この講義中に写しとく」

友「ほいほい。 お、先生来たよ」

姉「……友ちゃんさあ、いつもは全くノート取らないのに、なんで私がいないとこんなに綺麗にノート取るの?」

友「そりゃ、姉がいなかったらノート見せてもらえないから講義中寝られないし」

姉「あ、私から見せてもらうこと前提なんだ……もう見せないようにしよう」

友「やめて! 寝たいの!」

姉「まったくもう……」




講義が始まったので、黙ってノートを写すことに集中しようとする。
隣を見ると、既に友ちゃんが寝息を立てていた。
……って早いな寝るの!
呆れて溜め息を吐き出しながら、綺麗にまとめられたノートを写していく。

姉「……」





友ちゃんのノートを写しつつ今の講義のノートを取りながら、ふと思う。
妹も、今は授業中かな。
妹のことだから真面目に受けてるだろうけど、私のこととか考えたりするのかな。
こうやって、私が妹のことを考えてるみたいに……。




姉「……いけないいけない、集中してやらないと」




そういえば、お昼とかはやっぱり友だちと食べてるのかな。
仲のいい男の子とかいるのかな……。
妹は可愛いし、きっとモテるよね……。
……よく考えてみると、私は学校での妹をよく知らない。
急に不安になってくる。




姉「……ん」




机の上に置いてある私のスマートフォンの通知ランプが、チカチカと光っていた。
スリープを解除して通知欄を確認すると、妹からLINEが来ていた。
ちょっとドキドキしながら、LINEを開く。

妹『授業中に寝ちゃだめだよ』




失礼な!




姉『寝てないよ! 寝たことないし!』

妹『今朝眠そうだったし』

姉『確かに今も眠いけど、講義中には寝ないし』

妹『ふーん( ̄^ ̄)』

姉『ほんとだってば』

妹『そんなことより、今日はいつ帰ってくるの?』

姉『もう遠回りする理由もないし、いつも通りに帰るよ』

妹『そっか』

姉『早く会いたい?』




ニヤニヤしながらこう送ってみると、途切れずに送られてきた返信が少し途切れてから。




妹『会いたいよ』

姉「……~~~~~~っ!!」

わかってた。
きっとこの答えが返ってくるって。
でも、実際に目にすると破壊力がすごくて。




友「……なにしとん?」




両手で顔を抑えてぶるぶる震えていたら、隣で眠りこけていたはずの友ちゃんが反応した。




姉「……なんでもない……」

友「眠いの?」

姉「まあ、うん……安心して、ノートはちゃんと取るから」

友「それを聞いて安心した。 おやすみなさーい」

―――――――――――――――――――――――




姉「ただいまー」

母「おかえり」




私が家に帰ると、ちょうどお母さんが玄関で靴を履いているところだった。




姉「あれ、これからお出かけ?」

母「ええ。 夕飯の買い物にね」

姉「そっか。 妹は?」

母「もう帰ってきてるわよ、リビングにいるわ。 それじゃ、行ってくるわね」

姉「ん。 行ってらっしゃい、気を付けてね」




お母さんを見送って、靴を脱いでリビングに向かう。
妹はソファに座ってスマートフォンを弄っていた。

姉「妹、ただいま」

妹「あ、お姉ちゃん。 おかえりなさい」




私が話し掛けると、妹が嬉しそうな顔をして私を振り向いた。




姉「体調はもう大丈夫そう?」

妹「うん。 全然元気」




妹の隣に腰掛ける。




妹「……えへへ」




はにかむように笑って、妹が身体をもたれかけてきた。

妹「夢みたい……お姉ちゃんにこうやってくっついてられるの……」

姉「今までもくっついてなかった?」

妹「今までは結構我慢してたの! わたしだって、悩まなかったわけじゃないし……」




そう言って、妹が顔を伏せた。




姉「……そっか」

妹「ん……」




妹の頭を撫でる。
気持ち良さそうに、妹が目を細めた。

姉「……ね、妹。 きっと私、前から妹が好きだったんだと思うの」

妹「そうなの?」

姉「うん。 たぶん……お父さんとお母さんが喧嘩した、あの時から」

妹「……わたしとおんなじだ」

姉「あの時の妹、ほっとけなくて。 このままじゃダメになると思って、心配で心配で、なんとかしなきゃって、どうやったら妹を笑わせられるかとかずっと考えてて……そしたら、好きになってた」

姉「でも、きっと無意識にその気持ちに蓋をしてた。 私はお姉ちゃんだし、女だし。 いけないことなんだって、ずっと抑えてたんだと思う」

妹「……そうだったんだ」

姉「でも、妹が私を好いてくれてたことは気付いてたよ?」

妹「えっ!? な、なんで……?」

姉「だって、妹の私を見る目……お姉ちゃんに向けるような目じゃなかったもん」

妹「え……あ、う……」

姉「それに、普通の姉妹はあんなにベタベタしたりしないし」

妹「そ、そうだよね……」

姉「なのに、妹は私に告白してきた。 ……そのせいで、抑えてたのが溢れちゃったのかな。 ほんと、学校にいるときとか妹のことばっかり考えちゃってたもん」

妹「……」

姉「……だからね、もう我慢しなくていいんだよ。 思う存分私にくっついちゃって」

妹「……うん」




目を閉じて、妹が体を預けてくる。
なんか、いいなあ。
普通の姉妹は、きっとこんなことしない。
妹の顔が本当に安心しきってる顔で、信頼してくれてるんだなって思えて、嬉しくなった。

―――――――――――――――――――――――




その日から、しばらくして。




友「姉、おはよー」

姉「おはよ。 今日は早いね」

友「だって今日は抜き打ちテストがあるかもじゃん?」

姉「あったとしてもやるのは講義の最後だし、遅刻しても大丈夫じゃない?」

友「気持ちの問題だよ」

姉「……変なトコ真面目だよね。 変なトコだけ」

友「何さ変なトコって! 失礼な! ……そんなことよりさ、今週末空いてる?」

姉「週末? うん、特に予定はないけど」

友「おっ、マジ!? じゃあさじゃあさ、宅飲みしない?」

姉「うん? 誰の家で?」

友「もちろんあたしの家!」

姉「いいよ。 友ちゃんとそういうの、まだしたことなかったもんね」

友「でしょでしょ。 じゃ、週末ね! おやすみ!」

姉「おいこら寝るな、気持ちの問題はどしたの」

―――――――――――――――――――――――




姉「……」ピンポーン




週末。
友ちゃんの住むアパートにやって来た私は、友ちゃんの部屋のインターフォンを押した。




友「んお、やっほー姉。 いらっしゃい」

姉「やほ、友ちゃん。 お邪魔します」




玄関で靴を脱いで、部屋に入る。

姉「おお、意外と綺麗」

友「何もないとも言う!」

姉「確かに。 色々作ってきたんだけど、食べられる?」




家で作ってプラスチックの容器に詰めたおつまみを、友ちゃんに見せる。




友「おお、姉の手料理!? なんと魅力的な!」

姉「料理というかおつまみだけどね」

友「ありがとうありがとう! ちょっと待ってね、お皿とか用意するから!」

姉「おっけーしちゃった」

友「ふーん……は?」

姉「だから、おっけーしちゃった」

友「お、おう……? そうなん? 断るんじゃなかったの?」

姉「うん、そのつもりだったよ。 でも、色々あって」

友「ふうん……そっかそっか。 で、どこまでいったの?」

姉「……」

友「おお? どこまでいったん? ん? ん??」

姉「……キスまでしかしてないよ」

友「だろうねぇ。 まだ付き合って何日かでしょ?」

姉「うん」

友「ま、焦る必要無いしね。 あたしも相手見つけなきゃなぁ……」




コップに口をつけながら、友ちゃんが呟いた。




姉「友ちゃんならすぐ見つかるよ。 授業外ではいい子だし」

友「うるせーい、あたしはいつもいい子じゃー……」




テーブルに頬をくっつけて、友ちゃんが唸る。

姉「酔った?」

友「うー……」

姉「お酒、弱いね」

友「……姉は強いね」

姉「そうかな」

友「酔ってないでしょ」

姉「うん、そうかも。 ほら、ここで寝たら風邪引くよ」

友「うー、まだ寝ないし……」

姉「だめだよ、これ以上飲んじゃ。 もう潰れてるでしょ」

友「うー……姉はどうするの?」

姉「帰るよ。 友ちゃんが寝たらね」

友「うう……」

姉「またしようね、宅飲み。 楽しかったし」

友「うー、あたしもたのしかったー……」

姉「ふふ、そっかそっか」

友「んー……」




友ちゃんの頭を撫でる。
気持ち良さそうに友ちゃんが目を細める。
なんとなく、妹と重なった。
妹が酔ったら、どんな感じになるんだろう。

友「んー……きもちいー……」

姉「ぷっ、酔ったら子どもっぽくなるんだね」

友「しらなーい……」

姉「ほら、立って。 寝るならベッドで」

友「一緒にねよーぜー……」

姉「ダメ。 い……怒られるから、恋人にね」

友「おのれノロケおって……どーせーでもアウトかよー」




よろよろと立ち上がって、友ちゃんがベッドに倒れこんだ。




姉「じゃ、私は帰るよ。 大丈夫?」

友「んー、またきてね……」

姉「はいはい、ちゃんと鍵かけてね」

友「あーい……」

姉「じゃね、また来週」

友「んー……らいしゅー」




友ちゃんに布団をかけてから、友ちゃんの部屋を出る。
外はもう真っ暗で、スマートフォンで時間を確認すると夜の10時を越えているところだった。
妹にもう帰る旨をLINEで送ってから、歩き出す。

姉「ふう……さむぅ」




秋も深まる……どころか冬が近付いてきている時期。
白い息を吐き出して歩きながら、妹のことを考える。
今の時間だともう寝てるかもしれない。




姉「家に帰ったら、寝顔でも見てから寝るかなぁ」




そのまま妹のベッドに潜り込んで寝るのもいいかもしれない。
……こんな発想をしてしまうのは、やっぱりお酒のせいなのかも。
さすがにベッドに潜り込む以上のことはしないけど。

―――――――――――――――――――――――




姉「ただいまー」

母「あら、おかえり。 ご飯はどうする?」

姉「いらないかな。 妹は?」

母「もう寝てるんじゃない?」

姉「そっか。 じゃ、私もシャワー浴びて寝よっかな」




脱衣室に行って、そこにしまってあるパジャマ類を用意しておく。




姉「お酒臭いと、妹も嫌がるだろうしね」




もう妹のベッドに潜り込むのは確定だった。

―――――――――――――――――――――――




姉「ふー……」




さて、シャワーも浴びて。
髪も乾かして妹の部屋に行こうと二階にいくための階段を上る。




姉「……ん?」




階段を上りきったら、私の部屋のドアが少し開いていて、そこから明かりが漏れていることに気が付いた。




姉「あれっ、つけっぱだったかな」




消しに行こうと部屋に近づくと、中から微かに声が聞こえる。

姉「ん……?」




耳をすませてみると。




『ふぁ…………ぅ…………』

姉「……!?」




何やら、悩ましげな声が。
息を殺して、そろりそろりと部屋に近付き、ドアの隙間から部屋の中を覗いてみる。




妹「んっ……あ……んぅっ、んぅっ……」

姉「………………」




…………妹が私のベッドで、枕に顔を押し付けてなんかしてる。
なんかしてる。

妹「っ……ぁ……ふ……っ」




必死に声を我慢してるみたいだけど、たびたび漏れ出てるのがそこはかとなくイケナイ感じがするというか、そもそも実の妹のこんな姿を見ること自体イケナイというか……。
というか、あれ?
私LINE送ったよね?
今から帰るよーって送ったよね?
スマートフォンを見てみる。
既読が付いてなかった。
なるほど、結構前から私の部屋にいたのかな。




妹「んっ、んっ……ふぅぅっ……」

姉「……」




目が釘付けになったところで、ふと気が付く。
私の手にはスマートフォン。
それにはもちろんカメラ機能がある。
妹のこんな姿、この先見ることはないかもしれない。

姉「……っ」




思い出す。
世の中には無音カメラなるアプリがあると、友ちゃんが言っていたことを。
慌てて探してみると、案外すぐに見つかった。
ダウンロードしてインストール、起動。
純粋のカメラ機能よりも画質は悪いけど、全然問題ない。
試しに撮ってみよう。




妹「あっあっ、ふっ、んふぅぅっ……」




もじもじと身体をくねらせながらおまたに手を突っ込んでいる妹の姿をフレームに収め、シャッターボタンを押す。
……撮れた。
綺麗というわけではないけど、ほんとに無音で撮れた。




妹「ふっ、ぁっ……おねっ、ちゃっ……」

姉「っ!?」




慌てて隠れる。
……いや、バレてはいないみたい。

妹「おねえちゃっ……はあっ、はあっ……」

姉「……」




やっぱり、私でしてるんだ。
そりゃそうだよね、あそこ私の部屋だし私のベッドの上だし。




妹「あ、あっ、お、おねえちゃんっ、わたしっ……」




にちゅにちゅって、聞いてて恥ずかしくなるような音と、妹の荒くなった吐息が聞こえる。
……気付けば、私の息も荒くなっていた。
心臓も痛いくらいドキドキしてて、身体中が熱い。
夢中になって自分を慰める妹の姿から、目が離せない。

残りは今日のお昼ごろに

再開します

妹「はっ、はっ、んっ、あっ……いっ、く……っ」




妹の呼吸がさらに荒くなって、身体がびくびく震えてる。




妹「ふっ、ふっ、んんっ! いくっ、いっちゃうっ……あっ、んっ、ん~~~~~~っっ!!」




より強く枕に顔を押し付けて、妹がひときわ大きく身体を震わせた。
しばらくして妹が枕から顔をあげて、とろけた表情で荒い息を整えようとして……。




姉「……!!」

妹「……?」




一瞬、ばっちり目が合った。
慌てて隠れたけど、バレたかどうかはわからない。

姉「…………」




衣擦れの音が聞こえる。
衣服を整えたのか、ベッドから降りたのか。
すぐに足音が聞こえて、ドアに近付いてくる気配がする。




姉「……っ」




ああああ、ダメじゃん私!!
こんなとこに隠れたってバレるに決まってる!
目が合った瞬間、すぐに下に行けば……!

妹「あ……」

姉「……!!」




声が聞こえたので振り向くと、ひょこ、と妹がドアを開いて顔を覗かせていた。




妹「……」

姉「……」




気まずい沈黙が流れる。

妹「……見た?」




恥ずかしそうに顔を伏せて、妹がか細い声で言った。




姉「…………何も」

妹「……嘘」

姉「ほ、ほんとに……」

妹「……」

姉「……ごめん」

妹「い、いや……わたしも……ごめんなさい」

姉「と、とりあえずここで話してちゃあれだし、中に入って……」

妹「うん……」

部屋に入って、並んでベッドに座る。




妹「……ごめんなさい」

姉「……いいよ、謝んなくて」




いつかのように、妹がしょんぼりしている。
顔は真っ赤だけど。




姉「……したかったの?」

妹「え?」

姉「私と……」

妹「え……」




恥ずかしそうに妹が俯いて、小さくうなずいた。

姉「……そっか」




ベッドから離れてドアまで歩いて、がちゃりとドアの鍵を掛けた。
そのまま、部屋の電気のスイッチも消す。




妹「お、お姉ちゃん……?」

姉「……」

妹「わわわ!?」




するすると、パジャマを脱いでいく。
妹が慌てて顔を両手で覆った。




妹「なななな何してるのっ!?」

姉「し、したい……んでしょ?」

妹「い、いやっ、えっとっ……」

姉「私は、いいよ……」




ブラのホックに手を掛ける。

妹「え……」

姉「私も、したいから……」

妹「……」

姉「……ね、妹も脱いで……」

妹「……うん」




妹も、パジャマを脱ぎ始める。
私の心臓はずっとばくばくしてて、最後の砦である下着がなかなか脱げない。




姉「あ……」

妹「……っ」




妹が下着まで綺麗さっぱり脱ぎ、恥ずかしそうに身をよじる。

妹「……脱がないの?」

姉「ぬ、脱ぐ、けど……」

妹「わたしは脱いだよ……?」

姉「……っ」




一歩一歩、妹が近付いてくる。
腕でおっぱいを隠しながら。




妹「……恥ずかしいの?」

姉「……うん」

妹「お姉ちゃんから始めたのに?」

姉「そ、そうだけど……」

妹「じゃあ……ぬ、脱がせてあげる……」

姉「え」

妹「一人じゃ脱げないんなら、わたしが脱がせてあげる」




妹が手を伸ばして、私のブラのホックに手を掛けた。
抱きついているようにも見える。
というか、ふつーにおっぱいみえる。

妹「お、お姉ちゃん……綺麗……」

姉「い、妹も、綺麗だよ……」




見つめ合って、キスを交わして。
抱き合って、ベッドに倒れ込んだ。
ぎゅっと抱きしめ合った熱くて柔らかくてすべすべの妹の肌と、背中に感じるベッドシーツの感触が心地いい。




妹「ん、ちゅ……お姉ちゃん……」

姉「妹……ん、んぅ……」




妹の舌が、私の舌と絡まる。
熱い。
熱くて、絡み付いてきて……。




姉「ちゅるっ……」

妹「んっ……!?」




妹の舌を吸ってみると、びくんって妹の身体が跳ねた。
これが気持ちいいらしい。

姉「ちゅるっ、ちゅ……ちゅるちゅるっ……」

妹「あ……んっ、んんんっ……!」




妹の舌を逃げられないように絡め取って、吸う。
妹の舌と唾液が、私の口の中を満たす。




妹「んっっ、はっ、ぁ……」

姉「んぷぁ……」




つぅ、と唾液の糸を引いて、私の舌と妹の舌が離れた。

妹「はぁ、はぁ……おねえちゃん、わたし……」

姉「はぁ、はぁ……我慢できない?」

妹「お姉ちゃんに触りたい……」

姉「ん、いいよ……ほら」




妹を抱いていた腕を、ベッドの上に投げ出す。




妹「……っ」




妹が息を飲んだのがわかる。

妹「ほ、ほんとに……いいの……?」

姉「ここまで来たんだもん、今更引き返せないよ。 ……それに、私たちはもう、ただの姉妹じゃないでしょ?」

妹「……」

姉「あ……」




ぷにゅ、と妹が私のおっぱいに指を沈ませる。




妹「や、やわらかい……」

姉「でしょ」

妹「すごい……」




片手でふにふにと揉んでいたのを両手に切り替えて、両胸を一緒に揉まれる。
なんか、変な感じ。
妹と、こういうことをするのが。

妹「はっ……はっ……」

姉「……ん……」




息を荒くして、妹が夢中になって私のおっぱいを弄んでる。
完全に発情しきってとろけきっている妹の表情は、私をすごくぞくぞくさせる。




姉「……楽しい?」

妹「……え、あっっ、いやっ、えっとっ」




はっとしたように、慌てて妹が私のおっぱいから手を離した。

姉「いいんだよ? もっと触っても」

妹「……うぅ」

姉「……じゃ、今度は私の番でいい?」

妹「え」

姉「ほら」

妹「あ……」




起き上がって妹の肩を掴んで、ゆっくりと押し倒す。




妹「お姉ちゃん……」




不安そうな表情で、顔を真っ赤にしながら妹が私を見つめてくる。
その瞳が潤んでいて、すごくぞくぞくする。

姉「ん……」

妹「んぅ……」




キスをしながら、ゆっくりと妹のおっぱいに指を這わせる。




妹「んっ、んっ……」




おっぱいのさきっちょ付近を指でくるくるとなぞるたびに、妹の身体がぴくぴくって反応する。
かわいい。




姉「ん……かたいね」

妹「ふぁ……!」




きゅっ、と妹の硬くなったさきっちょをつまんでみる。




妹「はっ、あっ、あ……!」

姉「気持ちいいんだ?」

妹「う、うんっ……んっんっ……!」




ぎゅっと目をつぶって、こくこくと妹が頷く。
……ほんとに、ぞくぞくさせることを天然でやってくるからやめてほしい。
いじめたくなるから。

姉「じゃ、次はこっちかな」

妹「あっ……!」




くちゅ、と粘ついた音を立てて、妹のアソコに触れる。
濡れてる。 すんごく。




姉「さっきひとりでしてた時にイったのに、まだ満足できてなかったの?」

妹「あっ、ぅっ……お、おねえちゃんにさわられてっ、こんなになっちゃったのっ……」

姉「……えっちだ」

妹「う、うぅっ……んんっ!」

姉「触ってほしかったんだもんね、私に」

妹「っ……うん……」

姉「私のこと、呼んでたもんね?」

妹「やっ、やだぁっ……」




人差し指と中指を交互に動かして、妹のアソコを擦る。
どんどんと妹の愛液があふれてきて、ベッドシーツにシミができていく。

妹「あっん……はっ、おねえちゃんっ……」

姉「うん?」

妹「わたしっ……おねえちゃんに触られてるっ……さわられてるよぉっ……」

姉「うん……それだけじゃないよ」




ぐい、と妹の膝下に腕を差し込んで、足を開かせる。




妹「わわっ、はっ、恥ずかしいよっ」

姉「れろ……」

妹「ひゃんっっ!? きっ、きたないよお姉ちゃんっ!」

姉「れろっ、れろれろ……」

妹「あ、はっ、あっ、あっ……! なにっ、これぇ……!」




妹のココ、ひくひくしてる。
……すっごくえっちだ。

姉「れろっ……ちゅ……じゅるるっ……」

妹「ひゃあっ!? やっ、あああっ!? すっ、吸われてっ……んああっ!」

姉「じゅるるっ、んぷ……ちゅる、れろっ……」

妹「あ、あ、だめっ、おねえひゃああっ!」




私の頭を両手で抑えて、妹がぶんぶんと頭を振る。
それに構うことなく、ひたすら妹を攻め立てる。




姉「ぢゅるっ、んちゅ、れるるっ……」

妹「ひゃはああっ!? だめっ、いっちゃうっ、いっちゃううううっ!!」

姉「んっ、れろっ、れろっ……ぢゅるるるるっ!」

妹「あ、あ、あ……んっ、んんぅぅ~~~~っっっっ!!!!」




ぷしゅ、と妹のアソコから愛液が溢れ出てくる。
イったんだ。
妹が、私で。

妹「んあっ……あっ、はあっ……はーっ……」




びくびくと細かい痙攣を繰り返しながら、妹が脱力する。
その横に寄り添って、妹の頭を撫でる。




姉「気持ち良かった?」

妹「はぁ……はぁ……うん……」

姉「またしたい?」

妹「いまは……もうむり……」

姉「ふふっ、そんなに気持ちよかったんだ」

妹「しんじゃうかとおもった……」

姉「あはは、それは困るかな。 じゃ、このまま寝ちゃおっか」

妹「うん……お姉ちゃんと一緒にねる……」

姉「ん、おっけー」




妹と一緒に、毛布にくるまる。
あったかい。

姉「しちゃったね、私たち」

妹「……うん」




恥ずかしそうに、妹が目を伏せる。




姉「妹、かわいかったよ。 ひとりでしてる時も」

妹「うぅ……見られるなんて……」

姉「帰ってくるとは思わなかったの?」

妹「うん……お泊りかと思った……」

姉「そっか。 でも、結果オーライだよね」

妹「……うん」




妹が微笑む。




妹「お姉ちゃん」

姉「うん?」

妹「……ぎゅってして」

姉「……うん、いいよ」




妹を抱きしめる。
やわらかくて、あったかくて、心地いい。

妹「また、しようね」

姉「うん。 今度は妹の部屋でかな」

妹「……恥ずかしいかも」

姉「ふふ。 だよね、私も恥ずかしいもん」




笑い合う。




妹「……お姉ちゃん」

姉「うん? ……ん」




妹が、私の頬にキスをした。




妹「大好きだよ、お姉ちゃん」




赤くなった顔で、妹が微笑んだ。
私も、妹の額にキスを返して。




姉「私も大好きだよ、妹」




今度は微笑み合ってから、唇と唇を触れ合わせた。




おわり

おわりです、ありがとうございました

姉妹百合最高!

ちなみに二人は何歳?

最後にちょっとだけオマケを投下します

【とーさつしゃしんのゆくえ】




妹「…………ん」




目が覚める。
眠い目を擦ると、お姉ちゃんに抱きしめられていることに気が付いた。
お姉ちゃんはすやすやと寝息をたてている。
そっか、わたし、寝てたんだ。




妹「ん……ふふ」




眠っているお姉ちゃんに頬ずり。
お姉ちゃんのカラダ、ニオイ。
どれもがわたしをくらくらさせる。




妹「……ん?」




お姉ちゃんの手元に目を向けると、お姉ちゃんがスマートフォンを握ったまま寝ていることに気が付く。
わたしと寝たときは持ってなかったはずだし、一度目が覚めたのかな。

妹「……ちょっとだけイタズラしちゃえ」




お姉ちゃんの手からスマートフォンを抜き取って、スリープを解除。
ロックは掛けられてないようで、スワイプするだけで解除できた。




妹「……あれ」




ロック画面を解除したのに、画面が真っ暗になってしまった。
なんでだろうとあちこちタップしてみたら、どうやらカメラアプリを起動させたままスリープになってたみたいで。
部屋の中が暗いから、それを映してた画面も真っ暗になっちゃってた。
まさかと思って撮った写真を見てみると、カメラロールの一番上にすやすやと寝ているわたしの写真が。




妹「う、うわ……お姉ちゃんに寝顔撮られた……」




恥ずかしい。
寝顔以外に何かあるかなとスワイプしてみると。




妹「……? ……! ……!!?」




別の写真が映し出される。
枕に顔を押し付けて、おまたに手を突っ込んでいる女の子が写ってる写真。
……こ、これ、これ……わたし……?
この写ってる部屋って、お姉ちゃんの部屋っぽい。
枕も、ベッドも……わたしがしてた時とおなじ……。

妹「え、え……えっ、とっ、とっ、撮られっ……!?」




思わず大きな声を出してしまう。




姉「んん……いもうと……?」

妹「!!!」




お姉ちゃんが目を擦って、ゆっくりと起き上がった。
思わず固まる。




姉「どしたの……って、私のスマホ? なんで妹が持ってるの?」




顔が熱くなる。
恥ずかしくて、声が出せない。




姉「なに、どしたの? 私のスマホに何か……って……」




はっとお姉ちゃんが何かに気が付いて、わたしから素早くスマホを取り上げた。

姉「……」




お姉ちゃんが画面を見て、固まる。




妹「……ぁの……」

姉「……ちがうの、これは、その、なんか、ほんと」

妹「……けして」

姉「え?」

妹「……それ、消して」




お姉ちゃんがわたしの顔とスマホの画面を交互に見て。




姉「……やだ」




小さく首を振った。

妹「なっ、なんでよ……恥ずかしいよ……」

姉「だ、だって……妹がこんなのことしてるの見るの、この先ないかもしれないし……」

妹「う、ううっ、消してよ……」

姉「やだ、消さないもん……」

妹「け、消してってば、このっ……」

姉「わっ、だっ、だめっ、絶対やだっ……」




お姉ちゃんの手からスマートフォンを取ろうと手を伸ばすと、お姉ちゃんが手をひっこめてしまう。
スマートフォンの取り合いで、しばらくもみ合う。




妹「はあっ、はあっ、消してってばっ」

姉「やだっ、絶対残すっ」

妹「こっ、このっ、渡してっ」

姉「ひゃんっ!? ちょっ、そこっ……」




お姉ちゃんのアソコを軽くなでると、びくってお姉ちゃんがカラダを震わせた。

妹「渡さなきゃ、こうだからっ」

姉「んっ、あっ! やっ、こらあっ!」




さわさわと撫でていると、だんだんとぬるぬるしてくる。




姉「あ、ぁっ、やめっ……」

妹「じゃあ消すか、渡してっ」

姉「やだっ、渡さないっ……!」

妹「っ!? ぁ!?」




つぷ、とお姉ちゃんの指がわたしのアソコに触れて、指の先端がナカに入り込んできた。




姉「はあっ、はあっ……絶対、消さないからっ……」

妹「はぁっぅ……けしてよぉっ……」

姉「あ、んっ、んっ……!」




わたしの指も、お姉ちゃんの中に飲み込まれていく。
熱くて、きつい。

妹「んっっ、あっ、あっ、ふあぁっ!」

姉「ふぁっ、あっ、んんぅっ!」




気持ちいい……。
数時間前にお姉ちゃんにイかされたばっかりなのに、もうこんなに体が熱くて……。




姉「あっあっ、いもうとっ、きもちいっ……!」

妹「お、おねえちゃんっ……!」




視界の隅っこに、ベッドに落っこちてるスマートフォンが映る。
でももう、今のわたしにはどうでもよかった。




妹「おねえちゃんっ、んっ、ちゅっ……」

姉「妹っ……んむっ……」




お姉ちゃんとの、キス。
もう何回したかなんて数えてないし数えられないけど、何回しても気持ちいい。

妹「はっ、んっ……ちゅっ……」

姉「んっ、はぁっ、ちゅくっ……」

妹「ちゅるっ……んぷ、んむぅっ……」

姉「んちゅっ、はふっ……はぷっ、んぷっ……」




もう、止まらない。
もっとお姉ちゃんとキスしたい、もっとお姉ちゃんに触りたい。
夢中になって舌を絡めながら、指を動かす。




姉「ふぁ!? んっ、んんんっっ!」

妹「あっ、んっ! おっ、おねえちゃんっ……声、もっと小さくっ……」

姉「っ……んんっ……」

妹「ん、ん……」




慌てたように、お姉ちゃんがわたしにキスをする。

妹「はっ、んふ……おねひゃっ……」

姉「んぅ……イきそう……? イって……はやくっ……」

妹「んゃっ……だめっ、おねえちゃんが先っ……!」

姉「んあっ!? ちょっ、ああっ、はげしっ……!」




お姉ちゃんに負けじと、より指を激しく動かす。




姉「やっ、あっ! んっ、んんんっっ!」




ぶるぶるとお姉ちゃんのカラダが震えて、わたしを責める指の動きが止まった。

妹「イって、お姉ちゃん……わたしで……」

姉「妹っ……はっ、はあっ、わっ、私っ……!」




お姉ちゃんがわたしにしがみつく。




姉「はぅっ、くぅぅっ……いっ、くぅぅっ……ふぅぅぅぅぅぅんっっ!!」




わたしを思い切り抱きしめて、お姉ちゃんがびくびくとカラダを痙攣させた。

姉「あ、あっ……はっ……ふ、ふあぁぁっ……」

妹「……イっちゃったね、わたしより先に」

姉「……うう」

妹「じゃあ……わかるよね、お姉ちゃん」

姉「……うん」




お姉ちゃんが、傍らに落ちてるお姉ちゃんのスマートフォンを拾い上げた。




妹「違うよ、お姉ちゃん」

姉「え?」

妹「消さなくていいよ? そのかわり……」

姉「そのかわり……?」

妹「お姉ちゃんがひとりでしてるとこ、撮らせて?」

姉「えっ」

妹「ほら、はやくはやく」




枕元で充電してあったわたしのスマートフォンを起動して、カメラアプリを起動させる。

姉「そっ、それはさすがにっ」

妹「でも、お姉ちゃんはわたしのこと勝手に撮ったでしょ?」

姉「け、消すからっ! だから……」

妹「写真は消せても、撮ったって事実は消せないでしょ?」

姉「……どうしても、ダメ?」

妹「どうしても、ダメ」




にっこりと笑って、お姉ちゃんの姿をフレームに収める。




姉「うう、こんなことになるなら撮らなきゃよかった……」

妹「わたしはちょっとだけ、撮られてよかったかもって思ってるよ♪」



【とーさつしゃしんのゆくえ】おしまい

以上で本当に終わりです
ありがとうございました

>>97
アバウトですが姉が大学生、妹が高校生という設定です

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