魔王「解せぬ」(283)

解せぬ

何故、魔物と人の子は争うのだ

何故、同じ生物として分かり合えぬのだ

解せぬ

何故だ

勇者一行がこちらに向かって居ると聞いてから3年は経つ

特に罠も用意しても居ないし、城周りの警備を強化した訳ではない

半月程前に、勇者一行が城の付近の町で奇病に倒れたと噂で聞いては居たが…

よもや死んではいないであろうな、勇者よ

その時、王座の扉がゆっくりと開いた

勇者「…」

魔王「…よく来たな」

勇者「…」シャキン

魔王「なぜ、貴様1人なのだ」

勇者「…」チャキ

魔王「他の仲間はどうした」

勇者「…貴様…それは皮肉か?」

魔王「何をほざいておる、真剣に尋ねておるのだ」

勇者「…んだよ」

魔王「は?」

勇者「死んだよ!!」

魔王「…!?」

勇者「戦車も!魔法使いも!僧侶も!皆死んだよ!」

勇者「半年ほど前に…貴様の撒き散らした奇病でな!」

理解ができなかった
勇者一行が死んだだと?
生き残ったのは勇者のみだと?
それに…我輩の撒き散らした奇病?

魔王「…まて」

勇者「…」

魔王「我輩は…奇病など差し向けてはおらん」

勇者「!?」

魔王「確かに…人に不治の病をかける事など容易い」

魔王「しかし、我輩は貴様らの到着を待ち望んでおったのだ」

勇者「…」

魔王「何故待ち望む者らに死の病などをかける必要がある?」

勇者「…どういう事だ…」

魔王「我輩が尋ねたいところだ…」

勇者「町の人々は…奇病は魔王のせいだと…」

魔王「我輩はそのような物を町に撒いてなどおらん」

魔王「断言しよう、我輩は人間の住む町に手を加える事など一切していない」

勇者「ならば…何故…」

流石勇者と言うところだ
普通なら激昂し、こちらの発言など聞く耳を持たぬ所だろう
だが、我輩の話を聞き、理解し、悩んでいる
噂で聞くよりも、遥かに冷静で聡明
人が皆、このようであったらいいのだが

勇者「…」

魔王「…病の」

勇者「…」

魔王「病の症状を教えてくれ」

勇者「…最初は…軽い咳が続く事から始まる」
勇者「次に、発熱、激しい嘔吐、手足の痙攣」
勇者「そして、全身の皮膚が腐り剥がれ落ち、肉のみとなる」
勇者「大半はここで息絶える」
勇者「運が悪く生き延びてしまった人々は、筋肉が腐る痛みに苦しみながらゆっくりと死んでゆく」

魔王「…」

魔王「恐らく、それは病ではない」

魔王「なにかの毒物による中毒だ」

勇者「なにを根拠に…」

魔王「最近、あの辺りに炭鉱が出来たな?」

魔王「炭鉱ができたあたりは、昔から瘴気が溜まりやすく、草や木、石にまでも瘴気が染み込んでおる」

魔王「そんな所で採れた鉱石などを使って食器を作り、食事をしたならば、体内に瘴気が溜まり…」

勇者「あの病になると?」

魔王「いかにも」

勇者「なんて事だ…」

魔王「…あの辺りは、強い魔物に

魔王「…あの辺りは強い魔物を配備し、人が近づけぬ様にしてあった筈だが」

勇者「…王国軍が…開拓したんだ」

魔王「ククッ…皮肉よのう」

勇者「…っ」

魔王「時に勇者よ、仲間の遺体は残っておるのか?」

勇者「焼却した…骨の欠片なら持っている」

魔王「充分だ」

勇者「何が…」

魔王「貴様の仲間を蘇らせてやろう」

勇者「え…」

魔王「条件など付けぬ、貴様が選べ」

魔王「生き返らせるか、そのままか」

勇者「そんな事…できるわけ…」

魔王「我輩は魔王ぞ?」

魔王「我輩は今、深く悲しんでおる」
魔王「待ち望んだ勇者一行が、愚かな人々の手によって壊滅してしまった」
魔王「そんな事許されてなるものか」
魔王「どうする勇者?」

勇者「…仲間を…」

勇者「皆を生き返らせてくれ…」

勇者「頼む…」

魔王「正しい選択だ」
魔王「では、骨をこちらに」

勇者「…」スッ

魔王「…」グイッ

勇者「…なっ」

魔王「…ふむ」

勇者「な、なんだ…」

魔王「そなた女か」

勇者「なななな、何をいきなり…」

魔王「ふん、雌の匂いがしたのでな」

勇者「は、はなせっ…」

魔王「面白い奴よ…」

魔王「では、行くぞ…」


パァァァァァァァァァアアアッ


魔法使い「う…」

戦士「ぬ…」

僧侶「ん…」

勇者「皆!」

魔法使い「ここは…?」

僧侶「お城?」

戦士「いててて…」

勇者「皆…良かった…」

魔王「クハハッ」

勇者「ありがとう魔王…」

魔王「礼には及ばぬ」

僧侶「え、魔王?!」

魔法使い「きゃああっ」

戦士「ぬぅ?!」

勇者「そんなに身構えなくても大丈夫そうだよ」

魔法使い「ち、違うの!私たち裸なの!」

魔王「…」

魔王「…服をやろう」

勇者一行「「「ありがとうございました」」」

魔王「う、うむ」

調子が狂う
先刻まで、刺すか刺されるかの空気であったのに…
これが人間か?

勇者「どうしよう」

魔王「何かあるのか」

勇者「お礼できるものが…」

魔王「そんな事気にせんでよい」

勇者「でも…」

戦士「勇者、こいつ魔王なんだぜ?感謝なんて…」

僧侶「でも、私たちを蘇らせてくれましたし…」

魔法使い「男前だしね」ボソボソ

魔王「…」

魔王「貴様らは、我輩を倒しに来たのであろう?」

勇者「…でもこんなにいい人とは思ってなかったし…」

僧侶「…」

魔法使い「…」

戦士「…」

魔王「…では、少し話を聞いては貰えぬか」

勇者「話?」

魔王「あぁ、人と魔物についてだ」

勇者「そんな事でいいのなら…」

魔王「結論から言おう」

魔法使い「英ちゃんの真似かしら?」ボソボソ
僧侶「なにいってんですか!」ボソボソ

魔王「…」

魔王「結論から言おう、我輩は魔物と人とのの共存がしたい」

戦士「…人の里襲っておいてよく言えるな」

勇者「ちょ、ちょっと戦士!」

魔王「我輩は人の里を襲ったことなど一度もない」
魔王「ましてや、魔物を差し向けた事すらない」

戦士「嘘吐いてんじゃねぇ!」

戦士「俺の村は!魔物に襲われて皆死んだんだよ!」

戦士「よくもいけしゃあしゃあとそんな事…」

魔王「…」
魔王「我輩は、貴様らの国で言う王の立場にある」
魔王「例えば、何処かの国が人間の盗賊によって襲われたとする」
魔王「それは王のせいだと思うか?」

戦士「何言って…」

勇者「待って戦士!」

勇者「つまりこう言うことだよね?」
勇者「『村を襲ったのは魔王の指示ではなく、魔物単体の行動だった』」

戦士「!!」

魔王「流石勇者だな、話がわかる」

戦士「それでもっ…」

魔王「言いたいことはわかる」
魔王「済まなかった…」ドゲザ

戦士「ちょ!」

魔王「我輩の指示ではないとはいえ、我輩の管理下に置ける魔物の行動」

魔王「それは、我輩の責任でもある。責めるなら責め、殺したいなら我輩を殺して貰って構わない」

魔王「だが、もう少しだけ話を聞いて欲しい」

魔王「頼む」ドゲザ

戦士「…そ、そんな事しねぇよ…」

戦士「要するに…俺の村を襲ったのは魔物の中の賊みたいなもんなんだろ?」

戦士「それなら…あんたに責任はねぇよ…」

戦士「こっちこそ、何も知らないのに言い過ぎた…すまない」

魔王「…ありがとう戦士」

戦士「いいって、話の続き聞かせてくれよ」

魔王「うむ」

魔王「共存がしたいと言うのは先々代の魔王からの願いだ」

魔王「そのおかげで、殆どの魔物にその意思が芽生えておる」

魔王「魔物とて感情はある、他の種族の作った農作物を盗んで生活していても罪悪感しか生まれない」

魔王「だから、魔物としても、人間と共に働き、生活したいのだ」

僧侶「魔物がそんな事を考えてたなんて…」

魔王「なにぶん、レベルの低い魔物は人語を理解する事はできても、発する事はできぬ」

魔王「なので、伝わらぬ事が多いであろうな」

魔王「だが、伝わらぬとも魔物は今まで行動で示して来た」

魔王「しかし、人は姿を見ただけで絶叫し、逃亡、または攻撃した」

魔王「攻撃され、自身の身を守らぬ生物など居ないであろう?」

魔王「そう言う事だ」

魔法使い「じゃあ…いままで私達が倒して来た魔物は…私達と仲良くしたかっただけってことなの?」

魔王「全てとは言い切れぬ、だが、そう言う事だ」

魔王「貴様ら人間は自ら友好関係を築こうと歩み寄る罪もない魔物を殺したのだ」

魔王「お陰でな、最近では魔物達も我輩の言う事を聞かなくなって来た」

魔王「反乱も近いのではないかな?」

勇者「…」

魔王「話しは以上だ」

魔王「別に我輩は命乞いをしているわけではない」

魔王「少し、考えて欲しかっただけだ」

魔王「今日は勇者しか武器を持っておらんし、一旦王国に帰るといい」

魔王「装備を整え、また挑みに来い」

勇者「…」

魔王「勇者、左手を出せ」

勇者「?」スッ


チクッ


勇者「いてっ」

魔王「今、お前の左手にここへの召喚陣を焼き付けた」

魔王「準備が整い次第、これを使ってこちらに来い」

勇者「はい…」

魔王「では、貴様らを王国へ飛ばす」

魔王「ついて参れ」ツカツカ

話は伝わっただろうか
気持ちは分かって貰えただろうか
人間は分からないが、分かってくれた様な気もしなくはない
どの道、次に勇者一行が訪ねてくる時
その時に全てがわかる

魔王「ここには入れ」

魔法使い「これは?」

魔王「追って説明する」

僧侶(大砲?)

戦士「じゃあな魔王!」

魔王「ああ、元気でな」

バタン
ガチャッ

魔王「聞こえるか?」

勇者一行『『『はーい』』』

魔王「説明が遅れたが、これは巨大な大砲だ」

勇者『え?なんだって?大砲?』

魔王「貴様らが入って居るのはその砲弾だ」

戦士『嫌な予感しかしねぇぜ…』

魔王「これで今から王国まで飛ばす」

魔法使い『あ、あたし、自分で帰るよ』

僧侶『ず、ずるいです魔法使いさん!』

魔王「とやかく言うな、発射する」

勇者一行『『『やぁめぇてぇぇぇぇぇぇぇぇ』』』

魔王「再会を楽しみにしてるぞ」

魔王「さらばだ」

戦士『魔王てめぇ!いつかブッ殺s」


ドォォォォォォォォォォォォン

魔王「行ったか」

あとは待つのみ
再会の時、全てが決まる
そう、全てが…

どれくらい経ったか
外が騒がしい
5人や6人の声ではない

そっと耳を澄ます
2万…2万と少しと言うところか

魔王「勇者よ…それが貴様らの決断か」

魔王「…ククク…クハハハハハッ!」

魔王「ハァーッハッハッハッハッハッ!」

魔王「いいだろう、魔王として…受けて立ってやろうではないか!」

魔王「さあ来い人間供、全力を持って相手しようぞ!」


バタンッ!!

王国兵士長「魔王!貴様を成敗しn」ドグシャアッ

「兵士長殿!」

「なんと卑劣な…」

「いくぞ野郎ども!」

「「「うおおおおぉぉぉぉぉぉ」」」

魔王「かかって来い人間供!たかだか2万に負ける魔王ではないぞ!」

魔王「ゔろぉぁぁぁぁぁぁぁぁあああ」


ギイイィィィン…

魔王「ク…クハ…クハハハハッ」

魔王「やはり…貴様が残るか…」

魔王「勇者…よ」

魔王「仲間はどうした…」

勇者「行きたくないって」

魔王「賢…明だ」

勇者「…覚悟」チャキッ

魔王「いいだろう…我輩はあと一突きで絶える」

魔王「その後は我輩も…知らぬ」

魔王「勇者よ…最後に一つ問う」

魔王「貴様の望む、正義とは、平和とは何だ…?」


ザクッ

後に残るは"無"だった

何もなかった
いや、我輩は意識として残っている
我輩とはなんなのだ?
肉体?精神?魂?

分からぬが、我輩は我輩だった

どれほど時が経っただろうか

先ほど、数字を3億まで数え終えた事は覚えている

ん?
足音がするな
魔物ではあるまい

二足歩行…足取りが早く、軽い
何かに追われている様だ

近くなる

こちらに向かっているのか

すぐ…目の前に来た

荒い息遣いが聞こえる

何だ?

何をしている?

勇者「…ごめんね」

ズ…ポッ

魔王「ぐぉあぁぁぁぁぁあっ」

勇者「すごい…まだ生きてたんだ…」

魔王「はぁ…くっ」

魔王「な、なんの用だ」

勇者「あんた、最後に言ったでしょ」

勇者「私の望む正義と…平和」

勇者「あんたを倒せば手に入ると思ってた」

勇者「でも…」

魔王「違ったか」

勇者「うん…あんたが倒されて…魔物の討伐が始まった」

勇者「あんたの言葉が気になってね」

勇者「皆で少しだけ試したんだよ」

勇者「やっぱり、どの魔物も人語を理解してた…」

勇者はそれから我輩が倒されての事をポツリポツリと説明を続けた

話を聞くと、勇者一行は魔物一斉討伐作戦と称し
殺す事なく、魔物を一箇所に集めさせたそうだ
そして、我輩を起こし人々に魔物は悪ではないと説明して欲しいとのこと

勇者「お願い…出来るかな」

魔王「…そんな簡単に行くとは思えぬ」

勇者「…」

魔王「現に、貴様は王国軍の追ってを振り払いここに来たのではないか?」

勇者「!!」

魔王「もう、貴様は謀反人として報告されて居るだろう」

魔王「もう、貴様の立場はないぞ」

勇者「じゃあ…じゃあどうしたら…」ポロポロ

魔王「知らぬ」

勇者「う…うぅ…」

これが勇者か
伝説の、選ばれし者か
か弱く、貧弱で、頼りない
だが、無性に護ってやりたくなる
これが加護と言う物か?

魔王「…」

勇者「…うぅ」

魔王「取り敢えず、貴様は魔物の味方なのだな?」

勇者「…」コクン

魔王「その他の仲間は」

勇者「みんな…魔物を集めたところにいる…」

魔王「上出来だ」

勇者「え

魔王「上出来だ」

勇者「えぇ?」

魔王「我輩の命と引き換えに、貴様らが訴えれば良い」

勇者「えぇぇ?」

魔王「詳しくは後で説明しよう」

魔王「追っ手が来てる、逃げるぞ」

勇者「う、うん」


シュンッ

魔法使い「勇者…遅いねぇ」

戦士「大丈夫だったろうか」

僧侶「きっと…きっと魔王を連れて来てくれますよ…」

魔王「そこまで心配しなくとも、勇者なのだろう?」

僧侶「そうです!勇者さんは伝説の勇者なんですから!」

戦士「確かにそうだな…」

魔法使い「そうね、心配は要らないわね!」

魔王「貴様らは本当に中が良いのだな」

魔法使い「まあ、兄弟みたいに育ったし…って…え?」

勇者「全員幼馴染みたいなもんだしね」

僧侶「あ、ゆゆゆ勇者さん!」

戦士「何時の間に…」

魔王「勇者…遅いねぇ位からか」

魔法使い「最初からって事ね」

魔王「手短に話すぞ」

魔王「完全封印された我輩を引き換えに、魔物の安全を約束させ、貴様らが魔物を治める」

魔王「以上だ」

僧侶「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!」

魔法使い「なんであんたが犠牲になんのよ!」

魔王「その他に…魔物が助かる方法でも?」

魔法使い「…ない…けど…」

魔王「だったら話が早かろう」

魔王「さあ、王国の奴らを呼ぶぞ」

戦士「お前は…それでいいのかよ」

魔王「我輩は王だ」

魔王「民の事を思わず何が王だ」

魔王「民の為ならばこの身さえ厭わぬ」

戦士「…うちの国王に聞かせてやりてぇぜ」

魔王「どう言う事だ」

戦士「国王は…腐ってるんだ」

戦士「自身の贅沢の為に国民から重い税を巻き上げ、逆らう物は処刑だ」

戦士「魔王討伐真意だって本当はわかったもんじゃねぇ」

勇者「炭鉱の話だって…」

魔王「なるほどな」

勇者「瘴気の事は前々から噂になってたんだ」

魔王「それを無理やり自身の利益の為、押し通したと」

魔法使い「ええ、正直国王の悪政は彼が就任した瞬間に始まったわ」

魔王「なるほどな」

魔王「なぜ、反乱が起こらぬ?」

僧侶「国王は、国民から武器を取り上げたので…」

魔王「街の防衛は?」

僧侶「街の防衛は王の公認の機関が行うのです」

魔王「王の犬か」

魔法使い「そうね、まさに犬だわ」

魔法使い「国から依頼が無ければ…目の前で村が襲われてても気にもしない」

魔法使い「そんな奴らよ」

魔王「ククク…」

魔法使い「何がおかしいのよ!」

魔王「なに、人間の方が、貪欲で醜くそれこそ魔物のようではないか…」

勇者一行「…」

魔王「まあ、要約すれば国王と、その関係者をうち滅ぼせばいいと?」

戦士「はははっ、それができりゃあ苦労はし無いのさ」

魔王「ふむ、貴様がそう言うのなら…相当な理由があるのだな」

戦士「まあな」

戦士「なあ、魔王…銃って知ってるか?」

魔王「じゅう?」

戦士「あぁ、鉄砲とも言うかな」

魔王「そのような物知らぬ」

戦士「銃ってのはな…えーと」

魔法使い「あんたむつかしい説明は苦手でしょ?私が変わるわ」

戦士「あはは、頼むわ」

魔法使い「魔王さん、火薬ってのは知ってるわね?」

魔王「そんな物、とうの昔から知っておるわ」

魔法使い「大砲もわかるわよね?」

魔王「幾分か前に貴様らを飛ばしたろう」

ゴンッ
魔王「あいたっ」

魔王「貴様何をする!」

戦士「ぶっ飛ばすって言ったの思い出しただけだ」

魔王「くっ…コケにしおって…」

魔法使い「まあまあ…」

魔法使い「んで、鉄砲ってのは簡単に言ってしまえば大砲を小型化した物よ」

魔王「うむ…何となく解る」

魔法使い「小型の球を火薬の爆発を利用し飛ばすの」

魔王「ほほう、なるほどな」

魔法使い「それが誕生したのが…そうね、5年ほど前かしら」

魔王「…」

魔法使い「そして、銃はどんどん進化した」

魔法使い「今では一秒に3発の早さで球を発射できる銃ができてるの」

魔王「…そんな物、我輩の魔法を持ってすれば…」

魔法使い「例えば、球の一つ一つに封魔の印が描いてあったら?」

魔王「…なるほど」

魔法使い「それが、民間にも出回ってれば勝機があるのだけれど…」

魔王「国王が許さぬと」

魔法使い「そゆこと♪」

魔王「ぬぅ」

僧侶「それに…」

魔王「ぬ?」

僧侶「城の防御は完ぺきです」

僧侶「私達が全員力を合わせて放った爆破呪文も…弾かれました」

魔王「貴様ら、既に攻撃しておったのか」

魔法使い「事故って事にしてるけどね」

魔王「ふむ…」

魔王「対魔法防御は完璧で」

魔王「最新の武器を持って肉弾戦を制圧」

魔王「面白いほど隙がないな」

勇者「だから…和解しかないかと…」

魔王「そう考えるのも…妥当か」

勇者「うぅ…」

魔王「ていっ」ペチッ

勇者「あう?!」

魔王「伝説の子が気弱になるでないわ」

勇者「…」

魔王「仮にも我輩を倒したのだろう?」

魔王「しゃきんとせぬか!」

勇者「うん!」

魔王「…まったく」

戦士「あははっ!魔王ってば勇者の親父みたいだな!」

魔王「何を申すか…」

僧侶「ふふっ…お二人とも可愛いです」

魔王「…」

魔法使い「あーらー?魔王ちん照れちゃってんの?」

魔王「照れてなどおらぬ!」

魔法使い「きゃーこわーい」

魔王「どいつもこいつも…」

魔法使い「ま、冗談はさておき…」

僧侶「どうするか、ですよね?」

戦士「まあ、あの城壁無いに住むのは全員敵ってことで間違いないから、狙いやす言っちゃあ狙いやすい」

魔王「魔法防御の発生陣はどこにある?」

勇者「それぞれ城壁の上4ヶ所にある高速連射銃の隣だよ」

魔王「ぬぅぅ」

勇者「それぞれがお互いに保護し合ってるから、魔法での破壊は不可能だね」

魔王「…技術…か」

魔法使い「え?」

魔王「なに、自分の無力さに呆れているのだよ」

魔王「正直、勝機はない」

魔王「魔族全ての力を持ってしても無理だろう」

僧侶「そんな…」

魔法使い「せめて…銃でも手に入ればね…」

魔王「ぬ?」

魔法使い「なに?」

魔王「案外いけるかもしれぬ」

魔法使い「はぁ?」

魔王「先刻貴様が申しただろう」

魔王「銃とは小型の大砲だと」

魔王「ならば作れば良いではないか!」

魔王「その銃とやらを!」

魔法使い「なるほど…小型の大砲って聞けばいけなくもなさそうね」

魔王「さらに言えば、こちらは全員が魔法を使える」

魔法「こちらのオリジナルを作れば良いではないか!」

僧侶「な、なるほど!火薬などに頼らずとも…私達ならば小規模な爆破呪文で事足りる…」

戦士「なーんで考えつかなかったんだろうな!ははは!」

魔王「それに…我輩に少し考えがある」

勇者一行「「「…?」」」

提案が実行に移り、奇病の流行っていた町にたどり着いた
我輩が死んでいた間、勇者達が原因を伝え
奇病は収まったそうだ

だが、用があるのはこの町ではない
この町の炭鉱だ

今は閉鎖され、使われていないらしい

魔王「ここの鉱石を王国の城に撃ち込むぞ」

勇者「え?それって…」

魔王「そう、奇病を蔓延させる」

僧侶「でも、触れた物を食べなければ意味がないのでは?」

魔王「そう、それでだ」

魔王「奴らの水源を狙う」

戦士「それって…戦の禁忌じゃあ…」


魔王「今、この状況は戦ではない」

魔王「反乱、謀反と呼ばれる物よ」

戦士「だからって…」

魔王「なに、直接的に奇病で殺す訳ではない」

魔王「すこし、内部の混乱でこちらから目を離してくれればいい」

魔王「それに、あの町と違い、治療薬は腐る程あるはずだ」

戦士「犠牲はでないと?」

魔王「恐らく」

戦士「…まあいいか」

魔王「正攻法では勝てぬのだ」

魔王「よし、それでは運ぶとするか」

魔王「魔法陣はこれで良し」

魔王「いくぞ…"行けっガーゴイル!君に決めたっ!"」ピキーーン

ガーゴイル「うがーーーっ」

勇者一行「「「工工エエェェ(´д`)ェェエエ工工」」」

魔王「…何だ貴様ら…少し言ってみたかっただけだ」

魔王「さ、さぁ!ガーゴイル!そこの馬鹿でかい岩を運ぶのだ!」

ガーゴイル「うーっす」

勇者「毎度思ってたんだけどさ」

戦士「なんだ?」

勇者「ガーゴイルの鳴き声って、うがー、かうーっすだよね」

戦士「確かにな」

勇者「それがどうってわけじゃないけどさ」

勇者「なんか可愛いね」

戦士「そ、そうだな」

魔王「場所は分かるな?」

ガーゴイル「うーっす」

魔王「なに?分からんだと?」

ガーゴイル「うーっす…」

魔王「あそこだあそこ」

ガーゴイル「うーっす」

魔王「早くいかぬか!」

ガーゴイル「うーっす」バサバサ

魔法使い「私達には全部うーっすにしか聞こえないけど…」

僧侶「なにか、聞き分けるコツでもあるんですかね?」

魔王「何だ貴様ら」

魔法使い「いえいえべつにー」

魔王「さ、今度は普通の鉱物を採取しに行くぞ」

勇者「心当たりは?」

魔王「…野生のオークやらゴブリンが被っているヘルメットはどこで作られてると思っておる」

勇者「あぁー!なるほど」

魔王「行くぞ!」

~魔王軍製鉄所~


勇者「名前の割には穏やかなとこだね」

魔王「半分、魔法で動かしているのでな」

魔王「そんなに騒がしくはならんのだ」

魔法使い「てっきり雷とか落ちてくるような怖いとこかと思ってたわ」

戦士「本当静かだな…」

僧侶「で入りしてる魔物もどこか穏やかな表情ですね」

魔王「言ったであろう、魔物は本来友好的であると」

魔王「貴様らが単身乗り込んでも、先に手を出さなければ問題ないぞ」

みてくれてる人居るのかな

今日は落ちます
お休みなさい

この世界の魔物は一匹残らずノンアクティブって事だよな?
何で誰も気付けなかったのよ、世間知らずとか超ド級のアホが魔物で遊ぼうとか考えなかったのか

ただいま戻りました支援感謝します
近々再開します

>>58
その辺はまあ、ssと言うことで目を瞑って頂きたいのですが
この世界の人々は先々代魔王制圧下以前の魔物のイメージのまま固まっております
当然、魔物を使い遊ぶような輩もおりましたが、魔物の遊ばれるのはごめんですので当然抵抗します
結果的に、魔物=凶暴という考えが定着してしまっていたわけです
でも、どこか穏やかな村などでは魔物と人々が和解をして共に暮らして居るかも知れません

つづき


勇者「へぇー…魔物に敵意は無かったのか…」

魔王「何度も言っておろうが」

魔法使い「まあ、子供の時からそう教えられて来たから…今更考え直せってのは少しむつかしいと思うわ」

魔王「ふん、愚かな者よ…」

僧侶「そうですね…人が心身共に成長するように魔物も進化しているのですね」

戦士「なんだか…今まで切り捨てて来た魔物がそんな風だったなんて…」

魔法使い「あら、あんたもセンチメンタルな所あんのね」

戦士「てめぇ!」

魔王「よさぬか貴様ら!ほらみろ、魔物が怯えておる」

戦士「え…」

魔法使い「魔物って耳いいのね…」

魔王「魔物だからな」

子魔物「グルル」ガタガタ

魔王「安心せい、味方だ」

子魔物「グルル?」

魔王「ああ、襲ったりしないとも」

子魔物「グルル♪」

魔王「そうだな、挨拶して来るがよい」

勇者「な、なんか来たよ…」

戦士「…っ!」チャキ

僧侶「戦士さん!武器から手を離して下さい」

戦士「くっ…すまん、条件反射でな…」

魔法使い「ほらほら、こっちおいでー」チョイチョイ

子魔物「グルルー♪」

魔法使い「あ、なにこいつ…柔かーい!」

僧侶「え?!こんな形そうなツノはえてますけど…」

魔法使い「これもぷにぷにしてるわ…」ツンツン

僧侶「ほ、本当ですか?私も…」ツンツン

子魔物「グルゥ♪」

魔王「子魔物だからな、まだ未熟故、柔らかいのだ」

戦士「本当にやわらけぇな」フニフニフニフニ

魔法使い「気持ちい~♪」プニプニプニ

僧侶「本当ですねぇ」ツンツンツンツンツン

子魔物「グ、グルル」

魔王「こら、困っているではないか」

魔法使い「あ、ゴメンね?」

僧侶「柔らかくてつい…」

戦士「…」プニプニプニプニプニプニプニプニ

僧侶「せ、戦士さん?」

戦士「…はっ!」

魔王「貴様…男のくせに実はウサギなど愛でるタイプだな」

戦士「う、うるせぇ!」

魔王「意外だな」

戦士「だだだ黙れぇぇぇ!」

子魔物「グル?」

戦士「うっ」キュン…

魔王「男のキュンほど気持ちの悪い物は無いな」

戦士「死ね!」

魔王「クハハ!一度死んだわ!」

僧侶「あれ…そういえば勇者さんは?」

魔法使い「そういえばさっきから居ないわね」

戦士「子供じゃあるまいし迷子なんてないよな」

魔王「勇者なら、さっき製鉄所に入って行ったぞ?」

魔法使い「なんでいかせたのよ!危険…じゃあないのよね?」

魔王「いかにも」

僧侶「はぐれちゃ嫌ですし、直ぐに追いかけましょう」

魔王一行「「「はーい」」」

魔王「こちらだ」

魔法使い「随分こじんまりとしてるのね」

魔王「人間のそれと違い、我々は必要最低限な分しか製鉄せぬ」

魔王「環境との共存、自然との調和」

魔王「それこそが、真の平和に繋がると思うておる」

戦士「どこぞの牧師みてぇなこと言いやがるな」

僧侶「素敵じゃありませんか…」

魔法使い「魔王って…なんだか、人間みたい」

魔王「姿形が違うだけだ、思うておることは同じだ」

魔法使い「なるほどね」

戦士「俺たちは少し、姿形に囚われすぎたかもしれんな」

僧侶「本来、魔物と人間という線引きさえ、いらないのかも知れませんね」

魔王「…貴様らが話せる奴らで良かった」

戦士「そんなに褒めんなって」

魔王「…まあよい」

魔法使い「あ、あれ勇者ちゃんじゃない?」

戦士「ん?本当だな、あんなとこでなにしてんだ?」

僧侶「勇者さーん!」

魔王「あれは…休憩所だな」

勇者「ううぅ」

僧侶「勇者さん、なにしてらっしゃるんですか?」

勇者「トランプ…」

僧侶「こちらの方々と?」

勇者「うん…」

ゴーレム「…」

インキュバス「…」

スライム「…」プルルン

魔法使い「で、どうしたの?」

勇者「皆強すぎて勝てない…」

戦士「勇者はトランプ苦手だからなぁ」

魔王「なにをしておる貴様ら」

ゴーレム「グ…ゴゴ」

インキュバス「・ー・-・・」

スライム「…」プルル、プルルルン

魔王「なるほど、新しい相手ができて良かったな」

魔王「少しは手加減してやるのだぞ?」

魔物三人組「「「…」」」コクン

魔王「どうする勇者、まだ遊ぶか?」

勇者「うん!皆の言いたいこと大体理解できて来たし…アドバイスもらいながら勝てるまでやるよ!」

魔王「では、我輩達は銃の制作に取り掛かる飽きるまでやっていて構わんぞ」

勇者「ありがと魔王!」

魔王「ククク…」

戦士「本当に親みたいだな」ボソボソ

僧侶「本当ですね」ボソボソクスクス

魔法使い「可愛いじゃない2人とも」ボソボソ

魔王「貴様ら、全部聞こえておるぞ」

一行「「「ギクッ」」」

魔王「まったく…こっちだ行くぞ」スタスタ

一行「「「はーい」」」

魔王「ここだ」

ガーゴイル「うーっす」

魔法使い「あ、ガーゴイル」

ガーゴイル「うがー」

魔法使い「なんて言ってるの?」

魔王「ふむ、"おひさ☆"と」

魔法使い「え…?」

魔王「事実だ」

魔法使い「お、おひさ…」

ガーゴイル「うーっす」

魔王「"取り敢えず作業しよう"と申しておる」

僧侶「そ、そうですね」

戦士「オリジナルの銃だったな!」

魔王「貴様ら、銃の構造をここに書け」

魔法使い「はいはーい」

そこから、設計が始まった

魔法使いの描いた設計図を元に、各々でアイデアを出し合い
確実に完成へと近づいていった

一体感とは実に心地よい
かつて、側近とどうしたら人と分かり合えるかを議論した時も似たような感じがした気がする

まさか、あの時の議論の内容がこんなに早くやって来るとは思っては居なかった
これも、側近のお陰だろうか…
《魔王さま!近くに人の住む町が作られました!これで少しは仲良くなれますね!》

《魔王さま、最近お元気がありませんが…?お悩み事でしたら、いつでもおっしゃってくださいね!》

《魔王さま!人間の賊が!魔物が襲われております!》

《魔王さま!》

《側近は、いつでも魔王様の味方ですからね…》

《魔王さま!》

《側近は…もうダメです…私を置いて…》

《魔王さま!およしになってください!》

《魔王さま…危険な真似は…側近のために、命など賭けないで下さい…》

《魔王さま…》

《私は…私は魔王さまのこと…》

「魔王??」

魔王「…!」

勇者「魔王?どうしたの?」

魔王「な、なんでもない。少し、昔を思い出しただけよ」

魔王「それにしても、何時の間に戻ったのだ」

勇者「えっとね、魔王がちょうど黙り始めた頃」

魔王「そうか、銃のほうはもうすぐ完しそうだぞ」

勇者「すごーい!皆流石だね!」

魔法使い「うん、こんな感じでどうかな」

戦士「お、この形なら持ちやすくて良さそうだな」

僧侶「魔力を弾に宿すのですね!」

魔王「なるほど、画期的だな」

勇者「魔法防御陣には実弾が当たる、たとえ実弾の方を防がれても魔力弾があるってことだね」

魔法使い「そそ、さっすがあたし♪」

魔王「ふむ、今回は手柄だな魔法使い、褒めてつかわす」

魔法使い「なんで上からなのよ…」

戦士「まあまあ、いいじゃねぇか!早速作製しよう!」

魔王「聞いていたろう!ドワーフ!早速頼む!」

ドワーフ「へい!任してくんさいな」

勇者「え、人語を話せるの?」

ドワーフ「わっちらは、比較的姿形が人間に似てますんで…姿を隠して言葉を話せれば適応できるんで」

勇者「なるほど、それで覚えたと」

ドワーフ「ええ、それでは、行ってまいります」

魔王「頼む」

ドワーフ「へいへーい」スタコラ

勇者「気の良さそうな魔物だね」

魔王「極度の働き者でな、重宝しておる」

僧侶「お仕事命なんですね」

戦士「偉いやつだな」

魔王「では、出来上がるまでどうする」

魔法使い「そうねぇ、どれくらいなのかしら?」

魔王「恐らく、4時間もあれば事足りる」

僧侶「そうですね、4時間と言われますとなかなか時間がありますね」

戦士「なんかすることあるか?」

勇者「…んー、例えば魔物の皆にオリジナル銃の使い方を指導するとか?」

魔王「現物が手元にあれば説明できるが…」

勇者「そっかぁ…」

魔王「ぬ、そうだ、魔物達に通信用の陣を書こう」

僧侶「それって…要するに刺青ですか?」

魔王「まあそうなる」

僧侶「綺麗な体にそんな物を彫るなんて…」

魔王「貴様、魔族を何と思うておる」

魔王「刺青如きのもの、自身の治癒力で消えるわ」

僧侶「さ、流石ですね」

魔王「そうと決まれば…魔法使い!我輩とと共に来い!」

魔法使い「えっ、そんな、私…まだ心の準備が…」

魔王「…」シラー

魔法使い「な、なによ!冗談よ!冗談!」

魔王「…行くぞ」

魔王「残りの貴様らは休憩するなど、好きなことをしておればよい、では」スタスタ

魔法使い「ち、ちょっと待ちなさいよっ」

魔王「貴様が遅いのだろう」

魔法使い「ハイヒールなの!速く歩けないのよ!」

魔王「ぬ、そうか…」

魔法使い「もう!」

魔王「ではこうしよう」ヒョイ

魔法使い「え、ええぇ?」

魔王「我輩が貴様を運べば早い話よ」

魔法使い「ちょ、まってよ!恥ずかしいって!\\\」ジタバタ

魔王「ええい、動くでないわ!」

魔法使い「だ、だってお姫様だっこだなんて…」

魔王「ふん」ツカツカ

魔法使い「ううぅ…」ギュッ

魔王「ほら、ついたぞ」

魔王「ここならば全ての魔物を集められるな」

魔法使い「…\\\」

魔王「なにをしておる、速く降りぬか」

魔法使い「…\\\」ギュ

魔王「…」ポイ

魔法使い「キャァッ」

魔法使い「投げるなんて酷いじゃない!」

魔王「降りろと申したであろうが!」

魔法使い「も、もう少しくらい…いいじゃない….」

魔王「…チッ」

魔王「帰りもやってやる、だからまず働け」

魔法使い「…\\\」コクン

ぬおっ、\ = /としてください!
ゴメンなさい!

魔王「ほら、ついたぞ」

魔王「ここならば全ての魔物を集められるな」

魔法使い「…///」

魔王「なにをしておる、速く降りぬか」

魔法使い「…///」ギュ

魔王「…」ポイ

魔法使い「キャァッ」

魔法使い「投げるなんて酷いじゃない!」

魔王「降りろと申したであろうが!」

魔法使い「も、もう少しくらい…いいじゃない….」

魔王「…チッ」

魔王「帰りもやってやる、だからまず働け」

魔法使い「…///」コクン

魔王「皆の衆!よく聞くがよい!」


そうして、魔物たちひとりひとりに刺青を彫っていった
作業も中盤に差し掛かった頃、魔法使いが倒れた
無理もない、2時間も魔力を放出し続けたのだ
我輩はそっと、寝室に魔法使いを寝かせ作業にもどった

魔王「お前で…最後だな」

子魔物「グルル」

魔王「本当は、子供など使いたくないのだがな」

子魔物「グルル!」

魔王「クハハ!子供扱いするなと!」

子魔物「グル!」

魔王「ふふ、魔王にそんな口きけるとは…次期魔王候補か?」

子魔物「ぐ、グルルー!」

魔王「あぁ、楽しみにしているぞ」

勇者「魔王」

魔王「ぬ?」

勇者「終わった?」

魔王「つい先ほどな」

勇者「少し…話がしたいんだ」

魔王「構わぬ」

魔王「ほら、親の元へゆくがよい」

子魔物「グルルー」タッタッタッ

勇者「…」

魔王「話とは?」

勇者「…僕の望む…平和と正義」

魔王「そんな物、貴様にしかわからぬだろう」

勇者「だよね…」

魔王「ただな」

魔王「貴様は我輩を解放し、助けを求めた」

魔王「この時点で、貴様の望む全ての事は…我輩と同じ物という事ではないのか?」

勇者「…まあ」

魔王「我輩の正義とは、自己犠牲だ」

勇者「なんでまた…?」

魔王「何度も申すが、我輩は魔物の王」

魔王「王が民にできる事は、その身を尽くす事」

魔王「すなはち、自己犠牲であると考えておる

魔王「だからと言って、自己犠牲を押し付けるつもりは毛頭ないが」

勇者「自己犠牲…」

魔王「そして、我輩の望む平和とは…」

余りに幼稚
余りに、非現実的
余りに理想
余りに妄想

それでも、我輩が一途に求め続ける平和
それは…

魔王「人と、魔物の調和だ」

勇者「…」

魔王「以上だ」

勇者「…」ウルウル

魔王「?どうした」

勇者「…っ」ポロポロ

魔王「何故泣く」

勇者「…っ…っ…」ポロポロ

魔王「どうした」

勇者「…僕の…」ポロポロ

勇者「…っく…僕のお父さんと…同じ事を言うから…」ポロポロ

魔王「貴様の父?」

勇者「…ぅ…っ」ヒック

魔王「そうだな…選手交代だ、次は貴様が話せ」

魔王「その、父とやらについて」

勇者「…う…ん」ヒックヒック

勇者「…僕のお父さんはすごくいい人だった」

勇者「町でも好かれる、誰にでも優しい市長だった」

勇者「父はいつも言ってた…魔物は…本当はとてもいい奴らなんだよと」

勇者「僕も、皆もそんなの信じてはいなかった」

勇者「でも、父の事が好きだった」

勇者「父は寝る前に話を聞かせてくれた」

勇者「何処かに住むエルフの女と人間の男の恋物語」

勇者「同じ夢を持つ、ゴーレムとお爺さんの話」

勇者「そして、魔物と人間が共に暮らす平和な町の話」

勇者「どれも、いい話だった」

勇者「でも、心の底で、どうせ絵空事とバカにしていた」

勇者「ある日、町に一匹のスライムが迷い込んだ」

勇者「スライムはなぜか酷く興奮状態にあって、誰も手を付けられなかった」

勇者「そこに、父がやってきた」

勇者「父はスライムに優しく語りかけた」

勇者「"怖くない、怖くない、僕は敵じゃないよ"と」

勇者「スライムが落ち着きを取り戻しかけた時、1人の貴族がスライムに石を投げつけた」

勇者「攻撃を受けたスライムは素早く貴族の中に入り、八つ裂きにした」

勇者「父は必死で両者を止めた」

勇者「でも、届かなかった」

勇者「その混乱の中、父は必死にスライムの盾となった」

勇者「その結果、死亡した」

勇者「父は最後の時までうわ言のように"あいつは悪くない、あいつは悪くない"と呟いてた」

勇者「それが、僕の父」

魔王「…」

勇者「僕の父は偉大だ」

勇者「いまでも、誇りに思う」

勇者「だから…そんな父と同じ事を言う魔王を見て、少し父を思い出しちゃった」

勇者「ゴメンね」

魔王「…」ギュゥゥゥゥゥ

勇者「え、え?」

魔王「…」ギュゥゥゥゥウッ

勇者「ちょ、魔王!苦しいって!」

魔王「…」スッ

勇者「どうしたのさ…急に…」

魔王「我輩もよくわからぬ」

魔王「だが、こうした方がいいのではと思ったので実行してみたまで」

勇者「…ふふっ」

魔王「やはり、変だったか?」

勇者「ううん、元気が出た」

魔王「それは良かった」

勇者「ありがとう、魔王」

魔王「うむ」

き、今日はここまで…
明日…ラストスパートかけるんだ…全ては明日…おやすみなさい

ドワーフ「魔王様!」

魔王「ぬ、ドワーフか」

ドワーフ「へい、完成しやしたんでお伝えしに参りました」

魔王「おお!そうか!それでは皆を読んで来る」

魔王「ここに出して置いてくれ」

ドワーフ「へい!」

勇者「僕、皆を呼んでくるね」

魔王「頼む、我輩は魔法使いを起こしてくる」

勇者「うん!」

~寝室~

コンコンコン

魔法使い「はーい」

ガチャ

魔王「調子はどうだ」

魔法使い「あ、う、うん!いい感じよ♪」

魔王「ならばよかった、まさか倒れるとは思うておらなんだ」

魔法使い「あはは、ゴメンなさいね」

魔王「気にするでない、それより、銃が完成したぞ」

魔法使い「本当に?!」

魔王「ああ、皆待っているぞ」

魔法使い「待たせちゃ悪いわね…いきましょ」

魔王「うむ…」

魔王「…!」ヒョイ

魔法使い「ななななな何よ!」ジタバタ

魔王「先ほどの約束を思い出したのだ」

魔法使い「そ、それはっ」

魔王「ほら、行くぞ」

魔法使い「ううーっ///」

魔王「待たせたな」

僧侶「な、なんですかそれは!」

魔王「む?運んでいるだけだが」

魔法使い「み、見ないで…///」

戦士「ははっ、仲がいいんだな」

魔法使い「いやあ…」

魔王「ほら、降りるがよい」

魔法使い「…っ」タタタッ

勇者「いいなぁ、魔法使い…」

戦士「やってもらえよ、勇者」

魔王「…拉致があかぬわ」

魔王「早く銃を確認させぬか」

戦士「それもそうだな、ドワーフ!頼む!」

ドワーフ「へいへい、戦士さん」

ドワーフ「こちらになりまさ」

ガチャン

そこには、装飾など一切施されていない無機質な鉄の銃が置かれていた
装飾などが無く、ただ一途に洗練された物というのは何故か美しい
鍛え抜かれた肉体がそうであるように
極められた憲法がそうであるように
目の前にある銃は、完璧なまでに美しかった

勇者「すごい…」

僧侶「キレイ…」

戦士「なんだろうな…美しいとしか言えない」

魔法使い「…」

魔王「ふむ」

ドワーフ「どうでしょう…」

魔王「ドワーフよ」

ドワーフ「へ、へい!」

魔王「完璧だ」

ドワーフ「あ、ありがとうごぜぇます!」

魔王「本当に美しい、よくやった」

ドワーフ「ありがたき幸せで…」

魔王「勇者!試し撃ちを!」

勇者「う、うん!」

ドワーフ「弾はこちらになります」

勇者「ありがとう、ここに…こう」カチャッ

勇者「狙って…」

勇者「爆発呪文…」

ズドォォォン!

勇者「うわわっ」ヨロロッ

魔王「大丈夫か」ポフッ

勇者「うん、少し油断しただけ」

魔王「ならば良かった、魔力の減りはどうだ」

勇者「いいね、殆ど込めてないけどこの威力…増幅はちゃんと機能してるね」

戦士「いいな、これなら魔物でも扱える」

魔王「撃たせてみよう」

魔王「ドワーフ!」

ドワーフ「へ、へい!」

魔王「撃ってみろ」

ドワーフ「いいんで…?」

魔王「この銃は貴様のお陰で完成したのだ」

魔王「貴様意外に適任などおらぬだろう」

ドワーフ「へい!」

ドワーフ「…」カチャッ

ドワーフ「…っ」

ズドォォン!

ドワーフ「ふひゃぁ」

魔王「どうだ」

ドワーフ「最高です!」

魔王「クハハ!それはよかった」

魔王「それでは、量産を始めてくれ」

魔王「弾のほうも同時に頼む」

ドワーフ「お任せくだせぇ!」

魔王「クハハ!頼もしいな!」

魔王「…ふむ」

勇者「また、時間ができちゃったね」

魔王「3日…」

魔法使い「え?」

魔王「3日あれば出来るとドワーフは言っていた」

戦士「3日か…」

僧侶「それまで、こちらの動きを隠し切れますかね…」

魔王「無理だろうな」

魔法使い「どうするのよ」

魔王「別の場所で…騒ぎを起こし、引きつけるか」

僧侶「危険では…?」

魔王「我輩単身で行う」

戦士「は?!なにいってんだよ!」

魔法使い「勝手なこと言わないでよ!3日よ?!流石のあんただって、完全武装した王国軍に勝てるわけない!」

魔王「勝つとは言ってはおらぬ」

魔王「貴様らに死なれては困るので、引きつけるためだ」

勇者「だからって危険すぎる!魔王は死ぬつもりなの?!」

魔王「まあ、民の為ならば厭わぬ」

勇者「…っ!」

戦士「てめえがいなくなったら魔物はどうするんだよ!」

魔王「貴様らがおるではないか」

戦士「なっ…」

僧侶「たしかに…私たちは…魔物の味方ですが…」

魔王「ならば構わぬだろう」

僧侶「ですが!魔王は、魔物の王はあなたです!私たちではありません!」

魔王「…だからだ」

僧侶「え…?」

魔王「王であるからこそ!民の為にこの命を賭けねばならぬ!」

魔王「王であるからこそ!この力を、民の為に奮わんでなんとする!」

魔王「王であるからこそ!我輩は…王であるからこそ!貴様らに後を託すのだ!」

魔王「意見は変わらぬ。なにを持ってしてもな」

勇者「…僕も行く」

魔王「断る」

勇者「だって…絶対に無理だよ!」

魔王「それでも行かねばならぬ」

勇者「他にも方法はあるはずだよ!」

魔王「ほう、では述べてみよ」

魔王「最小の被害で、長期間持続でき、その後の作戦にも支障をきたさぬ」

魔王「そんな策が他にあるというのか!」

勇者「それは…」

魔王「…無いであろう」

勇者「でも!」

魔王「勇者よ、反論とは、具体案が浮かんだ時以外するでないぞ」

魔王「なんの策も無いのに、あれは嫌だ、これは嫌だと言っておっては日が暮れるわ」

勇者「…っ」

戦士「本気かよ」

魔王「我輩、冗談は余り好かぬ」

戦士「…」

魔法使い「あんた!頑固なのもいい加減にー」

戦士「魔法使い!!」

魔法使い「…っ」

戦士「こいつは、もう誰にも曲げられねぇ」

戦士「一度覚悟決めてんだ、二度と諦めんさ」

魔法使い「だったら!魔王が死んでもいいっていうの?!」

戦士「死ぬとは限らんだろうが!!」

魔法使い「あんたバカなの?!無理に決まってんでしょ!」

魔王「魔法使い…貴様は、なにを持って無理とする」

魔法使い「それは…兵力差よ…」

魔王「我輩がたかが一国の軍隊に滅ぼされるとでも?」

魔法使い「だって…」

魔王「我輩は魔王だ、死ぬ覚悟はあっても死ぬ気などないぞ」

魔法使い「さっき、死すら厭わないって言ったじゃないの!」

魔王「最悪、死んでも止めるということだ。死ぬ気など毛頭ない」

魔法使い「…」

僧侶「…魔法使いさん」

魔法使い「…なによ」

僧侶「魔王さんを…信じるしかないのではないでしょうか…」

魔法使い「あんたまで…」

僧侶「私だって、本当は反対です…」

僧侶「でも!魔王さんの覚悟を見せられたら…応援するしかないじゃないですか…」

魔法使い「…っ」

魔法使い「…ああもう!勝手にしなさいよ!勝手に行って勝手に逝けばいいのよ!」

魔王「…」

魔法使い「さよなら、魔王さん!もう会うことも無いでしょうね!」ツカツカツカ

勇者「…」

僧侶「…」

戦士「…」

魔王「…今夜出る」

勇者「…うん」

~夜~

魔王「…」コソコソ

戦士「よお」コソッ

魔王「!!」

戦士「お別れだな」ヒソヒソ

魔王「…ふん、我輩が死ぬとでも?」ヒソヒソ

戦士「…そうだな、お前は死ぬ」ヒソヒソ

魔王「なんだと?」

戦士「声がでけぇよ」ヒソヒソ

魔王「我輩は一度死んでおる」ヒソヒソ

戦士「わかってるくせに」

魔王「…」

戦士「お前は死んでたんじゃない」

戦士「伝説の剣によって封印されてたんだ」

魔王「…」

戦士「なぜ、伝説の剣が封印しか出来ないか分かるか?」

戦士「お前が世界に必要だからだ」

戦士「お前がいるからこそ、平和の有り難みが分かる」

戦士「お前がいるからこそ、国は一丸となれる」

戦士「お前のおかげなんだよ、全て」

魔王「…くだらぬ」

戦士「あぁ、くだらないことさ」

戦士「ま、俺はお前を止めねぇよ」

魔王「…」

戦士「…だが、死ぬなよ」

魔王「ふん…善処する」

戦士「じゃあな」

魔王「うむ」ツカツカツカ

魔王「…」ツカツカツカ

僧侶「ばあっ」バッ

魔王「!!」

僧侶「びっくりしました?」

魔王「…何の用だ」

僧侶「お別れを言いに来たんです」

魔王「…それだけか」

僧侶「…」

魔王「…」ツカツカ

僧侶「…っ」ギューーーーーッ

魔王「…なんの真似だ」

僧侶「…行かないで…下さい…」

魔王「またそれか、貴様は納得したのでは無いのか」

僧侶「納得なんてできるわけないじゃないですか!」ウルウル

魔王「…これだから雌は好かぬ」

僧侶「…」

魔王「…我輩の覚悟は揺らがぬ」

魔王「それだけだ」

僧侶「じゃあ…」

僧侶「ひとつだけ…約束してください」

魔王「なんだ」

僧侶「また、会いましょう」ウルウルウル

魔王「…ふん」ツカツカ

僧侶「約束ですからね!!」ウルウル

魔王「…心得た」ボソッ

僧侶「…っ」ポロポロ

魔王「…ふぅ」ツカツカ

勇者「…」

魔王「…」ピタッ

勇者「…いってらっしゃい」

魔王「…あぁ、いってくる」

勇者「魔王、知ってる?」

勇者「いってらっしゃいって言われて、返事をしたら、そこに帰らなきゃいけないんだよ」

勇者「帰って来てよ?」

魔王「ククッ…」

勇者「帰ってくるよね?」ウルウル

魔王「…」ツカツカ

勇者「…」ポロポロ

魔王「…いってきます」

勇者「…うわぁぁん!」ポロポロポロポロ

魔王「…」ツカツカツカツカ

魔王「…そこに居るな」

「流石魔王ね」

魔王「殺気が溢れておる」

魔王「殺してでもも、止めるつもりか」

「そうよ」

「私は…あなたに死んで欲しくない」

「だから、私が殺すの」

魔王「クハハッ!矛盾しておるぞ」

「うるさいわね」

「この気持ちなんてあんたには分からないでしょうね」

魔王「たしかに分からぬな」

「…そんなわけだから…」

「死んで?」ゴオオオオッ

魔王「クハハ!」スッ

魔王「まだまだ貴様は未熟よ」ガシッ

魔法使い「は、離しなさいよ!」

魔王「離さぬ」

魔法使い「なんでよ…なんで…行っちゃうのよ…」

魔王「再三説明したであろう」

魔法使い「あんなので…納得なんてできるわけないじゃない!」

魔王「僧侶と同じ事をいいおる」

魔法使い「え…」

魔王「可愛いやつよ…」

魔法使い「な、なにが可愛いよ!」

魔王「ククク…慌ておって」

魔王「殺気が消えたぞ?」

魔法使い「っ…」

魔王「約束しよう」

魔王「我輩は、死んでも帰ってくる」

魔王「必ず帰ってくる」

魔王「だから、待っていてくれ」

魔法使い「…」ウルウル

魔王「後は頼んだぞ」ツカツカ

魔法使い「…待って!」

魔王「ぬ?」

魔法使い「…」チュ

魔王「!?」

魔法使い「生還の…おまじないよ」カアァァァ

魔王「ククッ…」ツカツカ

魔法使い「約束は守りなさいよ!絶対に!」

魔王「クハハハハッ!善処するとも!」ツカツカ

魔法使い「…」ポロポロ

我輩は、作戦予定地の反対側

王国城の真正面に向かって歩みを進めた


なぜ、奴らは殺すはずであった魔王の為に泣くのか
理解ができなかった

魔法使いに至っては…
いや、なんでもない
今回の出来事で分かったことがある
人とは、何よりも、感情に流されやすい物だと
我輩は、そんな人が好きであると

人とは実に面白い
見ていて飽きることはないだろう
奴らには、色々な感情が渦巻いている

怒り、悲しみ、憎しみ、喜び、etc…

まるで、湖の水面のように多様な顔を持ち合わせている

実に、実に愉快だ

製鉄所を出て、どれくらい経ったろうか

王国城の明かりが見えてきた

それとは裏腹に、城下町の暗く沈んだ雰囲気は見ているこちらも悲しくなりそうな程だった
城からは楽しげな音が聞こえる
恐らく宴会でも開いているのだろう

腐っておる
城下町で、沢山の人々が悲しみに暮れている頃
王は楽しく宴会だと…

我輩の中に、沸々と怒りがこみあげてくるのがよく分かった

夜襲だ
できるだけ派手に暴れてやろう
勇者達に目が向かぬよう
派手に、派手に…

魔王「クハハハハハハハハ!」

チュドォォォォン

魔王「魔王様のお出ましだぁぁぁぁぁぁあっ」

「王様!魔王が!」

王「ふん、退魔機銃部隊を出せ」

「はっ!」

魔王「かかってこぬかぁぁぁぁぁああ」

機銃部隊長「構えええええええええええっ」

機銃部隊長「てぇぇぇぇぇぇっ」


ダダダダダダダダダダダダダダダダダ

魔王「グオオオオオッ」

魔王「効…か…ぬわぁぁぁぁぁぁぁっ!」

ズドォォォオォオオオオオオン

機銃部隊長「うわぁぁぁぁぁあっ」

魔王「貴様らの力はそれで全てかぁぁぁあっ」

ズガァァァァァアァァァン

退魔法部隊長「陣を組めぇぇぇぇえ!」

キィィィィィィイイイィィイン

魔王「させるかぁぁぁぁぁああっ」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴコ

退魔法部隊長「やられるなぁぁぁあああ!!発動だぁぁぁああ!」

ギキィィィィィィィイイイイィィイイイ

退魔法部隊長「捕らえろおおおおおおおおおおおっ」

カァァァァァァァァア

魔王「うごぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおっ」

ビリビリビリビリビリ

機銃部隊長「今だ!ってぇぇぇぇぇぇぇぇえ!」

ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ

魔王「ぐああああああああああああああああああああっ」

魔王「まだまだ…負けぬわぁぁぁぁあああ!」

バリバリバリバリバリバリバリバリバリ

魔王「滅びよ王国!来たれ破滅!」

魔王「はぁぁぁぁぁぁぁああっ」

ゴォォォォォォォオオオオオオオ

魔王「爆ぜよ!!」



カッッッッッッ



ボオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン

「国王様!魔王が消えました!」

「我が軍の被害は甚大、暫くは城の警護が精一杯かと」

王「チッ…城周りの警護を続け、逃げた魔王を追撃せよ!」

「はっ!」

魔王「ふぅっ…はぁっ…」

魔王(何とか…生き延びたな…)

魔王(まさか城下町に侵入できるとは思っては居なかったが…)

魔王(この傷は…まずい)

魔王(何とかして隠れねば…)

魔王「…そうだ」

ゴクゴクゴク…

魔王「ふぅ…」

魔王(魔法使いに貰った回復薬…助かった…)

魔王(あと…2日)

「だあれ?」

魔王「!!」

「お怪我してるの?」

魔王「あ、あぁ…」

「うちにおいで、手当したげる!」

魔王「しかし…」

「いいからはやく!」

魔王「あぁ…」

~とある民家~

「はい、これでよし!」

魔王「すまぬ」

「おじさんはどこから来たの?」

魔王「ぬ、向こうの山を超えて来たのだ」

「すごーい!遠くからきたんだねぇ!」

魔王「まあな」

「へぇぇ…」

魔王「其方の名は?」

「あたし?私は少女!」

魔王「少女か…手当をありがとう」

少女「うふふ、お母さんに習ったんだよ?」

魔王「いい母上だな」

少女「でしょ?そろそろ帰ってくるはずだけど…」

魔王「ふむ、それでは我輩は行かねばな…」

少女「なんで?お母さんに紹介したいのに…」

魔王「母上は、恐らく我輩を怖がるだろう」

少女「おじさんは悪い人なの?」

魔王「まあ、皆にはそう思われている」

少女「本当は違うの?」

魔王「そうだな、悪い事はしていないはずだ」

少女「それなら大丈夫!」

魔王「なぜ?」

少女「私のお母さんは良い人と悪い人を見分けれるの」

少女「だから、おじさんは大丈夫」

魔王「ほう…」

「ただいまー」

少女「あ!お母さんだ!」

「あら…どなた?」

少女「えっとねーお怪我してたから、私が手当てしてあげたの!」

「そうなの!偉いわねえ」

少女「えへへー」

魔王「よく出来た娘さんですな」

「それほどでもございませんわ」

魔王「申し遅れた、我輩…魔王と申す」

「魔王…!」

魔王「…」

「私は母と申します」

母「私は、貴方の味方です」

魔王「なんと…」

母「魔物は…優しいです」

魔王「なぜそれを…」

母「昔、

母「昔、森で転落し、大怪我を負った事がありました」

母「その時に、一匹のゴーレムに遭遇したのです」

母「私は死を覚悟しました」

母「しかし、ゴーレムは私を助けてくれたばかりか、薬草を採取し、傷の治療をしてくれました」

母「それ以来、魔物は優しいのだと感じ、共に暮らして参りました」

魔王「なんという…思いは伝わっておったのか…」ポロポロ

少女「おじさんなんで泣いてるの?傷がいたいの?」

魔王「いや…おじさんは…嬉しいんだ…」

母「あなたがここにいるという事は…昨日の騒ぎを起こし、逃れてきたのでしょう?」

魔王「…」

母「あなたのような方が、あんな事をするのには理由があるはずです」

母「どうぞ、ご用件がお済みになるまで、お世話をさせてくださいませ…」

魔王「…あり難き幸せ…」

魔王「お言葉に甘えさせて頂く」

母「よかったです…では、お夕食を作りますね」

魔王「お手伝いいたそう」

母「よろしくお願いします」

~夕食後~
少女「おじさん!」

魔王「どうした少女」

少女「魔法おしえて!」

魔王「魔法を?」

少女「そう!魔法がつかえれば、お母さんのお手伝いが出来るから…」

魔王「立派だな」

魔王「よし、役に立ちそうなのを教えてやろう」

少女「ありがと!」

魔王「難しいから覚悟するのだな」

少女「うん!頑張る!」

少女「…zzz」スゥ…スゥ…

魔王「眠ったか…」

魔王(明日…銃の量産が終わる…)

魔王(作戦開始は明後日の正午)

魔王「明日の…夜…もう一度…」

母「魔王様…」

魔王「!!」ビクッ

母「申し訳ございません、聞こえてしまいまして…」

魔王「…よい、話そう」

母「ありがとうございます」

我輩は全てを話した

母は何の疑いもなく聞いてくれた


母「勇者様が…」

魔王「ああ、明後日の正午に作戦

我輩は全てを話した

母は何の疑いもなく聞いてくれた


母「勇者様が…」

魔王「ああ、明後日の正午に作戦を開始する」

母「それで…」

魔王「あぁ、我輩は明日の夜にもう一度奇襲をかける」

母「…」

魔王「…」

魔王「…少女が…魔法を教わりたいと言ってきた」

母「少女が?」

魔王「ああ、暮らしの役に立ちそうな物を少し教えておいた」

魔王「この子には才能がある」

魔王「我輩は、明日もしっかり教えてやるつもりなのだが…」

魔王「魔法というのは付け焼刃で行うのは危険だ」

魔王「我輩が発った後も其方に教えを続けて欲しい」

魔王「ここに、一連の練習内容を書いて置いた」

魔王「あとを頼んでよろしいか?」

母「勿論ですとも!」

魔王「ありがとう…それでは…我輩はそろそろ寝るとする」

母「はい、それではまた明日…」

魔王「おやすみ」

母「おやすみなさいなせ」

~朝~
少女「おじさんおじさんおじさん!」

魔王「ぬ!おはよう少女」

少女「魔法おしえて!」

魔王「わかったわかった、その前に朝ご飯だ」

少女「うん!」

~朝食~

母「さあ、召し上がれ」

魔王&少女「いただきまーす」

ハグハグハグ
モグモグ

少女「ごちそーさまでした!」

魔王「こら、少女」

少女「な、なんでしょー」

魔王「好き嫌いは関心せぬな」

少女「うぅ…」

魔王「豊富な栄養を摂ることは、魔力の生成に欠かせぬぞ?」

少女「ううぅーっ…」

少女「あーん…」

少女「…っ」モグモグゴクン

少女「たべたっ!」

魔王「偉いな少女」ナデナデ

少女「えへへー」

魔王「では、魔法を教えよう」

魔王「母!馳走になった!」

母「お粗末さまでした」ニコッ

少女「早く早くー!」

魔王「今行く!」

魔王「さ、昨日の発火魔法を実践してみよ」

少女「うん」

少女「むむむ…」

魔王「力を抜いて…目の前に集中」

少女「ぬぬぬっ」

ポッ

少女「あっ!」

魔王「そこで集中を切らしてはならぬ」

シュウゥ

少女「あぁ…」

魔王「もう一度だ」

少女「うん!」

~夕方~

魔王「凄いぞ少女!今日だけで4つも魔法を覚えたぞ!」

少女「えへへっ」

魔王「よし、おさらいしてみようか」

魔王「発火!」

少女「むっ!」

ボォォ

魔王「噴水!」

少女「ほっ!」

シャァァァア

魔王「念力!」

少女「ほおっ」

石ころ「フワフワ」

魔王「ヒーリング!」

少女「はいぃっ」

パァァァァッ

魔王「完璧だ!」

少女「やったー!」

魔王「それでは、終わりしようか」

少女「えー…」

魔王「休むのも練習のうちだぞ」

少女「うーん…」

少女「また明日…おしえてくれる?」

魔王「…」

少女「教えてくれないの?」

魔王「おじさんは明日にはもうここにはいないんだ」

少女「そんな…」

魔王「ごめんな」

少女「うぅ…」ポロポロ

魔王「…もしも、少女が良いこにしてたら…また、来よう」

魔王「その時は、仲間も連れてくる」

少女「約束?」

魔王「ああ、約束だ」

少女「やぶったら…ないちゃうからね?」

魔王「我輩は約束は破らぬ」

少女「えへへ、わかった」

母「ご飯よー」

魔王「今行く」

少女「いこっ!」

魔王「ああ、楽しみだな」

~夕食後~

魔王「今日は早くお休み」

少女「うーん…」

魔王「体は疲れていなくとも、魔力は精神を使う」

少女「うん、わかった!」

少女「おじさん!約束守ってね!」

魔王「あぁ、わかってる」

少女「じゃ、おやすみ!」

魔王「お休み」

少女「~♪」トテテ

魔王「…さて、行かねば」

母「…そうですか…」

魔王「世話になったな」

母「…お気をつけて」

魔王「なーに、少女との約束を果たさねばならぬ死にはせん」

母「ふふ、少女には私から説明しておきますわ」

魔王「よろしく頼む」

魔王「では…」ガチャ

母「…お気をつけて」


バタン

我輩はまた死ねない理由を作ってしまった

戦士
僧侶
勇者
魔法使い
少女…

約束を守らねばならぬ
守る為に、死ぬわけにはいかぬ

何だかんだ言っても、我輩は死にたくないのかも知れない
分からぬ
わからぬが…やらねばならぬ
民の為、仲間の為、友達の為

我輩はやらねばならぬ

魔王「…ククク」

魔王「傷は完治してはおらぬ」

魔王「だが…」

魔王「うおおぉぉぉぉぉぉおおおおおっ」



チュドォォォオオオン

「国王様!魔王が!」

王「今度こそ仕留めるのだ!」

「しかし、兵士の方が…」

王「兵など構う物か!」

「っ…」

王「さっさとしろ!!」

「はっ…!」

魔王「クハハハハハハハハハハハハ!」

ゴォオォオオオオォォォオオオッ

兵士「ぐぁぁああぁぁぁぁ」

魔王「クハハハァ!」

魔王「うおおおおおおっ!」

退魔機銃部隊長「囲めぇぇぇぇぇえええええええっ」

魔王「ぐおらぁぁぁああぁぁぁあっ」

ゴゴゴォォォォォオオオ

魔法陣部隊長「今だ!発動ぉぉぉぉおっ」


バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ


魔王「ぐぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおぉぉぉぉぉおお」

退魔機銃部隊長「全部打ち込めぇぇぇぇぇぇぇぇええええぇぇぇえええ」

ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ

魔王「ぐぁぁぁぁああっ」

我輩は…

我輩はまだ死ねぬ…

死ねぬ…

魔王「死ねぬのだぁあぁぁぁぁぁあああ!」

ゴバァァァアァアアァァァァァァァ!

魔王「我輩には!約束が…破れぬ誓いがあるのだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

ゴゴゴゴゴオオオオオオオオオ

王国軍「「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ」」」

王国指揮隊長「引くな!撃て!撃てぇぇぇええぇぇぇえええ!」

ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ

魔王「うぐぅぅぅぅうぅぅぅぅっ」

我輩は…負けれぬ…逃げれぬ…死ねぬ…
約束を…守らねば…
誓いを…守らねば…

≪死ぬなよ≫

≪約束してください…また、会いましょう≫

≪魔王知ってる?行ってらっしゃいって言われて、返事したら、そこに帰ってこないといけないんだよ?≫

≪生還の…おまじないよ…≫



魔王「クククク…唇は…柔らかったなぁ…」

魔王「クハハハハハハハハハハハハ!」

「なんだあいつ…笑出したぞ…」

「ひ、怯むな!撃てえ!」

魔王「クハハハハハハハハハハハハハハハ!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

魔王「クハハハハハハハハハハハハハハハ!」

ドォオオオオォォォォオオォォォォオオオオオンンンンンン…

~十数年後~

「こら!練習は集中しないとだめでしょ!」

「はぁーぃ…ごめんなさい」

「ほら、もっかいやるよ?」

「うん!」

「はい、発火から!」

「はいっ」

~とある王国城~

「国王!」

「やめろよその呼び方…」

「王は王でしょ?」

「戦士でいいよ…」

「王になったんですからねぇ…」

「そうよ、王らしくしてなさい」

「王っつったら…」

「…」

「…」

「…」

「グルル!」

「うーっす?」

「グルルル」

「うがー」

「グ…ゴゴグ」

「ー・--・-・・」

「グルル…」

「ねぇ、あんたは国を治めなくていいんです?」

「ん?僕?」

「へえ、他の皆様は…王国へ行かれてしまったのに」

「僕は、ここの方が好きなんだ」

「何というか…お父さ…魔王の、築いたものだからかな?」

「今…お父さんていいやした?」

「う、うん、なんか僕のお父さんに似ててね…」

「呼んでもいいんじゃねぇんですか?」

「え?」

「その方が魔王様も浮かばれます…」

ゴンッ

「あいてっ」

「なんだよ!まるで死んじゃったみたいにさ!」プンスカ

「で、でも…」

「"お父さん"は嘘をつかない人だもん」

「僕との約束は守るよ」

「僕は…'いってらっしゃい'って言ったんだもん」

「必ず、'ただいま'ってかえってくるよ」

「…そうですね」

「魔王さまは生きておりやす!必ず!」

「それでよし!」

「「へへへへへへ」」

~とある城下町の学校の先生~

「いいですか皆さん」

「私は、凄く親切な魔物を2人知っています」

「1人は、昔に山で私を助けてくれたゴーレムさん」

「もう1人は…」

「数年前に、私の娘に魔法を教えてくれた、優しい…魔王さん」

「どこに…いってしまったんでしょう…」

「魔王さん…」

~とある王国の外れの丘~




「クハハッ」





fin

途中、支援、ageて下さった方々
本当にありがとうございました

辛いご感想お待ちしておりますので、よろしくお願いします

ありがとうございます!ありがとうございす!

後日談…
少し、餡を練りたいので待っていただければ幸いです…

「あーあ、王ってのも暇だなぁ」

「王ですし、仕方ないんじゃないですか?」

「こう、もっとスリルが欲しいな」

「せっかく平和な世になったのになに言ってんですか」

「だってなぁ…」

「分からなくは無いですけれども」

「…そうだ!」

「え?」

「闘技大会を開こう!」

「なんですって…」

「俺は王だ、言うことをきかぬか!」

「まったくもう…」

~数日後~
司会「だーい1回!"平和ボケしてんじゃねえ!スリルを求める闘技大会!"開催でーーーす!」

「わあぁぁぁあ」

司会「ルールは単純!魔法ありありのガチンコのバトルでございます!」

司会「相手を殺害してしまった場合!即刻退場となり、禁固3年となっております」

司会「ま、殺害された方は伝説の勇者一行の僧侶様こと、王妃様が蘇生してくださいます故ご心配なさらず」

王妃「はぁ…」

司会「そしてそして…なななーんと!今回は王様も緊急参戦!」

王「はははははっ」

王妃「はぁ…」

司会「それじゃあ!とっとと始めちゃいましょう!まずは予選aブロックから!」

司会「いきましょーーーーーー!」

~予選中~

王妃「はぁ…なんでこんな事に」

王「いいじゃねぇか」

王妃「やっと戦いのない世界になったのに…」

王「そんなこと言うなって」

王「いつの時代も戦い好きは居るんだ」

王「そんな奴らを法で縛ってたらいつか爆発すんぞ」

王妃「なるほど…」

王「ま、そううことも含め、この大会なわけよ」

王妃「…はぁ、それなら仕方ありませんね」

王「おう!…お?そろそろ俺の出番だな」

王妃「いってらっしゃいませ」

王「頑張るぜっ」スタスタスタ

~予選aブロック8~

王「おっしゃぁぁぁぁあっ」

王「あいてはだれだぁぁあ?」

「うーっす」

王「?!」

王「が、ガーゴイル?」

ガーゴイル「うーっす」

王「魔物も参加してんの?」

ガーゴイル「うがー」コクコク

王「そ、そうか…でも、手は抜かんからなっ」

ガーゴイル「うがぁぁぁぁあっ」

審判「試合開始です!」

~試合終了~

審判「ガーゴイルダウン!」

ガーゴイル「うーっ…す」

審判「勝者!王様!」

王「うおおおぉぉぉぉぉぉおっ」

審判「それでは、王様本戦までしばしお待ちください」

王「あいあい、お疲れさん」

~控室~

王「お!僧侶!見てた?」

王妃「ええ、見てました」

王「ガーゴイルと初めて戦ったけど…強いわあいつ」

王妃「そうですか」

王「なんだよ、なんか怒ってるのか?」

王妃「…」

王「言ってくれよ」

王妃「…少し、魔王さんのこと思い出しまして」

王「あぁ…」

王妃「彼は…彼は…」

王「死んでねぇよ」

王妃「え?」

王「彼奴は生きてる」

王「なんせ、俺と約束したからな」

王妃「…私ともです」

王「はははっ」

王「どこに…居るんだろうなぁ」

王妃「本当ですね」

~製鉄所~

「なんか街の方が賑やかいね」

「へぇ、どうやら王様が闘技大会を開いたらしいです」

「闘技大会かぁ」

「勇者様は出ねぇんですか?」

勇者「まあ、戦うのはそこまで好きじゃないし」

勇者「ドワーフこそ、出たらどうなの?」

ドワーフ「えへへ、自分は仕事があるんで…」

勇者「あはは、本当に働き者だね」

ドワーフ「んー…なんか、そうしてれば、魔王様がひょっこり帰ってくる気がするんですよ」

勇者「そっかぁ…僕もそうかもしんないなぁ」

勇者「魔王…どこにいるのかなぁ」

ドワーフ「そのうちひょっこり帰って来ますって」

勇者「そうだよね!」

勇者「じゃ、休憩中の皆とトランプでもしようかな」

ドワーフ「そうしてやってくだせぇ、勇者様がここにいらしてから奴ら、本当に明るくなりまして」

勇者「あはっ、ありがと~」

ドワーフ「んじゃ、自分は仕事に戻ります」

勇者「うん、またね~」

~城下町の学校~

「さあ、皆さん!今日は闘技大会があるので見学に行きましよう!」

「せんせー」

「どうしました?」

「なんのために見学に行くんですか?

「ふふ、この闘技大会は魔法の使用が許されています」

「貴方たちに、魔法について学んでもらいたいのです」

「魔法の便利さ、魔法の危険さ」

「魔法の色々な面を学んでくださいね」

「はーい」

~とある城下町の民間~

「ねえ、お母さん」

「どうしたの?」

「街が賑やかいよ?」

「今日は王様主催の闘技大会があるのよ」

「へぇー…」

「行きたいの?」

「うん!」

「じゃ、今日の練習が終わったら行きましょうね」

「はーい」

~闘技大会予選fブロック~

民間兵「ぐおぉっ…」ドサッ

審判「民間兵ダウン!」

審判「勝者!…えーと、お名前は…?」

「…そうだな、"おじさん"で頼む」

審判「えぇ…まあ、えー勝者!おじさん!」

「わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ」

審判「それでは、明日、本戦になりますので…」

おじさん「うむ」

~夜、闘技大会実行委員会特設キャンプ~

「いやー、思いのほか激しいな!」

「全くだ、巻き込まれて死ぬかと思ったぜ…」

「魔法ありありってのが凄いな」

「どうやら、勇者一行の魔法使いさんがフィールドに結界を張ってるから他への被害は無いらしいぞ」

「ほぇぇ…魔法使いさん、最近見ないよな」

「確かになぁ…」

「あ、そういえば、俺が審判した試合の奴すんごかったぜ!」

「へぇ、どんな?」

「なんか、こうなフード付きのマント被ってて顔はわかんねぇんだけど、試合開始してすぐ、右手一本で相手をねじ伏せたぞ」

「おおお!それは期待だなぁ」

「だろだろ?んで、名前知らねえから聞いたんだよ、そしたら"おじさん"で頼むってよ」

「変なやつだなぁ」

「な、本人にはなんか特別な思い入れでもあんのかね」

「さぁ…」

「なんにせよ、あいつはすげぇよ、優勝候補だな」

~翌朝~

司会「ではでは、いよいよ本戦開幕です!!」

「わぁぁぁぁぁぁあ」

司会「それでは第一試合!開始してください!」

~第4試合~

審判「さぁ!壮絶な戦いが繰り広げられて来ました!それでは第4試合!王様vs兵士長!」

審判「はじめえぇえっ!!」


王様「うし、来いっ」ジャキッ

兵士長「では、失礼つかまつる!!」タタタタッ

王様「はぁっ!」

ガキィィィン

兵士長「くっ…重…」ズザザザッ

王様「中々の太刀筋じゃあないの、もっと腰入れて来い!」

兵士長「くっ…おらぁぁぁぁあっ」ブンッ

王様「おおおぉぉぉおおおっ」ブゥンッ

ギギギギ

王様「ふふはははっ…これは堪らんなぁ…」ギギギギギ

兵士長「ぬぅぅぅうっ」ギギ…ギギギギ

王様「…ふふ、剣技だけでは…俺には勝てんさ…」シュウンシュウンシュウン…

兵士長「し、しまったっ…」バッ

王様「遅いっ!」ボゥゥゥウン

兵士長「ぐわぁぁぁああっ」

審判「勝負あり!勝者!王様!」

「わぁぁぁあぁ」

王様「…足りんな…」ボソッ

~闘技大会観客席~

勇者「きになってき来ちゃったよ…」

「勝者!王様!」

勇者「あ、戦士勝ったんだ」

勇者「このまま見てこっかな」

勇者「ん?…子供がいっぱい…」

勇者「何だろあれ」

~第八試合~
審判「さぁ、一回戦最終バトル!魔法兵長vsおじさん!」

審判「はじめえぇぇぇっ!」

魔法兵長「先手必勝!落ちろ落雷!」カッ

おじさん「ん?」バリバリバリ…ドオォォォォオン

審判「こ、これは…」

モクモクモク…

おじさん「なんだ、パリパリする」パリッピリリッ

魔法兵長「なんと…」

おじさん「魔法なら負けぬぞ」キュウウゥゥゥゥウウン

おじさん「風で充分」シュワァァァアッ

おじさん「ほれ、飛べ」ゴオオォォオオォォォオッ

魔法兵長「ぬ…ぐ…あ…あぁぁぁぁぁあっ」ピューーーッ

ドサッ

審判「魔法兵長リングアウト!勝者おじさん!」

おじさん「至極当然よ」

審判「なぜ、落雷から無事だったんです?」

おじさん「なに、雷には打たれなれておる」

審判「そう言う問題ですか…」

審判「あ、二回戦は明日の朝から行われますので…」

おじさん「うむ」

審判「ゆっくりとお休み下さい」

おじさん「うむ」ツカツカ

~闘技大会観客席~

「おじさん?」

「どうしたのお母さん」

「いえ…昔、私がそう呼んでいた人が居たのよ」

「ふぅーん…でも、あの人強いね~」

「えぇ…まるであの人の魔法のよう…」

「んー?」

「何でもないのよ、さ、帰ってお夕食にしましょ」

「はーい」

~とあるステージが見える丘~

「今の…」

「まさか…ね」

「…凄く懐かしい魔力だわ」

「…明日確かめなくちゃ」

「さて、僧侶でも可愛がりにいこうかしら」ブンッ

~夜、王国城~

王様「…」

王妃「どうしたんです?」

王様「今日、凄く懐かしい魔力を感じた」

王妃「へぇ、どなたの?」

王様「いや…俺はそこまで敏感じゃないからよく分からない」

王妃「あぁ、なるほど」

王様「ただ、凄く会いたい人な気がする」

王妃「…魔王とか?」

王様「わからん」

王妃「…」

「そーーうーーりょーー!」モミモミモミ

王妃「ひ、ひゃわぁぁぁあっ!」

「いひひっ、久しぶり!」モミモミ

王妃「ま、魔法使いさん!」

魔法使い「えへへー、ここもおっきくなっちゃって…」クリクリクリ

王妃「はっ…あぁっ…んぅぅ…」ビクビクッ

王様「おいおい…」

魔法使い「あらあんた居たの」ワキワキワキ

王様「てめぇ!」

王妃「や…やめてくらひゃ…い」ハァハァ

魔法使い「イ☆ヤ」モミモミモミモミ

王妃「あぁんっ…た、たひゅけてぇぇぇぇええっ」ジタバタ

王様「おい、いい加減にしろよ?」

魔法使い「それもそうね」パッ

王妃「はぁ…はぁ…」クテーン

王様「何か要件があるんだろ?」
魔法使い「ん?別に?」

王様「えっ」

魔法使い「僧侶弄りにきただけよ?」

王様「貴っ様ぁ!」

魔法使い「いいじゃない、1人で寂しいのよ」

王様「…」

魔法使い「てなわけで、僧侶借りるわね」

僧侶「ふぇっ?!」

王様「…好きにしろ」ハァ…

僧侶「んなっ…」

魔法使い「そゆことだから…僧侶ちゃぁーん?ベットでイイコトし☆ま☆しょ☆」

僧侶「いやぁぁぁぁあっ」ズルズルズルズルズル

王様「…はぁ」

~翌朝~

司会「それでは!二回戦、第一試合インキュバスvsモブ1を開始します!」

「わぁぁぁぁあ」

審判「それでは、始めぇ!」


~闘技大会観客席~

勇者「あ、あれ?インキュバスが…」

勇者「製鉄所はいいのかな?」

ドワーフ「勇者さん!」

勇者「あ!ドワーフ!」

勇者「製鉄所はいいの?」

ドワーフ「ええ、仕事に一区切り着いたんで来ちゃいやした」

勇者「インキュバス出てるけど…」

ドワーフ「あの野郎有給取ってやがったんですよ」

勇者「ゆ、有給とかあるんだ…」

ドワーフ「まったく…負けたらただじゃおかねぇ…」

勇者「まあまあ、応援しようよ」

ドワーフ「そうですね、インキュバース!負けんなよ!!!」

勇者「がんばれえ!」

~第2試合~
司会「それでは第2試合、王様vsスライムβ!始めっ!」

王様「スライム…だと」

スライムβ「…」プルルン

王様「と、とりあえず…」ズバッ

スライムβ「!!」パカッ

王様「うわっ…真っ二つ…」

スライムβ「 …」シャキーン
スライムβ2「…」シャキーン

王様「ふ、増えた!」

王様「くっそぉ…」

王様「くらえええぇっ」ズバズバズバ

スライムβ
スライムβ2
スライムβ3
スライムβ…

~数分後~

王様「はぁ…はぁ…」

スライムβ1~1297「…」プルルン

王様「…あ、そうか」シュウウウウ…

王様「凍れ」フワッ

スライムβ1~1297「…」カチーン

審判「勝者!王様!」

王様「昔勇者に教わってたの思い出して良かったぜ…」

~第4試合~

審判「おじさんvsゴブリン!試合開始っ!」

ゴブリン「うはwwwおじさんktkrwwww」

おじさん「…ほう、ゴブリンか…」ボソッ

ゴブリン「先手必勝でござるwwww」ブォン

おじさん「ふむ…」スッ

ゴブリン「wwwwww」ブン!ブゥンッ!

おじさん「ほほぅ…」スッ…サッ

ゴブリン「ちょwwww当たらねえwwwww」ヒュン!

おじさん「ゴリ押しは関心せんな」フワッ

ゴブリン「とwwwんwwwだwwww」

ゴブリン「空中もらいやっすwwwwコポォ」ブゥォン

おじさん「タイミングずれておるぞ、キックと…」ドシュッ

ゴブリン「ぐほぇぇぇぁぁぁぁあ」ドサッ

審判「勝者!おじさん!」

おじさん「魔法を使わぬか…」

審判「それでは、明日、第3回戦を行います」

おじさん「承知した」スタスタ

審判「どんだけ余裕あるんだ…」

~とあるステージが見える丘~

魔法使い「うーん?今日は感じなかったわね…」

魔法使い「気のせい?そんなはずは…」

僧侶「魔法使いさん!」

魔法使い「ん?僧侶ちゃんじゃないの」

僧侶「勇者さんが、王国城にいらしてるんです、一緒に食事でもいかがですか?」

魔法使い「んー…そうね、行かせてもらうわ」

僧侶「ありがとうございます、では、行きましょう?」

魔法使い「うん」

~闘技大会観客席~

「あれ、お母さん?」

母「ん?」

「やっぱりお母さんだ!来てたの?」

母「あら!少女じゃない!」

少女「学校はどうしたの?」

母「うふふ、学校ぐるみで見に来てるのよ」

少女「へえ…」

「おばーちゃん!」

母「あらー!幼女ちゃん!」

幼女「うふふふふー」

少女「あ、ところでお母さん…」

母「なあに?」

少女「今回の大会の…"おじさん"って…」

母「…分からないわ」

母「顔も見えないし…私には魔力を感じ取る力なんてないもの」

少女「うーん…気になるのよねぇ…」

幼女「なんのはなしー?」

少女「ううん、なんでもないの、さ、今日はおばあちゃんとご飯食べましょうか」

母「あら、いいの?」

少女「うん、たまには幼女と遊んでやって?」

母「ふふふ、分かったわ」

~夜、製鉄所~

ドワーフ「なんだよ、負けたからってきにすんなよ」

インキュバス「-・・ー・」シュン

ドワーフ「お前は良くやってたよ!相手が悪かっただけだって!」

インキュバス「…」

ゴーレム「ゴゴ…グゴ」

ドワーフ「ほら!ゴーレムもこう言ってんじゃねぇか!元気だして飲めよ!」トクトクトク

インキュバス「ー・・-ー・」ゴクゴク

ドワーフ「そうだって!お前は強いよ!」

ゴーレム「グゴ」

インキュバス「ーー・ーー・」

ドワーフ「そうだな、戦士さんに頑張ってもらおうぜ」

ガーゴイル「うーっす」

ドワーフ「お、早期敗退者」

ガーゴイル「うがぁぁあっ」

ドワーフ「ごめんごめんって」

ガーゴイル「うーっす!」

ドワーフ「戦士さんはつぇぇよなぁ」

ガーゴイル「うーす…」

ドワーフ「ま、あとは応援してようや」

ガーゴイル「うーっす」

~朝~

司会「さぁさぁさぁ!」

司会「長き戦いにも終着点が見えてまいりした!」

司会「ここで一度、選手のおさらいをしておきましょう!」

司会「現在勝ち残っているのは4名!」

司会「1人めは、今大会の主催者!我らが王様!」

司会「2人めは、魔物からの参戦!サキュバス!」

司会「3人めは、隣国からいらした、大賢者様!」

司会「そして最後は、どこからか現れたマントの男、通称"おじさん"!」

司会「さあ、一体どんな戦いをみせていただけるのでしょうか!」

司会「それでは待望の第一試合!いよいよ開幕です!」

審判「それでは!第一試合!サキュバスvs王様!」

インキュバス「王様相手でも…手加減しないわよ?」

王「ははっ、そうこなくっちゃな」

インキュバス「んー…結構いいカラダしてんのね…」

王「貴様…」

審判「それでは!始めっ!」

王「俺をそんな目で見てんじゃねぇ!」タタッ

インキュバス「あらこわい」ピョーン

王「!!」ガキィィン

インキュバス「反射神経もいいのねぇ…」ヒュンヒュン

王「…鞭か」

インキュバス「そうよぉ…それも特設のね」

王「ふん、叩き切ってくれるわ」

インキュバス「やれるものならやって見なさい」

インキュバス「あたしがじっくり…調教してア・ゲ・ル」

はぁぁぁあん!
指摘ありがとうございます!

審判「それでは!第一試合!サキュバスvs王様!」

サキュバス「王様相手でも…手加減しないわよ?」

王「ははっ、そうこなくっちゃな」

サキュバス「んー…結構いいカラダしてんのね…」

王「貴様…」

審判「それでは!始めっ!」

王「俺をそんな目で見てんじゃねぇ!」タタッ

サキュバス「あらこわい」ピョーン

王「!!」ガキィィン

サキュバス「反射神経もいいのねぇ…」ヒュンヒュン

王「…鞭か」

サキュバス「そうよぉ…それも特設のね」

王「ふん、叩き切ってくれるわ」

サキュバス「やれるものならやって見なさい」

サキュバス「あたしがじっくり…調教してア・ゲ・ル」

王「やってみろ!」ブゥン

サキュバス「うふふっ」ガキィィン

王「ほう…」ギリギリギリギリ

サキュバス「鞭って便利でしょ?折りたためば、剣も防げるのよ」ギリギリギリギリ

王「確かになっ」グググググッ

サキュバス「いやーん、ちからで押されちゃう~っ」キャッキャ

サキュバス「ねぇ?鞭って一本だと思う?」ボソッ

王「…っく!」バッ

サキュバス「離れてくれてありがと、ハッタリよん♪」ヒュッ

王「くそっ…」バチィィィイン

サキュバス「あら、凛々しいお顔に傷がついちゃったわね」

王「いって…」ナデナデ

サキュバス「いいわぁ…その血の色…最っ高にセクシーよ…」ゾクゾクッ

サキュバス「さぁ!私にもっとみせなさい!」ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュ

王「…チッ」ガキキン…キキン…バチバチッ…パァン」

サキュバス「さあさあさあさあさあさあ!」ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュッ

王「舐めるなぁぁぁあっ!」ゴオオォォォオオッ

サキュバス「きゃ!」

サキュバス「もう!いきなり火炎魔法とか危ないじゃないの!」

王「はぁ?」

サキュバス「もしもこのギリギリの服が燃えちゃったらどうしてくれんのよ!」プンスカ

王「しらねぇよ…」

サキュバス「もー怒った!あんたなんて凍っちゃえ!」ヒュォオオオォォォオ!

王「さ、寒っ!」ガタガタ

サキュバス「はぁぁぁぁっ」オォォォオ!

王「寒いって言ってんだろうが!」パリパリパリ…

サキュバス「?!ちょっとそれ…」

王「落雷!」ドォォォォォン


サキュバス「きゃぁぁぁああっ!」ビリリリリリリリリッ

王「ふぅ…」

サキュバス「あ…あ…」ビクッビクッ

王「なんかこいつ…いちいちエロいな…」

審判「サキュバスダウン!決勝進出は王様!」

「わぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ」

王「寒っ…」ヘクシッ

審判「それでは第2回戦!大賢者vsおじさん!」

大賢者「ふむ…そちは人間かの?」

おじさん「ククッ」

大賢者「やはりか…」

おじさん「我輩は…」

大賢者「ん?」

おじさん「我輩は我輩だ」

審判「試合開始!」

大賢者「ふぉっふぉ!取り敢えず喰らうが良いぞ」ボゥンッ

おじさん「そのまま返してくれるわ」フゥン…

大賢者「およよ!」ドォォン!

おじさん「ククク」

大賢者「お主、やはり魔物か」ブゥゥン…

おじさん「我輩は我輩だ」ゴゥゥゥ

大賢者「図星じゃの」ドシュゥゥゥゥウ

おじさん「さあな」スッ…ドォン

おじさん「ま、どうでも良いではないか」バゥゥン

大賢者「そうじゃの」ヒュン

おじさん「吸収か」ヴゥゥゥ…

大賢者「ほっほ」

おじさん「はぁっ…」ヴォゥゥゥウン

大賢者「吸い取ってやるわい」ヒュゥ…

大賢者「ほい…!!」…ン

おじさん「お主は魔法しかできぬのか」タタタッ…ブォゥゥンッ

大賢者「わ!」スパッ

おじさん「服だけか…」シュウンシュウンシュウン

おじさん「追撃だっ」シャリシャリシャリ!

大賢者「な、何じゃこの魔法は…っ」ズババババババババッ

大賢者「ぐほぁぁおっ」ボタボタッ…

おじさん「鎌鼬とでも名付けようか」フォォオン

大賢者「ぐ…くっ…」ヨロヨロッ

おじさん「逃がさぬ」ドシュウウゥゥウッ

大賢者「ぐはぁぁあぁああっ」ボゥゥン!

大賢者「ただの…魔物では…ない…か」ドサッ

審判「大賢者様ダウン!決勝進出はおじさん!」

「わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ」

おじさん「ふん、人にしてはやりおるな」

~決勝進出者紹介~

司会「皆様!とうとう決勝進出者が決定いたしました!」

「わーーーーーっ」

司会「それでは、ご紹介致します!」

司会「やっぱりこの方は強かった…世に平穏をもたらした勇者一行の1人…」

司会「元戦士の実力は半端ではなかった!」

司会「紹介しましょう!決勝進出者!1人めは、我らが王様!!!」

王「…なんか…恥ずかしいなこれ」

「わあぁぁあぁぁぁぁあぁ」

司会「それでは、意気込みをどうぞ」

王「意気込み…」

王「俺は負けん」

王「それだけだ」

「わぁぁぁぁぁぁあっ」

司会「ありがとうございました!」

司会「それでは、2人めに移りましょう!」

司会「本名不明、年齢不明!何もかもが一切不明!分かっているのはその強さ!」

司会「突然現れたマントの紳士…」

司会「その攻撃方法は、魔法と剣技が踊るシンフォニー…」

司会「ご紹介致しましょう!謎の紳士!"おじさん"です!!」

おじさん「クハハ…持ちあげられるのも悪くはないな」ボソ

「わあーーーーーーーーーっ」

司会「では、意気込みをお願いします!」

おじさん「語る必要などあるのか?我輩が勝つ」

おじさん「それは周知の事実であろう?」

「わぁぁぁぁあぁぁぁぁああ」

司会「何とも自信満々で!」

司会「お二方とも、ありがとうございました!それでは皆様!また明日、決勝でお会いしましょう!」

王「おい!」

おじさん「…」

王「おめぇもしかして…っ」ムグッ

おじさん「ククッ… 全ては明日だ」

おじさん「…」スタスタスタ

王「…っぷはっ!」ハアハア

王「あの野郎…」

王「ぜってー魔王だあいつ…」

王「でもなんで、すぐに会いにこねぇんだ?」

王「…」

王「まあいいや、明日わかるもんな」

魔法使い「戦士!」

王「お、魔法使いじゃねぇか」

魔法使い「あいつは?!マントの!」

王「ど、どうしたよそんなに慌てて」

魔法使い「いいから!あいつはどこ?!」

王「もういっちまったって」

魔法使い「んもぅ…なんで止めとかないのよ!」

王「お前の都合なんざ知るかよ!」

魔法使い「確かめたい事あったのに…」

王「あ、あいつな、多分魔王だ」

魔法使い「え?」

王「笑い方に話し方もそっくりだった」

魔法使い「え…」

王「ただ…背格好と声が違うんだよ」

魔法使い「ど、どういうこと?」

王「わかんねぇ、あいつは明日わかるって言ってた」

魔法使い「焦らすのね…」

王「本当だぜ…」

魔法使い「じゃ、明日は全員集めとくわ」

王「そうだな、そうしてくれ」

魔法使い「それじゃ、また明日」

王「おう!また明日な」

~夜、とある丘~

おじさん「…戦士のやつ、気付いておったな」

おじさん「はぁ…」

おじさん「彼奴との約束は守れなんだ…」

おじさん「まあ、良いか」

おじさん「少女も大きくなっておったな…娘も居たな」

おじさん「色々変わったものよ」

おじさん「製鉄所の奴らは元気だろうか…」

おじさん「勇者と僧侶も…」

おじさん「魔法使い…奴は許してくれるだろうか」

おじさん「まあ、全ては明日だ」

おじさん「明日…」

~朝、決勝~

司会「皆々様!待ちに待った決勝がやって参りました!」

司会「激しいく、永い戦いでした…」

司会「それも本日で終わり!今日、真の勝者が決められるのです!」

司会「前口上なんてこんなものにして!さっさと試合に移っちゃいましょう!」

審判「それでは、闘技大会決勝戦」

審判「王様vsおじさん!」

審判「試合開始!」



「わぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ」

王「さて、マントをとってもらおうか?」

おじさん「ククク、何故貴様の言う事など聞かねばならぬのだ」

王「そうか」チャキ

王「ならば剥ぎ取るまでよ!」タタタタッ

おじさん「クハハハッ!やってみろ!」シャキン

王「うぉらぁぁぁっ!」ブゥン!

おじさん「遅いわ!」スッ…

おじさん「はぁっ!」ブォン

王「わざとだよ!」ガキィィイン

王「喰らえ!」ゴォォォオッ

おじさん「我輩に魔法とな!」

おじさん「舐められたものよ!」ゴォゥゥウ


ドカァァァァアン

おじさん「相殺か…」

王「ふん」チャキン

おじさん「ククク、面白くなってきた!」ダンッ

王「飛んだか…空中ではうごけねぇだろ!」グググッ

おじさん「そうかな?」ヒュォォォオッ

王「なに?!」

おじさん「氷柱!」ゴゴォォオ…

王「危ねえ!」ヒョイ

おじさん「隙あり」タタタタタ

王「氷柱を走るって…っ」チャキ

おじさん「はあっ!」ブゥウォン

王「ぐぅぅっ…」ギギイィィイイィ

王「火花散ってんじゃねぇか…よっ!」ギィンッ

おじさん「クハハッ!」バッ

王「クソ野郎が…」

おじさん「どうした、マントを剥ぎ取るのであろう?」

王「やってやるよクソ!」ダダダッ

おじさん「…フゥッ!」ブウン!

王「はっ、当たるかよ!」スッ

王「燃えろ!」ゴォォォオッ

おじさん「剥ぎ取るのではないのかっ!」ボォォォォオッ

王「はははっ!中身が見れたらなんでもいいさ!」

おじさん「あっついわ!」バサッ

王「…?」

おじさん「はぁ…脱いでしもうた」

王「誰だおめぇ」

おじさん「我輩は我輩よ…」

王「魔王…じゃないのか?」

おじさん「…」

王「どうなんだよ」

おじさん「我輩は…我輩だ」

王「わけわかんねぇよ!」スチャッ

おじさん「…っ」ブゥン!

王「クソッ」ギィィン

おじさん「…」ブンッ…フォンッ…ブォンッ

王「…くっ」ギィン!…ギリッ…ズバッ

王「いってぇ!」ブオン

おじさん「…」ギイィン!

~観客席~

魔法使い「魔王…じゃない…」

勇者「えぇ…」

僧侶「…」

ドワーフ「んん?」

勇者「どうしたのドワーフ?」

ドワーフ「あの男…魔王様とおんなじ魔力ですぜ」

勇者「わけわかんない…」

魔法使い「なんで…?」

王「名を名乗れ!」ブウン

おじさん「"おじさん"と申しておろうが!」バッ

王「んな訳あるかぁぁっ」フォンッ

おじさん「っ…!」ズバッ

おじさん「はぁあっ!」ブゥン!

王「ふぉあっ」ギィリリリ

王「本名を名乗れぇぇえっ!」ギィン

おじさん「…らぬ」ゴオオォッ

王「あぁ?!」フォォォオッ

バァァァアン

おじさん「わからぬ!」タタタッ

王「ンな訳あるかぁぁっ」ブゥォン

おじさん「知らぬのだっ!」ギィィィン

王「わけわかんねぇよ!」パリパリパリパリ…

おじさん「わからんで結構だ!」チャキ

王「なら痺れて思い出せ!!落雷!」ドォォォオオオン

おじさん「我輩には効かぬ!」ブンッ

王「剣で…弾いた?!」

おじさん「はぁぁぁああっ」シュイイイィィン

おじさん「鎌鼬!」ゴオオオオオオオッ

王「…っ風?!」フォォオオッ

王「ぐはぁぁあぁぁあっ」ズババババババババ

王「くぅ…」ボタタタッ

おじさん「うぉぉおおっ!」フォンッ

王「くぅうおおおおっ」ギィィン

おじさん「ぬ!」

王「凍れ!!」フォォァァァァア

おじさん「なっ…脚がっ」ピキィィィン

王「貰ったぁぁあっ」ブゥォォン!

おじさん「まだまだぁぁあっ」ボォゥン

王「爆発?!」バッ

おじさん「遅いっ」ドオオォォォオン

王「ぬぅぁぁあっ」ザザザザザッ

王「くそっ!」

おじさん「火焔球!」ボォゥゥウン!

王「っ…」カキィィイン

おじさん「剣で打つな!」サッ

王「うるせぇ!」

おじさん「…っく」ガクン

王「はははっ!膝が笑ってるぜおい!」

王「おろっ」ガクン

おじさん「クハハッ貴様もであろうが」ググググ

王「黙れ!」ガクガク

おじさん「くぅ…ぉぉおおっ」チャキン

王「うらぁぁぁあっ」シャキッ

王「結局…誰なんだよてめぇは…」ハァ…ハァ

おじさん「我輩は…魔王であって…魔王でない」フゥ…フゥ

王「訳がわかんねぇって…」

おじさん「身体は…魔王ではないが…」

おじさん「魂は…魔王と言う事だ…」ハァッ…ハア

王「始めっからそう言えよ…」

おじさん「何分、口下手なものでな」

王「よくいうぜ」

おじさん「取り敢えず…貴様を倒す…まずはそれが先だ…」

王「奇遇だな…俺も同じ考えだ…」

おじさん「お、リタイアしてくれるのか?」

王「そう言う意味じゃねぇよ!」

おじさん「冗談に決まっておろう!」タ…タ…タタッ

王「うぉぉおおおおっ」ギイィン

おじさん「ぬぁぁぁぁっ」ブウン!ゴウッ!

王「くぁぁぁああっ」ギイン!バウンッ!


ゴゴゴゴゴゴゴ

バゥゥウン

シュイィイン…ギィィン

ガガガガカッ…キィィィイイイイッ

ズドォォオオオン

ブン!ギイィン!シュイン!キンッ!

カキィィン…バォオンンンッ

王「はぁ…はぁ…」

おじさん「くっ…はぁ…」

王「ぅぅぅぅううううああぁぁぁあっ」タタタ…ダンッ!

おじさん「ぐぉぉぉおおおおおおおおおっ」ダンッ!


バキィィィイイイイン……


おじさん「…」

王「…」

王「く…ぐ…うぉぉ…はぁっ…」ドサッ



おじさん「クハ…ハ…」ガクガクッ



審判「王様ダウン!」



審判「勝者!おじさん!」



おじさん「うぐぅ…」ドサッ



審判「ちょっ…救護班!急げ!」

~救護室~

王「…」

おじさん「…」

王「俺負けたのか」

おじさん「数秒差でな」

王「そうか…」

おじさん「…」

王「鎌鼬はずりぃよあれ」

おじさん「クハハッ、魔物の専売特許だ」

王「体はニンゲンのくせに…」

おじさん「心は魔王よ」

王「心は乙女みたいな言い方すんなよ!」

コンコン

おじさん「ぬ?」

王「どうぞー」

魔法使い「はぁ~い」

勇者「げんきー?」

王妃「まったく…」

王「あ、御三家だ」

おじさん「変わっておらぬな」

勇者「あんた!やっぱり魔王だね!」

おじさん「心はな」

王「まだそれ言うか!」

魔法使い「おかしいと思ったのよね」

王妃「そんな気はしてましたけど…」

魔王「…まずは謝罪からさせてくれ」

魔王「戦士…約束が守れず…すまなかった…」

戦士「どう言う事だよ」

魔王「結果的に我輩は死んでしまったのでな…」

戦士「…そうか…」

戦士「まあ、いいよ!また会えたし!」

魔王「ありがとう…」

魔法使い「私達には?」

魔王「貴様ら、特に魔法使い、貴様との約束は果たしておる」

魔王「僧侶は危ういところだが…」

僧侶「まあ、許しますよ」

魔王「ありがとう」

魔法使い「ちょっと、どう言う事よ?」

魔王「勇者との約束は勇者の元に帰ってくる事」

魔王「現に我輩、帰ってきたではないか」

勇者「そだね、おかえりなさい!」

魔王「あぁ、ただいま」

魔法使い「私は?」

魔王「貴様とは、死んでも帰ってくると約束したろう」

魔法使い「…」

魔王「帰って来たではないか」

魔法使い「…」

魔法使い「お、おか…えり…」

魔王「…ただいま」

魔王「…」

魔法使い「…」

魔王「満足か?」

魔法使い「うっさい!」ポロポロ

魔法使い「なによ…なにが…何が…」

魔王「何故泣く…」

魔法使い「こっちが!こっちがどれだけ心配したと思ってるのよ!」

魔法使い「毎日心配で心配で!半ば諦めて!」

魔法使い「それでも、待って!」

魔法使い「んで、挙げ句の果てに!帰ってきても挨拶もせずになに大会に出てるのよ!」

魔法使い「本当にどれだけ心配したと思ってんのよ!」ポロポロポロポロ

魔法使い「…もうっ…」シクシクシクシク

魔王「…」

魔王「すまなかった…」スッ…

魔法使い「…へ?」ダキッ

魔王「すまなかった」ギュゥウウゥゥゥゥッ

魔法使い「へっ?え?」

勇者「いーなーっ」

戦士「はははっ見せつけてくれるぜ」

僧侶「ふふふっ…」

魔法使い「えっ…ちょっ…ふぁぁ…」

魔王「…」ギュゥゥゥゥウウゥ

魔法使い「ちょ、く、苦しいって!恥ずかしいってば!」

魔王「…」スッ

魔法使い「い、いきなりなにすんのよ…///」

勇者「僕もー!僕もぎゅーってしてよー」

魔王「ククク、わかったわかった」ギュウウゥゥゥウゥッ

勇者「やったぁ…ほへへ…」ギュ

戦士「この浮気者」

魔王「嫉妬か?」ギューッ

戦士「ちげぇよバカ!」

魔王「なんだ、貴様もされたいのか?」スッ

戦士「ちげえって、寄るな!!くるなバカ!」

魔王「クハハハハッ」ギュゥゥウゥゥゥウゥ

戦士「ちょ!辞めろ!辞めろぉぉぉおおっ」ジタバタ

僧侶「お似合いですよ」

戦士「黙れぇええっ」ジタバタ

魔王「ふぅ、抱き心地が悪い」スッ

戦士「いつかぶっ殺す…」

魔王「負けたくせに」

戦士「殆ど同点だボケェェェ!」

魔法使い「…感動のシーンが…」

勇者「魔法使い、嬉しそうだね」

魔法使い「う、うっさい!」

勇者「ほへへー」ニヤニヤ

魔王「そうだ…我輩、もう一つ約束をしておるのだ」

僧侶「え?」

魔王「我輩、一度暴れた後、一旦身を隠したのだが…」

魔王「その時に、お世話になった者とも約束しておるのだ」

僧侶「なるほど…」

魔王「今度くる時は、貴様らも連れてゆくと約束したのだ、来てはくれぬか?」

勇者「僕はokだよ」

僧侶「私も行きます」

魔法使い「しょうがないわね」

戦士「くそっ、この流れ断れねえ!」

魔王「ありがとう」

戦士「でも、俺まだ歩けねぇよ」

僧侶「そんなのこうすれば治ります」パァァァァア

戦士「最初っからそうしてくれよ…」

魔王「さ、行こう」

魔法使い「あんた授賞式は?」

魔王「あぁ…」

司会「あ!おじさん様!」

魔王「なんと間の良い…」

司会「そろそろ授賞式ですが…」

魔王「それだがな」

魔王「真の強者にそんな称号は要らぬ」

司会「え、でも…」

魔王「授賞は辞退する」

司会「ええええ!」

魔王「あとは貴様に任せる」

魔王「では…」スタスタ

司会「ええぇぇぇ…」

~数時間後、とある民間~

魔王「ここだ」

僧侶「なんか緊張しますね」

戦士「さっさとしようぜ」

勇者「楽しみだなぁ」

魔法使い「どんな人かしらね」

コンコン

「はーい」

ガチャ

少女「あら…あなたは?」

魔王「約束を…果たしにきた」

少女「おじ…さん?」

魔王「仲間も連れて来たぞ」

勇者「どーもー」

戦士「うす」

魔法使い「はろぉ」

僧侶「こんばんはー」

少女「あぁ…よかった…」ポロポロ

魔王「遅くなったな」

少女「そんな…そんなのいいんです…」ポロポロ

魔法使い「本当、女泣かせねあんた」

少女「あぁ…宜しければ…お上がりくださいな」

少女「お食事をご馳走します」

魔王「この人数だが…」

少女「大丈夫です!私は魔法を使えるんですよ?」

魔王「ククク、さすが我が弟子だな」

少女「えへへ、じゃ、どうぞ」

一行「「お邪魔しまーす」」

幼女「…」ジーッ

魔法使い「わ!君の名前は?」

幼女「…幼女」

魔法使い「可愛いわね!私は魔法使いよ」

幼女「魔法使い?本当に?」

魔法使い「私を知ってるの?」

幼女「うん!ゆーめーだもん!」

魔法使い「ありがとうね」ナデナデ

幼女「えへへー」

戦士「おまえ…まさか僧侶だけでなく…そんな子にまで手を…」

魔法使い「ば、バカ!違うわよ!」

勇者「あれ?じゃぁ魔王貰っちゃおっかな?」

魔法使い「ちょ、なにいってんのよ勇者!」

魔王「貴様、浮気は関心せんな」

魔法使い「浮気ぃ?」

魔王「ほれ、数年前、我輩と別れる時にキスをー」

魔法使い「わーわーわーわーっ!!」

勇者「え、そうなの!?」

戦士「なんだよ、おめーら出来てたのかよ」

僧侶「そうだったんですか!」

少女「ふふ、お似合いだとおもいますよ?」

魔法使い「ちょちょちょちょ!」

魔王「生還の…」

魔法使い「だぁまぁれぇぇぇぇえ!」

勇者「魔法使い、嬉しそうだね」

魔法使い「嬉かないわよ!」

戦士「その割ににやけてんじゃねぇか」

魔法使い「黙りなさい!あんたが僧侶に告白した時の台詞バラすわよ!」

戦士「なんでてめぇが知ってんだよ!」

魔法使い「ふふーん、透明になれる、魔法ってあるのよ」

戦士「貴っ様ぁぁぁぁあ!」

少女「王妃さま!どんな台詞なんですか?」

僧侶「えっとねー」

戦士「言うなよ!絶対言うなよ!」

魔王「ほほう、あれか、押すなよ!絶対押すなよ!と言うのと同じか」

戦士「ちげぇよ!」

幼女「あははははっ!」

魔法使い「『急に呼び出してすまない…だが、今しか言うタイミングがないと思ってな…』」

戦士「だぁぁああああっ!」ダッ

魔法使い「ちょっと!暴力反対!」ヒュンッ

戦士「ワープすんなクソ尼がぁぁっ!」

魔法使い「助けて僧侶~!」ヒュン

僧侶「『俺、ずっと言おうと思ってたんだけど…俺、俺…』」

戦士「お前もかぁぁぁあっ」

魔法使い「『お前のことが…』」

戦士「くぅおおおぉぉおっ」ダダダダッ

魔法使い「『お前のことが…』」ヒュン

僧侶「『ちゅきだったんだ!』」ババーン

勇者「戦士…まさかそこで…噛んだの?」

魔王「情けない…」

少女「あーあ…」

幼女「…」

戦士「くぅ…おおぉぉぉおおっ」ジタバタ

戦士「緊張に…弱いタイプなんだよ…」

魔王「乙女か…」ボソ

戦士「聞こえたぞくらぁぁあっ!」ガタッ

魔王「なんだ、やるのか貴様」

戦士「やってやろうじゃねぇか!」

魔王「まあまあ、魔法使いの台詞教えてやるから落ち着け」

戦士「話がわかるじゃねえか兄弟」スッ

魔法使い「やーーめーーなーーさーーいーー」

戦士「自業自得だろ!」

魔法使い「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

魔王「『なんでよ…なんで行っちゃうのよ…』」

魔法使い「黙れっ!」ボウン

魔王「ぐはぁっ…」

魔王「このっ…室内で魔法をつかう阿保がおるか!」プスプス

魔法使い「自業自得よ!」

魔王「生還のー」

魔法使い「だぁぁぁぁぁあっ」ドシュウン!ドシュウン!

僧侶「ま、魔法使いさん!」

戦士「おいおいおいおい!」

勇者「あはははは!」

少女「い、家がぁぁあ!」

幼女「おねーちゃん怖い…」

魔王「クハハハハハ!」ビュン

魔法使い「待てや!腐れ魔王!」ドシュン!バシュン!

魔王「クハハハハ!」ビュン

やはり、人の心は分からぬ
どれだけ考えようと、答えには辿り着かぬ
それだけ深く、広いのだろう

魔法使い「まてぇぇぇえ!」バキバキッ

少女「家がぁぁ!」

幼女「キャハハッ」


考えつけるような物ではないから
だからこそ面白い
だからこそ、見ていて飽きない
だからこそ、共に居たいと思う

魔王「クハハハッ当たらぬわ!」

魔法使い「このぉぉぉお!!」ドカン!ズドン!

少女「家ぇぇえ」

僧侶「後で直しますから…」


だからこそ、本当に…
本当に人は…



魔王「人は…解せぬなぁ…」ビュン


魔法使い「まぁてぇぇぇええええええっ!!」




~本当に終わり~

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