八幡「由比ヶ浜が部室でバットをフルスイングしていて危ない」 (18)

結衣「ふんっ! ふんっ!」ブンッ!!

八幡「おい、やめろ、由比ヶ浜。そんな入口近くでバットを振り回してたら、誰かが入ってきた時、当たるだろ」

結衣「大丈夫だよ、ふんっ!」ブンッ!!

結衣「今日はゆきのんも来ないって言ってたし、ふんっ!」ブンッ!!

ガラッ

いろは「せーんぱい♪」

結衣「ふんっ!」ブンッ

カッキーン!!


いろは「ぴゅーーーーーーーーーーん!!」


八幡「しまった! 一色が窓から吹っ飛んでいったぞ!」

結衣「いろはすー!(みかん味)」

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― オクラホマ州 牧場 ―


牛「んもー」ムシャムシャ

ナンシー「あらあら、メアリーは今日も食いしん坊ね。よしよし」ナデナデ

牛「もー」パクッ

ナンシー「あ、こら、もう。帽子を噛まない。イタズラしちゃダメよ」


トーマス「……見つけた」


ナンシー「え?」クルッ

トーマス「……探したよ、ナンシー」

ナンシー「トーマス!? どうしてここに!?」

トーマス「君の行方を追ってきたんだ。苦労したよ。突然いなくなるものだから」

ナンシー「私の事を……? どうして……?」

トーマス「決まっているだろう。心配したからさ。俺がどんな気持ちでこの三ヶ月、過ごしたと思ってるんだ? 愛する人が突然行方をくらましたんだぞ」

ナンシー「やめてよ、トーマス……。そういう事を言うのはやめて! だって、あなたにはエミリーっていう素敵な恋人がいるじゃない! 期待させるような言葉を言うのはもうやめて……!」

トーマス「エミリーとはもう別れたよ」

ナンシー「!?」

ナンシー「なんで……?」

トーマス「何でって?」

ナンシー「なんでエミリーと別れたの……!? あんな素敵な恋人をどうしてあなたはフッてしまったのよ!?」

トーマス「……本気でそれを聞いてるのか?」

ナンシー「当たり前よ、一体どうして……!?」

トーマス「ナンシー、君が一番好きだからに決まってるだろ。君がいなくなってから初めて気が付いたんだ。俺は君を愛してるんだよ!」

ナンシー「……!!」

ナンシー「で、でも……」

トーマス「でも?」

ナンシー「……でも、その好きは、どうせ友人としての好きなんでしょ? ……女としてじゃないって、あなたはきっとそう言うんでしょ? それとも、私を連れ戻す為の優しい嘘なの? そうなの、トーマス?」

トーマス「違うよ、ナンシー。君への愛は本物だ。その証拠を見せろと言うならすぐにでも見せるよ。これさ」スッ

ナンシー「これって……!? まさか……!」

トーマス「後は、君がそこにサインするだけさ。……結婚しよう、ナンシー」

ナンシー「トーマス……!」ウルッ

ナンシー「いきなり現れてプロポーズだなんて……何であなたはこんな勝手なのかしらね」グシュッ

トーマス「悪かった、なんて謝るつもりはないよ。ただ、これまで散々君を傷つけていた事だけは心の底から謝りたい」

ナンシー「本当に……勝手よ。勝手過ぎよ……バカ」グスッ

トーマス「わかってる。でも、許して欲しい」

ナンシー「もしも私があなたと結婚するつもりなんかないって言ったらどうするつもりだったのよ……。こっちで、もう、いい人を見つけたって言ったら……」グスッ

トーマス「その時は、強引にでも君を奪い去るつもりだった。君を他の誰にも渡したくなんかない」

ナンシー「卑怯よ、そんな言い方……。これじゃあなたと一緒になるしかないじゃない……」グスッ

トーマス「でも、君は仕方なくと思って涙を流してる訳じゃないんだろう?」

ナンシー「意地悪ね……。言わなくてもわかってるでしょ、そんな事……」グスッ

ナンシー「ねぇ、トーマス……。エミリーは」

トーマス「うん」

ナンシー「エミリーは……私の事、なんて言ってた……?」

トーマス「ズルイって、そう言ってたよ。……私も書き置きだけ残していなくなれば良かったのかなあって、そんな風にね」

ナンシー「私、ズルイ女なのかな……?」

トーマス「そうだったとしたら、俺はズルイ女が好きだよ」ギュッ

ナンシー「トーマス……」ギュッ

トーマス「誰でもない、君が好きだ。君だから、全部愛せる」

ナンシー「うん……。私も、トーマスが好き……。死ぬほど好き……。今までエミリーと仲良くしてるのを見てて辛かった。ずっと辛かったよ、トーマス……」ポロポロ

ナンシー「ねぇ、トーマス……。私、これからどうすればいいと思う……? どうしたらいいかな? また向こうに戻ってもいいの……?」グスッ

トーマス「大丈夫。君は何も心配しなくていい。これからは全部俺に任せてくれればいいよ。それよりも……」クイッ

ナンシー「あ……」

トーマス「恋愛映画とかのハッピーエンドの条件を知ってるかい、ナンシー?」

ナンシー「なに……? 教えて」

トーマス「二人は幸せなキスをする。それがハッピーエンドの条件さ」

ナンシー「トーマス……」


いろは「びゅーーーーーーーーーーん!!」


トーマス「愛してる、ナンシー」チュッ

ナンシー「私もよ、トーマス」チュッ

こうしてトーマスとナンシーは結婚した。ナンシーは牧場勤めをやめて専業主婦になり、トーマスはプロレスラーとして益々の頑張りを見せた

エミリーは二人の結婚式に出席し、泣きながら花嫁から投げられたブーケを受け取って、二人に祝福の言葉を述べた

やはり牧場で飲む牛乳は美味しい





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