男「安価とコンマでラノベのお約束展開に立ち向かう」 (369)

そうなって当たり前だとか、それが普通だとか、こうなるのが運命だったんだとか
そんなものはクソッたれだ。
自分の道、自分の在り様くらい、自分の意志と力で選び掴み取っていけないでどうするんだ――




男「――ふわぁ……。なんか昔の夢を見たような気がする」

軽く伸びをしてしぶとく纏わりつく眠気を追い払い、部屋のカーテンを開く。
気持ちのいい朝の光が差す窓からは、男が住む街の遠景が窺える。

男(何度見ても、俺の田舎とは比べ物にならないすごい立派な街並みだな……)

男(沖合の人工島に造られた学園都市……ここには、[安価]達が集められている)

安価>>↓1
1.魂から武器を錬成する力を持った能力者
2.物理法則を無視した現象を起こす異能者
3.様々な魔力を持った精霊とその契約者(候補)
4.最先端の魔科学技術兵器の技術者や訓練生
5.コンマ指定
 安価レスのコンマが、
  00~24なら1
  25~49なら2
  50~74なら3
  75~99なら4

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1445857932

男(ここには、自分の魂から武器を錬成し具現化する事が出来る、特殊な能力者達が集められている)

男(まあ、その中でも俺は――)

>>↓1
1.落ちこぼれ中の落ちこぼれだけどな
2.あんまり才能ない方だけどな
3.取り立てて目立ったところが無い凡人だけどな
4.そこそこ良い線いってる方だけどな
5.トップクラスのエリートだけどな
6.コンマ
00~29→1
30~59→2
60~79→3
80~89→4
90~99→5


男(まあ俺はそんな能力者の中でも、トップクラスのエリートなんだけどな)

男(これも全ては――)

>>↓1
1.日頃の努力と鍛錬の賜物だ
2.持って生まれた才能のおかげだ
3.コンマ
 コンマの値で努力:才能の比率
 00~が努力の割合
 ~99が才能の割合

男(これも全ては持って生まれた特殊な才能のおかげだ……)

男(しかし、それに胡坐をかいてるだけでは今の成績は維持できない。驕れるものは久しからず、だ)

実際、この学園のレベルは非常に高い。
カリキュラムが相応にハードなのは勿論、奨学金や特待生の制度などもフルに活用して、才能のある者を積極的に集めている。
というのも、[安価]からだ。

>>↓1
1.世界から生え抜きの能力者が集まる大規模な武術大会がある
2.能力を悪用する犯罪組織との戦いの最前線の場であり、そいつらから常に狙われている
3.その他自由安価

軍の学徒兵部隊の養成所という意味合いもあるからだ。
それ故座学だけでなく、戦闘訓練にもかなり力が入っている。
そんな学園で、男が好成績をキープしているのは、

>>↓1
1.どうしても叶えたい願いがある
2.飽くなき向上心
3.卒業後の就職に非常に有利
4.モテたい
5.その他自由安価


男(俺にはどうしても叶えたい願いがある……そのためにはこの学園でトップになるくらいの実力が必要なんだ)

男「さて、朝の鍛錬にでも出かけるか」


………


ストレッチ、ランニングといった、日課となっている朝のトレーニングをこなす男。
それだけならいつも通りの朝だったか、その中で、『いつも』から外れた情報をひとつ耳にする。
それは、>>↓1

1.どこかの国の姫が転入してくる
2.名のある旧家のお嬢様が転入してくる
3.季節外れの転入生がくる
4.コンマ
 00~32→1
 33~65→2
 66~99→3


ランニング中、聞くともなく耳に入ってきた噂話によると、季節外れの転入生が来るらしい。
勿論スカウトに積極的なこの学園の事だからないわけではないが、それでもイベントとしては十分珍しい方だ。

男(まあ俺には関係ない話だろうけどな)

そんな事を考えながら、学生寮の近くまで戻ってきた男だったが――

1.見晴らしの悪い曲がり角で誰かとばったり出くわす
2.道にでも迷ったのか、何やら困った素振りの人物を目撃
3.聞き慣れない声と共に上から誰かが降ってくる
4.自室に入ろうとすると、何故か室内から人の気配がする……
5.コンマ
 00~23→1
 24~47→2
 48~71→3
 72~95→4
 96~99→特に何事もなかった

5

申し訳ない
>>↓1
1.見晴らしの悪い曲がり角で誰かとばったり出くわす
2.道にでも迷ったのか、何やら困った素振りの人物を目撃
3.聞き慣れない声と共に上から誰かが降ってくる
4.自室に入ろうとすると、何故か室内から人の気配がする……
5.コンマ
 00~23→1
 24~47→2
 48~71→3
 72~95→4
 96~99→特に何事もなかった

コンマつけ忘れてたけど既に来てたので>>17でいきます

男(……? 誰だろう?)

男の行く手に、道にでも迷ったのか、何やら困った素振りの人影がある。
学園都市というある意味閉鎖された環境である為、慣れていない人間の動きや不自然さは、ここで暮らしている者と比べるとひどく目立つ。
徐々に距離が近づいていくにつれ、それが、鮮やかな赤毛をツインテールにした少女らしいと分かるが……

男(……どうするかな)

>>↓1
1.困っているようだし、こちらから声をかける
2.特に気にせず、そのまま通り過ぎる
3.道を変えて、顔を合わせずに寮へ帰る
4.いったん物陰から様子を窺う
5.コンマ
00~24→1
25~49→2
50~74→3
75~99→4

ちょうど通りかかってしまった事だし、無視して通り過ぎるのも悪い。

男「あー、ちょっと、そこの君。どうかした?」

ツインテ「!」

図らずも不意を突いてしまったのか、一瞬ビクッと跳ねてから振り返る少女。
姿勢がよく、整った顔立ちは気が強そうだが、目尻には先ほどまでの不安の残滓がほのかに滲んでいる。
ちなみにスタイルは――

>>↓1コンマ
00無~50並~99巨


男(……年下だろうか)

どこを見てそう判断したかはけして口に出さないでおく。
男が内心で咳払いして何かを誤魔化しているうちに、少女は普通に咳払いをして態度を改めると、

ツインテ「なっ、何よアンタ。私に何か用!?」

男「いや、困ってる風だったから声をかけたんだけど」

ツインテ「べ、別に困ってなんかなかったわよ!」

フン、と鼻を鳴らして強がる少女だが、握りしめられてしわの寄りまくった地図は隠せていない。

男(どうしたもんか……)

>>↓1
1.「そっか。じゃ」とすっぱり別れて帰る
2.「嘘つけ明らかに迷子だっただろ」と問い詰める
3.「ところで見慣れない顔だな」と話題を帰る


男「そっか。じゃ」

ツインテ「あっ! ちょっちょっと待ってよ!」

男が軽く手を挙げて別れを告げ、さっさと走り出そうとすると、慌てた様子で呼び止められた。
首だけで振り向くと、「しまった」という顔をした少女と目が合う。
少女は何かがのどにつっかえたような顔でしばし思案した後、

ツインテ「ちょうどよかったわ。ねえ、ちょっと道を聞きたいんだけど」

男「>>↓1」

1.困ってなかったんじゃ? とからかう
2.最初からそう言えばいいのに、と快く応じる
3.忙しいから、とそのまま走り去る
4.謝礼は? と意地悪を言う


男「最初からそう言えばいいのに」フ

ツインテ「うっ、うるさいわね!」

男「で、どこに行きたいって?」

ツインテ「……えっと、第○○女子寮なんだけど……」

からかわれて一瞬ムキになる素振りを見せた少女だったが、男がちゃんと教えてくれるらしいとわかると渋々といった態度で地図を差し出す。

男「あー、これならこの道をこう行って、~で、~~の角で右に~~」

男が目的地の名前と地図からすぐに場所を把握して淀みなく説明すると、頷いていた少女は――



ちと離席します
>>↓1ツインテ少女の要求
1.よくわからないから直接連れていって
2.荷物を運ぶのを手伝って
3.ついでにもうひとつお願いがあるんだけど
4.その他自由安価

>>↓3それに対する男の対応
1.了承
2.拒否
3.謝礼の交渉
4.その他自由安価

ツインテ「なるほど、助かるわ。ついでに、荷物を運ぶのも手伝ってくれない?」

男「荷物……?」

言われて視線を下にやれば、少女の左右にはいかにも重そうなスーツケースが二個。

男「何故俺が」

ツインテ「ついでよついで。乗り掛かった舟って言うじゃない」

男「それは頼る側が言う台詞じゃないと思う。そもそもどうやってここまで来たんだ?」

ツインテ「タクシーで。でも、このすぐ近くだと思ってたから、降りてそのまま帰しちゃったのよ」

男(考えなしにも程があるだろ……)

とは思うが口には出さない。
ともあれ彼女の要求を引き受けるかどうかだが、

男「仕方ないな……」

ツインテ「やたっ! ありがとね!」

男「言っとくが、別に君の為じゃないからな。本当に乗り掛かった舟ってだけの話だ」

男は、一応この学園でも上位の成績優秀者として、それなりに名と顔が広まっている。
ここであんまり無碍にして、それを誰かに目撃されたり、あるいはこの少女自身によって、よからぬ噂を立てられては困るというだけの話だ。
ただ、そういった男の内心を知らない少女は、男が従う事に気を大きくしたのか、いささか調子づき始めた。

ツインテ「アンタ、使えるわね。私の下僕にしてやってもいいわよ」

男「は?」

ツインテ「私みたいな美少女に使ってもらえるなら、あんたも幸せでしょ?」フフン

男(このアマ……)

その物言いに、男が思わず取った反応は、


>>↓1コンマ
00~24→自制して適当に受け流す
25~49→お断りだ
50~74→荷物を置いてバックレ
75~99→実力をわからせてやろうか

流石にムカッとしたがここはぐっと堪える。落ち着け。メンタル弱くて成績トップクラスが務まるか。

男「はは、冗談が上手いな」

ツインテ「むっ。何よ。嫌だって言うの?」

男「いやあ俺じゃあ務まらないよ。それより、このトランクやたら重いんだけど何入れたらこうなるの」

ツインテ「ちょっと、女の子の大事な荷物を乱暴に扱わないでよ?」

俺(だったら男に運ばせるなよ……)

思うが口には出さない。
そういえば名前聞いてなかったけど、とか、あっちにコンビニがあるから覚えとくといいよ、とか、適当な餌を適度に投げる事で何とか話題を逸らす。
まあこれも鍛錬、と意識して平静を保ちつつ、重い荷物を抱えてツインテの目的地を目指していたのだが――


その時、>>↓1コンマ
00~23→強いビル風で、先を行くツインテのスカートが!
24~47→段差にぶつかった衝撃で、トランクの留め具が外れて中身が!
48~71→重い荷物を抱えていたせいで、つまづいてバランスを崩しツインテの方へ!
72~95→犬に吠えられたツインテが驚いて跳び上がり!?
96~99→特に何事もなく到着した

ツインテ「~~、でも、やっぱり私としては~~」

男「はいはい、へー、ふーん――っとッ!?」

ツインテの話に適当に相槌を打っていた男だったが、その時、ふとした段差につまづきバランスを崩してしまう。
普段ならこの程度、まるで問題にしないのだが、今は、無駄に重い荷物を両手に抱えていたことが災いした。
男は、その重量に引きずり降ろされるように体勢を崩し、

ツインテ「~~で、って、きゃあっ!?」

男「まずっ――!!」

倒れ込んだ先にはちょうどこちらに振り向いたツインテ。
このままではぶつかる――転倒までの一瞬、時が止まったように男の思考速度が加速するが、

>>↓1コンマ
00~23→もつれ合って倒れ、ツインテの股間に顔から突っ込む
24~47→ツインテの胸に顔から突っ込む
48~71→ツインテを押し倒したような形で倒れ込む
72~95→転んだ後顔を上げて、ツインテのスカートの中を思い切り覗き込んでしまう
96~99→全力で体をひねりツインテを回避、一人で転倒

男「――くっ!」

いっそ荷物を放り捨てればどうとでもなっただろうがそういうわけにもいかず。
咄嗟にツインテとの衝突は避けたものの、男は荷物の重みに引っ張られて思い切り転倒する事になった。

ツインテ「ちょっとアンタ、大丈夫!?」

男「いてて……ん?」

ため息をつきながら視線を上げた男の目に映ったものは――

>>↓1
1.白
2.縞
3.水
4.黒
5.色・柄等自由安価

男「…………!?」

視界に入ったそれが何なのか一瞬理解が追い付かず、

男「……はいてnごふぁっ!!?」

その五文字が脳裏に過ぎろうとした瞬間、ツインテの靴底が視界を踏み遮っていた。
身に染みついた危機回避の本能で――痛みに対する悶絶も少し含まれていたが――ごろごろ転がってツインテから距離を取り、改めてゆっくり身を起こすと、うつむいたままプルプルと震えるツインテの姿がある。
表情はハッキリ見えないが、もはやどこまでが前髪の赤でどこからが顔の赤なのかわからないほどで、

ツインテ「……みっ、み、みみ、見っ……!」プルプル

男「……お前……もしかして痴j」

ツインテ「違うから!! これはそのッ、違うからぁっ!!! 単にっ、そのっ、トランク詰め込み過ぎてて、外じゃ替えを出せなっ……ふぐぅううううううううぅぅうぅううぅ」

男「わかった、ごめん、何もわかってないけどとりあえずごめん、俺は何も見なかった、そういう事にしておこう、なっ?」

目尻に浮かんだ涙を隠すように、両手で顔を覆って唸り声を発し始めたツインテに手が付けられず、男は徐々に後ずさる。
泣き出した女子への対応力がどうこうではなく、生存本能が本格的にアラートを鳴らし始めている。
ツインテから立ち上る気迫は、痴態を見られた羞恥心から来るものだけではない。激しい感情がオーラ状に見えるなどという漫画的表現ではなく、実際に、はっきりと熱を持った力の波動がツインテから立ち昇っているのだ。

ツインテ「……ろす」

男「……は?」

ツインテ「もう……もうこうなったらあんたを殺して記憶を消してやるぅぅぅっ!!!」

男「おい待てちょっとコラふざけんなぁ――――!!」

男が飛び退った直後、一瞬前まで男の居た路面に着弾した火球が弾けて激しい熱と火花を散らす。
紅蓮のオーラに包まれたツインテは、火球を放った右手を自分の(薄い)胸に当て、

ツインテ「来なさい!」

一息。
そこから抜き放たれたのは、細身の刃を備えた長剣だ。刀身はやや細く、柄には真紅のルビーがはめ込まれ、細かな装飾が施されている。
しかし何より、刀身に巻き付くようにして揺らめく炎が最も色鮮やかに目を引く。
間違いなく、魂から錬成されたツインテの固有武装だ。

ツインテ「覚悟しなさい……ウェルダンじゃ済まさないから……!」

男「それもう炭だよな?」

ツインテ「がるるるる……!」

軽口で茶化そうとしたら思い切り威嚇された。


どうする……?>>↓1
1.会話で落ち着かせる
2.戦闘に応じる
3.DOGEZA
4.全力で逃走

こんなところで騒ぎを起こしたら色んな意味で問題になる。
何とか会話で穏便に済ませたい。

男「まあ、待て。落ち着け。な?」

ツインテ「問・答・無用!」ゴゥッ

男「危ない危ない危ない!」

ツインテの斬撃から放たれる炎の波動をかわしつつ説得を試みるが、どうやら聞く耳を持ってもらえそうにない。

男(どうしてこうなった……)

ただいつも通りに朝のトレーニングをしていただけなのに。
しかし現実から目を逸らしていても問題は解決しない。ここは……>>↓1

1.不本意だが戦って大人しくさせよう
2.全力でDOGEZA
3.全力で逃走
4.ツインテの荷物を盾に
5.コンマ
 00~24→1
 25~49→2
 50~74→3
 75~99→4

男(逃げよう)

それしかない、と決意する。

男(今この状態じゃ話をするところじゃないし、最悪本当に殺されかねない。一度逃げてほとぼりを冷まして……もしまた会ったらその時謝ろう)

ツインテ「どうしたの? 覚悟は決まった? 誠心誠意土下座したらウェルダン程度で許してあげなくもないわよ」

男「血気盛んなのは結構だけどさ……自分で自分の周りの空気を熱してるから具体的に言うと上昇気流でスカートが」

ツインテ「えっやだ嘘!?」

男「今だ!!」ダッ

ツインテ「あーっ!!」

ツインテがスカートを気にした隙に踵を返して猛ダッシュする男。
スカートがめくれてしまう危険性を考えれば、走って追いかけてくることはできないはず。
あとは、

男「あの火炎弾に当たらない事を全力で祈――――」ゴォッ!


>>↓1コンマ
00~19→無事に逃走成功
20~49→軽い火傷は負ったものの逃走成功
50~69→直撃
70~89→ミディアムレア
90~99→ウェルダン


男「あの火炎弾に当たらない事を全力で祈――――」

そんな儚い願望を言い終える間もなく、激しい熱と衝撃が背中に直撃して男は派手にひっくり返った。
猛ダッシュしていた勢いのせいで二転三転、くらくらする頭に届くのは背後から近づく恐ろしい熱気と冷たい足跡。

男「…………」

ツインテ「走って追いかけられないなら、動きを止めてからゆっくり追いつけばいいと思わない?」ゴゴゴ...

男「……コントロール良いな」

ツインテ「うふふ、ありがと。死ね」

地面に這いつくばったまま起き上がれない男の後頭部に、にこやかな処刑宣告と剣の先端がサクリと突き付けられ、爽やかだったはずの朝の通りに、ぎゃあ系の悲鳴が長くこだましたのだった……。




《 DEAD END 》

男「おい待て勝手に殺すな」

何かに対してそんな文句を言いつつ、男は朝の教室へと向かっていた。
あの後、付近の住民の通報により医療施設へ搬送され、学園都市の誇る最先端の医療技術(と治療系付加効果を持つ能力者)のおかげで全治一週間程度で済んだものの、その間の遅れで実力ランキングは一気に落ちた。
実際の下降幅より、『抵抗もできずボロクソにやられて一週間入院していた』という噂の尾ひれによる周囲の印象の悪化がより大きい。
要するに、『あの男って奴はその程度の奴なのだ』となめられるのが一番の問題だ。
何とかそれを挽回しないと、と頭を悩ませながら自分の教室まで来た男だったが、

男「……待て、今何か聞き覚えのある声が」

様々な漫画で飽きるほど見かけた『お約束』の予感に戦慄しながら、男が教室の扉を開くと、そこには――

>>↓1コンマ
00~49→あのツインテが同じ教室の、しかも自分の隣の席に居た
50~79→……ような気がしたが気のせいだったぜ(隣のクラスでした)
80~89→実は後輩だった
90~99→実は先輩だった

男「――! ……ほっ、気のせいだったk――」

????「げっ」

男「……げっ?」

教室の戸を開け、一週間ぶりに見る教室が、赤毛の転入生が増えているなどの劇的な変化と無縁であった事にほっと安堵……する間もなく、背後から聞こえた声に振り返ってみれば、

ツインテ「なっ、なんであんたがここに居るのよ……!?」

男「なっお前はこの前の痴j

ツインテ「」ボゥッ

男「この前の焼殺犯!」

ツインテ「……うーん、不本意だけどあながち間違っては無いから見逃してあげるわ。それより何よアンタそのタイの色……!」

男「お前こそ……」

この学園の制服は、男子ならネクタイ、女子ならリボンの色が学園によって違う。
これによって、一目見れば相手の学年が分かるのだが、

男「うちの後輩だったのかよお前!」

ツインテ「最悪だわ! よりにもよってアンタみたいな先輩が居る学校に編入してきちゃうなんて……!」

男「ああ、そういえばあの辺りはこの学校の学生寮が集中してる区画だったな……」

流石に女子寮の居住者の所属まで詳しくは知らないが、自分の寮があるのも同じ区画である。
予見できたはずの再会に男が頭を抱えていると、何故かツインテの方はニヤリとあくどい笑みを浮かべ、

ツインテ「いえ、まあいいわ。これも考えようによっては好都合だし」

男「は?」

ツインテ「別に? まあ、放課後を楽しみにしてるといいわ。それじゃ」

そう一方的に言い残して、スタスタと立ち去っていった。
男は首を傾げつつもそのまま教室に入り、噂の転入生との関係を根掘り葉掘り聞こうとしてくる悪友を適当にあしらいつつその日の授業を受けるのだった。

↓1コンマが
ゾロ目:別の女子とのイベントが
ゾロ目以外:特に何事もなく放課後

その日は実戦科目もなかったので特に何事もなく一日を過ごし――一週間分の遅れを取り戻すための頑張りは必要だったが――不吉な予告をされていた放課後。
復帰初日だし今日のところは帰って軽いトレーニングで済ませよう、と思っていた男の端末に何かの通知が入った。
学生証として様々な認証にも使われるそれは、学校からの様々な連絡を受け取る為の端末機能を持っている。
そしてその連絡の中でも、おそらく最も使用される頻度が高いのは、

男「決闘の呼び出しだと……」

正確には模擬戦だとか戦闘演習だとか呼び名があるはずだが端的に言えば決闘である。
戦技科目の評定は、授業や実習、考査の成績に応じて配布されるポイントによって判定されるのだが、そのポイントは、生徒同士の模擬戦によってもやり取りできるのだ。
この決闘でより上位の相手に勝つほどポイントを多く奪え、逆に負けるとポイントを失い、これにより実力ランキングが変動する。
大きな怪我を負っていて満足な戦闘行動を行えない状態にある場合などは、決闘申請できないようになっているのだが、男は既に十分戦闘可能な域まで回復しているとみなされたらしい。
端末に表示されている申請相手の名前と顔写真は、

男「案の定あのツインテか……」

好都合と言っていたのは、ポイントを荒稼ぎできそうな相手が居た、という意味か。
実際、学年もランキングも上の相手に勝てばポイントはごっそり入る。この前の焼殺未遂は決闘システム外の私闘だったので無関係だが。

男「どうしたもんかなー……」

名前に並んで表示されているランクは、転入してきたばかりのはずなのにやけに高い。この一週間でここまで上げたのだとしたらその実力はある程度たしかなのだろう。
決闘は、申し込まれても受けずに拒否できるが、その場合、負けた時ほどでないにしろいくらかのポイントが無条件に相手に移る事になる。



ここは……>>↓1

1.ここらでちょっと本当の実力差を教えてやるか
2.相手をするのも面倒くさい、棄権しよう

あんまりなめられ過ぎていてもこの先面倒しかない。
ここらでちょっと本当の実力差というものを教えてやった方がいいだろう。

男「まあ、復帰直後の肩慣らしとしてはちょうどいい」

端末を操作し、決闘の受諾を選択。
すると十秒も経たないうちに画面が切り替わり、ツインテが選んだ模擬戦の場所が表示された。

男「屋外演習場か……まああの付加効果なら屋内戦は苦手だろうな」

決闘の舞台として選べる演習場はいくつか種類があるが、その中でも、指定された屋外演習場は、余計な遮蔽物のないシンプルな円形のリングだ。
例えばこれが室内戦演習場なら、敷地内に双方がランダム配置されて、相手を探すところから戦闘が始まるのだが、今回の舞台は互いに向き合った状態でスタートするので、炎による中~遠距離範囲攻撃ができるツインテにとってかなり有利といえよう。
まあ、その程度の差を覆せないようではランキング上位者ではいられない。

男「ウェルダンの礼は返させてもらおうか」



……

……



男が演習場に入ると、ツインテは既にリング内で仁王立ちして堂々と待ち構えていた。

ツインテ「よく来たわね! 逃げなかったことは褒めてあげるわ!」

男「随分天狗になってやがるなぁ」

どうも転入直後からランキングを駆け昇っている期待のルーキーとして注目が集まっているらしい。
観客席にはギャラリーの姿も多かった。

ツインテ「さあ、覚悟はいいかしら。今回は……そうね、ポイントももらう事だし、ミディアムレアくらいで勘弁してあげる」

男がリングに入ると、既に炎を纏った剣を抜いて臨戦態勢だ。
男はやれやれと内心でため息。

ツインテ「さあ、アンタも抜きなさいよ! アンタご自慢の魂の武器を!」

男「俺か。俺は……」

言われてしばし思案する。
男が己が魂から錬成する武器の形状は、

>>↓1
1.日本刀
2.双剣
3.盾
4.実は無い
5.その他自由安価
6.コンマ
 00~24→1
 25~49→2
 50~74→3
 75~99→4

実は、無い。
というのも、

>>↓1
1.毎回形状が変化する
2.不可視
3.相手と同じ武器種になる
4.固有武装無しに、付随する特殊効果だけを顕現させるイレギュラー
5.コンマ
 00~24→1
 25~49→2
 50~74→3
 75~99→4

本来ならば、能力者が具現化するそれぞれの固有武装には、その武器としての形状・機能に加えて、何らかの付加効果が発現する。
例えばツインテの場合、武器は西洋剣で、付加効果は炎熱操作だ。
しかし男の場合、何故か武器が具現化されず、付加効果だけが発現する。
これが、武装化はできるが付加効果は出ない、というパターンならば、まだ未熟な能力者に比較的よく見られるものだが、武器無しで特殊効果だけというのは学園都市でも男だけの完全なイレギュラーである。
しかし男は、その能力でランキング上位まで上がってきた。たとえ能力者として不完全などと揶揄されようと、実力を持って黙らせればいいと。

ちなみにその付加効果とは、>>↓1
1.風を纏う
2.感覚超鋭敏化
3.身体硬化
4.全身体能力向上
5.その他自由安価
6.コンマ
 00~24→1
 25~49→2
 50~74→3
 75~99→4
※どの選択肢でもコンマゾロ目で秘めた力のボーナス

その特性は、相手の『弱点』や『欠点』を増大させる事。あまりはっきりと目に見えるものでないが、いわゆるデバフ系の能力だ。
それ以外は、魂の錬成によって身体能力が幾分向上するとはいえ、ほぼ自分の身一つで戦う必要がある。

男「まあ、転入して一週間じゃ知らないよな」

ツインテ「? 何よ? 今更怖気づいた?」

男「別に。あと、俺はこのままでいい」

ツインテ「……バカにしてるの?」

男「いや全然。そうだな、あんまりフェアじゃないし一応忠告しておいてやる。俺の攻撃を一撃でも食らったら終わると思って心して来い」

男の台詞にツインテが表情をやや険しいものに変えた当たりで、二人の前に仮想モニターが空中投影される。
基本的なレギュレーションは初期設定として入っているが、例えば単なる練習試合でポイントのやり取りをしたくない場合、あるいは通常の規定よりも多くのポイントを賭けた勝負をしたい場合などには、ここからオプション設定で細かな調整が可能だ。
男側の操作パネルと並んで表示されているツインテ側の設定画面では、当然のように、勝利時に奪えるポイントをこのランク差での一試合でやり取りできる上限一杯まで上げている。

ツインテ「あら、やっぱり怖気づいた?」

男「いや、別に。何ポイントに設定されても負けなきゃ関係ないし」

ツインテ「……そこまで自信があるなら、そうね、システム上のポイントのやり取りとは別で何か賭けない?」

男「はあ?」

まるで表情を変えない男の態度にムッとしたのか、何やら不穏な事を言い出すツインテ。

ツインテ「そうね、例えば……負けたら勝った方の言うことを何でもひとつ聞く事、とか。いっそ負けたら下僕っていうのはどう?」フフーン

男「おいおい……あんまり調子に乗ってると後でどうなっても知らないぞ」

ツインテ「別に構わないわよ。何を賭けても負けなきゃ関係ないし?」

男「やれやれ……」

意趣返しのつもりだろうか。
しかし、ここはどうしたものか>>↓1(複数選択可)

1.「負けたら下僕」の条件を飲む
2.「負けたら一回服従」の条件を飲む
3.こちらも勝った時に奪える上限一杯までポイントを吊り上げる
4.あえて勝利時に奪えるポイントをゼロに設定
5.俺が勝ったらちゃんと敬意をこめて「先輩」と呼べ
6.俺が勝ったらこの前のノーパン目撃の件は忘れてくれ
7.その他自由安価

男「じゃあ、好きにしろ」

ツインテ「え?」

男「こっちが勝った時にもらえるポイントの量も、その、負けたら下僕? とか、その辺の賭けも、全部お前の好きなように決めろ。どんな条件でも乗ってやるよ」

ツインテ「なっ……!」

男「勝てば関係ない……そうだ、それが真理だ。陰湿な能力だとどれだけ馬鹿にしても、武装と付加効果を振るって体一つの相手に殴り倒されては黙らざるを得ないように……明確な実力を示しさえすれば、些末事は塵みたいなもんだ」

ツインテ「い、言ったわね……! この前私に黒コゲにされてた奴が!」

男「……あ、一応言っとくけど、『勝っても下僕負けても下僕』みたいな、どうなっても俺が損しかしないような条件でもいいぞ。勝って得る損が霞むくらいに、白黒ハッキリつけてやるから」

ツインテ「なっ! なめんじゃないわよ! いいわよ上等じゃない! この勝負、負けた方が勝った方の下僕だからね! ついでだわ、アンタも勝った時に私から取れるポイント上限一杯にしときなさい! ボッコボコにして目に物見せてやるわ!!」

男「おい、一応、念のために最後に確認しとくけど本当にそれでいいんだな?」

ツインテ「いいわよ!! 二言は無いわ!!」

男「……じゃあ、そう設定するぞ?」

ツインテの言う通りに、自分側の操作パネルをタッチして、勝利時の奪取ポイントを設定可能な上限値に設定する。
一応、相手側の横暴なポイント要求を拒否して初期設定値にする権利が双方にあるのだが、ツインテは男の設定値に承認ボタンを押す。
男も、上限値に設定されたツインテ側の設定を承認。
これで準備は完了し、操作パネルが消失、代わりに仮想モニターには『Ready』の文字と10カウントが表示される。
9、8、と数字が減っていく中、双方がそれぞれの構えを取り、

男(やれやれ……なんだってこんな事になったんだろうなぁ……)

内心のボヤキを噛み殺して、ゼロカウントと同時に男は瞬発した。

明日(というか既に今日だけど)の19時~20時頃再開予定デス
予定は予定(予防線)

最後に安価>>↓3
男の目標は、
1.(心折るレベルで)完膚なきまでに勝利
2.普通に勝てば十分だ
3.十分実力差を示して大勢が決したらわざと負ける
4.無効試合(引き分け)を狙う
5.その時外部からの介入が!(※コンマがゾロ目でなければ無効&安価下)

5

>>81

俺、参上
>>83がゾロ目でなかったので安価下>>84で参ります

ツインテ「薙ぎ払え!!」ゴォゥッ!!

男「っぶね!」

ゼロカウントと同時、男は全力のバックステップで距離を放す。とほぼ同時、ツインテが横薙ぎに振るった剣から放たれた炎が、男が立っていた場所を中心に扇状の範囲を焼き払った。
前進や左右への回避運動をしていたなら勿論、中途半端な後退なら飲み込まれていただろうが、男はその身体能力と正確な見切りとで安全圏まで退避済みである。
どうやら、「一撃でも食らったら終わりと思え」という忠告はそれなりに真摯に受け取られたようだ。
いや、あの気の強さから考えると、こちらを警戒しているというよりは、「一撃も食らわずに倒す事で実力を示す」というような事を考えているのかもしれないが。
再びオーラのように吹き上がる炎を、自分の周囲にゆらゆらと漂わせながら、ツインテが剣の切っ先を突き付ける。

ツインテ「いきなり逃げるなんて、ビビってるの?」

男「初手から突っ込んだら負けてただろ今の。正確な判断で危機回避しただけであってビビりとは違う。無鉄砲なお前と一緒にするな」

ツインテ「口の減らない……!」

言いながら、指揮棒のように頭上へ振り上げた刀身に炎が絡みつき、バスケットボール大の火球を三発形成。
彼我の距離は十分にある。振り下ろしと共に放たれたそれを正確に回避しつつ、男は冷静に思案する。

男(とりあえず、普通に勝って鼻を明かしてやれればそれで十分だ)

男(しかし、どう攻めるか……)


>>↓1
1.まずはこの距離を保って観察と分析
2.ツインテの攻撃をかいくぐって近接戦に持ち込む
3.挑発してツインテの疲弊を誘う
4.その他自由安価

男(まずはこの距離を保って、相手の情報を分析するか)

おおよその特性は見てわかるが、実際にどのくらいのことができるのかはわからない。
いずれは近接戦を挑む必要があるが、不用意に仕掛けるのは愚策である。

ツインテ「もーっ、避けるんじゃないわよ!」

男「馬鹿言うな」

あまり消極的と思われないよう、時折距離を詰めようとする素振りを見せながら、ツインテの攻撃を観察する男。
放たれる火炎弾を回避して、リング内を右へ左へと派手に立ち回ることしばし、

男(なるほど、だいたいはわかった)

ツインテの戦闘能力について、これまでの観察で見えてきたもの。それは、>>↓1

1.彼我の距離に応じた攻撃手段
2.瞬間的に放てる火力の上限
3.焦れやすい、長期戦には向かない性格

男(おそらく、あいつが一度に出せる炎には上限がある)

放たれる攻撃ではなく、放つツインテ自身を観察していて気付いた事だ。
炎の出所は、ツインテが振るう剣、そしてツインテ自身。その生み出した炎を、オーラのように自分の周りに纏った状態を基本スタイルとしている。
しかし攻撃の際には、その都度新たに生み出した炎で火球や斬撃波を作っている。
纏った炎は防御用という意図もあるかもしれないが、それよりはむしろ、

男(”炎のストック”という意味合いが大きい、と見た)

一度、派手な攻撃を回避した直後に急接近する素振りを見せたところ、ツインテは自身が纏っていた炎から炎弾を作って迎撃した。
男がそれをかわしていったん退くと、ツインテはまず消費した周囲の炎を補充。先ほどと同じ程度の炎を纏ってから、改めて、新規に生み出した炎による攻撃を再開した。

男(瞬間的に放出できる火力の上限を補うために、放出済みの炎をストックしているのなら……一度、何らかの方法で瞬間的な全火力を使い切らせれば、そこに隙が出来るな)

観察と分析から、仕掛ける方法とタイミングへと思考を移したところで、

ツインテ「あーっもうっ! らちが明かないわ!!」

焦れたツインテが先んじて動いた。それは、>>↓1

1.炎の斬撃波を連続で放つ
2.これまでのものよりも巨大な火球
3.あえて自ら距離を詰めてくる




頭上に掲げた剣に、ツインテの体から吹き上がった炎、そして周囲に纏っていた炎までもが集束されていく。
出来上がる灼熱の火球は男の上半身くらいなら容易く飲み込むほどのもので、明らかにこれまでの火球とは威力も何も違う。

男(大技使って炎の残量を自分から減らしてくれるなら、ある意味好都合といえば好都合だが……!)

ただ、それで自分がやられてしまっては意味がない。
男はじりじりと間合いと立ち位置を調整しながら、冷静にタイミングを窺い、

ツインテ「ふふん、覚悟はいいかしら? ――燃え散れッ!!」ゴッ!!

その火球が放たれた瞬間、>>↓1

1.その弾道の真下を駆け抜ける
2.弾着の粉塵に隠れ、左右から大きく回り込む
3.弾着の爆風に乗って跳ぶ

※コンマが00~09でクリティカル、90~99でファンブル

巨大な火球が放たれると同時、男は静から動へ、全身に高速の二文字を乗せた。
まるで地を這うような低姿勢で、男の突撃をも見越していたはずの弾道の、さらに下へと潜り込む。
演習場の地面と火球の間、磨り潰されそうになるほどのわずかな隙間を速度任せにくぐり抜けて前へ。

ツインテ「うっそ!?」

ツインテにとって計算外だったのは、その一撃を回避された事だけではなく、弾着の爆圧が、逆に突撃する男の背を押す助けをしてしまった事もだろう。
かいくぐって突撃しようとしても、その頭を押さえつけて爆殺できる軌道を計算して放ったはずだった。左右、あるいは後方に避けても、爆発の衝撃で薙ぎ払えるはずだった。
だが、予想外の速度によって正面突破を許したことで、爆圧が逆に相手を利する結果を生んでしまったのだ。

男「――疾ッ!」

ツインテ「っ、こっのぉ!!」

爆圧でさらに加速し瞬く間もなく迫る男に対し、ツインテも驚きから素早く立ち直り剣で迎撃する。
その振るわれた一閃を、しかし金属音が弾いて逸らす。

ツインテ「なんで――暗器!?」

男「いや? 誰の制服にでも標準的に付いている――袖のボタンの部分で受けただけだ」

ツインテ「嘘でしょ!!?」

残念ながら本当である。
いくら付加効果だけは行使できるとはいえ相手に当てねば何の意味もないデバフ。それを一撃でも通すまでは、完全なる無手で武装と特殊効果とを振るう相手と戦わなければならないのだ。
この程度の見切りが出来なければ、今これだけの上位ランクには居ない。

男「まず、一撃だ」

どこまでも冷静な男の一言と共に、剣戟を弾かれ、完全に隙を作ったツインテの腹に、男の掌底が突き刺さった。

ツインテ「うっぐ……!」

男「――やるな、後ろへ跳んでダメージを殺したか」

予想よりも軽い手応えに、男は素直にツインテを賞賛しつつ、咄嗟の対応力には優れている方だと脅威度を再認識。
対するツインテは端正な表情を苦悶に歪めながらも、噴き出した炎を纏ってリーチを伸ばした剣で横一閃。男の追撃を阻もうとする。
当然、男としてはせっかく詰めた距離を放されるつもりはない。
姿勢を低くしてかいくぐり、剣のリーチの内側に入り込んで、

男「――ああ、別にスカートの中を覗く意図はないから安心してくれ」

ツインテ「~~~~!! ふっざ、っけ、んじゃあないわよぉ――――ッッッ!!」

かっと耳を紅潮させたツインテがスカートを気にして、低姿勢で来る敵に対して最も効果的な蹴りによる迎撃を躊躇した隙に遠慮なく畳みかけた。


苦し紛れの肘打ちに対し、肘関節の、腕に激しい痺れが走るポイントを的確に打撃して跳ね上げる。
赤面から涙目へと変わったツインテの、顎を狙って掌底を打ち上げる。
咄嗟に首を振ってかわしながらの、炎を帯びたカウンターアッパーに対して、側面から力を加える事で首を動かすことなく逸らさせる。
空ぶった炎が側頭部を掠めて後ろへ抜けていく音を聞きながら、ツインテの爪先を踏み付けて後退を阻む。
焦りが浮かぶツインテの表情を見るともなく見やりながら、拳打と肘鉄を交えた密着打撃の連打を見舞う。


あと一歩二歩踏み出せば互いの唇が触れ合うような超至近距離においては、ツインテが持つ剣はもはや武器として満足に振るう事が出来ない。
以前スカートの中を覗いた件をからかわれた事で、あのトラウマを刺激されたツインテが蹴り技を繰り出せない以上、攻撃の起点となるのは腕や肘、剣の柄頭、あとはせいぜい頭突きくらいのものだ。
それが分かってさえいれば、たとえそこに炎がエンチャントされていようと、威力のない部分へ力を加えて逸らしてやれば当たらない。
完全に男の間合いに捕らえられたツインテが、防戦一方になるのは当然であった。

ツインテ「っ、このっ、もうっ……!」

男「そのしぶとさは賞賛に値するけど……君の『欠点』は、熟慮せずに行動を起こしがちなところだな。新しい炎を出した傍から空撃ちさせられていたらいつまで経っても挽回できないだろ?」

ツインテ「うるっさいわぁ――――!!」

激しい攻防の最中に世間話のような気軽さで話しかけれ、ツインテがヒートアップ。
顔に触れた熱気にいち早く危険を察知し、男がバックステップで距離を開けた瞬間、ツインテの全身から竜巻のように火炎が巻き上がった。

男「――全周防御。悪くはないけど、自分の瞬間火力の上限を考えてないだろそれ」

ツインテ「うるっさ――あっ!!」

激しく燃え上がった炎の壁は、こちらからの干渉の一切を阻むが、当然ながらそう長くは持たない。
炎の勢いが衰え、その中から息を切らしたツインテの姿が現れた瞬間、すかさず男の一撃が奔った。
鞭のようにしなる蹴りがツインテの持つ剣の柄頭を捉え、高く上方へと打ち上げる。
ツインテが思わずそちらへと目を奪われている間に、死角となった下方から足払い。
あとは仰向けに体勢を崩したツインテをそのまま突き倒して、

男「――これで決着だな」

ツインテ「…………!」

左手で首を掴んで地面に押さえつけ、振り下ろした右拳をツインテの鼻先で寸止めたところで、落ちてきた剣が墓標のように地面に突き立ったのだった。

屈辱の表情を浮かべながらもしぶとく口をつぐんでいたツインテだが、男が無言でもう一度右拳を振りかざしたところで大人しく降参。
それを感知した演習場のシステムが仮想モニターを投影し、試合終了の告知とポイント移動の内容を表示する。
それらに見向きもせず、仰向けに倒れたままのツインテに男が手を差し伸べると、

ツインテ「…………」

物凄く悔しそうな目で睨みながらではあったが、素直に手を取って立ち上がった。

男「さて、試合前に言ってた下僕の件だけど」

ツインテ「っ!」ビクッ

男「正直どうでもいいんだよな」

ツインテ「……えっ?」

男「俺はお前に勝って実力を示した。とりあえずそこだけが目的だったから、ポイントの移動とか、後の諸々はオマケみたいなもんだ。だから負けたら下僕になるって件も別にどうでもいい」

ツインテ「っ……それは、私には下僕にするだけの価値も無いって事……!」

男「いやそこまでは言わないけど」

と言ったものの、負けた直後で落ち込んでいるツインテには何を言ってもあまり効果がなさそうな気がしたので、まあ気にするなよ、と適当に言い置いて屋外演習場を出る。
と、その途端、

ピピッ

男「ん?」

ピピッ ピピッ ピピピピッピッピピッピピピピピピピピピピピピピピピピ――――

男「えっなんだちょっと待て待て待てなんだ!?」

通知の着信を示す電子音が雪崩のごとく重奏して一音になり、バグや破損を疑い始めたところでピタリと止まる。
男が恐る恐る端末の通知欄を見てみると、予想に反してそこには新着の通知が一件だけ。
学園の管理部からのもので、それは要約すると、


『貴方への模擬戦申請が過剰に殺到したため、一度こちらで保留措置を取り一括管理します』


といった内容だった。
同一人物に、明らかに対応しきれないくらいの決闘申請が集中した場合、こういう風にシステム側で止めてくれるようになっているのだが、

男「なんで今いきなり……待て、まさか」

嫌な予感がした男は端末を操作し学内SNSを表示。
現在のトレンドワード欄に「転入生」「下僕」の文字が並んでいるのを見た時点で全てを察してそのままそっと閉じた。

男「そういえば……ギャラリーの中に報道部っぽい奴が居たなぁ……」

今頃思い出しても後の祭りではあるのだが。
まあ、『上位ランクの上級生が、下級生の美少女転入生を下僕に!』などというニュースが流れればこうもなるか。
しかしこの騒ぎ、一体どうしたものだろうか……

>>↓1
1.どうでもいいから放置して勝手に騒がせておく
2.自分から、あるいは報道部の人間を捕まえるなりして、下僕の件は無しになったからと喧伝して回る
3.むしろポイント稼ぎには好都合なので、ツインテとの主従関係を維持しておく
4.その他自由安価


クリティカったのでそのまま決着つけちゃいましたが安価までが随分長くなってしまった


…………



数日後。



下級生男A「この野郎ツインテちゃんの下僕契約を破棄しrゲボァ!」

男「そんな契約はそもそも成立自体してねえ!」ドコォ

下級生男B「僕らのツインテたそを下僕にしたっつう鬼畜はお前かこの野rオブゥ!」

男「やかましいぞ下僕になんぞしてねえよ! というかお前のものでもないだろ」バキィ

同級生男「羨ましいんだよふざけんなテメエ俺にも同じ蜜吸わせrヒデブッ!」

男「お前がふざけんな」ゴスッ

どうやら、男が入院していた間に『瞬く間にランキングを駆け上がっていく美少女転入生』には結構な数のファンがついていたらしく。
それを決闘で負かして下僕にしたなどという情報だけが広がった結果、男の元には連日決闘申請が殺到していた。
ファン層は殆どが年齢的にもランキング的にも下位の連中ばかりだったため、さほど勝負そのものにはさほど苦労せず、一週間分の遅れを取り戻すにはちょうどいいくらいであった。
むしろ苦労したのは「男がツインテを下僕にした」という誤解を解く方である。
かかってくる相手を片っ端から叩きのめしては「そんな約束は勝った時点で放棄した」と言い聞かせているのだが、一向に広まる気配は無い。
逆に「ツインテちゃんみたいな子下僕にできるってのに何が不満なんだコラァ!」と逆ギレして決闘申請してきた奴をもう一度叩きのめす羽目にもなった。

男「駄目だらちが明かない。ポイント的には美味しいが、流石にそろそろ精神的に疲弊してきた」

『男とツインテの間に主人と下僕などという関係は無い』という事を周知するには、もっと別の方法を考える必要がありそうだ。
さて、ここはどうするか>>↓1

1.ツインテを探して、本人の口から否定してもらうように頼もう
2.たしかうちのクラスにも報道部員は居たはず、あのメガネっ子を探そう
3.何かとツテの広い悪友を捕まえて情報を流してもらおう
4.非常に気は進まないが、金!髪!巨!乳!の生徒会長に頼もう
5.その他自由安価
6.コンマ
 00~24→1
 25~49→2
 50~74→3
 75~99→4

男「気は進まないんだけど……これだけ事が大きくなると、報道部が今更訂正文出したところで収拾しなさそうだしな……」

そもそも男が要請した所でちゃんと訂正文を出してくれるかどうかすら怪しい。
となると、もっと影響力の大きい人間に頼まねばならないのだが、

男「あの生徒会長に頼むしかないのか……」

生徒会長「呼びましたか?」ニコッ

男「うおぅ!?」ビクゥ

演習場からの帰り道、独り言にいきなり返事をされて不覚にも跳び上がる男。
振り向けば、側道から一人の女生徒が姿を現したところだった。
豊満なスタイルに服の下から押し上げられたリボンの色は、相手が上級生である事を示している。ボリュームのある金髪を背中に流し、口元に手を当ててうふふと上品な微笑みを浮かべているこの人物こそ、男が通う学校の生徒会長であり――実力ランキングトップに君臨する女傑である。

男「ど、どうもこんにちは……生徒会長」

生徒会長「こんにちは、男君。最近、すごくモテてるみたいですね?」ニコッ

男「いやあ、別にそんな事は……」

才色兼備を地で行く生徒会長の物腰は非常におしとやかなものだが、男は少々腰が引けていた。
正直に言って、この人物は苦手だ。いやむしろ、男にとっては天敵と言ってもいい。

その理由は、>>↓1

1.『弱点』らしい『弱点』が無いために、男のデバフ効果が通じない
2.デバフ効果の影響下でも問題ない戦い方を、既に理解している
3.男を一切寄せ付けずに決着できる、遠距離からの飽和攻撃能力を持つ
4.その他自由安価


かつて男が今よりもっと血気盛んで怖いもの知らずだった頃、自分のポイント減少を恐れずランキング上位者に片っ端から挑んでいた時期があった。
その頃に、この生徒会長とも何度か戦った事があるのだが、

男(今の所全敗してるんだよな……)

むしろこの生徒会長に連戦連敗を重ねた事で、今の冷静さを持つに至ったといっても過言ではない。この生徒会長は、男からするとそれほどまでに勝ち目の見えない相手だ。
というのも、男の持つ付加効果、相手の『弱点』を増大させるという効果には、男自身も気付いている”穴”がある。
この生徒会長はなんと初戦からそれを理解し、その対戦中に的確な対処法を確立してしまったのである。
ただでさえ、武装を具現化できずに無手で戦わねばならないという不利を背負っているのに、唯一使える付加効果すら通用しないのではいかんともしがたい。
そういうわけで、男はこの生徒会長を――眉目秀麗成績優秀で男女どころか校内校外を問わず広く人気を集めているこの女性に苦手意識があるのだった。

生徒会長「ところで、わたしに何か用があったんじゃないのかしら?」

男「ああ、はい、ええと……」

どう切り出したものかと思案する男を前に、生徒会長はニコニコと微笑みながら待っている。

>>↓1
1.正直にことの経緯を話して、協力をお願いする
2.この騒動は生徒会が動く域に達しているのではないか、と協力を要請する
3.やっぱり自力で何とかする
4.その他自由安価


男「実はこれこれこういう次第で……下級生から吹っ掛けられた勝負に勝って以来、中途半端な情報だけが独り歩きして大騒ぎになっているんですよ」

生徒会長「なるほど、それは大変ですねぇ」

男「流石に少し疲れてきたんですが、俺一人ではどうにも……これを収拾できるとしたら、もう生徒会長くらいではないか、と」

生徒会長「なるほど、話は分かりました。それでは一つだけ聞いておきたいんですけれど」

男「何ですか?」

生徒会長「それは、わたし個人への個人的なお願いですか? それとも、『この学校の生徒会長』に対する、一生徒としての要望ですか?」ニコニコ

男「それは……>>↓1」

1.個人的なもの
2.公的なもの
3.その他自由安価






男「……個人的なお願い、ですかね」

生徒会長「あら、そうですか。わたし個人としては、ええ、引き受けても構わないとは思っていますよ? ただ……それなら、個人的なお礼が欲しい所ですね」ウフフ

男「お礼……ですか」

生徒会長「はい♪」

謝礼を要求しつつも内容については言及せず、生徒会長はニコニコと機嫌良さそうに微笑んでいる……。

どうしよう>>↓1
1.何ならいいですか、と素直に尋ねる
2.(自由安価)では? と報酬の例を挙げる
3.…………、と無言で相手の出方を窺う
4.すいませんやっぱり今の話はなかった事に、と帰る
5.その他自由安価
6.コンマ
 00~24→1
 25~49→2
 50~74→3
 75~99→4

男「えーと……何ならいいですか」

生徒会長「わからない事は素直に聞こうという心がけはいいと思いますが、こういう事は自分で考えてほしかったですね~」

男「いやーすいません、不得手なもんで」

生徒会長「まあ、構いませんよ。でも、自分からお礼が欲しいと言っておいてなんですけど、うーん、そうですねぇ……」

人差し指を顎に当てて、思案顔の生徒会長。
いささかわざとらしいポーズでも、美人がやると画になるという見本のような状態でほんの数秒、決めました! と笑顔でひとつ手を叩いて言うのは、

生徒会長「それじゃあ男君、>>↓1」

1.今度デートしましょう
2.ちょっとした用事を手伝ってください
3.あなたも生徒会に入ってください
4.今のこの騒ぎさえどうにかなればいいんですね?
5.コンマ
 00~24→1
 25~49→2
 50~74→3
 75~99→4

生徒会長「あなたも生徒会に入ってください」ニコッ

男「えっ、こんな中途半端な時期からですか? というか、役職の椅子空いてるんですか?」

生徒会長「椅子は増やそうと思えば増やせますけど……まあ要するに、生徒会のお仕事のお手伝いをしてくれればいいんですよ」

生徒会長「わたしが他の人に何か言うだけじゃなく、男君自身にも『生徒会の仕事を手伝っている真面目な生徒だ』と対外的にアピールできる要素があれば、誤解も早く解けそうでしょう?」

男「なるほど、それは確かに……」

生徒会長「特例的に役職を増やすかどうかはさておき……どうでしょう? わたしが誤解が解けるよう手助けしてあげる代わり、男君も生徒会でわたしの事を手助けしてくれる、という事で」

男「>>↓1」

1.ではそれでお願いします
2.お礼は別の形じゃ駄目ですか
3.そういう事なら結構です自力で何とかします
4.その他自由安価

男「では、それでお願いします」

生徒会長「交渉成立ですね」ニコニコ

男「すいません、お手数をかけます」

生徒会長「いえいえ、いいんですよ、男君も大事な本校の生徒ですし、会長として頑張っちゃいますよ~」

男(これで何とか助かった、のだろうか。新たな面倒事を背負い込んだだけという気もしないではないが……)

何とか騒動解決の目途は立ったようだが、これからの展望にそこはかとない不安を感じる男。
しかし深く思案する間もなく、生徒会長から連絡用に個人アドレスの交換などを持ちかけられて対応に追われることとなるのだが……

>>↓1コンマが
00~29→1
30~59→2
60~89→3
90~99→4

1.その様子を、物陰から伺っている人影があった
2.その時突如何者かからの襲撃が
3.嫌な予感は、後日、生徒会室を訪ねた時に現実のものとなった
4.幸いにも特に問題も面倒事も起こらずに済んだ

38→2.その時突如何者かからの襲撃が


男の危機察知>>↓1コンマ

00~09→危険を察知し、生徒会長をかばって完全回避
10~29→危険を察知し、生徒会長をかばって自身は軽傷
30~49→生徒会長が先に察知し、咄嗟に生徒会長の盾に
50~69→生徒会長が先に察知し、二人で一緒に回避
70~89→先に気付いた生徒会長に庇われる
90~99→直☆撃

男「――で、大丈夫ですか」

生徒会長「はい、ありがとうございました。それでは、今後はこのアドレスで連絡などを――っ! 危ない!」

男「!?」

その突然の、柔和な生徒会長らしからぬ緊迫した表情と声に驚きつつも即応し、危険――生徒会長の視線の先から来る何かに対して、盾となるように立ちふさがる男。
立ち位置を変えながら振り返ると、視界に入るのは何らかの飛来物。
反射的な判断でそれを蹴り落そうとするのだが――>>↓1

1.それは何者かの固有武装による魔法攻撃だった
2.それは何者かの固有武装による呪詛攻撃だった
3.それは腐った卵だった
4.それは(自由安価)だった

それは一見、ただの卵のように見えた。
疑問はあったが迎撃は十分可能な代物だ。故に、男の蹴りは過たずその飛来物を捉え、

男「…………」

見事に砕け散った卵は、その腐った中身を派手にぶちまけた。
負傷などの危険性という意味ではまったく大したことがない。せいぜいが嫌がらせ程度の効果しかないものだ。
ただ、相手に不快感を与えるという意味では十二分に効果的な代物ではあった。

……ちなみにその腐った白身は、>>↓1

1.派手に飛び散ったせいで生徒会長にもかかっていた
2.自分一人の犠牲で済んだ
3.コンマ
 奇数→1
 偶数→2

男「クソ、酷い臭いだ……生徒会長、大丈――」

顔をしかめながら振り返ったところで、男は思わず硬直した。

生徒会長「やだ……べとべとする~……」

咄嗟の事で力が入ってしまったとはいえ、少々強く蹴り過ぎた。
派手に飛び散った生卵は、男の足や服だけでなく、生徒会長の胸元から顔にかけて飛び散っていたのだ。

生徒会長「ううぅ……ひどい臭いね、これ……」

悪臭にむせたのか、もしや口に入ってしまったのか、軽くむせながら顔についた白身を指で拭う生徒会長。
何か色々とまずい絵面な気がして目を逸らしつつ、男は自分のハンカチを生徒会長に押し付け、

男「す、すいません、上手く防げなくて。これ使ってください。それより誰だ今のは!?」

生徒会長「多分、あそこの建物の陰から――」

生徒会長が指さした場所へと全力疾走する。
狼藉を働いた何者かが居たと思われる建物の陰。そこには、>>↓1

1.遠く走り去る誰かの後姿が見えた
2.もう誰の姿も残っていなかった
3.尻もちをついたツインテの姿が
4.コンマ
 00~19→1
 20~59→2
 60~99→3

そこに居たのは、

ツインテ「いたたた……」

尻もちをついたような体勢で地面に座り込んでいるツインテだった。

男「……お前こんな所で何をしてるんだ」

男の冷ややかな声に気付いたツインテは一瞬何か嫌な所を見られたような「うっ」という表情をし、何と言い繕うか迷うような表情をし、もうワンテンポ遅れてから自分の態勢と男の視線の角度に気付いて慌ててスカートの裾を押さえ、

ツインテ「もっ……もしかして、また見た……?」

男「相変わらず痴女やってるのかお前」

ツインテ「だっだからアレは違うって言ってるでしょ!?」

男「あーもうそういうのは今はいいんだよ」

ガシガシと頭をかきながら真剣な声音でもう一度尋ねる。

男「お前、こんなところで何をしてたんだ」

睨むくらいの強い視線を真っ直ぐ向けると、ツインテはうぐと言葉に詰まって視線を明後日の方向に逸らし、

ツインテ「……べ、別にアンタには関係ないじゃない」

男「たった今関係あるかもしれない事件が起こったところだ、これを見ろ」

ツインテ「何よそr……臭っ!? 何その卵が腐ったみたいなニオイ!?」

男「そのまんま腐った卵のニオイだよ。つい今しがた、この辺りから投げつけられた」

ツインテ「えっ……」

そう言って自分の足元を指さされ、まばたき一つ分遅れて男の言わんとするところを理解したツインテは、身を乗り出して慌てて弁明した。

ツインテ「私じゃないわよ!? そうだ、今私を突き飛ばしてあっちに走ってった生徒が……」

男「どんな顔だった。男か女か。学年は」

ツインテ「ええっと……男子生徒だったけど、タイを外してたから学年は……それと私に気付いて、顔隠しながら突っ込んできたからどんな顔かもちょっとわかんない……」

男「本当だろうな……?」

ツインテ「べ、別に嘘なんかついてないわよ!」

男「じゃあお前はなんでこんなところに居たんだ」

ツインテ「そっ、それは…………アンタの事が気になって……」モゴモゴ

男「はあ? 何だって?」

ツインテ「何でもないわよ!!」プイ

男「」イラッ

男(何だこの露骨に怪しい態度……)

当然だが、ツインテが指さした方向にはもはや誰の姿もない。
ツインテを突き飛ばして急いで走り去った人物がどこかで角を折れて姿を消した、というのは、時間的には不可能ではないが……
男は小さく吐息し、>>↓1


ツインテの言い分を
1.とりあえず信じる
2.判断は保留しておく
3.嘘だと判断する

男「はあ……」

男は小さく吐息し、とりあえずこの場での判断は保留しておくことにした。
状況証拠的には露骨にツインテが怪しい――何より男との因縁があるのでこういう嫌がらせをする動機が無いではない――が、物的証拠はない。
現状では、真犯人がツインテを突き飛ばして逃走したという証言が本当である可能性も同じくらいあるのだ。

男「……待てよ、物証か。おい、ちょっと両手見せろ」

ツインテ「なっ、何よいきなり」

男「いいから疑われたくなかったら両手出せ」

ツインテ「こ、こう……?」

おずおずと差し出されたツインテの両手首を掴み、手のひらを上に向けさせる。
視界の外でツインテが息を詰めるのも意に介さず、まじまじと手のひらを観察する男。
白くて細い、華奢な手指はいかにも女の子らしいもので、しかし手のひらに出来た剣ダコが、積み重ねられてきた鍛錬の長さと真剣さを如実に物語っている。
全体に薄く土で汚れているが、単にしりもちをついた時に地面に触ったからか、汚い卵を持っていたから、あるいはその汚れを誤魔化す為にわざと汚したからなのかまでは流石に判断できない。

男(これでうっかり握り割った卵でもついてれば確定的だっただろうが……臭いはどうだ)クンクン

ツインテ「~~~~!!!」プルプル

男(……特に腐ったような臭いはしないか。持っていただけで臭いが付くかどうかはわからないが、とりあえず物証と言えるものは無いな)

男「わかった、もういいぞ。とりあえず、これ以上は考えても判断が……どうした」

ツインテ「…………!!!」プルプル

両手を開放して顔を上げると、ツインテは何故か頬を紅潮させている。
何故そんな反応をされているのかはよくわからないが、何となくこの後の流れが読めた男は>>↓1

1.ツインテのビンタを避ける
2.あえて食らう
3.避け損なう
4.コンマ
 00~32→1
 33~65→2
 66~99→3

何となくこの後の流れを察した男は、

ツインテ「バカッ!」ブンッ

男「……」ヒョイ

ツインテの大振りなビンタを上体をわずかに逸らす事でアッサリかわした。

ツインテ「なんで避けるのよ!」

男「なんで殴られなきゃならないんだ」

ツインテ「~~~~!」ムカーッ

生徒会長「まあまあ二人とも、その辺りで」

と、そこで生徒会長が仲裁に入る。
服についた白身と臭いまでは完全には取れていないが、とりあえず、端正な顔立ちを汚していた白身だけは綺麗に拭っており、

生徒会長「男君、このハンカチは綺麗に洗ってからお返ししますね」

男「いえ別にそのままでも」

生徒会長「いえいえ、こういう事はきちんとしないと、生徒のトップとして示しがつきませんから」

男「はあ、じゃあ、まあ、ご自由に」

生徒会長「ツインテさんも、ごめんなさいね。どうやら巻き込んでしまったみたいね」

男「……さっきのような嫌がらせに心当たりが?」

生徒会長「そうね……」

男の問いに、生徒会長はちらちらと二人の表情を窺うような素振りを見せる。
あまり大っぴらにしたくはない問題のようだが……>>↓1

1.詳しく教えてください
2.差支えがなければ教えてください
3.教えていいと判断できたら教えてください
4.詳しくは聞かないでおきます

男「差支えがなければ教えてください」

生徒会長「……そうねぇ、男君にはこれから生徒会のお仕事を手伝ってもらうわけだし」

ツインテ「えっ何それ」

生徒会長「ツインテさんも巻き込んでしまったみたいだし、教えておいた方がいいかしら。でも、ここでのことは他言無用でお願いするわね?」

男は無言でうなずき、何故か男と生徒会長の間で視線を往復させていたツインテも、遅れて頷く。
二人にありがとう、とやや力なく微笑んだ生徒会長は、困り顔で頬に手を当てながらゆっくりと話し出す。

生徒会長「そうね……どこから話したらいいのかしら。とりあえず、一言で言うと、今生徒会は……というより、わたしは、かしら? 誰かから嫌がらせを受けているのよ」

男「誰か、というのは、まだ誰かわかっていないんですか」

生徒会長「おそらくは複数犯なんでしょうね。ツインテさんは最近転入してきたばかりだから知らないでしょうけど、男君は覚えてるかしら。わたしが生徒会の会長に就任する時、ちょっと揉めたの」

男「ああ、そんな事もありましたっけね」

ツインテ「なに、どういう事?」

男「一言で言うと、生徒会選挙でダントツトップの得票率を叩きだした生徒会長に難癖をつけた生徒が余計な喧嘩を売って派手に叩き潰されたんだよ」

生徒会長「叩き潰すだなんてそんな。ちょっと>>↓1人くらい模擬戦のお相手をしただけですよ?」


>>↓1コンマで人数
00なら100人扱い


生徒会長「叩き潰すだなんてそんな。ちょっと57人くらい模擬戦のお相手をしただけですよ?」 アラアラウフフ

ツインテ「……えっ、待って、57人? 同時にじゃないわよね? 連戦で57試合ってこと???」

男「>>↓1」


1.同時に
2.連戦
3.コンマ(奇数→1 偶数→2)

男「流石に同時には無理だったよ。57人じゃ下手すると演習場に入りきらないレベルだからな」

ツインテ「と、当然よね~」

男「まあその日の放課後中にケリがついたんだが」

ツインテ「…………」

男「ちなみにそんな中途半端な人数になったのは、先に挑んだ奴らが瞬殺されていくところを数十人分見せつけられたところで後続の大半が逃走したからだ」

ツインテ「…………」

生徒会長「やだ、昔の事を話されるとちょっと恥ずかしいわね。でも、男君がそんな詳しかったなんて。もしかして男君――」

男「命知らずな奴らが何人居ようが結果は知れてるが、しかし何十人と連戦すれば弱点や攻略法も見えるんじゃ、とほのかな期待を抱いて見物に行ってただけです。予想通り期待は外れましたが」

生徒会長「あら、残念」


ツインテ「……ええと、それで、そんなすごい生徒会長さんに何で嫌がらせなんかを……?」

生徒会長「うふふ、そんな怖がらなくてもいいんですよー? さておき……まあ、投票結果に不服があるなら実力を示せば~、なんて言ってその場の勢いで50人ちょっと連続でお相手をして、それで一応わたしを生徒会会長として認めるという事で話はまとまったんだけど……」

生徒会長「あんまり派手にやり過ぎちゃったせいかしら。『現生徒会会長は暴力でもって恐怖政治を敷く独裁者である、直ちに退任せよ』みたいな脅迫文が」

男「完全に言いがかりじゃないですか。そもそも選挙の開票結果だけで決まっていたはずなのに」

生徒会長「まあそうなんですけどね~。多分、あの時わたしが倒した人達か倒し損ねた人達かもしくはそれ以外の人達が、わたしを生徒会会長の椅子から引きずり降ろそうと躍起になっている、ってわけ」

生徒会長「今のところはせいぜいさっきみたいな嫌がらせ程度だけど、嫌がらせの度合いはだんだんエスカレートしてきてる感じがするから、男君も、生徒会のお手伝いをする時は気を付けてね?」

男「もしかしなくてもその嫌がらせ犯への対抗戦力として俺を引き込みましたか」

生徒会長「男君は一度結んだ約束は破らない立派な男性よね?」

男「負けたら下僕の賭けを勝ってすぐ放棄するくらい興味ないものには執着しない性質です」

ツインテ「」ガーン

生徒会長「あらあら。困ったわね。やっぱり生徒会として、いたいけな下級生を下僕として酷使しているという悪しき上級生は取り締まるべきなのでしょうか」

男「約束がきちんと果たされるならやるべきことはやります」

生徒会長「それを聞いて安心しました。それでは、これからしばらくの間、よろしくお願いしますね♪」

男(やっぱりこの人は苦手だ……)

ツインテ「……いって言われた、興味ないって言われた、興味ないって……」ブツブツ

生徒会長「ツインテさん? どうかしました?」

ツインテ「ああ、いえ、何でも。……あっ、そうだわ!」

男「なんだ急に。……嫌な予感がするな」

ツインテ「あのっ、生徒会長さん!」

生徒会長「はい、なんでしょう?」

ツインテ「あの……良かったらその、私もその嫌がらせ犯探しに協力させてください!」

男「>>↓1」

1.断る
2.駄目だ
3.帰れ
4.力不足だ
5.その他自由安価

男「何故に?」

ツインテ「えっ、べっ、別にいいじゃないなんででも!」ツーン

生徒会長「構いませんよ~、むしろ助かります。人手は多い方がいいですし」

生徒会長「それじゃあツインテさんは男君と一緒に犯人捜しを手伝ってもらうという事で」

男「待ってください生徒会長」

生徒会長「はい、待ちますよ?」ニコニコ

男「俺はこいつを入れるのに反対です」

生徒会長「あら、どうしてでしょう?」

男「さっき腐った卵を投げつけてきた犯人はこいつを突き飛ばして逃げたという話ですが、こいつ自身が犯人である可能性もあります。その場合、生徒会内部に嫌がらせ犯の一味を招き入れてしまう事になるのでは」

ツインテ「なっ!」

生徒会長「ツインテさんが転入してきたのはわたしの会長就任騒動の後ですから、積極的にわたしへの嫌がらせ活動に参加する動機は薄いと思いますよ。それに疑わしいなら疑わしいで、目の届くところに置いておく方が安全という見方もできますし」ニコニコ

男「ぐっ」

生徒会長「それに、ツインテさんと男君が一緒に生徒会の活動をしていれば、『男君がツインテさんを下僕にしたという噂は、単にこのお手伝いの様子を見た誰かが邪推したり勘違いしただけだ』という風に、誤解も解きやすくなりますよ? それは男君の希望だったんじゃないですか?」ウフフ

男「ぐぬぬ」

生徒会長「反論はありませんか? 不満があるから決闘で力づくで、っていうのも、実はわたし、そんなに嫌いじゃないですよ?」ウフフフ

男「……異論は、ありません」グヌヌヌ

生徒会長「はい、それではこれからよろしくお願いします。ツインテさん、男君」ニコニコウフフ

ツインテ「はっ、はい! よろしくお願いします!」

男「よろしくお願いします。……何故だ、何故かどんどん面倒事を背負い込む方へ背負い込む方へと引き込まれている気がするっ……!!」



果たして、否応なくトラブルに巻き込まれていく男の運命やいかに。


…………

事情により明日(というか今日)は21時までしか居られないのでなるべく早めに始めたい(願望
いやあそれにしても新ヒロイン登場でどんどんラノベめいてきましたがコレタイトル詐欺じゃなかろうか



<ジャーン ジャジャーン(ジングル)
  行けども行けどもトラブルの予感から逃れきれない男!
  新ヒロインが登場するも、主役の座からのドロップアウトを巧妙に避けたツインテ!
  曲者の生徒会長が不穏に穏和にうふふと微笑む中、さらなるヒロインの影が見え隠れする
  果たして、男の行方に待ち構える運命とは!

  次回、[男「安価とコンマでラノベのお約束展開に立ち向かう」]第三夜
                >>↓3
              ご期待ください。


(安価内容)
1.男とツインテ、生徒会室を訪ねるの巻
2.学内一の情報通を探せ!
3.消えない、噂話
4.緊迫! 学園都市に迫る不穏な影
5.カメラは見た! 姿なき嫌がらせ犯を追う探偵カップル捜査行密着24時
6.その他サブタイ風自由安価
7.コンマ
 00~19→1
 20~39→2
 40~59→3
 60~79→4
 80~89→5

<ジャーン ジャジャーン(ジングル)
  行けども行けどもトラブルの予感から逃れきれない男!
  新ヒロインが登場するも、主役の座からのドロップアウトを巧妙に避けたツインテ!
  曲者の生徒会長が不穏に穏和にうふふと微笑む中、さらなるヒロインの影が見え隠れする
  果たして、男の行方に待ち構える運命とは!

  次回、[男「安価とコンマでラノベのお約束展開に立ち向かう」]第三夜
             『消えない、噂話』
               始まります。

…………

何者かに生卵を投げつけられ、何やかんやで生徒会長への嫌がらせ犯探しに協力する事になった、その翌日。
男とツインテは、生徒会長に呼び出されて生徒会室を訪ねていた。
ちなみに、生徒会室があるのは>>↓1である。


1.正面玄関と前庭を見下ろす見晴らしのいい最上階
2.時計塔の上
3.秘密基地めいた地下階
4.校舎内の一室
5.その他自由安価
6.コンマ
 00~24→1
 25~49→2
 50~74→3
 75~99→4

ちなみに、生徒会室があるのは秘密基地めいた地下階である。
生徒会フロアに下りる為の専用エレベーターは、生徒会メンバーとして登録されている生徒端末か、生徒会からパスコードを送られた端末による認証を行わないと使用できない。
それ故、やれ高級リゾートばりのスパ施設を完備しているだとか、軍事施設に通じる秘密の地下通路があるとか、そんな根も葉もない噂が一部界隈ではまことしやかにささやかれていたりする。

男「……あんまりキョロキョロするなよ」

ツインテ「いや、だって……あ、アンタは緊張しないの?」

男「別に悪いことをして呼び出されてるわけじゃないしなぁ……まあ確かに、まったく興味がないと言えば嘘になるが」

降り立った生徒会専用フロアは、窓が無い以外は上階の校舎と同じような廊下に、いくつかの扉が並んでおり、噂通りというわけではないにしろ、ある程度の広さと部屋数を備えているようだった。
ただ、あまり関係ない所を覗きに行って咎められても仕方ないので、すぐ目の前にあった、『生徒会室』のプレートが付いた部屋へ素直に向かう。

男「失礼します」

生徒会長「あら、いらっしゃい。時間通りですね」

挨拶しながら自動ドアを抜けると、最奥の席から立ち上がった生徒会長が、にっこりと蕾がほころぶような笑顔で出迎えた。
地下階であるというストレスを低減するためなのだろう、壁は書棚などが設けられているところを除いて映像パネルがはめ込まれており、まるで本物の窓から外を眺めているかのようなリアルさで、今はのどかな高原の映像が映し出されていた。
部屋の中央には、長方形の大きなテーブルがどんと置かれている。少し気になるのは、テーブルを区分けするかのように継ぎ目のようなラインが見える事で、

生徒会長「気が付きました? これ、本当は生徒会役員それぞれのデスクなんですけど、こうやって連結して大テーブルにも出来るんです。今はお客様のおもてなしモードというわけですね」

と、生徒会長がその正体を自慢げに説明してくれた。
最も奥の上座には生徒会長、そこから左右に生徒会役員らしき生徒が並び、入口に近い下手側には、男とツインテ、二人分の椅子が既に用意されていた。
生徒会長の手元には瀟洒なティーポットがあり、それぞれの席の前には湯気の立つ紅茶が置かれている。

生徒会長「さ、席にどうぞ。お砂糖やミルクは必要かしら?」

男「いえ、結構です」

ツインテ「くだs……私も結構です」

何の意地なのか、男の返答を聞いて言い直すツインテを見ながらくすくすと微笑んだ生徒会長は、さて、と前置いて、

生徒会長「それでは先に、わたし達生徒会のメンバーを紹介しておきますね。まず、こちらが副会長」

そう言って左手で指し示されたのは、[安価1][安価2]男子生徒だ。

>>↓1
1.神経質そうな
2.プライドの高そうな
3.体格のいい
0.その他印象

>>↓2
4.四角レンズの眼鏡をかけた
5.吊り目の
6.七三分けの
0.その他外見的特徴

ずれてもいいように安価内容は「1 4」「3と5」のようにどうぞ

そう言って左手で指し示されたのは、艶のある長髪を首の付け根あたりで一つに束ねた生徒だった。
線が細く中性的な顔立ちは、髪型も相まって一見すると女性と見間違えそうになるほどだったが、その肩幅や着ている制服は明らかに男子生徒のものだ。
おそらくこちらの紹介は先に済んでいるのだろう、男とツインテが自己紹介を求められはしなかったが、副会長はじっとこちらを見つめ、

男(……何だろう)

どうも、>>↓1


1.あまり信用されていないらしい
2.『使える』人間かどうか品定めされているようだ
3.視線に含まれた感情はどちらかといえば好意的なものだ
4.何故だろう背筋に悪寒がする
5.その他自由安価
6.コンマ
 00~24→1
 25~49→2
 50~74→3
 75~99→4

副会長「……うふ」

男(……何故だろう、背筋に悪寒が)

男のことをじっと眺めていた副会長が小さな含み笑いを見せる。
意味合いとしては嘲笑などではなく、好意的なものであったはずなのだが――いやむしろひどく好意的すぎるからだろうか。何故か男の背筋にゾクリとくる嫌な予感があった。
しかしほんのまばたき一つする間に、副会長は何事もなかったかのように人当たりのいい笑みを浮かべ、

副会長「私が副会長です。よろしくねえ」

どこかしなを作ったような口調でそう挨拶してくる。
どうもよろしく、とこちらからも会釈を返しつつ、

ツインテ「……あれがいわゆる『オネエ』ってやつ?」

男「俺に聞くな」

横からひそひそと話しかけてくるツインテを視線を動かさず一蹴する。

生徒会長「さて次は……生徒会を支える頼れる会計」

と、続いて生徒会長が示したのは、>>↓1

1.男子生徒
2.女子生徒
3.コンマ(奇数で男偶数で女)

>>↓1外見的特徴
1.大きな丸眼鏡の
2.三つ編みの
3.ボブカットの
4.ポケットから電卓の頭が覗いている
5.その他自由安価

>>↓1印象他
1.守銭奴っぽい
2.大阪弁の
3.ぼんやりした雰囲気の
4.生真面目そうな
5.その他自由安価

続いて生徒会長が示したのは、ボブカットの、ひどくぼんやりした雰囲気の女子生徒だ。

会計「あ~どうも~、会計です~。よろしくですね~」

ツインテ「あ、こちらこそ、よろしくお願いします~」

男「うつってるぞ、口調」

会計「うふふ~」

何というか、あの人の周囲だけ時間の流れが緩やかになっているような気さえする。
のどかな雰囲気は決して悪いものではないのだが、長時間話していると影響を受けそうだ。

生徒会長「大丈夫ですよ、こう見えても会計さんは、>>↓2」


1.お金の事にはキッチリしている
2.非常に成績優秀で頭の回転が速い
3.実力ランキング上位ランカー
4.お茶を点てるのが物凄く上手い
5.その他自由安価

生徒会長「お金の事にはキッチリしていますから」

男「本当ですか?」

生徒会長「会費の使い込みとか、どれだけ細工しても絶対見逃してくれないんですよ」

男「ちょっと待ってください」

生徒会長「軽い冗談ですよ~。本当に使い込みした事なんてありませんから」

会計「ええ~、わたしが事前に阻止しましたからね~」

生徒会長「うふふ~」

会計「えへへ~」

男(何この空気怖いんだけど)

生徒会長「ええと、気を取り直して次は庶務さんですね。そちらの方です」

そう言って生徒会長が指したのは、>>↓1

1.男子生徒
2.女子生徒
3.コンマ(奇数男子偶数女子)

>>↓2外見的特徴

1.スレンダーな
2.アホ毛の(本数指定可)
3.変わった眼の色の(詳細指定可)
4.カチューシャでおでこを露出させた
5.その他自由安価

>>↓2印象その他

1.いかにも下っ端気質な
2.物静かというか根暗というか
3.テンションの落差が激しそうな
4.面倒くさがりに見える
5.その他自由安価

次に紹介されたのは、ひどく色の白い女生徒だった。
おそらくアルビノというやつだろう、片目だけ色素が薄く、血管が透けて紅く見える。
居並ぶ面々の中でも底抜けにテンションが低く、気だるげに持ち上げた片手を軽く振るだけの挨拶をしてくる。
他の役員にしたのと同じように軽く会釈を返しつつも、怪訝さは隠しきれなかったのだろう。生徒会長がすぐフォローの為に口を開き、

生徒会長「ごめんなさいね。今はちょっと元気がないですけど、元気のある時に会ったらきっとびっくりしますよ」

男「そんなに違うんですか?」

生徒会長「>>↓2」

1.物凄く明るくて快活になります
2.怒ると手が付けられません
3.安心して現場を任せられるやり手です
4.何というかこう……ヒャッハーって感じ?
5.その他自由安価

生徒会長「物凄く明るくて快活になります」

男「…………」ジー

庶務「……はぁー……」グダー

男「…………」

生徒会長「こらこら、『これが?』みたいな顔をしないの」

男「はあ、すいません。快活な時に会えるのを楽しみにしておきます」

生徒会長「信じてませんね? まあ、いいですけど。絶対ビックリしますから」

生徒会長「あとは生徒会の役員ではないのだけれど、今回は嫌がらせ犯の対策会議という事で同席してもらってる、風紀委員長さんです」

と言って、最後の一人を指し示す。>>↓1


1.男子生徒
2.女子生徒
3.コンマ(奇数男子偶数女子)

>>↓2外見的特徴
1.さっぱりしたショートカット
2.ジャージ姿
3.モデルのようなスタイルの良さ
4.目元に泣きぼくろがある
5.その他自由安価

>>↓2印象その他

1.姉御肌
2.プライドが高そう
3.ギャンブラー気質
4.下手な男よりイケメン
5.その他自由安価

最後の一人、風紀委員長は非常に真面目そうな雰囲気の女子生徒だった。
頭髪は染めたり脱色したりすることなく綺麗に整え、制服も一切着崩さずきっちりボタンを留めている……のだが、それがはちきれてしまうのではないかと思えるくらいに、制服の胸元を強烈に押し上げて自己主張しているものがある。
男は努めてそこから視線を逸らし、ついでに隣から聞こえてきた「ぐぬぬ」とかいううめき声とも歯軋りとも取れないものも無視した。
男が会釈すると、風紀委員長も鷹揚に頷きを返す。
そのままおもむろに腕を組み(その際胸の膨らみが持ち上げられて再び歯軋りが聞こえたが男は無視した)、口を開いて放たれる第一声は、

風紀委員長「生徒会長、先ほども言ったが――私はこの二人を使うことには賛成しかねる」

ツインテ「なっ! 私達の何が悪いっていうのよ!」

男「おい無駄に突っかかるな妬ましいからって」

ツインテ「うっ羨ましくなんてななないわよっ!!」

男「語るに落ちてるな……」

生徒会長「はいはい、静かに。それじゃあ風紀委員長さん、二人の前で、改めてそう考える理由を説明してくれる?」

風紀委員長「>>↓2」

1.こういった問題に一般生徒を巻き込むべきではない
2.私と風紀委員達の実力なら対処できる
3.君は少々スタンドプレーが過ぎる
4.彼らが嫌がらせ犯の一味である可能性は否定できない
5.その他自由安価

風紀委員長「彼らが嫌がらせ犯の一味である可能性は否定できない。そんな人間を自陣に組み込むリスクを考えていないとは言わないだろうな?」

生徒会長「彼らにその動機があるのかしら?」

風紀委員長「無いと言いきれるのか?」

風紀委員長「例えばそこの転入生。君は、彼女が転入してきたのは最近だから生徒会選挙でのいきさつも知らない、という事を根拠に挙げていたが、逆に詳細を知らないからこそ、根も葉もない悪評を吹き込まれて一味に加わったという可能性も考えられる」

ツインテ「そんな事……!」

風紀委員長「君は黙っていたまえ、今私は会長と話をしている」

ツインテ「ぐぐぐ……!」

男(お堅いなぁ……)

生徒会長「うーん、そうねえ、たしかに風紀委員長さんの言う事ももっともなのだけど、でも、可能性の話ばかりしていても物事は進みませんよ?」

風紀委員長「それは熟慮を放棄していい理由にはならない」

生徒会長「そう。あなたの言い分はわかりました。では、わたしから彼ら二人が協力を頼むに足る人物である根拠を言いましょう」

風紀委員長「それは?」

一息、

生徒会長「わたしがそう決めたからです」

にっこりと、花が咲くような満面の笑顔で言い切った。

風紀委員長「君な……そんな事だから暴君だの独裁者だのというネガキャンを受けるんだぞ」

生徒会長「はいはいお説教はまた今度ゆっくりお茶でもしながら聞きますから、今は建設的な話を始めましょう?」

風紀委員長の言葉に全く堪えた様子もなく、生徒会長はぱん、と手を打って話題の切り替えを促す。
風紀委員長はやれやれと言わんばかりに片手で顔を覆っているが、周りの生徒会役員の面々が何も言わず別段不服そうでもない所を見ると、これがいつもの光景なのだろう。

男(これが、今の生徒会メンバーか……)

生徒会長「さて、それでは具体的な対策とどう動くかについて、詳細を詰めていきましょう」

生徒会長が会議の始まりを告げると、役員達が挙手してそれぞれの意見を述べていく。

会計「とりあえず~、直近だと全校生徒を集めての、生徒会の活動収支報告会がありますね~」

副会長「メインターゲットが会長なら、あまり表立った舞台には立たない方がいいのかし……ゴホン、いいのでしょうか」

風紀委員長「講堂周辺の警備は風紀員が十全に務める。心配は無用だ」

庶務「……いっそ……生徒会長を囮にして襲撃を誘う、ってのは、どうですかねー……」

風紀委員長「待て、そういった危険を伴うような作戦は認められんぞ」

生徒会長「そうねえ……男君とツインテさんの意見はどうかしら?」

男「俺ですか?」

生徒会長から話を振られてしばし思案する。
正直、手伝いというから何かしら指示を振られてその通り動くものだと思っていたのだが……自己判断が要求されるとしたら、幾分責任の重さものしかかってくる。

男(そうだな……)


>>↓3
1.指示通り動く下っ端に徹する
2.風紀委員の警備活動を手伝う
3.生徒会と無関係なふりをして一般生徒に聞き込みを担う
4.嫌がらせ犯の一味へ潜入捜査
5.『打倒生徒会長』を掲げて先に狂言騒ぎを起こす
6.その他自由安価

男「一般生徒への聞き込み……とかどうでしょう」

風紀委員長「その程度なら、既にこちらでも行っているが?」

男「生徒会とか風紀委員会って立場から聞かれるのと、同じ一般生徒同士で雑談するのとじゃ、口にする内容も違ってくるでしょう」

風紀委員長「む……それは確かにそうだが」

男「警備とか、そういう風紀委員の仕事に口を出すより、一生徒である俺らは一生徒として別で動くのが効率的かと思うんですが……どうですかね」

副会長「会長」

生徒会長「そうですねぇ、役割分担という意味では、男君達を『生徒会』というくくりに入れてしまうより、その枠の外で動いてもらった方が助かるでしょうね」

会計「単純な頭数という意味なら~、もう風紀委員会がありますからね~。そ~ゆ~のとは別で動ける人材の方が便利です~」

生徒会長「では、男君とツインテさんには一般生徒に紛れての情報収集をお願いしましょう。何かめぼしい情報があれば逐次報告してくださいね」

会計「ちなみに~、経費は自腹でお願いしますね~。生徒会で領収書切っちゃったら紛れてる意味ないですし~、問題解決してから後払いしようにも~、生徒会としては領収書のない支払いには応じられませんので~」

男(なるほど、金の事にはしっかりしてる)

風紀委員長「……会長が決めた事ならとやかくは言わんがこれだけは言っておく。自分達の身に危険が及ぶような事には手を出すな。そこから先は風紀委員会(われわれ)の領分だ」

男「……わかりました」

生徒会長「それじゃあツインテさんも、そういう事でお願いしていいかしら?」

ツインテ「えっ、あっ、はい! 私はこいつと一緒なら何でも……じゃない、ええと、がんばりますね!」

生徒会長「では、よろしくお願いしますね。こちらでの決定や動向は、あなた達にもお知らせしますから」

男「……と言ったけど、よく考えたら前提から破綻してるんじゃ」

ツインテ「えっ?」

男「いや、ここからノコノコ出ていくところを誰かに見られたら、生徒会に関係ありますって言ってるようなものだし……」

ツインテ「あっ」

風紀委員長「やれやれ……」ハァ

生徒会長「そうですねぇ……ちなみに、入ってくるところは誰かに見られましたか?」

男「……多分、見える範囲には誰も居なかったと思いますが……」

生徒会長「じゃあ大丈夫です。……なんと実は、このフロアから校内のあちこちに通じている、秘密の出入り口があるので♪」

男「……なんでそんなに楽しそうなんですか」

生徒会長「うふふふふ」

ツインテ「でも、もし隠れて様子を窺ってる誰かに見られてたらどうするんですか?」

生徒会長「その時はその時です」

男(言い切った)

生徒会長「それじゃあ、隠し通路への案内は……>>↓1」


>>↓1
1.わたし
2.副会長
3.会計
4.庶務
5.風紀委員長
6.コンマ
 00~19→1
 20~39→2
 40~59→3
 60~79→4
 80~99→5

生徒会長「それじゃあ、隠し通路への案内はわたしが……」

風紀委員長「会長。まだ話は終わっていないぞ」

生徒会長「えー」

風紀委員長「こんな時だけ子供っぽくわがままを言っても駄目だ」

生徒会長「ぶー」

風紀委員長「会長」

生徒会長「わかりましたよー。それじゃあ、庶務ちゃん、お願いしていいですか?」

庶務「うぇ? あー……わかりましたー……」

会長に指名されて、庶務が気だるそうに立ち上がる。
男とツインテも立ち上がって一礼し、

男「それじゃあ俺達はこれで、失礼します」

生徒会長「お見送りできなくてごめんなさい。この一件が終わったら、今度はゆっくり訪ねてくださいね」

副会長「楽しみにしてるわん」ウフ

男「…………!?」ゾワッ

庶務「それじゃあ……こっちね……ついてきてー……」ユラユラ

男「あ、ええと、それでは」

にこやかに手を振る生徒会役員、一瞥と会釈だけを送ってくる風紀委員長を残し、二人は庶務に連れられて生徒会室を出るのだった。



…………



隠し通路が実在したという事は、生徒会専用のフロアにまつわる諸々の噂はいくつか真に迫ったものもあるのではないだろうか。
来た時よりも強く興味を惹かれつつ、ツインテと連れだって庶務の後に続く男。
先を行く庶務はやはりだるそうに……しかし意外としっかりした足取りで先導していくが、>>↓2

1.そのまま目的地へ
2.何か話しかけてみる
3.目を盗んでこっそり探検に
4.その他自由安価

沈黙に耐え兼ね、特に深く考える事なく声をかけてみる男。

男「大きいですね」

庶務「……? はい? 何の事ですか……」

男「ああ、えーっと……>>↓2」

1.ここの敷地面積
2.背の事です
3.生徒会長の器が
4.風紀委員長の……
5.その他自由安価

男「生徒会長の、なんというか、人としての器っていうんですかね」

ツインテ「あー、たしかにそうよね。なんか凄い人なんだけど、すごすぎてちょっと苦手に感じる事もあるっていうか」

それに対する庶務子の反応>>↓1
1.ローテンションまま
2.スイッチON
3.コンマ(奇数→1 偶数→2)

庶務「あー……たしかにね。いつもそばで見てて思いますけど、すごい人ですよー……」

ツインテ「いつもあんな感じなんですか?」

庶務「そーですねー……まあ、あの調子で振り回されることも多いですけど……でも、絶対悪いようにはならないんですよねー……」

ツインテ「へー……」

庶務「……あ、着きましたよ。ここです。どうぞー……」

そう言って、並ぶ扉のひとつの前で足を止めた庶務は、扉横のパネルに自身の端末をかざしてロックを解除すると、二人を室内に招き入れる。
室内には、傍らに操作パネルがついた、人一人か二人分程度の太さの円筒がいくつか並んでいた。

庶務「そこのパネルで行先を決めて、隣の筒に入れば上に出られますから……それじゃ、あたしは会議の続きがあるんで、これで……」

ツインテ「あ、ありがとうございました!」

男「どうも」

ひらひらと手を振って部屋を出ていく庶務。
扉が閉まり、件の装置に向き合う男だったが、

男「……待て、この端末、行先指定のボタンにどこに出るかが書かれてないぞ」

ツインテ「単なる番号指定になってる……えっ、ちょっと、これどれでどこに出るの?」

男「……お前先に行けよ」

ツインテ「いっいやよ! せ、せめて二人一緒にでしょ!?」

男「おいこれ嫌な予感しかしないぞ……!」

というところで時間なので本日ラスト安価


>>↓2
隠し通路を抜けて男とツインテが出た先は……
A.一緒
B.別々
0.コンマ(奇数で一緒、偶数で別々)

>>↓4
二人が出た場所は……
1.人気のない校舎陰の物置小屋
2.男子トイレ
3.女子トイレ
4.男子更衣室
5.女子更衣室
0.コンマ
 00~09→室内から取説を発見したので人気のないまともな(任意の)場所へ出られた
 10~27→1
 28~45→2
 46~63→3
 64~81→4
 82~99→5

私が来た!

本日は都合により22時までの予定です

室内を探してみたものの説明書のようなものは見当たらず、やむなく運を天に任せて装置を使うことになった男とツインテ。

男(変な所にだけは出ませんように……!)

祈りながら適当なボタンを押して、円筒形の乗降装置に入ると、浮遊感と共に装置が動き出した。

男(しかしなんでこんな凝った隠し通路が……学園都市全体が軍と関係あるから、その辺のツテなんだろうか……?)

考えている間にも、チューブの中を吸い上げられるようにして、体は上へと昇っていく。
おそらく校内各所の出入り口へと無数に枝分かれしているのだろう、時折上で弁が閉まるような機械音がかすかに聞こえたり、体の角度が変わったりもする。
一応視界がきく程度の内部灯はあるものの、閉所恐怖症には少々つらい移動手段だろう。
等と思いつつ、時間としてはほんの数秒程度だったろうか。

ツインテ「――ふわ!?」ムギュ

男「はあ!?」ギュウ

足元から何かの機械の作動音らしきものが聞こえたと思ったら、突如同じチューブの中にツインテが押し込まれてきたのだ。
一人ならまだしも、流石に二人で入るには狭い。互いの体が密着し、思うように身動きが取れなくなってしまう。

ツインテ「やっ、ちょっ、変なとこさわんないでよ!!」

男「ええいやかましいぞお前どっから入ってきた!」

ツインテ「し、知らないわよ! 私三番押して普通に入っただけだし!!」

男(……よりにもよって俺と同じ番号選んでたのかコイツ!)

これが誤作動なのか正規の仕様なのかは不明だが、同じ目的地を指定して同時に使ったせいで、混線というか、合流してしまったらしい。

ツインテ「え、なに、もしかしてアンタも三番選んだの? へ、へー、そ、それは偶然だったわねー」

男「……そのわざとらしさ、お前俺の操作見てから同じの選んだんじゃないだろうな」

ツインテ「ぎくっ」

男「…………おい」

ツインテ「しょっ、しょうがないじゃない! だっだって、どこに出るかもわかんないのに、へ、変なとこに一人で放り出されるかもって考えたら怖いじゃない!!」

男「出るタイミングずらすとかちょっとは考えろ! あーもうだからこの考えなしは――――!!」

ツインテ「うぐぐ、くっ、苦し……やめて壁に押し付けないで」

狭いチューブ内でもみ合い……もとい押し合いへし合いしながら、どのくらい時間が経ったろうか。
体感的には長かった気もするがおそらくは数秒程度のはずだ、やがて頭上で新たな作動音がし――

ガシャン、と装置の開閉音がして、二人の体にかかっていた浮遊感が消失した。
どうやら着いたらしい。といっても、円筒形から四角い箱状に変わっただけで狭さは相変わらずだし、中に明かりが無いのでほぼ真っ暗だ。

男「さっさと出ろ……!」

ツインテ「やっ、そんな強く押さなっ……ひぅっ!」

男「気持ち悪い声を出すな」

ツインテ「ちがっ、そのっ……し、…………下着がずれて、その……脱げそうに…………」

男「……お前はどうあがいてもノーパンになる呪いにでもかかってるのか」

ツインテ「そんなの知らないわよ!!」

男「というか、ほんとにどこだここ。あ、待て頭下げろ、外が見えそうだ……」

狭い箱の中で、「むぐ」などと潰れた声を漏らすツインテの頭を押さえ込みつつ、小さな光源に気付いた男はそこに顔を近付け目を凝らす。
ほぼ顔と同じ高さに、横向きの細いスリットが縦に数列並んでいて、そこから箱の外の光が入ってきているのだ。
……この時点ではまだ、男は頭の中で、そのスリットの特徴と自分の知るあの箱とを結びつけることはできなかった。

男(ここ、は……更衣室、か?)

スリットから覗いた視界に映るのは、正面の壁沿いにずらりと並んだロッカーだ。
それを見て、自分達が今入っているこの箱も、同じように並んだロッカーのひとつなのだろうと想像がつく。

男(……待て。更衣室だと。男女どっちのだ!?)

嫌な予感はすぐさま確信へと変わる。
スリットから入ってくる空気のニオイは、男子生徒が使っている制汗スプレーなどとは違う、どちらかといえば香水のような甘いもの。
加えて、正面のロッカーの上から覗く壁紙は、未だかつて男がどこの更衣室でも見たことがない薄桃色。

男(よりもよって女子更衣室か!!)

ツインテ「むぐ、ちょっ、ちょっと、私を窒息させる気もが」

男「ちょっと黙れ、静かにしてろ……!」ヒソヒソ

こんな所で見つかったらシャレにならない事態になる。
男はそっと外の気配を窺うが……>>↓1

1.人気のない場所にあるのだろうか、しんと静まり返っている……
2.耳を澄ますと、遠くからがやがやと人の近付いてくる気配が
3.コンマ(奇数1偶数2)



最悪な事に、遠くからがやがやと人の近付いてくる気配がする。
当然というか、その音程の高い姦しいざわめきは女子生徒の集団が作るものだ。

男(まずい……まずいまずいまずい……!)

ざわめきは明らかにこの更衣室を目指している。
スリットから覗ける範囲ギリギリまで左右を見回すと、このロッカーは部屋の一番奥の方に置かれたものらしい。
右手側には並ぶロッカーが続いているのしか見えなかったが、左手側すぐの距離に部屋の奥壁があり、そこに窓があるのも見えた。

男(どうする――!?)

>>↓1
1.素早くロッカーから飛び出して窓から脱出
2.おそらく間に合わない、このままロッカー内に潜伏
3.コンマ(奇数1偶数2)

脱出の成功判定>>↓1コンマ

00~09→Perfect
10~29→多少場は荒れたが脱出成功
30~59→脱出はできるが後姿を目撃される
60~89→脱出し損ね、再びロッカーに隠れる羽目に
90~99→脱出し損ねて入ってきた女子生徒達と出くわす

男(ままよ!)

迷っている時間は無い。男は即座に判断を下した。
まず、武器化には至らない魂の錬成で身体能力を向上。
強化された膝蹴りでロッカーの扉を素早くぶち開け、ツインテを強く抱きしめるようにして作ったわずかな空間を生かしてスムーズにターン。
ツインテをロッカーの奥に、自身を扉側へと彼我の位置関係を入れ替えるなりツインテを離して後転でロッカーから転がり出て身を起こせば窓の前。
男子更衣室より防犯対策が厳重なのか、窓枠の上中下三か所に設けられた鍵を外すのに少々手間取っている間に女子生徒達の声は扉のすぐ外にまで迫り、

男(南無三!!)

女子生徒「でさ~、――って、男子!?」

窓を開くのと背後で扉が開くのは同時だった。
男の後姿を目にした女子生徒が挙げる驚愕の声を背後に頭から窓に飛び込み――

男(ここは――この更衣室の場所は――!)

>>↓1

1.本校舎の一角
2.の、二階
3.否、三階
4.校内外れの部室棟
5.コンマ
 00~24→1
 25~49→2
 50~74→3
 75~99→4

飛び出した先に地面はなかった。

男(二階か――――!!)

何故か妙に冷静な頭の一部で、生存本能が全開になっているのを実感しながらも体は反射的に動く。
いくら二階程度の高さといえど頭から落ちれば流石に無事には済まない。故に体を丸めて猫のように空中で回転し、

男「――――!!」

ズダンッ、ゴロゴロと、五点着地で衝撃を殺し、

男「…………流石に、予想外の事態がこうも連続で来られるとちょっと緊ちょぬおおああああ!!!」ドゴォ!

女子生徒s「あそこだ殺せ――――!!!」ドガガガガガガ

遠距離攻撃可能な武装能力を持つ女子生徒達からの砲撃に背中を煽られて慌てて走り出す。

男「絶対に今日は厄日だ!!」

二階から飛び降りて追撃してこれるだけの能力を持った女子生徒が出てこないうちに距離を開け、何とか身柄を押さえられる前に逃げ切る事には成功したのだった。
無論、後日『女子更衣室に男子生徒が侵入した』というニュースと警告が学校中に張り出される事にはなってしまったのだが。

ともあれ、情報収集である。
ギブアンドテイクの約束を交わした以上はある程度真面目に働かねばなるまい。
覗き魔出現の報に、学内は一部不穏な空気が流れてはいたが、翌日からさっそく行動を開始する事にする。

男「とはいえ、どう集めるか……」

あまり堂々と「生徒会に嫌がらせしてる奴が居るらしいんだけど何か知らない?」等と聞いて回っては密偵であると公言するようなものだ。
ここは……>>↓2

1.教室や学食など、人の多い場所でこっそり雑談に耳を傾ける
2.何かとツテの広い悪友に当たってみる
3.報道部員を捕まえてめぼしい情報が無いか聞き出す
4.ファンが多いというツインテをこき使う
5.その他自由安価

男「うーん……あまり派手に聞き込み活動すると目立つし、人気の多い所で耳を澄ませる、とかかな」

秘密の話をしたい時は、人気のない所よりも、人気の多い所を選んだ方が、周囲に紛れて逆に目立たないと聞いたことがある。
嫌がらせ犯かその関係者がそれを知っていれば、もしかすればうっかり内緒話の尻尾を掴めるかもしれないし、単純に情報の多い場所の方が色々な話を聞けそうでもある。
というわけで早速動きたいのだが、

男「なぜお前が居る」

ツインテ「なっ、会って第一声がそれって何よ!?」

男「ああ、そりゃ悪かったな。ヤア、コンニチハー。で何でここに居る」

ツインテ「挨拶の仕方がぞんざい!!」

ぎゃーぎゃー騒ぐのに構わず男が半眼で睨んでいると、

ツインテ「その……だってほら、二人で一緒に協力して会長の手伝いをするって話だったじゃない」

男「そんな話だったか……?」

ツインテ「そういう話だったの! っていうかアンタ、人に散々失礼な事しておいてその態度は何なの!? どういう了見なの!?」

男「その辺は一回直接決闘して白黒ハッキリつけただろ。あれ、そういえばしてなかったっけ……?」

ツインテ「アレでその前の事は許しても、新しい罪状がどんどん追加されてるの! 昨日だって、あんな……」

と、何故か若干頬を赤らめながら自分の体を抱くようにしているのだが意味がよくわからない。
男は面倒なので深く考えない事にして、

男「あー、じゃあとりあえずこれから情報収集をしていくから、」

ツインテ「うん」

男「>>↓2」


1.一緒に来て手伝え
2.手分けして行動を開始しよう
3.何か考えがあるなら聞いておく
4.その他自由安価

あ、ごめんなさい安価取り先間違えてました

こちらのミスなので訂正しようかと思ったんですが、そのまま行った方がいい感じです?

すいませんありがとうございます、では>>279>>281の流れで続き書きます

男「一緒に来て手伝え」

ツインテ「わ、わかったわよ。で、どうするの?」

男「まあ人通りの多い所で聞き耳立てて、地道に情報収集かな……」

ツインテ「そんなので大丈夫なの?」

男「と言っても、あんまり目立っちゃ意味がないだろ。それとも、お前の方でそういう話を聞ける当てが何かあるのか?」

ツインテ「う、そ、それはないけど……」

男「……お前もしかして友達居ないのか?」

ツインテ「なっ! あっアンタには別に関係ないでしょ!!?」

男「居ないのか……あー、はいはい。……俺もかなり喧嘩売られたんだが、お前って結構ファン付いてるんじゃなかったのか?」

ツインテ「えっ、だって、なんか……知らない人からいきなり気さくに接されても怖くない?」

男(わからんではないが)

男「あー、もういいや。地道にやろう。行くぞ」

ツインテ「あっ、ちょっと待ってよ!」


と、いうわけで、学食や校内でも人気のカフェなどで、それとなく聞き耳を立ててみたのだが……?


>>↓1~3コンマで情報収集判定x3

00~09→核心的な情報の一端を掴む
10~39→おぼろげな情報しか得られない
40~89→役に立たない情報ばかり
90~99→情報を集めてるのがバレて敵に目を付けられる

情報収集一日目。

男「お前は何を『最近人気のオススメスイーツ店!』だの『学園都市おススメのデートスポット』だの『これで理想のプロポーションに! 必勝豊胸ダイエット法』だのとまるで役に立たない情報ばかりメモってるんだ。というか痩せてバストアップとか明らかに矛盾してるだろ最後の」

ツインテ「ほっ、ほっといてよ!! いいじゃないちょっとくらい夢見たって!!」

男「夢に過ぎないって事は自覚してるんだな……」

ツインテ「うわーんうるさいうるさいうるさい! しっしっ!」

ツインテが必死に牙を剥いて威嚇する子犬状態になったので放置して帰宅。成果なし。

二日目――

男「――おい、わざとらしくならないような動きで右斜めのテーブルの連中の顔を見とけ」

ツインテ「?」

男「何か不穏な事を喋ってる。当たりかもしれない」

ツインテ「わ、わかった!」

昼休み、大勢の生徒でにぎわう学食にて。
声を押さえてこそいたが、いささか剣呑な雰囲気のグループが居たので注意していたところ、かなり疑わしい会話が耳に入ってきた。
近付き過ぎてこちらに気付かれては元も子もないので、この距離からでは途切れ途切れにしか会話の内容は聞き取れないが、

怪しい男子生徒A「――んどの全校集会で――――チャンスは――――」

怪しい男子生徒B「――――――うき委員会の警備は――情報――――」

怪しい女子生徒「――外部からのきょうりょ――――打ち合わせは――――」

怪しい男子生徒C「――危機管理能力の不備を糾弾――――これで生徒会長を――――」

男(何やら物騒な空気だな……とりあえず、顔と学年を覚えておいて、後で生徒会に照合してもらうか)

もし彼らが嫌がらせ犯の一味なら、顔と名前から部活や交友関係などを洗い出していくことで、他の面子も釣れるかもしれない。

男(とはいえ、あんまり首を突っ込み過ぎるなとは言われてる。ほどほどの所で今日は退散しよう)

そう考えた男は、偽装の為に注文していた軽食を食べ終えたタイミングで、ツインテを促してその場から離れる事にした。


そして三日目――

男(昨日の連中は今日もここで食事をしてるかな……まあ、探してるとバレても仕方ないから、自然体で出来る範囲でやれることをしよう)

男(というかツインテの奴はどこだ。学食でぼっち飯してると目立つかと思って一緒に行動しようって話を――あっ)

学食内を見回した男は、さほど苦労せずツインテの姿を発見したのだが、

男(あのバカ、勝手に無茶をするんじゃねえよ!)

ツインテの向かう先にあるテーブルのひとつで、昨日不穏な会話をしていた生徒がまた別の生徒達と何かを話し合っているのが見えたのだ。
どうやら、ちょうど彼らのすぐ後ろのテーブルが空いたので、自然に――そう、空いた席に座るというごく自然な行動で接近を試みているらしい。
ただ、近付く動機はごく自然なものでも、近付く所作が不自然極まりなかった。
緊張しているのが丸わかりのぎごちない足運びで、あれで隣のテーブルまで近づいたら間違いなく相手の目に留まるし不審がられる。
遅れてきた自分も悪いといえば悪い。どうするか、と一瞬迷っている間に、

急ぎ足の生徒「っと、ごめんよ」ドン

ツインテ「ふわっ!」

別の生徒と肩がぶつかり、強張った足がもつれ、その二つがタイミング悪く重なった結果、ツインテは怪しい生徒グループの目の前で転んで、トレーの中身をぶちまける事になってしまった。
遠目にも、グループがぴたりと会話をやめ、すぐそばで派手な物音を立てた相手を警戒しているのが分かる。
そこで上手く誤魔化してその場を離れられればよかったのだが、ツインテの動きは緊張と焦りと相手の視線を気にしてひどい有様で、容疑者グループの表情が徐々に険しいものになっていく。

男(……くそ、どうしようもないな)

迷いを振り切り、男は足早にツインテに近付いて、

男「このバカ! 人が多いから気を付けろと言っただろうが!」スパァン

ツインテ「ふぎゅ! あっ、あの」

男「いいから、さっさと来い。あーあー勿体ない、他の人にも迷惑だし掃除道具借りてきてさっさと片づけるぞ」

ツインテ「ぅ、あっ、ごっ、ごめんなさい」

男「まったく、お前のせいで飯を食う時間が無くなっちまう――」

等と言って、精一杯自然な所作でツインテを連行し、その場から離れたのだが、件のグループから敵意ある視線が向けられているのは背中越しにもわかる。
程なくして、テーブルについていたグループ全員が足早に学食を出ていってしまった。

男(……これはちょっと、目を付けられたかもなぁ……)

緊張やら後悔やらでうっすら涙目になっているツインテを適当にあしらいながら、男は内心で頭を抱えるのだった。

とりあえず、ここまでの成果や問題点は報告しておこう。

>>↓1報告した相手

1.生徒会長
2.副会長
3.会計
4.庶務
5.風紀委員長
6.コンマで誰が出たか
 00~19→1
 20~39→2
 40~59→3
 60~79→4
 80~99→5

放課後。
ツインテを捕まえて、指示があれば生徒会室なり風紀委員の詰め所なりへいつでも動けるよう備えつつ、携帯電話で今回の件の諸連絡用にと教えられていた番号へかける。
きっかりコール三回で通話が繋がり、

生徒会長『わぁたぁしぃだぁ(下手くそなだみ声)』

男「切りますね?」

生徒会長『ああっちょっと待って待って、待ってください、ほんの遊び心です。一度やってみたかったんですこういうの』

男「真面目な話してもいいですか?」

生徒会長『わかりました、真面目な話ですね? ――どうぞ』

本当に一息で、声は変わらないのに別人のような真面目な口調になって促す生徒会長に、事の経緯をかいつまんで報告する。

男「というわけで、怪しい生徒は何人かピックアップできましたが多分こっちの事もマークされました」

生徒会長『そうですか。うーん、困りましたねえ』

男「困ったついでにもうひとつ聞きたいんですが」

生徒会長『はい、なんでしょう?』

そう前置いて、男が空いた手で後頭部をかきつつ見やるのは傍らのツインテで、

男「あれから数日、例の噂がいまだに全く衰える気配を見せないんですがこれは一体」

生徒会長『あっ』

男「会長」

生徒会長『いえいえ、忘れていたとかそういうわけでは決して。でも、脈絡なく『いたいけな転入生をある上級生が下僕扱いしているという噂の事ですけど』なんて言い出しても不審がられますし、なかなかタイミングというものが』

男「本当にお願いしますよ?」

生徒会長『ええ、勿論約束は守りますよ。生徒会会長として、ちゃんと手伝ってくれた人にお礼をしないなんて不義理な事は致しませんとも』

そう言って、電話口でうふふと笑う生徒会長。
要するに、働かずに対価だけ持ち逃げするような真似はさせないという事だ。その辺りは流石に抜かりない。

男「しかしそうは言っても、マークされたとなるとこちらもこれ以上は動けなくなりますが」

生徒会長『そうですねえ……。あ、それじゃあ今の段階で出来るとりあえずのお礼として、ちょうど今、女子更衣室に男子生徒が忍び込んでいたという騒ぎが持ち上がってますから、そちらをさらに派手に盛り上げる事で相対的に下僕の噂を目立たなくするという方法では』

男「いやそれもちょっと」

絶対に、件の男子生徒の正体が誰かわかった上で言っているという気がする。

男(本当に苦手だこの人……)

生徒会長『ではお手伝いの件にお話を戻しますけど、こちらから話を通しておくので、ツインテさんとご一緒に一度風紀委員会の詰め所の方へ向かってください。そちらの方で、全校名簿から目星をつけたという生徒を教えてくれれば、あとは風紀委員さん達で調べます』

男「その後、俺達は?」

生徒会長『とりあえずはいつも通りの学生生活に戻ってください。これ以上変な動きを見せなければ、相手も手を出すまではしてこないかもしれませんし』

男「了解です」


そういう具合に一通り報告を済ませたのだが――>>↓2

1.風紀委員への報告もつつがなく終わり、その後も別段何事も起こらなかった
2.直接手は出してこないが、こちらの後を付けて様子を窺っている気配が
3.寮に戻ると、自室が派手に荒らされて警告文が残されていた
4.風紀委員の詰め所へ向かおうとしたその時、行く手に立ちふさがる集団が
5.コンマ
 00~09→1
 10~39→2
 40~69→3
 70~99→4

生徒会長への報告を終えた後、指示された通りに、風紀委員の元で怪しげな生徒を報告。
諸々の報告を終えて帰路につき、その間もずっと警戒だけは怠らなかったのだが――こちらの警戒とは裏腹に、特に何事も起こらなかった。

男(そこまで不審がられてはいなかったのか……それとも俺達程度は相手にもされていないという事なのか……)

ともあれ、何事もないならそれに越したことはない。
下手に目を付けられることもないので、それまで通りに普通に振る舞う事にする。

その後>>↓2
1.全校集会の日までごくごく平和な日々を過ごした
2.生徒会長から新たな『お手伝い』の依頼が
3.トラブルはないがツインテが絡んでくる
4.ここで新ヒロイン登場
5.その他自由安価

男(平和ってのは良い事だ)

平和と言っても実技で模擬戦をしたり放課後に模擬戦をしたりと荒っぽい事はそれなりにしているのだが、平常運転でいられるという意味では実に平和である。
それを脅かすものがあるとすれば……

ツインテ「あっ居た!」

男「また来たよ」

トラブルの気配は無いが、ツインテが何かとちょこまか付きまとってくるのでいささか邪魔くさいというかうっとうしいというか。
他に友達は居ないのだろうか。

男(どうしたものか……)

>>↓2
1.生徒会長からの(架空の)呼び出しを口実に帰る
2.誰かに決闘を申請してそれを口実に離れる
3.もう一度決闘で負かして帰らせる
4.仕方がないので少しくらいは相手をしてやる
5.その他自由安価

何が何でもノーパンにしたい勢力が一定数居るようで。「はいてない」と「ノーパン」の違いについて論じるべきか……
ともあれ時間なので今日はここまでです。明日は20時までしか居られないので少しだけやるorお休みです。
週末は夜が駄目なので午後からやれなかったらお休みになります……すいません……

私は帰ってきた
>>1です
お待たせしましたが再開しますぜー

男(こいつクラスに友達居ないのだろうか……それとなく聞いてみるか……?)

男「なあ」

ツインテ「なによ」

男「お前友達居ないのか?」

ツインテ「いいいきなり剛速球!?」

男「そうか……まあ、俺も人のことは言えないけど……がんばれよ……」

ツインテ「ちょっ生温かい目で勝手に結論付けるのやめてくれない!? いっ、いるわよ友達の百人や二百人くらい!」

男「今日日小学生でもそこまで見栄張らないぞ……正直にちゃんと数えろよ」

ツインテ「うっうう、うるさいわね! いいのよ別に! 別に私は……その……アンタが居るならそれで……」ゴニョゴニョ

男「あ、俺の事は勘定に入れるなよ」ズバッ

ツインテ「ひどっ!? ほっほら、私達、模擬戦や生徒会のお手伝いを通じて絆を深め合った仲じゃない……?」

男「深めたのは溝の間違いじゃないのか」

ツインテ「うわぁんバカー! アホ――――!! この冷血漢――――!!」ダッ

と、わざとらしく泣き声を上げながら走り去るツインテ。
毎日毎日しつこく絡んではくるが、こうして物凄く適当にあしらっていると、何だかんだ言って割と打たれ弱いので早々に撤退してくれる。
その分復活も早いので翌日になればまた絡んでくるのだが。というかこれはもしかして、致命傷を受ける前に早期撤退する事で復活までの時間を短縮するという高度な戦略的判断だったのだろうか。
等と同でもいいことを考えていると、

ツインテ「ふぎゃっ」

こんな見晴らしのいい場所でどこに足を引っ掛けたのか、ツインテが派手に転んでいた。


男は>>↓1

1.無謀にもノーガードを晒す柔らかそうな二つの丸みを目撃
2.立ち去るツインテは放っておいて自分の行きたい方へ
3.コンマ(奇数1偶数2)

男「…………」

見るともなくツインテの後姿を見送っていた男はそれを目撃した。
転んだ勢いでひるがえったスカートの下、本来纏うべき白(とは限らないが)の鎧を捨て、無謀なまでのノーガードを見せつける柔らかそうな二つの曲線を。

男「…………」

思わず半眼になる男の視線の先、既に手遅れなのに慌てて両手でスカートを押さえつけようとしたために、ノーガードを晒した上にこれまたノーガードで顔から転ぶ羽目になったツインテが紅潮した顔で振り返り、

ツインテ「みっ、みみみみみ……」

男「>>↓2」


1.俺は何も見てないよ
2.お前はなんで下着をはかないんだ?
3.特に意味もなくサムズアップ
4.その他自由安価

男「大丈夫か、スカートが破れてるぞ」

ツインテ「えっ嘘!」

男「自分で確かめろ」

転んだ時にどこかに引っ掛けでもしたのだろうか。ぺたりと座り込んでスカートの破れ具合を確かめ、さーっと青ざめるツインテ。
新たに生じたスリットの位置は、モロ、ではないが、スカートの下があの状態では少々危険が伴うラインだろう。

男は>>↓2

1.これでも腰に巻いてろ、と上着を貸す
2.じゃ、と一言残して帰る
3.ツインテに泣きつかれて1
4.ツインテに泣きつかれるが2
5.その他自由安価

男「早く隠さないと他人に見られてるぞ」

反応を見るに、決定的なところは見られてはいないようだ。
が、往来で座り込んだまま注目を集め続ければいずれは致命的なところまで目撃される事だろう。

ツインテ「なななっ、何とかしてよっ!!」

男「何とかと言われてもな」

ツインテは真っ赤な顔で泣きついてくるが……>>↓2

1.これでも腰に巻いてろ、と上着を貸す
2.俺は知らん、と見捨てて立ち去る
3.武装化して炎で誤魔化せば? とアドバイス
4.見返りは? と容赦なく対価を要求
5.その他自由安価

男「俺の知ったこっちゃないな」

ツインテ「そんな! う、嘘でしょ? ねえ」

男「じゃあな」

ツインテ「はっ、薄情者――――!」

などと半泣きの声が追ってくるが無視してその場を離れ、ツインテの死角に入ったところで物陰から様子を窺う。
ツインテは通行人から奇異の視線を向けられながらも懸命に下をガードし、人通りが切れたわずかなタイミングを見計らってずりずりと移動していくが、あれではスカートへのダメージが徐々に蓄積されていくし、時間もかかり過ぎて遠からず破綻するだろう。
案の定、何とか道の端まで寄ったところで進退窮まった様子で、

男「――で、助けるとして見返りは?」

ツインテ「!!」ビクーッ

後ろから声をかけると跳び上がらんばかりにビビりつつ、流石にもうガードは崩さない。
決壊間近の涙目は、すがるような色と恨みがましさとを同居させた視線でこっちを見つめてくるが……>>↓2

1.で対価は?(鬼
2.冗談だ、これでも巻いてろと上着を以下略
3.貸しひとつな、と上着を以下略
4.その他自由安価

男「で対価は?」

となおも聞くと、視線にこもる恨みがましさが増す。
が、ここで救いの手を掴めなければと考えるとあまり強い態度は取れないのだろう。
言い返すツインテの声はひどく弱弱しいものだった。

ツインテ「こ、この鬼ぃ~~……!」プルプル

男「……」ツーン

ツインテ「うううぅぅうううぅぅうぅぅぅう」

そろそろ本気で泣きそうだが>>↓2

1.で対価は?(鬼畜
2.冗談だ、これでも巻いてろと上着を以下略
3.貸しひとつな、と上着を以下略
4.その他自由安価

男「で対価は?」

ツインテ「ふぐうぅぅうぅぅぅうぅぅぅうう」

あくまで容赦なく言い続けると、ついに両手で顔を覆って嗚咽を漏らし始めた。

ツインテ「――……から」

男「なんだって?」

ツインテ「>>↓2」

1.なんでもするから助けて
2.もう許さないから(怒
3.もうアンタなんかに頼らない

ツインテ「……もう、許さないから」

男「なに――うおっ!!」

聞き返そうとした瞬間、男の目の前で凄まじい高熱が膨れ上がった。
間一髪飛び退いた男の鼻先を掠めて、高熱の刃が通り過ぎていく。

男(しまった、流石にからかい過ぎたか)

などと、今更後悔しても手遅れである。
とうとうプッツンしたらしいツインテは完全に戦闘態勢に入っており、全身から吹き上がる炎はもはやスカートの下が見える見えないどころではなく、まるで炎の魔神のような姿になっている。

ツインテ「よくも……よくもいたいけな乙女をはずかしめてくれたわね……!!!」

男「いや問題の根っこはそもそもはいてなかったお前の方に責任が」

ツインテ「なら脅してもいいっていうの」

男「…………」

ツインテ「ふふ……最期に何かいう事は?」

男「>>↓2」

1.俺が悪かった――! と全力で土下座
2.無抵抗にやられる気はないぞ、と全力で応戦
3.今日のところはこれくらいで勘弁してやる、と全力で逃走
4.その他自由安価

男「やる気か……面白い。一度俺に負けたお前が、新たな能力を得た俺に勝てるとでも?」

ツインテ「……なんですって?」ピク

男(あ、反応した)

言うだけ言ってみたところ、完全に殺意一色だったツインテに警戒するような素振りが見えた。
ここは……>>↓2

1.このままハッタリでごり押す
2.この辺で素直に謝っておく
3.隙を突いて逃げ出す
4.その他自由安価

男「それにいいのか? 周りを見てみろ、こんなところで派手に武装化なんかしているから、人が集まってきてるぞ」

ツインテ「……!」

男がそう言うと、ツインテは視線だけを左右に振って周囲の状況を確認する。
ここまで派手に炎を吹き上げていれば否が応でも目立つ。物好きな野次馬や、何かトラブルかと警戒した素振りの生徒が、二人の周囲には集まり始めていた。

男「な、だからお前もここは一旦落ち着いて……」

ツインテ「で?」

男「…………」

ツインテ「で?」ニコー

男(あっ駄目だこれどうやっても殺る気だ)

多少距離を開けていても汗ばむくらいの熱量を噴き上げているのに、こちらに見せる微笑みは氷よりも冷たい。


ここは>>↓2
1.このまま応戦
2.この辺で素直に謝っておく
3.隙を突いて逃げ出す
4.その他自由安価

男「これだけ人目が集まってても構わないとはな……」

ツインテ「あん?」

男「……お前は露出狂だったのか」

ツインテ「」ゴォァッ

言った瞬間に無言の一撃が来た。
逃げるとも戦うともつかない中途半端な身構えでは避けるも受けるもままならず、そのまま男はなすすべなく炎に飲まれた……。


>>↓1コンマ
00~09→手加減はしてくれたらしい、軽い火傷で済んだ
10~35→模擬戦を免除はされないが十全には戦えない程度の火傷を負わされた
36~61→模擬戦を禁止されるレベルの火傷を負わされた
62~89→再び全治一週間で入院する羽目に
90~99→絶妙なコントロールで下半身の服だけ燃やされた

…………


医務官「――はいおしまい。このくらいの怪我なら模擬戦免除にはならないわね」

男「まだ派手に動くと痛むんですが」

医務官「そもそも自業自得じゃなくて?」

男「おっしゃる通りです」

視界を炎が覆った時はこりゃ駄目かと思ったものだが、それでもいくばくかの手心は加えてくれていたらしい。
服や所持品の大半を派手に炭化されたのは痛かった(特に財布が痛い)ものの、男の負傷は度合いとしては模擬戦を免除されない程度に収まっていた。
が、いつも通りに本調子で戦えるかと言うとそうもいかない程度のダメージは残っており。

医務官「あとは自分の自然治癒力で治しなさい。規定があるから、これ以上うちでしてあげられる処置は無いわ」

男「センセのご慈悲でもうちょっと何とかなりませんか」

医務官「後輩の女の子をからかいまくった挙句燃やされた上級生に対しても分け隔てなく接しているというのが既に慈悲よ」

男「帰ってゆっくり休みます」

医務官「そうしなさい。あんまりおバカなことばかりしてるんじゃありませんよー」

男「ありがとうございましたー。いてて……」

一礼して医務室を出つつ、じわじわと意識の隅に居座り続ける痛みに顔をしかめる。
ちなみにあの後ツインテはどうしたかといえば、男を焼いた後、全身に密度高く炎を纏った炎の魔神状態でそのまま帰っていった。
単純にあのスカートの状態ではそれを解除するわけにもいかなかったのだろうが、周りの人間もツインテの気迫に無言で道を開けるしかなかったため、途中で風紀委員に捕縛でもされていない限りはあのまま無事寮まで帰ったのだろう。

男「まあ実際自業自得だし文句は言うまい……」

このハンデを負った状態で、明日の授業や模擬戦をどうこなすかを考えつつ、男は帰路につくのだった。

そんなこんなでトラブルもありつつの男だったが……?>>↓2

1.生徒会から「お手伝い」の要請が
2.例の嫌がらせ犯一派が絡んでくる
3.自分から生徒会に「手伝えることはないか」と聞いてポイントを稼ぎに行く
4.(登場済の任意のキャラ)とのイベントが
5.新しい出会いが
6.その他自由安価
7.コンマ
 00~19→1
 20~39→2
 40~59→3
 60~79→4
 80~99→5

火傷のダメージというハンデを背負いつつ、何とかいつも通りの学園生活をこなす男だったが……。

男「……? ……!?」

その中で、不意に違和感――というか、自身に起きている変化に気付く。
それは……


>>↓2目覚めた新たな力とは
1.自然治癒力の強化
2.五感の強化
3.相手へのデバフと同時に自分自身にバフ効果
4.相手の武装のコピー
5.その他自由安価

いきなり強力過ぎる感あるので何かデメリット>>↓2

1.どうやっても自分自身も巻き込む
2.一日X回の使用制限
3.反動(消耗)が極めて激しい
4.効果範囲がピンポイント
5.その他自由安価

模擬戦の最中の事だ。
相手の猛攻に追い詰められた男は、咄嗟に相手の武器を素手で受けようとし――そのままそれを握り潰した。

「「!?」」

反撃の糸口をつかむため、片手を犠牲に攻撃を止めるつもりでいた男は、その予想外の結果に驚愕した。
それは相手も同じ、いやむしろ相手の側はよりダメージが大きかった。自身の魂から錬成した武器をこうまで破壊されれば、相応の反動がかかる。
それでもすぐさま体勢を整え、再度武装化して戦闘を続行しようとした相手に、男はもう一度――今度は意識して、先ほど武器を圧潰した時の感覚を向けた。

男「…………!!」

先ほどは武器を受けて、握る動作だったが、今度は打撃。それもただ、防御をかいくぐって相手の体に触れる事だけを意識した一撃とも呼べない程度の拳だ。
だがそれを当てた直後、相手は頭上からかかった凄まじい荷重に堪えかねて地に伏した。
それを見ていた周囲のギャラリーも食らった対戦相手も当てた男自身さえも、何が起きたのかわからず混乱のどよめきが生まれる中、システムは淡々と戦闘の決着を告げる。
それを半ば呆然としたまま受け取り、演習場を出ようとしたところで男は地面にぶっ倒れて意識を失った。



医務室で目覚めてから告げられたところによると、どうやら男には、新たな付加効果が発現したらしい。
効果内容は――模擬戦でのデータからの推測だが――『重力崩壊』。対象に過荷重を加える事で圧潰する、重力制御系効果の一種、と思われる。
ただし、問題が一つ。
男が試合後に倒れた原因は、内臓へ異常なほどの負担がかかっていたためだという。
あの戦闘中に受けた攻撃では、内臓にそれほどのダメージが入っていたはずがないという事で、状況的に、重力崩壊を使った反動としか考えられないと。

医務官「これで君は、武装化が出来ないのに付与効果だけが、しかも二つも発現するというイレギュラー中のイレギュラーになったわけね」

男「はあ」

医務官「まだ実感はない? まあ、学園としては、あなたの扱いを特別変える予定は今のところないらしいわ」

医務官「あなたが寝てる間に、治療がてら一通り身体検査は済ませちゃったから、とりあえずしばらくは経過観察してデータを集めるみたい。もしかしたらそのうち、検査や研究や実験の協力要請が行くかもしれないけど」

男「はあ」

医務官「……ま、話はそんなところね。もしまた体に何か異常を感じたら、いつでも来なさい。今日のところは帰って休むといいわ」

そう言われ、自分の寮へと戻る男。
倒れる直前は内臓がねじ切れるかのような感覚があったが、今はいささか腹具合が悪い程度の感覚になっている。
新しい力を得たきっかけや原因は何だったのかわからないが、今後は、この強力だが厄介な力との付き合い方も考えていかねばならなさそうだ……。

とりあえず本日はこの辺で。
次回安価>>↓3

1.例の嫌がらせ犯一派の件でかあるいは新能力の件でか、生徒会からの呼び出しが
2.嫌がらせ犯一派からのコンタクトが
3.ぶっ倒れたと聞いて、心配したツインテが駆けつけてくる
4.二重能力のイレギュラーの噂に、新たなヒロインの影が近づく
5.その他自由安価

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年12月13日 (日) 15:57:33   ID: RqTcnEtd

そろそろ銀髪ロリ巨乳さん出して欲しいな

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