「あむ………」


「…！」


「お、おいしい……！」


「………たべないの……？」


『うん』


「……こんなにおいしいのに」




「…………ふふ……ね、お、おいしいでしょ……」

『それは？』


「……？あ、こ、これ……読んでたの」


「あ、あれは……もう、読んじゃったから……」




「うん……！買ってきて、くれた……えへへ」


「ほ、他にも、買ってきてくれた……！」


「……これと、これ、あと、これと……」

「これは……結構、面白かった……！」


「なんていうか……うわー……！って、感じだった……！」


「でね、こっちは……あんまりだった……」


「えっと、こう……ぬわー……！って、か、感じ……」


「……さっきのは、ま、まぁまぁ……だった……！」


「ぐわー……ってなって、どぅわー……！だった……から……！」

「あ、あと……これ………」


「…」


「ね、ねぇ………」


『？』


「……しゅ、終末論……って、しってる…？」


『うん』


「……さ、さすが……なんでも、しってる……えらい……！」


「ん……んへへ………なでなで、てれる……」


「え、えっとね……この本に……か、書いてたんだけど……」

「しゅう、まつ、ろん………」


「…………みんな、いろんなことが辛くなっちゃって……」


「それで………もう、だめだー……！」


「……って、なって………神様に、お、終わらせてください……って……お願い、するん、だって……」


「で、でも……なんでだろう………」

「……ぜ、全部終わっちゃうなんて…………つまらないよね……」


「………私だったら、みんな、ゾンビにしてー……！って、たのむ……！」


「せいいっぱい……たのむ……！」





「………え……」


「こ、コレクションを……犠牲に……？」


「そ、それは………む、むむ……なやむ……！」

「だ、だって……ゾンビだと、た、楽しい……よ……！」


「……きっと……」


「く、くるしくないし……いやなことも、ない……！」


「………はず……」


「みんな、しあわせ……！」


「…………たぶん……」





「………だって、私ゾンビになったこと、ないもん」


「ゾンビに、なったあとのこと………わからないけど……」


「……だ、だからこそ……！なの……ふふん」

「……そ、そう……思わない……？」


『…』


「…」


『小梅ちゃんと一緒なら、何でもいいよ』


「………え、えへ……えへへ………そ、それは……照れるやつ……」


『でも』


「……？」

『私と小梅ちゃんが二人だけになったほうが、もっと嬉しいな』


『世界は二人のために回っていて、世界に二人ぼっちで鼓動が聞こえるくらいに』


『素敵じゃない？』


「…………そ、そっちのほうが……い、いいかも……！」


『ね』

『あ』


「？」


『でも、やっぱり皆にはいてほしいから』


『皆にはゾンビになってもらおう』


「……て、天才のはっそう……！」


『皆には、ゾンビになった後にでも謝っておこう』


「……こ、このりんご、美味しいから………持っていってあやまろう……！」


『そうしよう』


「……き、きっと……ゆるして、くれる………！」


『うん』

ｶﾁ ｺﾁ



『……あ』ｽｸ


『もう、こんな時間だ』


『最後の林檎、貰っちゃうよ』ﾊﾟｸ


『うん……美味しい』ｼｬｸ


『……さて、そろそろ帰ろう』



「…」



『帰ろう、――――』



『行こう、――――』



「………うん」



『行こう』



『――――』



「……………うん、――――」



ｶﾁ