芳佳「イージス護衛艦『みらい』……?」 その3 (29)

ストライクウィッチーズ×ジパングクロスのSSです
ベースはSW一期ですが、かなり改変されています
超不定期更新な上に書き込みが1,2か月ない場合もありますが、たぶん生きてます

あと>>1はにわかミリオタです

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ブリタニア ロンドン 病院


梅津「……む?」

朝早く目が覚めた梅津が窓の外を見ると、一面が真っ白になっていた。
視界も効かず、その景色を思わず見続ける。

「ウメヅさん、起きていらっしゃいますか?」

コンコンと部屋をノックする音に応じると、ブリタニア人の看護師が入ってきた。

看護師「おはようございます、相変わらずお早いですねウメヅさん」

梅津「職業柄、染み付いていてね」

看護師「ここにもたくさん兵隊さんが入院していらっしゃいますが、ここまで早い方は少ないですよ」

シーツや花瓶の花を取り換えながら何気ない会話を交わす。


梅津「今日は、霧が深いようですね」

もう一度外を見るが、やはり霧が濃い。
流石は『霧の都』ロンドンといったところか。

看護師「そうですね。今日は、特に深いようで……」

同じように窓の外を覗いた看護師が、寄って閉まり具合を確認している。

看護師「……閉まってますね。今日一日は窓を開けないようにしておいてくださいね」

梅津「なぜです?」

看護師「ブリタニア、特にロンドンの霧は体によろしくありませんので」

看護師「軍事工場があるでしょう。あの煙がスモッグになってるようで」

梅津「光化学スモッグか……」

看護師「もっとひどいときは一寸先も見えなくて、肺をやられる人もいるほどだとか……」

曇った外を見て、日課になりつつある散歩は無理そうだと梅津は思った。






501基地 ミーナ執務室


事件から数日がたった。
坂本美緒は無事に基地の医務室へ収容され、意識が回復するまでには一命を取り留めた。

その最たる要因となった宮藤芳佳、彼女に対する処分の問責決議が行われていた。
軍人としての口調と態度で、まっすぐ宮藤へ伝えた。

ミーナ「宮藤芳佳軍曹、あなたは独断専行の上、命令無視を犯しました」

ミーナ「これらはすべてれっきとした軍規違反です。わかっていますね?」

芳佳「……はい」

バルクホルンとエーリカが後ろで見守る中、その重々しい宣告がなされる。

ミーナ「処分として、二週間の飛行停止処分を宣告します……が」

ミーナ「この部隊における司法者として確認します」

ミーナ「あなたは軍法会議の開廷を望みますか?」

その問いに後ろの二人が固唾を呑む。


芳佳「えっと……」

二人は願う。事の成り行きを。

エーリカ(宮藤はこの状態を理解できていないんだろうなぁ)

ゲルト(だからこそ、こうするしかない)

あとは宮藤自身のとる行動を見るしかない。

ミーナ「望みますか?」

芳佳「わ、私は間違ったことをやったつもりは……!」

ミーナ「答えなさい、宮藤軍曹!」

芳佳「……っ!」

普段からは想像できない剣幕に押される宮藤。

回答は、沈黙となった。


ミーナ「……この沈黙を異議なしとします」

芳佳「……っ!」

ミーナが口を開き、淡々と答えた。

ミーナ「軍法会議は開廷せず、処分を即時実行」

ミーナ「二週間の飛行停止処分、ネウロイの襲撃があっても別命なきストライカーユニットの使用は禁止します。いいですね?」

ミーナ「よろしいですね?」

芳佳「……は、はぃ」

弱々しい声で宮藤が答える。ただこう答えるしかなかった。

ミーナ「以上です。下がりなさい」


問答が終わり、宮藤が退室する。
残った三人がそれぞれ肩の力を抜き、一息ついた。

ミーナ「はぁ……」

なんとも言えない疲労感とともに吐き出される大きなため息。

ゲルト「最悪な事態は避けられた、か」

ミーナ「………」

ゲルト「命令無視に独断専行……これだけの違反、本来なら出撃停止なぞ生ぬるい処分だ」

腕を組んで言い放つ。

エーリカ「軍法会議でバァーン!だね」

ミーナ「フラウ」

エーリカ「ご、ごめん……」

おどけて銃を撃つしぐさをするエーリカだが、ミーナの尖った声の一言でふざけすぎたと押し黙る。
持ち前の勘で、その愛称に込められた暗なるメッセージを瞬時に理解できたのは救いだったかもしれない。


エーリカ「でもだからこそ、ミーナはこの隊内での処分にとどめておいたんでしょ?」

ゲルト「大っぴらな軍法会議にかけようものならまず間違いなく酌量の余地などありえんからな」

それこそ先にエーリカがやったような「バーン」が目に見えているというものだ。

ゲルト「……だが、問題は宮藤だけにとどまらんというものだ」

ゲルト「隊員が違反を起こせば本人ももちろん、場合によっては隊自体にも責任を負わされかねない」

監督責任、というものもある。
元々エース集団とはいえ問題児の多いこの部隊。今までもお目こぼしで見逃されているものも多い。

エーリカ「特に、今はねぇ」

ゲルト「トレヴァー・マロニー……」

ゲルト「奴のことだ。隙あらばとかく喉笛に噛みついてくるだろう」

ミーナ「………」

わかってはいる。
それを沈黙を以てミーナは返していた。


エーリカ「ねぇ、もしかしてもうバレてたりは?」

ゲルト「あり得る話だ」

ミーナ「……むしろそう考えたほうがいいのかもいいのかもしれないわ」

ミーナ「前見つかったスパイだってあれで全てとは限らないし、どこから漏れるかわかったもんじゃないわ」

エーリカ「うえー……」

ゲルト「処分を下している以上、何かしらあったことが広まるのは必至だ」

ゲルト「それをどこまでこちらの手の平の上に留めておくか……」

エーリカ「あー、ヤダヤダ。これだから人気者ってのは辛いねぇ」

両手を上げ、そばの壁にもたれかかる。
先行く不安を感じつつ、打てる手は打ったとも感じる三人であった。






扶桑 神奈川県 山川家

山川美千子は、自分の部屋で一通の手紙を眺めている。
差出人の隣には扶桑・ブリタニア海軍省をはじめとした関係各省の認可印。
止めは最寄りの扶桑憲兵隊によるでかでかとした『検閲済』の印が、その郵便のただならなさを物語っていた。

その差出人は、宮藤芳佳。彼女の親友だ。
内容は、彼女が健在であることや501での日常だった。もちろん作戦関係は書かれていない。

美千子「芳佳ちゃんが欧州に行って、もう少しで半年かぁ」

カレンダーを振り返ると、もう年が終わりに差し掛かってきている。

美千子(師走まであと半月もないけど、やっぱり大変なんだろうな……)

そういって、手紙の横にあった新聞を手に取る。
何時のだったか、宮藤が501メンバーと一緒に並んでいた。


宮藤が外に出るようになって、ネウロイ戦線についての情報はできるだけ集めるようにしていた。
最近では扶桑の新聞の中に、名だたるエースに交じって宮藤の戦績が掲載されることもある。
新聞の中に見つけた『宮藤芳佳』の名前を、期待半分不安半分で読み解いていくのだ。

美千子(これだけ経ってるけど、やっぱりネウロイ戦線は停滞したまま)

これといって大攻勢の情報は未だにない。防戦一方なのは変わらずのようだ。
だが欧州の反対であるこのにもネウロイの不安は忍び寄ってきている有様である。

美千子「今欧州に派遣されている扶桑艦隊の主力は……赤城以下の第一次、大和以下の第二次……」

美千子「大反攻作戦のために扶桑は結構な艦隊を投入してる」

なぜ一扶桑国民間人の美千子が大反攻作戦を知っているかは気にしてはいけない。

美千子(武蔵はまだ公試運転が終わったばかりみたいで、実戦にはまだ早いかも)


つまるところ本土に残る戦力は大きく減っている状態だ。

美千子「大丈夫だとは思うけど……」

軍艦知識はあれど、ネウロイについては一般程度しか知らない。
だが、風のうわさで太平洋側の近海にネウロイが現れたとも聞いた。

美千子「海軍さんとしては不安だろうなぁ」

時折眺める横須賀港が、日に日に慌ただしくなってきているように見える。
さらに海軍機がよく哨戒に出ている回数も増えている。飛行音が増えたのも気のせいではない。

また一機、定時哨戒らしい航空機が飛ぶのが見えた。

美千子「………」

扶桑海事変、まだ割と最近のこと。
まさか、またあんな事件が扶桑に迫ってくるとでも言うのだろうか。

ただの杞憂であることを願うばかりの美千子であった。


ブリタニア ポーツマス 技術研究所

V1ロケットの計画は最終段階へと猛スピードで進んでいた。

期日もさることながら、とにかく成果を出すことに追われる日々。
データを集め、とにかく使える形に仕上げなければならない

ウルスラ「二番機の結果は出ましたか?」

技術員A「ロケットエンジンの反応と調整はほぼ安定しました。あとは制御側の問題です」

ウルスラ「三番機は?」

技術員B「魔導針の再現はやはり困難かと。受信精度の向上は見込めませんでした

ウルスラ「仕方ないですが現状維持を最優先ですね」

ウルスラ「次、……“七番機”」

番号が飛んで七へ行く。
これはV1の型番ではなく、ジェットストライカーの暗号番であった。

技術員C「七番機はジェットエンジンと魔力伝導部の改良が終わりました。これでいけるはずです!」

ウルスラ「ふむ」


ウルスラ「七番機の進捗は良好……」

ウルスラ「V1はようやく安定軌道に乗りましたね」

技術員A「一応実戦に出せるかといわれたら出せますが、問題はコストとアドバンテージですね」

技術員B「無線感度は未だに不安定なので、陸上・艦上からの誘導は結構困難」

技術員B「当初の予想通り、納期に間に合わせるならこのまま飛行ウィッチによる誘導が最適です」

技術員B「それが戦闘に適切かどうかはともかく、ですが」

編隊飛行を組みつつ、戦闘力のないウィッチを守りながらの戦闘。どれだけ困難なことだろう。

ウルスラ「ハイデマリー大尉によれば、負荷の関係から一人での運用は不可能。二人以上による連携が必須」

ウルスラ「一番望ましい形ではあります」

技術員C「エース部隊での運用……コストにふさわしい使用頻度になりそうです」


兵士「失礼します。ハルトマン中尉宛に郵便です」

一人の兵士がノックをして封筒を手渡してきた。

兵士「それでは失礼します」

そういって足早に部屋を出て行った。

ウルスラ「郵便……?」

その送り主は見たこともない人物。
封筒の宛先を見ると、ウルスラ宛ひいてはこのプロジェクトに関係ではなかった。

技術員A「誤配でしょうか?」

部署が違うため勝手に開けて中身を確かめるわけもいかない。

技術員B「戦争が長引くと変なことも当たり前のように起きるからねぇ」

技術員C「いや、誤配がしょっちゅうはまずいでしょ……」

ウルスラ「………」

他愛もない会話を後ろに、その封筒を見続ける。
そのあけられない封筒に何か引っかかりを覚えるウルスラだった。

前出しは以上になります
あかん少ない……

以下、ちょっとした簡易設定
忘れられてるものもありそうなので

・DDH-182 みらい

「ゆきなみ」型護衛艦の三番艦
海上自衛隊第二世代イージス護衛艦として建造された
「こんごう」型と「あたご」型(いわゆる7700t型)をベースとしており、後部にはヘリデッキと格納庫がある。
艦載機はSH-60シーホークと海鳥。

現在、「みらい」は左前方SPYレーダーを損傷、機能停止している。ほかにも左舷側にあったECMや通信ドームなども機能を喪失。
また海鳥も大破し、修理されないまま格納庫にお蔵入り状態である。



・魔力無線・魔力IFF

「みらい」との連携のためにウルスラとの共同で製作されたもの。
基地に「みらい」の副デジタル無線機を設置、通信を中継することで、「みらい」とウィッチとの相互通信が可能になった。
またストライカーユニットに小型の電波発信機を取り付けることでIFFとし、「みらい」との連携をより強化した。


・V1ロケット

ウルスラ・ハルトマンを主任としたグループが開発中の弾道弾型対空ミサイル。
空中へロケット飛行した後、弾道軌道もしくはそのまま目標へ追突、破壊する。史実でいうV2ロケットにあたる。
「みらい」より提供されたハンドアローを元に、ポーツマスにある軍の技術研究所で製作している。
操作系統は事前の座標入力、もしくはないとウィッチによる無線誘導が検討されている。

なお、その開発期限は大反抗作戦前とされているようだが……?


・津田機関

津田一馬大尉の有する特務機関。諜報・工作活動を得意とする。
指揮権は津田にあるが、実質は彼の上官である草加の意向に従っている。

現在の展開地点は501基地、ロンドン。
501基地では河本兵曹長を中心にウィッチと「みらい」の監視・警護を、
ロンドンでは入院中の梅津一佐の警護、マロニーの動向の監視を行っている。
ポーツマスにも展開していたが、現在はロンドンへ回されている。


・大反抗作戦

連合軍の総力をかける最大の作戦。
ウィッチと各国の戦艦の火力を元に一気にネウロイの巣へぶつけるというもの。
巣の制圧後、艦砲射撃による欧州上陸地点の確保と揚陸による橋頭堡確保を目的とした。
扶桑・ブリタニアの海軍戦力が多数を占めている。

今回は以上です
こんなペースですがよろしくしてくれたらありがたいで

乙です

乙です

待ってた
乙!!

乙!。

@RyoZukkier の馬鹿野郎!

@RyoZukkierの馬鹿野郎!!

お疲れ様です!

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年04月01日 (金) 08:38:37   ID: SNXH2xtI

これ続きどうなったの?

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