凛「私、卯月と付き合ってるんだ」未央「え?」 (118)

※百合
※アニメ準拠
※キャラ崩壊あり

です

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1445769054

未央(あの日、私はいつもと同じように事務所に向かっていた)

未央(そこには、いつものメンバーと日常が待っていてくれると思っていた)

未央(兆候はあったのかもしれない)

未央(気付けなかったのは、私が本当の友達として二人を見ていなかったからだと思う)

未央(ただ違和感を押し殺して、目を背けていた)

未央(ふたりはきっと仲が良いだけ、それ以上のことは何も無い)

未央(だけど、ひょっとしたら……)

未央(そんな疑心を振り払うように、あの時、あのドアを開けたんだ)

―事務所―

未央「おはよー!しまむー、しぶりん!」

凛「み、未央!?」ビクッ

卯月「あっ、ど、どいてください凛ちゃん!」バッ

未央「おやおや~、なんでソファでじゃれてるのかな~二人で重なっちゃって~」

卯月「み、未央ちゃん、これは友達として遊んでただけであってですね……」

未央「あはは、そんなのもちろん知ってるって!」

卯月「そ、そうですよね、ごめんなさい、変なこと言っちゃって」

未央「うむ、仲良きことは美しきかな、だね!」

卯月「……えへへ、そうですよね!」

凛「卯月……もう誤魔化すのやめよう」

未央「ん?」

未央「……ごまかすって?」

凛「どうせいつかバレることだから」

卯月「り、凛ちゃんっ!」ガシッ

凛「本当のこと言うね」

未央「な、なに?」

凛「私、卯月と付き合ってるんだ」

未央「え?」

卯月「凛ちゃん、それは秘密だって言ったのに……!」

未央「ちょっと待って……付き合ってるって、そういう意味で?」

凛「うん、いま未央が想像してるとおり」

卯月「言っちゃダメですってば……!」

未央「え……私なんにも聞いてないよ……?」

凛「隠してたのは謝るよ、ごめん」

未央「い、いやいや……おかしくない?だって、三人で頑張ろうって言ってきたのにさ」

卯月「あ……あのあの!でも、未央ちゃんのことも好きなんですよ!」

未央「だったら私とも付き合う?」

卯月「あ……う……それは……」

凛「ごめん、卯月は渡さないから」

未央「だよね、私のことはそういう意味で好きなわけじゃないもんね」

未央「ふたりは一番の友達で、ふたりも私をそう思ってくれると思ってたけど……私の勘違い?」

卯月「違いますっ、未央ちゃんも大切で……」

凛「うん、未央とは今まで通り友達だから……」

未央「そんなこと言ったって、お互いのことが一番大切になるに決まってるじゃん!」

凛「……そうかもしれないけど……」

未央「……あはは、だ、大体さ、おかしいじゃん!女の子同士で、アイドルなのにさ!」

凛「…………」

未央「私はやめた方がいいと思うな、ほら、友達からのアドバイスってやつでさ」

凛「……未央なら分かってくれると思ったのに」

未央「分かりたくもないよ」

卯月「あ、あの……これらかもニュージェネの絆は変わりませんから!」

未央「しまむーも勝手なこと言わないでよ!こんなこと知っちゃったら今まで通りでいられるわけない」

卯月「っ……!ごめんなさい……」

未央「……今日はもうレッスンとかできる気分じゃないから……プロデューサーには風邪引いたとでも言っといて」クルッ

卯月「あの……ちゃんとお話を……!」

未央「じゃあね」タッ

卯月「未央ちゃん!」

凛「いいよ、卯月」ガシッ

卯月「凛ちゃん……?」

凛「時間が経てば理解してくれるって」

卯月「そう……なのかな……?」

凛「それよりさ、さっきの続きしたい」ズイッ

卯月「だ、だめですよ、もう他のみんなも来る時間ですから」

凛「ね、一回、キスだけ」

卯月「うぅ……」カァァッ

凛「卯月……かわいい……」チュッ

卯月「えへへ……もぉ、凛ちゃんってば……」

凛「そうだ、今日うち来ない?」

卯月「いいんですか?昨日もお邪魔しちゃったのに」

凛「うん、卯月が来てくれたらハナコも喜ぶと思うし」

卯月「じゃあ……行ってもいいですか?」

凛「もちろん、楽しみにしてる」

未央「うん……分かってる、大丈夫だって」

P『このところ日程が過密になっておりましたので……申し訳ありません、私のスケジュール管理が不完全で……』

未央「も~!プロデューサーは真面目すぎ!明日までには治して絶対行くから!」

P『はい、それではお大事に』

未央「うん、お疲れ様です!」

ピッ

未央(はぁ……プロデューサーにも心配かけちゃったな)

未央(しまむーとしぶりん……なんで私に隠れてあんなこと……)

未央(女の子同士で付き合ってることに嫌悪感を抱いたわけじゃない、と思う)

未央(そういう仕事もないわけじゃないし、別に嫌だと感じたこともなかったし)

未央(なのに、あんなに怒鳴っちゃったのは……)

未央(私だけ……仲間外れみたいで嫌だったから)

未央(しまむーとしぶりんが、そうしたがるって言いたいわけじゃない)

未央(実際問題そうなるだろうし、気を使われるのだって居心地が悪い)

未央「はぁ……」

未央(二人は幸せなんだから、我慢しなきゃ)

未央(ニュージェネの絆は変わらないって言ってくれたし)

未央(私たちはずっと変わらない友達なんだから)

翌日

未央(……プロダクションまで来れたけど、まだ事務所に行く気分になれないなぁ)

未央(ちょっと散歩してみようかな)フラッ

―中庭―

未央(うん、風が心地良い、気分転換にはなるかも)

未央(いっそこのままレッスンさぼりたいくらい……って、さすがに二日連続はまずいかー)

未央(まぁ、もう少しどこかで休憩してから……)キョロキョロ

未央(あっ、あそこにいるのは……?)

智絵里「…………」モクモク

未央「ちえりーん!草むらで何してるのかな?」

智絵里「あっ、未央ちゃんおはようございます。四つ葉のクローバーを探してるんです」

未央「へぇ、見つかった?」

智絵里「今日は一個も……」

未央「むむ、四つ葉探し名人のちえりんでも見つけられないことがあるんだ」

智絵里「頑張って探せば一つくらいは見つかるんですけど……今日は運が悪いのかな……」

未央「よーし、それならこの未央ちゃんが力を貸してあげよう!」

智絵里「い、いいんですか?未央ちゃんの用事は……?」

未央「問題ないよっ、レッスンまでまだ時間あるし!」

智絵里「そうですか、じゃあお願いしてもいいですか?」

未央「お任せあれ!この辺りを探せばいい?」ガサガサ

智絵里「は、はいっ……」

未央「んー、四つ葉四つ葉……」ガサガサ

智絵里「そういえば、風邪はもう大丈夫なんですか?」

未央「え?」

智絵里「あ、あの、昨日風邪でお休み……してましたよね?」

未央「あ……ああ!風邪……というよりちょっと体調悪かっただけだからさ!ほら、何とかは風邪引かないって言うじゃん?」

智絵里「何とかって……馬鹿ですか?」

未央「うっ、そうはっきり言われると心にグサッと……」

智絵里「あああ!ち、ちがいます!い、今のは言葉のあやというか!未央ちゃんが周りを盛り上げるためにそういうキャラを演じてるのは知ってますから……!」

未央「なーんだ、あはは、びっくりしちゃったよ」

智絵里「うぅ……ごめんなさい……お喋りも下手で……」シュン

未央「ほらほら、そんな落ち込まないで」

智絵里「でも……友達にあんなひどいこと言っちゃって……」

未央「……これでも元気出ない?」スッ

智絵里「あっ……四つ葉のクローバー……!」パァァッ

未央「へへっ、一瞬で見つかっちゃった」

智絵里「すごいですっ、明るい人はやっぱり運もいいのかな……」

未央「うんうん、だからちえりんも笑顔笑顔でガンバろっ!」

智絵里「はいっ、ありがとうございます」

未央「それじゃ、私はそろそろ行こうかなっ」スクッ

智絵里「あっ、四つ葉のクローバーどうぞ……未央ちゃんが見つけたものだから」

未央「いいよいいよ、ちえりんにあげるっ」

智絵里「本当ですか?それじゃあ……えへへ、ありがとうございます」

未央「……私はどっちかっていうと四つ葉より三つ葉の方が欲しいから……」ボソッ

智絵里「え……?な、なにか言いました?」

未央「いえいえ、なんでもありません」

智絵里「あの……ひとつ聞きたかったんですけど……」

未央「おっ、なになに?」

智絵里「どうして中庭に来たんですか?」

未央「どうしてって、来たらおかしいかな?」

智絵里「そうじゃないんですけど……ここはあんまり人が集まらないから、お喋りが好きな未央ちゃんはいつも事務所に直行してるイメージがあって……」

未央「……一理あるね」

智絵里「それで、どうしてなのかなって」

未央「……ふふっ、ちえりんに会いたかったからに決まってるじゃん!」ニコッ

智絵里「えぇぇっ、あ、あのっ……み、未央ちゃんっ」カァァァッ

未央「それ以外に特別な理由は無いよ」

智絵里「そ、そうですよね……はいっ……」ドキドキ

未央「じゃあ、また事務所でね」タタッ

智絵里「あっ、わ、わたしもすぐに行きます……!」

智絵里「…………」

智絵里「……どうしよう、未央ちゃんの目、見れなくなっちゃった」

未央(ちえりんと喋ってたら、少しは気分が晴れたかな)

未央(とにかく、しまむーとしぶりんに気を使わせないように、ちゃんと明るくしなきゃ!)

ガチャ

未央「……おっはよー!皆の衆、元気かね!?」

みりあ「わーっ、未央ちゃんっ、おはようございまーす!」

莉嘉「おはよー!今日もぜっこーちょーだね!」

凛「あ……おはよう……」

卯月「……ございます」

未央(わー、ちびっ子二人に比べて明らかにテンション低いよ!)

未央(妙に二人の間に距離感あるしさ)

未央(私は全然気にしてないってとこをアピールせねば……)

未央「あれ~?今日はじゃれ合って遊ばないの?」

卯月「み、未央ちゃん、それは……」

未央「いいっていいって!昨日はびっくりしてあんなこと言っちゃったけど、やっぱり二人が決めたことだからさ」

凛「未央……分かってくれたんだ……!」

未央「まぁね、好きなものは好きでしょうがないよ」

卯月「あ、あんまり人前でそういう話は……」

未央「ふふふっ、照れるしまむーは可愛いですなー、なんて言ったらしぶりん怒るかな?」

凛「……いいよ、未央なら許してあげる」

みりあ「ねぇねぇ、なんの話ー?」

未央「おっと、みりあちゃんにはまだ早いかなー」

莉嘉「じゃあアタシにだけ教えてー!」

未央「莉嘉ちゃんにもまだ早い!」

莉嘉「えー!アタシもう大人だもーん!」

凛「良かったね、未央が認めてくれて」ヒソヒソ

卯月「はい、でも未央ちゃん以外には秘密ですからね」ヒソヒソ

凛「分かってるよ」

―レッスン中―


NG「1、2、3、4!」ビシッ

トレーナー「よーし、一旦休憩!」

NG「はい!」

卯月「はぁ……はぁ……」フラフラ

未央「おっ、しまむーだいじょ――」

凛「卯月、はい水」サッ

卯月「ありがとうございます……」ゴクッ

卯月「ん……えへへ、ちょっと疲れちゃいました」

凛「座った方がいいよ、ほらこっちおいで」

卯月「凛ちゃん、優しいですねっ」

未央「…………」

未央「……先生!ちょっと確認したいステップがあるのですが!」

トレーナー「んー?休憩なんだからちゃんと休め」

未央「身体動かさないで聞くだけにするから、大丈夫です!」

トレーナー「そうか、気になってるのはどこだ?」

未央「えっと……サビの前の……」

―レッスン後―

卯月「それじゃあ、みんなで途中まで帰りましょうか」

凛「卯月、この前話してた駅前の雑貨屋なんだけどさ」

卯月「あっ……でも今日は未央ちゃんもいますから、また今度で……」

未央「……おおっと!私このあと友達と用事があったんだ!」

凛「へぇ、今から?」

未央「うん!急いで行かなっくちゃあ間に合わない!じゃあね」ダッ

凛「そっか、また明日」

未央「しまむーもばいばい!」タタッ

卯月「あ、はい!さようなら!」

ガチャ
バタン

卯月「……未央ちゃん……?」

凛「良かった、これなら雑貨屋行けるね」

卯月「そ、そうですね」

凛「卯月?笑顔じゃないけど……もしかして行きたくない?」

卯月「あっ……えへへ!そんなことないですよ!凛ちゃんとデート、楽しみですっ」ニコッ

凛「で、デート……」カァァァッ

卯月「もぉ、なに照れてるんですかっ」

凛「ごめん、卯月がかわいくて」ギュッ

卯月「あっ、今汗かいてるから抱きしめたら……」

凛「全然気にしないよ、卯月のなら」

卯月「……そういうの、ずるいです」ギュッ

未央「…………」

未央(ドア越しに聞き耳立てるなんて趣味悪いな、私)

未央(でも、これで良かったんだよね)

未央(ふたりがあんなに幸せそうなんだもん)

未央(……ふたりが……)

未央「……っ」ズキッ

未央「帰ろう」

―握手会・会場―


未央「応援ありがとうございます!はいっ、よろしくお願いしますっ!」ギュッ

卯月「わぁ、本当ですか?島村卯月、頑張りますっ!」ギュッ

凛「…………」チラチラ

客「……あ、あの」

凛「あ、うん、ありがとう」ギュッ

卯月「え~!?そうなんですか~!すごいですねっ」ギュッ

凛「…………」チラチラ

客「渋谷さん、いつも応援してます!」

凛「あー……はい」ギュッ

未央「いやぁ、お客さんいっぱい来てくれたね!」

卯月「はいっ、CDも売れてるみたいですし、良かったです!」

凛「……ねぇ」

未央「おっ、どうしたの?しぶりん」

凛「卯月、ちょっと手貸して」

卯月「私ですか?」キョトン

凛「うん、ちょっといい?」

卯月「……?はいっ」スッ

凛「卯月……」ギュッ

卯月「あっ……」ドキッ

凛「自分でいうのも変だけどさ、指には自信があるんだ」ニギニギ

卯月「あ、あの、嬉しいんですけど、未央ちゃんもいますからっ……」

未央「……あはは、お邪魔虫はさっさと退場しますかねー!あはは!」タタッ

卯月「ま、待ってください、未央ちゃん!」

凛「卯月!」グッ

卯月「り、凛ちゃん?」

凛「行かないで……今は」

卯月「……あ、後で甘えさせてあげますから……」

凛「今がいい」

卯月「もぉ……しょうがない子ですね……」ギュッ

P「失礼します」

卯月「わ、わぁっ!」バッ

凛「き、急に入って来ないでよ」

P「申し訳ありません、ただお聞きしたいことがあって」

凛「な、なに?」

P「本日の握手会について……渋谷さんがあまり集中できていないようでしたので」

凛「そ、そうだった?」

P「はい、体調が優れないか、もしくはこのイベントに何か問題があったのか……」

凛「……大丈夫」

P「……なら、いいのですが……」

凛「うん、大丈夫だって、ほらこの笑顔見てよ、どう?」ニコッ

P「いい、笑顔だと思います」

凛「プロデューサーも、悩みすぎると良くないよ」ニコッ

P「分かりました……では、準備が出来たら事務所に戻りましょう」

凛「ん、了解」

数日後


―中庭―

智絵里「…………」モクモク

未央「ちえりん、今日も精が出ますなー」

智絵里「あっ、未央ちゃん、おはようございます!」

未央「今日はずいぶん元気だね」

智絵里「えへへ、一人で四つ葉を見つけられたから」スッ

未央「へぇ、やったね、ちえりん!」

智絵里「あ、あの、未央ちゃん、これ貰ってくれませんか?」

未央「私が?」

智絵里「はい、この前は貰っちゃったから……そのお返しに」

未央「いいよいいよ、私はもともとラッキーだから、ちえりんが持っときなよ」

智絵里「わ、わたしもラッキーな方ですから!」

未央「ほう?やっぱり何かいいことあった?」

智絵里「あ……え、えっと……ここにいただけなのに……み、未央ちゃんが……きてくれて……」モジモジ

未央「え?なんて?」

智絵里「あ、あぅぅ……な、なんでもないです……!」カァァァッ

未央「うーむ……私がどうとか言ってた気がするんだが……」

智絵里「と、とにかく、これは未央ちゃんにあげますから!今度、栞にして持ってきますねっ」

未央「ほんと?じゃあ……貰っとこっかな!」

智絵里「……えへへ、良かったぁ」

未央「いいね~、ちえりんは幸せそうで」

智絵里「あ、その……私なんか全然……!未央ちゃんこそ、いつも元気でいられて羨ましいなって思います」

未央「そっか……ちゃんとそう見えてる?」

智絵里「はい、いつも素敵な笑顔をしてると思いますけど……」

未央「なら良かった~」

智絵里「あの……なにか……あるんですか?」

未央「んー、まぁ、私の気にしすぎ!ってやつだからさ」

智絵里「気になること……あるんですか?」

未央「……なくはないというか」

未央「……あのね、本当に大したことじゃないんだけどね」

智絵里「は、はい!」パァッ

未央「そうだなぁ、例えばの話」

智絵里「例えば?」

未央「ちえりんの場合だったら……杏ちゃんとみむっちが付き合ってたらどう思うかな?」

智絵里「杏ちゃんとかな子ちゃんが……付き合う……つ、付き合う……って……ええぇぇっ……!?」

未央「もちろんそういう意味でね」

智絵里「あ、あの……意味は、わかりますけど……」

未央「そんな状況だったら、どう思う?」

智絵里「うぅ……もし……そうだったら……ですよね」

未央「うん、ちえりんの意見が聞いてみたいな」

智絵里「私は……寂しいと思います」

未央「寂しい?」

智絵里「一番大事な友達に、自分より大事なものができてしまうのは、胸に穴が空いちゃうくらい、寂しいことです」

未央「そう……だよね」

智絵里「でも、きっと大丈夫です……わたしは慣れてますから」

未央「え?」

智絵里「子どもの頃からなんですけど……お母さんもお父さんも、仕事のことが一番大事だったみたいで……家に一人でいることが多くて……」

未央「あ……」

智絵里「でも今はキャンディアイランドの皆がいてくれるから平気です!」

智絵里「もしキャンディのふたりがそうなっても、シンデレラプロジェクトの皆もいるから……」

未央「……ちえりんって私より全然強いんだね」

智絵里「そんなことないです、皆のおかげでなんとか……」

未央「うーむ……そっかぁ……友達はニュージェネだけじゃないもんね……」

智絵里「え?ニュージェネがどうしたんですか?」

未央「……それはまた今度!」

智絵里「?」

未央「おっと、そろそろプロデューサーから言われてた集合時間じゃん!」

未央「ちえりん、一緒に事務所行こっ!」ギュッ

智絵里「ふぇ……?あ、あの、手……っ」カァァァッ

未央「ん?どしたの、ちえりん、行かないの?」

智絵里「あ……えっと……行きます……」プシュー

未央「うん、いこーいこー!」

―打ち合わせ後―

みく「卯月チャン、ちょっといい?」

卯月「はい、なんでしょう?」

みく「ここだとちょっとあれだから……場所を変えるにゃ」








卯月「みくちゃん、お話って?」

みく「……その……凛チャンと付き合ってるってほんと?」

卯月「っ!?」ビクッ

みく「本当……なんだ」

卯月「あっ、えっと……どうして?」

みく「凛チャン本人から聞いたにゃ」

卯月「え……?」

みく「みく、二人が手繋ぎながら街を歩いてるの見たの」

みく「あまりに仲良さそうだったから、凛チャンに冗談混じりで聞いてみたら……付き合ってるって言われたにゃ」

卯月「そんな……ち、ちがうんです」

みく「別に、それ自体に文句を言うつもりはないにゃ」

みく「でも、みく達はもうプロなんだから、仕事に支障のない範囲にしなきゃダメにゃ」

みく「もし付き合ってるせいで仕事が上手くいかないなら、別れた方がいいと思う」

卯月「……そう……ですね」

みく「余計なお世話だけど、考えてみてほしいにゃ」

卯月「……ありがとうございます」

みく「じゃあね」クルッ

卯月「お、お疲れ様でした」


みく「…………」スタスタ

みく(ちょっと強く言いすぎちゃったかな)

みく(ううん、アイドルなら当然のことだよ、恋愛禁止なんて)

みく「…………」ピタッ

みく(みくだって我慢してるんだモン……)

みく(抜け駆けなんて……ずるいにゃ)

卯月「凛ちゃん!」

凛「卯月!ねぇ、この後――」

卯月「なんで、みくちゃんに話しちゃったんですか?」

凛「あ……それは……」

卯月「秘密にしようって約束だったじゃないですか……!」

凛「……ごめん」

凛「でも……現場見てたって言うし、もう隠せないと思って……」

卯月「もし広まっちゃったらどうするんですか?」

凛「みくには秘密にしてって言ったからきっと大丈夫だよ」

卯月「そうかもしれませんけど……」

凛「……逆に聞くけどさ、どうしてそんなに秘密にしたがるの?」

卯月「…………」

凛「私と付き合ってるの、そんなに嫌?」

卯月「そ、そんなことないです!」

凛「私は……かわいい卯月が私と付き合ってるんだって、皆に知って欲しい」

卯月「……私も、凛ちゃんは自分のものだって言いたくなる時はあります……けど……」

凛「でしょ?だから皆にも言って……」

卯月「……でもそれは、凛ちゃんの自己満足じゃないんですか?」

凛「……ちがう……卯月のことも考えて……」

卯月「みくちゃんに言われたんです、付き合ってることで仕事に影響がないかって」

凛「……っ、な、ないよ」

卯月「私は……ちょっとあると思っちゃったんです、だから……」

凛「ま、待って!別れるとか……言わないよね?」

卯月「…………」

凛「やだよ……卯月だって嫌だよね……?」

卯月「……大好きな凛ちゃんが、私に告白してくれて、すごく嬉しかったんです」

卯月「だから……別れるなんて……」

卯月「できないです」

凛「卯月……!」ギュッ

卯月「凛ちゃん……!」ギュッ

凛「ごめん、もう不安にさせるようなことしないから」

卯月「はい、お仕事もがんばりましょうね」

凛「うん、卯月との約束はちゃんと守るよ」

卯月「……えへへ、これからもよろしくお願いしますね」

―イベント会場―

P「ニュージェネの皆さん、イベントお疲れさまでした」

未央「いえいえ!プロデューサーもおつかれっ!」

凛「今日はなかなか良かったんじゃない?」

P「はい、大変良いパフォーマンスが出来ていたと思います」

卯月「凛ちゃん、未央ちゃん、やりましたね!」

凛「うん、卯月のおかげだよ」

P「それでは、本日はここで解散になりますので」

未央「りょーかい!プロデューサーはまだお仕事かな?頑張ってね!」

P「はい、では失礼いたします」

卯月「これからどうしましょう?」

凛「あ、ちょっと気になるお店があるんだけど……」

未央「じゃあふたりで行って来なよ」

卯月「いいんですか?未央ちゃんは?」

未央「私はまた他の友達でも誘うからさ!」

凛「ん、じゃあ行こうか」

卯月「はい、未央ちゃん、お疲れさまでした!」

未央「ほーい、おつかれさまー!」

未央「…………」

未央(大丈夫、私には友達がいっぱいいるんだから)

卯月「これからどうしましょう?」

凛「あ、ちょっと気になるお店があるんだけど……」

未央「じゃあふたりで行って来なよ」

卯月「いいんですか?未央ちゃんは?」

未央「私はまた他の友達でも誘うからさ!」

凛「ん、じゃあ行こうか」

卯月「はい、未央ちゃん、お疲れさまでした!」

未央「ほーい、おつかれさまー!」

未央「…………」

未央(大丈夫、私には友達がいっぱいいるんだから)

連投ただのミスです

未央(さーて、だれを誘おうかな?)

未央(シンデレラプロジェクトで私と遊んでくれそうな……)

ピッ

未央「リーナ!これから時間ある?ゲーセン行かない?」

李衣菜『未央ちゃん?ごめん、今忙しくってさ』

未央「あれ、今日お仕事入ってたっけ?」

李衣菜『オフだったんだけど、みくちゃんの部屋で料理作ってるんだよね』

未央「おやおや~?随分仲良しですなー」

李衣菜『や、やめてよ!みくちゃんとは全然そういうんじゃないから!』

未央「分かってる分かってる、じゃあまた今度遊び行こう!」

李衣菜『はーい、ほんとごめんねー』

ピッ

未央(あっちゃー、まずは空振りかー)

未央(他のメンバーは、っと……)

未央(ちびっ子二人をこんな時間から連れ回すわけにはいかないし、きらりんは杏ちゃんの世話で手を焼いてるだろうし、らんらんと二人だと上手く会話が……)

未央(あれ?私って意外に交友関係狭い?)

未央(いやいや!そんなことはないはず!)

未央(あとは……最近よく話すちえりんか)

未央(よし、電話してみよっかな)

ピッ

未央「ちえりん!今なにやってる?」

智絵里『あ……未央ちゃん!いまはお仕事が終わって中庭にいますよっ』

未央「ほんと!?そっち行ってもいい?」

智絵里『えぇっ?い、今から……いいですけど……』

未央「よーし!んじゃ、ちょーっと待ってて!」

ピッ

未央(ほらほら、いるじゃん!急な誘いにもOKしてくれる友達が!)

未央(私は全然寂しくなんかないっ!)

未央「ちーえりん!」

智絵里「わっ、お、お疲れ様ですっ」カァァッ

未央「あれ?四つ葉探ししてるわけじゃないんだ?」

智絵里「はい、もう暗いので」

未央「そっかそっか、ベンチの隣座っていい?」

智絵里「ぅ……い、いいですけど……」カァァァッ

未央「んじゃ、失礼いたしまして……」サッ

智絵里「あ、あのっ……ち、近くないですか?」

未央「え?こんなもんでしょ」

智絵里「うぅ……恥ずかしい……」

未央「……思ったんだけどさ、ちえりんって私と喋る時だけなんかよそよそしくない?」

智絵里「あぅ……えっと……それは……」

未央「もしかして、馴れ馴れしすぎ?」

智絵里「そ、そんなことないです!むしろ、いっぱい話しかけてくれて……嬉しいです」

未央「へへっ、良かったー!」

智絵里「あの……この前の話なんですけど……」

未央「この前?」

智絵里「はい、何かに悩んでるみたいだったから……あんな例え話をした理由が聞きたくて……」

未央「ああ……そのことね」

智絵里「あっ、嫌だったらいいんです、嫌ですよね私なんかに大事な話をするの……」

未央「いいよ、ちえりんになら話せる気がする」

智絵里「……本当ですか?」

未央「うん、実はさ」

智絵里「はい……」ゴクリ

未央「しまむーとしぶりんが付き合ってるんだよね」

智絵里「……え……うづきちゃんと……りんちゃ……え?」

未央「あはは、やっぱり混乱するよね」

智絵里「あ、あの……本当なんですか?」

未央「本人達の口から聞いちゃったから間違いない!と思う」

智絵里「あ……それであんな例えを……」

未央「そうそう、他の人の意見も聞きたくてさ」

未央「私、ふたりに見捨てられたって感じて、素直に応援してあげられなかったんだよ」

未央「私のことも好きなのは変わらないって言ってくれたのに、友情を踏みにじられたーみたいに思っちゃってさ、ホント自分勝手だよね」

智絵里「……未央ちゃんは、自分を悪く言い過ぎですっ」

未央「だって……ひどいことも言っちゃったんだよ?付き合うなんておかしい!とか」

智絵里「私も見捨てられたって思った経験あります……酷いこと言っちゃったこともあります……それで自分に自信を持てなくなって……」

未央「…………」

智絵里「でも……未央ちゃんにはそうなって欲しくないから、明るいままでいて欲しいから……」

未央「私は、本当はそんなに明るくなんか……」

智絵里「……あ、あの……」

智絵里「そうだ!この前約束したクローバーの栞、完成したので未央ちゃんにあげますね」スッ

未央「……いいの?」

智絵里「どうぞっ」エヘヘ

未央「……さんきゅー!ちえりん!」

智絵里「四つ葉のクローバーは幸運の証だから、きっと未央ちゃんにもいいことありますよ」

未央「うむ、ちょっと回復した気がする!」

智絵里「えへへ、他にもわたしに出来ることがあれば何でも言ってください」

未央「え~?ほんとに何でもいいの?」ニヤニヤ

智絵里「あっ、その……恥ずかしいのとかは無理ですけどっ……」カァァァッ

未央「ふふっ、じょーだんじょーだん!」

未央(ちえりん、本当にいい子だな~もはやいい子すぎ!)

未央(というか、私にはやけによく尽くしてくれるような……)

未央(隣に座っただけで赤くなって慌てたり……もしかして私に気があったり……?)

未央(いやいやまさか~……でも、違うとも言いきれぬ何かが)

未央「……智絵里ちゃん、手握っていい?」ギュッ

智絵里「……!も、もう握って……う、うぅぅ……」カァァァッ

未央(わぁ……必死に目逸らしてるけど頬は真っ赤だ……)

未央(この反応……もしかして本当に?)

未央(どうしよう、そう考えたらすっごく可愛く見えてきた……もともと可愛いとは思ってたけど、すっごく可愛い……)

未央(……何でも……言うこと聞いてくれるんだよね)

未央(だったら……試しに言ってみようかな……)

未央「……智絵里ちゃん、お願いがあるんだけど、聞いてくれる?」

智絵里「は、はいっ……」ゴクリ

未央「……私と……付き合わない?」

智絵里「え……?」

未央「な、なーんて」

智絵里「本当ですか……?冗談じゃない……ですか?」

未央「い、いちおー、本気のつもりだけど」

智絵里「……うれしいです……!」

智絵里「わたし……未央ちゃんみたいな明るくて優しい人になりたくて……」

智絵里「最初は憧れみたいなものだったんですけど、いつからか好きって気持ちに変わっていて……」

智絵里「だから……わたしも未央ちゃんとお付き合いしたいですっ」

未央「ほんとに!?やった!」

智絵里「えへへ、未央ちゃんが私に……えへへ……」

未央「ちーえりん!」ギュッ

智絵里「わ、わぁっ……!」

未央「だいすきっ!」

智絵里「あ、あの……わたしも!」ギュッ








未央「今日はありがとね、急な話だったのに」

智絵里「いえ、本当に嬉しかったです」

未央「へへっ、実は私もいま楽しくてしょうがない!」

智絵里「えへへ……未央ちゃんの彼女になれたんですよね、わたし……」

未央「うんうん、私が彼女でもあるけどね」

智絵里「あの……これからよろしくお願いします」

未央「もっちろん!色んなとこに遊びに行こうね!」

智絵里「はい、お願いしますっ」

未央「それじゃ、今日はもう遅いからそろそろ」

智絵里「そう……ですね、寂しいですけど……」

未央「メールするから!ちゃんと返してね!」

智絵里「はい、待ってますね!じゃあ、さようなら」ペコッ

未央「うむ、ばいばいっ!」

未央(っはぁ~、良かった~!言ってみるもんだな~)

未央(告白するのってやっぱ緊張するんだね、まだドキドキしてる)

未央(これで私は一人じゃない。いつでもちえりんがいてくれる)

未央(このことを知ったらみんな驚くよね、きっと)

未央(しまむーとしぶりんはどんな反応するんだろう)

未央「…………」ズキッ

未央(これでふたりに……追いつけたかな)

翌日

―事務所―


未央「おっはよー!!」

きらり「おっすおっす!未央ちゃん朝から元気だにぃ☆」

みりあ「わー、良いことあったんだー!」

未央「ふっふっふ、知りたい?」

みりあ「知りたい知りたーい!」

未央「ふっふっふ、みりあちゃんがもうちょっと大人になったらね!」

みりあ「えーっ!またそれなのー!?」

卯月「おはようございます、未央ちゃん今日は一段と元気ですね」

凛「おはよ、どうせロクなことじゃないんでしょ?」

未央「それはどうかな~?ま、あとのお楽しみってことで!」

凛「ふーん?」

卯月「今日のレッスン上手くいきましたね」

凛「未央、今日はダンスのキレが一味違ってた」

未央「まぁね!絶好調ですから!」

卯月「そうだ、たしか良いことがあったんでしたっけ?」

凛「ああ、教えてくれるんだよね?」

未央「ほう、聞きたい聞きたい?」

凛「……なんかそう言われるとあんまり……」

卯月「あああ、嘘です!聞きたいです!ね、凛ちゃん?」

凛「まぁ、気になるけど」

未央「ふふふ、何を隠そう……」

未央「ちえりんと付き合うことにしたんだ」

凛「へぇ、智絵里と?」

卯月「わぁっ、意外ですね~」

未央「意外?」

卯月「あ、えっと……女の子同士でそういうの、おかしいって言ってたから」

凛「そういえば……」

未央「乙女の心は移ろいやすいものなのだよ!」

卯月「そうですよね……未央ちゃんと智絵里ちゃん、きっと幸せになれると思います!」

凛「じゃあ……私と卯月が付き合ってるのも問題ないってことだよね?」

未央「もちろん!ふたりのおかげで私もちえりんと付き合うことになったわけだしさ」

卯月「良かったです、それじゃあみんなで仲良くしましょうね」

未央「うん、それで、提案があります!」

凛「へぇ、どんなの?」

未央「今度、ダブルデートしに行かない?」

凛「あー……二人きりじゃなくていいの?」

未央「二人きりはまだ緊張しちゃってさ、一緒に来てくれると嬉しいんだけど」

卯月「わかりました!えへへ、みんなでお出かけ楽しそうですね」

凛「……卯月がそう言うなら」

未央「よーし!ありがと!デートプランはばっちり任せといて!」

デート当日


未央「どうだった?私が選んだ映画!」

智絵里「とっても面白かったです!」

凛「ま、未央にしてはいいセンスしてたかな」

未央「ふふっ、しぶりんに任せたら、闇に舞う堕天使が蒼の波動に目覚める……!みたいなの選びそうだしね」

凛「ちょっと!私のイメージおかしいでしょ!」

卯月「り、凛ちゃん、落ち着いてください!」

智絵里「えへへ……みんなでお出かけ楽しいですね」

卯月「未央ちゃん、次はどうするんですか?」

未央「うむ、ではボウリング場に移動だ!」

未央「よーしっ!ストライク!」

智絵里「わぁっ、すごいですっ」パチパチ

凛「へぇ、やるじゃん」

未央「スポーツ万能、成績優秀の未央ちゃんですから!」

凛「そんな設定あったね」

未央「設定とかじゃなく事実です!そう言うしぶりんの実力は?」

凛「しかたない……本気出してみようかな」シュッ

ゴロゴロ
スパーン

凛「……っと、一本残っちゃったか」

未央「中々やりますなー」

凛「ま、今のは肩慣らしだから」

未央「あれ~?本気出すとか言ってなかった?」

凛「う、うるさい、今のが本気の肩慣らしだよ」

智絵里「私の番だ……ちゃんと投げられるかな……」

未央「ちえりん、ふぁいと!」

凛「落ち着いていけば、大丈夫だよ」

智絵里「……!」コクッ

智絵里「……えいっ」シュッ

ゴロゴロ
ゴトン

智絵里「あぁ……失敗しちゃった……」

未央「どんまいどんまい!」

凛「投げる時、もっと前を見たらいいかもね」

卯月「次は私ですね、島村卯月がんばります!」

未央「よっ、しまむー!」

智絵里「卯月ちゃん、がんばってください!」

凛「はぁ……ボール持ってるだけでもかわいい……」

未央「えぇー……」

卯月「よし、いきますよー」タタタッ

卯月「……っと、わわっ!」ズコッ

ドスン
ゴロゴロ

卯月「あ、あぁ~!ボールが~!」

未央「あはははは!ナイスだよしまむー!」

凛「つまづいてるのもかわいい……」

卯月「もぉ~、ちゃんと心配してくださいよ~」

未央「いやいや……あはは……はははっ!あんな盛大にコケてるの見たら……くふふっ……笑っちゃうって!」

卯月「未央ちゃ~ん!笑いすぎですってば~!」

~その日の夜~

未央「最後はこの公園でぶらぶらして解散ってことで!」

凛「了解、行こっか卯月」

卯月「はい、凛ちゃん」ピトッ

未央「あ、あれ?ふたりで行っちゃうの?」

凛「最後くらい別々でいいでしょ」

卯月「未央ちゃんも智絵里ちゃんと二人きりの時間欲しくないんですか?」

未央「あっ、そう、そうだよね!ちえりん、あっちの方行ってみよう!」

智絵里「はい、よろしくお願いしますっ」

未央「あ~今日一日楽しかったな~!」

未央「ちえりんはどうだった?」

智絵里「んー……えっと……」

未央「えっと?」

智絵里「デートって言うから緊張してたんですけど、普通に友達と遊ぶ時とあんまり変わらないんですね」

未央「あ……もっとデートっぽい方が良かった?」

智絵里「い、いえ!楽しかったです……けど……」

未央「ん?」

智絵里「えっと……なんでもないです」

未央「……そっか、記念すべき初デートだもんね」

未央「デートらしいこと……しよっか」ガシッ

智絵里「あっ、み、未央ちゃんっ」ドキッ

未央「大丈夫……ここなら暗いから誰にも見られないよ」

智絵里「うぅ……こ、心の準備が……」ドキドキ

未央「ちえりん……」ソーッ

智絵里「ち、近っ……あっ……」ドキドキ

未央「…………」ソーッ

智絵里「~~……」ドキドキ

未央「…………」ピタッ

智絵里「…………」ドキドキ

未央「……な、なんて、初デートじゃ早すぎるよね!」

智絵里「あ……」シュン

未央「も、もう遅いから帰ろうよ!ご両親も心配してるよ!」

智絵里「あの……両親はまだ仕事で家に帰ってないと思うので……」

未央「そ、そっか!わ、私の門限があるんだった!帰ろう帰ろう!」

智絵里「……はい……分かりました……」

翌日

凛「未央、昨日は企画してくれてありがと」

未央「いやぁ、いいってことよ!」

凛「おかげであの後卯月と……ね」

未央「なになに?」

凛「まぁ、内緒だけど」

未央「えー、教えてよ!」

凛「ふふっ、凛ちゃん凛ちゃんって甘えてくる卯月は可愛かったなぁ」

未央「大胆にのろけるね……」

凛「そっちは?智絵里とどうだった?」

未央「ああ……うん、良い雰囲気でしたよそりゃあ」

凛「へぇ、キスくらいしたんだ?」

未央「あ……それはまだ……」

凛「そっか、未央って案外……」

未央「な、なんだよー」

凛「いや、我慢強いなって。私は、自分で言うのもなんだけど卯月が好きすぎて耐えられなくなるから」

未央「褒めながらのろけるな!」

凛「あんまり褒めてはないんだけど……」

未央「私からものろけさせてもらうけど、ちえりんすっごく可愛くて逆に手を出せないっていうかさ、そんな感じ?」

凛「まぁ、智絵里も可愛いと思うよ、卯月の次にね」

未央「あー、はいはい」

数日後


未央「ちえりーん?」

未央(あれ?一緒に帰ろうって約束してたのに、どこ行ったんだろう?)

未央(事務所で待ち合わせって言ってあったはずだけど……)

杏「ねぇ、ちょっといい?」

未央「うわっ!びっくりした!杏ちゃんか~」

杏「話があるから、外を散歩でもしない?」

未央「それはいいけど……珍しいね、杏ちゃんが散歩なんて」

未央「で、話って何かな?」

杏「あー……めんどくさいから本題から入るね」

杏「智絵里ちゃんをたぶらかすの、やめてくれない?」

未央「…………」

未央「……たぶらかすだなんて人聞き悪いなー」

杏「ダブルデートに行った話聞いたよ、いまそれが原因でちょっと元気ないんだよねー」

未央「え……?」

杏「智絵里ちゃん言ってたよ~、ニュージェネの三人だけで盛り上がることが多かったって」

未央「……違う」

杏「ダブルデートとか言って、本当は未央ちゃんが卯月ちゃん凛ちゃんと一緒に遊びたかっただけじゃないの?」

未央「違うって!」

杏「……智絵里ちゃんのこと、本気じゃないなら今すぐ手を引いてよ」

未央「……本気だよ」

杏「じゃあいつから好きだったの?言える?」

未央「…………それは最近だけど」

未央「さっきから何なの、杏ちゃんには関係ないじゃん」

杏「せっかく自信がついてきたのに、もし裏切られたらまた元の智絵里ちゃんに戻っちゃうかもしれないじゃん?」

杏「そうなると、キャンディアイランド的にも困るんだよね」

未央「そんなの……ただの推測でしょ」

杏「推測で済めばいいんだけどねー」

未央「なんで、私だけに言うの……?」

未央「……私だって、幸せになってもいいじゃん……!」

杏「その幸せのために智絵里ちゃんを利用するのはやめてくれない?」

未央「ごめん、もう何も話すことないから」タッ

杏「…………」

杏「……はぁ……これだから恋愛沙汰はめんどくさい……」

―ライブ会場―

未央(杏ちゃんに言われたことがずっと頭から離れない……)

未央(私は……しまむーとしぶりんのことは諦めたはずなのに……だからちえりんと付き合ってるのに)

未央(なんであの時キス出来なかったんだろう、本当にちえりんのことが好きなら……)

未央「…………」チラッ

凛「卯月、今日の衣装すごく似合ってる」

卯月「えへへ、凛ちゃんは今日もカッコいいですっ」

未央(お互い好きならあんな感じ?二人きりになりたがるのが普通なのかな?)

未央(なのに、私はダブルデートでも4人で行動したがってて……)

未央(……杏ちゃんの言う通りだ)

未央(ふたりに相手にされなくなるのが怖くて、同じように階段をのぼりたくて……ちえりんを利用していたのかも)

未央(そもそも他人に何か言われただけで揺らぐような気持ちなんて……)

未央(どうしよう……私は何を頼ればいいんだろう……?)

未央(何をしたってこの穴は埋められないよ……)

未央(やっぱり私には……しまむーとしぶりんしか……)

卯月「あの、どうかしましたか?未央ちゃん?」

未央「……あ、な、なにしまむー?」

凛「なにじゃないよ、ボーっとしてたらか卯月が話しかけたんだよ?」

未央「や、やだなー、ボーっとなんて誰が」

卯月「未央ちゃん、今日のステージはシンデレラプロジェクトの皆も見に来てくれますから、頑張りましょうね!」

未央「も、もちろん!」

P「ニュージェネのみなさん、そろそろスタンバイお願いします」

凛「はいはい、今行くよ」

卯月「頑張ります!」

未央「……はい」

―ステージ―

卯月「ニュージェネレーションズです!」

凛「最後まで楽しんでいってね!」


♪デーキタテ エーボリュー レーボリュ‐


未央(どうしよ、集中できない)

未央(あ、歌詞飛んだ)

未央(フリ合わなかった)

未央(次は…確かしぶりんと立ち位置をスイッチして……)タンッ

凛(ちょっ、未央!まだ早いっ!)

未央「わっ……!」

ガッ
バタン

凛「ったぁ……!」

卯月「え……?」ピタッ

未央「あ…………」サーッ

―楽屋―

凛「未央!なんであの時こっちに寄って来たの!?」バンッ

未央「……ごめん」

凛「謝って済む話じゃない!卯月がなんとかフォローしてくれたから良かったけど……」

卯月「未央ちゃん、今日は調子が良くなかったみたいですけど……何かあったんですか?」

未央「何か……あったよ」

卯月「それはなんですか?」

未央「……なんですかじゃないよ……全部ふたりのせいじゃん……」

凛「は?」

未央「私を見捨ててふたりで付き合ったりするからじゃん!だから、どうすればいいか分かんなくなって……!」

凛「仕事には関係ないでしょ!」

凛「それに、この前は認めてくれるって言ったじゃん!未央だって智絵里と付き合ってるし」

未央「でも……やっぱり私は……!」

ガチャ

みく「ちょっといい!?」

卯月「み、みくちゃん?」

みく「なんにゃ、あのミスは!!」

卯月「あ……えっと……」

みく「あれってやっぱり卯月ちゃんと凛ちゃんが付き合ってるのが原因なの?」

凛「ち、ちがうよ!未央が……!」

未央「……そうだよ」

凛「未央!人のせいにしないで!」

未央「頭がそのことでいっぱいになって、不安で……ライブに集中なんてできないよ!」

みく「あれだけ言ったのに……卯月ちゃんどういうこと?」

卯月「ご、ごめんなさい、こんなことになるなんて思わなくて……」

みく「思って無さそうだったから、みくが忠告したのに」

みく「なんでさらに悪化させてるにゃ、このままじゃ両方中途半端になるだけでしょ?」

卯月「でも……私と凛ちゃんは本気で……」

みく「ふたりだけの問題じゃないの、そんなの自分勝手すぎるにゃ」

凛「ちょっと、卯月に酷いこと言わないでよ……そもそも未央が理解してくれないから……!」

未央「二人が付き合ってたら、ユニットとしていい活動なんて出来るわけないじゃん!」

みく「みく達はアイドルでしょ?アイドルはファンの皆が一番じゃなきゃ……そうじゃなきゃいけないにゃ」

卯月「二人の言いたいことは……分かりました」

凛「卯月……」

卯月「ね、凛ちゃんも分かりましたよね?」

凛「……ごめん、ちょっと卯月と二人きりで話がしたい」

卯月「……そうですね、みくちゃん、未央ちゃん少し出ていってもらってもいいですか?」

みく「……分かったにゃ」タッ

未央「……ごめん、悪いのは全部私だから」タッ

凛「……私たち、未央に酷いことしちゃってたのかな」

卯月「はい……それだけじゃなくて、みくちゃんや智絵里ちゃんにも……」

凛「別れた方がいいのかな……」

卯月「……凛ちゃんが決めていいですよ」

凛「……私、決められない……ごめん」

卯月「…………」

凛「…………」

卯月「凛ちゃんは、幸せでしたか?」

凛「うん、卯月と付き合えて本当に良かったと思ってる」

卯月「……私も、毎日がキラキラしてて、ステージでも味わえない幸せがいつも側にあって」

卯月「本当にありがとうございましたっ」ニコッ

凛「……うん」

卯月「でも……アイドルを続けたいなら……ダメですよね」

凛「それは……」

卯月「あの、私……」

凛「…………」

卯月「凛ちゃん、今から私が言う言葉、ちゃんと聞いていてくださいね」

翌日

未央「どうしたの?こんな所に呼び出して」

卯月「昨日……凛ちゃんと話しあって決めたんです」

未央「……なにを?」

凛「私と卯月、別れることにした」

未央「え?」

凛「やっぱり今はアイドルの活動に専念したいから」

未央「ほ、ほんとに!?」パァァッ

卯月「はいっ、やっぱり未央ちゃんも大事な友達の一人だって気付いたんです」

凛「三人揃って、ニュージェネでしょ?」

未央「しまむー……しぶりん……!」ウルウル

未央「さんきゅー!やっぱり友情に勝るもの無しだね!」ギューッ

凛「わっ、苦しいって未央!」

卯月「えへへ、また三人で一緒に頑張りましょうねっ」

未央「そうだ、となると私もユニットに集中しないとね!」

未央「ちえりんに事情を話して、別れることにするよっ!」

卯月「そうですね、智絵里ちゃんには悪いですけど……」

未央「大丈夫!ちゃんと謝れば分かってくれるって!」

未央「じゃあ、ちょっと行ってくるね!」バッ

卯月「行ってらっしゃ~い」

凛「その後一緒にレッスンだよ、待ってるからね」

未央「いぇい!ニュージェネ最高!」タタッ

凛「…………」

卯月「…………」

凛「……未央、智絵里、ごめん」

卯月「凛ちゃん、今度こそ本当に秘密ですからね」

凛「分かってるよ、絶対誰にも言わない」

卯月「次バレたら……きっと終わっちゃうから……」

凛「うん、そんなリスクがあるのに、卯月が私を好きなままでいてくれて本当に嬉しい」ギュッ

卯月「凛ちゃん……えへへ、もっと強く抱きしめてください……」

凛「うん、卯月がそう言うなら」ギューッ

卯月「……だいすきです、凛ちゃん」

凛「私も好きだよ……卯月」







おわり

以上です
読んで下さった方ありがとうございました

各キャラの担当Pさんには本当に申し訳ない
決して嫌いだからとかではなく、それぞれのキャラが好きだから色んな側面を見たかっただけと弁解させてください

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