雛苺「ここはヒナの特等席なの!」 ジュン「もう卒業してくれ…」 (295)

キャラと設定が崩壊しまくり。
原作やアニメなどがゴチャ混ぜ。
ローゼンメイデンの小説のキャラが少し出てきたりもします。

それでもよければどうぞ。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1445661387

 
前編 『どこでも雛苺』



日曜日―――…


雛苺「ふん♪ふっふふーん♪」

のり「あらあら、ヒナちゃん今日もごきげんね」

雛苺「そうなの!今日はお休みだからみんなと一緒に居られて嬉しいのよー」

ジュン「………」

翠星石「そろそろニチアサ※の時間ですし朝食にするですよー」

蒼星石「ほら、真紅ご飯だよ」

真紅「今行くわ」

ジュン「………」




※ニチアサ…日曜朝のアニメのこと

 
TV『美味しんじゃないの?僕の好みの味だよ』


翠星石「わがままな奴ですねぇ。まるでチビ苺みたいですぅ」

雛苺「ヒナなんでも美味しく食べるもん!」

のり「ヒナちゃんえらいわねぇ」

真紅「ねぇ、どうでもいいけど朝からドラ○ンボールはやめて頂戴。なんで神様がネコなのよ…」

翠星石「しゅごキャラ!はもう終わっちゃいましたし、プ○キュアも今の時間やってないですよ」

ジュン「………」モグモグ

蒼星石「あれ?ジュン君。そんなしかめっ面してどうしたんだい?」

ジュン「あのさ…、朝から気にはなってたんだけど…」

のり「?」もぐもぐ

雛苺「これおいしーのー!…あっ!ジュンの顔に落としちゃった。ごめんね、ジュン」

ジュン「……」ベットリ…

のり「あらあら大変!すぐタオルを…」

ジュン「なんで雛苺が僕に登ってるんだよ!」

紅翠蒼のり「?」

雛苺「このほうれん草…まじめな味なの」もぐもぐ

真紅「いつも登ってるじゃないの」

ジュン「いや、今日は起きた時から登ってたんだ」

翠星石「今頃気づいたですか?まったくチビ人間は本当にニブちん人間ですねぇ」

ジュン「お前らのツッコミを期待して敢えて黙ってたんだ!」

のり「お姉ちゃんは敢えて登らせてるのかと思ってたのよぅ」

ジュン「なんでだよ!僕登りはするなってよく言ってただろ」

雛苺「ベリーベルこっちこっち。そうそう、あ~~んっ」ぱくっ

蒼星石「でも行儀が良いとは言えないな。こういう事は真紅が一番に注意すると思ってたから」

真紅「なんか最近よく見かける行為だからスルーしてしまったのよ」

雛苺「のり!今日のご飯もおいしーのー!」

のり「ありがとう、ヒナちゃん」ウフフ

ジュン「いいからご飯の時くらいは降りろよ!」

雛苺「もう食べられないの」ウプー

ジュン「降りないし…」


翠星石「さーて!翠星石たちはおじじの屋敷に行くですかね」

雛苺「えっ!?ヒナも行きたい!」

蒼星石「僕たちは薔薇の様子を見に行くんだけど」

雛苺「ヒナは一葉や穂積とおしゃべりするのよ。さ、ジュン行きましょ」

ジュン「へっ?」

雛苺「もぅ!ジュンったらねぼすけさんね。ジュンも行くのよ」

ジュン「ちょっと待てよ!なんで僕まで…。真紅とでも行けばいいだろ」

真紅「嫌よ。今日は久しぶりにホームズを読破するのだわ」

雛苺「ほらほら。早く支度するの」

ジュン「僕の日曜日が…」

 
――――薔薇屋敷


一葉「やあ、待っていたよ」

翠星石「茶ーしばきに来てやったですよ!」

蒼星石「こんにちは、マスター」

一葉「はは、もうマスターではないのだから名前で呼んでくれないか」

蒼星石「……はい、一葉さん」

雛苺「一葉こんにちはなのー!」

ジュン「あの…、なんか僕たちも来ちゃってすみません」

一葉「いやいや、いいんだよ。お茶会は大人数の方が楽しいからね」

穂積「旦那様。お茶菓子の用意が整いました」

雛苺「あっ!穂積なの!こんにちは」

穂積「ええ。こんにちは、雛苺、翠星石、蒼星石、ジュンくん」

翠星石「久しぶりですね」

蒼星石「こんにちは」

ジュン「今日はよろしくお願いします」

穂積「いえいえ」

雛苺「穂積も一緒にお茶会しましょ!」

穂積「ごめんなさい、まだ仕事が残ってるの」

雛苺「そ、そうなの…」

穂積「また後でお話しましょう」

雛苺「うん!」


翠星石「では、パパッと食べて庭師の仕事をするですよ」

蒼星石「ゆっくりしてからでもいいじゃないか」

一葉「ところでジュンくん。なぜ雛苺を頭に乗せているんだい?」

ジュン「ああ、これは…」

雛苺「ジュンの頭はヒナの特等席なのよ。こればっかりは誰にも譲れないの」

一葉「それはいい」ハハハ!

翠星石「………」ムー

蒼星石「抑えて抑えて」

翠星石「それにしても、こうしておじじとお茶できるようになるなんて考えられなかったですよ」ズズ…

一葉「たしかにそうだな」

翠星石「あの頃のおじじなんて翠星石のお尻を叩いたり……ああもう!思い出したらムカついてきたです!このエロおじじ!!」

一葉「す、すまない…」

蒼星石「あれは翠星石が悪いよ。あんな事すれば怒って当然だ」

雛苺「翠星石は何をしたの?」

蒼星石「僕と翠星石は衣装を交換した事があるんだ。髪を帽子に入れて声も変えた翠星石は一葉さんを騙そうとしたんだよ」

ジュン「いかにも性悪人形がやりそうな事だな」

翠星石「う、うるせーです!あの時はそれしかないと思ったんですぅ…」

蒼星石「僕とマスターの契約を解こうとしたみたいだけど、僕がそれを阻止して翠星石はお尻ぺんぺんされたってわけ」

翠星石「そ、蒼星石ぃ…!その言い方はやめてですぅ…」

ジュン「話を聞く限りだと翠星石が悪いじゃん」

翠星石「そんな事ねーです!力が出せない以上ああするしか方法はなかったんですから。それに……」

翠星石「あの頃のおじじは復讐に燃えてましたからね。そりゃ穂積も心配するはずです」

一葉「穂積が?」

翠星石「あ゛っ!」

一葉「どういうことだ?」

翠星石「えっと…そのぉ……ええいっ!もう言っちゃうです」

翠星石「衣装替えの件で蒼星石とケンカして……途方に暮れていた時の事です」

翠星石「翠星石はどうしていいかわからず、二葉の部屋で泣いてたです」

一葉「二葉の部屋にいたのか」

翠星石「その時に掃除に来た穂積にいろいろ聞いたです。旦那様を助けてほしいって」

一葉「………」

翠星石「翠星石はその真摯な気持ちに胸打たれてなんとかしてやろうって思ったです」

翠星石「雛苺から7体全員目覚めた事は聞いてましたからね。真紅ならと思って助けを求めたって訳です」

ジュン「そうして僕の部屋に特攻してきたって事か」

翠星石「です!」コクリッ


一葉「穂積が………そうだったのか」

蒼星石「その辺は僕も知ってるよ。ラプラスの魔に見せてもらったから」

翠星石「えっ?そうなんです?」

蒼星石「うん。すっごくイラッとしたなぁ」

翠星石「ええっ!?なんで!?」

蒼星石「なんでだと思う?」フフフ…

翠星石「……なんか蒼星石が怖いです…」



雛苺「マスターもドールもみんな悩みを抱えているのね」

ジュン「いきなりどうした雛苺」

雛苺「トモエの事を思い出しちゃって。トモエもいつも悩んでるようだったから」

雛苺「ヒナもそう。アリスゲームが嫌なのにアリスゲームの開戦を告げたのは他でもヒナなのよ…」

ジュン「……(そんな前の話を……とは言えないな。アリスゲームが終わってまだ1年くらいだし)」

雛苺「……」シューン…

ジュン「なんか暗い話になってきた」

一葉「暗い話ばかりではない。蒼星石と出会って私は救われたのだ」

一葉「いや、蒼星石だけじゃないな。穂積や翠星石、ジュンくん、雛苺、真紅、水銀燈……数えたらキリがない」

一葉「みんなと出会えたことを心から感謝しているよ」

翠星石「へへーんだ!もっと感謝しろですぅ」

雛苺「ゼア イズ サンクス オンリー。感謝しかない」

ジュン「えっ」

雛苺「ヒナもトモエやのり、ジュンと出会えた事に感謝してるの!」

蒼星石「うん、僕もだ」

ジュン「まぁ退屈はしないよな」

翠星石「またまたそんな事言って。本当は翠星石たちが居なくなった途端オロオロするんじゃねーですかぁ?」

ジュン「なんだと!そんなわけあるか」

翠星石「どーだかですぅ。さてと、そろそろお庭のお手入れをしましょうか」

蒼星石「そうだね」

翠星石「健やかにィ~のびやかにィ~~」シャアアア

蒼星石「うん、良い感じだ」チョキチョキ



穂積「ここも綺麗になりましたね」

雛苺「あっ!穂積」

穂積「隣いいかしら?」

雛苺「うん」

穂積「………」

穂積「旦那様は日々の生活がとても楽しいみたい」

雛苺「うゅ?」

穂積「貴女たちローゼンメイデンのおかげね」









一葉「………」ズズ…

ジュン「………」


ジュン「……(き、気まずい…!)」

ジュン「……(なにこれ?何話せばいいのこれ?二人だけだとキツイんだけどこれ)」

一葉「………」フゥ…

ジュン「………(なにこれ、やだこれ)」

一葉「ジュンくん」

ジュン「わっ!…は、はい」

一葉「蒼星石は元気かね?」








雛苺「そんな事ないの。穂積が一葉を支えていたのも大きいと思うわ」

雛苺「ヒナたちは少しのきっかけを与えただけ…って蒼星石ならそう言うと思う」

穂積「そう…かな?」

雛苺「うん!穂積が愛のパワーで一葉の傍に居たからなのよ」

穂積「愛!?」

翠星石「穂積の愛はレモネードのように甘酸っぱいですからねぇ」ビュン! ニヤニヤ

穂積「速っ!」

ジュン「蒼星石?普通だよ。たまに翠星石と料理したり庭の手入れをしてくれたり」

一葉「そうか。幸せそうで何よりだ。やはり双子は一緒にいるべきなのかもな」

ジュン「……」

一葉「私の屋敷に居た頃は………いや、止そう」

ジュン「貴方と蒼星石はよく似ている」

一葉「ん?」

ジュン「だから彼女は貴方の事を放ってはおけなかったんです」







雛苺「ヒナは翠星石から聞いたの。たしかに恋をしてるお顔なのよ」

穂積「翠星石!」

翠星石「いやぁ~、恋はいいですねぇ。甘美な響きです。甘いだけでなく酸っぱくほろ苦い思い出。いいですよねぇ~」ほふぅ…

穂積「聞いてないし…」

翠星石「あの頃はわからなかったですけど、今なら翠星石もわかりますよ。ため息が出ますよね」ふぅ…

穂積「へぇ、あの翠星石がねぇ。相手はまさか…」

翠星石「ち、ち、違います!ちび人間じゃ全然ないですぅ!!」

雛苺「ヒナ思うのだけど、どうしていつも自爆するんだろう」

穂積「なるほど、ジュンくんか」

翠星石「ほあぁぁぁぁぁっ!!?」

一葉「翠星石もそんな事を言っていたな」

ジュン「契約するドールとマスターはどこか似てる部分があるみたいなんだ」

ジュン「あの翠星石や雛苺だって僕と似ている部分があるんです」

一葉「君が特別だからでは」

ジュン「僕はそうは思わない。一葉さんと翠星石だって似ている所がありますよ」

一葉「…確かに彼女たちとは共通する点が多いが…」

ジュン「蒼星石は貴方と会った時に痛いほど気持ちを理解していたはずだよ」

ジュン「気持ちが理解できるからこそ一緒にいたい。…幸せだったと思います」

一葉「……」

ジュン「蒼星石は貴方だからこそマスターに選んだんだ」









翠星石「ば、バレたです…」

穂積「そっかぁ。ジュンくんかぁ。ジュンくんって目立たないけど影でモテそうよね。あの歳にしては可愛いし」

翠星石「ま、マジですか!?」

穂積「マジもマジよ。最初に見た頃よりも頼れる感じだし」

雛苺「トモエもジュンの事好きって言ってたわ。恋愛的な意味かまではわからないけど」

翠星石「えぇぇーー!!た、大変ですぅ!」アワワ…

穂積「もう隠す気ないのね」



蒼星石(恋バナ長いなぁ)

翠星石「うーん…、でも焦っても仕方ないですし…」

穂積「少し優しくしてあげるとか」

翠星石「優しくですか。翠星石にできることは今まで通り一緒にいる事くらいしか…」ジー

雛苺「?」

翠星石「(ジュンのぼりはちょっと無理ですね)…ところで穂積の方はどうなんです?」

穂積「え?」

翠星石「またまたぁ。愛しの旦那様への淡い想いは隠しようがないですからね」

穂積「す、翠星石!///」カァァ

翠星石「おじじにはまだバレてないんですか?どうなんですか?」ワクワク

穂積「ちょっ、やめて!…蒼星石!翠星石をなんとかして」

蒼星石「えっ?僕?」

翠星石「蒼星石はおじじの恋が気にならねーですか?元マスターなのに?」

蒼星石「マスターには幸せになってもらいたいけど恋愛は専門外だ」

翠星石「なに言ってるですか!蒼星石。それでも乙女かー!ですぅ」

蒼星石「薔薇乙女なんだけど…」


キャッキャッ ウフフ





ジュン「ここにいる時の蒼星石は本当に幸せそうですよ」

一葉「ふふ、賑やかなものだな」

翠星石「うりうり。どうなんです?どうなんです?」

野積「この…、人形のくせにぃぃ~~…」

翠星石「へへーん!翠星石はお前よりも何倍も歳いってますからね。目上の者を敬えってもんです」

雛苺「おばあちゃんなの」

翠星石「なんか言いましたか?ちび苺」ギロッ

雛苺「い、言ってないの!」


一葉「随分賑やかだな」

ジュン「庭師の仕事は終わったのか?」

翠星石「んなああ!?」ビクゥ!

穂積「だ、旦那様!?」

蒼星石「庭の手入れは終わったよ」

雛苺「ジュン!」ピョン!

ジュン「おっとっと。またかよ…」

翠星石「お、乙女の会話に入ってくるなんて何考えてるですか!!」

一葉「す、すまない…」

ジュン「なんだよ…。何怒ってるんだよ」

翠星石「もう知らんです!」

ジュン「?」

雛苺「タイミングが悪かっただけだから気にしないで」


蒼星石「マスター、庭のお手入れ終わりました」

一葉「ご苦労さま。そろそろハロウィンだな。囁かだがお礼にお菓子をもらってくれないか」

蒼星石「いただきます」

雛苺「わーい!お菓子なのー」

翠星石「ちび苺はなんにもしてねーからもらえないですよ」

雛苺「えっ!?ヒナの分ないの…?」

穂積「もちろんあるわよ。ほら、雛苺。ジュンくんもどうぞ」

ジュン「えっ?僕も?なんかすみません」

雛苺「わぁい!ありがとなのー」


蒼星石「ありがとう。マスター」ニコッ

一葉「みんなが嬉しそうで何よりだよ」ニッコリ

一葉「ああ、それと穂積」

穂積「はい」

一葉「お前には本当に助かってるよ」

穂積「えっ?」

一葉「聞いたよ。復讐に取り付かれた私を止めようとしてくれたそうだね」

穂積「あの…それは、その……出過ぎた真似をしてしまい申し訳ありませんでした」

一葉「ああ、いいんだ」

翠星石「うふふ」

穂積「……(翠星石っ!あれほど言ってはならないと言ったのにっ!)」

一葉「ジュンくんに言われて改めて思ったよ。私の人生はただ老いるだけの人生ではない」

一葉「私は幸せ者だ。蒼星石に翠星石……そして、お前がいるのだから」

穂積「だ、旦那様!?」

一葉「私の傍に居て欲しい」

穂積「あぅ…、こ、こちらこそ///」

穂積「旦那様は私の全てです。だ、旦那様がよろしければ私は…!」

一葉「ああ、あの屋敷に住む者は皆わたしの家族だ。君塚も蒼星石も翠星石も、そして穂積も」

翠星石「!?」

穂積「えっ?そういう…?」

一葉「これからもよろしく頼むよ」

穂積「は、はい…」

翠星石「こんの!ニブちんおバカ性悪おじじーーー!!!!!!」

一葉「うおっ!?」ビクッ



雛苺「さあ、帰りましょ」

ジュン「あ、あぁ」

雛苺「午後になりましたー」

ジュン「はぁ、やっと日曜日を謳歌できる。ネットネット」イソイソ

真紅「………」

真紅「ふぅ、もうこんな時間なのね」パタン

雛苺「うゅ?真紅どこかに出かけるの?」

真紅「えぇ、金糸雀の所に行こうと思ってるの」

雛苺「金糸雀の家!ヒナも行きたいのよ!」

真紅「いいけど……邪魔はしないでね」

雛苺「邪魔?金糸雀と何するの?」

真紅「付いて来たらわかるわよ」

雛苺「えー!気になる!ジュン早く行きましょ」

ジュン「はぁ!?僕も行くのかよ!帰ってきたばかりじゃないか」

雛苺「行きたい行きたい!日曜日なんだからジュンももっと出かけるのよ!」

ジュン「嫌だね。僕は今度こそ休みを謳歌するんだ。行きたいならお前だけで行けよな」

雛苺「………うぅ」ウルッ

ジュン「!」

雛苺「嫌なの!今日はずっとジュンと一緒って決めてたのよーー!!」ビャアアアア

ジュン「うるさっ!?そんな理由で僕に引っ付いてたのか…」

雛苺「うえええあああああああああああ!!!!」ビャアアアアア

真紅「ジュン、うるさいわよ。近所迷惑だから早く泣き止ませなさい」

ジュン「僕がかよ!~~~~っ!!わかったよ!行けばいいんだろ!行けば」

雛苺「ホント!?」ピタッ

ジュン「うわっ、もう泣き止んだよ」

真紅「いけない。13時30分をもう2分も過ぎてしまったわ。すぐに出かけるわよ」

ジュン「僕たちも行っていいのかな?一応みっちゃんにメール送っとくか」カタカタ





――――nのフィールド


真紅「みっちゃんさんの家はこっちだったわね。…………?」

雛苺「真紅?どうしたの?」

真紅「今の気配は何かしら…?雛苺は何か感じた?」

雛苺「えっ?ヒナは何も感じないけど」

真紅「ジュンは?」

ジュン「いや、特には。気のせいじゃないか?」

真紅「一瞬何かの気配を感じたのだけど……気のせいだったのかしら?」

ジュン「あっ、ほら。もう着くぞ」

 
――――みっちゃんのお部屋


金糸雀「水銀燈重いかしら~…」

水銀燈「重くないわよ。いいからジッとしてなさい」

金糸雀「なんでカナを枕にするのかしら?」

水銀燈「だって貴女のお腹気持ちいいんだもの」スリスリ

金糸雀「ちょっ…!く、くすぐったいかしらー!」

水銀燈「我慢しなさいよぉ。今いいとこなんだから」ピコピコ

金糸雀「モ○ハンもその辺にしといた方がいいわ。そろそろ…」

真紅「随分と仲が良いわね」

水銀燈「!?」

金糸雀「真紅、待ってたかしら」

雛苺「お邪魔するのー」

ジュン「やあ、金糸雀に水銀燈。みっちゃんは?」

金糸雀「雛苺とジュンもいらっしゃい。みっちゃんはお買い物に行ってるかしら」

水銀燈「ちょっとなに!?なんで真紅たちが来るわけ?」

金糸雀「昨日言ったじゃない。今日は真紅が遊びに来るって」

水銀燈「そ、そんなの聞いてないわよ!せっかくの日曜日が…」

真紅「あら、毎日お休みの貴女がよく言うわね」

水銀燈「なんですってぇ?貴女こそ毎日リラックス乙女のくせに」

真紅「し、してないわよ!あれは一人の時だけであって…」

水銀燈「そうそう。一人になるとすっごいダラけるわよねぇ。真紅らしいわぁ」クスクス

真紅「もうっ!だからあっちで話そうって言ったのに!」

金糸雀「毎回桜田家にお邪魔するのは申し訳ないと思って…。みっちゃんもいつものお礼にって張り切って出かけちゃったし…」

雛苺「そういえば最近二人はよく話してたの。いつも何してたの?」

真紅「私と金糸雀はあるものを作ろうと思ってるの」

雛苺「あるもの?」

金糸雀「これかしら!」ドドーン!



【ホームズ&くんくん クロスオーバー同人誌】




ジュン「」

水銀燈「ホームズとくんくんって別々の作品でしょ」

金糸雀「クロスオーバーかしら。もしもホームズの世界にくんくんが現れたらってお話を作ってるの」

水銀燈「なにそれぇ…」

真紅「絶対面白いのだわ。同じ探偵で二人はライバル。でも時に協力して真犯人を見つけ出すの!」

雛苺「ええっ!?すごい!完成したらヒナにも読ませてほしいの!」

真紅「もちろんよ」

ジュン「いや、同人誌って…。同人小説って事か?」

真紅「今まで私がネットに上げていた小説をアレンジして出そうと思ってるの」

ジュン「そんな事してたのかよ!?」

真紅「それで挿絵担当は金糸雀」

金糸雀「かしらー!」

ジュン「マジかよ…」

水銀燈「あはっ!おっかしい。金糸雀の絵が上手なわけないじゃないの」

金糸雀「ジュンやみっちゃんほどじゃないけど…」シュババ

水銀燈「!」

雛苺「金糸雀お上手なの!」

ジュン「へぇ、金糸雀にこんな才能があったなんてな」

真紅「という事で今日は打ち合わせに来たのよ」

水銀燈「ふーん…」



みっちゃん「ただいまー!おー、集まってるね」

金糸雀「みっちゃん!おかえりなさいかしらー」

真紅「お邪魔してます」

雛苺「わぁい!みっちゃーん」

みっちゃん「おっ!ヒナちゃんジュンジュンの頭の上に登ってご機嫌だね」

雛苺「えへへー」

みっちゃん「そうそう、ジュンジュン。メールでも伝えたけど後で私のデッサン見てくれる?」

ジュン「あぁ、いいよ」

みっちゃん「よーし!かぼちゃスープとかぼちゃパイ気合入れて作るね!」

金糸雀「つまり泥棒キャットとモリアーティ教授が手を組むってわけ」

真紅「モリアーティは巨悪過ぎないかしら?クレイ辺りはどう?」

金糸雀「クレイって……知名度的にモリアーティの方がいいと思うの。ホームズをあまり知らない人でもモリアーティ教授なら知ってると思うし」

真紅「そうなのよねぇ。う~ん…、モリアーティ教授の性格を少し丸くするとか」

金糸雀「それかしら!」



水銀燈「よくやるわねぇ」

雛苺「水銀燈は本を読んだりしないの?」

水銀燈「最近は漫画ばっかりよ。めぐが勧めてくれた漫画をみつに買ってもらって読んでるわぁ」

雛苺「どんなマンガなの?」

水銀燈「悲劇とか絶望系の作品よ。彼○島とか東京○種とか」

雛苺「悲劇…?」

水銀燈「人を食べたりするお話ね。私も最初は下品だから興味なかったんだけど意外と面白いわよ」

雛苺「えー…、ヒナあんまり怖いのは無理なのよ…」

水銀燈「いいから読んでみなさいよぉ」

雛苺「嫌なの!怖いのはダメなのーー!!」



1時間後―――…


水銀燈「私の羽赫についてこれるかしら?」ウフフ

雛苺「ヒナの鱗赫だって強いんだから!」イチゴワダチー


ジュン「ハマってんじゃん…」

水銀燈「グールと人形。その両方の性質を持つ貴女ならできると思ったのにね。残念だわぁ」

雛苺「ヒナはこの間違った世界を変えてやるの!そのためならヒナは…」

雛苺「ヒナは喰種よ…!」

水銀燈「そう。人形としての自分を捨てるというのね。おばかさぁん」

雛苺「うるさいなの!まずは水銀燈から『摘んで』やるのよ!!」

水銀燈「うふふ、なら私の本当の姿を見せてあげるわぁ」つ眼帯

雛苺「なっ!?水銀燈が隻眼の梟だった…なの…?」



ジュン「なんだこれ…?」

ジュン「……」チラッ



金糸雀「ライヘンバッハの滝に落ちたモリアーティは実は生きてたっていうのはどうかしら?」

真紅「いいわね。あと滝に落ちるのはホームズではなくてくんくんはどう?」

金糸雀「なるほど。くんくんがモリアーティ教授と対決するのね」

真紅「そう、くんくんとモリアーティは滝に落ちる。そして愛を深めるの」

金糸雀「えっ?何を深めるって?」

真紅「愛よ」

金糸雀「愛!?」

金糸雀「ど、どういう事かしら!?」

真紅「言った通りよ。昨日の敵は今日の友なのだわ」

金糸雀「友どころか恋人かしら!それに男性同士だし人間と人形だし…」

真紅「実はホームズとワトスン君もくんくんに恋してるのよ」

金糸雀「まさかの四角関係!?真紅!真紅どうしちゃったの!?」

真紅「くんくん総受け……総愛されもいいんじゃないかと思って」

金糸雀「総愛されって…。本格ミステリーにするんじゃなかったのかしら?」

真紅「もちろんミステリーも入れるわ。でも、それだけだとつまらないじゃないの」

真紅「そうだわ!泥棒キャットやネコ警部も実は…」

金糸雀「真紅!?ちょっと真紅!」

真紅「金糸雀。少し練習してみましょう。貴女がくんくんで私はホームズよ」

金糸雀「えっ?」



水銀燈「なかなかやるわね!」

雛苺「ヒナは…負けないの………あっ!」コケッ

水銀燈「あははっ!おばかさぁん!!」バサッ!

雛苺「くっ…」


雛苺『ばぶー!お母たまー』


水銀燈「……」ピタッ

雛苺「スキありなの!!」シュルル!

水銀燈「きゃっ!」

水銀燈「こ、ここまでのようね…」

雛苺「ヒナの勝利よ!これで……でもなんで途中で攻撃を止めたの?」

水銀燈「……」

水銀燈「最後に言わせて……。実は…、私は貴女の母親なのよ」

雛苺「!!? そ、そんなのウソなの!」

水銀燈「本当よ…。ほら、苺のペンダント…」キランッ

雛苺「そ、そんな…。じゃあ……」

水銀燈「私の愛しい娘…」

雛苺「お、お母様ーーー!!」



金糸雀「ホームズ!?ぼ、僕はそんなつもりじゃ…!」

真紅「いいや、君の推理通りだよ。くんくん君。彼よりも僕の方が君を愛している」

金糸雀「し、しかし!僕は人形で君は人間なんだ」

真紅「まだそんな事を言うのかい。君ほどの名探偵ならそんなロジックは解いてしまうだろうに」

金糸雀「でも倫理的な視点から言っても…」

真紅「そんな事を言うのはこの口か。私が熱いベーゼで塞いであげよう」

金糸雀「えっ?!ちょ、真紅!役になりきりすぎかしら!ストップ!ストップ!」

水銀燈「貴女に真実を語る事ができて…よかったわ……ひな…いち……」ガクッ…

雛苺「お、お母様…?お母様ーー!!」


真紅「これも基本だよ。くんくん君」ンチュー

金糸雀「何がかしらーー!?」ヒィイイイ


みっちゃん「おーい!おやつできたよー」


雛苺「わぁい!待ってましたー」

水銀燈「今日はかぼちゃのスープとパイだっけ?」イソイソ

真紅「冗談もこの辺にしておやつをいただきましょうか」スタスタ


ジュン「切り替えはやっ!」

金糸雀「あ、危なかったかしら…」ゼェ…ハァ…

書き溜めが無くなったので今日はここまで。
レス、コメント等ありがとうございます。
続きは明日か明後日にできたらいいなぁ。

それでは投下していきます。

水銀燈「甘くて美味しいわぁ」ムグムグ

雛苺「かぼちゃの甘味がすっごく出てておいしいのー!」

真紅「紅茶にも合ってるわね」

金糸雀「みっちゃんの作るお菓子はいつも美味しいかしら」

みっちゃん「うふふ、お代わりもあるからどんどん食べてね」


ジュン「みっちゃん、さっきスケッチブック見たけど直すような所は見当たらなかったよ」

みっちゃん「マジで!?ついに私もジュンジュンに追いついたのかな!」

ジュン「そうかもね」

みっちゃん「じゃあさ、まだまだ見てもらいたいものがあるんだけど」

ジュン「まだあるのかよ。夕飯前には帰ろうと思ってるんだけど」

みっちゃん「十分!今考えてるアイデアも聞いてもらいたいの」

ジュン「わかったよ」

水銀燈「次は彼○島読みましょうよぉ」

雛苺「どんなお話なの?」

水銀燈「人間が吸血鬼と戦うギャグホラーサスペンス漫画よ」

雛苺「ギャグホラー?」

水銀燈「人間の主な武器は丸太と豚汁なの」

雛苺「丸太と豚汁!?たしかに気になるのよ」

水銀燈「じゃあ一緒に読みましょ」

雛苺「うん!」



真紅「では続きを始めましょうか」

金糸雀「ストーップ!さっきの続きはなしかしら!」

真紅「ふふ、冗談よ。貴女の反応が面白かったからつい悪ふざけをしてしまったわ」

金糸雀「悪ふざけも過ぎるかしら。さあ、真面目に考えましょう」

真紅「そうね。くんくんオンリーに向けて頑張るのだわ」

金糸雀「ファイトかしらー」

 
――――nのフィールド


ジュン「けっこう長居しちゃったな」

雛苺「うん。真紅はまだ残るみたいね」

ジュン「あいつらもよくやるよなぁ。まぁ何かに熱中するのはいいことだけど」

雛苺「ヒナもお絵かきガンバろうと思うの。―――…っ!」

ジュン「んっ?雛苺、どうした?」

雛苺「…姉妹の気配がするの」

ジュン「姉妹?翠星石と蒼星石か?」

雛苺「翠星石たちじゃないの。この感じは違うと思う」

ジュン「翠星石たちはもう家に帰ってるだろうし…、真紅たちもみっちゃん家にいるし」

雛苺「そして雪華綺晶はまかなかった世界にいる」

雛苺「たぶん、さっき真紅が感じたっていう気配はこれなの」

ジュン「………」

雛苺「………」

ジュン「帰るか」

雛苺「うん!」

ジュン「ご飯前なのに変な事に巻き込まれたくないよなー」

雛苺「ご飯に遅れたらのりに怒られるのよー」

ジュン「あぁ、怒った姉ちゃんはホント怖い」

雛苺「そうなの!だから急いで帰りましょ」

ジュン「おっ、我が家の入口が見えるぞ」

雛苺「わぁい!ヒナが一番乗りなのー」

ジュン「あっ!ずるいぞ、雛苺」

雛苺「早い者勝ちだもん!」



雛苺「ただいまなのー!」

薔薇水晶「えっ?」

 
――――ドールハウスenju


雛苺「えっ?ここどこなの?」

薔薇水晶「…雛苺」

雛苺「だ、誰なの…?」

薔薇水晶「雛苺、あなたは弱い」

薔薇水晶「弱くて弱くてかわいそう…」

薔薇水晶「そんな貴女からアリスゲームを仕掛けてくるなんて…」

雛苺「アリスゲーム…!?」

薔薇水晶「私は舐められているの?」カチャッ

雛苺「あ…ああぁ……」

薔薇水晶「貴女から壊してあげる」


ジュン「雛苺、ちょっと早すぎるぞ。……えっ?」

薔薇水晶「…!」

ジュン「ここって…!それにお前は……」

薔薇水晶「桜田…ジュン」

ジュン「ローゼンメイデンなのか?僕を知ってるって事は…」

薔薇水晶「雛苺。真紅のミーディアムと一緒に乗り込んでくるなんて…」カチャッ

ジュン「ミーディアムって」

雛苺「ジュン!その子アリスゲームって言ってるの!!」

ジュン「マジか!?」

雛苺「よくわからないけど逃げた方が絶対いいの!」

ジュン「だな」

薔薇水晶「…逃がさない」パァァ

ジュン「うわっ!水晶の…壁!?」

薔薇水晶「これでもう逃げられない。…雛苺」

雛苺「な、なに?」

薔薇水晶「あなたはアリスゲームをリタイアした。本来は動いていてはいけない存在…」

雛苺「アリスゲームはもう終わったのよ!」

薔薇水晶「…何を言ってるの?」

雛苺「アリスゲームは真紅がアリスになって終わったんだから!」

薔薇水晶「………」

薔薇水晶「かわいそう」

雛苺「えっ?」

薔薇水晶「頭までジャンクになってかわいそう…」

雛苺「し、信じてくれない…!」ガーン

ジュン「まぁそうだろうな」

薔薇水晶「かわいそう…かわいそうな雛苺…」

薔薇水晶「動かなくなるまで待とうと思ったけど…、今ここで奪ってあげる」

雛苺「そもそも貴女は誰なの!お父様の隠し子?」

薔薇水晶「私はローゼンメイデン第7ドール、薔薇水晶」

雛苺「えっ?第7ドールはきらきーよ」

ジュン「……」

薔薇水晶「きらきー?本当にジャンク…、今解放してあげる」



白崎「おーい、薔薇水晶ー。あんまり暴れると店が……なっ!?」

白崎「桜田くん……はいいけど雛苺がなんでここに…?」

ジュン「僕はいいってどういう事だよ。ラプラスの魔」

白崎「!!?」

薔薇水晶「白崎…?」

白崎「もしかして……坊ちゃん?」

ジュン「うん」

白崎「っ!!まずいよっ!薔薇水晶は水晶どけて!」

薔薇水晶「…?」

白崎「という事は雛苺もヤバイのか!」

雛苺「本当にラプラスの魔なの?」

ジュン「なぁ、ラプラス。あのさ…」

白崎「やばい!時間だ!早く二人とも隠れて!早く!!」

ジュン「隠れるって…ここじゃ隠れる場所なんて……店の奥に行けばいいか」





ジュン「………」

槐「………」

ジュン「こ、こんにちは」

槐「………」

ジュン「お邪魔…してます…」

槐「……今日も見学か?」

ジュン「えっ?」

槐「今回は人形の型抜きだ。見ていくだろう?」

ジュン「は、はい…」




雛苺「ヒナは!?ヒナはどこに隠れたらいいの?」

白崎「幸いここは人形店だ。適当な所に隠れて!」

雛苺「う、うぃ!」

白崎「薔薇水晶も所定の位置に!」

薔薇水晶「……」スゥ…


カラン!カラン!


ジュン?「こんにちはー」

巴?「……」

ジュン?「あれ?誰もいないのかな?」

巴?「すみませーん」

白崎「は、はいはい。これはこれは!桜田くんと柏葉さんでしたか」

巴?「こんにちは」

ジュン?「どうも。今日もいいですか」

白崎「今日はちょっと無理なんだよ。槐が出かけちゃっててね(…という事にしておこう)」

ジュン?「そうですか。今日はブローチも買おうと思ったんですけど」

白崎「あ、あぁ、人形用のブローチね。いいよ、選んでって」

ジュン?「柏葉も見てくだろ?」

巴?「うん。雛苺に何か買っていこうかな」



雛苺(トモエなの!でもあっちのジュンは?)

雛苺(もう少し隠れてた方がいいのかなぁ…?)

ジュン?「………」ジー

薔薇水晶「」

白崎「その人形が気になるのかい?」

ジュン?「前来た時も思ったんですけど、何か…変わった人形ですね」

白崎「君は見る目があるね!その人形は槐の最高傑作なんだよ」

ジュン?「へー…」

白崎「その人形一体で家が何軒も買えちゃうほどだよ」

ジュン?「えっ?そんなに高いんですか?」

白崎「まぁ、実際は売り物ではなくて展示物なんだけどね」

ジュン?「展示物…」

薔薇水晶「」


巴?「えっ!?うそ…?」

ジュン?「どうした、柏葉」

巴?「雛苺…?」


雛苺「」プルプル


白崎(!!!!!)

雛苺「」フラフラ…

ジュン?「ホントだ!雛苺だ!!」

白崎「ひ、雛苺?二人とも何を言ってるんだい?」

白崎(雛苺――!!なんで荒ぶる鷹のポーズぅ?!しかも見つかりやすい場所じゃないか!!)

ジュン?「白崎さん、これは一体…」

白崎「そ、それは店の商品だよ。名前はえっと…そのぉ……」

雛苺「ヒナは雛孔雀っていうの」

白崎(おいぃぃぃぃぃ!!喋っちゃったよ!)

巴?「やっぱり雛苺だわ!」ヒョイ

雛苺「あっ」

ジュン?「意思を持ってる人形なんてローゼンメイデンくらいなもんだ」

ジュン?「なんで雛苺がここに居るんですか?」ジロッ

白崎「えっとね…、その雛苺は君たちの知ってる雛苺じゃなくてね?」

ジュン?「意味がわからない!」

ジュン?「雛苺は僕の家に居たんだ。返してもらいます。行こう、柏葉」

巴?「うん、桜田くん」

雛苺「えっ?えっ?このままジュンの家に帰ってもいいの?」

白崎「ダメに決まってるだろ!ここは別の世界樹なんだよ」

雛苺「別の世界樹って…!」

ジュン?「これは立派な窃盗です。また後ほど来ますから」

白崎「あぁ、ちょっと待って桜田くん!柏葉さんも!」

巴?「行こう。雛苺」

雛苺「うゅ…」


カラン!カラン!



白崎「ああ…」

白崎「………」

ジュン「………」

槐「………」

白崎「……」

白崎「まいったね、どうも」テヘペロ

ジュン「おい!ラプラス。説明しろ」

槐「白崎。こいつはなんだ?」

白崎「坊ちゃん待って!まず槐から」

槐「こいつは真紅のネジを巻いただけの少年だろ?」

白崎「いや、この桜田ジュンはローゼンを継承した方の桜田ジュンだ」

槐「こいつが…!?こいつがか!」

ジュン「次は僕だ!」

ジュン「この世界は僕の世界の世界樹とは別なのか?」

白崎「そうだよ。本来ローゼンメイデンは世界に一人だけ。しかしそれはその世界樹の中だけの話」

ジュン「そんな……こんな事そうそう起きるわけが…」

白崎「どんなに枝分かれしていても世界は世界。全は一。あるとするなら、他の世界の枝に絡まってしまったのかな?いやはや…」

薔薇水晶「急にnのフィールドが開いてあなたたちが来た…」

ジュン「偶然?本当に偶然か?」

白崎「僕を疑ってるならお門違いだよ。人の力でどうにかできる問題じゃないからね」

槐「話を聞く限りだとローゼンメイデンが一体増えた事になるな。そうなったらアリスゲームはどうなる?」

白崎「どうなるって…、普通に行われるけど」

ジュン「その前に世界樹はもう一人のローゼンメイデンを消去しようとする」

白崎「おや、正解。世界樹が気づいていない今がチャンスだよ」

ジュン「やっぱりか!それなら早く追いかけなきゃ!!」

ジュン「最後に一つ。お前は僕の世界のラプラスなのか?」

白崎「どの世界でも僕は『私』ですよ。坊ちゃん」


カラン!カラン!




ラプラスの魔「間に合うといいですね」

今日はここまで。レスどうもです。
続きは明日か明後日に投下します。

それでは投下します。

ややこしいから名前変更なのだわ。

ジュン?→JUM
巴?→トゥモエ

JUM「さっきまで僕の家に居たのにどうやってドールハウスに行ったんだ?」

雛苺「そ、それはnのフィールドを使ったのよ…」

トゥモエ「雛苺は桜田くんをびっくりさせたかったんじゃないかな?」

JUM「そうなのか?確かにビックリしたけどさ」

雛苺「そんな所なの…かな?」

JUMトゥモエ「「?」」



雛苺(別の世界樹ってことは…ここはヒナの知ってる第1世界じゃないってこと)

雛苺(別の第1世界。なら、このジュンとトモエはヒナの知ってる二人じゃないのね)

雛苺(しかもヒナ以外のヒナが存在する世界。少し信じられないけど…ローゼンメイデンが二人も存在する世界ってことなの?)

雛苺(でも、それってすごくまずいんじゃ…!)ハッ!


トゥモエ「雛苺?」

雛苺「うゅ?なぁに?トモエ」

トゥモエ「何か思いつめた顔をしてたから…」

雛苺「ちょっと気になる事があって…」


雛苺「ねぇ、ジュン。アリスゲームってまだやってるなの?」

JUM「はぁ?終わってないんじゃないか」

JUM「僕はそのアリスってのにもどうやってなるのかよく知らないけどな」

雛苺「脱落したドールはいないの?」

JUM「脱落って…壊れたら負けなんだっけ?たしかローザミスティカってのが関係してるんだよな」

雛苺(こっちのヒナも真紅から力をもらってるのかな?……待って!知らないドールがいたんだった)

雛苺「ねぇ、ジュン。今いるドールの名前を言ってみて」

JUM「雛苺…?さっきからなんか変だぞ?」

雛苺「お願い、ジュン」

JUM「……真紅、翠星石、蒼星石、あとカナなんとか、そして雛苺」

雛苺「5人…?他には?」

JUM「あと…脱落したかよくわからないけど」

雛苺「うん」

JUM「水銀燈は倒した」

雛苺「!!?」

雛苺「水銀燈を倒した!?」

JUM「お前も見てただろ。真紅が勝ったじゃないか」

雛苺「そんな……水銀燈…」

JUM「でも、ローザミスティカってのは出てきてなかったぞ。燃えて消えちゃったし」

雛苺「燃えた!!?」

JUM「だからお前も見てただろ。青い炎に包まれてるところとか」

雛苺「……」プルプル

雛苺「………他のドールは?」

JUM「その6人しか知らないよ。まだいるのか?」

雛苺「んーん、ありがとなの…」

JUM「変なの」

雛苺(水銀燈がリタイア…?でも、真紅はローザミスティカを取ってないみたいだし)

雛苺(蒼星石はリタイアしてない。第7ドールは別人)

雛苺(ヒナのいる世界とはずいぶん違うみたい)



JUM「雛苺、お前今日変だぞ」

雛苺「そ、そうかな?」

JUM「まぁいいや。そろそろ帰ろうぜ」

雛苺「帰る?………!!」

雛苺「ジュンの家にはヒナがいる!まずいの!!」

トゥモエ「雛苺?どうしたの?」

雛苺「あぅ……あの…あの……」


雛苺(どうしよう!どうしよう!何か…何か言わなきゃ………うぅ、もうこれしかないのっ!)

雛苺「じ、実はね。ヒナ、ドッペルゲンガーなの」

JUM「家に帰ったら苺大福あるぞ」

雛苺「わぁい!うにゅー大好きなのー!……じゃなくて!聞いてっ!」

JUM「はいはい。人形のドッペルゲンガーねぇ」

雛苺「ホント!本当なの!本当じゃないけど本当なの!」

JUM「どっちだよ」

雛苺「ヒナはジュンたちの知ってるヒナじゃない事はたしかなの!」

トゥモエ「だからドールハウスにいたの?」

雛苺「うん!うん!」

JUM「アホくさ。もし本当にドッペルゲンガーだったらどうなるんだよ」

雛苺「それは……片方のヒナが消えて………あっ!」ハッ!


雛苺(この世界にとってイレギュラーなのはヒナの方なんじゃ…!?)

雛苺(なら、消えるのはヒナなの…!)アワワワ…


JUM「消える?死んじゃうってことなのか?」

雛苺「うん…まぁ…そうなの……」ズーン…

JUM「いきなり落ち込むなよ。とりあえず早く帰ろう」

雛苺「待って!ドッペルゲンガーは例えが悪かったの!本当はヒナは別の世界から来たヒナであって…!」

トゥモエ「ふふ、雛苺が二人もいたら楽しそうね」

雛苺「トモエも信じてーー!!」ウワァァァン






「うふふ、本当に楽しそうねぇ。雛苺」


 

JUM「なっ!?この声は…水銀燈!」

水銀燈「はぁい。久しぶりね。真紅のミーディアム」

JUM「な、なんで?真紅に倒されたはずじゃ…」

水銀燈「あなたたちに復讐するために舞い戻ってきたのよぉ」

水銀燈「そんなわけで雛苺から倒してあげる」ギロッ!

トゥモエ「……っ!」

雛苺「あれが…この世界の水銀燈?」

水銀燈「……?なにかしら、この違和感は」

雛苺「なんか背が大きい。……あっ!目の色も違うの」

水銀燈「まぁいいわぁ。貴女のローザミスティカ……私にちょうだぁい!」バサッ!

雛苺「ジュン!トモエ!二人とも逃げて!」ピョン!

トゥモエ「雛苺!?」

JUM「おい!よせ!一人で敵う相手じゃないぞ」

水銀燈「そうよぉ。雛苺なんて簡単に壊しちゃうんだからぁ」

雛苺「確かにヒナはアリスゲームが嫌いよ。でもね、大切な人たちを守れない方がもっと嫌なの!」

雛苺「こっちのあなたの事は知らないけど…、相手になるわ!水銀燈!!」

水銀燈「生意気なのよ…!雛苺ぉ!!」

JUM「おい…、あれって本当に雛苺なのか?」

トゥモエ「それより雛苺が…!どうしよう、桜田くん!」

JUM「そうだった。真紅たちを呼ぼう!指輪に念じればよかったんだっけ?」

JUM「真紅……真紅来てくれ…!」キィィィィン




水銀燈「おばかさぁん!そんなもので防げるわけないじゃない!」ボゥ!

雛苺「青い炎…!確かに防げないの。なら…!」



水銀燈『いい?私の羽赫がこう攻撃するから斜め横に前進するように避けるのよ』

雛苺『前進?ちょっと怖いの…』

水銀燈『大丈夫よ。攻撃の先をよく見てれば読めるわぁ』



雛苺「前進して避ける!これを見切りと言うわ!」バッ!

水銀燈「うそ…?避けるなんて……」

雛苺「いちご轍の鱗赫なの!えーーいっ!!」シュルルッ!

水銀燈「きゃあっ!」

JUM「すごい!雛苺が押してるぞ」

トゥモエ「雛苺…、いつの間にこんなに強くなったの?」


水銀燈「なによ……なによ!なによっ!!」

水銀燈「雛苺のくせに生意気。生意気よっ!」バサァッ!!

雛苺「えっ?」

JUM「あれはっ!あの時と同じ…!」



羽のドラゴン1「ギャオオオオオ!!!!」ゴゴゴ…!

羽のドラゴン2「フシュゥゥゥゥ!!」グオォォォ!!



雛苺「なに…?あれ……」

水銀燈「こうなったらもう貴女はおしまいよぉ」

水銀燈「バイバーイ!雛苺」

羽のドラゴン「「グオオオオオオオ!!!!」」

雛苺「きゃああああ!!」






真紅「ローズテイル!!」

 

JUM「真紅!」

真紅「待たせたわね」

雛苺「真紅…なの?」

真紅「雛苺…?あなたさっきまで家に………いけないっ!ここから逃げて!」

雛苺「えっ!?」

真紅「早く!抑えきれな……ああっ!!」

羽のドラゴン「「ギュオオオオオ!!!!」」ゴォ!!



トゥモエ「いやあああああ!!」

JUM「真紅!雛苺!」

水銀燈「うふふ……あはははははっ!」

JUM「くっ…!水銀燈!」

水銀燈「雛苺だけじゃなくて真紅まで倒せたわぁ。最っ高の気分よぉ」

JUM「水銀燈!!」

水銀燈「なによぉ。あなたもジャンクになりたいわけ?」


真紅「待ちなさい!水銀燈」

雛苺「ジュンとトモエを傷つけたら許さないなの!」

水銀燈「チッ…!往生際が悪いわね」

JUM「真紅!雛苺!無事で良かった」ホッ…

真紅「えぇ、雛苺のおかげよ。避けられるルートを教えてくれたの」

水銀燈「雛苺…!さっきからウザイのよ」ギリッ…!

真紅「さあ、ここからは私一人で戦うわ。下がってなさい」

雛苺「でも…」

真紅「いくわよっ!水銀燈」

水銀燈「しぃぃんくぅぅぅぅ!!」



トゥモエ「雛苺ーー!!」ダキッ

雛苺「あっ、トモエ」

JUM「それにしてもよく避けられたな」

雛苺「うん、ヒナの大切な姉妹が避け方を教えてくれたの。それより、ジュン」

JUM「ん?」

雛苺「真紅大丈夫かな…」

JUM「わからない。でも、前の戦いみたいに力を送れば…!」

真紅「貴女が復活したのは知っていたけれど…、まさか雛苺を襲うなんて!」ガキン!

水銀燈「前はよくもやってくれたわねぇ!今度こそジャンクにしてあげる!」キンッ!



雛苺「羽で剣を造ったの!」

JUM「まずい!真紅ーー!!」パァァァ



水銀燈「あのミーディアム…!余計なことを……」ギリッ…

真紅「よそ見は禁物よ!」バキッ!

水銀燈「きゃっ!」



JUM「よし!押してるみたいだな」

雛苺「二人とも…、ヒナの知ってる二人よりも強いのね」


翠星石「ここですね!土手がnのフィールド化してるですぅ」

蒼星石「JUMくん、遅くなってごめん!」

雛苺「JUM!真紅は?………えっ?」

雛苺「あ」



雛苺「「ヒナ?」」雛苺


 

 
雛苺「「」」雛苺



翠星石「なっ?!ち、ちび苺が二人いるですぅ!!」

蒼星石「これは一体…?」

JUM「まさか本当にドッペルゲンガーだったのか!?」

トゥモエ「雛苺!?」

雛苺「トモエ!このヒナは誰なの?」



雛いちご「あ…ああ……待って」

雛いち「待って…!ヒナを消さないで…!」ズズ…!




真紅「な、何が起こってるというの…?」

水銀燈「違和感の正体はこれ…?」

雛い「あああっ……!!やめてっ!やめてっ!」シュルル…



雛苺「全身にいちご轍が巻き付いてる…!」

JUM「雛苺!これはどういう事だ!?」

雛苺「ヒナもよくわからないの…」

トゥモエ「なにこれ!?どうしてこんな…」

JUM「そういえば別の世界から来たとも言ってたぞ!」

真紅「それは本当なの?JUM」

JUM「あ、あぁ…」

水銀燈「まさか第7ドール?」

真紅「わからないわ。とにかくこれは異常事態よ。一時休戦としましょう」

水銀燈「……ふんっ」

翠星石「くっちゃべってる場合じゃねーですぅ!早く助けないと!」

蒼星石「でも、どうすればいいんだ…」



雛い「たすけて……たすけて…ジュン……」シュルルルル

JUM「くそっ!どうすれば……指輪の力でなんとか…!」

JUM「ダメだ!なにも起きない!」

雛苺「そうだわ!いちご轍をどければ………きゃあっ!?」バチッ!

トゥモエ「雛苺!大丈夫?」

雛苺「さ、触ろうとしたら電気みたいのが…」

蒼星石「くっ…!本当だ。庭師の鋏も届かない」バチッ! バチンッ!

雛「い、意識が…もう……」

真紅「あなた、しっかりしなさい!どうすれば……、どうしたらいいの!?」

ひな(あぁ…、雪華綺晶の時みたいな感覚なの。いいえ、それ以上の力…)ブワアッ!

真紅「なっ!?」

水銀燈「ちょっとぉ…、いちご轍のスピードが早くなってるわよぉ」

翠星石「翠星石の如雨露で水を与えまくって枯らすです!」バッ!

蒼星石「ダメ!時間が足りないよ!」

翠星石「そ、そんな…」


ひn「ジュ…ン……ジュ……」

JUM「くそぉっ!雛苺!!」




ジュン「諦めるな!!」


JUM「えっ!?…僕?!!」


 

続きはまた今夜。

レス嬉しい。再開します。

翠星石「ジ、JUMが二人いるですよ!?」

真紅「あぁ、これはどういう事?またラプラスの魔のイタズラなの?」


ジュン「雛苺、待たせてごめん」スゥ

ひな「ジュ…ン…」


雛苺「触れてるの!」

トゥモエ「いちご轍のスピードも落ちたわ!」

JUM「もう何がなんだか…」



蒼星石「なんだか…すごく懐かしい感じがする」

翠星石「そう言われると翠星石もそんな気が…」

水銀燈「……」プルプル

真紅「水銀燈?」

水銀燈「まさか……いいえ、…お父様?」

見分けられるように少し説明するかしら。

原作っぽい方の雛苺→消滅しかかってて名前がころころ変わる【雛、ひなとか】
アニメの世界っぽい方の雛苺→そのまま【雛苺】

ジュン(まずいな…。進行は止めたけど一時しのぎだ)

ひな「ジュン…、来てくれたのね」

ジュン「ああ」



真紅「お父様ですって?」

水銀燈「間違いないわ!この感じ…忘れたことがない!」

真紅「そんな訳が…」

翠星石「どっからどう見てもJUMにしか見えないですけど…」

蒼星石「でも、彼が特異な存在なのは確かみたいだよ」

翠星石「えっ?」



ジュン「もう大丈夫だ。雛苺」

ひな「う…ん…」

翠星石「抱っこしてるだけであっちのチビ苺が回復してきてるです!」

雛苺「あのJUMはお父様なの?」

真紅「本人に直接聞いた方が早いわね」


真紅「そっちのJUM!貴方は何者なの?」

ジュン「ごめん、今は詳しく話してる時間はないんだ」

真紅「そ、そう…」


翠星石「なぁに怖気づいてるですか!真紅らしくないですよ」

真紅「………」

翠星石「真紅…?」




ジュン(進行を止めながらnのフィールドを開きたいけど…、手一杯だ)

ジュン(まかなかった僕がいてくれたら…!)

JUM「そっちの雛苺大丈夫なのか?」

ジュン「そうだ!いるじゃん!」

JUM「えっ?」ビクッ

ジュン「異世界同位体っていうのかな?とにかく助かったよ」

JUM「なにが!?」

ジュン「なぁ僕。指輪をしてる手であの川に触っててくれないか?」

JUM「川…?なんで?」

ジュン「nのフィールドを開いて僕の世界と繋げる」

真紅「よくわからないけど…それは無理よ。静かな水面ならともかく…あんな川なんかで開けるはずないわ」

ジュン「僕ならできる。……だろ?」

JUM「……っ! わかった、やってみるよ。そうしないとその雛苺は助からないんだろ?」

ジュン「ああ」

真紅「JUM!?」

ジュン「真紅、あっちの僕の傍に居てくれ」

真紅「……わかったわ」

ジュン「翠星石もだ。力を貸してくれ」

翠星石「たしかにこの間契約しましたけど、まだあのちび人間を認めた訳では…」

ジュン「頼むよ」

翠星石「し、仕方ないですね」

ジュン「水銀燈」

水銀燈「な、なに…?」

ジュン「nのフィールドをもう少し狭めてくれ」

水銀燈「…少し時間がかかるわよ。それと新たにnのフィールドを開かないとダメなの?」

ジュン「ああ。このnのフィールドからじゃ帰れないんだ」

水銀燈「なんでそんな事がわかるのよ……やっぱりお父様なの?」


ジュン「蒼星石も手伝ってあげてくれないか」

蒼星石「JUMくんの頼みなら」

ジュン「それと…」スッ…

水銀燈「!?」ビクッ

ジュン「傷ができてる」

水銀燈「傷って……うそっ!傷も…衣装まで直ってる!」

蒼星石「!」




ジュン「雛苺、もうすぐだぞ」

ひな「ジュン…」

JUM「冷たい…っていうか痛くなってきた」

真紅「いくらミーディアムだからって普通の人間がnのフィールドを開ける訳がないのだわ」

JUM「いいや、できる。僕ならできる。できない事なんか何もないんだ!」

真紅「JUM…」

JUM「nのフィールドに入る感覚……nのフィールドに入る感覚……」ブツブツ

翠星石「あー、もぅ!そんなんじゃいつまで経っても開けないですよ!」

JUM「翠星石!?」

翠星石「もっとドールとミーディアムの心を一つにするです!翠星石も開くように協力するですから!」

JUM「ありがとう、翠星石」

翠星石「す、翠星石は当然の事をしているだけであって別に…!ほら、真紅もやるですよ!」スィドリーム

真紅「…わかったわ。いくわよ、JUM!ホーリエ!」

JUM「ああ!」




雛苺「大丈夫?」

ひな「まだ……体が…しびれてるの…」

トゥモエ「ありがとう。さっきのお礼が言えてなかったから」

ひな「無事で…よかったの…」

雛苺「トモエから聞いたわ。ヒナの代わりにトモエとJUMを守ってくれたのね」

ひな「あなたも……そうしたでしょ…?」

雛苺「ヒナは弱いから無理なの……アリスゲームもリタイアしちゃったし…」

ひな「ヒナもそうだよ…」

雛苺「えっ!?」

ひな「ヒナね…、ヒナは弱いからジュンやトモエを守れなかった。だからせめて一緒にいようとしたけど…それも叶わなかった」

ひな「でも、…起こしてあげることならできる」

雛苺「起こしてあげる…」

ひな「眠ったまま起きなかったらどうしよう…ってヒナは思うの…」

雛苺「……っ! うん!…うん!」コクコクッ!

ひな「大切な人達を…大切な毎日を守りたい。ずっと守っていけたらいいなって…」

ジュン「………」

トゥモエ「ヒナ…」ウルッ…

ひな「だからね、雛苺は…勇気を出すのよ…。後悔しないように…、自分に負けないように……」

ひな「もう…、何も出来ないのは嫌だから」

雛苺「ひ、ヒナも…ウグッ……ヒナもそうっ…思ってたなの…ヒック……グスッ…」

トゥモエ「ぐすっ……桜田くんお願い!雛苺を助けてあげてっ!」

ジュン「大丈夫だよ。みんながいる。それにあっちの僕も頑張ってるから」


JUM「僕ならできる!絶対に雛苺を助けるんだ!!」

翠星石「そのいきですぅ!」

真紅「いいから集中しなさい!」




蒼星石「終わったよ。JUMくん」

ジュン「お疲れさま。これだけ圧縮してるなら繋がりそうだけど…」

水銀燈「………」バサッ

ジュン「水銀燈もありがとな」

水銀燈「あなた」

ジュン「ん」

水銀燈「…なんでお父様の気配がするの?」

ジュン「それはローゼンに会ったら聞けよ」

水銀燈「そう…、もう一つ。………撫でて…」

ジュン「お前がそんなこと言うなんて珍しいな」ナデナデ

水銀燈「んぅ」

蒼星石「へぇ、あの水銀燈がされるがままなんてね。そうだJUMくん」

ジュン「どうした?蒼星石」

蒼星石「さっき水銀燈のパンツを撮影したんだ。君なら見るだろ?」

ジュン「えっ」

水銀燈「なぁっ!?蒼星石ぃ!!」

蒼星石「あははっ!追いかけっこかい?こっちだよー」ピュー

水銀燈「待ちなさぁい!!」



ジュン「随分性格が違うな。こっちはあんまり変わらないみたいだけど」チラッ

金糸雀「なっ!?バレたかしら!」

金糸雀「バレたなら仕方ないかしら!乙女番長金糸雀!華麗に参上かしらー」

ひな「あっ…金糸雀なの」

金糸雀「なっ!カナの名前覚えててくれたの?……こっちの雛苺は良い子かしらー!」

雛苺「ヒナだって覚えてたもん!神奈が……カナリア!」

金糸雀「もう突っ込まないかしら…」

金糸雀「それにしてもすごい状況ね。こんな事お父様でも予測できなかったんじゃないかしら?」

ジュン「かもな。まぁこっちのローゼンの事はよくわからないけど」

金糸雀「もしかして…、JUMはお父様に会ったの?」

ジュン「聞きたいのか?」

金糸雀「うーん…、やっぱりやめとく。なんか聞いてはいけない気がしてきたかしら」

ジュン「そうか」



JUM「あっ!指輪から糸が…」パァァ

JUM「おい!僕!なんか川が光りだしたぞ!」

真紅「うそ…、本当に通じるなんて…」

翠星石「これって本当にnのフィールドなんですか?」

雛苺「さすがJUMなのー!」



ジュン「さてと、もう夕飯の時刻だ。帰ろうか、雛苺」

ひな「うん」

ジュン「ありがとな。ほんと助かった」

JUM「ああ。なんかお前を見てたらこっちまで元気が出てきたよ」

ジュン「なんで?」

JUM「なんでって……僕もなんでもやれそうな気がしてきたんだ」

ジュン「ははっ!奇遇だな。僕もだ」

JUM「やっぱりそうか。さすが僕」


ひな「お騒がせしたの」

雛苺「んーん、ヒナもあなたを見習わなきゃって思ったわ」

ひな「大丈夫!雛苺は本当は強いんだもん。あなたならきっと大丈夫よ」

雛苺「うん!」



ジュン「それじゃあな」

ひな「バイバイなのー」


バッシャーーーン!!!!


 

 
――――nのフィールド


ジュン「えっと…、こっちかな?nのフィールドに入ってけっこう経つけど…」

ひな「あれ…?」ムズムズ

ジュン「どうした?」

ひない「お…お……!?」シュル…

ジュン「おっ!やっとか」

雛いち「あッ!…ああっ!」シュルシュルシュル

雛いちご「あッ!あ゛っ!あ゛ーーーッ!!」シュルルン! チュルン!

ジュン「おおっ!いちご轍が収納されてく」

雛苺「あんッ!」ゴックン!

雛苺「元気百倍!雛苺なのー!」ピカーン

ジュン「おー」パチパチパチ!

雛苺「どうも、どうもなの」ペコリ

雛苺「ジュン。ヒナが元に戻ったって事は元の世界に帰ってこれたの?」

ジュン「ああ。ここは僕たちの世界のnのフィールドだ」

雛苺「やっと戻ってこれたのね」

ジュン「さぁて、帰ろうぜ。姉ちゃんが怒ってるかも」

雛苺「あっ!夕ご飯に間に合わないの!……そういえば、ヒナ達はどのくらいあっちに行ってたの?」

ジュン「nのフィールド内だからそんなに時間は経ってないと思うけど」

雛苺「なら早く帰りましょ!ヒナお腹ペコペコなの」

ジュン「よし!今度こそ寄り道なしだ」

雛苺「うん!」




――――桜田家


翠星石「お前たち、どこ寄り道してたですか!翠星石のお味噌汁が冷めちゃったじゃないですかー!」プンスカ

ジュン 雛苺「「すみません…」」

真紅「まったく、よりにもよって異世界に言ってたなんて嘘をついて…。夕飯の時間をもう34分も過ぎてるのよ」

雛苺「ホントだもん…」

蒼星石「何か証拠になるものはないの?」

ジュン「証拠って…。こっちは必死だったからなぁ」

のり「お姉ちゃんはお話だけでも聞いてみたいなぁ」

真紅「そうね。話を聞くくらいはしてあげる。ほら、二人とも座りなさい」

ジュン 雛苺「「はい…」」

 
――――トロイメントの世界


真紅「あの二人はなんだったのかしら?」

翠星石「あの後nのフィールドに入っても姉妹の気配は感じられなかったですし…」

雛苺「きっともう一人のヒナがヒナに勇気を出させるために来たんだと思うの」

翠星石「えー、そうですかー?」

雛苺「絶対そうだもん!」プクー

金糸雀「うーん…、あれは恐らく異世界同位体じゃないかしら?普通、ローゼンメイデンにそれはありえないけど実際に起きた」

金糸雀「そして、あのJUM。あれはお父様に近い存在だったかしら」

JUM「ローゼンにか?でもなんでだ?」

金糸雀「わからない。わからないけどこれだけは言えるわ」

金糸雀「あっちの方がアリスゲームが進んでるって事と世界はカナ達にも把握できないほど未知で広がってるって事かしら」

JUM「ふーん…」

真紅「ところで、かな…カナブン?」

金糸雀「カナブン!?」

翠星石「違うですよ。神奈川ですよね。そういえば、水銀燈と蒼星石はどこに行ったです?」

金糸雀「神奈川でもないかしら!二人はたしか…」

トゥモエ「この道の先に行ったわ。ね、カナカナちゃん」

金糸雀「あっ!近くなったかしら」

雛苺「えっとぉ……忘れたの!」

金糸雀「さっきの雛苺カムバーーックかしらー!!」

JUM「冗談だって、金糸雀。それだけみんなに愛されてる証拠じゃないか」

金糸雀「こんな愛され方嫌かしらぁ…」

今日はここまで。
読んでくれてありがとです。

少し投下します。

真紅「それで金糸雀。仮に別の私達がいるとして…、なぜそっちのアリスゲームが進んでいるとわかるの?」

金糸雀「仮説の域を出ないけど、あのJUMはお父様から何らかの影響を受けているわ」

JUM「それは僕もこれからローゼンに会うってことか?」

金糸雀「それはどうかしら?こっちとは全然違う世界かもしれないし」

雛苺「でも、お父様が姿を見せるのはアリスが誕生する時だけなのよ」

金糸雀「そう。そこが問題かしら」

翠星石「あのJUMがお父様に会ったならアリスも誕生した後かもって事です?」

金糸雀「そうかしら」

真紅「それだと進んでるっていうよりアリスゲームが終わった世界って事になるわよ?」

JUM「あっ!そういえば、さっきの雛苺がアリスゲームはまだやってるのかって聞いてきたぞ」

トゥモエ「確かに言ってたわ」

金糸雀「アリスゲームが終わってる…。なら生き残ってるドールは雛苺だけって事になるかしら」

翠星石「はぁ!?じゃあ、このちびちびがアリスってことですか?」

雛苺「それはないと思うの」

雛苺「あっちのヒナもアリスゲームをリタイアしたと言っていたわ」

翠星石「それだとおかしくないですか?アリスゲームが終わったのにちび苺はまだ動いてる事になるですよ」

真紅「わからないわね。どういう事なのかしら?」

金糸雀「さあ…?」

翠星石「さあって…。話をしといて無責任ですね」

金糸雀「だってわからないんだもん…。すべてが終わったらみんな復活するとか?」

翠星石「すっごく魅力的ですけどルール的にそれはありえねーですぅ…」


真紅「アリスゲームが終わってるのなら、せめて第7ドールの事を聞いておけばよかったわね」

金糸雀「いいえ、聞かない方が良かったかしら。私達には私達のアリスゲームがあるのだから」

翠星石「いいこと言ってるようですけどなぁんか釈然としませんねぇ」

金糸雀「と、とにかく!カナ達の戦いはこれからかしら!」

雛苺「そうなの!ご愛読ありがとうございましたなのよー」

JUM「それだとこれで終わりみたいに聞こえるぞ」

トゥモエ「うふふ、雛苺ったら」

真紅「やれやれなのだわ」

補足
アニメでは薔薇水晶は名乗りをあげてますが、
このSSでは水晶で攻撃しただけで姿は見せていないという感じです。

 
――――まいた世界・桜田家


真紅「やっぱり信じられないのだわ」

雛苺「ホントだもーん。ねー、ベリーベル」

ベリーベル「」コクコクッ!

蒼星石「ベリーベルの記憶を見る限りだと本当みたいだね。それにしても、その世界の僕って…」

翠星石「でもよく帰ってこれたですね。世界に消されそうになったんですよね?」

雛苺「あっちのみんなが助けてくれたおかげなの。それに……」

雛苺「ジュンが王子サマみたいに助けてくれたのよ。カッコよかったわ」ぽっ♡

翠星石「それなら翠星石だってジュンに助けてもらった事あるです!目を縫われた時に…」

のり「ああ、これよね。ジュンくんカッコよかったわぁ」つ写真

ジュン「なんで写真なんて持ってるんだよ!?どうやって撮ったんだ!なんで姉ちゃんが持ってるんだよ!」

のり「うさぎの人からもらったのよぅ。いっぱい印刷しちゃった」ウットリ

ジュン「なんなんだ…?…何やってるんだ…あのうさぎは……」


翠星石「のり、一枚もらっていいですか?」

のり「じゃんじゃん貰ってって!」ウフフ

真紅「私も一枚もらおうかしら?」

ジュン「お前ら…」

雛苺「さぁて、お風呂に入るの。ジュン、一緒に入りましょ!」

ジュン「まぁいいけど」

翠星石「!!」

雛苺「あっ!そうだ。翠星石も一緒に入ろうよー」

翠星石「ち、ちび苺!お前は正気ですか!?乙女の恥じらいとか全部その世界に投げ捨ててきたですか!」

ジュン「ドールだし一緒に入っても問題ないだろ」

翠星石「ちび人間は黙ってろです!」

雛苺「えっ?ヒナは今日助けてもらったお礼にお背中流そうかと思って…」

雛苺「それにヒナだけじゃ悪いと思って翠星石もどうかなって思ったの」

翠星石「よ、余計なお世話ですぅ!」

ジュン「なんだよ? 苺、行こうぜ」

雛苺「あいあいさー、なの」




翠星石「くうぅ…」

蒼星石「一緒に入らなくてよかったの?」

翠星石「蒼星石までそんな事言うですかぁ~~…」

蒼星石「まったく、君は素直じゃないなぁ」

のり「そうそう、ヒナちゃん達が入るならこのボタンを押さないとね」ポチッとな



ウィー、ガチャン!
ガチャガチャン!!ガシャン!!!プシュー……



ジュン「今何した!?」

のり「えっ?ヒナちゃん達の足が届くように腰湯モードにしたのよ」

ジュン「そんな機能いつの間に!?」

のり「金髪の外人さんが『いつも娘達がお世話になってる』って言ってお風呂場を改造してくれたのよぅ」

ジュン「それって…」

真紅「お父様……」

雛苺「さすがお父様なの!さ、早く入りましょ」

雛苺「ババンババンバンバ~ン♪ババンババンバンバ~ン♪」ノンノン!

雛苺「うぃー、極楽なのー」

ジュン「なんか酔っ払いみたいだな」

雛苺「だって本当に気持ちいいんだもん」

ジュン「そういえば風呂に入るのなんて初めてじゃないか?」

雛苺「えっ?ヒナはのりとよく入ってたけど」

ジュン「入ってたのかよ!」


雛苺「それじゃあ、ジュンの背中洗ってあげるね!」

ジュン「はいはい、お願いな」

雛苺「ジュン、今日はお疲れ様!かっこよかったわ」ゴシゴシ

ジュン「おっ!けっこううまいじゃん」

雛苺「えへへー、のりにも褒められたんだから」

ジュン「ふぅ…、今日かぁ。大冒険だったな」

雛苺「うん、すごかったの。それにとっても疲れたわ…」

雛苺「お風呂で今日の疲れを取っちゃうのよ」






ジュン「で、風呂から出たら今度は僕の番かよ」

雛苺「だってジュンの櫛気持ちいいんだもん」

雛苺「ジュンが髪を触ってくれるとすぐ渇くから楽チンなのよ」サッパリ!

ジュン「ローゼンの力をドライヤー代わりに使うとか…能力の無駄遣いじゃないか?」

雛苺「いいんだもん。だってドール以外に使う機会ないでしょ?」

ジュン「まぁそうだけど」


翠星石「……」モジモジ


雛苺「!」

雛苺「はい!ヒナの番は終わり。次は翠星石にしてあげて」

ジュン「んっ、そうだな。翠星石こっち来いよ」

翠星石「…違うです。今日はそんな大変な事になってたなんて知らなくて…怒ってしまったから……その…」ボソボソ…

蒼星石「ジュンくん、翠星石が肩叩きしてくれるって」

翠星石「ちょっと蒼星石!言うんじゃねぇですぅ!」

ジュン「へぇ、珍しいな。じゃあ頼もうかな」

翠星石「勘違いするなです!これが終わったら翠星石の髪もちゃんと梳きやがれですぅ!その後は蒼星石。最後は真紅ですよ」

真紅「なんで私が最後なのよ」

翠星石「今日はお疲れ様です」トントン モミモミ

ジュン「うん、ホント疲れたよ。明日が学校だと思うと憂鬱だなぁ」

翠星石「そうですか。それなら翠星石のスペシャルマッサージを喰らうです!凝った筋肉ともこれでおさらばですぅ」メメタァ!!

ジュン「いだだだだだっ!!痛いって!さっきの方が気持ちいいから!」

翠星石「えっ?そうです?ならこれでどうです?」もみもみ

ジュン「あぁ、それそれ。うまいじゃん」

翠星石「もっと褒めやがれですぅ。翠星石は褒められると伸びる子なんですよ」エヘヘー

ジュン「はいはい、上手上手」

翠星石「なんですかそれ!ちゃんと褒めやがれです!」ムキー!



雛苺「うふふ」

真紅「雛苺、あなた母親みたいな顔をしてるわよ」

雛苺「のりみたいなお顔なの?」

真紅「そんな顔ね」

雛苺「だって微笑ましいんだもの」

蒼星石「たしかにね」


雛苺「ふぅ、今日はとっても疲れたからヒナはもう眠るわ。おやすみー」

真紅「えぇ、おやすみ」

蒼星石「また明日」




雛苺(そっか。明日は月曜日。学校なの)

 
――――桜中学校


ジュン「あ゛ー…、だるぅ…」

ジュン「眠いし筋肉痛…はないな。翠星石のマッサージが効いたのかな」

ジュン「くぁぁ~っ……、ふぅ、ねむ…」


「おー、桜田。おは…よ……」

ジュン「あぁ、おはよう」

「桜田くん、おはよー……!?」

ジュン「おはよう……ってそんな顔してどうしたんだ?」

「だ、だって…桜田くんの頭の上に……」

ジュン「えっ?」



雛苺「みんなおはようなのー」




ジュン「」

今日はここまで。
まだ前編なのでもうちっとだけ続くんじゃよ。

今さらですが。

>>19
×→野積「この…、人形のくせにぃぃ~~…」
○→穂積「この…、人形のくせにぃぃ~~…」


野積って誰だよ…。名前間違えるとかやっちゃダメだよ。

それでは投下していきます。

ジュン「」


「な、なんだこれ…?人形?」

雛苺「ヒナはジュンのしゅごキャラなのよー」

「しゅごキャラって…。桜田ってこうなりたいの?」

雛苺「どちらかというと守護霊的な感じなのよ。ジュンを守ってるの」

「かわいいー!桜田くん、この子撫でてもいい?」

ジュン「」


ざわざわ! わいわい!




巴「おはよう。……?何かあったの?」

由奈「桜田くんがしゅごキャラを連れてきたって話だけど」

巴「しゅごキャラ…?」チラッ



ジュン「」

雛苺「えー、桜田ジュンをこれからもよろしくー。よろしくお願いしますなの」ペコリペコリ

「きゃー!すっごく可愛い!写メ写メ!」イソイソ




巴「」

巴「雛苺!?」

由奈「柏葉さんはあの大きなしゅごキャラ知ってるの?……かわいいね!」キュンキュン

巴「知ってるっていうか……そういえば桜田くんは?」



ジュン「」



巴「お、起こさなきゃ…!」タタッ…!

梅岡「ホームルームはじめるぞー。席についてー」ガラッ

巴「あっ!」

梅岡「んっ? 桜田。その頭に乗ってるのは一体…?」

雛苺「先生、いつもジュンがお世話になっていますなの」ペコリ

梅岡「あ、これはご丁寧にどうも」ペコリ

雛苺「実はジュンの学校での様子が気になって」

梅岡「ご家族の方でしたか」

雛苺「えっと守護霊みたいなものなの」

梅岡「守護霊…?あぁ、うし○ととらのとらみたいなものかな?確かに乗り方が同じだ」

雛苺「ヒナはピ○チュウの方がいいなぁ」

梅岡「そっちでしたか」

雛苺 梅岡「「あっはっはっは!」」



ジュン「……」

巴「桜田くんにとっては地獄ね…」



雛苺「ジュン、ヒナそろそろ戻るの。放課後になったらまた来るね」

ジュン「えっ!?また…?」

雛苺「トモエが部活してる所を見たいのよ。いいよね、トモエ」

巴「うん、たぶん…」

雛苺「いくのよ、ベリーベル!それじゃあまたね」ピカッ!


巴「雛苺!?」

由奈「消えちゃった…」




このあと一週間ほどジュンは『キャラ持ち』、『ドールマスター』と呼ばれるようになりますが、
しばらくしたら言われなくなりました。

 
放課後――――


ジュン「雛苺ぉぉぉぉぉ!!!!!」ドドドド…!!

雛苺「ぴゃああああ!!」タタタタッ…!

ジュン「お前どういうつもりだ!!僕が不登校になった理由は知ってるだろ!」

雛苺「知ってるの。真紅にも言われてビンタいっぱいされたのよ…」

ジュン「当たり前だ!!」

雛苺「うぅ…」

巴「待って、桜田くん。雛苺にも何か考えがあるんだと思う」

ジュン「考えって…。また僕を不登校にさせるとかか?」

雛苺「違うわ!ヒナね、どうしても見たかったの。ジュンが学校で楽しくやっているか見たかった」

雛苺「ジュンの辛い時を見てきたから……どうしても幸せなジュンを見たかったの!」

ジュン「………」デコピン!

雛苺「あいてっ」

ジュン「お前なぁ…気づいてなかったのか」ハァ…

雛苺「うゅ?」スリスリ

ジュン「お前たちのおかげで……僕はあの頃からずっと楽しかったんだぞ」

雛苺「っ! ジ、ジュン…」うるっ

ジュン「い、言わせんなよな!恥ずかしいなぁ…」

雛苺「ジューン!!」ピョン!

ジュン「おっとっと」

巴「うふふ」



由奈「あの…桜田くん」

ジュン「く、桑田さん……なに?」

由奈「あの……実は私…しゅごキャラ!大好きで…」

ジュン「えっ?」

由奈「大きなしゅごキャラちゃんとお話したいなぁって……///」

ジュン「あぁ、そういう……」

巴「雛苺、いい?」

雛苺「うん!」


雛苺「こんにちは」ニコッ

由奈「わぁあ」キラキラ

『いいなー。桜田くんの守護霊かわいいなー』

『桜田を守ってるって言ってたよな。今も見えないだけで近くにいるのか?』ウキウキ

『あれってもしかして伝説の人形なんじゃ…?』

『本人もしゅごキャラって言ってたじゃん!絶対しゅごキャラだよ!』

『全然桜田に似てないし、そもそも性別も違うんじゃ…』

『なら桜田くんって女の子?』

『なん…だと…!?』ゴクリッ…!


ざわざわ!




雛苺「由奈も一緒に巴の剣道応援しましょ!」

由奈「うん!」



ジュン「なんて言うか……桑田さんもうちのクラスの奴らも順応早いというか何て言うか…」

巴「みんな良い人たちだよね。(……なんかさっきすごい事言ってたけど…)」

ジュン「まぁ一年の頃のクラスよりはマシだけどな」

巴「もぅ…。そんな事言って」

ジュン「もう部活の時間だろ?早く行けよ」

巴「桜田くんも見学するの?」

ジュン「まぁな」

巴「そう。…行ってくるね!」

ジュン「? あぁ、また後でな」

巴「キヤアァーーーーー!!!!!」

スパァン!!!!

「きゃあっ!!」

「胴あり!それまで!」


巴「ふぅ」パサッ




雛苺「ふおおおっっ!!トモエカッコイイのーーー!!」

ジュン「すごっ…!昔と迫力が全然違う」

雛苺「すごい!すごーい!」

由奈「柏葉さんってあんなに強かったんだ…。知らなかった」

ジュン「あいつ小さい頃から親父さんに剣道習ってたからなぁ」

由奈「桜田くんって柏葉さんの事詳しいんだね」

ジュン「小さい頃によく遊んでただけでそんなに詳しい訳じゃ…」

由奈「ねぇ、桜田くん。私の事怒ってる?」

ジュン「えっ?」

ジュン「怒ってるって…、なにが……」

由奈「一年生の時の文化祭の出し物」

ジュン「…!」ギクッ

雛苺「!」

由奈「ずっと思ってたの。もしあの時私があっけらかんとしてたら桜田くんは学校を休まなくてもよかったんじゃないかって…」

ジュン「そ…んなの……。わかるもんか…」

ジュン「それにあれは誰が悪いとか言えないし…」

由奈「そうなのかな…」

ジュン「僕も勝手に桑田さんをモデルに描いちゃったし…、梅岡先生だって……」

ジュン「……全部、先生が悪いな」

由奈「全部先生が悪いの!?」

ジュン「あの公開処刑はおかしいって!あとで謝られたけど思い出したらムカムカしてきた!」

由奈「あはは、確かにそうかも。………桜田くん」

ジュン「……なに?」

由奈「あの時は…ごめんね」

ジュン「もういいよ。それより柏葉の練習を見ようよ」

雛苺「ジュンも由奈も仲直りできて良かったの。でも、今はトモエの剣道に集中しましょ!」

由奈「うん!」

ジュン「だな」



巴「キアァァーー!!!」

巴「面ェェン!!!!」


「面あり!それまで!」


巴「はぁ…はぁ……」


「今日の柏葉さんはすごい気迫ね」

「うん!私たちも負けてられないよ」



雛苺「トモエ!あいとあいとー!!」

ジュン「ホントすごいな。メッチャ速い」

由奈「小手とか目で追えない…」



巴「ヤアァァァ!!!」


――――――――――――
――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――



雛苺「トモエすごかったの。剣道ってあんなに激しいのね」

巴「うん。それと応援ありがとね」

雛苺「えへへー」

ジュン「あんなすごかったなんてなぁ」

巴「ところで桜田くん。桑田さんと何話してたの?」

ジュン「大した話じゃないよ」

巴「………」

雛苺「由奈がジュンにごめんなさいして、ジュンは梅岡先生に怒ってたのよ」

巴「それって一年生の時の話?」

ジュン「もうけっこう経ってるのに律儀だよなぁ」

巴「それだけ気にしてたんだと思う。私もそうだもの…」

ジュン「………」

雛苺「ふっふふーん♪」

ジュン「ところで雛苺。まさかお前明日も学校来るとか言わないよな?」

雛苺「な、なんでわかったの?」ギクッ

ジュン「その様子を見てたらわかるよ。絶対ダメだからな」

雛苺「えー…、どこでも雛苺なのにぃ…」

ジュン「タイトルコールやめろ」

雛苺「トモエもヒナに学校来て欲しいよね?」

巴「うーん…、私も来ない方がいいと思う」

雛苺「トモエ!?」

雛苺「トモエもジュンと同じこと言うのね…」

巴「うん。私達の学校は私達の年齢の子供しか通えないの」

雛苺「そうなの?先生は別だってことはわかるけど…」

巴「のりさんは私達の学校に来てないでしょ?」

雛苺「あっ!ホントだ!」

ジュン(それで納得するのかよ!)

巴「だから雛苺も学校以外の所で桜田くんに登ろうね」

ジュン「ちょっ」

雛苺「うん!そうする。どこでもジュンのぼりなのよー」

ジュン「まだするのかよ!?」


雛苺「するよ!だって、ここはヒナの特等席なの!」

ジュン「もう僕登りは卒業してくれ…」


つづく
 

 
おまけ『ハロウィンパーティー』


金糸雀「トリックオアトリートかしら!お菓子をくれなきゃイタズラしちゃうかしらー」


雛苺『お母様!死なないでーー!!』

水銀燈『雛苺……私はもう満足したわ…』


真紅『くんくん君…キスを』

金糸雀『あぁ……真紅ぅ…やめてぇ…』うるうるっ



みっちゃん「ドールズのこんな一面を見られるなんて…」ウフフ

金糸雀「あの……みっちゃん。それは…?」

みっちゃん「あっ!カナ!魔女っ子衣装かわいいいいいい」イヤーン♡

金糸雀「まさちゅーせっちゅかしらー」キャー♡

みっちゃん「ふぅ…、カナのお肌はいつもスベスベスキンね」

金糸雀「あの…、みっちゃん。そのテレビの映像は何かしら?」

みっちゃん「これ?これはこの間カメラで撮ったの」

金糸雀「みっちゃん料理してたはずじゃ…」

みっちゃん「あんなレアシーン撮っとかなきゃドールマニアの名折れだもん」

みっちゃん「3カメで撮っちゃった」

金糸雀「3カメ!?」

みっちゃん「そう。カナと真紅ちゃん。雛苺ちゃんと銀ちゃん。そして両方の映像で3カメよ」

金糸雀「あの一瞬でジュンにも…カナ達にも気づかれずやってのけるなんて」

金糸雀「みっちゃんの撮影能力は魔法のようかしら!」

みっちゃん「それでなんだっけ?トリックオアトリート?」

金糸雀「あっ、そうかしら。お菓子をくれないとイタズラしちゃうのかしらー」

みっちゃん「お菓子はあげる。だけどイタズラもしてもらいたい」

金糸雀「え」

みっちゃん「冗談だよ。そうそう、とっておきのお菓子を用意したの」

金糸雀「びっくりしたかしら」

みっちゃん「あれ?そういえば銀ちゃんは?」

金糸雀「水銀燈はめぐのところかしら…」

みっちゃん「あぁ、そっか…。銀ちゃん……」

金糸雀「………」

みっちゃん「………」

みっちゃん「……よし!」

金糸雀「みっちゃん?」

みっちゃん「私たちが落ち込んでたら銀ちゃんがもっと落ち込んじゃうよ」

みっちゃん「今日はすっごいご馳走作ったんだから。楽しいハロウィンパーティーにしましょ!」

金糸雀「うん!」

みっちゃん「それにしても可愛いわぁ。ちょっと露出度高いけどそれがすごくいい!」

みっちゃん「少し大人っぽいイメージのカナ…カナ……」ハァハァ

金糸雀「みっちゃん?なにか目が怖いかしら」

みっちゃん「どうしよっかな。お菓子あげる代わりにイタズラしちゃおっかな」

金糸雀「みっちゃんがイタズラするの!?」

みっちゃん「どうしよっ。もうガマンできそうにないかも」


水銀燈「いいからお菓子だけちょうだいよ」バサッ


金糸雀「あっ、水銀燈おかえり」

みっちゃん「ぎ、銀ちゃんその格好…」

水銀燈「せっかくだからね。お菓子のためだし着てあげたのよ」

金糸雀「カナとお揃いだったのね」

水銀燈「不本意だけどね」


みっちゃん「………」プルプル

金糸雀「みっちゃん?」

水銀燈「ちょっとぉ、どうしたのよ」

みっちゃん「すっごくかわいいーーー!!!!」ガバッ!

みっちゃん「別々の衣装にしようと思ったけど姉妹ペアルック可愛すぎるわ!!」スリスリスリスリ!!

金糸雀「またまさちゅーせっちゅかしらー!」

水銀燈「熱っ!みつ!やめなさい」


水銀燈『私の可愛い娘…雛苺。ずっと愛していたわ……』

雛苺『お母様―――!!』


水銀燈「ちょっと!なによこれ!いつの間に…」

みっちゃん「魔女っ子にして大正解!銀ちゃんもセクシーでよく似合ってるわよぉー!」

みっちゃん「魔女っ子カナも魔女っ子銀ちゃんもホントにホントに可愛いすぎぃ!!」ギューッ!

水銀燈「いいから話を聞きな……きゃああっ!」

金糸雀「今日はいつにも増して激しいかしらああああ!!」

みっちゃん「W抱っこ!はあぁああーん、幸せぇぇぇ!!超激萌えキュンキュンよおおお!!」スリスリスリスリ!!!!



翠星石「お菓子をもらいに来たらとんでもない事になってるです…」【キョンシー】

蒼星石「お菓子どころじゃないね」【オオカミ人間】

雛苺「出てったらダメなの?」【ドラキュラ】

真紅「危険なのだわ。もう少し待ちましょう」【ブルーレイ子】




草笛家の賑やかな夜はまだまだ続いたのでした。


おまけ『ハロウィンパーティー』

おわり
 

今日はここまで。
レス、コメントどうもです。
続きは来月に投下します。

おつ
まかなかった世界の話も是非

>>131
オッケーです。
それでは後編を投下します。

 
――――まかなかった世界・大ジュンの部屋


大ジュン「今日は日曜日で大学休みだしバイトのシフトは入ってないし」

大ジュン「企業説明会も劇団の仕事もないし久しぶりに暇だな」

大ジュン「ごろごろするか」チラッ

雪華綺晶「」

大ジュン「話し相手がいればいくらかマシなんだけどな」


ジュン「その願い聞き入れた!」ガラッ!

雛苺「れたー!」


大ジュン「うおあっ!?」ビクッ



雪華綺晶「」






後編『雪華綺晶といっしょ』




 

大ジュン「び、びっくりした…。おい、僕!来る時はメールしろってあれほど言っただろ」

ジュン「ごめんごめん。今日は思い立ってすぐ来ちゃったんだよ」

雛苺「急だったのよ。ごめんね、おっきなジュン」

大ジュン「急って…。メールくらいできるだろ…」

ジュン「そう言うなって。実は進路の事で相談したくてさ。あっ、僕はアールグレイで」

雛苺「ヒナはストロベリーティーがいいの!ローゼンメイデン展に売ってるような紅茶よ」

大ジュン「遠慮がない!?」ガビーン

ジュン「たまにはいいじゃん。小さなお茶会ってことでさ」

ジュン「なぁ、雪華綺晶」ふわっ


雪華綺晶「」

雪華綺晶「……ん。ふぁぁ……」

雪華綺晶「そうですね。たまにはいいと思います」


大ジュン「雪華綺晶!」

雪華綺晶「お久しぶりです、マスター。雛苺もジュン様もおはようございます」



ジュン「じゃあお茶会を始めようか」

 
お茶会中―――……


雪華綺晶「もうひとつの第1世界…ですか?」

ジュン「ああ。まさかあんな世界があったなんてな」

大ジュン「また別の僕やローゼンメイデンたちがいる世界ってことだろ。たしか真紅がパラレルワールドはいっぱいあるって言ってたぞ」

雛苺「たしかにこの世界には何千何万って世界があるけど、そのどこでもない世界だったの」

雪華綺晶「ちなみに、わたくしのフィールドは第42951世界でした」

大ジュン「あの水晶の城があった世界か!あんなのが何万もあるのか…」

ジュン「大体は過去の情景を映す世界ばかりだけどな。僕たちが行ったのはそれとは次元が違う世界だった」

雪華綺晶「別の世界樹があるってだけで驚きですのに…」

大ジュン「もう訳がわからないんだけど…」

ジュン「話を戻すぞ。さっき別のローゼンメイデンって言ったけど、薔薇乙女が複数いるのはありえないんだ」

大ジュン「それって…!」

ジュン「ローゼンメイデンはどこにもいるしどこにもいない。それなのに2人目が現れてしまったら…」

大ジュン「世界は一方を選ぼうとする…だっけ。レプリカの真紅が壊れたように」

ジュン「そう。今回は世界が気づくのが遅くて助かったけど」

雪華綺晶「ベリーベルの記憶を見ましたけど……本当に冷や冷やしましたよ」

雛苺「危機一髪だったの」

大ジュン「もう大丈夫なのか?その……なんていうか…世界は正常に戻った的な」

ジュン「それなんだけど、僕たちがあの世界に行った事でドールズに何か影響が出るんじゃないかと心配でさ」

雪華綺晶「薔薇水晶さん…ですよね。たしかに私に似てましたけど…。わたくしって存在していなかったのでしょうか?」

ジュン「あの子からはローザミスティカを感じなかったから人形店の槐って人が造ったんだと思う」

ジュン「だから薔薇水晶とは別に雪華綺晶がいると思うんだけど」

雛苺「でも、薔薇水晶は第7ドールって名乗ってたのよ」

雪華綺晶「うーん…、わかりませんね」


ジュン「まぁこんなとこだよ。一応伝えた方がいいと思ったんだ」

雪華綺晶「そうだったのですか。ありがとうございます。別のお姉様方を見る事ができて楽しかったですわ」

大ジュン「この話をするために来てくれたのか。ありがとな。僕たちも用心しとくよ」

雛苺「それで、今から本題を話すの」

大ジュン「まだ本題じゃなかったのかよ!」

雛苺「――――…って感じで『どこでも雛苺』が炸裂したのよ!」

大ジュン「………」

雪華綺晶「わぁあ」キラキラ

ジュン「僕のクラスの奴らが能天気で助かったよ。下手したらまた不登校になるかと…」

大ジュン「僕……」

ジュン「ん」

大ジュン「本当にお疲れ様…」

ジュン「…あぁ」


雛苺「なんでおっきなジュンはやつれてるなの?」

大ジュン「そりゃやつれるだろ!聞いてるだけで吐きそうになったわ!」

雪華綺晶「でも守護霊って面白いですね。そんな見守り方があったなんて…」ジー

大ジュン「おいやめろ。それにもうアストラルじゃないんだから無理だろ」

雪華綺晶「そうでした」シュン…

雛苺「実際にやってみるね。これがどこでも雛苺なの。合体!」ヨジヨジ

ジュン「………」

雛苺「シャキーーン!!」

雪華綺晶「!!」

雛苺「ジャジャーーン!」

ジュン「………」

大ジュン「これってただの僕登りなんじゃ…?」

雪華綺晶「マスター!マスター!きらきもあれやりたい!」

大ジュン「えっ!?」

雪華綺晶「マスターのぼり!マスターのぼり!」ピョン!ピョン!

大ジュン「まぁいいか。ほらっ」

雪華綺晶「わぁい!たっかーーい!!スリル満点ですわ!」キャッキャッ

雛苺「た、高いの」

雪華綺晶「桃薔薇のお姉様を超えました!すごいです!」

雛苺「ジュン!こっちも負けてられないわ!マエストロパワー全開なの!!」ぐいっ

ジュン「マエストロパワーってなんだよ…。いたたっ、髪を引っ張るなって!」

雛苺「とりかえっこなの!これが170cmオーバーの景色なのね」フォォォ!

ジュン「170cm超えてなくて悪かったな」

雪華綺晶「大丈夫。小さいものには小さいものの良さがあるんです」

ジュン「嬉しくない…」

雛苺「スリル満点でドキドキなのー!」

大ジュン「ははっ、落ちるなよ」

雛苺「わぁい!発進なのー」



雪華綺晶「ジュン様の髪の毛はふわふわしていますね」

ジュン「えっ?やっぱり染めると髪が痛むのか?」

雪華綺晶「マスターの髪の毛も心地良いですよ。でも、ジュン様のぼりはマスターのぼりとは別というか」

ジュン「同じ僕なのに?」

雪華綺晶「なんていうか……ジュン様のはお父様に肩車してもらってるような安心感があります」

ジュン「そうかな?」

雪華綺晶「なんだか眠くなってきましたわ……ぐー…」zzZ

ジュン「おい、寝るなよ」

ジュン「へぇ、そういう企業を受けてるのか」

大ジュン「うん、あと地元の説明会にも参加してるんだ」

ジュン「なんで?地元で就職するのか?」

大ジュン「それも考えてる。気になる企業は受けておきたいからさ」

ジュン「Uターン就職ってやつか。たしかに実家の方が楽かもね。僕も家から近い高校受けようと思ってるし」

大ジュン「高校受験かぁ。僕は経験してないからアドバイスできないけど…」

ジュン「いや、大検の勉強方法を聞けただけでも参考になったよ」

大ジュン「それならいいけど。それで、近くの高校受けるのは真紅たちのためか?」

ジュン「そういうわけじゃないけど…。知り合いも多く行くし、学力的にも妥当かなって思って」

大ジュン「桜高校だろ?姉ちゃんと一緒の高校か」チラッ

ジュン「まぁね。それ自体はいいんだけど…」チラッ



雛苺「きらき♪きらき♪」アハハハ…

雪華綺晶「お姉様♪お姉様♪」ウフフフ…



ジュン「手を繋いで踊ってる…」

大ジュン「なんかハイジとクララみたいだ」

大ジュン「楽しそうだな」

雛苺「だって久しぶりに雪華綺晶と遊べるんだもん」ネー

雪華綺晶「はい!とっても楽しいです」ネー

ジュン「来て良かったよ。今度は真紅たちも連れて来ようかな」

雪華綺晶「まぁ!是非お願いします」

大ジュン「さてと、二人共まだ居るよな。ちょっと紅茶とお菓子のおかわり持ってくる」



雪華綺晶「……」

雪華綺晶「ジュン様、ジュン様」クィックィッ

ジュン「んっ、どうした?雪華綺晶」

雪華綺晶「お願いがあるのですが…聞いてくれますか?」







翌朝―――…


大ジュン「ふわぁ…、ねむっ。えっと、月曜日の講義は……今日は2限だけだったな」

大ジュン「あー…、でも今日はバイトに顔出して劇団行かなきゃいけないんだった」

「がうがうっ!」

大ジュン「講義は午前終わりだから弁当を……んっ?」

けものきらきー「♫」

大ジュン「!!?」

大ジュン「なんだこいつ!けもの!?」

けものきらきー「がおーっ」

大ジュン「な、なんで!?どっから入ってきたんだ?」

けものきらきー「がおがおーっ」スリスリ

大ジュン「犬…?猫?なんだこれ…。めっちゃ足に擦り寄ってくる!」

けものきらきー「がぅがぅー!」うねうねっ

大ジュン「くそっ!雪華綺晶を連れて逃げないと…!」

けものきらきー「………がぅ…」

大ジュン「あれ?雪華綺晶がいない…。ていうか…その白さと髪の毛といい……」

大ジュン「まさか……雪華綺晶か?」

けものきらきー「にぱーっ」ニコッ

という訳で後編は雪華綺晶が主人公です。
続きは後日投下します。

少ししたら投下します。

けものきらきー「♫」

大ジュン「やっぱり雪華綺晶!?なんでこんな姿に……太巻きみたいなんだけど…」さわっ

けものきらきー(マスター!おでこくっつけて!おでこくっつけて!)ピョン!ピョン!

大ジュン「雪華綺晶の声が聞こえる!オデコ……こうかな?」ぴとっ

けものきらきー「♪」ぴとっ



雪華綺晶(おはようございます。マスター)

大ジュン「雪華綺晶!お前…元に戻ったのか!?というか…一体どうしてあんな姿に…」

雪華綺晶(そうですよね。そこからですよね。お話すると難しいので昨日の記憶から説明します)

大ジュン「昨日って…あっちの僕と雛苺が来ただけなんじゃ…」

雪華綺晶(マスターは席を離れていましたから知らなくて当然です)

雪華綺晶(あと、厳密に言うと姿は戻っていません。ここはマスターの夢の中。わたくしの姿もそのままなんです)

大ジュン「僕は寝てるのか?」

雪華綺晶(眠っているというかドールと心を通わせてる感じかと……あら、時間がない)

雪華綺晶(とにかく昨日の記憶を見てください)パァァァ

大ジュン「!」

 
昨日―――…


雪華綺晶『ジュン様、ジュン様』クィックィッ

ジュン『んっ、どうした?雪華綺晶』

雪華綺晶『お願いがあるのですが…聞いてくれますか?』

ジュン『聞くけど…どんなお願いだ?』

雪華綺晶『実は……、まかなかった世界でも動けるようになりたいんです』

ジュン『お前を?』

雪華綺晶『はい』

ジュン『僕が居れば動けるけど』

雪華綺晶『いいえ、わたくし単体で動きたいなって思いまして』

ジュン『それだと厳しいかな。それになんで動きたいんだ?雪華綺晶も動けないのは承知の上だっただろ』

雪華綺晶『はい。過去に眠らせてしまった人たちへのせめてもの贖罪』

雪華綺晶『そして……マスターと一緒にいたいと思って…』

ジュン『そっか。こっちの僕と一緒に同じ時を過ごしてみたいのか』

雪華綺晶『…ダメでしょうか…?』

ジュン『う~ん…、………あっ、そうだ』

ジュン『1日だけならなんとかなるかも』

雪華綺晶『ホントですか!?』

ジュン『連続では使えないし、姿も変わっちゃうけど』

雛苺『なんかジュン魔法使いみたいなの』

雪華綺晶『十分です。ちなみにどんな姿になるのですか?』

ジュン『こんな感じ』すぅ

雛苺『!?』ボンッ!

けものひな『なの!?なのなのーー!!』うねうねっ

雪華綺晶『!!?』

ジュン『どうかな』

雛苺『……!』ポンッ!

雛苺『ふぉぉっ!なにこれ!?すっごく面白いのよ!!』

雪華綺晶『わぁあ!』キラキラ

雪華綺晶『すごい!ジュン様すごいですわ!』

ジュン『そうか?その姿でいいなら1日だけ自由に動けるよ』

雪華綺晶『大満足です!では明日からお願いします』

ジュン『そうだな。時間制限があるから丸一日…。今夜の深夜12時にnのフィールドに来てくれよ。僕が近づけば動けるから』

雛苺『深夜の12時にって、ジュンってば本当に魔法使いのおばあちゃんみたいなの!』

雪華綺晶『あっ!わたくしもそれ読んだことありますわ。かぼちゃの馬車にガラスの靴ですよね』

ジュン『そう。この方法はシンデレラ宜しく注意点もあるからまた今夜教えるよ』

雛苺『ガラスの靴で王子様と結ばれるのよ~』ポワ~ン

雪華綺晶『あの展開いいですよね~。ホント大好きです』ウフフ

ジュン『おい聞けよ』



大ジュン『ふぅ、お菓子と紅茶持ってきたよ。ところでなんの話をしてたんだ?』

雪華綺晶『えへへー、内緒ですわ』

雛苺『内緒なのー!』

ジュン『内緒だよ』

大ジュン『えぇ…、なんで内緒なんだ?』




大ジュン「そんな話をしてたのか」

雪華綺晶(肝心なのはここからです)

 
深夜――――……


雪華綺晶『………んっ』パチッ

雪華綺晶『動ける。ジュン様が近くに来ているのですね。行かなきゃ』





――――nのフィールド


雪華綺晶『ジュン様~~、お待たせしました』

ジュン『おっ、早いじゃん』

雪華綺晶『だって居ても経ってもいられなかったんですもの』

ジュン『ははっ、あっちの僕と過ごすのが本当に楽しみなんだな』

雪華綺晶『それはもう楽しみで楽しみで!』

ジュン『喜んでくれて嬉しいけど、よく聞いてくれよ。この方法は言わば世界を騙す方法なんだ』

雪華綺晶『世界を騙す?』

ジュン『けものの姿になれば世界は【雪華綺晶】という存在を見失う。ローゼンメイデンだと認識されなくなるんだ』

雪華綺晶『えっと…、何か問題があるのでしょうか?』

ジュン『問題は特にないよ。シンデレラみたいに時間が経てば元に戻っちゃう事くらい』

ジュン『そう、それだけのハズなんだけど……』

雪華綺晶『ジュン様?』

ジュン『杞憂だと思うけど、今他の世界樹がこっちの世界樹と繋がってるんだ』

雪華綺晶『今日のお話の別世界ですね』

ジュン『うん。世界から【雪華綺晶】が消えたら何か影響が出るんじゃないかと思って』

雪華綺晶『そんな…』

ジュン『まぁそんな事ありえないんだけどねー』アハハハ!

雪華綺晶『ジュン様やめてください!何か起こる前フリみたいじゃないですか』

ジュン『…やっぱり心配になるよな。じゃあ、こいつを連れてけよ』パァァ

雪華綺晶『あっ!ベリーベル!』

ベリーベル『』ヨロシクネ!

ベリーベル『』ルンルン♪

雪華綺晶『うふふ♪』

ジュン『雛苺が『ベリーベルをよろしく』だってさ』

雪華綺晶『はい、わかりました。よろしくね、ベリーベル』

ベリーベル『』キュルン♪

ジュン『何かあったらベリーベルに頼んで連絡してくれ』

ジュン『あと、喋る時は念じるか相手に触ってもらうと声が伝わるから』

雪華綺晶『まぁ便利!』

ジュン『じゃあいくぞ。目をつむって』すぅ

雪華綺晶『………』ドキドキ


ジュン『もういいぞ』

けものきらきー『?』

けものきらきー『……!!』

けものきらきー『にぱー』すりすり

ジュン『よく似合ってるぞ』なでなで


ジュン『じゃあ楽しんでこいよ』

けものきらきー『♪』ノシ




雪華綺晶(こんな感じです)

大ジュン「わっと!」ぐらっ

けものきらきー「♫」

大ジュン「ここは……僕の部屋か」

けものきらきー「がおーっ」

大ジュン「つまり…僕と一緒にいるためにその姿になったってことか」なでなで

けものきらきー「♪」すりすり

大ジュン「でもなー…、今日かぁ」

けものきらきー「?」

大ジュン「今日は一緒に居られないんだよ」

けものきらきー「え」

大ジュン「ほら、今日って月曜日じゃん?大学もあるしバイトに顔出ししたり劇団にも行かなきゃだし」

けものきらきー「………っ!」うるっ

大ジュン「だからさ。一緒には…」

けものきらきー「うわぁぁぁぁぁん!!!!」ウェェェェン

大ジュン「わっ!」ビクッ

大ジュン「な、涙が滝のようにっ!き、雪華綺晶ごめん!泣き止んで」

けものきらきー(一緒にいたい゛…!一緒にいたいぃ~~!!)ウワァァァン! ウワァァン!

大ジュン「いや、だけどな…」

けものきらきー(一緒じゃなきゃ嫌だもん…。今日は特別な日なんだもん!)ウェェェン! エェェン!

大ジュン「特別な日?」

けものきらきー(一緒って言った!マスターずっと一緒って言った!)エグッ…ヒック…

大ジュン「特別な日…?………っ!そうか!」

大ジュン「今日は雪華綺晶がうちに来てもう一年になるのか」

けものきらきー(だからジュン様に1日だけって……お願い…したの゛に゛ぃ…)グスッ…ヒック…

けものきらきー「うぅぅ……えぇぇぇん!!えぇぇぇぇん!!」

大ジュン「あぁぁ…、ホントごめん!泣き止んで。僕が悪かったから」

大ジュン「今日はずっと一緒にいよう。ケーキも買ってお祝いしたりしたいしさ」

けものきらきー「!(ほんとう…?)」グスッ…

大ジュン「あぁ」

けものきらきー(ホントに本当?)

大ジュン「ホントに本当だ」

けものきらきー「………」プルプル

大ジュン「雪華綺晶?」

けものきらきー(わぁい!わぁい!マスター大好きですわ!)がばっ

けものきらきー(大好き!大好き!)ぺろぺろ

大ジュン「お、おい雪華綺晶。くすぐったいって」アハハ

けものきらきー「にぱー」ぺろぺろ

大ジュン「雪華綺晶ストップ!もう顔がベタベタだから」

けものきらきー「?……♪」ぺろぺろっ

大ジュン「はは…、まぁいいか。それより電話しないと」

けものきらきー「がぅ?」

大ジュン「ほら、今日はずっと一緒って言っただろ。バイトと劇団休むって連絡するんだよ」

けものきらきー「! がぅがう」ふるふる

大ジュン「えっ?なんだ?休んじゃダメなのか?」

けものきらきー「…」コクコクッ

大ジュン「どうして?」さわっ

けものきらきー(マスター休んじゃダメ!雛苺と一緒です)

けものきらきー(わたくしもマスターと一緒に日々を過ごしたい)

大ジュン「雛苺といっしょって……付いてくる気か!?」

けものきらきー「がぅ!」コクリッ

大ジュン「そ、それはダメだって!」

けものきらきー「………」うるっ

けものきらきー「うわぁぁぁん!!あぁぁぁぁん!!」ビェェエン!

大ジュン「困ったな…。どうしたものか………あっ、そうだ」

大ジュン「雪華綺晶、リュックの中でおとなしくしてるならいいぞ」

けものきらきー「…グスッ……がぅ?」

大ジュン「真紅もそうしてたんだよ。リュックの中なら一緒に来ても大丈夫だ」

けものきらきー「がぅ。……♪」

大ジュン「気に入ったか?そんじゃ、そろそろ朝ごはんにしようか」

大ジュン「そういえば、雪華綺晶と一緒に朝食を食べるのも初めてだよな。何食べたい?」

けものきらきー(あれ!あれ食べたい!ラピュタのパン!)

大ジュン「いきなり難易度高いな。ちょっと待ってて」

けものきらきー(わくわく)






大ジュン「できた。じゃあ食べよう。いただきます」

けものきらきー(いただきまーす)アムアム

けものきらきー「がーう!(おいしー!)」

大ジュン「ちょっと焦げちゃったけどなんとかなったな」

大ジュン「弁当と水筒、ノートに筆記用具は手提げカバンに入れて…と」

大ジュン「ほら、リュックに入って」

けものきらきー「( 雪 д´)b オッケー!(ですわ)」ピョン!

大ジュン「さあ、出かけるか」ガチャッ

けものきらきー(わぁあ!これがマスターの住んでいる世界)ふわっ



けものきらきー(住宅街、公園、駅)


けものきらきー(すっごい人間の数!駅ってこんなに人が多いの?)キョロキョロ

大ジュン「ほら、電車来たぞ。この時間帯なら混んでないと思うんだけど」

けものきらきー「がぅ!?(わっ!わっ!揺れます!お船みたいです!)」ガタン!ゴトン!

大ジュン「電車に乗るのも初めてだもんな。しっかり掴まってろよ」

けものきらきー(は、はい。でも掴まりにくい…。口でなら……)

けものきらきー「ぱくっ」

大ジュン「あだーっ!」


――――――
――――――――――――
――――――――――――――――――



大ジュン「ふぅ、着いたぞ」

けものきらきー(ここがマスターの通う学校…。大きい…)

今日はここまで。
続きはまた後日に投下します。

けものきらきー=まいてはいけないローゼンメイデンの雪華綺晶でイメージしています。

大変遅くなりました。
投下していきます。

けものきらきー(ジュン様とめぐが通ってた学校よりも広いです!)

大ジュン「まぁ一応大学だからな。えっと…、教室変更はないから9号館の教室か」

けものきらきー(わくわく)

大ジュン「雪華綺晶。今から行くところは静かにしてなきゃいけない所なんだ。退屈かもしれないけど静かにしててくれよ」

けものきらきー「がうー!((雪Д<)ゝ“ラジャー!!)」キャー!

大ジュン「……(大丈夫かな?)」



「おーい!桜田!」


けものきらきー「!」

大ジュン「おおっ、早いな。おはよう」

「おう、おはよう。俺は今日1限からだからさ」

大ジュン「そういえばそうだったな」

「んじゃ行こうぜ。それにしても、お前も哲学の授業受けるなんて物好きだよな。俺たちの中で受けてるの俺らだけだぞ」

大ジュン「そういうお前も物好きだろ」

「この時間に取りたい講義がなかったんだよ」

大ジュン「そういう事にしておく。そろそろ出欠始まるから行くか」

「だな」



けものきらきー「………」





ポーン…
 

「――…であるからして、身体+形相=魂となるわけです」

「人間には植物的魂と動物的魂、人間的魂があります」

「この三つは栄養(生殖)、感覚(欲望)、理性で生活区分し、その中の理性的生活はテオーリオ、つまり真理を観相すると言われています」

「ここはテストに出るので書き留めておくように」




「ふむふむ」カキカキッ

大ジュン「あんな事言ってたのにメッチャ真面目に聴いてるじゃん」

「いや、案外面白くてな。最初はこんなの役に立つのかよって思ったけど、なかなかどうして…」

大ジュン「わかるのか?」

「……半々」

大ジュン「だよな。僕もだ」

大ジュン「ふぅ…(あっちの僕はこういうの得意そうだけど…どうなんだろう?)」チラッ


けものきらきー「がぅがぅ(ふむふむ)」カキカキッ

大ジュン「ぶほっ!?」

大ジュン「き、き、雪華綺晶…!なんでリュックから出てるんだ!」ヒソヒソ

けものきらきー「がぅ?がうがぅ(えっ?マスター、フィリアとポリスの実現の項に入りましたよ)」

大ジュン「そうじゃなくて…!なんで勉強してるんだよ…。しかも筆記用具まで持ってきて」ヒッソー!

けものきらきー「がぅーん(だって暇なんですもの)」

大ジュン「がぅーんって…」

「んっ?がぅーん?」

大ジュン「な、なんでもない!なんでもないから授業に集中しよう!」

「あぁ、ここテストに出るしな。愛と勇気とかカッコイイぜ!アン○ンマン見たくなってきた」

けものきらきー「アンパっ!(ア○パンマン!?きらきも見たい!)」アンパーンチ!

大ジュン「いたっ!?ちょ…パンチはやめてくれよ」

「俺はアン○ンマンよりバイ○ンマンの方が好きなんだよ」

大ジュン「そんな事誰も聞いてないよ…」

けものきらきー「どきん!どきん!(わたくしも好きです!あとドキンちゃんも!)」ハイ!ハイ!

「ドキンちゃんもいいよなぁ。一途な所とか。でもばい菌と食パンじゃ結ばれないんだよ」

けものきらきー「がーん!(えぇ!?結ばれないのですか!?報われない恋だなんて…)」うるっ



大ジュン「勉強に集中させて…」

「はい。今日はここまで」



けものきらきー「がぅ?(あら?もう終わりですか)」

大ジュン「全然集中できなかった…」

けものきらきー「がぅ!(大丈夫です!わたくしが全部ノートに書いておきましたから)

大ジュン「ははっ…、まぁいいか。ありがとな」なでなで

けものきらきー「♪」パタパタッ








がやがや わいわい


「学食いっぱいだな」

大ジュン「そりゃこの時間帯は混むだろ。僕は弁当持ってきてるからいいけど」

「家に帰らないとダメっぽいな。ところで桜田。学食はペット入れちゃダメなんじゃないか?」

大ジュン「そりゃそうだろ」

「いやさ、その白いの連れてるからさ」

大ジュン「い゛っ!?」

大ジュン「いや…あの…これは……その……」

「変わった猫だよなぁ。俺の話がわかってるみたいだったぞ。ほら、出ておいで」

けものきらきー「りゅん♪」ヒョコッ

大ジュン「出…っ!おい!!」

「おおっ!可愛いな。外国生まれか?」

けものきらきー「……」コクコクッ

「すげぇ!頷いた。良い子だな」なでなで

けものきらきー「♪」

大ジュン「ま、まぁな…」

「でもお前んちってペット可の所だっけ?まぁいいや、俺そろそろ行くわ」

大ジュン「えっ?あ、あぁ…」

「午後からバイトなんだよ。それじゃあまたなー」

けものきらきー「がぅ」ノシ


けものきらきー(あれがマスターのお友達。…マスターの学び舎。マスターはいつもこういう風に日々を過ごしてるのですね)

けものきらきー「がぅ♪(幸せそうでなによりです)」くるっ

大ジュン「雪華綺晶さん……あとでお話があります」ゴゴゴ…

けものきらきー「!?」ビクッ!

来たか
もうこないかと

>>169
大変お待たせして申し訳ありませんでした
このSSは絶対に完結させます

 
――――近くの自然公園


けものきらきー「あんぐー(いただきまーす)」ぱくっ

けものきらきー「んふ~~(雪~`)モグモグ」ごっくん

けものきらきー「がぅ~ん♪(おいし~♪マスターはお料理上手ですね)」ニッコリ

大ジュン「ありがとう……じゃなくて!さっきのはどういうつもりなんだよ」

けものきらきー(さっきの?)

大ジュン「勝手にリュックから出たり人に姿を見せた事だよ」

けものきらきー(その事でしたか。妻としてマスターの御友人に挨拶をと思いまして)

大ジュン「妻って……なんだそれ…」

けものきらきー(冗談はさておき。良い人、良い学校。マスターの取り巻く環境が良くて安心しました。あっ、マスター紅茶をどうぞ)コポコポッ

大ジュン「サンキュー……じゃなくて!」

けものきらきー「?」キョトン

大ジュン「今度人前に出たら今日は家に帰るからな」

けものきらきー「( ´雪ω•` )」

大ジュン「いや、そんな顔されても……」

けものきらきー(それはそうとマスターは嫉妬してくれましたか?)

大ジュン「なにが?嫉妬?」

けものきらきー(またまたぁ。御友人に頭を撫でられてるわたくしを見てハラハラしましたか?)

大ジュン「そういえば撫でられてたな」

けものきらきー(それで少し怒ってるんですよね?大丈夫です。私はずっとマスターの傍にいますから。きゃっ、言っちゃった(//∇//))

大ジュン「注意したのはリュックから出たからなんだけど…」

けものきらきー(えっ?)

大ジュン「最初に言っただろ。静かにしてろって」

けものきらきー「・・・・」

けものきらきー(マスターのお弁当と紅茶。この公園の紅葉した木々の風景)

けものきらきー(今日は一緒に来れて良かったです。マスター)ニパー

大ジュン「話を逸らしてもダメ。あと一回で一発退場な」

けものきらきー「(。・ ω<)ゞてへぺろ♡」

大ジュン「今日はホント表情豊かだなぁ。家に帰りたくなってきたよ」

けものきらきー(ごめんなさーい!もうしませーーん!!)


大ジュン「はぁ……まぁいっか。ノート取ってくれてありがとな」なでなで

けものきらきー「うぁ~…(マスター…)」ホンワカ

大ジュン「でも何書いてあるか読めないけどな…」

けものきらきー「ガーン!」

 
――――BOOKSタキワ


大ジュン「おはようございます。部長さんから預かったノート返しに来ました」

山口店長「ばっか桜田!お前おせーよ」

大ジュン「えっ?今日シフト入ってないですよ」

山口店長「いや、実はさー、鈴木ちゃんが急用で来れなくてな。今あるスリップだけでもまとめてくんね?」

大ジュン「そ、そんな……。僕にも都合が…」

山口店長「頼むって!レジは俺と斎藤ちゃんでやるからさ。タイムカードも押していいし1時間だけでいいからなー」ガチャッ…バタン


大ジュン「えぇ……」



大ジュン「まぁ1時間だけならなんとかなるか」

けものきらきー「がぅ?(あの方は何を言っていたのですか?)」

大ジュン「あぁ、今日売れた本のスリップをノートに記録しとくんだよ。当番制になったけど今日バイトに入ってた人が休んだらしくてさ」

けものきらきー(それでマスターがやっているのですか?)

大ジュン「まぁな。急な仕事が入ってごめんな雪華綺晶」

けものきらきー(いいえ、大丈夫です。それよりも嬉しいのです)

大ジュン「嬉しい?」

けものきらきー(マスターが働くお姿もカッコイイですわ。見れて良かった)

大ジュン「そうか?ただパソコンとノートに記録してるだけだぞ」

けものきらきー「♪」

大ジュン「なんだかなー」

 
――――――
――――
――


大ジュン「ふぅ…、こんなところか」

斉藤「わぁ!もうできたの?」

大ジュン「わっ!びっくりした。斉藤さんいつから後ろに居たんだ?」

斉藤「今来た所だよ。30分くらいしか経ってないのにもうできたの?」

大ジュン「うん。今週って言っても二日分だけだからね。すぐ終わったよ」

斉藤「すごーい!さすがジュンくん。頼りになるー」

大ジュン「そんな事ないって。早く劇団に行きたかっただけだよ」

斉藤「大道具はこの時間帯だっけ?」

大ジュン「いや、早めに行ってようかと思って」

斉藤「やっぱりジュンくんってすごいなぁ。なんでもできるし向上心はあるし…。私も見習わないと!」

大ジュン「そ、そうかな…?斉藤さんだってすごいと思うけど」テレテレ




けものきらきー(むー…)キラキー イン ザ バッグー

けものきらきー(マスターデレデレしてる)プクー





ポーン…
 

山口店長「おいこら桜田!スリップ終わったのか?」

大ジュン「はい。昨日と今日の分です。それと先週のノートも」

山口店長「ほんとかぁ?」

斉藤「全部終わってるみたいですよ」

山口店長「なっ…!ま、まぁまぁだな。だがな桜田!お前はまだまだだぞ!」

大ジュン「えっ?」

斉藤「…!」

山口店長「お前が店長補佐になりたい気持ちは伝わるがそんなんじゃまだまだだ!もっと精進しろよ!」

大ジュン「は、はい…?」

山口店長「お前相変わらずトロいけど俺という大きな器に出会った幸運だけは認めるわ。俺に感謝しろよ」

斉藤「くふ……!あはは!」

山口店長「えっ!?斉藤ちゃんまた…!?」

斉藤「て、店長ったらまたおかしなことを言って……あははははっ」

大ジュン「あははっ……たしかに店長面白い」

山口店長「お、お前らまたかよぉ…」



けものきらきー(うふふ、面白いですわ)

けものきらきー(あぁ、わたくしも会話に混ざる事ができたらいいのに…)







ポーン…!
 

斉藤『私はまだバイトだけど夕方になったら顔出すね!』



大ジュン「さて、今度は劇団の集まりだ」

けものきらきー(………)

大ジュン「あ、雪華綺晶には待たせちゃったもんな。ごめん」

けものきらきー(い、いいえ、楽しかったですよ。店長さんは面白い方でしたし斉藤さんは可愛らしいですし)

大ジュン「それならいいんだけど。劇団の仕事も衣装チェックや舞台に使う階段とかを作るだけだぞ?」

けものきらきー(まぁ!それはとっても楽しみです)

大ジュン「楽しいんならいいけどさ」







坂本座長「ジューン!この衣装ってこの着方でいいの?」

大ジュン「あっ、そのまま腕を通すと破れちゃうんで下から通してください」

坂本座長「オッケー!」


大ジュン「お兄さん、この階段もう少し入口に寄せた方が見やすくないですか?」

斉藤兄「ん」




けものきらきー「・・・・」


ポーン…!


けものきらきー「?(なんの音?)」

けものきらきー(ねぇ、ベリーベル)

ベリーベル「?」

けものきらきー(マスターはすごく幸せそうですね)

ベリーベル「」ウン

けものきらきー(マスターの幸せはわたくしの幸せ。マスターはあんなに充実している)

けものきらきー(今日はわたくしの知らないマスターの一面を見る事ができて嬉しかった。……そう、嬉しかった)

ベリーベル「」?

けものきらきー(ふふ、嘘はいけないですね。本屋さんと劇団のお仕事……学校も見た事があるんですよ)

ベリーベル「」ソーナノ?

けものきらきー(えぇ、アストラルの時にnのフィールドからずっと見ていました。あの頃はただ見ているだけで楽しかったのですが……)

けものきらきー(なんて言うか……その…)

ベリーベル「」サミシイノ?

けものきらきー(さみしい…?)

ベリーベル「コホン」

ベリーベル「真紅様と翠星石様も同じ気持ちなの。私のご主人様だってきっと…」

けものきらきー(お姉様たちが…さみしい?)

ベリーベル「ジュンが外の世界に出始めた頃は……私も寂しかったの。だって私達の知らない所に行ってしまうんだもん…」

けものきらきー(そう考えると……寂しいかも…)

ベリーベル「自分の大切な人の知らない一面。人間ならともかく私達みたいな存在だと辛いの…」

ベリーベル「真紅様は言っていたのよ。人間はみんな自分の掌で自分の扉を開けていく。
        今はまだ自分の掌の大きさを知らないだけだって」

けものきらきー(掌の大きさ…?)

ベリーベル「ジュン、トモエの掌だってとっても広いわ。それに気づいた時、人形遊びの手を止めて…扉を開いて外に出掛けていくの」

けものきらきー(……!)ズキッ…!


ポーン…!


ベリーベル「? ハ長調のラ音?」

けものきらきー(さっきから聞こえるの。一体なんの音でしょうか?)











――――大ジュンのアパート・バスルーム


ポーン…  ポーン…!  ポーン!


鏡「」ズズ…

ズグ… ズズズ……



雪華綺晶「早く……あぁ…早く…!……」ズズズズ…!

雪華綺晶「うふふ、待っていて……わたくしだけのマスター…」

今日はここまで。続きは近いうちに投下します。
今まで書けない日が続いて申し訳ありませんでした。

それと…、ローゼンメイデン新連載!!すっごく驚きました!嬉しいーー!!

それでは投下していきます。

ベリーベル「たしか…子供が大きくなってちょっと寂しくなる親か姉の気持ちだってホーリエは言ってたのよ」

けものきらきー(なるほどぉ、それかもしれませんね)

ベリーベル「さっきはいじわるな事言っちゃったけどおっきなジュンなら大丈夫だと思うわ」

けものきらきー(マスター…)チラッ




大ジュン「………」トンカン!トンカン!

斉藤兄「………」カンカンカン!




けものきらきー(ふふ、そうですね。それにしても、ベリーベルあなた性格変わりました?大人っぽくなったような)

ベリーベル「真紅様が主になった時に真紅様とホーリエに再教育されて……」ガクブル

けものきらきー(そ、それはお気の毒に…)

大ジュン「こっちそろそろです」

斉藤兄「ん」




けものきらきー(ベリーベル)

ベリーベル「?」

けものきらきー(マスターと一緒にいるだけで幸せだと思っていたのですが、やっぱり寂しかったのでしょうね)

けものきらきー(今のこの姿が何よりの証拠だったのです)

ベリーベル「雪華綺晶様…」

けものきらきー(一緒におしゃべりして、遊んで、触れ合っていたい。そう考えてしまいます)

けものきらきー(どんどん高望みしちゃう。この話はやめましょう)

ベリーベル「うぃ…」




大ジュン「終わりました」

斉藤兄「ん」




けものきらきー(うふふ、マスターがんばってますね)

ベリーベル「…うん」



――――――
――――
――

 

大ジュン「ケーキも買ったし今日は豪勢にいくぞ」

けものきらきー「♪(わぁい!ケーキ!ケーキ!ショートケーキ!)」

大ジュン「雪華綺晶ってショートケーキが好きだったのか」

けものきらきー(はい!いちご美味しいんですよ)

大ジュン「その言い方だと別のモノを思い浮かべそうだ…。まぁ王道だよな」

けものきらきー(マスターのはフルーツタルトですよね。半分こっこしませんか?)

大ジュン「ああ、いいよ。その代わり苺も半分こだ」

けものきらきー(やっぱり今のお話はなしで)

大ジュン「苺好きすぎだろ…」ガビーン

けものきらきー(うふふ、冗談です。あっ、そろそろ着きますね)

大ジュン「ふぅ、今日は疲れたよ。ちょっとゴロゴロしようかな」

けものきらきー(賛成です。あの……一緒に添い寝してください!)ドキドキ

大ジュン「はいはい」

けものきらきー(適当なお返事!?)ガーン

大ジュン「ただいまー」

けものきらきー(もうっ!ただいまー………っ!?)

 
――――大ジュンの部屋


シーン…



大ジュン「誰もいないのについただいまって言っちゃうんだよなぁ」

けものきらきー(なに…これ?)

大ジュン「まぁ今は雪華綺晶が居てくれるからいいけど……、どうした?」

けものきらきー(ま、マスター…。何か変です)

大ジュン「変って何が?ケーキは冷蔵庫に入れてっと」ガチャン

けものきらきー(nのフィールド?部屋がnのフィールド化してます。それにこの気配はなに?これって……)

けものきらきー(ベリーベル!)

ベリーベル「」キュルン!

けものきらきー(この部屋に誰か潜んでいないか探してください)

大ジュン「どうしたんだよ。nのフィールドから誰か遊びに来たのか?」

けものきらきー(マスター!外に避難して!このnのフィールドは異様です!)

大ジュン「えっ…わかった。一緒に外に出よ……」ガクッ…

けものきらきー(マスター?)

大ジュン「…zzZ」

けものきらきー「がぅが!?がぅがぅ!!(マスター!?マスター!!)」ユサユサ

大ジュン「う~ん………zzZ」

けものきらきー(起きない…。こんな急に眠るなんてまるで……)

フッ…

けものきらきー「きゃん!?(きゃっ!?電気が消えた?ベリーベル瞬いて!)」


パアァァ


けものきらきー(これで少しは明るくなりましたね。ありがとう、ベリーベル)


チッカチッカ


けものきらきー(? ベリーベル…?)

レンピカ?「」スゥ

けものきらきー「!?」

けものきらきー(レンピカ!?なら蒼星石お姉様ですか?どこに居るのですか?)

けものきらきー(こんなイタズラお姉様らしくありませんわ!……!!?)ギョッ


うねうね じゅるギュる…


けものきらきー(し、白い茨が一面に…!これって……まさかこれって…!)キッ!



雪華綺晶「………」ゆらゆら



けものきらきー(あぁ…!…やっぱり…)

けものきらきー(ジュン様の懸念が本当に…)

雪華綺晶「ジュン様の懸念が本当に」

けものきらきー(薄々感じていましたが…とにかくどうにかしないと!ベリーベル!)

雪華綺晶「薄々感じていましたが…とにかくどうにかしないと…ベリーベル…」

けものきらきー(ベリーベル!どこにいるの?まさか…)

雪華綺晶「ベリーベル…どこにいるの?まさか」

けものきらきー「がうぅぅ!(あなた!あなたがベリーベルをどこかにやったのですね?)」

雪華綺晶「あなた……あなたはだぁれ?」

けものきらきー(わたくしは雪華綺晶です!質問に答えて!)

雪華綺晶「雪華綺晶?…………うふ、うふふふふ」

けものきらきー「が、がぉ?(な、何がそんなに可笑しいのですか?)」

雪華綺晶「貴女は雪華綺晶。なら私は?私はだぁれ?」

けものきらきー(ジュン様が言っていました。別の世界のわたくしが現れるかもって。貴女がそうですね?でも本当に現れるなんて…)

雪華綺晶「そう。私(わたくし)は私(わたくし)。貴女も私(わたくし)。うふ、うふふふふ」

けものきらきー「がるるっ!(答えてください!ベリーベルは…)」


ベリーベル「やぁなの!レンピカどうしちゃったの!?」

レンピカ?「」キュルン


けものきらきー「!!」

けものきらきー(ベリーベル!レンピカやめてください!)

レンピカ?「それは聞けない。マスターの指示のままに」

けものきらきー「がぅがぅ!(どうなってるの…?ベリーベル!ジュン様とお姉様方を呼んできて!)」

ベリーベル「はいなの!」

雪華綺晶「ベリーベル」

ベリーベル?「ここは通さないなの!」

ベリーベル「!? こ、こんなことって…」

けものきらきー(ベリーベルが二人!?ではあのレンピカは…!)

レンピカ?「ハァッ!」カッ!

ベリーベル「うゅ…」ポトッ

けものきらきー(ベリーベル!ベリーベルぅ!!)

ベリーベル「雪華綺晶様、雛苺様…ごめんなさ」

雪華綺晶「あむっ」ぱくっ


けものきらきー(うそ……ベリーベル食べちゃった…)

けものきらきー「がるるっ!!(ベリーベルを返してっ!!)」

雪華綺晶「ベリーベル」

ベリーベル?「」カッ!

けものきらきー「きゃあ!」

雪華綺晶「威勢がいいのは見た目だけ。それで本当にわたくしなのですか?」

けものきらきー「うぅぅ…」

けものきらきー(この強さ……あの私の持ってるローザミスティカは……5つ!?)

雪華綺晶「そう、5つ。わたくしはローザミスティカもボディも人工精霊も、そしてミーディアムもみんなみんな欲しくなってしまうの」

けものきらきー(ミーディアム?ミーディアムっていったい…?……! まさか……まさか貴女…!!)

雪華綺晶「そうです。わたくしを受け入れてくれたこの方を貰い受けに来ました」

けものきらきー(違います!マスターはわたくしのマスターなんです!)

雪華綺晶「? わたくしも雪華綺晶です」

けものきらきー(たしかにそうですけど、でもそういう事では………もう言葉は無粋みたいですね。奥の手を使います)

雪華綺晶「奥の手?」

けものきらきー(わたくしの吸い込みで貴女のアストラル体を引きずり出します!いきますわ!!)

けものきらきー「ズモォォォォ!!!!」

雪華綺晶「まぁ!星のカー○ィみたい」

けものきらきー「ズモォォォォ!!(アストラルはイデアのイリアステル。体と魂がズレればこちらにも勝機があるハズ!)」

雪華綺晶「うふふ、いい風」

けものきらきー「ズモォォォォ!(おかしい…、全然吸い込めません。まったく微動だにしないなんて。これは……!)

けものきらきー(奪ったボディとローザミスティカが完全に融合している!?これではいくら吸ったって無理…!)

雪華綺晶「こちらもお返しを差し上げます。ローズテイル」ぶわっ

けものきらきー「がふっ?!(花びらが口に…!)」

雪華綺晶「どうですか?紅薔薇のお姉様の白薔薇バージョンです」

けものきらきー(白い…ローズテイル!?じゃあその体は!)

雪華綺晶「気づきましたか?この体は元は紅薔薇のもの。桜田ジュンに会いに行くならこの体が一番相応しいかと思いまして」

けものきらきー(そんな…、真紅お姉様がやられてしまったの?じゃああと一人は…)

雪華綺晶「スィドリーム、夢の扉を開いてください」

スイドリーム「」パアァ

けものきらきー(翠星石お姉様…。こんなのそちらの世界のジュン様たちが黙っているはずないです!)

雪華綺晶「はい、その通りです。これでコンプリートに一歩近づきましたわ♪」

けものきらきー(コンプリート?)

 
ゴオオオオオ ゴオオオオン…


雪華綺晶「あら、もうこんな時間。続きはお城でお話しましょう」

雪華綺晶「nのフィールドは開いておきます。よかったらいつでもいらしてください。同じ雪華綺晶として歓迎しますよ」

大ジュン「」ふわっ

けものきらきー(あぁ!マスターの魂が!マスターを連れて行かないで!)

雪華綺晶「ダメです。貴女はあんなに幸せそうでした。今度は私の番。いっぱい愛してもらうの」

けものきらきー(マスター!待ってください!マスター…!)

雪華綺晶「それとも一緒に行きますか?なら、お茶会を開きましょう。お姉さま達がやっていたようなお茶会を」

けものきらきー(お茶会なんてしてる場合じゃ…!)

雪華綺晶「私ずっとお茶会をやってみたかったの。夢が叶うなんて」ウフフ


ぞるッ しゅるしゅる!


雪華綺晶「あぁ、起きてるお客様が来るなんて初めて!クッキーやお茶菓子を用意して、紅茶はどれにいたしましょう」

けものきらきー(浮かれて話を聞いていない。私ってそういう所ありますものね…)









――――第42951世界?雪華綺晶のお城


雪華綺晶「どんどん!どんどんおかわりしてくださいね」ウキウキ

けものきらきー(ど、どうも…)

けものきらきー「がぅ…(なんだか妙な事になっちゃった…)」

今日はここまで。
続きは明日投下します。

それでは投下していきます。

雪華綺晶「それでそれで?そっちのアリスゲームは誰が勝利したのですか?」

けものきらきー「がぅがぅ(真紅お姉様です)」

雪華綺晶「えぇっ!?紅薔薇のお姉様が?貴女はどうして負けたのですか?」

けものきらきー「がおーっ(短めに話すとめぐの体で戦ってて……――――――)」

雪華綺晶「めぐがそんな事を言ったのですか?なるほどぉ、起こしてみたくなってきました」

けものきらきー(めぐ…)チラッ


めぐ「」


けものきらきー(うぅ…)




オディール「」

JUM「」

大ジュン「」

 
30分前―――


けものきらきー『がぅ…!(ここは…!わたくしのフィールドにそっくり)』

雪華綺晶『こっちです。お城でお茶会を始めましょう』



雪華綺晶『入って!入って!ここでお待ちください。用意してきますので』

けものきらきー『が、がぅが!(ちょ、ちょっと待って!)』


雪華綺晶『うふふふ!』タタタッ…!


けものきらきー『くぅん…(行っちゃった…)』

けものきらきー『……(どうしましょう…。こっちのお父様はどう思います?)』ミアゲーノ


天涯の大時計『』


けものきらきー『はふぅ…(ジュン様が居てくれたらお父様は答えてくれたのでしょうか?)』

けものきらきー『! (そうですわ!マスターもジュン様です!マスターを探して起こせばもしかしたら…)』

けものきらきー『むぅ(えっと…、私の時はあっちのお部屋に眠った人たちを寝かせておいたから……同じなら…)』スタスタ

けものきらきー『がぅ!(えいっ!ここです!)』ギイィイ


けものきらきー『!!』

男の子『』

女の子『』

老人『』

おばあさん『』

青年『』

女性『』



けものきらきー『うぅ…(お、多い…!こんな多くの人たちを眠らせているの?昔の私より遥かに……100人近くいる…)』

けものきらきー『ぐるる…!(ローゼンメイデンに関わった人たち以外も眠らせるなんて…!)』

けものきらきー『……(彼女の強さはローザミスティカの多さだけじゃなかったのね。これほどの苗床を…)』

けものきらきー『くぅ…!(自分の過ちを再び見る事になるなんて…。と、とにかくマスターを……)


元治『』

オディール『』

トゥモエ『』

めぐ『』

JUM『』


けものきらきー『・・・・』

けものきらきー『……(この世界の…この時代のマスターたち。それをこんなに……ジュン様までも……)』

けものきらきー『(私は…彼女からマスターを取り返す事ができるの?)』

けものきらきー『(今の私はもちろん…元の姿に戻っても勝てないでしょう)』

けものきらきー『(あっちは今だにアストラル体。エーテルの私では……)』

雪華綺晶『こんな所に居らしたのですね』ヒョコッ

けものきらきー『きゃああああああ!!』ビックーン!

雪華綺晶『きゃっ!?ど、どうしたのですか?』

けものきらきー『げっほ!ごほっ…!(な、なんでもありませんわ!)』

雪華綺晶『?…あぁ、他のドールのマスターたちが気になるのですか?ならお茶会の席に運びましょう』うねうね

けものきらきー『がぅがぅ?(あの…、マスターはどこにいるのですか?)』

雪華綺晶『まかなかった世界の桜田ジュンですか?お茶会会場にいますよ。ささっ、行きましょ。行きましょ』



――――――
――――
――


大ジュン「」

けものきらきー(マスター…)

雪華綺晶「それでですね、こっちのアリスゲームは薔薇水晶の乱入があって途中からやり直したんですよ」

けものきらきー「!(薔薇水晶って……ジュン様達が出会ったという第7ドールのことですか?)」

雪華綺晶「あっ!知ってるんですか?大変だったんですよー」ウフフ

けものきらきー「がぅ?(大変だった?)」

雪華綺晶「水銀燈をお腹が無くても動けるようにしたり、槐に力を与えたり」

けものきらきー(ちょ、ちょっと待ってください!槐って…。じゃあ貴女は…!)

雪華綺晶「そうです。自分の腕に心酔している槐を唆したのも、未完成の第1ドールを真紅の所に送ったのも」

雪華綺晶「すべて私の行いですわ♪」

けものきらきー(な、なぜそのような事を…?)

雪華綺晶「どちらもお父様に対する想いが強かった。だから見てみたかったのです。あの2人が最後どうなるのかを」ニコォ

けものきらきー(……!)ゾクッ…

雪華綺晶「いっぱい面白いのが見れました♪薔薇水晶が砕けてしまったのは惜しかったですけど」

けものきらきー(そう…ですか)

雪華綺晶「それで一時休戦状態になったのですが、その隙にミーディアム達を確保しておきました」

雪華綺晶「これで私もお姉様たちみたいになれますね」

けものきらきー(あぁ……こういう感じだったのですか…)

雪華綺晶「何がですか? そういえばそちらではミーディアムとは言わないんでしたね。マスターでしたっけ?」

けものきらきー(そのお話ではなくて、……自分を客観的に見るってこういう事なんだなって)

雪華綺晶「?」

けものきらきー(わたくしも同じなの。マスター達を奪ってきました)

けものきらきー(水銀燈お姉様が『めぐを返してっ!』って言ってきて……追いかけてきて。それが面白くて…)

雪華綺晶「まぁ!わたくしの時と同じ反応ですわ。水銀燈が悪いんです。めぐをひとり占めにするから」

けものきらきー(ふふ、そう思いますよね)

雪華綺晶「はい!だってずるいもの」

けものきらきー(でもね、奪われた側の気持ちも考えてみてください)

雪華綺晶「奪われた側?」

けものきらきー(そうです。お互い絆で結ばれているのに横から奪うなんて…。それだと絆を結ぶ事はできません)

雪華綺晶「知らないもん」プイッ

けものきらきー(えっ?)

雪華綺晶「絆なんて知りません。だって、わたくし今まで愛された事なんか一度もありませんもの」

けものきらきー(あっ…)

雪華綺晶「お姉様たちを初めて見たときは嬉しかった。でも、会っちゃダメって言われて…悲しくて……」

雪華綺晶「お姉様同士はあんなに仲が良くて人間のマスターも居て……なのに私はずっと独りぼっち」

けものきらきー(あぁ……)

雪華綺晶「苗床だってそうしないといけないんです。お父様にそうするように造られたのですから。貴女ならわかるでしょう?」

けものきらきー(はい……すごくわかります。私もそうでしたから…)

雪華綺晶「そうですよね。やっと私の気持ちをわかってくれる方に出会えました。すごく嬉しいです」ウフフ

雪華綺晶「お茶もなくなってしまいましたね。次は何をして遊びましょうか」



けものきらきー(わたくしは……今の生活が幸せすぎて忘れていたのですね…)

けものきらきー(あの孤独を知っているのに…どんなに辛かったか知っていたのに…彼女の行いを戒めるような事を言って…)

雪華綺晶「次はおままごとなんていかがです?」

けものきらきー(理解もできるし共感もできる。でもね、マスターをそのままにしておく訳にはいかないんです!)

雪華綺晶「えっ?何がですか?」

けものきらきー(貴女の事はこの世界のお姉様方にお任せします。でもマスターだけは!マスターだけは返してもらいます)

雪華綺晶「またそれですか。この桜田ジュンに会いたいならいつでもこの世界に遊びに来ればいいのに」

けものきらきー(違うのです!わたくし以外にもマスターの帰りを待ってる人達がいるんです。家族、友達、仕事仲間…)

雪華綺晶「何を言っているの?絆なんて一つで十分でしょう?さあ、一緒にマスターに愛してもらいましょう」

けものきらきー(この眠っている状態でどうやって愛してもらうのですか。マスターと私はこの世界の住人ではないの。だから帰ります)

雪華綺晶「…………そう」

雪華綺晶「貴女もそうなのですね」

けものきらきー「?」

雪華綺晶「お茶会の後はゲームがよろしいですね。アリスゲームを始めましょう」

けものきらきー(どうしてそうなるのですか!?アリスゲームの時の私ってこんなだったの?)

雪華綺晶「こんなとは失礼しちゃいますわ」

雪華綺晶「あーあ、解ってくれると思いましたのに」

雪華綺晶「あーあ、あなたならお友達になってくれると思いましたのに」

けものきらきー(とってもわかります。でも、それとこれとは話が…!)

雪華綺晶「雛苺の無垢さでもなく、金糸雀の愛しさでもなく」ポロッ…

雪華綺晶「真紅の気高さでも、翠星石の烈しさや蒼星石の切なさでもない」ポロポロ…

雪華綺晶「奪う必要のない存在にやっと出会えたのに……」

けものきらきー(あなたは奪う必要なんてないの!あなたは貴女自身。着替える必要なんてないんです!)

雪華綺晶「もう何もおっしゃらないで。貴女が何を言いたいのかわからない」ぞりゅっ!

けものきらきー「きゃんっ!!」

雪華綺晶「大丈夫、痛いのは一瞬です。抵抗しても無駄。その体では私には勝てないでしょうから」

けものきらきー(そう…、この体。いいえ、元に戻っても絶対に勝てない)

けものきらきー(仮に元の姿に戻っても世界は一方の雪華綺晶を……わたくしを消そうとする)

雪華綺晶「あなたは私の一部になる。桜田ジュンも永遠にここに居る。ずっと愛し合う事ができるのです」

けものきらきー(マスター…ごめんなさい。せめてマスターだけでもと思っていたのに…)

けものきらきー(ごめんなさい…)





「ドウシテあきらめるノ?」



 

けものきらきー(えっ?だれ?)


「ドウシテマスターまもらないノ?」


けものきらきー(だって…今の私では何もできなくて……)


「ソレデほんとうにイイノ?」


けものきらきー(いいはずないです!でも、でもどうしていいかわからないんです!)


「一人で考えちゃダメ。ミンナデ考えテ、ミンナデマスター助けるノ」


けものきらきー(みんなで?)


「マスタ、ソバでずーとまもるノ」


けものきらきー「! あなたは もうひとりの…!」




――――――――――――――――――――――――――――――



けものきらきー(………)

雪華綺晶「あら、反応がなくなってしまいました。どうしたのでしょう?」



コドウグ「マスター起きテ」ペチペチ

大ジュン「」



雪華綺晶「!?」

雪華綺晶「ど、どちら様ですか?」

コドウグ「アッ、見ツカッた」

雪華綺晶「あなた……あなたも私なのですか?」

コドウグ「アル意味そう」

雪華綺晶「まぁ!わたくしが3人も居たなんて。知っていたらお茶会にお誘いしましたのに」

コドウグ「サッキカラ居た。器ダカラ」

雪華綺晶「! もう一人の私がエーテル体だったのはそういう事ですか。じゃあ、アストラル体に戻ったのですか?」

けものきらきー「がるる!」ピョン! タタタ…!

雪華綺晶「アストラルじゃない…?」


マデュリン「今、雪華綺晶ノ器にナッテいるノハ薔薇ノ女王様だヨ」

ジュディカ「貴女ノお茶美味シかったヨ、ね」

アレニエ「ウん、お、おイしかっタ。サスが、き、雪華綺晶」


雪華綺晶「えっ!?こんなにいたの?」

けものきらきー(なんとかマスターを起こさないと…!)

薔薇の女王様(雪華綺晶!生ヌるい方法デはダメヨ!荒療治でイキなさい)

けものきらきー(あ、荒療治はちょっと…)

薔薇の女王様(ぱぁぁぁぁぁぁぁい!!!!!!!)グワッ!

けものきらきー(えっ!?やめてください!マスター逃げてぇぇぇ!!)


ドゴォォ!!!!!


大ジュン「ぶべらっ!!?」

コドウグ「アッ、マスター起きた」

大ジュン「?!!…!? こ、ここは……雪華綺晶の城?」

コドウグ「マスター久しぶり」

大ジュン「コドウグ?お前コドウグじゃないか!」

けものきらきー(マスター!あの眠りから呼び起こせるなんて…!)

薔薇の女王様(尊敬シた?下僕ニシてあげルワヨ)

けものきらきー(それはちょっと…)


大ジュン「雪華綺晶!それにお前たちまで」





雪華綺晶「…………なんで、邪魔するの?」

雪華綺晶「せっかく手に入れたのに………せっかく愛してもらおうと思ったのに……」


大ジュン「なんだ!?雪華綺晶が二人?」

雪華綺晶「あなたは私のマスターよ。だからもう一度こちらに来て…」

大ジュン「!」

けものきらきー(マスター!そっちへ行ってはダメ!)

大ジュン「えっ?でも、こっちの雪華綺晶って…」

雪華綺晶「あなたの好きな世界を創ってあげる。あなたの望むままの願いを叶えてあげる」

雪華綺晶「だから……だから戻ってきてください」

大ジュン「昔の雪華綺晶みたいだ………!そうか、そういう事か。………ごめんな。一緒には行けない」

雪華綺晶「ど、どうして…!?」

大ジュン「僕はこっちの雪華綺晶のマスターなんだ。悪いけどお前とは契約しないよ」

けものきらきー(マスター…!)


雪華綺晶「………ぅぁぁ…」ボロボロ…

大ジュン「うっ…その泣き顔…、やっぱり良心に響くなぁ…」

雪華綺晶「…ぁぁぁん!……ぅぁぁぁぁ…」

大ジュン「また雪華綺晶を泣かせてしまった…」ズーン…

ジュディカ「ヤーい!女泣カせー!」

けものきらきー(茶化さないで!マスターそれは仕方のない事なんです。それより昔の私ならこの後きっと…!)


雪華綺晶「……グスッ…、どうして? どうして同じ雪華綺晶なのにこうも違うの?」

雪華綺晶「ずるい……ヒック…うぅぅ……ずるいです…!」グスッ…

雪華綺晶「お姉さま達とも仲が良くてお友達もこんなにいっぱいいて…」

雪華綺晶「エーテルだしこんなに素敵なマスターもいる…」


大ジュン「そ、そうかな」テレ

コドウグ「照レてる場合ジャない」

雪華綺晶「私もケモノの姿になればいいの?でも、どうやって…?………欲しい」

雪華綺晶「妬ましい、羨ましい、ずるい、悲しい……愛されたい……愛されたい…」

雪華綺晶「あぁ欲しい…!貴女が持っているモノ全てが欲しい」ぞりゅ…!ぞりゅりゅ!!




アレニエ「す、すスごい茨ノか、数ダワ!ワタしノ手ジャふ、防ギきれなイ…!」

けものきらきー(やっぱりこうなりましたか…!)

マデュリン「ど、どうシヨう…。ねぇ、ジュディカどうシヨう」

ジュディカ「逃げヨう」

マデュリン「えェ!?逃げルの!?」

薔薇の女王様「無理ヨ。こノ世界は別世界。ソしてこノフィールドはアっちノ雪華綺晶ノホーム。とテも逃げラレなイ」

コドウグ「ナラ闘う」

アレニエ「か、か勝テるノ?」

けものきらきー(力の差がありすぎてとても……昔の私以上の苗床にローザミスティカが5つもありますし…)

大ジュン「それなら僕が引き付け役になるってのはどうだ?」

けものきらきー(ダメです!危険すぎます!)

大ジュン「なら他に何か方法は……」



鳥海「はぁ、見てられないな。ジュン」

大ジュン「お前は…!?」

大ジュン「えっと……たしか…」

鳥海「えっ?覚えてないのか?冗談だろ」

大ジュン「たしか巻いた僕が言ってた………鳥……鳥……」

鳥海「そうそう!鳥のあとは馴染み深い言葉だぞ!」

大ジュン「……鳥山くん?」

鳥海「違うよ!俺の名前はとりu」

けものきらきー「がぅ!(皆人!)」

大ジュン「あっ、そうそう。皆人くんだ」

鳥海「………まぁそうだけどさ」


アレニエ「お、おオ父様も目覚めたノ?」

鳥海「まぁね。みんなのピンチとあっちゃ放っておけないしな」

薔薇の女王様「ふーン」

鳥海「反応うすっ!?」ガーン


マデュリン「でも、お父様。お父様ガ居ても勝てなイかも」

ジュディカ「たしかニ」

鳥海「お前ら……まぁ悔しいけどそうだろうなぁ」チラッ




雪華綺晶「また……またお友達?どうして……どうして貴女ばかり…」ポロポロ…


けものきらきー(そ、それは……)

鳥海「時間がないから手短に話すぞ!みんな1つになってアリスになる。以上!」

大ジュン「手短すぎだろ!もっと説明しろよ!」

鳥海「オッケ!説明すると今のままじゃ勝てないから力を一つにまとめるんだ」

大ジュン「どうやって!?」

鳥海「元々俺たちは雪華綺晶の中で眠ってた。今度は意識的に元に戻るだけなんだ。ただそれにはジュンの力も必要だ」




雪華綺晶「わたくしを除け者にしてそんなに楽しいですか?」

けものきらきー(い、いいえ、そういう訳では…)

雪華綺晶「もう何もおっしゃらないで。悲しくなるだけだもの」

雪華綺晶「手に入らないのなら壊してしまうだけ」がばっ!

けものきらきー「!!」




鳥海「今どうしたいか願え!そうすれば人形たちは応えてくれる!」

大ジュン「…今どうしたいか」

鳥海「ローゼンの願ったアリスじゃない!お前の願ったアリスを!そうすれば今度こそ俺は生み出す事ができる!」

アレニエ「お、おオ父様!雪華綺晶ガ!」

鳥海「あれは!?」

大ジュン「あの時の……薔薇の花弁に閉じ込められて…!」




けものきらきー(くっ…!)ズル…ズル…

雪華綺晶「このまま飲み込んで差し上げますわ」

コドウグ「助けルノ」トトト…!

薔薇の女王様「引っコ抜いテクレるわ!!」ジタバタ!

アレニエ「ワタしのて手に掴まればイイいわ!」



マデュリン「あわわ…、ジュディカ。わたしたちはどうしヨう……あレ?ジュディカ、どこ?…………あっ!!」




ジュディカ「助けニ来たわ」ガシッ!

けものきらきー(じゅ、ジュディカ…!)

雪華綺晶「素敵な友情…。羨ましい。どうぞ一緒になってください」

けものきらきー「ぎゃう!?」ずるっ!

ジュディカ「あっ」ずるっ!



ごっくん!



 

マデュリン「ジュディカ…?……ジュディカぁぁ!!」ダッ…!

大ジュン「雪華綺晶!!」

鳥海「ジュン!早く…!」

大ジュン「……! 僕の願い…。それは……」

大ジュン「みんな無事に元の世界に帰る!それだけだ!」

鳥海「わかった」




雪華綺晶「白くて白くて愛らしい子犬さん達。でも可哀想、みんな消えてしまって可哀想」

雪華綺晶「だァれが殺した白犬さん…。そォれはわたし……わたしなの……」


パアァァ!!


雪華綺晶「あら?花弁が光って……それに散って…………!!?」



アリス「    」
 

今日はここまで。
続きは近いうちに投下します。

遅くなりました。
それでは投下していきます。

 
アリス【雪華綺晶】「    」


大ジュン「雪華綺晶…なのか?」

アリス【雪華綺晶】「マスター」

大ジュン「は、はい!」

アリス【雪華綺晶】「みんな無事に元の世界へ帰る」

大ジュン「あ、あぁ!元の世界に戻ろう!」

アリス【雪華綺晶】「それがマスターの願い」



雪華綺晶「その姿はなんなのですか?先ほどのケモノの私ですよね?」

アリス【雪華綺晶】「この姿はマスターと皆人のアリス<願い>」

雪華綺晶「アリス?それが至高の少女の姿なのですか?」

アリス【雪華綺晶】「わかりません。今わかる事はマスターの願いだけ。返してもらいます」ズズズ…

雪華綺晶「えっ!私の体に入ってくる…!?あっ…!」

ベリーベル「ぷはぁ!雪華綺晶様!」

アリス【雪華綺晶】「無事で良かった」

雪華綺晶「また私から奪うの?それに……貴女がアリスだったなんて。……嘘つき」

アリス【雪】「嘘つき?」

雪華綺晶「貴女は紅薔薇のお姉様がアリスになったと言った!でも本当は貴女がアリスになっていたのですね」

アリス【雪】「違います。真紅お姉様がアリスになったのです」

雪華綺晶「嫌い…。あなたなんて大嫌いです。ケモノの姿でわたくしを油断させて…!」

アリス【雪】「違うのです。大切な人が居てくれたら誰もがアリスになり得るの。貴女だってきっと」

雪華綺晶「わたくしにはそんな人いません!もういい………これ以上悲しませないで…」

アリス【雪】「きゃあっ!」



大ジュン「雪華綺晶っ!」

鳥海「間に合ったか!?」

大ジュン「えっ!?お前どこに行って…!……その子は?」



薔薇水晶「………」

鳥海「この子は薔薇水晶。父親を探しているんだ」

大ジュン「薔薇水晶って……あっちの僕の話に出てきた…!」

薔薇水晶「お父様はどこ…?」

鳥海「あそこにいる」



元治「」

オディール「」

トゥモエ「」

JUM「」





槐「」





薔薇水晶「…お、お父様ぁ!」ダッ…!

大ジュン「あれがあの子の父親…?この世界の僕たちと一緒に眠らされてるぞ!」

鳥海「そう。彼も僕と同じ。雪華綺晶の力を使って人形に生命を吹き込んでいたんだ」

鳥海「まぁ、あっちは本物の人形師だけあって人形造りに関しては俺より上だけど…」

大ジュン「じゃあ、薔薇水晶が第7ドールとしてアリスゲームに参戦したのは…」

鳥海「槐と薔薇水晶の事もすべてこっちの雪華綺晶の手の内だったって訳さ」

大ジュン「そうだっ!雪華綺晶が…!」





雪華綺晶「至高の少女とはこの程度なのですか?完璧な存在だと聞いていましたのに」


アリス【雪】「うぅ…、みんな…耐えて……!」


ジュディカ(ナンか苦しいから無理かモ)

マデュリン(ソンなこと言わずニ頑張ロうよぉ…)

薔薇の女王様(イヤ、コれマジ無理だっテ)

アレニエ(ワタしたちみミンな集まってもキ、厳シイとハ思ってタ)

コドウグ(ソレデもマスターを みんなを守るノ)


アリス【雪】「そうです……守ります絶対に!ベリーベル…マスター!力を…貸して……」

ベリーベル「はいなの!」パァ!

大ジュン「待っててくれ!雪華綺晶!今いばらを切るから!」


雪華綺晶「うふふ、辛そう。いばらに縛られてとっても痛そう……今楽にしてあげる。……ホーリエ!」

ホーリエ?「………」スィ

ベリーベル「ホーリエ!?」

ホーリエ?「……残念だけど…これで終わりよ」カッ!


大ジュン「雪華綺晶!!ベリーベル!」

アリス【雪】「…………えっ、無事…?」

ベリーベル「水晶の壁?これが守ってくれたなの?」


雪華綺晶「一体なにが…?……!!」

ホーリエ?「…貴女を前にすると 真紅様を思い出します」



薔薇水晶「あなたが…雪華綺晶?」



雪華綺晶「はじめまして、雪華綺晶です。貴女も遊びに来たの?」

薔薇水晶「違う」

雪華綺晶「じゃあ何しに来たの?それに何故動いていられるのですか?」

薔薇水晶「わからない。でも解ることもあります」

雪華綺晶「それはなぁに?」

薔薇水晶「お父様が私を呼んでる。悲しそうな声で」

雪華綺晶「悲しそうな…?そんなことはないと思いますよ。だって幸せな夢を見ているのですから」

薔薇水晶「ただ私の名前を呼ぶだけ。でも今確信しました」チラッ



槐「」



薔薇水晶「あんな状態なら苦しくて当たり前。その原因を取り除く」

雪華綺晶「えっ、原因…?取り除くって……」

薔薇水晶「あなたを倒してお父様を取り戻す!」

薔薇水晶「そっちの雪華綺晶。……邪魔」スパッ…!

ベリーベル「いばらが解けたの!」

アリス【雪】「あ、ありがとうございます。でも、その子はただ寂しかっただけで…!」

薔薇水晶「…知りません」


雪華綺晶「あなたも私の苗床を奪いに来たの…?もうたくさん……」うるっ…

雪華綺晶「みんな……みんな私をいじめて……うぅ…」ポロポロ

薔薇水晶「泣いてもダメ。お父様は貴女の事も知っていたみたい」スパッ!

雪華綺晶「ま、また茨を…!」

薔薇水晶「だってこんなによく斬れる。貴女との戦いを想定して私を造ったの」

雪華綺晶「ベリーベル!レンピカ!」

薔薇水晶「あまい」ガッ!

ベリーベル?「」ポトッ

レンピカ?「」ポトッ

雪華綺晶「スィドリーム!!」ズズズ…!

薔薇水晶「いばらを増やしても無駄です」スパパッ!!

雪華綺晶「!!」

大ジュン「すごい!圧倒してるぞ」

鳥海「薔薇水晶を造った槐はよほど雪華綺晶を意識してたんだな。姿も似てるし」




ホーリエ?「はぁ…、デジャヴ…ね……」ポトッ…

薔薇水晶「ホーリエ、雪華綺晶を倒したらあなたのご主人様も救ってあげる」


雪華綺晶「どうして……どうしてみんな邪魔するの…?」シクシク…

薔薇水晶「力は貴女の方が遥かに上です。だけど私は貴女の力を逆手に取ることができる」

薔薇水晶「間接的ではあるけど私は貴女に生み出された。これは下克上」

薔薇水晶「意思ある者を娯楽感覚で生み出す貴女を許しはしない」チャキッ!

雪華綺晶「うぅ…ぐすっ…」


アリス【雪】「ちょ、ちょっと待ってください!」


薔薇水晶「なに?」

アリス【雪】「そっちの私。あなたは『まかなかった世界』には行っていないのですか?」

雪華綺晶「い、いいえ。こちらの世界にもあるのですか…?」グスッ…

アリス【雪】「ジュン様は?『まかなかった世界』と交信している途中のジュン様を捕らえたのではないのですか?」

雪華綺晶「先程も言いましたけど…こちらの桜田ジュンは真紅と薔薇水晶の戦いの後に手に入れました」

雪華綺晶「貴女の世界を知ったのもつい最近。そちらの世界に行けたのも貴女と心の波長がピッタリ合わさったから」

ベリーベル「!」

アリス【雪】「そんな…。それでは、こっちの私をどうやって救えばいいの…?」


薔薇水晶「……救う…?」

アリス【雪】「いくら自分とはいえ、こんなに泣きじゃくってる方を放ってはおけません」

アリス【雪】「私は真紅お姉様やみんな…マスターに救われました。彼女も救われていいはずです」

大ジュン「雪華綺晶…」

薔薇水晶「…あなたも散々やられたでしょう…?」

アリス【雪】「それでも許します。彼女が私だから許すのではありません」

アリス【雪】「その苦しみを知っているから…なんとかしてあげたい」

雪華綺晶「………」

薔薇水晶「私には関係ない」

アリス【雪】「関係あります。間接的でも私たちは姉妹なんです」

薔薇水晶「…知らない」

アリス【雪】「貴女の気持ちもわかります。大切な人を奪われて苦しませた人物を放ってはおけないでしょう」

薔薇水晶「わかってるならどいて」

アリス【雪】「どきません。みんな無事に……それが私の願いでもあるから」

薔薇水晶「……」チャキッ

アリス【雪】「バラバラにされても私は彼女を守ります」ぎゅっ

雪華綺晶「あっ…」

雪華綺晶「わたくし……抱きしめてもらうの初めて…」

アリス【雪】「大丈夫。わたくしがいるから」

雪華綺晶「いる…?一緒にいてくれるの?」

アリス【雪】「はい」

雪華綺晶「わたくしを理解してくれるの?」

アリス【雪】「ええ。それにもう私たちは理解し合っている」

アリス【雪】「あなたも苗床を奪われて悲しかったでしょう?それと一緒です」

雪華綺晶「みんな悲しい想いをしていた…?なら私は……わたくしは…」

アリス【雪】「あなたは悪くない。こうするしか無かったのですから」グスッ…

アリス【雪】「みんなわかってくれます。だから…そんなに泣かないで」ぎゅっ

雪華綺晶「あ、あぅぅ……」ぎゅっ


薔薇水晶「…………」

薔薇水晶「…せめてお父様だけでも解放してください」ハァ…


大ジュン「良かった…。どっちの雪華綺晶も無事で本当に良かった」

鳥海「あぁ、無事解決だな」



ガッシャーーーーン!!!!!



アリス【雪】「!?」

大ジュン「な、なんだ!?」

水銀燈「見つけたわよ!白薔薇ぁ!!」バサッ!

金糸雀「めぐや他のミーディアムを返してもらうかしら!」スタッ!


雪華綺晶「お、お姉さま方…!」

薔薇水晶「タイミングが悪い…」


金糸雀「水銀燈!薔薇水晶もいるかしら!復活していたなんて……それに白薔薇が二人も…!」

水銀燈「この間の雛苺といい…どうなってるのよ!」

金糸雀「いくつか想像はできるけど……敵である可能性は高いわ」

水銀燈「チッ!なんてこと。貴女と手を組んで良かったと思うなんてね…」

金糸雀「褒めてもらって嬉しいけど…、そんな場合じゃないわね」

金糸雀「ここで……これですべてが終わるかしら!」



大ジュン「水銀燈に金糸雀!?あの二人がどうしてここに…!」

鳥海「まずいな。あの二人はこの世界のドールだ」

大ジュン「えっ?おい、じゃあ……」

鳥海「アリスゲームが始まる。いや、終わるんだ」

大ジュン「! そ、それじゃ この世界の雪華綺晶が…!」

鳥海「雪華綺晶は疲弊しきってる。もう戦うことは…」

大ジュン「そ、そんな…」



アリス【雪】「お姉さま方!待ってください!もう彼女に戦意は…!」

ラプラスの魔「いけませんよ。アリスのお嬢さん」

アリス【雪】「ラプラスの魔!?」

今日はここまで。
もうそろそろ終わります。

まだ読んでくれてる人がいて嬉しいです。
続きを投下していきます。

ラプラスの魔「この世界のアリスゲームはこの世界のドールたちのモノ」

アリス【雪】「彼女はわたくし達と戦ったあとなんですよ!」

ラプラスの魔「それは7番目の薔薇が自ら選んだ道」

ラプラスの魔「歪みを生み出した代償は同じく歪みから」

アリス【雪】「な、なに?空間が歪んで…」



――――――――――――――――――――――――


金糸雀「……!」

水銀燈「……!………!」

薔薇水晶「………」

雪華綺晶「………。………?」オロオロ


――――――――――――――――――――――――



アリス【雪】「声が聞こえない…?あっちに行けない……これは…」

ラプラスの魔「他のゲームに割り込むのは野暮というものです」

ラプラスの魔「あなたたちの望む通り。無事にお帰りください」

アリス【雪】「待って!この世界の皆さんが!」

ラプラスの魔「最後の1人になるまで。これはそういうゲームだと貴女も知っているでしょうに」

アリス【雪】「そ、そんな…」


雪華綺晶「…、……!!」


アリス【雪】「!」

雪華綺晶「……?………」

雪華綺晶「……!…………!」



アリス【雪】「……まだわたくしの姿が見えているの…?」

アリス【雪】「待っててください!いつかまた会いに行きます!だから…!」

アリス【雪】「だから貴女も闘って…!」


雪華綺晶「…。、、……。…」



ラプラスの魔「困ったお嬢さん方です。このゲームは彼女たち7人だけのものだというのに」

ラプラスの魔「マスターのあなたからも何か言ってあげてください。坊ちゃん」

大ジュン「そんな事言われても…。うさぎから小言を言われるのなんて初めてだ」

ラプラスの魔「さて、このままうさぎの穴に落ちていきましょう。いえいえ、もう落ちている最中でしたね」

大ジュン「なんだこれ…!床が無くなってるぞ!」

ラプラスの魔「このまま落ち続ければ元いた場所に戻れるでしょう。さて、そろそろお別れと致しましょう」

大ジュン「えっ?」

ラプラスの魔「あちらのアリスゲームを見届ける義務がありますので。それでは失礼」

大ジュン「……あっちの雪華綺晶…無事でいてくれ…!」

 
――――――――――――――――――――――――


水銀燈「…m……!!」

薔薇水晶「…………!」

金糸雀「……!」

雪華綺晶「……!………!」


――――――――――――――――――――――――












アリス【雪】「もうあんな遠くに…」

鳥海「さて、そろそろ俺らも眠ろうかな」

アリス【雪】「えっ?もう眠るのですか?」

ジュディカ「ホントだ。眠クなってきた」

マデュリン「うん、そろそろ眠ロう」

薔薇の女王様「スリルがあっテ楽しかっタワ」


大ジュン「眠るって……雪華綺晶の中に戻るのか?」

鳥海「そうだよ。俺らは常に雪華綺晶と一緒にいる。意識はないけどな」

アリス【雪】「もう少しゆっくりしていけばいいですのに…」

鳥海「そうもいかないよ。だって元の世界に戻るんだから。そうしないと雪華綺晶も体を維持できないし」

アリス【雪】「そう……ですね」

コドウグ「どウしたノ?」

アリス【雪】「薔薇水晶さんの言葉が気になりまして…。あなたたちに辛い思いをさせてるんじゃないかと…」

ジュディカ「わたしは満足してルわ。ジュンと雪華綺晶のイチャイチャも見れるシ」

アリス【雪】「いつも見てるの!?」

大ジュン「その前にイチャイチャとかしてないと思うけど…」

鳥海「一緒に大学行ったりとかの話だよ。まぁ雪華綺晶の気持ちが伝わってくるくらいだから」

薔薇の女王様「ニヤニヤしたワ」

アリス【雪】「恥ずかしい…」

薔薇の女王様「アー、楽しみダワ。ジュンと雪華綺晶が×××や△×□○とかするの楽しみダワァ。早く見たイ」

アリス【雪】「な、な、なんてこと言うんですか!!そ、そんな事しませんわ!///」

ジュディカ「でモ興味はあルんでしょ?」

アリス【雪】「そ、それは……」モジモジ

アレニエ「ねね、ねェ、×××や△×□○ってテな何?」

マデュリン「し、知らなイ…///」

薔薇の女王様「ケモノの姿なラ動けるから夜に……でもムードないワネ」

ジュディカ「なラまいたジュンも呼んで一緒にやるとか。それなラ元の姿でモできるワ」

薔薇の女王様「それヨ!ダブルでリッチだワぁ!!」

アリス【雪】「もうやめてください!///」



鳥海「女子のこういうガールズトークってついていけないよなー」

大ジュン「いや、それ以前に本人の前でしていい会話じゃないだろ…」

コドウグ「マスタ ×××したいノ?」

大ジュン「ちょっ!コドウグまで何言ってるの!?」

鳥海「さぁ、みんな。そろそろだ」

薔薇の女王様「そうネ。雪華綺晶、応援してるワヨ」

アリス【雪】「もうっ!知りません」プイッ

薔薇の女王様「ふふ…。ジュン、しっかりネ」グッ!

大ジュン「何その親指…。腹立つんだけど」

ジュディカ「またネ」

マデュリン「ばいばーイ」

アリス【雪】「えぇ、また…と言うのも変ですけど、またお会いしましょう」

アレニエ「こ紅茶おいいしかっタ。まタ飲みたい」

大ジュン「今度淹れてやるよ」

アレニエ「たた楽しみナノダワ」

大ジュン「ははっ、今より美味しく淹れられるようにしておくよ」


コドウグ「マスタ ずっと一緒」

大ジュン「あぁ、そうだな」

コドウグ「ウん」ノシ



鳥海「それじゃあ、またな」

アリス【雪】「………」

大ジュン「………」

アリス【雪】「マスター」

大ジュン「うん?」

アリス【雪】「わたくし……幸せで色んな事を忘れていました」

大ジュン「忘れてもいいさ。思い出せたんだから」

アリス【雪】「あの……今回は本当にすみませんでした。わたくしの未熟な心が原因です」

アリス【雪】「マスターのお友達や斉藤さん……わたくしの知らないマスターを知ってる人たちに嫉妬してしまったんです」

アリス【雪】「それがこんな大変な事に繋がってしまって……」

大ジュン「いいさ、誰だって嫉妬くらいするって」

アリス【雪】「でも……」

大ジュン「帰ったらケーキ食べよう。デートの続きだ」

アリス【雪】「!」

大ジュン「ほら、行こう。僕の手をとって」つ

アリス【雪】「は、はい!」つ



大ジュンつ⊂アリス【雪】



―――――
――――――――
―――――――――――


 

 
――――大ジュンの部屋


大ジュン「………んっ」むくっ

大ジュン「夢………じゃないよな?劇団から帰ってきてからあまり時間経ってない…」

大ジュン「久しぶりのnのフィールドは疲れるよなぁ。雪華綺晶、ケーキはご飯の後でいいよな?」

大ジュン「雪華綺晶…?」



雪華綺晶「」



大ジュン「元に戻っちゃったのか?おーい、雪華綺晶さーん」

雪華綺晶「」

大ジュン「ケモノの姿でもない。元の姿だ。こうなると動けないんじゃ…」

雪華綺晶「」

大ジュン「先にケーキ食べちゃおうかなー」チラッ

雪華綺晶「」

大ジュン「なんだよ…。今日は記念日だって……ずっと一緒にいられるって喜んでたのに…」

大ジュン「…ケーキはとっておくよ。だから早く目覚めてくれよ」

大ジュン「目覚めたら記念日の続きをしよう。待ってるからな」

 
次の日―――


大ジュン「……」

けものきらきー「」

大ジュン「起きてるわけ…ないよな…」

けものきらきー(えっ?起きてますよ)

大ジュン「うぉわ!き、雪華綺晶もう起きたのか!?」

けものきらきー(もうって……早くに起きてはいけなかったのですか?あと、おはようございます)

大ジュン「お、おはよう……いや、だってその姿は昨日だけって話だったから…」

けものきらきー(昨日まいたジュン様が来てもう少しだけ力をもらったんです)

大ジュン「えっ、いつの間に…」

けものきらきー(しかも少しの間なら自分の意思で動けるようになりました!)

大ジュン「なんだよそれ…。昨日の僕の悲しみはどこにへ…」

けものきらきー(まぁ!悲しかったのですか?)キラキラ

大ジュン「い、いや、…ちがっ」

けものきらきー「フフフ(目覚めたら記念日の続きをしよう。待ってるからな(笑))」

大ジュン「おいやめろぉぉ!」

大ジュン「はぁ…、朝から疲れた…。それで自分の意思で動けるんだっけ?」

けものきらきー(はい。ケモノの姿になれば動けるようになるのです)

大ジュン「なんだよそれ…。それなら最初からそうしておけばいいのに…」

けものきらきー(ジュン様はケモノの能力は今回のお詫びだって言っていました)

大ジュン「お詫び?」

けものきらきー(あちらの世界を繋げたのは自分かもしれないと仰っていました)

大ジュン「そうかな…?そこまで責任感じなくてもいいのにな」

けものきらきー「がぅ!(さ・ら・に! えいっ!)」パァァ!!

アリス【雪】「マスター」キラキラ

大ジュン「いっ!?その姿にもなれるのか!」

アリス【雪】「はい。これで電話に出ることもできますわ。コホン…桜田です。…妹?いいえ、違います。妻です」

大ジュン「何言ってるの!?電話に出る練習なんてしなくていいから!」

アリス【雪】「そうですか?それならその……///」モジモジ

大ジュン「?」

アリス【雪】「あの…、この姿なら……夜のお相手もできますし…///」モジモジ

大ジュン「えぁっ!?///」ドキッ!

アリス【雪】「この姿の時はジュディカ達の意識もありますけど……それでもいいなら…」

大ジュン「見られながらって……どんな羞恥プレイだよ…」

アリス【雪】「マスター…」ズィッ

大ジュン「あっ……えっと…そうだっ!ケーキ食べよう!」

けものきらきー(ケーキ!?)ポワン!

大ジュン「ほっ…」

けものきらきー(ケーキ!ケーキ!)ズンチャカ♪

大ジュン「さっきの様子はどこへやら…。ほら、食べようか」

けものきらきー(わぁい!ケーキですわ!)

大ジュン「紅茶も用意してっと。半分こっこするんだっけ?」

けものきらきー(あっ!そうでした!半分こっこです)

大ジュン「いちごも半分こだっけ?」

けものきらきー「がぅ…(やっぱり今のお話は無かったことに…)」

大ジュン「やっぱり嫌だったのかよ!」ガビーン!


つづく
 

今日はここまで。後編はこれで終わりです。
続きは近いうちに投下します。

読み返してみたら、けものきらきーが家うまるちゃんみたいになってしまいました。

遅くなりました。投下します。

 
【おまけ】



大ジュン「帰ったらケーキ食べよう。デートの続きだ」

アリス【雪】「!」

大ジュン「ほら、行こう。僕の手をとって」つ

アリス【雪】「は、はい!」つ



大ジュンつ⊂アリス【雪】



―――――
――――――――
―――――――――――




――――無意識の海


雪華綺晶「ここは……無意識の海ですか」

雪華綺晶「ここにいるという事は物言わぬお人形に戻ったということ。帰ってこられたのですね」

雪華綺晶「マスターも無事に戻れたでしょうか?」

薔薇の女王様「ねェ、雪華綺晶」

雪華綺晶「きゃあ!?」ビクーン!

雪華綺晶「び、びっくりしました…」

薔薇の女王様「失礼シちゃうワ!」プンスカ!

雪華綺晶「すみませんでした。あの…、さっきお別れしたはずでは?」

薔薇の女王様「そうそう。アナた×××よくワかってなさそうだかラもう一度説明しようと思ったノヨ」

雪華綺晶「またそのお話ですか!?知ってるので大丈夫です!」

薔薇の女王様「本当二?じゃあ言っテみなさイヨ」

雪華綺晶「い、いえ…、そんな事とても口では…」

薔薇の女王様「ここにはワタシとアナたしか居ないワ。だからイイじゃない」

雪華綺晶「で、でも…」

薔薇の女王様「いいかラ!復唱要求!!」

雪華綺晶「ひ、ひゃい!えっと……、その…」

薔薇の女王様「うンうン」

雪華綺晶「マスターのマスターを私にソレしてぴゅってして試合終了です!」

薔薇の女王様「………」

雪華綺晶「ち、違いましたか…?」

薔薇の女王様「あっテルっテ言えばあっテルけど……試合終了って…」

雪華綺晶「ほっ…」

薔薇の女王様「安心してルンじゃないワヨ!肝心な所を理解していないワ。少し勉強しテもらうワヨ」

雪華綺晶「えぇぇ~~!!だって合ってるって…!」

薔薇の女王様「いいかラ!心と体を守る巻き巻きヲ教えてあげル」ビシッ

雪華綺晶「ひぃん!」




雪華綺晶?『………』




雪華綺晶「!……この感じ…」

薔薇の女王様「何よそ見してルのヨ!」

雪華綺晶「ちょ、ちょっとタイム!タイムですわ!」

薔薇の女王様「な二ヨ」

雪華綺晶「この感覚…。こっち!」スイ

薔薇の女王様「どこいくノヨ!」

雪華綺晶?『………』


雪華綺晶「やっぱり…。あの世界のわたくしですね?」

雪華綺晶?『………』

薔薇の女王様「これが雪華綺晶?こノどろどろガ?」

雪華綺晶「恐らく自己のイメージが曖昧なのだと思います。このままでは迷子になってしまう…!」

薔薇の女王様「『9秒前の白』二行く一歩手前っテことネ」

雪華綺晶「そうです。なんとかしないと…! わたくし!アリスゲームはどうなったのですか?」

雪華綺晶?『………』

薔薇の女王様「返事ガないワネ。そもそもそンな二早くアリスゲームガどう二かなるノ?」

雪華綺晶「恐らくこちらとあちらの時間の進み方が違うのでしょう」

薔薇の女王様「まいた世界とまかなかった世界ノよう二?あっちは一応まいた世界ヨ。そんな二早く時間ガ進むとは思えないワ」

雪華綺晶「私にもわかりません。でも、今目の前に彼女が居る。それは間違いありません」

薔薇の女王様「そうネ」

雪華綺晶「もう一人のわたくし!聞こえますか!返事をしてください!」


雪華綺晶?『わた…くし……』


雪華綺晶「!」


雪華綺晶?『わたくしは……だれ…?』

薔薇の女王様「やっぱリ自己ガ希薄ネ」

雪華綺晶「も、元に戻らないと茨の鞭で百叩きしますよ!」

薔薇の女王様「な二ヨそれ…」

雪華綺晶「真紅お姉様はこうやってジュン様を呼び戻していたので…」

薔薇の女王様「もっとアナたラしい呼び戻し方をしなさいヨ」

雪華綺晶「私らしい……」

雪華綺晶?『………』

雪華綺晶「……」

雪華綺晶「立派に闘かったのですね。その様子を見ればわかりますよ」

雪華綺晶「わたくしなんかより立派に…」

雪華綺晶?『………』

雪華綺晶「お疲れさまでした。同じ雪華綺晶として貴女を誇りに思います」

雪華綺晶「そして…、また会えて嬉しいです」

雪華綺晶?『ほん…とう…?』

雪華綺晶「! もちろんです」

雪華綺晶「あなたのお名前は雪華綺晶。あなたが迷子になったら私が貴女の手を引きます」

雪華綺晶「だから安心して。あなたは一人ではないから」

雪華綺晶?『一人じゃない…?』

雪華綺晶「そうです。貴女が望めばいつでも会えます。だから貴女は大丈夫」

雪華綺晶?『いつでも会える……嬉しい…あぁ嬉しい…』スゥゥ…

薔薇の女王様「チョット!消えたワヨ!」

雪華綺晶「彼女も元の世界に帰ったんだと思います」

薔薇の女王様「なルほどね。元の世界に………アナたもお迎えが来てるわよ」

雪華綺晶「えっ?」





ジュン「雪華綺晶、お疲れ様」


雪華綺晶「ジュン様!」

ジュン「ベリーベルから話は聞いたよ。やっぱり大変だったみたいだな」

雪華綺晶「本当ですよ!すっごく大変だったんですから」

ジュン「ごめんごめん、でもそのおかげで色々得たものもあったみたいだから」

雪華綺晶「そう言われると……忘れていた事も思い出せましたし」

ジュン「そうか。…とは言っても今回は僕にも非がありそうだからなぁ。少しお詫びをしないと」

雪華綺晶「お詫び? ところで、ジュン様はわたくしを起こしに来てくれたのですか?」

ジュン「違うよ。僕はきみのマスターだけどマスターじゃない。今度からはあっちの僕が雪華綺晶を起こしてくれる」

雪華綺晶「そう…なのですか?」

ジュン「薔薇の女王様も雪華綺晶の中に戻ったからそろそろかな」

雪華綺晶「あっ!本当ですわ!いつの間にっ」


雪華綺晶「あの、ところでお詫びって…?」

ジュン「あっちの僕が呼びかけたら起きられるようにしておこうかなって思ってね」

雪華綺晶「そんな魔法みたいなことを!?」

ジュン「お詫びっていうか元々そうしようと思ってた事だしさ」

ジュン「幸せに生きていてほしいから」

雪華綺晶「お父様のお言葉…。ジュン様……わたくしは…」

ジュン「大丈夫。あっちの雪華綺晶も起こしてくれる相手がちゃんといるよ」

雪華綺晶「ほ、本当ですか?」

ジュン「ああ。だから大丈夫。そろそろ呼び戻されるから それまでおやすみ」スゥ

雪華綺晶「ジュン様、ありがとう…ございま…す…」zzZ

 
―――――――――――
――――――――
―――――



大ジュン「いちごも半分こだっけ?」

けものきらきー「がぅ…(やっぱり今のお話は無かったことに…)」

大ジュン「やっぱり嫌だったのかよ!」ガビーン!

けものきらきー「うふふ」

大ジュン「ん?どうした雪華綺晶」

けものきらきー(起こしてくれてありがとう。マスター)ニッコリ



【おまけ】

おわり

 
ここはとっても不思議なカフェ。

nのフィールドのどこかにある。普通では絶対にたどり着けないカフェテリア。


少し気だるそうなマスター(店主)が、紅茶やコーヒー、時々人生相談などを振る舞います。


えっ?そんなお店に来るのは限られた人だけですって?そんな事ありませんよ。
道に迷った人なら誰でも来られるのです。今まで色んなお客様が訪れました。

……まぁ、今日のお客様はいつものメンバーですけど。


カランカラン!


ほら、予約していたお客様がいらっしゃいましたよ。
だから起きてください、マスター。




カフェ【Mercury Lampe】
特別編 『【雛苺】どこでもいっしょ【雪華綺晶】』



 

 

カランカラン!


メイメイ「いらっしゃいま……!!?」


けものいちご「なのー!なのー!」

けものきらきー「がぅが!!」


メイメイ「なっ!?なっ!?」

けものいちご「なのぉぉぉぉ!!」クルクル

けものきらきー「にぱー♪」くるくるっ

メイメイ「なにこれ!?か、囲まれ……マスター!マスター!!」


水銀燈「うるっさいわねぇ。せっかく気持ちよく寝てたのに…」

メイメイ「マスター!け、ケモノが店内に…!」

水銀燈「はぁ……、その姿で飲食店に入るものじゃないわぁ」

水銀燈「元に戻りなさい。雛苺、雪華綺晶」

メイメイ「雛苺様と雪華綺晶様…?」


雛苺「ごめんなさいなのー」ぼわん!

雪華綺晶「この姿が板についてしまって」ぼわん!


メイメイ「!?」

メイメイ「えっ?えっ!?」

雛苺「ごめんね、メイメイ」

雪華綺晶「イタズラが過ぎましたわ」

メイメイ「い、いえ……それよりもさっきのお姿は…?」


カランカラン!


翠星石「チビイチゴに雪華綺晶!早く走りすぎですぅ!」ゼェ…ハァ…

蒼星石「やっと追いついたよ」

真紅「まったく…、ドレスが乱れてしまったわ」

金糸雀「目的地が同じなら急いで来なくてもよかった気がするかしら…」


メイメイ「あっ、皆様!いらっしゃいませ」

真紅「お邪魔するわね、メイメイ」

水銀燈「はぁ、もういいからさっさと座りなさいよぉ」

水銀燈「久しぶりの開店でいろいろ忘れたわ。どうするんだっけ?メイメイ」

メイメイ「まずは皆様からご注文をお伺いしたと思います」

水銀燈「えー、めんどくさぁい」

真紅「いいから早く注文を取ってちょうだい」

水銀燈「わかったわよぉ……何飲みたいの?」

真紅「いつものを頼むわ」

蒼星石「いつものを頼むよ」

翠星石「いつものですぅ」

金糸雀「いつものかしらー」

雛苺「いつものなの!」

雪華綺晶「いつものをお願いします」


水銀燈「だから忘れたって言ってるでしょ!ちゃんとメニュー名言いなさいよっ!」

 

――――――


水銀燈「雛苺がストロベリーのロシアンティーで雪華綺晶がレディグレイだったわよね」コポコポ…

雛苺「そうなのー」

雪華綺晶「ありがとうございますわ」

真紅「うん。やっぱり貴女の紅茶は美味しいのだわ」

水銀燈「それはどうもぉ…」

翠星石「なんでそんなグデンとしてるです?」

水銀燈「だって年明けなのよぉ…。なんでそんな時に私が労働しなければいけないのよぉ…」

金糸雀「ずっと休業してたのだからいい機会かしら」

水銀燈「やぁよぉ……お茶会の準備ならジュンかのりにやらせなさいよぉ…」

真紅「たまには薔薇乙女だけで集まるのもいいと思ったのよ」

水銀燈「えー……」

蒼星石「今回は薔薇乙女だけの新年会だからね」

翠星石「今年の抱負や去年あった事を振り返るのもいいじゃねーですか」

水銀燈「去年なんてどうでもいいわよぉ…」

蒼星石「そういえば、去年は雛苺と雪華綺晶がすごい体験をしていたね」

雛苺「そうなの!別の世界樹の世界に行ったのよ」

翠星石「別のアリスゲームが行われてる世界でしたっけ?」

雪華綺晶「そうです。その世界のアリスゲームに関わってしまって…」

真紅「アリスゲームはもう懲り懲りなのだわ…」

水銀燈「そうかしら?違う世界の自分と戦ってみたい気はするわよ」

雛苺「でも、あっちの世界の水銀燈ってすっごく強かったのよ」

金糸雀「剣を使っていたって聞いたかしら」

翠星石「剣だけならともかく、羽がドラゴンになって火を噴くんですよね。こっちの水銀燈じゃぜってー勝てないですぅ」

水銀燈「そんな野蛮な戦法使わないわよ。それにドラゴンくらい私にだって」

蒼星石「できるの?」

水銀燈「……ドラゴンにする必要なんてないじゃないの」

真紅「とにかく二人とも無事で何よりだったわ」

金糸雀「それにしても…未完成のまま放置するとか有り得ないかしら」

真紅「あっちの水銀燈の事ね。こっちのお父様が知ったら怒りそうな話なのだわ」

水銀燈「………」

雪華綺晶「あの……お姉様…?大丈夫ですか?」

水銀燈「大丈夫よ。でも、腹部のパーツを付けてもらえないなんて本当のジャンクだわ…」

水銀燈「その私はさぞお父様を恨んでいた事でしょう。私だったら殺してやるわ」

雛苺「んーん、あっちの水銀燈もお父様をすっごく愛していたと思う」

水銀燈「はっ!とんだ笑いものね!そんな仕打ちをされても愛していただなんて」

真紅「貴女もそうでしょ」

水銀燈「……はぁ?」

真紅「あなたもその水銀燈の気持ちがわからない訳ではないでしょう?」

水銀燈「…知ったような口を聞くのね。真紅」

真紅「天邪鬼な貴女よりも素直なだけよ。お姉様」

水銀燈「………」

真紅「………」


翠星石「なんでこの二人は顔を合わせるとケンカし始めるですかねぇ」

蒼星石「仲がいい証拠だよ」

雪華綺晶「そ、そうなのでしょうか…?」


ポーン…!


雛苺「!」

雛苺「ハ長調のラ音なの!そうよね、ベリーベル」

ベリーベル「」コクコクッ!

雛苺「雪華綺晶!来たのよ」

雪華綺晶「了解ですわ!えいっ」ぼわん!


けものきらきー「がおー」

メイメイ「!?」


金糸雀「水銀燈、アレはまだ持ってるかしら?」

水銀燈「お父様のアトリエにあったやつよね。ほら、雪華綺晶」

けものきらきー「?」

水銀燈「そのチョーカーを首に付けてれば言葉を話せるわよ」

けものきらきー「あ、あー。ホントですわ!」



カランカラン!



雪華綺晶「あ、あの……おじゃま…します」

薔薇水晶「……」


メイメイ「!!?」

今日はここまで。
明日の投下でラストになります。

それでは投下していきます。

メイメイ「えっ!?えっ!?き、雪華綺晶様が三人も!!?」

蒼星石「なんだい、水銀燈。メイメイには話してなかったのかい?」

水銀燈「その方が面白いでしょ」

メイメイ「えぇ~…」



けものきらきー「待ってましたわ」

雪華綺晶「あっ!よかった。ここで合ってたんですね」

けものきらきー「お久しぶりですね!」ウフフ

雪華綺晶「また会えて嬉しいです!」ウフフフ

薔薇水晶「本当に久しぶり」



翠星石「3人とも手を繋いで回ってるですぅ…」

蒼星石「ハイジとクララとヨーゼフみたいだ」

真紅「ヨーゼフって…」


雛苺「ぅヒナもーーー!!!!」がばっ!

雪華綺晶「きゃー!雛苺―♪」


蒼星石「ユキちゃんまで加わったね」

水銀燈「いいから座りなさいよぉ…」

水銀燈「はぁ…、あなたたちを見てたら気が抜けたわぁ…」

翠星石「元々気なんて張ってねぇですけどね」

けものきらきー「何か飲みます?」

雪華綺晶「えっと……私たちお金がなくて…」

けものきらきー「大丈夫です。ほとんどタダみたいなものですから」

水銀燈「ちょっと何言ってるのよぉ!」

雪華綺晶「本当ですか?では…、オレンジペコをお願いします」

薔薇水晶「…カモミール」

水銀燈「はぁ…、仕方ないわね…」


翠星石「それにしても良いタイミングで来ましたねぇ」

真紅「そうね。私達は一応話だけは聞いてたけど、こうして会うのは初めてよね」

雪華綺晶「は、はい。はじめまして」

薔薇水晶「そうですね。初対面です」

蒼星石「君たちの話は妹たちから聴いてるよ。そっちのアリスゲームに干渉してしまったらしいね。…ごめんよ」

雪華綺晶「あ、謝らないでください。私に非がありますし」

翠星石「それで結局どうなったですか?」

蒼星石「僕たちも雛苺とこっちの雪華綺晶の話でしか知らないからね」

金糸雀「そっちの世界のカナたちが乱入してきた所までかしら」

けものきらきー「実はわたくしもどうなったかまでは…」

雪華綺晶「ではお話しますね。あの時もう一人の私が薄れていくところから―――…」



  ・
  ・
  ・


―――――
――――――――
――――――――――――


アリス【雪】『……!?』

大ジュン『……!』


雪華綺晶『えっ?お二人共どうしたのですか?体が…』

薔薇水晶『元の世界に帰ろうとしている』

雪華綺晶『そ、そんな…』


金糸雀『なるほどかしら。あの白薔薇はやっぱり別の世界線から来たドールね』

水銀燈『別の世界って……この間の雛苺みたいな?』

金糸雀『恐らくそうかしら。なら、この世界の薔薇乙女は貴女。貴女が本物の第7ドールって事かしら』

雪華綺晶『……』

水銀燈『ふーん、そういうこと。偽物やら他の世界やらもううんざりだわ』

水銀燈『どうやら疲れてるみたいだし簡単に倒せそうね』

金糸雀『水銀燈、油断は大敵よ』

水銀燈『うるさいわね。とにかく白薔薇!あなたをジャンクにしてあげるわぁ』

薔薇水晶『…………』

雪華綺晶『うぅ…。………?』オロオロ



アリス【雪】『………?………、……』

アリス【雪】『……!…………!』



雪華綺晶『…?』グスンッ…


アリス【雪】『…、……』


雪華綺晶『何を伝えたいのですか…?聞きたい。待って私…、行かないで…!』

金糸雀『よくはわからないけど、往生際が悪いかしら』

水銀燈『そうね。これで終わりよ』ヒュン!


ギィン!!


水銀燈『!』



薔薇水晶『………』 

水銀燈『なんのつもり?やっぱり貴女も白薔薇の手先だったという訳ね』

薔薇水晶『逆です。私も彼女に大切な人を奪われたから』

金糸雀『なら何故邪魔をするのかしら?貴女はローゼンメイデンではないのでしょう?』

薔薇水晶『そう。私はローゼンメイデンを超えるために造られた存在。遅かれ早かれ貴女たちとは闘う運命なの』

水銀燈『ふぅん、弱ってる白薔薇は後回しで私達から相手しようってこと。……またジャンクになりたいってわけね』

薔薇水晶『ジャンクになったのは貴女の方でしょう。水銀燈』

水銀燈『言ったわねぇ!!』



雪華綺晶『あ、ああ…、わたくしはどうしたら……』

金糸雀『白薔薇。あなたの名前は?』

雪華綺晶『! き、雪華綺晶といいます…』

金糸雀『そう、雪華綺晶。残念だけど貴女を許す事はできないわ』

雪華綺晶『そうですよね…。わたくしは色んなものを奪ってきた…』

金糸雀『私怨だけではないわ。これはアリスゲームかしら。それだけで理由になる』

雪華綺晶『はい…(……ごめんなさい、もうひとりの私)』



アリス【雪】『     』



雪華綺晶『……どうしてそんな目で見つめてくるの?』

雪華綺晶『怒っているの…?だって一緒にいると言っても私たちは…』


アリス【雪】『待ってて……!いつ……た会いに行き……から…!』


雪華綺晶『声が…!……罪は償うべきです。でも、でもそんな風に言われたら……!』


アリス【雪】『だから貴女も闘いぬいて…!』 ポーン…!


雪華綺晶『…ぐすっ……、聞こえました。心が入ってきます』

金糸雀『最後の会話は終わったかしら?』

雪華綺晶『はい。どんな事があっても精一杯闘えと…それが生きるって事なんだと思います』

金糸雀『……そうね』

水銀燈『いい加減にジャンクになりなさい!!』ガキィン!!

薔薇水晶『私がまた壊れたらお父様を助けられない』ギィン!

水銀燈『部外者が関わろうとするからそういう目に合うのよ!』キィンッ!

薔薇水晶『何とでも言って。私はお父様のために戦う!』バシュッ!

水銀燈「くっ…!その水晶……うざいのよ!!」バサァッ!



金糸雀『改めて闘いを申し込むかしら。いくわよ、雪華綺晶』

雪華綺晶『わたくしも負けませんわ』



水銀燈『めぐを返して!!』

薔薇水晶『私に勝ってから言ってください!』

金糸雀『久々に本気でいくかしら!』カチャ

雪華綺晶『お願い…!もう少しだけ力を…!』ズズ…



――――――――――――
――――――――
―――――


  ・
  ・
  ・


雪華綺晶「こんな感じでした」

ドールズ「………」ずーん…

翠星石「なんか……修羅場すぎてお腹いっぱいですよ…」

金糸雀「そっちのカナってばダークすぎかしらぁ…」

雛苺「ヒナが行った時よりも過酷なの…」

けものきらきー「壮絶ですわ…」

水銀燈「そうかしら?私達のアリスゲームもそれに負けないくらい壮絶だったでしょ」

蒼星石「たしかにね」

真紅「それで…その後はどうなったの?」

雪華綺晶「それが…その後はわからないんです」

真紅「わからない?」

雪華綺晶「はい。その後は無意識の海で彷徨ってて…もう一人の私に助けられました」

蒼星石「そうなのかい?雪華綺晶」

けものきらきー「わたくしも無意識の海を漂ってる時にお会いしたんです」

けものきらきー「その後も、雛苺お姉様と一緒にラプラスの魔に導いてもらって何度か会っていました」

真紅「またラプラスの魔ね…。本当は何者なのかしら?」

雪華綺晶「さあ…」

雛苺「悪いウサギじゃない事は確かなのよ」

翠星石「ふーん。じゃあ、そっちでは誰がアリスになったです?」

雪華綺晶「それもわかりません。ただ声は聞こえました」

真紅「声?」

雪華綺晶「『それが答えなのだな』って…」

真紅「そっちのお父様かしら…?」

雪華綺晶「それで姉妹はみんな蘇り今に至ります」

水銀燈「結局そっちでも全員蘇ったって訳ね」

けものきらきー「そうみたいですね」

金糸雀「ところで、見たところ貴女もエーテル体みたいだけど、ボディはどうやって手に入れたのかしら?」

雪華綺晶「ボディは薔薇水晶のお父様が造ってくれました」

薔薇水晶「私が頼んだの」

けものきらきー「そうだったのですか!では今はどちらに?」

雪華綺晶「桜田家です。『誰も寂しくならないように』って事で一緒に住んでいます」

けものきらきー「ホントですか!?こっちも真紅お姉様がお父様にそうお願いしたんですよ」

雪華綺晶「そうなのですか?すごい偶然ですね!あと、今ではJUMと雛苺が起こしに来てくれるんですよ」

けものきらきー「良かった…。貴女もこれで大丈夫ですね」


金糸雀「でも少し腑に落ちないかしら」

水銀燈「…そうね」

翠星石「えっ?何がです?」

金糸雀「まったく異なる世界なのに似たような結末になるなんて…」

雛苺「似てないのよ。真紅はアリスになってないし、雪華綺晶はまいた世界に残ってるの」

金糸雀「過程はそうだけど結果が似ているかしら。『みんな寂しくないように。』アリスゲームの最後はこうなる運命だったのかしら?」

雛苺「あっちのお父様もヒナ達と同じ気持ちだったのかなぁ…?」

蒼星石「そうかもしれないね」

水銀燈「でも、最初からそうなる運命なら今までの戦いはとんだ茶番だわぁ」

金糸雀「そんな事ないかしら。私達は自分の意志で闘ってきたのよ。それ自体には意味があるのかしら」

翠星石「そうですよ!いっぱいもがいて悩みぬいた結果なんですから」

けものきらきー「わたくしもそう思います。そっちのお父様もこっちのお父様も私たちの事を想ってアリスゲームを始めたのです」

真紅「強かに生きていけるように…ね」

雪華綺晶「私たちはそこまで考えていませんでした。帰ったらあっちのお姉さま方にもお話します」

薔薇水晶「そうですね」



金糸雀「う~ん、実はどっちのお父様も同一人物って仮説を立てたのだけれど、話してもいいかしら?」

水銀燈「長くなるから却下よぉ」

金糸雀「えー!話したいかしら!話したいかしらー!」

水銀燈「愚図るんじゃないわよ。はぁ…、それなら少し考えてあげるわ」

金糸雀「水銀燈…!」キラキラ


翠星石「同一人物ですか…。色んな翠星石たちにアリスゲームを強要してるですか?鬼畜ですぅ!」

蒼星石「翠星石。お父様に暴言を吐いちゃダメだよ」

真紅「要するにすべてのドールを見守ってくれてるって事でしょ」

金糸雀「そう!そこで新たな疑問かしら!色んな世界を見通せるお父様とラプラスの魔はどんな存在なのかって話かしら」

真紅「私たちもお父様のすべてを知っている訳ではないものね」

薔薇水晶「今度ラプラスの魔に聞いてみる」

雛苺「うん!そうしましょ」




水銀燈「そういえば話は変わるけど、そのアリスもどきは何か意味があったのぉ?」

けものきらきー「もどきって…。ベリーベルを救出したり他の方と心を通わせたりとか」

雪華綺晶「あぁ!それで体が薄れても声が聞こえたのですね」

水銀燈「そうなのぉ?今もその姿になれるの?」

けものきらきー「なれますよ」


アリス【雪】「ほら」パァァ!


水銀燈「!」

真紅「眩しいのだわ」

翠星石「真紅の時もこんな感じでしたよ」

雛苺「去年はべリベールを助けてくれてありがとなの!」

ベリーベル「」ウンウン!

アリス【雪】「どういたしまして」ウフフ


水銀燈「ふ~ん…、これがねぇ。ドレス透けてるわよ」

アリス【雪】「えっ?そうですか?」

金糸雀「大丈夫よ。似合ってるかしら」パシャッ!

アリス【雪】「な、なぜ写真を…?」

金糸雀「みっちゃんにも見せてあげようと思って」

蒼星石「その姿でマスターに迫ってるのかい?」

翠星石「そうです!それが気になってたですよ。それでその後はどうなったです?」

アリス【雪】「マスターはガードが固くてとても…」


薔薇水晶「迫るってどういう感じですか?きらきー」

雪華綺晶「な、なぜそれを私に聞くのですか?」

薔薇水晶「同じ雪華綺晶だからJUMにも同じことしてるんじゃないかと思って?」

雪華綺晶「し、していませんわ!///」



けものきらきー「ふぅ…、疲れましたわ」

雛苺「あっ、戻っちゃったの」

水銀燈「ところで真紅」

真紅「何かしら」

水銀燈「金糸雀と一緒に書いていた本はどうなったの?」

真紅「くんくんの同人誌ね。あれならもう出来上がったわ」

翠星石「くんくんの本?そんなの作ってたですか」

雛苺「あっ!そういえば作ってたの」

蒼星石「どんな内容なの?」

真紅「ちょうどいいわ。今持ってるからみんなにも配るわね。水銀燈、今回はこれが紅茶代代わりなのだわ」

金糸雀「本格ミステリーラブロマンスかしらー」

水銀燈「紅茶代に足りるかどうかは読んでから決めるわ」ペラッ

蒼星石「どれどれ」ペラッ

薔薇水晶「あの…、くんくんとホームズが抱き合ってるのですが…」

雪華綺晶「!?」

けものきらきー「ほ、本当ですわ…///」

翠星石「ら、ラブロマンスってお、お、男同士ですよ!?」

真紅「BLが嫌いな女子はいないのだわ」

金糸雀「カナは止めたかしら…」

雪華綺晶「うひゃぁ…!こ、こんな事まで…」

雛苺「ねこ警部とドロボウキャットまでくんくんにメロメロなのよ」

蒼星石「これってどこかで出版したの?」

真紅「くんくんオンリーイベントで販売したわ。販売したのはジュンだけど」

金糸雀「私たちはバッグの中で様子を見ていたかしら」

蒼星石「それでジュンくん燃えつきてたのか。この内容じゃしょうがないかな」

翠星石「これ…ジュン×大ジュンだったら……」ゴクリッ

けものきらきー「奇遇ですね。わたくしもそれ考えてました」ポッ

雪華綺晶「JUMも入れたら、ジュン×大ジュン×JUMですごい事に…!」

薔薇水晶「なにそれすごい」


水銀燈「ま、まぁ……真紅と金糸雀は紅茶代って事でチャラでいいわよ」

真紅「ふふ、どんどん同士が増えていくのだわ」

金糸雀「みんな腐っていくかしら…」

蒼星石「腐薔薇乙女だね」

水銀燈「ふぅ、去年あった事は大体わかったわ」

金糸雀「すべて解決したってことかしら」

けものきらきー「はい、そうです」

翠星石「個人的にはまかなかったジュンと雪華綺晶がどんな生活を送ってるか気になるですけど」

けものきらきー「話した事と変わらないですよ。いつも通りの日常です」

翠星石「なぁんだ。つまんないですぅ」

蒼星石「君たちの世界も平和になったんだよね」

雪華綺晶「はい、とっても平和ですよ」

薔薇水晶「お父様も無事だし万々歳です」

真紅「なら今年の抱負でも話していきましょうか」

雛苺「今年はヒナお絵かきうまくなるのよ!」

けものきらきー「まぁ!さすが雛苺。わたくしはどうしましょう…。おうちのお手伝いとかでしょうか」

水銀燈「私は別に決意を新たにするような事なんてないわぁ」

金糸雀「そうかしら?今年っていったら新連載が始まるのかしら」

薔薇水晶「!」

けものきらきー「過去編ですよね。私にはあまり関係ないかも…」

雛苺「そんな事ないの!絶対にきらきーも出番があるのよ」

薔薇水晶「………」

雪華綺晶「!……ばらしーちゃん?」

水銀燈「お父様と私だけの生活が見られるかもね」

金糸雀「えー!カナも居る時期がいいかしらー」

薔薇水晶「……」

翠星石「翠星石と蒼星石のあの大冒険もついにお披露目ってわけです!」

蒼星石「どの時代の話だっけ?」

翠星石「わ、忘れたですか!?皇帝の座を奪われたお話ですよ!」

蒼星石「ふふ、ちゃんと覚えてるよ」

翠星石「もーっ!蒼星石は意地悪ばっかしですぅ」

薔薇水晶「…」

雪華綺晶「あ、あの……」オロオロ

真紅「私がくんくんやホームズばりの名推理で難事件を解決した話をやってほしいわね」

雛苺「ヒナそのお話あんまり覚えてないから見たいのよ」

けものきらきー「わたくしは覚えていますわ。紅薔薇のお姉様大活躍でしたよね」


雪華綺晶「あ、あの…、皆さま……その…」

薔薇水晶「いいなぁ」

雪華綺晶「!」

薔薇水晶「原作に出てる人はいいなぁ」

翠星石「いきなりメタ発言しやがったです!」

真紅「それは今さらなのだわ」

蒼星石「薔薇水晶、もしかしたら君も出るかもしれないじゃないか」

薔薇水晶「そうですか?本当にそう思いますか?」

水銀燈「いや、出ないわよ」

金糸雀「水銀燈!!」

薔薇水晶「いいなぁ。新アニメも出られなかったしなぁ」

薔薇水晶「EDがドールショップだから少しは期待していたの。次回予告も2人が担当するって聞いてお父様とスタンバッてたのに…」

真紅「何を言っているの?」

けものきらきー「次回予告で斉藤さんと店長さんが出ていた事かと…」

雪華綺晶「わ、わたくし達もたぶんあまり出番がないですし…」

けものきらきー「そ、そうですわ。もしかしたら全く出番がないかも」

薔薇水晶「うふふ、贅沢な悩み」


雛苺「ヒナ、薔薇水晶にも出番があるようにお父様にお願いするの!」

翠星石「それです!お父様にお願いするですよ!」

けものきらきー「アリスゲームで願いを叶えてくれたジュン様ならあるいは!」

水銀燈「過去だから無理よ」

金糸雀「水銀燈!ちょっと黙ってるかしら!」

水銀燈「なによぉ…。まぁ、もしかしたら特別出演もあるかもしれないわね」

真紅「水銀燈の言う通りよ。希望を捨ててはダメ。だから今日は楽しみましょう。せっかくの女子会だもの」

蒼星石「そうだね。今日は水銀燈のおごりだから楽しもう」

水銀燈「………仕方ないわね。今日だけよ」

けものきらきー「お姉さま!ばらしーちゃんに極上の紅茶とスコーンを!」

水銀燈「はいはい、ちょっと待ってなさいよ。今持ってくるから」スタスタ

金糸雀「待ってる間にカナが店内曲としてリラックスできる曲を弾くかしら」~♪


雛苺「良かったね、ばらしー。………ばらしー?」

薔薇水晶「……うぅ…」プルプル

けものきらきー「あら?ばらしーちゃん、あなた眼帯はどうしたのですか?」

雪華綺晶「!?」

雪華綺晶「眼帯!?眼帯を付けていないのですか!」

けものきらきー「え、えぇ。いつの間にか外してしまわれたみたいで」

翠星石「何をそんなに慌てているです?」

雪華綺晶「だ、だって…!ばらしーちゃんは眼帯がないと……!」


薔薇水晶「出番がないのは悲しいけど嬉しいよぉ……みんな優しいよぉ…」うるっ


雛苺「ばらしー、どうしたなの?」

真紅「泣きそうになってるわね」

金糸雀「も、もっと明るい曲の方がよかったのかしら…?」

蒼星石「その曲も十分明るいと思うけど」


雪華綺晶「ああっ、感情が高まって…。道理で先ほどから様子がおかしいと思いました」

けものきらきー「あの…、眼帯が無いとどうなるのですか?」

雪華綺晶「眼帯が無くなると感情が制御できなくなると槐から聞いたのです」

けものきらきー「ばらしーちゃんのお父様が?」

雪華綺晶「はい。先のアリスゲームでも眼帯が取れてしまったのですが、そうしたら……!」



薔薇水晶「嬉しいよぉ……嬉しいよぉ……」ウルウル


薔薇水晶「うわぁぁあああああん!!!!」ビエエエエン!!

 

薔薇水晶「うぇぇぇぇん!!ええぇぇん!!」ビャー


蒼星石「泣き出しちゃったよ!」

雛苺「な、泣き止んで、ばらしー…」オロオロ

金糸雀「嬉し泣きだからまだいいかしら。でも、カナの旋律がかき消されるほどだなんて…」

翠星石「キャラ変わってるですぅ!どういうことですか!そっちの雪華綺晶」

雪華綺晶「あの…その……ばらしーちゃんは眼帯が無いと感情が高ぶってしまって……それで…」

真紅「ほ~ら、薔薇水晶。薔薇吹雪なのだわ。だから泣き止んで頂戴」ローズテイル~

けものきらきー「その花びらを吸って……ズモォォォォォ!!!!」

けものきらきー「薔薇のばらしーちゃん人形の完成です!」ぺろん!

真紅「なかなかやるわね。雪華綺晶」

雛苺「なにこれどうやって作ったの!?」

けものきらきー「わたくしの体内で作りました。はい、どうぞ」


薔薇の薔薇水晶人形 キラキラ。+゜*。


薔薇水晶「!!………ありがと……ござい…ま……うぅ…」ブワッ

薔薇水晶「うぅぅ~~……!」ボロボロ

薔薇水晶「…………」グスン

翠星石「ふぅ…、多少は静かになりましたね」

雛苺「でも、まだけっこう泣いてるの。大丈夫かなぁ?」

蒼星石「そうだね。金糸雀、一応何かリラックスできる曲を頼むよ」

金糸雀「了解かしらー!」


雪華綺晶「眼帯…!眼帯どこなの?」

けものきらきー「あら?わたくし どうしたのですか?」

雪華綺晶「眼帯を探しているんです。見つけないと!」

けものきらきー「わたくしも手伝います。でも、もう収まったのでは?」

雪華綺晶「そ、それが…、アリスゲームの時はこの後大変な事に…!」

けものきらきー「大変なこと?」

雪華綺晶「はい!このままだと…!」


金糸雀「笑っている薔薇水晶が見たいかしら」~♪

薔薇水晶「ありがとう…。私のために曲まで弾いてくれて……うぅ…」グスッ

翠星石「! ま、また泣き出すですよ!」



薔薇水晶「うぇぇぇぇん!!!!」キラン


ズバーーーン!!!!



ドールズ「!!?」

真紅「なっ!?水晶が床から飛び出してきたのだわ!」

雪華綺晶「あぁぁ!ついに始まってしまいました…!」


薔薇水晶「……ぁぁぁん!うぁぁぁぁ!…」ズバーン! ガッシャーン!


金糸雀「あわわ…、お、お店が……」

翠星石「やべぇですぅ!!」

蒼星石「早く逃げなきゃ!」



水銀燈「スコーンできたわよぉ。あと貴女たちちょっとうるさいわよ………はぁ!!?なによこれぇ!!」

雛苺「水銀燈!早く逃げるのよー!」

水銀燈「な、何がどうなったらこうなるのよぉ!」

雪華綺晶「ばらしーちゃんの眼帯が取れて悲しくって嬉しくなったばらしーちゃんが泣いちゃって水晶が…!!」

水銀燈「そんな説明じゃわからないわよ!!」

けものきらきー「とにかく逃げましょう!ばらしーちゃんも連れて行けるでしょうか?」

真紅「このお店はマエストロ仕立てだからよっぽどの事がない限り潰れないわ」

雪華綺晶「それに水晶が自動で守ってくれます。ばらしーちゃんはここに居た方が安全です!」

けものきらきー「それなら安心ですね。それはそうと今度はわたくし達が逃げないと…!」

水銀燈「あぁ…、なんてことなの…」

真紅「くっ…!水晶が邪魔で進めないのだわ。雛苺、しっかりついてきなさい。……雛苺?」


雛苺 <しんくぅ~~!


真紅「いつの間に外に…!金糸雀も翠星石も蒼星石も雪華綺晶たちも……というかみんな脱出し終わってるのだわ!」ガビーン!


薔薇水晶「あーーーん…!うぁぁぁぁん!」バキバキ!


水銀燈「あああ~~!!私の店がぁ…!」

真紅「そんな事言ってる場合じゃないのだわ!早く私を掴んで飛んで頂戴!」

水銀燈「無理よ!天井があるでしょうが!」

真紅「だから天井をその自慢の羽で壊して脱出するのだわ!」

水銀燈「そんな事したら木材が降ってくるでしょ!このおばか!」

真紅「バカじゃないわよ!それなら私がローズテイルで壁を壊すのだわ」

水銀燈「どうしてそうなるのよ!絶対ダメよ!」

真紅「脱出するにはこれしかないわ!いくわよ、ローズテイル!!」ブワッ!

水銀燈「やめなさい!!」バサッ!!


薔薇水晶「…ぐすん……あ…あぁ……どうしよう…」オロオロ

薔薇水晶「け、ケンカは……」


薔薇水晶「ケンカはやめてください!!!!」キュィィィン!! ピカッ!!!


カッ!!!!!


真紅 水銀燈「「え゛っ?」」




ゴゴゴ……! ズズゥン!!


―――――――――――
――――――――
―――――

 

水銀燈「…」

翠星石「それじゃあバーイですぅ」

蒼星石「またね」


金糸雀「水銀燈、元気出してほしいかしら」

水銀燈「…」

雪華綺晶「そうですよ。黒薔薇のお姉様 元気を出してください」

薔薇水晶「ごめんなさい…」

けものきらきー「大丈夫ですよ。またジュン様が造ってくださいますから」

薔薇水晶「そうなの?」

けものきらきー「はい、そうです。それでは近くまでお送りますわ」

雪華綺晶「えぇ、それならいいのですが…。それでは、またお会いしましょう」

薔薇水晶「またね」ノシ

けものきらきー「それではお先に失礼します」

水銀燈「…」


金糸雀「さあ、雛苺いきましょうかしら」

雛苺「でも、水銀燈と真紅が…」

金糸雀「大丈夫かしら。水銀燈も真紅もそんなにヤワじゃないわ」

金糸雀「それにいざとなったらみんなで協力してお店を復活させましょ!」

雛苺「うん、そうするの。ありがとう、金糸雀」

金糸雀「雛苺も元気が戻ってきて良かったかしら」

雛苺「うん。水銀燈も早く元気だしてね。真紅先に帰ってるなの」ノシ

金糸雀「それじゃあ、またねかしらー!」



水銀燈「…」

真紅「」失神

真紅「はっ!ここは…?一体何があったのかしら?」

水銀燈「ようやくお目覚めね。真紅」

真紅「あら、水銀燈。……どうしたの?」

水銀燈「へぇ…、覚えていないのね」

真紅「えっ?………あっ!!」

水銀燈「そうね。あの店の有様を見ればわかるわよね」

水銀燈「私達のケンカを止めようとした薔薇水晶が力を制御できなくて、店は水晶まみれになったってわけ」

水銀燈「薔薇水晶が水晶を消してくれたから良かったけど…。傷跡は残ったまま」

真紅「そ、そう…。でも、今回は事故のようなものだったから…。薔薇水晶に責任はないのだわ」

水銀燈「えぇ、そうね。だけど、一つ忘れている事があるんじゃなくって?」

真紅「? 何かしら」

水銀燈「あなたがローズテイルで壊した部分は別って事よぉ!!」

真紅「そ、それは緊急事態だったから…」

水銀燈「あなた何回お店を壊せば気が済むのよ!毎回ジュンが直してくれるって言っても限度があるでしょ!」

真紅「ま、毎回は壊していないのだわ!それに前回は私じゃないわよ!うなぎ好きの別の私が変なことをして…」

水銀燈「それも一応あなたの仕業だったでしょ!ジュンが店を直してくれるまでウェイトレスとして働いてもらうから」

真紅「またなの!?もう嫌なのだわ!」

水銀燈「つべこべ言わずにこっちに来なさい!」

真紅「ちょっ…!水銀燈引っ張らないで頂戴!それに私ばっかり不公平よ!」

水銀燈「問答無用よ」

真紅「うぅ…」

メイメイ「でも真紅様のウェイトレス姿も様になっていますよ」

真紅「メイメイまで…」



真紅「ジューーン!!早くお店を直してほしいのだわー!」


Fin
 

これで終わりです。
まさか三ヶ月も続くとは思いませんでした。ここまで読んでくれた人に感謝!
ありがとうございました。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom