【アイマスSS】真「相談って何ですか?」P「実は――」 (37)

P「馬鹿らしくてありえないことなんだ。しかしある考えが頭から離れなくてさ。真にはそれを聞いて『ありえない』って笑って否定してほしいんだ」

真「馬鹿らしくてありえないことって言いますけど……プロデューサー、かなり真剣な顔つきですよ」

P「実はその考えが一ヶ月近く頭から離れないんだ。その、な……」



P「もしかして春香と美希、それに千早は俺のことが好きなんじゃないか?」



真「え!?」

P「……」

真「…………プ」

P「!?」

真「プハッ……アハハハハハ! あの三人がプロデューサーを好きだなんて……っ」

P「そ、そうだよな! いや~、俺も変なこと考えてしまって。これじゃ音無さんのこと笑え――」



真「そんなの今さらじゃないですか」



P「え?」

真「え?」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1445514624

千早「いえ、私はノンケなので高槻さんと我那覇さんと春香が好きです」

P「……状況を少し整理しようか」

真「あ、はい」

P「真が20時過ぎに事務所に戻ってきて、そこで俺が声をかけたんだよな」

真「アイドルの中じゃボクの仕事が最後で、帰ろうとしたらプロデューサーが『話があるんだが少しいいか。終わったら車で送るから』って」

P「なるべく人に聞かれたくない話だからな。音無さんも今日は帰ったからチャンスだと思ったんだよ」

真「そしてプロデューサーが春香・美希・千早の三人が自分のこと好きなんじゃないかと言い出して」

P「今を時めく10代アイドル三人が、10歳も歳が離れたオッサンを好きになるはずがないと笑い飛ばしたんだよな!? だよな!?」

真「あの三人がプロデューサーを好きだなんて一目瞭然で、今さら何を言っているんだろうっておかしくて笑ったんですけど」

P「……ん? いや待てよ。ごめんごめん、ちょっと質問が悪かった」

真「多分そのかすかな望みを断ち切る返答しかできないけど、なんでしょう?」

P「三人とも、俺を好きかもしれないけど愛してはいないんだろ? LikeであってLoveじゃない」

真「ラブですよラァブ。三人ともプロデューサーと恋人になって結婚することを夢見てます」

P「……まことですか?」

真「僕は真ですし、今言ったのは事務所の人間全員が知ってますよ」

P「なんて、なんてこったい……」

真「ちょっとちょっとプロデューサー、落ち込むなんて三人に失礼ですよ」

P「分かってくれよ真。俺がプロデューサーでなく、さらに10歳若ければ狂喜乱舞したさ。妬んだ男たちに100発殴られたって構わない。けどな、俺は20代後半でおまえたちのプロデューサーなんだよ」

真「分かってはいますけど、女の子に好意を寄せられて頭を抱えるのは最低です」

P「それも……そうだな」

真「けどさっきは一目瞭然で今さらって笑っちゃいましたけど、プロデューサーってそういうことに鈍いのによく気づけましたよね。特に千早は周りから見ればあからさまだけど、春香や美希ほど好き好きオーラ出してないのに」

P「俺ってそんなに鈍いか? 歳の離れた担当アイドルに惚れられるって相当特殊なケースだろ」

真「346だってハゲのPとホモのPと変態なPは担当アイドルに惚れられてるって噂がありますよ」

P「それがマジだとしたらアイドル業界の危機だな」

真「あくまで噂ですよ。ところで、プロデューサーがどうやって三人の好意に気づけたか聞かせてもらっても?」

P「え、あ~、うん。やっぱ話さなきゃダメか?」

真「もちろんですよっ!」ズイッ

P「えっとな。最初に好意に気づけたのは春香と美希がほぼ同時で、千早はごく最近なんだ」

真「春香も美希も、かなり積極的だから当然そうなりますよね」

P「最初に気づいたのは春香だったんだ。とはいっても手作りのお菓子を貰うのは俺だけじゃないし、笑顔でよく話しかけてくるのだって春香が社交的で明るいからだと思っていた」

真「あのバーストアピールをそう受け止めていたわけですね」

P「しかしある時事件が起き――」



春香『きゃあっ!』どんがらがっ――

P『っと危ない!』ガシッ

春香『す、すみませんプロデュ……ッ!?』

P『どうした春香?』

春香(え嘘ホントどうしようプロデューサーさんに肩を両肩をがっしり抱きしめられプロデューサーさんの胸が目の前ここでさらに転べば胸に飛び込める両肩を抱かれた状態で私がプロデューサーさんの腰に両手を回せば完全犯罪成立そういえば今二人っきりでドアも閉まっている窓はブラインドで見られないつまり――)

P『どこか痛めて――』

春香『ストップ!!』

P『!!?』ビクゥッ

春香『こ、このままで! このまま少し考えさせてください!』

P『あ、はい』



P「そのまま5分ほど響たちが来るまでお互い固まったままで、その日は一日中春香は顔を真っ赤にしていたけど『春香はさっきどうしたんだろうか? 年頃の女の子はやっぱり難しいな』ぐらいにしか思わなかったんだよ」

真「その日は、ですね。つまり」

P「ああ。その翌日から春香の猛攻が始まったんだ……ッ!!」



春香『プ、プロデューサーさん! おおお菓子作ったんですけど一緒にどうですか?』

春香『今日のオーディーション上手くいけました! きっとその……プロデューサーさんが付き添って、私を見てくれたからです』

春香『ど、どうですかこの格好。ちょっと大胆かなと思ったけど、プロデューサーさんこの前雑誌でこういうのチェックしてましたよね』



P「こんなセリフをな、あの日の事件のことが忘れられないのか顔を赤らめながら、上目遣いで言ってくるんだぞ!」

真「あざといな春香さすがあざとい」

P「もうねっ………………………………」

真「?」

P「アーッ! チクショーッ!!」

真「!?」

P「何で俺はプロデューサーなんだ! 何で俺は17歳じゃないんだ! どうして春香と同じクラスの学生生活が送れなかったんだ世の中おかしいぞ間違ってる!!」

真「プロデューサー!? プロデューサーどうどう!!」

P「プシュー、ブル、ブルブルッ! ……ハァハァ、いかん少し取り乱した」

真「ひょっとしてプロデューサーも春香のことが好きなんですか?」

P「いや、俺はプロデューサーだ。担当アイドルに恋愛感情は抱かん」

真「さっきの雄叫びは本音にしか思えなかったんですけど」

P「仮に好きになりそうになった時は、プロデューサー養成学校(岬の楼閣)で受けた反射的に口の中を噛んで正気に戻る技術があってな」

真「そんな技術、というか学校があったんですね」

P「おかげでここのところ毎日ごはん食べるのが辛い」

真「陥落寸前じゃねーか」

P「ちなみに今日は5回しか噛まずにすんだ」

真「ほっぺに穴があきますよ」

P「さて次は美希について話そうか」

真「積極さは春香と並んでトップで、春香より直接的な美希ですね」

P「美希はさ、俺のことハニーって呼ぶし何かあるたびに俺に抱きつくじゃないか。けどまだ中学生だから、異性への愛と親愛がごちゃ混ぜになっていると正直甘く見ていた」



美希『ハニー!!』ガバッ

P『おわっ』

美希『ねえハニー、今日も美希はお仕事しっかり頑張って疲れたの。褒めて褒めて♪』

P(む、胸が~ッ!! 二つの柔らかな凶器という矛盾した存在が俺のあばらの6番と7番――いや、右側を全部もっていく……ッ!!)ブシュー

美希『は、ハニー!? 口から血が出てるよ!?』

P『ん? ああさっき昼を食べたときボーッとしてたからつい噛んでな』

美希『ハニーったら意外とドジなの。でもそんなとこも可愛いかも! 今度からお口噛まないように美希がアーンしてあげるね』

P『……あのな美希』

美希『なんなの?』

P『今みたいに男の人に抱きついたり、男を勘違いさせるようなことを言ったらいけないよ』

美希『……どういう意味?』

P『美希は俺のことをハニーと呼んでいるよな。俺のことを好きだってことを何回か口にしてもいる。けどな、美希が本当に俺を好きとは思えない』

美希『ひどいのハニー!! 美希は……っ』

P『ひどいことを言っているのは承知している。でも頼むから最後まで聞いてくれ。多分な、美希は恋に憧れているだけなんだ。そういう年頃のそういった時期にたまたま俺と親しくなって、俺を好きだと思い込んでいるだけなんだよ』

美希『……』

P『納得のいかない顔をしているな。けどいつか分かる。美希は担当アイドルというひいき目を抜きにしても、本当に魅力的な女の子だ。近いうちに美希が本当の意味で好きになれ『ハニーだもん!!』

P『美希……?』

美希『美希が好きなのは本当もなにもハニーなの!! ハニーが美希のこと子供扱いして本気だって受け止めてくれてないことぐらい、とっくに知ってたの!! それでも……それでも想い続けたら本気だってわかってくれる……そう思ってたのに!!』

P『……』

美希『ハニーからすれば遊びに見えたかもしれないけど、勇気を出してアピールしたことだってあるんだよ? けどあっさり流されて悲しくて、辛くて……それでも諦めようなんて考えなかった。これって好きだからでしょ!!』

P『……うん、そうだ。美希の言う通りだ。』ポフッ

美希『うう……ううう……ハニーのバカァ…』グスン

P『ごめんな、美希のこと子供扱いしすぎた。一生懸命レッスンして、ファンのために仕事を頑張っている一人前なのにな』

美希『……ハニー、悪いことしたと思ってるの?』ピタ

P『ああ、俺が悪かった』

美希『じゃあ美希にキスしてくれたら許してあげるの』ガバッ

P『あ、こら抱きつくな! それとこれとは別!!』

P「――ということがあってな」

真「完っ全にガチじゃないですか。そんなことがあったのに何が『好きなんじゃないか?』ですか。疑問じゃなくて断定しましょうよ」

P「しかしな、仮に俺の同年代の友人が『実は最近まだ中学生なのに歌もダンスも抜群で顔も性格も良いうえにFカップの凶器を持つ女の子に好意を寄せられているんだ』って言い出したとするぞ。俺なら病院に連れて行く」

真「……改めて聞くと美希のスペックやばいですね」

P「真も含めてうちのアイドル全員そうだぞ」

真「へへっ、やーりぃ。ところでプロデューサーがボクらとの会話でFカップとか口にするの珍しいですね」

P「すまない、ついな」

真「いいですよ話の流れって分かりますし、別にそういった話が嫌いなわけでもないから。ただ珍しいなって」

P「あ~。ついこの間までは小鳥さんと下ネタで盛り上がれたんだけど、最近はご無沙汰だったからかな」

真「……嫌な、事件でしたね」

P「別に誰が悪いわけでもない。強いて言うなら、あんな魅力的な女性をあの歳まで放っておいた世間の男たちが悪いんだ」

真「その理屈だと同じ職場にいた結婚適齢期のプロデューサーが悪いことに……」

P「あ……」

P・真「……」

P「次は千早の話だったな!!」

真「お願いします!!」

P「あれはちょうど一ヶ月前に千早をスタジオに送る最中のことだった。赤信号で停車している時に、その……年頃の女の子には少し話しづらいんだが」

真「ここにきて寸止めですか? 気にしないからどうぞ続けて」

P「横断歩道をな、その、Fカップぐらいのおっぱいを胸元が見える服装で歩いている20歳ぐらいの人がいて、ついつい、一瞬だけだが視線が行ってしまったんだ。んで、その途端に両肩がズッシリと重くなるようなプレッシャーを感じてな」

真「あっ……」

P「びっくりして助手席を見ると千早が目からハイライトを消しながら『女性をそういった目で見るのは感心できません』て言うんだよ。言い訳なんかできる空気がじゃなくて、ひたすら謝りまくった。スタジオまでの20分は地獄以外のなにものでもなかった」

真「余談ですが一時期プロデューサーにホモ疑惑がかかったんですよ」

P「え、72それ俺知らない」

真「春香と美希の猛アプローチをスルーし続けたことが原因でしてね。ただその時プロデューサーホモ説を悔しげに否定したのが千早で、根拠は『すぐに視線を戻すけど、あずささん達の胸が揺れる時、プロデューサーの目も一瞬だけ同期して動くから』だって」

P「……じょ、女性は男の視線に敏感だって聞くが」

真「あずささん本人が気づいていないことを、第三者の千早が気づくのはもはや超能力の域です」

P「ま、まあ話を戻して。その後千早をスタジオに連れて行ったんだが、間の悪いことに入口付近でチーフとディレクターが『おっぱいの魅力的な演出方法』について熱く語り合っていたんだ」

真「その時のプロデューサーの顔色が予想できてやばそう」

P「多分外だったら死兆星が見えるんだろうなって、恐怖のあまり他人事のように感じていたら、千早はちょっとだけ目をピクッと反応させただけで、二人にアイサツしてすんなり控え室に向かったから驚いたんだ」

真「ボクたちならそんなに驚きませんけど、プロデューサーは直前の車内での出来事もありますしね」

P「そうだろう? だから控え室でそれとなく聞いたら千早の奴しらっとした顔で『男の人がそういったことを話すことに一々反応してたら疲れるだけです』って。いやお前、ついさっき俺が話すどころか目を向けただけで反応したじゃないかって内心突っ込みまくったよ。それと同時に、ひょっとして俺だからダメだったのかと考えて」

真「そこに気づけたのは鈍感プロデューサーにしてはファインプレーですよ」

P「ただその時点では、仕事場で時々顔を合わせる程度の人には無関心なだけで、身近な男性が女性をいやらしい目で向けるのが我慢ならないのかなと思ったんだ」

真「ファインプレーを取り消してイエローカード」

P「いやいやちょっと待て。ファインプレーはここからなんだ」

P「その翌日にな、うちのアイドルたちのグラビア特集が載った見本誌に問題が無いかチェックしている時に、あずささんと貴音のページにさしかかった時だった。また両肩にプレッシャーがかかったんだよ」

P「慌てて次のページをめくりながら、取りあえず視線を雑誌から前に向けると、窓ガラスで俺の後ろに立っている千早の表情が分かることに気づけたんだ」

P「ちょうど次のページは千早だった。俺は千早が後ろにいることに気づいていないフリをしながら小声で『胸が大きいのも魅力的だが、こういうスレンダーな体もたまらんよな。特にこの細くて綺麗な足とか、許されることなら頬ずりしたい』と言ってみたんだ」

真「なぜそんなカマかけをしたんですか? まだその時は千早が自分のことを好きかどうか考えてなかったんですよね?」

P「千早のプレッシャーが怖くて機嫌を取ろうと思って……」

真「千早がプロデューサーを好きだから無事で済んだものの、そうでなかったら完全にセクハラですからね」

P「以後気を付けます。……で、窓ガラスから千早の目にハイライトが戻るを通りこして輝かんばかりの勢いになって――」





千早『プロデューサー、今何か言いましたか?』ニコニコ

P『オウ千早イタノカ気ヅカナカッタヨ。俺72カ言ッタカ? 多分無意識ダッタト思ウ』棒

千早『さあ、なんだったでしょうね、フフ。この間の特集のチェック中ですか。一緒に見せてもらっても?』

P『いいとも。皆キレイに写ってるぞ』

P(こんなに機嫌が良い千早は珍しいな。千早のことは歌とコミュニケーションばかりに気をかけていたが、やっぱり年頃の女の子なんだな。実際キレイな体をしているし、これからも機会があるたびに褒めるとするか)

千早『では失礼します』トスッ

P『ち、千早?』

千早『どうしましたプロデューサー?』ニコニコ

P『いや、ちょっと近いんじゃないか?』

千早『二人で同じ雑誌を見るのならこのぐらいが普通では。春香ともこんな感じですし』

P『ま、まあそうかもな』

千早『フフ。おかしなプロデューサー』





P「……ってな具合で、肩と膝が触れそうで触れないぐらいで寄り添いながら雑誌をチェックした」

真「ちーちゃんカワイイ」

P「口の中2回噛んだ」

真「バイ菌が入らないように口をゆすぎましょうね。冗談抜きで心配ですよ」

P「傷にしみて嫌なんだが頑張るよ……」

真「と、ところでプロデューサー!!」

P「突然意気込んで何かね真クン」

真「プロデューサーはボクのことで口を噛んだことはありますか?」

P「おおう、それを聞いちゃうか」

真「だってプロデューサーが口を噛むって魅力的な女の子だっていう証拠じゃないですか。気になりますよ」

P「あくまで俺個人から見て魅力的かどうかだからな。さて真についてだが、この間シンプルな白のワンピースと麦わら帽子をかぶって撮影したよな」

真「ええ。ボクとしてはもっとキラキラした可愛いのがよかったんですけど……」

P「アレ見て舌を噛んだ」

真「自害!?」

P「大丈夫噛み切ってはいない。実はね、俺が口を噛む原因のツートップは春香と美希で、まあ理由は二人が猛アピールするからなんだが。この二人を例えると春香は140キロ台のスプリットで、美希は155キロのストレート」

真「速い変化球と速球ですね」

P「速い球は脅威だが、やっぱり速い球が続けばある程度目が慣れる。しかしそこで予想外のど真ん中にチェンジアップを投げられて、体が硬直してあと少しで見逃し三振なところをギリギリ体が動いてファールで粘れた。そんなところだ」

真「つ、つまりあと少しでボクのあの姿はプロデューサーをストライクバッターアウトしたわけですか!?」

P「そういうことだ。真はここのとろこググッと女らしさが増してきている。自信をもっていいぞ!」

真「な、なんだが嬉しいやら恥ずかしいやら。そそそういえば!」

P「ん?」

真「どうして相談相手にボクを選んだんですか? 普通なら小鳥さんか律子じゃないですか」

P「あ~、うん、まあ、その、ねえ、はい……」

真「史上まれにみるレベルの歯切れの悪さですね。もうお互いけっこうぶっちゃけトークしてますし、とことんまで行きましょうよ」

P「俺から見て春香・美希・千早は限りなく黒に近いグレーだったわけよ。で、当然相談相手もグレーはダメなわけでして」

真「え!? つまりプロデューサーはあの三人以外にも自分を好きな人がこの事務所にいると疑っていると!?」

P「あらためて人の口から聞くと俺が天元突破クラスの自意識過剰なんだが……」

真「まあ実際いますしね」ケロッ

P「ん!? 真!! 今何か言ったか!? 言ったよな!!」

真「いえ別に。関係無い話ですがボクが把握しているだけで7人です」

P「ナナ……ッ!!?」

真「プロデューサー? お~いプロデューサー」

P「……ハッ! ここは誰? 私はどこ?」

真「ここは765プロで、アナタは担当アイドル達に信頼を通り越して愛されているプロデューサーです」

P「そうか……一瞬、社長に辞表を提出したような気がしたが幻覚だったか」

真「もし辞表出そうとするならボクらがスクラム組んで止めますよ」

P「愛が重い……」

真「ところでプロデューサーは小鳥さんと律子の二人はグレーと判断してるんですよね?」

P「いや、確かに律子はグレーゾーンだが、音無さんに相談しなかった理由は別だ」

真「というと?」

P「考えてもみろ。先月ついに30歳の誕生日を迎えてしまった彼氏いない歴=年齢の女性に『実は最近JK・JCのアイドル三人に好かれて困ってるんですよ~★』なんて言ってしまった日には――」





小鳥『イヤミか貴様ッッ』ぐにゃあ

P『~~~~~~ッ 』

P『お、音無さんを中心に世界が歪んで……ッ!?』

小鳥『――体は剣(♂)で出来ている』





パァーン、パンパンパンパァーンッ





P『こ、ここはいったい?』

P『どこからともなく肉と肉がぶつかり合う音がするし、辺り一面薄い本だらけ』

P『まさかこれが……こんなのが音無さんの心象風景?』

小鳥『――体は』

P『!!?』





体は剣(♂)で出来ている

血潮は鼻血、心は腐海

幾たびのコミケを越えて腐敗

ただの一度も交際はなく

ただの一度も告白されない

彼の者は常に独り身 薄い本の丘で勝利に酔う

故に、その生涯に子孫はなく

その体は、きっと剣(♂)で出来ていた





小鳥『無限の妄想(アンリミテッド・ドウジン・ワークス』

P『お、音無さん……』

小鳥『この世界は私が読んだ薄い本を内包して再現できます。BLはもちろん、ふたなり、媚薬、二回目以降の方がたくさん出る、モンスターとほにゃらら、触手、NTR、ロリ、ショタ、ナイスミドル、ナイスシルバーetc……ありとあらゆるシチュが可能』ジィーッ

P『お、音無さんなぜスカートを脱ごうと!? 止めてくだ……なん……だと……?』





それは チ○ポと言うにはあまりにも大きすぎた

大きく 分厚く 重く そして大雑把すぎた

それは 正に鉄塊だった





小鳥『言いましたよね。ふたなりも可能だって』

P『そ、そんな……』

小鳥『ところでプロデューサーさん。体に何か変化はありませんか?』

P『え!?』ササッ、ササッ

P『こ、これは……いったい、どういうことだってばよ!』

P『なんでこんな所に“穴”が!?』

小鳥『やおい穴ですよ』ニタァリ

P『え、嘘やめ、ちょ、近づかないで!!』

小鳥『実は私、やおい穴についてある考えがありまして』スタスタスタ

小鳥『言うまでもなくアナルはペニスを入れるためのもので、排便機能はオマケ程度のもの』

小鳥『けどやおい穴は正真正銘、性行為のためだけに存在するものです』

小鳥『つまり――やおい穴に中出しすれば、男の人でも妊娠可能!』チ○ポビンビン丸!!

P『ら、らめてえぇええええ!! お願いします何でもしますから!!』

小鳥『ん? 今何でもするって言いましたよね? じゃあお口だけで私のドラゴン殺しを満足させてください。制限時間は3分で。もしできなかった時は――』





P「――ということになってしまう」

真「あるあ――ありえますね」

P「というか似たようなことがあったわけで」

真「高木社長と黒井社長の具合はどうなんですか?」

P「真美たちのお父さんによると、まだ妊娠して時間がそう経ってないから断定はできない。けど今のところは順調らしい」

真「なぜあんな事に……」

P「あの日は……音無さんが30歳になった日は、朝から事務所は異様な雰囲気だったけど、社長は商談の関係で事務所に来たのが昼だった……」

真「事務所の空気に気づくことなく、入るや否や『音無君のためにケーキを買ってきたんだ皆で食べようじゃないか。ロウソクは30個で足りたかね?』ですよ。心臓が止まるかと思いました」

P「悪意は無いんだよ。社長にとって30歳はまだまだ若いという感覚なんだから」

真「悪意が無くてもアレが決定打になったのは変わりありません。あの瞬間、小鳥さんの目がギラリと赤く輝くのを見ましたか? 魔性のモノでしたよ」

P「それから社長と音無さんが突然姿を消して、一時間ほどしたらなぜか黒井社長と一緒にテレポートみたいに戻ってきて……」

真「プロデューサー、仕事の関係で小鳥さんと二人っきりになることがありますが、気をつけてくださいね。プロデューサーが社長たちのようにシュワちゃんジュニアVer.になるの見たくないですから」

P「安心しろ。実は対策があってな。コレを見てくれ」

真「なんですかこの灰は?」

P「実は事務所で音無さんと二人っきりの時に善澤さんが来られてな」

真「思いっきりピンチじゃないですか!?」

P「ああ、小鳥さんの目が獲物を狙うタカのような目つきになり、俺は愕然としながら善澤さんとホモセックスする覚悟を決めようとしていたら、財布に入れていたお守りが光りだして音無さんの様子が一時的だが落ち着いたんだ」

真「え、じゃあこの灰は……」

P「以前共演した346プロの鷹富士茄子ちゃんから貰ったお手製のお守りだ。光るの収まったらサラサラと灰になってしまってな……俺は、コレのおかげで命が救われたんだ」

P「それからすぐアポをとって茄子ちゃんに灰となったお守りを見せたら、顔を青ざめて驚くんだよ。人の仕業じゃないって」

真「男の人は30年あれだと魔法使いになるって聞きますけど、女性は30年処女だと人間を超越してしまうんですか……!?」

P「それからお守りを8個もらえて、さらに一月の上旬辺りに芳及ちゃんと一緒に二人がかりで音無さんの妖力を封印してくれるそうだ」

真「本当ですか!? 良かったぁ。けどどうして一月なんですか? 二人とも忙しいのは知ってますが、できれば一日でも早く封印してほしいんですけど」

P「いや、それがな。たとえ二人がかりでも難しいくらい音無さんの妖力は巨大らしくて。一番弱っている時期を狙う必要があるそうだ」

真「それが一月の上旬なんですか?」

P「ああ。逆に危険なのは8/12と12/28のコミケ前日だ。コミケが終わって戦利品をある程度読み終えて、欲望が一段落着いた時が封印のチャンスらしい」

真「それってつまり、年末にかけて今以上に小鳥さんの妖力が上がるわけですか」

P「信じたくないがそうらしい。さて、ずいぶんと話に付き合わせてしまった。車で送ろう」

真「え、ちょっと待ってください。確認したいことがあります」

P「確認?」

真「プロデューサーは春香たちが自分を好きだと分かったでしょ。どう対応するつもりなんですか?」

P「その件か……実は一つ考えがあってな」

真「言ってみてください。三人が納得するかどうか、ボクの視点で答えますから」

P「あの三人が俺を好きなのは、まあ俺がフリーだっていう前提があると思うんだ」

真「彼女がいても好きになる人はいるでしょうけど……え、つまり?」

P「まあ頑張って彼女をつくって、三人には――真が言うには七人か?――諦めてもらおうかと。どうだこの案は?」

真「えっとですね。いくつか確認を」

P「ばっちこい」

真「今プロデューサーに彼女がいない理由はなんですか?」

P「え? そりゃあ俺に魅力が無いからじゃ」

真「12人のアイドルと同僚2人、計14人のうち7人に好かれている人が魅力が無いと?」

P「……仕事が忙しくって、彼女を作る時間が無いからです」

真「彼女つくれるんですか? 言っておきますけど適当につくった彼女で諦める人は、7人の中に1人もいませんからね。むしろ下手に刺激した結果、今以上に積極的になります」

P「俺に…どうしろというのだ…………」ポルポル

真「鈍感難聴系ラノベ主人公のフリをしてやり過ごす、という手もあるといえばありますが……」

P「自分を好きだという純粋な気持ちを知っておきながら放置とか、可哀そうだし自己嫌悪で死にたくなる。……しかし、本人たちのアイドル活動と事務所のことを考えればそれしか手はないのか……」

真「ちなみにプロデューサーという立場と歳の差さえなければ、3人に好かれるのは嬉しいんですよね?」

P「当然だ!!」

真「名前は言えませんが、ボクが把握している4人についても?」

P「うちの事務所はいい子ばかりだ。音無さんも今は錯乱しているが、もともとは優しくて気配りができ、冗談も通じる人だ。その4人が誰であっても嬉しいさ。まあ、中学生組ならせめて5年後とは思うが」

真「アイドルは恋愛してはいけないけど、アイドルを辞めてしばらくしてからならOKですよね?」

P「まあ、そうなるのか……? アイドル引退してすぐに所属していた事務所のプロデューサーと付き合うなら問題だが、2年ぐらい時間をおけばいいかもしれん」

真「ではAランクアイドルになった子は、将来プロデューサーと付き合える権利が手に入るというのはどうでしょう」

P「なぬっ!?」

真「たとえば春香が来年18歳でAランクアイドルになったとします。第一抵当権者ですね。そして20歳になったころに女優に転向して、転向して2年経ってもプロデューサーのことが好きなら交際できる。もし春香が心変わりしていたら、第二抵当権者に話が移る。どうですか?」

P「そんな……俺と付き合えることをエサみたいにするのは……しかも今のたとえ話だと、最短でも5年はかかる。Aランクの壁の高さを考えれば何年かかることか。納得するだろうか?」

真「プロデューサーに彼女をつくる余裕はない。だったら鈍感難聴系ラノベ主人公のフリをするかプロデューサーと付き合う権利を商品とするか、どちらがマシかですね。あとボクの見る限り、プロデューサーと付き合えるなら5年ぐらい平気へっちゃらな子ばかりです」

P「……そう、だな。比較対象が悪いだけかもしれんが、真の案の方がまだマシかもしれん。ただな」

真「はい、なんでしょう」

P「既にうちのアイドルたちは皆BかCランクアイドルで、特に今分かっている3人は3人ともBランクアイドルなんだが……」

真「良かったですねプロデューサー。来年の今頃には彼女候補が複数人できそうです」

P「胃が、胃が痛いぃっ。音無さんの人外化だけでも悩ましいのに、なんでこんな傍から見ればうらやまけしからんことに」

真「あ、それとですねプロデューサー」

P「うう、なんだよマコリン」

真「ボクがBランクアイドルなのは知ってますよね?」

P「ああ当然知って――え、ちょい待ち」

真「Aランクアイドルに一番乗りするんで待っててください!」マッコマッコリーン☆

P「」

真「プロデューサー?」

P「ガハッ」

真「舌噛んだ!?」




~おしまい~

最後まで読んでいただいてありがとうございました

初SSなので、すぐにレスがついて>>2嬉しかったです

誤字の指摘もありがとうございました。俺、どうやって入力したんだよホントに

許してよしのん……

HTML依頼は明日の朝に行おうと思うので、よければそれまでに感想ください

真が把握していたのは雪歩・真美・伊織です

余談ですがPは限りなく黒に近いグレーに春香・美希・千早

グレーゾーンに律子・貴音・あずささん・響

白に真・雪歩・伊織・真美・亜美・やよい

触れてはならない存在が小鳥さんと位置付けてました

で、白の中で一番相談して頼りになりそうと考えて真に話かけました



他に質問等があれば明日の朝にレスします(質問に答えるのって想像していた以上に気持ちいい、けどいちいち全レスするのは恥ずかしい、こんな気持ち見抜かれるわけにはいかない)

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