的場梨沙「はぁ!? イチゴチャーハン!?」 (19)

梨沙「またありすが新たなイチゴ料理を生み出したっていうの?」

飛鳥「いや、作ったのはボクだ」

心「えぇ……飛鳥ちゃん、いつの間にイチゴ教に……」

飛鳥「勘違いしているようだけど、ボクがそれを作ったのは小学生の頃の話だよ」

飛鳥「それとありすの名誉のために言っておくけど、彼女だってなんでもかんでもイチゴを混ぜるわけじゃない」

飛鳥「失敗を反省し、次に活かすことのできる賢い子だからね」

梨沙「まあ、アタシと同い年の割には物知りよね」


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心「それで、イチゴチャーハンって?」

飛鳥「あれは5年……いや、6年前の夏休みだったか。両親が共働きな都合上、家にいる時の昼食は自前で用意することが多かった」

飛鳥「当時から子ども扱いされることを嫌っていたボクは、料理くらいひとりでこなしてみせると息巻いたものさ」

梨沙「小学生の飛鳥かぁ。絶対生意気ね、うんうん」

心「キミは人のこと言えないぞ☆」

飛鳥「本を読んだり母親に質問したりしながら、簡単な料理ならさほど労せず作れるようになってきた頃のことだった」



あすか(8歳)『毎日チャーハンを作るのもあきてきたなー』

あすか『おいしいけど、さすがに同じものばっかり食べるのは、えっと……そう、単調で趣に欠ける、よね』


梨沙「すでに難しい言葉を使いたがるクセが出始めてるわね」

心「ていうか毎日チャーハンって、簡単な料理(チャーハンだけ)ってことかよ☆」

飛鳥「そういうわけで、ボクは新たなセカイを求め冷蔵庫を漁り、おいしそうなイチゴがあることに気づいた」

飛鳥「チャーハンはおいしい。イチゴもおいしい。混ぜてもきっとおいしいという究極の方程式のもと、ボクはイチゴチャーハンという料理を完成させていた」

心「フツー小学生でも混ぜちゃダメなものくらいわかると思うけど……」

飛鳥「まあ内心悪い予感はしていたが、当時からボクは自分の目で見たものしか信じないタチだったものでね」フッ

梨沙「なんかカッコつけてるけどただのバカだと思う」

心「それでそれで? 食べた感想は?」

飛鳥「ふむ、そうだね」


あすか『おぇっ……おいしくないよぉ』

あすか『で、でも勉強になったし……イチゴとチャーハンは、合わない。フフ、またひとつ世界の真理をときあかしてしまったか』


心「わお♪すっごいポジティブ☆」

梨沙「いやアホでしょ。ちび飛鳥が強がってるの想像したらちょっとかわいいけど、やっぱりアホでしょ」

飛鳥「知的好奇心は人間の特質。ボクは知ることを諦めたくないのさ」

飛鳥「ちなみにあとから調べてわかったことだが、イチゴとチャーハンを混ぜた料理はきちんと存在しているらしい」

心「あるんだ、へえー♪」

飛鳥「その道の人間がしっかり考えて調理すれば、大抵の食材の組み合わせは食べられるものに仕上がる。そういうことなんだろうね」

梨沙「明日使えないトリビアがひとつ増えたわ」

心「それで、今の飛鳥ちゃんの料理レベルは――」グゥ~

心「やだっ♪ お腹鳴らしちゃった☆」テヘペロ

梨沙「ハートさんって、てへぺろが似合う女よね」

飛鳥「柚さんといい勝負だろうか」

心「まあそれはそうとして、話聞いてたら飛鳥ちゃんのチャーハンが食べたくなってきたぞ☆」

梨沙「あ、それはアタシも。ちょうどお昼だし」

飛鳥「ボクのかい? 別に材料はあるからかまわないが……」

飛鳥「今さら聞くけど、キミ達は休みの日の午前中から、なぜボクの部屋でくつろいでいるんだい」

梨沙「漫画いっぱい置いてるし」

心「勝手に飲み物出てくるし♪」

飛鳥「ハァ、まったく……今からチャーハン作るから、テレビでも見ておとなしく待っていてくれ」

梨沙「はーい」

心「次はしゅがーはぁと特製の料理をごちそうしてあげるから、今日はよろしく☆」

飛鳥「さて、手早く作ってしまおうか」

飛鳥「……3人前、か」

飛鳥「こうして誰かに振る舞える機会が頻繁にやってくるのなら、ボクの過去の努力も無駄ではなかった、ということかな」

飛鳥「意味が生まれるというのは、なかなかどうしてうれしいものだね」フフ


おしまい

いつものヴァリアスハートでした。お付き合いいただきありがとうございます。飛鳥君のデレステ登場は予想より3ヶ月以上早くてびっくり
子どものころ、創作料理を試して失敗した経験って結構な人の間であるんじゃないでしょうか

ちなみにありすは例のイタリアンクッキングでの失敗を反省して上達することを誓っているので、きっと今は料理上手です
なので彼女のイチゴパスタをうまいと言っていた巴お嬢も多分味オンチではないのです

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