穂乃果「極彩色」 (28)

EP.1 穂乃果
【極彩色】

ふと街を歩いていると。
極彩色の服を着た美人が歩いていた。

あまりにサイケデリックな服に二度見してる人や見惚れる人もちらほらいた。

その人は多数の視線を気にする事もなく、秋葉の街を歩いていた。

私はこの人を見て、何かを感じたんだ。

様々な色が混じり合って人々の視線を集めるその様はまるで・・・。

EP.1
【極彩色】
END

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EP.2 真姫
【ただのジャンクフード】

にこ「ほんっとあんたこの店好きよね」

そう言ってにこちゃんは小さな口を大きく開けて、ハンバーガーにかぶり付いた。
レタスが口からダランと垂れてるその姿はちょっと愛らしく。
また、レタスをヤギみたいにもしゃもしゃと食べてるにこちゃんは私と同じ現役アイドルだなんてとても思えない。

にこ「あんた今、現役アイドルみたいじゃないみたいって思ったでしょ」

真姫「えっ、思ってないわよ」

にこ「ふーん。ならいいんだけどさっ」

そう言ってまたハンバーガーにかぶり付いた。

真姫「お腹減ってたの?」

にこ「まぁね。あんたも食べなさいよ」

真姫「そうね」

にこちゃんみたいに大きく開けて食べる事は出来ないけど、私もハンバーガーにかぶり付いた。

真姫「美味しい・・・」

不思議だ。
私はここの店に良く来る。

常連と言ってもいいし、スタッフも私の顔を覚えているだろう。

そもそも、この店はにこちゃんから紹介されたお店なんだけど、ただのジャンクフードなのにここのハンバーガーは味にバラツキがある。

一人で来ると美味しくない。
にこちゃんと来ると美味しい。

にこちゃんはスタッフに何か言ってる様子も無いしただの偶然だろうか?
それとも、顔を覚えられていて何も言わなくても美味しい味付けをしてくれているのか。
それなら、私の時もそうして欲しい。

にこ「どうしたの?」

真姫「ここのハンバーガー」

にこ「?」

真姫「今日は美味しいわね」


にこ「そう?いつも美味しいけど」

真姫「やっぱりスタッフに何か言ってるの?」

にこ「何かって何よ?ただのジャンクフードに値切ったりとかしないわよ」

真姫「いや、そうじゃないわよ。ほら、味付けとか」

にこ「ただのジャンクフードに?」

真姫「ただのジャンクフードに」

にこ「ここは高級レストランじゃないからそんな事言わないわよ」

真姫「じゃあ何で?」

にこ「何でって何がよ」

真姫「にこちゃんがいると美味しくなるから・・・」

にこ「そりゃ私と一緒に食べるからよ」

真姫「ちょっと待って、それじゃあやっぱり特別な味付け頼んでるって事じゃない」

にこ「まぁ、私自身が最高の味付けかもね」

真姫「私を食べって奴?」

にこ「あんたそんな台詞どこで覚えたの?」

真姫「えっ、ドラマよドラマ」

にこ「そんな台詞、忘れる事。分かった?」

真姫「何で?」

にこ「何ででもよ。真姫にはまだ早い」

真姫「2年しか違うじゃない」

にこ「分かってないわね~。2年は大きな差よ。まだまだねぇー」

真姫「ちょっと!子供扱いしないでよ」

にこ「羨ましいって言ってるのよ」

結局、ハンバーガーの味付けは良く分からずこの日は解散した。
後日、一人で食べたけどやっぱりそんなに美味しくなかった。
にこちゃんがいないとやっぱりこんなジャンクフード美味しくない。
そう、二人じゃないと美味しくない。

EP.2
【ただのジャンクフード】
END

EP.3 ことり
【小さじ三杯の蜂蜜を】

今日はお家で海未ちゃんと穂乃果ちゃんの三人でカレー作り。

穂乃果「えぇーっ!ルー辛口しかないのー!?」

ことり「ご、ごめん穂乃果ちゃん!家にあったの知ってたからルーは買わなくていいかなぁと思ってたんだけど・・・辛口なの覚えてなくて」

海未「いいじゃ無いですか。本場に比べて日本のカレーは甘いんですしこれもきっとそんなに辛くないはずです」

穂乃果「えっ、海未ちゃん本場のカレー食べたことあるの?」

海未「無いですが・・・」

ことり「どうする?後ルー入れるだけだしスーパーに買いに行く?」

穂乃果「それはダメだよ!穂乃果のお腹の虫はもうマーチングしてるよ!」

海未「辛口なの我慢して食べるしかありませんね。私は構いませんが」

ことり「わ、私も大丈夫だけど・・・」

穂乃果「よし!じゃあ砂糖を入れよ!」

ことり「さ、砂糖?」

海未「穂乃果、私達は今までカレーを作ってたって事忘れましたか?」

穂乃果「えぇーっ!砂糖入れたら甘くなるかもしれないよ!」

海未「そんなの聞いた事ありません!」

穂乃果「隠し味になるかも・・・」

海未「冒険したくはありません!」

穂乃果「海未ちゃん山登り好きじゃん!」

海未「冒険と山登りは違います!」

ことり「まぁまぁ二人共。蜂蜜入れたら辛さ押さえられるよ?」

海未「蜂蜜ですか・・・」

穂乃果「なんか美味しそう!」

ことり「ヨーグルトとか隠し味で入れたりするんだけど今日はもう食べちゃったから」

穂乃果「えっ?カレーにヨーグルトって合うの?」

ことり「うん!インドでもヨーグルト入れたりするよっ」

海未「それはちょっと美味しそうですね」

穂乃果「本場の人が入れるんなら美味しそうだねー」

ことり「じゃ、蜂蜜入れるね。小さじ三杯ぐらいでいいかな?」

海未「そこは馴れてることりの判断でお願いします」

ことり「じゃあ小さじ三杯だね」

私もこの蜂蜜のように、甘さをプラスする。
そんな存在になりたいとふと思った。


EP.3
【小さじ三杯の蜂蜜を】
END

EP.4 希
【Perl】

戸惑いを隠せない。
えりちと二人でいる事は何時もの事だしこんなに緊張する事も滅多にない。

それが今はさっきまで私達は何をやっていたのかさえ思い出せない。思い出そうとすると頭が真っ白になるぐらい緊張している。

イヤホンを二人で共有し公園のベンチで座る女子高生2人のこの様は他人なら見ればただ中のいい友達。

でも、うちからしてみればこの状況で緊張しないわけが無かった。

しかも、丁度日が落ちかけている。
遊んでた子供達はいつの間にか帰っており、公園には二人だけ。
辺りを包む日の淡いオレンジが憎たらしくなるぐらいにいいムードを作ってる。

絵里「・・・?」

それにお互いの距離も凄く近い。
いつも以上にえりちの匂いを感じる。

絵里「ねぇ、希」

希「な、なに!?」

絵里「な、何をそんなにびっくりしているるの?」

希「あー、ほら。音楽に聞き入ってた。どうしたん?」

絵里「この曲なんだけどいつになったら歌うの?」

希「あぁ、この曲は歌声入ってへんよ」

絵里「演奏だけってこと?」

希「そう。演奏だけ」

絵里「なんで演奏だけなの?」

希「それはね。この曲をレコーディングする前に死んでしまったんや」

絵里「えっ、なに・・・それ?もしかしてこれって呪いの曲!?」

希「ちゃうよ。ただの歌われ無かった曲」

絵里「そう、よかった・・・。でもなんで死んでしまったの?」

希「天才だから。27歳で死んでもうたんや」

絵里「早いわね」

希「でも、こうして今も聞かれてるって事は凄いと思うなぁ」

絵里「本当ね。でも、希ってこういうパワフルな曲聞くのね」

希「カントリーしか聞かないと思ってた?」

絵里「ううん。ただ意外なだけ」

希「そっか、うちらも新しい曲が出来てさぁ歌うぞって時に誰かが死んだらその曲はどうなると思う?」

絵里「それは。この曲と同じように歌えないわよ。9人でμ’sなんだから」

希「ふふふ。えりちかっこいー」

絵里「からかわないでよ!」

EP.4
【Perl】
END

あれは凛が中学校に上がっての始めての夏の出来事。
雨が降っていて凛は傘を忘れていたから、かよちんと相合傘をして一緒に下校していると、どこからかにゃあと声がした。

EP.5 凛
【鳴いて】

花陽「あっ、凛ちゃん猫だよ」

凛「えっ!どこどこ?」

かよちんが指を刺した方を見ると、タンボールの箱があり。
そこから小さな三毛猫がひょっこりと顔を出して鳴いていた。

花陽「捨てられたのかなぁ」

凛「そうかも・・・」

ダンボールの箱の底にはキャラクター物のタオルが敷いてあり、空っぽの猫缶も中に転がっていたが、それ以上に目を引いたのは拾って下さいと言う張り紙。

凛「やっぱり捨てられてるみたい」

花陽「そっか・・・可哀想だね」

凛「どうしよう・・・」

花陽「私の家飼えないよ・・・」

凛「凛も・・・」




花陽「困ったね・・・」

私達2人にはこの子を見捨てると言う選択肢は無かった。

しとしとと降る雨の中で考えて、かよちんはあっと声を出す。

花陽「家じゃなくてもいいんじゃ。ほら、あの神社で飼おうよ凛ちゃん!あそこなら雨防げるし餌も私達のおこずかいから出せば」

凛「おー!いい考えだねっ!」

じゃあ早速とかよちんは猫が入ったダンボールを抱える。
凛は両手が塞がったかよちんと子猫に傘を差して歩いた。

出来るだけ猫とかよちんを濡らさないようにしてたから凛はびしょ濡れだけど歩いて五分後に目的の神社に辿り着いた。

凛「どこに置く?」

花陽「うーん。あそこかなぁ」

かよちんは社を見た。
確かにあそこなら、床下もあるから雨も防げそうだし寒さもある程度なら大丈夫そうだ。

凛「ここが今からお家だよ」

かよちんがダンボールを置き、タオルを取り出した。

花陽「凛ちゃんびしょびしょだよ?」

凛「えへへ。猫ちゃん風邪ひいたら大変だから」

花陽「凛ちゃんが風邪をひいても大変だよー」

あははと笑う私達とにゃあと鳴いている子猫。
いつの間にか雨は止んでいて、お日様が少し顔を出していた。

花陽「さぁ餌飼いに行こっか!」

凛「うん!」



この日はコンビニに餌を買って子猫にやり、さようならを告げて私達はお家に帰った。

名前決めなきゃなーと思い色々考えてる内に寝てしまいその翌日。

いつもより早起きをし、鞄に猫缶を入れて家を出るとかよちんが笑顔で待ってくれていた。

花陽「おはよう行こっか!」

凛「うん!」

今日の天気は昨日と違い晴れている。
まだ名前の無い猫ちゃんもこの天気を喜んでるに違いない。

神社に辿り着くと、すぐに社へ向かう。

花陽「ひっ・・・」

私達が見たのはスズメが丁度子猫の目玉を咥えて飛び去って行く所だ。

何かの間違いだよ。
そう思ってダンボールを覗くと猫は舌を出し目玉のない眼孔は私達を見ているようだった。

ピクリと動き、まだ生きていると思った私は猫を持ち上げようと手を伸ばしたがゴキブリが数匹ダンボールから出るのを見て大きく身をひいた。

なんでなんで死んじゃったんだろう。
開かれた口からは蛆が這い出て、私達を進行しているかのように見上げている。

凛「鳴いてよ。嫌だよこんなの」

かよちんはただ涙を流して泣いている。

凛「ねぇ、鳴いて」

私は認めたくない。
捨てられて、私達が拾って大人になるまで育てるつもりだったのに。
一日で死んでしまうなんてそんなの・・・。

お願いだから生きていることを証明して欲しい。

だからお願いだから。

EP.5
「鳴いて」
END

EP.6 ツバサ
【Basket Case】

ツバサ「あれ、穂乃果?」

穂乃果「わわわっ、ツバサさん!」

ツバサ「ハロー、穂乃果。今暇?」

穂乃果「えっ?暇ですよ!」

ツバサ「そっか・・・ねぇ、今からちょっとお茶しない」

穂乃果「えっ!?ナンパですか?」

ツバサ「女の子が女の子ナンパしてどうするのよ。ほら、そこの喫茶店でいい?」

穂乃果「オシャレな喫茶店ですね!」

ツバサ「うん、結構気に入ってるわ。ほら入るわよ」

穂乃果「はい、席はどうします?」

ツバサ「あそこにしましょ。あ、ここパンケーキが美味しいのよ」

穂乃果「ほへぇーそうですかー。じゃあ私パンケーキ頼もう」

ツバサ「私はコーヒー」

穂乃果「あれ?パンケーキは?」

ツバサ「穂乃果が食べさせてくれるんじゃないの?」

穂乃果「やっぱりナンパじゃないですか!」

ツバサ「冗談よ。私、ほらダイエット中だから」

穂乃果「なるほどー」

ツバサ「あっ、来たわよ。それはそうとラブライブ優勝おめでとう」

穂乃果「あ、ありがとうございます!」

ツバサ「全くもう悔しいんだからー」

穂乃果「あはは・・・」

ツバサ「みんな輝いてたわよ。太陽みたいにね」

穂乃果「太陽ですか・・・はぁ」

ツバサ「どうしたの?」

穂乃果「何だか私みんなに比べると何も出来て無いなって」

ツバサ「そんな事ないわよ。無力なメンバーは一人もいないと思うけど?」

穂乃果「そうですか?・・・私これと言って取り柄なんか無いですし」

ツバサ「そんなキャラクターだった?」

穂乃果「え?」

ツバサ「もっと底抜けに明るいキャラクターだったと思うけど」

穂乃果「私にも暗ーくなる事ぐらいありますよ!」

ツバサ「大丈夫。心配ない。取り柄のない人なんかじゃ無いって私が一番分かってる」

穂乃果「ツバサさんが?」

ツバサ「えぇ。あなたには人を引っ張る力がある。だからみんなスクールアイドルを続けられたのよ」

穂乃果「人を引っ張る力ですか?」

ツバサ「そう、あなたが最後までμ’sの操縦桿を握っていた。だからこれからも握り続けなきゃ。最後まで。ほら飲まないの?冷めるわよ?」

穂乃果「あ、ありがとうございます!・・・何か話せて良かったです!」

ツバサ「私もナンパして良かった」

穂乃果「やっぱりナンパだったんですか?」

ツバサ「冗談よ」

EP.6
【Basket Case】
END

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