兄「アラサー兄妹で」妹「ダベる」 (7)

妹「あ、お兄ちゃん。やっぱりベランダに居たんだ」

兄「うん」

妹「ホタル族は大変だねえ」

兄「まあな。……要る?」

妹「いらない。だって歯にヤニつくもん」

兄「妹らしい理由」

妹「別に長生きはしたくないけど、まだ綺麗ではいたいからね。そうだ、要る?ビール持ってきた」

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兄「要る。サンキュ」

妹「ぷはー、生き返るね」

兄「普段のお前、目死んでるからな」

妹「会社ではそれなりに生き生きした目でやってるよ」

兄「どうだか」

妹「お兄ちゃんこそ、いつもそんなローテンションのままでいたらそのうち窓際部署に飛ばされるよ」

兄「今の会社そのものが陰気だから大丈夫」

妹「最初の頃は島流しに遭わないか心配でうなされてたくせに」

兄「それは仕事内容と能力如何が自分に釣り合ってるか不安だっただけ」

妹「じゃあよかったね、とりあえず今のトコで落ち着けたんだから。頑張ったね」

兄「ありがとう」

妹「そういえばさー、この前偶然にお兄ちゃんの元カノに会ったよ」

兄「ふうん」

妹「なんか流れで少しお茶したわ」

兄「そっか」

妹「それで当然、お兄ちゃんの話も出てくるんだけどさ」

兄「なんて言ってた?」

妹「あの重さ暗さは相変わらずなのか?って心配してた。いい人だね、あの人」

兄「うん」

妹「……お兄ちゃんってさ、自分の性格には満足してるの?」

兄「してないよ。俺は暗いなりに変わる事には貪欲なんだ」

妹「不安が生きる原動力なんだ?」

兄「その通り。前向きコンプレックス」

妹「なんじゃそりゃ」

兄「俺にも分からん」

妹「…………」

兄「しかし、今年でお互いにもうアラサーだな」

妹「沈黙を破る言葉がそれとか……お兄ちゃんホント残念人間だね」

兄「ほっとけ」

妹「はいはい、どうせ彼氏いませんよ」

兄「知ってるし」

妹「なんか学生時代感じたときめきみたいなのって、もうありえないものになっちゃったからね」

兄「まあ……経験値が貯まっちゃったからな」

妹「そうそう。ドラクエでもレベル25っていったら、そろそろ鋼の剣とか持ち出すじゃん。最初の町周辺の魔物とか一撃じゃん。そんな中でズドーンってくるような衝撃は難しいよ」

兄「悲しいな」

妹「うん」

兄「なんか青春を過ぎた後の人生って……扱いに困るよな」

妹「ホントホント。後は結婚して子供作って老いて——だけなのにあと平均余命が60年近くあるとか、恐怖」

兄「そんな劇的に楽しいものにならないのが分かりきってるからな」

妹「ホントホント」

兄「恋人とか出来たらまた変わるんかなー」

妹「かもね、それなりに」

兄「人間の脳みそってホント一貫性ないからな」

妹「マイナス方向に一貫してても困るからね」

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