球磨川『モール生活部?』 美紀「語呂悪いです先輩」 (77)




リバーシティ・トロン最上階



~~~STAFF ROOM~~~





「――――それでここの文法は……」

「――――ええ……? じゃあこの単語は過去分詞だから……」





コンコンコン。





「!」

「帰ってきた!」ガタッ





タタタッ、ガチャッ。





美紀・圭「「おかえりなさい、球磨川先輩!」」

球磨川『ただいま。美紀ちゃん、圭ちゃん』ニコッ


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1445114845

がっこうぐらし!×球磨川さんのssです。


※注意点※

・アニメは5話、原作は一応6巻まで視聴。

・原作とアニメの描写を混ぜているので違和感が出るかもしれません。

・球磨川さんに関する情報は作中で徐々に分かっていくので割愛します。

・他のめだかキャラは名前だけの登場程度。

とりあえず今日はスレ建てだけ。
暇なときに1~3レス投下していくスタイルになると思います。
ではまた月曜か火曜にでも。


圭「今日はちょっと遅かったですね。何かありました?」

球磨川『ああ、いや、特別なことは何もなかったよ。この子が吠えまわって客寄せを始めちゃった以外はね』ナデナデ

太郎丸「くぅ~ん」

圭「え!? だ、大丈夫だったんですか!?」

美紀「もう、だめでしょ太郎丸! ここ以外では吠えちゃだめって教えたでしょ?」

太郎丸「わぅぅ……」

球磨川『そんなに怒らないであげてよ美紀ちゃん。ほら、僕達には傷一つついてないんだからさ』

美紀「そういう問題じゃ……」

圭「仕方ないですよ先輩。美紀ちゃんは球磨川先輩にお熱だから、姿が見えないと心配で心配で堪らなくなるんだよね~?」ニヤニヤ

美紀「な!?」カァァ

球磨川『へぇ~? こんなかわいい子にそこまで心配されるなんて、僕は世界一の幸せ者だぜ』ニヤニヤ

美紀「そ、そんなんじゃないです! 勘違いしないでください! もう、圭!」プンプン


球磨川『美紀ちゃんと僕の将来が約束されたところで、今日の収穫を発表といこうかな?』ゴソゴソ

美紀「しょ、将来……!」カァァァ

圭「かわいいのう」ニヤニヤ

美紀「圭!」

圭「きゃ~♪」

球磨川『ほらほら、いちゃつくのはそれぐらいにして、これをセットするのを手伝ってよ』

美紀「いちゃついてません!って……」

圭「こ、これはまさか……!?」

球磨川『そう、文明の利器、カセットコンロさ!』

圭「火が使えるよ!」

美紀「やったね圭ちゃん!」

球磨川『やめて』


球磨川『これをここにセットして……と』カチッ

圭「すごい、火が点いた!」

美紀「それは普通に点くでしょ」

圭「いや~、だってさ? 球磨川先輩だよ?」

美紀「あ……」

圭「分かるでしょ?」

美紀「うん。そういえばそうだよね」

球磨川『あれ? 僕今いじめられてる?』

美紀「気のせいですよ」

圭「そうそう、気のせい気のせい」

球磨川『本当に逞しく育ってくれたぜ君たち……』

目を離したすきにパソコンが再起動して書き溜め消し去られたので今日はここまで。


球磨川『さて、これで火は確保できたわけだ』

圭「これでスナック菓子生活から脱却できるんですね……!」キラキラ

美紀「カップラーメンにする? それともカップ焼きそば?」ワクワク

球磨川『どっちもインスタント麺じゃないか。ここはパックご飯をお湯で温めてふりかけご飯にするべきだね』キリッ

美紀「なるほど、パスタを茹でるのも捨て難いですね……」

球磨川『あ、そこは意地でも麺なんだ……』

圭「いっそ土鍋でも持ってきてごはん炊いちゃいましょうか!」

球磨川『え』

圭「え」


圭「何ですかその『え』って」

球磨川『いや、まさか圭ちゃんの口からそんな立派なアイディアが飛び出すとは思ってもみなかったから……』

美紀「それは流石に失礼ですよ先輩。圭はこう見えてしっかり者なんですから」

圭「こう見えては余計じゃない?」

球磨川『まあ圭ちゃんがしっかり者だっていうのはもちろん理解してるさ。ただ雰囲気がね?』

美紀「分かります。圭の第一印象は考えるより先に体が動いちゃいそうな子、って感じですもんね」

圭「ちょ、それ美紀には言われたくないな~」

美紀「え?」

圭「美紀なんて、しっかり者に見せかけて実はかなりだらしないもんね」

球磨川『分かる! 寝る時は下パンツ一枚だし見栄えを重視してるのかパンツの上にガーターベルト着けてるしこの前なんかパンツが表裏逆で――――』








バシンッ!








球磨川『……痛いよ二人とも』ヒリヒリ

美紀「デリカシーのない先輩が悪い」

圭「だから私たちは悪くありません」

球磨川『うわ、他人にやられるとここまでイラッとするのかこのセリフ』

圭「先輩って本当にパンツ好きですよね」ジトー

球磨川『女の子のパンツが好きじゃない男なんているわけないじゃないか!』

太郎丸「わぅ?」

球磨川『ごめん、ちょっと黙ってて』

美紀「私の中で先輩の評価がダダ下がりです」

球磨川『フッ。失望されるのにも僕は慣れてる。ていうか下げられるだけの評価があったってことに驚きだぜ』

美紀「……私たちがまた笑うことが出来るようになったのは、先輩のおかげですから……」

圭「美紀……」

球磨川『……』


美紀「……すみません、空気、悪くしてしまって……」

球磨川『ハハッ、謝る必要なんてないぜ美紀ちゃん。別に君は悪くないんだからさ』

圭「そうだよ。その話についてももう解決したじゃない」

美紀「でも……」

圭「ほら、笑って? ね?」

美紀「……」

球磨川『あらら、美紀ちゃんってばまた不愛想な顔になっちゃった』

圭「ほら美紀、落ち込んだ時こそ笑顔でしょー?」

美紀「……ごめん、少し、放っておいて」

圭「……」ムカッ


圭「分かった……そんなこと言うんならこっちにだって考えがあるんだからね」

美紀「?」



ぐいっ、どさっ!



美紀「きゃ! ちょ、ちょっと圭! いきなり何を――――」

圭「ふっふっふっふ」ワキワキ

美紀「け、圭? 何で手をわきわきさせてるの?」

圭「覚悟はいい? 私はできてる」

美紀「何の!?」

圭「球磨川先輩に、美紀のあられもない姿を見せる、覚悟をねェえええ!!」

美紀「いやぁあああああああああああああああああああああああっっ!」

球磨川『圭ちゃん絶好調だなぁ。ん、おいしっ』ズズー


美紀「――――圭のばかぁ……」グスッ

圭「いやー、思った以上に可愛い声だったね美紀」ツヤツヤ

美紀「やめてって、何回も言ったのに……」

圭「暗い顔をしてる美紀が悪いのっ」プイ

球磨川『はっはっは。中々悪くない光景だったよ美紀ちゃん。惚れ惚れしたぜ』

美紀「……先輩、きらいです……」

球磨川『そんな! 僕が一体何をしたっていうんだ! ただ僕は恥ずかしい声が出るのを必死にこらえる姿が妙にエロかったなーとか女の子が女の子を押し倒して全身を弄るのって素敵だなーとか暴れてるときにちらちら見えるパンツって尊いなーって考えてただけ――――』








バシンッ!









球磨川『……さっきより痛い……』ジンジン

圭「ごめんね美紀、調子に乗りすぎちゃって……」

美紀「大丈夫だよ、私を心配してやったことだもんね。ありがとう圭」ニコッ

圭「どういたしまして」ニコッ

球磨川『僕で地を固めないでよ』

圭「?」

美紀「そのための先輩じゃないんですか?」

球磨川『否定はしないけど面と向かって言われると傷付くぜ』

圭「先輩大好きー」ムギュ

球磨川『やれやれ。ここは僕が引き下がるとするか。何たって先輩だからね!』

圭「かっこいー!」

美紀(チョロい……)


球磨川『それで結局どうするの?』

美紀「何がですか?」

球磨川『ほら、麺vs米の主食論争の途中だったじゃない』

圭「そんな論争誰もしてませんから」

球磨川『そうだっけ? まあいいや。それで何を食べるんだい? 今の僕の空腹具合から察するに、もうカップ麺でいいやって感じなんだけど』

美紀「むっ、カップ麺でいいやとは聞き捨てなりませんね」

球磨川『へ?』

美紀「いいですか先輩? 今私たちが生活してるショッピングモールには確かに大量の食品が置いてあり、先輩のお陰である程度は安全に地下一階の食料品売り場まで行き来が可能になっています」

球磨川『う、うん』

美紀「ですが、例え食料の調達が容易になったとはいえそれにも限りはあります。いずれは枯渇して食べるものに困り、このモールを去ることになるでしょう」

球磨川『そ、そうだね……』

美紀「飢えに苦しみ、わずかな食料を求めさ迷い歩き、遂には力尽き行き倒れ、朦朧とする意識の中先輩はこう思うんです……」













美紀「『ああ、カップ麺をバカにしなければよかった』と」

球磨川『ねーよ』












球磨川『いやいや……いやいやいやいやいや、何を言ってるの美紀ちゃん?』

美紀「何って、食べ物に対する感謝の気持ちを忘れた先輩に食のありがたさを思い出してもらおうと」

球磨川『あれで伝わってくるのは美紀ちゃんのカップ麺への異常な信仰心だけだよ』

美紀「人を熱心な宗教家みたいに言わないでください」

球磨川『カップ麺一つであそこまで熱く語れるなら同じことじゃない』

美紀「だったら球磨川先輩のパンツに対する信仰心も異常ですね」フッ

球磨川『おいおい、人をパンツ狂いの変人みたいに言わないでくれよ。傷つくぜ』

圭「変人じゃないですか」

球磨川『傷つくって言ったばっかだよ?』

美紀「そうだよ圭。先輩は変人じゃなくて変態だよ?」

球磨川『あまり意味変わってなくない? あれ? もしかして遠まわしに人間扱いされてないってことなのかな?』


球磨川『いいぜ美紀ちゃん。この際君の主張する僕が食への感謝云々は、食育委員のかわいい方としまぶーの顔を立てて認めてあげるよ』

美紀「二人ともよく知らないのでリアクションに困りますが、分かってくれたのなら何よりです。では早速お湯を沸かせてカップ麺を……」

球磨川『待ちなよカップ麺中毒者、まだ僕のバトルフェイズは終了していないぜ』

美紀「はい? バトルフェイズ?」

球磨川『そう、僕には君の発言の弱点が見えている。そこを容赦なく突かせてもらうぜ』

美紀「フフッ。弱点ですか? 面白い冗談ですね先輩。私の発言のどこに間違いがありますか?」

球磨川『違うぜ美紀ちゃん。僕が突くのは“間違い”じゃあない』

美紀「……どういう意味です?」

圭(どうして二人とも妙にノリノリなんだろう……)


球磨川『美紀ちゃん。君はこう言ったね? 『いずれは枯渇して食べるものに困り、このモールを去ることになる』って』

美紀「はい。事実ですから」

圭「あ……」

美紀「どうしたの圭?」

球磨川『フッ、圭ちゃんはもう気づいたみたいだね』

圭「え? あ、いや……」キョロキョロ

美紀「どういうことですか先輩。私が何に気付いていないって言うんですか?」

球磨川『やれやれ、まだ分からないのかい? 君は食べ物が枯渇するって言ったんだぜ?』

美紀「それがどうかし――――」ハッ

球磨川『もうこれ以上もったいぶる必要はなさそうだね。それならここでフィナーレといかせてもらうぜ』













球磨川『ショッピ圭「大変! 太郎丸がいない!」












球磨川『…………』

美紀「け、圭……!」

圭「え?」

球磨川『…………』

圭「あ、ご、ごめんなさい! 話を遮っちゃって!」

球磨川『…………』

圭「つ、続きをお願いします。私、太郎丸を探してきますから、ね?」

球磨川『…………』

美紀「今は、そっとしておいてあげて……」

圭「うぅ……」

球磨川『……太郎丸がいないんだっけ?』

圭「は、はい!」


球磨川『ああ、帰ったとき扉を閉め忘れてたのか。これはうっかりしてたぜ』

圭「あ、あの……」

球磨川『僕はちょっと太郎丸を探してくるからさ、二人は先に夕食にしてていいよ』

圭「わ、私も手伝います!」

美紀「私も!」

球磨川『ははは、大丈夫だよ。モールの入り口はしっかり封じてあるから外には出られないし、すぐに見つけられるさ』

圭「で、でも……」

球磨川『それに、まだまだアイツらはモール中にいるからね。一人のほうが動きやすいんだ。だから、ね?』

圭「……分かりました。でも、気を付けてくださいね?」

球磨川『フッ、僕に気を付けてっていうのは、おでんを前にしたリアクション芸人に熱いけど大丈夫かって聞くくらい無粋ってもんだぜ?』

美紀「ついて行きます」ガシッ

球磨川『気を付けます』

美紀「よろしい」スッ


球磨川『ま、すぐに帰ってくるから心配しないでよ』

圭「じゃあ、晩御飯を用意して待ってますから、早く帰ってきてくださいね」

球磨川『分かったって。じゃ、行ってくるね』

美紀「いってらっしゃい、球磨川先輩」

球磨川『ん。行ってきます』



こつ、こつ、こつ、ピタッ。



球磨川『あ、そうそう美紀ちゃん。一つ言い忘れてたことがあったんだ』クルリ

美紀「はい? 何ですか?」










球磨川『ショッピングモールにある食料を三人で食べきるなんて半年かけたって無理だぜ。じゃ』タッタッタ










美紀「……」

圭「……」

美紀「……小さくうわーんって声が聞こえる」

圭「やっぱ、邪魔されたの気にしてたんだ……」




夕食後。



球磨川『んぐ、んぐ、んぐ……ぷはぁ! いやぁ、久し振りにお腹にたまるものを食べたからかな? 食後のジュースがたまんないぜ』

美紀「おいしかった……」ポワワーン

圭「インスタントラーメンってこんなに美味しかったんですね……」ポワワーン

球磨川『お菓子ばかり食べてると、普段の食事がどれだけ贅沢だったのか痛感するよね』

美紀「本当ですね。いつもご飯を作ってくれてた母に感謝ですね」

圭「お母さん……」

美紀「……」

球磨川『はいはいそこまで。君達、今日だけで何回僕との約束を破れば気が済むのさ』

圭「約束……」

球磨川『そう、約束。忘れたとは言ってもいいけど言わせないぜ?』

美紀「どっちですかそれ」クスッ


球磨川『そうそう、その笑顔だよ美紀ちゃん。ほら圭ちゃんも』

圭「……ふふ。やっぱり先輩はスゴイですね」クスッ

球磨川『え? 僕何もしてないけどどうしたの?』

圭「先輩と話すとどんなに辛い時や悲しい時でも、不思議と笑顔になれるんです」

球磨川『へぇ、こんな僕でもおしゃべりするだけで誰かを笑顔にできるなんてね。これは驚きの新発見だぜ』

圭「はい。ですから、お礼を言わせてください」

球磨川『?』

圭「球磨川先輩。私たちの所に貴方が来てくれて、本当に感謝しています」

球磨川『それはこっちの台詞だよ。いつも明るくてかわいい笑顔を見せてくれてありがとう』ニコッ

圭「あ、ありがとうございます……」テレテレ

美紀「……」ムゥ


球磨川『ん? どうしたの美紀ちゃん、そんなムッとして』

美紀「いえ、別に……」

圭「美紀ったら、私と先輩が親しげに話すだけで嫉妬するようじゃこの先苦労するよ?」

美紀「だ、だからそんなんじゃないってば!」

球磨川『え~? 僕は美紀ちゃんが他の男の子と楽しそうに話してたら嫉妬しちゃうけどなあ』

美紀「ええっ!?」カァァ!

圭「美紀の百面相は見てて飽きないねー」ニマニマ

球磨川『美人は三日で飽きるとか言うけどあれ嘘だね。ん? 美紀ちゃんの場合美人っていうかかわいい系?』ニヤニヤ

美紀「うぅ……もう二人とも知らない!」プイッ


球磨川『やれやれ、どうやら美紀ちゃんの機嫌を損ねちゃったみたいだね』スクッ

圭「あれ、もう寝るんですか?」

球磨川『まだ寝ないよ。少し屋上で夜風に当たってくるだけさ』

圭「え~? もう少しお喋りしましょうよぉ」

美紀「……」ウトウト

球磨川『でも美紀ちゃんはもうおねむって様子だけど?』

圭「あらら……」

球磨川『久しぶりにまともな食事を取ったから気が抜けちゃったのかもね。おーい美紀ちゃーん』ポンポン

美紀「ふぁい……?」ウトウト

球磨川『僕は屋上で夜風に当たってくるから、眠いならちゃんとベッドに入って寝たほうが良いよ』

美紀「いえ、大丈夫……です……」ウトウト


球磨川『大丈夫に見えないね。確かに寝るには少し早いけど、無理して起きてる必要もないんじゃない?』

美紀「それは、そうですけど……」

球磨川『僕とちょっとでも一緒に居たいって思ってくれるのは嬉しいけどさ、それで美紀ちゃんに寝不足になられても困るよ』

美紀「ですから、そんなんじゃ……」

球磨川『大丈夫だよ』ポン

美紀「ん……っ」ピクン

球磨川『僕はどこにも行かないよ。二人に黙って居なくなるなんて事は絶対にしない。週刊少年ジャンプを賭けたっていいぜ』ナデナデ

美紀「……それ、賭けになるんですか?」

球磨川『僕にとって週刊少年ジャンプは人生そのものだからね』

圭「つまり一回でも約束破ったらこれから先の先輩の人生は美紀の思いのままってことだよ……」ヒソヒソ

球磨川『うーん、この拡大解釈ぶり。嫌いじゃないぜ』


美紀「……本当に、居なくなったりしませんか?」

球磨川『居なくなるぐらいならそもそも出会ったりしないって。美紀ちゃんってばホント心配性なんだから』ヘラヘラ

美紀「先輩、時々すごく信用できないときがありますから」

圭「最初に会ったときから未だに胡散臭さが漂ってるもんね」

球磨川『信用の無さが浮き彫りになった……』ズーン

美紀「落ち込むくらいなら普段の行動を省みてください」

圭「ちょっと散歩に行ってくるって言ってボロボロになって帰ってくる人をどうやって信用しろって言うんですか」

球磨川『き、気をつけます……』

美紀「気をつけるだけですか?」ジトー

球磨川『あ、ジト目かわいい』

美紀「先輩!」

球磨川『じゃあ僕屋上行ってくるから、無理しないで早く寝るんだよー!』スタコラサッサー


圭「行っちゃった」

美紀「もう、先輩ったら……ふぁぁ」

圭「あはは! 美紀ったら大きなあくび」ケラケラ

美紀「あ、あんまり見ないでよ」カァァ

圭「もう寝よっか。私はまだ眠く無いけど、おねむな美紀ちゃんを寝かしつけてあげないとね~」

美紀「むっ、人を赤ちゃんみたいに言わないでよ」

圭「立派なあくびをしといて、どの口が言うのかな~?」

美紀「……圭のいじわるっ」プイッ

圭「ごめんごめん。ほら、早くパジャマに着替え……ふぁぁ」


美紀「……」

圭「……」

美紀「……ぷっ」

圭「あっははは!」

美紀「圭だって人の事言えないじゃない」アハハハ!

圭「美紀のあくびがうつったんですぅ」アハハハ!

美紀「ふふふっ!」

圭「はははっ!」


圭「あー、おっかし……!」

美紀「私、笑い疲れちゃったよ……」フフッ

圭「これで今日はぐっすり眠れるね」

美紀「うん、そうだね。……圭?」

圭「ん? どうしたの?」










美紀「……明日もまた、よろしくね?」ニコッ

圭「……もっちろん!」ニコッ












~~~~屋上~~~~



球磨川『うーん、流石に10月が近いと夜は冷え込むなー』

球磨川『それにしたって寒い。まるで冬みたいだ。本当に秋はどこに行っちゃったんだろうね?』

球磨川『秋が無いと困るんだよなー。このままじゃ、出きたての焼き芋を美味しそうに頬張る美紀ちゃんと圭ちゃんが拝めなくなっちゃうじゃないか』

球磨川『別に焼き芋は冬にも食べれるけどさ、やっぱり秋特有の空気を感じながら食べるってことが大事だと思うんだよ。風情ってやつだね』

球磨川『ついこの間まで薄着で開放的だった女の子が徐々に露出を減らしていくのを見て僕は夏の終わりと秋の訪れを感じるっていうのに!』

球磨川『秋という季節がもたらす雰囲気に飲み込まれていつも以上にご飯が美味しく感じられついつい破顔しちゃう美紀ちゃんが僕は見たいんだよ!』

球磨川『そんな美紀ちゃんをからかいつつもお腹周りを気にしてこっそりとダイエットを敢行する圭ちゃんを僕は見守りたいんだよ!』

球磨川『そこのところどう思う!?』クルッ

太郎丸「わん」シラー


球磨川『あ、太郎丸来てたんだ』

太郎丸「わんっ!」

球磨川『うわー、僕一人だと思ってたから油断して色々と恥ずかしい独り言っちゃったなー。恥ずかしすぎて顔から火が出そうだよ』

太郎丸「わぅ~」ジトー

球磨川『あれ? 信じてない?』

太郎丸「わうん」フルフル

球磨川『じゃあ「うわ、こいつ独り言であそこまで長々と気持ち悪い妄想垂れ流してたのかよ」って思った?』

太郎丸「わん」コクコク

球磨川『太郎丸って手厳しいよね』

太郎丸「わんっ」

次の次の投下くらいで地の文とアンケートやります。

地の文とかどうでもいいから、とにかく量を増やして欲すぃ

生存報告。

地の分書くのに時間かかってるんだけど書いてて楽しい。今週の金曜日投下できなかったら今年中の投下は無理になります。

>>50
申し訳ありません、地の文&アンケート終わるまでもう少しご辛抱ください。

アル中気味な親がこっそり>>1名義で最低でも50万借りた疑惑が浮上してきましたが>>1は元気です。笑顔を浮かべるのが疲れるようになってきましたがそれでも>>1は元気です。

ストレスがマッハなので明日書き溜め出来上がった分だけでも投下します。

冗談抜きで自分語り気持ち悪い

遅くなりました。できてる分投下します
最初の2レスは台詞形式ですが、残りは地の文です

>>53
ごめんなさい


球磨川『あ、ビーフジャーキーあるけど食べる?』

太郎丸「わんわんっ!」ピョンピョン

球磨川『ははは、嬉しいのは分かったから落ち着いて。ほらお食べ』

太郎丸「わふ、あぐぅ」ガツガツ

球磨川『うんうん、いい食べっぷりだね。はい、もう一枚』

太郎丸「わんっ!」スリスリ

球磨川『おっと。よしよし、太郎丸は甘えん坊だね』ナデナデ

太郎丸「くぅーん」ペロペロ

球磨川『あは、くすぐったいよ太郎丸。僕の手を舐めたって美味しくないよ?』

太郎丸「……」ペロペロ

球磨川『……』


球磨川『ありがとう太郎丸。大丈夫だよ』ヒョイ

太郎丸「わふ……」

球磨川『きみはホント優しい子だね。僕の心配をしてくれる生き物なんて、1年前だったらそうそうお目にかかれないものだったんだぜ?』ナデナデ

太郎丸「わうーん……」

球磨川『……傷、目立たなくなってきたね』

太郎丸「?」

球磨川『痛くない?』サスサス

太郎丸「わんっ!」ペロペロ

球磨川『わぷっ! はは、顔を舐めるのはやめてよ』

太郎丸「くぅん、くぅーん」スリスリ

球磨川『今日は一段と甘えん坊だなぁ。なら、今日はとことん付き合ってもらうよ。今夜は寝かさないぜ?』

太郎丸「わんっ!」









目覚めは実に不快なものだった。








夜も更けたリバーシティ・トロンの最上階。
元は商品の在庫管理などに使われていた従業員専用の部屋の中で、直樹美紀は目を覚ました。
痛む額を軽くさすりながら、枕元に置いてあるよく分からないへんてこなキャラクターの置時計に視線を向ける。

時刻は2時。当然、早起きのレベルを超えている。

「……痛い」

第一声はその一言に尽きた。
額から送られてくる鈍い痛みが自分の安眠を妨げたのだろうことはすぐに分かった。だが痛みの原因がよく分からない。
とくに頭痛持ちというわけでもないし、何よりこの痛みは内側からズキズキとくるのではなく、額がヒリヒリとした痛みを訴えているのだ。
では何が原因なのだろうかと思い、ふと横を見ると、その問題はすぐに解決した。





「むにゃむにゃ……えーい!」





隣で眠っていた親友の祠堂圭が、寝返りを打ちながら見事なグーパンチをお見舞いしてきたからだ。


「~~~~~っ!?!?」

見事な放物線を描きながら飛んできた圭の左フックは顔の中心を捉え、眠っているが故の一切の加減も容赦もない一撃が美紀の鼻を打ち抜いた。
完全に不意を突かれた一撃に美紀は声にならない叫びを上げ、ベッドの上から転げ落ちてしまう。
落下した衝撃など気にも留めずその場をゴロゴロと転げ周り痛みをこらえていると、ベッドの上から声が聞こえてきた。

「ふふふ~、どうだまいったかー……むにゃ……」

「……」

どうやら自分の鼻を打ち抜いてくれた狼藉者はまだ夢の中に居るらしい。というかあれで起きないとかどれだけ眠りが深いのだろうか? 彼女は案外大物なのかもしれない。
友人の意外な一面に呆れと少しの敬意を込めた視線を向けながら、美紀はまだ痛む鼻を押さえながらゆっくりと立ち上がる。

「鼻、いたい……」

まずは鼻へのダメージがどれ程のものか知りたい。
電気が通っていないこの建物では明かりを確保するのも難しいので、明かりを得るためには必然的に窓の近くまで移動しなければならない。
懐中電灯もあるにはあるが、鼻血が出ていないかを確認するためだけに使うのもできれば遠慮したい。

このご時世、電池は貴重なのだ。

カーテンの隙間から差し込むかすかな明かりを頼りに、覚束ない足取りで歩いていく。
窓の近くまでたどり着き、カーテンを少し開けると、鼻を押さえていた自分の手のひらを確認した。
月明かりに照らし出された彼女の手はシミ一つなく、光を反射して映る姿はまるで白磁の器を思わせる芸術品のようだ。
予想していた色がどこにも見えないことを確認し、美紀はほっと息をついた。


「よかった、鼻血は出てない……」

ひとまず安心と言ったところか。
あれだけ見事にクリーンヒットした圭の左フックは、どうやら鼻血を流させるには至らなかったらしい。

というかこんなことで血を流したくない。間抜けすぎて泣けてくる。

思考を切り替えようと、手のひらから視線を移し腕全体を見つめる。
元々同年代の子と比べると細めだった腕はこの暮らしが始まってからさらに細くなってしまったが、それでもまだまだ健康的といっても差し支えないものではあった。
小さな手から伸びるしなやかな指は少女というよりは大人の女性のような魅力があるとは『彼』の言葉だったか。

と、ここで美紀の表情が少し険しくなる。

(……いま思い返してみても、あの時の先輩は気持ち悪かったな)

あの『彼』自身が放つ得体の知れないにじみ出る気持ち悪さではなく、ただ嬉々として女の子の素晴らしさを自分たちに語るその姿が純粋に気持ち悪かった。
ああ、男子って年がら年中こんなこと考えてるんだなーと異性への不信感を募らせてしまったのだが、当の本人は全く気づいていない。
今日もパンツが好きじゃない男子はいないとまで言い切っていたが、とりあえず世界中の男子に謝ったほうがいいのではないだろうか?


そもそも、あの先輩はデリカシーが無さ過ぎるのだ。
下着売り場から自分たちの替えの下着を調達して来てくれたのはありがたいがわざわざ手渡ししてくるし、
ちょっと催した時には『女の子は我慢すると膀胱炎になるらしいからトイレに行ってきたら?』とオブラートに包んでもくれないし、
お菓子ばかりの食生活で少し体重が気になってれば『これのどこが太ってるのさ』とか言いながらお腹の肉をつまんでくるし、
だいたい、あの時だって先輩は…………――――――。


明かりが乏しい部屋の中、下着姿で誰に向けるでもなくぶつぶつと愚痴を零し続ける花も恥らう女子高生。
はたから見ればシュールを通り越して若干の恐怖を抱きかねない光景ではあるが、それにつっこんでくれる者は残念ながら居ない。

かたや夢の中、かたや屋上である。

「……まあ、先輩だからどうしようもない、か」

ひとしきり愚痴を言い終えたのか、とてもスッキリとした表情を浮かべる。
鼻血も出ていなかったわけだしもう一眠りしよう、と思い至ったところで、直樹美紀は少し考え込む仕草をした。
時刻は深夜の2時を過ぎており、残っているかも分からない世間では当然眠りについている時間だ。
だが彼女は布団に戻らない。何故なら。






「……眠くない」






彼女はすっかり眠気が飛んでしまっていたからである。


眠くなるまで適当にぶらついて時間を潰そう。

そう思い立った美紀は手早く制服に着替え、今も幸せそうに眠っている友人を起こさないように静かに部屋を出た。
部屋から一歩出ると、そこには目が痛くなるほどの黒が広がっていた。
先ほどまで室内を照らしていた月明かりは雲に隠れ始めたのか、どこを見渡しても同じような黒しか視界に映らない。
一寸先も見えない暗闇というのは初めの数秒こそ何の問題も無いが、目を開けているのに一切の情報が得られないというのは想像以上に目に疲労が溜まる。
眼部から送られてくる鈍い痛みに顔を顰めると、彼女は持ってきていた懐中電灯のスイッチを入れた。
暗いところを見つめ続けていたせいで懐中電灯の光に一瞬目が眩むが、それもすぐに慣れる。

足元を照らしながら慣れた足取りで目的の場所へ歩を進めると、美紀は怪訝な表情を浮かべた。

「あれ?」

彼女がやって来たのは寝具売場のとある一角。
“あの日”の爪痕が未だ生々しく残っている焼け焦げた床、所々にぽっかりと大穴が開いたひび割れた壁。
そこは美紀と圭の二つ目の平穏が失われた場所であり――――、






「先輩がいない……?」






――――三つ目の平穏を与えてくれた『彼』が寝床にしている場所でもあった。

キリが良いので今日はここまで。残りが書き終わり次第投下しに来ますので、もう少しだけお付き合いください。

申し訳ありません。ずっと溜め込んでた漫画消化してて書き溜めしてませんでした。これから書き溜めします。本当に申し訳ありません。

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