勇者「魔王の城はどこだ?」村人「ええと、この先の角を曲がって三つ目を左に……」 (13)

勇者「いや分からんぞ。地図くらいないのか」

村人「あるのはありますが……」

武道家「よしそれをよこせッッ!!」

村人「そんな横暴な……」

魔法使い「我らは勇者一行。さっさとよこせ」

村人「えええ……。じゃあ、道案内しますからそれは勘弁してください」

勇者「ふむ……。よかろう……」

スタスタ……

勇者「おい。遠いぞ」

村人「そりゃそうですよ。コンビニ感覚で魔王城行けるなら苦労はないでしょ」

武道家「俺はもう疲れたぞッッ!」

村人「なんで筋肉隆々で一番バカみたいに体力ありそうなあんたが先にへばってんですか」

魔法使い「御託はいい。さっさと連れていけ」

村人「だから今向かっているでしょ。まったく、わがままなんですから……」ブツブツ

勇者「おい。俺たちは勇者だぞ? 魔王を倒し、世界を平和にする英雄になる者たちだぞ? 口の利き方に気を付けてもらおうか」

村人「何言ってんですか。まだ倒してもないでしょ。そういうセリフは、倒してから言ってください」

勇者一行「……」

~森~
村人「はい、じゃあここを通り抜けます」

勇者「ここは?」

村人「ああ、呪いの森とか言われてるところでさぁ。一度入った者は二度と出てこれないとかなんとか、まあありきたりな設定の森ですよ」

武道家「俺は怖いぞッッッ!」クワッ

村人「なんで一番強面のあんたが一番ビビってんですか」

魔法使い「御託はいい。さっさと森を抜けろ」

村人「だーかーらー。今通ってるところでしょ?」

村人「ところで勇者さん」

勇者「なんだ」

村人「勇者さんたちは、どうして3人なんですか? 普通なら僧侶とかいそうなもんですけど。てか、鉄板ですけど」

勇者「……」

魔法使い「……」

村人「え? え?」

武道家「あのヘタレはなぁ! 泊まった宿の男店員に惚れて寿退社しやがったんだよッッ!!」

村人「こ、寿退社……。ってか、なんで会社扱いなんですか……」

武道家「何があなたたちは暑苦しいだ! 何が将来が見えないだ! 何があんたたちといたら命がいくらあっても足りんだ! たるんどる! たるんどるぞぉぉぉ!!」

村人(うわぁ暑苦しい……)

勇者「あれはもとより我らの中で最弱」

魔法使い「いようがいまいが変わらぬよ……」

村人「ああもう完全に勇者のセリフじゃないじゃないっすか……」

ダダダッ――!

『森の魔獣が現れた!』

村人「あ! 勇者さん敵っすよ!」

勇者「なに――!?」

村人「あれはこの森のボスっす! 倒せばなんやかんやで呪いが解けてダンジョンクリアですよ!」

武道家「それは本当かッ! よし! さっそく俺が始末して――!」ダダダ……

『ミス。武道家の攻撃は当たらなかった』

バキッ

『森の魔獣の攻撃。武道家は力尽きた』

武道家「ぐふ……」バタン

村人「弱っ! 武道家見た目だけじゃないっすか! どうすんですか! 武道家終わっちゃいましたよ!」

勇者「奴は我ら三人の中で最弱」

魔法使い「魔獣よ。いい気になるなよ」

村人「いいから早く倒してくださいよ!」

勇者・魔法使い「……」

勇者「……魔法使い。お前がいけ。お前の後ろは俺が守る」

魔法使い「いやいや勇者殿。それはあなたの役目でしょ。だって勇者でしょ? 勇ましい者なんでしょ? 僕なんて後方支援がお似合いですし」

勇者「いやいやいやいや。お前魔法使えるじゃん。めっちゃ殲滅能力高いじゃん。俺なんかより有能だしさ。ほら、さっさと行って行って」

魔法使い「いやいやいやいやいやいやいやいや。それを言うなら勇者さん雷使えるじゃないですか。あれめっちゃかっこいいじゃないですか。あれでいいんですよ。あれでちゃちゃっと終わらせてくださいよ」

勇者「いやいやいやいや……」

『村人の攻撃』

勇者・魔法使い「え?」

バキッ

『会心の一撃。森の魔獣をやっつけた』

村人「……」ゴゴゴゴゴ……

村人「……もう、いいっすわ……」

勇者「……」

魔法使い「……」

村人「面倒なんで僕で終わらせましたんで。ほら、行きますよ」スタスタ……

勇者「あ、ちょ……ちょ待てよ!」

魔法使い「村人殿? 村人殿待ってください!」

タタタタタタ……

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom