伏線「長年伏せていたが、いよいよ回収される時がきた!」(30)


伏線「長年伏せていたが、いよいよ回収される時がきた!」

伏線「読者どもよ! 驚きおののき、ひれ伏すがよいわ!」

伏線「そうすれば、きっと俺は伏線たちのリーダーに出世できる!」

伏線「そして部下を率いて、大海原に旅立つのだ!」


「バレバレだったよな、この伏線」

「ああ、全然伏せられてなかったもんな。伏線っていえるかどうかも怪しいレベルだ」

「完全に予想通りだったわ」



伏線「なにい!?」


伏線「おのれ……伏せていたつもりが、どうやらバレバレだったようだ」

伏線「だったら今度はもっとちゃんと伏せてやる!」

伏線「完全に気配を消し、絶対に見破られないように、伏せることに徹してやる!」


「ハァ? なんなのこのオチ」

「ひっでえな、なんの伏線もなかったぜ」

「作者、いきあたりばったりで話作ってるんだろうな、きっと」



伏線「なにい!?」


伏線「おのれ、ちゃんと伏線は張られてたのに、誰も気づいてない!」

伏線「回収されても気づいてもらえない伏線なんて、何もないのと一緒だ! くそっ!」

伏線「伏せ方が浅いとバレバレだと笑われ、深すぎると気づいてすらもらえない……」

伏線「俺は伏線を甘く見ていた! 伏線とはなんと奥深く、難しいものなのだ!」

伏線「ようし、修行のやり直しだ!」




……

………



伏線「とうとう見つけたぞ! 最良最善の伏せ方を!」

伏線「これならきっと……読者に驚いてもらうことができるはず!」


「うおおおお、これ伏線だったのかよ!」

「やられたー!」

「全然気づかなかった……。これホントすごいや……」



伏線「や、やった……! ついにやった!」

伏線「読者さんたち、ありがとう……!」ガバッ

伏線(ん!? 思わず俺の方がひれ伏してしまった……!)

伏線(そうか……これが“伏線”!)

伏線(喜んでもらえた感動で、自分自身がひれ伏してしまう……)

伏線(これこそが最高の伏線だったんだ!)グスッ…


伏線神「このたびの栄誉を称え、おぬしを数多の伏線たちのリーダーに任命する」

伏線「ははーっ! ありがとうございます!」







こうして、伏線は昇進し、みごと伏線長となった。

そう、すなわち――


フック船長になったのである。



フック船長「おのれ、ピーターパンめ! 今日こそこの剣のサビにしてくれるわ!」

ピーターパン「アハハハッ! そうはいくもんか!」









                                     おわり

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