男「ん?こんな時間にこんなところに小さい女の子が・・・」 (11)

男「どうしたんだろう?」

少女「・・・・・・」キョロキョロ

男「・・・・・・?」

少女「・・・・・・」キョロキョロ

男「親でも探しているのか?」

少女「!」タッタタタ

男「・・・・・なんだったんだろう」

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女「お待ちどう!ご注文は?」

男「ああ、適当に肉と酒を持ってきてくれ」

女「あいよ」

亭主「お客さん見ない顔だな、仕事かい?」

男「そうさ、香辛料を買いに来てね」

亭主「ほ~!だったらもっといいもんを頼んでくれよ」

男「いやいや、まだ上手くいくかもわからないのにそんなことは出来ないよ」

亭主「はは、違ーねえーや」

女「はいよ!お先に酒さね」

男「こりゃどうも」

亭主「うちのは酒精が強いかんな、気を付けて飲みな」

男「ッ・・・・・・本当に強いな」

亭主「がはははは、だから言ったろうに」

男「けどいい酒だ。滞在中は贔屓にさせてもらうよ」

亭主「お、ありがてえ」

男「ところでここは親子連れがよく来るのか?」

亭主「いーや、こんな酒飲み場に好き好んで子供を連れてくる親はいないさ、いればそりゃ・・・」

男「そりゃ?」










亭主「その子に客を取らせているのさ」

男「そうか・・・・・・」

亭主「どうした?アンタそっちの口で、ああ惜しかったななんて思っているのか?」

男「いや、ずいぶんな話だなと思ってね」

亭主「ま、昔も昔、爺さん、婆さんのそのまたさらに親の親の親の時代にはよくあったことだ」

男「・・・・・・」

亭主「とは言っても最近じゃとんと見ない、というかそんなのは昔も昔の大昔だがね」

男「いや、まだまだそんなこともないようだ」

亭主「どういうことさね?」

男「なに、さっきこの店で1人でいる女の子を見つけてね」

亭主「・・・・・・」

亭主「・・・・・・」

女「ほら、肉料理だよ」

男「ほ~ほ~、どうやら明日もこの店に通うしかないようだ」

亭主「・・・・・・」

女「ほんとかい?うちは魚料理が一番なんだよ」

男「おいおい、先に言ってくれよ」

亭主「・・・・・・」

女「まあまあ、酒のおかわりは?」

男「ああ、いただくよ」

亭主「・・・・・・」

男「どれどれ」パクッ

亭主「・・・・・・」

男「こりゃ美味い!明日の魚料理が楽しみだ!」

亭主「いや、悪いことは言わないから帰った方がいい。宿にじゃなくて国へだ」

男「・・・・・・どうして?」

亭主「どうしてもなにも、このままここに居たらしんじまうからよ」

男「どういうことだ?」

亭主「そのままさね、女の子のお化けに憑りつかれちまってそのままってことさ」

男「・・・・・・詳しく話してくれ」

亭主「さっきも話したが昔はよくあったことらしい」

亭主「自分の娘に客を取らせて金を稼がせるって話もあったくらいだ」

亭主「アンタら海からくる奴らから金をもらうのはそれが一番楽だし早い」

亭主「ここにいる奴らはおとなしいが奥の村なんかにアンタみたいのが1人で行った日にゃ」

亭主「形のある足とペンも握れない腕しか残ってなくても運が良い方なんて言われるくらいだ」

亭主「言っちゃあなんだがそのくらいアンタらは嫌われてる」

男「・・・・・・」

亭主「実際のところ俺は知らないがね。なんせもう100年以上前だ」

亭主「それで最悪だったのはアンタらが持ち込んだ病気だ」

亭主「客をふた月も取ればと途端に具合が悪くなってそのままコロッと逝っちまう」

亭主「今みたいに医者がいたわけでもないし、いてもそんな金はなかった」

亭主「それで若い娘がゴロゴロ、それこそ文字通り掃いて捨てるほどいた。いや、いたらしい」

亭主「そんな中、3年間も客を取り続けた女の子がいたんだとよ」

亭主「なんでも客を取らせられたのは片手で歳を数えられなくなってすぐだったとさえ言われてる」

男「・・・・・・」

亭主「その子は父親に無理やり客を取らせ続けられた。でも逃げるそぶりなんて一切しなかった」

亭主「逃げても帰る家がそこしかないと思っていたんだろう」

亭主「その娘もついには死んじまった。客と部屋に入る前に倒れてそのままろくな看病も受けずにな」

亭主「表には出しはしなかったけど、さぞかし男親を、男を憎んだだろうな」

亭主「それからすぐに化けて出てな。同じ卓にいるんだが誰も気づけない」

亭主「ずいぶんな扱いを受けてきても誰一人気に留めなかったからだろう」

亭主「そんでアンタみたいに1人で飲み食いしてる男のところに行くんだとよ」

亭主「それでその子が茶を一杯頼むんだ。そしたらそのままその卓にいた男が死んじまうって話さ」

男「お茶を一杯?」

亭主「そう、その茶に毒があるらしい。酒屋のもんも男も茶が出ても何とも思わないんだとよ」

男「・・・・・・」

亭主「さ、話は終わりだ。分かっただろ?相手が幽霊じゃどうしようもないんだよ」

男「・・・・・・」

女「いや~悪い悪い!混んできてね!ほい」

男「どうも」

亭主 ヒョイ

男「・・・・・・おい、私の酒になにするんだ」

亭主「酒もなにもさっきの話をただの酔い話にされちゃ困るんでね」

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