【問おう……彼女は何年の時を生きている】
>>2……(0年~250年)
【問おう……彼女は何者か】
>>6まででコンマ以下が最も高い者とする
(○○ノ魔女……彼女の使命を象徴する名を与えて下さい)
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15
破滅
※ お待たせ致しました、こちらの予想に無かった魔女でしたのでストーリー作成に時間がかかってしまいました。
【彼女は……十五年の時を生きていた】
【若い魔女だ】
【生まれたばかりの彼女は、今に至るまでの十五年間を思い出す】
【彼女は曇り空の下、一本の大樹の前で生まれた】
【生まれたとは言うが、彼女達『魔女』に母親など存在しない】
【何の前触れも、音も、魔法陣も無しに突如としてそこに立っているのだ】
【生まれた彼女の中には膨大な知識と、与えられた一つの使命がポツンと有った】
【彼女に与えられた使命は『破滅』】
【彼女は破滅ノ魔女として生まれたのだ】
【彼女の力はどれ程の物だろうか】
>>13まででコンマ以下が最も低い物が力となります
選択肢:【中位】【上位】【特殊(力としては下位)】
中位
──────── ゴォオオオオオ・・・!!
燃えている。
風が吹く度に業火は広がり、瞬く間に人々の逃げ場をも燃やしている。
街中に挙がる悲鳴、そして破壊と炎が渦巻く災厄の音。
一つの国が小さな種火によって燃え上がり、消えようとしていた。
人口は約五十万を越える大帝国は、ある日その国の近くに在った森から火の手が挙がるのを見つけた。
その日は雷が鳴っていたのもあり、珍しくない光景だと思われたが……僅か一時間でその考えは誤りだったと気づく。
有り得ない速度で、ただの山火事は二十里もの距離を無視して……全てを焼き払いながら城下町に達したのだ。
街を覆う壁の表面に含まれる物質を燃やし、火を消そうとする衛兵を燃やし、転がる人から燃え移るカーテンから更に広がり燃やし続けた。
その国の誇る魔導師達は水や風の魔法で炎を消そうとするが、それを阻む様に彼等はそれぞれの小さな何かによって命を落とした。
ある者は敵対心を燃やしていた魔導師に邪魔をされ魔法が暴発し、ある者は逃げ惑う民に押されて他の者の魔法に吹き飛ばされる。
水を蒔く衛兵達もまた、同じ様に火の手とは関係なく己の罪やその他の者によって命を落とし、燃やされていったのだ。
百里以上の広大な土地を飲み込む業火は大空へとその黒煙を巻き上げ、まるで報せるように遥か彼方にいる一人の魔女に見せつけた。
魔女「…………」
破滅ノ魔女、半日で大帝国を世界から消し去った本人である。
【彼女の力は国を一つ飲み込む力だった】
【一人の影が近づく】
>>下2……少女の影・背の高い女の影
【近づくのは少女の影】
【破滅ノ魔女はそれに気づいている】
魔女「……中に入ってなさい」
少女…?「そういうわけには……こほっ、こほっ…」
魔女「今日は湿気が強いもの、こんな風に当たってたら体調を崩しちゃうわよ?」
少女…?「でも……貴女が苦しんでるのに寝ていられないよ…」
魔女「……」
魔女「もう終わった事だから良いの、大丈夫」
【魔女はゆっくりと微笑むと、少女に寄り添って背後にある小屋に向かう】
【破滅ノ魔女には家族がいた】
【彼女に力の使い方を教えた、彼女より遥か以前から存在する『魔女』だ】
【一日目】
少女…?「こほっ…こほっ…」
魔女「……」
魔女「今の私なら大分、『さっきの』で力を補充してる……君の力を受けても耐えられると思うわ」
少女…?「駄目だよ、貴女は貴女で力を有効に使って?」
魔女「ならこれが私にとって有効な使い道、ほら……やって」スッ
【肌が白いだけではない、弱々しく微笑む少女の魔女は確かに瀕死であった】
【その名は『病ノ魔女』、世界に病を広げそれらを統括する力を有した魔女だ】
【彼女のせいで、曇り空の広がる下で生まれた破滅ノ魔女は、その大樹の周囲を見渡して生まれて初めて絶句したのだ】
【周囲の草花は全て黒く変色し溶け落ち、彼女を生み落とした大樹ですら青緑の綿を吹き散らしながら周囲を侵していた】
【森が死んで行く】
【そんな光景を作り出したのが、今は白髪で白い下着のみを身に纏っている少女……病ノ魔女だ】
病ノ魔女「でも……それじゃまた貴女が……」
魔女「いいのよ、確かに苦しいのも嫌だし死にたくないから私は人間を沢山殺したけど……」
魔女「……一番は君を助けたいから、だしね」
病ノ魔女「……貴女……」
【彼女達は、一目見た時から助け合いたいと心から感じた】
【そして破滅ノ魔女は、目の前で苦しそうな姿を見せる少女を僅か十五年の間で愛していた】
【彼女達に人としての名はない理由は、人間と関わる事を捨てて互いをとったからだ】
【病ノ魔女は、目の前で生まれた破滅ノ魔女を自分の様にさせない為に】
【破滅ノ魔女は、力を制御出来なくなった自分よりも下位の少女を守る為に】
【これはそんな二人の、破滅ノ魔女の最後の七日間…………】
>>22……破滅ノ魔女の髪色を答えて下さい
>>24……病ノ魔女の髪色を答えて下さい
銀
栗色
病ノ魔女「……こほっ…こほっ、それじゃあ……いくよ」
魔女「ええ」
ズ ズ ズ ズ ・・・ッ
魔女「……ッ!」ギリッ…
【手を握った破滅ノ魔女に、少女の白い手を通して様々な『病』が流れ込む】
【湿疹、炎症、腫瘍、細菌性、感染性、中には黒い蛇の様な痣が全身に広がるモノ……】
【数千、数万の『病』が破滅ノ魔女の中に注ぎ込まれて行くのだ】
【そして数分後……少女は顔を上げた】
病ノ魔女「……終わったよ」
魔女「ぐゥッ……!」グラッ…
病ノ魔女「あぁ……っ、ごめんね…ごめんね……っ」
【壮絶な痛み、苦痛だけでないごちゃ混ぜになって襲い掛かる不快感や重さ】
【その全てを体感しながら『魔女』故に持つ特性によって、体内で治していたのだ】
【『魔女』は不老不死、決して生半可な力や外傷では死ねない】
【だが相性や力の概念によっては、そんな彼女達魔女ですら死に至る事がある】
病ノ魔女「ごめんね……ごめんね…っ」ポロポロ…
魔女「……」
魔女「泣かないで、私は久しぶりに君の栗毛色の髪を見れて満足だもの」
病ノ魔女「でも……貴女は……」ポロポロ…
魔女「平気よ、だってほら……ちょっと艶が変わるだけだしね?」
【倒れ込んだ破滅ノ魔女の髪色は、美しい銀色から艶の無い白髪へと変貌していた】
【肌も同じだ、若い生娘の様に瑞々しかった表面は病的なまでに白くなっているのだ】
【つい先程に得た『力』は霧散し、その影響か……遠い地で起きていた災厄の炎もいつの間にか消えている】
魔女「さて……と、君はもう少し休んでて? 今日は私が集めて来るよ」
病ノ魔女「でもっ…!」
魔女「行ってきます……」フラフラ
魔女(……どうしようか)
(食料、お金を集めるつもりのようです)
>>下1……行き先を決めて下さい
>>下2……行き先を決めて下さい
A【近くの村】
B【少し遠い街】
C【破滅の炎に包まれていた大帝国領、首都】
──────────……
───────……
──……
…
魔女「……」ジャリッ…
【僅かな時間しか燃えていなかった筈の街に残っていたのは、原型も留めずに炭か灰となり散っている物だった 】
【何か残っているかもしれない、そう思いながら魔女は街の中心に降り立った】
【炎から逃れるだけならまだしも、彼女……破滅ノ魔女が行使した力は一度放たれれば全てを文字通り『破滅』へ誘う】
【故に、本来ならば彼女の力の影響を受けた時点で人も物も土地も全てが等しく存在を消されている筈だった】
【ならば何故、彼女が帝国首都に来たのか】
魔女(……思ったよりも早く私の力が消えてる…?)
魔女(やっぱり、あの子の力を受けて私の体が弱っている……のかしらね)
【身を包むドレスのような衣も、髪と同じく白くなっている】
【破滅ノ魔女はそんな自分を道端に落ちていた、焼け焦げた鏡で見ながら溜め息を吐く】
< 「 ───────……? 」
魔女「!」
【そんな彼女の耳に、何処からか声がした】
>>33……何者だろうか
【傷ついた男】
【緑髪の女】
【少年】
緑髪の女
緑髪の女…?「ねぇ……これは貴女がやったの……?」
魔女「!」
【少し離れた瓦礫の上に立っていたのは、腰まで伸びた緑髪の女だった】
【前髪も無造作に伸びているせいか、その表情や視線を探る事は出来ない】
【ただ、破滅ノ魔女は分かった事があった】
魔女「……あなたも『魔女』のようね」
木ノ魔女「御名答、『木ノ魔女』よ……よろしく」
魔女「確かにこの街の凄惨な姿を作ったのは私だけど、貴女に関係はないでしょう」
木ノ魔女「…………」
【死臭が、風に乗って彼女達に吹き付ける】
【僅かに木ノ魔女は小首を傾げながら、破滅ノ魔女の方を見ていた】
【視線は分からずとも、張り付く様な嫌な感覚がしたのだ】
魔女(……この女)
>>下1……まだ話しかけますか?
(話しかける以外に何かあれば答えて下さい)
魔女「……『木ノ魔女』、ね」
魔女「何か食料、もしくはお金でも持ってないかしら? 分けて貰いたいの」
木ノ魔女「……」
【白髪の魔女の言葉に木ノ魔女は小さく笑った】
木ノ魔女「ふ……『魔女』が食べ物を必要とするの?」
魔女「私じゃないわ、私と共にいる『魔女』が必要なのよ」
木ノ魔女「へぇ……」
木ノ魔女「珍しいね、魔女同士が一緒に行動するなんて」
魔女「さぁ、生憎と私はまだ他の魔女を見るのは貴女で二人目だから」
木ノ魔女「それが普通だよ……ふふ」
【木ノ魔女は静かに笑う】
【死臭の漂う瓦礫の中で響く小さな笑い声は、破滅ノ魔女に一本下がらせる威圧感があった】
【魔女としての名からしても相性は悪くないのにも関わらず、自身よりも遥か以前から存在する魔女の気配に破滅ノ魔女は気圧されてしまったのだ】
魔女「っ……それで? 何かくれるの?」
木ノ魔女「……ふふ」
…………>>37と>>38でコンマ以下数字で対決、最も高い数値の勝利とする
>>37の敗北でバッドイベント
>>37の勝利で一日目の生存確約……
頼む
はい
木ノ魔女「所で……何故私がここに来たと思う?」サラッ…
魔女「…………」
魔女「ッ!!」
ゴッッ!!!
【天地を揺さぶる凄まじい衝撃】
【木ノ魔女が緑色の髪を揺らしてその前髪を退かした瞬間、周囲の瓦礫や地面を何かが突き破った】
【咄嗟に避けたものの、破滅ノ魔女が立っていた位置には巨大な大樹が突き立った】
【だが、それだけで終わらない】
キィィンッ……!
魔女「っ……体の力が…………」
【回避した筈なのに、全身に広がる痛みと虚脱感】
【彼女は気づかない……足元に張り巡らされた大樹の根から魔力と生命力を吸い出されてしまっていることを】
木ノ魔女「私の住んでいた森がね、突然雷に撃たれて火事になったのよ」
木ノ魔女「それだけなら直ぐに消せたのにね、何かの力が混ざったその炎は消せなくて……大勢の家族が何も出来ずに死んだ」
木ノ魔女「葉が、種が、木々が、動物が、虫が、そして……人も」
木ノ魔女「私はこれだけの事をした元凶を叩き潰す為に来たんだよ」
魔女(……まずいのを怒らせてたわけね……)
魔女(……………)
魔女(殺られてあげるわけにも……いかないんだよね、私は私で……)
【激昂の瞳で破滅ノ魔女を捉える、木ノ魔女】
【未だ全身に広がる痛みは消えない、永続的に与えてくる虚脱感は意識すら刈り取ろうとするのが分かった】
【破滅ノ魔女】
【彼女は自身の力を……全身に纏った】
魔女「………………」スッ
木ノ魔女「…?」ピクンッ
【たったそれだけで、直前まで膝を着いていたのが嘘のように立ち上がる】
【彼女の力に色は無い】
【そして音も、形も、意味も無い】
【存在の価値を、それまで存在していた事の証明たる『それ』を、彼女の力は有象無象の区別なく滅する】
【例えそれがどんな能力や力だろうと、全てを掻き消す力だろうと、彼女は破滅させるのだ】
───────── ビシィッ……バシャァッ……ッ!
木ノ魔女「……精霊樹が枯れた…違う、これはまるで……」
魔女(相手は私よりも長く生きた魔女、『力』の特性は探らせない……!)
ミシィッ……!!
ドッ!!
【紅い瞳が揺れる】
【木ノ魔女が次の行動に出るより先に、破滅ノ魔女は地を踏み砕いて一気に距離を詰めようとしたのだ】
木ノ魔女「……嘗めるな……ッ!」
【瞬時に距離を詰めようとするのを見た木ノ魔女が指先を宙に躍らせて、何かを描くように振り切った】
【直後】
ドッッ!! ゴバァッ!!
魔女「なっ!?」
【木ノ魔女を中心に地面を突き破って現れた蠢く大樹達】
【それも、四本、五本と地割れを起こしながら大樹の数が増え続けていた】
【琥珀色に輝く枝が葉を撒き散らして触腕の如く襲い掛かる】
魔女(この数は……ッ)
…………>>45と>>46でコンマ以下数字で対決、最も数値の高い方が勝利とする
>>46の敗北で三日目にバッドエンドルートの分岐発生
>>46の勝利で三日目まで拠点で行動不能、生存ルートアイテムが一つ取得不可
どうかな
ほい
【散る】
【大樹の触腕が襲い掛かった刹那、白髪が銀色に輝く】
【その直後に吹き散らされたのは木ノ魔女が生み出した大樹達だった】
【灰でも破片でもない、砂煙の様に吹き荒れるのは破滅ノ魔女に近づいた大樹の『残滓』である】
木ノ魔女「ッ……生きる物もそうでない物も、全てを滅ぼす力……」
魔女「はぁ……はぁ……っ、死なない程度に加減できる力じゃないわ……失せなさい、そうすれば見逃してあげるッ」
木ノ魔女「……貴女の魔女名は分かった、だからその気になればいつでも殺せる」
木ノ魔女「けど、ね……」チラッ
魔女「……?…」
【一瞬で自らの力を退けられ、無力化されたというにも関わらず】
【木ノ魔女は平然と、否……激昂していたのが嘘のように静かに落ち着いていた】
【息を切らしてそんな緑髪の魔女を睨む破滅ノ魔女は、その理由が何なのかを知った】
【木ノ魔女が目を向けた先から感じたのだ】
【異質で、異形の、異物感のある粘りつく様な、『視線』を……】
魔女「な…っ……ッ!?」ビクッ…!
木ノ魔女「私を退ける為に全力を出した様だけど、元々弱っていたみたいだし……逃げ切れるかな?」
木ノ魔女「それじゃ……『また』」
────────── バサァァァアッ
【憎しみの籠った瞳で破滅ノ魔女を射抜くと、彼女は突然巻き上がった木の葉に包まれて姿を消す】
【後に残されたのは『魔女』である彼女達を狙う視線だけだった】
魔女(何……これは……)
【生まれて十五年、恐らく他の今までの魔女に比べれば多くの……力のある魔女や魔物と遭遇してきた彼女】
【しかし視線を感じる先にいる、『それ』だけは全くの異なる存在だった】
【体の底から湧き上がって来る怒り、殺意、そして……恐怖】
【破滅ノ魔女は自分の意思とは無関係に出てくる感情の波に戸惑っていた】
魔女(…………)
魔女(逃げるのが……きっと正解ね、木ノ魔女が私を置いて逃げたのが良い証拠よ)
【白髪に戻って全身に怠さが乗し掛かると、それに合わせて彼女は光の円陣を足元に浮かび上がらせた】
【次の瞬間には病ノ魔女が待つ、山奥の小屋に戻れる】
【そう安心していた】
ヴゥ……ンッ
【羽音に近い空気を叩く音が鳴るまでは】
青年…?「……」
魔女「……え…?」
【間の抜けた声と共に、ほぼ鼻先が触れ合う程の密着した状態で現れた茶髪の青年を、破滅ノ魔女は見た】
【そして……】
青年…?「……」
青年…?「ァ…」
────────── ズシャァアアッ!!
魔女「ッ……ッッ!!?」ドチャッ…
魔女(がっ……ぁ……!?)
【視界が一瞬で反転したように見えたかと思えば、そのまま彼女は地に落ちた】
【泥と死臭の漂う灰にまみれた地面に落ちた彼女の視界に入ったのは、切断された自身の下半身だった】
魔女(……嘘………で…し……ょぅ…)
【彼女はそのまま、発動していた魔法によって飛ばされながら意識が途絶えたのだった】
【二日目】
【先日、破滅ノ魔女によって焼き払われてしまった森】
【そこで一人の女が、ゆっくりと、かつては緑と動物の溢れていた地に倒れた】
【彼女の名は『木ノ魔女』だった】
ドッ……!
木ノ魔女「ぁ……く、カフッ……」シュゥゥゥ……
木ノ魔女「……噂通り、かぁ……はは、あはははっ……」シュゥゥ…
木ノ魔女「これが魔女の死ぬ感覚……」シュゥゥ…
木ノ魔女「…………」シュゥゥ…
木ノ魔女「もっと……生きたかっ…………」シュゥゥ…
< カシャンッ
【薄い、硝子細工で出来た物が静かに朽ちて消えていく】
【壊れるのではなく、朽ちる】
【身を包んでいた柔らかな衣服も、髪留めも、木ノ魔女がそこに居た温もりすら、薄氷が崩れ落ちる様に消えたのだ】
【唯一残ったのは、小さな緑の……植物の芽が出ているのみ】
青年…?「……」ザッ……ザッ……
青年…?「……」ザッ……ザッ……
【生存ルート『森ノ魔女達』が閉ざされた】
【生存ルートアイテム『救済ノ魔女からの手紙』が消失しました】
【想定されていた『木ノ魔女』のストーリーが消失、次回以降は木ノ魔女を選んでも新生者としてスタート】
【七日目:『魔女狩り』のストーリーで一部不利になった】
【三日目】
病ノ魔女「………」
< ピクッ……
病ノ魔女「!」
病ノ魔女「貴女! 良かった……目が覚めた……っ」ポロポロ…
魔女「……ここ、は………?」
【栗色の髪を後ろで束ねた、病ノ魔女が視界に入る】
【その表情は何処か疲れていて、破滅ノ魔女を抱き締めながら肩で涙を流していた】
【白髪の艶の無い髪を片手で触れてから、破滅ノ魔女は何が起きたのか聞こうとする】
病ノ魔女「怖かった……貴女がいきなり身体を切られた状態で転移してきた時、凄く怖かったよぉ……っ」
魔女「……身体を…」
魔女(……)
魔女(そうだ、私はあの……『人間ではないモノ』に殺されかけたんだ……)
病ノ魔女「だから私は、貴女を治しながら別の地に逃げてきたの」
病ノ魔女「今私達が居るのは……」
【病ノ魔女は小屋の中から外を指差して……】
>>54……今の拠点を選択して下さい、一部の拠点は『他の物語と混ざる』事があります。
1.『西の国:大樹の森』
2.『西南の小国:雨の町』
3.『西の国:城下町』
2
────────── ザァァァ・・・
叩きつける雨。
陽の光を遮る曇天の下で雨が降り注ぐ中、不快感を与えぬ、冷えた風が辺りを通り抜けている。
病ノ魔女、そして破滅ノ魔女の二人がいる小屋の外には幾つかの家屋が見えている。
その中には当然、人の温もりを感じさせる灯りが薄らと見せていた。
静かな雨音に紛れてそれぞれの日常が広がっているのだ。
半ば弱っていた破滅ノ魔女は、それを苦々し気に見てから自身の手に視線を落とす。
魔女「……人里に来てるのね」
病ノ魔女「うん」
魔女「雨の町……ってところかしら、正式な町の名があるでしょうけど」
病ノ魔女「合ってるよ、私が前に教えた通り……ここには『雨ノ魔女』が住んでるの」
病ノ魔女「彼女を探して助けを求めなきゃ……このままだと貴女も私も、『魔女狩り』に殺されちゃうもの」
魔女「……魔女狩り…?」
病ノ魔女「『魔女狩り』と呼ばれているあれは、人間の若い男の姿をしていると思うの」
魔女「……私が死にかけた時に見た奴ね、何者なの? 人間とは思えなかった」
病ノ魔女「人間じゃない、みたいなの……」
魔女「みたい…?」
病ノ魔女「一部の魔女、私や有名な名前を出すなら『雨ノ魔女』や『木ノ魔女』かな……私達は生まれた時から『魔女狩り』が危険な存在だと知ってるの」
病ノ魔女「そして……決定的にあれが人間じゃないと言えるのは、彼がこの世界に現れてからの月日」
魔女「200年生きてるとか?」
病ノ魔女「……」
病ノ魔女「彼は何十万もの年月を生きてる……そして、それだけの月日の間『魔女狩り』と呼ばれる程に私達魔女を殺してきたんだよ」
魔女「な……っ」
【破滅ノ魔女は声が出ない】
【人間では間違いなく、ましてや魔女同士でも『殺せるか』と聞かれたら僅かに迷うほどに不死性のある肉体を持った『魔女』】
【そんな存在をずっと殺し続けている】
【先日、木ノ魔女と少しだけ対峙しただけで肌に感じた恐怖や力の強大さは計り知れない】
【そんな魔女は多い、それを殺せる『魔女狩り』とはどんな力を持つのだろうか、破滅ノ魔女は自身の切断されていたであろう腹部を撫でた】
病ノ魔女「『魔女狩り』は一度視界に入った魔女を何処までも追いかけてくる、きっと……貴女が生きてるの、バレてる」
魔女「……どうしたらいいのかしら」
病ノ魔女「私よりずっと長く生きている魔女の助けを借りよう? この町の何処か…或いは近くに雨ノ魔女がいる筈……」
魔女「…………」
(どうしますか?)
>>下1……下記から行動を選んで下さい
>>下2……行動を病ノ魔女と共にしますか?
A【日中は探索】
B【夜まで探索】
C【少し町の外を探索、夜まで】
────────── ザァァァ・・・
【降り注ぐ雨の下を、二人の魔女が歩く】
魔女「『雨ノ魔女』、ね……どんな魔女なの?」
病ノ魔女「一度だけ会ったことがあるけど、素敵な女性だったかな」
魔女「意外ね、雨ばかり降らせる陰気な魔女かと思ってた」
病ノ魔女「使命だから仕方ないって言ってたよ、本当は時々は陽の光を浴びたいんだって……でも、体が勝手に力を使って雨を降らせてしまうの」
魔女「……私達と変わらない、か」
【破滅を使命とする彼女、破滅ノ魔女は淡い光と共に自身に降り注ぐ雨粒を弾く障壁の中から空を見上げる】
【魔女とは何のために生まれてくるのか、いつか知る機会があれば知りたいと……彼女は静かに思った】
病ノ魔女「あ……」
A【「子どもだね……」】
B【市場、かな? 出てるお店は少ないけど】
C【何処かのお屋敷のメイドさんかな……?】
>>下2
病ノ魔女「市場、かな? 出てるお店は少ないけど」
【暫く雨の下を歩くと、開けた場所に出た二人】
【雨が地面を叩く音は変わり、石畳らしき物が敷かれた広場を静かに打つ音になる】
【そんな広場に、皮のテントが幾つか立っていた】
魔女「……そういえば私はどのくらい寝ていたの?」
病ノ魔女「えーと……2日かなぁ?」
魔女「ごめんなさい、私があんな事にならなければ君が食事を我慢しなくて済んだのに……」
病ノ魔女「あはは、平気だよ? 果物が少しあったから大丈夫だったしね」
魔女「何か買えたら買ったらどうかしら」
病ノ魔女「そう?」
魔女「例えば……」
A【赤いテント】
B【青いテント】
C【緑のテント】
D【月紋のテント】
>>下1……行き先を選択して下さい
魔女「あの緑のテント、とか?」
病ノ魔女「そうだね……」クンクン
病ノ魔女「山や森で採った物かな、良いのが揃ってそう」
魔女「なら食材買いましょうか」
病ノ魔女「うん!」
【二人は広場の端にある緑のテントへ向かった】
【病ノ魔女が言うには、野菜に近い匂いがするらしかった】
【緑のテントの中へ彼女達は入る】
バサッ
老婆「……おや、この雨じゃ来ないと思ったけど珍しいね」
病ノ魔女「こんにちは、『病に効く』食材はどれがオススメ?」
魔女「……」
【破滅ノ魔女は、栗色の髪を揺らして老婆に訊ねる病ノ魔女を見て微笑む】
【匂いでどの植物や穀物が今の彼女に合っているかは分かっている筈なのだ】
老婆「ふむ……」
老婆「……お嬢ちゃんが風邪っ引きかね」
病ノ魔女「うん」
老婆「見たところ顔色は良さそうなんだがねぇ、んー……『モジョイモ』なんてどうかね」
病ノ魔女「頂こうかなぁ、二玉くれる?」
老婆「随分決めるのが早いねぇ、そいつは薬とは程遠いよ」
病ノ魔女「知ってる、でもこれの芽はそっちに置いてある『メロウィン』と一緒に煮ると体の代謝を高めてくれるよ」
老婆「はて……タイシャ…?」
病ノ魔女「♪」
【老婆が首を傾げるが、病ノ魔女はにっこりと笑うだけでそれ以上は語らなかった】
【栗色の髪を忙しなく揺らして、テント内の食物を見るその姿は齢三千を越える魔女とは思えない】
【破滅ノ魔女はそんな少女の魔女を他所に、テント内の端にある机の上に目を向けた】
魔女「……」
魔女(これは……)
A【琥珀色の枝…?】
B【絵本…?】
C【本の栞…?】
>>下1……どれに目をつけたのか選択して下さい
魔女(絵本…?)
スッ
魔女(……『救……ノ……女』? 薄汚れていて読めないわね)
【机の上にあった古めかしい絵本】
【それを何気無く手に取ると、赤茶の染みで読み辛くなったタイトルを読んだ】
【表紙に描かれているのは、水色や白、黄の色で彩られた髪を持つ女性の姿だった】
【それなりに絵の心得がある者が描いたのか、美しい女性だった】
【破滅ノ魔女は自身に復元させる力が無いのを僅かに悔いながら、絵本を捲っていく 】
魔女(へぇ……病ノ魔女が言っていた女神信仰に近いわね)
魔女(あらゆる災いや苦しみから救う力を持った聖女が、人々を救う物語……)
魔女(下らないわね)ペラッ
【様々な色彩と共に描かれる、人々を救う女性の姿】
【ある時には盗賊から一人の女性を、ある時には病に伏せる老夫を、ある時には恐るべき悪の魔女から国を……】
【救える者は全て救う女神の物語】
【数百年前に似たような信仰があった事を病ノ魔女から聞いていた破滅ノ魔女は、絵本を捲りながら目を細めた】
【そんな都合の良い女がいれば、既に自分は救われているだろうに……と】
魔女「……あら?」
【そこで、彼女は止まった】
【最後の三ページ、裏表紙も、絵本の根元から千切り取られていたのだ】
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