男「ククク・・・」女(こいつ・・・ただ者じゃないみたいね・・・) (432)


男「ククク・・・転校生の男だ・・・よろしく・・・ククク・・・」


女(・・・なによあいつ、無愛想ね。なんか不気味に笑ってるし・・・顔は割りとイケてるけど、なんか気味悪いわね)


先生「う、うん? それでおしまい? そ、そう・・・それじゃああなたの席は・・・女さんの隣でお願いね?」


女(ゲッ、最悪・・・最近ただでさえ『組織』と『機関』と私達の『騎士団』による三つ巴の戦いが激戦を極めて疲れてるっていうのに・・・こんな変な男と・・・)


男「ほう・・・ククク、いいんですか先生? あいつと俺が隣の席で・・・あんたの『選択』はアカシックレコード協定違反ですぜ・・・? フフッ」

先生「・・・え、ええ? 問題ないと思うけど・・・」

男「フフフ・・・平凡な教師みたいな雰囲気を出しておいて、中々食えない事する・・・なかなかこの学園生活は楽しめそうだな・・・ククク」

先生「・・・あなた、何を言っているの? はやく席に就きなさい」

男「フフッ、何も知らない振りをするのは『前回』と変わらんな、先生・・・それじゃあ見させて貰おうか、新たな『選択』が導く『今回』の世界の行く末を・・・カカッ」

男「ククク・・・よろしくな女よ・・・ちなみに俺の名前は御刀虎(おとこ)とも読む・・・フッ、ここまで言えば貴様にはわかるかな?」

女(・・・? なに言ってんのこいつ。黒板に書いた男って漢字以外にも違う書き方があるってこと? ていうかそもそも言葉の上じゃあわかりづらいし・・・)

女「・・・え、えっと、よろしくね、男くん」

男「・・・ふふっ、白を切るか。まぁいい。それが貴様の仮面なのだな? 平凡な学生を演出する為の・・・ククク、了承したぞ女よ・・・」

女(なっ、私の正体を知っている・・・? ・・・ひょっとしてこいつ『機関』か『組織』の・・・)

男「カカッ、女よ。動揺を顔に出すな。『奴ら』に気付かれるぞ・・・フフッ、安心しろ。隠しておいてやる・・・今は、な、ククク・・・」

女(こいつ・・・ただ者じゃないようね・・・)


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男「ククク・・・体育の時間、か・・・懐かしい・・・ふふっ、100メートル走などと・・・果たして何百年振りかな・・・」

モブ女1「えっ? 女ちゃんすごすぎない?・・・女子で100メートル走11秒台って・・・普通にインターハイレベルでしょこれ!?」

女「・・・あ、あはは・・・今日はたまたま調子良かっただけだよ・・・」

女(まずいわ・・・もっと抑えるつもりが・・・まぁ本当は0コンマ一秒で駆け抜けられるんだけど・・・あの男の事を変に意識して、ほんのちょっと本気を出してしまったわ・・・)

女(あ、アイツが走るわ・・・さーて、お手並み拝見と行きましょう・・・えっ?)

モブ女2「えっ・・・男くん、めっちゃ足遅くない・・・?」

モブ男1「30秒って・・・なぁ男、お前本気で走れよ?」

男「ゼェゼェゼェゼェ・・・ハァハァハァハァハァ・・・・・・ご、ごめん、今なんて?」

モブ男1「・・・い、いや。何でもない・・・(こいつ、イケメンだし変なオーラ出してる癖に超絶運動音痴じゃねえか・・・)」

女(嘘・・・今の本気・・・? なんかめっちゃ息切れてるし・・・)

男「・・・ハァハァ、やっべ・・・マジでキツイ・・・死ぬ・・・死ぬ・・・」

女「ね、ねぇ、ちょっと、大丈夫? 保健室連れて行こうか男くん・・・?」

男「・・・! か、カカッ・・・冥府から蘇った我が身体・・・少々乗りこなすのに時間が掛かっているようだ・・・ククク・・・」

女(? 意味ありげな表情を浮かべて・・・はっ、まさか私達『騎士団』が『組織』と『機関』を同時に壊滅させる為の作戦名『冥府落し』を知っている・・・!?)

女(いえ、まさかね・・・でも、ひょっとしたら・・・ということは、この運動神経の無さっぷりも回りを欺く為の演技・・・? 私自身、普通に心配してしまったし・・・)

女「・・・そっか。まぁ男くんがそう言うなら・・・本当に大丈夫なんだね?」

男「ククク・・・」

女(また、意味ありげな顔して遠くを見て・・・とことん、ただ者じゃないようね、こいつ・・・)


先生「テストを返しまーす!」

モブ女1「相変わらず女ちゃんはすごいね! 全教科95点以上って!」

女「あはは・・・まぐれだよまぐれ・・・」

女(『能力』に目覚めてから、普通の人より思考力や発想力が格段に上昇した以上、当然の結果ね・・・ズルしてるみたいで申し訳ないけど・・・でも今は、隣のこいつよね。こいつも『能力』に目覚めているなら、当然・・・)

女「男くん、テストどうだった・・・?」

男「・・・・・・・」

女「男くん・・・?」

男「・・・・・・国語は、100点」

女「ええ、すごいじゃない!」

男「・・・それ以外は、赤点」

女「・・・え?」

女(国語以外、全教科赤点って・・・いや、国語が100点満点なのはすごいけど・・・漢字マニアの国語の先生が出した難しい漢字も読み書きできてるのはびっくりだけど・・・『能力』に目覚めてるなら、この点数は流石におかしい・・・)

男「・・・ククク、女よ・・・気付いたか?」

女「え?」

男「俺が発したシグナルに、だ」

女(は? シグナル・・・シグナル・・・? っ、まさか!?)

男「ククク、・・・この点数は『奴ら』への警告だ。俺、御刀虎がこの地に来た以上・・・もう貴様らの計画は破綻しているのだと気付かせるための、な・・・俺は優しいだろう?・・・クックック・・・」

女(確かに・・・全ての点数を組み合わせると、コード444・・・S級警戒態勢になるわ・・・この男、一体どこまで・・・)

先生「・・・男くん? 聞いてますか? あなたも補習ですよ?」

男「・・・・・・く、クククっ、補習、それもまた・・・一興・・・」

女(・・・今の嫌そうな顔も迫真の演技に違いないわ・・・こいつの事、騎士団長に報告しておきましょう・・・)



ていうところまで書いたんだけど・・・どう・・・!?!?!?!?!?!?

反応あってよかった。
続けます。


騎士団長「どうした女、早急に報告しておきたい事とは・・・?」

女「はい・・・団長、御刀虎という二つ名を持つ者に、聞き覚えはありますか?」

騎士団長「御刀虎・・・? 聞いた事がないな・・・一体何者だ?」

女「(かなりそういう事情に詳しい団長でもご存知ない、か・・・一体奴は・・・)はい、私の学校に転校してきた男子学生です・・・『組織』『機関』そして我らが『騎士団』にも属さない者ですが・・・」

騎士団長「ふむ・・・まさか第4の勢力が現れた、と?」

女「いえ、その可能性は恐らくありません・・・ただ、私に度々接触し、意味深な言葉を残していくことから、『騎士団』よりの立場ではあるかと・・・」

騎士団長「ほう・・・味方が増えるならありがたいがな。それで、その者の『能力』は?」

女「申し訳ないですがわかりません。奴は力を隠すのが上手く、まだ能力の片鱗すら見せませんが・・・私の正体をひと目で見破った事、また数々の言動から、ただ者ではないと確信しています」

騎士団長「・・・なるほど。ふふっ、少しその少年に興味が湧いてきたな・・・私がその者と会う事は可能か?」

女「・・・団長。お言葉ですが、奴の『能力』が何か分からない以上、無闇な接触は危険かと・・・」

騎士団長「もう我々には時間がない。この間の戦闘で何人戦線離脱したと思っている?『冥府落し』の決行も迫っている。戦力は一人でも増やしておきたいのだ。危険は承知している・・・頼む」

女「・・・わかりました」

男「ククク・・・我が母よ、今日の晩餐は何かな・・・?」
男母「ケケケ・・・我が息子よ、今日の晩餐は牛をズタズタに細かく引き裂き、コネて練り上げたものの上に血よりも赤い液体を掛けたものだ・・・喜ぶがいい・・・貴様の好物だぞ・・・」




女「男くん・・・今日の放課後ってヒマかな?」

モブ女1「おっ、女ちゃん男くんとデート!? デート!?」

女「う、うるさいなぁ。そんなんじゃないってばぁ!」

男「・・・フッ、放課後か。・・・今は別の世界で海賊をやっている我が同胞の現状を確認する用事があるが(今週のワンピースを読む)・・・確かに時間を持て余しているぞ」

女(・・・? 中盤、ごにょごにょ何言ってるかわからなかったけど・・・ともかく、暇な事は確かなようね)

女「本当? それじゃあ、今日、放課後に駅前のファミレスに集合してくれないかな?」

男「ああ・・・いいぞ・・・ふっ、『奴ら』に気取られぬように、であろう? ふふふ・・・」

女(・・・本当に、何者なの。あなたは?)


男「ククク・・・待たせたな女よ・・・」

女「お、男くん・・・すごい服装だね・・・(気取られぬようにって自分で言っておきながら・・・ドクロマークのTシャツに黒のパーカーと黒のズボンに、尖った靴にジャラジャラ付けてる鎖や十字架のアクセサリーって・・・)」

男「カカッ・・・なにせ、俺の中の獣を抑える為には、この拘束衣がどうしても必要でな・・・ククク・・・」

女「(俺の中の獣・・・? 拘束衣・・・?)ふーん? でも私服の男くん、結構新鮮かも・・・」

男「ククク・・・女の服装も実に俺好みだぞ・・・」

女「え・・・? ほ、本当・・・?///(・・・って、何を嬉しそうな声を出してるの、私。この人はまだ敵か味方かもわからないのよっ)」

男「ああ・・・特にそのペンダントがな・・・ククク、臭うぜ・・・はるか昔の戦争の残り香がな・・・フフッ、一体どこでそれを買ったのだ・・・?」

女「うん・・・? え、それは・・・普通にそこらへんのデパ・・・」

男「みなまで言うな、女・・・俺は分かっているぞ・・・どういう経緯でそのペンダントが今お前の手元にあるかくらいは、な・・・様々な苦労があったのだろう・・・?」

女「う、うん・・・(流石ね、デパートで買ったなんてごまかしが通じる相手ではない、という事は分かってたけど、一瞬で見破られるとは・・・)」

男「・・・ククク・・・」←なにもわかってない



店員さん「女様ですね? はい、既にお一人通しております。どうぞ。こちらへ」

男「・・・俺たちの二人、ではないのか?」

女「うん。ちょっと紹介したい人が居てさ」

店員さん「こちらのお席へどうぞー」

男「・・・女よ。この女に勝るとも劣らないものすごい美人さんは・・・?」

女「男くん・・・いや、男。いい加減腹を割って話しましょう? 私も、学園での仮面を捨てて本音で話すから、ね? この人は騎士団長。私が所属する『騎士団』のリーダーよ」

騎士団長「騎士団長だ。よろしく。君の事は色々と聞いている。まぁまずは座って好きな物を頼みたまえ。お呼びだてしたのはこちらなのだからな」

男「は? 騎士団・・・? あ、は、はい、座ります・・・じゃなかった・・・ククク・・・ふむ・・・ではお言葉に甘えさせて貰いますぜ・・・団長殿とやら?・・・フフッ・・・」

女(とぼけた振りが上手いわね・・・何も知らないみたいな顔をして・・・)

騎士団長(ほう・・・『能力者』だろうに『能力』の気配を欠片も感じない・・・凄まじい隠形術だ・・・ここまでの隠形、私でも出来るかどうか・・・これなら女が『能力』を確認出来ないのも頷ける・・・)

男「ククク・・・それではこの猛牛ケンタウルスの業火焼きと・・・あ、すみません、ステーキとライスとサラダください・・・ふん、レベルの低い者に合わせなければいけないのがこの世界のだめなところだ・・・」

騎士団長「・・・さて、料理が運ばれてくる前に、一つ、確認しておこうかな?」

男「フフフ・・・何をですかな?」

騎士団長「今回の『戦争』における、君の立ち位置を、だ」

男「・・・『戦争』?」

騎士団長「・・・『組織』と『機関』そして『騎士団』の三つ巴のこの戦争が始まってもう丸2年。やっとこの戦争にも終わりが見えてきた。我々は『冥府落し』を近いうち実行し、この『戦争』を集結させるつもりだ・・・だが、『組織』にも『機関』にも不穏な動きがあるという。はっきり言って戦況は半々・・・というか33% 33% 33%と言ったところだろう」

男「・・・はぁ・・・?」

騎士団長「だが、君が現れた事で状況このバランスは崩れる・・・君がどこかの組織に属するつもりなのか、それとも単独行動で何かをするつもりなのか・・・それを今、出来ればここではっきりさせて貰いたいのだ」

男「あの・・・えー・・・っと、その・・・」

女「・・・男、あんたがただ者じゃないのは分かってるのよ。あたし如きじゃあんたの能力、あんたがどれくらい力を持ってるかすら分からない・・・当然、あんたの目的もね・・・」

男「・・・・・・お、おう」

女「出来ればあんたに味方になって欲しい。だけど、あんたが拒むんならそれもしょうがない。でもどうか邪魔だけはしないで・・・ここに来るまで、沢山の犠牲を払ってきたの・・・あんたの言った通り、このペンダントだって死んだ姉さんの形見よ・・・姉さんが文字通り命がけで助けてくれたから、私は今、ここにいる」

男「・・・・・・」

騎士団長「・・・君が味方になってくれるなら結構。心を込めて歓迎しよう・・・だが、もし君が邪魔してくるのなら、はっきり言って容赦はしない・・・それだけは肝に命じておいてくれ・・・料理が来たぞ?」

男「・・・・・・」

女「男、あたしも同じ気持よ? あんたとはクラスメイトだけど、戦闘になったら手加減は出来ないわ・・・最も、この『戦争』に介入してきた以上、かなり腕には自信あるんでしょうけど・・・」

男「・・・・・・」

騎士団長「・・・すまないな。脅しのような感じになってしまって・・・せっかくの料理が冷めてしまう。まずは食べてくれたまえ」

男「・・・は、はい・・」



騎士団長「・・・ふぅ。中々に美味だったな・・・それで、腹づもりは決まったかな?」

女「お願い、味方して男・・・いや、御刀虎。あんたは度々あたしにアドバイスをしてくれた・・・それはつまり、味方してくれるってでしょう?」

男「いや、それは・・・その、口から出まかせというか・・・その、ごめんなさい、俺はただの邪気眼の中二・・・」

バタン!

男「って、あれ、いきなり電気が消え・・・」

女「・・・停電・・・? いや、ここは団長の『領域』内のはず・・・ですよね!? 団長!」

騎士団長「・・・ああ、でもこれは・・・まさか!」

???「そのまさかですわ」

ババババババッ!

男「あっ、電気付いた・・・は? え? なっ、じゅ、銃!?」

女「・・・ちっ、『組織』の部隊連中に囲まれてるわね・・・」

騎士団長「・・・ふん、『機関』のリーダー、直々の登場とは痛み入る・・・この前のドンパチぶりだな、『機関』のお嬢様?」

機関女「お久しぶりですわね、騎士団長さん? 私のメイドを病院送りにしてくださったお礼参りに来ましたわ・・・投降してくださる?」

騎士団長「ふん・・・今更銃が私達に効くとでも思っているのか?」

機関女「いいえ、思っておりませんわ。ただ・・・我々の持てる技術を全て注ぎ込んだ禍学(かがく)弾なら別の話でしょう? うふふ」

騎士団長「貴様・・・どうして、ここが」

機関女「ええ、我々の情報網に、なにやらジャラジャラとアクセサリーを身につけて『奴ら』やら『機関』やら『世界の運命』やらブツブツ言ってる妖しげな男が引っ掛かりましたの。念のため部下に尾行させたら、あなた方がいらっしゃったもので。ご挨拶に伺った次第でございますわ」

女「なっ・・・ちょ、ちょっと男!? あんた一体何してくれてんのよ!!」

男「え・・・え・・・? ちょ、ちょっと待ってくれ、俺はなにも・・・」

騎士団長「・・・いや、彼を攻めるな、女」

女「だ、団長、何を仰って・・・」

騎士団長「・・・お出ましだ・・・ふふっ、全ては君の作戦通りかな、男?」

女「え・・・?」

機関女「・・・っ! この気配は、『組織』の・・・!」


ドドドドドドドドドドドドド・・・・!!

???「よう。あたしも混ぜてくれよ。『騎士団』と『組織』の皆々様方よぉ・・・!」

???「グオオオオオオオオオオオオオ!!!」

男「で、でけえ・・・バカでけえ、犬・・・の頭が3つ・・・? ケロベロスの、超でかいバージョン・・・? いや、それより・・・あの女・・・まさか・・・!?」

女「『組織』の頭領・・・なんであんたがここに!?」

組織女「なんだよ、来ちゃいけねえのか? つーかてめえみたいな木っ端があたしに話掛けんな。ブチ殺すぞ? お?」

女「・・・や、やれるもんならやってみなさいよ! あんたなんか、団長が出るまでも・・・」

騎士団長「まぁ待て、女。何用かな、頭領殿?」

組織女「用もこうもねえよ。団長さん。仲間はずれは寂しいじゃねえか? あたしもその楽しそうなお話に参加させてくれよ? なぁ」

機関女「・・・また痛い目をみたいようですわね? 頭領さん。私が首を切り落とした竜の葬儀は済みましたの? 弔電も出さなかった無礼をお許し下さいな」

組織女「・・・てめえの葬式はちゃーんとウチが出してやる。今この瞬間にだって準備は出来てんだぜお嬢よぉ?」

機関女「あらあら、まぁ怖い」

騎士団長「・・・挨拶は済んだか? せっかくのところ悪いが、あなた達二人を呼んだ覚えはないのでな。お帰り願いたいのだが・・・?」

機関女「無理ですわ」

組織女「無理だな」

騎士団長「・・・だ、そうだ。どうする、男よ? 2年も戦争やっているが、考えてみれば、こうして一堂に会したのは初めての事・・・ふっ、君なりの考えがあってこのような状況を創りだしたのだろう?」

女「そ、そうなの男・・・?」

男「・・・・・・そんな、嘘だろ、おい・・・・・・」

女「お、男・・・?」

機関女「・・・そう言えば、その殿方は初めてお目にかかる方ですわね。『騎士団』の隠し玉ですの?」

騎士団長「フッ、応える義務はないな・・・いや、というよりかは、はっきり言って、彼が何を考えているかは私にも理解出来ない・・・フフ・・・」

組織女「? こいつには何も感じねえぞ? 団長さんよぉ・・・てめえの『領域』に居ることを許可している以上・・・何の『能力』もないって訳じゃなさそうだが・・・ん? ていうかお前・・・男か・・・?」

女「え? 男、組織女と知り合いなの・・・?」

男「・・・え、あっー・・・ど、どうだったか、なぁっ・・・? ちょ、ちょっと記憶にはないというか・・・」

騎士団長「ほう・・・」

機関女「へぇ・・・」

男「いや、なんていうか、その・・・」

組織女「その顔、その声・・・やっぱり男か・・・ていうかおめえなにやってんだ?・・・分かってんだろうな?これはお前の妄想みたいな遊びじゃなくて、本気の・・・」

男「・・・・・・・・・・・・・・・・・・クッ」

女「お、男? どうしたの、腕抑えだして・・・」

男「ククククククククッ・・・ハハハハハハハハハハッ・・・!」

男「ハーッハッハッハッハッハッハッハ!!!!」

女「お、男・・・!?」


男「カカッ!! カカカカカカカカッ!!」

男「ふぅ・・・久しいな組織女よ・・・ふふっ、案ずるな女。俺の計画通りに上手く物事が運びすぎて思わず笑みがこぼれてしまっただけのこと・・・クククッ、しかし組織女よ。妄想とは一体何の事かな? あまり奇妙なことを言うと俺はお前にお灸をすえなければならん・・・まさか我が胸に宿る我が神拳・・・忘れた訳ではあるまい?」

組織女「いや、だからおめえよ・・・それが妄想だって・・・」

男「ハッ!! とぼけるつもりかっ! まぁそれならそれで構わんっ! あまりに計画通りに行くのも少々つまらんからなぁ・・・?」

組織女「・・・おめえよ・・・無理すんなよ・・・見てるこっちが悲しくなって・・・」

男「ククク・・・そんな事よりいいのか? バラすぞ・・・『アレ』を・・・!?」

組織女「なっ・・・てめぇ・・・! それバラしたら本当にぶっ殺すかんな!!」

騎士団長「・・・ふふっ、流石だな男・・・見事に組織女を手球に取っている・・・」

女「組織女のあんな顔、初めて見た・・・やっぱり男はすごい・・・」

機関女「・・・中々面白い殿方ですわね・・・」

男「ククク・・・ではここに宣言しよう・・・俺、御刀虎はこの『戦争』・・・いや、正式名称は『ラグナロクラストレクイエムハルマゲドン』・・・だったかな?・・・に参戦することを! 勿論俺は『騎士団』に属する・・・! ククク光栄に思うがいい! 組織女! 機関女!! この神拳にその心臓を穿たれ命を散らす名誉と、この戦争の果てに生まれる新世界の礎となることをな・・・!! カカッ!!」

組織女「いや、そんな長い名前じゃねーから・・・」

機関女「・・・なっ、なぜその正式名称を・・・それは機関の血筋にしか知らされていないはず・・・!?」

組織女「そんな長い名前だったのかよ!?」

男「・・・カ、カカッ! 言ったろう!? 計画通りと・・・!! お前らは既に俺の掌の上だ・・・!」

機関女「・・・あなたとじっくりお話したいですわ・・・団長さん。彼をお貸し下さるかしら・・・?」

騎士団長「許可を出すとでも?」

機関女「でしょうね・・・ならば力づくですわ。撃ちなさい。我が部下達」

バラララララララ!!!

機関女「・・・へぇ、全て撃ち落とすとは・・・やりますわね」

女「ハァハァ・・・やらせないわ。絶対に私達がこの『戦争』に勝つんだから!」

騎士団長「ふふっ、腕を上げたな、女よ・・・さて、では先に手を出したのはそちらだぞ? 戦闘を開始させてもらおうか・・・!」

男「・・・組織女は、俺に任せてもらおうか、女、団長殿」

女「・・・いいの? あいつの新しい獣が、どんな『能力』かも分からないのよ?」

騎士団長「女、大丈夫だ。彼には無用な心配さ・・・そうだろう、御刀虎よ?」

男「ククク・・・リミッターを外す時が来たかな・・・? 確認するが団長殿、あんたの『領域』ならばどんなに建物を壊しても現実は壊されないので?」

騎士団長「勿論、その通りだ・・・ふふっ、『領域』の事は一切説明しなかったのに・・・流石だな」

男「フフフ・・・別に、ただそう思っただけですぜ・・・あ、あぶねぇ・・・何となく話の流れで理解しといて本当に良かった・・・」

女「・・・死なないでよ、男」

男「ククク・・・誰に物を言っているのだ・・・? 我こそは暗黒の邪王、滅亡の神翼、灼眼の堕天使、紅き虎帝、御刀虎だぞ!!」

騎士団長「ふ、頼もしい・・・百人力だな・・・」

男「さぁ行くぞ・・・組織女。ここじゃあ団長殿達の邪魔になる。外へ行こう・・・行こう、な?」

組織女「・・・ああ、わーったよ・・・めんどくせえ・・・」

反応無かったら投下すんのやめよう思ったけど、反応あったからストック全部投下した。
また夜にでも投稿します。

ククク・・・1だ・・・盛り上がり、我がスレッドを貴兄らが命がけで死守してくれている事、誠に感謝する・・・
だが残念な報告があってな・・・『奴ら』の妨害があってどうやら投稿するのは今日の深夜か明日の朝、もしくは夕方になりそうだ・・・
気長にまってくれ・・・チッ・・・この気配・・・また『奴ら』の刺客が現れたか・・では諸君、次の投稿までさらばだ!!!(本当にごめんなさい

おのれ…またしても『奴ら』は我らの観測を邪魔翌立てするのか…!
まあいい…ここは敢えて『奴ら』の策に乗ってやろうではないか…くくくっ!それでは我らが同胞達よ、また燦然と天照らす灼熱の星の下で逢おうぞ…

(ああ、眠たいのであれば仕方ありませんね。それじゃあ私も寝ることにします!お疲れ様です!)

ククク・・・盟約の刻は訪れた・・・投下する・・・(今回短いです)



男「ククク・・・数千年振りよなぁ? 我が親友であり我が宿敵、組織女・・・またの名を頭領・・・またの名を鉄血にして鉄拳を持つ女番長・・・フフ、元気にしていたか・・・? 貴様とはドイツ帝国のラストバタリオンを倒す為に一時的に共同戦線を取って以来か・・・ふふ、振り返れば皆懐か・・・」

組織女「・・・てめえ、あんまりふざけてるとマジでぶっ殺すぞ? あたしが気ぃ使ってなかったらてめえは今頃『機関』のお嬢にミンチにされてるとこだぜ・・・分かってんのか・・・あぁ?」

男「あ、はい・・・すみません、全部分かってます・・・すみません、命を助けて頂いて本当にありがとうございます・・・」

組織女「ふん、謝るならいい。後で甘いもの奢れよな。・・・それで、まぁ大体事情は分かってるが・・・一応、全部話せ」

男「あ、はい・・ゴニョゴニョゴニョゴニョ・・・」

組織女「・・・ふーん、で、色んな勘違いが重なってあんな状況になっちゃって、あたしに全部妄想ってバラされた時の反応が怖くて、あんな啖呵を切った・・・って感じか?」

男「仰る通りでございます・・・」

組織女「・・・言葉も出てこねえよてめえ」

男「俺もだ・・・どうしよう・・・俺、死ぬのか?」

組織女「はぁ・・・てめえがあそこで勢いで『騎士団』所属宣言しなけりゃ、あたしの『組織』に入れてやって、おおっぴらに守ってやる事も出来たが、今じゃあ、な・・・まぁとりあえず、あたしの部下達には、てめえに手を出さねえように言っといてやる。あたしに打てる手は今のところそれしかねえわな・・・」

男「ありがとう組織女・・・お前って本当に良い奴だな・・・」

組織女「べ、別に大した事はしてねーよ///(こいつ、相変わらず笑顔は可愛いんだよなぁ・・・)まぁ後は正直に全部あの二人に告白すればいいんだろうが、お前にも体面ってものがあるから無理か?」

男「絶対無理です・・・」

組織女「はぁ・・・ったく。めんどくせえ事しやがって。ほんっと中坊の時から変わってねえなぁ・・・その誤解されやすさっつーか巻き込まれ体質はよぉ・・・」

男「あはは、懐かしいな。屋上で授業サボってたら、組織女とレディースの総長の喧嘩が始まったんだよな」

組織女「ああ、んで知らない内にてめえも巻き込まれて、なんとか勝ったはよかったけど、それが県内でも有名な暴走族の妹で・・・って感じで気付けば大抗争になってて、ニュースにもなったもんなぁ・・・はっ、本当に懐かしいなぁ、おい」

男「組織女が親の都合で転校して以来だから・・・あれからもう2年、か?はええなぁ・・・組織女は今時ケータイもスマホも持ってねえから、連絡も付かなかったし・・・」

組織女「ああ、そりゃあ悪かったよ・・・あたしだって、この『能力』に目覚めた時はお前に相談したかったぜ? てめえはそういう事に詳しそうだったからよぉ。まぁ『戦争』でクッソ忙しくてそれ所じゃなかったもんでな」

男「そうか・・・ところで、さっき俺『領域』について適当言ってたけど、やっぱりここって現実世界とは違う場所なんだな? さっきから人も見当たらねえし」

組織女「ああ、まぁ漫画とかに出てくる便利空間だと思ってくれて問題ねえと思うぜ? こっちの世界じゃあ人が空を飛ぶし『機関』のお嬢が持つバカでかいロボットやあたしのでっけえ獣達が物理法則無視して大暴れするし、『騎士団』の連中が戦えば奴らの剣圧でビルが何百個もぶっ壊れるしな。まぁある意味ストレス解消にはちょうどいいぜ?」

男「なるほどね・・・ところでそもそもの疑問なんだが、なんでそんな『能力』に目覚めた?」

組織女「・・・あたしの場合はある日、突然目覚めたな。本当に朝起きたらそれがあるのが当たり前みたいな感じでよ・・・ああ、『機関』のお嬢みたいに『能力』に目覚める事が最初から分かってる一族もいるみたいだぜ? 実際問題、奴は『戦争』や『能力』に関して一番知識がある・・・まぁその話は置いといて・・・そんでもって色々戦闘を繰り返して行く内になんか『組織』のリーダーみたいになっちまってよぉ・・・今に至るって訳だ」

男「なるほど・・・で、『戦争』の目的はなんなんだ・・・なんでこんな争いをしてる? 別に現実の戦争みたいに土地を奪い合ってる訳でもないだろう? 戦争に勝ったら何が貰えるんだ?」

組織女「・・・この『戦争』に勝った勢力は、何でも神様だが聖人だがが残した聖遺物・・・だったかな?を貰えるらしいぜ?そんでその勢力の人間全員、一人一つだけ願いを叶えてくれるって話だぜ?あたしも死んじまった『組織』の元リーダーに聞いた話だから、確証は持てねえが・・・でも、『機関』のお嬢は一族は代々『戦争』に参加してるらしいし、『騎士団』の団長さんも先祖から『戦争』に関わってるらしいぜ?」

男「・・・マジ?」

組織女「ああ、マジさ。イマイチ信じられねえだろうが・・・なんかてめえの妄想みてえな話だろ?」

男「確かに・・・くそっ、なんで俺にはそんな『能力』が目覚めなかったんだ・・・大暴れしてやる自信があったのに・・・」

組織女「今でもてめえはある意味大暴れしてるよ・・・まぁとりあえず説明はこんな所だ・・・じゃあそろそろ戻るか? そろそろ『騎士団』と『機関』のドンパチも終わる事だろ」

男「・・・えっとじゃあ・・・あの。一つお願いがあるんだけど・・・」

組織女「んだよ、改まって」

男「ほら、俺たちってさ、こうメチャクチャド派手に戦う感じで出てったじゃん? だからこう、そんな感じで戻りたいんだけど・・・」

組織女「・・・めんどっくっせえぇぇ・・・」

男「お願い、お願いお願いお願い! 頼むよぉ・・・」

組織女「キュン) た、ったく・・・しょうがねぇなぁおめえは・・・(こいつ、本当に顔だけはいいからタチがわりぃぜ・・・)・・・じゃあ、まぁ適当にやってやるよ」

男「ありがとう!! やっぱり組織女は良い奴だぜ!・・・あ、違った。ククク・・・我が計画の通り動く走狗よ・・・苦労かけるな・・・フフフ」

組織女「・・・てめえ本当にいつかぶっ飛ばすからな・・・」

女「ハァハァ・・・『機関』の部隊の連中は・・・これで、ラストォ!!」

ドォン!!

機関女「へぇ・・・女さん。本当に腕を上げられましたね・・・それもこの短期間に・・・一体何がありましたの? 騎士団長さん」

ギィンギィン!!←二人が戦ってる音。

騎士団長「さぁな。ただ女は守りたいものや仲間の為に戦う時に一番力を発揮する・・・御刀虎という強力な仲間が現れた事で、その『能力』が開花しただけの事だろう・・・それよりいいのか? 大切な仲間はあと一人を残して全員やられてしまったぞ?」

機関女「別に。彼らは全員自律型の戦闘アンドロイドですもの。また量産すればいいだけの事ですわ・・・ふふっ、それにもうじき、我々の最終兵器が完せ・・・」

???「・・・・・ぁあああああああああああ!!!!」

ドォーン!!

機関女「な、なんですの!?」

騎士団長「なにか、爆発したか?」

女「アレは・・・組織女・・・!? 組織女がふっ飛ばされて来たの・・・?」

組織女「ハァハァ・・・クソ、やるじゃねえか、男・・・いや、御刀虎・・・!(なんであたしがこんな事を・・・)」

女「嘘・・・あの組織女が、あんなボロボロに・・・男の実力、一体どれくらいなのよ・・・!」

男「・・・ククク・・・」

騎士団長「・・・男の方は傷一つ付いていない・・・フフフ・・・どうやら我々はとてつもない戦力を得たようだ」

男「ククク・・・フフ・・・ハーッハッハッハッ!!どうしたどうした組織女よ!!腕を落としたのではないか!?まぁそれもしょうがないな!!我が瞳術・邪気眼流奥義・漆黒烈波神無月天龍眼に叶う者なし!!貴様は悪く無い!!俺が強すぎるのだ!!そう気を落とすな!!ハーッハッハッハッハッハッハッハ!!!」

組織女「(こいつのこれはもう病気だろ・・・)・・・くっ、ちょ、調子に乗るんじゃねえぞ・・!」

女「わ、技名長いなー・・・」

機関女「そんな・・・じゃ、邪気眼流・・・!? 我が一族の真祖が使っていたとされる秘伝の瞳術名を・・・どうして・・・!?」

組織女「(嘘だろおい!?)・・・ちっ、だが今日はこれ以上の喧嘩は無理か・・・悪いがあたしはトンズラこかせてもらうぜ・・・!」

女「あっ!? 待ちなさい・・・くっ、逃げ足だけは速いのね・・・!」

男「まぁいいさ。女。そう焦る事はあるまい・・・今後、何度奴が来ても同じことよ・・・ククク・・・・・・あとでハーゲンダッツ奢ろう・・・」

騎士団長「そうさ、女。男の言うとおりだ・・・さて、ところでお嬢様・・・三対一になったが・・・どうするおつもりかな?」

機関女「・・・今日のところはここでお暇させていただきましょう。そこの殿方というイレギュラーもありましたし、この人数差で勝てると思うほど私は愚かではありませんので」

女「何言ってるのよ。私達『騎士団』が目の前で二度も敵を見逃すとでも・・・」

シュビッ!

女「なっ!?」

騎士団長「・・・チッ! 機関お得意の瞬間移動装置を設置していたか・・・いつのまに!」

機関女「うふ、それではまた会える日を楽しみにしておりますわ『騎士団』の皆様・・・特に、あなた」

男「ククク・・・俺か・・・?」

機関女「そう。あなたには聞きたい事がたっぷりありますわ・・・うふ、いずれ我が家の拷問室にお招き致しましょう・・・」

男「カカッ、そいつは楽しみだぜマドモアゼル・・・。だが、俺に拷問が効くとでも・・・? 鉄の処女(アイアンメイデン)でも口説き落として虜にしちまうぜ、俺はよ?・・・ククク・・・」

機関女「口の減らない・・・それではみなさん、ごきげんよう・・・!」

騎士団長「・・・行ったか・・・ならしょうがない。我々も、一旦現実世界に帰投するとしよう」

女「はい! 団長!」

男「だな。団長殿の指示に従いますぜ・・・・・・拷問、されたくねぇー・・・」

騎士団長「今日の所はご苦労だった。当分『組織』も『機関』の連中も動かないと思う。とりあえず今日の所は二人共疲れているだろうし、解散でいいと思うが・・・異論はあるかな?」

女「ありません」

男「フフッ・・・無いな」

騎士団長「では、解散・・・の前に、男。君には礼を言う。我々の側についてくれて、本当にありがとう・・・君が居れば、我々はきっとこの『戦争』に勝てるだろう・・・ところでその、一つお願いがあるのだが・・・///」

男「・・・? なんです団長殿?」

女「どうしたのです団長? 珍しくまごまごして」

騎士団長「いや・・・その・・・な。君の言う神拳とか瞳術とか・・・その、出来れば見せて貰えないだろうか・・・? 私、実はそういうの割りと好きな方でな・・・/// き、きっと格好良く眼の色や形が変わったり、拳に竜とかそういうエフェクトがついたりするのだろう・・・?」

女「あっ、私も見たいかも! 男の戦ってる姿、一秒も見れなかったし・・・」

男「・・・・・・・・・・・・・・・・え」

騎士団長「それに、君の実力の程も見ておきたいのだ。あっ、いや勿論疑っている訳ではないぞ!? 組織女を退けたのは事実だし・・・ただ、今後の『戦争』において、戦闘の役割などを割り振る上で、参考にと・・・」

女「ほら、さっきはあんなにノリノリだったじゃない。早く見せてよ、男」

男「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

騎士団長「・・・男? どうした?」

女「・・・顔色が悪いわよ? まさか!? 組織女との戦闘で怪我でも・・・」

男「・・・・・・ぐ、グアアアアアアアアア!!」

女「お、男!?」

男「グッ・・・離れろ! 俺から、離れろ! 畜生、静まれ・・・静まれ・・・!! 鎮まりやがれ・・・!!」

騎士団長「ど、どうしたのだ、男!?」

男「ハァハァ・・・ようやく鎮まりやがったか・・・フッ、心配かけてすまねえな、団長殿、女」

女「い、いま・・・一体何があったの!?」

男「あァ・・・なぁに、俺の中の『獣』がちょろっと暴れただけだ・・・フッ、戦闘後はいつもこうでな・・・興奮してるこいつらを鎮めるのに苦労する・・・説明するのが遅れてすまなかったな・・・」

女「え・・・じゃあ男のあの服装ってまさか・・・」

男「言ったろ・・・? 拘束衣、だと・・・へ。つっても、普段はここまでじゃあねえんだがな・・・今日はちょっと『こいつら』の暴れ具合が半端じゃねえ・・・悪いが先に帰らせて貰っていいか?」

騎士団長「あ、あぁ・・・すまんな、気が付かなくて・・・送っていこうか?」

男「心配ご無用ですぜ、団長殿。流石に一人で帰れる・・・じゃあ、また学校でな、女・・・ククク・・・『戦争』か・・・血が滾るぜェ・・・ククク・・・」

男「・・・・・・・俺、この『戦争』が終わるまで生きていられるかなぁ・・・」

ククク・・・今回はここまでだ・・・
また後日、約束の地にて相まみえようぞ、同士の諸君・・・ククク・・・
(冷静になって見返したら誤字脱字多すぎてワロタ。脳内補完頼む)
(また明日の午後にでも投稿しますんでよろしくお願いします)

ほう…この男『死に至る病』に冒されているようだな
だがそれゆえに…その生き様は眩しい、か
まったく、『創造主』も酷な運命を書きあげたものだよ
だからと言って私にどうこうできるものではないが…乙の言葉をもって同情とさせてもらおう

大分遅くなりました
投下します。

組織女「・・・ったく。めんどくせえな、おい。あいつが居たらこれから『騎士団』の連中と喧嘩しづらいじゃねえか・・・」

組織部下女「頭領! ご無事で戻られましたか!私、心配で心配で」

組織女「ただの様子見つったろ? あたしだって無茶はしねえさ・・・それより悪いニュースだ。『騎士団』の連中に一人仲間が増えたんだが・・・」

組織部下女「・・・今更ですか?」

組織女「ああ。そいつには手出しすんな。半端じゃねえぞ。並大抵の奴なら返り討ちにあうのがオチだ。全員に伝えておけ。『騎士団』の目立つ格好してバカ

な笑い方してる奴には手を出すなってな」

組織部下女「は、はい・・・(頭領が言うなんて・・・相当の手練なんだろうな・・・)」

組織女「・・・それで『召喚』の準備の方は?」

組織部下女「はい。9割終わってます。あとは頭領の仕上げだけです」

組織女「そうか、ご苦労さん・・・この『戦争』、絶対に勝つぞ」

組織部下女「はい! もちろんです!」

組織女(・・・わりぃな、男。こっちにも譲れねえ願いってもんがあんだよ)

組織部下女(・・・どうしたんだろう。頭領のこんな物憂げな顔、初めて見た)

組織女「あと、お前・・・スマホつーかケータイ持ってるよな?」

組織部下女「え? あ、はい。持ってますけど・・・ていうか、頭領くらいですよ・・・今時ガラケーすら持ってないの」

組織女「うっせ、ほっとけ。あたしの主義なんだよ・・・んで、一つ。頼みがあんだが」

組織部下女「?」


機関女「忌々しいですわ・・・! 『騎士団』の気取った連中も、組織女の粗暴な言動も・・・何よりあの男・・・私の神経にえらく障りますわ・・・絶対許

しませんわよ・・・!」

メイド「・・・お嬢様」

機関女「メイド・・・!? もう具合はよろしいの!? まだ絶対安静なはずですわよ・・・?」」

メイド「あの程度の怪我など3日も寝れば治ります。それより大丈夫ですか? 大分気が立っておられるようですが・・・」

機関女「・・・『騎士団』に仲間が増えましたの。それも我が機関家でなければ知り得ない情報を持った男が・・・男、あるいは御刀虎という名前に聞き覚え

は?」

メイド「男・・・御刀虎・・・ですか? 申し訳ありませんお嬢様。そのような名前の人物、一度も聞いた覚えは・・・」

機関女「アンノウン・・・という事ですのね・・・ますます気に障りますわ・・・一体あの男、何者ですの・・・?」

メイド(お嬢様がここまで動揺するなんて・・・こんなお姿、初めて見たかもしれません)

機関女「・・・『機関』家当主として、この『戦争』には絶対に勝たなければなりませんのに・・・私自身の願いの為にも・・・ね。・・・『兵器』の開発は

あとどれくらいですの?」

メイド「はい。私も先ほど確認して参りました。残り10%ほどで完成するとの事です。あとはお嬢様のお力添え次第かと・・・」

機関女「了承しましたわ・・・ふふっ、胸が高ぶりますわね・・・ところで、メイド」

メイド「はい」

機関女「『機関』家当主として、あなたに一つ、命令を下しますわ」

メイド「?」

女「・・・おはよう、男くん・・・いや、男」

男「・・・・・・どうすんだよおい、マジで死にたくねぇぞ、・・・でもバラすのも今まで騙してたって事になるし・・・」

女「男?」

男「・・・・・・はっ、なに? なんか言った?」

女「え? いや、おはようって・・・」

男「・・・・・・ククク、そうか。済まないな。脳内戦闘でいかにこの『戦争』で叩き潰そうかと瞑想していたのだ・・・」

女「そう・・・大丈夫なのあんた? なんか目が赤いわよ? クマもできてるし・・・眠れなかったの?」

男「いや、別にそういう訳では・・・」

女「寝不足なら保健室連れて行こうか? あっ・・・それとも・・・『獣』がまだ収まってなかったりするの?」

男「・・・い、いや、大丈夫だ。『奴ら』なら昨日の内に何とか鎮めておいた・・・ククク・・・どちらが飼い主なのか、たっぷり時間を掛けて分からせてやったわ・・・お前にも奴らが俺にひれ伏すポーズを見せてやりたかったぞ・・・」

女「・・・そう、ならよかった・・・あんたね? 『戦争』以外なら寝不足と疲労が一番の敵なんだから、気をつけなさいよ?」

男「ククク・・・女、どうした? やけに優しいではないか・・・? ふっ、惚れたか・・・? 悪いが俺が今まで為してきた所業を考えれば俺の行先は地獄
だぞ・・・? その俺の罪を一緒に背負・・・」

女「そ、そんなんじゃないわよ! ただ、もう・・・仲間を失いたくないだけなの!」

男「・・・・・・・・・」

女「ごめん、声を荒げて・・・でも、本心だから・・・」

男「・・・・・・すまなかった」

女「別にいいわ・・・でも本当に気をつけなさいよ? 『戦争』以外の事でも、なんか悩みがあるのなら言いなさい? 力にはなれないかもだけど・・・聞く
くらいなら出来るんだから!・・・あ、先生来ちゃった・・・いくらアンタが化物みたいに強かったとしても、今はただの学生なんだから、授業中はちゃんと起きてなさいよ?」

男「・・・・・・・」

モブ女1「女ちゃーん? 男くんとなにを話してたのかなぁ? うりうりー」

女「べ、別に何でもないって・・・本当に何でも・・・」

男「・・・・・・・罪悪感、半端ねぇー・・・」


キーンコーンカーンコーン。

女「あ、男・・・今日、放課後予定とかあるの? なかったら一緒に・・・」

男「ククク・・・悪いが今日はちょっと先客があってな・・・一人で帰らせて貰おう・・・約束の刻が近づいてきているのだ・・・」

女「そ、そっか。気を付けて帰りなさい? 何かあったら・・・まぁあんたなら大丈夫だと思うけど、すぐに連絡するのよ?」

男「ふっ、すまんな・・・埋め合わせは後でしよう・・・楽しみにしておけ・・・ククク・・・」

男「ふぅ・・・ウソついて一人になったはいいが、どうしようかな・・・クソ、確かに俺は厨二とか邪気眼とか大好きだけどよぉ・・・まさか本当にこんな事になるなんてなぁ・・・ククク・・・これも我が運命か・・・って・・・もう骨の髄まで染み付いちゃってんだよなぁ・・・俺のこの口調っていうか、性格はよぉ・・・誤解は解いたら解いたらで、女と騎士団長のことを考えると辛いし・・・フフッ、これが二律背反という奴か・・・って、あのな俺・・・」

???「だ、誰か―!」

男「……女の人の、声?」

不良男1「ゲヘヘ、姉ちゃん綺麗だなぁ・・・こんな町中メイド服で出歩くなんて、いい趣味してるぜ、おお?」

不良男2「それはつまり、やっちゃっていいって事だろ・・・? ケヒヒ!」

メイド「や、やめて下さい(どうしましょう・・・こんな男たち二人、一秒も掛からず消し去る事が出来ますが・・・後処理が面倒ですし・・・)

???「・・・ククク、貴様ら。男二人で婦女子を脅すか。いい根性しているな・・・」

メイド(あら?)

不良1「あぁん!?」

不良2「んだぁてめえは!?」

男「ククク・・・この土地で俺の顔も名も知らぬ愚か者がいるとは・・・ククク・・・煉獄の炎に焼かれて後悔するがブエェァ!?」

不良1「ゴチャゴチャうるせえんだよ!!」

ドュクシ!ドュクシ!

不良2「引っ込んでろこの中2が!!」

ドュクシ!ドュクシ!

男「くっ・・・ふふっ、いいのか?貴様ら?我をぼこって・・・!後悔しても・・・あっ、痛い!やめて!そこだけはやめて!」



メイド(なんなんでしょうこの男性は。・・・え?目を、片方だけつむって・・・アレは、ウィンク?)

メイド(何回も何回も・・・要は逃げろ、ということなのでしょうか)

メイド(・・・今時の男性にしては珍しくガッツのある方ですね・・・ではありがたく・・・)

不良1「ハァハァ・・・ちっ、手間取らせやがって・・・」

不良2「ってあぁ!?女がいねえ!?クソっ、てめえ!・・・って今度は中2もいねえ!?」

不良1「野郎!!探せ!まだ近くにいるはずだ・・・!」

男「ククク・・・隠れ身の術・・・貴様らごときに見破れる訳がない・・・あー、やべえ、草だらけだ。母さんが怒んなぁ、これ・・・あのメイドさん、遠くまで行ったといいが・・・」

メイド「・・・ただ草むらに隠れるのを隠れ身の術と言うのでしょうか?」

男「うおぉ!?びっくりしたぁ! ってさっきのメイドさん!?なにやってんだあんた!早く逃げないと!」

メイド「いえ、あの野卑な二人なら遠くに行ったのを確認しましたので安心して下さい。それより先程と口調が違いますが、それが本来のあなたという解釈でいいんでしょうか・・・?」

男「っ!? ・・・ク、ク、ク。何を言っているメイド?これは世を忍ぶ仮の姿・・・本来の俺は地獄よりの使者・・・その名も・・・御」

メイド「とりあえずお礼を言わせて頂きます。ありがとうございます」

男「・・・か、カカッ!! いい態度だメイドよ・・・我が真名を聞くとその魂が焼かれる事を未然に防いだということか・・・」

メイド「いえ、単純に面倒くさかったので・・・」

男「・・・」

メイド「・・・」

男「ふ、フフン。まぁいいそういう事にしておいてやろう・・・・・・・・・畜生、大人はつめてえよ・・」

メイド「(顔は可愛いのに・・・残念な男の子ですね・・・)ところで・・・お腹は空いてませんか、助けてくださった方?」

男「?」]

メイド「なるほど、ここが俗に言うファミリーフードですか」

男「俗に言わなくても多分そうだ・・・そしてメイド服を着たままファーストフード店に入った客は多分世界初だぞ・・・光栄に思うがいい、ククク」

メイド「なんであなたが偉そうなんですか・・・しかしよろしいので?助けてくださったお礼がこんな安い所で」

男「ククク・・・もちろん高級ホテルの最上階のレストランでも俺は構わないが・・・俺がそこに出向くと、そこで食事している財界の連中の手を止めることになるからな・・・気を使ってやっているのだよ・・・」

メイド「・・・とっても幸せそうですね、あなた」

男「いや、今人生で一番やばいかもしれん・・・」

メイド「?」

男「いや、なんでもない・・・ククク、気になるか? 気になるだろう? ここのハンバーガー代の料金分くらいなら教えてやってもいいぞ・・・フフフ」

メイド「いえ、興味ありません」

男「・・・・・・」

メイド「私が興味あるのはお嬢様の事だけですので」

男「・・・ん?お嬢様・・・?そう言えば、そのメイド服は何で来てるのだ?趣味か?」

メイド「流石に少女趣味をしていられる年ではありませんよ・・・仕事上です」

男「へぇー。あんた死ぬほど美人だし、あり得ないほど似合ってるけどな、勿体ない」

メイド「・・・・・・・」

男「・・・なんだ?ぼーっとして。世界の真理に目覚めたか・・・?ふっ、とうとうお前もそのステージに達したか・・・ククク、面白くなってきやがった・・・さぁ闇と光の戦争を始めようぜ・・・」

メイド「・・・私のぼーっとした時間を返してください」

男「何のことだ?」

メイド「なんでもありません」

男「・・・? 所であんた一体なにしてたんだ? お嬢様とか言うあたり、そのお嬢様の道楽にでも付きあわされてるのか?・・・ククク、陰謀の臭いがするぜ・・・プンプンな・・・」

メイド「いえ、単純な人探しです」

男「・・・ほぉん。で、それはだ・・・」

・・・その時、男に電流走るッ・・・!!

これより先を聞いてはならない、と。

これから先は言動の1つ1つが生死に直結している、と。

勘や第六感ではなく、己の細胞がそう理解した。そう理解したのを感じた。

メイド「どうしました。急に押し黙って・・・」

男「いや・・・」

メイド「?それでは話を戻しますけど・・・私は男という人物を探しているのです。多分この変に住んでいると思うのですが・・・ご存じですか?」

以上です。今回はちょっと動きが無くてつまんなかったと思いますが、箸休めということで・・・
次もなるべく早めに書き込みますんで、よろしくお願いします。

3日も放置してしまった・・・投下します

組織部下女(頭領もむちゃくちゃな事言うなぁ・・・男って言う人がこの辺にいるから探して、連絡先を知っとけなんて・・・頭領の友人って言えば、大丈夫

。昔、一緒に暴走族を潰したって話すれば応じてくれるって言うけど・・・本当かなぁ・・・大体頭領も今時スマホも持ってないのは・・・まぁ連絡用の獣が

いるから、私達『組織』としては問題ないけど・・・うーん・・・)

組織部下女(で、良くも悪くも・・・いや、どう考えても悪目立つしてるバカな奴だから、すぐに分かるらしいけど・・・)

組織部下女「はぁ・・・歩きまわって疲れたなぁ・・・ちょっと休憩しよう・・・ここのファーストフード店でいっか・・・」

組織部下女(ジュース飲みながら行き先を考えよう・・・空いてる席・・・空いてる席・・・って、ええ!?)

組織部下女(メイドさんがいる!? なんで? うわ、しかも一緒に居る人もイケメンだ! )

組織部下女(はえ~すっごい目立つカップル・・・メイドさんは単純にとんでもない美人さんだし、イケメンの方もなんか変なオーラ出てるし・・・動きもな

んか仰々しいというか、芝居がかってるというか・・・でも、やだ・・・私、あの人、超タイプかも・・・///)

組織部下女(・・・え、ていうかまさかあの人が、頭領の言ってた友人・・・? いや、でもうーん・・・どうしよう、声掛けるか迷うなぁ・・・)

組織部下女(ん? アレ・・・あの人・・・いや、あの女・・・『機関』のメイド・・・!? いや、でもあのメイドはいつも『機関』のお嬢様に付きっきり

のはず・・・!?)

組織部下女(それが今、なんで男の人と一緒に!? あの男の人も『戦争』の関係者?でも今まで見たことないし・・・一体何者なの・・・?)



メイド「・・・?」

男「どうした、キョロキョロして」

メイド(一瞬視線を感じたような・・・気にしすぎでしょうか。考えてみれば『領域』でない現実世界で機関家の外を出歩くのはかなり久々ですし・・・勘違いだといいのですが・・・)

メイド「いえ、なんでも、ではその男という人の事は知らないのですね?」

男「わ、悪いが知らんな・・・まぁ俺が持つ裏社会のネットワークを使えば調べる事は造作もないがな・・・クックック・・・」

メイド「・・・そうですか。なんだか無駄に顔が広そうだったので少し期待したのですか・・・」

男「無駄にってなんだ。あとせめて一言でいいから突っ込んで、スルーやめて・・・というか、その男の特徴とか、なんにも知らないのか?」

メイド「ええ。その男を尾行していたアンドロ・・・」

男「? 尾行?」

メイド(・・・言えませんね、その男を尾行し、撮影していた戦闘型アンドロイドが破壊されて、映像などのデータが無くなった事など。目の前の彼と同じぐらいの電波具合になってしまいます)

メイド「いえ、ただその男の事を知っている安藤・・・というウチの者がロクに引き継ぎもせず、海外旅行に行ってしまいまして、連絡が付かないのですが、お嬢様は早急に彼の者を探しだせと仰ったので・・・こうして探し回っているという訳です」

男「ほ、ほぉーん・・・まぁ頑張ってくれな・・・ククク・・・その者と運命が重なる事を願っているぞ・・・」

メイド「ええ、ありがとうございます。ではすみませんがお先に失礼します。人探しを再開しませんと」

男「・・・もう、後は暗くなる一方だし、辞めといた方がいいぞ。うん、そうだな。明日とかも明後日とかも確か・・・そうだな、俺のスパコンより優秀な脳みそが弾き出した占いによると、待ち人きたらずだからな・・・出来ることなら、一週間くらい人探しは中止にしといた方がいいぞ」

メイド「メチャクチャな脳味噌してますね・・・残念ですがそうは行きません。お嬢様に早急に、と頼まれた事ですので。私にとってお嬢様からの命令は絶対ですから」

男「・・・あんたにとって、そのお嬢様ってのはそんなに大切か」

メイド「ええ、お嬢様のご命令は全てにおいて優先します。私の恩人ですので」

男「・・・・・・ほう、何かあったのだな・・・? ククク・・・聞かせてもらおうか・・・俺はそういうのが大好物でな・・・きっと暗い出来事を二人で乗り越えた過去が・・・」

メイド「このご時世、お金持ちのメイドという安定して色々と融通も聞き職業としての個性もある仕事はそうそうありません。ボーナスも弾んでくれますし、お嬢様には本当に感謝しております」

男「急に俗物になったなてめぇ!?」

メイド「冗談です・・・お嬢様は、幼い頃に両親を亡くし、友達もおりませんでした。なのでつい、メイドというよりかは、年は10も離れておりませんが親のような目線でお嬢様を見てしまうのです・・・過保護というか、メイドの癖に出しゃばりで、余計な世話焼きと思われるかもしれませんが・・・」

男「・・・」

メイド「すみません。ベラベラとつまらない事を・・・」

男「いや、別に」

メイド「でも・・・おかしいですね・・・先ほど会ったばかりですのに、あなたにはこんな事まで喋れてしまいます・・・私、普段お嬢様以外の人間と会話しないのですが」

男「・・・ククク、ようやく気付いたか? 俺があんたを創作術式『催眠(マインドコントロール)』で操ってるこ」

メイド「・・・きっと貴方のそのキャラクターのせいというか、おかげなのでしょうね」

男「最後まで聞けよ!?」

メイド「クスクス、失礼しました」

男「・・・」

メイド「なんですか、今度はあなたがボーッとして・・・」

男「あんた、せっかく美人なんだからもっと笑おうぜ。もったいねえよ」

メイド「・・・・・な」

男「そう、例えば俺のような笑い方がおすすめだぞ・・・何かを企んでそうで実際には何も企んでない、でもちょっと企んでるかもしれないような声を、な・・・ククク」

メイド「・・・その笑い方は多分、一生しないと思います・・・それでは、またご縁があったら・・・あ、そう言えば貴方のお名前は?」

男「おと・・・ではなく、ククク・・・俺はこの世界では多数の者に恐れられる故、無数の名で呼ばれていてな・・・・例えば・・・灼眼の堕天使とか・・・」

メイド「どこらへんが堕天使なんですかね・・・まぁわかりました。ではまたどこかで、灼眼の堕天使さん?」

男「・・・ククク、ああ・・・宿命が俺たちを呼べば、すぐに再会するだろうさ・・・カカッ・・・あ、ハンバーガー、ごちそうさまでした」

メイド「そういう所は礼儀正しいんですね・・・では」


男「じゅ・・・」

男「寿命が一兆年縮まったぜ・・・」

男「なんとか誤魔化せたが・・・どうするかなぁ・・・多分・・・っていうか、どう考えてもあのメイドさんは『機関』のメイドだろう・・・あの機関女も確

かこの前、ウチのメイドを病院送りにしたお礼参りに・・・つってたしな・・・お嬢様お嬢様言ってたしよぉ・・・他に俺が探される理由も思いつかねえし・・・」

男「次会ったら殺されそうだな・・・やべえよ・・・やべえよ・・・」

???「あの・・・すみません・・・ちょっといいですか?」

男「・・・ん?・・・だれ?」

組織部下女「頭りょ・・・じゃなくて・・・組織女さんの知り合い・・・と言えば分かりますか? 一緒に暴走族を潰したとか何とか言えば分かるって・・・」

男「!・・・ククク、あいつの知り合いか・・・ふふ、何の用かな?」

組織部下女えっと、組織女さんが、貴方の連絡先を知りたいって言っていて・・・ただ、あの人スマホとか連絡先の類を一切持ってないじゃないですか? なので、何か連絡を取りたい時は、私が仲介役になるんですけど・・・大丈夫ですか?」

男「構わんぞ。むしろあんたはいいのか・・・? フフッ・・・この俺と繋がるという事はすなわち、地獄の釜を自ら開けるようなものだぞ・・・ククク」

組織部下女(っ! やっぱりこの人、『戦争』に関して何か知っている・・・? いや、間違いなく知ってる! そうじゃなきゃ、『機関』のメイドと一緒に居たりしないよね・・・ましてやあの電話やメール嫌いの頭領が自ら接触を取るくらいだ・・・ただ者じゃない・・・それに近くで見ればみるほどイ、イケメンだし・・・///)

組織部下女「・・・あなた、一体何者なんですか・・・?」

男「カカッ、辞めておけ。俺に近づくと火傷じゃあ済まないぜお嬢ちゃん・・・そいつはトップシークレットだ・・・ククク・・・まぁ一つだけ二つ名を教えてやろう・・・御刀虎だ、覚えておきな・・・」

組織部下女「は、はい・・・/// 一生忘れません!一生覚えておきます!!(やだ・・・この秘密主義な所が超クール・・・この人、超かっこいい・・・///)」

男「・・・引かないのか・・・?」

組織部下女「・・・はい、あなたに惹かれてます・・・///」

男「は・・・?」

組織部下女「な、なんでもありません!!/// そ、それじゃあ何か会ったら連絡しますから!! す、すぐに、秒で! 1ナノ秒で連絡しますから! さよなら!」

ピュー!!(女がダッシュで店を出て行く音)

男「なんだったんだ、あいつ・・・組織女も、大変なんだろうなぁ・・・」

男「さて・・・じゃあそろそろ帰るか。まぁ悩んでも仕方ねえ、明日は明日の風が吹く、だ・・・ククク・・・運命の神よ、悪いがお前の思い通りにはならんぞ・・・カカッ!」

ファーストフード店の店員全員(((・・・なんだったんだよあいつら・・・・)))

男母「ケケッ! 起きろ!我が息子よ!! 貴様、いつのまにあんな可憐な女子と仲良くなっていたのだ? まさか貴様、我が一族の血を飲ませた訳ではあるまいな!? 一生隷属してしまうのだぞ!? ちゃんと責任は取れるのだろうな!?」

男「・・・はぁ?」

女「お、おはよ」

男「お、おう・・・」

男母「ケ、ケケケ・・・我が愚息をわざわざ迎えに来てくれるとは・・・ケケケッ、我が息子よっ、貴様は将来暗黒魔法使い確定だと思っているのにやるではないか! (あ、だ、大丈夫かな・・・女ちゃんに引かれたりしないかな・・・この子に友達出来るか不安だったから本当に嬉しいな・・・出来ればお嫁さんに来てくれないかな・・・)」

男「ク、ク、ク・・・我が母よ、ようやく世界中の女が俺のレベルに追いついてきただけの事よ・・・それより母よ、女の分の朝食は? 女よ、何だったら俺の分の飯を食べるか?」

女「い、いいよ。朝ごはん食べてきたし、勝手に迎え来ただけだからさ・・・早く食べちゃいなよ(男くんの母親もきっと、ただ者じゃないんだろうなぁ・・・そう考えたら、私、よくこの家に上がらせて貰ったな・・・)」

男「そうか・・・では遠慮無く・・・」

男母「女ちゃん・・・もし良かったらこの、ミノタウルスから絞った乳をデザート風に我の魔法で発酵した物でも食べるか・・・?(私は一体何を言ってるんだろう・・・)」

女「い、いえ・・・遠慮しておきます・・・ダイエット中なので・・・(ただのプリンに見えるけど・・・きっと何かすごい秘密が・・・)」

男「モグモグモグモグモグ!! ごちそうさま!! 美味であったぞ!! では行くぞ女!!」

女「え、そんな早く食べなくても大丈夫だけど・・・」

男「いいから、行くぞ女!」

 ギュッ!(手を繋ぐ二人)

女「あっ・・・//」

男「では学校に行って参るぞ我が母よ!!・・・・・・・こう、自分のはともかく、端から見るとすごく恥ずかしいのはどうしてだろうなぁ・・・」

男「女よ・・・どうして急に迎えに来たのだ・・・? 来るなとは言わんが、せめて一言くらい言ってくれ」

女「ごめん・・・でも、昨日のあんたがあんなだったらか、私心配で・・・」

男「心配してくれるのは嬉しいが、過剰なのもどうかと思うぞ・・・」

女「うん・・・ごめん・・・」

男「・・・ま、まぁ英雄色を好むというからな。女が俺の魅力に取り付かれるのも無理はない。カカッ」

女「そ、そんなんじゃないって言ってるでしょ、もう・・・」

男「・・・・・・何かあったのか?」

女「え?」

男「まだ出会って一週間も経っていないが、女のそんな顔は初めて見たからな。聞いてみただけだ・・・ふっ、我が千里眼が恐ろしい・・・」

女「男は、すごいね。何でも分かっちゃう・・・うん、実は『冥府落し』決行が遅れるらしいんだ・・・原因は色々あるみたいなんだけど・・・」

男「・・・・・・・マジで何かあったのか」

女「それで。それ聞いたら『戦争』に勝てるのか不安になっちゃって・・・ごめんね、私は男の彼女でもないのに・・・」

男「いや・・・」

女「・・・・・・」

男「・・・・・・」

女「(男黙っちゃった・・・やっぱり、うざかったわよね・・・)

男「・・・・・・・・・・・・案ずるな、女よ」

女「え?」

男「正直言って、『戦争』に勝てるかどうかは、微妙だ。俺の力も無限ではないのでな。『機関』も、『組織』も、まだ隠し玉があるはず・・・だが、なんと

しても俺はお前だけは守り抜こう・・・」

女「え・・・?」

男「ククク・・・なにせ、お前は俺が『戦争』に参加するのに、最高のお膳立てをしてくれたからなあ? それに対する礼くらいは当然するさ・・・お前が俺

の名を呼べば、俺は必ずお前の前にあらわれて、お前を守る・・・ここに、それを誓おう・・・ククク、この暗黒の邪王に守られる栄誉を深々と噛みしめるが

いい・・・カカッ」

女「お、男・・・うん・・・へへ、その言葉、信じるよ? 裏切ったら、私の剣で真っ二つにしてやるんだから♪」

男「カッ、それは怖いなぁ・・・ククク、ところで女よ。いつもの顔に戻ったな」

女「え? ・・・あ」

男「ふん、気分は晴れたか? では学校へ行くぞ・・・ああ、勿論『奴ら』に気をつけてな・・・」

女「・・・ふふっ、男に言われなくてもそんな事分かってるわよ!」

男(・・・さっきの言葉は、本心だ・・・例え命に変えても、女と団長殿は守りぬかなくては、な・・・それが悪気があったわけではないとはいえ、これは嘘を付き、二人を騙した罪の報いだ・・・)

おわーり。
もう大体半分くらい来たので、出来れば今週中に書き上げられればみたいな感じで・・・
次もよろしくお願いします。

また間が空いてしまった・・・投下します。

メイド「・・・お嬢様、ただいま戻りました」

機関女「ご苦労でしたわメイド。随分と時間が掛かりましたわね・・・かの御刀虎に関しての情報は見つかりましたの?」

メイド「いえ・・・申し訳ありませんお嬢様。残念ながら何一つ・・・」

機関女「・・・優秀なあなたが見つけられなかったというのなら、仕方のない事、そう気を落とさなくていいですわ」

メイド「・・・もったいないお言葉・・・」

機関女「部下の失敗の責任を取るのが、上に立つものの責務ですもの。当たり前の事を言っただけですわ・・・しかしそうなると、その御刀虎とやらは相当、『能力』に関しては熟練者ですわね・・・そういった事にめざといあなたですら・・・」

メイド(・・・部下・・・ですか・・・そうですよね。お嬢様にとっては、私は・・・)

機関女「今度、『領域』であったら常に御刀虎の動向を注意しなくては・・・メイド、どうかしたのですの? そんな憂いた顔をして・・・」

メイド「いえ・・・何でもありません」

機関女「? そうですの? あなたは『戦争』に必要不可欠ですもの。体調管理だけはしっかりしてくださいな?」

メイド「はい」

機関女「では、私は『兵器』の最終調整に入りますわ。あなたはとりあえず今日は休みなさい。何かあったらすぐに報告を。それでは」

メイド「・・・僭越ながら、お嬢様の体調は大丈夫なのでしょうか? お嬢様の方もあまり、顔色が優れないようですが・・・」

機関女「私の事は心配しなくても大丈夫ですわ。確かにここのところ、睡眠時間は3時間ほどですが、『戦争』に勝つ為ですもの。これくらいなんてことありませんわ」

メイド「ですがお嬢様・・・」

機関女「心配は結構。ともかく休みなさい。それ以上は聞く耳を持ちませんわ」

メイド「・・・はい」

メイド(お嬢様は焦っておられる・・・それほどまでに叶えたい願いがあるのですね・・・)

メイド(完成を焦るあまり、『兵器』のどこかに見落としがあって、戦闘中に不具合を起こさなければいいのですが・・・)

組織部下女「頭領、ただいま戻りました!」

組織女「おう、わりぃな。面倒掛けてよ。あのバカ、すぐに見つかっただろ?」

組織部下女「はい、すぐに見つかりました! 確かに色々と目立つ方でした!」

組織女「だろ? まぁこれからもこの『戦争』が終わるくらいまではあいつとの連絡係になってもらうんだが・・・大丈夫か?」

組織部下女「はい!全然大丈夫です!・・・ところで、頭領」

組織女「ん? なんだ、改まった顔して」

組織部下女「え、えっとぉ・・・そのぉ・・・男さんってぇ・・・///」

組織女「・・・モジモジしてどうした。はっきり言え」

組織部下女「はい・・・あの、男さんって彼女いるんですか・・・?///」

組織女「・・・はぁ?」

組織部下女「い、いえ、なんでもありません!失礼しますぅぅ!///」

組織女「・・・・・・」

組織女(あのバカ、顔だけはいいからなぁ・・・そう言えば中房の時も、あいつ結構モテてたんだよな・・・本人は知らなかったみたいだが・・・)

組織女(組織部下女が面倒起こしてくれなきゃいいが・・・)

組織女「ったく、『召喚の儀』も『戦争』も大詰めだってのによぉ・・・はぁ、やれやれ、あいつが出てくると、なんでも場を引っ掻き回しやがる・・・」

組織女(んで、その面倒とかお世話をするのもあたしの役目・・・ってな・・・ったく、だりぃけど、なんかあいつほっとけねえんだよなぁ・・・)

・・・カサカサ・・・

組織女(・・・っ?人の気配!?)

組織女「誰だ!?出てこいよ!!」

・・・シーン・・・

組織女(返事はない・・・気のせいか?)

組織女「・・・ちっ、あたしらしくもねえ、気が立ってんのかな・・・」

組織女(とりあえず今は『召喚の儀』に集中、だな・・・)

???「・・・・・・・」

男「団長殿から呼び出しか・・・それも女抜きで俺一人で来てくれとは・・・一体何の用であろう・・・」

男「まさか愛の告白か・・・?フフン、女はなぜか俺の様なワイルドな男に憧れるからな・・・ククク、告白されても驚かないように、心の準備だけはしておかなくては・・・」

男「・・・冗談はこれくらいにして、マジで何の用なんだろうか・・・どうしよう、メチャクチャ具体的な戦略とかの話されたら。俺全く分からんぞ・・・まぁその場合は適当に誤魔化すか・・・ああ、そんなこんなで、団長の家に着いてしまった。緊張するなおい・・・」

ピーンポーン

男「ククク・・・団長殿、俺だ・・・入れて貰えますかな・・・? ・・・・・・我ながら、この変わり身の速さはすごいな・・・」

騎士団長「あ、ああ。いいぞ。入りたまえ」

男「フフフ・・・失礼しますぜ・・・」

騎士団長「や、やあ・・・済まないな。わざわざ来て貰って」

男「気にしなくて大丈夫ですぜ。あんたが大将だ。気軽に呼びつけて貰って構わんですよ・・・それで本日のご用件は?」

騎士団長「う、うむ・・・まぁ、なんだ・・・いきなり本題に入るのも不粋だからな・・・その前にお茶でも飲もうではないか・・・」

男「? まぁ。出して貰えるなら・・・」

騎士団長「そこに座って待っていてくれ。今、お茶を入れてくる」

バタン(ドアが閉まる音)

男「・・・なんだか今日の団長殿は妙に変だな。そわそわしているというか、落ち着きがないというか・・・」

男「まさか本当に告白? いや、流石にないか・・・・・・それにしても・・・品のいい家だな・・・高級感が半端じゃねえ・・・団長殿もそう言えば、気品に溢れているというか、育ちの良さが出てる、上品な人だものな・・・なんかこういう家には使用人とか居そうなものだが・・・」

ガララ(ドアが開く音)

騎士団長「お待たせ・・・君の口に会うか分からんが、お茶菓子も持ってきた。良かったら食べてくれ」

男「・・・す・・・すごい大量に持ってこられたな、団長殿。別に俺はそこまで腹は減っていないが・・・」

騎士団長「あ・・・済まない・・・何せ、余り客人を呼ぶ事がないでな・・・それに、その・・・男性を家に上げる事が初めてだったから、つい加減が分からなくて・・・///」

男「・・・・・・ふ、フフッ。冗談だ団長殿。戦場では一瞬の油断が命取り。ましてやエネルギーの消費によって脳味噌が疲弊し、判断が遅れる事はそれこそ致命的だ・・・だが最近の俺は糖を補給するのを忘れていてな・・・これだけ甘い物をぶち込めば三日三晩は俺の灰色の脳細胞もお祭り騒ぎだろうさ・・・むしろありがたいくらいですぜ?・・・あむっ・・・むぐむぐ、おお、メチャクチャ美味い!!」

騎士団長「・・・そ・・・そうか。それは良かった。あ、お茶も良かったら飲んでくれ。年寄りめいた趣味だが、私は少々お茶に凝っていてな。気に入ってくれるといいんだが・・・」

男「・・・ゴクッ・・・ほぉ・・・こ。これはすごいな・・・ククク、一度だけ飲んだ事があるわ。そうアレは確か・・・ヤクザと各国のマフィアとギャングの最高幹部達を集めたパーティーで俺が場を和ませる為に出した最高級の玉露・・・カカッ、懐かしい味ぞ・・・なんだこれ、死ぬほどおいしいんだが・・・」

騎士団長「ほう、飲んだ事があったか・・・流石は男だ。しかも一口で理解するとは・・・」

男「・・・・・・え、マジ?」

騎士団長「君が来るというので、つい奮発して買ってしまった・・・高かったがな・・・その茶碗も合わせて10万円ほどだし、果たして君を歓迎するのに、これくらいで大丈夫かと迷っていたが、浅はかな私の知識では、これ以上最高級の物は見つからなかったのだが・・・懐かしの味なら楽しんで貰えたかな・・・?」

男「・・・・・・」

騎士団長「・・・・・・男? 手が震えているぞ?」

男「・・・・・・」

騎士団長「あー! 男、こぼれそう、こぼれそうだぞ!!」

男「・・・はっ。す、スマンな団長殿。懐かしの味に、過去の事を思い出したら、ついぼーっとしてしまっていた・・・」

騎士団長「ふふ、気にする事はない。さぁ私がつぐからいくらでも飲んでくれたまえ」

男「お、おう・・・・・・とことん味わって飲んでおこう・・・」

男「ご、ごちそう様です・・・ウップ・・・口の中甘ったるいぜ・・・」

騎士団長「もうお腹いっぱいか? 実は冷蔵庫の中にこれと同じ分くらいの洋菓子も用意しているのだが・・・あと、紅茶も」

男「さ・・・流石にもう大丈夫ですぜ、団長殿。それはまたの機会にでも・・・そうだな。『戦争』に勝った暁にでも、勝利の美酒と共に、味わうとしましょうや・・・」

騎士団長「ふむ。確かに・・・では、そろそろ本題に入るとしよう・・・」

男「ああ・・・では聞かせて頂こうか、団長殿の用件とやらを・・・フフッ、鬼が出るか蛇が出るか・・・『戦争』に勝つ為に、禁断の秘術を解こうと言うのなら、止めはしませんぜ・・・?」

騎士団長「禁断の秘術、か・・・確かに、ある意味そうかもしれんな」

男「・・・ほ、ほお・・・」

騎士団長「・・・なぁ、男。今日は両親がいないんだ」

男「・・・え」

騎士団長「ついでに言うと使用人も今日は休みだ」

男「・・・な、な・・・?」

騎士団長「だから、だからな・・・」

男「い、いやちょっとまってくれ団長殿・・・こ、心の準備が・・・というか、はっきり言って俺の邪王暗黒剣はまだ未使用だから団長殿に恥をかかせてしまう・・・」

騎士団長「・・・今日は思いっきり技名などを叫んでも大丈夫な日なのだ」

男「というか、やはり男女のそう言った事は清らかな付き合いをしたあとで、満月の下で交わした接吻の後、どちらからともなく行う行為でなくては・・・って、は・・・?」

騎士団長「・・・君は一体何を言っているのだ?」

男「え? いや、団長殿こそ一体何を・・・」

騎士団長「いや、だから・・・私もその、なんだ、君のような言動に憧れてるというか・・・ほら、君が組織女を倒して我々に合流する際、何かしらの技名を叫んでいただろう? ふふ、あのネーミングセンスに私は心底惚れ惚れしてしまったぞ・・・///」

男「・・・ああ、そう言えば、そういうのが好きって言ってましたね・・・・・・期待してた俺がバカだった・・・」

騎士団長「何をガッカリしてるんだ・・・? ああ。だって、そういうのカッコイイではないか・・・私自身、こう自分の剣技に名前を付けてみようと思ったのだが・・・どうも、私はセンスが無くてな・・・そうだ、出来る事なら、もう一度あの技名、教えてくれないか?」

男「え? いや、それはちょっと・・・・・・」

騎士団長「そ、そうか・・・きっと色んな誓約があるんだろうな・・・。では、何か他の技名は?」

男「え?」

騎士団長「きっとあの技は、君の中で100ある・・・いや1000ある・・・いや、もっとある技名の一つでしかないのだろう? もしよろしかったら、少しでいいから教えてもらえないだろうか? 参考にしたいのだ・・・」

男「・・・・・・ま、まあ確かに・・・俺が持っている技名は軽く万はあるし・・・べ・・・別に教えても構わんですが・・・いや、でも団長殿・・・こう技名というのは他人に教えると効力を失ったり・・・」

騎士団長「やはりあるのだな!!では早速教えてくれ!!」

男「は、はい・・・」

男「こんな地下室があんのか・・・金持ちはちげえなおい・・・」

騎士団長「そうか?別に普通だと思っていたが・・・じゃあ技名を何か一つ、出来ればかっこいいのを教えてもらってよろしいだろうか?」

男「は、はい・・・(くそ、こうなりゃヤケだ・・・俺の今までの邪気眼妄想をフル活用してやる)・・・ふっ、そうだな・・・では、団長殿。適当に剣を振るって貰ってよろしいだろうか?」

騎士団長「ふむ・・・・やぁ!とぅ!はっ!」

ブォン!ブォン!

騎士団長「・・・どうだ。何か私の剣技に似合う技名はあるだろうか」

男「・・・封風剣撃王神断散双覇舞斬」

騎士団長「は?」

男「封風剣撃王神断散双覇舞斬!」

騎士団長「・・・」

男(・・・・・・流石に長過ぎて引いたかな・・・・・?いや、むしろふざけてると思われたらどうしよう・・・)

騎士団長「・・・(フルフル)

男(あ、やべえ・・・肩が震えてる・・・怒ってる・・・絶対怒ってるよ・・・殺されるかも・・・)

騎士団長「男・・・」

男「・・・はい・・・」

騎士団長「・・・ものすごくクールじゃないか・・・鳥肌が立ってしまった・・・ふむ・・・今度の戦いで是非使ってみよう・・・!!」

男「・・・・・・そ、そうですか・・・ククク・・・団長殿のお気に召したなら光栄ですぜ・・・」

騎士団長「ふむ・・・よし・・・試しにやってみよう・・・くらえ!封風剣撃王神断散双覇舞斬!」

ブォォン!!

騎士団長「く、く、クク・・・フフフ・・・楽しい・・・楽しいぞ・・・」

男「・・・・・・」

騎士団長「男、もっと・・・もっと沢山教えてくれ・・・そうしたら私は、もっと強くなれる気がするんだ・・・!」

男「・・・か、カカッ・・・いいですよ団長殿・・・こうなったら今日はとことん付き合いますぜ・・・!」


騎士団長「ヤァァァァァ!!剛岩墜蒼連荒烈魔衝襲空断震落!!」

男「遅い!!もっと早口に、魔衝の所を力強く!!」

騎士団長「くっ・・・!!なるほど・・・では、隙ありィ!!剛岩墜蒼連荒烈魔衝襲空断震落!!」

男「ふふっ、合格です・・・流石団長殿・・・飲み込みが速いですな・・・」

騎士団長「ふふっ、これくらい大した事ないさ・・・そんな事よりもっと私に教えてくれ・・・!」

男「カカッ、全くどこまで強くなる気です・・・? 味方ながら恐ろしい・・・ふっ・・・では次。今度は突きの技名をお教えいたしますぜ!」

騎士団長「突きだな・・・よし、ハァァァァ!!」

ドォン!!

男「・・・昴剛衝襲震蒼刹崩裂刃破攻凄陣時追滅!」

騎士団長「・・・よし、見えたぁ!!そこぉ!!昴剛衝襲震蒼刹崩裂刃破攻凄陣時追滅!!」

男「ククク・・・流石団長殿。既に一回聞いただけでイントネーションも完璧だ・・・」

騎士団長「ふふっ、これくらい当然だ・・・」

男「・・・でも、今のは技名を叫ぶのに集中する余り、肝心の技の方が疎かになってましたぜ?」

騎士団長「・・・はっ、言われてみれば、確かに・・・」

男「カカッ、そんなんじゃあまだまだと言わざるを得ないなぁ、団長殿?」

騎士団長「くぅぅ・・・もう一回だ、男・・・貫けェ!!!昴剛衝襲震蒼刹崩裂刃破攻凄陣時追滅!!」

男(・・・俺は一体何をしているのだろう・・・)

騎士団長「ハァハァ・・・叫びすぎて、喉が痛い・・・ふふっ、でも体は疲弊しているのに、心はまるで休日の朝のように爽やかだ・・・」

男「フフフ・・・見事でしたぜ、団長殿・・・まさか奥義・火浄乱光九白王氷双水星連破神襲剣暴剛流衝までも使えるようになるとは・・・」

騎士団長「なぁに、君の指導があったからこそだ・・・ありがとう・・・とても充実した鍛錬だった・・・」

男「カカッ、礼を言われるような事は何もしてませんぜ、まぁ俺も、うら若き美しい乙女が躍動する様をこの目に焼き付けられて光栄でしたよ・・・ククク・・・」

騎士団長「う・・・うつくし・・・」

男「・・・? 団長殿、急に顔が赤く・・・」

騎士団長「な・・・何でもない、気にするな・・・!」

男「? わかりました・・・それじゃあ俺はそろそろお暇させていただこうかな・・・技名を伝えるという行為は、思った以上に精神の疲弊が激しかったので・・・」

騎士団長「・・・うむ。わかった・・・今日はほんとうにありがとう男・・・あ、何だったら技名を教えてくれたお礼に・・・その、ウチで料理を食べて行くか? ちょうど、美味しいお肉が入ったのだが・・・」

男「い、いえ・・・流石にそこまでは結構。お礼だったらさっきの美味なお茶菓子で十分すぎるほど十分でしたぜ・・・それに、我が家には閻魔大王よりも恐ろしい女鬼がいるものでな・・・」

騎士団長「? そうか。まぁ君がそう言うなら・・・・・・ところで最近、君の身の回りで妙な事が起きなかったか?」

男「・・・妙な事、とは?」

騎士団長「ふむ、なんだか私の気のせいかも知れんが、最近どうも我々の回りを嗅ぎまわっている奴がいるらしい・・・」

男「・・・・・・ほう」

騎士団長「『冥府落し』の決行が遅れたのも、部下たちに預けている『冥府落し』に使う聖剣に傷が付いていたからなのだ」

男「・・・なん・・・だと・・・?」

騎士団長「まぁ、幸い。修復出来るレベルであったし、今は私が身に着けているから問題はないが・・・」

男「・・・『組織』か、『機関』の連中の仕業、なので?」

騎士団長「いや・・・『組織』の連中は、そんな陰湿な事はしてこないし、『機関』の連中もアレで誇り高い。武器に傷を付けるようなコソコソとした真似はしないさ。どっちの連中も、真正面から戦うのを信条としているからな」

男「・・・」

騎士団長「誰かのイタズラか、あるいは私や『騎士団』に恨みを持った者の犯行か、もしくは私の思いもよらない誰かの犯行かもしれないが・・・ともかく君も気をつけたまえ・・・まぁ君にはいらぬ心配だと思うが・・・」

男「・・・・・・心にとどめておきますぜ、団長殿」

騎士団長「うむ。君は大事な戦力だ・・・気をつけるように」





機関女「・・・・・・ふふ、とうとう、とうとう完成しましたわ!!我が『機関』の科学と禍学と機関家の長きに渡る歴史を全てつぎ込んだ『兵器』が・・・うふふ・・・この『戦争』。我々『機関』が勝利を頂きましたわよ!!!」

おわーり。
今週中に書き終わりそうになくてワロタ。遅筆ですみません。
次まで少々お待ち下さい

だんだん投稿ペースが遅くなって申し訳ない、投下します。

女「男ー、迎えに来たわよ!」

男母「ケケケ!さっさと悠久の眠りから目覚めよ我が愚息!!あのような清純な婦女子、貴様のようないい年こいて未だに夢幻に酔っているような奴には勿体なさすぎるくらい勿体なさすぎるのだぞ!?さっさと永遠の盟約を交わし我が一族の血を継がせてしまえ!!(あ、つい本音が・・・)」

男「・・・ク、クク・・・我が母よ・・・朝から少々気分が高揚しているようだな・・・我らの守護神が眠る湖の水でも飲んで落ち着け・・・(女の前で変な事を言わないでくれ母さん・・・)」

男母「け・・・ケケ・・・ほ・・・ほう、珍しくまともな事を言うではないか我が愚息・・・たまには貴様の忠告にしたがってやるとしよう・・・だが勘違いするな、””風””が今はそうしろと言っているだけの事・・・ケケケ」

女(・・・何を言っているのか、よく分からないけど、きっと私には及びもつかない深いレベルの会話なんだろうなぁ・・・)

男父「・・・・・・・」

女(あ、男のお父さんだ。初めて見た。・・・というか、男と男のお母さんはかなりド派手だけど、この人は地味だなぁ・・・)

女「おはようございます。初めまして。男くんのクラスメイトの女です」

男父「ああ、おはよう。ふふっ、君の事はよく男から聞いているよ・・・男と友達になってくれてありがとう」

女「い、いえ・・・そんな、別に・・・///(やだ、男って私の事家族に喋ってるの!?うわ、なんか超恥ずかしいっ・・・でも、この人、なんか普通・・・?)」

プルルルル、ピッ。

男父「・・・俺だ。どうした?ほう・・・クケケ、そうか・・・オバマもその『選択』もしてしまったか・・・なに、気にするな。奴がフリーメイソンのジジイ共の操り人形なのはいつもの事だろ?そんな事より俺はプーチンの動向の方が・・・ほう、300人委員会に楯突くというのか、クケケ、流石我が親友・・・やる事が豪胆だぜ・・・ああ、分かってる。あと・・・そうだな、235時間後にはそっちに行こう・・・奴らに思い知らせてやるとしよう、果たしてどっちが世界を動かす盟主に相応しいかを、な・・・エル・ヨダソウ・コングルゥ・・・!!」

ピッ。

男父「あ、済まないね・・・ちょっとまだ君には今の会話は聴かせるべきじゃなかったね・・・少し早すぎた・・・かな?・・・クハハ・・・まぁいずれ、分かるだろう、その時が来たら、ね・・・クハハ・・・」

女「え・・・あ、は、はい・・・(やっぱりこの人も普通じゃなかった・・・男一家は果たしてどんだけすごいのよ・・・)」

男「ククク、待たせたな女よ、さぁ行くぞ!」

女「あ、うん。お邪魔しましたー」

男「・・・なぁ、女よ、なにかこう・・・我が父に言われなかったか・・・?」

女「え? ああ、なんかプーチンがどうとか、オバマがどうとか・・・」

男「そうか・・・・・・・あのオヤジが家族の中である意味一番ヤバイからな・・・・・・今日は控えめな妄想で良かった・・・・・・」

女「? ところで、男は、この土日は何してたの?」

男「え? ああ、団長殿と鍛錬をしていたぞ」

女「・・・え?」

男「団長殿が俺に教えを乞いたいというのでな・・・お互いに切磋琢磨した、いい時間であった・・・」

女「へ、へぇ~・・・え、団員の誰かも一緒に、だよね?」

男「いや、二人っきりだったぞ」

女「・・・ふ、ふぅぅぅぅぅぅ~ん・・・あの美人な団長と二人っきりだったら、それはさぞかし、楽しい楽しい時間だったんでしょうねぇ・・・」

男「ククク・・・鍛錬の内容が知りたいか・・・?ふっ、だが残念、それは禁則事項だ・・・いかに女と言えどもこれは教えられ、痛っ、痛い痛いっ! いきなりなんだ女!?蹴るんじゃない!」

女「別に・・・蚊が止まってたのよ、でっかい蚊がね」

男「この季節に蚊は恐らくいないと思うが・・・」

女「あら、じゃあ見間違いだったのかしら・・・ま、いいでしょ。ほらテクテク歩く。遅刻するわよ」

男「・・・なんか、機嫌が悪くないか、女よ・・・」

女「別に? いつもどおりよ!」

男「お、おう・・・・・・そう言えば、中学生の時、組織女も確か、俺が他のヤンキー女と仲良く喋っていると機嫌悪くなったりしたっけか・・・女というのは本当に摩訶不思議な生きものだな・・・」

キーンコーンカーンコーン

男「ふぅ・・・もう放課後か。あっという間だな・・・まるで授業などなかったかのようだ・・・はっ、まさか・・・この世界は干渉されているのか・・・?そう言えば聞いた事がある・・・創造主(クリエイター)という存在が居て、そいつらにつまらないシーン、不要な場面だと判断されると、あっさりとそれに関する記憶が消去され、日々もまたたく間に流されると・・・まさか、今、そいつらに攻撃を・・・!?」

女「・・・なにブツブツ言ってんの?」

男「ククク・・・ああ、今世界の真理に気付いてしまった所だ・・・」

女「あっそ・・・それより放課後ヒマ? ヒマよね? だったらちょっと付き合いなさい」

男「・・・お、女よ。その・・・俺は何か、お前にしてしまったか? なんでそんなに不機嫌なのだ?」

女「別に・・・あんたには関係ないでしょ。ほら、早く行くわよ」

男「お、おう・・・」

先生「あ、ちょっとまって男くん。君は明日補習だからね、忘れずにちゃんと来るように、わかった?」

男「・・・ククク、先生、この俺を補習如きで縛れるとでも?」

先生「来なかったら君の成績に多大な影響があるとだけ言っておくわ」

男「・・・あ、はい・・・」

先生「大丈夫よ。厳しくしないから。私、男くんみたいな浮いてて、ちょっと変な生徒を放っておけないの。転校初日はあっけに取られたけどね・・・先生が手取り足取り優しく教えてあげるから、安心して。君と私の特別授業、なんちゃってね、うふふ」

男「・・・・・・あ、の、えーっと・・・・・・//」

女「イラッ)・・・先生。私、男くんと用事があるので、もういいでしょうか?」

先生「あらあら、ごめんなさい。男くん。女さん、気をつけて帰るのよ?」

女「はい、では」

男「ククク・・・アウフヴィーダーゼン・・・やべえ、ドイツ語の先生の発音がわかんねえ・・・・ま、マイティーチャー・・・」

先生「ドイツ語と英語がごっちゃになっちゃってるわね・・・はい、また明日」

男「女よ、それで付き合えとは一体、何の用事なのだ・・・?」

女「・・・『騎士団』の定例会議よ。団長と、私。それと他の主力団員も集めて、『騎士団』の現状確認と、これからの方針を決めるの・・・そこであんたの紹介もするわ。ちなみに場所は、町外れの倉庫街の一番奥。分かる?」

男「ああ、あそこか。そういう場所は転校初日で一通り巡ってあるからな、分かるぞ・・・ククク、ド派手に自己紹介してやろう・・・ところで、純粋に疑問なのだが、今どれくらい団員はいるのだ?」

女「・・・そうね、『戦争』開始初期では数十人居たけれど、今では両手の指の数で事足りるわ。『組織』もおんなじようなもんじゃないかしら? あ、『機関』だけは別ね。あそこは戦闘アンドロイドと巨大な人型兵器が主力ですもの。恐らく人間のメンバーは最初期からあの気取ったお嬢とメイドだけね。まぁ、あの二人はずっと生き残ってるけど」

男「なるほどな・・・なぁ、女。そのメイドというのは、年は俺たちよりそれなりに上の、メチャクチャな美人か?」

女「年は確実に上でしょうね・・・それとまぁ、敵ながら美人だわね、あのメイドは。ついでに言えばお嬢様は人形みたいに綺麗だしね・・・あと、組織女も言動はイカツイけど、よく見れば美形だし、その配下にはアイドルみたいに可愛い子もいるし・・・ったく、敵ながら容姿に恵まれた奴ばっかりでムカつくわ・・・というかなんでメイドが美人って知ってるのよ」

男「まぁちょっとな・・・・・・というか、やっぱりかー・・・・・・」

女「何がやっぱりなの? ・・・っていうか思ったんだけど、あんたって年上好きな訳?」

男「はぁ?」

女「さっき先生にデレデレしてたじゃない。それに団長だって年上だし・・・」

男「いや、別に、俺は年上好きとかそういう訳ではないが・・・というか、急にお前は何を言い出してるのだ?」

女「まぁ、とぼけるんならとぼけるんでいいけど・・・そう言えば、団長も先生も、あとあのメイドも胸おっきいし・・・やっぱり男って胸が好きなの?あんな脂肪の塊が?」

男「お前は本当に何を言っているんだ・・・まぁ確かに、胸は大きい方が好みだが・・・って、あっ・・・」←女の貧相な胸を見つめる。

女「・・・っ、ど、どうせ私は貧乳ですよーだ!!男のばかー!!」

ダッダッダ(涙目で走り出す女)

男「ま、待て女!!俺は貧乳も嫌いじゃない!!むしろそうやって貧乳はステータスとか開き直らずに、コンプレックスを持っていて、貧乳を指摘されたら顔を真っ赤にするお前のその態度に好感が持て・・・って、あっ」

ズル(男が転ぶ音)
バッ(転びそうになって何かをつかもうと手をのばす男)

女「ひゃ、ひゃん・・・!」

男「ふぅ、掴むものがあって、なんとか転ばずに済んだ・・・って」

ワナワナ(制服のスカートが男の手によって脱がされ、可愛らしいパンツが丸見えになり、顔を真っ赤にして震える女)

男「・・・あ・・・す、すまん悪気は・・・」

女「・・・・・・・っ!このアンポンタン!!あんたなんかもう嫌い!!嫌い嫌い嫌い!!大っ嫌い!!あんたなんかもう知らないんだからっ!!」

ダッダッダ(スカートを履き直して顔を真っ赤にして走りだす女)

男「行ってしまった・・・」

女(男のバカバカバカバカ!あんな奴、もうどうだっていいわよ!!俺がお前を守るとかかっこつけた癖に、他の女にデレデレして!!あんな奴最低よっ!!)

女(もう知らないっ!!あんなバカ!!機関のお嬢の兵器に潰されちゃうか、組織女の獣に食べられちゃえばいいんだから!!)

ガラガラ・・・(定例会議が行われる倉庫の扉を開ける音)

団長「お、来たか女・・・うん?男は?」

ガヤガヤ(団員が喋ってる)

女「・・・後から来るって言ってましたよ。場所は分かるって言ってたんで。もう来るんじゃないですか?」

団長「そうか・・・ところでどうした女。機嫌が悪いのか?頬を膨らませて・・・」

女「いえ、別に・・・何でもありません」

団長「ふむ? まぁ、男を団員皆に紹介しなければならないしな・・・もう少し待つとするか・・・」

???「その必要はありませんわ」

団長「・・・ッ! この気配は!? みんな、散れっ!」

ババーン!!ドガッ!ガッシ!ボカッ!(倉庫が壊れる音)

モブ団員1「うわぁぁぁ!!」

モブ団員2「ぎゃああああ!!」

団長「ゴホゴホッ・・・クッ、みんな無事か!? 無事な奴は返事をしろ・・・!」

女「・・・わ、私は無事です・・・!」

団長「・・・女以外で無事な者、いないのか! 返事をしろ!!」

シーン・・・

団長「・・・・・・・クッ、女以外は全員、やられてしまったか・・・!」

機関女「ごきげんよう、騎士団の方々。少々手荒なご挨拶になってしまったようで、ごめんあそばせ?」

女「っ! 『機関』・・・!! それにまた、大量の戦闘アンドロイドと・・・新兵器・・・(なによあれ、今まで人型大型兵器と比較にならないくらい大きいじゃない・・・)!?』

メイド「お嬢様。その『兵器』の実戦は初めてです。あまり無茶はなさらぬよう」

団長「ちっ、メイドまで一緒か・・・あの時の傷は、もう癒えたのかな?」

メイド「その節はどうも。おかげ様で完治致しました。ご迷惑、ご心配をおかけしたお礼に、今日はあなた方に死出の旅路を贈呈したいと思っております」

団長「減らず口を・・・ふっ、まぁ何度来ても同じこと・・・それに今日の私は一味違うぞ・・・ククク・・・貴様らに奥義・火浄乱光九白王氷双水星連破神襲剣暴剛流衝を披露してやろう・・・!」

機関女「・・・」

女「だ、団長・・・?」

メイド「・・・」

団長「ククク、恐ろしくて声も出ないか・・・?」

機関女「・・・女さん・・・彼女は一体どうしてしまいましたの・・・?」

女「いや、私にも何が何だがさっぱり・・・」

メイド「・・・何か、どこかで聞き覚えがあるような口調というか、なんというか・・・」

?「・・・なんかデカイ音がすると思って、急いで来てみりゃあどうなってんだこりゃあ・・・!」

メイド「・・・この声、どこかで聞いた覚えが・・・?」

機関女「・・・お久しぶりでございますわね、男さん」

男「お、お前は・・・ククク、久しいな、マドモアゼル。カカッ、わざわざ俺の餌食になりに来るとは、よほど我が神拳と瞳術の実験体になりたいと見える・・・おや、隣は新顔さんかな?・・・ククク、残念だな。メイド服を来ている婦女子よ・・・今日、お前はて、天に・・・召される事になるで、あろ・・・あろう・・・」

メイド「(この声、やはりどこかで・・・)貴方がお嬢様の言っていた男・御刀虎さんですか・・・ところで、なぜ顔を私から背けているのです?」

団長「そうだぞ、男。敵と戦うのだ。堂々としたまえ」

男「グッ、いや、その・・・なんというか・・・急に、敵に顔を向けると、腹痛になる病気が・・・」

団長「何を訳の分からない事を言ってるんだ君は。我らは『騎士団』だ。騎士の誇りにかけて堂々と戦うのが筋だろう。ほら、シャキッとしたまえ」

女「そうよ、男。何ビクビクしてるのよ」

男「・・・・・・ぐぅ・・・・・・逃げ場は、ないか・・・・・・」

くるり(男がメイドの方に顔を向ける)

メイド「・・・貴方は・・・あの時の・・・」

男「・・・・・・く、か、カカッ、メイドよ。あの時とは、何の事かな?悪いが暗黒の邪王である俺に仕えたいと申し出てくる女は腐るほど居てな。メイドの顔など一々覚えていないのだ、く、ククク・・・」

メイド「・・・・・・そうですか(一応力を探ってみましたが・・・まぁ、持ってる訳がないですよね。騎士団の二人は勘違いしているようですが・・・)」

男「ふ、ふふふ・・・」

メイド(何の因果でこの『戦争』に関わっているのやら・・・まぁ、とりあえず引き離してあげましょう。いくらお嬢様の敵でも、流石に一般人を巻き添えにしたくはありません。それにこの前のお礼もありますし・・・)

団長「どうした、男。汗ダラダラだぞ」

男「ふ、ふふ・・・武者震いという奴ですぜ、団長殿」

メイド「・・・お嬢様。あの男は私にお任せを」

機関女「・・・貴方の事は信頼していますが、それでも大丈夫ですの? あの男は未知数・・・どんな能力を持っているか、未だにわかりませんのよ?私の『兵器』の大火力で消し飛ばした方が良くなくて?」

メイド「・・・だからこそです。お嬢様です。もし万が一、あの男の能力で、兵器を無力化ないし破壊されれば、我々がこの『戦争』に勝つのは至難の技。故に私があの男を抑えれば問題ないかと」

機関女「・・・わかりました。では行きなさい」

メイド「はい、かしこまりました」

男「ククク・・・どうやら敵のメイドは俺をご指名のようだ・・・」

団長「気をつけろ、男。奴は全身が武器だ。そこかしこから銃器、鈍器、刃物、ありとあらゆる道具を出す戦闘メイドだ。ウチの団員の2割はあのメイドにやられている。まぁ君なら大丈夫だと思うが・・・」

男「ククク・・・了解ですぜ・・・・・・どうやって逃げよう・・・」

女「・・・」

男「な、なんだ女。なにか言いたげな顔して・・・」

女「・・・ふんっ、別に何もっ!」

女(そんな神妙な顔したって無駄よ。しばらく口聞いてやんないんだから・・・)

女(それに男ならどうせ、メイドごとき瞬殺して戻ってくるんだろうし、心配いらないわよ)

男「・・・」

メイド「では、御刀虎さんとやら?ここではお嬢様の邪魔になります・・・場所を変えますが、よろしいですね?」

男「・・・ああ、どこだろうと、俺の勝ちは揺るがないからな・・・ククク・・・メイド、後悔するなよ・・・!」

メイド「(この人のこれはもう病気ですね・・・)それでは、お嬢様。気をつけて」

機関女「さて、ではお二人? この間の続きと行きましょうか?」

女「ふん、もうあんたの戦闘アンドロイド人海戦術には飽き飽きよ。なんか新しい兵器に乗ってるけど、どうせそれだってコケ脅しでしょ。案外芸がないわね、お嬢様?」

団長「女に同意見だな。今日こそ貴様は負ける。今の内に負けた時の言い訳でも考えておけ」

機関女「・・・そうですわね。確かに、今までのわたくしの戦法はお二人には食傷気味かもしれませんわね・・・ですから」

バッ(機関女が人型兵器に乗り込む)。
ガッ、ガガ、ガガガ!

女「なっ・・・戦闘アンドロイドを・・・兵器が食べてる・・・?」

団長「・・・貴様、血迷ったか?」

機関女「いいえ、極めて私は正常ですわ。ただ、この新兵器、燃費が大変悪いので、こうやってエネルギー補給するのですわ」

機関女「そして、大量のエネルギーをたいらげたら・・・うふふ、今までの兵器の十倍のスピードとパワーをもった、モンスターマシンの誕生ですわ・・・!!」

団長「・・・チッ・・・(今までで一番のエネルギーを感じる・・・これは、まずい・・・『冥府落し』があれば、あるいは、だが・・・いや、今の状態では出力が足りないから、どっちにしろ無理か・・・)」

女「だ、団長・・・どうしたら(なにこれ、こんな威圧感、今まで感じた事・・・)」

団長「・・・いいか、なるべく奴とまともに打ち合うな。防御もするな。攻撃をかわす事だけに集中しろ。奴のパワーを考慮すれば防御しても体力を削られてジリ貧だ。かわしてかわしてかわしまくれ!」

機関女「ふふっ、さぁ。それでは行きますわよ。騎士団長さん、女さん。せいぜい私を楽しませるダンスを踊ってくださいな?」

団長「・・・男が来れば、この均衡も崩れるだろう。彼が来るまでの辛抱だ。それまでは全神経を研ぎ澄ませて回避に集中しろ!」

女「はいっ・・・!」

女(そうよ、男が来れば、こんな兵器。すぐにぶっ壊してくれるに決まってるわ)

女(早く来てよね、男。それで、私達を格好良く助けたら・・・見直してあげるんだから)

シュン!(瞬間移動装置で移動した音)

男「フッフッフ・・・メイドよ。まさかまたお前と縁する事になろうとはな・・・しかもこのような場所で・・・カカッ、これだから運命とやらはつくづく面白い・・・神も中々凝ったシナリオをお書きになるものだ・・・」

メイド「・・・・・・次、口を開いたあと、その口調をやめていなければ、容赦なく打ちます。これは警告です」、

男「・・・あ、すみません・・・一銭にもなりはしないのに、俺に合わせてくれてありがとうございます・・・俺が今ここでこうして生きていけるのはメイドさんのおかげです。本当にありがとうございます・・・」

メイド「・・・ふぅ、やれやれ。あなたには一杯食わされましたね。まさかお嬢様が探している御刀虎とやらがあなたとは思いませんでした。まぁ見抜けなかった私も私ですが・・・」

男「・・・その事については、釈明する気はない。あの時、正直に答えたら殺されると俺の勘が言っていたものでな・・・で、俺をどうするつもりだ、メイド?こ・・・殺すのか・・・?」

メイド「・・・あなたのような一般人を躊躇なく殺せるほど、人間を辞めてはいないつもりです。貴方には、あの不良から助けて頂いてお礼もありますしね。ただ、お嬢様の邪魔をするのなら、私の全力を持って排除する、とだけは言っておきます」

男「・・・」

メイド「なぜ、あなたがこの『戦争』に関わっているのか・・・興味はありますが。ただ今はそれを聞いてる時間はありません」

メイド「ですから、もう何も言わずにこの『戦争』から消えて下さい。今後一切、私とお嬢様、そして『戦争』に関わらないでください。そうすれば、私は何も言わずにこの場から立ち去ります。あなたに危害も加えません。それは『機関』家に務めるメイドの誇りにかけて保証します。『騎士団』のお二人には、私があなたの油断を突いて殺した、とでも言っておきましょう。そうすれば、あの二人の中で、あなたは綺麗な思い出として刻まれたままになります。それで問題ないでしょう?」

男「・・・ちょ、ちょっと待てよ、なに言って・・・」

メイド「――これは遊びじゃないんですよ、男さん」

男「・・・」

メイド「あなたの下らない妄想とは違うんです、残念ながら。無力なあなたに出来る事は何もありません・・・なにも」

メイド「それに、今日であのお二人は恐らく死にますし、いい夢見れたのではないのですか? ちょうどいいではないですか。妄想が現実化してみたいで、この日々は楽しかったでしょう?」

男「な・・・二人が死ぬって、どういう事だよ!?」

メイド「・・・お嬢様の新兵器は、この『戦争』史上最大、最強の兵器です。エネルギーがすぐに切れてしまう以外は、欠点はなに一つありません。そのエネルギーも、大量の戦闘アンドロイドを連れて行く事で解決済み・・・。我々のシュミレーターでは、99.999999%の確率で、『騎士団』の方々は為す術なく倒れ、我々が勝利するとの結論が出ています」

男「そんな・・・」

メイド「・・・喋りすぎてしまいました。まぁ、あなたを倒すのに掛かった時間と言えば、ちょうどいいでしょう・・・では、そろそろ私は戦場に戻ります」

男「ま、待て・・・待ってくれ・・・」

メイド「申し訳ありませんが無理です。この身は全て、お嬢様の物・・・お嬢様をお守りし、お嬢様の願いを叶えることこそが、我が使命。もし『騎士団』の連中を倒して、お嬢様の願いが叶うのであれば、私はそれに粛々と従うのみです・・・わかりますね?」

男「・・・っ」

メイド「さようならです、男さん。もう二度と会う事もないでしょう・・・ファーストフード店での会話は、心の底から楽しかったとだけ、伝えておきます・・・では」

シュン!(瞬間移動装置を使った音)

男「・・・・・・」

男(どうするんだよ、俺)

男(団長殿も、女も死ぬらしいぞ)

男(兵器を使えば99%の確率で勝つって・・・ははっ、それ、漫画とか妄想だったら、逆に『騎士団』の勝ちフラグだよな。だったら俺が心配せずとも、二人は勝つだろう。それこそ運良く覚醒やら何かして・・・)

男「・・・でも、これは、漫画でも、妄想でもない・・・」

男(紛れも無い現実だ)

男(だから)

男「99%、二人は死ぬ・・・」

男(死ぬ・・・)

男(でも、俺に一体何が出来る・・・俺はただの妄想好きの、邪気眼で、中二で、何の力もない、ただの痛々しい普通の男だ)

男(メイドの言った通り、俺には何も出来ないだろう)

男(大体、瞬間移動装置で飛ばされて、ここがどこかもわからないんだ。冷静に考えて、俺に出来る事は何も出来ない)

男(だから、だから、だから・・・)

女『お、男・・・うん・・・へへ、その言葉、信じるよ? 裏切ったら、私の剣で真っ二つにしてやるんだから♪』

男(・・・くそ、なんであいつの顔が浮かんでくるんだ・・・)

男(俺は結局、あいつを裏切るのか・・・裏切る・・・そうか、俺のやった事は、あいつを騙して・・・)

男「女・・・」

男「・・・」

男(ちくしょう)

男(ちくしょうちくしょうちくしょう!!)

男「ああああああああ!」

男「ちくしょう、やってやる!! あいつは高校での初めての友達だ!!」

男「それに団長殿だって、家にお呼ばれしてくれた初めての女性だ!」

男「その二人を裏切るくらいなら、死んだ方がマシだぜちくしょう!!」

男(・・・でも、いいか、冷静に考えろ俺、例え俺が盾になって二人を守ったとしても、お嬢もメイドもそれで戦意を喪失するとは考えづらい。だから二人を無力化できるほどの能力を持っていなければ、ただの犬死だ)

男(そんなのはただの俺の自己満足だ。だから、二人を倒せるほどの力が、今早急に必要な訳だが・・・まさかここで俺に隠された能力が覚醒する訳ではあるまい)

男(そんな世迷い言、理想論は捨てて、もっと現実的に考えろ・・・)

男「現実的、現実的・・・何にしろ、俺一人じゃ無理だ・・・・・・」

男「・・・はッ!」

男(ひらめいた・・・)

男(よし・・・これなら・・・いや、でも・・・行けるか?これは・・・いや、もう、これしかない!)

男「よし・・・大丈夫だ、きっと上手くいく・・・!」

男「待ってろ、女、団長殿!」

男「今すぐ助けに行ってやるからな!」

シュン!(瞬間移動装置の音)
ブォン!!ブォン!!(兵器の駆動音)

メイド「お嬢様。ただいま戻り・・・これは・・・」

女「う、ぅぅ・・・」

団長「ま、だ・・・まだだ・・・」

メイド(今まで常に互角の戦いを繰り広げてきた『騎士団』の二人が、10分ほど目を離しただけで、もう満身創痍・・・さらにお嬢様の『兵器』には傷一つない・・・凄まじいですね、あの『兵器』は)

女「・・・あ、やっと帰ってきた、もう遅いわよ男! ちゃっちゃとこの兵器を・・・って、メイド・・・?」

メイド「申し訳ありません、男さんではなく、私です。女さん」

女「・・・なっ、なんであんたが・・・男はどうしたのよ・・・!!」

メイド「・・・彼なら、死にましたよ。というより、私がこの手で殺しました」

団長「・・・・・・・・・・・・・・は?」

女「・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」

メイド「意外とあっけなかったですね。彼が見せた一瞬の隙を付いたら、呆気無く死んでしまいました。まぁ強者故の油断、という奴でしょう」

女「・・・う、嘘よぉ!!!」

団長「貴様、メイド・・・いい加減な嘘をつくと、タダでは済まさんぞ・・・!!」

メイド「嘘ならばなぜ、帰ってきたのは男さんではなく私なのでしょうか。いつも冷静沈着な団長さんなら、すぐに分かるはずですが・・・」

団長「・・・っ・・・!」

女「嘘よ!そんなの私は絶対に認め・・・」

ブォォォォォン!

女「きゃああああああ!」

団長「女っ! くっ、貴様らっ・・・」

メイド「・・・詰みですよ、お二人。抵抗しないなら、私が痛みなく天国へとお送り致しますが・・・」

団長「たわけた事を抜かせっ・・・おぉぉぉぉ!!」

ギィンギィン!!

メイド(流石の実力ですね、あのお嬢様の兵器と互角に打ち合うとは・・・あるいは一対一でしたら、まだ勝負になったかもしれません・・・いずれ体力切れで、幕引きだとしても・・・それほどまでに団長さんの技量は凄まじい・・・)

メイド(ですが、これは一対一ではなく・・・)

メイド「隙ありです」

団長「ガッ・・・!」

ズッシャアアアア!

女「団長・・・!」

団長「くっ、クソ・・・」

女「・・・男、早く、来てよ・・・男ぉ・・・」

メイド「お嬢様。どうぞトドメはお嬢様の手で」

機関女「・・・」

メイド「お嬢様?」

機関女「・・・・・・」

メイド「お嬢様、どうなさったのです? 早く、トドメを・・・」

ブォン!

メイド「なっ!?」

ブォン!ブォン!ブォン!(兵器がメイドを攻撃する音)

メイド「お嬢様! なぜ、私に攻撃をするのです! 一体何を・・・うっ!?」

ザザァァァァ!!(攻撃が当たってメイドが地面を転がる音)

メイド「お、お嬢様・・・一体どうして・・・・・・」

機関女「・・・」

メイド(さっきからお嬢様は一向に返事をして下さらない・・・・・・はっ、まさか・・・)

機関女「・・・う、あ・・・」

メイド「!?お嬢様!!どうなされたのです!!お嬢様!!」

機関女「・・・あ・・・あ・・・」

メイド(お声に力がない・・・やはり、お嬢様は、機械に取り込まれている・・・!?そう言えば、あれだけ大量に連れてきた戦闘アンドロイドも見当たりませんし・・・まさか、エネルギーが尽きた結果、『兵器』が一番身近なお嬢様のエネルギーを、奪っているとでも!?)

メイド「くっ・・・お嬢様!今助けます!!(この兵器の開発に着手した時、お嬢様は焦っておられた・・・やはり、その時になんらかの設計ミスが・・・!)」

ブォォォォォン!

メイド「グッ・・・く、うぅぅぅぅ・・・!」

バーン!(兵器に攻撃され、壁に打ち付けられるメイド)

メイド(なんという、力・・・立つことすら、困難なほど・・・)

機関女「た、たす・・・・・・あ、ああ・・・・・・」

メイド「・・・お嬢様ぁ・・・!」

ウィーン・・・ガチャン!(兵器が女に近づいてくる音)

女(ああ・・・今日で、これで、私の人生、終わりなんだ・・・)

女(あっけないなぁ・・・)

女(団長も立とうとするけど、もうどこにも力が入らないみたい・・・)

女(私も、無理ね。指一つ動かすのすら出来そうにないわ・・・)

女(ごめんね、『騎士団』のみんな・・・)

女(私達、負けちゃうみたい・・・)

女(お姉ちゃん・・・今、そっちに行くからね)

女(・・・あと、男)

女(ごめんね、不安になったら勝手に会いに行ったり、勝手に嫉妬したり・・・)

女(ごめんね・・・私、最後まで何一つ、可愛くない女だったわよね・・・)

ゴゴゴゴゴゴゴ・・・(兵器が武器を女に向ける音)

女(最後にもう一度だけ、男の顔が見たいなぁ・・・)

女(男・・・)

『お前が俺の名を呼べば、俺は必ずお前の前にあらわれて、お前を守る・・・ここに、それを誓おう・・・ククク、この暗黒の邪王に守られる栄誉を深々と噛みしめるがいい・・・カカッ』

女(・・・)

女(そう言えば、男は・・・こんな事言っていたわね)

女(来て、くれるかなぁ・・・)

女(無理よね、こんな、可愛げのない女なんか助けるような男、どこの世界にも居るわけないわ・・・)

女(それに名前を呼べば必ず現れて私を守るなんて、冷静に考えればそんなの無理に決まってるもの・・・ただ、私の不安を鎮める為に言ってくれた、優しい嘘よね・・・)

女(それなのに、あっという間に機嫌を直して・・・私、バカだったなぁ・・・)

女(でも・・・)

女(人生の最後くらい、そういう優しい言葉、信じてもいいわよね・・・そういう言葉に、すがってもいいわよね・・・私を助けてくれる誰かが居るって、信じながら死にたいの・・・)

キュゥゥゥ・・・(兵器がエネルギーを溜める音)

女「・・・けて・・・」

バァァァァン!!(エネルギー弾を発射する音)

女「・・・助けて、男ー!!」



???「――闇に飲まれよおおおおぉぉぉぉ!!!!!」




ドガラッシャアアアアアアアアア!!!!(兵器が吹っ飛ぶ音)

女「・・・え・・・?」



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!!

団長「こ、れは・・・」

メイド「・・・一体、なにが・・・」

???「グルルルルルル・・・!!)

女(・・・巨大な虎に・・・天使みたいな、翼が生えて・・・?)

女(え、その上に・・・誰かが乗って・・・)

???「ククク・・・どうやら・・・間に合ったようだな・・・」

女(あの声、あの口調・・・まさか・・・まさか・・・)

女「まさか・・・お、おと・・・おと・・・」




男「――ふっ、俺の名を呼んだか女? 言っただろう、お前が俺の名を呼べば、必ずお前を守ると・・・ククク・・・盟約はここに果たされた・・・!!」

おわーり・・・
今回はシリアス目でした。
一応今月いっぱい中に終わらせられたらいいなと・・・(今月中に終わらせるとは言ってない)
次回もよろしくおねがいします。



時を少し遡る。

男「とりあえずあいつに電話しよう・・・頼む、出てくれ」

プr

???「は、はいもしもし!」

男「(ワンコールで出た、速いな)ククク・・・俺の事を覚えているか?組織部下女よ・・・」

組織部下女「はい!!一日足りとも忘れた事はありません!毎日あなたの事を考えてました!!」

男「お、おう・・・済まないが、大至急組織女に取り次いで・・・というか、今すぐ会いたいんだが、可能か?」

組織部下女「はい!無理でも可能にします!多分この時間ならいつもの場所に居ますので!すぐ案内しますよ!というか男さん今どちらにいらっしゃるんですか?なんだったら私、迎えに行きますよ!!(迎えに行けば、一分でも多く男さんと一緒に居られるし・・・///)」

男「(なんだこの食いつきの良さというか、テンションの高さは・・・)そ、そうか。まぁ今は一刻を争う事態だから正直助かる。悪いがお言葉に甘えさせてもらうぞ」

組織部下女「いえいえそんな!で、今はどちらに?」

男「え、あーえーっとここは・・・この辺で一番大きい山のふもとだ・・・(あのメイドめ・・・随分遠くまで飛ばしてくれたもんだ)分かるか?」

組織部下女「・・・」

男「・・・ん?どうした、もしもs」

ヒュー・・・ドォン!!(バカでかい何かが飛んできて、着地する音)

組織部下女「男さん、お迎えに上がりました!」

???「・・・ピューヒョロロロー・・・」

男「お、おう・・・よくアレだけの説明でここがわかったな・・・というか、めちゃくちゃ速いな・・・(組織女とおんなじように、バカでかい獣に乗って飛んできやがった・・・これは・・・鷹か? 鷹の超でかいバージョン・・・)」

組織部下女「えへへ、男さんの為ならどこでも速攻で駆けつけますよ!さぁ、頭領の所までご案内します!」

男「うむ、頼む・・・あ、いや、その前に寄って欲しい所があるんだが」

組織部下女「え?どこへです?(え、やだ。どうしよう・・・男さんの秘密基地とかに寄れって言われたら・・・男さんの秘密に触れちゃう・・・///)」

男「コンビニだ」

組織部下女「・・・え?コンビニ?」

組織部下女「頭領、男さんを連れて来ました」

組織女「おう。お疲れさん」

男「ククク・・・息災であったか、組織女・・・」

組織女「・・・連れて来てもらって早々、申し訳ねえんだけどよ、ちょっと席外してくんねえか。こいつと大事な話があるんでな」

組織部下女「え?あ、はい・・・頭領がそう言うなら」

男「ククク・・・ご苦労であった。組織部下女。改めて礼を言わせて貰おう・・・俺のワガママにも付き合ってくれて感謝する・・・ありがとう」

組織部下女「い、いえいえ・・・そんな・・・(えへへ・・・男さんにありがとうって言われちゃったぁ・・・///)じゃあすぐそこで待機してますんで、何かあったらすぐに呼んで下さい!」

男「・・・済まないな、急に会いに来て」

組織女「別に、構わねえよ。その為に組織部下女をおめーとの連絡係にした訳だしな。で、用件は?」

男「・・・その前にこれ、お土産だ。ハーゲンダッツとコンビニのスイーツ。この前は本当にありがとうな」

組織女「おう、サンキュー・・・ってお前。これどんだけ買ってきたんだよ!? メチャクチャずっしりしてんぞおい!」

男「コンビニであるだけ買い占めてきた。良かったら食ってくれ」

組織女「こんなに貰ってもよ・・・まぁ、ありがとよ」

男「ああ・・・で、その大量のハーゲンダッツに免じて一つ、頼みがある・・・」

組織女「・・・んだよ? そんなに重々しい口調でよ」

男「いや、俺の頼みがめちゃくちゃ厚かましいものとは分かっているから、つい、な・・・中学の時から、俺、組織女には頼りっぱなしでさ・・・本当に感謝してんだ」

組織女「な、なんだよ急に・・・///別に何も出ねえぞ・・・///」

男「いや、お前は良い奴だからな・・・それで今回、というか今すぐ、またお前を頼りにしてしまうんだが、大丈夫か?」

組織女「・・・あたしだって厨房の時にはなんだかんだお前にはお世話になったしな。まぁあたしに出来る範囲だったら、協力してやるよ。で、何の話だ?」

男「・・・」

バッ(男が土下座する音)

組織女「・・・あ?」

男「単刀直入に言う。獣を一匹。貸してくれないか?」

組織女「・・・・・・はぁ?」

男「無茶苦茶言ってるのは分かっているし、メチャクチャな事言ってるのも分かってる。でも頼む。時間がないんだ。今すぐ貸して欲しい」

組織女「・・・・・・」

男「実は今。町外れの倉庫街で、『騎士団』が『機関』のお嬢とメイドに襲われてるんだ。機関の『兵器』が半端じゃねえ強さで『騎士団』は恐らく、女と団長殿を残して全滅。残った女と団長殿もいつまで持つか・・・」

組織女「・・・・・・」

男「この前、久しぶりに再会した時も、組織女のケロベロスのような獣に乗せて移動させてもらったし、さっき組織部下女の鷹みたいな獣の背中に乗せてもらったからわかるが、獣達は俺みたいな無能力者でも触れるんだろ?だから・・・」

組織女「――おい」

男「・・・・・・」

組織女「てめえ、なにさっきからふざけた事抜かしてんだ?敵に手を貸すバカがこの世のどこにいんだ?ああ?」

男「・・・わかってる。でも・・・」

組織女「うるせえ!てめえアレか?この大量のお土産もそれ狙いか?こんなもんでホイホイ獣の一匹や二匹貸すとでも?あたしも舐められたもんだなおい!!」

男「・・・そんなつもりは・・・」

組織女「こっちゃあ『騎士団』の連中には煮え湯を何回も飲まされてんだ!その連中が全滅するってんならあたしにとってこれ以上嬉しい知らせはねえ、笑いが止まらねえよ!」

男「・・・・・・」

組織女「・・・わかったらさっさと土下座やめて帰れ。てめえに出来る事はなんにもねえよ。もともとお前はこの『戦争』になんの関わりもねえ一般人だろうが」

男「・・・・・・」

組織女「帰れつってんだよ!!」

男「・・・・・・頼む」

組織女「うっせえ!!」

男「・・・お前しか、頼れないんだ・・・」

組織女「・・・・・・」

組織女「・・・はぁ。あのな、男。これはダチとしての警告でもあるんだぜ?」

男「・・・・・・」

組織女「あたしらは『能力者』はなんだかんだ身体能力が強化される。ちょっとやそっとの事じゃあ死にたくても死ねやしねえ。前の『機関』との喧嘩で、高層ビルの屋上から真っ逆さまだった事があるが、その時も傷一つ付かなかったぐらいだ」

組織女「・・・でも、てめえはそうじゃねえ。ましてやてめえはかなりの運動音痴だ。あたしらのマジの喧嘩に巻き込まれたら・・・てめえ、マジでおっ死んじまうぞ?」

男「・・・・・・でも、それでも、俺は・・・・・・」

組織女「・・・はぁ。おめえ、結構頑固だもんな。特にそうなったおめえはぶん殴られようが蹴っ飛ばされようが動かねえ事くらいは知ってるけどよ・・・」

男「・・・じゃ、じゃあ!」

組織女「でも、無理だ。今回だけは諦めろ」

男「そんな・・・」

組織女「・・・厨房の時みたいにはいかねえんだよ、男。仮にあたしがお前に獣貸したとしたら、すぐにその現場にブッコミ掛けるつもりだろうが・・・生きて帰れる保証はねえんだ。ダチをわざわざ危険な場所に行かせるほど、あたしは薄情じゃねえ」

男「・・・」

組織女「分かるか? 男。お前の為に言ってんだ。死なせたくねえんだよ、てめえを」

男「・・・それはありがたいが、でも・・・!」

組織女「・・・あたしからは言える事はそれだけだ・・・帰れ。・・・と言いたい所だが、てめえアホだから仮にあたしから獣借りられなかったら、例え何も出来ないとしても、生身のまんまカチコミ入れるつもりだったろ?」

男「・・・っ」

組織女「悪いがそこまで読んでるぜ?てめえの行動パターンは厨房の時から知ってるからよ・・・組織部下女に送らせる。その町外れの倉庫街から反対方向で、どんなに急いでも1時間は掛かる場所へな。その頃にはもう・・・終わってるだろうしよ」

男「・・・お前!」

組織女「・・・おめえの為だ。悪く思うな。おい、組織部下女!」


組織部下女「はい、頭領。お呼びで?」

組織女「さっき運んで来てくれたばっかで悪いけどよ、こいつを送り届けてくれ」

男「・・・」

組織部下女「・・・は?もうですか?」

組織女「ああ。申し訳ねえが頼む」

男「・・・」

組織部下女「・・・了解です」

組織女「あと、下ろす場所はとなり町の一時間に一本くらいしか電車が通らない田舎道にしてくれ」

男「・・・」

組織部下女「は、はぁ・・・そんな場所でいいんですか?」

組織女「逆にそこ以外に下ろしたら許さねえからな。しっかり送り届けてくれ」

男「・・・」

組織部下女「・・・頭領のご命令なら」

組織女「頼んだぞ・・・いいか、男。おめえが気に病む事は何もねえ。お前からしたら冷たいように聞こえるかも知れんが、元々お前には何の関係もない出来事だったんだからよ。普通に戻るだけだ。お前は一つも悪くねえよ」

男「・・・」

組織部下女「じゃあ男さん、行きますよ」

男「・・・」

組織部下女「男さん?」

男「・・・なぁ、組織部下女。その前に一つ、昔話を聞いてもらえないだろうか」

組織部下女「え・・・(やだ、男さんの昔話、すごく気になる)あ、はい。ぜひ聞きたいです!」

組織女「おい、男。てめえ何を・・・」

男「別に構わないだろう? わざわざ組織部下女に送ってもらったのに、用件だけ済ませてはいさようならでは味気ないではないか」

組織女「・・・」

組織部下女「男さん。話聞かせて下さい!」

男「ふふっ、慌てるな組織部下女。そう、あれは熱い夏の日の夜であった・・・」



男「俺と、そこの組織女はとある暴走的な一族――暴走族とも言う――との激闘を終え、暇を持て余していたのだ」

組織女「暴走族とも言う、じゃなくてそうとしか言わねえと思うが・・・」

男「ゴホンゴホン!・・・それでな、それまで刺激的な毎日を送っていた故に、退屈な日常とのギャップに耐えられなかった俺たちは、気晴らしに映画でも見ようとレンタルビデオ店に行ってみたのだ」

組織女「・・・」

男「その店は夏という事でホラー映画特集をやっていてな。夏といえばお化け、夏といえば肝試しという事で、俺たちはその中でも最強の怖さとされるホラー映画を借りたのだ・・・」

組織女「ふむふむ」

男「その映画は最強の怖さの名の通り、中々秀逸な作品でな。そういったものに耐性がある俺でも時々ビクッとしてしまうほど演出やシナリオも凝っていてな・・・またその映画は、とある着信音が鳴るとその人物は数日後に死ぬという設定だったのだが、その着信音が中々恐怖を煽るメロディで、劇中にその着信音が鳴る度に背筋が凍ったものだ・・・」」

組織女「・・・てめえ、まさか・・・」

組織部下女「ほうほう」

男「その映画が終盤に差し掛かった時、俺はトイレに行きたくなって一時停止したのだ。その時、パッと部屋の電気を付けただけで組織女がビクッとなってな、顔も青ざめいていて、こいつ大丈夫かと思ったのだが、ふとイタズラを思いついて・・・トイレの中でその着信音をダウンロードして、部屋に戻って10分くらいしたらその着信音が鳴るようにアラームをセットしたのだ」

組織女「お、おいてめえ・・・!」

組織部下女「そ、それで・・・?」

男「それでな、物語もまぁちゃんとオチが付いて、エンドロールが流れ始めた所で俺のアラームの時間になってその着信音が流れ――」

組織女「だぁあああああああああ!?てめえ、それは!!それだけは言うな!!それだけは誰にも言わないって約束しただろうが!?」

男「ふふ・・・何のことだ・・・?俺はただ、昔話をしているだけだぞ?」

組織部下女「え、それで・・・それで、どうなったんです?」

男「ククク・・・その着信音が流れた瞬間。組織女が『ひゃん!?』と可愛らしい悲鳴を上げ――」

組織女「ああああああああああああ!?てめえ殺してやる!!あたしが今、ここで殺してやる!!」

ブン!!ブン!!(組織女が男を殴ろうとする音)
ヒュン!!ヒュン!!(組織女の拳をかわす男の動きの音)

組織女「ちっくしょ・・・てめっ、運痴の癖になんであたしの拳はかわせるんだよ!?」

男「ククク・・・お前の攻撃パターンくらい読みきっている・・・中学生の時からパターンを知っているのは俺も同じなのだよ、組織女・・・!」

組織部下女「すごい、頭領の鉄拳を避けてる人、初めて見た・・・男さん、カッコイイ・・・///」

組織女「くっ、このっ、死ね!!やっぱり死んじまえてめえなんか!!オラァ!!」

男「ふふっ、甘いな。怒りで攻撃が単調になっているぞ?・・・それでな、組織部下女。俺が組織女の方に顔を向けると、そこには俺のイタズラにビックリしすぎた余り、おしっk――」

組織女「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」

組織女「わかった!!!わかったから!!!貸す!!!!貸すから!!!!!それ以上なにも言うなぁああああああああああああああああああああああ!!」

組織部下女「と、頭領があんなに取り乱して、顔をトマトみたいに真っ赤にして・・・」

男「ククク・・・この御刀虎に逆らうからこうなるのだ・・・それと、組織部下女・・・組織女にも『組織』の頭領としてのメンツがあろう・・・この事は俺とおまえの秘密にしといてくれないか・・・?」

組織部下女「え・・・(やだ、男さんと秘密を共有しちゃった・・・)あ、は、はい・・・///」

男「フフフ・・・ああ。組織部下女。やはり帰りは送って貰わなくても結構だぞ・・・俺と組織女は急用が出来たからな・・・そうだろう組織女?・・・ククク・・・」

組織女「ああ・・・組織部下女、下がってよし、だ・・・」

組織部下女「あ、はい・・・」

組織女「てめぇ・・・一生恨んでやるからな・・・!」

男「ククク・・・なんとでも言うがいい。さぁ、さっさと貸して貰おうか・・・!」

組織女「グッ、偉そうに・・・・・・ああ、ちょうどてめえにおあつらえ向きの獣が一匹いたぜ・・・」

男「・・・ほう」

組織女「・・・まぁこの際貸すのは構わねえ・・・でも一つ条件があるぜ」

男「ふん、条件が付けられる立場とでも・・・?」

組織女「うっせえ、こっちは恥かかされてんだ!それくらい言わせろ!」

男「ククク・・・まぁいい。確かに俺もお前がいなければ何も出来ないという前提はある以上、しょうがないか。条件を飲んでやろう。俺の器のでかさに感謝するんだな・・・で、条件とは?」

組織女「何様だてめえは・・・まぁ、条件は後で言うさ・・・出てこい!」

ボンッ!(獣が一匹現れる音)

???「グルルルルル・・・」

男「・・・で、でけえな。こいつは?」

組織女「最近召喚に成功した、翼の生えた虎型の獣だ・・・ちょうどてめえの二つ名と被ってるし、こいつでいいだろ?まだ実戦で使ってはいねえが、『組織』内の訓練で今の所全勝だ。強さはお墨付きだぜ。なんでも虎に翼ってことわざもあるくらいだしよ」

男「なるほど・・・ククク・・・では早速使わせてもらうぞ・・・」

組織女「ああ、てめえの命令を聞くようにしてあるから、好きに使えや」

男「ああ。では行ってくる・・・ん?というか、その条件とやらは・・・?」

組織女「・・・こ、今度の週末、一日あたしに付き合え・・・」

男「・・・?ああ、それくらいなら全然構わんぞ。というかむしろそんな条件でいいのか?」

組織女「あ、ああ・・・(こいつ、あっさりと・・・デートの誘いだってわかってんのか・・・わかってねえだろうな・・・この鈍感野郎)」

男「ふふっ、組織女と二人っきりで出かけるのは久しぶりだな・・・むっ、というかひょっとしてそれって、デートのお誘いか?・・・これはなんとしても生きて帰らればならんなぁ・・・カカッ」

組織女「ば、ば、バカッ!ちげーよ!!なに言ってんだ///(・・・たまにこういう不意打ちがあるから、あたしはこいつの事を・・・)早く行っちまえ!!」

男「ああ、冗談だと分かってるって・・・じゃあ行ってくる・・・ありがとな」

組織女「・・・・・・行ったか・・・・・・死ぬなよ、男」

バサッ!バサッ!(虎の獣が空を掛ける音)

男「ウプッ・・・動きが速いのと、揺れがひどすぎて、酔いそうだ・・・」

男「な、なぁ君・・・もう少しこう、俺に気を使ってだな・・・」

虎形の獣「グルルルルル!!」

バサッ!バサッ!バサバサッ!

男「あ、全く変わる気配ないですね・・・こうなったら気合で我慢するしかないな・・・」

バサッ!バサッ!

男「あ、見えた・・・あそこに行ってくれ!!・・・って、女がやべえ!?あの『兵器』を思いっきりぶっ飛ばしてくれ!!頼むっ!!」


そして、時は現在に戻る。

男「――ふっ、俺の名を呼んだか女? 言っただろう、お前が俺の名を呼べば、必ずお前を守ると・・・ククク・・・盟約はここに果たされた・・・!!」

女「お、お、男・・・あんた、本当に・・・男、なの・・・?死んだはず、じゃあ・・・」

男「カカッ、女よ。この暗黒の邪王、滅亡の神翼、灼眼の堕天使、紅き虎帝の俺、御刀虎が死ぬとでも・・・?見くびってもらっては困るなぁ。ククク・・・ちゃんと盟約も守ったであろう?・・・これで機嫌を治してくれるか?女よ・・・」

女「・・・うん・・・うん!良かった・・・あんたが生きてて本当に、良かった・・・」

騎士団長「・・・私は最初から信じていたぞ・・・君は簡単に死ぬような人物ではない、とな・・・ふふっ、でも来るのが少し遅いな。減点だぞ、男」

男「ククク・・・それは申し訳ない・・・しかし主役というものは得てして遅れてやってくるものですぜ、団長殿?カカッ」

騎士団長「・・・全く、君という奴は『騎士団』の・・・いや、私にとっての最高のモチベーターだよ・・・ふふっ、力が湧いて溢れるようだ・・・!」

メイド「男さん、貴方は一体・・あなたはただの・・・いえ、私が殺したはずですのに、どうして・・・」

男「カカッ、メイドよ。残念ながらお前の常識は俺には当てはまらん!俺、御刀虎は何度でもよみがえるのだ・・・ククク・・・!」

男(あとでメイドには説明しておこう・・・)

メイド(・・・?なんとなくあの巨大な生物は『組織』の獣の面影があるような・・・いえ、今はそれより・・・お嬢様の身を・・・)

男「ん?というかあのお嬢はどこに行ったんだ・・・?」

ウィーン・・・(ふっ飛ばされた『兵器』が立ち上がる音)

女「機関女はあの『兵器』の中よ、男・・・どうやら暴走してるみたいだけどね」

男「暴走、だと?」

騎士団長「ああ、兵器が突如としてメイドを攻撃し出したんだ・・・仲間同士、攻撃する理由と言ったらそれくらいしかないだろうからな」

メイド「・・・それだけではありません」

男「・・・メイド?」

メイド「恐らくお嬢様は、あの『兵器』にエネルギーとして取り込まれております。早くあの兵器を破壊しなければ、お嬢様の命が危ないかも知れません・・・ですから、どいて下さい。『騎士団』のお三方」

女「どいてって、メイド、あんたね・・・あたしたちは男が来た事で気力が回復して、動けるようになったけど・・・あんたは立ってるだけでも辛いでしょ」

メイド「・・・そんな事はありません。元気一杯です。それより今は一時休戦と行きましょう。お嬢様は私が助けます。どうか邪魔だけはしないよう・・・邪魔すれば命の保証は致しません」

男「・・・あのな、メイド。あんたボロボロだろうが。その体で何言ってんだよ」

騎士団長「その忠誠心は驚愕に値するがな・・・」

メイド「・・・別に、あなた達にどうこう言われようが、立ち止まる気は・・・うっ」

男「・・・立ってるだけでフラフラじゃねーか・・・肩貸すぜ・・・」

しゅたっ!(男が獣から降りる音)

メイド「・・・っ、敵の助け、は・・・!」

男「意外とプライド高いって言うか・・・お嬢のこととなると回りが見えねえんだな、あんた」

メイド「う、うるさいですよ・・・離してくださいっ!」

男「嫌だね・・・俺はあんたに借りがあるだろう?その借りを返すまでに死なれたら寝付きが悪くなる所の騒ぎじゃねえんでな」

男「それに言ったろ。あんたは死ぬほど美人だって。あんたみたいな綺麗な人を死なせたらバチが当たるぜ・・・いいから黙って座って見てろ」

メイド「・・・・・・こ、ここ、こんな時に一体何を言い出すんですかあなたは!?」

男「いや、思った事を言ったまでだが・・・」

女「・・・」

騎士団長「・・・」

男「・・・あれ、なんで二人とも俺を睨んで・・・ククク、そうか。この獣の正体を知りたいのだな?そう。俺は一度このメイドに殺されたのだが、俺の中に眠る獣が覚醒し、拘束衣を引きちぎってな・・・地獄の門番前に立って、今までの罪を数えていたのだが、この虎に地獄から現世へと強制的に連れてこられ・・・って、あれ、反応がない・・・」

女「・・・このスケコマシ」

騎士団長「君は誰にでもそういう事を言うのか・・・?」

男「え・・・なにこの空気・・・俺なにか悪い事した・・・?」

メイド「・・・典型的な朴念仁ですね、あなた・・・」

男「ゴホンゴホンッ!ともかく、あの兵器をぶっ壊せばいいんだろ、メイド?中のお嬢は傷つけずに、だ」

メイド「・・・ええ、まぁそうですが・・・でもそんな気遣い、したくもないでしょう?特に『騎士団』の団長さんと女さんは」

騎士団長「・・・まぁ、な」

女「・・・それは否定できないわね」

メイド「そうでしょう?私達はこの『戦争』で、お互いに傷付けあいすぎました・・・積み重ねた気持ちの重みは、とても一言では言い切れないでしょう・・・ですから・・・」

男「・・・団長殿・・・女・・・それはその、そういう気持はちょっと一旦置いておいてもらってだな・・・」

騎士団長「・・・だが、それとこれとは話は別だ」

女「・・・団長?」

メイド「え?」

騎士団長「女、男。私達の所属名はなんだ?」

女「騎士団です・・・」

男「・・・騎士団ですぜ」

騎士団長「だったら騎士らしく・・・公明正大に戦おうではないか。相手の弱みにつけ込むような真似はせずに、な」

騎士団長「だが今の機関女はどうだ?」

騎士団長「『兵器』にエネルギーを取られ、満足に操縦すら出来ず、『兵器』を暴走させている状態の機関女に勝って、果たしてそれは本当の勝利といえるか? 私達はその勝利に誇りが持てるか?」

女「・・・確かに・・・!」

男「ククク・・・団長殿。そんなものは勝利でもなんでもありませんぜ。ただの不意打ち、闇討ちと同義かと・・・(団長殿と女の戦いに対する美意識が高くて助かった・・・)」

騎士団長「そうだろう? ならば答えは一つだ・・・!機関女を助け出したあと、期間をおいて、もう一度お互いにベストな状態で全力を振り絞って戦う!それが答えだ!いいな!?」

女「はい、わかりました団長!」

男「ククク・・・了解ですぜ・・・さぁーて・・・ここからが本番だな・・・どうか死にませんように・・・」

メイド(・・・お嬢様・・・)

ブォォォォン!(『兵器』の駆動音)

男「ところでメイドよ、どこかあの兵器に弱点はあるのか?」

メイド「・・・首にある、人間でいううなじで当たる部分に、2本、ケーブルが走っています・・・そこを傷付ければ、確証はしませんが、恐らくあの『兵器』の動きも止まるでしょう」

男「なるほどね。じゃあ攻撃するとしたらそこか・・・」

ウィー・・・ン!(『兵器』が男達の方に向く駆動音)

男「・・・とりあえず、俺の獣で奴を食い止めるからその隙に、攻撃を頼む・・・あの『兵器』と真っ向から向かい合えるのは俺の獣くらいだろうからな・・・」

女「そうね・・・とは言っても、私達も回復したのは気力と僅かな体力・・・恐らく、剣を全力で一振りするくらいなものだわ」

騎士団長「・・・情けない話だが、私も同じだな・・・」

女「外したら、終わりね・・・」

男「・・・正直言って、俺も一人と一匹じゃあこの『兵器』には勝てる気はしないから・・・一発勝負か・・・」

女「ちょ、ちょっともう男、プレッシャー掛けるようなこと言わないでよ!」

男「気にするな女。人生だって一回きりの一発勝負だろ。それに比べれば大した事はない」

女「何いいこと言ったみたいな感じになってるのよ!」

男「ククク・・・いいツッコミだ・・・さっきまでの緊張でガチガチより、よっぽどいい表情をしているぞ・・・カカッ」

女「あっ・・・」

騎士団長「ふっ・・・どこまでも頼りがいがあるな君は・・・さぁ――来るぞ」

ドガガガガガガ!(『兵器』が突っ込んでくる音)

男「頼むぜ、気合で受け止めてくれ!」

虎形の獣「グオオオオオオオオオオオオオオッ!!」

ズッガァアアアアアアアア!!(『兵器』と獣がぶつかる衝撃音)

男(グッ・・・獣にしがみつくのが精一杯だ・・・!)

虎形の獣「ガァ・・・グガッ・・・・オオオオン!!!」

男(よし、捉えた、これなら・・・!)

男「今だ、行け!女!」

女「でやああああああああああああ!!」

ガッギィィイィ!!!

女「やった!?」

・・・ブォォォォォ!!(兵器の駆動音)

騎士団長「いや、まだだ!!もう一発、私が叩きこめば・・・!」

ブォン!!(団長が剣を振り落とす)
ヒュオッ!(それを避ける兵器)

虎形の獣「グオォッ!?」

騎士団長「チッ、獣の拘束から逃れたか!」

男「すまねえ、団長殿!(畜生、あとちょっとだったのに・・・いや、この獣は精一杯やっている・・・こいつを攻めるのはお門違いか)」

騎士団長「いや、私がもう少しはやく剣を・・・クソっ!」

ズガガガガッ!!(『兵器』の移動する音)

女「っ!? まずい、『兵器』がメイドの方に!」

男「・・・くっ、行け、獣っ!あの『兵器』を止めろぉ!!」

ガガガガ・・・ギィィィッ!

メイド「・・・あ」

メイド(『兵器』がこちらに・・・でも、体が動きませんね・・・)

ドドドドドドッ・・・!(兵器がメイドに迫る音)

メイド(・・・これは・・・かわすのは無理そうですね・・・)

メイド(・・・まぁ、お嬢様に殺されるのなら本望と言ったところでしょう)

メイド(可愛らしいお嬢様、美しいお嬢様、私の誕生日にはいつも、私の大好きなお花や、私の為に、ご自分で作られたメイド服をプレゼントしてくださった、優しいお嬢様)

メイド(・・・大好きです、お嬢様)

メイド(そして、さようなら・・・あと、ついでに男さんも・・・あなたほどの変人、例え来世があったとしても、二度と会う事はないでしょうね・・・ふふっ)

ドドドドド・・・キキィー!!(メイドの前で急停止する『兵器』)

メイド「え・・・?」

機関女「・・・はぁはぁ・・・メイド・・・には・・・手を・・・」

メイド(お嬢様の・・・声?)

機関女「逃げなさ・・・はや・・・」

メイド「お嬢様ぁ!!」

男「捕まえたぞこの野郎!!」

ガシィィィィッ!!(『兵器』を獣で捉えた音)

男「団長殿ッ!!早くッ!!」

騎士団長「おおおお!封風剣撃王神断散双覇舞斬!」

ブォン!!(団長の剣を振る音)
ガッッシャアアアアアアアン!!!(団長が兵器をぶっ壊した音)

機関女(ウゥ・・・あれ、わたくしは・・・一体・・・)

機関女(確か『兵器』に乗っていて・・・『兵器』がわたくしの意思とは無関係に暴走し始めたのは覚えていますわ・・・)

???「・・・さまっ!」

機関女(・・・誰ですの? この声・・・メイドに似ていますね・・・そう言えばボロボロのメイドを『兵器』が襲おうとしたので、それをなんとか食い止めようとして・・・)

???「お嬢様!しっかりして下さいお嬢様っ!!」

機関女「・・・メイド・・・?」

メイド「っ!ああ、お嬢様っ、意識が戻って・・・!!」

ガバッ(機関女に抱きつくメイド)

機関女「・・・?これはどういう・・・」

騎士団長「気がついたか、機関女」

機関女「!騎士団長・・・!」

騎士団長「落ち着け。今、危害を加えるつもりはない」

女「あっ、お嬢目が覚めたんだ?よかったわね、メイド」

男「ククク・・・眠り姫のお目覚めか・・・」

機関女「・・・『騎士団』が揃い踏みで・・・どういう事か説明してくださる・・・?うちのメイドは今、泣きじゃくっていて、とてもそういう事が出来る状況ではないみたいですし・・・」

騎士団「ああ、説明しよう・・・信用出来ないようなら、あとでそのメイドに事情を聞いてくれればいい」


騎士団長「カクカクシカジカ」

機関女「・・・そんな事が・・・」

騎士団長「信じられないかもしれないがな」

機関女「いえ、メイドの取り乱し様でわかりますわ・・・そうですか・・・わたくしは・・・まだまだ未熟でしたのね・・・」

機関女「あなた方にも礼を言わなければなりませんわ」

騎士団長「なに、我々の美学に則っただけの事だ。気にする事はない」

女「そうそう、団長の言うとおりよ」

男「ククク・・・」

機関女「・・・・・・団長さんの話では、わたくしがまた体制を立てなおして、再戦という話でしたわね」

騎士団長「ん?ああそうだが」

機関女「そのお話、無かった事にして頂いて結構ですわ・・・わたくし達『機関』は負けを認めます」

女「え?」

男「・・・なん・・・だと・・・」

騎士団長「ど、どういう事だ」

機関女「どうしたもこうしたもありませんわ・・・自分のミスで、身内に謝って手を掛け、さらには敵に命を助けられる・・・こんな失態をした以上、わたくしに『戦争』に参加する資格はないでしょう・・・なによりあなた達のその器の大きさに感服致しましたわ・・・」

機関女「潔く私達『機関』はこの『戦争』から身を引きます・・・それでいいですわね、メイド?」

メイド「はい・・・私は、お嬢様が無事ならそれで・・・!」

騎士団長「・・・ふむ、まぁそう言うなら・・・」

女「なんだか・・・上手く収まったわね・・・まさか男、あんた、そこまで計算してたの?」

男「・・・く、ククク・・・ふふ、そういうのは語らぬが華、という奴であろう?」

騎士団長「ふふ、味方ながら恐ろしいな、君は・・・あっ」

バタッ(団長が倒れる音)

男「ど、どうしました団長殿?急に倒れて・・・」

騎士団長「ど、どうやら・・・自分でも気付かなかったが、本当に体力切れみたいだ・・・少し・・・横にな・・・る・・・」

女「あ・・・ごめんね、男・・・私も・・・限界みた・・・い・・・」

スゥーハァー・・・(二人の寝息)

男「マジで寝ちゃったよ・・・寝る早さ・・・のび太級だなおい・・・」

男「まぁ、本当にギリギリのギリギリまで体力振り絞って戦ってくれたみたいだしな・・・」

男「しゃあねえ、送っていくか・・・なぁ二人を送るの、手伝ってくれるか?」

虎形の獣「グルルゥ!」

男「・・・ありがとよ。助かるぜ」

男(それにしても)

男(流石に今回みたいな芸当はもう二度と出来ないだろうしな・・・もう一回戦えって言われたら確実に死んでた・・・あそこで機関女が引いてくれたのは運が良かったよ・・・)

男(でも、じゃあ次は組織女との対決か・・・次こそは死ぬかもな、俺・・・まぁ・・・それはその時になったら考えよう)

男(・・・ところで)

男「なぁ・・・少し聞いてもいいか」

メイド「グスッ・・・はい、なんでしょう?」

機関女「なんですの?」

男「この『戦争』に勝ったら、確か願いが一つ叶うっていう話だったよな?あんたら二人の願いって一体なんだったんだ?純粋な疑問なんだが・・・」

機関女「・・・・・・友達が」

男「?」

機関女「・・・なんでも話し合える友達が欲しかったんですの・・・わたくし、幼い頃から友達とよべる間柄の人間が、一人もおりませんでしたから」

機関女「ですから、『戦争』に勝った暁には、友達と色んな所に行ったり、朝まで他愛のない話をしたり・・・そういった事がしたかったんですの・・・」

機関女「ふふっ、もう叶わぬ願いですけどね・・・」

男「・・・いや、お嬢にはメイドが居るだろう?」

機関女「メイドは・・・メイドですわ・・・。仕事の上での付き合いですもの・・・」

メイド「・・・っ・・・」

機関女「なにより、それ以上を求めるのは、メイドにも迷惑でしょう・・・勿論、とてもとても、感謝はしておりますわ・・・いつもお世話になっていて、わたくしには勿体無いほどですわ・・・」

男「・・・あのな、お嬢。メイドの顔良く見てみろ。仕事だけの付き合いの奴が死にそうになったからって、こんな心配そうに泣きじゃくるか?迷惑って顔をしているか?」

機関女「!」

メイド「お嬢様・・・そんな風に私の事を思っていてくれたのですね・・・私こそ、いつもお嬢様に至らぬメイドで・・・ご迷惑ばかり・・・」

機関女「そ、そんな事ありませんわ!あなたは美人で気立てが良くて!料理が上手でお掃除も上手で、いつも私の事を心配してくれて!気配りも素晴らしくて・・・あなたは、あなたは・・・!」

男「・・・それでさ、メイド・・・あんたの願いは?」

メイド「は、はい・・・私の願いは・・・ただ、お嬢様が幸せになれるように、と・・・」

機関女「っ!・・・もう、メイド・・・あなたはどこまで・・・!」

ガバッ(メイドに抱きつき返す機関女)

機関女「・・・ああ、あああああああ!」

メイド「お嬢様・・・お嬢様ぁ・・・!」

それから十分後。ようやく落ち着いてきた二人。

男「・・・落ち着いたか、メイド、お嬢」

メイド「はい・・・」

機関女「おかげ様で・・・」

男「ククク・・・ならよかった。それと、お嬢・・・もしメイド以外に遊ぶ仲間が欲しかったら、俺でも呼ぶがいいさ」

機関女「えっ・・・?よろしいんですの?でも、わたくし達は敵同士でしたのよ・・・?」

男「ククク、だからいいんじゃないか・・・お嬢は知らんだろうが、庶民の間じゃあ『強敵』と書いて『友』と読むんだぜ?」

機関女「そ、そうなんですのメイド?」

メイド「いいえ、違います・・・ですがまぁ、今はそういう読み方をしてもいいかと存じます」

機関女「友達・・・友達・・・ふふ、わたくし、男の子の友達は初めてですわ。よろしくお願いしますね、男さん」

男「カカッ、いつでも連絡してくるがいい!・・・メイドよ。これで貸し借りなしでいいか?」

メイド「・・・はい。むしろ、貴方には大きな借りが出来たかも知れませんね・・・(ニコッ」

男「ドキッ)お、おう・・・ま、まぁなんだ。そんな気にしなくてもいいぞ・・・俺のように強い者が弱い者に力を貸すのは当然の摂理なのだからな・・・」

メイド「いいえ、必ず返しますよ・・・・・・」

男「うん・・・?最後なにか言ったか?よく聞こえなかったが・・・」

メイド「うふふ、なんでもありませんよ・・・//」

その後。騎士団長を送り届け女も送り届けた男。

男「よし、もう帰っていいぞ・・・ご苦労だったな・・・組織女によろしく言っておいてくれ・・・」

虎形の獣「オオンッ!!」

女「男、一体何してるの?」

男「ビクッ)な、なんだ女か・・・びっくりさせないでくれ。いや、な。頑張ってくれたこいつに、労いの言葉をと・・・ではさらばだ・・・」

ピュー!(虎形の獣が空に帰っていく音)

女「確かに、あの獣。大活躍だったもんね・・・っていうか、アレ?どっか行っちゃったけどいいの?あの獣は、あんたの中に眠ってるはずじゃあ」

男「あ・・・ああ・・・なぁに、たまにはシャバを見て回りたいと言うのでな・・・まぁ、さんざん暴れまわったから、今は穏やかだろうと判断して、ご褒美を上げたのだ・・・」

女「ふぅーん・・・と、ところでさ、男」

男「うん?」

女「あの、ね・・・」

男「・・・どうした? ゥプッ・・・(くっ、やっぱりあの虎形の獣の上に載ってると、酔うなぁ・・・ジェットコースター張りに早くて、ジェットコースター張りに揺れるもんなぁ・・・)」

女「え、えーっとその・・・」

男「そ、その・・・女?・・・手短に言ってくれると非常に助かるんだが・・・」

女「ちょ、ちょっと待ちなさいよッ!私にだって心の準備があるんだからッ!」

男「お、おう・・・(くっ胃液がせり上がってきた・・・)」

女「だ、だ、だからぁ・・・!」

女「い、一回しか言わないからよく聞きなさいよ!?」

男(限界だ・・・すまん女、あとで聞く・・・)

女「・・・助けてくれて、ありがとう!」

女「私達を助けに来てくれた時の男、すごく、かっこよかったよ・・・」

女「だ、だからお礼に今度、お弁当を・・・」

女「って、あれ。男・・・!?」


男「オゲエエエエエエエエエエ!!」

男「ゥプッ・・・オエッ・・・ハァハァ・・・」

男「口の中、気持ちワリィ・・・」

男「ちくしょう、もう俺は一生、ジェットコースターには乗らん・・・」

第一部、『機関女とメイド編』完ッ!

おわーり。
なんだか投稿の期間がどんどん長くなっていく次第で・・・申し訳ない・・・
正直いって今月どころか来月末に完結出来るかどうかもわかりませんが・・・気長にお付き合いください
では、また次回に

投下しますー。
今回は箸休め回、ちょっと短めです

男「あー・・・先生にたっぷり絞られてしまった・・・クソ、この灰色の脳細胞を持つ御刀虎に学校の勉強など不要だと言うのに・・・」

男「しかし先生、今日はやけに機嫌が悪かったなぁ・・・彼氏にでも振られたのだろうか・・・」

男「あー・・・ハラ減ったなぁ・・・」

ティロン♪

男(うん?LINE・・・?団長殿か・・・)

男(なになに・・・また、日曜に二人っきりで稽古の練習に付き合って欲しい・・・?)

男(日曜・・・確か組織女と遊ぶ約束をしていたな・・・申し訳ないが断ろう・・・先に遊ぶ約束をしていたのは組織女だしな)

男(申し訳ないが、予定があるのでまた今度、と・・・)

ティロン♪

男(ぬ? 団長殿がショボーンとした顔文字を送ってきた)

男(それも何回も・・・)

男(か、可愛いなおい・・・キャラ違う気がするが・・・)

男(あー・・・えー・・・どうしよう・・・)

男(・・・しょうがない)

男(早朝の鍛錬だったら付き合えますぜ・・・っと)

ティロン♪

男(うお、速攻で来た)

男(了解、か。それも可愛い顔文字付きだ・・・)

男(・・・技名、考えておかないとなぁ・・・)

男(技名か・・・そう言えば昨日、団長殿はトドメ差す時に叫んでいたな・・・マジでアニメのワンシーンみたいで、見てて燃えたぜ)

男(しかし・・・冷静に考えたら、マジで昨日よく俺は生き残れたな・・・一つでも間違えたら死んでも全然不思議じゃなかった・・・)

男(あん時はアドレナリン出まくってたから、何も感じなかったが・・・今考えると相当な無茶したな・・・今更自分のした事にビビるぜ)

男(帰り際にこっそりメイドにあの時の獣が『組織』から借りた獣だって説明した時も、「無茶苦茶な事しますね、あなた・・・」って呆れられたしな)

男(ついでに、「その行動力というか発想力というか勇気は、もう既に一般人の域から逸脱してますね・・・」と言われた。本当にいつか死んでしまいますよとも)

男(・・・俺は苦笑いするしかなかったが)

男(それにしても・・・昨日のアレで・・・全身バキバキだ・・・組織女の性格知ってるから、『組織』の闇討ちとかないのはわかってるけど・・・)

男(今襲われたらただでさえ運動音痴の俺は、何も出来ないでヤラれるだろうな・・・)

???「だーれだ♪」

男「・・・うぉぉあ!?だ、だ、誰だぁ!?」

女「え、ちょっと男? そんなにびっくりしなくても・・・」

男「(うおぉ・・・女か・・・マジでびびった・・・じゃなくて)・・・ふ、フフン・・・この俺の後ろを取るとは中々だな・・・」

女「えへへ、まぁね」

男「というか、アレ? 俺は先に帰っていいと伝えたはずだが・・・」

女「た、たまたま私も放課後に用事があったのよ、たまたまね!」

男「ほう、そうか。ならば一緒に帰ろう。俺も腹が減りすぎてて、誰かと会話でもして空腹を紛らわせないと、家まで持ちそうになかったからな」

女「うん・・・!えへへ・・・///」

男「・・・?なんでそんなにニヤニヤしている?」

女「え、別になんでもないわよ・・・えへへ・・・///」

男(やけに上機嫌だな・・・ああ、昨日のアレか。ふむ、まぁ約束を守る男という信頼は得られたようでなによりだ・・・)

男(ただ、その分、いつか俺が何の力もないただの邪気眼持ちの中二病患者という事がバレた時が怖いが・・・ここまで来たらなんとでもなれだ)

男「ククク・・・女よ・・・機嫌がいいようだな・・・やはり女は、昨日みたいに不機嫌じゃなく、今日みたいに笑っていた方がずっとずっと可愛いと思うぞ」

女「なっ・・・なっ、ちょ、ちょっと・・・もう・・・恥ずかしい事言わないでよ・・・!そんなに褒めても別になんにも、出ないんだから・・・」

男「?別にほめたつもりはないぞ?思った事を言ったまでだが。お前の笑顔はとても素敵だ」

女「っ・・・あ、あんたねぇ・・・もうちょっとそういうのは・・・か、関係を深めてから言いなさいよ・・・いや、別に今の関係が浅いとかそういう事を言ってるんじ

ゃなくてね・・・!?」

女「あ、あんたとは結構仲いいと思ってるし、これからも仲良くしたいと思ってるというか、その・・・」

男「・・・?よく分からんが、俺もずっと仲良くしたいとは思っているさ。これからもよろしくな、女」

女「~~~~~~っ///(ここであんたのその可愛い笑顔は反則だってばぁ・・・)」

男「・・・どうした女、顔が赤いぞ?昨日の戦闘の影響か?」

女「・・・なんでもない・・・///」

男「そうか・・・? ならいいんだが・・・」

男(でも、こうして横に並んでいる女をまじまじと見ると、女は本当に可愛いなぁ。お人形さんみたいだ)

男(団長殿も、日本美人って言葉がぴったりの凛とした美人だし)

男(・・・やっぱり、こういう綺麗な女の子達を騙してるのは、罪悪感がある、よなぁ・・・)

男(どうしたものか・・・)

女「ねぇ、男・・・ところでさ」

男「うん?」

女「結局あんたって、何者なの?」

男「・・・何者、とは」

女「組織女とタイマンして傷一つない圧勝したり、かと思えば『組織』の獣みたいなのを胸の中に眠らせていたり・・・あんたは謎、謎、謎だらけよ」

女「団長とスマホで少し連絡取ってたんだけど、この『戦争』の歴史上、あんたみたいな『騎士団』の能力者は見た事も聞いた事もないって」

女「あんた、本当に何者なの・・・この『戦争』において、あんたってどういう存在な訳・・・?」

男「・・・(そりゃあただの一般人だしな、俺・・・)」

女「・・・あのね、男」

女「・・・あたしと仲良くしたいと思ってくれてるんなら、厚かましいようだけど・・・ちょっとでもいいから、あんたの秘密を教えてくんない、かな・・・?」

男「・・・」

女「あっ、嫌なら全然答えなくていいのよ、うんっ・・・誰だって秘密にしておきたいことの一つやふたつあるだろうしね!」

男「・・・すまん」

男「今は言えん、今は言えん、が・・・この『戦争』が終わった時に、必ず伝える」

女「そっか、なら・・・」

男「ただ」

女「?」

男「俺の秘密を聞いた時、女や団長殿は俺にガックリくるかも知れん・・・が、その時、俺に対して何をしても構わん・・・まぁ金や命を取られるのはちょっと困るが・

・・」

女「・・・」

男「まぁあり大抵に言えばボッコボコにしていいし、ありったけの暴言を俺に吐いてくれていい」

男「だから頼む、その時までは、何も聞かず俺の事を信じて欲しい・・・」

女「よくわからないけど・・・・・・・とりあえずわかったわ」

男「・・・助かる。まぁあるいは『戦争』によって死んでしまって、秘密を伝えられないかもしれないがな・・・」

女「そ、そんな事言わないでよ、もうっ!そういう冗談は禁止っ!」

男「・・・そうだな、すまん」

女「まぁ確かに騎士団員はもう私達の3人しかいないけど・・・大丈夫でしょ。あたしは自分で言うのもなんだけど、最近自分がレベルアップしてる事を感じてるし・・・」

女「団長はおそらく、個人の能力ならこの『戦争』最強だし・・・」

女「なにより私達にはあんたがついてるもの。はっきり言って負ける気がしないわ」

男(・・・責任、重大だなぁ、俺・・・)

女「残る相手は『組織』だけだし・・・『冥府落し』も完成は遅れたけど、もうすぐ出来上がるって団長も言ってたし・・・」

女「大丈夫、私たちは勝てるわよ」

男「・・・ふっ・・・そうだな、ククク・・・この御刀虎とした事が、昨日の戦闘のアドレナリンが抜けて、少々気が落ちていたようだ・・・」

女「ふふん、そうそう、あんたに弱気な発言は似合わないわよ・・・あ、そういえば」

男「?」

女「『組織』って自分で言って思い出したんだけど・・・あんたと組織女ってどういう関係な訳・・・?」

女「初めての戦闘の時、男と組織女、結構古くからの知り合いって感じの会話してたけど・・・」

男「・・・(やべえ、なんて言い訳しよう。なんも思いつかねえぞおい・・・)」

女「・・・ひょっとして・・・元恋人だったりするの?」

男「は?」

女「・・・な・・・なんでもない・・・ていうか、あたし、さっきからあんたのプライベートばっかり聞き出しててうざいわよね、ごめん」

男(なんで俺の元恋人かどうかを気にするのかさっぱり分からんが・・・まぁいい。俺も会話にポロが出る前にこの流れに乗っかるとするか・・・)

男「・・・ククク・・・まぁ確かに、この御刀虎の過去や、秘密を知りたい気持ちはわかるが・・・好奇心は猫をも殺すという言葉もある」

男「その辺にしておいて貰えると助かるぞ、女・・・夜の闇よりも暗い我が深淵・・・今の女では聞くに耐えんだろうからな・・・」

女「・・・わかったわ。また後で、あんたの気が乗ったら教えてね?」

男「フフフ・・・いいだろう。心の準備だけはしておけ・・・ククク・・・(よし、上手く難を逃れたぞ・・・)」

女「あ、それで話は変わるけどさ、男・・・」

男「うん?」

女「・・・こ、今度の日曜、一日付き合って欲しいんだけど・・・///」

男「・・・一難去ってまた一難・・・」

女「へ?どういう事?」

男「・・・いや、こちらの話だ」

男「そのー、女・・・?悪いが・・・そう、ちょうど日曜日に『世界会議』と『裏世界会議』が始まるのだ・・・ククク・・・光と闇の勢力が集結するのでな・・・俺はその仲裁役として参戦しなくてはならないので・・・日曜はちょっと・・・」

女「・・・・・・そ、そう・・・・・・ま、まぁ別にいいけどね・・・・・・ただちょっと誘って見ただけだし・・・・・・別に・・・・・・・」

男(めちゃくちゃガックリ来てらっしゃる・・・うなだれていらっしゃる・・・)

男(罪悪感・・・なんか泣きそうな顔してるし・・・)

男「あー・・・女?」

女「なによぅ・・・」

男「(めっちゃ拗ねてる・・・)・・・あー・・・まぁ俺は非常に忙しい・・・忙しいのだが・・・」

男「そのー・・・夜ならばギリギリ時間を作れなくもないぞ・・・多分な・・・」

女「本当!?」

男(えらい勢いで食いついてきたなおい・・・)

女「絶対よ絶対!絶対だからね!あと、わかってると思うけど、二人っきりよ!?」

男「お、おう・・・分かっている、大丈夫だ・・・約束しよう、例え地球が滅ぼうが、宇宙が原子に帰ろうが、必ず今度の日曜はお前と遊ぶとな」

女「ふふっ、ならいいわよ。あんたは約束守る男だもんね♪」

男「・・・・・・」

男(・・・今から、組織女との遊びから抜け出す方法を考えておくか・・・)

男「んじゃ、また明日学校でな、女」

女「うん、わざわざ家まで送ってくれて・・・その、ありがと///」

男「いつも迎えに来てもらっているから、たまにはな。もう暗いし、万が一の事態もある、当然の事だ。気にするな」

女「うん・・・じゃあまたあし・・・」

・・・ざわ・・・ざわ・・・

女(・・・っ、今、一瞬『能力』の気配が・・・!?)

女「誰よっ!?出てきなさい!!」

・・・シーン・・・

男「・・・お、女よ・・・どうしたのだ?急に叫んで」

女「え・・・?あんた感じなかったの?今の『能力』の気配を・・・!?」

男「ん・・・? あ。あぁ・・・感じたような・・・感じなかったような・・・?」

女「なにその曖昧な反応・・・あたしの勘違いかしらね・・・」

男「う、うーん・・・どうだろうなぁ・・・?」

女「・・・・・・・」

女(さっきのは『能力』の気配は間違いないはず・・・それも、感じたのは一瞬だけだったけど・・・鳥肌が立つくらい禍々しい気配だったわ・・・)

女(でも・・・男程の能力者が感じなかったのなら、あたしの錯覚かしらね・・・? 男も、あたしが何言ってるのかわかんないって顔してるし・・・)

女「・・・ごめん、なんでもなかったみたい、忘れて」

男「お、おお・・・そうか。急に叫びだすからびっくりしたぞ・・・」

女「あはは、そうよね。これじゃあまるで中学生がする痛い妄想の登場人物みたいな行動だもんね」

男「・・・・・・」

女「男、どうしたの? 神妙な顔して・・・」

男「いや、何でもない・・・じゃあな、女」

女「そう・・・? うん、また」


女(・・・・・・)

女(・・・さっきの、勘違い、よね・・・)


???「・・・・・・・」

その頃 
とある町外れにて

組織女「な、なぁ・・・この服どうかな?あたしに似合うか・・・?」

組織部下女「あー・・・そうですね・・・普段とのギャップでいいと思います・・・」

組織女「なんだお前つれないなおい・・・よし、次はこの最近流行ってる童貞を殺す服とやらにチャレンジしてみるか・・・あれ、でもあいつ童貞だったかな・・・いや、童貞なはずだ、うん・・・」

組織女「というかこの服恥ずかしいな・・・めっちゃヒラヒラしてるっていうかフラフワしてるっていうか・・・なぁ、どうしよう、これ、あたしが着たら変じゃないか・・・?」

組織部下女「頭領・・・あの、もう5時間くらい、頭領のファッションショーに付き合ってるんですけど・・・」

組織女「なんだお前いいだろうが! 『召喚の儀』もほぼほぼ終わったんだし、その祝いだと思って付き合えよ!!なによりあたしの・・・久しぶりの・・・で、デートなんだぞ!!」

組織部下女「はぁ・・・わかりました・・・わかりましたよもぅ・・・」

組織部下女(まぁせめてもの救いは、頭領が物凄い美人だから見てて飽きないって事くらいかなぁ・・・)

組織女「あー・・・着にくいなぁ・・・これ・・・んっ・・・よし、着れた・・・なぁおい、これやっぱりあたしには似合ってなくねぇか・・・?」

組織部下「はいはい・・・今見ますよー・・・」

組織部下女(はぁ・・・男さん、会いたい・・・)


おわーり。
今やっと物語の3分の2くらいまで来ましたー。
最後までお付き合い頂けると幸いです。
あと誤字脱字訂正があります。
>>173
×メイド「いいえ、必ず返しますよ・・・・・・」
◯メイド「いいえ、必ず返しますよ・・・ご主人様」
です。一番抜かしちゃいけない文字を・・・やらかしました。
誤字脱字多いですが、脳内補完して貰えると助かります・・・
ではまた次回に・・・

約一週間振りです。投下します。


先生「はい・・・じゃあね・・・朝のホームルームをね・・・始めたいと思います・・・」

女「なんか・・・めっちゃ先生、テンション低くない・・・?」

男「確かに・・・顔も死んでるし、目も虚ろだ・・・」

先生「はい・・・出席取ります・・・女さーん・・・」

女「は、はい・・・」

先生「・・・うふふ、いいわよね、あなた達は・・・肌もピチピチで・・・ツヤッツヤで・・・未来も輝いていて・・・」

女「・・・いえ、そんな・・・」

先生「でもね、うふふ・・・チヤホヤされるのなんて若い頃だけ・・・いい・・・?いつまでも自分が若いなんて思い上がらないことね・・・結婚出来ない女は悲惨よ・・・それを心に刻んでおきなさい・・・」

女「・・・は、はい・・・」

男(教職者としてあるまじき発言のような・・・)

先生「男くーん・・・」

男「ククク・・・この俺の姿が見えるのか・・・中々の『眼』をお持ちのようだな、先生・・・カカッ」

先生「・・・はぁ、貴方ね・・・高校生にもなって、そんな言動して・・・恥ずかしくないの?」

男「・・・・・・え」

先生「いい?社会は甘くないのよ・・・もうあと数年もすれば社会に飛び出すんだから、いい加減現実と妄想の区別くらいつけなさい・・・」

男「・・・く、ククク・・・先生・・・えっと、俺のは妄想とかじゃなくて・・・」

先生「はぁ・・・もういいわ・・・じゃあ、ホームルームは終わりです・・・各自、次の授業の準備をしておくように」

女「今日の先生、不機嫌どころの話じゃないみたいね・・・」

男「ああ、ちょっとびっくりだぜ・・・この前俺に接してくれた時とは扱いが違いすぎるぞ・・・そう言えば、昨日の補習も終始不機嫌だったし・・・」

女「・・・流石にあのテンションの低さはおかしいわね・・・何かあったのかしら」

モブ女1「何でもー婚約直前まで言った彼氏さんと別れちゃったっぽいよ?」

男「ほう、そんな事情が・・・だから昨日の補習も機嫌悪かったのか・・・」

女「・・・なるほど、それはああなってもおかしくないわね・・・というか、モブ女1ちゃんと久々に喋った気がする・・・」

モブ女1「?なに言ってるの?私と女ちゃんは毎日喋ってるじゃない」

女「・・・そ、そうよね・・・毎日喋ってるわよね・・・ごめん、私も今日はちょっとおかしいみたい」

モブ女1「それにしても、最近本当に二人ラブラブじゃない?なんか毎日登下校一緒だしさー。もー見せつけちゃってーこのこのーうりうりー!」

女「ちょっともうやめてよ・・・あたしたちそんなんじゃ・・・別に・・・まだ・・・そこまでの関係じゃあ・・・」

モブ女1「あれぇー?なんか前と比べて明らかに否定が弱くなってますなー?それに、『まだ』って、どういう事ですかにゃー?」

女「う、うるさいなぁもうっ!やめてったらー!」

ドタドタ(女がモブ女1を追いかけ回す音)

モブ女1「キャー!女ちゃんが暴力を振るうー!」

女「モブ女1ちゃんが変な事言うからでしょー!?・・・・・・はぁ」

男「・・・」

男(なんとなく、今日の女は元気がないような気がするな)

キーンコーンカーンコーン

男「ふぅ・・・退屈な授業がようやく終わったか・・・だが、こういう時間があるからこそ、俺はまだかろうじて、現実との接点を感じられる・・・ふふっ、そう思えば
案外授業も悪く無い・・・ククク・・・」

男「さて、では帰るとするぞ女よ」

女「あー・・・ごめん。男。あたしちょっと今日、用事あるから」

男「・・・そう言えば、今日は一日元気がないようだったか・・・あまりテンションの上がる用事ではないのか?」

女「え・・・分かったの?」

男「うむ、気になって今日は女を一日中見ていたからな」

女「・・・・・・そ、そう///」

男「あ・・・ストーカーみたいで嫌だったか?だったらすまなかったな・・・ただ、どうしたのかと思って・・・悪かった」

女「あ、謝らなくてもいいわよ!ていうか、別にあんただったら見られても・・・」

男「?すまん、最後の方聞こえなかったのだが・・・」」

女「・・・別に、なんでもないわ・・・」

男「そうか?それで、その用事はなんなのだ?出来る事なら俺も付き合うが」

女「・・・大丈夫よ。一人で・・・ううん、一人じゃないと、あたしがダメなのよ」

男「?」

女「・・・今日、お姉ちゃんの月命日だから、お墓参りに行くの。それで、暗い顔してるとこ、あんまり見られたくないから・・・だから大丈夫よ、男」

男「・・・そうか」

女「うん」

男「気をつけて行くんだぞ」

女「あはは、心配ありがと。それじゃ、また明日の朝、迎えに行くから・・・あっ、日曜日の夜の約束、忘れちゃダメよ?」

男「おう・・・あ~そろそろ、本気で、組織女との遊びから抜け出す言い訳を考えなくては・・・」

夜の街

男(迂闊だったな・・・今日は我が心の師匠、†卍 刹那・神龍・X・アルファルド卍†先生の新刊の発売日ではないか・・・)

男(俺の中二妄想は†卍 刹那・神龍・X・アルファルド卍†先生から始まったと言っても過言ではない・・・まだ残っているといいが・・・)

男(まぁ先生の本が売り切れているの見た事ないし、増刷掛かっている報告すら聞いた事ないが・・・よくそれでラノベ作家としてやっていけるな、先生・・・)

男(さて・・・先生の本はっと・・・おお、あった・・・くっ、先生の本だけ、もう開店して10時間は立つというのに、未だにうず高く積まれている・・・他の作家の本は見事に減っているから、売れていないのが一目でわかってしまう・・・)

男(†卍 刹那・神龍・X・アルファルド卍†先生は悪くない・・・先生の魅力がわからない庶民が悪いのだ・・・)

男(よし、いつものごとく、観賞用 保存用 布教用に3冊買っておこう・・・!)

パチッ(男の伸ばした手と、誰かが伸ばした手がぶつかる音)

男「あっ、すみません・・・」

???「いえ、こちらこそ・・・って、ええ!?あなたは・・・!?」

男「あれ・・・お前は・・・組織部下女・・・か・・・?」

組織部下女「お、お、男さん・・・!はい、そうです。組織部下女です!」

男「おお、やはりそうか・・・そう言えば先日は世話になったな・・・改めて礼を言うぞ」

組織部下女「いえいえ、そんな!私なんか何にも・・・」

男「何を言う。お前が居てくれなければ、俺はあの日、一生重い十字架を背負う事になっていたかもしれんのだ。本当に感謝している」

組織部下女「・・・あ、あう・・・///」

男「ところで、組織部下女はこんな所で何をしているのだ?」

組織部下女「あ、あの、あのあの・・・え、えーっと・・・ほ、本を買いに・・・来たんですけど・・・」

男「ふふっ、それもそうか・・・それにしてもすごい偶然だなぁ・・・ククク、これもまた、運命という奴かもしれんな・・・」

組織部下女「・・・(う、運命・・・男さんと私は運命の赤い糸で結ばれて・・・なんて、キャー!///)」

男「・・・組織部下女?」

組織部下女「あ、す、すみませんぼーっとして!運命の赤い糸とか!結婚式はハワイがいいとか!子供は一姫二太郎でとか!別にそういう事は一切考えて・・・」

男「一体何を言ってるんだお前は・・・ところで、誰の本を買いに来たのだ?」

組織部下女「あ、うんと、†卍 刹那・神龍・X・アルファルド卍†さんの本を買いに来たん、ですけど・・・」

男「・・・な、なに?すまないが・・・もう一度言ってくれ・・・」

組織部下女「?ですから、†卍 刹那・神龍・X・アルファルド卍†さんの本を買いに・・・・」

男「・・・組織部下女よ!」

組織部下女「は、はい!なんですか!?え、ちょっと待って下さい!そんな詰め寄ってきて!ダメですこんな所で!今日の下着可愛くですし・・・こ、心の準備が・・・」

男「ようやく・・・ようやく同士に巡りあう事が出来た・・・!ああ、この気持ちをなんと表現したらいいのだろうか!俺は今、猛烈に感動している・・・!」 

組織部下女「お、男さんがどうしてもって言うならいいですけど・・・・・・って、はい?」

近くのファミレス

男「この前のお礼もあるし、何でも食ってくれ、組織部下女。遠慮は無用だ。今宵は俺にとって記念すべき夜となったのだからな・・・ククク・・・!」

組織部下女「いえいえ、そんな悪いですよ・・・本当に・・・」

男「遠慮は無用だと言っただろう。いいから好きな物を頼め」

組織部下女「は、はぁ・・・じゃあコーヒーを(立ち話もなんだから、ファミレスに行こうって言われたけど・・・なんかさっきから、男さん目がキラキラしてる)」

男「ククク・・・それにしても意外だったな・・・組織部下女が、†卍 刹那・神龍・X・アルファルド卍†先生の本を読んでいるとは・・・」

組織部下女「え、ええまぁ・・・とは言っても、興味を持ったのは最近ですけど・・・」

男「ほう、という事は余りまだ読んでいないのだな・・・? とは言っても先生の代表作『一万年戦争物語~~最強無敵チートの俺様無双~』は当然呼んだのだろう?」

組織部下女「いえ・・・まだ」

男「・・・そ、そうか・・・では、先生のもう一つの代表作『絶対無敗の俺がハーレムを築くだけの話~ I am the world's strongest man!~』には目を通しているのだろうな?」

組織部下女「いえ・・・というか、実は私、今日初めて†卍 刹那・神龍・X・アルファルド卍†さんの本を読もうと思って・・・」

男「・・・そ、そうか・・・」

組織部下女(あれ・・・なんだか・・・めちゃくちゃテンション下がって・・・意気消沈しちゃってる・・・)

男「いや、いいんだ・・・†卍 刹那・神龍・X・アルファルド卍†先生の作品の作品に触れようとするその気持だけでも・・・俺は満足だ・・・」

組織部下女(ひょっとして、私とその作品についてのトークがしたかったのかな・・・)

男「く、ククク・・・なぁに、落ち込むな俺よ・・・そう、俺は今、同士が誕生するかもしれない瞬間に立ち会えたのだ・・・光栄な事ではないか・・・ふ、フフフ・・・」

組織部下女(わ、わぁ・・・めちゃくちゃ虚ろな笑い方してる・・・ものすごくショックだったぽい・・・)

組織部下女「あ、あの・・・」

男「フフ・・・なんだ?この勘違い早とちり男に、何か用でも?」

組織部下女「え、えーっと、その・・・出来れば†卍 刹那・神龍・X・アルファルド卍†さんの作品の魅力を教えていただけたらなぁ・・・なんて」

男「! ふ、フフフ・・・その心意気やよしだ・・・ではさっそk・・・」

組織部下女「・・・?どうしたんですか?」

男「・・・いや、やはり辞めておこう」

組織部下女「ええ、何でです?教えて下さいよ」

男「いやな・・・アレは数年前の話だ・・・俺が小学生から中学生という存在にランクアップしたその日、俺はその時、一番†卍 刹那・神龍・X・アルファルド卍†先生の作品にドハマリしていてな・・・その魅力を布教しようと必死だったのだ」

組織部下女「・・・はい」

男「それで誰かれ構わず、2時間でも3時間でも†卍 刹那・神龍・X・アルファルド卍†先生の作品の魅力を語っていたら、俺はいつのまにかぼっちに・・・じゃなくて、回りの連中が俺のレベルについてこれなくてな・・・」

男「やむなく俺は中学校時代を、一匹狼として生きる事を余儀なくされたのだ・・・まぁ中3の時に組織女と出会って以降は、自然と組織女や、組織女の仲間のヤンキー達と居るようになったのだが・・・・」

組織部下女「・・・つまり、その先生の作品の魅力を語りだすと止まらなくなるから、辞めておこうと言う事ですか?」

男「まぁ、一言で言えばそういうことだ・・・学校の授業じゃないんだ、延々と聞いてるだけじゃつまらんだろう?だから――」

組織部下女「・・・いいえ。ぜひ聞かせてください」

男「・・・ん?・・・え?いいのか?」

組織部下女「はい、むしろ聞いてみたいです。男さんほどの人がハマった作品がどれくらい面白いかを、ぜひ!」

組織部下女(だって、本当は語りたくてうずうずしてるって顔だし・・・それに、男さんが語れば語るほど、一緒に居られるし・・・)

男「く・・・ククク・・・いいだろう・・・ふふ、お前を†卍 刹那・神龍・X・アルファルド卍†先生の世界観に引きずり込んでやるぜ・・・!」

男「・・・それでな、脇役達が絶対絶命のピンチに陥ったその時、主人公が戦神と戦女神と竜神と邪神を引き連れて助けるシーンがめちゃくちゃかっこいいんだよ!!」

組織部下女「わぁー、それは確かに面白そうですね!!」

男「だろう!?そうだろう!?く、ククク・・・この面白さが分かるとは・・・いいセンスの持ち主だぞ、組織部下女よ・・・!」

組織部下女「あはは・・・ありがとうございます・・・」

組織部下女(正直、途中から何を言ってるかさっぱりわからなかったけど・・・)

組織部下女(でも、一生懸命語る男さん、可愛いなぁ・・・子供みたいに目を輝かせて・・・)

男「って、うお、気付けば3時間くらい経っている・・・すまんな・・・長々と語ってしまって・・・」

組織部下女「いいえ、男さんのお話が聞けて、とても楽しかったですよ」

男「そうか・・・ならいいんだ。ふふ・・・俺も久々に熱が入ってしまった・・・あー、スッキリしたぜ・・・」

組織部下女「ふふ・・・でも、いいですね。男さんは・・・そんなに熱く語れるくらい好きな事があって」

男「・・・うん?どういうことだ?」

組織部下女「いえ・・・あ、その前に、男さんに一つ確認したいんですけど、男さんって・・・その・・・私や頭領達が今やっている事というか、関わっている事象のこと・・・知っているんですよね?」」

男「・・・まぁ、おおまかにはな・・・(そう言えば、こいつは俺の正体を知らないのか)」

組織部下女「ですよね、この前も私の獣で迎えに行っても、そんなに驚いてなかったですし・・・というか、今更なんですけど、男さんってこの『戦争』において、どういう立場さんです?どこに所属してるんですか?それとも監視役かなにかで・・・?」

男「・・・・・・悪いが、それはトップシークレットだ。教えてもいいが・・・ただ、お前の命の安全は保証出来んぞ・・・それでも、というのなら構わんがな・・・ククク・・・(というか、本当になんなんだろうな、俺の立場・・・)」

組織部下女「・・・分かりました。ならもう聞きません・・・それで、話は戻るんですけど・・・」

男「うむ」

組織部下女「・・・私は例えこの『戦争』で勝ったとしても、別に叶えたい願いがないんです」

男「・・・ほう?」

組織部下女「頭領と同じく、ある日突然、この『能力』に目覚めて今まで戦ってきましたが・・・はっきり言えば、頭領や周りの人に合わせて戦ってきただけで、私自身
は・・・特にこれといって・・・なんです・・・」

男「・・・なるほど」

組織部下女「だから、男さんや頭領、『騎士団』の人たちが羨ましいんです。叶えたい願いがあったり、好きな物ややりたい事があったり・・・私には、そういうもの、一つもありませんから・・・」

男「・・・俺には、その気持ちは残念ながらわからんが・・・例えば、尊敬する人や、好きな人とかはいないのか?」

組織部下女「え? 好きな人は・・・いま、えーっと・・・その・・・めのまえに・・・」

男「?すまんが、よく聞こえん。もう一度言ってくれ」

組織部下女「い、いえ!なんでもありません! 尊敬する人とかは・・・えっと頭領の事は、尊敬しています」

組織部下女「頭領は、元組織のリーダーが亡くなってしまった後も、懸命に私達を励まして、支えてくれました。いつ見ても、あの人は頑張っています・・・だから、私が少しでも支えてあげられたらと思って、いつも頭領のサポートをしているんですけど」

男「・・・そうか」

男「だったらお前は、それでいいんじゃないか?」

組織部下女「え?」

男「別に、無理してやりたい事や叶えたい願いを探す必要なんてない。逆にそうやって、自分の事ばっかり考えるより、回りの人間を支える事に力を注げるんなら、それはとても立派な事だと俺は思うぜ」

組織部下女「・・・そ、そうですか、ね・・・自分がないだけですよ」

男「そんな事ないさ。夢ややりたい事を追い求めるのはもちろん素敵な事だろうが、尊敬する人や好きな人の為に尽力できるというのも、同じくらい素晴らしい事だと俺は思うぞ」

組織部下女「・・・」

男「何だったらその願いだって、みんなの願いが叶いますようにって願いでもいいんじゃないか?そういう事を願う奴、俺は好きだな」

組織部下女「・・・」

男「だから、まぁ。そんなに悩むなよ組織部下女。今日だってお前は、俺のオタクっぽい語りを真剣に聞いてくれたじゃないか。それが俺にはとても嬉しかったぞ?そういう風にお前は誰かの役に立ってるんだ」

組織部下女「・・・」

男「だから、自分がないとかそんな事言って自分を安売りするな。大体お前、アイドル並みに可愛いんだから、もう少し自信を持て、な?」

組織部下女「・・・///」

男「・・・と、なんだか、説教臭くなっちまったな。悪い・・・」

組織部下女「いえ・・・あの、今のお言葉・・・とても嬉しかったです・・・すごく・・・すごく・・・」

男「・・・そうか。まぁ、俺、御刀虎の言葉はどんなに汚れた悪魔の魂でさえ浄化してしまうからな・・・当然と言える、ククク・・・!」

組織部下女「あ、それと。たった今、私の願いが決まりました」

男「急だなおい!?・・・で、どんな願いなんだ?」

組織部下女「ふふ、秘密です♪(口に手を当ててウィンク)」

男「ドキッ)そ、そうか・・・まぁ組織部下女の迷いが晴れたのなら、それで構わんが」

組織部下女「はい・・・それじゃあ、私。そろそろお暇しますね」

男「うむ・・・いい時間だしな・・・暗いし送ろうか?」

組織部下女「いえ、大丈夫です。私には獣がいますから」

男「ふふっ、それもそうか」

組織部下女「はい、あ、というか組織女さんから伝言があるのを思い出しました」

男「伝言?」

組織女「はい。日曜日隣町の駅前に朝10時集合だそうで・・・ひょっとして・・・で、デートですか?」

男「カカッ、そんなんじゃあねえよ。俺とあいつはただの友人だ。それ以上でも以下でもない。大体あいつは、すごくいい女だろう?はっきり言って俺には勿体無いぜ」

組織女「そう・・・ですかね・・・?」

男「そうに決まってるだろう?何を疑う事がある。それより、これを持っていけ」

組織女「・・・これは?」

男「俺がいつも持ち歩いている、†卍 刹那・神龍・X・アルファルド卍†先生の、デビュー作の第一刷だ・・・超貴重だぞ・・・ククク・・・我が魂のルーツと言っても過言ではない・・・心して読むがいい」

組織部下女「はい。ありがとうございます。じっくり読ませていただきますね・・・それじゃあ、また会ったら、作品について語り合いましょうね、男さん♪」

男「おう、またな」

組織部下女(えへへ・・・やっぱり男さんはかっこいいなぁ・・・!)

組織部下女(組織女さんとの関係はちょっと気になるけど・・・でも、今はそれより、『戦争』に集中しよう!)

組織部下女(私の願いを叶えるためにも、がんばらなくちゃ、うん!)

男「行ったか・・・さて、せっかく見つけた同好の士だ・・・組織部下女も、組織女も倒す事なく、なんとかこの『戦争』を穏便に済ます方法はないものかね・・・」

男「まぁ、難しいだろうが・・・とりあえず、今度の週末の組織女との遊びで、そういう方向に持っていくしかない、か・・・」

男「では、コンビニで今週の喧嘩稼業を読んでから帰るか掲載されているといいが・・・うん?なんだあの人影は・・・どこかで見た覚えがあるような・・・」

???「わたしはー・・・フラれたー・・・」

男「変な歌を歌いながらフラフラと・・・アレは・・・先生・・・?」

???「一生・・・独り身の・・・一人ぼっち・・・寂しい・・・虚しい・・・人生ー・・・」

男(・・・その人影はフラフラと酔っ払った様子で裏路地に入って行ってしまった・・・)

男「・・・どうする・・・先生だったような先生じゃなかったような・・・ええい、とりあえず追いかけて見るとするか・・・」

男(彼氏にフラれたショックで自殺・・・なんて笑えねえしな。人違いだったら、すみません間違えました―で済む話だし)

男「先生―・・・って、あれ・・・?誰もいない・・・?」

男「おかしいな、さっきこの路地に入ったのを見たんだが・・・それとも俺の勘違いだったか・・・?」

男「はっ、まさか・・・異世界に連れて行かれてしまって・・・!?」

男「いや、ないか・・・まぁ、見間違いだったんだろう。俺も色々あるしな」

不良1「きみきみー、こんな深夜にうろついてちゃ危ないよ・・・お兄さん達が家まで送ってってあげるからなー、手間賃として・・・って、てめぇ!?この前の中二か!?」

不良2「てめえ!!この前はよくも俺たちのナンパを邪魔してくれやがったな!!ここで会ったが100年目だゴルァ!!」

男「・・・貴様らは、確かメイドに絡んでた不良・・・」

不良1「おーよく覚えてるじゃねえか中二!!ここでこの前のお礼をたっぷりさせて貰うぜェ!?ヒャッハー!」

不良2「骨の一本や二本じゃ済まさねえかんな、おーん!?明日の朝刊載ったぞてめー!!」

男「ククク・・・やめておけ・・・今日の俺は、ようやくウマが合う仲間を見つけて機嫌がいいのだ・・・今ならば見逃してやるからさっさと・・・ボヘェ!?」

不良1「相変わらずブツブツ訳わかんねえ事言ってんなてめぇ!!オラァ!」

デュクシ!!

不良2「いいからさっさと金出せボケがッ!!」

デュクシ!!

男「か、カカッ・・・本当にその辺でやめておけお前ら。俺に手を出すという事は即ち、裏世界の住民すべてを敵に回す事に・・・あっ、痛い!痛い!やめて、そこ痛いから!!グヒィ!?」

不良1「クソっ、ザコのくせに、妙に耐久力だけはあるなてめぇ・・・いいからはやく財布を・・・」

女「・・・男・・・?」

男「あっ・・・お、女・・・?」

不良1「ああん!?関係ねえ奴はひっこんで・・・おっとぉ・・・ヒューゥ。すげえ上玉じゃねえか・・・」

女「・・・あんた、なにやってんの?そんなザコども相手に」

不良1「・・・おい!!俺を無視してんじゃ・・・ベヒぃ!?あ、手首が、手首がぁ!?関節やめろぉ!」

男「あー、いやー、そのー・・・ククク・・・この不良どものストレス解消をしてやろうと思って・・・こんなザコどもの殴打や蹴りなど、何発貰っても屁でもないのでな・・・フフフ」

女「ふーん」

不良2「てめえそこの女!不良1を離しやが・・・ゲヒぃ!?て、てめぇ・・・人の顔を足で蹴りやがっ・・・ゴフゥ!?人の顔を踏むな!!」

女「・・・いい。あんた達、次。この男に手出ししたら、命はないと思いなさい。わかった?」

不良1・2「・・・」

女「・・・」ギュゥ フミフミ

不良1「いでででで!!」

不良2「ああああ顔の皮が剥ける!」

女「わかった?」

不良1・2「・・・・・・・・・・・・はい、わかりました」

女「声が小さい!」

不良1・2「はい!!!!!!わかりました!!!!!!!」

女「よしおっけー。ほら、行ってよし」

不良1「不良2立てるか!?ちっくしょーてめえら覚えてやがれ―!!」

不良2「やがれ―!!!!!!」

女「漫画以外でそのセリフ言う人達、初めて見たわね・・・大丈夫、男?」

男「・・・ふ、ふふ、別に奴らの攻撃など、蚊が止まったくらいにしか感じん・・・」

女「・・・ちょっと見せて。あー血が出ちゃってるじゃない。もーなにやってんのよ」カバンゴソゴソ

女「ほら、バンソーコー貼ってあげるからベンチ座って」

男「・・・いらん。余計なお世話だ」

女「うっさい、怪我人は大人しくする。ほーら」

男「うっ・・・(顔が近いな・・・)」ドキドキ

女「はい、終わり。あんた、これにこりて喧嘩は止めときなさいよ?」

男「お、おう・・・」

女「?なに顔赤くしてんの?」

男「・・・別に・・・というか、お前、こんな所でこんな時間に、なにしてるんだ?」

女「言ったでしょ、お姉ちゃんのお墓参りに行くって。それで買い物とか色々してたら遅くなったのよ。ていうか、あんたこそこんな時間になにしてんの?」

男「あー・・・まぁ、なんだそのー・・・色々してたら、こんな時間でな・・・気付いたらあの不良どもに喧嘩売られてて、しょうがなく奴らのフラストレーション解消に一役買ってやったのだ」

女「あんたねぇ・・・あんなバカ共に付き合わなくていいのに。確かに私達『能力者』は、あんな奴らに殴られたって痛くも痒くもないけど・・・」

男「・・・俺を殴って奴らのストレス解消になるのなら安いものだろう。街の治安維持の為だ。仕方あるまい」

女「・・・ま、私が脅したし、奴らも当分悪さしないでしょ・・・じゃあ帰るわよ・・・とは言ってもあたしん家、すぐそこだからさ。今日は送って貰わなくても大丈夫だけど」

男「ああ、そう言われれば確かにここは女の家の近くだったな」

女「でしょ?」

男「うむ・・・では俺も家に帰るとするか・・・バンソーコー、ありがとよ」

女「ふふん、あたしは器が大きいから、お返しは近くのレストランの最高級コース料理で勘弁してあげるわ」

男「・・・カカッ、それはなんとも器の大きい事だ」

女「クスクス、じゃあね、男」

男「フフフ、おう、また明日、学校でな」

女(うっふっふー・・・なんだかちょっと男といい感じね、あたし!)

女(男の子ウケする香水とか買ってきたし、明日からもっと急接近出来るかも・・・なんて///)

女(バンソーコー貼る時も、男のゴツゴツした肌に触れちゃったし・・・なんか急に恥ずかしくなってきたわ・・・///)

女(・・・でも、あれ・・・?さっきの男、考えてみるとちょっとおかしいわね・・・男が『能力者』なら、殴られたって出血なんかしないはず・・・)

女(前のお嬢達との戦闘の傷跡が開いた・・・?いや、でも私達は回復も速いわ・・・ましてや古傷や傷跡なんて残らないはずなのに・・・)

女「・・・まぁ、でもそこら辺は・・・男の抱えてる謎って奴なんでしょうけどね・・・」

女(・・・まさか、一般人って訳でもないでしょうに・・・いや、流石にそれはありえないわよね・・・)

女(・・・)

女「・・・ふぅー、考えるのはやめやめ。さっさとお風呂に入って寝まっしょっと」

女「・・・お姉ちゃん、絶対に私達は『戦争』に勝つからね・・・」

女「そうしたら・・・また・・・お姉ちゃんに・・・」




組織部下女「どうしよう・・・男さんから借りた小説・・・ちょ、超つまらない・・・」

おわーり。
今回も箸休め回になってしまった・・・
次はなるべく早めに投稿出来ると思いますので・・・
あと、いつもコメントありがとうございます。力になります、マジで
ではまた次回に・・・

投下します。

なんだかんだ日曜日。


騎士団長「でやああ!!双雷襲真皇裂乱撃衝!!」

男「・・・ククク・・・いい感じですぜ、次!」

騎士団長「やああああ!!紫神裂時覇滅王双刃!!」

男「・・・ふふ、素晴らしい斬撃だ・・・どんな敵も真っ二つになること間違いない・・・次!連携!」

騎士団長「おおお!!時浄刃!!! 絶皇滅雷剣!!! 破衝斬殺神襲!!! くらえぇ!! 暴裂浄覇断翼乱閃撃!!!!」

パチパチパチ・・・

男「流石団長殿・・・思わず拍手してしまいましたぜ・・・大したものだ・・・」

騎士団長「ふふ、ありがとう・・・私も大分成長してきた気がする・・・!」

男(しかし思うんだが、これ、団長の鍛錬の役に立ってるんだろうか・・・相変わらず団長殿の剣捌きは凄まじいけど)

騎士団長「しかし、悪いな。朝の5時から付きあわせてしまって・・・早朝の鍛錬はいつもこの時間なものでな・・・」

男「いえいえ、大した事では・・・ふぁぁぁ~・・・あ」

騎士団長「ふふっ・・・君も欠伸などするんだな」

男「・・・済まないな団長殿。ちょっと気が抜けたようだ」

騎士団長「気にするな、とても可愛らしい欠伸だったぞ」

男「・・・///」

騎士団長「ふふ、少し休憩にするとしようか」

男「はい」

騎士団長「今日は朝からわざわざ忙しい所をありがとう、男。おかげで随分と鍛錬がはかどっているよ」

男「団長殿の頼みだし、これくらいなんともないですぜ・・・むしろ、役に立ってるか不安ではありますが」

騎士団長「ふふ、とても役に立っているよ・・・主にメンタル面で、な」

男「そうですか・・・これからも、ご要望とあれば付きあわせてもらいますぜ、団長殿」

騎士団長「うむ、頼むぞ。ほら、今日はこの前言っていた紅茶だ。飲みたまえ」

男「では、遠慮無く・・・うむ、美味い」

騎士団長「ふふ、なら良かった」

男(団長殿は本当にこの訓練が楽しそうだな・・・一生懸命技名を考えてきた甲斐があったもんだ)

男(・・・ところで、団長殿って普段何をしているんだろうか。メイドは置いといて、俺や女は高校生、組織女や組織部下女、それにお嬢もおそらく高校生だろうが・・・)

男「ちょっといいか団長殿?」

騎士団長「ん?どうした、男」

男「団長殿って普段は何をされているんです?」

騎士団長「ん?ああ、言っていなかったか。普段の私は大学生だよ。紅茶の水女子大学に通っている」

男(紅茶の水女子大って・・・日本で最高峰の女子大じゃねーか・・・)

男「前回来た時も思ったのだが・・・団長殿の血筋はいわゆる由緒正しい家系だったりするので?」

騎士団長「・・・まぁ、それなりにな。自慢に聞こえるかも知れないので言わなかったが・・・親が色々とうるさくてね、中学も高校もいわゆるお嬢様学校に通っていたよ」

騎士団長「それに大学も、親が女子大以外行かせんとか言い出してね・・・まぁいわば、世間知らずのお嬢様というやつさ。勿論機関のお嬢ほどではないけれども」

男「ほほう・・・しかしその割には、随分と口調はクールというか、男っぽいというか・・・」

騎士団長「・・・まぁ一応理由はあるのだ。自慢にもならないが、どうも私は同姓から頼られる事が多くてな・・・回りが女子ばかりだからか、男の子役を求められるというか・・・言いたい事がわかるか?」

男「まぁ、なんとなくは・・・」

騎士団長「うむ・・・さらに文化祭や体育祭では、何かと男装をさせられる事が多くてな・・・ならばいっそ男の子役に徹してやろうと思い、気付いたらこんな口調になってしまっていたのだ」

男「・・・団長殿も大変でしたな・・・しかし・・・それではさぞかし女子からモテモテだったでしょう?」

騎士団長「うぐっ・・・なぜ分かる・・・」

男「まぁなんとなく・・・特に団長殿は、女性からお姉さま等と慕われそうな容姿ですし・・・」

騎士団長「うっ、それも当たりだ・・・まぁ中には、私から見ても、明らかに恋愛感情のこもった目で私を見つめてくる子もいて、正直まいる・・・が、私からすれば彼女たちが羨ましいよ」

男「?どういう事です?」

騎士団長「私自身、幼少の頃から女に囲まれていてな・・・身の回りに男性がいない環境が当たり前すぎて、あまり男性というものを詳しく知らないのだ」

騎士団長「だから、まぁ実は君とこうして二人っきりで稽古するというこの行為も・・・実は私の人生では数えるくらいの、異性とのコミュニケーションという奴なのだ」

男「そ、そうですか・・・(結構ドキっとする事言うなぁ、団長殿は・・・)」

騎士団長「それ故に、初恋もまだでね・・・恋の一つや二つ、私だってしてみたいのだが・・・まぁとは言っても私も大和撫子だ。ここまで来たら将来の旦那様に出会うまで、操を守るつもりだがな」

男「・・・ふふっ、流石の高潔さだな、団長殿」

男(随分と古い価値観だな・・・大和撫子とか久しぶりに聞いたぞ・・・まぁ自ら世間知らずのお嬢様と自嘲するくらいだし、当然か・・・しかし最近、若者の生の乱れが著しいし、そういう奴らに団長殿の爪の垢を飲ませてやりたいぜ)

騎士団長「ふふ、ありがとう・・・しかしまぁ・・・もう少し私は女子から告白される回数を減らす方法とか思いつかないか、男?私はそっちの気はないので、正直困っているのだが・・・」

男「・・・まぁ、それはしょうがない事では?団長殿は男の俺からしても格好良く見えますしな」

男(汗で濡れた肌が色っぽく見え、漆黒の黒髪に白い袴のコントラストがとてつもなく似合っていて・・・まるで一枚の絵のようだ・・・美人は本当に得だな)

騎士団長「カッコイイ・・・か・・・はぁ・・・」

男「・・・そういう風に形容されるのは、お嫌いか?団長殿」

騎士団長「そんなことはないさ。もちろん、どういう形にしろ褒められるのは嬉しいよ・・・ただ・・・」

男「ただ?」

騎士団長「・・・いや、なんでもないさ。さぁ、訓練を再開しよう!」

男「は、はい・・・」

男(うぅーむ、なにやらコンプレックスを抱えているようだ、あまり触れないでおこう)

一時間後。

騎士団長「剣裂双皇襲護一覇破翼舞剣!! ふぅー・・・こんな所だろうか」

男「ですな・・・俺もそろそろ、用事に行かなきゃならんので」

騎士団長「ふむ・・・お疲れ様だ。楽しく、そしていい鍛錬だったぞ」

男「ククク・・・なら良かったですぜ・・・では」

騎士団長「・・・あ、いや、ちょっと待ってくれ男」

男「・・・なんです?」

騎士団長「その・・・言うのが遅くなってしまったが・・・この前は助けに来てくれて本当にありがとう。改めて礼を言わせて貰う」

男(この前、ああ、お嬢達との戦闘の事か)

男「いいえ、お礼を言われるような事は何も・・・(実際、俺はほぼ全部、他力本願だったしなぁ)」

騎士団長「何を言う。君が来てくれなければ、私達は間違いなく死んでいた。君は命の恩人なのだ。何度お礼を言っても言い足りないくらいだ」

男「ククク・・・団長殿。俺たちは仲間でしょう?助け合うのは当然の事。逆にそれでお礼を言われても困りますぜ?当たり前の事を当たり前にやっただけの事ですからな」

騎士団長「でも・・・」

男「とにかく、それ以上は言いっこ無しにしましょうや。美しい乙女のピンチに駆けつけるのは、男の義務であり、そして男にとって最大の喜びなんですぜ?」

男「まぁ助けたからと言って、お礼や金銭を要求するような勘違いした馬鹿は、男の風上にも置けませんが。だから、それ以上のお礼はいりませんぜ」

騎士団長「・・・美しい・・・乙女・・・」ポー

男「・・・団長殿?」

騎士団長「・・・はっ。す、すまない男・・・ちょっとぼーっとしてしまって・・・」

男「カカッ、構わんよ団長殿。ぼーっとする団長殿は中々可愛かったですぜ?」

騎士団長「か、かわっ・・・君は何を・・・年上をからかうんじゃないっ」

男「?別にからかった訳ではないですが・・・」

騎士団長「え、ええい!ともかく一旦口を閉じろ男!まったく君という奴は・・・君はという奴はまったく・・・もうっ!」

男「・・・フフフ、そうやって頬を膨らませている所も子供みたいで可愛いですぜ」

騎士団長「っ・・・あの、だから・・・っ・・・」

男「・・・ん?団長殿、顔が真っ赤ですが・・・」

騎士団長「っ・・・ええい、そこになおれ!君には男女交際のあり方というものを教えてくれるっ!」

男「だ、団長殿・・・?急に何を言い出すんです・・・?その、俺には用事があるのですが・・・?」

騎士団長「うるさーい!嫁入り前の女に向かって、そうほいほい可愛いだの綺麗だのと宣って・・・!そんな口の軽い男が我が『騎士団』にいるなど、神が許しても私が許さん!」」

騎士団長「ともかく君にはお説教だ!大体この前だって君は、仮にもその時はまだ敵であったメイドにも散々綺麗だとか美人だとか言ってた!そうやって甘い言葉で幾人もの女を騙してきたんだろう!?」

男「だ、団長殿、落ち着いて・・・!」

騎士団長「これが落ち着いていられるかー!!たっぷり指導してくれる!」

男(・・・すまん、組織女。ちょっと遅れるやもしれん・・・)

騎士団長「大体君は・・・『騎士団』の団員としての自覚が・・・可愛いとか・・・美人とか・・・別に言うなとは言わな・・・せめて・・・言うなら、わ、私にだけ・・・」

男(長いなー・・・)←聞き流してるから、内容が頭に入ってこない。

騎士団長「という事だ!!わかったか男!?」

男「は、はいわかりました! あの、それで団長殿・・・そろそろ俺は用事に向かってよろしいですかな・・・?」

騎士団長「・・・っ!?は、す、済まない・・・可愛いと言われ慣れてなかったから、訳がわからなくなってしまって・・・つい・・・申し訳ない!」

男(普段キリッとした団長殿が、申し訳なさそうに謝ってる図は、見る人がみれば垂涎ものなんだろうが・・・今はそれを味わう時間が無い!)

男「気にしなくて大丈夫ですぜ団長殿!では俺はこれで!!また後日!!」

男(やばいな、速攻で家に帰って、服を着替えて、また駅へ・・・果たして約束の時間に間に合うか・・・!?)

騎士団長「行ってしまった・・・」

騎士団長(か、可愛いか・・・}

騎士団長「私が、可愛い・・・うふふ」

騎士団長(くっ、何をだらしなくニヤけているんだ私は・・・)

騎士団長(弛み、緩みをなくさねば・・・)

騎士団長「ふんっ!やぁ!!」

ブォン!ブォン!(剣を振る音)

騎士団長(・・・どうも剣を振っても、集中できん・・・)

騎士団長(・・・男、用事って何の用事なのだろうか)

騎士団長(まさか、女とではあるまいな・・・)

騎士団長(・・・)

騎士団長(・・・なんだか、そう考えたら急に苛ついてきたな・・・)

騎士団長「・・・・・・・」

騎士団長(・・・ちょっと、後を追いかけてみるか)

騎士団長(・・・こ、これは別に、ストーカーでもなんでもない。決して犯罪行為ではないぞ)

騎士団長(ただ、男の毒牙にかかる女性の被害を増やさぬ為にだな・・・)

騎士団長「よし、そうと決まれば・・・」

町外れ 『組織』のアジト

組織女「ん~~むにゃむにゃ・・・ば、やめろ男・・・強引すぎるってぇ・・・ばかぁ・・・」

組織部下女「あれ・・・?頭領。なんでこの時間に、私達のアジトにいるんですか?もうそろそろ男さんと、デートのはずじゃあ・・・ていうか、寝てる?」

組織女「あ、あほ・・・どこ触って・・・だ、だめだって・・・やめ・・・」

組織部下女「頭領~・・・?」

組織女「う、うう~ん・・・?ふぁぁ~・・・んだよ組織部下女、せっかくいい夢見てたのによ・・・」

組織部下女「それは失礼しました・・・ただ、頭領、確か今日って男さんとの約束がある日じゃあ・・・?」

組織女「・・・あ?・・・あぁ!!や、やっちまった!!昨日夜中まで服選んでたから・・・ああ、髪の毛もボサボサだ!ちくしょう!やらかしたー!」

組織部下女「あ、あはは・・・私、男さんに、頭領が遅れるって連絡しておきましょうか?」

組織女「いや、いい!!なんとか間に合わせる!!くっそー!!速攻でシャワー浴びてご飯食べて着替えて化粧して・・・」

組織部下女「あー・・・とりあえず、朝ごはん、用意しておきますね、あはは・・・」

組織女「悪いが頼む!!」

組織部下女(・・・頭領が寝坊なんて、普段なんだかんだきっちりしてるところはとことんきっちりしてる人なのに)

組織部下女(よっぽど楽しみにしてたんだなぁ、男さんとのデート・・・まぁ、男さんはそう思ってないみたいだけど・・・)

組織部下女(いいなぁ、頭領・・・)


それから20分後。


組織女「やべえ、完全に遅刻だ・・・それじゃあ行ってくる!」

組織部下女「はい、お気をつけて・・・」

組織部下女「・・・」

組織部下女(・・・いいなぁ、デートかぁ。私もいつかしたいなぁ・・・)

組織部下女(男さんと恋愛映画見て、ディナーして、そして綺麗な夜景をバックに・・・///)

組織部下女(はぁ・・・まぁ今は遠い夢だけど・・・)

組織部下女(・・・男さん・・・会いたい)

組織部下女(・・・・・・気になる・・・会いたい・・・なにか、理由、理由は・・・)

組織部下女(はっ、そうだ)

組織部下女「・・・頭領は急いで出かけていったし・・・ひょ、ひょっとしたら頭領がなにか忘れ物とかしてるかもしれないから・・・」

組織部下女「その時、頭領がデートから抜け出さないで済むように・・・ちょ、ちょっとだけ、二人の後付けちゃおっかなぁ・・・これは・・・別に尾行とかストーカーじゃなくて、これも男さんが言ってた、人の役に立つ、だよね・・・うん!」

組織部下女「よし、じゃあ早速・・・」

女(ふふん、今日の夜は男と二人っきりのデート・・・とは、向こうは思ってないかもだけど、えへへ、楽しみだなぁ♪)

女(今日の為に、わざわざ隣町の人気の美容室まで予約したんだから!)

女(美容院に行って、服も新しいのおろして・・・し、下着は・・・ど、どうしようかしらね・・・」

女(いや、ていうか。そもそも私達、まだキスもしてないんだし・・・いくら何でも・・・それはないわよね・・・)

女(いや・・・でも、男って意外と強引そうだし・・・可愛くないの履いてて、幻滅されたら嫌だなぁ・・・いや、でもあたしにも心の準備ってものが・・・)

女(モブ女1ちゃんに相談した方がいいかしら・・・)

女(って、あれ・・・あの後ろ姿は・・・)

女「・・・団長?」

騎士団長「ビクッ)うあぁぁ!?ってなんだ、女か・・・ビックリさせないでくれ」

女「す、すみません・・・えっと、こんな所でなにしてらっしゃるんです・・・?なんか団長らしくもなく、コソコソしてますけど・・・」

騎士団長「しっ!静かにしろ!気付かれたらどうするんだ!」

女「は、はぁ・・・あの・・・何をなされているんですか?さっきから」

騎士団長「・・・追跡だ」

女「・・・は?誰のです?」

騎士団長「・・・お、男の、だ」

女「はぁ・・・?え、どういう事です?」

騎士団長「・・・じ、事情は後で説明する・・・ともかく君もこの追跡に参加しろ!」

女「いや、ちょっと意味が・・・」

騎士団長「いいから!」

女「・・・まぁ、団長のご命令なら」

女(団長がこんなにドギマギしてるの、初めて見たかも・・・でも、一体なんで男を追跡・・・?)

女(というか、本題の男はどこに・・・あ、居た・・・)

女「男を発見しましたけど・・・男は一体何をしてるんですかね?誰かと待ち合わせみたいですけど」

騎士団長「おそらく女との待ち合わせに違いない・・・見ろ。あんなオシャレな格好をして・・・普段私達と会う時と、全く格好が違うではないか・・・」

女「た、確かに・・・普段はともかく真っ黒か、ド派手かのどちらかですけど・・・随分とこう清潔感があるというか、爽やかというか・・・でも決まった訳ではないですよね・・・?」

騎士団長「いや、そうに決まっているだろう・・・全く、さっき私に可愛いと言っておいt・・・」

女「可愛い?」

騎士団長「い、いやなんでもない・・・とにかくだ!!」

騎士団長「この『戦争』も終盤に差し掛かった時になんたる気の緩みだと私は言いたいのだ・・・今日一日、じっくり追跡して、また説教してやらねば・・・大体、遊ぶ余裕があるなら、私と鍛錬するべきではないか・・・まったく・・・」

女「団長、それは尾行とか、ストーカーとか言うのでは・・・」

騎士団長「ひ、人聞きの悪い事を言うな!ただ私は彼に、女にうつつを抜かしてる場合ではないのだぞ!という事が言いたくてだな・・・!」

女(・・・まぁ私も、夜に会う約束してるから、気の緩みうんぬんに関してはなんとも言えないけど・・・)

女(でもまぁ、まさか男も昼間別の女と遊んで、夜に私と遊ぶほど器用じゃない・・・はず。だからまぁ、適当に男を援護してあげよう)

女「まぁまぁ団長。たまには男もパーッと遊ばせてあげましょうよ・・・男だって365日24時間戦える訳じゃないんですから・・・それに女の子って確定した訳でもないんですし」

騎士団長「むっ・・・まぁ、確かに・・・言われて見ればそうだが・・・」

女「でしょう?大体、こういう陰湿な事は、『騎士団』の誇りに泥を塗る事になるのではないでしょうか?もっと仲間を・・・男を信じてあげましょうよ?それに男だってまさか、この大事な時期に女にかまけて腑抜けたりなんかしませんって」

騎士団長「・・・ふむ、そう・・・だな・・・すまない・・・ちょっと気が動転していたみたいだ・・・ありがとう、女。私は危うく『騎士団』としての誇りに自ら傷を付ける所だった・・・」

女「いえいえ、ふふ、むしろ団長の貴重な姿が見れて、眼福でしたよ・・・もし良かったら、久々にご飯でもどうで・・・あれ?」

女(・・・ん?男の傍に、近寄る人が・・・あれが待ち合わせの人・・・? え、本当に女の子・・・? うわ、しかも超可愛くない、あの子・・・?)

騎士団長「ん・・・? あ、あれはもしや・・・」

男「ふぅ・・・20分ほど遅れてしまったが・・・まだ組織女は来てないようだ・・・助かったぜ」

男「・・・ん?なんだ、どこからか視線を感じるような・・・ククク・・・とうとうこの世界の『観測者』が現れたようだな・・・フフ、だが、この暗黒の邪王、御刀虎の感覚は騙しきれんぞ・・・ククク・・・」

男(・・・というか、マジで見られているような・・・いや、でもどこにも人影見当たらないし・・・気のせいか)

男「ふぅ・・・それにしても、もし女や団長殿と鉢合わせしてしまったらなんて言い訳しよう・・・まぁでもそこら辺、組織女も意識しておいてくれたのか、わざわざ待ち合わせ場所が隣町な訳だし、大丈夫だろ、多分)

タッタッタ

組織女「はぁはぁ・・・わりぃ・・・だいぶ遅れちまったな・・・」

男「おお、来たか組織女。なに、俺も今来た所だ。気にするな」

組織女「そ、そうか・・・」

組織女(な、なんだよこいつ・・・普段だったら『ククク・・・この御刀虎を待たせるとはいい度胸だ・・・』とか言うくせに・・・なんで今日に限って、そんな優しい言葉を・・・)

組織女「つ、つーか、なんだよお前・・・どうしたんだその格好は・・・?いつものド派手で頭悪そうな服はどうした?」

組織女(ほ、本当にデートだと思ってくれて、服も変えたのかな・・・だったら嬉しいけど・・・///)

男「頭悪そうって言うな!・・・いやよ、久々に組織女と二人っきりで出かけると母さんに言ったら、無理矢理服屋に行かされてな・・・それでこの格好をさせられたのだ・・・全く、いつもの服装でないと、俺の中の獣の拘束が解かれて、『奴ら』が暴れだしてしまうと言うのに・・・」

組織女「そういう事か・・・でも、いいじゃねえか。そういうお前も新鮮だぜ。ていうか、絶対そっちの服装の方がいいと思うぞあたしは・・・」

男「そうか?正直、着てる俺からすれば普段の服装と違いすぎて、ちょっと不安だったのだが・・・お前にそう言われて安心したぜ、ありがとう(ニコッ)」

組織女「~~~っ///(こいつ、普段の「ククク・・・」みたいな不気味な笑い方じゃなくて、こういう屈託のない笑顔だけは本当に可愛いからなぁ・・・)

男「ていうか。組織女こそ普段のボーイッシュな格好とは違い、、随分と可愛い服装をしているではないか、どうしたのだ?」

組織女「いや、どうしたっていうか・・・それはその・・・まぁ・・・なんとなく・・・」

男「ほう?まぁ理由は何でもいいが・・・ふむ・・・ほほぉ・・・よく見れば薄っすらと化粧もしているではないか」

組織女「な、なんだよ・・・じろじろ・・・見んなって・・・それになんだ、あたしが化粧しちゃ悪いかよ・・・」

男「そうは言ってないだろう?しかし・・・うむ。ふむふむふむ・・・」

組織女「・・・いつまで見てんだよおめえは・・・ど・・・どうせ似合ってないと思ってんだろ・・・?」

男「・・・美しい・・・」

組織女「・・・・・・は?」

男「再会した当初から思っていたのだが、中学生の頃とくらべて・・・いや、あの頃も当然そうだったが・・・さらに綺麗になったな、組織女」

組織女「・・・・・・はぁ?」

男「ともに暴走族のアジトに乗り込んで、勇ましく暴走族のメンバーを倒していくお前は美しかった・・・しかし今の女の子女の子しているお前も、とてもビューティフルだ」

組織女「な、な、な」

男「前々から整った顔立ちという事は知っていたが・・・化粧と服装で女は変わるというのは本当だな・・・組織女はスタイルもいいし・・・モデル雑誌にでも応募してみたらどうだ?きっとすぐにトップモデルになれると思うぞ」

組織女「う、う、うっせぇ!!」

ヒュン!(組織女が男を殴ろうとする音)
シュ!(組織女の拳をかわす男)

男「おっとぉ・・・ククク、見切っていると言っただろう?というか、お前は一体何で怒っているのだ・・・?あ、上から目線がうざかったか?なら謝るが」

組織女「そ、そういう意味じゃなくて・・・むしろ・・・ええい!なんでもねえよ!」

男「一体どうしたんだお前は・・・顔も真っ赤だが・・・」

組織女「なんでもねえって言ってんだろ!」

男「お、おぉ・・・思った事を言っただけなのだが・・・全く、これだから女は訳がわからん・・・」

男「ところで、今日は何をするのだ。俺はまだこの街に引っ越ししてきたばかりで、正直何も分からんぞ・・・まぁ一応それなりに調べてきたが」

組織女「ああ、それなら心配すんな。あたしが色々考えてきたからな」

男「おう、それじゃよろしく頼む」

女「・・・・・・・」

騎士団長「・・・・・・・」

女「・・・・・・だ、、団長」

騎士団長「・・・な、なんだ女」

女「頬を・・・つねってもらっていいですか・・・」

騎士団長「ほ、ほう・・・奇遇だな、女・・・私もちょうど誰かに頬をつねって欲しかったところだ・・・」

ぎゅうう(お互いの頬をつねる音)

女「うぅ・・・痛いです・・・」

騎士団長「私もだ・・・どうやら夢じゃないようだな・・・」

女「男・・・どうして・・・組織女と・・・」

騎士団長「そう言えば、組織女は確か古い知り合いのような感じだったな・・・」

女「じゃあ・・・まさか、男は組織女と共謀して・・・私達を・・・裏切・・・いや、それはないですよね・・・もしそうだとしたら、機関のお嬢との戦闘が終わった後に、男が私達を襲えば、すべてが終わったはずですし・・・」

騎士団長「うむ・・・その可能性は薄いというか、ほぼないと考えていいだろう・・・というか、彼が私達を裏切った等と考えたくもないしな」

女「それは私も正直同じ考えです・・・ですが・・・ならばなぜ、男は組織女と・・・で、デートみたいな事をしているのでしょう・・・」

騎士団長「・・・」

女「・・・」

騎士団長「それは・・・つまり・・・なんだ・・・彼が組織女を憎からず思っているというか・・・もっとはっきり言ってしまえば・・・す、す、す・・・好き、だからでは・・・?」

女「・・・・・・」

騎士団長「・・・・・・」

女「団長」

騎士団長「なんだ?」

女「男を追跡しましょう・・・今日一日かけて、じっくりと・・・一挙手一投足をじっくり観察しましょう・・・!」

騎士団長「ふ、ふふっ・・・またしても奇遇だな、女・・・ちょうど私もそのように思っていたところだ・・・!」

女(許せないわ・・・私と夜に遊ぶ約束しておきながら・・・昼間は他の女と遊ぶなんて・・・)

騎士団長(さっき私と稽古したその足で、他の女と逢瀬するとは・・・なんという不埒な男だまったく・・・今度の土日はじっくりと説教してくれる・・・)

女「よし、じゃあ男たちも動き出しましたし、ついて行きましょうって・・・ん?」



???「わぁ・・・男さんの服装、すごく格好いい・・・なんか、頭領もすごく乙女な顔になってるし・・・」

???「わぁ・・・男さんの服装、すごく格好いい・・・なんか、頭領もすごく乙女な顔になってるし・・・」

女(あ・・・あれは・・・組織部下女・・・!?なんでこんなところに・・・というか、なんであいつはコソコソしてるの・・・?)

女「だ、団長・・・あいつ・・・!」

騎士団長「クソ、組織女め、楽しそうに男の隣を歩きおって・・・うん?どうしたおん・・・」

組織部下女「・・・ん?誰かが私を見てる気が・・・って、あ・・・」←女と団長と目が合う

騎士団長「・・・お、お前は・・・組織部下女!?貴様、こんな所で何をしている・・・!」

組織部下女「『騎士団』の二人・・・!こんな所で何を・・・まさか、頭領を狙って・・・!?」

騎士団長「な、何を抜かす貴様!そんな卑劣な事を私達『騎士団』がする訳ないだろう!貴様こそ、男を闇討ちしようと考えているのではあるまいな!?」

組織部下女「ば、バカな事を言わないで下さい!何で私が大好きな男さんを・・・はっ」

女「大好き・・・?」

組織部下女「ゴホンゴホン!と、とにかく私は、男さんに手出しをするとか考えていません!ただ、私は、男さんの姿が一目見たくt・・・じゃなくて!頭領のサポートが私の役目ですから!頭領が困った時に役立てるよう、影から見守ってたんです!」

騎士団長「・・・・・・ふむ、確かに、手出ししようと思えば、さっきからいくらでも手出しは出来たはずだしな・・・嘘は言っていないか・・・」

女「どうします、団長?戦えば・・・おそらく2対1ですし、確実に倒せますが・・・ただ、男を見失いますよ」

騎士団長「くっ・・・二兎を追えはしないか・・・ならば・・・おい、組織部下女」

組織部下女「な、なんですか・・・やるんですか・・・?戦うのなら容赦はしませんよ!」

騎士団長「違う。よく聞け。ここは一時休戦と行かないか?」

組織部下女「・・・はい?」

騎士団長「お前は組織女を見守りたい、私達は男達を追跡したい・・・ならば今日一日だけ、私達は敵ではない。という事にしないか?」

女「つまり、お互いに手出しはしない、という事ですか?団長」

騎士団長「そういう事だ。今日一日だけは、お互いに『戦争』に関するうんぬんかんぬんは全部一旦止めという事だ・・・win-winな提案だと思うが・・・どうだろう?」

組織部下女「なるほど・・・まぁこうしてグダグダ話合ってる間にも、男さん達が行ってしまいそうですし・・・私もそれで構いませんよ」

騎士団長「うむ・・・まぁ信用しろとは言わんが、それでも『騎士団』の誇りにかけて、貴様を襲う事はないと誓うさ」

組織部下女「・・・わかりました」

女(納得行ってないというか、全面的に信用されてはいないようだけど・・・まぁそっちの態度の方が自然よね)

女「じゃあ、とりあえず追いかけましょう、男たちを見失ったら元も子もないですし」

騎士団長「うむ」

組織部下女「・・・ですね」

おわーり。
次回は組織女とデート編です・・・展開が遅いのはご愛嬌という事で・・・
いつもレスありがとうございます。次回もよろしくお願いします

投下します

男「どうしたのだ?女よ、なんだか今日は随分と歩き方がぎこちない感じだが」

組織女「う、うっせえ。なんでもねえよ(うぅ・・・スカート短すぎたかな・・・普段こんなの履かないから、動きが慣れねえ・・・)

男「・・・」ジー・・・

組織女「ん、んだよ見つめて・・・」

男「・・・いや、なんでも・・・それよりどこに連れてこられるかと思えば・・・水族館か・・・ふふふ、悪くないチョイスだぞ、組織女よ・・・」

組織女「おぉ、そりゃあ良かったぜ。おめえ、こういう所好きだろうと思ってよ」

男「うむ。俺は海とか宇宙とか大好きだぞ。なにせロマンがあるからな・・・」

組織女「出た、厨房の時のお前の口癖だったよな、ロマン」

男「ふふ、そうだ・・・男はロマンが無いと生きていけないのだ・・・知ってるか女よ?深海は宇宙より調査が進んでいないそうだ・・・そう聞いたら絶対に深海には未だ見ぬ巨大生物とか地底人とか居ると思わないか?ほら、ワクワクするだろう?」

組織女「巨大生物、地底人ねぇ・・・残念ながら別にあたしはワクワクもドキドキもしねえが・・・とりあえずここにはジンベエザメとかいるらしいぜ?」

男「・・・マジかよ!!ジンベエザメいんのかよ!!やべえ超テンション上がるんだが!?早く観に行こうぜ!!」

組織女「お、おう・・・(なんだこいつ・・・キャラが違うような・・・)」

ジンベエザメの居るめちゃくちゃデカイ水槽前。

男「おぉ・・・ジンベエザメだ・・・リアルジンベエザメ・・・ほ、ほぁー・・・」

組織女「・・・おい、口開いてるぞ、みっともねえ」

男「おお、指摘ありがとう・・・つい興奮してしまってな・・・いいなぁ・・・でけえなぁ・・・かっけえなぁジンベエザメ・・・」

組織女(めっちゃ目をキラキラ輝かせて見て・・・クッソ可愛いなこいつ・・・)

組織女「そんなにいいか?」

男「おう・・・なにせ世界最大のサメで、世界最大の魚だからな・・・そりゃあ興味も湧くだろう」

組織女「ん?世界最大の魚・・・?それってクジラじゃねえの?」

男「クジラは生物学上、魚類ではなく哺乳類扱いだ。勿論動物というカテゴリーならクジラが世界最大の動物だがな」

組織女「・・・おめえって本当に世界最大、とか生物界最強とか、そういうの好きだよなぁ・・・」

男「言っただろう?ロマンと・・・うわあ・・・口でけえ・・・アレに飲み込まれちゃったらどうなるんだろうな・・・ククク・・・興味が尽きん・・・フフフ・・・」

組織女(子供みてえな顔しやがって・・・うぅ、なんか母性本能みたいなものが疼くわ・・・ああ、だからあたし、こいつの面倒見ちゃうっていうか、なんだかんだこいつに力貸しちゃうんだろうなぁ・・・)

モブ係員1「イルカへのエサやりコーナーはこちらでーす!」

組織女「おい、イルカにエサやりとか出来るらしいぞ。やりに行こうぜ」

男「うむ・・・楽しそうだな・・・よし、やろう」

組織女「おう、あ。なんか餌とか買わなきゃダメっぽいな」

男「ククク、俺が買ってしんぜよう・・・すみません、イルカの餌下さい」

組織女(・・・お)

モブ係員2「はい。お一つ500円になります」

男「んじゃ二つで・・・ほらよ組織女。やろうぜエサやり」

組織女「・・・おめえも、少しは成長したな」

男「ん?」

組織女「いやよ、厨房の時のお前だったら『ククク・・・すまんが生物界の絶対強者である御刀虎の義務として、弱者であるイルカに施しをしたいのだが?』くらいの事を係員さんに言いそうだったからよ」

男「・・・お前、俺の妄想が移ったか?」

組織女「う、うっせえわ!!なに『何言ってんだこいつ』みてぇな顔してんだよ!ぶっ飛ばすぞ!」

男「お前は気づいてないかも知れんが、俺は中学生の時からちょくちょく店員さんにはそれなりに敬語を使ってるぞ・・・まぁたまに勢いで言ってしまう時もあるが、そういう時も即訂正してるし」

組織女「そうなのかよ・・・うわ、なんかめっちゃ恥ずかしいんだが・・・よく毎日こんな事言えるなてめぇ・・・」

男「ククク・・・それが俺のアイデンティティなのでな」

組織女「アイデンティティっていうより病気だと思うぞ、お前のそれはよ・・・」

男「うるせぇ!・・・お、イルカが跳ねた・・・ていうか実際見ると結構でけえんだな、イルカって」

組織女「・・・へぇー・・・結構可愛いな・・・」

モブ係員3「はい、じゃあエサやりタイムスタートです! 」

男「ククク・・・檻に囚われし哀れな者よ・・・せめてもの慰み物だ・・・存分に味わって食べるがいい・・・」

組織女「お前、動物相手にもそうなんだな・・・」

男「ほれっ」

ひょい(餌を投げる)
ひょい(イルカが餌を避ける)

組織女「・・・ぷっ、イルカに嫌われてやんの。偉そうな事言うからだ・・・ぷぷっ」

男「い、イルカ如きの分際で・・・この御刀虎の施しを拒否するだと・・・食え!ほれっ!」

ひょい(餌を投げる)
ひょい(イルカが餌を避ける)

男「おのれイルカぁ・・・!」

組織女「ぷっ・・・あはは、いやー、やっぱり御刀虎さんは一味ちがうなぁおい!」

男「うるせぇぞ組織女!こんな・・・こんなはずが・・・!」

モブ係員3「あー・・・すみません、今の時間のイルカって全部オスなんですよ、動物も異性の方を好むと言われていますんで、女性の方の餌だったら素直に食べるかも知れないです」

組織女「へぇー、じゃあやってみるか、よっと」

ひょい(餌を投げる)
ぱくっ(イルカが餌を食べる)

組織女「ふふふ、見たか男?あたしの餌は一回目で食べたぞ。ほーれ、もっと食べろ。ほれ」

男「・・・」

ひょい、ひょい
ぱくっ、ぱくっ。

組織女「あはは、必死に食いついて。可愛いな、おい」

男「・・・・・・もういい、イルカは嫌いだ。お前、俺の分の餌まで、やっていいぞ」

組織女「本当か?じゃあ遠慮なく」

男「・・・(遠慮しろよ、と言いたかったが・・・なんだか、純粋に餌やりを楽しんでる組織女を見たら、どうでもよくなってしまった)」

組織女「ほれほれほれ・・・おう、よく食うなお前ら・・・可愛いなぁ・・・」

男(そう言えば、なんか前にもこんな光景・・・組織女が動物に餌をやる光景を見た気がするが・・・忘れた)

組織女「よーし、頭・・・というか、口を撫でてやろう。よしよしよーし・・・ていうか、なんかあたしん所にイルカが集中してねえか、おい?」

男「確かに・・・というか、ほぼほぼすべてのイルカがお前の所に集まってるぞ」

モブ係員3「あはは、お姉さんなつかれてますねー。ここのイルカたち、人間の女の子でも特に美人が好きみたいで・・・イルカは特に賢いから、そう言うの分かるみたいなんですよー」

男「へぇー・・・」

モブ係員3「でも、これだけ集まってきたのはお姉さんが初ですね。いやーカップルのお兄さんが羨ましいですよ、はい」

組織女「か、カップルって・・・あたしは、別に・・・そんなんじゃないっていうか、その・・・」

男「・・・あー、組織女よ。とりあえずはやく終わらせようぜ。他のお客さんがエサやりを楽しめん感じになっている」

組織女「うお、やべ。おら、食え!とにかく食えお前ら!」

ひょいひょいひょいひょい
ぱくっぱくっぱくっぱくっ

男「すげえエサの投げっぷりだな・・・ククク・・・名付けてシュツルム・・・シュツルム・・・ええと、確かドイツ語でシュツルムは暴風で・・・エサ・・・エサのドイツ語は・・・」

組織女「名付けなくていいから手伝えバカ!!」


女「・・・」

騎士団長「・・・」

組織部下女「・・・」

↑影から見守る3人。

男「ふぅー、なんだかんだ水族館楽しかったな。で、このお店は?」

組織女「ハンバーグ専門店だ。お前、ハンバーグ好きだろ?気に入ってくれると思ってよ。あたしのオススメ注文して、予約しといたからよ、すぐ出てくるはずだぜ」

男「ほう・・・そうか・・・ククク、果たして俺の舌を満足させられる料理が出てくるかな・・・?」

組織女「なんだお前、その三流料理漫画に出てくる上から目線の料理評論家みたいなセリフは・・・」

モブ店員1「お待たせしました」

ジュージュー!

男「ほほう、中々美味しそうだな」

組織女「だろ?お前の好きなチーズハンバーグだ、絶品だぜ」

男「ふむ・・・では早速・・・ぱくっ・・・もぐもぐもぐ・・・うおぉ・・うまい・・・うまい、うますぎる・・・!」

組織女「な?」

男「・・・ククク・・・いい店を知っているな、組織女よ・・・グッジョブだ、褒めて使わそう・・・くぅ~うんめぇ~~!!」

組織女「そりゃどうも(満面の笑みで頬張って・・・ほんと、可愛いなこいつ)」

男「ん?どうした組織女よ。俺の顔をじっと見て・・・」

組織女「・・・別に、なんでもねーよ。ほら、水ついでやる」

男「おお、すまん、もぐもぐもぐ・・・うんめぇ~・・・このハンバーグ、神域ィ!!」

組織女「そのオタク臭い褒め方はやめろ・・・ん?」

組織女(今、何か視線を感じたような・・・気のせいか?)


女「なによ・・・愛おしそうに男を見つめちゃって・・・」

騎士団長「くっ・・・男はあんな表情もするのか・・・なんだかこう・・・すごく胸にキュンと来るじゃないか・・・」

組織部下女「男さんはハンバーグ好き・・・メモメモ・・・」

男「どうした、組織女よ、ぼーっとして」

組織女「うん?いや、別に(まぁ気のせいだろう、多分)」

男「そうか?というか、組織女のそのハンバーグも美味そうだな」

組織女「おう、美味いぞ。食べるか?」

男「いいのか?」

組織女「遠慮せず食えよ。ていうか、顔に食いたいって書いてあるし」

男「・・・うむ、ではお言葉に甘えて・・・」

組織女「――いや、やっぱり待て」

男「なんだよ。やっぱり嫌なのか?別に気を使わなくても・・・」

組織女「そ、そうじゃねえよ・・・あたしが食べさせてやる。ほ、ほら。あーん」

男「・・・いや、あの組織女さん・・・?俺は赤ちゃんではないが・・・」

組織女「うっせえ!わ、わかってるわ!いいから、ほら、あたしがあーんしてやってんだから、食えよ!」

男「お、おう・・・じゃあ、遠慮無く・・・はむっ」

組織女「ど、どうだ・・・?」

男「・・・美味い」

組織女「だろ?ほら、もっと食えよ、あーん」

男「あ、あーん・・・」

組織女「へへ、もっと食うか?あ、なんだったらあたしが残ったお前のハンバーグ、全部あーんして食べさせてやろうか?」

男「さ、流石にそこまではいいぞ・・・というか、俺を甘やかしてどうする気だお前は・・・」

組織女「へへん、別になんでもねーよ、ふふん♪」

男(一体どうしたのだろう、組織女は・・・まぁ、男同士でもたまにふざけてこういう事するし、今日はそういう気分なのだろう・・・考えてみれば、今日の組織女はなんか一日ずっと上機嫌だしな)


女「あ、ああ!男が・・・組織女にあーんてされて・・・されて・・・」

騎士団長「ああ・・・ああ・・・くぅ・・・男め、にへらにへらしおって・・・組織女め、ずる・・・いや、そうではなくてだな・・・」

組織部下女「ああ・・・男さんのフォークになりたい・・・なんだったら座ってる椅子でもいい・・・」

組織女「さて、じゃあ次は映画だ。あたしさぁ、このスーツで戦うアクションスパイ映画がずっと見たくてよぉ。これ見ようぜ?」

男「ほう・・・まぁ俺もこの映画には興味があった・・・人知れず世界の為に戦うという点では俺も共感出来るからな、ククク・・・」

組織女「はいはい・・・じゃあこれにすっか。すみません、チケット二枚」

映画館店員「はい、では料金は3600円になります」

組織女「おい男、お前細かいのあるか?あたし持ってなく・・・」

男「はい。ピッタシだと思いますぜ、店員さん」

映画館店員「・・・はい、ちょうど頂きました。ありがとうございます。それではこちらチケットになります」

男「どうも。ほら女。受け取れ」

組織女「・・・お前よ」

男「うん?」

組織女「水族館でも、ハンバーグ専門店でもそうだったけどよ・・・なんであたしに金出させねえんだよ。さっきからあたしが財布出す間にぽんと支払いやがって」

男「なに、男として当然の責務を果たしているだけだが?レディに金を出せと言うほど、この御刀虎は狭量ではないぞ?ククク・・・」

組織女「いや・・・なんかよぉ・・・あたしの気持ち的に申し訳ないっていうか・・・奢って貰ってばっかなのもさ・・・」

男「俺が小学生の頃からお年玉溜めてるの知ってるだろ? 今日はそれからちょっと多めに金を持ってきといた。別に親に小遣いの前借りなどもしていない。気にしなくていい」

組織女「で、でもよぉ・・・」

男「いいから気にするな。待ち合わせた時に言っただろう?今日のお前は美しいと。そんな女と一緒に居れることは、男として大いに誇らしい事であり、そして至福の時間でもあるのだ。細かいお金の事など、お前は何も気にしなくていい」

組織女「・・・う・・・///(こいつの・・・たまに出るこういう直球ど真ん中が、ヤバイんだよなぁ・・・)

男「ククク・・・分かったか組織女よ?貴様はこの暗黒の邪王に黙ってついてくればよいのだ・・・ククク・・・さぁ、共に映画という異世界へと度立とうではないか・・・!」

組織女(黙ってついてくればいい・・・・・・)キュン

男「・・・というかまぁ、今日お前に殆ど行く所任せちゃってるし、流石に金くらいは出させて貰うさ」

組織女「・・・・・・」ボーッ

男「・・・組織女?」

組織女「・・・お、おう?あ、そうだあたし、トイレ行ってくるわ!」

男「・・・?わかった。それじゃあ俺は適当にポップコーンとか買っておくぜ」

女「水族館からの映画館・・・定番だけど、二人共すごく楽しそう・・・なるほど、定番な理由が分かる気がする・・・」

騎士団長「・・・手を繋がない所から見ると、二人は付き合ってはいないようだが・・・全くけしからんな・・・恋人でもない男女が二人っきりで行動とは・・・そもそも男女交際というのはまず文通してからだな・・・」

女「団長、あなたいつの時代の人ですか・・・」

組織部下女「はぁ・・・私も男さんと並んで映画が見たい・・・」

女「(それは私も同意ね)・・・じゃあ、私達も、男が買ったらしきチケットを買っておきますか・・・って、あら?」



ドン! パラパラパラ・・・(人が男にぶつかり、盛大にポップコーンをこぼす音)

不良1「てめっ、どこ見て歩いてんだゴルァ!」

男「いや、ぶつかってきたのはそっちで・・・って、あ」

不良2「またてめーか!この中二ッ!てめーよっぽど俺たちに殺されてぇようだな!?」


騎士団長「むっ、男が良からぬ輩に絡まれているな・・・映画館の店員さんも見てみぬふりか・・・」

組織部下女「くっ、男さん今助けに・・・!」

女「待ちなさい組織部下女!ストーカーがバレた時の言い訳どうするのよ!それに男だってあんなザコ如きに私達の助けなんか必要ないって(ていうか、次手を出したら容赦しないって言ったのに・・・あの不良達もこりないわね)」

組織部下女「はっ、言われてみれば確かに・・・」

騎士団長「まぁ、彼に絡んだ不幸を呪うんだな、あの不良二人は・・・」


男「ふふっ、二度あることは三度ある・・・か、ククク・・・これも運命のイタズラ、あるいは神が仕組んだ出会いか・・・どっちにしろ、いい加減やられっぱなしも尺だ・・・そろそろリミッターを外させて・・・ブフォア!?」

デュクシ!

不良1「今日という今日はてめえ本気でぶっ殺してやるからな!」

男「ふ、ふふっ・・・全く、まぁ生身の人間にいくら殴られようが痛くも痒くもないが、いい加減、貴様ら如きに倒せる御刀虎ではないと、悟ったらどう――がはぁ!?」

デュクシ!

不良2「うっせえ!ともかく一回てめえは本気でシメてやらぁ!!つーかいい加減、その妄想をやめろ!!気持ちワリィんだよ!」


女(・・・妄想?あの不良なに言ってるの?何が妄想なの?)

騎士団長「・・・?さっきからやられっぱなしだが・・・どうしたのだ、男は?」

組織部下女「きっと、最初は手を抜いて相手が調子に乗った時に、思いっきりガーンってやっちゃう男さんの作戦ですよ!」

騎士団長「ふむ、なるほど・・・まぁあの手の輩にはキツイお灸が救いだからな、それくらいやった方がいいだろう」

女(・・・確かにそういう風にとらえる事も出来るけど、でも確かこの前、あたしが助けた時も殴られたっぱなしだったよね、男・・・2回も殴られっぱなしに、普通なる?なんか・・・なにか変じゃないかしら・・・?)

騎士団長「あっ、組織女が戻ってきた」

組織女「てめぇら・・・なにやってんだ?」

不良1「あ、姉御!お疲れ様です。今、この男をボコってた所で・・・オゴッ!?」

ドガッ!

不良2「姐さん!お疲れ様です!姐さんもストレス解消にいかがで・・・ゴハァ!?」

ボガッ!

組織女「てめえら・・・二度とこの男に手ぇ出すなよ・・・!次手ぇ出したらてめえらのタマキン蹴り潰すぞ、あ?」

不良1「えっ・・・えっ、姉御の知り合いで・・!?」

不良2「す、すみません、俺ら、何にも知らなかったもんで・・・!!」

組織女「・・・なんでもいいからさっさと行け。ただし、次あたしと会う時までに頭丸めておけよ」

不良1「・・・あ、姉御・・・それはちょっと・・・」

不良2「俺達のこのリーゼントは、俺らの不良魂の象徴っていうか・・・」

組織女「あ?」ギロッ

不良1・2「「な、何でもありません!!失礼致しましたぁ!!」」ピュー

組織女「あーあー、派手にやられたなぁ・・・ウチのバカがわりぃ、立てるか、男?」

男「く、ククク・・・大丈夫だ、心配するな。俺はタフさだけが取り柄だからな・・・というかあいつら知り合いなのか?」

組織女「まぁ、こっちに越して『戦争』に巻き込まれる前にも、色々あってな・・・・・・つーかんなことより、お前は本当に運がねえっていうか、絡まれやすいっていうか、不幸な出来事に巻き込まやすいっていうか・・・」

男「カカッ、なーに。そういう資質こそ主人公の条件であり、そして振りかかる不幸を跳ねのけてこそ、男としての格が上がるってもんだ。俺は何も気にしていないさ」

組織女「・・・お前って、妙な所で根性あるっつーか男気あるっつーか・・・はぁ、本当にバカだな、お前、ふふ」

男「ふっ、バカで結構・・・」

映画館店員1「お客様・・・大丈夫ですか?この度は不運でしたね・・・これ、あの先ほどの方にポップコーンをこぼされてしまったので、その補償、という訳でもないのですが・・・こちら、サービスのポップコーンとジュースになります・・・よろしかったら」

男「おお、ありがとう・・・おっと、上映時間5分前だ。行こうぜ組織女。あっ、映画の中で怖いシーンがあったら、俺の手を握ってもいいぞ?ククク・・・」

組織女「う、うっせえ!そんな事する訳・・・・・・」

男「・・・うん?どうした押し黙って」

組織女「いや・・・あの、よ・・・本当に怖いシーンがあったら・・・握ってもいいか・・・?」」

男「お、おぉ・・・それは構わんが・・・」

組織女「おう・・・じゃあ、その時は・・・頼むわ・・・」

男「・・・う、うむ」

騎士団長「組織女の知り合い・・・というか舎弟だったのか・・・」

組織部下女「まぁ一件落着って奴ですね・・・男さんがあの不良二人をバッタバッタと倒す所も見たかったですけど」

騎士団長「確かに・・・ふふ、それにしても打たせすぎだ・・・全く、彼は優しすぎるのが問題だな」

女「・・・」

騎士団長「・・・女?どうした、考えこんだ表情で」

女「あ、いえ。なんでもありません」

騎士団長「そうか?そのわりには随分深刻そうな顔だったが・・・」

女「いえ、本当になんでもないですから・・・」

女「・・・・・・」

映画館を後にする二人。

男「ふむ、いい映画だったな。二時間があっという間だった」

組織女「ああ。後半のアクションはマジで格好良かった。テンション上がったぜ。もっかい映画館で見てもいいくらいだな」

男「ふふっ、それにしてもまさか本当に女が手を握ってくるとは思わなかったがな」

組織女「う、うっせえ!しょうがねえだろ!まさかあんな展開になるとは思わなかったからよ・・・んだよ、ビビリだっていいてぇのか?」

男「いや・・・そうでもないさ。ふふっ・・・それにしても、はぁ・・・俺もスパイになりたかったが・・・まぁ何せ俺は御刀虎・・・世界を股にかけ、運命の神に逆らうもの・・・スパイをするには目立ちすぎてしまう宿命が悲しい・・・ククク・・・」

組織女「ククク・・・って笑うから、全然悲しそうに聞こえねえんだが・・・お、夕焼けが綺麗だな」

男「うむ・・・ふふっ、なんか組織女とこうやって夕焼けを見てると、昔を思い出すな・・・二人で初めてちっちゃい族を潰した日・・・初めてタバコ吸って、二人共思いっきりむせたよな、俺たち」

組織女「ぷ・・・あははっ。あったなぁそんなん。それでお互いにタバコは一生吸わないって決めたよな、確か」

男「ああ。はっ、思えば、随分可愛い思い出だな、カカッ・・・俺たちも、若くて青臭かったよなぁ・・・」

組織女「はっ、ちげえねえ」

男「・・・」

組織女「・・・」


女「な、なによ一瞬見つめあったかと思えば、また無言で歩いて・・・ちょっとお似合いみたいな感じに思っちゃったじゃない・・・」

女(とりあえずさっきの事は置いといて・・・男の過去を知っている組織女が羨ましいな・・・)

組織部下女「うぅ・・・なんか、すごくいい雰囲気です・・・」

騎士団長「ま、まさか・・・この後夕焼けをバックにき、キスをするのではあるまいな・・・?」

女「いや、まさか・・・そんな!」

組織部下女「はぁ・・・男さん、私をキツく・・・硬く・・・抱きしめて・・・強引に・・・奪って・・・うふふ・・・」

女「あんたはさっきから一人だけ喋ってるベクトルがやばいわよ・・・?」

騎士団長「ところで、二人はどこに向かって歩いているのだろうな?もう随分町外れに来たようだが」

男「それで、組織女よ。次はどこに連れて行ってくれるのだ?なんか見た感じ、だんだん景色が殺風景になってきているような・・・」

組織女「・・・もう、着いたぜ。ここだ」

男「ここは・・ペット霊園?」

組織女「おう。おまえ、覚えてるか?あたしん家で飼ってたバカ犬のこと」

男「・・・ああ、そう言えばいたな。あいつ、俺にも懐いてくれて可愛かったな・・・って、ここでその話題を振るって事は・・・まさか・・・」

組織女「・・・ああ、あのバカ犬、死んじまったんだよ、この街に越してきてすぐ。今日がちょうど2回忌でな・・・お前も可愛がってくれたしよ、連れてこようと思って」

男「・・・そうか・・・あいつ死んじまったか・・・残念だったな・・・俺も、もう一回くらい散歩に連れて行ってやりたかったが・・・」

組織女「そう言ってくれるとあのバカ犬も、尻尾振って喜んでくれると思うぜ」

男「・・・そうだといいが・・・なんか来る途中で、花か、あいつの好きだったドッグフードとか買ってくりゃよかったな・・・ていうか、組織女も言ってくれよ」

組織女「いいんだよ。あいつはお前がここに来てくれただけで十分だろうし、もし生きてたら、お前が差し出したドッグフードにも気づかずにお前に抱きつくだろうぜ。なんせあいつバカだしよ」

男「・・・ふ、そうだな」

組織女「そうさ・・・あいつ、本当にバカでよ、あたしがこの街に越してきた時、族に絡まれた事があって・・・まぁそん時は軽く蹴散らしたんだが、その日の夜にあのバカ犬を散歩させてたら、昼間の報復だかで、後ろからバットで襲われそうになったんだ」

男「・・・なっ」

組織女「・・でもよ、あいつ。普段はのんべんだらりとしてる癖に、そんな時だけゃあ素早くてな。あたしをかばうように、そいつに襲いかかってよ・・・」

男「まさか・・・それで・・・?」

組織女「ああ、襲いかかったはよかったが、そいつの持ってたバッドで、殴られちまってよ・・・慌てて病院に連れて行ったが、もうだめでな・・・まぁ襲ってきた奴は、あたしが顔面腫れ上がるほどボコボコにしてやったが」

男「・・・」

組織女「あいつはあたしがちっちゃい時から一緒に過ごしててよ・・・本当に家族の一員みたいな奴だったんだ、あのバカ犬は」

男「・・・あぁ、知ってるさ」

組織女「だから、だからよ・・・悪いけど、この『戦争』。勝ちは譲れねえ。あたしら『組織』はなんとしても、『騎士団』に勝つ。そしてあたしは、なんとしても願いの力を使ってあのバカ犬を生き返らせる・・・なんせ、お礼の一つも言えずに死んじまったからよ」

男(・・・今日話し合って、なんとか戦闘を回避するようにしたかったが・・・)

組織女「あたしらも、『召喚の儀』でめちゃくちゃ強力な獣を召喚する事に成功してな・・・勝算は出来た・・・今度の日曜日。あたしらは『騎士団』に総攻撃を仕掛ける」

男(・・・これは無理かもな、この目をした女を俺は止められた事は一度もないし・・・)

組織女「言っとくが、マジだぜ。今度こそお前に手を貸せねえ。貸す事は出来ねえ。もし、その時お前が『騎士団』の側に立つってんなら――そん時は容赦なく叩き潰す」

男「・・・っ」

組織女「それに前みたいに、あたしの昔話で恥かかせようが無駄だぜ?それを『騎士団』の二人が聞こうと・・・ぶっ殺せばいい話だからよ」

男「・・・本気か」

組織女「ああ。だから忠告してやる。逃げろ。あの二人の前から姿を消せ。一週間くらい海外にでも行ってろ。戻ってきた時にはあたしが全部終わらせてる」

男「・・・そんな事が出来るくらいなら、俺はあの時、お前に助けを求めちゃいねぇ」

組織女「ああ、てめえのその性格はわかってる・・・だから、今日お前と二人っきりで遊びたかったんだ・・・これで最後かも知んねえからな・・・」

男「・・・・・・そうか」

組織女「あぁ・・・次に会う時は、敵同士だぜ、男」

男(・・・こうなってしまった、か・・・)

組織女「・・・今日はそれが伝えたくてな・・・気が変わったらいつでも言え。あたしがお前を守ってやる」

男「・・・悪いが、変わる事は多分・・・いや、絶対にないぞ、組織女よ・・・確かに俺は、元々は何の関係もない部外者だったが・・・ここまで深入りしてしまったら、な・・・それにそうほいほい鞍替えするのは、俺のプライドに関わるのでな」

組織女「・・・そんなプライド捨てちまえよ。『騎士団』の連中も、なにかこそこそやってるのは知ってっけどよ・・・聞いたぜ。『騎士団』の連中はもうお前含めて3人しかいないんだろ?対してあたしら『組織』は、正確な人数は言えねえが十人以上は居る・・・どう考えても勝ち目はねえだろ」

組織女「プライドじゃあ飯は食えねえ。命には変えられはしねえはずだ、違うか?」

男「・・・お前は勘違いしているな、組織女よ。残念ながら男というのはプライドを亡くしたら生きていけん生き物なのだ。そこを履き違いちゃいけねえ」

組織女「・・・」

男「大体、俺がそうプライドをほいほい捨てられるようなら、いつもの口調など速攻で変えて、普通の高校生として、普通の生活を送るさ・・・そうしないのは、それをする事こそが俺の誇りであり、俺の信念だからだ」

組織女「・・・そうか」

男「・・・覚えているか?昔、お前にオススメしただろう?†卍 刹那・神龍・X・アルファルド卍†先生の本を」

組織女「ああ、あのクソつまらねえやつか・・・開始2行で投げ出したな、確か」

男「クソつまらねえって言うな!・・・ともかく俺も†卍 刹那・神龍・X・アルファルド卍†先生が描いた登場人物のように格好良く俺も生きたい・・・いや、そう生きると俺は決めたのだ。それこそが俺の生きる道なのだ。例えその行く道がどれほど険しかろうとな」

男「だから、悪いが俺は、それだけは出来んのだよ、組織女。『騎士団』の側に立つと決めた以上、もう後戻りは出来んのだ・・・自分で決めた事を容易く覆すような、そんな男にはなりたくないのだ・・・そのお前の、俺に対する優しさはありがたいけどな・・・」

組織女「・・・へっ、お前らしいな」

男「だろう?」

組織女「ああ、厨房の頃から何にも変わっちゃいねえ大馬鹿だ・・・」

組織女(運動神経がなくて、頭も悪いのに、そのどこまでも真っ直ぐな姿勢、純粋で純真な目)

組織女(一度決めた事はどんなに不利でも貫き通すその精神、例えどんなに勝ち目がない喧嘩でも、一歩も引かずに立ち向かうアホっぷり)

組織女(・・・ああ)

組織女(だから、あたしは、こいつの事が好きなんだな)

騎士団長「デートで墓参りだと・・・つまり、それはあれか・・・プロポーズの言葉でよく聞く「わたしと一緒のお墓に入って下さい」というやつか・・・?い、いくらなんでもそれは気が早過ぎるのでは・・・!?」

女「意外に組織女って重い女なのね・・・」

組織部下女「普段はさばさばしてる頭領をあそこまで狂わせちゃう男さん・・・罪な人・・・」

女「あんた、本当にさっきからなんなのよ・・・いや、ていうか良く見たらここ、ペット霊園だし・・・」

組織部下女「あ、本当だ・・・それにしても、頭領は随分と深刻な顔をして話してますけど、一体何を・・・――って、うん?」

バサバサバサ・・・(組織部下女に一匹の鳩が近づく)

鳩「クックルー!」

組織部下女(この子は・・・連絡用の獣だ。なんだか随分慌てた様子だけど・・・)

連絡用の獣「クックルー!クック―!」

組織部下女「落ち着いて。どうしたの?何があったの?」

女「・・・その子、『組織』の獣よね?」

組織部下女「はい、そうですが」

女「・・・なんか、端から見ると、アンタが思春期をこじらせて動物に話しかけちゃう痛い子に見えるわ・・・」

組織部下女「・・・う、うるさいですよ!あなた達だって似たようなものじゃないですか!自分たちの事を騎士とか名乗って!」

女「な、なによ!名乗っちゃだめなの!?そういう事言うなら、この場であんたをぶった斬ってもいいのよ!?」

組織部下女「ええ、上等ですよ!じゃあ今すぐ・・・」

連絡用の獣「クックー!クックー!」

組織部下女「・・・あ、ごめんね。何でもないの。報告お願い・・・後で覚えておいてくださいよ・・・」

女「それはこっちのセリフよ・・・」

騎士団長「お前たち、もう少し声を抑えろ・・・でないと、男に聞かれ――」

騎士団長(――っ!?なんだ、この気配は・・・おぞましくて・・・背筋も凍るような・・・これは!?)

騎士団長「・・・女」

女「はい?なんでしょう団長」

騎士団長「戦闘の準備をしておけ」

女「え?どうしてです?」

騎士団長「いいからしておけ!」

女「は、はい!」

組織部下女「・・・え?・・・嘘・・・嘘、だよね?もう一回言って・・・?」

連絡用の獣「クックルー!!クックルークック―!!」

組織部下女「・・・本当に?間違いないのね・・・?」

女「・・・どうしたの、組織部下女。あんた顔面真っ青よ・・・?」

組織部下女「・・・」

組織部下女「私達の、『組織』のアジトが、何かに襲われて・・・アジトは崩壊、組織のメンバーもほぼ全滅って・・・連絡が、来ました・・・」

おわーり。
組織女とのデート編でした。
デートした事ないから、書くの大変だった・・・
次からはシリアスになる予定です・・・なんとか今月中には終わらせそうですので、最後までお付き合いください・・・
コメントいただけると大変嬉しいです・・・よろしくお願いします・・・

投下します。

組織女(やっぱり、だめだ)

組織女(あのバカ犬の為にこの2年間、色々頑張ってきたけどよ・・・)

組織女(やっぱり、こいつだけは殺せねえな。何があっても)

組織女「・・・なぁ、男・・・お前、本当に何があっても、『騎士団』を抜ける気はねえんだな」

男「ああ。それ以上はしつこいぞ、組織女よ」

組織女「はっ、そうだな。これ以上聞くのはあたしらしくもねえや」

組織女「じゃあ、今日はもう解散するとしようや。明確に敵同士になった以上、一緒に居るのは良くねえからな。街に戻ったら、あたし達はもう、敵だぜ?」

男「・・・おう・・・(組織女がこうなった以上、あとは団長殿と女を説得するしか、戦闘を回避する方法はないか・・・しかし、何も作戦が思いつかねえが・・・一体どうしたら)」

男(そう言えば、『戦争』については・・・あいつが詳しいって確か組織女が言ってたな・・・とりあえず相談してみるか・・・)

スマホポチポチ。

組織女「おい、あたしの前でスマホいじんな。お前知ってるだろ?あたしがスマホっつーかケータイ電話全般嫌いなの」

男「・・・ああ。わりぃ。ちょっと急用思い出してな・・・しかしお前も、現代に生きる人間としていい加減持ったらどうだ?電話機能だけの奴とか、探せばあるぞ」

組織女「うっせーな。嫌なんだよ。目の前にいる人間ないがしろにしてポチポチすんのもされんのもよ。あたしも大人になったら必要になるんだろうが、それまでは持つ気はねぇ」

男「・・・は、一本気なお前らしいな。じゃあそろそろ行くか」

組織女「おう・・・あ、男。お前、背中に汚れがあるぞ」

男「え?どこだ?」

組織女「そこのもっと下・・・ちげえよもっと右だ!ああ、もうこっち来い!あたしが取ってやる!あたしの敵になる男が、みっともねえ格好すんな!」

男「お、おう・・・すまねえな。じゃあ頼むわ」

組織女「・・・ああ」

トンッ(男の首に手刀を叩き込む組織女)

男「え・・・あっ・・・?な、な・・・?」

ズサッ(その場に倒れこむ男)

組織女「・・・このパターンは初めてだろ?男。ていうか、こうやるとマジで失神するんだな・・・いや、『能力者』になって身体能力が上がったから出来た芸当か・・・」

組織女「よし、じゃあ担いでっと・・・わりぃな、男。お前にはしばらく眠ってて貰うぜ。あたしはお前に死んで欲しくねえんだよ」

組織女「一週間くらい適当な場所に閉じ込めさせて貰うぜ、男。あたしがその間に片を付けといてやるからよ・・・メシは・・・組織部下女にでも運ばせるか」

組織女「さて、と・・・じゃあどうするかな・・・とりあえずアジトに――うっ」

組織女(なんだ、急に頭が痛く・・・)

――ドクンッ

組織女(この、気配・・・は!?『召喚の儀』で呼ぶはずの獣・・・に似てるが・・・違うッ!もっと凶暴で・・・オドロオドロしい気がする・・・)

組織女(クソっ、頭痛がどんどんひどくなってきやがる。頭が、割れそうだ・・・!いや、頭だけじゃねえ、全身がバラバラになっちまいそうだ・・・!)

――ドクンドクンッ!

組織女(クソっ、なんだこれ!なんだこれ!獣を召喚する時の、多少なりとも体力を持っていかれる感覚に似ているが・・・これはその数倍、いや数十倍の疲労感と、今までにない痛みがともなって・・・)

組織女「ああああああ!」

組織女(チキショウ、どうなってんだよこれッ!ふざけん・・・――ッ!?)

――ドドドドドドドドドドドドドドドッッ!!

組織女(な、んだこの気配は・・・!?機関のお嬢のバカでけえ兵器と対峙した時より、騎士団長の剣が頭スレスレをよぎった時より、寒気が走るこの、感覚はっ・・・!)

組織女(だめだ、頭いてえ・・・意識が保て・・・な・・・)

女「は、はぁ・・・?『組織』のアジトが崩壊して、メンバーも全滅って・・・何言ってるの?あたし達『騎士団』はこの通り何もしてないし、『機関』だってこの『戦争』からは降りたはずよ・・・そんな事起きる訳ないじゃない!」

組織部下女「はい・・・その通り・・・その通りなんですけど・・・でも、この子は今まで誤情報を伝えた事は一回も無いのに・・・って、あ・・・」

連絡用の鳩「クック―・・・クック・・・ク・・・」

組織部下女「消えた・・・消えちゃった・・・」

女「なんとなく事情を察するに・・・その獣が消えたってことは・・・」

組織部下女「・・・はい、この獣を召喚して、私に連絡をくれた人も・・・恐らく・・・いや確実に・・・死んでしまいました・・・そんな・・・どうして・・・こんな・・・ほ、本当に・・・?」

騎士団長「・・・ああ、どうやらその獣が伝えた情報は、何も間違っていないようだぞ、女、組織部下女・・・来るぞ」

女「・・・団長?」

組織部下女「・・・どういう事です?」

ドスン・・・ドスン・・・ドカッ・・・ドカッ・・・ドカッドカッ・・・ドカカッ!ドカカッ!ドガガガガッ!!

女「え、なにこの音は・・・!?」

ヒュゥゥゥゥ・・・・!!(なにかが空から落ちてくる音)

騎士団長「――ッ!上だっ、上から来るぞッ!二人共この場から飛べッ!」

ドッガァァァァァァァァ!!(バカでかい何かが、女達3人の近くの落ちた音)

女「なっ――!?」

組織部下女「っ!?――くっ、来なさい、私の獣ッ!」 

バッ!バッ!(騎士団長と女が地面を蹴って跳躍した音)

バサァ!(組織部下女の鷹型の獣が出現し、組織部下女を拾った音)

ズンッ・・・ザアアアアアアアアアアアアッ!(バカでかい何かが着地し、その衝撃音)

騎士団長(く、着地しただけでこの衝撃かっ!一体どんな化物が来たというのだ・・・!舞い上がった砂埃と煙で全く見えん・・・!)

騎士団長「女、それからついでに組織部下女!無事か!」

女「はい!団長が忠告してくれたおかげで・・・!」

組織部下女「ついでは余計ですが無事です!」

騎士団長「ならばよし――そう言えば男と組織女はッ!?」

組織部下女「っ!私、二人の安否を確認します!」

騎士団長「待て!勝手に動く・・・」

騎士団長(・・・いや、今日一日一緒に居て、組織部下女は少なくとも男に敵意を持っていないことはわかったし、まさかこの状況で男を襲ったりはしないはず・・・ならば任せた方が適任か)

騎士団長「よし、ならば任せた!ただし男に手を出したらただじゃおかないぞ!」

組織部下女「しませんよそんな事!」シュビッ

騎士団長「行ったか・・・さて」

ドドドドドドドドドドドド・・・!!

女「・・・団長、一体なにが飛んできたんです?」

騎士団長「わからない・・・が、生易しいものじゃない事だけは、この気配が証明してくれてるな・・・煙が晴れるぞ・・・さぁて、鬼が出るか蛇が出るか・・・」

???「・・・あぁー、シャバに出るのは久しぶりだなぁ、おい」

女「なっ・・・ライオンと山羊と蛇の顔・・・顔が・・・3つ?こういうの、キメラっていうんだっけ・・・しかも喋ってるし・・・」

騎士団長「これはまた面妖な・・・」

キメラ「・・・・・・オレを呼んだのは、お前らか小娘ども?」

騎士団長「(なんだ、普通に喋りかけてきたぞ)・・・いいや、違うが」

キメラ「そうか。違うか。いやーすまんすまん。早とちりしてしまった。教えてくれてありがとう素敵なお嬢さん」

女「なんか・・・友好的・・・ですね」

騎士団長「・・・だな。私達の敵ではない・・・のか?」

キメラ「・・・ところで」

騎士団長「うん?どうし――なっ!」

ヒュン!(一瞬前まで騎士団長が居た場所にバカでかい尻尾を叩きつけるキメラ)
シャ!(ギリギリで回避する騎士団長)

騎士団長「な、何をする!」

キメラ「あ?何をする、じゃねえよ。ボケが。なに人間如きがこの俺にタメ口聞いてんだ?あ?舐めてんのか。殺すぞ。あ?」

ドドドドドドドドドドドドドドドドッ・・・!

女「団長・・・なんか、奴の力というか威圧感が上がってきてませんか・・・?」

騎士団長「私もそう思っていた所だ・・・この威圧感・・・お嬢の『兵器』と対峙した時とそっくりだな・・・いや、恐らくそれ以上か」

キメラ「せっかくいい気持ちで眠ってたのによぉ・・・人の寝起き起こしといて出迎えもないってどういう事だコラ、あ?あまりにムカつくから、その場に居た人間全員ぶっ殺したんだが・・・お前らもそうなるか?ん?」

女「!団長、こいつ・・・!」

騎士団長「ああ、こいつが『組織』のアジトを襲ったんだろう・・・だが、このレベルの獣となると相当な『能力者』なはず・・・少なくとも『組織』の一団員に呼び出せるレベルじゃない」

女「という事は、組織女か組織部下女のどちらかが・・・?」

騎士団長「いや、それにしたっておかしい。ここまでコントロール出来ない獣を召喚したって何の意味もないだろう。恐らくは・・・」

キメラ「なにシカトぶっこいてんだてめぇラァ!!!!」

ドッッ・・・ガッシャアアアアアアアアアアアアア!!(目にも留まらぬ早さで前足で二人に襲いかかるキメラ)

騎士団長「くっ、ええい、話は後だ!とりあえずこいつを倒す事に集中しろ!」

女「は、はい!」

キメラ「倒す?倒すだとコラ?人間如きが随分偉そうな口叩くようになったな、おぉ?決めたぜ、てめえらなぶり殺しだ。生き地獄を味あわせてやるよ」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・!

女「な・・・キメラの周りの空間が歪んでる・・・!?」

騎士団長「・・・怒りだけで、空間に影響を与えるほどの力を持った獣か・・・しかも色々と未知数・・・厄介だ・・・厄介だが・・・かと言って黙って殺される訳にも行くまい」

騎士団長「いいか、弱気になるな女。我々が今までにかいくぐってきた修羅場を思い出せ。それに君だって確実にレベルアップしている。堂々と戦いたまえ」

女「・・・はい!」

騎士団長「ふっ、それに我々には、秘密兵器がいるだろう?彼があの程度の衝撃で死ぬはずがない。すぐに戻ってくるさ。彼が来れば、状況は覆る・・・そう確信しているのは、私だけかな?」

女「・・・ふふふ、団長。私もです」

騎士団長「ならばよし!さぁ戦闘開始だ。今までのように人間が操ってない以上、かなり不規則な動きをしてくるだろう・・・奴の一挙手一投足から目を離すな!」

女「了解!!」

女(・・・男)

女(・・・色々思う所はあるけど、あんたは言ったわよね。『戦争』が終わるまでは信じろって)

女(だから・・・信じてるから、早く来なさい)

女(それで、いつものあの何か企んでるような笑いで、私の不安を吹き飛ばしてよね)

女(・・・信じてるから)

???「とこさん・・・とうりょ・・・きて・・・きてく・・・起きて・・・さい!!」

男(・・・なんだ、誰の声だ?・・・これは組織部下女の声・・・?)

男「う、ううん・・・」

組織部下女「あっ、男さん!気が付いたんですね!」

男「あ、あぁ・・・(確か俺は・・・組織女に首をトンと手刀で・・・)」

男「はっ、組織女は!?」

組織部下女「隣で気を失っています・・・とりあえず二人共無事みたいでよかったです」

男「ああ・・・って、なんだこの砂埃っていうか煙は!?なんかペット霊園もぐちゃぐちゃに破壊されているし・・・何があった!?」

組織部下女「はい、実は・・・」

組織女「・・・ぐっ、あぁ・・・」

男「組織女! 目を覚ましたか!」

組織部下女「頭領!大丈夫ですか!?」

組織女「ぐぅぅ・・・頭が痛え・・・ってなんだこりゃあ・・・!」

組織部下女「・・・今、ご説明します」

組織部下女「・・・それで、外で今、暴れている獣がここに来たんです。私は失神してる二人を発見して、とりあえず安全な場所に非難させようと、奴が到着した時の衝撃で出来た、岩場の影に二人をお連れしたんです」

男「・・・そうか。ん?というか、なんで団長と女がこんな所にいるんだ?」

組織部下女「え、え~っと・・・なんか二人で出掛けてたみたいですよ!?それで、私もそこで偶然出会って、戦闘になる所で、あの獣が降ってきて・・・って感じです」

男「なるほど・・・」

組織女「・・・いやつーかちょっと待てよ組織部下女!?アジトが壊滅で、組織の仲間も全滅!?んな訳あるかよ!!てめえフカシこいてんじゃねえだろうな!?」

組織部下女「・・・いえ、残念ながら・・・恐らく事実かと・・・原因は、恐らく今暴れている、あの巨大な獣かと思われます・・・」

組織女「・・・くっ・・・」

男「・・・原因はなんなんだ?組織部下女。『組織』の人間じゃなきゃ、あんな獣呼び出せないだろう。ていうかあの獣、操れないのか?」

組織部下女「誰が呼び出したのかはわかりません・・・獣は基本、呼び出した人間には従順なんですが・・・」

組織女「・・・あたしだ」

組織部下女「え?」

組織女「呼び出したのは恐らく、あたしだ。呼び出したと言っても恐らく無意識にだろうけどな。さっき、少しの間だけどよ、獣を召喚する時みたいな感覚があったし」

男「ど、どういう事だ?」

組織女「言ったろ?『召喚の儀』で強力な獣を呼び出す事に成功したってよ。だけど・・・恐らくどっかで、ミスっちまったんだろうな・・・何らかの手違いで、あの獣を呼び出しちまったんだ・・・」

組織女「いや、勝手に出てきたから、召喚にもなってねえのか・・・?あたしの言う事なんざハナから聞く気配すらねえし、無理矢理召喚されて、怒り狂ってるって感じか・・・はっ、あたし一人の失敗で・・・全部ぶっ壊しちまった・・・クソ・・・クソがッ!!」

男「落ち着け組織女!お前はそんな失敗をするような奴じゃねえだろう!?なにか他に原因があるんじゃないのか?」

組織部下女「そうですよ!頭領はあれだけ慎重に『召喚の儀』をやっていたじゃないですか!頭領が本気で真剣に取り組んでいたのは、私が一番良く知っています!失敗なんて考えられません!」

組織女「お前ら・・・確かに、言われて見れば・・・あの時・・・そう、ちょうど組織部下女と男を接触させて、帰ってきた時・・・一瞬だけ、人の気配がしたような気がするが」

組織部下女「じゃあ、恐らくそいつの仕業です!『召喚の儀』に何か細工をしたんです!頭領は悪くありませんよ!」

組織女「・・・かもしれねえ」

男「・・・落ち込む気持ちは、分かる。だが、今はとりあえずあいつを止めない事には事態は収まらない、違うか?組織女」

組織女「・・・だろうな」

男「だろう?だったら・・・」

組織女「でも・・・あたしはもう、だめだ」

組織部下女「・・・頭領?」

組織女「・・・今のあたしは役立たずだ。あの外で暴れている獣に体力を持って行かれて、歩く事すら難しい。ましてや獣を召喚するなんて事、出来やしねえ。今のあたしは使いものにならないクズだ」

男「・・・そんなことはないだろう。何か出来る事が一つくらいは・・・」

組織女「じゃあ何が出来んだよ!!言ってみろ!?あ!?そういう事言うなら、あたしがあの獣を止められる方法を並び立ててみやがれってんだ!!適当な事言うなてめえ!!」

男「・・・」

組織部下女「と、頭領・・・」

組織女「大体てめえだってあたしがいなきゃあ何にも・・・いや、何でもねえ、忘れてくれ・・・すまん、言い過ぎた」

男「いや・・・」

組織部下女「・・・」

組織女「・・・ともかく、おい組織部下女」

組織部下女「・・・はい」

組織女「男を連れて逃げろ」

組織部下女「は、はぁ?」

組織女「あの獣は正式に召喚された訳じゃねえ。多分一日、持っても二日くらいすれば勝手に消えていくだろう。ちょうどお前の獣はスピード特化型だし、上手くすりゃ逃げきれんだろ。頼んだぜ、これは命令だ」

男「・・・」

組織部下女「・・・頭領はどうするんです?」

組織女「あたしは・・・もういいんだよ。疲れちまった。それに原因があたし以外にあろうと、『召喚の儀』を進めてきたのはあたしだ。その責任を取って・・・あの獣の前に踊り出て、生け贄として食われてやるさ。呼び出したあたしをぶっ殺せば、あいつの気も少しは収まるだろうよ」

組織部下女「そ、そんなのダメです!そんな責任の取り方は誰も望んでなんか!」

組織女「うるせえ!!あたしの命令が聞けねぇのか!!」

男「・・・」

組織部下女「でも・・・!!」

組織女「早く行け!!さもねーと殴るぞ!!いいからさっさと・・・!!」

男「・・・ふっ」

組織女「・・・男?」

組織部下女「男さん?」

男「ククク・・・全く、貴様ら・・・ここにいるのを誰だと思っている?この俺、御刀虎だぞ?逃げるなど絶対に御免こうむる・・・それにしても残念だよ組織女・・・まさかお前が戦う前から逃げる事を選択するほど、ヤキが回ってしまっていたとはな」

組織女「・・・あぁ?」

男「俺の知っている組織女は、そんな奴ではないと思っていたのだが・・・残念だ、至極残念だ・・・が、まぁお前の気持ちは分かる。まぁここはこの御刀虎にまかせてお前はじっくり休んでおけ」

組織女「・・・てめえさっきからなに言ってんだ?じゃあてめえが戦うってのか!?あの獣と!?」

男「ふむ、そう聞こえるように言っているのだが・・・理解してくれたようでなによりだ・・・ククク・・・」

組織女「・・・てめえ妄想もいい加減にしろよ!!」

ドガッ(組織女が立ち上がり、男を思いっきり殴る)

組織部下女「お、男さん!頭領!やめてください!」

組織女「うるせえ!!このバカ野郎の目を覚まさせてやってんだ!!引っ込んでろ!!」

組織部下女「ひっ!」

ドガッドガッ(倒れた男に馬乗りになって、殴る)

組織女「いいかよく聞けこの野郎!!組織部下女の報告を聞く限り、あの獣のせいであたしら組織の仲間は全滅しちまったんだ!これがどういう意味か分かるか!?二年も続いてきた『戦争』を、これまで生き残ってきた優秀な奴らが一瞬で蹴散らされたんだぞ!?」

組織女「それだけであの獣がどれほど強いか、バカなてめえでも嫌ってほど分かるだろうが!?」

バキッ(顔面を殴る)

男「ぐっ・・・がっ・・・た、確かにな・・・」

組織女「はぁはぁ・・・だろうが!?ましてやてめえは・・・ええいこの際はっきり言ってやる!!てめえは無能力者で、何の力もねえただの一般人だろうが!!」

組織部下女「・・・え?」

男「・・・・・・」

組織女「はぁはぁ・・・だいたいてめえがあの獣の前に立って何が出来る!?紙みてえに吹き飛ばされて終わりだおまえなんか!!だから、だからあたしはお前を守ってやろうと、お前を安全な場所に隔離して、お前を『戦争』から降りさせる為に、さっきてめえを気絶させたんだよ!!」

男「・・・そ、そうだったのか・・・」

組織女「はぁはぁ・・・はぁはぁ・・・ああそうだ!!それなのにてめえはまだ戦うとか寝ぼけた事言ってんのか!?いい加減その妄想をやめろ!!現実を直視しやがれ!!分かったらさっさと・・・組織部下女と・・・逃げ・・・!」

バタン(怒鳴りと殴りで体力が切れて、倒れる組織女)

組織部下女「頭領!」

組織女「あたしの事は・・・気にしなくていい・・・いいから・・・さっさとそのバカ連れて・・・逃・・・」

男「・・・おー痛え・・・だが、いつもの鉄拳の威力はないな・・・ククク・・・なぁ、組織部下女よ」

組織部下女「・・・は、はい?」

男「やはり組織女は、少し気が動転しているようだ。ここはじっくりと休ませてあげようではないか・・・なにせ、この暗黒の邪王、滅亡の神翼、灼眼の堕天使、紅き虎帝の御刀虎が無能力者などと、訳のわからぬ事を口走るのだからな」

組織女「てめぇ・・・まだそんな世迷い言を・・・!」

男「ククク・・・なぁ、組織女よ。お前は今、一つ大事な事を忘れているぞ」

組織女「あ?」

男「今日のお前は、とても可愛らしい女の子だと言う事だ」

組織女「あ、あぁ・・・?」

男「駅での待ち合わせで、遅刻したと思って一生懸命こちらに走ってくるお前は可愛かった」

組織女「・・・て、てめ、な、なに言って」

男「慣れない服装で、ちょっとぎこちない動きをしているお前は、オタク言葉で言うなら萌え萌えだった」

組織女「は、はぁ?」

男「イルカにエサをやっているお前は、無垢な少女なようで実に可愛らしかった」

組織女「て、てめえ!口を閉じろ!」

男「ハンバーグを俺にあーんしてくれたお前は、まるで俺のお姉さんのようで、俺は一瞬安らぎに似たような物を覚えた・・・男に取って貴重なのだ。こちらを甘やかしてくれる女性は」

組織女「だ、だからさっきから何を・・・!」

男「映画で、ちょっと怖いシーンで手を握ってきたお前に、俺の心臓は高鳴ったぞ」

組織女「・・・・・・っ」

男「そして、犬が死んだ事を話してくれたお前の、とても悲しげな表情・・・お前のような可愛らしい女の子を生け贄に差し出して、逃げるだと?このアホが。んな事死んでも出来る訳ねぇだろうが」

組織女「・・・男・・・」

男「まぁ、それにお前は俺を殴ったり怒鳴ったりする事で体力使い果たして、本当に一歩も動けないようになってしまったからな。それでお前もあの獣の前に生け贄として躍り出るなんてバカな事出来ないだろう・・・ククク・・・」

組織女「てめぇ・・・そこまで考えてたのか?」

男「さぁ、何の事かな?・・・ククク・・・という訳で悪いが、お前の指示には従えん。なぁに案ずるな。あの程度の獣など恐るるに足りん・・・と言えれば格好よいが流石に俺一人では少々厳しいやもしれん・・・故に組織部下女、手伝ってくれるか?」

組織部下女「は、はい!勿論です!『組織』のみんなの仇を取ります!」

男「うむ。ありがとう・・・ではちょっと、外に出るタイミングを図ってくれるか?」

組織部下女「はい、わかりました!」ダダッ

組織女「・・・てめえ・・・本気、なのか」

男「ああ」

組織女「何も出来ねえくせに・・・」

男「・・・そんな事はないだろう。何か一つくらいは出来る事があるはずだ。それに俺がこういう時、じっとしていられない性格だって知っているだろう?」

組織女「・・・チッ、そうだな。すっかり忘れてたぜ」

男「それに、時代錯誤な考え方かも知れんが、お前らは女だろう。女が戦ってる時に尻尾まいて逃げるなど・・・俺の中の男が許せん。例えそうする方がいいと分かっていてもな」

組織女「・・・は、利益とか損得とか・・・そういうのおめえの頭の中にはねぇのか?本当にバカだぜてめえはよ」

男「ククク・・・知らなかったのか?高校生にもなって、こんな妄想を撒き散らす人間、バカでしかありえんだろうよ」

組織女「・・・ふふっ」

男「ククク・・・」

組織部下女「男さん!今なら外に飛び出ても大丈夫です!・・・って、二人して何を笑っているんですか?」

男「ククク、なんでもないさ・・・では、行くぞ組織部下女よ!」

組織部下女「はい、男さん・・・あ、でもちょっと待って下さい!」

男「うん?」

組織部下女「・・・頭領!」

組織女「あ?」

組織部下女「その、私・・・今までの頭領の頑張りとか、そういうの絶対に無駄じゃないと思いますし、無駄って思わせませんから・・・えっと、それを証明しろとか確証しろと言われたら困りますけど・・・でも、私は頭領のお役に立ちたくて・・・だから・・・だから・・・」

組織女「何が言いたいかさっぱりわかんねえぞお前・・・」

組織部下女「う、うぅ・・・すみません」

男(正直俺もそう思ったな・・)

組織女「・・・まぁ言いたい事はなんとなくわかったからよ・・・まぁ、なんだ。サンキューな」

組織部下女「は、はい!では行きましょう男さん!」

男「おう・・・組織女よ。お前はそこで頭領らしく、どんと構えていろ。じっくり休んで、俺たちの帰りを待っているがいいさ。さぁ、化物退治と洒落込もうか・・・カカッ!」

組織女「・・・」

組織部下女の鷹型の獣「・・・ピューヒョロロロー・・・」

男「よぉ、一週間振りくらいか?またよろしく頼むぜ」

組織部下女「・・・男さん。戦場へ行く前に一つ聞く事があります」

男「ん?どうした組織部下女よ?」

組織部下女「・・・先程組織女さんが言いましたよね。あなたは無能力者だと」

男「お、おぉ。言ってたな・・・ったく、あいつも大分まいってたみたいだな、あんな訳の分からん事を言い出すとは・・・気持ちは分からんでもないが」

組織部下女「私、失礼ながらさっきから男さんの力を実は探っていたんですが・・・男さん、あなたは本当に何の力もないただの一般人ですね」

男「く、ククク・・・何を言い出すかと思えば・・・まぁそう勘違いするのも無理はないさ・・・なにせ、俺の隠形術は超高レベルだからな。そう判断してもしょうがな・・・」

組織部下女「・・・正直に言って下さい」

男「ククク・・・何を正直に言えと?俺の血筋か?隠された力か?それとも俺の過去の闇に触れたいのか?カカッ、残念ながら、いくら今から共に戦場へ向かうお前であってもそれをペラペラ喋る訳には・・・」

組織部下女「・・・」

男「あの・・・組織部下女さん・・・?なんで俺を睨んで仰る・・・?」

組織部下女「・・・」

男「・・・なんか、喋ってくれ・・・その・・・そういう無言のプレッシャーには俺、弱くてだな・・・それにほら、早く戦場に行かないと団長と女が・・・」

組織部下女「・・・本当の事を喋るまで、私の獣の背中に乗せませんよ」

男「・・・ええい!分かったよ言ってやる!ああ、そうだ。俺は無能力者。どこにでもいる普通の学生だ。だからなんだ。今更危険とか言うなよ?」

組織部下女「・・・ええ。今更何も言いません。むしろ無能力者なのにこの『戦争』に関わってなお堂々としているその勇気に、惚れなおしまし・・・」

男「・・・うん?なに、最後まで言ってくれ」

組織部下女「こ、コホンコホン!なんでもありません!ともかく、それが確認したかったんです!それに今、私は自分の願いが間違っていない事を改めて確信しました・・・あと、『騎士団』のお二人には黙っておいてあげますから」

組織部下女(今日一日一緒に居て、あの二人はかなり勘違いしてるってわかったしね)

男「・・・そうしてくれると、助かる。ここまで来たらもう、俺は戻れんのでな。とことん突っ走るつもりでいるさ」

組織部下女「はい、わかりました。私もとことん男さんの手助けをさせてもらいますね」

男「・・・お前には、いつも助けてもらってばかりだな」

組織部下女「いいえ、そんな事は」

男「この戦いが終わったら・・・また今度一緒にメシでも食おうぜ」

組織部下女「い、いいんですか?二人っきりで?」

男「いや、別に二人っきりとは言ってないが・・・まぁ組織部下女がそうしたいっていうのなら俺は構わんぞ」

組織部下女「・・・はい!二人っきりでぜひ行きましょう・・・!よし、それじゃあ私の獣の背中に乗って下さい!行きますよ!」

女「・・・このぉ!くらいなさい!」

ブォン!(女が剣を振るう音)
シュ!(キメラが難なく女の剣を避ける)

キメラ「ヒャハハハハ!!どこ狙ってんだ!遅いんだよこの鈍亀ぇ!!」

グォン!(キメラの尻尾が女の体に襲いかかる)

女「きゃぁ!」

騎士団長「女!・・・くっ・・・おぉ!」

ブォォン!(騎士団長が剣を振るう音)
シャァ!(キメラが危なげなく剣を避ける)

キメラ「止まって見えるぜぇ!この雑魚どもがぁ!」

ゴォォ!(キメラの前足が騎士団長を強襲する)
ギィン!!(それをなんとか剣で受け止める騎士団長)

騎士団長「ぐっ・・・くぅぅぅ・・・!(なんという力ッ・・・受け止めらているだけで精一杯だ!)」

キメラ「へぇー、やるねぇ。俺の攻撃を受け止められる奴なんてそうそういないんだが・・・」

騎士団長「ふんっ・・・この程度・・・どうってことないッ!」

キメラ「ひゃはは。いいねぇ、がんばるねぇ・・・だから、敬語使えっつってんだろうがこのボケがァッ!!」

ヒュン!(尻尾が騎士団長の死角である背中から襲いかかる)

騎士団長「ガッ!・・・くっ、クソ・・・」

キメラ「あー・・・その悔しそうな表情、そそるわぁ。すげえ興奮するっ!ヒャッハハハハハハー!!」

女「・・・・・・っ!!」

ギィン!!(物陰から奇襲をかけた女の剣を前足で受け止めるキメラ)

キメラ「!っとぉ!へへっ、危ねえ危ねえ。おいおいまだまだ元気一杯だなぁ姉ちゃんよぉ。だけど、そういう人間ほど嫐り殺す甲斐があるぜェ!!!」

ヒュン!シャ!(キメラの攻撃を跳躍してかわし、空中で一回転しながら着地し、騎士団長の隣に並び立つ女)

女「はぁはぁ・・・団長!私達はまだやれますよね!?」

騎士団長「・・・ふふ。強くなったな、女。肉体的にも精神的にも、な。ああ、そうとも。まだまだやれるさ!」

女「はい!」

騎士団長(それにしても、あの尻尾がやっかいだな。あれさえなんとか出来れば・・・)

キメラ「あーあ。俺、そういう気丈な顔が絶望に変わっていくのが好きなんだよな・・・楽に逝けると思うなよお前ら!!ハハハハハ・・・ん?」

ヒュゥゥゥゥゥ!!(なにかが飛んで来る音)

???「女!!団長殿!!手を!!」

キメラ「あ?」

女「この声は・・・!?」

騎士団長「男!?」

男「その通り!!拾い上げるから手を上に伸ばせ!!女!!団長殿!!」

バッバッ(手を上に伸ばす女と騎士団長)
ガシッ(その手をがっしりとつかむ男)

男「よし、掴んだ!一旦引いて体制を立て直すぞ組織部下女!」

組織部下女「了解です!!」

ブォォォッ・・・!!(とりあえずキメラから距離を取る組織部下女)

キメラ「・・・てめえら!!俺が逃がすとでも思ってんのかカス共かァ!!」

ドガガガガッ!!(追いかけてくるキメラ)

組織部下女「鬼ごっこですか・・・!言っておきますけど、私の獣は『組織』の中でも速さだけなら頭領の獣にも負けませんからね!スピード全開でお願い!!」

組織部下女(なるべく、頭領から離れた場所へ誘導しよう・・・!)

鷹型の獣「ピュー!!!」

男「女、団長殿!怪我は!?」

騎士団長「・・・ふふ、なぁに、まだまだ元気一杯さ。しかし毎度毎度、登場が遅いぞ男」

男「カカッ、それは申し訳ない。だがまぁ、それも我が宿命。世界の主人公たる俺は、いつだって登場が遅れるものなのである、ククク・・・」

女「私の傷もかすり傷程度よ!あんな奴、何百匹いようが問題ないわ!」

男「ほほう、強気だな女よ・・・成長したな」

頭撫で撫で。

女「ちょ!?なにするのよぉ!?」

男「いやなに。前回助けに来た時は涙目だったからな。それに比べれば雲泥の差だ。たくましくなったと思ってつい・・・いやだったか?」

女「い、いやとか・・・そういうんじゃなくて・・・単純に恥ずかしいっていうか・・・あんたが来るって信じてたから大丈夫だったていうか・・・その・・・///」

男「なんだ?声が小さくて聞こえん。もう一度言ってくれ」

女「あう・・・あの、だからぁ・・・ああもう!いいから辞めなさい!恥ずかしいから!」

男「お、おう・・・さて、では作戦を建てようか・・・って、どうした組織部下女に団長殿、こちらを睨んで・・・」

騎士団長「・・・君はいい加減、もう少し自分の言動を改めたまえ・・・」

組織部下女「う、うぅ、男さんの天然ジゴロ!」

男「???」

女「ま、まぁともかく、あのすごい形相でこっちを追っかけて来てる化物の対策を考えましょう!ね、団長!」

キメラ「待ちやがれテメエらぁ!!殺す!!ぶっ殺す!!マジでぶっ殺す!!殺す殺す殺す殺すゥ!!!!」

騎士団長「・・・うむ。そうしよう・・・男、あとで私の家に来たまえ。じっくり説教してくれる」

男「は、はぁ・・・」

騎士団長「さて、とりあえず問題なのはあの尻尾だ。勿論彼奴自身のパワーもスピードも凄まじいが、あれがあるせいで常に死角から攻撃されるのが一番きつい」

組織部下女「逆に言えば、あの尻尾さえ押さえればなんとかなるという事ですか?」

女「そこまで単純には上手く行かないと思うけど、今までの戦闘よりは大分マシになるとは思うわ」

組織部下女「なるほど」

男「・・・ふむ」

騎士団長「・・・そう言えば今更だが組織女はどうした?」

組織部下女「頭領は・・・実はあの獣、頭領が意図せず呼び出してしまったみたいなんです。ただそのせいで、体力を奪われて・・・とても戦闘出来る状態ではないので隠れてもらっています」

騎士団長「そうか・・・奴の獣にあの化物を引きつけてもらって、尻尾を断ち切ろうと言う案が浮かんだのだが、その案は出来そうにないな」

女「ですね・・・男。あんたは何か案が浮かぶ?」

男「・・・一撃・・・二撃・・・いや三撃くらいなら行けるか・・・?」ブツブツ

女「男?」

キメラ「逃げれば逃げるほど、てめえら全員の苦しみは増す!八つ裂きくらいじゃ済まさねえぞゴルァ!!!犯して殺してもう一回犯して食ってやらぁ!!」

男「なぁ、女、団長殿。奴は登場してからずっとあんな言動をしているか?」

騎士団長「・・・そうだな。さっきから喋る度に物騒な言葉ばかり並び立てているよ」

女「急に起こされて怒る気持ちは分かるけど、普通あんなに怒りは継続しないでしょうし、まぁあいつの元からの性格が暴力的なんでしょうね。それがどうしたの?」

男「・・・ふむ、ならばやれるか」

女「あんた・・・何をする気なの?」

男「まぁ黙って見ておけ・・・組織部下女。ちょっといいか?」

組織部下女「はい?」

男「俺をこの鷹から下ろしてくれ。俺が囮になって引き付ける」

女「は、はぁ!?あんた何言ってんのよ!?」

組織部下女「そうです!だめですよそんなの!!」

騎士団長「・・・」

男「別に、先ほどまで組織女にやらせようとしていた案を俺を引き受けるだけだ。何の問題もあるまい?」

女「そ、そうだけど・・・でも!」

組織部下女「私も反対です男さん!だって・・・だって、あなたは・・・」

男「組織部下女よ、さきほどとことん手助けしてくれると言っただろう?あの言葉は嘘だったのか?」

組織部下女「いえ、嘘じゃありません・・・ですが・・・でも・・・!」

男「ならば信じてくれ。何とかしてみせる。それにお前ともさきほど約束しただろう?俺は約束は守る男だ。心配はいらん」

組織部下女「・・・はい」

女「・・・ちょっと待ちなさい!あんた、『機関』との戦闘で、私達を助けてくれた時の獣は!?あの子を呼び出せばいいじゃない!」

男「あいつは・・・実はあいつを呼び出すには制約があってな。一ヶ月に一回しか呼び出せんのだ。あいつの力故に、それだけの期間を置かなければならん・・・それに囮くらい、あいつの力を借りずとも俺一人で遂行できるさ」

女「・・・じゃあ、囮には私が行くわ!!危険な役目は、この中で一番弱いであろう私がやるべきよ!!組織部下女はこの獣を操ってるし、団長は私より当然上で、あんただって私より強いに決まってるわ!私が1番適任よ!そうでしょう!?」

男「残念ながら、危険な役目を女性に押し付けて平気でいられるほど、上等な教育をされなかったものでな。悪いがこの役目は譲れん」

騎士団長「・・・」

女「ダメ!とにかくダメよ!!あんたにもしもの事があったら・・・わたし、わたし・・・」

男「女よ。お前は俺の保護者か?この御刀虎を心配・保護しようなどと百年早いわ。カカッ」

女「でも、でも・・・!!」

騎士団長「・・・女。君はもう少し男を信用したまえ。君は彼を心配する余り気づいていないのかもしれないが、さっきから君の言葉は彼を信用出来ないと言っているのと同義だぞ?」

女「・・・団長・・・・・・そう、ですよね・・・すみません」

騎士団長「・・・任せて良いのだな?」

男「ああ。全て一任してくれて構わない。団長殿達は尻尾をぶった斬る事に全神経を注いでくれ」

騎士団長「わかった」

男「では組織部下女、頼んだぞ」

組織部下女「・・・分かりました」

女(・・・男・・・)

シュタ(男が地面に降り立つ)

キメラ「おっ?」

男「よぉ。鬼ごっこはそろそろおしまいにしようぜ。俺たちゃあもうそんな年じゃねえ。そうだろう?」

キメラ「ひゃっはは。そうだなあおい。で、お前は?鬼に捕まった生け贄って訳か?女の為に自分を犠牲にって?かっくいいねぇ」

男「別に、そんなんじゃねえよ。ただ逃げる事に飽きただけだ」

男(でけぇ・・・いや、それより、こいつには凄まじい力を感じる。無能力者の俺でも分かるくらいビンビンに)

男(こぇぇ・・・)

キメラ「カッカッカ。そうだな。お前はただ見捨てられただけだぜあの女どもに。可哀想だなぁ~おい。見逃してやろうか?全裸で土下座して「お願いします。どうかこの命を奪う価値もないゴミクズをお見逃し下さい」って言ったらだけどな、アッハハハハ!!!」

男「・・・ふっ、中々魅力的な提案だな。たかがそんな程度で命が助かるのなら安いもんだ」

男(こいつの前に立ってるだけで、キン◯マが縮み上がりそうだ。正直今にもチビっちまいそうだぜ・・・)

男(・・・けどな)

キメラ「ブ・・・ヒャヒャヒャヒャ!!!んだてめえ!!かっこつけてる癖にとんだヘタレじゃねえか、マジウケるんだが、ブフフフフ、やべっ、腹いてぇ~。いいぜ。マジでそうしたらてめぇだけは見逃してやるよ」

男(いつもいつも、口先だけはかっこいい事言って、その実、他人の力ばっかり頼ってるクソ野郎はだれだ?)

男「本当か?やっぱりな。あんたは話の分かる奴だと思ってたぜ」

男(敵であった時のメイドに情けをかけられて見逃されたり、組織女に『戦争』から遠ざけてあげようなんて思われるほど、無力すぎるどうしようもない無能はだれだ?)

キメラ「プッ・・・こいつやべぇ。マジ終わってる。アルティメットヘタレだなてめえ。そこまで終わってるとおもしれえよ。ほら、早くしろ。俺様の気が変わらねえ内にな、アッハハハハ!!」

男「ああ、今すぐやるよ・・・あ、その前に一つだけいいか?」

男(いつもいつも、女の子ばっかり敵の矢面に立たせてる男の風上にも置けねえクズ野郎はだれだ?)

キメラ「あぁ?んだよてめえ。早くしねえと殺しちゃうぞ?」

男(・・・そう考えたらよ、やっぱりこの役目は誰にも譲れねえ。これは俺の仕事で、俺の役目だ。今までに溜まってきた俺の所業のツケ。それを今、払うべきだ)

男「ああ。悪い。すぐ終わるから」

男(大丈夫だ。俺は御刀虎。暗黒の邪王、滅亡の神翼、灼眼の堕天使、紅き虎帝・・・俺なら出来るさ・・・ククク・・・)

男「あのさ、お前って――絶対、生まれついての負け犬だろ」

キメラ「・・・あ?」

男「だってそうだろ?なんか言ってる事一々下品で幼稚だし、そもそも怒り狂ってる動機が勝手に起こされたからって・・・全く、なんという器の小ささだ」

キメラ「・・・」

男「笑い方にも知性をまるで感じん、そこらの猿の方がまだ上品に笑うぞ?大体俺に対する要求も、相手を辱めて自分が上に立とうとする、劣等感丸出しの奴だったし・・・何か悩みがあるのなら相談に乗るぞ?」

キメラ「・・・」

男「大体、貴様のような品性下劣な言動をする奴は大抵ただの雑魚でやられ役だしな。それが分かっていながらそういう言動をしているのなら、つまり自らやられ役、負け犬に徹しているという事だが・・・そういう趣味なのか?」

キメラ「・・・」

男「まぁ、流石にそこまで屈折した趣味を持つ人間などいないと思うから、お前は生まれついての負け犬だと言ったのだが・・・あ、それともやはり、キメラのようなお前と人間では感性が違――」

キメラ「てんめぇええええ!!!殺してやる!!!!ぶっ殺してやる!!!欠片も残さねえ!!!死ねオラァ!!!!」

男(来る。攻撃が来る)

男(ここの所、何故か不良と絡む・・・いや、そう言えば中学の時から絡まれていたな。まぁそんな事はどうでもいい)

男(ともかく、最近、ようやくこういう人種の攻撃のパターンがわかってきた・・・ので、それを活用する。あの不良達には感謝せねばなるまい)

男(ただ、それだけでは心もとない。なので怒らせた。こうすれば、怒りでさらに攻撃は単調となるからな)

男(そして怒った人間が狙う箇所は、大抵、顔。顔面だ。威嚇の為か無意識か。何でもいいが、顔を狙ってくる)

男(人間相手ならば、首をひょいと動かすだけで済むが、こいつはでかい。故に大きく身を屈めて――)

ブオオォォォォ!(キメラの攻撃)

男(――かわす!)

キメラ「てめえ!!避けんなオラァ!!」

男(かわせた。髪の毛が数本持って行かれたが問題ない)

男(そしてもう一度顔を狙ってくるので・・・今度は首を後ろに傾けつつ後ろに飛べは――)

グォオオォォォ!!(キメラの攻撃)

男(かわせる!!)

男(キメラの攻撃がかすった頬から血が出ているがだからどうした。女や団長殿、それにお嬢もメイドも組織女も組織部下女だって今までの『戦争』で血ぐらい幾度と無く流しているだろう。男の俺がこれくらいで悲鳴を上げる訳にはいかない)

男「・・・ふぅ。やれやれ。全く乱暴だな。そんなに怒るな。高血圧で早死にするぞ」

キメラ「黙れ!!二度とその生意気な口叩かねえようにしてやる!!」

女「男、すごい!攻撃をギリギリでかわしてる・・・!」

騎士団長「ふっ、だから言ったろう?彼なら心配いらないと・・・さぁ、我々はキメラの背後に静かに近づこうではないか」

組織部下女「・・・はい」

組織部下女(すごい、確かにすごいけど・・・男さんは無能力者。ならばすぐに体力切れになるはず・・・だとしたら今の行為だってジリ貧)

組織部下女(男さんだってバカじゃない。それくらい分かってるはず・・・でも、もし体力が切れたら・・・男さんは・・・)

組織部下女(いや、男さんは信じろって言った。なら、きっと何か秘策があるはず・・・なら・・・なら・・・私に出来る事は一刻も早く、男さんの体力が切れる前に奴の尻尾を『騎士団』の二人に斬らせて、一刻も早く男さんを回収すること)

組織部下女(・・・大丈夫ですよね。男さん?)

おわーり。
こ、今月中には終わる・・・はず・・・
次回もよろしくお願いします・・・

投下します。

グォン!!グォン!!(キメラの攻撃)
シュ!シャ!(男がかわす音)

男(今ので6撃目くらいか・・・)

男(思ったよりは遥かにかわせている)

男(例え攻撃がいかに早かろうと、来る場所が分かるならば、避ける事は案外容易い)

男(ただ――)

キメラ「あああああああああああああああああああああああ!!もういい!!てめえは焼き殺す!!骨の髄まで灰にしてやらぁ!!!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・!!(キメラの口の中に炎が溜まりだす)

男(こういう全体攻撃というか・・・不可避の攻撃となると・・・俺にはどうしようもない・・・それに体力も、もう限界に近いしな)

男「ククク・・・この灼眼の堕天使に炎を効くとでも?」

キメラ「黙ってろボケが!!!」

男「ククク・・・」

男(せいぜい出来るのはこうやってニタニタ笑って、奴の気を俺に引き付ける事くらいだ)

男(・・・女達は上手くやっているのだろうか・・・いや、大丈夫だろう。ここまで来たら信じるしかない)

男(親父、母さん。先に逝く不幸を許してくれ)

男(組織部下女、組織女を支えてやってくれ。お前ら二人とも、いつも俺を助けてくれたな。二人共最高に良い奴だったよ)

男(お嬢、メイド。遊べなくて申し訳ねえ。あの世で先に待ってるから、遊びのプランをそれこそ死ぬほど考えておくから、いつかまた会えたら、その時は死ぬほど遊

ぼう)

男(・・・団長殿。あなたとの鍛錬は実に楽しかった。貴方とは同好の士になれたかもしれないと思うと、実に残念だ。来世で、もしファンタジーの世界とかに生まれ

変われたら、その時は互いにアホみたいに長い技名言いながら、剣舞でも繰り広げましょうや)

男(・・・そして、女。お前に、今までの俺の洗いざらいを全部喋ったら、その可愛い顔は、どんな表情を浮かべるのだろな?騙していて申し訳なかったが・・・それ

でも、こうして少しでも役に立つ事で罪滅ぼしになるかな?)

キメラ「死ねえええええええええええええええええええええええええええ!!!!」

ブオオォォォォ!!!(男に迫り来る炎)

男(・・・お別れか)

男(色んな奴との約束も破っちまったし、悔いは残る・・・が、ここまできたらジタバタせずに、真正面から受け止めてやる!最後くらいはせめてかっこつけてな!)

男(・・・さよな――)

???「――全く、相変わらず無茶苦茶しますね、ご主人様は」

バシッ!(誰かが男をお姫様抱っこして、炎からギリギリの所で逃れる)

男「・・・え・・・あ、お、お前は・・・メイド!?」

メイド「はい。あなたのメイドです、ご主人様――助けにきましたよ」

キメラ「あ?」


組織部下女「よし、男さんが引きつけてくれてる今です、二人とも!」

女「ええ、行きましょう団長!!」

騎士団長「ああ、尻尾をぶった斬る!!


ザッ!!ザザンッ!!(女がキメラの尻尾に切り口をつけて、そのあと団長が見事に尻尾をぶった斬る)


キメラ「ああ!?」


ヒュゥゥゥ……(どこからか、巨大な物体が飛んで来る音)


???「闇に飲まれよ、ですわあああああああああああああああ!!!」

ドガラッシャアアアアアアアアア!!!!(巨大な物体が当たって、キメラがぶっ飛ぶ音)

キメラ「ああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」



ウィーン(『兵器』のコックピット面が開く音)

機関女「おーっほっほっほ!男さん、かなりお困りのようでしたわね?助けに来てあげましたわよ!!」

シュタ(機関女の『兵器』の肩の上に男を抱えて降り立つメイド)

メイド「お嬢様・・・やはりその笑い方はないと思いますが・・・」

機関女「お、男さんの好きそうな漫画とかアニメを見ていたら、大抵私のようなキャラはこのような笑い方をしていたんですもの!仕方がないでしょう!」

メイド「別に真似する必要はないと思いますが・・・」

機関女「う、うるさいですわね!いいじゃありませんの!!」

男「お前ら・・・一体・・・?」

メイド「いえ、急に『戦争』についての連絡をよこして、そのあと一切連絡が取れなくなり、それに強烈な能力の気配を感じれば、嫌でも心配になるというものでしょ

う?」

男「・・・確かに、それは済まなかったな・・・でも、どうしてここが?」

機関女「ふふっ、『組織』の科学力を持ってすれば、男さんのスマホから位置情報を割る事など容易いですわ」

男「こええよお前ら!?でもいいのか?お前らはもう『戦争』から降りたんだろ?なんで俺を・・・」

機関女「それは・・・」

シュゥゥゥ・・・(組織部下女の獣が男達に近づいてくる音)

組織部下女「男さん、無事ですか!?・・・って、ええ!?『機関』!?」

騎士団長「っ、貴様らっ、まだ・・・!」

女「っ、男!離れなさい!何をされるかわかったもんじゃ・・・!っていうかなんであんたメイドにお姫様抱っこされてんのよ!?」

男「ええいお前ら落ち着け!こいつらは助けに来てくれたんだよ!!

女「・・・え?そうなの?」

組織部下女「・・・本当ですか?」

メイド「ええ、わざわざ嘘をつきにこんな危険な事までしないでしょう」

騎士団長「しかし・・・一体なぜ?」

機関女「男さんは友達ですからね・・・友達を助けるのに理由がいるので?」

男「・・・は、はははっ!!いいぞお前ら!!やっとわかってきたな俺のノリが!!」

女(・・・なんかまた、男の回りに女が増えそうな・・・)

騎士団長(友達・・・友達を見る目か?あの目が?特に機関女の方はまだしも、メイドの方はいつまで男をお姫様抱っこしているのだ・・・特にメイドの男を見る目が

、私を見つめる後輩の女子達に似ている気がするぞ・・・)

組織部下女(うう、またライバルがぁ・・・)

男「どうしたお前たち、変な目で俺を見て・・・」

騎士団長「いや・・・」

女「別にぃ・・・」

組織部下女「なんでもないですよーだ・・・」

男「???・・・って、何度目だこの流れは。なぁ、なんでか分かるかメイド?」

メイド「さぁ、ご自分の胸に聞かれたらいかがです?ご主人様」

女・騎士団長・組織部下女「「「ご、ご主人様ぁ!?」」」

男「あー・・・というかお前、なんで俺の事ご主人様って呼ぶんだよ。まぁそりゃあこの暗黒の邪王をご主人様と崇めたくなる気持ちは痛いほどわかるが・・・」

メイド「ふふ。さぁ、どうしてでしょう?秘密です♪」ニコッ

女(団長団長、なんかメイドのキャラが違くないですか?あんな笑うキャラでしたっけ?)ヒソヒソ

騎士団長(いいや、前はもっとテンションの低い無表情系な人間だと思ったが・・・)ヒソヒソ

男「というか、お嬢よ。この『兵器』は大丈夫なのか?またエネルギー不足で、回りの人間を取り込んだりはしないのだろうな?」

機関女「ええ。一応、何かあった時の為に改良して、暴走が怒らないように理論的に改造しましたので大丈夫ですわ。またエネルギー源も従来のものに戻しましたの。

ただそのせいでパワーや機動力も前回の『兵器』よりかは正直、見劣りするのは否めませんが」

男「そうか・・・なら良かったぜ・・・ところで、今日はいつもと髪型が違うんだな」

機関女「ええ、メイドがこの髪型にセットしてくれたんですの」

メイド「お嬢様はとても美しいので、おめかしさせるのが楽しくてしょうがないです」

男「ほう、仲良き事は美しき哉ってな。お嬢、良く似合っているぞ」

機関女「あ、ありがとうございます・・・お世辞として受け取っておきますわ・・・//」

男「?いや本心だが」

機関女「・・・メイドが毎日、男さんの話をする理由が分かる気がしますわ」

メイド「お、お嬢様、毎日ではありませんよ!週に7日くらいしかご主人様の事は話してません!それとご主人様・・・お嬢様まで落とすつもりですか?」

男「何の話をしてるんだお前は・・・」

女「あんた達、ここが戦場だって事を忘れてないでしょうね・・・」

キメラ「て・・・んめえらああああああああああああああああああ!!」

ガラガラ・・・ズアアアアアアアアアア!!(瓦礫に埋もれたキメラが起き上がってくる音)

キメラ「舐めやがってこのクソ人間どもがァァ!!!てめえら全員死ぬよりもつらい目に合う覚悟は出来てんだろうなぁァ!?」

メイド「まぁ、下賤な言葉を使う方ですね。お里が知れます」

機関女「メイド。ゆめゆめ油断なさらぬよう。アレは強いですわよ」

騎士団長「・・・流石だなお嬢。この短時間であいつの実力を把握しているか」

機関女「まぁ、嫌でも感じますしね・・・正直、私達の加勢もあってようやく五分五分と言った所でしょう。私達が来たからと言って皆さん、気を抜いてはダメですわ

よ!」

女「そうね。気を抜きたくても、抜けそうにないわね、この感じ・・・」

キメラ「皆殺しだこのクソビッチどもがッ!!!女に生まれてきた事を後悔させてやるからなこのクソアマどもォ!!!」

ブオオォォォォ!!!(全員に迫り来る炎。さきほどよりも威力、勢いが上がっている)

組織部下女「ッ!?騎士団長さん、女さん!!私の獣に捕まって下さい!!」

騎士団長「っ!」

女「くッ!」

機関女「下がりますわよっ!」

メイド「はいお嬢様!男さん、しっかり捕まって下さいね!」

男「申し訳ないがそうさせてもらう!!」

ババババババッ!!(全員散開する音)

騎士団長「お嬢!メイド!そして男!悪いが正面を頼むっ!我々では火力不足だっ!隙をついてこいつの体力と力を削っていく!悪いが頼ん――」

キメラ「んな思い通りにやらす訳ねえだろアホがあああああああああああああああああああああ!!」

ズッドガッ!!(キメラの前足が、組織部下女の鷹型の獣に当たる)

鷹型の獣「ぴょ!?・・・ヒュゥゥゥ!」

組織部下女「大丈夫!?くっ、よくもっ!」

女「落ち着きなさい組織部下女!!冷静さを失ったら負けよ!ここは一旦引くのが正解だわ!」

組織部下女「・・・悔しいですが、ですね!」

組織女「とりあえず意図は伝わりましたわ騎士団長さん!!やれるだけやってみます!!」

騎士団長「頼んだぞっ!!」

騎士団長(『冥府落し』は・・・出来ない訳じゃない、が・・・アレは詠唱をするのに集中力と邪魔されない時間が必要だし、なによりあのように暴れまわられては、

狙いを付けるのも困難だ・・・くっ)

騎士団長(なにより、組織女は士気を落とさせない為に5分5分と言ったんだろうが、実質、尻尾を斬って加勢して貰った上で、ようやく4対6と言った所だろう・・

・どうする・・・いや、考える時間はない・・・戦うしかないか!)

騎士団長(全く、厄介な物を呼んでくれたものだ、組織女め・・・)

組織女(・・・外からでけえ音がする)

組織女(今頃ドンパチやってんのか・・・)

組織女(男も、組織部下女も、それからまぁ、『騎士団』の奴らも、戦っている以上、無事だといいが・・・)

組織女(・・・はっ、情けねえなぁ・・・元々の原因があたしなのによ、あたしだけ蚊帳の外か)

組織女(一体いつから、あたしは自分のケツも自分で拭けねえような人間になっちまったのかね・・・)

組織女(ああ、ったく。それにしたって、男も、組織部下女も、バカだな・・・)

組織女(あたしの失敗の尻拭いを、わざわざ命がけでする大馬鹿どもだ・・・)

組織女(はっ)

組織女「ダセえなぁ、あたし・・・」

組織女(こうやって愚痴ってることが、さらにダセえ・・・)

組織女(でも、マジで一歩も動かねえんだよ、指先ひとつ、動いてくれねえんだよ)

組織女(ちくしょう・・・お願いだ・・・誰か、力を貸してくれ・・・)

組織女(・・・はっ、無意識の内に誰かや何かにすがるようじゃ、あたしももう終わりだな)

組織女(いつだって、自分の拳と力で、切り開いていくのがあたしだってのによ・・・)

組織女(・・・あいつら、無事なのかな)

組織女(あいつらが負けちまったら、どうなるんだろうか)

組織女(・・・当然、あたしは食われるか)

組織女(・・・へ、何を今更わかりきった事を)

組織女(・・・)

組織女(・・・せめて、戦って死にてえ。やられるがままなんてまっぴらごめんだ。例え相手が神様だろうが、気に入らなかったらぶん殴るのがあたしだ)

組織女(だからせめて、戦える力がほしい)

組織女(勝たせろなんて贅沢言わねえ。勝たせてもらうなんざつまらねえ)

組織女(勝利ってのは自分の拳一つで引き寄せるもんだ)

組織女(だからせめてまともに戦えるくらいの力を、誰か貸してくれ)

組織女(本当に、たった一発だけでいい。全力でぶん殴れる力を、全身全霊をぶつけるだけの力を、誰か・・・)

ドッガアアアアアアアアアアアア!!!(キメラの攻撃)

機関女「くっ、激しい攻撃ですわね・・・ああ、せっかく私の友達(メイド)が結んでくれた髪の毛が乱れて・・・許しませんわよ、あなた!」

バババババッ・・・ブオオオオ・・・バアアアアアアアアアアアン!!(『兵器』のレーザー銃を乱射したあと、エネルギー弾を溜めて、キメラに向けて撃つお嬢)

ズ・・・ザアアアア!!(それをギリギリでかわすキメラ)

キメラ「へっ、おせえおせえ!!んなおっっっっせえ弾が当たるかダボハゼがぁ!」

機関女「・・・いいえ。それでいいんです。でしょう、お二人?」

キメラ「・・・あ?」

女「――お嬢の言う通り!」

騎士団長「隙ありだな」

キメラ「あがあああああああああああああああ!!??」

・・・ザンッ!・・・ボトッ・・・ボトッ(エネルギー弾をかわした先で『騎士団』の二人に斬りつけられ、キメラの山羊と蛇の顔の部分が落ちる音)

キメラ「・・・こ、んのぉ!!クソどもがあああああああああ!!思いつく限りの残虐な方法、全部てめえらで試してやるからな!!覚悟しろやぁ!!」

組織部下女「よし!じゃあ私の獣で逃げますよお二人!!」

キメラ「てめえら、さっきからちょこまことォ・・・よし、こんどこそ捕まえ・・・」

メイド「――させませんよ」

シュッ(メイドの投げたナイフが、キメラが伸ばした前足にいつのまにか生えている)

キメラ「ちっ、クソがァ!」

スカッ(痛みに一瞬動けなくなり、その隙に騎士団長達に逃げられる)

男「・・・メイドよ、お前が初めて戦う所を見たがすごいんだな」

メイド「ふふっ、メイドの嗜みですよ。それよりご主人様、攻撃はあたっていませんか?大丈夫です?」

男「まぁお前が守ってくれているからな・・・というか、お前はいつまで俺をお姫様抱っこしているんだ。いい加減下ろしてくれ」

メイド「・・・いえ、出来ればずっとこうしていたいんですけどね」

男「はぁ?」

メイド「いいものですよ、文字通り自分の手で誰かを守れるというのは」

男「・・・まぁ、それはなんとなくわかるが・・・」

メイド(・・・自分が憎からず思っている相手なら特に、ですね)

男「ところで、このまま行けば押しきれるんじゃないのか?アイツの顔も、残る所ライオンの顔一つだけだしよ」

ウィーン・・・ガシャン・・・(二人の近くに降り立つ機関女の『兵器』の音)

機関女「・・・いえ、男さん。恐らく、奴はここからです」

男「なんだと・・・?」

キメラ「あぁー・・・もういいわ。完璧にキレたわ。これやると抑え効かなくなって死ぬほど疲れっからやりたくなかったんだけどよぉ・・・俺は悪くねえぜ?テメエ

らがわりぃ・・・」

・・・ズズズズズズズズズズ・・・

女「なんか・・・キメラの能力というか、オーラみたいのが、増してきてる?」

騎士団長「・・・」

鷹型の獣「ピエー・・・ピュー!」

組織部下女「どうしたのそんな声を出して・・・怯えているの?・・・団長さん!ひょっとしてあいつ・・・!!」

騎士団長「・・・!!まずい!!全員攻撃しろ!!恐らく奴は今、力を溜めている!!変身か、変異か、なんだかわからないがこのまま行くとともかくまずい!!全力

で攻撃しろ!!!」

組織部下女「はい!!お願い、今だけでいいから、勇気を出して攻撃して・・・!!」

女「了解!!」

メイド「了解です!!」

機関女「了解ですわ!!」

ズドドドドドドドドガガガガガガガッガガガガガッババババババッ!!!!(全員で攻撃している音)

騎士団長「やったか!?」

スゥー・・・(舞い上がった砂埃から、変身したキメラの姿が見える)

キメラ「カッカッカ・・・あー、この姿になるの、数百年ぶりか?・・・くくっ、あー体が軽い。気分がいいわー・・・まぁせいぜい俺を楽しませて見ろやクソビッチ

。そうすりゃ俺の奴隷として生かしてやってもいいぜ?クヒヒッ」

女「なっ、傷が全部回復して、斬り落とした顔も尻尾も、復活してる・・・!?」

騎士団長「しかも奴の体力も士気も同じく、だな。ただパワーだけは大幅に上昇しているようだが・・・くっ!」

鷹型の獣「ピエーッ!ピエーッ!」

組織部下女「・・・大丈夫!大丈夫だから!落ち着いて、ね!?」

機関女「これは・・・ちょっと想像以上ですわね・・・」

メイド「ご主人様・・・一旦、下ろします。どうやら片手間で処理できる相手ではなくなりましたようなので・・・」

男「・・・ああ。どうやら、そのようだな・・・」

男(どうする・・・どうする!?)

キメラ「行くぜオラァ!!!」

組織女(いくら願っても、助けてくれる誰かは来ねえ・・・分かってた事だけどな・・・)

組織女(男・・・組織部下女・・・)

組織女(役立たずだな、あたし・・・)

組織女(・・・バカ犬)

組織女(会いてえなぁ・・・お前に。もう一度会いてえよ、バカ犬)

組織女(お前に会う為に、あたしたくさん頑張ったんだぜ?お前みたいなバカの為によぉ・・・)

組織女(死んだら、会えんのかなあ・・・)

???「ォオーン・・・」

組織女「・・・あ?」

???「クゥーン・・・・・・クゥーン・・・・・・」

組織女「てめえは・・・ケルベロス・・・?」

ケルベロス「ワオンっ」

組織女「なんで、てめえまで勝手に出てくんだよ・・・ああ、あの外で暴れてる奴が勝手に出てきたせいで、召喚に何らかの変化があって無意識に出てこれたって感じ

か?」

ケルベロス「ワオン!」

組織女「・・・そうか。まぁ出てきてくれたのは嬉しいけどよ・・・わるいが、今のあたしには何も出来ねえ・・・むしろ普段散々こき使ってんだ。日頃の恨みを晴ら

してくれてもいいんだぜ?」

ケルベロス「クゥン?」

組織女「とは言っても、あたしら召喚した奴と獣は繋がっている以上、そんな事する元気は今のお前には無えか・・・」

ケルベロス「・・・ペロペロ」

組織女「ぷっ、あはは、くすぐってえっての。顔舐めんな、バカ」

ケルベロス「・・・ペロペロ」」

組織女「おい、いつまで顔舐めてんだ。慰めてくれてんのか?わりぃけど、今はそういうのいいからよ」

ケルベロス「・・・ペロペロ」

組織女「お前、だからやめろって・・・お前顔が3つもついてんだからよ、顔中ベタベタになるわ・・・」

ケルベロス「ペロ・・・ペロペロ・・・ペロペロ・・・」

組織女(・・・この、あたしが暗かったり落ち込んでたりすると、アホみたいに顔を舐めてくるこの感じ。こいつ、バカ犬にそっくりだな)

ケルベロス「クゥーン・・・クンクン・・・ペロペロ・・・ペロ・・・」

組織女(ていうか、こいつ鳴き声もそっくりだし・・・額についてる傷跡もそっくりだ・・・)

組織女(まさか・・・まさかな・・・)

組織女「・・・おい、バカ犬。お手」

ケルベロス「ワオン!」

ぽんっ(組織女の頭に手を置くケルベロス)

組織女(・・・お手って手を出すと、いつも肩とか足とかに、あのバカ犬は手を乗せてたっけ)

組織女(あとあたしがガキの頃で、バカ犬と背丈が一緒くらいの時は、よく頭に手を乗っけられてたな・・・)

組織女(ひょっとして・・・ひょっとして・・・いや、でも獣ってのはあの世だがどっかから、死んだ人間や獣をベースに呼び寄せてるって死んだ『組織』の元リーダーが言ってたような気がするな・・・)

組織女「なぁ・・・お前、ひょっとして・・・バカ犬の転生とか、生まれ変わりとか、そういうのなのか・・・?」

ケルベロス「ワオン!!」

組織女「・・・へ、マジかよ・・・んだよ、てめえ、知らねえ内に、あたしの傍にいたのかよ・・・死んでからも、あたしの事を覚えてたのかよ、バカの癖に」

ケルベロス「ワオオン?」

組織女「・・・へ、分かってんだが、分かってねえんだか、よく分かんねえ顔しやがって・・・あのバカ犬らしいぜ。いや、ひょっとしたらてめえは、バカだから自分

が死んだ事に気付いてねえのか?」

ケルベロス「・・・ワン?」

組織女「そう言えばてめえ、初めて召喚した時、やけに嬉しそうだったよな・・・んで召喚した瞬間からあたしに懐いてやがった・・・それはつまり、そういう事だったのかよ・・・?」

ギュゥ(組織女がケルベロスを抱きしめる)

ケルベロス「ワオン?」

組織女「ははっ、お前がバカ犬だって・・・気付かなかったあたしの方がバカかも知んねえな・・・あーあ・・・」

ケルベロス「オオン・・・ペロペロ・・・」

組織女「あーもういいって。舐めなくていい。大丈夫だ。なんか元気湧いてきたからよ」

ケルベロス「ワン!」

組織女「へへ・・・へへへ・・・・・・なぁ、バカ犬。今よ、あたしの好きな男と、こんなあたしを気遣ってくれる可愛い後輩が戦ってんだ・・・なぁ、あたしの事、手伝ってくれるか?」

ケルベロス「ワオーン!!」



???「・・・・・・」

キメラ「ダラッシャアアアアアアアアアア!!!」

グワアアアアアアアアアア!!(キメラの体当たりが組織女の『兵器』を襲う)

組織女「くっ・・・うぅぅ、ダメージは深刻、ですがこの距離ならばっ!」

バアアアアアアアアアアアン!!!!ドォン!!!(『兵器』のエネルギー弾が当たる)

キメラ「グアアオ!?・・・へ、へへ、効いたぜ。変身する前の俺だったら死んでたかもな。変身する前の俺なら、な!」

ブォン!!グォン!!(物陰から密かに狙っていた女を尻尾を叩き落とし、前足で『兵器』を攻撃する)

女「かはっ・・・ぅぅ・・・!!」

組織女「きゃああああ!!」

騎士団長「女!貴様ァ・・・!」

メイド「よくもお嬢様を、この下郎!」

シュ!シャア!!(剣で斬りつける騎士団長とナイフで襲いかかるメイド)

キメラ「だから・・・おせえっつってんだろうがこの低脳どもがあああああああああ!!!」

ドーン!!(吹き飛ばされる二人)

騎士団長「ごほっ!」

メイド「がっ・・・!」

キメラ「ヒャハハハハハハハハハ!!!あーやっぱこうなった俺は無敵だ!!気持ちいいいいいい!!!カス共を蹂躙すんの最高おおおおおおおおおおおおおおお!!

うっひひひひひ!!!」

組織部下女「お、男さん。ダメです。この子が怯えちゃって、あの獣に近づいてくれません!!」

男「そうか・・・」

男(あいつの攻撃の衝撃で俺と組織部下女は吹き飛ばされて、ちょうど近場にあった物陰から様子を伺っていたが・・・嘘だろ・・・あっという間に4人がやられた・・・クソ、どうする・・・どうする・・・!?)

男(・・・いや、どうするもクソもねえか・・・結局、俺に出来る事なんか、いつだって限られている。能力者でもなんでもねえ俺は、俺に出来るベストをやるだけだ。ビビってる場合じゃねえ)

男「ならばちょうどいい、組織部下女。女と団長殿と機関女とメイド連れて逃げろ」

組織部下女「は、はぁ!?男さんはどうするんですか!?」

男「俺は残る。なぁに、さっきの様子からするに、俺でも5分ぐらい時間稼ぎは出来るだろ」

組織部下女「そ、それはダメです!!だって男さん、今度こそ本当に死んじゃいますよ!!!あの獣、さっきまでとはスピードも力も段違いなんですから!!瞬殺されてしまいます!!」

男「・・・まぁ、お前があの4人を確保して逃げる時間くらいは何とか作る。だから逃げろ」

組織部下女「・・・いや、嫌です!だって、だってそれじゃあ結局変わらないじゃないですか!組織女さんを見捨てない代わりに男さんを見捨てる事になっただけです!!意味がありません!!!」

男「そんな事はねえ!!意味なんかどうでもいいからさっさと逃げろ!!」

組織部下女「嫌です!!逃げません!!」

男(畜生、どうしてこう、俺の回りの女は、誰も彼も自分の事を大事にしない奴ばっかなんだ)

男(どいつもこいつも、良い奴すぎるんだよ・・・)

男「いいから逃げろ!!そうこうしてる間にも、キメラがこの場所に来るかも知れねえんだぞ!」

キメラ「ん?呼んだか?」

男・組織部下女「!?」

キメラ「てめえらバカだろ?あんな大声で叫んだら誰でも気付くわ。おいそこのお前、さっき散々バカにしてくれやがったよなぁ・・・?」ビキビキ

男(やべえ・・・本気でブチ切れてる・・・こりゃあ死んだな・・・俺。だったらせめて、組織部下女だけでも・・・)

男「ふ・・・だったらどうした?むしろお前がそれを覚えていた事に驚愕するぞ、一応それぐらいの頭脳はあるのだな」

キメラ「あぁ・・・!?」

ズズズズズズズズズズ・・・!(怒りでさらにオーラが増すキメラ)

鷹型の獣「ピ、ピエーッ!!」

シュゥゥゥーッ!(鷹型の獣がキメラを恐れて逃げる音)

組織部下女「あっ・・・!ま、待って!!男さんが・・・!!」

男(よし、とりあえず組織部下女を逃がす事だけは成功したが・・・流石に、もう助かる手立てが思いつかねえ・・・)

キメラ「今度こそ死ねやオラアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

ブヒョウ!!!(キメラの前足が、男を襲う音)

男(今度こそ、死んだ――)

???「人の男に、手を出してんじゃねええええええええええええええ!!!!!!!」


ズッカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!(巨大な物体が当たって、キメラがぶっ飛ぶ音)


キメラ「あああああああああああああああああああああああああああああああああ!!?!?!?またかあああああああああああああああああ!?!?!?!?」


???「ふぅー・・・厨房の頃を思い出すぜ・・・男が族に捕まった時、単車一つ、あたし一人で族のアジトに乗り込んだ時をよぉ・・・」

???「グオオオオオオオオオオオオオ!!!」

男(超でかい犬・・・の頭が3つあるバージョン・・・ケルベロスと・・・この声、この口調は・・・)

男「お、お前は・・・組織女!?どうして・・・もう動けないはず・・・」

組織女「ああ?この中じゃお前があたしの事1番知ってんだろ?今じゃ化石扱いの女ヤンキー、レディース、女番長だぜ?んで、気合と根性で世の中なんとかなると思ってる大馬鹿女だ」

組織女「それにあたし頭悪いからよぉ、ダチがピンチな時に体力が無いとか自分じゃわかんねえんだ。だから気合入れて根性出して助けに来てやったぜ、男」

男「・・・ふっ、ククク・・・クククククク・・・全く、お前という奴は・・・この御刀虎の灰色の脳細胞を持ってしても、計算外の女だ。カカッ、最高の女だよ、お前はっ!!」

組織女「さ、最高の女って・・・そりゃあまぁ、あたしがいつだって最高なのはいつもの事だし・・・///」モジモジ(ケルベロスの毛をイジイジ)

男「?」

組織女「ゴホンゴホンッ!とにかく、今はあいつに集中だろ? というか、他の奴らは?」

男「それが・・・奴が予想以上に強くてな。全員やばい状態なのだ・・・」

組織女「んだと?・・・っていうか、よく見れば『機関』のお嬢とメイドまで居るじゃねえか・・・」

男「ああ。あいつらも助けに来てくれてな・・・お前まで来たことで『機関』『組織』そして『騎士団』の主要メンバーが全員揃ったという訳だ」

組織女「・・・へっ、そんなに人数集まって、あんなキモい獣一匹に負けちまったらかっこ悪いよなぁ・・・おいよく聞け、『機関』のお嬢とメイド!それから『騎士団』の団長さんと女!!それから組織部下女よぉ!!」

組織女「てめえら!!!『戦争』に関わった連中がこんだけ雁首揃えてんのに、何あんな訳わかんねえちょっとデカくてキモい奴に手間取ってんだ!!情けねえぞ!!気合が足りねえよてめえら!!!」

組織女「あたしを苦戦させた奴らが、あんなキモい獣一匹に負けるなんて許さねえぞ!!根性見せろ根性!!!!オラ・・・うっ!!」

バタンっ(体力の限界が来て、倒れる組織女)

男「組織女っ!!」

組織女「へっ、言ってる本人が・・・体力切れじゃあ世話ねえな・・・でもよ、見ろ。今がチャンスだ・・・思いっきりぶん殴ってやったから、よ・・・畳み掛けろ・・・勝つチャンスは、今しか、ねえぞ・・・!!!!」

機関女「全く・・・根性だの気合だの・・・時代錯誤も甚だしいですわ・・・」

メイド「ええ、何の証拠も確証もない精神論ですが・・・ふふっ、なぜでしょうね、体が動いてしまうのは」

騎士団長「あの女は相変わらずめちゃくちゃな事ばかり言う・・・」

女「別に、あいつに言われるまでもなく、私は立ち上がれましたし!!」

組織部下女「頭領・・・体がボロボロなハズなのに・・・ねえお願い、もう一度だけ立ち向かわせて!」


ウィーン・・・ガチャン!(『兵器』の駆動音)

ザッ・・・ダダダダダ!(立ち上がり、キメラの方へ凄まじい速度で疾走するメイド)

シュ!シュ!(姿さえ視認出来ないほどのスピードで、キメラへと襲いかかる騎士団長と女)

シュゥゥゥーッ!(エグい角度で、急降下攻撃を仕掛ける鷹型の獣)


機関女「全エネルギーを注ぎこみます!!これ撃ったら『兵器』は機能停止ですけど、知った事じゃありませんわ!!」

キュゥゥゥ・・・バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!(『兵器』が今までで1番威力のあるエネルギー弾をキメラに撃つ音)

キメラ「ガァッ!?」

メイド「『機関』特製、『禍学爆弾』です。先程までは狙いが付かず、使用出来ませんでしたが、今なら・・・!!これはあなたの体内で爆発します。ちなみに威力は、高層ビルがこれ一発で木っ端微塵になるほどです。お嬢様のエネルギー弾と一緒にご賞味下さいませ!」

ズッ・・・グガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!(くぐもった爆発音が辺りを劈く音)

キメラ「グファオォ!?」

組織部下女「お願い!!私の体力も全部使っていいから、あなたの持てる力を全てあいつにぶつけて!!」

グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ、ズバッ!!!(全力で体当たりした後、爪でキメラの目潰しをする鷹)

キメラ「アガアアアアっ!?目がっ目がああああああああああ!?」

女「あんたの下品な言葉遣い、もう二度と聞きたくないわ!!!今のあたしの全力の剣技をくらいなさい!!!」

スパッ・・・ズッシャアアアアアアアアアア!!!(首筋に太刀筋を入れたあと、噴水のように血が吹き出す音)

キメラ「グゥ・・・カハァッ・・・アアアアアアア・・・この、クズ、ども、ガッ・・・いい加減にっ・・・」

女「団長、あとはお願いします!」

騎士団長「任せたまえ・・・奥義・旋紅蓮七覇黒風万王羅刃影蒼剣星焔散殺裂斬!!!!」

キメラ「てめえ、ら・・・」

ズシャ・・・ズル・・・バアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!(キメラの首と胴体がずれ、完全に首と胴体が離れた音)


組織女「へへっ・・・んだよ、やりゃあ出来んじゃねえか・・・だから言ったろ・・・気合と・・・根性・・・だって・・・」

???「うりょう・・・とうりょう・・・!」

組織女(誰だ・・・?)

???「おい、組織女起きろ!」

組織女(この、声は・・・)

組織部下女「あっ、頭領!やっと目を覚ましてくれたんですね!良かった・・・私、心配で心配で・・・!」

組織女「お前は・・・組織部下女・・・」

男「やれやれ、やっと目を覚ましたか・・・全く、2週続けて眠り姫に遭遇する事になるとはな」

組織女「男・・・」

騎士団長「目覚めたか」

組織女「団長さんか・・・って、あのキモい獣は!?あいつはどうなったんだ!?」

機関女「あの獣なら無事、倒しましたよ。姿が消えたので、間違いないでしょう。全く、とんだ物を呼び出してくれましたわね」

組織女「・・・ああ、お前らにも迷惑掛けたみたいだな・・・おい、『騎士団』の団長さんと女と『機関』の二人よぉ」

女・騎士団長・機関女・メイド「「「「?」」」」

組織女「その、なんだ・・・・・・サンキューな。あたしのポカが原因なのに、助けてくれてよ」

女・騎士団長・機関女・メイド「「「「・・・!?」」」」

女(ど、どど、どういう吹き回しですかね団長!?あの組織女が私達にお礼を言うなんて!?)ボソボソ

騎士団長(さ、さっぱりわからん・・・私はてっきり、『てめえらがいなくてもあたし一人で排除出来た。邪魔しやがってこの野郎』くらいの事は言われると思ったぞ)

機関女(組織女さん、どこかに頭をぶつけたんですの?)ボソボソ

メイド(何気にひどい事言いますねお嬢様・・・)ボソボソ

組織女「なんだお前ら、コソコソしやがって」

女「い、いいえ別に。なんでもないわ!」

騎士団長「・・・というか男にはお礼はないのか?いくら旧知の仲といえど、親しき仲にも礼儀ありというだろう」

組織女「いや、それはよ・・・まぁ、あ、後でな・・・男・・・///」

男「?おお、わかった・・・」

女「・・・そう言えば、男って、最後の方はなにしてたの?あのキメラの攻撃を完璧に読みきってたのはすごかったけど・・・」

男「お、おう・・・あ、ああ、それはだな・・・えーっとその・・・」

組織女「・・・こいつはよ、体力が完璧にゼロになったあたしを介抱してくれてんだ。だから最後の攻撃には参加出来なかった。そうだろ、男」

男「う、うむ。その通り・・・俺もあいつをブチのめしてやりたかったが・・・まぁお前らだったら大丈夫だろうと信用していたのだ・・・ククク、それにこの御刀虎が本気で攻撃したら、奴が余りにも可哀想だからな、俺にも慈悲の心はあるのだ、ククク・・・」

女「そうだったの・・・ま、倒せたし、今更だけどね」

組織女「・・・で、だ。団長さんよぉ。一つ聞きたいんだが」

騎士団長「なんだ?」

組織女「・・・なんで、あたしを殺してねえ?無防備だったはずだぜ?あたしを数十回は殺せるくらいよぅ・・・組織部下女だって、『騎士団』が総掛かりで攻撃すればぶっちゃけ余裕で倒せるはずだろうが」

組織部下女「頭領、それは・・・」

騎士団長「・・・ふっ、聞くと思ったよ。我々はこれでも一応『騎士団』だからな。騎士の名誉と誇りにかけて、敵の寝込みを襲うような真似は死んでも出来ん」

組織女「・・・はっ、あたしの根性論くらい、甘い考えの騎士道精神だなぁ、おい」

騎士団長「ふん、別に今更だ。お前こそいいのか?正直、今この場で襲いかかられたら、私は完璧に対処出来るとは言いがたいぞ。戦闘により疲れもストレスも、極限にまで高まっているしな」

組織女「襲う、ねぇ・・・はっ、んな事、出来る訳ねぇだろ」

女「?なぜ?」

組織女「なぜって・・・そりゃあまぁあたし達、もうダチだろ?ダチを襲う理由があるか?」

女「・・・はぁ?」

男(出た・・・組織女の、この感じ)

機関女「・・・メイド、組織女さんは一体何を言ってらっしゃいますの・・・?」

メイド「お嬢様、アレです。・・・マンガやアニメでよくある、殴りあったあとに、土手に寝そべって『お前つえーな・・・』『へっ、お前だって大したもんだぜ・・・』的なアレです」

機関女「な、なるほど・・・現実でそんな事している方を見た事ありませんでしたが・・・それが今まさに、ここに顕現するのですわね!?」

男(それは微妙に間違っているぞ・・・まぁ、ともかく。組織女の中では、一度でも共闘した事ある奴は全員ダチっていう定義らしい・・・それは中学の時からそうだったしな)

女「ダチって・・・たった一回、必要に迫られて共闘しただけよ・・・?」

組織女「ダチになる理由なんて、それだけで十分だろ?ましてや、それがただの殴り合いじゃなく、命を掛けたモンなら尚更だろうが」

騎士団長「・・・今時、一本気な女性なのだな、組織女」

組織女「はっ、別にそんなんじゃねえが・・・ともかくそう思ったからよ、さっきはお前らにサンキューって言ったんだ・・・それによ」

チラッ(目線をケルベロスに向ける)

組織女「あたし、実はもう願いが叶ってたんだよな」

女「は、はぁ?そうなの?というか、叶ってた、というのは?」

組織女「いや、その内容が何かは流石に言えねえけどよ。恥ずかしいしな。だからあたしはもう、いいんだ。んで、あたしはダチになった奴らになら、殺されてもいいと思ってる。あたしにとってダチってのはそれぐらいの存在だからよ。だから、てめえらに襲われても文句は言えなかったんだが」

騎士団長「・・・本当か?」

男「団長殿、旧知の仲の俺が保証しますが、組織女は壊滅的に嘘が下手なんでね。嘘は言ってないと思いますぜ?」

騎士団長「ふむ、それはまぁなんとなく雰囲気で察する事が出来るが・・・」

組織女「・・・だけどよ、組織部下女。お前がどうしても叶えたい願いがあるってんなら、あたしはお前の為に戦う。お前がさっき、あたしの為に戦ってくれたようにな。どうする?」

組織部下女「いえ、私もその・・・」チラっ(男の方を見る)

男「?」

組織部下女「私の願いも、ある意味もう叶っているので・・・頭領が戦わないというのなら、それに従います。それにあの獣を倒した事で『組織』の皆の仇も取れましたし!」

組織女「・・・だとよ。団長さん」

女「え、って、ことはじゃあ・・・!」

組織女「ああ、この『戦争』あたしらは撤退する」

騎士団長「い、いいのか?ほ、本当に?」

組織女「ああ、いいさ。ダチと喧嘩する事はあっても、戦争まではしねーだろ?」


組織女「この『戦争』、あたしらの負けでいいぜ」

――フワッ・・・


男(組織女がそう言った瞬間、一瞬俺たちの回りに光が差したように見えた)

男(そして、ふと空を見上げると、そこには何か布のような物がヒラヒラと落ちてくるのがわかった)

騎士団長「あれが、聖遺物という・・・奴なのか?」

女「みたい・・・ですね」

男「聖骸布、か・・・?」

メイド「流石ご主人様、名称には詳しいですね」

機関女「ただの布にしては、神々しく見えますもの。間違いないでしょう」

組織女「へぇー・・・アレが願いを叶えてくれんのか・・・まぁ興味ねえけどな」

組織部下女「ですね、私も、あまり・・・なにか物凄いパワーみたいなものを感じますけど・・・」


――フワッ・・・フワッ・・・ヒラリ・・・


男(そして、それは、ゆっくりゆっくり舞い降りてきて・・・やがて、団長殿の両腕に収まった)

男(この街に引っ越してきてから、色々あったが・・・)

男(女と出会って、団長殿とも出会って・・・『戦争』に巻き込まれて・・・)

男(この一ヶ月ほどは・・・長いようであっという間だった・・・とても濃い時間だったと思う。それもようやく終わるのだと思うと、感慨深い)

男(俺も、これでやっと『戦争』から降りられると思うと・・・正直ほっとする)

男(もう、正直。命のやり取りは懲り懲りだ・・・まぁ、俺の妄想が実現したみたいで楽しかったが、それでも俺はやはり一般人。組織女が言ったように、まともに立ち会えば紙みたいに吹き飛ばされて終わりだ)

男(だから、これがちょうどいい塩梅、引き際という奴なんだろう)

男(正直、これ以上はボロが出る気がする。何せ味方以外の全員に、俺が無能力者だとバレてるという冷静に考えたら意味わからん状況だし・・・)

男(それにこれ以上『戦争』に関わったら、マジで命がいくつあっても足らんしな)

男「ふっ、これで大団円という奴か・・・我が御刀虎の出番も、今回はここまでのようだな」

女「ふぅ、そうね・・・やっと終わりね・・・長いような短いような2年間だったわ・・・」

騎士団長「ああ・・・改めて女、そして男。礼を言う。ありがとう・・・至らぬ団長だったと思うが・・・私を信じてついてきてくれてありがとう」

女「いいえ、団長は立派なリーダーでした。いつも気丈で頼りがいがあって・・・最高の団長でしたよ」

男「女の意見に同意ですな。謙遜する必要はありませんぜ。堂々と胸を張っていいと思いますが・・・」

騎士団長「二人とも・・・ふふっ、ありがとう・・・ぐすっ・・・くっ、私とした事が・・・人前で涙など・・・」

組織女「あー・・・その、あたしら邪魔か?だったらどっか行ってるが」

騎士団長「い、いや。大丈夫だ。ちょっと気が緩んだだけだ。気を使わんでいい。『組織』も『機関』も、この戦争の当事者だろう。最後まで関わる権利がある」

機関女「そう言って頂けるならありがたいですわ。『機関』は代々『戦争』に関わってきた家系ですもの。『機関』の当代として、最後まで見届けようと思いますわ」

メイド「お嬢様がそう仰るなら、私はそれに従います」

組織女「・・・ま、ここまで関わったら最後まで見てやるか」

組織部下女「ですね。あんな布がどういう風に願いを叶えるのか気になるますし・・・あの布に願いを言ったら、神様でも現れるんですかね・・・?」

組織女「確かに気になるが・・・まぁ、見てたらわかんだろ」


女「・・・ねぇ、男」ボソッ

男「うん?どうした女」ボソッ

女「あんたはどんな願いを叶えるの?」ボソッ

男「・・・どうした急に?」ボソッ

女「いや、ふと気になってね。団長の願いは、同姓だし、団長の事みてれば何となくわかるけど、あんたのは想像もつかないしさ」ボソッ

男「別に、順番で回ってくればあと数分で分かる事だろう?」ボソッ

女「いいじゃない、気になるのよ。あたしにだけ先にこっそり教えなさいよ」ボソッ

男「・・・」

男(願い・・・願いか・・・)

男(そう言えば考えた事もなかったな・・・)

男(俺の願い・・・望み・・・夢・・・)

男(それは・・・)

騎士団長「ふふっ、全く。なんだか皆の前で願いを言うのも恥ずかしいが・・・まぁここまで来たら些細な事か」

男(それは・・・)

騎士団長「では言おう。私の願い。それは私を、お――」



――――ブスリ。



騎士団長「ひ・・・・・・あ、・・・・・え、・・・・?、??」



???「ククク・・・待っていたぞ、この時を・・・騎士団長、貴様が気を緩める所、油断をするその瞬間を、な」


女「え・・・え・・・?」

男「団長・・・ど・・・の?」

男(気が付けば、音もなく、『ソレ』は、団長殿の胸から生えていた)

男(白く光る、細長い鋭利なもの)

男(それは剣。そして、それが突如として胸から生える道理はなく・・・)

男(道理は、なく・・・)

男(つまり、団長が・・・何者かに刺された・・・?)


男「だ・・・団長殿おおおおおおおおおっ!!!!?」

おわーり。
今月があと二日しか残っていないという事実・・・終わるかなぁ・・・終わるといいなぁ・・・
いつもレスありがとうございます。
もう少しお付き合いください。
よろしくお願いします。

投下します

???「――男、女、お前らも死ね」

シュッ(団長を襲った人間が姿も視認出来ないスピードで、二人に襲いかかる)

男・女「――――」←団長が襲われたショックで動けない。

メイド「ご主人様、危ない!!」

組織部下女「女さんっ!!!」

だっだっ(メイドが男に抱きつき、組織部下女が女に抱きつく)
しゅ(メイドが男に抱きつき、組織部下女が女に抱きついて体勢が崩れた事で、騎士団長を襲った凶刃が男と女、双方の頭のギリギリ上を通過する)

???「チッ!!邪魔を・・・――っとぉ!」

タァンッ!(機関女が服の中に隠し持っていた銃で禍学弾を撃つ音)
キィン!(それを剣で防ぐ)

???「へっ、いきなり撃つとは乱暴だな、機関女よぉ」

機関女「私の友達を襲っておいて乱暴とは、随分と素晴らしい教育を受けたようですわね」

???「教育ぅ?どっちかっつーと、あたしは今、教育を教え――」

組織女「――おいコラ」

ドッガアアアアアアアアッ!(ケルベロスの前足が襲う音)
シュッ(それをかわす音)

???「おいおい、誰も彼も血の気が多いなぁ。お前らはもう『戦争』から降りた身だろうが?あたしと戦っても一銭の得にもなりゃしないぜ?冷静に考えろよ冷静によぉ」

組織女「誰だよてめーは。いきなり現れて好き勝手言ってんじゃねーぞ」

???「誰だと・・・そうだなぁ、あたしは誰なんだろうなぁ、ククッ・・・」

組織女「あぁ?」

男(俺は、目の前で悪意ある・・・いや、悪意百パーセントの笑顔を浮かべる人物を知っていた)

男(いや、知っていたが、一瞬見間違えだと思ったのだ。俺が知っている人物とは余りにも・・・余りにも、表情や口調、そして雰囲気が違っていたから・・・)

男「せ、先生・・・?」

女「どうし・・・て・・・先生が・・・」

先生(?)「ククク・・・大正解だぜ、お二人さん!」

組織部下女「先生って・・・男さんと女さんの担任の先生なんですか!?」

メイド「どうして、その方がこのような事を・・・見た所、『組織』にも『騎士団』にも所属していないようですが――」

先生(?)「ククッ・・・おいおい、あたしがそんな事、悠長に説明してやるとでも思ってんのか? 世界はお前らを中心に回ってる訳じゃねえんだぜ?」

組織女「ムカつく野郎だな・・・てめえ、舐めてねぇか?いくらあたしら全員が手負いだろうが、てめえ一人でこの人数相手に勝てるとマジで思うのかよ?」

先生(?)「その自信も無くもないが・・・流石に100%勝てるとは言い切れねえわな。それに元々、さっきの奇襲で一気にカタ付けるつもりだったしよ・・・だから念の為に、保険を掛けておいた」

騎士団長「・・・っ・・・ぁ・・・」

女「団長!?生きてるんですか!?今助け――」

先生(?)「おっとぉ・・・そうはさせられねえなぁ!」

だっ、ギィン!(先生(?)が騎士団長を聖骸布ごと担ぎ上げる、その際に騎士団長を助けに行こうとした女の攻撃を剣を防ぐ)

男「団長殿・・・!」

女「団長・・・団長ぉ・・・!あんた、団長をどこへ連れて行く気!?」

先生(?)「――この街に、でっかいタワーがあんだろ?あそこの屋上で待つ。女、男。お前ら二人だけで来い。他の勢力の奴らを一人でも連れてきたら騎士団長は殺す。正々堂々勝負しようぜ?」

機関女「・・・人を後ろから刺しておいて、どの口が正々堂々と言いますのっ・・・!(騎士団長さんに当たる事を考えたら、禍学弾は打てませんか・・・!)」

機関女「卑怯もんが!!(ケルベロスで攻撃したら団長を巻き添えにしちまう・・・)」

先生(?)「おいおい、win-winの提案だろ?あたしは今すぐ騎士団長の喉元を掻っ切ってやってもいい所を、わざわざ待って勝負してやるって言ってんだからよ。それとも『騎士団』の二人はあたしに勝てる気がしないと?」

女「・・・ッ!上等よッ!やってやるわ!!首を洗って待ってなさい!!」

先生(?)「ククッ、威勢だけはいいなぁ。いつも男と騎士団長におんぶに抱っこの雑魚がよォ。てめえが頼りになった事が一度でもあったか?あぁ?」

女「なんですってぇっ!?」

男「よせっ、奴はお前を挑発してるんだ!あの団長殿が全く気付かぬ内に刺されたんだぞ!?それだけで奴がどれほどの実力が分かるだろう!!焦ったら、落ち着きを無くしたら負けだ、その隙を確実に突かれる!落ち着けっ!」

女「くっ・・・!あ、いや・・・なら!」

先生(?)「?」

女「私の願いはそこのそいつを消し去ることよ!!聖骸布!!願いを聞き届けなさい!!」

・・・・・・

女「な、なんで!?何で何も起こらないの!?」

先生(?)「はっ、てめえ成績は優秀な癖にバカだな。何も起こらない理由はてめえの小さな脳味噌で考えろ。じゃあ――」

騎士団長(くっ・・・せめて、これだけでも・・・残さねば・・・頼んだぞ、女、男・・・)

先生「――な。お前ら。待ってるぜ」

シュンッ(先生が姿も見えないスピードでその場から立ち去る音)
カラッ(何かが落ちた音)


男「行った・・・か・・・先生、なんで・・・」

女「どうして・・・どうして、こんな事に・・・」

機関女「・・・とりあえず一旦落ち着いたらどうかしら、男さん、女さん。焦りすぎると、勝てる戦いも勝てなくなりますわ」

組織女「今、頭の中訳わかんなくてグルグルしてんだろ?正直あたしも訳わかんねえしよ、状況を整理しようぜ?」

男「女・・・とりあえず組織女と機関女の言う通りにしよう。焦りは禁物だぜ?無策で突っ込んでも恐らく勝てる相手じゃないだろう?みんなで考えよう・・・団長殿を助ける方法を、な・・・」

女「・・・男・・・そうね。一旦、そうしましょうか・・・」

組織部下女「とりあえず、あの人は何者なんですか?お二人の知り合い・・・というか担任の先生だったんですよね?そういう素振りはあったんですか?」

女「いえ・・・特徴はせいぜい美人ってくらいの、普通のどこにでもいる先生だったはずよ・・・口調も雰囲気ももっと柔らかくて、『戦争』の事なんか、びた一文知ってそうになかったわ」

男「俺も女に同意だな・・・最近彼氏にフラれて、自暴自棄になっていたくらいしか知らな・・・いや、待てよ」

メイド「?何か、最近変な事でもあったのですかご主人様?」

男「ああ、一回だけだが・・・変な先生を見た気がする・・・遠目から見てもひどく悪酔いしてるとわかった先生が路地裏に入ったと思って、自殺でもされちゃたまらんとその路地裏を見たら、忽然と姿を消していたが・・・」

組織女「予兆はその頃からあったって訳か・・・でも、それだけか?それとも、アレがその先生って奴の本心だったのか?」

男「そうとも思えんがな・・・普通の、誰にでも優しくしてくれる先生だったと思ったぞ・・・(俺みたいな妄想野郎にすら優しかったしな・・・)」

機関女「・・・そう言えば・・・確か聞いた事がありますわ」

メイド「知っているのですかお嬢様!?」

機関女「ええ。通常、『能力者』は能力を得た瞬間にその自覚を持ち、『戦争』に否応なく身を投じる事になるのですが・・・稀に今回のようなケース・・・与えられた『能力』が強力すぎ、それに『能力者』が耐えられなかった場合、『能力』自身がその人間の体を媒体として意思を持ち、『能力者』を操り人形とするという事が起きるらしいですわ」

組織部下女「『能力』自身が意思を持つって・・・そんなのありえるんですか?」

組織女「・・・まぁ、ありえねえ話じゃなさそうだわな。あたしだって、さっきまでみんなで戦ってたキモい獣・・・キメラって言うんだっけか?あいつがあたしを殺してた場合も、形的にはそういう感じになるんだろう?」

機関女「ええ。だと思います。過去に一例だけ、そういう形になった『戦争』があると存じあげておりますわ・・・ただ、本当にそのケースは稀だと思いますの。恐らくその彼氏さんに振られ、心の均衡が崩れたのが乗っ取られた最大の原因でしょう。まぁアレは恐らく『能力』自体もかなり悪質だと思いますが・・・」

男「なるほどな・・・名称を付けるならば先生(悪)ってところか・・・」

女(・・・心の均衡・・・か・・・)

女「なるほど・・・ていうか、何であたしの願いは聞き届けられなかったのかしら」

機関女「・・・奴は何らかの勢力に加担、あるいは奴一人で勢力だったのでしょう。奴が騎士団長を刺した事がその証拠ですわ」

メイド「ですね。本来、一般人がどんな武器を持とうと、私達に傷を付ける事は不可能ですから。それがどんな名刀であろうと、です。奴もまたこちら側だったという事でしょう」

男「つまり、『戦争』はまだ続いているという事か・・・でも、それだったらおかしくないか?あの聖骸布が降りてきた=『戦争』終結って事じゃないのか?」

機関女「・・・あるいは、この『戦争』の行方を判定している某か・・・それが聖人なのか、宇宙の意思なのかあるいは神様なのか・・・それはわかりませんが・・・そう言った存在すらも、奴は上手く騙し仰せたという事なのでしょうね」

組織部下女「ずっと、自分の実力や『能力』をひた隠しにし、自分が有利になるよう工作して、この機会を伺ってたという事なのですね・・・」

組織女「・・・そういう事なんだろうな。あたしだって『召喚の儀』に細工されてるとは夢にも思わなかったしよ」

男「団長殿も『冥府落し』とやらに使う聖剣に、いつの間にか傷を付けられたと言っていたな・・・なんという卑劣漢だ・・・いや、あいつは女だけども」

女「そう言えば前。私と男が二人で帰ってた時も、一瞬、さっきのアイツのような気配を感じた気がするわ」

機関女・メイド・組織女・組織部下女「・・・」

女「な、なによあんたら!変な目で私を見て!・・・でも今思えば、アレも威力偵察って奴だったんでしょうね。さっきも1番手強い騎士団長をナンチャラって言ってたし・・・ったく、舐められたものね」

男「だが、奴の下した判断は悔しいが間違っていないだろう。俺たちの実力は団長殿を下回っている事は事実なのだ・・・残念ながら、な(というか、俺は最弱なのだが・・・)」」

女「・・・まぁ、それは否定出来ないけど・・・でも、やるしかないでしょう?というか、どうしたの?そんなに弱気で。いつものあんたらしくないじゃない」

男「・・・そう、だな。俺らしくなかった・・・所で、作戦はどうする?」

女「そうね・・・奴がタワーの屋上に居るからこっそり近づく事も出来そうにないし、、なおかつ団長も人質に取られている以上・・・結局、正面から戦いを挑むしかないのかしらね」

男「・・・それしかない、か・・・ん?なぁ、女よ。ところでアレは・・・」

キラッ(落ちている何かが光る)

女「え?あ、アレは・・・聖剣!きっと、団長が置いていったのよ!これで『冥府落し』が出来るわ!これならきっと、あいつに勝てるわよ!」

男「ふむ、一縷の希望を残していってくれたか・・・流石だな、団長殿は・・・」

女「よし、じゃあ早速あいつの所へ・・・!」

組織女「少しは落ち着けてめーは。心配なのは分かるが、さっきから急いだってしょうがねえって何回も言ってんだろうが」

機関女「そうですわよ女さん。人質として団長さんの身を拘束した以上、すぐに殺しはしないでしょう。それにあなた方『騎士団』は身体能力の高さが売りではないですの?そう簡単にあの団長さんが死ぬとも思えませんわ。少しくらい休んだらいかが?」

メイド「休憩なさるという事でしたら、瞬間移動装置を使って、お屋敷からお飲み物でもお持ちします。少々お待ち下さい」

組織部下女「あ、じゃあ私も付いていきます。何か出来る事があればお手伝いさせてください」

女「・・・あんた達・・・そうね、そうさせてもらうわ」

男「・・・」

メイド「女さん。飲み物です。どうぞ」

女「ん・・・ありがとう。メイド」

メイド「・・・あと、こちら血や汚れを吹くタオルです。よかったら」

女「・・・あんた、気が利くわね・・・流石メイドって感じね」

メイド「いえ、言われるほど・・・そういえば男さんは?」

女「トイレに行ったわよ?」




男「ふぅー・・・ああ出た出た・・・我が汚れが外に出て行く・・・」

男「なーんて、言ってる場合じゃないな・・・」

男(二人だけで来い、か・・・正直、女一人が行った方がいいだろう。流石にもう今回は、いつもの他力本願やハッタリもとうとう期待出来そうにないしな)

男「・・・どうしたもんかね」

組織部下女「・・・男さん」

男「うおぉ!?って組織部下女か、どうした?」

組織部下女「聞きたい事があって、来ました」

男「聞きたい事?」

組織部下女「ええ・・・男さん。あなたは怖く、ないんですか?」

男「・・・怖い、とは?」

組織部下女「言わなくても分かるでしょう?」

男「・・・」

組織部下女「さっきのキメラの時だって・・・私を呼んで頭領の元へ来た時も、恐らく機関女さん達と戦っていたのでしょう?」

男「・・・(ご名答、だな)」

組織部下女「無能力者なのに、何度も何度も命がけで行動して・・・それに今もまた、あんな奴と・・・今度こそは、本当に死んじゃうかもなんですよ?」

男「・・・」

組織部下女「ねえ、男さん。私と一緒に逃げませんか?」

男「・・・!?お、お前。何言ってんだ!」

組織部下女「だって、もう十分じゃないですか。無能力者の男さんが、2年続いた『戦争』の最後の一ヶ月だけとは言え、その期間を生き残ったのは、誰にでも出来る事じゃありません。男さんはすごく頑張りましたよ」

男「・・・」

組織部下女「もう、いいんじゃないですか?」

男「・・・」

組織部下女「本当は・・・怖いんでしょう?」

男「・・・ああ、正直に言おう。怖えよ・・・死ぬほど怖え・・・キメラに立ち向かった時だって、正直ションベンちびりそうだったぜ・・・」

組織部下女「!だったら・・・」

男「――でもな・・・組織部下女よ、心配してくれるのはありがたいがな・・・でも、俺は・・・それでも、俺は戦わなければならんのだ・・・何よりここで逃げては・・・」

組織部下女「・・・男が廃る、ですか?」

男「・・・!!」

組織部下女「男さんだったらそう言うと思ってました。もう・・・男さん。どこまで意地っ張りなんですか、貴方は。今時、そんな男の矜持に拘ってる人、この世のどこにもいませんよ?」

男「・・・そう言われてもな、本心なんだよ。ビビってるのも、ここで逃げたら男が廃るっていうのも、どっちもな。さっきまで、命を掛けたやりとりなんてもうこりごりで、命がいくつあっても足りねえなんて思ってたのに、今じゃここで逃げたら男が廃るの方がギリギリ勝ってる・・・だから逃げねえ、立ち向かうしかねえんだよ。一回きりの人生、後悔を残したくねえんでな。それにここで逃げたら俺のプライドに傷が付く・・・それだけは・・・」

組織部下女「・・・男の人は、大変ですね。プライドなんて言う目に見えないものに振り回されて、怖い思いして痛い目見て、それでもソレを守ろうとするなんて」

男「ああ、男ってバカなんだよ・・・だけど、俺はこうする以外には知らねえんだ・・・あーあ・・・逃げちゃえば楽なのによ・・・」

組織部下女「・・・ふふっ、その通り、逃げてしまえばいいのに・・・本当におバカさんですね」

男「う、うっせえ!俺はな――」

ぎゅうぅ(組織部下女の胸に男の顔が埋まる)

組織部下女「・・・でも私、そういう人の方が好きですよ」

男「んんー!?んんー!?」←胸に顔が埋まって呼吸が出来ない。

組織部下女「男さん。†卍 刹那・神龍・X・アルファルド卍†さんの本、読み終えましたよ。この戦いが終わったら、一緒に語り合いましょうね」

男「・・・っぷはぁ!なにすんだお前いきなり・・・!」

組織部下女「あ、ごめんなさい・・・何だか私の前で弱気になった男さんが急に愛おしくなったので・・・つい・・・元気になれるように、と」

男「お、お前なぁ・・・た、確かに元気になったけど・・・!」

組織部下女「ふふっ、男さん、可愛い・・・また、してあげましょうか?」

男「い、いらんわ!アホっ!何考えてんだ、こ、こ、この痴女めっ!!あっち行け!!」

組織部下女「そうですか・・・残念です・・・あ、それと男さん」

男「まだ何かあんのか!?なんだよ!?」

組織部下女「私、男さんの事、大好きです。一目惚れでした。男さんが帰ってきたら、またちゃんと告白しますから・・・それじゃあ、また(ニコッ)」

男「は、はぁ!?ちょっ、ちょっとおま・・・どういう・・・行っちゃったよ・・・え、えええええ・・・!?」

男「・・・女ってのは意味がわからねえ・・・一目惚れって・・・マンガやアニメの中の物だけじゃなかったのよ・・・意味わかんねえ・・・意味わかんねえ・・・」

メイド「お帰りなさいませ、ご主人様」

男「おう・・・あれ、女は?」

メイド「女さんは詠唱の確認と、集中力を高めたいから一人にして欲しいということで、人気の無い所へ行きました」

男「・・・全くあいつめ、少しは休めばいいものを・・・機関女と組織女は?」

メイド「お嬢様は『兵器』の整備をしに、組織女さんはペット霊園の方へ行きました。あと、組織部下女さんが、顔を真っ赤にしながら、鷹型の獣に乗ってあっちへフラフラこっちへフラフラしているのですが・・・何かご存知です?」」

男「い、いや知らんな・・・あいつも連戦で疲れているんじゃないのか?」

メイド「確かに・・・そうかもしれませんね。ところでご主人様、これを・・・」

男「うん、これは・・・?」

メイド「はい、人間だろうが、鉄だろうがダイヤだろうが、何でもスッパスッパ斬れる、『機関』の科学と禍学を注ぎ込んだ・・・禍学刀でございます。ライトセーバーの日本刀バージョンと考えて頂ければわかりやすいかと」

男「お、おう・・・わかりやすい例えだなおい・・・でも、渡してくれるのはありがたいが・・・あんた、俺の運動神経の悪さを知ってるだろ? 正直俺はこれを渡されても、俺はあいつと互角に戦うどころか、1秒で斬り捨てられる自信があるぜ・・・?」

メイド「心配には及びませんよご主人様。ご主人様の運動音痴っぷりは計算に入っております。その刀には相手の動きに対して、自動的に超反応する装置がついており、相手の太刀筋や斬撃を一瞬で計算し、相手の攻撃を防ぎ、隙をついて攻撃する機能までついております」

メイド「故にその禍学刀ならば、ご主人様でも、先ほどの方と互角に戦えるほどの実力はつくかと・・・」

男「マジか・・・すげえ・・・いや、マジでありがてえわ。助かるぜ・・・団長殿を助けに行くのに、女の足手まといはごめんだったからな」

メイド「はい・・・ただ、その禍学刀を先ほど持ってきていれば、恐らく騎士団長さんもあんな事にはならずに済みましたのに・・・申し訳ありません」

男「それは・・・まぁ今更言ってもしょうがねえよ。まさかあんな事が起こるなんて、誰も思わねえさ・・・しかし、すげえな機関の禍学は・・・ていうか、なんでこんなの作ったんだ?あんたの武器か?」

メイド「いえ、ご主人様が私達のお屋敷に遊びにこられた際には、それでチャンバラごっこでもして遊ぼうかと・・・」

男「危険だわ!死ぬわ!あんた一体なに考えてんだ!」

メイド「いえ、やはり男の人の遊びと言ったらチャンバラごっこかと思いまして・・・ならばなるべく本格的な物を作ろうかと」

男「アホか!!大体この年じゃあもうチャンバラごっこなんかやんねえわ!!」

メイド「そうなのですか?申し訳ありません。私もお嬢様も、周りに殆ど女性しかいない、温室育ちの純粋培養で育ったものですから、男の人の遊び事情に詳しくなくて・・・」

男「詳しくないにも程があるわ!!そこまで俗世間に触れずによく今まで生きてこれたらあんたら!」

メイド「・・・フフフ、やはり、ご主人様と喋っていると、面白いです」

男「・・・カカッ。そうだな・・・俺も死地に出向く前に、お前のその可憐な笑顔が見れてよかったさ。ありがとうよ、メイド。これで足手まといにならずに済む」

メイド「いえ、お礼を言われるほどの事では・・・あ、ご主人様。申し訳ありません。もう一つ渡し忘れていたものがありました」

男「うん?なん――」

チュッ(唇同士)

男「――だ・・・?って、ええ?今・・・メイド・・・メイドさん?・・・う、うぅん・・・?」

メイド「・・・忘れ物は、これですよ」

男「・・・いや、あんた・・・その、今のは・・・えーっと、ど、どういう意味・・・なの、かな・・・?」

メイド「ふふ、どういう意味でしょうか? 答えは・・・帰ってきてからお教えしますよ、ご主人様(ニコッ」

男「お、おぉ・・・」

メイド「・・・ですから」

ぎゅう

メイド「必ず、生きて帰ってきてくださいね」

男「・・・」

メイド「ご主人様はいつもいつも、己の身を顧みず、無茶ばっかりするんですから・・・私、いつだってご主人様の事が心配です・・・でも、私が止めても、ご主人様は行くのでしょうけど・・・」

男「ふん、よく分かっているじゃないか・・・そうだ。一メイド如きがこの俺、暗黒の邪王である御刀虎の心配など百年早いわ・・・だから・・・お前はお前のご主人様が帰ってくるのを信じ、ただ待っていれば良いのだ。余計な心配するな」

メイド「はい・・・」

男(その後、3分ほど抱きついていたメイドは、急にハッとした表情になると、顔を赤くして何やら慌てた口調で、お屋敷に忘れ物があるとか早口で行って、瞬間移動装置で消えてしまった・・・)

機関女「あ、男さん・・・一人ですの?」

男「おう、なんか知らんが一人になってしまった・・・『兵器』の整備は終わったのか?メイドからそうしていると聞いたが」

機関女「はい、今終わりました・・・先ほどのキメラ戦で、全エネルギーを注ぎ込んだのは早計だったのかも知れませんね・・・某かの余力を残していれば、騎士団長さんが刺されたのを防げたかと思うと・・・」

男「それは・・・いいよ。今更だ。未来の事なんて、誰にも分かりゃしないんだからよ。逆にお嬢があそこで余力残すような事してたら、キメラを倒しきれなくて死んで

たかも知れんのだし。お嬢が気に病む事じゃねえさ」

機関女「はい・・・未来は誰にも分からない、ですか・・・そうですわね」

男「?」

機関女「ところで男さん。戦いの前に暗い話では士気が下がってしまいますから・・・明るい話をしてもいいですの?」

男「うん?なんだお嬢」

機関女「じ、実は・・・私、一週間後が誕生日ですの」

男「・・・ほう、そうなのか。それは知らなかった。すまんな・・・うむ、ならば誕生日プレゼントを用意せねばな、俺のオススメの超邪気眼で超中二病な小説100冊とかでいいだろうか?」

機関女「い、いえ結構ですの・・・ただ、メイドがその日、私の誕生日パーティーを開いてくれるらしいですの。今まではメイドがケーキやプレゼントを用意するだけのささやかな物でしたが・・・あ、いえ。それも当然嬉しかったのですが・・・今年は華やかにやろうと言い出しまして」

男「・・・そうか、いいじゃないか。お前ら二人が仲いいと、なんか俺も嬉しいぞ」

機関女「ええ、貴方には感謝していますわ・・・ただ、パーティーと言っても私とメイドの二人だけじゃ寂しいものがあるでしょう?」

男「まぁ、だな。というか、それはパーティーと言えるのだろうか・・・」

機関女「で、ですわよね?ですわよね?ですから、その・・・男さんも来て貰えませんか?そ、そっちの方がメイドも喜ぶと思いますし・・・私も、男さんには改めて、メイドとの仲を取り持ってくれたお礼を言いたいですし・・・」

男「うむ・・・それならば、『騎士団』のみんなも『組織』のみんなも呼んで、盛大にやろうではないか」

機関女「・・・え」

男「なんだ不満なのか?人数が多い方が盛り上がるだろう?」

機関女「い、いえ。そうではないですの・・・ただ、私は男さんだけに・・・!」

男「寂しい事言うな。さっき組織女も言ってただろう?もうダチだって。それともお嬢はそう思っていないのか?」

機関女「そう・・・いう訳では・・・」

男「だったらいいじゃないか。『戦争』終結祝いも兼ねてパーッとやろう。みんなでビンゴとかしたり、二つ名を考えあったりな・・・ククク、楽しいぞ?」

機関女「・・・」

機関女(・・・まぁ、別にそれでもいいですわね。私も、友達を男さんとメイドの二人だけに限定するつもりはありませんし・・・)

機関女「・・・・・・ふふ、わかりました。ただ、『機関』家当主である私の誕生日パーティーなのですから、楽しくしてくれないと怒りますわよ?それと、2つめの遊びはやりませんけど」

男「なんでだよ!!楽しいのに!!・・・ふっ、まぁ分かったよ。お嬢との誕生日パーティーがあるのなら、死ぬ訳にはいかんなぁ」

機関女「ええ、死んだら許しませんわよ。約束は必ず守っていただきますわ」

男「あいよ・・・全く、死ぬ事も許されんとは・・・ふっ、これも我が御刀虎の宿命と言う奴か」

機関女「ええ、未来は誰にも分かりませんが、それだけは貴方の力を使って確定事項として下さいな、暗黒の邪王さん?」

男「ふっ、分かったよ・・・未来の出来事に干渉するのは偉く骨が折れるのだぞ?全く、ワガママなお嬢様だ・・・ククク・・・」

機関女「ええ・・・で、では貴方のその労力に対して、ご、ご、ご褒美を差し上げますわ・・・!」

男「ほう、ご褒美だと?ふふっ、金塊100トンを積まれても、口角がピクリとも動かん事で有名なこの俺、御刀虎に対して褒美な――」

チュッ(男のほっぺに)

男「ど・・・?え・・・?、??」

機関女「い、一応言っておきますが、これは親愛の印ですわ!!決して恋愛感情とか、そういうのじゃありませんので、勘違いしないで下さいまし!!」

男「は、はぁ・・・」

機関女「お、お、おおっとぉ私、『兵器』の整備でやり残しを急に思い出しましたわ!ではこれにて失礼致しますわっ!!ごめんあそばせ!!」

男「・・・」

男「主従揃って、同じような言い訳を・・・いや、主従だからか・・・」

男(女はまだ帰ってこないのか・・・お、アレは・・・)

組織女「よぉ、どうしたお前、神妙な顔してよぉ?」

男「いや、別に・・・ところでペット霊園の方に行ったと聞いたが、もう用事は済んだのか?」

組織女「あぁ、あたしのバカ犬の墓が破壊されてねえか、確かめに行ったんだが・・・まぁものの見事に破壊されててな・・・というかペット霊園自体がもう完全にグチャグチャになってたわ」

男「・・・そうか」

組織女「まぁしょうがねえから、管理人に連絡しといた。あと、たまたまあたしのバカ犬の骨だけはかろうじて見つかったから、このケルベロスに穴掘らせて埋めて即席の墓を作ったんだよ」

ケルベロス「ワン!!」

男「・・・お疲れさん」

組織女「おう、とは言ってもまぁこのケルベロスが、バカ犬の生まれ変わりっていうか、転生っぽいんだけどな」

男「・・・マジか!?」

組織女「おう、マジだぜ。とは言ってもこいつバカだから、自分が転生した生まれ変わったとか、そういうの理解してねえみたいだが・・・」

ケルベロス「ワン!!」

男「おお、そうか・・・いや、そうかぁ・・・バカ犬とお前との間にある絆が本物だったって事だな・・・よかったな・・・」

組織女「へ、絆とか、なに青臭え事抜かしてんだよ。たまたまだよ偶然だ。無理してコメントしなくていいっての」

男「ふっ・・・だな・・・」

組織女「・・・」

男「・・・」

組織女「・・・」

男「・・・」

組織女「はっ、なんだよ。なんか言ってほしそうな顔してよ」

男「いや・・・ただ、まぁなんだ。多分これが本当の最終決戦だと思うと、なにか言ってくれるものかと思って、つい」

組織女「へ、ばーか。今更、あたしとてめえとの間に、言葉なんかいらねえだろ?」

男「・・・カカッ、そうだな。俺とお前との間に言葉は不要であった」

組織女「だろ?それに、心配すんな。てめえの悪運の強さは、このあたしが保証してやる。てめえは何が起きても、そうやすやすと死ぬタマじゃねーよ。だから、いいか?」

スッ(組織女が拳を突き出す)

組織女「ちゃっちゃとあの変な奴、ブチのめしてこい。見る限り、『機関』の連中から武器も貸して貰ったみたいだしよ。てめえの悪運と、妙な所で回る頭がありゃ、なんとでもなる。大丈夫だ」

男「・・・ふっ・・・そうだな。変に弱気になっていた。ありがとう組織女」

スッ(男も拳を突き出す)
ゴッ(拳と拳がぶつかる音)

組織女「は、そうそう。弱気なお前なんて見たくねーし、なにより似合わねえよ。てめえはいつも何か企んでるみたいな感じでニヤニヤしてりゃいいんだ。それよりよぉ・・・」

男「?なんだ組織女よ」

組織女「いや、よ・・・あたしまだ、さっきのキモい獣を倒して貰ったお礼をお前にしてなかったなぁ・・・ってよ・・・」

男「いいよ、そんなの。いらんいらん。今更そんな他人行儀だろうが。別にお前にお礼をしてもらいたくてやって貰った訳じゃないんだからよ。気にすんな」

組織女「あ、あたしの気が済まねえんだよ!!」

男「ど、どうした急に大声出して・・・」

組織女「あっ、わりぃ・・・つい・・・でもよ。感謝してんのは本当なんだぜ?」

男「おう・・・まぁそれはわかった。気持ちだけ受け取っておく事にするよ」

組織女「ざけんな。気持ちだけじゃあたしの気が済まねえんだよ」

男「?んじゃ、どうするんだ?」

組織女「いや・・・なんだ・・・その・・・お前って・・・ど、童貞か?」

男「・・・ど、ど、童貞な訳がなかろうこの俺が!!童貞な訳ないだろう淫魔であるサキュバスすらもかしずかせるこの御刀虎が!!!ど、ど、童貞ちゃうわ!!というか急に何を言い出すんだお前は!!」

組織女「うっせえ!!察しろ!!察しろよこのバカ!!ちなみにあたしは処女だぞ!!」

男「お前本当に急に何を言い出すんだよ!?どうした!?どっかに頭打ったのか!?」

組織女「なんでそうなるんだよ!!失礼だなお前!!!色々と分かるだろうが今の流れで!!」

男「さっぱり分かんねえよこのバカ!!ちゃんと一から説明してくれ!!」

組織女「い、一からって・・・なに抜かすんだこのスカタン!!ていうか分かんねえてめえが意味わかんねえよ!!!てめえ本当についてんのか!?タマ無しなんじゃねえだろうな!?」

男「何だとこの野郎!!ちゃんと付いてるわ!!いいからわかりやすく説明しろ!!」

組織女「ああ!?てめえ本当に鈍いなこのバカ!!よーしわかりやすく説明してやらぁ!!」

男「おう、説明しろ!!!」

組織女「・・・っ!///」

男「どうした!!早く説明しろ!!」

組織女「・・・わ、わかった・・・わかったから・・・いいか、すげえバカのお前にも一目で分かるような行為をしてやる・・・!!」

男「おぉ!!御託はいいから早くしろ!!」

組織女「っ・・・よし。い、行くぞ・・・・・・一応・・・言っておくけどな、処女どころか・・・まだ、キスもした事ないんだからな、あたしは・・・///」

男「・・・っ? お、おぉ・・・?」

組織女「これでも、あたしは・・・そこそこモテんだぞ・・・電車に乗ってたらナンパとかしょっちゅうされるし・・・知らねえ奴に告白された回数だって結構あるし・・・」

男「あ、あぁ・・・?何の話をしてんだお前は・・・?」

組織女「だ、だからぁ・・・ありがたく拝めっちゅー話をしてんだ・・・目に焼き付けろよ・・・」

しゅるっ・・・しゅるしゅるしゅる・・・(ブラウスとスカートに手をかけ、脱いでいく組織女)

男「うわああああああああああああああ!?なに脱いでんだお前はぁ!?」

組織女「・・・なんだよぅ・・・///」

男「なんだよぅ、じゃねえんだよ!は、早く服を着ろ!!」

組織女「嫌だ・・・1番わかりやすく、あたしがお前にしたいお礼を説明してやってる・・・最中・・・だろうが・・・///」

男「とりあえず外で脱ぐな!いいかお前!!!これが女や他の女性陣に見つかったらなんて説明したらいいか・・・!」

女「ふぅー・・・やっと詠唱の確認と、集中力を極限にまで高める事が出来たわ・・・待たせたわね男。さぁ、行くわ・・・っ!?!?!?」

男「・・・」

組織女「・・・」

女「・・・」

10分後。
男と女が先生(悪)の元に乗り込むという事で、全員が集まる。

メイド「ご主人様、女さん。お忘れ物はないですか?それとちょうど、瞬間移動装置はあのタワーの近くに取り付けてありましたので、それを利用して下さいませ」

男「ああ、大丈夫だ。おう、使わせて貰うぜ」

機関女「女さん、もう集中も、詠唱の確認も大丈夫なんですの?それと男さん、約束を破ったら許しませんわよ?」

女「ええ、バッチリよ。心配いらないわ」

男「ああ、心配するな。俺は約束は守る男だ」

組織女「お前ら、気合入れて行ってこい。死に水は取ってやるから安心しな・・・それと・・・女よ。お前に一つ訂正があるぜ。さっきの剣捌きを見て少し思ったが・・・てめえはもう木っ端なんかじゃねえよ。力量だけで言ったら、騎士団長に大分近づいてきてるぜ、自信持っていけよ」

女「え?そ、そうかしら・・・」

男「ふっ、組織女は口下手だし、口調も荒いが・・・嘘は付かん女だ。そのまんま受け取っていいと思うぞ、女よ」

女「・・・わかったわ。うん、あんたに言われたら、ちょっとは自信付くかも」

組織部下女「が、がんばってくださいね!!何も出来ませんけど、心から応援していますから!!」

女「ふふっ。ありがとう。それじゃあ行くわよ、男!!」

男「ああ!!」

シュビ!(瞬間移動装置を使って、二人が消える音)


組織部下女「あのー・・・」

組織女「ん?なんだ」

組織部下女「いえ、単純な疑問なんですが・・・なんで戦う前なのに、男さんの顔に、紅葉のような跡があったんですか・・・まるで誰かに思いっきりビンタされたみたいでしたけど・・・?」

組織女「・・・いいか、組織部下女。世の中には知らなくていいってもんがあるんだよ・・・!!!」

組織部下女「は、はぁ・・・」

メイド「それにしてもお嬢様・・・勝てるのでしょうか。あの二人は」

機関女「さぁ、それはわかりませんわ・・・今はただ信じましょう、勝利を」

メイド「・・・はい」

組織女「だな」

組織部下女「ですね・・・」


第二部『組織女と組織部下女』編、完ッ!
そして・・・物語は最終章へと突入する・・・ッ!!

おわーり。
やっぱり11月中に終わらなかったよ・・・すみません。
いつもレスありがとうございます。
ようやく終わりが見えてきた・・・
あと2~3回の投稿で終わると思うので、本当にもう少しお付き合いください・・・

投下します

シュビ!(タワーの近くに出現する男と女)

女「本当に、一瞬で移動出来るのね・・・すごいわ、この装置」

男「うむ・・・」

女「タワーまであと数百メートルって所ね・・・行きましょう男」

男「おう・・・ククク・・・タワーとは・・・最終決戦の舞台に相応しいステージだ」

女「まぁそうね。夜の街によく映えているもの。嫌味なくらいに・・・ところで男」

男「ん?」

女「あんたが持ってるそれ、なに?剣じゃなくて、刀みたいだけど・・・」

男「・・・!?あ、ああ・・・何。最終決戦という事でな。俺もいよいよ本気を出さなくてはならん・・・故に我が刀、菊一文字小烏丸獅子王を顕現させたという訳だ。本当は俺も剣が良かったのだが、俺の中に流れるサムライの血がどうしても刀でなくては受け付けなくてな・・・」

男(メイドめ・・・どうせ作るなら剣にしといてくれれば良かったものを・・・まぁ多分、俺の二つ名・御刀虎の「刀」の部分に合わせて、わざわざ刀で作ってくれたんだろうから感謝こそすれ、文句は言えんが)

女「ふーん、そっか。あんたって、本当に特別っていうか・・・未だに底が知れないわよね。今まで刀を使う騎士団員なんていなかったし」

男「ククク・・・・そういう常識や普通の枠に囚われないのが俺・御刀虎なのだ・・・」

女「ふふっ、そうだったわね・・・それにしても、まさか先生があんな事になるなんて思いもしなかったわね」

男「・・・ああ、確かにな・・・しかし先生も不幸というか、不運だな・・・彼氏に振られ、さらに『能力』に自身まで乗っ取られてしまうとはな・・・」

女「ええ・・・でも私も、一歩間違えたら・・・先生みたいになっていたのかもしれないわ」

男「・・・お姉さんの事、か?」

女「うん・・・しかもお姉ちゃんは私をかばって死んじゃったから、尚更ね・・・流石に私も、その時はもうどうしようもなくへこんだわ。お姉ちゃんの事が本当に大好きだったから・・・正直、お姉ちゃんの後を追おうかなって、真剣に考えたもの」

男「・・・」

女「でも、そんな時、団長は懸命に私を励ましてくれたわ・・・『何の為に君のお姉さんが君を守ったと思っている!!君の事が大好きだったから、生きていてほしいから、笑っていて欲しいからに決まっているだろう!!君がしようとしている事は何よりもお姉さんへの冒涜だ!!』・・ってね」

男「ふっ・・・その頃から凛々しく、かっこいい女性だったのだな、団長殿は」

女「ええ、本当にね・・・その言葉を聞いて、私はなんとか元気を取り戻せた・・・その後も、事ある毎に団長は私を気にかけてくれてね・・・食事や遊びに幾度と無く誘ってくれて、戦闘面でも一体何回助けられたか・・・団長は恩人よ。あらゆる意味でね」

男「・・・そうか」

女「うん。だからなんとしてでも先生を倒す。そして団長を助ける。今までの恩返しをしなきゃね・・・なんとしても。敵が何であろうと、ビビってなんかいられないわ」

男「ふむ。いい覚悟だ・・・ふっ、それなら俺も安心してお前に背中を預けられるというものだ」

男(・・・先生も、団長殿のような人が居ればあるいは・・・心の均衡、か・・・)

女「ううん・・・こんな覚悟が出来るのは、あんたのお陰よ」

男「ん?」

女「・・・あんたがいるから、私達は生き残ってこれた。あんたがいるから、私はあいつに立ち向かえる・・・一人であいつと戦えって言われたら、正直無理ね・・・私一人じゃ勝てる相手ではないと思うわ」

男「・・・女よ、やけに弱気だな?」

女「弱気とかじゃなくて・・・本心よ。さっきは団長が刺された怒りで、あいつに強気な発言も出来たけど・・・あんたの言ってた通り、奴の実力は相当な物だと想うわ。あの時感じた、奴の『能力』の気配の濃さは団長と同じか・・・もしくはそれ以上だったもの」

男「・・・」

女「でも、それでもあたしが立ち向かえるのは、あんたが隣にいるからよ。あんたはいつも欲しい時に、欲しい助けを私にくれた・・・本当に、感謝してるわ」

男「ど、どうした女?やけに素直というか・・・女らしくないぞ?」

女「な、なによ!私だって、素直になる時くらいっていうか、普通に感謝する事くらいあるわよ!ていうか、私が珍しく素直なんだから、私の言葉をそのまま受け取りなさいよ!」

男「その自覚はあったのだな・・・」

女「う、うっさいわね!もう!!最後の戦いになるんだろうから、私だって最後くらいは素直になるわよ!」

男「うむ。素直になるのはいいことだ。なんだったらこの暗黒の邪王の胸の中に飛び込んで甘えてもいいぞ?お前のその本音を思う存分ぶちまけるがいい。俺の器はこの広大な宇宙よりも広いからな・・・お前の全てを受け止めてやろう・・・ククク」

女「だ、誰がそんなこと・・・っ!」

女(でも・・・自分で言ってて気付いたけど、本当にこれが恐らく最後なのよね・・・)

女(だったら・・・最後くらいは・・・)

女「・・・そ、そうね・・・これで最後になるかも知れないんだし・・・そ、そうさせて貰うわ」

男「へ?」

ぽすっ(女が男に抱きつく音)

男「・・・お、おう?」

女「・・・な、なによ・・・抱きついてこいって言ったのは・・・あんたの方でしょ?」

男「・・・そうではあるがな・・・本当に来るとは思わなかったので、つい・・・」

女「私だって・・・甘えたい時くらいあるわよ・・・」

男「そ、そうか・・・」

女「・・・もっと、強く抱きしめなさい」

男「・・・こうか・・・?」

女「・・・もっと」

男「・・・」ぎゅう

女「・・・そうね、それくらいでいいわ」

男「う、うむ・・・」

女「・・・私、不安よ・・・すごく、怖いわ・・・」

男「・・・そうか」

女「負けたらどうしよう、勝てなかったらどうしようって考えるだけで・・・足が震えそうになるわ・・・いつも的確な指示をくれた団長もいないもの・・・」

男「・・・」

女「だけど・・・大丈夫よね、男・・・?私達、きっと勝てるわよね・・・?あんたが居れば、きっと・・・きっと・・・お願いだから、大丈夫って言って・・・」

男(・・・・・・)

男「・・・なぁ、女よ」

女「なに・・・?」

男「さっきから、抱きついてくれて嬉しいはずなのだが・・・その、お前の胸の辺りの感触が非常に寂しいのだが・・・」

女「・・・っ!!う、う、うるさいわね!!こんな時になに言ってんのよこのバカッ!!」

ばしーん!(男を叩く女)

男「ゴフッ!?・・・こ、この短時間で2度目のビンタは・・・きついぜ・・・」

女「あんたが悪いんでしょ!?人のコンプレックス刺激して、こんな時なのに、まったくもうっ!!」

男「く、ククク・・・ああ、確かに俺が悪かった・・・だが、いつもの強気なお前が戻って来てくれて、俺は嬉しいぞ・・・」

女「・・・!」

男「戦う前から弱気になっていたら、勝てるものも勝てないからな・・・・・お前に気力を取り戻して欲しくて、ついそういう事を言ってしまった、許してくれ」

女「男・・・」

男「ククク・・・それに、俺とお前は約束していただろう?この後に遊ぶと、その時ならば、存分に甘えていいぞ?先ほどまでのお前は、中々に庇護欲が刺激されて新鮮だったからな・・・」

女「・・・あ、あんた・・・覚えててくれたの?正直、この連戦で私自身忘れかけてたし、お流れになると思ったのに・・・」

男「ふっ、覚えているのは当然だ。俺は約束は守る男だからな・・・だから、先生をぶっ倒して、団長を取り戻す。そしたら遊ぶぞ。連戦のストレスと鬱憤を晴らす為に、朝までどんちゃん騒ぎしようではないか・・・カカッ」

女「・・・うん!」

男「ククク・・・やっと笑ったな。女、お前の笑顔は、やはりいつ見ても素晴らしい。元気が出るよ、本当にな」

女「~~~っ!・・・う、う、うるさいわね、こ、この・・・バカ・・・///」

男「・・・ところで女よ。『冥府落し』とやらについて、説明してもらっていいだろうか?俺も断片は知っているが、この期に及んで認識の齟齬や理解不足で失敗など、笑い話にすらならんからな。悪いが頼む」

女「そう言えば、一度も説明した事なかったわね・・・オッケー。この際だから、全部説明してあげるわ」

・・・・

男「なるほど・・・そういう原理か・・・ククク」

女「ええ、だから、作戦としては・・・・・・・・・・って感じになるわ・・・毎度毎度、あんたにそういう役目を押し付けて申し訳ないけど・・・勿論、そうなる前に

先生を倒せれば1番いいんだけどね」

男「だな・・・まぁ、もし俺がそういう役目を担う事になっても、お前は気にしなくていい。そういうのは、俺の役目だ」

女「・・・うん。悪いけど、お願い・・・それとさ、男・・・結局あんたって・・・」

男「?何か言ったか、女よ?」

女「・・・ううん、なんでもないわ!さぁ行きましょ!最終決戦よ!」

男「・・・おう!」

男(約束・・・か・・・)

 タワーの屋上。

バーン!(タワーの屋上の扉が開く音)

男「団長殿!!助けに来たぞ!!どこだ!!」

騎士団長「・・・ぅ・・・ぁ・・・」

女「団長・・・!タワーのてっぺんに縛られて・・・今、助けます・・・って、先生は・・・!?」

男(わざわざ場所を指定した・・・しかも、相手は無防備で油断した団長殿を後ろから刺すような奴・・・そんな奴が真正面から待つ・・・訳がねえわな!)

男「女、危ねえ!!」

ギィン!!ギィン!!(剣と刀がぶつかり合う音)

先生(悪)「ほう・・・今のを察するか・・・ククッ、流石だな男・・・」

男「そりゃあどうも・・・女、早く、団長殿を・・・!!(マジで体が勝手に反応した・・・ありがてえぜ、メイド・・・これで少なくとも、戦いの体は保つ事が出来そうだ・・・)」

女「うん、任せて・・・キャッ!・・・ちょ、ちょっと何よこれ!一定の距離以上、団長に近づけない・・・!?なんで!?」

男「・・・結界か?」

先生(悪)「ご名答・・・騎士団長に復活されてもらっては、流石のあたしも少々厄介だからな・・・あたしを倒すまで、騎士団長さんには近づけないぜ?」

男(適当に言ったら当たってしまったが・・・結界とは・・・こいつ、なんでもアリだな・・・?)

女「・・・っ!なら、さっさとあんたを倒すわ!!そうすれば問題ないもの!!やぁぁぁ!!」

シュッ、サッ、ギィン、シュッ!(女の剣を交わし、防ぎ、そして逆に攻撃する先生(悪))

女「この・・・!?うっ・・・!?」

ツー・・・(剣がかすり、頬から出血する女)

女「舐めてたつもりはないけど・・・やるわね、あんた・・・」

先生(悪)「教え子に褒められても嬉しくはねぇわな・・・この際だ。世の中はてめえの思い通りにならねえって事だらけの現実ってもんを教育してやるよ、糞ガキ」

女「結構よっ!!」

男「女に同意っ!」

ズザッ、シュッ(踏み込み、袈裟斬りに斬りかかる女、と刀に操られ、女と同様の動きをする男)
スゥ・・・(先生の手前で、女の剣が勝手に止まる)

女「なっ、また結界!?こんな小さな領域の結界もあるの!?」

男「なんというっ」

先生(悪)「ああ、その通・・・りっ!」

ザシュッ(女の腹に思いっきり蹴りをいれる先生(悪))

男「女っ!」

女「ぐぅぅ・・・こ、このぉ・・・!」

先生(悪)「へっ、わりぃなぁ。あたしは汚え大人だからな、つい言い忘れてたわ、スマンスマン」

ギィンギィン(男と先生(悪)が剣と刀を打ち合う音)

男「くっ・・・おぉぉぉ!!」

男(頼むっ、禍学刀よ。俺の体力なんてどうでもいいから、もっと早く、もっと強く、俺の体を動かしてくれ・・・!)

ギギギッギギギィン!!

先生(悪)「!・・・へぇっ。やるねぇ。良い剣技だ・・・流石、今まで騎士団の癖して、一回も剣を振るわなかったくらい隠し通してただけの事はある」

女「呑気に論評しているとは、随分余裕ねっ!?」

ギィィィイギギンギンギギギギッィンっ!!(男と女の激しい剣捌きの音)

先生(悪)「うおぉ・・・っとぉ・・・これは、流石のあたしでも、ちょっと厳しい・・・か?・・・っく・・・」

男「結界の展開が間に合わなくなってきているな、今なら・・・!」

女「そこ、はぁぁぁぁぁ!!」

――ザシュッ(先生の右腕が宙に舞う音)

先生(悪)「ガッ・・・あが・・・く、うぅぅ・・・」

男「はぁはぁ・・・や、やったな。女・・・!!」

女「・・・ふ、ふふっ、二体一とは言え、意外と決着はあっさりついたわね。あんたって実は、案外弱いんじゃない・・・!不意打ちや奇襲、それに結界とか、剣技に磨きを掛けないで、中途半端な事ばっかりした結果がこれよ!あんたに現実を教えてあげたのはどうやら私達のほうみたいねっ!」

男「そうだ、先生・・・さっさと降参してくれ。そうすれば命までは取らない。どうやら俺たちの戦いっぷりを密かに観察していたようだし、俺たちの言葉に嘘はないと分かるだろう?」

先生(悪)「はっ・・・がっ・・・ククッ、そうだな。確かにてめえらは甘ちゃんだからよ。そうしないのは知っている・・・」

女「だったら・・・!」

先生(悪)「・・・ククッ。だから言ったろ。世の中てめえの思い通りにならねえ事だらけってよ」

――ズボボボっ(先生の右腕が再生する音)

女「なっ、腕が再生して・・・な、何よそれ。意味わかんないわ!再生能力なんて聞いた事ないっ!」

男「・・・ひょっとして、聖骸布の力、か・・・?」

先生(悪)「はっ・・・てめえ本当に察しがいいな。その通りだよ」

ボアァァ・・・(先生(悪)の服の中にある聖骸布がぼんやりと光る音)

先生(悪)「これはマジで計算外だったが、どうやら聖骸布は、今現在の所有者であるあたしを暫定的にではあるが、『戦争』の勝利者として認めているらしくてな。力が流れ込んでくるのが、微かにわかる。どんどんあたしはパワーアップしていくっぽいぜ?・・・オラ、ぼさっとしてんじゃねえぞ!!」

シャッ!(先生(悪)が剣で男に襲いかかる)
しゅっ!(男が禍学刀につられ、それをなんとか避ける)
ガギギィン!!(次に女を襲った先生(悪)の剣を、女が受け止める音)

男「くっ・・・!」

女「そんな・・・今まで一生懸命頑張ってきたのは、私達なのに・・・!!」

先生(悪)「ククッ。本当、世の中理不尽だよなぁ。今まで散々血も涙も流して仲間も失ったお前たちが願いも叶えて貰えず、横取りしたあたしが恩恵を受け取るなんてよぉ・・・でも世の中なんてそんなもんだぜ?また一つ勉強になった・・・なぁ!!」

男「ぐほっ・・・」

女「う、ぐぅ・・・!」

ドダーン!!(どんどん早く、力強くなる攻撃に対処しきれず、剣を押さえつける間に飛んで来る拳撃や蹴撃に吹き飛ばされる二人)

先生(悪)「オラオラァ!!もう終わりかぁ!?ああ!?だっせえなぁおい!!ええ?さっきあたしの事中途半端だなんだ、って言ってくれたよなぁ!?剣技に磨きをかけないから負けただのなんだの、その磨かれた剣技の結果がこれか!!ああん!?」

先生(悪)「これが現実だボケ!!どんな不条理や筋違いな事さえも、力さえありゃあそれで押しきれんだよ!!そして力のない雑魚は、今のお前らみたいに這いつくばるしかないんだよ!!わかったか糞ガキども!!」

男(・・・女よ・・・生きてるか・・・?)ボソボソ

女(・・・男。ええ、大丈夫よ・・・なんとかね)ボソボソ

男(結局、『冥府落し』を使うしかないようだな・・・)ボソボソ

女(・・・そうね・・・中途半端に傷つけても、再生されちゃ意味ないし・・・恐らく、結界の展開スピードや結界自体の防御力も上がるでしょう・・・なら、『冥府落し』で消し飛ばすしかないわ)ボソボソ

男(ああ、だな・・・それと、俺は俺で先生に揺さぶりを掛けてみる・・・では、手はず通りに頼んだぞ)ボソボソ

女(揺さぶり?・・・ともかく分かったわ・・・あんたも頼んだわよ)ボソボソ

男(ふっ、俺を誰だと思っているのだ?余計な心配はするな・・・お前は『冥府落し』に集中しろ)ボソボソ

女(ふふっ、そうね・・・了解)ボソボソ

男「・・・うおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

先生(悪)「おっ?」

ギィンギィンギィンギィンギィンギィン!!(すごい勢いで先生(悪)に斬りかかる男)

先生(悪)「へっ、んだよ・・・まだまだ元気一杯じゃねえか!」

男「ああ、若さだけが取り柄なのでな・・・さっきから言っている世間の厳しさや辛さやらを知らない若造に、ぜひそう言った事のご教授をお願いしたいね」

先生(悪)「・・・へへっ、いいぜ。教えるのは得意だ。なんせ教師だからよぉ・・・ついでだ、力のねえ雑魚が、お上に逆らったらどうなるかも教えてやるよ!!」

女(よし、先生が男に気を取られてる今の内に・・・詠唱する!!)

ズッッザアァァァ・・・!(大きく跳躍し、距離を取る女)

女「滲み出す混濁の紋章・・・不遜なる狂気の器・・・湧き上がり・否定し・痺れ・瞬き・眠りを妨げる・・・爬行する鉄の王女・・・絶えず自壊する泥の人形・・・結合せよ反発せよ・・・地に満ち己の無力を知れ・・・」ブツブツ

男「・・・ところで、先ほどから聞く限り、貴様は先生の乗っ取りに完全に成功した訳ではないようだな?俺たちに対する言動の随所に、先生の影響が色濃く残っている・・・ならば先生。俺は微かに残っているであろうあなたに喋りかけよう」

先生(悪)「ああ!?」

男「・・・先生!!よく聞け!!我こそは御刀虎!!アカシックレコードの記録者!!選択の果てに生まれた新たな世界の観測者!!・・・ククク、先生。俺は確か、こんな感じでいきなり貴方にそうぶちかましたな。いや、もうちょっと穏やかな言い方だったかも知れんが、それはさておいて・・・」

先生(悪)「・・・はっ、てめえマジで痛々しいぜ。気持ちワリィ・・・」」

ギィンギィンギィンギィン!

男「(先生を乗っ取った奴が何か言っているが・・・無視をする)なぁ、先生・・・俺は彼女が出来た事がないし、好きな人も出来た事ないからよくわからんのだが・・・いいか先生、よく聞けよ・・・!男なんて星の数ほどいる!どうせ『能力』に乗っ取られた原因なんてそれくらいだろう!さっさと彼氏の事は忘れて次の恋愛に行け!!以上だ!」

先生(悪)「・・・」

ギィン!ジャ!(剣と刀の打ち合いの末、男が軽く斬りつけられる)

男「グフッ・・・な、何故だ先生・・・俺の心からの言葉に、何故反応してくれん・・・」

先生(悪)「おめえよ、あたしが言うのもなんだが、励まし方がありきたりすぎるだろ・・・」

男「・・・く、ククク・・・そうかも知れん・・・まぁそもそも、先生とは正直言って縁も薄い。大したエピソードもないしな・・・」

先生(悪)「はっ、じゃあもうあたしの中に残っている先生とやらに喋りかける作戦はもうおしまいか?」

男「いいや・・・ここからだ・・・なぁ、先生・・・大人は毎日、大変だよな」

ジャ!・・・スゥ・・・(男の禍学刀が斬りかかるも、結界に邪魔されて勝手に動きが止まる)
ズサッ、シャ!(男の動きが止まったのを見て、凄まじいスピードで首を斬ろうとするも、禍学刀のおかげでなんとか避ける男)

男「毎日毎日、決まった時間に起きて、やる気がなかろうが体調が悪かろうが決まった時間に出勤して、大して好きでもない奴らにでも人間関係を円滑に保つ為に気を使って・・・常に全力で仕事して、でも結果出せなきゃバカにされて笑われて・・・それでも毎日、仕事は降り掛かって・・・」

男「そりゃあ夢も希望もありゃあしないよな・・・俺みたいな、四六時中妄想野郎なんか軽蔑の対象だろう。現実の見えていないどうしようもないダメ人間だろう・・・でも、それでもあんたは、俺に優しくしてくれたな」

ギィンギィン・・・!!

男「それが仕事上の事とは言え、それでも俺はちょっと嬉しかったですぜ?先生。何せ、小学校の頃から・・・担任の先生や回りの大人には、そんな妄想やめろとか、現実見ろとか、さっきのように気持ち悪いと言われ続けてきたからな・・・」

先生(悪)「・・・ふんっ。んでアレか・・・優しくしてくれて好きになっちゃいまちた~ってか?」

男「はっ。そんなんじゃねえよ・・・先生に対してリスペクト、尊敬の念を覚えたって奴さ・・・さっきからお前が言っている理不尽だの、どうしようもない現実だのを一通り味わって、それでも俺みたいな邪気眼持ちにも優しく出来る人間・・・」

男「そういう大人に初めて出会えたもんでな・・・カッコいいじゃねえかよ、先生。俺はあんたの事を心から尊敬しますぜ」

先生(悪)「・・・だから、どうした・・・!!」

ギギギンギンギギギギッィン!(激しくぶつかり合う、二人の剣と刀)

男「なぁ、先生・・・それがあんたの仕事に対する姿勢って奴なんだろ?どんな生徒にも優しく平等に接する・・・それがあんたの矜持なんだろ!?違うのかよ!」

先生(悪)「・・・だ、まれ・・・!!」

男「男にフラレて、辛いのは分かる・・・落ち込んでる所を付け込まれて乗っ取られたのだって、先生の責任じゃねえ・・・でも、それでも頼む先生!!『能力』による乗っ取りと戦って欲しい!!そしてあんたの矜持を!!あんたの誇りを取り戻してくれ!!他の誰でもない、あんた自身の力で!!きっとそうでなきゃ意味がねえから!!」

先生(悪)「・・・っ・・・!」

男「世間は冷たいだの、現実は理不尽だの・・・そんなありきたりな言葉聞きたくねえ・・・!!あんただって、そんな事をわざわざ子供に教える為に大人になったんじゃ、先生になったんじゃないでしょう!?そんな現実や世間に負けないような生徒を・・・って!俺みたいな不出来な奴に対しても優しくして変な道に行かないよう導いてやろうって・・・そんな事を思ってたんじゃねえのかよ!!」

先生(悪)「・・・ぁ」

男「答えてくれよ、先生・・・!!あんたの想いは、情熱は、矜持は、そんな訳の分からねえ『能力』程度に負ける程度のものだったの――」

先生(?)「――・・・黙、りな・・・さい。男くん」

男(!・・・男くんって俺を呼ぶのは、今現在・・・一人だけだ!)

男「先生!元に戻ったのだな!?よし、これで――」

先生(?)「・・・鬱陶しいのよ!あなたは!」

男「・・・え?せ、先生?元に戻ったんじゃ・・・?」」

先生(?)「ええ、あなたがうるさいおかげで・・・ちょっと表に出てこれたわ・・・でもね、もう私は疲れたのよ・・・なにもかもどうでもいいの・・・放っておいてよ!!」

ズガガガガガガッ!!!(先生(?)の凄まじい猛攻)

男「・・・くっ!」

先生(?)「あなたの言う事で、状況が変わると思った?・・・誰かの想いだけで、言葉だけで、人は、世の中は変わらないわ!そんな簡単な世の中だったら、もっと世界は上手く回ってる!!毎日毎日憂鬱で、自分に出来ることは本当に小さな事で、仕事と家事をするだけ、自分の生活を守るだけで精一杯、それが大人なのよ!!子供のあなたには分からないでしょうけどね!!」

ギィィィガイギギンギンギギガガガガギギッィン!(剣と刀がとんでもない速度でぶつかり合う音)

男「・・・っ・・・!(なんつー速さだ・・・!)」

先生(?)「私だって彼氏にフラレて、ただ自暴自棄になった訳じゃないわ!婚活パーティーとかにも行ったりしたわよ!!でもつまらなくて・・・私は捨てられたんだって思ったら、もう全部が虚しくて・・・もう私の人生、どうなったっていいのよ!!全部めちゃくちゃにしてやるんだから!!」

ズッシャアアアア(とてつもないスピードの先生(?)の剣に、禍学刀が間に合わず。男の腕が斬りつけられる)

男「ガァ!?・・・ぐっ・・・痛え・・・!」

先生(?)「私なんかもう、誰にも愛されてないのよ!!誰にも必要とされてないのよ!!だから、だからもういいの!!私なんかいらない!!早くこの世から消えてなくなりたいのよ!!お願いだから、私の前から姿を消して男くん!!あなたのせいで、せっかく消えてなくなりかけてた私が出てきちゃったじゃない!!早くいなくなってよ!!!わた、私なんか・・・私は・・・もう・・・私はもう、死にたいのよ・・・!!」

男(涙を流し、声を詰まらせ、自分自身を制御出来ずに、思った事をそのまま口に出しているようなその様・・・自分でも自分が何を喋っているか、何をしているか訳も分からず暴れているその様子は・・・それはまるで・・・まるで・・・)

男「・・・まるで幼い子供だな・・・」

男(・・・いや、違うか・・・考えてみれば、大人だってみんな元々は子供だったんだ・・・普段は社会人として、世間体を考えて大人としての自分を持っているが・・・大人なんて一皮剥けば、案外こんなもんなのかも知れんな・・・)

男(ならば今、先生に必要なのは、大人染みた理論的で論理的な計算高いものじゃねえな・・・もっと単純で、子供にも分かるような確かな安心・・・それは・・・)

先生(?)「だ、だ、誰が子供よ!!!高校生にもなって妄想染みた事を言っている男くんに言われたくないわ!!」

ギッィィィン!!(横薙ぎの剣を禍学刀で受け止める音)

先生(?)「大体、何が優しくしてもらって嬉しかったよ!私、その後フラれた腹いせに男くんに冷たく当たったでしょう!?それで私に幻滅したでしょう!?いい加減な事言わないで!!」

男「ククク・・・さて、そんな事あったかな?すっかり忘れてしまったよ・・・なにせこの俺、御刀虎はそんな些事を一々根に持つほどつまらない男ではないのでな・・・まぁ一つだけ覚えているのは、綺麗な女性というのは怒っていても綺麗だと言う事だけだが」

先生(?)「な、なによ急に!!そんな事言ってご機嫌取り!?これだから男は最低だわ!どうせみんな口先だけじゃない!!男なんて・・・男なんて・・・!!」」

男「・・・ふっ、そうだな・・・俺の場合は、特に口先だけだ・・・だが、目の前で泣いてる女を前にして、何もしない男はもっと最低だと俺は思う・・・だから、だから先生!!いいかよく聞けよ!!」

ギギギギギギィン!!(男が一気に攻勢に出る)

男「あんたを振った男は、あんたにふさわしくない男だったんだ。だから、いつまでも落ち込むな!!あんたにはもっと相応しい男がいくらでもいる・・・あんたの優しさや美しさにホレ込む男がきっと現れる・・・だけど、それでも見つからなかったら・・・俺があんたを、嫁に貰ってやる!!」

先生(?)「・・・はぁ!?」

男「だから安心してくれ、先生!!とは言っても一応言っておくがな、俺は頭は悪いし運動神経だってひどい!!言動は知っての通り痛々しい!!回りを見渡しても中々いない程の低スペックっぷりだ!!わかったか!?こんな男の嫁になりたくなかったら、さっさとフラれた事を忘れて――」

先生(?)「・・・ほ、本当・・・?」

男「?」

先生(?)「・・・本当に・・・お嫁さんにしてくれるの・・・?」

男「ああ!!お嫁さんにしてやる!!まぁ俺はまだ結婚出来る年じゃないし、先生もあと2~3年経ってどうしても見つからなかったら、だけどな!!分かったらどうか、先生、戻ってくれ・・・!!」

先生(?)「・・・っ!」

男「先生・・・!!」

先生(?)「・・・クッ、がァァぁッアッ!!」

男「!?」

ギギギギギガガガァン!!(それまで防戦一方だった先生が、勢いを取り戻して攻撃してくる)

男「グッ・・・せ、先生・・・!!正気を取り戻したんじゃあ・・・!?」

先生(悪)「ッ・・・ハァハァ・・・!!すっ込んでろてめえは・・・!!願いを叶えるのは、このあた・・・シィ・・・!!クキキッ・・・クカッ・・・クカカカカカッ・・・!!」

男(ッ!?なんだこの寒気は・・・さっきより、さらに力が増してきたというか・・・ドス黒いオーラみたいのが出て無えか・・・!?口から出る言葉も、意味をなしてねえし・・・!!)

先生(悪)「オオオオッッ!!!」

ギギガガガガギギッィン!(無茶苦茶に剣を振り回す先生に、なんとか対応する男の禍学刀)

男「ガッ・・・くっ・・・うぅ・・・!!」

男(畜生、俺のやった事がどうやら裏目に出たみてえだな・・・!!恐らくだが先生の意識と、『能力』の乗っ取りが均衡した結果、お互いの意識が混ざり合って収集が付かなくなっちまったみてえだ・・・!!クソっ!!)

先生(悪)「死ね死ね死ね死ね死ねエエエエエエエエエエエエエ!!」

ガガガガガガ!!!!(目にも止まらぬ速さの攻撃)

男「グッ・・・おぉ・・・ガァ!!」

男(このままだと・・・やべえ・・・女・・・まだか・・・!!)


女「黄昏よりも昏きもの 血の流れより紅きもの 時の流れに埋もれし 偉大な汝の名において 我ここに闇に誓わん 我等が前に立ち塞がりし すべての愚かなるものに 我と汝が力もて 等しく滅びを与えんことを・・・!」ブツブツ・・・

ボアァン・・・(女が持つ聖剣に、光が宿る)

女(・・・凄まじい力を感じる!よし、成功ねっ!!これなら、きっと先生の結界もぶち敗れるわ・・・!)

女「男!!『冥府落とし』の準備が出来たわ!!急いでそこを離れなさい!!」

男(女の声が聞こえた・・・ならば、作戦は9割成功だな・・・よし、あとは上手く離れ――――いや)

先生(悪)「ガアアアアアアアアアアアアアッ!!」

ギギギッギギギィンガアアギギズシャアッ!(とてつもない速度の剣の連続攻撃)

男「ゴッ・・・!ガッ・・・!」

男(先ほどから、どんどん力と速さが増してきている・・・!!果たして・・・『冥府落しは』・・・ちゃんとこいつに当たるのか・・・!?)

男(さっきから、殆ど俺からの攻撃は見切られている・・・!防御され、避けられている・・・!この距離の、このスピードで当たらない物が・・・きちんと当たるのか

・・・!?)

女「どうしたの男!?早く離れなさい!!巻き添えになるわよ!!急いで!!」

男「・・・」

男(確証はないだろう・・・もし、外れたら・・・俺たちは・・・)

先生(悪)「ゴォオオオオオオオオオオオオッッ!!」

ギィンギィン・・・!!!

男(ふっ・・・躊躇している暇はないか・・・俺の体力も、そろそろ限界に近い・・・これ以外の方法はないみたいだな・・・)

女「男!!聞こえないの!?早く、早く離れなさいってば!!!」

男「ふっ、女よ・・・聞こえているぞ」

女「男!もう、やっと返事した!!もう一度言うわ!!今から『冥府落し』を撃つから、早くそいつから――――」

男「・・・女よ!!俺に構うな!!さっさと『冥府落し』を撃て!!」

女「・・・は、はぁ!?何言ってんのよ・・・!?それじゃああんた、巻き添えで死んじゃうじゃない!!」

男「ああ、それでいい・・・!!分かってる・・・全部理解した上で、俺はもう一度言う・・・俺ごと撃て!!女・・・!!!」

おわーり。
なんとか今月中には終わらせられそうだ・・・
多分、次の投稿がラストになると思います・・・
最後までお付き合いいただけたら幸いです・・・よろしくお願いします・・・

遅れました。
投下します

男(『冥府落とし』とは、今までこの『戦争』で散っていった人たちの能力や想いの残滓をかき集め、その全てを剣に乗せる・・・その威力は凄まじく・・・文字通り相手を冥府へと落とす・・・それが『冥府落し』だと女は言っていたな・・・)

男(ならばちょうどいいだろう。俺のような嘘つきの行く所など、どうせ冥府にきまっているのだからな・・・遅かれ早かれどうせ行く・・・その時が来ただけの事だ・・・そして俺を冥府へと誘う技名が『冥府落とし』とは・・・ふふっ、これも我が運命という奴だろう・・・ククク・・・)

男(・・・はっ、マジで病気だな。俺のこの中二妄想も・・・死ぬ寸前だってのに・・・自分で自分に呆れるぜ・・・)

女「あ、あんたごと撃て・・・って・・・ねぇ男!!訳わかんない事言ってないで、早くどきなさい!!本当に撃っちゃうわよ!?」

男「あぁ、それでいい。それで構わない。さっさと撃て・・・!!」

女「・・・あんた、さっきから正気!?死にたいの!?なんで離れないのよ!!」

男「・・・俺がこうして引き付けてる間なら、確実に『冥府落とし』は当たる!!そうするのが1番いい!!だからそうしているだけだ。躊躇などいらん!!」

女「ば、バカ言わないで!!あんた、あたしが信用出来ないの!?大丈夫だから、ちゃんと当てるから!!さっさと、距離を取りなさい・・・!!」

男「信用とかそういう話ではないさ。これは確率の問題・・・そして、俺とお前との約束、盟約を果たすためだ」

女「約束・・・って」

男「言っただろう?お前を守ると・・・この方法が1番確実にお前を守れるんだ」

男「俺は約束を守る男・・・お前もそう言ってくれただろう?俺を約束一つ守れないような男にしないでくれ」

女「・・・あんた・・・なに、言ってんのよ・・・」

男「ただ、この後お前と遊ぶ約束は守れそうにないが・・・まぁアレだ。お前を守る約束をした方が早かったし、なによりここでどちらとも死んでしまったら意味がないからな・・・しょうがないと思って諦め――」

女「――だから・・・さっきからあんた、なに言ってんのよ!!!」

男「・・・」

女「なんで・・・なんでそんな事言うのよ・・・ねぇ、さっきからあんたの言ってるそれは何かの前振りでしょ?何かの作戦なんでしょ?それとも、敵を騙すにはまず味方からって奴?そうなんでしょ?ねぇ・・・」

男「・・・悪いが、違う」

女「嘘よ!!私には思いつきもしない作戦をもう考えついてるのよね!そうでしょう!?」

男「・・・なぁ、女よ」

女「分かったわ!実は今まで私達に見せてこなかった究極の技とかを隠し持ってるんでしょう!?今、実はそれの発動準備をして、私を驚かそうとしてるんだわ!!ふふっ、もうバレちゃったわよ男!!だからその演技を辞め――」

男「女よ・・・期待に添えなくて申し訳ないが・・・お前が今言ったような作戦も、技もない・・・・本当にそれしか、お前を守る方法が思いつかないのだ・・・すまん」

女「・・・嘘!嘘!お願いだから嘘って言ってよ・・・ねぇ・・・!!」

男「・・・」

女「あんた言ってたじゃない!!神拳がどうとか瞳術がどうとか・・・それでなんとかしなさいよぉ・・・!!」

男「・・・女よ・・・すまん・・・実は俺は・・・最初からそんなものなど・・・俺は持っていなかったのだ・・・ぐぅぅっ!」

ガキィン!!ガキィン!!(剣と刀がぶつかり合う音)

女「・・・うそ・・・」

男「俺は、お前らを騙していたのだ・・・本当の俺は・・・ただの一般人。何の力もない、ただの無能力者だ・・・今まで、騙していて、悪かったな・・・」

女「・・・そんなの、うそよ・・・」

男「いいや、本当だ・・・まぁ騙す気は無かったのだが、お前らにそう打ち明けるのが怖くて、今まで何か『能力者』の振りをしていたのだ・・・すまなかった・・・」

女「・・・いや、いや!そんな話聞きたくないわ!!お願いだから、そんなウソ聞きたくないの!!ねぇ、それもウソなんでしょう・・・!それもまたウソなんだって言ってよ・・・お願い・・・お願いだから・・・!!だって、今だってそんな刀持って戦ってるじゃない!!その刀が『能力者』の証よ!!そうでしょ!?」

男「・・・すまんが、全て真実なのだ、女・・・この刀は『機関』のメイドから借りたものだ・・・残念ながらな」

先生(悪)「オゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

男「ぐぶぁ!?」

ギィィッィン・・・ざしゅ!!(斬りつけられる男。浅くはない傷が付き、血が男の身体を染めていく)

女「男っ!!」

男「ふっ・・・女よ・・・悪いが、そろそろ体力の限界が近づいてきている・・・だから頼む・・・撃ってくれ・・・!!」

女「・・・そんなっ・・・そんなのって・・・だって・・・あたしは・・・あたしは・・・」

女(・・・男は突然、私の前に現れた。無愛想で、不気味な笑みを浮かべて、意味深な事ばかり呟いて・・・最初は正直、いい印象は抱いていなかった)

女(でも、男は私と同類だった。新たな仲間だった)

女(そして男は言った。お前は俺が守る、と)

女(・・・そんな事を言ってくれた男の人は初めてだから、すごくドキドキしたのを昨日のことのように覚えている・・・)

女(そして男はその言葉通り、私を助けてくれた。名前を呼んだらその人が来て助けてくれるなんて、まるで夢物語みたいな事を、男はしてくれた)

女(その後も、男はいつだって私を気にかけ、私を守ろうとしてくれた)

女(気付いたら、私はいつだって男の事を考えるようになった・・・)

女(笑顔が可愛いって言ってくれたり、頭を撫でてくれるだけで、私の心は嬉しすぎて蕩けてしまいそうになった)

女(だからかも知れない。男に守られているというこの安心感に浸りたくて、ずっとこの関係を続けたくて・・・男の正体、彼が一体何者であるかを深く知ろうとしなかったのは)

女(勿論、男自身が知られたくなさそうというのもあるけど・・・胸の奥に宿った小さな疑問は見なかった事にして無理矢理かき消していた・・・と思う)

女(そんな事あるはずがないって、自分にずっと言い聞かせて・・・いつか、向き合う時が来る・・・だからその時までは・・・って)

女(でも、まさか・・・こんなタイミングで・・・なんて・・・!!)

男「女よ・・・いいのだ、これで・・・お前も今、俺に幻滅したであろう?今まで散々くっちゃべってきた俺の言葉の殆どは妄想だったのだ・・・俺のような嘘つきとなど・・・金輪際関わりあいになりたくないであろう?」

女「・・・」

男「だから、この状況はちょうどいい塩梅、嘘つきに相応しい結末という奴なのだ。今まで騙してきた奴の手によって俺は死ぬが、代わりに『戦争』は終わり、団長殿も助かり、そしてお前は俺のような妄想野郎との関わりが切れる・・・」

女「・・・」

男「お前が俺を巻き込んで『冥府落し』を撃つ事は、プラスになることはあっては、マイナスになる事は一切ないのだ。気兼ねすることはない。わかったら早く『冥府落とし』を――」

女「・・・いやよ・・・」

男「・・・女っ!まだ俺が何かを隠しているとでも思っているのか!?わかってくれ!俺は本当に何の能力もない、ただの・・・」

女「違うわ・・・ごめん、男・・・私本当は、心のどこかでわかっていたの・・・本当は気付いていたの・・・」

男「・・・!?」

女「だって、ヒントは沢山あったものね・・・あんたは決して、私達の目の前で戦おうとはしなかった・・・キメラの時だって、かわすだけで攻撃はしなかったし・・・不良にだって、力があるとは言え、あんな殴られっぱなしになる訳がないもの・・・それにあんたは怪我の回復も遅かったし・・・」

女「あんたが無能力者って事、私本当はわかってた・・・だけど、そんな事あるはずないって・・・その疑問を握りつぶしてたの・・・だって、あんたは・・・私の心の支えだったから・・・」

男「・・・俺が、心の支え・・・・」

女「あんたが居たから、戦ってこれた・・・あんたが居たから、私は強くなれた・・・それにあんたは自分の事を嘘つきって言うけど、何度も私達の事を助けてくれたじゃない!!」

女「お嬢との戦いの時はギリギリの所で来てくれたし、キメラの時なんか、あんた無能力者なのにあんな化物に丸腰で立ち向かったじゃないの!!」

男「それは・・・お嬢の時は、組織女に力を貸してもらった、いわゆる他力本願って奴で・・・キメラの時だって、俺がやった事は囮と時間稼ぎだ・・・大した事じゃあ――」

女「それだけでも十分すごいわよ!!そうやって助けにきてくれるあんたの姿が、どれだけ嬉しかったか・・・威風堂々と敵に立ち向かう男の背中に・・・私がどれだけ勇気をもらったか、あんた全然分かってないわ・・・!!」

男「・・・女・・・」

女「それにあんたは、日常においても、私を励ましてくれたじゃない。あんたのその不敵な笑みや、自信満々の雰囲気が、どれだけ私を安心させてくれたか・・・だから、私は・・・あんたが・・・そんなあんたの事・・・が・・・!!」

先生(悪)「グオラアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

男「ガッ・・・ぐ、ぅぅっ・・・!!」

ズシャアアアアア!!(また男が斬りつけられる。額に傷が付き、男の顔に血が垂れていく)

女「男ぉ・・・!!」

男「・・・女よ、すまないが・・・もってあと一分といった所だ・・・このままではいずれにしろ先生(悪)の剣を捌ききれなくなる・・・そうなったら何の意味もなくなる・・・だから、頼む・・・」

女「いや・・・いやよ・・・そんなの・・・」

男「女よ・・・後生だ・・・!!嘘つきだった俺だが、お前を守るという約束だけは守りたいのだ・・・それに女の為に死ぬというのは、男にとって最高の名誉だ・・・だから・・・」

女「いやいや!!絶対にいやよ!!私、そんな事絶対にしない!!そんな事するくらいなら・・・あんたと一緒に死んだ方がマシよ・・・!!」

男「女よ・・・俺を困らせないでくれ・・・頼む」

女「いや、いやああああああああ!!」




???「――もう、あんたはいつまで経っても泣き虫ね」

――シュゥゥゥ・・・オン!(突然、女のペンダントが光り出し、やがてそこから人影が出現する)


女「!?・・・え?この、声は・・・お、お姉ちゃん・・・!?」

女姉「はーい。あんたの愛しのお姉ちゃんよ。元気だったかしら?」



女「え、ええええええええ!?ど、ど、どうしてお姉ちゃんが!!え、えぇ・・・!?本当にお姉ちゃん・・・!?」ベタベタ

女姉「うん本物よ。妹のピンチにお姉さまが参上って訳・・・って、女。あんたさっきから、ベタベタ触りすぎだってば」

女「だ、だって・・・お姉ちゃん・・・死んだはずじゃあ・・・ゆ、幽霊・・・!?」

女姉「幽霊だったら触れないでしょう?・・・あのね女。『冥府落とし』はこの『戦争』で亡くなった人の思いや能力の残滓をかき集める技でしょ?・・・それで、私も引き寄せられてね・・・それにあんたがずっと身につけてくれてたそのペンダントがあるでしょ?」

女「う、うん・・・」

女姉「私、それにちょっと細工をしててね・・・あんたが本当にピンチの時に、少しだけ手助け出来るような細工をね・・・だけど『冥府落とし』のおかげで、肉体ごと生き返る事が出来たのよ。もっとも身体があるのは『冥府落とし』発動中だけだけどね」

女「そ、そうなの・・・?」

女姉「まぁ普通はこんな事はあり得ないらしいんだけど・・・あんたがずっと私を思い続けてくれた事、そのペンダントを肌身離さず持ってた事で、あたしが出てこれたみたい・・・あんたの思いが、奇跡を起こしたんだよ・・・まぁそういう細かい事情は置いといて・・・後は――お姉ちゃんに任せなさい」

女「お、お姉ちゃん?なにする気!?」

女姉「ふふっ。決まってるでしょ。私の大事な妹と、その彼氏くんをいじめてる悪者退治♪」

女「か、彼氏じゃないもん!!・・・まだ・・・だけど・・・///」

女姉「あら、そうなの?まぁとりあえず彼氏候補くんを助けに行きますか♪」

スタスタ(戦っている男と先生(悪)に近づく女姉)

ギィンギィンギィンギィン!!!

先生(悪)「ウガオエイエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!」

男「ぐぅ・・・ガァッ・・・!(まじい・・・マジで、本気で・・・限界だ・・・死ぬ・・・!)」


女姉「――はい。お疲れ様。男くん。よく頑張ったわね。後はおねーさんに任せなさい」


ジャッギィィィン!!!(男と先生(悪)との間に割って入た女姉の剣が、先生(悪)との剣とぶつかる音)


男「おあ!?な、なん・・・!?誰だあんた!?」

女姉「ふふっ、ごめんごめん。自己紹介がまだだったわね。私、女姉。女のお姉さんよ。よろしくね」

男「はぁ・・・!?女のお姉ちゃんは死んだはずじゃ・・・って、丁寧に俺に自己紹介してる場合じゃねえぞ、危ねえ!!」

先生(悪)「でぇりぃやああああああああああああああああ!!!!」

ブォン!!(先生(悪)の剣が女姉を襲う)
ガシッ!!(難なくその攻撃をガードする女姉)

女姉「おっとっと・・・ふぅ、危ない危ない、さーて散々私の妹とその彼氏候補くんを可愛がってくれた、そのお礼参りと行こうかしら!」

ズガガガガガガ・・・ズガッ!!(とてつもない速度で攻撃を繰り出す女姉)

先生(悪)「オガッ!?・・・ズゥ・・・!!」←その攻撃に耐え切れず、一旦距離を取る先生(悪)

男(動きが速え・・・つ、強え・・・ひょっとしてこの人、団長殿と同じくらいの強さなんじゃねえか・・・?)

女姉「男くん・・・ここは危険だから、離れて、ね?お姉さんがやっといてあげるから」ボソボソ

男「・・・い、いや・・・女性にそんな事をさせる訳には・・・」

女姉「へぇ・・・紳士なのね。でもね、大丈夫。男くんのがんばりは、ちゃんと私分かってるから、早く女の所に行って、安心させてあげて、ね?」ニコッ

男「は、はい・・・(すごい色っぽいお姉さんだな・・・)」ドキドキッ

女姉「ふふっ、素直でいい子ね・・・・さーて、久々の戦闘で血が騒ぐわぁ・・・ふふふっ」

女「男・・・!!」

男「女・・・何だか事態がよく飲み込めんのだが・・・アレは本当に、お前のお姉さんなのか・・・?」

女「ええ、そうみたい・・・私にもよくわからないけど・・・ねぇ、それよりも男」

男「うん?・・・って、え?」

がばっ(男に抱きつく女)

女「この・・・バカ・・・お姉ちゃんが来てくれなかったら・・・あたし達、どうなってたか・・・」

男「あ、ああ・・・色々すまん・・・」

女「バカ・・・バカ・・・うっ・・・ぐすっ・・・」

男「ああ・・・本当に、ごめん・・・」

ぎゅぅぅ(女が男に抱き返す音)



十秒後

女「ご、ゴホンゴホン!ねぇ男・・・そろそろその、いいんじゃないかしら?色んな意味で・・・」

男「お、おう・・・そうだな・・・」

すぅ・・・(二人が離れる音)

女「・・・い、一応言っておくけど!」

男「・・・おう?」

女「今の十数秒間は、何も無かったから!」

男「・・・えっ」

女「・・・何よその気のない返事!何も無かった、そうでしょう!?ていうか何かしてるような時と場合じゃないでしょ今は!?」

男「そ、そうだな・・・うん、何もなかった・・・ただ、自分から抱きついてきたような・・・」←最後だけボソッと

女「う、うっさいわねもう!」

男「う、うむ・・・すまん・・・というか、それより戦況はどうなっているのだ?」

女姉「へぇ、結構強いのね、あんた・・・でも、力に振り回されているみたい。隙が多いわよ?」

ザシュッ!(女姉の剣が先生(悪)を斬りつける音)

先生(悪)「らがぁあがぁ!?」

女姉「ふふっ、さぁガンガン行っちゃうわよ!!」



男「・・・結構容赦ないな・・・女のお姉さんは」

女「うん、お姉ちゃん、敵と見なした相手には本気でエゲツないから・・・どんな相手でも強気だしね」

男「うむ・・・ふふっ」

女「?なに笑ってんの?」

男「いや、なに・・・ここまで性格が似ている姉妹も珍しいと思ってな・・・それに美人な所もそっくりではないか」

女姉「え・・・そ、そうかしら・・・ありがとう・・・///」

女「あ、あんたねぇ・・・故人まで口説く気!?」

男「何の話をしてるんだ、何の・・・それよりもせっかくお姉さんが敵を引きつけておいてくれてるんだ。俺たちはしっかり狙いを定めるべきだろう」

女「そ、そうね・・・とことん、あんたは女に対して天然なのね・・・」


女姉「ふっ・・・力はすごいけど・・・こうしてちょっとフェイントを入れてやれば・・・ヤァァ!!」

ズシャ!!(先生(悪)の剣を持った方の腕を切り落とす音)

先生(悪)「ガァ!?!?」」

女姉「ふふっ・・・『冥府落とし』を撃つ前に、勝負が付いちゃったかしら・・・うん?」

先生(悪)「ウウ・・・アアァ・・・!!」

ズズズズズズズズズズ・・・!!!(先生(悪)の服の中の聖骸布が光りだす)

女姉(凄まじい力を感じる・・・これは・・・)

女姉「っ!?」

先生(悪)「ウガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!」

ドドドドドドドドドッッ!!(先生(悪)の服の中の聖骸布がすごい光を放つ)

ズウウウウウウウン・・・

女「なっ・・・先生(悪)が・・・きょ、巨大・・・化・・・!?」

男「で、でけえ・・・!!クソっ・・・これもまた聖骸布の力って奴か・・・!?」

女姉「落ち着きなさい二人共!!これはチャンスよ!!この大きさなら確実に『冥府落とし』が当てられるわ!!」

男・女「「!!確かに・・・!!」」

女姉「それに単純な大きさとか力に頼るってのは、もうそれ以上何も思いつかなくて追いつめられてるっていう証拠よ!!思いっきりぶちかましてやりなさい!!」

女「うん、お姉ちゃん・・・!!」

先生(悪)「ズオオオオオオオオオオオオオラアアアアアアアアアアアアアアアアア」

ドドドドドッ・・・!!(迫り来る巨大な先生(悪)の掌)

女姉「人の妹に、これ以上手を出さないでもらえるかしら・・・!!」

しゅたっ・・・ギィィィンっ!!(跳躍し剣で受け、掌が落ちてくるスピードを減速させる女姉)

女姉「一応言っておくけど、『冥府落とし』を撃ったらあたしがまた消えちゃうとか、そんな事考えて躊躇しちゃだめよ女!むしろ躊躇したらぶっ飛ばすわよ!!あんたが今ここで『冥府落とし』を撃っても撃たなくても、どっちにしろ『冥府落とし』が集めたエネルギーによって存在してるあたしは一時間と保たずに消えるの。だから何も気にせず撃つこと、いい!?」

女「・・・うん・・・わかってるわ、お姉ちゃん・・・」

女姉「ならよし・・・大丈夫よ、あんたはあたしの死くらい、簡単に乗り越えられる・・・それくらいの力を持ってる子だもの。お姉ちゃんの分まで生きて・・・なんて言わないわ。あんたは、あんたの人生を、しっかり生きなさい!そして幸せになるのよ!!例え姿形が見えなくてもお姉ちゃんはいつでもあんたの事を見守ってる!わかった!?」

女「・・・うん・・・うん・・・!」

女姉「それから男くん!!」

男「お、俺か・・・!?」

女姉「ええ、そうよ。君よ・・・妹をよろしくね。手間のかかる、素直じゃない面倒くさい子だけど・・・それでも、私の可愛い妹で・・・本当はとってもいい子だから・・・あたしの代わりに、男くんが支えてあげてね」

男「・・・ふふっ、ああ。案じずとも大丈夫ですよ、お姉さん。誰に言われずともそうしますぜ」

女姉「ふふっ。その言葉を聞いて安心したわ・・・それとね、男くん。君の活躍はペンダントを通じてなんとなく感じてたわ・・・それで、君は自分をウソつきだって言ってたけど・・・私の妹との約束を守ろうとしたその気持は本物だと思うわ」

男「・・・!」

女姉「だから、自分の事を嘘つきだなんて卑下せずに・・・もっと自信を持って生きなさい・・・いいわね!」

男「・・・はい・・・!」

女姉「・・・よし、言いたい事は、全部言ったわ・・・あとは『冥府落とし』を撃つだけよ!!いい加減この『戦争』に、ケリを付けましょう・・・!」」

先生(悪)「ンヌオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオアアアアアアアアアアアアアア!!!」

女姉「ふんっ、軽いのよ・・・!私の妹への思いに比べたら、あんたの重さなんか、へでもないわ!!」

ズッ・・・ズ・・・ズッズズズッ・・・!!(先生(悪)の巨大な掌と一進一退の攻防を繰り返す女姉)

女「・・・もう、お姉ちゃんったら・・・恥ずかしい事言って・・・!」

男「いいじゃないか・・・俺には兄弟も姉妹もいないから、羨ましい限りだが」

女「・・・まぁね、私も恥ずかしいけど・・・いやじゃないわ・・・それに死んだお姉ちゃんにもう一度会えたんだもの・・・きっと私、世界中の姉がいるどんな人よりも、幸せだと自分でも思うし・・・だから・・」

男「うむ・・・うん?」

男(女の『冥府落とし』用の聖剣を持つ手が震えている・・・そうか・・・口では大丈夫と言っても・・・再会した上での再度の別れは・・・尚辛いよな・・・自分が撃つ事で、消えてなくなるとすれば尚更だ・・・ならば・・・)

ギュッ(男が『冥府落とし』用の聖剣を持つ女の手を掴む)

女「・・・え?」

男「ここまで来たんだ・・・俺も一緒に撃つ・・・最後まで一緒だ。いいだろ?・・・お前がやめてというのなら、手を離すが・・・」

女「・・・ううん・・・あ、ありがとう・・・」

男「ならよかった。なに、心配するな。大丈夫だ、お前には俺がいる・・・とは言っても、俺は無能力者だ・・・お前に対して出来る事など何も出来ないかも知れんが・・・それでも・・・俺はな・・・」

女(・・・)

女「・・・ねぇ、男?」

男「な、なんだ?」

女「せっかく一緒に撃つんだからさ、なんかカッコいい技名、つけてよ」

男「え?」

女「ほら、お得意の妄想生かしてさ・・・『冥府落とし』もかっこいいとは思うけど、もっと何か長ったらしくてかっこいい奴・・・最終決戦を終結させるに相応しい技名・・・あるんでしょ?」

男「い、いや急に言われても・・・」

女「いいから、早く考えて」

男「ちょ、ちょっと待て・・・!!5秒、5秒くれ・・・!!猛烈にカッコいい技名、考えるから・・・!!」

女「ふふん、分かったわ・・・ごー、よーん・・・」

男(な、なんで急に・・・!?この場面で・・・!?畜生何にも思いつかねえ・・・!!)

女「さーん、にーい、いーち・・・」

男(くっ・・・出てこい・・・何でもいいから、出てこい・・・!!)

女「ぜーろ。はい、技名言って」

男「・・・瞬裂幻電霊護荒右麗下円回昴神嵐極上刹重斬・・・!!」

女「・・・」

男(ど、どうだ・・・!?)

女「・・・ぷっ」

男「・・・え?」

男(ふ、吹き出した・・・?)

女「ぷっ・・・あっはっはははは・・・長いし・・・もう何の必殺技かさっぱりわかんないし・・・あーあ、今思えば、なんで最初に出会った時とか、勘違いしちゃったんだろうな、私・・・ぷっくっくっく・・・」

男「・・・あのー」

女「なんか、あんたと出会ってからの私を客観的に思い返せば、一つのとてつもなく長い、勘違い系のコントとか喜劇をずっと繰り広げてたみたいな感じに見えるのかもしれないわね・・・ぷぷぷ、あーおっかしい・・・ふふふっ・・・」

男「お、女さん・・・?」

女「ふふふふっ・・・あー笑った笑った・・・ふふっ、こんなに笑ったの、お姉ちゃんが死んで以来、初めてかもしれないわね・・・くくっ・・・」

男「あの・・・すみません・・・さっきから、置いてけぼりなんですけど・・・」

女「ふふふっ、そうよね・・・だから、私が言いたいのはね・・・あんたは、こんなにも私を笑わせる事が出来るって事。何も出来ないなんて、そんな事ないわ。そんなに自分を貶めなくていいわよ」

男「・・・女」

女「ふふっ、それにさっきお姉ちゃんに言われたでしょ?自分を卑下せず、自信を持って生きろって。だったらいいじゃない。あの上から目線で、変な口調で、根拠のない自信に満ちた、いつものあんたで。それがきっと1番いいのよ」

男「・・・そうかな」

女「そうよ。それに、そういうオドオドしてるあんたも可愛いとは思うけど、やっぱり私は、普段のあんたの方が好きかも」

男「・・・そうか」

男「・・・」

男「く、ククク・・・全く、さっきから誰に向かってそんな口を聞いているのだ?我こそは暗黒の邪王。御刀虎だぞ?全く、偉そうに・・・」

女「ふ、ふふっ・・・そうそう・・・あんたはやっぱりそうでないとね」

男「ふん・・・全く、生意気な奴め。実はさっきまでの態度はお前を試す演技だったのだ・・・この暗黒の邪王への忠誠心をな・・・」

女「はいはい・・・ふふっ・・・ふふふっ・・・」

男「ククク・・・アハハハハハ・・・」

女「さて――じゃあ撃つわよ男。準備はいい?」

男「ああ、いつでもいいぞ。ククク・・・女よ。お前は気づいてないかも知れないが、実はここまで全てこの俺、御刀虎の筋書き通りだったのだ・・・ククク・・・」

女「ふふっ、そう・・・なら聞いてもいいかしら。この『戦争』の結末は?」

男「カカッ・・・決まっている・・・この『冥府落とし』が無事に決まり・・・我々『騎士団』の大勝利で幕を閉じる!!完全無欠のハッピーエンドだ!!ハーハッハッハッハ!!!」

女「そっか。ふふっ・・・あんたの言葉を聞いて安心したら、いい感じに肩の力が抜けたわ・・・――行くわよ、男!!」

男「おうッ!!」

ぎゅ、ぎゅ(二人で光を放っている聖剣を掴む)

女姉「準備は出来たようだしもう私がこいつの攻撃を抑えておかなくても、大丈夫ね。思いっきりぶちかましてやりなさい!!」

女「ええ!!」

ズウ・・・ズオオオオオ・・・!!!(聖剣を振り上げると切っ先に、光が集中していく)

男(すごい力を感じる・・・これなら・・・例え先生(悪)がどれだけ強大であろうと・・・)

先生(悪)「オガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!」

ズアアアアアアアアアアアア・・・!!(迫り来る巨大な先生(悪)の掌)

男(ぶっ潰せる!!)

女「よし!!じゃあ聖剣を振り下ろして・・・『冥府落とし』を撃つわよ男!」

男「おう!!全ての因果に決着を付ける時だ!!カカッ!!」

ブォン!!(男と女が同時に聖剣を振り下ろす)



ズッ・・・ドガラッシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!(聖剣から凄まじい質量を持った光が、先生(悪)を襲う)


先生(悪)「おああああああああああああああああああああああああああああああ!??!?!?!?」

ドガガガガガガ・・・・!!


先生(悪)「――――あっ」


・・・――ズバンッッッ!!!!!(光が先生(悪)の身体のド真ん中に大きな穴を開けた音)


先生(悪)「・・・ズオッ・・・アッアッ・・・あぁぁぁ・・・」



ドスン・・・!!(先生(悪)が倒れる音)

女「・・・やった!!やったわよ!!男!!」

男「・・・ああ!!やったぞ!!!倒した!!俺たちが、勝った・・・!!」


ズズ・・・ズズン・・・!!(男達が戦っていたタワーが揺れる音)


女「えっ、なにこの音は・・・!?」

男「ひょっとして・・・この衝撃でタワーが・・・崩れんのか・・・!?」

ゴゴ・・・ゴゴゴゴゴゴ・・・ッッ!!(音を立てて崩れ落ちるタワー)

女「やばい!急いで団長の元へ行って縄を解いてあげないと!!しかも気付いたら戦闘で団長から離れた所に来ちゃってるし・・・早くしないと!!」

男「っ!!団長殿っ!!」ダッ!!

女「ま、待ちなさい男!!あんた一人じゃ危険・・・っ!?」

ガラガラ!!(タワーの一部が落ちてきて男と女の間に突き刺さって女の行く道を塞ぐ)

女「ああ!!この、邪魔よ!!」

ボカッ!(剣でそれを破壊する女)

女「よし、これで・・!・・・!?!?」

ドガッドガッドガガガガガガ!!!(次々と落ちてくるタワーの一部)

女「ああ、もう鬱陶しい・・・どうしよう、これじゃ助けに行けない・・・男、団長ぉ・・・!!」



騎士団長(・・・)←意識を失っている

ズドドドドドドド・・・!!(タワーが崩壊する音)

騎士団長「・・・っ!?な、なんだ・・・何の音だ・・・!?」

騎士団長(・・・確か、私はいきなり後ろから刺されて・・・それで、意識を失って・・・いや、確かその直前に女達に聖剣を託したはず・・・)

騎士団長「ならば・・・ここは一体・・・なっ、縛られている・・・!?しかも、縛られている建物が崩壊中・・・!?な、なんだこの状況は・・・!?」

騎士団長「ともかく早く抜け出さないと・・・くっ・・・クソっ・・・なんて頑丈に縛ってあるんだ・・・こ、このままでは・・・・!!」

騎士団長(・・・そう言えば、薄らぼんやりとだが、男と女が助けに来てくれたような記憶が・・・)

騎士団長「男ー!!女ーー!!私はここだーー!!」

シーン・・・

騎士団長「くっ、返事がない・・・」

ズドドドドズドズドドドドドドド・・・!!(タワーの崩壊が進行している音)

騎士団長(・・・これぐらいの高さなら、落ちても身体は無事だろうか・・・いや、心臓付近を刺され、その影響で体力もかなり落ちている今の私なら、あっけなく死んでしまうだろう・・・その上、何百キロもある瓦礫が私の上に落ちてきたら・・・その中に埋もれたら・・・確実にアウトだ)

騎士団長(そして、今、この状況から逃れる術は・・・ない・・・)

騎士団長「万事休す・・・か・・・ふっ、これで終わりとは・・・何ともまぁあっけないものだ・・・いや、人生とは往々にしてそういうものか・・・」

騎士団長(ところでさっき私を刺した奴はどこに行ったのだろう・・・『戦争』は一体どうなったのだ・・・?それだけが心のこりだ・・・我々は勝ったのだろうか・・・?)

騎士団長(いや、きっと大丈夫だろう・・・女は最近、私に追いつくレベルでメキメキと腕を上げているし、何より男・・・彼が付いているのだ・・・心配いらないか)

騎士団長(・・・人生に、悔いはないと言ったらウソになる・・・思い残した事・・・女は、私がついていなくてももう大丈夫だろう。彼女は随分成長した・・・後は)

騎士団長(・・・男)

騎士団長「ば、バカッ!!なぜここで彼の顔が浮かぶのだっ!!」

騎士団長「・・・誰に言っているのだ、私は・・・全く・・・」

騎士団長(・・・でももっと積極的に、彼に対するこのもどかしい感情を衝動のまま、彼に対して素直になっておけば、という想いもある)

騎士団長(初めてだったからな・・・褒められるだけで、頭全体がぼーっとしてしまうほど嬉しくなったり、他の女と楽しそうにしているだけで胸がざわつく異性というのは)

騎士団長(彼の正体以上に、私は・・・この胸の中にある、彼に対しての気持ちの正体を知りたかった・・・)

騎士団長(でも、それももう・・・)

騎士団長「・・・っ!」

騎士団長(だめだ。そう思うと・・・急に胸が苦しくなってきた・・・)

騎士団長(忘れよう・・・何もかももはや、叶わぬ、届かぬ夢なのだ・・・)

騎士団長「夢・・・願いか・・・」

騎士団長(私の願い・・・『戦争』開始から、ずっと叶えたかった願い・・・先ほど手に掛けて、されど手からこぼれ落ちてしまったもの・・・それは・・・)

???「団長殿おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!」

騎士団長「!?」

男「ハァハァ・・・!!助けにきたぞ!!!」

男(やべえ・・・団長殿がピンチということで、頭に血が登って何も考えずにかけ出してしまった・・・後からついてくると思った女も何故か来ないし・・・!!)

男(でも、畜生。こうなったら俺一人で、何とかしてやる・・・!!)

騎士団長「お、男!!来て、くれたのか・・・!!」

男「ククク、待ちわびたか団長殿・・・!?今、助け・・・ッ!?」

ズズズズズズズズズズ・・・!!!(大きく揺れるタワー)

男「ぐっ・・・!」ずたっ(揺れに耐え切れずずっこける男)

騎士団長「だ、大丈夫か!?かなり疲れているようだが・・・」

男「へへっ、これくらい平気ですぜ団長殿・・・ちょっと先ほどの戦闘体力を消耗していただけで・・・ぬお!?」

ボカッ!(落ちてきたちょっとした瓦礫が男の顔に当たる)

騎士団長「お、男ぉ!?か、顔から血がっ・・・」

男「・・・こ、これくらいなんともないですぜ・・・今、そっちに行きますよ団長殿・・・!!」

騎士団長「む、無理するな!止血してからでいい!!それじゃあ目に血が入って――」

男「刺された団長殿の痛みに比べたらこんなもの、蚊に刺されたようなもんですぜ。なぁに血なら拭いながら行きますよ、心配ご無用でさぁ・・・!!」

騎士団長「お、男?どうしてそんなに必死なのだ?いつものクールな君はどうした・・・?君の持つ力なら、私一人助けるくらい、余裕であろう?そんなに急がなくても・・・」

男(そうか・・・団長殿は知らないのか・・・ええい、この際だ。言ってしまえ)

男「・・・なぁ、団長殿・・・俺には、そんな力がないって聞いたら、あなたはどうします?」

騎士団長「は・・・?い、今更何を言っているのだ君は・・・そんな事ある訳・・・」

男「いいや、団長殿・・・悪いが本当なのだ・・・残念ながらな・・・こうやって・・・」

べたっ・・・ズッズッ・・・(柱に両手を回し、両足でしがみついて、タワーのてっぺんへと少しづつ進んでいく男)

騎士団長「な、何をしているのだ、君は!?そんな効率の悪い助け方があるか!!もっとこう、一気にジャンプして縄を剣で断ち切るとかだな・・・!」

男「いいや。俺にはそんな芸当は出来ませんぜ、団長殿。こんなふうにしがみついて、かっこわるく進むしか縄に縛られているあなたへ近づく方法がないのが、その証拠だ・・・今までずっと、騙していた・・・すまなかったな団長殿・・・」

騎士団長「・・・そ、そんな・・・本当・・・なのか・・・」

男「ああ・・・申し訳ない、団長殿・・・全て事実ですぜ・・・」

騎士団長「・・・そう、か・・・確かに言われて、思い起こして見れば・・・思い当たるフシはある・・・そう、だったのか・・・君は・・・」

男「ええ・・・」

騎士団長「・・・」

男「・・・」

騎士団長「・・・」

男「・・・で、でも安心してください!!団長殿だけは何とか・・・」

騎士団長「・・・いや、ならばいい。さっさと君は逃げたまえ」

男「っ!?な、何を言い出すんですか団長殿!?」

騎士団長「・・・君は無能力者、なのだろう?確かに君は私達を騙していたのかもしれないが・・・でも、無能力者で一般人の君を巻き込んでしまった、私達にも責任がないとはいえない・・・ましてや無能力者の君に助けられた事だってある・・・ならば、その恩返しと責任を取らなければならないだろう?」

騎士団長「だからいいのだ。ましてや君はその怪我だ・・・本当は今すぐにでも倒れこんでしまいたいくらい、体力的にも限界であろう・・・?」

男「・・・っ・・・」

騎士団長「・・・ほら、早く逃げたまえ・・・もたもたしていると本当に死んでしまうぞ・・・?」

男(・・・)

騎士団長「ふふっ、振り返ってみれば・・・君にはいい夢を見させて貰ったよ・・・稽古も楽しかった・・・君といると、他の人では得られないような、ドキドキやワクワクや、不思議な胸の高鳴りも得る事が出来た・・・それだけで、私はもう十分だ。だから――」

男「・・・」

ズッズッ(タワーを登り始める男)

騎士団長「・・・お、おい。何してるんだ、君は!私の言葉が聞こえなかったのか!?さっさと逃げろ!!さもないと本当に・・・!!」

男「・・・」

騎士団長「おい!!聞こえないのか!!」

男「・・・なぁ、団長殿」

騎士団長「・・・聞こえているじゃないか!!早く逃げたまえ!!」

男「・・・あなたは知らないと思いますが、世間一般では俺のような奴を中二病とか、邪気眼って言うんですぜ」

ズッズッ(タワーを登る音)

騎士団長「な、何の話だ・・・?」

男「俺はずっと頭ん中で、この『戦争』みたいな妄想をしてました。超常の力を得て、謎の『組織』や『機関』と命がけの戦いをする妄想をね」

騎士団長「・・・だから、なんだ!?それが今、この状況と何の関係がある!?」

男「大ありですよ、団長殿。さっきあなたは巻き込んでしまったっ仰っていたな。その責任を取ると・・・そんな責任取らなくていい。なぜなら、俺は感謝してるんです。この事態に巻き込まれた事に」

騎士団長「な、何を言ってるんだ君は・・・!?頭がおかしいのか!?こんな命がけの『戦争』に巻き込まれて・・・感謝だと・・・!?訳の分からない事を言うな!!」

男「本当ですぜ。団長殿・・・まぁ確かに、命がけで、本当に怖くてチビリそうなった事も何回もありましたけど・・・それでも、退屈な日常を送るよりかは、何千倍も刺激的でしたぜ?俺にとって巻き込まれた事はプラスであれど、マイナスじゃあ決して無かった・・・!!」

騎士団長「・・・っ、き、君という人間は・・・理解不能だ・・・イカれているぞっ・・・!!というか、そんな御託はいい!!早く逃げないと本当に手遅れになる!!命が惜しくないのか!?」

男「いいや、命は惜しい・・・惜しいですが・・・でもね。ここで貴方を見捨てて拾う命に、俺はちっとも価値を感じない・・・何より、こんな事に巻き込んでくれた貴方を見捨てるなど、それこそ死んでも出来そうにない!!」

騎士団長「・・・っ・・・」

男「貴方の事は、俺の命に代えても必ず助ける・・・!!!それに今、あんたはその場から動けないだろう!?いわば囚われのお姫様だ!!!だからもうゴチャゴチャ言うな!!!お姫様はお姫様らしく、黙って俺に助けられてろ!!!」

騎士団長「・・・お、お姫様って・・・ば、バカっ・・・///」

男「ククク・・・いいぞ、団長殿。やっとお姫様らしくなってきたな・・・あと少しだ・・・待ってろ団長――」

グラララララ・・・!!!(タワーが激しく揺れる音)

男(っ・・・この、揺れは・・・まずい・・・)

ズ・・・ガッ!!!(ちょうど、タワーのてっぺんにいる騎士団長がいるところだけがぽっきりと折れる音)

騎士団長「え・・・?」

男「な・・・っ!?」

ズシャアアアアアアアアアア!!!(それが登っている男に向かって落ちてくる音)

騎士団長「あああああああ!?」

男(あっ。やべえ・・・死――)

???「もう、世話が焼けるわね。男くん」

男(・・・この、声は・・・)

ガシッ(柱にしがみつく男を捕まえる音)

男「女姉さん!?」

ボスン!(落ちてきた団長を受け止めた音)

騎士団長「き、君は・・・女姉・・・!?何故、一体どうして!?」

女姉「あはは、久しぶりね。団長。でもごめんね。説明してる暇はないの。タワー全体が崩れちゃうみたいだから・・・それに私自身も、あと少しで消えちゃうみたいだしね・・・とりあえず安全な場所まで運ぶからあとは妹と、男くんから聞いてね」

ダッ!(その場から男と騎士団長を抱えて飛び降りる女姉)

騎士団長「・・・久方ぶりに会えたのに・・・もう、消えるのか・・・寂しいな」

女姉「そうね、私もよ・・・私が居なくなったあと、妹を可愛がってくれてありがとうね。感謝してるわ。あの子、寂しがりやだから」

騎士団長「なに、大した事じゃないさ・・・でも、また君と一緒に服を見たり、ランチをしたりしたかったな・・・それだけが心残りだよ」

女姉「くすっ・・・そうね・・・それは私も心残りだわ・・・あ、じゃあ一つ提案。男くん。私の代わりに団長さんとそういう事をしてくれる?」

男「え?」

騎士団長「は、はぁ!?なぜそうなるのだ!?」

女姉「いいよね、男くん。団長にとびっきり可愛い服を選んで、この固い顔が蕩けるくらい美味しい料理をご馳走してあげて。勿論その時は、お姫様みたいにエスコートしてあげてね。年上のおねーさんからのお願い、聞いてくれる?」

男「は、はい・・・」

男(女姉さんの色っぽさに惑わされ、つい言われるがままにうなずいてしまった・・・)

女姉「よしよし、素直でいい子♪」

騎士団長「ちょ、ちょっと待て!!私の意見はどうなる!?そ、そ、それではまるで・・・デ、デートではないか・・・!!」

女姉「なぁにー?イヤなのー?妹を可愛がってくれたお礼のつもりで提案してあげたのにー」

騎士団長「い、イヤではない!!いやではないが・・・でも、その・・・だな・・・///」

女姉「ならいいじゃない。あなたもそろそろ、誰かに頼られるだけじゃなく、誰かに頼って誰かに可愛がられる時よ。貴方はそんなに綺麗なんだから、そろそろ女の子としての幸せを味わうべきだわ」

騎士団長「・・・///」

女姉「ふふっ、それにしても男くん・・・さっきの君はカッコ良かったよ。堅物の団長をお姫様扱いなんて、君は女心っていうものが分かってるね。私も生き残ってたら君のハーレムの一員になってたりしたのかな?なんてね」

騎士団長「は、ハーレムだと・・・?」ギロッ(男を睨む)

男「いや、あのー・・・すみません・・・何の事だか・・・さっぱり・・・」

女姉「ふふっ、そうよね。君は朴念仁みたいだし・・・でも、そうやって理屈も計算も打算も抜きで、自分よりも他人を優先して助けに行ける・・・そういう所をきっと、あの子は好きになったんでしょうね・・・そして多分、他の皆も」ボソボソ

男「・・・女姉さん、何か言いましたか?」

女姉「ううん、なーんでも」

女「お姉ちゃーん!!男ーー!!団長ーー!!」

女姉「あっ、妹が見えたわ。女には先に降りて安全な場所を確保してもらってたの。今行くわー!!!」

シュタ(女姉が降り立つ音)

女姉「ふぅ・・・やっと着いたっと・・・」

女「男・・・団長ぉ・・・!!」

がばっ(二人に抱きつく女)

騎士団長「・・・すまなかったな、女。戦いに参加出来なくて」

女「いいんです!団長が無事なら、それで・・・!」

男「俺も結局、女姉さんが居なかったらどうにもならなかった・・・お前に心配かけただけだったな。すまん」

女姉「あら、そんな事ないわよ?男くんの叫び声で私は団長の居場所が分かったしね」

女「そうよ。あんたが帰ってきてくれただけで私は嬉しいんだから、何にも気にしないの・・・」

ぎゅうぅ・・・(さらに強く二人を抱きしめる女)

男「お、おう・・・」

女「お姉ちゃんもありがとうね。二人を助けてくれて」

女姉「妹を助けるのが姉の役目だもの、気にしないの・・・さーて。それじゃあ私の役目は終わりかな・・・というより、もう身体が消えかかっているしね」

スゥー・・・(女姉の身体が足元から消えていく)

女「・・・お姉ちゃん」

女姉「さっきはじっくり見れなかったけど・・・少し背が伸びて・・・綺麗になったわね・・・」

ぎゅぅぅ・・・(女姉が女を抱きしめる)

女「お姉ちゃぁん・・・」

女姉「もう、泣かないの・・・あんたはいくつになっても、泣き虫なんだから・・・あんたはいくつになっても私の可愛い自慢の妹よ・・・それを忘れないで」

女「うん・・・さようなら・・・ううん・・・またね、お姉ちゃん・・・」

女姉「ええ、またね。あの空の向こうで、気をなが~くして待ってるわ」

ぱっ(離れる女姉と女)

騎士団長「・・・さらばだ、君との再会を、きっと私は忘れない・・・というか、忘れようもないな、こんな事は・・・」

女姉「ふふっ、そうね・・・ええ、団長。私もあなたの事忘れないから・・・」

騎士団長「うむ・・・また会う日まで、だ」

男「・・・ククク・・・輪廻の果てで、また会おうぞ女姉よ・・・というか、貴方がいなかったら本当に死んでました・・・ありがとうございます・・・」

女姉「お礼なんていいわ。そうね・・・また、どこかで会えたら・・・君と一緒に過ごす毎日は、きっと楽しいでしょうね・・・妹が羨ましいわ、ちょっとだけね」

スゥー・・・(首から下までが完全に粒子になって消える音)

女姉「あっ・・・」

男「・・・!」

騎士団長「・・・っ」

女「お姉ちゃん!」

女姉「・・・さようなら。あなた達の未来が素晴らしいものである事を願っているわ」

スゥー・・・(女姉の身体が完全に消えていく)

男「・・・」

騎士団長「・・・消えた、か・・・」

女「・・・っ・・・」

男「・・・女・・・」

ポン(女の肩に手を掛ける男)

女「・・・大丈夫よ。男・・・本当に大丈夫なの。お姉ちゃんは姿形が見えなくてもいつも見守ってるって言った。ちょっと見えなくなっただけだもの・・・お姉ちゃんにいつまでも心配かけたくないから、大丈夫」ニコッ

男「・・・そうか」

騎士団長「・・・うむ。いい心構えだ。女」

女「えへへ。ありがとうございます・・・ところで、あの団長」

騎士団長「む、どうした。改まって」

女「あの・・・私さっき団長達が降りてくる間に考えていたんですけど・・・ひょっとしたら私達の願いは叶わないかも知れないです・・・」

男「・・・」

騎士団長「ん・・・?どういう事だ・・・?そう言えば聖骸布や、私を刺した奴はどうなったのだ?」

女「今、説明します・・・」

女「・・・っていう感じで、私と男と、『冥府落とし』を撃ったんですけど」

騎士団長「ふむ」

女「冥府落としを撃った事で、巨大化した先生の胸に大きな穴を開けたのはいいんですが・・・」

騎士団長「ふむふむ・・・」

女「多分、ちょうどそこに先生は聖骸布を持っていたと思うので・・・」

騎士団長「う、うむ・・・」

女「もしかしたら聖骸布も、『冥府落とし』によって消し飛んじゃったかも知れないです・・・」

騎士団長「・・・そ、そうか・・・」

・・・・

女(ど、どうしよう男・・・騎士団長がっくり来ちゃってるよぉ・・・)ボソボソ

男(まぁ、そりゃあな・・・こんだけ苦労して、何のご褒美もなくちゃあ・・・落胆どころの話じゃないだろ・・・)ボソボソ

女(な、何とか誤魔化せないかしら・・・願いは叶わないけど、これまで送ってきた日々は私達にとってそれ以上の宝物なんじゃないですか、団長!?とか言って)ボソボソ

男(今時中学生が考えたストーリーでも、そんなありきたりなセリフでシメないぞ女よ・・・)ボソボソ

騎士団長「・・・なぁ、男、女、こっちへ来たまえ」

男・女「は、はい!」

スタスタ(騎士団長の元へ歩いて行く男・女)

男・女(何されるんだろう・・・)ドキドキッ

騎士団長「君たち・・・」

男・女「・・・」ドキドキッ

ぎゅう(二人を抱きしめる音)

騎士団長「・・・実はな、私の願いは叶っているんだよ」

男・女「え・・・?」

騎士団長「私の願いはな・・・お姫様扱いされることだったんだ。なにせ昔から何かと集団のリーダー役や、頼りにされる事が多かったからな・・・だから囚われた私を、助けに来てくれた二人を見た瞬間に、私の願いは叶っていたのだ・・・なにせ、まるで憧れていた囚われのお姫様のようだったからな・・・」

女「団長・・・」

男(ああ、だからさっきお姫様だって言ったら照れた顔を・・・)

騎士団長「助けに来てくれてありがとう。嬉しかったよ」

ちゅっ(女の頬にキスをする騎士団長)

女「わ、わぁ!?団長、何を・・・///」

騎士団長「なに、囚われのお姫様は、助けられたらお礼のキスをするものだろう?」ニコッ

女「・・・団長、それ。他の女の子には絶対にやっちゃダメですよ・・・?百合の道に落ちちゃいますからね・・・」

騎士団長「?何の話だ・・・では、男。君にもだ」

男「え、は、はい・・・///(なんか、こうキスするって宣言された後にキスされると照れるな・・・)」

ちゅ・・・(男の口にキスをする騎士団長)

女「あ・・・ああ!?」

男「え・・・あれ、なんで口・・・」

女「ちょ、ちょっと団長・・・!?」

騎士団長「・・・ふふ、その意味は自分でよく考える事だな・・・では・・・後は色々と・・・任せたぞ・・・女、よ・・・」

ドサッ(倒れる騎士団長)

女「え、ええ・・・団長、どうしたんですか・・・!?」


騎士団長「すまない・・・まだ負った傷を完全に治療する為に横になって眠りたい・・・というか、体がそう言っているのだ・・・ちょっと寝かせてもらうぞ・・・」

女「は、はぁ・・・とりあえず・・・ええとせめて、私の上着を枕にしてください団長・・・!」

男「団長殿、では俺の上着も良かったら掛け布団代わりに・・・」

騎士団長「うむ・・・二人共ありがとう・・・では、遠慮無く・・・」

・・・zzZZ(静かに眠り始める騎士団長)

女「あっという間に寝ちゃったわね・・・」

男「まぁ・・・普通の人なら確実に病院行きだろうに、寝てるだけで回復するのは『能力』持ちの特権だろう・・・というか、俺も限界だ・・・」

ふらっ(女の胸元へ倒れる男)

女「ちょ、ちょっと待って!?ど、どこへ倒れてるのよぉ!?」

男「もう我慢出来ない・・・無理だ・・・」

女「が、我慢出来ないって・・・そんな・・・こ、こんなシチュエーションで・・・やだ・・・まだあたし、心の準備が・・・///」

男「・・・すまん・・・俺も体力が限界みたいだ・・・そもそも、俺今日、団長殿の朝5時からの訓練に付き合う為に・・・朝4時に起きて・・・そんで、この連戦と・・・禍学刀に振り回されて・・・精神的にも体力的にも・・・もう、リアルガチの体力切れだ・・・」

女「あ、そ、そういう事・・・びっくりしたわ・・・うーん、上着は団長に貸しちゃったから枕に出来そうなのないし・・・じゃあ、ほら、私の膝にゴロンしなさい。膝枕してあげる」

ストン・・・ぽすっ(女も地面に座り、男の頭を膝に乗っける)

男「すまん・・・」

女「・・・いいって。あたしがしたくてしてる事だもの。気にしないでいいわ」←男の頭を撫でながら

男(・・・頭、撫でられるの気持ちいいな・・・これなら・・・すぐ・・・寝れそう・・・だ)

男「お前の手、柔らかいな・・・心地いいよ」

女「そ、そうかしら?・・・ところであんた、結構派手に顔に傷が付いてるわね・・・痛くない?」

男「ふっ・・・皆を守る為の傷ならば、どんな深手だろうとかすり傷だよ」

女「・・・はいはい。中二乙・・・いっぱい、こんなに傷だらけになるまで・・・みんなの為に頑張ってくれたんだね・・・ありがとう」ニコッ

男「・・・ッ」ドキッ

男(その女の笑顔は・・・本当に綺麗で・・・その笑顔一つだけで・・・今までの苦労が全部報われたような・・・そんな気がした)

男「か、カカッ・・・まぁなんだ・・・うむ、その御礼は素直に受け取っておこう・・・ふぁあぁ・・・」

女「くすっ、眠かったら寝ていいよ。知ってるでしょ?私ら『能力者』は身体能力が強化されてるから、あんた程度の頭の重さなら、何時間乗せててもしびれないし」

男「ふっ、そうだったな・・・なら、悪いが・・・お言葉に甘えさせてもらおう・・・」

女「うん、おやすみ」

男「うむ・・・」

女「・・・あ、でもさ男・・・ちょっとその前にいいかしら」

男「・・・うむ?」

女「・・・考えてみるとさ、あんた以外の人間の願いって全員叶っているのよね。あたしの願いはもう一度お姉ちゃんに会う事で、団長はさっき聞いた通り。組織女も組織部下女も、気付いたら願いが叶っていたって言ってたし、機関女もメイドも願いを叶えていたっぽいしさ」

男「・・・お前、あの『兵器』との戦闘が終わった後の、お嬢とメイドとの会話を聞いてたのか?」

女「うん、まぁ眠る前に薄らぼんやりとね・・・」

男「・・・そうか。というか、組織部下女の願いってなんだ・・・?」

女「あー・・・(あの子の願いは、多分、あんたの役に立つ事なんだろうけど・・・)まぁそれは本人に聞いてあげれば?あたしはなんとなく察しがつくけど、確定してる訳じゃないし」

男「うむ・・・それもそうか」

女「でさ、そう考えてみると、あんたの願いだけ叶ってないのはちょっと可哀想じゃない?あんただってあんなに頑張ってきたのにさ・・・それにさっきも聞きそびれちゃったし・・・」

女「だから結局、あんたの願いってなんなの?」

男「俺の願いか・・・」

男(よく考えてこなかったな・・・俺の願い、夢、望み・・・それは・・・・)

男「・・・」

女「・・・」

男「・・・」

女「・・・男?」

男「・・・zzZZ」

女「・・・って、寝てるし・・・まぁいいけど・・・」

男「・・・zzZZ」

女(・・・)頬ツンツン

男「ンガッ・・・zzZZ」

女「・・・ふふ・・・寝顔は可愛いわね・・・」

女(でも、振り返ってみれば・・・色んな事があったわね・・・この2年間で)

女(特に男が現れてからは激動の日々だったわ・・・何回命の危機にあったか・・・)

女(そう考えたら・・・本当に男は、よく生き残ってこれたわね・・・)

女「・・・」

女「ねぇ、男・・・」

女「あんたは無能力者だったけど・・・敵を味方に・・・そして味方には力を与える・・・こう気力とか勇気とかモチベーションとか、そういうのね・・・それがあんたの

『能力』だったのかもね・・・」

男「・・・zzzZZZ」

女「・・・それとね、男」

女「あんたは自分の事、嘘つきって言ってたでしょ」

女「だけど、それ私が訂正・・・ううん、一つだけその前に付け加えてあげる」

女「あんたは私にとって――世界一かっこいい嘘つき、だったわ・・・」

ちゅっ(寝てる男の唇に、そっと唇を重ねる女)

???「男さーん!!!男さーん!!!死んじゃいやですううううううううう!!男さーん!!!」

男(・・・んあ?なんだこの涙声は・・・)

???「男さーん!!起きてーー!!!死なないでー!!!!男さーん!!!!」

???「どう考えても死んでねえだろ、落ち着けおめーは」

???「まぁ、心配する気持ちはわからないでもないですが・・・」

???「というか、結果はどうなったんですの?」

男(・・・人の声が・・・沢山聞こえる・・・この声達は・・・」

男「・・・んああ・・・ああ・・・えーっとここは・・・?」

組織部下女「ああ!!男さん起きたー!!良かったー!!!!!」

ぎゅっ(組織部下女が男に抱きつく)

男「うおっ!?」

女「ふぎゃ!?」

ゴロゴロゴロ(組織部下女が抱きつく勢いで女も巻き添えで組織部下女と男の下敷きになる)

男「ああああああ!?なんだなんだ!?」

組織部下女「男さーん!!男さーん!!男さん男さん男さーん!!!」

女「あー!!もー!!おーもーい!!おーもーいったらー!!!

5分後。

組織部下女「うぅ・・・良かった・・・男さんが生きていて本当に良かった・・・うぐ・・・私、心配で心配で・・・あとついでに女さんも騎士団長さんも生きていて本当

に良かったです・・・」

女「ついでなのね、私達・・・」

騎士団長「もう少し本音を抑えたまえ君は・・・」

組織女「つーかお前らよぉ、タワーが崩壊したから様子が気になって来てみりゃあ全員寝てるって・・・おめえらもうちょっとこう気を引き締めるっていうかなんていうか・・・ピクニックじゃねえんだからよぉ」

女「う、うっさいわねぇ!こっちは連戦で疲れてんのよ!しょうがないでしょう!?ていうか私らに掛ける最初の言葉がそれ!?もっとこう・・・労りなさいよ!!」

男(どうやら女は、俺を膝枕しながら自身もうつらうつらしていたらしい)

組織女「まぁあたしゃあ別に、どうせお前らが勝つって分かってたから、別に来なくてもよかったのによぉ、組織部下女が行こう行こううるせえから仕方なく来ただけだし、別に・・・」

組織部下女「・・・何言ってるんですか、頭領が1番心配してた癖に・・・」

組織女「て、てめえ!!ふざけんな!!んな事あるか!!!あたしは別に・・・!!

機関女「大変でしたのよ?タワーの方に向かおうとする組織女さんを抑えつけるのは・・・私のお屋敷から戦闘アンドロイドを50台は呼びましたもの」

組織女「て、て、てめえら・・・!!!」

メイド「私、人が人を思うと、こんなにも理屈に合わない事をするのだと感動致しました」

組織女「こ、こ、この野郎・・・!!!んな事言ったらてめえらだって、アホみたいにあたふたしてたじゃねえか!!お嬢はいつでも駆け付けられるようにと、『兵器』にパワーを補充しようとして、何回もおんなじようなミスしてたし、メイドに至ってはご主人様が心配ですうううう!!って泣きわめき散らしてたじゃねえか!!」

メイド「んなっ・・・!!」

機関女「そ、そんな事はありませんのよっ!?」

騎士団長「ほぅ・・・」

女「へぇー・・・」ニタニタ

メイド「な、なんですかあなた達は・・・!」

機関女「そ、そうですわ!!変な含み笑いをして・・・何か言いたい事があるのならはっきり言ってはどうですの!?」

女「別に、なんにもないですよね?団長」

騎士団長「うむ、その通り・・・ふむふむ・・・あの君たちがねぇ・・・」

メイド・機関女「・・・っ・・・///」

男「あー・・・そのー・・・君たち・・・ところで・・・」

女「なに?」

騎士団長「なんだ、男?」

組織女「んだよ?」

組織部下女「なんですか?」

機関女「なんですの?」

メイド「なんです?ご主人様」

男「そんなにベタベタくっつかれると、そのー・・・身動きが取れないのだが・・・」

男(そう・・・さっきからここにいる全員・・・無闇やたらと俺の近くに居た・・・近くというか・・・ほぼ全員が俺の体のどこかに触れていたのだが・・・)

女「ダメなの?」

騎士団長「イヤなのか?」

組織女「わりぃのか?」

組織部下女「だ、ダメですか?」

機関女「なにか問題でもありますの?」

メイド「ご主人様は目を離すとすぐ危険な事するんですから、近くで見張っておりませんと」

コクコク(メイドの意見にうなずく女、騎士団長、組織女、組織部下女、機関女)

男「なんだその理由・・・あのな、俺は赤ちゃんじゃねーんだぞ・・・離れてくれ・・・単純に暑いから・・・」

メイド「赤ちゃん・・・ご、ご主人様・・・そういうプレイがお好きなのですか・・・分かりました。それでは早速ガラガラと哺乳瓶を購入してまいりますので」

男「買うな・・・購入しなくていいから・・・ともかく離れろ・・・そ、そうだ・・・そ、そうだそれより聞いてくれお嬢!!もしかしたら聖骸布が消し飛んだかも知れんのだが、その場合でも願いは叶うのか?お前が1番詳しいだろうから、お前に聞くのだが」

機関女「せ、聖骸布が消し飛んだって・・・どういう事ですの?」

女「・・・あー、その私達・・・『冥府落とし』で先生の胸に大きな穴を開けちゃったから・・・確か先生そこらへんに聖骸布持ってたし・・・もしかしたら、聖骸布も消し飛んだかも・・・って感じなのよ・・・」

メイド「なっ・・・」

組織女「お前ら・・・マジか?」

組織部下女「勿体無い・・・」

女「わ、私だってそうしたくてそうした訳じゃないわよ!?」

騎士団長「まぁまだ確定した訳じゃないだろう?とりあえず探してみては?」

男「うむ・・・最後の方は巨大化してたし、探そうと思えばすぐ見つかるだろう、探そうではないか」

男(よし、これでとりあえずベタベタくっつかれるのからは解放され・・・)

女「よし、それじゃああっちを探すわよ男」

騎士団長「あっちがきな臭い、行くぞ男」

組織女「おい、てめえ疲れてんだろ?あたしのケロベロスに乗ってのんびり探そうぜ」

組織部下女「男さん、まずは私の獣に乗って風を感じて気分をリフレッシュしてから探しませんか?」

機関女「男さん?私の『兵器』の内装とか知りたくありませんの?あなたの知的好奇心を呼び起こす事間違いなしですわよ?『兵器』に乗って探しませんこと?」

メイド「ご主人様、とりあえず優雅にティータイムと行きませんか?時間制限がある訳でもないですし、ゆっくり休憩してから探しましょう」

男「・・・」

男以外の全員「・・・」ジー(睨み合う)

男(なんなんだよこの空気)

男(・・・その後)

男(結局、いくら喋っていても埒が明かず全員で探す事になった)

男(なんとも効率の悪い探し方だが、まぁ別に急いでいる訳でもないので、みんなに事の顛末やらなんやらをくっちゃべりながら探していると・・・)

男「お・・・アレ・・・先生じゃないか・・・?」

ポツーン(地面に倒れている先生)

女「!確かにあの姿は先生ね・・・でも巨大化から元の身長、元の雰囲気に戻っているわね・・・つまり先生に取り付いていた『能力』は去ったって事でいいのかしら?」

騎士団長「恐らくそうだろう。私が刺された瞬間に感じた禍々しいオーラを感じないし」

男「・・・というか、先生、生きてるのか・・・?確認するの怖えな・・・」

組織部下女「!私、確認してきます!」

メイド「ご主人様、私が確認します」

組織部下女「メイドさんは大丈夫ですよ?私が確認します。男さんの役に立つのは私ですから」

メイド「いえ、ご主人様のご要望に答えるのがメイドの役目ですから。これは譲れません」

組織部下女「・・・」

メイド「・・・」

・・・ジー・・・(睨み合う二人)

男「あー・・・お前ら、そんな事で争うな。面倒くさい・・・」

組織女「あー、もういい。あたしが確認する・・・お、普通に心臓動いてる。息もしてる。気を失ってる・・・ていうか、寝てるだけだな。放っときゃその内目を覚ます感じだぞ」

男「・・・ふぅ、ならよかった」

機関女「あっ、近くに聖骸布もありますわよ?」

女「ほんとだ・・・じゃあ男、拾いなよ。あんたが1番最初に願い、叶えてもらえば?」

男「お、俺か?」

騎士団長「うむ。私もそれで異論はないよ。君はある意味、1番の功労者だからな」

男「そ、そうか?では・・・」

ひょい(聖骸布を拾う)

男「えーっと・・・じゃあ俺の願いは・・・って、ああ!?」

さらさらさらさら・・・(聖骸布がボロボロになって、崩れていく音)

女「あっ・・・」

騎士団長「どうやら、『冥府落とし』の威力に耐え切れなかったようだな・・・」

機関女「お、男さん!!早く!!今ならまだ間に合うかもしれませんわよ!?」

男「え、え!?えーっと!!そのー・・・!!」

メイド「ご主人様・・・何にも考えていなかったのですね・・・」

組織部下女「普段はあんなに妄想垂れ流しなのに・・・」

組織女「おい、金持ちでもモテモテでも何でもいいからともかく早く言えよ男!本当に消えちまうぞ!!」

男「ちょ、ちょっと待ってくれよ!!急に言われても・・・!!ああでもないしこうでもないし・・・って、あ・・・ああああ!?」

サーッ・・・(聖骸布の全てが崩れ落ち、砂になった音)

女「あーあ・・・」

騎士団長「・・・完全に消えてしまったな」

機関女「も、も、勿体無いですの・・・」

組織女「バカだなー・・・あいつ・・・」

メイド「まぁ、ある意味ご主人様らしいと言えばご主人様らしいですが・・・」

男「・・・」←ショックの余りぷるぷる震えている

組織部下女「お、男さん!えーっとその・・・さっきあたふたしてた男さん!とっても可愛らしかったです!」

組織女「何のフォローだよそれは・・・」

男「・・・」

女「ショックの余り言葉も出ないみたいね・・・」

騎士団長「お、男・・・気にするな・・・!!いいか、例え願いが叶わなくても、だ・・・私達のこれまではの全ては!願いが叶う以上の価値があるものだったのではないか!?」

女(今更中学生が考えた物語でもシメに使わない言葉を言ったー!?)

男「・・・ふ、フフフ・・・ククク・・・!」

組織女「あ、復活した」

男「く、ククク・・・団長殿の言うとおり・・・そう。俺はかけがえのない思い出を手に入れた・・・!!それに比べれば、願いなど叶っても叶わなくても大して違わん!

!そう、夢や高みは誰の力も借りず一人で上り詰めるからこそ意味がある!!聖骸布などに頼るなど邪道!!そんなものに頼っては人間が腐る・・・故に、さっきのは全て計算済みの行動だったのだ・・・フハハハハハハハ!!!」

メイド「ご主人様・・・無理をして・・・」

組織部下女「まぁ、元気が出たようで何よりです・・・」

女「くすっ、そうね・・・きゃっ」

びゅー!!(一陣の風が吹く音)

キラキラ・・・キラキラキラ・・・

騎士団長「あっ・・・崩れて砂になった聖骸布が・・・吹かれて・・・煌めいている・・・!」

キラキラキラ・・・キラキラキラ・・・

組織女「綺麗、だな・・・」

組織部下女「ですね、頭領・・・まるでイルミネーションみたい・・・」

機関女「・・・美しいですわね」

メイド「ええ、お嬢様」

騎士団長「ふっ、まるで聖骸布が『戦争』が終わった事を、祝福しているみたいだな」

女「ふふっ、そうですね団長・・・本当に綺麗・・・ね、男?」

男「ああ・・・戦闘は夜だったというのに、いつの間にか夜が明けているしな・・・朝焼けと相まって・・・まるでファンタジーの世界にいるようだ・・・」

キラキラキラ・・・キラキラキラ・・・

男(本当に、綺麗だ・・・ずっと眺めていられるだろう・・・)

男(多分、俺はこの景色をずっとずっと・・・何十年経っても覚えている・・・そんな気がした)

10分後

女「あ、消えていく」

キラキラ・・・キラ・・・キラ・・・キ・・・ラ・・・・・・

騎士団長「・・・完全に、消えたな」

組織女「だな」

組織部下女「でも、本当に綺麗でしたね」

機関女「ですわね・・・世界のどんな美景、絶景にも負けない素敵な眺めでした」

メイド「はい、お嬢様・・・」

男「うむ。長き戦いに幕を下ろすのに相応しい光景であったな・・・」

男(これで『戦争』も終わりか・・・何だか、あの騒がしくて、命がけの日々も終わってみると寂しいもんだな・・・では、さて・・・この後は・・・)

組織部下女「あの、男さん」

男「うん?なんだ組織部下女よ」

組織部下女「なんだじゃないですよぅ・・・もう、忘れたんですか?騎士団長を救いに行く前の事・・・///」

男「うむ・・・?あっ」

『私、男さんの事、大好きです。一目惚れでした。男さんが帰ってきたら、またちゃんと告白しますから・・・』

組織部下女「ふふっ、思い出しました?」

男「お、おう・・・」

組織部下女「それじゃあ、皆の前だと恥ずかしいので、あっちへ・・・」

組織女「・・・おい、おめー。男をどこへ連れて行く気だ?」

組織部下女「と、頭領・・・」

組織女「おい、男・・・元はと言えば、お前とあたしのデートの途中でこんな事になってんだ。いわばデートの途中だ。だから再開するぞ、デート」

男「で、デートだったのか?え、というかマジでか・・・?」

組織女「んだよ、イヤなのか?・・・大体、さっきのお礼もまだだしよ・・・///」

男「さ、さっきのお礼ってお前・・・」

メイド「ちょっとお待ち下さい、組織女さん。ご主人様は大変お疲れなのです。まずは私達のお屋敷でマッサージをして疲れを取って差し上げた方がいいかと・・・」

男「おい、メイドよ・・・」

組織女「おい、メイド。てめえ調子に乗ってんじゃねえぞ?あたしがデートしてたんだ。てめえは口出すんじゃねえ」

メイド「いいえ、ご主人様の事だけは譲れません。安心してくださいご主人様。マッサージは私が担当して、ご主人様の体の隅々までケアして差し上げますから・・・」←妖艶に微笑むメイド

機関女「ふふっ、では男さん。ついでに我がお屋敷自慢の広大なお風呂もオススメ致しますわ・・・も、もし良かったら私がお背中を流しても良くってよ?男さんは私の大事な友だちですもの・・・その、裸の付き合いという奴も、男さんがどうしてもしたいのなら、わ、私は構いませんが・・・」

男「おい、お嬢、お前な、そういう誤解を招くような表現は・・・」

騎士団長「・・・ほう・・・随分モテモテだな、男よ・・・」

ゴゴゴゴゴゴッ・・・(鬼のような雰囲気を纏う騎士団長)

男「だ、団長殿・・・!?

組織女(やべえ、一瞬このあたしがマジでビビっちまったぜ・・・)

男「えっと・・・怒ってらっしゃる・・・か?団長殿・・・」

騎士団長「いや・・・別に私は何も怒っていないぞ・・・?何を勘違いしているのだ・・・?変な勘ぐりはやめたまえ」

男「いや、でもどう見ても怒って・・・」

騎士団長「怒っていないと言って・・・!!・・・いや、正直に言おう・・・私は君に怒っているぞ・・・色んな女性に迫られている君にな」

男「は、はぁ」

騎士団長「だが、それは私の君を見る目が間違っていなかったという事だろう?英雄色を好むというしな・・・流石は私の見込んだ男だ・・・だ、だからだ・・・どうせなら初めての口付けだけでなく、その先も・・・」

男「あの、団長殿・・・何を言って・・・」

女「・・・ちょっと男!あんた、この後あたしと遊ぶって約束してたでしょ!?」

男(やばい・・・女まで来てしまった・・・)

男「う、うむ・・・そう言えばそうだったな・・・まぁ約束の順番的に言えば、優先度は女が先になる・・・のかな・・・?」

女「かな?じゃなくてあたしでしょう!?二人っきりで遊ぶって、あんた約束したじゃない!!ずっと前から!!」

男「・・・そ、そうだったな・・・では、皆。悪いがまた後ほど・・・」

女「ふふん、そうよ男。それでいいの!ねぇ男、あたしショッピングしたい・・・新しい可愛い下着が欲しいの、選んでくれる・・・?///」

男「お、おう・・・」

騎士団長「待ちたまえ女。抜け駆けはズルいぞ!」

組織女「そうだ女!それにまだあたしの話は終わってねえぞ!」

組織部下女「そうですよ男さん!私の話も聞いてください!」

メイド「お嬢様、こうなったら実力行使です。『兵器』を起動させましょう!」

機関女「そうですわね、メイド・・・恋となんとかはあらゆる手段が正当化されるという名言もありますしね。ふふっ」

ワイワイワチャワチャ(男を中心に場がもみくちゃになる)

男「・・・ええーい!!!離れろ貴様ら!!この俺を誰だと思っているのだ!?やかましい!!暑っ苦しい!!離れろ!!いいから離れ・・・」


――――フッ。


男「・・・え?」

騎士団長「な、なんだ?さっきまで朝日が出てたはずなのに・・・一気に暗く・・・」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ・・・!!!!(地鳴りの音)


組織部下女「じ、地震・・・!?それもかなり大きい・・・!!」


ピシャッ!!ゴロゴロゴロ!!!ピシャッゴロゴロゴロピシャッ!!!!(雷の音)


メイド「なっ、一気にとんでもない雷雲が立ち込めて・・・凄まじい規模の雷が・・・!!」


ビュォオオオオオオオオオ!!!(すごい勢いの風)


組織女「お、おい・・・!?バカでけえ竜巻が・・・あっちこっちに・・・一体どうなってんだ!?」

女「もー!!今度は何よ!?」

男「なんだこりゃ・・・!?天変地異・・・!?」

機関女「・・・ひょっとして・・・これは・・・」


ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!


騎士団長「なっ・・・なんだこの寒気がするほどの・・・凄まじい怒気・・・殺気は・・・!?一体どこから!?」


ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!


機関女「・・・っ!?皆さん、空をご覧になって!!!」

女「空って・・・空には別に何にも――」

男・女・騎士団長・組織女・組織部下女・メイド「――――っ!?」


???「貴様ら・・・よくも我の褒美を無下にしてくれたな・・・」


ズズーン・・・!!(空に杖を持った仙人のようなとてつもなく巨大な人影)

組織女「な・・・んだありゃあ・・・!?バカでけえ・・・人・・・!?」

組織部下女「きょ、巨人・・・?」

メイド「・・・お嬢様、アレは・・・一体・・・?」

機関女「恐らく・・・ですが・・・」


機関女「神・・・ですわ・・・」


女「か・・・」

騎士団長「神!?」

男「・・・マジ、か?」


神「――いかにも。我は貴様ら人類がそう呼ぶ者だ」


男(・・・普通ならば、自分で自分の事を神と呼ぶなど、鼻で笑って終わりだが・・・なぜだか聞いた瞬間に、ああ、こいつは神だと納得してしまった)

男(それだけの神々しさ、威厳を持っていたのだ。今、空の上に浮かんでいる者は)


機関女「・・・考えた事はありませんか?常人ならばあり得ない力を得て、同じく超常の力を持った同士を戦わせた後、さらに願いがなんでも叶うなどという、まるでバトル漫画のような荒唐無稽なこの『戦争』、それを誰が開始し、誰が管理し、誰が判定しているかを・・・」

組織女「・・・そりゃあ・・・考えた事がなかった訳じゃねえが・・・」

機関女「私の一族が、永くこの戦争と関わっている事は知っていますね?私の一族はそういう宿命の故、膨大な資料と思考の末、『戦争』の管理者は人ならざる者であるという結論に達しておりました・・・故にそこから連想して、空にいる者の答えを想像したのですが・・・まさか、本当に神とは・・・」

神「ふん。私の正体など、どうでもいいだろう。それより貴様ら、分かっているのか・・・?己の罪の重さが」

騎士団長「罪・・・?私達が何をしたというのだ!!」

神「人間ごときが我の趣味の結果に水を刺した事。それ自体が罪だ。そんな事も分からんのか」

女「趣味・・・この『戦争』があんたの趣味だって言うの!?」

神「ああそうだ。同種族なのに願いが叶うという謳い文句だけで、殺しあえる人間どもを見ているのが我の暇つぶしだったというのに・・・協力しあったあげく、我の中の貴様ら人間に対する、本当に僅かな慈悲すらも、貴様らは踏みにじったのだ!」

組織女「・・・慈悲?」

組織部下女「さっきの聖骸布がバラバラになってしまった事ですかね・・・?」

神「そうだ・・・もう許さぬ。貴様らは我の怒りを買ったのだ!!」

ドドドドドドドドドドドドドガアアアアアアアアア!!!

組織女「冗談だろ、おい。凄むだけでこの威圧感かよ・・・ちっ、足が無意識に震えやがる・・・」

メイド「これは・・・規格外にもほどが・・・」

神「ああ、もういい。貴様ら人間を見ているのも飽きてきた所だ・・・この際だ。この星ごと滅ぼしてくれる」

騎士団長「んな!?」

神「行けい、我が下僕たちよ!!世界を破壊し尽くすのだ!!」

ズアアアアアアアアアアアアアア!!!(神の杖から巨大な獣が無数に生まれ、バラバラにすごい勢いで散っていく)

組織部下女「な、なんてことを・・・『能力者』の私達ですら、キメラ一匹でもあんなに苦労したのに・・・そんなのがたくさん世界中に散ったら・・・本当に世界が滅亡してしまいますよ!?」

組織女「野郎・・・!!」

女「・・・あんた、神様なんでしょう!?なんでこんなことを・・・正気なの!?」

神「言ったであろう。飽きた、と。そして我は神。故に我のやることなすことは全て正しい。我が意にそぐわぬ世界などいらぬと我が思った。故に滅ぼす。それだけの事だ」

女「んな・・・ふざけないで!!そんないい加減な理由で・・・!!」

神「――黙れ」

ズアアアアアアアアアアアアアア(男達の目の前に、底が見えないほどの大きく深い穴が開く)

全員「っ!?」

神「我に逆らうな。我は神。我は正しい。我こそが正義、我こそが全だ。我を楽しませなくなった人間は不要・・・貴様らはもういらん。まぁもっとも我は慈悲深いから、貴様らを殺すのは最後にしてやる。光栄に思え、最後の瞬間まで、その生を噛み締める時間くらいは与えてやろう」

女「そんな・・・」

組織部下女「こんなのって・・・」

組織女「・・・っ(畜生、さっきから冷や汗が止まらねえ・・・クソっ、このあたしがブルっちまってる・・・情けねえ・・・)」

騎士団長「クっ・・・!(駄目だ・・・彼奴に全く勝てるイメージが・・・何一つ沸かない・・・)」

メイド「ここで、終わりなのですか・・・」

機関女「・・・これでは一体・・・私達は何の為に・・・」

男「・・・」

男(・・・奴は、さっき言ってた。自らの趣味の結果に水を刺したと。自分の思惑通りのものが見られなかったと)

男(だが、それならばおかしいだろう。神・・・いわゆる全知全能の神ならば、そんな結果にはならないはずだろう。全て自分の思い通り、それこそが神のはずだ)

男(ならば、奴はひょっとして・・・)

男(・・・)

男「なぁ、お嬢」ボソボソ

機関女「!?な、なんですの、男さん?」ボソボソ

男「奴がさっき杖から出していた獣達・・・あれってどうやったら消えると思う?」ボソボソ

機関女「え・・・?さ、さぁ?それは多分・・・あの空に浮かんでいる自称神を、倒せば自然と消えるのでは?確証はなにもないですが・・・恐らく・・・」ボソボソ

男「うむ、お嬢もそう思うか・・・ありがとう、俺の見解と一緒だ」ボソボソ

機関女「は、はぁ・・・」ボソボソ

男「・・・」

男(・・・よかった。問題は至ってシンプルだ)

男(ここに来て登場した真のラスボス・・・神だが仏だが知ったこっちゃないが・・・ともかくあいつを倒せば話は収まる訳だ)

男(ならば・・・)

男「・・・俺は・・・」

男(どうせここに居ても、いずれ死ぬのならば・・・俺は・・・俺は・・・!!)

男「・・・・・・よし・・・・・・!」

男(こうなったら・・・やってやる・・・!死ぬまで・・・この心臓の鼓動が停止するまで・・・!御刀虎として生き続けて・・・やる!!)

男「・・・ふふっ」

男(へっ・・・笑いがこみあげてきやがった・・・考えてみれば、あまりに無策、あまりにも無謀・・・だが、それしかないのだからしょうがない・・・それに考えてみれば、この状況は、俺が望んだ通りのものだ・・・!)

男「・・・カカッ!」

男(いいね・・・いいねぇ、いいねぇ!!そうだ!!そうとも!!!俺は今、『神』に挑もうとしているのだ!!!仲間と共に!!!世界の命運を掛けて!!)

男「ハハハ・・・ハーッハッハッハッハッハッハッハ!!!!!!!」

女「お、男・・・?」

組織女「てめえ、とうとう気が狂ったのか・・・?」

男(幼い頃は、画面や本の向こうにしかなかった・・・現実を知ってからは、そんな状況自体ありはしないのだと知ったものが今、ここにある・・・!! なんという僥倖ッ!!なんという幸運ッ!!なんというシチュエーションッ!!男として生まれついて、俺として生まれついて・・・これ以上の幸せは、ないッ!!)

男(そう、この状況こそが俺の願い!俺の望み!俺の夢!俺は今、俺として、最高に生きている・・・ッ!!)

男「何を震えている、我が同士達よ!!!!我らのこの戦いは、確実に歴史に残るであろう!!俺たちは今、伝説となる真っ最中である!!!各々、勇ましく戦え!!歴史に我らの名を刻もう!!言っておくが、英雄としてではない!!勇者としてでもないぞ!!俺たちはそんな上等なものではない!なにせ俺たちは、どう考えても勝てる訳がない、『神』に立ち向かった大馬鹿野郎共となるのだからな!カカッ!どうだお前ら!!笑えるだろう!?神に勝利するという、人類史上最大の不可能に挑んだ地球一の大馬鹿野郎共として、世界に、宇宙に俺たちの名を轟かせてやろうではないか!!」

・・・ポカーン・・・(男を見て全員口をポカーンと開けている)

男「おいわかってんのかよお前ら!?世界を救うチャンスなんざ、例え人生が100万回あろうがこの機を逃したら絶対来ねえ!!どうすんだよお前ら!どうすんだよおい!そ

れでも震えてんのか!?勝てる訳がねえってビビってんのか!?ああ!?」

男「子供の時に妄想した、仲間と共に、世界を救う夢物語!!それが今!目の前にあるぞ!!」

女「っぷ・・・あっはははははは!!!」

女「あはははははは・・・あーおっかしい・・・!!あんた、マジでただ者じゃないわね・・・この絶望的な状況で、よくもまぁそんな事を・・・!ぷっ・・・ぷぷぷっ・・・!いいわ、分かったわ男。あたしも戦ってあげる。一緒に世界を救いましょ、ふふっ」

男「ククク・・・流石は女だ・・・俺と1番最初に邂逅した『戦争』の関係者なだけの事はある・・・俺のノリがよーく分かっているではないか・・・ククク・・・」

騎士団長「ふっ・・・男よ。私も戦うとしよう・・・君と居るといつも新鮮な気持ちになったり、気分が高揚したりで・・・全く、とことん飽きさせないな、君は・・・」

男「団長殿・・・!」

組織女「・・・はっ。ったく、バカしかいねえなぁ・・・全く・・・おい、男」

男「うん?」

組織女「しょうがねえ、あたしも戦ってやるよ。考えてみりゃあよ、神様相手に喧嘩するなんざ、武勇伝としては最高のネタになるしよぉ・・・はっ、テンション上がってきたぜ、おい・・・!!」

組織部下女「あ、男さん・・・私も戦います!!男さんの役に立ちたいので・・・それに、神様が相手なのに、臆する事なく喧嘩を売るなんて・・・やっぱり男さんは、宇宙一カッコいいです・・・惚れ直しました・・・一生付いていきます、男さん・・・///」

男「組織女・・・組織部下女・・・ははっ、いいぞ!!いいぞお前ら!!」

メイド「・・・お嬢様、私達はどう致しましょう?」

機関女「・・・ふふっ、決まっているでしょうメイド?大事な友達が共に戦おうと言ってくれているのですよ・・・?答えは勿論、一つですわ」

メイド「ふふ、ですね、お嬢様・・・どこまでもお供いたします、お嬢様・・・そして、ご主人様」

男「お嬢、メイド・・・ふ、ふふ・・・フハハハハハハ!!」

神「・・・バカな!!人の身で我に逆らおうと言うのか!!」

男「カーッカッカ!!!残念だったなぁ神よ!!この俺と出会ったのが貴様の運の尽きだ!!この俺の出現によって貴様の計画は既に破綻した!!俺と出会ってしまった己の不運を呪うがいい!!ククク・・・!!」

神「なにぃ・・・!?」

組織女「おーおー・・・今めっちゃ気持ちよくなってんなーあいつ・・・」

メイド「すごい生き生きしてますもんね・・・子供みたいな顔をして・・・全く、男の人というのはいつまで経っても・・・ふふっ」

男「ククク・・・なぁお前ら。さっき奴は言っていたな。自らの趣味の結果に水を刺したと。自分の思惑通りのものが見られなかったと。それこそが奴が全知全能の神ではない証拠だ・・・そしてそう言った綻びがあるのならば、必ず勝機は見えてくるはずだ・・・ククク・・・」

組織部下女「!な、なるほど流石男さん・・・うん、ちょっと勇気が湧いてきました・・・!!」

先生「・・・う、ううん・・・・・・ええと、ここは・・・・・・は?え、な、なにこれ・・・どうなってるの!?え?え?お、男くん・・・?女さん・・・え、ええ・・・!?」

女「先生・・・このタイミングで起きましたか・・・」

先生「お、女さん・・・この状況は・・・一体・・・!?」

男「ククク・・・先生はそこで見といてくれ。あんたの生徒が世界を救う所をな」

先生「はっ・・・?世界を救う・・・?男くん、あなた一体何を言って・・・」

神「――貴様ら・・・!!調子に乗るな!!所詮は我の掌の上で蠢く下等動物が!!神の力を思い知るが良い・・・!!」

グゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ・・・!!!(神の凄まじい怒気、殺気が男達を襲う)

男「カカッ・・・これぐらいの脅しで今更引く我らではない!!そうだろ我が同士達よ!!」

女「ええ、全然余裕ね、こんなの!!」

騎士団長「ふっ、私は武者震いがしてきたよ」

組織部下女「右に同じく、です!」

メイド「お嬢様、『兵器』の準備はよろしいですか?」

機関女「いつでもOK、ですわ!!」

組織女「おい、男。てめえにまたこいつ、貸してやるよ。こいつもなんか、お前の事が気に入ったっぽくてよ」

ボンッ!(獣が一匹現れる音)

虎形の獣「グルルルル・・・!」

男「おお、一週間振りだな・・・元気してたか?また、頼りにさせてもらうぜ」

虎形の獣「オオンッ!!」

男「ククク・・・準備は万端、と言った所か・・・では」

先生「・・・ちょっと待って男くん・・・」

男「・・・先生?」

先生「なんだかよく分からないけど・・・生徒ががんばろうとしてるのに、先生が頑張らない訳にはいかないでしょ!!私も戦うわ!!」

男「先生・・・でも・・・」

先生「いいのよ!なんだか、薄らぼんやりとだけど戦いの記憶も覚えているし・・・それを頼りに戦ってみるわ。あと、君が言ってくれた言葉も覚えているわ・・・まぁ、冗談半分で受け取っておくけど・・・でも、先生、本当に嬉しかったよ。ありがとね」(笑顔でウィンク)

男「は、はい(ドキッ)でもいいんですか、先生?こんな危険な事に巻き込んで・・・」

先生「いいのよ!だって、世界を救うなんて・・・婚活パーティーの何倍も楽しそうじゃない!!」

騎士団長「ふっ・・・婚活パーティーと、これからの戦いを比べるか・・・まぁなんというか、色んな意味で頼りになりそうな仲間が増えたな」

女「またあんたは、敵だった人を仲間にして・・・ふふっ、なんでかしらね・・・こんな状況なのに、なんかワクワクしてきたわ」

男「ククク・・・女よ、奇遇だな。俺もだ・・・では、皆・・・準備はいいか?」

コクッコクッ(笑顔で頷く皆)

男「よし、ならば行こう!――みんなで!世界を!救おうぜ!!!」

女「ええ!」

騎士団長「ああ!!」

組織女「おうっ!!」

組織部下女「はいっ!!」

機関女「行きますわよみなさん!!」

メイド「はい、お嬢様、ご主人様!!」

先生「うん、行こう!!」



男(ふっ・・・人生というのは本当に不思議なものだ・・・まさかこんな事になるなんて思いもしなかった・・・事実は小説よりも奇なり、というのはまさにこの事か・・・はっ、笑えるぜ、おい)

男(そしてもう引き返せないな、ここまで来たら・・・なにせ神様に喧嘩を売っちまったんだ・・・本当の意味で・・・一般人じゃなくなってしまうだろう、こうなったら、な・・・)

男(ならばもう男という名は、捨てる・・・!!さらばだ。平凡な一般人だった俺よ・・・男よ・・・!)

男(我が名は・・・御刀虎・・・ククク、我こそは暗黒の邪王、滅亡の神翼、灼眼の堕天使、紅き虎帝・・・!!)



御刀虎「さぁ――伝説の始まりだ・・・ククク・・・カカッ・・・フフフ・・・アハハ・・・!!! ハーッハッハッハッハッハッハッハ!!!!!!」









最終章『世界一かっこいい嘘つき~そして伝説へ~』







完ッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!





これにてこの物語は終わりです。
くぅ~疲れましたw

本当は最初のシーンしか考えておらず、故に色々とチグハグな印象は否めないと思います・・・
色々と死に設定(領域とか・・・)矛盾とか、キャラ設定がブレブレだったりとか、本当に穴だらけ、突っ込みどころ満載の作品だと思いますが、それでも読んでいただけて、さらには楽しんでいただけたら幸いです・・・

毎回毎回レスをくれた方、レスはしないけど読んでいたよ、という方。
改めてお礼を言わせていただきます。正直、自分一人で書いていたらとっくの昔に投げ出していたと思います。書き続けられたのは皆さんのお陰です(本当に)
もしよろしかったら、どのキャラが好きだったか、もっとこういう展開だったら良かった、というのも一言だけでもいただけたらと思っております・・・

それでは、最後にもう一度。
ありがとうございました。また何か、作品を思いついたら投稿しようと思いますので、その際はまたぜひ、よろしくお願い致します。
メリークリスマスイブ!!

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