【安価】司書が世界を救うまで【オリジナル】 (85)


・オリジナル

・普通の司書が世界を救う話を書きたかったけどなんか無理だったので安価にしてみる


・司書の設定


 中性的な顔(男か女かは未定)
 
 奴隷のような立場から最終的に今の司書という役職に就くことになった(経緯は未定)

 今は国の図書館で働いている(どんな国かは未定。一応、剣と魔法のファンタジーな世界というイメージ)

 とりあえずやがて世界を救う存在になる(何か邪悪なものを倒すのか、間接的なものなのかも未定)


 これ以外も基本未定


・とりあえずやってみるという心構え

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1444039701



――トアル国――

司書「お呼びでしょうか、王様」

王「おお、よく来たな。ええと……」

司書「王様?」

王「すまぬ、お主の名前なんだっけ?」

司書「……↓1でございます」


王「なんてな、ちゃんと覚えているぞ。ノアン」

ノアン「お戯れを……この名は王様からいただいた名です。それを王様ご自身が忘れたとあらば私は落ち込んでしまいます」

王「ほんの茶目っ気だ。許せ、ノアン。……お主には名が無かったからな」

ノアン「はい。こんな私がこの国の司書にまでなれたのも王様のおかげでございます」

王「感謝するに値しない。お主は元々聡明だった。それは自分の才と努力で勝ち取ったもの。余は賢いものを好いているのだ」

ノアン「……ありがとうございます」

王「ところでノアン。聞きたいことがある」

ノアン「なんなりと」

王「お主……男か? それとも女か?」

↓1


ノアン「またまたお戯れを……」

王「いや、今初めて知った」

ノアン「え」

王「初めてであったときから可愛らしい顔つきだと思っていたが男だったか。ううむ、側室に迎えようとしなくてよかったぞ」

ノアン「あはは……またまた」

王「…………」

ノアン(あ、本気で勘違いしてた目だ)

ノアン「そ、そういえば王様。私を呼んだのはそのことを聞くためなのでしょうか?」

王「おお! そうだったそうだった。実は一つ頼みごとがあってな。聞いてくれるか?」

ノアン「もちろんでございます」

王「うむ、実はな……↓1をしてもらいたいのじゃが」

ノアン「…………」

王「…………」

ノアン「…………」

王「いや、冗談冗談」

ノアン「あはは! ですよねー!」

王「もちろんだ。はっはっは……」

ノアン(ほ、本気っぽかったけど……)

王「ではな……ええと。改めて本題に入るとだな、↓1に行ってもらいたいのだ」

連取りはあり?


ノアン「奴隷牧場……ですか」

王「あぁ、図書館の資料作りのためにな」

ノアン「あの……お言葉ですが」

王「言ってくれるな」

ノアン「……!」

王「改めて命ずる。ノアン、行ってくれるな?」

ノアン「……謹んでお受けいたします」

王「よろしい。奴隷牧場は少し遠い、準備を整え3日後にはここを発て」

ノアン「はい……」

王「もう下がってよい」

ノアン「では……失礼いたします」

>>12

いいんじゃないでしょうか

――トアル国 広場――

ノアン「…………」

???「こんなところでサボっていやがったか」

ノアン「あ……↓1さん……」

リエル「王様からの呼び出しにかこつけて油を売るなよ。図書館での仕事は山ほど残ってるぞ」

ノアン「そう……ですね。すみませんでした」

リエル「……なんかあったのかよ」

ノアン「実は三日後に奴隷牧場に行くことになっちゃって」

リエル「奴隷牧場……」

ノアン「王様は……なぜ僕にこんな役目を……奴隷出身の僕を……」

リエル「……よいしょっと」

ノアン「え……? どうして僕の隣に座るんです?」

リエル「サボりだよサボり。ついでに話も聞いてやる」

ノアン「あ、ありがとうございます。でもサボりは……」

リエル「帰って倍やればオッケーだろ多分。で、なんだっけ?」


ノアン「え?」

リエル「『え』が多いやつだな。どうして奴隷出身のお前に王様がそんなこと頼んだんだって話だろうが」

ノアン「……わかってるじゃないですか」

リエル「うるせぇ、こういうのは整理しながら話すのがいいんだよ」

ノアン「はぁ」

リエル「まぁいい。そのことなんだが俺はそれに対して1つの仮説を立てた」

ノアン「! ……なにかわかるんですか!?」

リエル「俺くらいになればこのくらいの推理は容易いぜ。いいか、何故王様がお前にそんなことを頼んだのか。その真意は……」

ノアン(ゴクリ…)

リエル「ズバリ、↓1だ!」


ノアン「奴隷時代の経験……」

リエル「あぁそうだ。奴隷時代の経験はそのまま奴隷を扱うスキルの裏返しになるってな!」

ノアン「はぁ……」

リエル「ククク……俺のあまりの推理力に嘆息しかでないようだな!」

ノアン(嘆息の使い方、間違えているし……)

リエル「これでお悩みはズバッと解決だな! よし、なんか食いに行こうぜ」

ノアン「え!? いや、業務は……」

リエル「これだけ油売っておいて、いまさら業務もクソもあるか! 今日のお勤めは終了!」

ノアン「いやいや……ってちょっと! 腕を引っ張らないでください!」

リエル「いいから来いって! 今日は飲み明かすぞ~。お前も飲めよ!」

ノアン「僕はお酒飲めません!」

リエル「ちょっとだけだよ!」

ノアン「あなたのちょっとはちょっとじゃない!」

リエル「ふはははは! 逃がさんぞ逃がさんぞ! 黙って俺について来ぉい!」

ノアン「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」


………………


今日は導入にしても、かなり短いですがここまでで。

最後にリエルの性別だけ決めておきます。

リエルの性別
↓1

はい、ではふたなりで。

基本的に安価は直下で、なにかしらミスがあってもなるべく拾っていきたい。

ゆっくりやっていきますのでよろしくお願いします。

今日はここまで

――翌日――

――トアル国 王立図書館――


ゴツン! ガツン!

ノアン「~~~~ッ」

リエル「いってぇぇぇ!! なにすんだこの野郎!」

司書長補佐「それはこっちのセリフだリエル、昨日の自分に聞いてみろ。それに……」

リエル「いっ!? いふぁふぁふぁふぁ!(いたたたた!)」

補佐「図書館では静かにしろ」

リエル「わはっは! わはっははら、へをはなへ!(わかった! わかったから、手を離せ!)」

補佐「…………」ギリギリ……

リエル「~~~~ッ! ふみまへん! ふみまへんへした!(すみません! すみませんでした!)」

補佐「……ふん」

リエル「う~、いてぇ……」

補佐「お前には後でたっぷりと説教だ。ノアン、君もだ」

ノアン「はい……」

補佐「だがノアンには処理しなければならない最優先事項がある。よって今回は不問とする」

リエル「おいおい、ノアンだけ贔屓かよ」

補佐「昨日だってどうせお前が連れまわしたのだろう。口答えすると説教が長引くぞ」

リエル「へいへい」

補佐「ではお前は私が呼ぶまで仕事に戻れ、ノアンは私と一緒に司書長室に来てもらう」

ノアン「は、はい」

リエル「へーい」

…………

スタスタ……

ノアン「あの司書長補佐……」

補佐「その呼称は呼びにくくないか?」

ノアン「え? あ、はい。そうかもしれません」

補佐「どう呼ぶかは君の自由だが私の名は↓1だ。不便ならばそう呼ぶと良い」


ノアン「じゃ、じゃあマリウス……さん」

マリウス「うむ、それでいい。それで? 何か聞きたいことがあったのではないかね?」

ノアン「はい。その……最優先事項というのは」

マリウス「君が一番よく知っているはずだ」

ノアン「……やっぱり、奴隷牧場の件ですよね」

マリウス「その通りだ。先日の内に王からの命令が図書館へと通達された。……資料作成のため、奴隷牧場に君を向かわせると」

ノアン「…………」

マリウス「いきなりの話に司書長は首をかしげていたぞ」

ノアン「そうですよね。僕も未だに……実感がわかなくて。……奴隷出身の僕にそんな命令を下すなんて」

マリウス「違う」

ノアン「へ?」

マリウス「私も司書長も首をかしげたのはそこではない。もっと根本的な点だ」

ノアン「根本的な点……」

マリウス「そうだ。詳しくは司書長室で行う。……着いたぞ」

ノアン「ここが……」

マリウス「お前は直接司書長と話したことは無かったな」

ノアン「はい。最初はてっきりマリウスさんが司書長だと……」


マリウス「それならばどれだけ楽だったか……」

ノアン「?」

マリウス「まぁいい、入るぞ」

ノアン「あ、はい」

コンコン

マリウス「司書長、マリウスです。ノアンを連れてきました」

司書長「はーい。入ってどうぞー」

マリウス「失礼します」

ノアン「失礼します……って、うわぁ!?」

マリウス「なんて格好をしているんですか……」

司書長「見た通り、↓1って感じの格好だよ~」



司書長「伝説における魔神を模して作ってみたんだけどどうかな?」

マリウス「遊んでないで仕事をしてください!」

司書長「今日の分は終わった~」

マリウス「くっ……」

ノアン(終わったって……まだ昼も過ぎていなのに……)

マリウス「それならば! もっと他にやるべきことがあるでしょう!?」

司書長「既存の知識をより深めることも司書長には必要なことなんだよ~」

マリウス「もっともらしいことを……」

司書長「で、君がノアン君かぁ」

ノアン「は、はい!」

司書長「初々しい反応だねー。あ、自己紹介必要かな」

マリウス「当たり前です」

司書長「じゃ、ちょっと待ってね。これ着ると脱ぎにくくて……んしょっと」

ノアン「お、↓1(司書長の性別)!?」


司書長「ん? そだよ?」

ノアン「あ……」

司書長「どしたの?」

マリウス「……なぜまた裸なんですか!」

司書長「だってこん中、暑いんだもーん」

ノアン「…………」

司書長「両手で目を隠しちゃってかわいいなぁ。それに比べてそこの司書長補佐は……」

マリウス「何度も言うようにあなたをいくら見ても欲情しません」

司書長「相変わらずはっきり言うね」

マリウス「これも何度も言いますが、もうあきらめて下さい」

司書長「何度も言うけど、ヤダ」

マリウス「……話が進みませんから服を着て自己紹介を済ませて下さい」

司書長「もー、枯れてるなぁマリウスは」

ノアン(ど、どうすればいいんだ……)

………………

司書長「よいしょっと。じゃあ改めてノアン君! 自己紹介といこうか」

ノアン「は……はい……」

司書長「まずは名前からだね。私の名前は↓1よ」


ノアン「アナスタシア・グランフォード……」

アナ「アナでもスタでもシアでもいいよー」

マリウス「なぜそこで分ける……」

ノアン「わかりました」

アナ「…………」

ノアン「…………」

アナ「自己紹介終わり」

ノアン「えぇ!?」

アナ「名前だけわかれば十分でしょ?」

ノアン「それは確かにそうですけど……」

アナ「スリーサイズ知りたい?」

ノアン「結構です」

アナ「上からはちじゅう……」

ノアン「結構です!」


すみません。急用が入ったので終了します。

今日はここまで


マリウス「話が進みませんので、とりあえず服を着て下さい」

アナ「しょうがないなぁ、じゃあノアン君こっち見て」

ノアン「見られません!」

アナ「一瞬だから! 面白いもの見せてあげるから! せーので目を開いてねー」

ノアン「そんなこといわれt」

アナ「せーの!」

ノアン「わわ! まだ心の準備が……って」チラッ

アナ「どう?」

ノアン「あ、あれ? いつの間に服を……?」

アナ「これが人類の英知、有史以前から積み上げられた奇跡のあり方、『魔法』だよ!」ドヤッ

ノアン「…………」

アナ「実際に見るのは初めてだよね?」

ノアン「初めてもなにも、魔法はすでに失われた技術だと本に書いてありましたから……」

アナ「うんうん、そうだよねー。君だけでなくこの世界で普通に生きている人の大部分は魔法をおとぎ話だと思っている」

アナ「でもその実情は違う、表では失われていたとされるこの技術も裏ではこうして脈々と受け継がれていたんだ」

ノアン「アナスタシアさんも誰かから受け継いだんですか?」

アナ「私は違うかなぁ」

ノアン「え?」

マリウス「司書長はこれを誰からも受け継ぐことなく、自力でその技術を復元させたのだ」

ノアン「ええ!? そんなことができるんですか!?」

アナ「できるもなにも、ここでこうしてできているんだからそうなんだよ」

ノアン「はぁ……」

アナ「何か疑問がある?」


ノアン「いえ、ただ実感が……」

マリウス「それはそうだ。いきなり魔法があると言われて見せられたのは早着替えだからな」

アナ「そこ、うるさい。まだできることは少ないんだからしょうがないでしょ」

ノアン「そういえば早着替えってどういう仕組みだったんですか?」

アナ「もー、君も早着替えっていうー」

ノアン「すみません……他になんと呼べばいいかわからなくて」

アナ「まぁいいや。実は私は最初から服を着ていたんだよ」

ノアン「え、どういうことですか?」

アナ「君たちが裸に見えてただけというべきか……、とにかくこれは本来視界に入るべき対象を透過して見せるって魔法なんだよね」

ノアン「……なんというか地味ですね。もっと炎とか氷とか出せるのかと」

アナ「……人によっては出せるかもね。私が初めてこの魔法を使ったとき、体の中に眠る――いうなれば『魔力』というものを知覚できた」

アナ「試しに魔力を別のものに移そうとしたら、それも魔力を帯びた。だから本当に本物の魔法使いがいるなら、その存在を感じることができるかも」

ノアン「…………」

アナ「それとねノアン君、この力を甘く見ない方がいい。例えばさっき私がナイフを透過させながら君に握手を求めていたら?」

ノアン「!」

アナ「考えようによっては、たぎる炎よりも凍てつく氷よりも恐ろしいかもしれない」

ノアン「…………」

アナ「もちろん、私はそんなことしないけどね。でも魔法に限らずこの世の森羅万象は人にとって毒にも薬にもなることを覚えておいてほしいんだ」


ノアン「どうして……僕にそんなことを?」

アナ「君が↓1だからだよ」


ノアン「え、えええええええええええええええ!?」

アナ「さぁ少年よ! いま再び剣を取り! この世に蘇ろうとする魔神を封印するのだ!」

ノアン「いやいやいやいや」

アナ「やっぱり信じられない?」

ノアン「当然ですよ!」

アナ「だってありえないと思っていた魔法もあったんだし、そんくらいのことはあるでしょ」

ノアン「そんな軽いノリで言われても……ですよね? マリウスさん」

マリウス「……あるかもしれんな」

アナ「お、久しぶりに意見があったねー」

ノアン「マリウスさんまで!」

アナ「ふふふ、やっぱり君はからかいがいがあるなー」

ノアン「勘弁してください」

アナ「まぁ魔法を見せた本当の理由は、君を本当の司書として迎え入れたからだよ」

ノアン「?」

マリウス「司書長は君以外にも、つまりこの図書館で働くすべての司書にこの魔法を見せているのだ」

ノアン「そ、そうだったんですか。でもどうして?」

アナ「それはね、君たちのことが大好きだからだよ」

アナ「私は本を愛している、そしてそれを司る司書という仕事も愛している」

アナ「ならばそれを仕事にする君たちも私は愛してやまない」

アナ「今日は君がここに勤めはじめてちょうど3ヶ月だ。今日この日を持って君は私たちと家族になるんだ」

ノアン「家族……」

アナ「気分はどう?」

ノアン「実感が……。……いえ、わかりません。僕には家族がいませんでしたから」

アナ「これからわかるようになるよ、きっと」

ノアン「……そう、でしょうか?」

アナ「うん、きっと。……あ~あ、ここまでで終わらせられればいい話だったんだけどなぁー」

ノアン「?」

マリウス「本題がまだだろう?」

ノアン「あ……そうでした」

アナ「ノアンー。行っちゃやだー」

マリウス「王命です。そうでなくとも現国王が王となってから、この図書館がどれだけ王にお力添えをいただいたかお忘れですか?」

アナ「むー」


ちょっと休憩。

話進まないし、安価ほとんどないし……安価スレとはいったい……ウゴゴゴ


アナ「あんまり気が乗らないけど……仕方ない」

アナ「というわけで本題だ。既にたくさん説明があっただろうけど、ノアンは2日後に資料作りのため我が国の有する奴隷牧場に向かう」

アナ「ここまではいいかな?」

ノアン「はい」

アナ「それでマリウスからも聞いたと思うけど、私とマリウスはこの人事異動に疑問を覚えた」

ノアン「それも聞きました。僕が奴隷だったこととは関係なしにもっと根本的な部分でおかしなことがあるとか」

アナ「実際その通りなんだ。それを説明するためにまずはこの図書館と王様との関係を説明しなきゃいけない」

ノアン「図書館と王様の関係ですか?」

アナ「さっきマリウスが言った通り、この図書館の設備は現国王になってから段違いに良くなった」

アナ「王様は国の方針としてまず学問と芸術に力を注いだ。それは今までのトアル国には存在しなかった新しい歴史」

アナ「そしてその大きな目玉ともいえる政策が、この図書館の開放だ」

アナ「本来、貴族や賢者たちなどにしか開かれていなかったこの図書館を一般市民にも開放した」

アナ「とはいってもこれまでの慣習と国民の識字率の低さもあって、まだ一般の利用者はそこまで多くないけどね」

ノアン「そんなことがあったんですか……」

アナ「それから1カ月後、まるでタイミングを見計らったかのようにノアンが新しい司書としてやってきた」

アナ「確かノアンは王様から司書としての称号を与えられたんだよね」

ノアン「はい」


アナ「私たちから見ると、それは前代未聞のことだったんだ」

ノアン「え、そうだったんですか?」

マリウス「司書の称号は本来、王の下に位置する決定機関の議会が与えるものなのだ」

マリウス「王はそれをほとんど機械的に承認するだけだった。直接称号を与えられた者はお前が初めてだ」

ノアン「全然知りませんでした」

マリウス「この3か月は寝ても覚めてもお前に司書のなんたるかをを叩き込んだからな。他のことを気にしている余裕がなくても仕方ない」

アナ「気を悪くするかもしれないけどノアンは奴隷出身だ。平民や貴族はおろか王様のお后でさえ唖然とする大事件だったんだから」

ノアン「でも図書館のみなさんは僕に普通に接してくれていましたけど……。」

アナ「言ったでしょう? 私たちは家族だって。これから家族になる人に奴隷も平民も貴族も王族も無いの」

ノアン「なんだか凄いですね……」

アナ「当たり前よ。で、話を戻すけど、それはつまりどういうことを意味するかわかる?」


ノアン「えっと、つまり。王様が僕を司書にしたのは王様の独断だったってことですか?」

アナ「正解。王様が強権を発動するのは今の世の中じゃ普通のことだけど、現国王がそれを初めて使ったのがあなたを司書にするってことだったの」

ノアン「そう、だったんですか……。それが本当ならずいぶん変な話です」

アナ「というと?」

ノアン「王様は僕が聡明であるとおっしゃいました。賢い者が好きだとも」

ノアン「しかしいくら僕が賢いといってもただ1人の為にそんな強権を使ってまで平民以上の立場を与えるでしょうか?」

ノアン「その……僕は奴隷出身ですし……」

アナ「私もマリウスもそう考えた。というよりこれは全国民が感じたことだと思うわ」

アナ「中には反感を覚える人もいたでしょう。しかし王様はそれを押し切ってあなたを司書にした」

アナ「それがどんな意味を持つのか……」

ノアン「…………」ゴクリ…

アナ「全然わからないのよ」

ドンガラガッシャーン

アナ「あらあら、凄いこけ方をしたわよ?」

ノアン「わからないんですか!?」

アナ「魔法が使えたって私は人よ。人が人の心を読めるわけないじゃない」


アナ「研究が進めばそんな魔法も使えるかもね。そうしたらマリウスだってイチコロにできるわー」

マリウス「話が逸れすぎています司書長。やはりここからは私が説明しよう」

アナ「むぅ~」

マリウス「ノアン、図書館から人が資料作りのために奴隷牧場へと向かうのはこれが初めてではないことは知っているな?」

ノアン「確か数年に一度の間隔でそれがあると、昨日リエルさんが……」

マリウス「そうだ。その人員は毎回、司書長によって選ばれていた」

ノアン「え? それじゃあ……」

マリウス「今回のように人員の指定があるのは異例のことだ」

ノアン「…………」

マリウス「しかも今回奴隷牧場へ向かうのは2人だ」

ノアン「僕のほかにもいるんですか?」

マリウス「その1人はいつも通りこちら側で決めろとのことだ」

ノアン「…………」

マリウス「今回のようなケースで2人いるうちの1人だけを指名など滅茶苦茶だ。どうもこの一件、きな臭い」

マリウス「しかし王命とあってはどうしようもない。つまり私とアナが言いたいのはこれから起こることに細心の注意を払ってほしいということだ」


アナ「それだけ言いたかっただけなのに、どうしてこう話が長くなっちゃうのかしら」

マリウス「7割は司書長のせいです」

アナ「おあいこよ。……ノアン」

ノアン「……はい」

アナ「危なくなったらすぐに帰ってきてね。仕事なんてどうでもいいから。王様がお怒りになっても私がその責めを負うわ」

アナ「だから必ず帰ってきて。あなたはもう私の家族なんだから」


――奴隷の頃は「はい」としか言えなかった

――言わなければぶたれたから

――でも今はこの人のために返事をしたいと思った

――自分の想いを言葉に込めて


ノアン「はい。……絶対に帰ってきます」


ここらへんで終了します。

安価もしなかったし自分なりに考えた設定を説明させたかっただけの回であった。

次からはちゃんと安価スレらしくしようと思うので(たぶん)どうなるかは丸投げです。

どうかよろしくお願いします。

今日はここまで


………………

アナ「……というわけで今から君は準備のために色々動いてもらう」

ノアン「そういえば、司書の仕事はどうするんですか?」

マリウス「現時点を持ってノアンは特別業務に就くことになる。通常の仕事は奴隷牧場から帰るまではない」

ノアン「そうなんですか」

アナ「それと準備には先立つものが必要だよね。はいこれ」

ノアン「え! こんなに!?」

アナ「国からも経費が出るだろうけどこれはお小遣いだよ。仕事ついでに楽しんできたら?」

ノアン「いいんでしょうか……?」

アナ「私が許可する」

マリウス「……あまり無駄遣いはするなよ?」

ノアン「はい!」

アナ「じゃあ早速、市場に行って必要なものを揃えてきたら?」

マリウス「お前に同行するもう1人は明日までに選出しておく」

ノアン「わかりました。あの……ありがとうございます」

アナ「いいって、いいって。さ、行きなよ」

ノアン「はい、では失礼します」


バタン

アナ「まだ、ちょっと怖がってたね」

マリウス「慣れていないのでしょう。人から受けるやさしさのようなものに」

アナ「あー、心配だなー。大丈夫かなー」

マリウス「あいつのことに関しては何もないことを祈るほかありません。私たちは私たちでやれることをやりましょう」

アナ「うん……そうよね」


………………


――トアル国 市場――

ノアン「さて、ここまで来たけど何を買えばいいのか……。遠出なんてしたことないからわからないぞ」

リエル「本当に必要最低限のものは国から用意されるだろうし、娯楽品とかあれば暇をつぶせるだろうな」

ノアン「……どうしてここにいるんですか?」

リエル「バカ。お前の付き添いっていう立派な業務を自ら考えて行動したんだよ」

ノアン「マリウスさんまた怒りますよ?」

リエル「逃げれば怒られないから一石二鳥だな」

ノアン「……まぁいいですけど」

リエル「それよりノアンよぉ、軽い遠出なら↓1は必需品だぜ!」


ノアン「凄くマトモだ……」

リエル「ふざけんな! 馬鹿にしやがって全く」

リエル「いいか? どんな場合でもいざってときはあるからな、宿に泊まれないこともしばしばよ」

リエル「そんなときこれがあれば腹を満たせるし、なにより食えるものがあるっていう精神的な支えになる」

ノアン「リエルさん詳しいんですね、旅に出たことがあるんですか?」

リエル「え? お、おう。まあな……」

ノアン「初めてリエルさんを尊敬しました」

リエル「今までしてなかったのかよ!」

リエル(くっそ~、やっぱり馬鹿にしてないか? こいつ)

リエル(!)

リエル「くくく……なぁノアン。旅をするときには↓1もたくさん必要なんだぜ……」


ノアン「たくさん買っちゃいましたけど、これは一体どうするんですか?」

リエル「水がないところで下痢にでもなったら、尻の周りが不衛生になる」

リエル「トイレットペーパーがあれば安心だし、地域によっては紙ということで物々交換の対象にもなる」

ノアン「なるほど……」

リエル(ほぼでっち上げだけど……。こいつ本当に人を疑わねーな)

リエル(なんか、どこまでだませるか試したくなってきた……)ウズウズ

リエル(どうしようか……?)

↓1  やる or やめる


リエル(大量のトイレットペーパーの次か……こうしてみるとギリギリってのは結構難しいな)

リエル(とりあえず少し抑えめで……)

ノアン「リエルさん!」

リエル「おわぁ! ど、どうした!?」

ノアン「さっきから呼んでいるのに」

リエル「お、おう。悪いな、考え事してたわ」

ノアン「後は何が必要だと思います?」

リエル「そ、そうだな~。↓1とかいいと思うぜ」


リエル(いけるか……?)

ノアン「なるほど、たわしですか」

リエル(いけたー! たわしはセーフだ!)

ノアン「でもどうしてたわしなんですか?」

リエル「え!?」

リエル(しまった! 物を考えるのに夢中で理由を考えていなかった!)

リエル「えー、それはだな……」

コホン…

リエル「↓1だからだ!」キリッ


ノアン「汚物怪人……?」

リエル(さ、さすがに苦しいか……?)

ノアン「いかにも危険そうな奴……、本で読んだだけじゃわからないこともまだたくさんあるんですね」

リエル(そりゃそうだろうよ、俺が考えたんだもん。それより信じちゃったなこいつ)

リエル「まぁ汚物怪人なんてそうそうでないし、旅のお守りに丁度いいさ」

ノアン「そうですね」

リエル「ちゃんと紐も買ってネックレスにするのがより効果的だ」

ノアン「わかりました!」

リエル(こうなったら、とことんやってみたくなるってもんだろ!)

リエル「次は↓1だな。なにか1つ旅に持っていけと言われたら、こいつしかありえねぇ」


ノアン「こ、これはさすがに……」

リエル「あ、あぁ。ちょっとばかし高いがそ、それも仕方のないことだ」

ノアン「わ、わかりました」

リエル(うぉぉぉぉぉぉ! 本物のダイヤだ! 綺麗……)

リエル(でもどうしよう……なんかマズくないか? これ)

リエル「いや、ここまで来て引き下がるのは誰に対しても失礼だよな」

ノアン「?」

リエル(『常時限界』が俺の座右の銘だしな)

ノアン「お、お金が……」

リエル「よし、ノアン。次で最後だ……↓1も買うぞ!」


シュボッ!

ノアン「うわぁぁぁぁぁ……」

リエル「すげぇぇぇぇぇ……」

鍛冶屋の親父「あんたら、目が高いよ」

リエル「え?」

鍛冶屋の親父「こいつは俺の自慢の一品さ。ただどうしても値が張るから、みんな買いたがらねぇ」

鍛冶屋の親父「まぁ火なんて手作業で起こせるし、普通に生きる分にゃこんな大層なもんなくたって必要ねぇからな……」

鍛冶屋の親父「だがそれでもあんたらはこいつを気に入ってくれた! 職人としてこんなに嬉しいことはねぇ!」

鍛冶屋の親父「その心意気に免じて……」

リエル「タダか!?」

鍛冶屋の親父「普通の火打石もサービスしてやる」

リエル(いらねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!)


………………


鍛冶屋の親父「また来てくれ」

ノアン「はい。ぜひ」

リエル「…………」

リエル(やってしまった……)

リエル(どうしていつも繰り返してしまうのか……)

リエル(このまま帰ったら絶対マリウスにどやされる……)

ノアン「リエルさんのおかげで有意義な買い物ができました」

リエル「ソレハヨカッタネー」

ノアン「では帰りましょうか」

リエル「……うん」


………………


というわけで、今日は買い物回でした。

こんな感じで進んでいきます。ゆっくりゆっくり。

安価もこんな感じのペースを続けていきたい。

安価に協力ありがとうございました。

今日はここまで


まことに勝手ながらこのSSの更新は無期限で停止させていただきます。
申し訳ございません。

ご愛読ありがとうございました

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